説明

携帯電子機器用のアンテナ

【要 約】
【課題】 アンテナ部分を直立させた際に、直立状態から傾むくことなく直立させることができる。
【解決手段】 アンテナ基部13の貫通孔内に押し棒14とコイルスプリング15とを収納し、その下にストッパー16を嵌着する。コイルスプリング15の付勢力は押し棒14を介して挟持片22bの周側面に印加されている。押し棒14の下部はストッパー16に形成されている挿通孔内に摺動可能に挿通されて、ジョイント12aの上部のアンテナ部分を直立させた際に、押し棒14の傾きはストッパー16により規制される。これにより、押し棒14が傾かないようになってアンテナ部分を直立させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも受信機能を有する電子機器、特に地上波デジタルテレビ放送を受信することのできる携帯電話機等に備えられる携帯電子機器用のアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機が普及しているが、この携帯電話機においては通話や情報を送受信するためにアンテナが備えられている。アンテナは携帯電話機の筐体に内蔵されていたり、携帯電話機の筐体に対して伸縮自在とされて不使用時には筐体内に収納できるリトラクティブなアンテナとされているのが一般的である。
ところで、近年地上波デジタルテレビ放送が開始されて、地上デジタルテレビジョン放送の1セグメント部分受信サービスを受信することのできる携帯電話機も知られている。この1セグメント部分受信サービスを効率よく受信するには、アンテナの指向特性を電波の到来方向に合致させて受信することが必要となる。このため、1セグメント部分受信サービスを受信するアンテナには、筐体に対して傾動可能かつ回転可能としてアンテナの指向特性を調整することができるアンテナが好適となる。また、待ち受け時には携帯に便利なように、アンテナを携帯電話機の筐体に収納できることが好適とされる。
【0003】
従来提案されている携帯電話機用のアンテナ200の構成を図18および図19に示す。図18は2段に伸縮自在とされたアンテナ200を伸張した際の構成を示す図であり、図19は図18に示すアンテナ200の構成の一部を断面図で示す図である。
従来のアンテナ200は、先端にトップ部210が設けられている第1エレメント211と、第1エレメント211を内部に摺動自在に収納可能な第2エレメント212からなるエレメント部分を備え、このエレメント部分はアンテナ基部213に傾動可能に保持されている。第1エレメント211は可撓性を有するエレメント導体から構成され、第2エレメント212はコイルスプリングから構成されている。第2エレメント212の上部にはホールド部212bが嵌着されており、下部にはジョイント212aが嵌着されている。ジョイント212aの下端には角が丸みを帯びた平板状の挟持片222bが備えられている。アンテナ基部213は、挟持片222bを挟持する挟持部213aを備え、挟持片222bは軸部217により挟持部213a(すなわち、アンテナ基部213)に対して傾動可能に枢支されている。アンテナ基部213と第2エレメント212はホルダー218内を摺動可能に保持されている。ホルダー218は上部に鍔部が形成され、その外周面にはネジ部が形成されている。このホルダー218を携帯電話機の筐体に螺着することにより、アンテナ200が携帯電話機に取り付けられるようになる。
【0004】
軸部217により挟持部213aに対して傾動可能に枢支されている挟持片222bは、アンテナ基部213内に収納されている押し棒214を介してコイルスプリング215により上方に付勢されている。押し棒214の上部はアンテナ基部213の上面より突出されて、挟持片222bの周側面に当接しており、押し棒214の中途には鍔部214bが形成されている。押し棒214の下部はコイルスプリング215内に挿通されており、コイルスプリング215の上端が鍔部214bの下面に当接している。また、アンテナ基部213の下部にはストッパー216が嵌着されており、ストッパー216の上面にコイルスプリング215の下端が当接している。これにより、コイルスプリング215の付勢力が挟持片222bの周側面に印加されて、第1エレメント211および第2エレメント212からなるエレメント部分を傾動した際に、安定してその傾動角度で保持できるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図18および図19に示す従来の携帯電子機器用のアンテナ200は、任意の位置にエレメント部分を傾けて保持する傾動機構を有している。この傾動機構において、コイルスプリング215は付勢力を発生させるために押し縮められていることから、その中心軸に対して側方に湾曲するようになる。すると、押し棒214の下部はコイルスプリング215内に挿通されていることから、押し棒214が傾きやすい状態となる。このため、エレメント部分を直立させた際に、図19に示すように押し棒214がアンテナ基部213内において傾いて、アンテナ部分が直立状態から傾いてしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明はアンテナ部分を直立させた際に、直立状態から傾むくことなく直立させることのできる携帯電子機器用のアンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の携帯電子機器用のアンテナは、コイルスプリングに嵌挿される押し棒の下部が、ストッパーに形成されている挿通孔内に摺動可能に挿通されていることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コイルスプリングに嵌挿される押し棒の下部が、ストッパーに形成されている挿通孔内に摺動可能に挿通されていることから、押し棒がアンテナ基部内において傾くことがストッパーにより規制され、アンテナ部分を直立させた際にアンテナ部分が傾くことなく直立するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例とされる携帯電子機器用のアンテナ1の構成の一例を図1および図2に示す。図1は2段に伸縮自在とされたアンテナ1を伸張した際の構成を示す図であり、図2は図1に示すアンテナ1の構成の一部を断面図で拡大して示す図である。
これらの図に示す本発明の実施例にかかるアンテナ1は、先端にトップ部10が設けられている第1エレメント11と、第1エレメント11を内部に摺動自在に収納可能な第2エレメント12からなるエレメント部分を備え、このエレメント部分はアンテナ基部13に傾動可能に保持されている。トップ部10は、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分を伸縮する際に把持される摘みとなる合成樹脂製の円盤状の形状とされている。第1エレメント11は、超弾性合金製の可撓性を有するエレメント導体を柔軟な絶縁チューブで被覆して構成されている。また、第2エレメント12は、屈曲自在とされているコイルスプリングを柔軟な絶縁チューブで被覆して構成されている。第2エレメント12の上部には金属製のホールド部12bが嵌着されており、下部には金属製のジョイント12aが嵌着されている。第1エレメント11におけるエレメント導体の下部に保持バネが固着されており、第1エレメント11を第2エレメント12内において摺動した際に保持バネの作用により第1エレメント11が第2エレメント12の内周面に弾性的に接触して保持されるようになる。これにより、第1エレメント11を第2エレメント12から任意の長さで引き出して保持することができるようになる。ジョイント12aの下端には挟持片22bが設けられており、挟持片22bは角が丸みを帯び下面が平坦とされたほぼ矩形の平板状に形成されている。
【0010】
アンテナ基部13は、ジョイント12aに形成されている挟持片22bを挟持する挟持部13aを上部に備え、挟持片22bは軸部17により挟持部13a(すなわち、アンテナ基部13)に対して傾動可能に枢支されている。アンテナ基部13の外径は、第2エレメント12の外径とほぼ等しくされている。そして、アンテナ基部13と第2エレメント12はホルダー18内を上下方向に摺動可能に保持されている。ホルダー18は上部に鍔部が形成された円筒状の本体部を備えている。円筒状の本体部の外周面にはネジ部が形成されており、この本体部を例えば携帯電話機の筐体に螺着することにより、アンテナ1が携帯電話機に取り付けられるようになる。図1には、第1エレメント11と第2エレメント12からなるエレメント部分がホルダー18から摺動されて伸張されたアンテナ1の構成が示されている。
【0011】
図2に示すように、軸部17により挟持部13aに対して傾動可能に枢支されている挟持片22bは、アンテナ基部13内に収納されている細長い丸棒状に形成されている押し棒14を介して、アンテナ基部13内に収納されているコイルスプリング15により押圧されている。すなわち、アンテナ基部13の下端からストッパー16が嵌入されて、コイルスプリング15はアンテナ基部13内において押し縮められている。そして、押し棒14の上部はアンテナ基部13の上面に形成されている細径孔から突出して、挟持片22bの周側面に当接しており、押し棒14の中途には外径が大きくされた鍔部14bが形成されている。押し棒14の下部はコイルスプリング15内に嵌挿されており、コイルスプリング15の上端が鍔部14bの下面に当接しており、ストッパー16の上面にコイルスプリング15の下端が当接している。これにより、押し縮められているコイルスプリング15の付勢力が押し棒14を介して挟持片22bの周側面に印加されて、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分を傾動した際に、安定してその傾動角度で保持できるようになる。また、ストッパー16には貫通孔が全体にわたり形成されており、この貫通孔内に押し棒14の下部が摺動可能に挿通されている。これにより、押し棒14の傾きはストッパー16により規制されるようになり、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分を直立状態とさせた際に、傾くことなく直立するようになる。
【0012】
また、挟持片22bは角が丸みを帯びたほぼ矩形に形成されて、周側面の下面に平坦部が形成されており、エレメント部分をアンテナ基部13に対して傾動状態から直立状態になった際に、押し棒14の平坦な上面に挟持片22bの周側面における平坦面が当接するようになってクリック感が得られるようになる。なお、図示されていないがホルダー18の内周面には摺動バネが収納されており、この摺動バネの作用によりアンテナ基部13が弾性的にホルダー18に保持されている。これにより、第2エレメント12をアンテナ基部13に対して任意の角度で傾動した状態において、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分を傾動した面とほぼ直交する面内においてホルダー18に対して回転させることができる。これにより、第1エレメント11および第2エレメント12からなる伸縮可能なエレメント部分を備えるアンテナ1を、筐体に対して傾動可能かつ回転可能としてアンテナ1の指向特性を所望の方向に調整することができるようになる。
【0013】
次に、本発明の実施例のアンテナ1を構成している各部品の構成を図3ないし図12に示す。
図3はアンテナ基部13の構成を示す側面図であり、図4はアンテナ基部13の構成を平面図であり、図5はアンテナ基部13の構成を断面図で示す側面図である。これらの図に示すように、アンテナ基部13は真鍮等の金属製とされ先端部に設けられた挟持部13aと、挟持部13aの下部に設けられた円筒状の本体部13bとから構成されている。挟持部13aには、第2エレメント12のジョイント12aに形成されている挟持片22bが嵌入される挟持溝13cがほぼ中央に形成されている。挟持片22bを挟持する挟持部13aには挿通孔13dが形成されており、挟持溝13cに挟持片22bを嵌入して挿通孔13dに軸部17となる後述する第1ピンと第2ピンを嵌着することにより、第2エレメント12はアンテナ基部13に対して傾動可能に枢支される。また、本体部13bには全体にわたって貫通孔13fが形成されており、本体部13bの上部において貫通孔13fの径が細くされた細径孔13gが設けられている。また、本体部13bの下部には外径が若干大きくされた鍔部13eが形成されている。この鍔部13eは、第1エレメント11と第2エレメント12とからなるエレメント部分が伸張された際に、ホルダー18の下端に当接する。
【0014】
次に、図5は押し棒14の構成を示す側面図である。この図に示すように、押し棒14は金属製あるいは合成樹脂製とされ、細長い丸棒状に形成されており、中途に径が大きくされたリング状の鍔部14bが形成されている。鍔部14bの外径は、アンテナ基部13における貫通孔13fの内径とほぼ同じ径とされ、鍔部14bの上部は押し部14cとされ、鍔部14bの下部は本体部14aとされている。押し棒14はアンテナ基部13における貫通孔13f内に摺動自在に収納され、収納された際に押し部14cの上部が細径孔13gを介してアンテナ基部13の本体部13bの上面から突出するようになる。
【0015】
次に、図7はコイルスプリング15の構成を示す側面図である。この図に示すように、コイルスプリング15はリン青銅等の弾性を有する線材をコイル状に巻回して構成されている。コイルスプリング15の上部と下部とは密巻きとされており、コイルスプリング15がアンテナ基部13における貫通孔13f内に収納された際に、コイルスプリング15内に押し棒14の本体部14aが挿通され、コイルスプリング15の上端が押し棒14の鍔部14bの周側面に当接する。
【0016】
次に、図8(a)はストッパー16の構成を示す側面図であり、図8(b)はストッパー16の構成を断面図で示す側面図である。
これらの図に示すように、ストッパー16は真鍮等の金属製とされており、挿通孔16dが形成された本体部16aと下端部16bを有し、本体部16aと下端部16bとの間に溝部16cが形成されている。ストッパー16は、押し棒14とコイルスプリング15とが収納されたアンテナ基部13における貫通孔13fに下方から嵌入されて、アンテナ基部13の溝部16cに対応する下部がカシメ加工されることにより、アンテナ基部13に嵌着される。この際に、ストッパー16の上面はコイルスプリング15の下端に当接しコイルスプリング15を押し縮めるようになる。これにより、コイルスプリング15は押し棒14を付勢するようになり、細径孔13gから突出した押し棒14の押し部14cの上面がジョイント12aに形成されている挟持片22bの周側面を弾性的に押圧するようになる。さらに、押し棒14の本体部14aがストッパー16の挿通孔16d内に摺動自在に挿通されることから、押し棒14の傾きはストッパー16により規制されるようになり、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分を直立状態とさせた際に、傾くことなく直立させることができる。
【0017】
次に、図9(a)は軸部17を構成している第2ピン17bの構成を示す側面図であり、図9(b)は軸部17を構成している第1ピン17aの構成を示す側面図である。図9(a)に示す第2ピン17bはステンレスや真鍮等の金属製とされ、円盤状の頭部と、頭部から延伸されている断面円形の棒状の嵌入部から構成されている。図9(b)に示す第1ピン17aはステンレスや真鍮等の金属製とされ、一方が閉じた円筒状の本体部と、閉じた側に拡径して形成されている断面円形の頭部とから構成されていると共に、本体部のほぼ全体にわたり断面円形の嵌着孔が形成されている。この嵌着孔内に、第2ピン17bの嵌入部を嵌挿することにより軸部17が構成される。すなわち、ジョイント12aに形成されている挟持片22bを挟持部13aにおける挟持溝13c内に挿入し、挟持部13aにおける挿通孔13dの一方から第1ピン17aを挿通させる。次いで、挿通孔13dの他方から第2ピン17bを第1ピン17aの嵌着孔内に嵌入する。これにより、第1ピン17aと第2ピン17bからなる軸部17により挟持片22bが挟持部13aに枢支されるようになる。
【0018】
次に、図10はジョイント12aの構成を示す側面図であり、図11はジョイント12aの構成を平面図であり、図12はジョイント12aの構成を断面図で示す側面図である。
これらの図に示すように、ジョイント12aは真鍮等の金属製とされ一端が閉じた円筒状の本体部22aと、本体部22aの下端から延伸された平板状の挟持片22bとから構成されている。本体部22aには第2エレメント12の下部が嵌着される挿入孔22dが形成されており、平板状の挟持片22bには挿通孔22cが形成されている。アンテナ基部13における挟持部13aの挟持溝13c内に挟持片22bを挿入し、挟持部13aの一方の挿通孔13dから挿通した第1ピン17aを挟持片22bに形成された挿通孔22cを貫通させて他方の挿通孔13dまで挿通し、さらに他方の挿通孔13dから第2ピン17bを第1ピン17aに嵌入して軸部17を構成する。挟持片22bの周側面は、角が丸みを帯び下面が平坦なほぼ矩形とされており、周側面には押し棒14の押し部14cが弾性的に押圧されている。これにより、傾動した状態から第2エレメント部12をほぼ直立させた際に、ほぼ矩形とされた挟持片22bの丸みを帯びた角を乗り越えて下面の平坦な周側面に押し部14cにおける平坦な上面が弾性的に当接するようになり、クリック感が得られるようになる。なお、挿入孔22dには第2エレメント12の下部が嵌挿されてカシメ加工されることにより、ジョイント12aが第2エレメント12の下部に嵌着される。
【0019】
次に、本発明の実施例のアンテナ1のエレメント部分を除く構成の組み立て工程について図13に示す分解組立図を参照しながら説明する。
図13においてジョイント12aおよびアンテナ基部13は断面図で示されており、アンテナ基部13における挟持部13aの挟持溝13c内に挟持片22bが挿入され、挟持部13aの一方の挿通孔13dから挿通された第1ピン17aが挟持片22bに形成された挿通孔22cを貫通し、さらに他方の挿通孔13dから第2ピン17bを第1ピン17aに嵌入されて組み立てられた軸部17により、ジョイント12aはアンテナ基部13に枢支されている。この状態において、アンテナ基部13の貫通孔13f内に下から押し棒14を挿入し押し部14cを貫通孔13fの上部の細径孔13gから外部へ突出させ、押し部14cの上面を挟持片22bの周側面に当接させる。次いで、コイルスプリング15をアンテナ基部13の貫通孔13f内に下から挿入すると、コイルスプリング15内に押し棒14の本体部14aが挿入されて、コイルスプリング15の上端が押し棒14の鍔部14bの下面に当接する。続いて、ストッパー16をアンテナ基部13の貫通孔13f内に下から挿入していくと、ストッパー16の上面がコイルスプリング15の下端に当接するが、ストッパー16の全体が貫通孔13f内に挿入されるまで挿入していく。この際に、ストッパー16の挿通孔16d内に押し棒14の本体部14aが挿通されていくと共に、コイルスプリング15は押し縮められるようになり、コイルスプリング15の付勢力は押し棒14を介して挟持片22bの周側面に印加される。ストッパー16が貫通孔13f内に挿入されたら、ストッパー16の溝部16cに相当するアンテナ基部13の部位にカシメ加工を施してストッパー16をアンテナ基部13に固着する。これにより、アンテナ1を図2に示すように組み立てることができる。組み立てられたアンテナ1においては、押し棒14の傾きはストッパー16により規制されるようになり、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分を直立状態とさせた際に、傾くことなく直立させることができる。また、第1エレメント11および第2エレメント12からなるエレメント部分をアンテナ基部13に対して傾動した際に所望の傾動角度を保持できると共に、クリック感を得ることができる。
【0020】
次に、本発明の実施例のアンテナ1を備える携帯電話機100の構成の一例を図14ないし図17に示す。ただし、図14は本発明にかかるアンテナ1を携帯電話機100から伸張させて傾動させた状態を示す斜視図であり、図15は本発明にかかるアンテナ1を携帯電話機100内に収納した状態を示す斜視図であり、図16は本発明にかかるアンテナ1を携帯電話機100から伸張させた際の傾動範囲を示す正面図であり、図17は本発明にかかるアンテナ1を携帯電話機100から伸張させた際の回動範囲を示す側面図である。
これらの図に示すように、本発明にかかるアンテナ1は、携帯電話機100を構成している筐体100aの一側面に取り付けられている。筐体100aには、図示していないテンキーや操作ボタンからなる操作部と液晶等からなるディスプレイ101とが設けられている。アンテナ1は、伸張した際に筐体100aに対して傾動可能とされており、図14に示すアンテナ1の伸張状態ではアンテナ基部13に対して約90°傾動されて第1エレメント11と第2エレメント12からなるエレメント部分は、横向きとされた筐体100aに対してほぼ垂直となっている。アンテナ1は、第2エレメント12から第1エレメント11を引き出せることができ、2段に伸縮自在とされてアンテナ1の長さを変えることができるようにされている。また、アンテナ1を縮納した際には図15に示すようにトップ部10まで筐体100aに設けられている収納空間内に収納することができる。また、伸張状態のアンテナ1は筐体100aに対して任意の角度で傾動可能とされており、図16に示すように傾動範囲は0°〜約90°とされる。さらに、伸張状態のアンテナ1は筐体100aに対してアンテナ基部13を回転軸として回動可能とされており、回動範囲は図17に示すように約360°と任意の角度に回動することができる。これにより、携帯電話機100に取り付けられているアンテナ1の指向特性を所望の方向に向けると共に、アンテナ1の長さを変えることができるようになり、地上デジタルテレビジョン放送の1セグメント部分受信サービスを受信することのできる携帯電話機100に好適なアンテナとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上の説明では、地上デジタルテレビジョン放送の1セグメント部分受信サービスを受信することのできる携帯電話機等の携帯電子機器用のアンテナとして説明したが、これに限るものではなく傾動して水平面内において回転することが必要とされるアンテナ一般に適用することができるものである。
また、第1エレメントおよび第2エレメントからなるアンテナ部分は2段に伸縮可能としたが、これに限るものではなく第1エレメントのみからなる1段構成のアンテナ部分としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例である2段に伸縮自在とされたアンテナを伸張した際の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例であるアンテナの構成の一部を断面図で拡大して示す図である。
【図3】本発明にかかるアンテナのアンテナ基部の構成を示す側面図である。
【図4】本発明にかかるアンテナのアンテナ基部の構成を示す平面図である。
【図5】本発明にかかるアンテナのアンテナ基部の構成を断面図で示す側面図である。
【図6】本発明にかかるアンテナの押し棒の構成を示す側面図である。
【図7】本発明にかかるアンテナのコイルスプリングの構成を示す側面図である。
【図8】本発明にかかるアンテナのストッパーの構成を示す側面図およびその断面図である。
【図9】本発明にかかるアンテナの軸部を構成する第1ピンおよび第2ピンの構成を示す側面図である。
【図10】本発明にかかるアンテナのジョイントの構成を示す側面図である。
【図11】本発明にかかるアンテナのジョイントの構成を示す平面図である。
【図12】本発明にかかるアンテナのジョイントの構成を断面図で示す側面図である。
【図13】本発明にかかるアンテナの分解組立図である。
【図14】本発明にかかるアンテナを携帯電話機から伸張させて傾動させた状態を示す斜視図である。
【図15】本発明にかかるアンテナを携帯電話機内に収納した状態を示す斜視図である。
【図16】本発明にかかるアンテナを携帯電話機から伸張させた際の傾動範囲を示す正面図である。
【図17】本発明にかかるアンテナを携帯電話機から伸張させた際の回動範囲を示す側面図である。
【図18】従来提案されている携帯電話機用のアンテナの一例の構成を示す図である。
【図19】従来提案されているアンテナの構成の一部を断面図で拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 アンテナ、10 トップ部、11 第1エレメント、12 第2エレメント、12 エレメント部、12a ジョイント、12b ホールド部、13 アンテナ基部、13a 挟持部、13b 本体部、13c 挟持溝、13d 挿通孔、13e 鍔部、13f 貫通孔、13g 細径孔、14 押し棒、14a 本体部、14b 鍔部、14c 押し部、15 コイルスプリング、16 ストッパー、16a 本体部、16b 下端部、16c 溝部、16d 挿通孔、17 軸部、17a 第1ピン、17b 第2ピン、18 ホルダー、22a 本体部、22b 挟持片、22c 挿通孔、22d 挿入孔、100 携帯電話機、100a 筐体、101 ディスプレイ、200 アンテナ、210 トップ部、211 第1エレメント、212 第2エレメント、212a ジョイント、212b ホールド部、213 アンテナ基部、213a 挟持部、214 押し棒、214b 鍔部、215 コイルスプリング、216 ストッパー、217 軸部、218 ホルダー、222b 挟持片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するエレメントを有し、前記エレメントの先端にトップ部が固着されていると共に、下端に挟持片が形成されているエレメント部分と、
前記エレメント部分の下端に形成されている前記挟持片を挟持するよう軸部で枢支する挟持部を有し、前記エレメント部分を傾動可能に保持すると共に、全体にわたり貫通孔が形成されているアンテナ基部と、
前記エレメント部分が摺動可能に保持される摺動孔が形成されていると共に、該エレメント部分を引き出した際に前記アンテナ基部が前記摺動孔内に保持されるホルダーと、
前記アンテナ基部の前記貫通孔内に収納されて、前記アンテナ基部の上端から突出した押し部が前記挟持片の周側面に当接している押し棒と、
前記アンテナ基部の前記貫通孔内に収納されて、前記押し棒を前記挟持片側へ付勢するコイルスプリングと、
前記押し棒と前記コイルスプリングとが前記アンテナ基部の前記貫通孔内から抜け出ないように前記アンテナ基部の下端に嵌着されているストッパーとを備え、
前記ストッパーに形成されている挿通孔内に前記押し棒の下部が摺動可能に挿通されていることを特徴とする携帯電子機器用のアンテナ。
【請求項2】
前記押し棒は中途に径が大きくされた鍔部が形成された細長い棒状とされており、該鍔部より下部が前記コイルスプリング内に挿通されることにより、前記コイルスプリングの上端が前記鍔部の下面に当接され、前記コイルスプリングの下端が前記ストッパーの上面に当接されていることを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器用のアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−278158(P2009−278158A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124620(P2008−124620)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】