説明

携帯電子機器

【課題】ユーザが電話の着信を認識が遅れず、かつ、ユーザの耳を保護することが可能な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、第1筐体2と、第1筐体2に配設される超音波発生部20と、超音波発生部20から出射された超音波が対象物18に当たって反射した反射波を検出して対象物との位置を検出可能な超音波距離センサ16と、着信音を出力するスピーカ12と、制御部57と、を有し、制御部57は、着信があった場合に、超音波発生部20に超音波を発生し、超音波距離センサ16での検出値によって対象物18が一定の距離以上であると判断したときに、着信音を設定音量で出力し、超音波距離センサ16での検出値によって対象物18が一定の距離以内であると判断した場合に、着信音を設定音量よりも小さい音量で出力し、その後、徐々に設定音量まで着信音の音量を上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を発生可能な携帯電話機、PDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着信報知音の発音態様を経時的に変化させる携帯電子機器が記載されている。
【0003】
このように、スピーカの音量を徐々に上げてゆくのは、スピーカにユーザが耳を寄せている場合に、最初から大音量で着信音を出力するとユーザの耳に負担がかかる恐れがあるからである。
【0004】
また、特許文献2には、聴取者に対し、大きい音圧を有する音声を出力することができる超指向性スピーカ及びスピーカの駆動方法が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、電子機器に体の一部を当てているか否かを検出する電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004―146934号公報
【特許文献2】特開平11―164384号公報
【特許文献3】特開2006―50505+号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、着信音が最初は小さいことから、ユーザが電話の着信を認識するのが遅れる可能性があるという不利益がある。
【0008】
本発明の目的は、ユーザが電話の着信を認識が遅れず、かつ、ユーザの耳を保護することが可能な携帯電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯電子機器は、筐体と、筐体に配設される超音波発生部と、前記超音波発生部から出射された超音波が対象物で反射した反射波を検出して対象物との位置を検出可能な超音波距離センサと、着信音を出力する音出力部と、制御部と、を有し、前記制御部は、着信があった場合に、超音波発生部に超音波を発生し、前記超音波距離センサでの検出値によって対象物が一定の距離以上であると判断したときに、着信音を設定音量で出力し、前記超音波距離センサでの検出値によって対象物が一定の距離以内であると判断した場合に、着信音を設定音量よりも小さい音量で出力し、その後、徐々に設定音量まで着信音の音量を上げる。
【0010】
好適には、着信音を出力する前記音出力部は前記超音波発生部を兼ねる。
【0011】
好適には、前記制御部は、前記超音波距離センサによって検出される対象物の位置が近接するに従い着信音の音量を徐々に小さくする。
【0012】
好適には、前記制御部は、前記超音波距離センサによって検出される対象物の位置が一定以内に近接すると、自動的に通話状態とする。
【0013】
好適には、加速度センサを有し、前記加速度センサの検出した加速度に応じて、前記超音波距離センサのゲインを変化させる。
【0014】
好適には、前記超音波距離センサは、前記超音波発生部から出射された超音波のうち対象物に当たって反射し前記超音波距離センサに入射した第1の超音波の周波数と、対象物に当たらずに直接前記超音波距離センサに入射した第2の超音派の周波数との差分に応じて、前記超音波距離センサのゲインを変化させる。
【0015】
好適には、前記超音波発生部を2つ以上備え、それぞれの前記超音波発生部は、それぞれ異なる超音波の周波数に同じ着信音を重畳させて出射する。
【0016】
好適には、前記超音波発生部を2つ備え、第1の超音波発生部は第1の超音波を発生し、第2の超音波発生部は第2の超音波を発生し、前記第1の超音波と前記第2の超音波とは、前記それぞれの超音波の干渉によって、うなり音を発生させる。
【0017】
好適には、照度センサを有し、前記制御部は、前記照度センサの出力が所定値よりも小さい場合には、前記超音波距離センサ及び前記超音波発生部を作動させない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、ユーザが電話の着信を認識が遅れず、かつ、ユーザの耳を保護することが可能な携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機1の信号処理系を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の処理のフローチャートである。
【図4】第1の変形例のフローチャートである。
【図5】第2の変形例の信号処理系を示すブロック図である。
【図6】第6の変形例の信号処理系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を示す斜視図である。
【0021】
携帯電話機1は、折り畳み式として構成されている。
【0022】
携帯電話機1は第1筐体2及び第2筐体3とで構成されている。
【0023】
第1筐体2は、第2筐体3と対向する部分を構成する第1筐体フロントケース4と、第2筐体3とは反対側部分を構成する第1筐体リアケース5とを有している。
【0024】
第2筐体3は、第1筐体2と対向する部分を構成する第2筐体フロントケース6と、第1筐体2とは反対側部分を構成する第2筐体リアケース7とを有している。
【0025】
第1筐体フロントケース4及び第1筐体リアケース5はネジ等により互いに固定され、第1筐体フロントケース4及び第1筐体リアケース5の間に形成された空間に種々の電子部材を収容する収容空間を構成する。
【0026】
第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7もネジ等により互いに固定され、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7の間に形成された空間に種々の電子部材を収容する収容空間を構成する。
【0027】
これらの第1筐体フロントケース4、第1筐体リアケース5、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7は、例えば、樹脂により形成されている。
【0028】
なお、方向を示すときは、第1筐体リアケース5から第1筐体フロントケース4に向かう方向を表面方向(図1においては、紙面手前の方向)といい、第1筐体フロントケース4から第1筐体リアケース5に向かう方向を裏面方向(図1においては、紙面奥手の方向)という。
【0029】
同様に第2筐体リアケース7から第2筐体フロントケース6に向かう方向を表面方向(図1においては、紙面手前の方向)といい、第2筐体フロントケース6から第2筐体リアケース7に向かう方向を裏面方向(図1においては、紙面奥手の方向)という。
【0030】
また、第1筐体2においてヒンジ部9に向かう方向をヒンジ部方向(図1の第1筐体2においては、紙面下の方向)といい、その逆をヒンジ部反対方向(図1の第1筐体2においては、紙面上方向)という。
【0031】
同様に、第2筐体3においても、ヒンジ部9に向かう方向をヒンジ部方向(図1の第2筐体3においては、紙面上の方向)といい、その逆をヒンジ部反対方向(図1の第2筐体3においては、紙面下の方向)という。
【0032】
さらに、図1のように第1筐体2を上にし、第2筐体3を下にした状態とした時に、右側に来る側面を右側面とし、左側に来る側面を左側面という。
【0033】
そして、右側面側に向かう方向を右側面方向(図1においては、紙面右の方向)といい、左側面に向かう方向を左側面方向(図1においては、紙面左の方向)という。
【0034】
図1のように、第1筐体フロントケース4には表示部8が配置されている。
【0035】
この表示部8は、携帯電話機1の状態、ユーザの操作内容、発信先電話番号、電子メールの内容の表示、ゲーム画面等の様々な情報を表示するためのものである。
【0036】
また、表示部8はLCD(液晶ディスプレイ)、OLED(Organic light-emitting diode:有機EL)等によって構成されている。
【0037】
また、図1のように、第2筐体フロントケース6の表面方向には、入力部10が配置されている。この入力部10をユーザが操作することによって、携帯電話機1に命令の入力、文字の入力等がなされる。
【0038】
第1筐体2の連結部反対方向の位置には、超音波距離センサ16及び超音波発生部20が配置されている。
【0039】
超音波発生部20は、超音波を発生可能して表面方向に出力する。
【0040】
この超音波は対象物があると反射する。この反射波を超音波距離センサ16は検出する。そして、超音波距離センサ16は、超音波発生部20が発生した時点と、反射を超音波距離センサ16が検出した時点との時間の経過によって、対象物との距離を検出している。
【0041】
このようにしたことによって、ユーザの頭が一定の距離以内にあるのかそれとも、一定の距離以上の距離を有しているのかを判定することができる。
【0042】
そして、ユーザの頭が一定距離よりも近い場合には、着信音を設定された音量よりも小さい音量から出力し始め、徐々に音量を上げてゆき、最終的に設定された音量によって通知する。
【0043】
他方、ユーザの頭が一定距離よりも遠い場合には、ユーザの耳に負担をかける恐れはないのであるから、当初から設定された音量によって着信を通知することができる。
【0044】
そして、それによって、ユーザは即座に着信を認知することができる。
【0045】
なお、超音波とは通常人間が聴取することができない周波数の音であり、20,000Hz以上の音をいう。
【0046】
たとえば、超音波発生部20は、28kHz、40kHz及び60kHzの超音波を発生可能である。
【0047】
なお、超音波距離センサ16は、超音波発生部20が発生した時点と、反射を超音波距離センサ16が検出した時点との時間の経過によって距離を検出する以外によって距離を検出する方法を用いてもよい。
【0048】
たとえば、超音波発生部20が発生した超音波が対象物18に当たらずに直接超音波距離センサ16に伝達されこれを検出した時間と、超音波が対象物に18に当たって反射した反射波を検出した時間と、の差分を用いて対象物18との距離を検出することも可能である。
【0049】
図2は、図1の携帯電話機1の信号処理系を示すブロック図である。
【0050】
図2に示されるように、携帯電話機1は、制御・処理の中枢である制御部57と、電源制御部50と、通信部51と、操作部52と、音声入出力部53と、表示部8と、撮像部15と、記憶部56のそれぞれが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本からなるシステムバス58に共通に接続され、構成される。
【0051】
電源制御部50は、携帯電話機1が携帯して使用されている場合には、携帯電話機1内の、表示部8及び制御部57等が実装される回路基板等への電力の供給を制御している。
【0052】
また、充電時には充電回路を制御して、バッテリへの充電開始及び停止、並びに充電の速度等を制御している。
【0053】
通信部51は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される基地局300との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、Web上のダウンロードサイトからダウンロードされるファイルのデータ、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ、等である。
【0054】
操作部52は、入力部10及びその他の部分から入力されるユーザの指示を受け付ける。
【0055】
そして、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部57に出力する。
【0056】
音声入出力部53は、スピーカ12から出力される音声信号やマイクロフォン14において入力される音声信号の入出力処理を行う。
【0057】
すなわち、音声入出力部53は、マイクロフォン14から入力された音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部57に出力する。
【0058】
また、音声入出力部53は、制御部57から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
【0059】
本実施形態においては、スピーカ12は着信音を出力する役割を特に有する。
【0060】
表示部8は、例えばLCDやOLED(Organic light-emitting diode(有機EL))を用いて構成されており、制御部57から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
【0061】
撮像部15は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子とその制御回路等により構成されるカメラである。
【0062】
記憶部56では、携帯電話機1の各種処理に利用される各種データを記憶する。
【0063】
超音波発生部20は、超音波を発生して表面方向に出力する。
【0064】
また、超音波距離センサ16は、超音波発生部20が出力した超音波が対象物18に当たって反射された反射波を検出して、超音波を出射してから反射波が戻ってくるまでの時間から対象物との距離を検出している。
【0065】
制御部57は、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する。
【0066】
すなわち、制御部57は、携帯電話機1の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb上のダウンロードサイトの閲覧など)が操作部52の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部51における信号の送受信、表示部8における画像の表示、撮像部15における撮像処理等)を制御する。
【0067】
さらに、制御部57は、記憶部56に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
【0068】
すなわち、制御部57は、記憶部56に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次受け取って処理を実行する。
【0069】
本実施形態では、制御部57は、超音波距離センサ16が検出した対象物18との距離に応じてスピーカ12が出力する着信音の音量を決定している。
【0070】
具体的には、制御部57は、超音波距離センサ16によって対象物が一定の距離以上であると判断したときに、着信音をユーザが予め設定している音量で出力する。
【0071】
他方、制御部57は、超音波距離センサ16によって対象物が一定の距離以下であると判断した場合に、着信音をユーザが予め設定している音量よりも小さい音量で出力し、その後、徐々に設定音量まで着信音の音量を上げる。
【0072】
図3は、本実施形態の処理のフローチャートである。
【0073】
ステップST01において、着信の有無を判断する。
【0074】
そして着信があった場合には、ステップST02の処理に移行する。
【0075】
他方、着信がなかった場合には、着信があるまでこのステップST01の処理を繰り返す。
【0076】
ステップST02において、超音波距離センサ16によって対象物18との距離を検出する。
【0077】
ステップST03において、超音波距離センサ16によって検出された対象物18との距離が一定以上であるか判断する。
【0078】
一定の距離以上である場合には、ステップST04の処理に移行する。
【0079】
一定の距離未満である場合には、ステップST05の処理に移行する。
【0080】
ステップST04において、着信音をユーザが設定した音量で最初から出力する。
【0081】
ステップST05において、着信音をユーザが設定した音量より小さい音量で出力し徐々に大きくしてゆく。
【0082】
以上のように構成したことから、ユーザの耳がスピーカ12のそばにあると判断される場合には、着信音を小さく鳴らすことができる。
【0083】
さらに、ユーザの耳が遠くにあると判断される場合には、スピーカ12の着信音の音量を最初から設定された着信音量である比較的大きくすることができることから、ユーザに着信の有無を直ちに認知させることができる。
【0084】
<第1の変形例>
より有利な変形例について記載する。
【0085】
以上のように、超音波距離センサ16は対象物18との距離を測定可能であるから、ユーザが着信音を聞いて、電話を取るために耳(頭)を近付けてきていることも検出可能である。
【0086】
そこで、距離に応じて着信音を徐々に小さくして、一定の距離以下になると、自動的に通話を行ことができるようにすることが好適である。
【0087】
そうすることよって、1動作で電話に出ることが可能となる。
【0088】
以下に具体例について記載する。
【0089】
図4は、第1の変形例のフローチャートである。
【0090】
図3と同一の部分については説明を省略する。
【0091】
ステップST06において、着信音を鳴らしつつ超音波距離センサ16によって対象物18との距離を検出する。
【0092】
そして、ステップST07において、検出した距離に応じて徐々に着信音の音量を下げてゆく。
【0093】
最後に、ステップST08において、検出した距離が一定以下になると自動的に通話を開始する。
【0094】
なお、この状態においては、超音波発生部20の超音波出力は必要がないので停止している。
【0095】
以上のように構成したことによって、ユーザは一つの動作で電話を受けることが可能となり、利便性が増す。
【0096】
また、電話着信時に着信ボタンを押すことは、早く出なければとの心理からボタンの押し間違えや、心理的なプレッシャーにもなっていたが、ユーザがこれらの不安から解消される。
【0097】
特に、高齢者などの携帯電話機1の操作に慣れていないユーザに効果が高い。
【0098】
<第2の変形例>
以上の実施形態では、超音波発生部20は、スピーカ12とは別の部材としてとりつけていた。
【0099】
しかし、スピーカ12に超音波発生部能を持たせて、着信音の発生に加えて超音波をも発生させる(超音波に着信音を重畳する)ことが好適である。
【0100】
図5は、第2の変形例の信号処理系を示すブロック図である。
【0101】
なお、通話しているときには、スピーカ12は超音波を停止させる。
【0102】
図5のように、スピーカ12に超音波発生機能をも有させると、部品点数が削減されるという効果がある。
【0103】
さらに、超音波に人が聞こえる着信音を重畳すると、着信音がより遠くまで聞こえるという効果もある。
【0104】
<第3の変形例>
さらに、携帯電話機1は3軸加速度センサをも備えて、この3軸加速度センサの出力に応じて前記、超音波距離センサ16のゲインを変化させることもできる。
【0105】
これによって、ユーザが移動状態(たとえば徒歩)にあるのか、それとも、静止状態にあるのかを検出することができる。
【0106】
そして、移動状態にある場合には、超音波距離センサ16のゲインを小さくして、感度を低くする。
【0107】
つまり、ユーザが移動状態にある場合には、バックの中、ポケットの中等に携帯電話機1が位置している場合が多く、携帯電話機1の近傍に何らかのものが存在する場合が多い。
【0108】
そこで、超音波距離センサ16のゲインを小さくして、多少近くに対象物18があっても、一定以上の距離があると判断させて、最初から、設定音量にて着信通知を行う。
【0109】
このように構成したことによって、移動状態時には最初から設定音量で着信を通知できることから、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0110】
<第4の変形例>
また、超音波距離センサ16に、対象物18に反射した超音波(第1の超音波)と超音波発生部20が出射した超音波が対象物18に当たらずに直接受信した超音波(第2の超音波)の周波数の差分を利用して対象物18の移動速度を割り出すことも可能である。
【0111】
つまり、ドップラー効果を利用して対象物18の速度を検出する。
【0112】
そして、この対象物18の速度に応じて、超音波距離センサ16のゲインを変化させることもできる。
【0113】
具体的には、対象物18が近付いてきている場合には、超音波距離センサ16のゲインを大きくとって、設定音量よりも小さい音から着信音が出力されるようにする。
【0114】
逆に、対象物18が遠ざかっている場合には、超音波距離センサ16のゲインを小さくとって、当初から設定音量によって着信音が出力されるようにする。
【0115】
このように構成したことによって、対象物18(ユーザの耳)が遠ざかっている場合には最初から設定音量で着信を通知できることから、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0116】
<第5の変形例>
さらに、超音波発生部20を複数備え、それぞれの超音波発生部20から異なる周波数の超音波を出力する。
【0117】
具体的には、たとえば、一つの超音波発生部20は28kHzの超音波を発生し、他の一つの超音波発生部は40kHzの超音波を発生させる。
【0118】
さらに、そのすべての超音波発生部20からは、着信音も重畳して出射(出力)する。
【0119】
このような、周波数の異なる超音波をそれぞれ発生させることによって、着信音をより遠くまで伝達することが可能となる。
【0120】
また、複数の周波数の超音波に着信音を重畳して発信するため、一定の周波数の音を聞くのが困難なユーザに対しても確実に着信音を通知することができる。
【0121】
<第6の変形例>
さらに、第1の超音波発生部12と第2の超音波発生部20を備え、第1の超音波発生部12は第1の超音波70を発生し、第2の超音波発生部20は第2の超音波80を発生し、前記第1の超音波70と前記第2の超音波80とは、前記それぞれの超音波の干渉によって、うなり音を発生させる。
【0122】
図6は、図2に準拠しているが、音波の干渉をイメージするための音波の伝播を特に詳細に記載したものである。
【0123】
具体的には、たとえば、第1の超音波発生部12は28kHzの第1の超音波70を発生し、第2の超音波発生部20は28kHz+20Hz、すなわち、28,020Hzの第2の超音波80を発生させる。それぞれの超音波は干渉して、干渉領域90において、うなり音を発生させる。前述の構成では、28,020Hz−28,000Hz=20Hzのうなり音となる。
【0124】
また、たとえば、第1の超音波発生部12は28,020Hzの第1の超音波70を発生し、第2の超音波発生部20は28,000Hzの第2の超音波80発生させる。それぞれの超音波は干渉して、干渉領域90において、うなり音を発生させる。前述の構成と同様に、28,020Hz−28,000Hz=20Hzのうなり音となる。第1の超音波と第2の超音波の周波数の高低関係は問わない。
【0125】
すなわち、2つの音の周波数の差分がうなり音の周波数となる。うなり音の周波数は、前記差分を適宜選択可能である。
【0126】
また、上記では28kHz帯での例をあげたが、超音波の周波数は40kHz帯及び60kHz帯の超音波を発生可能である。
【0127】
なお、干渉領域は超音波発生部の配置や超音波の周波数により、適宜調整可能である。
【0128】
うなり音の効果としては、うなり音は比較的周波数が低いため、空気中を伝播する際の減衰量が少なく、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0129】
また、超音波の音をユーザは感知できないが、うなり音は感知できるので、超音波の音量を大きくすれば、うなり音もそれに従って大きくなるので、音量を調整できるという効果を奏する。
【0130】
なお、対象物18で反射された超音波はそれぞれ第1の超音波の反射波71と第2の超音波の反射波81となり、それぞれの反射波は、超音波距離センサ16で検知される。
【0131】
<第7の変形例>
照度センサを筐体の側面に備えさせ、この照度センサの出力が所定値よりも小さい場合には、超音波距離センサ16及び超音波発生部20を作動させないようにすることも可能である。
【0132】
つまり、照度センサの値が一定値以下である場合には、ユーザは携帯電話機1をバックの中、服の中等に入れている場合が考えられる。
【0133】
このような場合には、超音波発生部20及び超音波距離センサ16によって、対象物18との間の距離を計測しても、極めて近距離との結果となるだけである。
【0134】
その場合には、ユーザが設定した着信音量によって着信を通知すれば足りる。
【0135】
このように構成したことによって、照度センサの値が所定値よりも小さい場合には、最初から設定音量で着信を通知できることから、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0136】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、第1筐体2と、第1筐体2に配設される超音波発生部20と、超音波発生部20から出射された超音波が対象物18で反射した反射波を検出して対象物との位置を検出可能な超音波距離センサ16とを有している。
【0137】
また、着信音を出力するスピーカ12と、制御部57と、を有している。
【0138】
そして、制御部57は、着信があった場合に、超音波発生部20に超音波を発生し、超音波距離センサ16での検出値によって対象物18が一定の距離以上であると判断したときに、着信音を設定音量で出力する。
【0139】
また、超音波距離センサ16での検出値によって対象物18が一定の距離以内であると判断した場合に、着信音を設定音量よりも小さい音量で出力し、その後、徐々に設定音量まで着信音の音量を上げる。
【0140】
このように構成したことから、ユーザの耳がスピーカ12のそばにあると判断される場合には、着信音を小さく鳴らすことができる。
【0141】
さらに、ユーザの耳が遠くにあると判断される場合には、スピーカ12の着信音の音量を最初から設定された着信音量である比較的大きくすることができることから、ユーザに着信の有無を直ちに認知させることができる。
【0142】
着信音を出力するスピーカ12は超音波発生部20を兼ねる。
【0143】
このように構成すると、スピーカ12に超音波発生機能をも有させると、部品点数が削減されるという効果がある。
【0144】
さらに、超音波に人が聞こえる着信音を重畳すると、着信音がより遠くまで聞こえるという効果もある。
【0145】
制御部57は、超音波距離センサ16によって検出される対象物18の位置が近接するに従い着信音の音量を徐々に小さくする。
【0146】
このように構成したことによって、ユーザの耳に負荷がかからないという効果がある。
【0147】
制御部57は、超音波距離センサ16によって検出される対象物18の位置が一定以内に近接すると、自動的に通話状態とする。
【0148】
このように構成したことによって、ユーザは一つの動作で電話を受けることが可能となり、利便性が増す。
【0149】
また、電話着信時に着信ボタンを押すことは、早く出なければとの心理からボタンの押し間違えや、心理的なプレッシャーにもなっていたが、ユーザがこれらの不安から解消される。
【0150】
特に、高齢者などの携帯電話機1の操作に慣れていないユーザに効果が高い。
【0151】
加速度センサを有し、加速度センサの検出した加速度に応じて、超音波距離センサ16のゲインを変化させる。
【0152】
このように構成したことによって、移動状態時には最初から設定音量で着信を通知できることから、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0153】
超音波距離センサ16は、超音波発生部20から出射された超音波のうち対象物18に当たって反射し超音波距離センサ16に入射した第1の超音波の周波数と、対象物18に当たらずに直接超音波距離センサ16に入射した第2の超音派の周波数との差分に応じて、超音波距離センサ16のゲインを変化させる。
【0154】
このように構成したことによって、対象物18(ユーザの耳)が遠ざかっている場合には最初から設定音量で着信を通知できることから、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0155】
超音波発生部20を2つ以上備え、それぞれの超音波発生部20は、それぞれ異なる超音波の周波数に同じ着信音を重畳させて出射(出力)する。
【0156】
このように構成したことによって、周波数の異なる超音波をそれぞれ発生させることによって、着信音をより遠くまで伝達することが可能となる。
【0157】
また、複数の周波数の超音波に着信音を重畳して発信するため、一定の周波数の音を聞くのが困難なユーザに対しても確実に着信音を通知することができる。
【0158】
制御部57は、照度センサの出力が所定値よりも小さい場合には、超音波距離センサ16及び超音波発生部20を作動させない。
【0159】
このように構成したことによって、照度センサの値が所定値よりも小さい場合には、最初から設定音量で着信を通知できることから、ユーザは早期に着信があったことを認知することができる。
【0160】
なお、以上の実施形態において、第1筐体2及び第2筐体3は本発明の筐体の一例である。つまり、筺体とは、携帯電子機器を収容する容器に該当するものであればどのようなものであってもよい。さらに、容器の一部、例えば、第1筐体フロントケース4、第1筐体リアケース5、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7であっても筺体に該当する。
【0161】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0162】
携帯電子機器は、携帯電話機1に限定されない。例えば、携帯電子機器は、ノートパソコン、PDA、ゲーム機、カメラであってもよい。また、携帯電子機器は、折り畳み式のものに限定されない。ケースが一体的に構成されたもの(1つのみのケース)であってもよい。
【符号の説明】
【0163】
1…携帯電話機、2…第1筐体、3…第2筐体、4…第1筐体フロントケース、5…第1筐体リアケース、6…第2筐体フロントケース、7…第2筐体リアケース、8…表示部、9…ヒンジ部、10…入力部、12…スピーカ(音出力部、超音波発生部)、16…超音波距離センサ、20…超音波発生部、50…電源制御部、51…通信部、52…操作部、53…音声入出力部、55…撮像部、56…記憶部、57…制御部、58…システムバス、70…第1の超音波、71…第の超音波の反射波、80…第2の超音波、81…第2の超音波の反射波、90…干渉領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
筐体に配設される超音波発生部と、
前記超音波発生部から出射された超音波が対象物で反射した反射波を検出して対象物との位置を検出可能な超音波距離センサと、
着信音を出力する音出力部と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、着信があった場合に、前記超音波発生部に超音波を発生し、
前記超音波距離センサでの検出値によって対象物が一定の距離以上であると判断したときに、着信音を設定音量で出力し、
前記超音波距離センサでの検出値によって対象物が一定の距離以内であると判断した場合に、着信音を設定音量よりも小さい音量で出力し、その後、徐々に設定音量まで着信音の音量を上げる
携帯電子機器。
【請求項2】
着信音を出力する前記音出力部は前記超音波発生部を兼ねる
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記超音波距離センサによって検出される対象物の位置が近接するに従い着信音の音量を徐々に小さくする
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記超音波距離センサによって検出される対象物の位置が一定以内に近接すると、自動的に通話状態とする
請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
加速度センサを有し、
前記加速度センサの検出した加速度に応じて、前記超音波距離センサのゲインを変化させる
請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記超音波距離センサは、
前記超音波発生部から出射された超音波のうち対象物に当たって反射し前記超音波距離センサに入射した第1の超音波の周波数と、対象物に当たらずに直接前記超音波距離センサに入射した第2の超音派の周波数との差分に応じて、前記超音波距離センサのゲインを変化させる
請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記超音波発生部を2つ以上備え、
それぞれの前記超音波発生部は、それぞれ異なる超音波の周波数に同じ着信音を重畳させて出射する
請求項2〜6のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記超音波発生部を2つ備え、
第1の超音波発生部は第1の超音波を発生し、第2の超音波発生部は第2の超音波を発生し、前記第1の超音波と前記第2の超音波とは、
前記それぞれの超音波の干渉によって、うなり音を発生させる
請求項2〜6のいづれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
照度センサを有し、
前記制御部は、前記照度センサの出力が所定値よりも小さい場合には、前記超音波距離センサ及び前記超音波発生部を作動させない
請求項1〜7いずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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