説明

携帯電子機器

【課題】キートップの押下操作に伴ってキースイッチに対する防水効果や防塵効果が軽減することを抑制することができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】開口部13aが形成された筐体2と、開口部13aに対向して筐体2の内部に配置されるキースイッチ51と、開口部13aを介して外面が筐体2の外部に露出される第1の状態と前記外面への押下操作に応じて第1状態に比して筐体2の内部側に挿入されてキースイッチ51を押下する第2の状態との間を移動可能に構成されるキートップ41と、キートップ41の前記外面とは反対側の面に配置される支持部材42と、支持部材42に対向して筐体2の内部に配置されるベース部材60と、支持部材42とベース部材60とに挟持されて配置される弾性部材43と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機として、キー孔が形成された筐体と、キー孔に対向して筐体の内部に配置されるキースイッチと、キー孔を介して外面が筐体の外部に露出し且つ筐体の内部側に挿入されてキースイッチを押下するキートップと、キートップの内面側を支持するキーシートと、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。キーシートは、例えば、シリコンゴムの射出成形品からなり、筐体のキー孔の閉塞なども目的として設けられる。
【0003】
また、従来においては、図7に示すように、キートップ141とキースイッチ151との間隔を確保するために、キー構造部140におけるキースイッチ151側の周縁部には、キースイッチ151側に突出するリブ143が設けられることがある。図7は、従来の携帯電子機器の筐体におけるフロントケース121と主回路基板170との間を、筐体の厚み方向に切断して示す部分断面図である。
【0004】
具体的には、図7に示すように、主回路基板170には、平板部(ベース部材)161及び平板部161から略垂直に形成されるリブ162を備える導電性のシールドケース160が配置される。シールドケース160の平板部161と主回路基板170との間隔は、リブ162により確保される。シールドケース160の平板部161における主回路基板170とは反対側の面には、キースイッチ151を有するキー基板150が配置される。キー基板150におけるシールドケース160とは反対側には、キー構造部140が配置される。
【0005】
キー構造部140は、天肉部(支持部材)142及び天肉部142からシールドケース160の平板部161側に突出する弾性変形可能なリブ(弾性部材)143を備える。天肉部142とリブ143とは、防水や防塵の点や製造の容易さ等の点から、例えば、シリコンゴム等の射出成形により一体的に形成される。天肉部142は、キー基板150のキースイッチ151と対向する。天肉部142におけるリブ143とは反対側には、筐体のフロントケース121が配置される。天肉部142におけるリブ143とは反対側には、キースイッチ151と対応する位置に、キートップ141が取り付けられる。キートップ141は、フロントケース121のキー孔113aを介してフロントケース121の外部に露出する。リブ143の底面は、シールドケース160の平板部161に当接する。キー構造部140にこのような弾性変形可能なリブ143を設けることで、キー構造部140とシールドケース160との間に、キー基板150を略封鎖する空間を形成し、水分や埃に対する耐性が低いキースイッチ151に対して防水や防塵を図ることができる。この防水や防塵には、キー構造部140とシールドケース160との確実な当接が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−8708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような従来の構造では、前記防水や防塵が図られないことがあった。詳述すると、ユーザの操作によりキートップが押下されると、それに伴って支持部材が押圧される。その結果、支持部材が撓み、弾性部材は、撓んだ支持部材に引っ張られる。そのため、弾性部材とベース部材とが離れ、弾性部材とベース部材との間に隙間ができやすくなる。
【0008】
このようにして、弾性部材とベース部材との間に隙間ができると、水分や埃が弾性部材とベース部材との隙間から侵入するおそれがあり、防水効果や防塵効果が軽減するおそれがある。
前述の問題点は、携帯電話機以外の携帯電子機器においても同様に発生する場合がある。
【0009】
従って、本発明は、キートップの押下操作に伴う防水効果や防塵効果の軽減を抑制することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、開口部が形成された筐体と、前記開口部に対向して前記筐体の内部に配置されるキースイッチと、前記開口部を介して外面が前記筐体の外部に露出される第1の状態と前記外面への押下操作に応じて前記第1の状態に比して前記筐体の内部側に挿入されて前記キースイッチを押下する第2の状態との間を移動可能に構成されるキートップと、前記キートップの前記外面とは反対側の面に配置される支持部材と、前記支持部材に対向して前記筐体の内部に配置されるベース部材と、前記支持部材と前記ベース部材とに挟持されて配置される弾性部材と、を有することを特徴とする携帯電子機器に関する。
【0011】
また、前記支持部材は、光透過性の材料からなり、前記弾性部材は、光不透過性又は光難透過性の材料からなることが好ましい。
【0012】
また、前記支持部材の弾性係数は、前記弾性部材の弾性係数よりも大きいことが好ましい。
【0013】
また、前記ベース部材は、導電性を有すると共に、基準電位に電気的に接続されており、前記弾性部材は、導電性を有することが好ましい。
【0014】
また、前記支持部材は、該支持部材とは別体の固定手段又は該支持部材の一部からなる固定手段を介して前記筐体の内面に固定され、前記弾性部材は、前記固定手段に対応する位置において前記支持部材と前記ベース部材とに挟持されて配置されることが好ましい。
【0015】
また、前記キートップは、それぞれ離間して複数配置され、前記開口部は、複数の前記キートップに対応してそれぞれ離間して、前記筐体に複数設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キートップの押下操作に伴う防水効果や防塵効果の軽減を抑制することができる携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機1を開状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の携帯電話機1を閉状態で示す斜視図である。
【図3】操作部側筐体2に内蔵される部品を示す分解斜視図である。
【図4】キー構造部40の分解斜視図である。
【図5】操作部側筐体2におけるフロントケース21と主回路基板70との間を、操作部側筐体2の厚み方向に切断して示す部分断面図である。
【図6】図5に示す第1状態からキートップ41を押下した第2状態を示す図である。
【図7】従来の携帯電子機器の筐体におけるフロントケース121と主回路基板170との間を、筐体の厚み方向に切断して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の基本構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の携帯電話機1を開状態で示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態の携帯電話機1を閉状態で示す斜視図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、折り畳み型の携帯電話機1であって、略直方体形状の操作部側筐体2と、略直方体形状の表示部側筐体3と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部4と、を備える。
【0020】
操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して開閉可能に連結される。つまり、連結部4は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とを開閉軸を中心に開閉可能に連結する。携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とが相対的に回転(回動)されることにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態、図1参照)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態、図2参照)に変形される。
【0021】
まず、操作部側筐体2について説明する。操作部側筐体2は、外郭を形成するフロントケース21及びリアケース22を備える。フロントケース21は、操作部側筐体2の前面2a側を構成する。操作部側筐体2の前面2aは、携帯電話機1が折り畳まれた状態で表示部側筐体3と向かい合う面である。リアケース22は、操作部側筐体2における前面2aと反対側の面である背面2b側を構成する。
【0022】
フロントケース21は、操作キー群11が前面2aに露出するように構成される。操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、を有する。
【0023】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーがユーザにより押下操作されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0024】
操作部側筐体2の前面2aには、携帯電話機1のユーザが通話時に発した音声が入力される音声入力部12が配置される。音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4とは反対側の端部(下端部)の近傍に配置される。
【0025】
操作部側筐体2の側面には、例えば、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェースや、ヘッドホン/マイク端子、着脱可能な外部メモリのインターフェースや、バッテリを充電するための充電端子などが設けられる。
【0026】
次に、表示部側筐体3について説明する。図1及び図2に示すように、表示部側筐体3は、外郭を形成するフロントケース30a、カバー部材33及びリアケース30bを備える。フロントケース30a及びカバー部材33は、表示部側筐体3の前面3a側を構成する。表示部側筐体3の前面3aは、携帯電話機1が折り畳まれた状態で操作部側筐体2と向かい合う面である。リアケース30bは、表示部側筐体3における前面3aと反対側の面である背面3b側を構成する。
【0027】
表示部側筐体3の内部には、各種情報を表示させるメイン液晶モジュール34が配置されている。メイン液晶モジュール34の一方の面には、メイン表示部34aが設けられる。メイン表示部34aは、全部又は一部が透明なカバー部材33を介して、表示部側筐体3の前面3a側から視認可能となっている。
【0028】
また、フロントケース30aには、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31が配置される。音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の端部側に配置される。
【0029】
表示部側筐体3のリアケース30b側には、各種情報を表示させるサブ液晶モジュール36が配置される。サブ液晶モジュール36における一方の面には、サブ表示部36aが設けられる。サブ表示部36aは、リアケース30bの透明部分を介して、表示部側筐体3の背面3b側から視認可能となっている。
【0030】
メイン液晶モジュール34及びサブ液晶モジュール36それぞれは、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する駆動回路と、液晶パネルの背面側から光を照射するバックライトとを有する。
【0031】
続けて、図3及び図4を参照しながら、操作部側筐体2の内部構造について説明する。図3は、操作部側筐体2に内蔵される部品を示す分解斜視図である。図4は、キー構造部40の分解斜視図である。
【0032】
図3に示すように、フロントケース21とリアケース22とは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース21とリアケース22との間には、キー構造部40と、キー基板50と、ベース部材としてのシールドケース60と、主回路基板70とが挟まれるようにして内蔵される。
【0033】
フロントケース21には、携帯電話機1の閉状態において表示部側筐体3のメイン表示部34aと対向する内側面に、開口部としてのキー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15を構成する決定操作キー部材15bの押圧面が露出する。機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b及び決定操作キー部材15bを「キートップ41」ともいう(詳細は後述)。露出した機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b及び決定操作キー部材15bの押圧面を押下することで、キー孔13a、14a、15aに対向して操作部側筐体2の内部に配置されるキースイッチ51、52、53それぞれに設けられる後述のメタルドームの頂点が押圧されて、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0034】
キー基板50は、複数の絶縁層(絶縁フィルム)の間に配線を挟み込んで形成されるフレキシブル基板である。キー基板50は、シールドケース60における後述する平板部61に載置される。キー基板50は、機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15にそれぞれ対応してキー構造部40側に形成される複数のキースイッチ51、52、53を備える。キースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して、電気的に導通するように構成される。
キー基板50の詳細については後述する。
【0035】
キー構造部40は、キー基板50に対向して配置される。図4に示すように、キー構造部40は、操作キー群11の押圧面を有するキートップ41と、支持部材としての支持シート42と、弾性部材43と、を有する。
【0036】
図3に示すように、キー構造部40における操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、キー基板50におけるキースイッチ51、52、53と対向する位置に配置されると共に、フロントケース21に形成されるキー孔13a、14a、15aから露出するように配置される。
キー構造部40の詳細については後述する。
【0037】
シールドケース60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する導電性の部材である。シールドケース60は、キー基板50の載置面となる平板部(ベース部材)61と、平板部61における開口側の面に略垂直に形成されるリブ62と、を備える。リブ62は、主回路基板70に実装される各種電子部品のうち最も高い電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるように形成される。リブ62は、平板部61の周縁及び内側に、主回路基板70における基準電位部を構成する基準電位パターン層75に対応するように形成される。具体的には、リブ62は、シールドケース60が主回路基板70に載置された状態で、基準電位パターン層75上に配置されるように形成される。
【0038】
シールドケース60は、リブ62の底面が基準電位パターン層75に当接されることで、基準電位パターン層75と電気的に接続される。シールドケース60は、基準電位パターン層75と電気的に導通して基準電位パターン層75と同じ大きさの電位を有するようになる。
【0039】
シールドケース60は、外部からの高周波等のノイズが主回路基板70に配置される各種電子部品に作用するのを抑制すると共に、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等から放出されるノイズを遮蔽して、他の電子部品やアンテナに接続される受信回路等に作用することを抑制する。具体的には、シールドケース60におけるリブ62の底面が基準電位パターン層75上に配置されることで、各回路は、リブ62により囲われると共に平板部61の一部により覆われる。リブ62は、各回路における隔壁として機能し、平板部61の一部と共に各回路をシールドする。
なお、シールドケース60は、その全体を金属から構成することができる他、その骨格を樹脂から形成し、この骨格の表面に導体膜を形成して構成することもできる。
【0040】
主回路基板70には、不図示の各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、主回路基板70には、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0041】
主回路基板70におけるシールドケース60側の第1面70aには、上述の各種電子部品の他、基準電位部を構成する基準電位パターン層75が形成される。基準電位パターン層75は、上述の各回路ブロックを区画するように形成される。基準電位パターン層75は、主回路基板70の第1面70aの表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。
【0042】
リアケース22の一端側には、取り外し可能なバッテリリッド23が設けられる。バッテリリッド23は、バッテリQをリアケース22の外側から収納した後、リアケース22に装着される。また、リアケース22における一端側には、ユーザの音声を入力する音声入力部12のマイク(図示せず)が収容される。
【0043】
次に、図3から図6を参照しながら、操作部側筐体2の内部構造のうちキー構造部40及びキー基板50に関する構成を中心に、更に詳述する。図5は、操作部側筐体2におけるフロントケース21と主回路基板70との間を、操作部側筐体2の厚み方向に切断して示す部分断面図である。図6は、図5に示す第1状態からキートップ41を押下した第2状態を示す図である。
図3から図6に示すように、キー基板50のキースイッチ51,52,53は、それぞれ、フロントケース21に形成されるキー孔13a、14a、15aに対向して、操作部側筐体2の内部に配置される。
【0044】
なお、図5及び図6には、主として、機能設定操作キー13に対応するキー孔13a、キートップ41(機能設定操作キー部材13b)及びキースイッチ51について示している。以下においては、機能設定操作キー13に対応するキー孔13a、キートップ41及びキースイッチ51を中心に説明する。キー孔13a、キートップ41及びキースイッチ51に関する説明は、入力操作キー14に対応するキー孔14a、キートップ41及びキースイッチ52、並びに決定操作キー15に対応するキー孔15a、キートップ41及びキースイッチ53にも援用される。
【0045】
図5及び図6に示すように、キー基板50は、シールドケース60の平板部61におけるリブ62とは反対側の面に配置される。キー基板50におけるキースイッチ51のメタルドームの頂点には、キースイッチ51の厚み方向に突出する押し子51aが形成される。押し子51aは、キートップ41が押下されていない状態におけるキー構造部40の支持シート42に当接し、キートップ41の押下を確実にキースイッチ51に伝達させるために設けられる。
キースイッチ51のメタルドームの近傍には、LED54が配置される。このLED54は、例えば、キースイッチ51によりキートップ41の押下が検出されると、発光するように構成される。
【0046】
図4から図6に示すように、キー構造部40は、キー構造部40とシールドケース60の平板部61との間にキー基板50が配置されるように、操作部側筐体2の内部に配置される。キー構造部40は、前述したように、キートップ41と、支持シート42と、弾性部材43とを有する。
【0047】
支持シート42は、キー構造部40の面方向の大きさと同じ大きさを有する矩形のシートからなる。支持シート42は、表裏面が平滑で厚みが均一な直平面状に延びるシートからなる。支持シート42の一面は、操作部側筐体2の前面2a側を向いており、キートップ41の外面とは反対側の面に配置される。支持シート42は、支持シート42とは別体の固定手段としての両面テープ44を介して、操作部側筐体2の内面に固定されている。支持シート42の他面は、シールドケース60の平板部61側を向いている。従って、シールドケース60は、支持シート42に対向することになる。
【0048】
支持シート42は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)から形成される。支持シート42の弾性係数は、弾性部材43の弾性係数よりも大きいことが好ましい。支持シート42をPETから形成することで、弾性部材43よりも弾性係数が大きい支持シート42を容易に得ることができる。
支持シート42は、光透過性の材料から形成することができる。これにより、例えば、LED54から発光した光を、支持シート42を介してキートップ41の内面側に照射することができる。
【0049】
キートップ41は、支持シート42の一面に接着剤により接合されている。キートップ41は、それぞれ離間して複数配置される。キートップ41は、例えば、ポリカーボネートから形成される。
【0050】
フロントケース21において、キー孔13a、14a、15aは、複数のキートップ41に対応してそれぞれ離間して(独立して)、フロントケース21に複数設けられる。従って、隣接する各キー孔13a、14a、15aの間には、フロントケース21における操作部側筐体2の前面2a側を形成する部分が存在している。
【0051】
キー構造部40において、キートップ41は、図5に示す第1の状態と図6に示す第2の状態との間を移動可能に構成される。第1の状態は、図5に示すように、キー孔13aを介してキートップ41の外面が操作部側筐体2の外部に露出される状態であり、キートップ41が操作部側筐体2の内部側に押下されていない状態である。第2の状態は、図6に示すように、キートップ41の外面への押下操作に応じて、第1状態に比してキートップ41が操作部側筐体2の内部側に挿入されてキースイッチ51を押下する状態である。
【0052】
図4から図6に示すように、弾性部材43は、支持シート42とシールドケース60とに挟持されて配置される。弾性部材43は、外枠部43aと、縦横桟部43bとを備える。外枠部43aは、支持シート42の周縁部と略同一の矩形枠状の部位である。外枠部43aは、支持シート42とシールドケース60の平板部61とに挟持されて配置され、支持シート42とシールドケース60との間のスペーサ部材として機能する。フロントケース21、両面テープ44、支持シート42、外枠部43a及びシールドケース60の平板部61は、外枠部43aが配置される位置において積層しているので、外枠部43aは、両面テープ44に対応する位置において支持シート42と平板部61とに挟持されているともいえる。
【0053】
縦横桟部43bは、キースイッチ51,52,53が配置されない位置を中心に、外枠部43aの内側に縦横に延びるように設けられる。縦横桟部43bは、弾性部材43の形状を維持すること等を目的として設けられる。
【0054】
弾性部材43は、光不透過性又は光難透過性の材料から形成することができる。光不透過性又は光難透過性とするには、例えば、弾性部材43を黒などの濃色に着色すればよい。弾性部材43は、例えば、シリコンゴム、各種エラストマー材料から形成される。また、弾性部材43には、導電性を備えさせることができる。導電性を備えさせるには、例えば、シリコンゴム、各種エラストマー材料等に、カーボン粉、金属粉などを混入させればよい。一方、弾性部材43を光透過性の材料から形成することもできる。光透過性とするには、例えば、弾性部材43を白や半透明の材料から形成すればよい。これにより、弾性部材43を介して、LED54から発光された光を拡散させることができる。
【0055】
本実施形態の携帯電話機1によれば、以下に示す各効果が奏される。
本実施形態の携帯電話機1においては、キートップ41の外面とは反対側の面に配置される支持シート42と、支持シート42に対向して操作部側筐体2の内部に配置されるシールドケース60と、支持シート42とシールドケース60とに挟持されて配置される弾性部材43と、を備える。
【0056】
このように、キー構造部40において、キートップ41を支持する部材(支持シート42)と、支持シート42とシールドケース60との間隔を確保する部材(弾性部材43)とを別体から構成しているため、キートップ41が押下され、支持シート42が撓んだとしても、弾性部材43の底面とシールドケース160の平板部161とが離れにくい。従って、キー構造部140とシールドケース160との間に隙間ができにくく、両者の当接を確保しやすい。
【0057】
キー構造部40とシールドケース60との当接が確保できると、例えば、水分や埃が、キー構造部40とシールドケース60との隙間からキー基板50に付着することが抑制され、キースイッチ51において電気的な不良が発生しにくくなる。その結果、キートップ41の押下操作に伴ってキースイッチ51に対する防水効果や防塵効果が軽減することを抑制することができる。
なお、キートップ41が押下されると、支持シート42と弾性部材43との間に若干の隙間が空きそうになるが、その程度は小さい。
【0058】
また、支持シート42と弾性部材43とが別体から構成されるため、支持シート42の弾性係数、弾性部材43の弾性係数などをそれぞれ独立して設定することができる。そのため、キートップ41のクリック感を所望の程度に設定することが容易である。
【0059】
また、本実施形態においては、支持シート42が光透過性の材料から形成されると共に、弾性部材43が光不透過性又は光難透過性の材料から形成される。そのため、例えば、キースイッチ51によりキートップ41の押下が検出され、キースイッチ51の近傍に設けたLED54が発光すると、LED54から操作部側筐体2の厚み方向に発光した光は、光透過性の材料からなる支持シート42を透過して、キートップ41や操作部側筐体2の外部へ向けて照射される。そのため、キートップ41の周辺のイルミネーション効果が向上する。
【0060】
また、LED54からキー基板50の面方向に発光した光は、光不透過性又は光難透過性の材料からなる弾性部材43により遮蔽される。そのため、LED54からキー基板50の面方向に発光した光が、意図しない箇所(例えば、フロントケース21とリアケース22との合わせ部)に照射することを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態においては、支持シート42の弾性係数は、弾性部材43の弾性係数よりも大きい。弾性係数の小さい弾性部材43により、弾性部材43におけるスペーサ部材としての機能を確保しつつ、弾性係数の大きい支持シート42により、キートップ41のクリック感を確保することができる。また、弾性係数の大きい支持シート42により、支持シート42の厚さを薄くすることも容易であるため、操作部側筐体2の全体の薄型化を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態においては、シールドケース60は、導電性を有し、基準電位パターン層75に電気的に接続されていると共に、弾性部材43は、導電性を有している。そのため、例えば、図5に示すように、キートップ41(機能設定操作キー部材13b)とキー孔13aとの隙間から、キー構造部40とシールドケース60とで形成される空間に侵入した静電気SE(破線矢印で示す)は、導電性を有する弾性部材43及びシールドケース60を介して、主回路基板70の基準電位パターン層75に伝搬する。従って、キートップ41の周辺の静電気を、より確実に除去することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、支持シート42は、両面テープ44を介して操作部側筐体2(フロントケース21)の内面に固定され、また、弾性部材43は、両面テープ44に対応する位置において、支持シート42とシールドケース60の平板部61とに挟持されて配置されている。そのため、キートップ41の押下操作が行われても、支持シート42は、操作部側筐体2の内面に強固に固定され、この内面から離れにくい。
【0064】
また、本実施形態においては、キートップ41は、それぞれ離間して複数配置され、また、キー孔13a,14a,15aは、キートップ41に対応してそれぞれ離間して、操作部側筐体2に複数設けられている。そのため、例えば、キートップ41の厚みを操作部側筐体2のフロントケース21の肉厚と略同一にすることで、操作部側筐体2の前面2a(フロントケース21の外面)とキートップ41の外面(押圧面)との段差を解消して、ほぼ面一(つらいち)とすることができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、支持部材は、厚みが不均一な部材から形成することができる。固定手段は、両面テープ44に制限されず、他の固定手段でもよい。固定手段は、支持部材と別体の手段に制限されず、支持部材の一部から構成されるものでよい。例えば、フロントケース21の係合凹部を設け、この係合凹部に支持シート42の縁部を挿入することで、操作部側筐体2への支持シート42の固定を実現することができる。
また、ベース部材は、シールドケース60以外から構成することができる。また、シールドケース60は、必ずしも導電性を有していなくてもよく、また、基準電位に電気的に接続されていなくともよい。また、支持部材は、必ずしも光透過性の材料でなくてもよく、また、弾性部材は、必ずしも光不透過性又は光難透過性の材料でなくてもよい。
【0066】
また、本発明の携帯電子機器は、前記実施形態のような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式の携帯電子機器であってもよい。また、本発明の携帯電子機器は、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(リボルバ)の携帯電子機器であってもよい。
【0067】
本発明は、携帯電話機以外の携帯電子機器に適用することができる。携帯電話機以外の携帯電子機器としては、例えば、PHS(登録商標:Personal Handy phone System)、ポータブルゲーム機、ポータブルナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコン、操作部を備えるELディスプレイ又は液晶ディスプレイが挙げられる。
【符号の説明】
【0068】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
2 操作部側筐体(筐体)
13a,14a,15a キー孔(開口部)
41 キートップ
42 支持シート(支持部材)
43 弾性部材
44 両面テープ(固定手段)
51,52,53 キースイッチ
60 シールドケース(ベース部材)
75 基準電位パターン層(基準電位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された筐体と、
前記開口部に対向して前記筐体の内部に配置されるキースイッチと、
前記開口部を介して外面が前記筐体の外部に露出される第1の状態と前記外面への押下操作に応じて前記第1の状態に比して前記筐体の内部側に挿入されて前記キースイッチを押下する第2の状態との間を移動可能に構成されるキートップと、
前記キートップの前記外面とは反対側の面に配置される支持部材と、
前記支持部材に対向して前記筐体の内部に配置されるベース部材と、
前記支持部材と前記ベース部材とに挟持されて配置される弾性部材と、を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記支持部材は、光透過性の材料からなり、
前記弾性部材は、光不透過性又は光難透過性の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記支持部材の弾性係数は、前記弾性部材の弾性係数よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記ベース部材は、導電性を有すると共に、基準電位に電気的に接続されており、
前記弾性部材は、導電性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記支持部材は、該支持部材とは別体の固定手段又は該支持部材の一部からなる固定手段を介して前記筐体の内面に固定され、
前記弾性部材は、前記固定手段に対応する位置において前記支持部材と前記ベース部材とに挟持されて配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記キートップは、それぞれ離間して複数配置され、
前記開口部は、複数の前記キートップに対応してそれぞれ離間して、前記筐体に複数設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−232800(P2010−232800A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76017(P2009−76017)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】