説明

携帯電子機器用の電池式出力装置

【課題】携帯電子機器用の電池式出力装置において、一次電池と二次電池で出力電流を自動で切替えることにより電池の特性を生かした電池式出力装置を提供する。
【解決手段】携帯電子機器用の電池式出力装置において、電池接続部の電池電圧を所定の電圧と比較する電圧検出部と、電圧検出部からの入力を受け出力電流の設定を切り替える出力電流設定部と、携帯電子機器の出力電流を制御する出力電流制御部とを備え、電池が電池接続部に差し込まれたときの電圧により一次電池か二次電池かを判断し、それにより出力電流制御部から携帯電子機器へ出力する電流を切替えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やオーディオプレーヤーなど内蔵リチウムイオン電池1セルで駆動する携帯電子機器に接続することで、携帯電子機器内のリチウムイオン電池を充電する充電装置や、内蔵リチウムイオン電池の代わりに携帯電子機器を駆動する電源となる電池式出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電子機器用の電池式出力装置は、単3サイズや単4サイズの電池を電源として動作するものが多く内部回路により2セルを直列接続して使用のもの、3セルを直列接続して使用のもの、4セルを直列接続して使用のものがあり、携帯電子機器が接続されると所定の電流を携帯電子機器に出力する。図2は従来の携帯電子機器用の電池式出力装置である乾電池式携帯型電話機用充電回路のブロック図である。図2において、乾電池部は機器で定められたサイズの電池を複数個接続でき、昇圧チョッパにより接続された乾電池の電圧を携帯電話機内蔵バッテリーを充電するために必要な電圧にし、任意で定められた電流値で接続された携帯電話機内のバッテリーに電流を供給する。なお、昇圧チョッパは接続できる電池のセル数により降圧回路になっているものもある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−86975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の携帯電子機器用の電池式出力装置では、電池接続部に同サイズの電池であれば公称電圧が1.5Vのアルカリ乾電池の一次電池および公称電圧が1.2Vのニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の二次電池の両方を接続できるにも拘らず、出力電流が機器により所定の値に定まっている。そのため一次電池よりも内部抵抗の低い二次電池用に出力電流を高く設定した場合、同サイズの一次電池を使用されると内部抵抗が高いため極端に電池電圧の低下が早く、特に携帯電子機器内のリチウムイオン電池への充電において十分充電できない問題がある。
【0004】
また、二次電池よりも内部抵抗の高い一次電池用に出力電流を低く設定した場合、同サイズの二次電池を使用されると、本来高電流を出力できるにも拘らず充電電流が低いため、携帯電子機器内のリチウムイオン電池の充電に要する時間が長くなる問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を鑑み、電池接続部に同サイズであればアルカリ乾電池の一次電池およびニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の二次電池のどちらでも接続できる電池式出力装置において、一次電池が使用されるときは第一の電流に、二次電池が使用されるときは第一の電流よりも高い第二の電流に出力を自動で切り替え、電池の特性に応じ効果的に充電することができる携帯電子機器用の電池式出力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器用の電池式出力装置は、電池を接続する電池接続部と、出力電流を制御する出力電流制御部と、所定の電圧を検知する電圧検出部と、前記電圧検出部の出力により出力電流を設定しかつ維持することができる出力電流設定部と、出力を携帯電子機器に接続できる出力部とを備え、電池を電池接続部に接続したときの電池の電圧が所定の電圧よりも高い場合は第一の電流を出力するように出力電流設定部で設定し、電池を電池接続部に接続したときの電池の電圧が所定の電圧よりも低い場合は、第一の電流よりも高い第二の電流を出力するように出力電流設定部で設定することを特徴とするものである

【発明の効果】
【0007】
本発明の携帯電子機器用の電池式出力装置によれば、使用された電池がアルカリ乾電池の一次電池かニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の二次電池かを電池接続部に接続されたときに判別し、それぞれに合った出力電流に設定することにより、一次電池の場合はより一層出力容量を増加させることができ、また二次電池の場合は出力容量を確保しつつより一層高出力できる、一つの機器で一次電池と二次電池それぞれの特性に応じた効果的な電池式出力装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、携帯電子機器へ出力された電流を検出する出力電流検出部を設け、出力電流が出力電流設定部で設定した電流値以上に達すると出力電流制御部により携帯電子機器への電流供給を制御することで、電池電圧や負荷が変動しても携帯電子機器へ出力電流設定部で設定した電流を安定して出力することができる。
【0009】
また、出力電流設定部で設定された第一の電流と第二の電流で違う表示をする表示部を設けることで、設定された出力電流値が一次電池の場合の第一の電流か、二次電池の場合の第二の電流かを表示することができ、使用者に第一の電流と第二の電流のどちらで出力しているかを認識させることができる。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態における電池2セルの場合の携帯電子機器用の電池式出力装置のブロック図である。図1において、電池式出力装置1は電池2セルの電池式出力装置であり、電池接続部2は単1、単2、単3または単4の決まったサイズの電池を2セル直列接続でき、DC−DCコンバータ3は電池接続部2の電圧を携帯電子機器10内のリチウムイオン電池11を充電するのに必要な電圧以上に制御する(本実施形態では5.0V)。また、電圧検出部4は電池接続部2に並列に接続され電池接続部2に電池が接続されたときの無負荷電圧が所定の電圧(本実施形態では3.0V)で、所定の電圧に対し高いか低いかを比較し、所定の電圧に対し高い場合は一次電池と判断し出力電流を第一の電流に設定するように出力電流設定部5に入力し、所定の電圧に対し低い場合は二次電池と判断し出力電流を第一の電流よりも高い第二の電流に設定するように出力電流設定部5に入力する。本実施の形態では2セルの場合だが、直列接続する電池のセル数が変わっても、一次電池か二次電池を判断する所定の電圧は、アルカリ乾電池の一次電池はかなり消耗していない限り1.5V以上の電圧があり、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の二次電池は満充電でも1.45V以下であることから、1セルあたり1.5Vにすると好適である。出力電流制御部6はDC−DCコンバータ3と出力部7と直列に接続されDC−DCコンバータ3から出力部7への電流が出力電流設定部5で設定された第一の電流または第二の電流になるように制御する。本実施の形態では例えば第一の電流を0.25A、第二の電流を0.5Aに設定すればよい。
【0011】
出力電流設定部5は一度電圧検出部4からの入力により設定された出力電流値を維持する電流設定維持手段が設けられ、一度設定された出力電流値は出力電流設定部の回路が動作する電圧が供給されている限り電池接続部2の電池電圧が低下し電圧検出部4からの入力が変化しても維持される。
【0012】
また、出力電流検出部8は出力部7と直列に接続され、出力部7から携帯電子機器10内のリチウムイオン電池11への電流を検出し、その検出した電流値を出力電流制御部6へ入力する。出力電流制御部6では、出力電流検出部8で検出した電流値が出力電流設定部5で設定された第一の電流値または第二の電流値を超えないように制御される。
【0013】
また、表示部9は出力電流設定部5で設定された電流値が第一の電流のときはLEDなどの表示手段をゆっくり点滅し、また第二の電流のときは早く点滅するなど違う表示を行っている。
【0014】
以上の本実施の形態によれば、電池接続部2に電池が接続されたときの無負荷時の電池電圧でアルカリ乾電池の一次電池かニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の二次電池かを判別し、一次電池の場合は出力電流を低く設定することで、内部抵抗の高い一次電池でもより一層の出力容量を確保することができ、また二次電池の場合は出力電流を高く設定することで、より高出力をすることができ、1つの電池式出力装置で一次電池、二次電池それぞれの特性に見合った電池式出力装置を実現することができる。
【0015】
また、出力電流検出部8で携帯電子機器10内のリチウムイオン電池11に流れる電流を検出し出力電流制御部6に入力することで、出力電流制御部6は出力電流設定部5で設定された出力電流値を超えないように制御するので、電池電圧や負荷状態が変化しても安定した出力電流を得ることができる。
【0016】
また、一次電池の場合の第一の電流であるか二次電池の場合の第二の電流かを表示するので、使用者にどちらの状態で出力しているかを認識させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の携帯電子機器用の電池式出力装置は、接続された電池が一次電池か二次電池かによって、それぞれの電池に合った出力電流に自動で設定することができ、1つの電池式出力装置で一次電池と二次電池のそれぞれの特性に応じ効果的に充電することができるため携帯電子機器用の電池式出力装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における電池2セルの場合の携帯電子機器用の電池式出力装置のブロック図
【図2】従来の携帯電子機器用の電池式出力装置のブロック図
【符号の説明】
【0019】
1 電池式出力装置
2 電池接続部
3 DC−DCコンバータ
4 電圧検出部
5 出力電流設定部
6 出力電流制御部
7 携帯電子機器接続部
8 出力電流検出部
9 表示部
10 携帯電子機器
11 リチウムイオン電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器への電池式出力装置であって、電池を接続する電池接続部と、
出力電流を制御する出力電流制御部と、
所定の電圧を検知する電圧検出部と、
前記電圧検出部の出力により出力電流を設定しかつ維持することができる出力電流設定部と、
出力を携帯電子機器に接続できる出力部とを備え、
電池を電池接続部に接続したときの電池の電圧が所定の電圧よりも高い場合は第一の電流を出力するように出力電流設定部で設定し、電池を電池接続部に接続したときの電池の電圧が所定の電圧よりも低い場合は、第一の電流よりも高い第二の電流を出力するように出力電流設定部で設定することを特徴とする携帯電子機器用の電池式出力装置。
【請求項2】
携帯電子機器への出力電流値を検出する出力電流検出部を設け、出力電流制御部は出力電流検出部の信号により出力電流設定部で設定された出力電流値を一定に保つことを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器用の電池式出力装置。
【請求項3】
出力電流設定部での出力電流の設定が第一の電流か第二の電流かにより違う表示をする表示部を設けたことを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器用の電池式出力装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−220115(P2008−220115A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57005(P2007−57005)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】