説明

携帯電話端末、その動作制御方法及びプログラム

【課題】意図しない通話状態を認識して自動的に終話処理を行う場合に、誤った終話処理を行うことがない。
【解決手段】送話音声が入力されるマイク5と、受話音声が出力されるスピーカ6と、接触を検出する接触検出部7とを有する携帯電話端末において、音声が予め記録された記録部17と、マイク5に入力された送話音声が記録部17に記録された音声と同一であるかどうかを検出する音声認証部15とを有し、通話状態において、マイク5に入力された送話音声が記録部17に記録された音声と同一であることが音声認証部15にて一定時間検出されず、かつ、接触検出部7にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末に関し、特に、自動終話処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末は、情報交換や情報収集の面から、生活にはなくてはならないツールとなりつつある。そのため、若者やビジネスマンのみならず、主婦や年配者も携帯電話を所有することが多くなっている。
【0003】
図3は、一般的な携帯電話端末の構成例を示すブロック図である。
【0004】
本例における携帯電話端末は図3に示すように、制御部101と、キー操作部102と、液晶ディスプレイ等からなる表示部103と、無線部104と、音声が入力されるマイク105と、音声が出力されるスピーカ106と、タッチパネル等からなる接触検出部107とから構成されている。
【0005】
上記のように構成された携帯電話端末においては、通話等の通信を行う場合、キー操作部102を介してキー入力が行われると、キー入力信号108が制御部101に送られ、制御部101内のキー入力部114において、キー入力信号108に基づいてどのキーが操作されたかが認識される。また、マイク105を介して音声が入力されると、入力された音声は、送話信号111として制御部101に送られる。無線部104においては、基地局との通信制御を行うための有線信号である信号110を電波信号に変換し、また、基地局から受信した電波信号を有線信号である信号110に変換する。無線部104にて電波信号から変換された信号110から制御部101にて受話信号112が抽出され、この受話信号112が音声に変換されてスピーカ106から出力される。また、表示部103においては、制御部101から出力された表示信号109が入力されると、この表示信号109に応じた情報が表示される。また、接触検出部107においては、接触の有無が検出され、接触が検出された場合、その旨を示す接触検出信号113が制御部101に送られる。
【0006】
図4は、図3に示した携帯電話端末における発呼あるいは着呼から終話までの処理を示すフローチャートである。
【0007】
図4に示すように、図3に示した携帯電話端末においては、発呼あるいは着呼から終話までの間は、キー操作部102によるキー入力については特に制御されておらず、終話する場合は、キー操作部102のうち、終話とするための特定のキーを操作すると、制御部101において、キー入力部114に入力されたキーが終話キーと判断され、回線が切断されて終話処理が行われることになる。
【0008】
上述したように、一般的な携帯電話端末においては、通話の切断がキー入力によって行われているため、例えば、かばんやポケットの中に携帯電話端末を入れていた時に誤って通話ボタンを押してしまい通話状態に陥った場合や、通話中に寝てしまった場合、切断キーを入力するまで通話状態が保持され、無駄な電力が消費されてしまうとともに、無駄な通話料金が発生してしまうことになる。
【0009】
そこで、カメラで撮像した画像に動きがあるかどうかや、接触センサにてユーザが携帯電話端末に触れているかどうかに基づいて通話終了を判定し、自動的に終話処理を行う技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2005−252505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したように、カメラで撮像した画像に動きがあるかどうかや、接触センサにてユーザが携帯電話端末に触れているかどうかに基づいて通話終了を判定し、自動的に終話処理を行うものにおいては、カメラで撮像した画像は通話中でも動きがない場合もあり、また、上述したようにかばんやポケットの中に携帯電話端末を入れていた場合は、ユーザが携帯電話端末に触れていると判断されてしまい、終話処理が行われないこととなり、誤った終話処理を行ってしまう虞れがある。
【0011】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、意図しない通話状態を認識して自動的に終話処理を行う場合に、誤った終話処理を行うことがない携帯電話端末、その動作制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、
送話音声が入力される音声入力手段と、受話音声が出力される音声出力手段と、接触を検出する接触検出手段とを有する携帯電話端末において、
音声が予め記録された記録手段と、
前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であるかどうかを検出する音声認証手段とを有し、
通話状態において、前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であることが前記音声認証手段にて一定時間検出されず、かつ、前記接触検出手段にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行うことを特徴とする。
【0013】
また、送話音声が入力される音声入力手段と、受話音声が出力される音声出力手段と、接触を検出する接触検出手段とを有する携帯電話端末の動作制御方法であって、
通話状態を認識するステップと、
前記音声入力手段に入力された送話音声が、前記携帯電話端末内の記録手段に記録された音声と同一であるかどうかを検出するステップと、
前記接触検出手段にて接触が検出されたかどうかを確認するステップと、
前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であることが一定時間検出されず、かつ、前記接触検出手段にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行うステップとを有する。
【0014】
また、送話音声が入力される音声入力手段と、受話音声が出力される音声出力手段と、接触を検出する接触検出手段とを有する携帯電話端末に、
通話状態を認識する手順と、
前記音声入力手段に入力された送話音声が、前記携帯電話端末内の記録手段に記録された音声と同一であるかどうかを検出する手順と、
前記接触検出手段にて接触が検出されたかどうかを確認する手順と、
前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であることが一定時間検出されず、かつ、前記接触検出手段にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行う手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明したように構成されているので、意図しない通話状態を認識して自動的に終話処理を行う場合に、誤った終話処理を行うことがないような構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の携帯電話端末の実施の一形態を示すブロック図である。
【0018】
本形態は図1に示すように、制御部1と、キー操作部2と、表示部3と、無線部4と、送話音声が入力される音声入力手段であるマイク5と、受話音声が出力される音声出力手段であるスピーカ6と、タッチパネル等からなる接触検出部7と、音声が予め記録されたメモリからなる記録部17とから構成されており、制御部1には、キー入力部14及び音声認証部15が設けられている。
【0019】
キー操作部2は、キー入力を受け付けるものであって、複数のキーから構成されており、操作されたキーに応じたキー入力信号8を制御部1に出力する。
【0020】
表示部3は、液晶ディスプレイ等からなり、制御部1から出力された表示信号9が入力されると、この表示信号9に応じた情報が表示される。
【0021】
無線部4は、基地局との通信制御を行うために制御部1から出力された有線信号である信号10を電波信号に変換し、また、基地局から受信した電波信号を有線信号である信号10に変換して制御部1に出力する。
【0022】
マイク5は、送話音声が入力されると、入力された送話音声を送話信号11に変換して制御部1に出力する。
【0023】
スピーカ6は、制御部1から出力された受話信号12を受話音声に変換して出力する。
【0024】
接触検出部7は、接触有無を検出する機能を有し、接触状態を示す接触検出信号13を制御部1に出力し、また、接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合に、通話強制切断信号20を制御部1に出力する。
【0025】
記録部17は、マイク5を介して予め入力された音声を記録しておく。
【0026】
キー入力部14は、キー操作部2から出力されたキー入力信号8に基づいて、どのキーが操作されたかを認識する。
【0027】
音声認証部15は、マイク5を介して入力された送話音声と、記録部17に記録された音声が記録部17から取り出されてなる声信号18とを比較し、両者が同一であるかどうかを検出し、両者が同一であることが一定時間検出されない場合、非通話状態と認識して制御部1へ通知する。
【0028】
以下に、上記のように構成された携帯電話端末の動作について説明する。なお、本発明は、通話状態以降に関する発明であることから、発呼または着呼後について説明する。
【0029】
図2は、図1に示した携帯電話端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【0030】
まず、携帯電話端末の利用者の声をマイク5を介して入力し(ステップS1)、利用者の声の音声を記録部17に登録しておく(ステップS2)。
【0031】
その後、発呼または着呼によって通話状態となったことが制御部1にて確認されると(ステップS3)、音声認証部15が起動する。
【0032】
音声認証部15においては、マイク5から出力された送話信号11によってマイク5を介して入力された送話音声が検出されると(ステップS4)、マイク5から出力された送話信号11と記録部17から取り出された声信号18とを用いて、マイク5を介して入力された送話音声と、記録部17に記録された音声とが比較され、両者が同一であるかどうかが検出される(ステップS5)。そして、両者が同一であることが検出された場合は声カウンタがクリアされ(ステップS6)、また、両者が同一であることが検出されない場合は両者が同一であることが検出されるまでカウンタupがなされる(ステップS7)。
【0033】
カウンタupによって、両者が同一であることが検出されるまでの時間が計測され、声カウンタ値が閾値以上となり、両者が同一であることが一定時間検出されない場合(ステップS8)、非通話状態と認識され、その旨が制御部1に通知される。
【0034】
すると、制御部1の制御によって接触検出部7が起動し、接触検出部7において接触有無が検出され、接触が検出され続けている間は接触カウンタがupされ、非接触の状態においては非接触カウンタがupされていく(ステップS9〜S11)。
【0035】
そして、接触カウンタと非接触カウンタのどちらかのカウンタが閾値以上となった場合、すなわち、接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、非通話状態と判断され、通話強制切断信号20が制御部1に出力される。
【0036】
また、接触状態や非接触状態が一定時間継続する前に、接触状態から非接触状態となった場合や非接触状態から接触状態となった場合は、声カウンタと接触カウンタがクリアされる(ステップS12)。
【0037】
接触検出部7から出力された通話強制切断信号20が制御部1にて認識されると、制御部1において通話する意思がないと判断され、通話を切断する旨の情報が表示部3に表示出力されるとともに、通話を切断する旨がスピーカ6から音声出力される(ステップS13)。そして、制御部1の制御によって、通話が切断されて終話処理が行われる(ステップS14)。
【0038】
このようにして、本形態においては、通話中にマイク5を介して入力される音声と予め記録している音声とが同一であることを一定期間検出できない場合かつ、一定期間以上接触または非接触を検出した場合、意図しない通話状態であると認識し、自動的に通話状態を切断し、それにより、無駄な電力が消費されてしまったり、無駄な通話料金が発生してしまったりすることを回避することができる。
【0039】
以下に、具体的な動作について説明する。
【0040】
携帯電話端末において通話状態となった後、マイク5を介して入力された音声と記憶部17に予め記録された声とを比較し、両者が同一であることが一定期間以上検出できなければ、意図しない通話状態(非通話状態)に陥る可能性があると認識する。ただし、非通話状態でも通話中に携帯電話に格納している電話番号や写真データを閲覧する場合があり誤切断をなくすため、接触検出部7を起動し、携帯電話端末と使用者が接触状態または非接触状態を一定期間内続けているのかを検出する。
【0041】
例えば、通常の通話の場合、通話しているので、記録部17に記録された声を検出することとなり、通話状態と認識する。逆に、かばんの中で誤って通話ボタンを押下された場合、記録部17に記録された声を検出することができずに非通話状態に陥る可能性があると認識し、かつ接触を連続検出するため非通話状態と認識する。また、机の上にある携帯電話端末の通話ボタンを子供が押下して誤って通話状態となった場合、記録部17に記録された声を検出することができず、かつ連続で非接触検出状態となるため、この場合も非通話状態と認識する。また、通話中に電話番号や写真データ等を確認する場合は、声を発しないため非通話状態に陥る可能性があると認識するが、通話する際は携帯電話端末と顔(耳)とが接触しているので、接触検出部7において接触状態を検出し、また、画面を見るときは画面を見るため非接触状態を検出する。この場合、無音で非接触状態と接触状態とを繰り返すため、切断しないと判断し誤切断を防ぐ。
【0042】
このように、誤切断をなくしながら意図しない通話状態に陥った時に自動的に通話状態を切断し、消費電力を抑えるとともに、無駄な通話料金を発生させない。
【0043】
なお、本発明においては、携帯電話端末内の処理は上述の専用のハードウェアにより実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを携帯電話端末にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを携帯電話端末に読み込ませ、実行するものであっても良い。携帯電話端末にて読取可能な記録媒体とは、ICカードやメモリカード、あるいは、フロッピーディスク(登録商標)、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、携帯電話端末に内蔵されたHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、例えば、制御ブロックにて読み込まれ、制御ブロックの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の携帯電話端末の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した携帯電話端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】一般的な携帯電話端末の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示した携帯電話端末における発呼あるいは着呼から終話までの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 制御部
2 キー操作部
3 表示部
4 無線部
5 マイク
6 スピーカ
7 接触検出部
8 キー入力信号
9 表示信号
10 信号
11 送話信号
12 受話信号
13 接触検出信号
14 キー入力部
15 音声認証部
17 記録部
18 声信号
20 通話強制切断信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送話音声が入力される音声入力手段と、受話音声が出力される音声出力手段と、接触を検出する接触検出手段とを有する携帯電話端末において、
音声が予め記録された記録手段と、
前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であるかどうかを検出する音声認証手段とを有し、
通話状態において、前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であることが前記音声認証手段にて一定時間検出されず、かつ、前記接触検出手段にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行うことを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話端末において、
前記音声出力手段は、前記終話処理が行われる場合、通話を切断する旨を示す音声を出力する携帯電話端末。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の携帯電話端末において、
情報を表示する表示手段を有し、該表示手段は、前記終話処理が行われる場合、通話を切断する旨を示す情報を表示出力する携帯電話端末。
【請求項4】
送話音声が入力される音声入力手段と、受話音声が出力される音声出力手段と、接触を検出する接触検出手段とを有する携帯電話端末の動作制御方法であって、
通話状態を認識するステップと、
前記音声入力手段に入力された送話音声が、前記携帯電話端末内の記録手段に記録された音声と同一であるかどうかを検出するステップと、
前記接触検出手段にて接触が検出されたかどうかを確認するステップと、
前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であることが一定時間検出されず、かつ、前記接触検出手段にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行うステップとを有する動作制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の動作制御方法において、
前記終話処理が行われる場合に前記音声出力手段から通話を切断する旨を示す音声を出力するステップを有する動作制御方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の動作制御方法において、
前記終話処理が行われる場合に通話を切断する旨を示す情報を表示出力するステップを有する動作制御方法。
【請求項7】
送話音声が入力される音声入力手段と、受話音声が出力される音声出力手段と、接触を検出する接触検出手段とを有する携帯電話端末に、
通話状態を認識する手順と、
前記音声入力手段に入力された送話音声が、前記携帯電話端末内の記録手段に記録された音声と同一であるかどうかを検出する手順と、
前記接触検出手段にて接触が検出されたかどうかを確認する手順と、
前記音声入力手段に入力された送話音声が前記記録手段に記録された音声と同一であることが一定時間検出されず、かつ、前記接触検出手段にて接触が一定時間継続して検出されるか接触が一定時間継続して検出されなかった場合、終話処理を行う手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記携帯電話端末に、
前記終話処理が行われる場合に前記音声出力手段から通話を切断する旨を示す音声を出力する手順を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記携帯電話端末に、
前記終話処理が行われる場合に通話を切断する旨を示す情報を表示出力する手順を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−74654(P2010−74654A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241370(P2008−241370)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】