説明

摂食行動の修正

【課題】本発明は、哺乳動物における過剰体重の防止または治療に使用するための組成物および方法に関する。
【解決手段】組成物は、食物摂取を低減することとエネルギー消費を増加させることの一方または両方が示されるオキシントモジュリンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類の動物の体重減少に使用するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最も高い発生率を有するが有効な治療が欠如している疾患の1つに肥満がある。それは、生活の質を低下させるとともに他の疾患のリスクを実質的に増加させる衰弱状態である。
【0003】
米国においては、現在、成人人口の25%が、臨床的に肥満であると考えられている。米国の健康管理費用の450億ドル、すなわち年間の健康管理支出全体の8%、が肥満の直接の結果である、と推定されている。ヨーロッパにおいては、この問題は、増加しつつある。新たな取り組みなしでは、2005年までに20%を超えるイギリスの人口が、臨床的に肥満になるであろう、と予想されている。肥満が代謝病であるという事実は、医療専門家および保険機関によって、ますます認識されつつある。しかしながら、肥満の長期管理のための食事療法および運動と共に使用できる、有効かつ安全な薬物が不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、そのような薬物を提供するとともに、さらなるそのような薬物を同定しかつ開発する手段を提供することである。
【0005】
プレプログルカゴン(Preproglucagon)は、160アミノ酸ポリペプチドであり、これは、プロホルモン変換酵素(convertase)−1および−2によって組織特異的な仕方で分割(cleave)されて、中枢神経系(CNS)および末梢組織の両方においてさまざまな機能を有する多数の生成物を生じる。腸内およびCNS内では、プレプログルカゴン分割(cleavage)の主な翻訳後の生成物は、図22に示すように、グルカゴン様(glucagon-like)ペプチド−1(GLP−1)、グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)、グリセンチン(glicentin)、およびオキシントモジュリン(oxyntomodulin)(OXM)である。GLP−1およびGLP−2が、食物摂取を阻害することは示されてきたが、そのような役割は、明確なペプチドOXMに対してはヒトにおいては明らかにされていなかった。ヒトにおける生理活性ペプチドとしてのOXMの重要性は、明らかにされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、OXMペプチドが、ヒトにおける食物摂取を阻害し、体重を低減し、かつエネルギー消費を増加させることができる、また、OXM点滴注入(infusion)が、絶食血漿グレリン(fasting plasma ghrelin)を抑制する、という我々の驚くべき観察に基づいている。
【0007】
本発明は、哺乳動物の過剰体重の防止または治療における使用のための方法を提供し、方法は、OXMを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。哺乳動物は、過剰体重の防止または治療の必要がありそうである。体重減少は、美容用になり得る。OXMを含む組成物は、効果的な濃度で投与されるものである。
【0008】
本発明はまた、以下の対象の治療方法、すなわち、対象のカロリー摂取を低下させる方法、対象の食欲を低下させる方法、対象の食物摂取を低下させる方法、対象の体重の制御または治療方法、肥満の低減または防止方法、および対象のエネルギー消費を増加させる方法を提供し、特に以下の、体重増加を防止および低減すること、体重減少を誘発および促進すること、および、体格指数により測定される肥満を低減すること、のいずれか1つまたは複数を提供する。方法は、食欲、飽満、空腹、およびエネルギー消費のいずれか1つまたは複数の制御を含み、特に以下の、食欲を低減、抑制、または阻害すること、飽満および飽満の感覚を誘発、増加、増強、および促進すること、および、空腹および空腹の感覚を低減、阻害、および抑制すること、およびエネルギー消費を増加させること、のいずれか1つまたは複数を含む。方法はさらに、所望の体重、所望の体格指数、所望の容姿、および良好な健康のいずれか1つまたは複数を維持することを含む。上述した全ての方法において、OXMは、一般に末梢経路の投与によって、対象に投与される。
【0009】
本発明はまた、対象の脂質プロフィールを改善する方法を提供する。方法は、効果量のOXMを対象に投与することを含む。脂質プロフィールの改善は、限定される訳ではないが、コレステロールレベルを低減すること、トリグリセリドレベルを低減すること、およびHDLコレステロールレベルを増加させることのうちの少なくとも1つを含む。OXMは、単一または分割された投与量などで、末梢的に投与できる。
【0010】
別の実施態様においては、栄養分の有効性を低減することとエネルギー消費を増加させることの一方または両方により軽減できる状態または障害を軽減する方法が、ここに開示される。方法は、治療効果量のOXMを対象に投与することを含む。
【0011】
本発明は、吸入による投与を含め、経口、直腸、非経口例えば静脈内、筋肉内、または腹腔内、粘膜例えば口腔(buccal)、舌下、鼻腔(nasal)、皮下または経皮の投与に適した形態において、製薬上適した担体と、OXMとを含む製薬組成物を提供する。単位剤形の場合は、単位当たりの投与量は、例えば、以下に記載されるような、または以下に与えられる1kg当たり投与量に基づいて計算されるようなものとすることができる。
【0012】
本発明はまた、上述したいずれかの治療方法のための脳に対する末梢的な経路による投与のための医薬の製造における使用のためのOXMまたはそのアゴニストを含む。末梢的経路の例としては、吸入による投与を含め、経口、直腸、非経口例えば静脈内、筋肉内、または腹腔内、粘膜例えば口腔、舌下、鼻腔、皮下または経皮の投与が挙げられる。医薬のためのOXMの好ましい投与量は、以下に与えられる。
【0013】
本発明は、哺乳動物の美容用体重減少のための方法を提供し、この方法は、OXMを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。この環境では、体重減少は、純粋に美容用容姿の目的のためである。
【0014】
本発明はさらに、OXMと、任意の仕方で体重と食物摂取の一方または両方に対する影響を有する他の薬剤、例えば、以下の効果すなわち、哺乳動物特にヒトの、食物摂取を低減することと空腹を低減することの一方または両方、体重を低減すること、肥満を低減または防止すること、エネルギー消費を増加させること、または栄養分の有効性を低減することのうちの1つまたは複数を有する薬剤との、組み合わせによる使用を提供する。他の薬剤は、例えば、GLP−1またはそのアゴニスト受容体、または、PYYまたはそのアゴニスト、または他の物質であり、他の物質は、例えば、アミリン(amylin)、レプチン(leptin)、エクセンジン−4(exendin-4)、またはこれらのアゴニストなどの天然食物影響物質(naturally food influence substance)であるか、またはこれらから誘導される物質である。所望ならば、2つ以上の他の薬剤を、OXMと組み合わせて使用でき、例えば、GLP−1またはそのアゴニスト、およびPYYまたはそのアゴニストを使用できる。(物質または「そのアゴニスト」への言及が、これらの物質と1つまたは複数のそれらのアゴニストとの混合物、また2つまたは3つ以上のアゴニストの混合物を含むことは、理解されるであろう)。
【0015】
本発明の方法において、OXMは、OXMと組み合わせて使用させる任意の他の薬剤のように、所望の結果を達成するのに効果的な量で投与される。それぞれの場合、対象、一般にヒトは、太りすぎであり得るか、糖尿病であり得るか、またはこれらの両方であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1(図1Aおよび図1B)は、絶食させたラットにおける食物摂取に対するICVおよびiPVNプログルカゴン誘導および関連生成物の影響の比較である。図1Aは、絶食させた動物内へのGLP−1、OXM、グルカゴン、またはグリセンチン(全て3nmol)のICV注入後、8hまでの累積食物摂取(g)を例示する。食塩水対照に対して、*、P<0.05。
【図1B】図1(図1Aおよび図1B)は、絶食させたラットにおける食物摂取に対するICVおよびiPVNプログルカゴン誘導および関連生成物の影響の比較である。図1Bは、絶食させた動物内へのGLP−1、OXM(両方とも1nmol)、またはエクセンジン−4(0.03nmol)の急性iPVN注入後、24hまでの累積食物摂取(g)を例示する。1、2、および4hにおける全ての群について食塩水対照に対して、*、P<0.01。8hにおけるエクセンジン−4だけについて食塩水対照に対して、*、P<0.05。
【図2A】図2(図2Aおよび図2B)は、絶食させたラットにおける食物摂取に対するICVおよびiPVN OXMの影響の2つのグラフを示す。図2Aは、OXM(0.3、1、3、または10nmol)の急性ICV注入後、8hまでの累積食物摂取(g)。食塩水対照に対して、*、P<0.05。
【図2B】図2(図2Aおよび図2B)は、絶食させたラットにおける食物摂取に対するICVおよびiPVN OXMの影響の2つのグラフを示す。図2Bは、絶食させた動物内へのOXM(0.1、0.3、または1.0nmol)の急性iPVN注入後、8hまでの累積食物摂取(g)。食塩水対照に対して、*、P<0.05。
【図3A】図3(図3Aおよび図3B)は、暗相の開始におけるICV OXMの影響の2つの棒グラフを示す。満腹したラットが、暗相の開始において、OXM、GLP−1(3nmol)、または食塩水のICV注入を受けた。図3Aは、注入後1hにおいて決定された食物摂取(グラム)。食塩水対照に対して、*、P<0/05。
【図3B】図3(図3Aおよび図3B)は、暗相の開始におけるICV OXMの影響の2つの棒グラフを示す。満腹したラットが、暗相の開始においてOXM、GLP−1(3nmol)、または食塩水のICV注入を受けた。図3Bは、注入後1hにおいて決定された行動。食塩水対照に対して、*、P<0/05。
【図4A】図4(図4Aおよび図4B)は、食物摂取に対するOXMおよびGLP−1影響へのエクセンジン−(9−39)による阻害の2つの棒グラフを示す。図4Aは、GLP−1(3nmol)、GLP−1およびエクセンジン−(9−39)(30nmol)、OXM(3nmol)、OXMおよびエクセンジン−(9−39)(30nmol)、またはエクセンジン−(9−39)(30nmol)のみ、の急性ICV注入1時間後の食物摂取。食塩水対照に対して、**、P<0.005。
【図4B】図4(図4Aおよび図4B)は、食物摂取に対するOXMおよびGLP−1影響へのエクセンジン−(9−39)による阻害の2つの棒グラフを示す。図4Bは、絶食させた動物内へのGLP−1(1nmol)、GLP−1およびエクセンジン−(9−39)(10nmol)、OXM(1nmol)、OXMおよびエクセンジン−(9−39)(10nmol)、またはエクセンジン−(9−39)(10nmol)のみ、の急性iPVN注入後の食物摂取。食塩水対照に対して、**、P<0.005。
【図5】GLP−1およびOXMによるラット視床下部膜内の[125I]GLP−1結合の競合のグラフ。
【図6a】24時間絶食させたラットにおける、初期暗相の間に注入したIP OXM(500μl食塩水中、30、100、および300nmol/kg)、または食塩水の累積食物摂取(g)に対する影響を例示する(黒四角=食塩水、白丸=OXM 30nmol/kg、黒三角=OXM 100nmol/kg、白三角=OXM 300nmol/kg)。食塩水に対して、*P<0.05。
【図6b】絶食させていないラットにおける、暗相の開始前に注入したIP OXM(500μl食塩水中、30および100nmol/kg)、または食塩水の累積食物摂取に対する影響を例示する(黒四角=食塩水、白丸=OXM 30nmol/kg、黒三角=OXM 100nmol/kg)。食塩水に対して、*P<0.05。
【図7a】OXM(50nmol/kg)、または食塩水の7日間、毎日2回のIP注入の累積食物摂取(g)に対する影響を例示する。食塩水に対して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.005。
【図7b】OXM(50nmol/kg)、または食塩水の7日間、毎日2回のIP注入の体重増加(g)に対する影響を例示する。食塩水に対して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.005。
【図8】IP OXM(50nmol/kg)、食塩水、または陽性の対照(1時間=GLP−1(50nmol/kg);2時間=CCK(15nmol/kg))の36時間絶食ラットの胃内容排出に対する影響を例示する。胃の内容物(乾燥重量)は、30分間の摂食時間中の食物摂取のパーセンテージとして表された。食塩水に対して、**P<0.01。
【図9】24時間絶食させたラットの弓状核内へ投与したときのOXMの増加する投与量(0.01−1.0nmol)の1時間食物摂取に対する影響を例示する。食塩水に対して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.005。
【図10】OXM(30nmol/kg)、GLP−1(30nmol/kg)、または食塩水のIP投与前15分間に注入された、エクセンジン9−39(5nmol)または食塩水のiARC投与の1時間食物摂取(g)に対する影響を例示する。(S=食塩水、G=GLP−1(30nmol/kg)、Ox=OXM(30nmol/kg)、Ex=エクセンジン9−39(5nmol))。
【図11a】視床下部の弓状核内における、A)IP食塩水、または、B)IP OXM(50nmol/kg)、に応答するfos様免疫反応の発現を例示する(x40倍率)。食塩水に対して、***P<0.005。
【図11b】脳幹のNTSおよびAPにおける、A)IP食塩水、B)IP OXM(50nmol/kg)、または、C)IP CCK(15nmol/kg)に応答するfos様免疫反応の発現を例示する。
【図12】ヒト対象の食物摂取に対するOXMの静脈内点滴注入の影響についての研究のプロトコルを示す。目盛りは、時間(min)を示す。OXM(3.0pmol/kg/min)および食塩水の点滴注入は、0〜90分であった。ビュッフェ式食事は、75分において提供された。
【図13】ビュッフェ式食事におけるヒト対象により消費されたカロリーを示す。各線は、食塩水およびOXM点滴注入での個々の対象により消費されたカロリーを示す。太線は、全ての志願者に対する平均カロリー摂取を示す。OXM点滴注入での平均のカロリーの落ち込みは、17.6±5.7%である。
【図14】「今あなたは空腹ですか?」という質問に対するヒト対象の応答を示す視覚的アナログ目盛りである。OXM点滴注入中に主観的空腹に有意な落ち込みがあった。空腹指数(score)は、ビュッフェ式食事の後にかなり減少した。
【図15】ラットにおける注入後30および90分における絶食血漿グレリン−IRに対するOXM(30nmol/kgおよび100nmol/kg)のIP投与の影響を示す。黒塗りのブロックは、食塩水対照での結果を示し、ハッチングされたブロックは、OXMでの結果を示す。
【図16】ビュッフェ式食事におけるヒト対象により消費されたkJカロリーでのエネルギー摂取を示す。各線は、食塩水およびOXM点滴注入での個々の対象のエネルギー摂取を示す。太線は、全ての志願者に対する平均カロリー摂取を示す。
【図17】ビュッフェ式食事におけるエネルギー摂取、ヒト対象の累積12および24時間のエネルギー摂取を示す。黒塗りのブロックは、食塩水対照での結果を示し、ハッチングされたブロックは、OXMでの結果を示す。
【図18】示された期間におけるOXMまたは食塩水対照の点滴注入での、絶食期間中または食事後のヒト対象の相対的空腹指数を示す。
【図19】示された期間におけるOXMまたは食塩水対照の点滴注入での、絶食期間中または食事後のRIAにより決定されたOXM様免疫反応性(OLI)をpmol/Lで示す。
【図20】OXM点滴注入中の血漿試料のゲル浸透分析を示す。合成OXMと同じ位置に単一の免疫反応性ピークが溶離する。
【図21】示された期間におけるOXMまたは食塩水対照の点滴注入での、絶食期間中または食事後の血漿グレリンレベルの変化を示す。
【図22】プレプログルカゴンおよびその構成要素部分を図式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、予想に反して見出された、OXMペプチドが、食物摂取を阻害しかつ体重を低減することができるという驚くべき観察に基づいている。
【0018】
本願では、「オキシントモジュリン」という用語は、「OXM」と同じであり、以下のようなOXMペプチド配列またはその類似体を含むどのような組成物にも関連する。
【0019】
OXM配列は、当業技術内でよく知られており、記録が残されている。本発明は、以下のOXMヒト(human)配列SEQ ID NO: 1(ラット、ハムスター、およびウシ(bovine)OXM配列と同じである):
His Ser Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr
Ser Lys Tyr Leu Asp Ser Arg Arg Ala Gln
Asp Phe Val Gln Trp Leu Met Asn Thr Lys
Arg Asn Lys Asn Asn Ile Ala、SEQ ID NO: 1、
以下のOXMアンコウ(angler fish)配列SEQ ID NO: 2:
His Ser Glu Gly Thr Phe Ser Asn Asp Tyr
Ser Lys Tyr Leu Glu Asp Arg Lys Ala Gln
Glu Phe Val Arg Trp Leu Met Asn Asn Lys
Arg Ser Gly Val Ala Glu、SEQ ID NO: 2、
および、以下のウナギ(eel)OXM配列SEQ ID NO: 3:
His Ser Gln Gly Thr Phe Thr Asn Asp Tyr
Ser Lys Tyr Leu Glu Thr Arg Arg Ala Gln
Asp Phe Val Gln Trp Leu Met Asn Ser Lys
Arg Ser Gly Gly Pro Thr SEQ ID NO: 3、
を特に含む、ここに列挙される全てのシーケンスに関する。
【0020】
本願で使用されるOXMという用語は、また、上述したOXM配列のどのような類似体も含み、1位にあるヒスチジン残基は、正電荷を有する芳香族部分(aromatic moiety)またはその誘導体によって置換または維持され、好ましくは、この部分は、アミノ酸であり、より好ましくは、それは、ヒスチジン誘導体であり、上述したOXM配列内の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22個の他のアミノ酸が、1位にあるヒスチジンを除いて、任意の他の独立して選択されたアミノ酸によって独立して置換され得る。
【0021】
配列内のいずれか1つまたは複数(22個まで)の他のα−アミノ酸残基が、任意の他の1つのα−アミノ酸残基によって独立して置換され得る。好ましくは、ヒスチジンを除く任意のアミノ酸残基は、当業技術内でよく知られる保存的置換、すなわち、1つの疎水性アミノ酸を別のものに置き換えるなどといったアミノ酸を化学的に類似の種類の1つに置き換えることによって置換される。
【0022】
上述したように、1から22個のアミノ酸が置換され得る。上述した置換の選択肢に加えて、これは、アミノ酸の非必須形態、修飾形態、または異性形態によって行われ得る。例えば、1から22個のアミノ酸は、異性形態(例えば、D−アミノ酸)、修飾アミノ酸、例えばノルアミノ酸(nor-amino acid)(ノルロイシンまたはノルバリンなど)、または非必須アミノ酸(タウリンなど)によって置換できる。さらに、1から22個のアミノ酸は、その側鎖を介して結合された対応するまたは異なるアミノ酸(例えば、γ−結合(gamma-linked)グルタミン酸)によって置換できる。上述した各置換では、1位にあるヒスチジン残基は、変更されないか、あるいは、上述したように規定される。
【0023】
さらに、1、2、3、4、または5個のアミノ酸残基が、1位にあるヒスチジンを除いて(または上に規定したように)、OXM配列から除去できる。削除される残基は、任意の2、3、4、または5個の隣接残基、または全く別々の残基とすることができる。
【0024】
OXM配列のC末端は、さらなるアミノ酸残基または他の部分を付加するように修飾できる。上述したOXMは、その対応する塩として供給され得る。OXMおよびその類似体の製薬上許容可能な塩の例としては、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、塩酸塩、および硫酸塩などをそれぞれ与えるメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸などの有機酸、塩酸、および硫酸などの鉱酸から誘導されたもの、または、有機塩基および無機塩基などの塩基から誘導されたものが挙げられる。本発明の化合物の塩を生成するのに適した無機塩基の例としては、アンモニア、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、アルミニウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などの水酸化物、炭酸塩、および重炭酸塩が挙げられる。また、塩は、適切な有機塩基を用いて形成され得る。本発明の化合物との製薬上許容可能な塩基付加塩(base addition salt)を形成するのに適したそのような塩基としては、毒性がなくかつ塩を形成するのに十分に強い有機塩基が挙げられる。このような有機塩基は、当業技術内でよく知られており、アルギニンおよびリシンなどのアミノ酸、モノ−、ジ−、およびトリエタノールアミン、コリンなどのモノ−、ジ−、またはトリヒドロキシアルキルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンなどのモノ−、ジ−、およびトリアルキルアミン、グアニジン、N−メチルグルコサミン、N−メチルピペラジン、モルホリン、エチレンジアミン、N−ベンジルフェネチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどを含み得る。
【0025】
塩は、当業技術内でよく知られる方法を用いる従来の仕方で調製できる。上記塩基化合物の酸付加塩は、必要な酸を含有する水性または水性アルコール溶液または他の適切な溶媒中に遊離(free)塩基化合物を溶解することによって調製できる。OXMが酸性官能基(function)を含む場合は、上記化合物の塩基塩は、上記化合物を適切な塩基と反応させることによって調製できる。酸塩または塩基塩は、直接分離できるか、または、溶液を濃縮すること、例えば蒸発によって、得ることができる。OXMは、溶媒和または水和された形態でも存在し得る。
【0026】
本発明のOXMは、脂質、糖、タンパク質、またはポリペプチドなどの1つまたは複数の群に複合化(conjugate)され得る。OXMは、これらの群に(例えば、共有結合またはイオン結合を介して)付着(attach)されることにより複合化され得るか、またはそれらと会合(associate)され得る。複合結合は、OXMがこれらの群に付着されるときは、好ましくは、C末端またはN末端アミノ酸を通してではない。OXMは、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体などのポリマー、セルロース、セルロース誘導体、キトサン、
アラビアゴム(acacia gum)、カラヤゴム(karaya gum)、グアールガム(guar gum)、キサンタンガム(xanthan gum)、トラガカントゴム(tragacanth)、アルギン酸、カラギーナン(carrageenan)、アガロース、フルセララン(furcellarans)、デキストラン、デンプン、デンプン誘導体、ヒアルロン酸などの多糖、ポリエステル、ポリアミド、ポリ無水物(polyanhydrides)、およびポリオルトエステル(polyortho esters)に複合化され得る。
【0027】
OXMは、化学的に修飾できる。特に、OXMのアミノ酸側鎖、N末端、およびC酸末端のうちの少なくとも1つが、修飾され得る。例えば、OXMは、1つまたは複数の、アルキル化、ジスルフィド形成、金属錯体形成、アシル化、エステル化、アミド化、ニトロ化、酸を用いた処理、塩基を用いた処理、酸化、または還元を受けることができる。これらの処理を実行する方法は、当業技術内でよく知られている。特に、OXMは、低級(lower)アルキルエステル、低級アルキルアミド、低級ジアルキルアミド、酸付加塩、カルボン酸塩、またはこれらのアルカリ付加塩として提供される。特に、OXMのアミノ末端またはカルボキシル末端は、例えば、エステル化、アミド化、アシル化、酸化、または還元によって誘導され得る。特に、OXMのカルボキシル末端は、アミド部分を形成するように誘導できる。
【0028】
OXMは、金属、特に二価金属を用いて処理できる。従って、本発明の目的のために、OXMは、1つまたは複数の以下の金属、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅、マンガン、コバルト、モリブデン、または鉄の存在下に提供され得る。
【0029】
OXMは、製薬上許容可能な担体または希釈剤と組み合わせた製薬組成物の形態で提供され得る。適切な担体および希釈剤の少なくとも一方は、当業技術内でよく知られており、製薬等級のデンプン、マンニトール、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉(talcum)、セルロース、グルコース、スクロース、(または他の糖)、炭酸マグネシウム、ゼラチン、油、アルコール、界面活性剤(detergents)、乳化剤、または水(好ましくは、滅菌したもの)を含む。組成物は、組成物の混合製剤とすることができ、あるいは、同時、別々、または逐次の使用(投与を含む)のための組み合わされた製剤とすることができる。OXMは、結晶性の固体、粉末、水溶液、懸濁液として、または油中で提供できる。
【0030】
上述した徴候において使用するための本発明による組成物は、任意の都合のよい方法によって、例えば、吸入による投与を含め、経口、直腸、非経口例えば静脈内、筋肉内、または腹腔内、粘膜例えば口腔(buccal)、舌下、鼻腔(nasal)、皮下または経皮の投与およびそれに従って適合された組成物によって、投与され得る。
【0031】
経口投与では、組成物は、液体または固体、例えば、溶液、シロップ、懸濁液、または乳濁液、錠剤(tablets)、カプセル、およびトローチ剤(lozenges)として処方できる。
【0032】
液体処方は、一般に、適切な水性または非水系の1つまたは複数の液体担体中、例えば、水、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、または油中の、化合物または生理的に許容可能な塩の懸濁液または溶液から構成されるものである。また、処方は、懸濁剤(suspending agent)、防腐剤(preservative agent)、香味剤(flavouring agent)、または着色剤を含み得る。
【0033】
錠剤の形態の組成物は、固体処方を調合するのに日常業務で使用される任意の適切な1つまたは複数の製薬担体を用いて調合できる。このような担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロース、および微晶質セルロースが挙げられる。
【0034】
カプセルの形態の組成物は、日常業務のカプセル化処理を用いて調合できる。例えば、活性成分を含有する粉末、顆粒、またはペレットが、標準担体を用いて調製でき、次に、硬質(hard)ゼラチンカプセル内に充填され、代替としては、分散液(dispersion)または懸濁液が、任意の適切な1つまたは複数の製薬担体、例えば、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩、または油を用いて調製でき、次に、この分散液または懸濁液は、軟質(soft)ゼラチンカプセル内に充填される。
【0035】
経口投与のための組成物は、活性成分が消化管を通る間にそれを分解(degradation)から、例えば、錠剤またはカプセル上への処方の外側被覆によって、保護するように設計され得る。
【0036】
皮下投与のための組成物を含む通常の非経口組成物は、滅菌した水性または非水系の担体または経口的に許容可能な油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油、またはゴマ油中の化合物または生理的に許容可能な塩の溶液または懸濁液を含む。代替としては、溶液は、凍結乾燥され、次に、投与の直前に適切な溶媒を用いて元に戻され得る。
【0037】
鼻腔または経口投与のための組成物は、エーロゾル、滴(drops)、ゲル、および粉末として都合よく処方できる。エーロゾル処方は、一般に、生理的に許容可能な水性または非水系の溶媒中の活性物質の溶液または微細な懸濁液から成り、通常は、密閉容器内の滅菌した形態で単一または複数投与量として存在しており、密閉容器は、噴霧装置と共に使用するためにカートリッジまたは詰め替えの形態をとることができる。代替としては、密閉容器は、単一投与量鼻腔吸入器などの単一投薬装置(unitary dispensing device)、または、絞り弁を備えるエーロゾルディスペンサーであって、一旦、容器の内容物が使い尽くされると処分が予定されているものとすることができる。投与量形態が、エーロゾルディスペンサーを含む場合は、製薬上許容可能な推進剤(propellant)を含むことになる。エーロゾル投与量形態は、ポンプ噴霧器の形態をとることもできる。
【0038】
口腔または舌下投与に適した組成物は、活性成分が、糖、およびアラビアゴム、トラガカントゴム、またはゼラチンおよびグリセリンなどの担体を用いて処方される、錠剤、トローチ剤、および香錠(pastilles)を含む。
【0039】
直腸または膣投与のための組成物は、都合よく、坐剤(カカオバターなどの従来の坐剤基剤を含む)、膣坐剤、膣錠、泡および浣腸剤の形態となる。
【0040】
経皮投与に適した組成物としては、軟膏、ゲル、貼付剤、および粉末注入を含む注入が挙げられる。
【0041】
組成物は、都合よく、錠剤、カプセル、またはアンプルなどの単位剤形となる。
【0042】
OXMは、対象の体重1kg当たり、例えば0.1nmol以上の投与量で、例えば、体重1kg当たり、0.2nmol以上、例えば0.5nmol以上、例えば1nmol以上、例えば1.5nmol以上、例えば2nmol以上、例えば2.5nmol以上、例えば3nmol以上、例えば4nmol以上、例えば5nmol以上、例えば6nmol以上、例えば7nmol以上、例えば8nmol以上、例えば9nmol以上、例えば10nmol、例えば11nmol以上、例えば12nmol以下の投与量で、末梢的に投与できる。使用される量は、体重1kg当たり11nmol以下、例えば、体重1kg当たり、10nmol以下、例えば9nmol以下、例えば8nmol以下、例えば7nmol以下、例えば6nmol以下、例えば5nmol以下、例えば4nmol以下、例えば3nmol以下、例えば2nmol以下、例えば1nmol以下、例えば0.5nmol以下、例えば0.4nmol以下、例えば0.2nmol以下とすることができる。投与量は一般に、体重1kg当たり0.1から12nmolの範囲内、例えば、上に与えられた上下の範囲の任意の組み合わせ内にある。投与量は、個別の基準で、または、たいてい70または75kg対象である典型的な対象を基準として計算できる。投与量は、各食事前に投与できる。
【0043】
皮下投与では、75kg対象を基準として計算された投与量である、100nmolから500nmolすなわち約0.5mgから約2mgの範囲内のOXMの投与量が、一般に食事前に投与され得る。
【0044】
末梢投与のための単位剤形での製薬製剤は、上に与えられた1kg当たり投与量を基準として計算されたOXMの量を含む。一般に、投与量は、70または75kg対象を基準として計算され得る。例えば皮下投与のための組成物は、75kg対象を基準として計算された、100nmolから500nmolすなわち約0.5mgから約2mgの範囲内のOXMの単位投与量を含むことができる。
【0045】
OXMは、過剰の体重増加を防止する予防として使用でき、あるいは、過剰体重を減少させる治療として使用できる。
【0046】
過剰体重は、通常は肥満であるとはいえ、哺乳動物は、過剰体重に苦しんでいることになる目的で、臨床的に肥満であるとして認定されることはない。OXMは、液体、固体、または半固体の形態となり得る。
【0047】
今日の社会では、哺乳動物の過剰体重の防止または治療は、現実に必要とされている。好ましくは、哺乳動物は、ヒトであるとはいえ、それは、ウマ、イヌ科の動物(canine animals)(特に、飼いならされたイヌ科の動物)、ネコ科の動物(feline animals)(特に、飼いならされたネコ科の動物)などの他の哺乳類の動物、さらには、ブタ(porcine)、ウシ(bovine)、およびヒツジ(ovine)などの動物のように、肉のために生産されている哺乳動物も含み得る。本発明は、赤身肉の生産を最大にするために、そのような動物の過剰体重を防止するのに使用できる。
【0048】
本願全体に亘って、「防止」という用語は、どのような過剰体重も、どのような程度でも緩和するどのような効果も意味する。本願全体に亘って、「治療」という用語は、どのような程度でも、過剰体重の改善を意味する。
【0049】
OXMの適切な投与量は、限定される訳ではないが、OXMの模擬摂食後(postprandial)血清濃度をする投与量など、OXMの基底(basal)濃度より実質的に上に上昇させるような投与量を含む。従って、一実施態様においては、OXMは、カロリー摂取、食物摂取、または食欲の低減に相当する、カロリー摂取、食物摂取、または食欲における低減まで、または、OXMの摂食後レベルにより生じるエネルギー消費を増加させるように、投与される。
【0050】
ここに開示される全ての方法では、OXMの投与量は、摂食後に観察される生理的レベルに基づくことができる。単一投与量が、毎日投与でき、あるいは、分割投与量が、使用できる(上記を参照のこと)。
【0051】
末梢経路の投与を介して、すなわち直接に脳へという以外の経路を介して、OXMを投与するのが好ましい。このような経路の例としては、吸入による投与を含め、経口、直腸、非経口例えば静脈内、筋肉内、または腹腔内、粘膜例えば口腔、舌下、鼻腔、皮下または経皮の投与が挙げられる。
【0052】
本発明は、吸入による投与を含め、経口、直腸、非経口例えば静脈内、筋肉内、または腹腔内、粘膜例えば口腔(buccal)、舌下、鼻腔(nasal)、皮下または経皮の投与に適した形態において、製薬上適した担体と、OXMとを含む製薬組成物を提供する。単位剤形の場合は、単位当たりの投与量は、以上に与えられる1kg当たり投与量に基づいて計算できる。
【0053】
本発明はまた、上述したいずれかの治療方法のための末梢的経路による投与のための医薬の製造における使用のためのOXMまたはそのアゴニストを含む。末梢的経路の例としては、吸入による投与を含め、経口、直腸、非経口例えば静脈内、筋肉内、または腹腔内、粘膜例えば口腔、舌下、鼻腔、皮下または経皮の投与が挙げられる。医薬のためのOXMの好ましい投与量は、以上に与えられる。
【0054】
本発明は、哺乳動物の美容用体重減少のための方法を提供し、この方法は、OXMを含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。この環境では、体重減少は、純粋に美容用容姿の目的のためである。
【0055】
上に与えられる好ましい特徴の全てが、本発明のこの態様にもあてはまる。
【0056】
この理論に拘束されずに、本発明は、哺乳類の身体への食物摂取に対する阻害剤として作用することとエネルギー消費を増加させることの一方または両方を行うOXMの投与による過剰体重の防止または治療を提供することが理解される。そのような食物摂取の低減とエネルギー消費の増加の一方または両方は、哺乳動物の過剰体重の防止または治療となる。本願では、「食物」という用語は、消化されるとともにカロリーの値を有する物質を含む。さらに我々は、OXM点滴注入が、絶食血漿グレリンを抑制するということを見出した。グレリンはヒトの食欲の強力な刺激物であり、血漿グレリンの食前の上昇が食事開始の引き金であると示唆されているので、これは重要な発見である。仮説によって拘束されずに、我々は、OXMによるグレリンの通常の食前の上昇の阻害が、OXM点滴注入が食欲を低減する一つの機構であろうと考える。
【0057】
本発明はさらに、OXMと、任意の仕方で体重と食物摂取の一方または両方に対する影響を有する他の薬剤、例えば、以下の効果すなわち、哺乳動物特にヒトの、食物摂取を低減することと空腹を低減することの一方または両方、体重を低減すること、肥満を低減または防止すること、エネルギー消費を増加させること、または栄養分の有効性を低減することのうちの1つまたは複数を有する薬剤との、組み合わせによる使用を提供する。他の薬剤は、例えば、GLP−1またはそのアゴニスト受容体、または、PYYまたはそのアゴニスト、または他の物質であり、他の物質は、例えば、アミリン(amylin)、レプチン(leptin)、エクセンジン−4(exendin-4)、またはこれらのアゴニストなどの天然食物影響物質(naturally food influence substance)であるか、またはこれらから誘導される物質である。所望ならば、2つ以上の他の薬剤を、OXMと組み合わせて使用でき、例えば、GLP−1またはそのアゴニスト、およびPYYまたはそのアゴニストを使用できる。(物質または「そのアゴニスト」への言及が、これらの物質と1つまたは複数のそれらのアゴニストとの混合物、また2つまたは3つ以上のアゴニストの混合物を含むことは、理解されるであろう)。
【0058】
一実施態様において、OXMは、GLP−1またはそのアゴニストと共に使用できる。OXMは、作用の弓状部位を有しているように思われ、一方、GLP−1は、脳幹を介して作用する。組み合わせでの二つの薬剤の使用は、相乗効果を与えることができる。
【0059】
GLP−1は、OXMと同様に、プレプログルカゴンの翻訳後の生成物であり、図22を参照のこと。最初の翻訳後の生成物は、GLP−1(1−37)である。ヒトGLP−1(1−37)は、以下のアミノ酸配列、SEQ ID NO: 4:
His Asp Glu Phe Glu Arg His Ala Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Val Ser Ser Tyr Leu Glu Gly Gln Ala Ala Lys Glu Phe Ile Ala Trp Leu Val Lys Gly Arg Gly、
SEQ ID NO: 4、
を有する。
【0060】
さらなる修飾体(modifications)は、GLP−1(1−36) SEQ.ID.NO: 5、およびそのアミド、GLP−1(1−36)NH2; GLP−1(7−37) SEQ.ID.NO:6; およびGLP−1(7−36) SEQ.ID.NO:7 およびそのアミン、GLP−1(7−36)NH2、これはGLP−1ペプチドのうちで最も生物学的に活性である、を与える。「GLP−1」という用語はここでは、上に定義した任意のGLP−1ペプチド、特に、GLP−1(7−36)NH2、GLP−1(7−36)アミドとしても知られる、を意味する。用語は、任意の動物起源、特にヒトペプチドのGLP−1ペプチドを含む。
【0061】
GLP−1アゴニストは、GLP−1受容体に優先的に結合しGLP−1が行うのと同じ生物学的活性を刺激するペプチド、小さな分子、または化学的化合物である。一実施態様では、GLP−1受容体に対するアゴニストは、GLP−1と同じかそれより大きな親和性で受容体に結合する。別の実施態様では、アゴニストは、別の受容体に結合するのに比較して、GLP−1受容体に選択的に結合する。エクセンジン−4は、アメリカドクトカゲ(Gila monster (Heloderma suspectum))の唾液腺から単離された39アミノ酸ペプチド(Eng J et al J Biol Chem 267:7402-7405, 1992)であり、GLP−1受容体におけるアゴニストの一例である。エクセンジン−4から誘導されGLP−1アゴニスト活性も有する分子は、GLP−1アゴニストのさらなる例である。GLP−1アゴニストは、GLP−1関連ペプチドを含み、また、プレプログルカゴンのあるいはGLP−1ペプチドまたは関連ペプチドの天然または合成の酵素のまたは化学的な処理によって得られるペプチドを含む。
【0062】
GLP−1アゴニストであると記載される任意の化合物は、例えば上述のようにGLP−1アゴニスト活性に対する試験が行われGLP−1アゴニストとして機能すると見出された任意の化合物が可能なように、本発明において使用され得る。スクリーニングに使用するのに適した組換えGLP−1受容体は、WO93/19175に開示されている。多くのGLP−1アゴニストが、知られており、当業技術内に記載されている。GLP−1アゴニストを開示する公開特許明細書の例としては、以下の、WO2002/67918、WO2002/66479、WO2002/03978、WO2001/89554、WO2001/14386、WO2001/66135、WO2001/35988、WO2001/14368、WO2001/04156、WO2000/78333、WO2000/59887、WO2000/42026、EP 0955314、およびWO99/43707が挙げられる。GLP−1アゴニストの例には、Arg34, Lys26(N-ε-(γ-Glu(N-α-ヘキサデカノイル)))-GLP-1 (7-37), IP7-GLP-1 (7-37)OH がある。
【0063】
OXMと共にPYYまたはそのアゴニストを使用するのが有利になり得る。PYYは、作用の持続時間を有し、例えば、末梢的に投与されると、それが循環血液から取り除かれた後も、例えば投与後24時間まで作用し続ける。従って、PYYは、毎日2回の投与量で、または1回の投与量でさえ、投与すると効果的である。以下によって限定されずに、OXMは、長時間持続し得ない即時の効果を有するように思われる。OXMは、毎日数回、例えば食事の前に投与され得る。短時間作用性のOXMとの長時間作用性のPYYの使用は、使用者の必要に対する投与処方(regime)の「微調整」を可能とする。
【0064】
PYYは、ポルコイン(porcoine)腸からもともと単離された36−残基ペプチドアミドである(Tatemoto et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 79:2514, 1982)。ここで使用されるような用語は、任意の種から得られたまたは由来するPYYを含む。従って、PYYは、以下の配列、SEQ ID NO: 8:
Tyr Pro Ile Lys Pro Glu Ala Pro Gly Glu Asp Ala Ser Pro Glu Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg His Tyr Leu Asn Leu Val Thr Arg Gln Arg Tyr、SEQ ID NO: 8、
を有する、ヒト(human)の全部の長さのポリペプチド、および、例えば、ネズミ(murine)、ハムスター(hamster)、ニワトリ(chicken)、ウシ亜科(bovine)、ラット(rat)、およびイヌ(dog)を含むPYYの種の変形物(variations)、を含む。一実施態様においては、PYYアゴニストは、NPYを含まない。また、ここに使用されているようなPYYという用語は、PYY3-36を含む。PYY3-36を使用するのが有利となり得る。PYYアゴニストは、PYYに特異的に結合する受容体に結合し、PYYの効果を誘発する、任意の化合物である。一実施態様では、PYYアゴニストは、食物摂取、カロリーの摂取、または食欲に影響を及ぼすこと、および、Y受容体効力検定において特異的に結合するかあるいは標識化PYYとの競合結合効力検定などにおいてPYYと結合しようと競合すること、の少なくとも一方を行う化合物である。PYYアゴニストは、限定される訳ではないが、Y2受容体に結合する化合物を含む。
【0065】
PYYアゴニスト、およびPYYアゴニストとして使用され得る化合物は、当業技術内に開示されている。例えば、有用なPYYアゴニストとして、米国特許第5,026,685号; 米国特許第5,574,010号; 米国特許第5,604,203号; 米国特許第5,696,093号; 米国特許第6,046,167号に記載されているようなY2特異的NPYペプチドアゴニストが考慮されている。上述したOXMの変異物(variants)および修飾体(modifications)に類似したPYYの変異物および神経ペプチドYの変異物も使用され得る。
【0066】
所望ならば、OXMは、GLP−1またはそのアゴニストと、PYYまたはそのアゴニストの両方とともに使用できる。
【0067】
OXM、およびGLP−1またはそのアゴニスト、およびPYYまたはそのアゴニストの任意の組み合わせの使用は、例えば上述したように、その単独での使用に比較して、これらの任意の薬剤の効果を高めるように機能し得る。代替としてまたは追加して、2つまたは3つの薬剤を組み合わせて使用することによって、薬剤を単独に使用したときのどのような「逸散(escape)」の傾向も低減される。「逸散」という用語は、時間の経過による薬剤の効果の低減を表すのに使用される。例えば、上述した薬剤のいずれか1つを単独で使用した場合は、その効果は、時間と共に低減し得る。それに加えて他の薬剤の一方または両方を使用することによって、このような効果の低減の傾向が、低減または防止され得る。例えば、PYYは、持続効果を有し、長期間使用できる。PYYの効果が、万一低減すると思われる場合、あるいはそのようなどのような効果の低減も低減または防止するために、PYYに加えてOXMを投与できる。GLP−1も、OXMと共に、またはOXMおよびPYYと共に、同じ目的で使用できる。
【0068】
所望ならば、限定される訳ではないが、付加的な食欲抑制剤などの1つまたは複数の薬剤も投与できる。付加的な食欲抑制剤の特定の非限定的な例としては、アンフェプラモン(ジエチルプロピオン)、フェンテルミン、マジンドール、および、フェニルプロパノールアミン、フェンフルラミン、デキスフェンフルラミン、フルオキセチンが挙げられる。
【0069】
他の薬剤と組み合わせて使用するとき、OXMは、他の薬剤と同時に、または実質的に同時に、あるいは、任意の順序で逐次に、投与され得る。OXMと他の薬剤とは、単一の製薬組成物で、または別々の組成物で投与でき、またそれらは、同じ経路によってあるいは異なる経路によって投与できる。全ての活性薬剤を単一の組成物で投与するのが、一般により都合がよい。しかしながら、いくつかの場合には、異なる経路で活性剤を投与するのが必要または適切になり得る。例えば、ペプチドは、特別な方法で修飾あるいは処方しない限り、一般に経口投与では安定でなく、従って、一般に非経口経路を介して投与する必要がある。いくつかのアゴニスト、例えば、GLP−1アゴニストは、経口投与するときに安定な化学的化合物である。OXMを非経口で、また他の成分を非経口経路によって投与するのが適切になり得る。
【0070】
本発明の好ましい態様に従うと、治療効果量のOXMまたはそのアゴニストが、治療効果量のGLP−1またはそのアゴニストとPYYまたはそのアゴニストとの一方または両方と共に投与される。「GLP−1/PYY」という用語がここでは、GLP−1またはそのアゴニストと、PYYまたはそのアゴニストとの一方または両方を意味するのに使用される。
【0071】
OXMまたはそのアゴニストとGLP−1/PYYとは、同時に、または実質的に同時に、あるいは、任意の順序で逐次に、投与され得る。OXMまたはそのアゴニストとGLP−1/PYYとは、単一の製薬組成物で、または別々の組成物で投与でき、またそれらは、同じ経路によってあるいは異なる経路によって投与できる。
【0072】
OXMまたはそのアゴニストと、GLP−1/PYYとが、単一の製薬組成物で投与されることになる場合は、この組成物は、OXMまたはそのアゴニストに対して上述した任意の組成物とすることができる。組成物は、OXMまたはそのアゴニストと、GLP−1/PYYとの同時のまたは実質的に同時の投与を可能とし得る。所望ならば、OXMと、GLP−1/PYYとは、組成物内において、例えば、タブレットの別々の層、または、カプセル内の別々の顆粒に区分することができる。所望ならば、そのような区分は、組成物に異なる放出特性を与えて、OXM成分と、GLP−1/PYYとの供給を異なる時間に、例えば逐次的に可能とするように、設計することができる。
【0073】
代替として、OXMまたはそのアゴニストと、GLP−1/PYYとは、別々の製薬組成物、例えば、OXMまたはそのアゴニストに対して上述した任意の製薬組成物で処方できる。このような別々の組成物は、同時に、または実質的に同時に投与でき、あるいは、それらは、任意の順序で逐次に投与できる。例えば、PYYは、毎日2回、または1回ですら投与でき、OXMは、例えば食事前に毎日数回まで投与される。
【0074】
別々に投与する場合は、逐次であろうと、同時(または実質的に同時)であろうと、OXMまたはそのアゴニストと、GLP−1/PYYとは、例えば上述したように、同じ経路によってあるいは異なる経路によって投与できる。
【0075】
上述したように組み合わせ療法で使用するとき、OXMは、単独で使用するとき末梢投与に関連して上に開示したような投与量で使用できる、すなわち、OXMは、対象の体重1kg当たり、例えば0.1nmol以上の投与量で、例えば、体重1kg当たり、0.2nmol以上、例えば0.5nmol以上、例えば1nmol以上、例えば1.5nmol以上、例えば2nmol以上、例えば2.5nmol以上、例えば3nmol以上、例えば4nmol以上、例えば5nmol以上、例えば6nmol以上、例えば7nmol以上、例えば8nmol以上、例えば9nmol以上、例えば10nmol、例えば11nmol以上、例えば12nmol以下の投与量で、末梢的に投与できる。使用される量は、体重1kg当たり11nmol以下、例えば、体重1kg当たり、10nmol以下、例えば9nmol以下、例えば8nmol以下、例えば7nmol以下、例えば6nmol以下、例えば5nmol以下、例えば4nmol以下、例えば3nmol以下、例えば2nmol以下、例えば1nmol以下、例えば0.5nmol以下、例えば0.4nmol以下、例えば0.2nmol以下とすることができる。投与量は一般に、体重1kg当たり0.1から12nmolの範囲内、例えば、上に与えられた上下の範囲の任意の組み合わせ内にある。
【0076】
GLP−1またはそのアゴニストは、対象の体重1kg当たり、例えば0.1nmol以上の投与量で、例えば、体重1kg当たり、0.2nmol以上、例えば0.4nmol以上、例えば0.6nmol以上、例えば0.8nmol以上、例えば1.0nmol以上、例えば1.2nmol以上、例えば1.4nmol以上、例えば1.6nmol以上、例えば1.8nmol以上、例えば2.0nmol以上、例えば2.2nmol以上、例えば2.4nmol以上、例えば2.6nmol以上、例えば2.8nmol、例えば3.0nmol以上、例えば3.2nmol以下の投与量で、末梢的に投与できる。使用される量は、体重1kg当たり3.0nmol以下、例えば、体重1kg当たり、2.8nmol以下、例えば2.6nmol以下、例えば2.4nmol以下、例えば2.2nmol以下、例えば2.0nmol以下、例えば1.8nmol以下、例えば1.4nmol以下、例えば1.2nmol以下、例えば1.0nmol以下、例えば0.8nmol以下、例えば0.6nmol以下、例えば0.4nmol以下、例えば0.2nmol以下とすることができる。投与量は、一般に、体重1kg当たり0.1から3.2nmolの範囲内、例えば、上に与えられた上部および下部の範囲の任意の組み合わせ内にある。
【0077】
PYYまたはそのアゴニストは、GLP−1に対して上に開示した範囲内の投与量で使用できる。さまざまな薬剤の投与量は、互いに独立し得るものであり、例えば、等モル投与量を使用でき、例えば、GLP−1またはそのアゴニストと、PYYまたはそのアゴニストとの等モル投与量を使用できる。投与量は、個別の基準で、または、たいてい70または75kg対象である典型的な対象を基準として計算できる。
【0078】
本発明のさらなる実施態様は、オキシントモジュリンと、任意の仕方で体重と食物摂取の一方または両方に対する影響を有する1つまたは複数の他の薬剤、例えば、以下の効果すなわち、哺乳動物特にヒトの、食物摂取を低減することと空腹を低減することの一方または両方、体重を低減すること、肥満を低減または防止すること、エネルギー消費を増加させること、または栄養分の有効性を低減することのうちの1つまたは複数を有する薬剤とを、製薬上適した担体との混合または組み合わせで、含む製薬組成物である。薬剤は、上に定義したようなものであり、例えば、GLP−1またはそのアゴニストと、PYYそのアゴニストとの一方または両方である。組成物は、例えば、OXM製薬組成物に対して上述したようなものとすることができる。OXMおよび他の薬剤の投与量は、例えば、上述したようなものである。
【0079】
末梢投与のための単位剤形での製薬製剤は、上に与えられた1kg当たり投与量を基準として計算されたOXMの量を含む。一般に、投与量は、75kg対象を基準として計算され得る。例えば皮下投与のための組成物は、75kg対象を基準として計算された、100nmolから500nmolすなわち約0.5mgから約2mgの範囲内のOXMの単位投与量を含むことができる。
【0080】
本発明はまた、上に開示したいずれかの方法に従う対象の治療のための医薬の製造におけるOXMの使用を提供する。
【0081】
OXMと、食物摂取を低減する別の薬剤、例えば、PYYまたはそのアゴニストとGLP−1またはそのアゴニストとの一方または両方とが、ここで説明するような治療における使用のための医薬の製造に使用されるとき、医薬は、上述したように全ての成分を含む単一の製薬組成物とすることができ、または、1つの成分が、OXMを含む製薬組成物であり、残りの1つまたは複数の成分のそれぞれが、食物摂取を低減する他の1つまたは複数の薬剤を含む製薬組成物である、二成分または複数成分医薬とすることができるが、これについては上記を参照のこと。
【0082】
医薬は、一成分医薬であろうと、二成分または複数成分医薬であろうと、一般に、その使用に関連する使用説明書と共に梱包されることになる。そのような使用説明書は、1つまたは複数の組成物の投与の時間、投与量、および経路について言及するものである。
【0083】
他の薬剤と組み合わせて使用するときOXMに関連する方法および組成物に関連する上記の好ましい特徴が、上述したような医薬の製造におけるその使用にもあてはまる。
【0084】
本発明の全ての実施態様において、これらのための特定の投与量の型(regime)は、最終的には主治医によって決定されるものであるとともに、使用されるOXM、動物の種類、年齢、体重、症状の度合いおよび適用される治療の度合いの少なくとも一方、医薬の投与の方法、有害な反応および反対の徴候の少なくとも一方、などといった因子を考慮するものである。具体的に規定された投与量の範囲は、標準的に設計された臨床試験(clinical trials)によって決定でき、患者の進行および回復は、十分にモニタされる。
【0085】
このような試験は、ヒトにおける初期投与量として動物における最大許容投与量の低いパーセンテージを用いる次第に増加する投与量設計を利用し得る。適切な投与量の例は、上に与えられる。
【0086】
本発明の各態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて、他の態様のそれぞれと同様である。
【0087】
本発明は、ここで以下の非限定的な実施例において単に一例として説明される。
【0088】
実施例:
実施例1
OXMは、ICVおよびiPVNの両方で注入されたとき、絶食誘発再摂食において大幅な低減を引き起こす。
【0089】
ペプチドおよび化学薬品:
GLP−1、グリセンチン、グルカゴン、およびSP−1は、Peninsula Laboratories, Inc. (St. Helens, UK)から購入した。OXMは、IAF BioChem Pharma (Laval, Canada)から購入した。エクセンジン−4(exendin-4)およびエクセンジン−(9−39)は、Medical Research Council, Hemostasis Unit, Clinical Sciences Center, Hammersmith Hospital, London, UK において、396MPSペプチド合成装置(396 MPS peptide synthesiser) (Advanced ChemTech, Inc.)にF−moc化学(F-moc chemistry)を用いて合成され、C8カラム(Phenomex, Macclesfield, UK)上の逆相HPLCにより精製された。正確な分子量は、質量分析法により確認された。全ての化学薬品は、特に言及しない限り、Merck & Co. (Lutterworth, Leicester, UK)から購入した。
【0090】
動物:
大人のオスのウィスターラット(Wistar rats)(ICSM, Hammersmith Hospital)が、個々のケージ内において温度(21−23℃)および光(12hの光、12hの闇)の制御条件下で、食物(RM1 飼料(diet), Special Diet Services UK Ltd., Witham, UK)および水道水への随意(ad libitum)アクセスと共に維持された。動物は、手術からの回復後、研究の完了まで、毎日取り扱われた。実施した全ての動物の処置は、British Home Office Animals (Scientific Procedures Act 1986 (Project License PIL 90/1077)によって承認された。
【0091】
ICVおよびiPVNカニューレ挿入および試験化合物の点滴注入(infusions):
動物は、永久ステンレス鋼ガイドカニューレ(Plastics One, Roanoke, VA)定位固定埋め込み(stereotactically implanted)ICV(脳室内的に(intracerebraventricularly))またはiPVN(視床下部室傍核内へ(into the hypothalamic paraventricular nucleus))を有した。全ての研究は、24h絶食後、0900−1100hの間、初期明相(light phase)において実行され、食物摂取は、注入後1、2、4、8、および24hにおいて測定された。
【0092】
摂食研究プロトコル:
プログルカゴン誘導生成物および関連ペプチドの食物摂取に対する影響の比較。
【0093】
研究1aにおいては、ラットは、10μl食塩水(saline)、GLP−1(13nmol)、OXM(3nmol)、グルカゴン(3nmol)、またはグリセンチン(3nmol;n=8/群)がICVで注入された。
【0094】
全ての研究においては、以下の配列、SEQ ID NO: 1:
His Ser Gln Gly Thr Phe Thr Ser Asp Tyr
Ser Lys Tyr Leu Asp Ser Arg Arg Ala Gln
Asp Phe Val Gln Trp Leu Met Asn Thr Lys
Arg Asn Lys Asn Asn Ile Ala SEQ ID NO: 1、
を有する、ヒト(human)OXMが使用された。
【0095】
以下の配列、SEQ ID NO: 7:
His Ala Glu Gly Thr Phe Thr Ser Asp Val
Ser Ser Tyr Leu Glu Gly Gln Ala Ala Lys
Glu Phe Ile Ala Trp Leu Val Lys Gly Arg、
SEQ ID NO: 7、
を有する、ヒト(human)GLP−1が使用された。
【0096】
研究1bにおいては、ラットは、1μ食塩水、GLP−1(1.0nmol)、OXM(1.0nmol)、グリセンチン(1.0nmol)、グルカゴン(1.0nmol)、またはSP−1(3.0nmol;n=12−15/群)がiPVNで注入された。エクセンジン−4は、ICVで注入されるとき、GLP−1より強力に食物摂取を阻害する。従って、エクセンジン−4は、0.03nmolの投与量においてiPVNで注入された。
【0097】
OXMの増加する投与量の食物摂取に対する影響の調査:
研究2aにおいては、ラットは、食塩水、GLP−1(3nmol)、またはOXM(0.3、1、3、または10nmol;n=8/群)がICVで注入された。研究2bにおいては、ラットは、食塩水、GLP−1(1.0nmol)、またはOXM(0.1、0.3、または1.0nmol;n―12−15/群)がiPVNで注入された。OXMがGLP−1受容体を介して作用するか評価するために、GLP−1受容体アンタゴニストエクセンジン−(9−39)を用いた研究が行われた。
【0098】
夜時間摂食および行動分析:
研究3. OXMが、非特異的な味覚嫌悪を介して食物摂取を阻害すること、および、それが、真の飽満因子でないこと、は可能性がある。従って、ICVカニューレが挿入されたラットは、暗相(dark phase)の開始(onset)において、GLP−1(3nmol)、OXM(3nmol)、または食塩水(n=6/群)を投与された。食物摂取は、注入後1hにおいて測定され(研究3a)、行動が評価された(研究3b)。ラットは、行動得点記入表(score sheet)を用いて注入後1hに観察された。
【0099】
研究4aにおいては、ラットは、食塩水、GLP−1(3nmol)、GLP−1(3nmol)およびエクセンジン−(9−39)(30nmol)、OXM(3nmol)、OXM(3nmol)およびエクセンジン−(9−39)(30nmol)、またはエクセンジン−(9−39)(30nmol)のみ、がICVで注入された。研究4bにおいては、ラットは、食塩水、GLP−1(1nmol)、GLP−1(1nmol)およびエクセンジン−(9−39)(10nmol)、OXM(1nmol)、OXM(1nmol)およびエクセンジン−(9−39)(10nmol)、またはエクセンジン−(9−39)(10nmol;n=10−12/群)のみ、がiPVN注入された。
【0100】
受容体結合アッセイ:研究5.
受容体結合アッセイが、最終体積の0.5mlのラット視床下部膜(200μgタンパク質)、500Bq(100pM)[125I]GLP−1、および指定されたような非標識競合ペプチド(GLP−1およびOXM)の中において実行された。膜は、室温で90分間培養された。結合および遊離放射能が、遠心分離(2分間、4℃)によって分離された。ペレット化された膜は、アッセイ緩衝液(0.5ml、氷冷(ice-cold))で洗浄され、膜は、上述したように遠心分離された。上澄みは除去され、ペレット内の放射能が、γ線計数器を用いて計数された。特異的(飽和できる)結合が、1μmGLP−1またはOXMの存在(飽和できない結合)と不存在(結合全体)の中に結合された[125I]GLP−1の量との間の差として計算された。全ての曲線は、三重(in triplicate)の点を用いて構成された。IC50値は、プリズム3プログラム(Prism 3 program)(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)を用いて計算された。
【0101】
統計:
食物摂取分析では、データは、平均±SEMとして表示される。実験群の間の統計差は、ANOVAによって、続いて、事後最小有意差検定(post-hoc least significant difference test)(Systat8. 0, Evanston, IL)によって決定された。行動分析では、データは、範囲と各行動の出現の中央値(median)数として表示される。群間の比較は、Mann−Whitney U検定(Mann-Whitney U test)(Systat 8.0)を用いて行われた。全ての場合に、P<0.05が、統計的に有意であると見なされた。
【0102】
結果:
プログルカゴン誘導生成物および関連ペプチドの食物摂取に対する影響の比較。
【0103】
ICV投与.
研究1aにおいては、OXMおよびGLP−1(3nmol)は、再 摂食を有意に低減した。この食物摂取の阻害は、注入後4hまで持続した(図1A)。グルカゴンおよびグリセンチン(3nmol)は、どの時点でも食物摂取に影響しなかった(図1A)。
【0104】
iPVN投与.
研究1bにおいては、OXM、GLP−1(3nmol)、およびエクセンジン−4(0.03nmol)も、iPVNで投与されたときは、再摂食を阻害した。この阻害は、ICVで注入されたときより長く注入後少なくとも8h持続した(図1B)。グリセンチン、グルカゴン(1nmol)、およびSP−1(3nmol)は、iPVNで注入されたときは、どの時点でも食物摂取に影響しなかった。
【0105】
OXMの増加する投与量の食物摂取に対する影響。
【0106】
ICV投与.
研究2aにおいては、ICVで注入されたときは、OXMは、投与量に依存した仕方で再摂食を低減し、注入後1、2、および4hにおいて,3nmolの投与量で最大効果に到達した(図2A)。
【0107】
iPVN投与.
研究2bにおいては、食物摂取は、iPVNで注入されたGLP−1およびOXM(両方とも1nmol)によって、注入後8hまで有意に低減された(図2B)。
【0108】
暗相の開始におけるICVカニューレ挿入満腹(sated)ラットにおけるOXMの影響:
暗相は、ラットの自然な摂食時間である。従って、このような時間において非絶食動物における推定飽満(putative satiety)因子の影響を評価することは、より生理的な影響を表すであろう。
【0109】
OXMの食物摂取に対する影響.
研究3aにおいては、初期暗相において注入されるとき、GLP−1およびOXM(3nmol)の両方とも、注入後1hにおいて食塩水処置動物の食物摂取に比較して有意に食物摂取を低減した[図3A]。
【0110】
OXMのICV注入後の行動の観察.
初期暗相におけるOXM(3nmol)のICV投与は、摂食エピソード(episodes)(研究3a)における有意な低減、および、後ろ足で立つ(rearing)行動の増加(研究3b)となった[図3B]。毛づくろい(grooming)、静止(still)、項垂れ(head down)、穴掘り(burrowing)、または移動(locomotion)エピソードには変化はなかった。
【0111】
OXMがGLP−1Rを介して作用するか評価するために、GLP−1Rアンタゴニスト、エクセンジン−(9−39)を用いる研究が行われた。
【0112】
ICV投与.研究4.
GLP−1受容体アンタゴニストエクセンジン−(9−39)のGLP−1との10:1(アンタゴニスト/アゴニスト)の割合でのICV共投与(coadministration)は、GLP−1の食欲抑制効果を阻害した[図4A]。さらに、エクセンジン−(9−39)のOXMとの共投与は、OXMの食欲抑制効果の減衰となった[図4A]。
【0113】
iPVN投与.
同様に、iPVNで投与されたときは、GLP−1およびOXMの両方の食欲抑制効果は、エクセンジン−(9−39)と共注入(coinjected)されるときに阻害される[図4B]。
【0114】
受容体結合アッセイ.研究5.
ラット視床下部膜組織標本(preparations)内におけるGLP−1のGLP受容体に対する親和性(IC50)は、0.16nMであった(図5)。同じ膜組織標本内におけるOXMのGLP−1受容体に対する親和性は、8.2nMであった(図5)が、これは、GLP−1の親和性よりほぼ2桁弱い大きさである。
【0115】
検討.
OXMは、ICVおよびiPVNの両方で注入されるとき、絶食誘発再摂食の大幅な低下を引き起こす。この効果は、注入後8hまで(iPVN)または4hまで(ICV)持続された。OXMの効果は、等モル投与量においてICVおよびiPVNで投与されるとき、GLP−1の効果とほぼ同じ大きさおよび時間経過である。さらに、OXMは、暗相の開始における非絶食ラットにおける食物摂取を阻害し、この時、これらのラットは、嫌悪行動の徴候を示さなかった。
【0116】
胃粘膜内にはOXM特異的結合部位(site)があることが示唆された。しかしながら、そのような結合部位は、CNS内では同定されなかった。従って、OXMは、GLP−1およびOXMが摂食研究において類似の強さを有するので、視床下部GLP−IRを介してその効果を媒介することが、提案された。OXMは、GLP−IRに対するナノモル親和性(IC50=8.2nM)を有することが示された。この親和性は、GLP−1の親和性(IC50=0.16nM)よりほぼ2桁弱い大きさである。しかもなお、GLP−1Rに対するこの低減された親和性にもかかわらず、OXMは、同じ大きさまで食物摂取を低減する。これに対する1つの説明は、OXMが、視床下部内のGLP−1Rおよびそれ自体の受容体の両方を通して作用し得るであろうということである。従って、OXMは、GLP−IRに対するそのより低い親和性にもかかわらず、GLP−1の応答に匹敵する応答を顕在化し得るのであろう。
【0117】
エクセンジン−(9−39)、GLP−1Rアゴニストエクセンジン−4の断片(fragment)は、GLP−1Rにおける強力で選択的なアンタゴニストである。GLP−1およびエクセンジン−(9−39)が共注入されるとき、GLP−1の食欲抑制作用は、阻害される。OXMがエクセンジン−(9−39)と共注入されるとき、OXMの食欲抑制効果も完全に阻害される。これは、OXMがGLP−1Rを介してその効果を媒介するという主張に説得力を加えるものであろう。
【0118】
我々は、絶食ラットにおける急性ICV注入後のグリセンチンおよびグルカゴンの影響を調べた。これらのペプチドの投与後に、絶食誘発食物摂取に対する影響は、見られなかった。さらに、これらのペプチドが、iPVNで投与されたときに、これらのペプチドの影響はなかった。SP−1、OXMの推定最小活性構造、がiPVNで注入されたとき、食物摂取の阻害は観察されなかった。従って、OXMに見られる効果は、特異的である。
【0119】
実施例2
OXMの末梢投与も、食物摂取および体重増加を低減する。
【0120】
ペプチドおよび化学薬品:
OXMは、IAF BioChem Pharma (Laval, Canada)から購入した。GLP−1は、Peninsula Laboratories Inc. (St. Helens, UK)から購入した。エクセンジン(9−39)は、Medical Research Council, Hemostasis Unit, Clinical Sciences Centre, Hammersmith Hospital, London, UK において、396MPSペプチド合成装置(396 MPS peptide synthesizer) (Advanced ChemTech Inc., Louisville, KY)にF−moc化学(F-moc chemistry)を用いて合成され、0.1%トリフルオロ酢酸上へのアセトニトリルの勾配(gradient)を用いてC8カラム(Phenomex, Macclesfield, UK)上の逆相HPLCにより精製された。正確な分子量は、質量分析法により確認された。全ての化学薬品は、特に言及しない限り、Merck Eurolab Ltd. (Lutterworth, Leicestershire, UK)から購入した。
【0121】
動物:
大人のオスのウィスターラット(180−200g)が、個々のケージ内において温度(21−23℃)および光(12hの光、12hの闇)の制御条件下で、標準ラット食餌(standard rat chow)(RM1 飼料(diet), Special Diet Services UK Ltd., Witham, Essex, UK)および水への随意アクセスと共に維持された。実施した全ての動物の処置は、British Home Office Animals (Scientific Procedures) Act 1986 (Project Licenses PPL: 90/1077,70/5281 and 70/5516)によって承認された。
【0122】
弓状核内カニューレ挿入:
動物は、ブレグマ(bregma)に対して3.3mm後方かつ0.3mm側方であって頭蓋の外側表面の9.0mm下方に位置するカニューレを使用するカニューレ挿入プロトコルを用いて、視床下部の弓状核内へ定位固定埋め込みされた永久留置(indwelling)一側性(unilateral)ステンレス鋼ガイドカニューレ(Plastics One, Roanoke, VA)を有した。
【0123】
腹膜内(IP)注入:
全てのIP注入は、1ml注射器および25ゲージ(gauge)針を用いて供給された。注入の最大体積は、500μlであり、個々の動物の体重に従って調節された。全てのペプチドは、食塩水に溶解した。
【0124】
これらの研究においては、上の第15および16頁において与えられる配列を有するヒトOXMおよびヒトGLP−1が、使用された。
【0125】
生体内(in vivo)プロトコル:
1.OXMの末梢投与の、絶食動物における食物摂取に対する投与量応答影響の調査:
動物は、研究の前に24時間絶食させた。初期明相(light phase)の間(09.00−10.00hr)に、ラットには、500μlの体積で、食塩水、GLP−1(陽性の対照として、30nmol/kg体重)、またはOXM(10−300nmol/kg体重)(n=12毎群)の単一IP注入が与えられた。注入後、動物は、それらの元(home)のケージに戻され、前もって重量測定された量の食餌が与えられた。食物摂取は、注入後1、2、4、8、および24時間において測定された。
【0126】
2.OXMの末梢投与の、暗相中の非絶食動物における食物摂取に対する影響の調査:
暗相は、ラットにとって「通常(normal)」の摂食時間である。従って、この時間における食物摂食のどのような阻害も、絶食後の再摂食に対する変化よりも生理的であると見なすことができた。動物は、消灯(lights out)前(18.00−19.00hr)に、食塩水、またはOXM(3−100nmol/kg体重)(n=12毎群)の単一IP注入を受けた。食物摂取は、消灯後1、2、4、8、および12時間において測定された。
【0127】
3.OXMの繰り返しIP注入の影響:
45匹の動物たちは、体重により無作為に次の3つの群(n=15毎群):1)食塩水処置で、食物への随意アクセスの群、2)OXM処置(50nmol/kg体重毎注入−投与量は前の投与量応答実験に基づく)で、食物への随意アクセスの群、3)食塩水処置であるが、食物は、OXM処置群の平均明および暗相食物摂取に制限した群、に分けた。動物は、7日間、毎日2回(07.00および18.00hr)、注入された。食物摂取(g)、体重(g)、および水摂取(ml)が、毎日測定された。8日目に、動物は、断頭により殺された。精巣上体白色脂肪組織(epididymal white adipose tissue)(WAT)および肩甲骨間褐色脂肪組織(interscapular brown adipose tissue)(BAT)が、除去され、体脂肪過多症の評価として重量測定された。
【0128】
4.OXMの末梢投与の、胃内容排出(gastric emptying)に対する影響の調査:
動物は、胃を確実に空にするように36時間絶食させた。初期明相の間(09:00−10:00)に、前もって重量測定された量の標準ラット食餌が30分間許可された。この後、食物は、除去され、再び重量測定された。次に、動物は、食塩水、OXM(50nmol/kg体重)、またはCCK−8(15nmol/kg体重)が、IP注入された。次に、ラットは、前の摂食研究において用いたのと同じ時間:摂食後1、2、4、または8時間、において殺された(n=12毎群毎時点)。CCK−8群は、2時間の時点のみにおける実験のための陽性の対照として使用された。動物は、二酸化炭素窒息により殺された。開腹が迅速に行われ、胃が露出された。幽門接合部(pyloric junction)が、結紮され(2.0 Mersilk, Johnson & Johnson, Belgium)、次に、胃−食道接合部(gastro-oesophogeal junction)の結紮が続き、胃が除去された。次に、胃内容物が、除去され、前もって重量測定された計量用舟形容器に置かれ、48時間の空気乾燥に掛けられた。乾燥した後、内容物は、重量測定され、次に、ラット毎に胃内に残留する半時間再摂食時間中に消化された食餌のパーセンテージが、以下の式:
%胃内残留食物=(胃内容物の乾燥重量/消化された食物の重量)×100、
を用いて計算された。
【0129】
5.弓状内OXMの増加する投与量の影響の調査:
弓状内(ARC内(Intra-ARC)(iARC))カニューレ挿入ラット(n=12−15毎群)が、重量により無作為に6つの群に分けられた。初期明相の間(0900−1000)に、24時間絶食ラットが、食塩水、OXM(0.01、0.03、0.1、0.3、または1.0nmoles)のiARC注入を受けた。食物摂取が、注入後1、2、4、8、および24時間において測定された。
【0130】
6.末梢的に投与されたOXMが直接、弓状核GLP−1受容体を介して作用するかの調査:
弓状核内へカニューレ挿入されたラットが、無作為に6つの群(n=10−12毎群)に分けられた。初期明相の間(0900−1000)に、24時間絶食ラットが、食塩水、またはエクセンジン9-39(5nmoles)のiARC注入を受け、その後、15分間後に、食塩水、OXM(30nmoles/kg体重)、またはGLP−1(30nmoles/kg毎体重)のIP注入を受けた。注入の詳細は、以下の表1に記載される。
【0131】
【表1】

【0132】
免疫組織化学(immunohistochemistry):
OXM(50nmol/kg)、CCK(15nmol/kg)、または食塩水のIP注入90分間後に、ラットは、末期的に麻酔(terminally anaesthetized)され、0.1Mリン酸塩緩衝食塩水(phosphate buffered saline)(PBS)、次に、4%PB−ホルマリン(PBF)が、心臓を通して灌流(transcardially perfused)された。脳は、除去され、PBF内で一夜、後固定(post-fixed)され、次に、一夜、PB−スクロース(20%w/v)に移された。脳および脳幹の40μm冠状切片が、凍結ミクロトーム上で切断され、アビチン−ビオチン−ペルオキシダーゼ法(avitin-biotin-peroxidase method)によりfos様(fos-like)免疫反応性(FLI)に対して染色された。次に、切片は、ポリ−L−リシン被覆スライドガラスに載せられ、増加する濃度のエタノール(50−100%)中で脱水され、キシレン中で脱脂(delipidated)され、DPX試料接着物質(mountant)を用いてカバーガラスで覆った。スライドガラスは、光学顕微鏡(Nikon Eclipse E-800)を用いてFLI陽性核が検査され、画像が、顕微画像装置(microimager)(Xillix Microlmager)を用いて撮影された。視床下部および脳幹内のFLI陽性核の数は、実験群に対しては予備知識のない(blinded)研究チームとは独立したメンバーにより計数された。切片毎のFLI陽性核平均数が、計算され、各動物に対して整数で表示された。
【0133】
視床下部外植片静止培養(hypothalamic explant static incubation):
静止培養システムが使用された。オスのウィスターラットが、断頭により殺され、脳全体が直ちに除去された。脳は、腹面(ventral surface)を最も上にして載せられ、振動ミクロトーム(Microfield Scientific Ltd. , Dartmouth, UK)内に置かれた。1.7mmの薄片が、基底(basal)視床下部から取られ、ウィルス環(Circle of Willis)に対して側方に閉塞されて、95%O2および5%CO2と平衡に保たれた1mlの人工脳脊髄液を含む室(chambers)内で培養された。視床下部薄片は、内側視索前野(medial pre-optic area)、PVN(室傍視床下部核(paraventricular hypothalamic nucleus))、背内側核(dorsomedial nucleus)、腹内側核(ventromedial nucleus)、外側視床下部(lateral hypothalamus)、およびARCを含む。管は、37℃に維持された水浴中の乗せ台(platform)上に置かれた。最初の2時間の平衡時間後に、各外植片は、試験時間に掛けられる前に、600μlのaCSF内で45分間(基底時間)、培養された。OXM、100nMが、GLP−1受容体に対するそのIC50の濃度の10倍の濃度を表す投与量として使用された。組織の生存率は、56mM KClを含有するaCSFへの最後の45分間の曝露によって確認された。各実験時間の最後においては、aCSFは、除去され、ラジオイムノアッセイによるαMSH免疫反応性の測定まで、−20℃において貯蔵された。
【0134】
αMSH−IRを測定するためのラジオイムノアッセイ:
αMSHは、Chemicon International Inc.からの抗体を使用して発現された組織内(in-house)ラジオイムノアッセイを用いて測定された。
【0135】
統計分析:
IPおよびiARC摂食研究からのデータは、事後LSD(最小有意差)検定を用いるANOVAにより分析された。異なる処置群からの脂肪体(fat pad)重量が、不対(unpaired)t検定を用いて分析された。視床下部外植片培養研究からのデータは、各外植片がそれ自体の基底時間と比較され、対(paired)t検定により分析された。全ての場合に、P<0.05が、統計的に有意であると見なされた。
【0136】
結果:
1.絶食動物におけるOXMの末梢投与の影響:
OXM(100nmol/kg、および300nmol/kg)の腹膜内投与は、食塩水対照と比較して、注入後1時間における24時間絶食動物の再摂食において有意な阻害を引き起こした(1時間:食塩水、6.3±0.2gに対して、OXM 100nmol/kg、5.4±0.2g(P<0.05)、300nmol/kg、4.5±0.2g(P<0.05))。100nmol/kgにより引き起こされた食物摂取の低減は、注入後8時間まで持続された。しかしながら、OXMの最大投与量(300nmol/kg)は、注入後24時間、食物摂取を有意に阻害し続けた(8時間:食塩水、17.5±0.7gに対して、OXM、300nmol/kg、9.5±0.6g;P<0.05)(図6a)。30nmol/kgおよび10nmol/kgは、調査されたどの時点でも食物摂取を変化させなかった。
【0137】
2.OXMの末梢投与の、非絶食動物における暗相中の食物摂取に対する影響:
OXM、3および10nmol/kgは、調査されたどの時点でも、暗相の直前に注入された夜間摂食(nocturnally feeding)ラットにおいて食物摂取に影響しなかった。しかしながら、OXM、30nmol/kgは、注入後2時間まで食物摂取を有意に阻害した(2時間:食塩水、5.8±0.4gに対して、OXM、30nmol/kg、4.5±0.4g;P<0.05)。食物摂取は、注入後4時間、低減されたが、これは、有意ではなかった。OXM、100nmol/kgは、暗相の全体を通して食物摂取を有意に阻害した(8時間:食塩水、16.9±0.5gに対して、OXM、100nmol/kg、14.1±0.8g;P<0.05)(図6b)。
【0138】
3.OXMの繰り返しIP投与の影響:
OXM(50nmol/kg)の7日間、毎日2回のIP注入は、食塩処置対照動物に比較して、累積日毎(cumulative daily)の食物摂取における有意な低減を引き起こした(累積食物摂取7日目:食塩水、180±4.3gに対して、OXM、50nmol/kg、168±4.6g;P<0.01)(図7a)。さらに、OXM処置動物は、食塩水対照よりゆっくりと有意に体重が増加した(累積体重増加7日目:食塩水、37.6±1.9gに対して、OXM、50nmol/kg、21.0±1.5g;P<0.005)。また、食物制限「対飼育(pair fed)」動物は、同じ食物摂取を受けているにもかかわらず、OXM処置動物ほどゆっくりとは体重が増加しなかった(7日目:対飼育、33.5±2.0g;食塩水(随意摂食)に対して、P=NS、OXMに対して、P<0.05)(図7b)。さらに、長期に亘るOXMは、食塩水注入対飼育動物には見られない、脂肪過多症の低減を引き起こした(表2)。水摂取は、実験の1日目および2日目でOXM処置動物において有意に低減した(1日目:食塩水、28.1±1.33mlに対して、OXM、24.1±1.28ml;P<0.05)。その後の日々においては、食塩水処置動物に比較して毎日の水摂取に増加はなかった(3−6日目)。しかしながら、7日目まで、食塩水およびOXM処置群の間には水摂取に差はなかった(図示せず)。「対飼育(pair fed)」ラットとOXM処置ラットとの間の体重差は、2つの群が同じ量の食物を食べているので、増加したエネルギー消費に起因する。
【0139】
【表2】

【0140】
表2は、7日間、毎日2回の食塩水またはOXM(50nmol/kg)のIP投与の、食物制限および随意摂食ラットにおける、精巣上体WATおよび肩甲骨間BATの重量に対する影響。
【0141】
4.OXMの食欲抑制効果に対する遅延(delayed)胃内容排出の役割:
食物が36時間絶食させたラットに与えられた1時間後では、GLP−1処置動物の胃の内容物の乾燥重量(30分間の摂食時間中に消費された食物のパーセンテージとして)は、食塩水処置動物のものより有意に大きかった(1時間:食塩水、65.8±1.6gに対して、GLP−1、50nmol/kg、76.9±2.7g;P<0.01)が、これは、GLP−1が胃内容排出において有意な低減を引き起こしたことを示唆する。OXM処置動物の胃の内容物は、食塩水処置対照のものより多量であったが、これは、統計的に有意ではなかった(1時間:食塩水 65.8±1.6gに対して、OXM、50nmol/kg、72.0±1.4g;P=0.07)。摂食後2時間では、OXMは、食塩水処置動物に比較して、胃の内容物に影響しなかった。しかしながら、この時点での陽性の対照、CCK(15nmol/kg)が注入された動物は、有意により多量の胃内容物を有していた(2時間:食塩水、38.5gに対して、CCK、15nmol/kg、64.7±6.4g;P<0.01)が、これは、CCKが、胃内容排出の速度において有意な低減を引き起こしたことを示唆する。摂食後4または8時間においては、食塩水処置動物に比較して、胃の内容物に対するOXMの影響はなかった(図8)。
【0142】
5.弓状核内注入OXMの増加する投与量の影響の調査:
食物摂取は、24時間絶食後の再摂食の1時間目の間に、iARCで投与されたOXMの全ての投与量(0.01nmolesを除く)によって有意に阻害された(1時間:全て、食塩水、7.7±0.2gに対して、OXM 0.03nmoles、6.1±0.5g(P<0.05);0.1nmoles、5.6±0.4g(P<0.05);0.3nmoles、5.1±0.6g(P<0.01);1.0nmole、3.6±0.5g(P<0.005))(図9)。OXM0.3および1.0nmolesは、注入後8時間まで食物摂食を有意に阻害し続けた。注入後24時間では、食物摂取は、OXM1.0nモmolesにより阻害されたが、これは、有意ではなかった(24時間:食塩水、40.8±1.6gに対して、OXM、1.0nmole、37.8±3.0g;P=NS)。
【0143】
6.末梢的に投与されたOXMが、弓状核GLP−1受容体を介して作用するかの調査:
GLP−1(30nmol/kg)およびOXM(30nmol/kg)の両方の腹膜内投与は、暗相内への1時間の食物摂取の有意な低減を引き起こした(1時間:食塩水、9.2±0.3gに対して、GLP−1、5.0±0.6g、OXM、5.1±0.4g)。しかしながら、OXMのIP投与により引き起こされた食欲不振は、ARC内へ直接注入されたGLP−1受容体アンタゴニスト、エクセンジン9−39(300nmol/kg)の前投与により阻害された(表3および図10)。IP GLP−1による食物摂取の阻害は、エクセンジン9−39の前iARC投与によっては影響されなかった。
【0144】
【表3】

【0145】
表3は、OXM(30nmol/kg)、GLP−1(30nmol/kg)、または食塩水のIP投与の15分間前に注入されたエクセンジン9−39(5nmoles)または食塩水のiARC投与の1時間食物摂取(g)に対する影響(S=食塩水、G=GLP−1(30nmol/kg)、Ox=OXM(30nmol/kg)、Ex=エクセンジン9−39(5nmoles))。
【0146】
7.応答IP OXMにおける視床下部内のFLI発現のマッピング:
IP OXM投与(50nmol/kg)後、FLIの濃厚(dense)な染色が、ほとんどもっぱら視床下部弓状核内において見出された(図11a)。他の視床下部核(PVN(室傍視床下部核)、DMH(背内側視床下部核(dorsomedial hypothalamic nucleus))、VMH(腹内側視床下部核)(ventromedial hypothalamic nucleus))は、特異的c−fos染色を示さなかった。
【0147】
脳幹においては、IP CCK(15nmol/kg)は、最も著しくは、NTS(孤束核(nucleus tractus solitarius))および最後野(area postrema)において、FLIの濃厚な染色を引き起こした(図6b)。しかしながら、IP 食塩水およびIP OXM(50nmol/kg)のどちらも、調査された同じ脳幹核内においてc−fos発現の特異的増加は引き起こさなかった(図11b)。
【0148】
8.OXMと共に培養されたときの視床下部外植片からのα−MSH放出の変化:
視床下部外植片とOXM(100nM)を培養することは、基底放出に比較して、α−MSHの放出において有意な増加を引き起こした(α−MSH:2.6±0.5fmol/外植片に対して、OXM、100nM、4.1±0.6fmol/外植片;P<0.005)。外植片生存率が、56mM KClと共に培養することにより評価され、生存率は、外植片の>80%において確認された。生存可能でない外植片は、分析から除外された。
【0149】
検討.
OXMの末梢投与は、ラットにおいて食物摂取の低減を引き起こす。これは、明相における絶食に続き、夜間の摂食相の間に見られた。食欲抑制効果は、強力であり、24時間までの長さの時間、持続された。OXMの7日間、毎日2回のIP投与は、過耐性なしで、食塩水で処置されたものに比較して、毎日の食物摂取における低減を引き起こした。OXMで処置された動物は、2群とも同一の毎日のカロリーの摂取を受けているにもかかわらず、対飼育動物よりも体重増加が有意に少なかった。OXMの腹膜内投与は、水摂取を全く一過性で低減したとはいえ、これは持続されず、このことは、体重増加速度の低下が、脱水に起因しなかったことを示唆する。
【0150】
長期に亘る研究の結論では、精巣上体WATおよび肩甲骨間BATが、除去され、重量計量された。OXM処置動物の全ての脂肪体の重量には、同一の食物摂取にもかかわらず、対飼育動物に比較して低減があったことが見出された。従って、末梢OXM投与も、他の代謝パラメータに影響していると思われる。
【0151】
飽満に対する主要な誘因は、脳幹活性化につながる迷走神経媒介機構(vagally-mediated mechanism)を介する遅延された胃内容排出である。GLP−1およびOXMの両方が、齧歯類およびヒトにおける胃内容排出の強力な阻害物質であり、GLP−1の場合は、これが、GLP−1が飽満を促進する支配的な機構であると考えられる。我々は、OXMが、同じ仕方で作用しており、胃内容排出に対するその影響が、持続された食欲抑制の原因であったとの仮説を立てた。しかしながら、OXMの末梢投与は、食物の再導入後の第1の時間における胃内容排出のわずかな遅延につながるが、これは有意ではなく、影響は一時的であった。これは、OXMがゆっくりと胃内容排出を行うが、食物摂取の強固でかつ持続された阻害の原因とはなりそうにないことを示唆した。
【0152】
我々は、OXMの末梢投与が、ほとんどもっぱらARC内においてFLIを増加させることをここに報告する。さらに、我々は、OXMと共に視床下部外植片を培養することによって、視床下部外植片からのPOMC(プロ−オピオメラノコルチン)誘導生成物、αMSHの放出の有意な増加が生じたことを見出した。IP OXMは、迷走神経媒介情報を統合する際に重要であると知られている領域、NTSおよびAP内におけるFLIの発現に影響しなかったが、これは、OXMがこれらの経路を介して作用していないとの考えをさらに強化する。
【0153】
脳幹内の核は、GLP−1作用の一次部位であり、情報は、次に、視床下部PVNへと中継され、そこで、その食欲抑制効果が、媒介される、と考えられる。OXMのARC内への直接注入は、非常に低い投与量においてでさえ、食物摂取の強固でかつ持続された阻害を引き起こしたが、これは、ARCがOXMの作用部位であるとの仮説をさらに支持する。OXMの末梢投与により引き起こされる食欲抑制効果は、ARC内へのエクセンジン9−39の前投与により阻害された。しかしながら、興味深いことには、末梢的に投与されたGLP−1の食欲抑制作用は阻害されなかった。この発見は、OXMがARC内のGLP−1受容体を介して作用していることを強く示している。さらに、それは、GLP−1およびOXMの作用を媒介する別個の経路を同定した。
【0154】
総合すると、これらのデータは、OXMが食物摂取および体重維持の長期および短期の両方の調節において潜在的に重要であることを示す。胃内容排出の遅延および脳幹核の活性化を含む「従来の」飽満経路を介する食欲の低減よりは、循環OXMは、核内のPOMC(プロ−オピオメラノコルチン)ニューロンを潜在的に活性化させることにより、ARCとの直接相互作用を介して、その食欲抑制効果を媒介している。従って、OXMは、哺乳動物における肥満などの過剰体重の治療または防止に有用であり得るとともに、さらには、哺乳動物における肥満などの過剰体重の治療における治療薬剤の開発のための新規な標的となる。
【0155】
実施例3
OXM点滴注入のヒト対象の食物摂取に対する影響の調査。
【0156】
方法:
研究1.
研究設計は、二重盲式プラシーボ対照交差であったが、これについては図12を参照のこと。13人の健康な志願者(年齢 27±2歳; BMI 25.3±0.7kg-2)が、任意の順序で、≧1週間隔てて、OXM(3.0pmol/kg/min)の90分間の点滴注入と、食塩水の点滴注入とを受けた。OXMはヘマクセル(haemaccel)(体積で5%)含有する食塩水に溶解して、注射器および管への吸着を低減した。志願者は、各点滴注入前の3日間およびその後の24時間、食事日誌に完成させた。対象は、各点滴注入の前の日々に類似の食物に従うように指示された。彼らは、各点滴注入前の夜に同一の食事(彼らの選択による)を消費し、9pmから絶食した。
【0157】
各研究日に、静脈内カニューレが、腕静脈内へ両側に挿入されたが、一方は、点滴注入の投与のためであり、他方は、血液採取のために使用された。対象には、心臓モニターが取り付けられ、15分間毎に血圧が測定された。血液試料が、5,000カリクレイン阻害物質単位(Kallikrein Inhibitor Units)(0.2ml)のアプロチニン(aprotinin)(トラシロル、バイエル (Trasylol, Bayer))を含むリチウム−ヘパリン管(リップ社、英国(LIP LTD, UK))内に、30分間毎に収集され、氷上で貯蔵された。遠心分離後、血漿は、すぐに分離され、分析まで−70℃で貯蔵された。
【0158】
点滴注入の終了15分前に、対象には、全ての食欲が満たされることができるほどかつ対象が彼ら自身の食物摂取を評価できないほど過剰に提供されるビュッフェ式食事が提供された。選択肢は、チキンカレー、あっさりと茹でたライス、フルーツサラダ、および、さまざまなミニチョコレートバーおよび、フルーツ風味の甘いものお菓子から成っていた。水は、自由に入手できた。食物摂取は、食事の前後に食物および水の重量を軽量することにより計算した。
【0159】
ビュッフェ式食事後の24時間の食物摂取が、食事日誌に記録され、エネルギー摂取は、ダイエットプランプログラム(Dietplan program)(フォレストフィールドソフトウェア社、ウェストサセックス、英国(Forestfield Software LTD, West Sussex, UK))の助けを借りて計算された。
【0160】
30分間毎に対象は、空腹、飽満、満腹感、予想食物消費、および悪心を評価する視覚的アナログ目盛り(visual analogue scales)(VAS)を完成させた。これらは、最も陽性および陰性の評価を示す文言が各端部に記載された100mmの目盛りから成っていた。
【0161】
研究2.
8人の健康な絶食した志願者が、ビュッフェ食事前30分に100nmolから250nmol(標準食塩水中)の投与量でOXMを皮下投与された以外は、研究1についてと同じプロトコルに従った。
【0162】
結果:
研究1.
OXM点滴注入は、ビュッフェ式食事において消費されたカロリーの有意な落ち込みとなった(192±59kcal; 17.6±5.7%)。12/13対象が、OXM点滴注入で消費されたカロリーの低下を示したが、図13を参照のこと。OXM点滴注入は、主観的空腹指数(scores)の有意な落ち込みを伴ったが、図14(VAS「今あなたは空腹ですか?」60分間P<0.05)を参照のこと。OXM点滴注入の有害な影響はなかった。特に、吐き気(sickness)(悪心)の感情に対するOXMの影響はなかった(VAS「今あなたはどのていど吐き気を感じますか?」75分間P=0.8)。影響は、迅速であるように思われる。
【0163】
研究2.
得られた結果は、表4に示す。
【0164】
【表4】

【0165】
検討.
ヒト対象に対するOXMの非経口投与が、消費されたカロリーの低下と、望ましくない副作用なし特に吐き気(悪心)の感情なしに空腹の主観的感覚の有意な低減と、になるという実証は、哺乳動物の肥満などの過剰体重の治療または防止におけるOXMの利用、および、哺乳動物の肥満などの過剰体重の治療における治療薬剤の開発のための新規な標的としてのOXMの利用、の確認となる。
【0166】
実施例4
OXMのIP投与後の血漿OXM免疫反応性(immunoreactivity)(IR)およびグレリン(ghrelin)免疫反応性IR(グレリン−IR)レベルの調査。
【0167】
方法:
OXMまたは食塩水を、絶食させたラットに投与して、IP OXM後の血漿OXM−IRおよびグレリンIRレベルを調査した。血漿OXM−IRレベルは、先に説明したアッセイを用いて測定したが、エンテログルカゴン(enteroglucagon)(すなわち、N−末端延長OXM(N-terminally elongated OXM)も測定する(Ghatei MA, Uttenthal LO, Christofides ND, Bryant MG, Bloom SR 1983 J Clin Endocrinol Metab 57:488-495)。OXM−IRアッセイは、5.7%のアッセイ内偏差(intra-assay variation)で10pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。グレリンラジオイムノアッセイ(English PJ, Ghatei MA, Malik IA, Bloom SR, Wilding JP 2002 J Clin Endocrinol Metab 87:2984)は、オクタノイルおよびデス−オクタノイル(des-octanoyl)グレリンの両方(全グレリン)を測定した。それは、任意の既知の胃腸または膵臓ペプチドホルモンと交差反応しなかったが、9.5%のアッセイ内偏差で10pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。
【0168】
ラット(n=10毎群)には、明相の開始において、OXM(30nmol/kgおよび100nmol/kg)または食塩水が、IP注入された。ラットは、IP注入後30分および90分に断頭され、動脈幹(trunk)血液が収集された。全ての血漿が収集され、OXM−IRおよびグレリン−IRが定量されるまで、−20Cにおいて凍結された。注入後の期間全体の間、ラットは、絶食させたままであった。OXMの時点と投与量は、前の摂食研究を参照することにより選択された。
【0169】
消化管ホルモンの放出は、食物の含有量、特に脂肪含有量によって影響を受けることが見出された。この理由で、さらなる3つの群(n=10)、すなわち、a) 一夜絶食させ、明相の開始に殺したラット、b) 高脂肪ラット食餌(45%脂肪、リサーチ飼料社(Research Diets Inc))を一夜摂食させ、明相の開始において断頭したラット、c) 一夜絶食させ、点灯の際に、2時間、45%高脂肪ラット食餌への随意(ad libitum)アクセスが与えられたラット、が調査された。ラットは、この2時間の高脂肪食事(すなわち、明相への2時間)の最後において断頭された。全ての血漿が収集され、OXM−IRおよびグレリン−IRが定量されるまで、−20℃において凍結された。
【0170】
結果:
OXM(30nmol/kgおよび100nmol/kg)のIP投与は、注入後30および90分の血漿OXM−IRを増加させた(30分血漿OXM−IR pmol/L: 食塩水 61.8±8.9、 OXM 30nmol/kg 448.9±184.4、 OXM 100nmol/kg 997.1±235.4。 90−分血漿OXM−IR pmol/L: 食塩水 47.5±4.5、 OXM 30nmol/kg 150.6±52.5、 OXM 100nmol/kg 107.8±25.0)。
【0171】
血漿OXM−IRレベルは、3つの付加的な群、すなわち、a) 一夜絶食させ、明相の開始に殺したラット(血漿OXM−IR pmol/L: 51.9±5.8)、b) 高脂肪ラット食餌を一夜摂食させ、明相の開始において断頭したラット(血漿OXM−IR pmol/L: 220.2±22.2)、c) 一夜絶食させ、点灯の際に、2時間、高脂肪食餌への随意(ad libitum)アクセスが与えられたラットは、2時間の高脂肪食事の最後において断頭された(血漿OXM−IR pmol/L: 254.0±32.7)、において決定された。
【0172】
OXM(30nmol/kgおよび100nmol/kg)のIP投与は、注入後30分および90分の絶食血漿グレリン−IRを有意に低下させた(30分血漿グレリン pmol/L: 食塩水、1056.9±64.0、 OXM、30nmol/kg 867.4±42.0(p<0.01)、 OXM、100nmol/kg 860.0±47.5(p<0.02)。90分血漿グレリン−IR pmol/L: 食塩水、1055.2±52.5、 OXM、30nmol/kg 886.9±36.3(p<0.01)、 OXM、100nmol/kg 900.0±52.9(P<0.05)、図15を参照のこと。
【0173】
血漿グレリン−IRレベルは、3つの付加的な群、すなわち、a) 一夜絶食させ、明相の開始に殺したラット(血漿グレリン−IR pmol/L: 1066.1±80.9)、b) 高脂肪ラット食餌を一夜摂食させ、明相の開始において断頭したラット(血漿グレリン−IR pmol/L: 611.3±16.9)、c) 一夜絶食させたラットは、点灯の際に、2時間、高脂肪食餌への随意(ad libitum)アクセスが与えられ、2時間の高脂肪食事の最後において断頭された(血漿グレリン pmol/L: 648.9±57.3)、において決定された。
【0174】
実施例5
OXM点滴注入のヒト対象に対する影響の調査。
【0175】
方法:
研究設計.
研究設計は、実施例3におけるのと同様であった。対象は、t225まで研究室に留まっていた。彼らは、翌朝09:00までVASを完成し続け、ビュッフェ式食事後24時間(翌日13:00まで)日誌に食物摂取を記録した。食事日誌は、研究およびエネルギー摂取に対しては予備知識のない(blinded)栄養士によって分析され、ダイエットプランプログラム(Dietplan program)(フォレストフィールドソフトウェア社、ウェストサセックス、英国(Forestfield Software LTD, West Sussex, UK))の助けを借りて計算された。
【0176】
血漿ホルモン測定.
全ての試料は、アッセイ間(inter-assay)偏差を除去するように一つのアッセイ内においてかつ二重に定量された。血漿OLI、膵臓グルカゴン、ペプチドYY(PYY)、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1(glucagon-like peptide-1)(GLP−1)、およびグレリン(ghrelin)が、確立された組織内(in-house)RIAsを用いて測定された。OLIアッセイ(Ghatei MA, Uttenthal LO, Christofides ND, Bryant MG, Bloom SR 1983 J Clin Endocrinol Metab 57:488-495)が、5.7%のアッセイ内偏差で10pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。PYYアッセイ(Adrian TE, Savage AP, Sagor GR, Allen JM, Bacarese-Hamilton AJ, Tatemoto K, Polak JM, Bloom SR 1985 Gastroenterology 89:494-499)が、5.8%のアッセイ内偏差で2pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。PYY抗体が、PYYのC末端に対して特異的であり、ヒトPYY3−36と十分に交差反応した。インスリンアッセイ(Kreymann B, Williams G, Ghatei MA, Bloom SR 1987 Lancet 2:1300-1304)が、5.4%のアッセイ内偏差で6pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。GLP−1アッセイ(Kreymann B, Williams G, Ghatei MA, Bloom SR 1987 Lancet 2:1300-1304)が、6.1%のアッセイ内偏差で8pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。GLP−1抗体が、アミド化されたGLP−1に対して特異的であり、GLP−1(1−37)、GLP−1(1−36)、およびGLP−1(7−37)と交差反応しなかった。グレリンアッセイ(English PJ, Ghatei MA, Malik IA, Bloom SR, Wilding JP 2002 J Clin Endocrinol Metab 87:298)が、9.5%のアッセイ内偏差で10pmol/L(95%信頼限界)の変化を検出できた。血漿レプチン(leptin)が、リンコリサーチ社(ミズーリ州、米国)(Linco Research (Missouri, USA))のヒトレプチンRIAキット(human leptin RIA kit)を用いて測定された。
【0177】
結果:
1.OXM点滴注入のエネルギー摂取に対する影響:
OXM点滴注入は、19.3±5.6%だけビュッフェ式食事におけるエネルギー消費を有意に低下させた(低減対食塩水: 220±60kcal、P<0.01)。研究した13対象のうち12が、OXM点滴注入でエネルギー摂取の低下を示した(図17)。1対象において応答がないことの明らかな原因はなかった。OXM点滴注入は、11.3±6.2%だけ累積12時間エネルギー摂取を有意に低減した(低減対食塩水: 365±159 kcal、P<0.05)(図3)。累積24時間エネルギー消費は、有意には変わらなかった(食塩水 3043±366kcal、 OXM 2768±297kcal)。OXMは、ビュッフェ式食事におけるまたはその後の累積12時間および24時間食物摂取における多量栄養素(macronutrients)から得られるカロリーの割合も、水の消費も変更しなかった。
【0178】
2.OXM点滴注入の食欲および嗜好性に対する影響:
食塩水の点滴注入の間、空腹に対する視覚的アナログ指数(visual analogue scores)は、絶食期間の全体を通して有意には変わらなかったが(図18)、一方、OXM点滴注入は、空腹の有意な落ち込みを生じた(漸増のAUCt0からt75: 食塩水 +273±128mm.min、 OXM マイナス374±185mm.min、P<0.05))。ビュッフェ式食事後の空腹の低下は、食塩水およびOXM点滴注入の日々において同様であり、空腹指数は、その後同様のままであった。食事の時間の長さは、OXMにより有意に低減した(食塩水 19.2±1.3min、 OXM 15.1±1.8min、 P<0.05)。飽満、予想食物消費、悪心、および嗜好性に対する視覚的アナログ指数に対するOXMの影響はなかった(データは図示せず)。
【0179】
3.OXM様免疫反応性(OXM-like immunoreactivity)(OLI)の血漿レベル:
OXMの点滴注入は、血漿OLIを、62±5pmol/Lからt60におけるピークの907±32pmol/Lに上昇させた(図19)。比較として、食塩水点滴注入の日において、ビュッフェ式の消費は、195分において、151±18pmol/Lのピークの食後OLIレベルとなった。OXM点滴注入の間の血漿試料のゲル浸透分析(図20)は、合成OXMと同じ位置(Kav=0.6)に溶離する単一の免疫反応性ピークを示した。従って、元のままの(intact)全部の長さのOXMが、主な循環形態であった。
【0180】
4.OXM点滴注入の血漿グレリンに対する影響:
食塩水点滴注入の間、血漿グレリンレベルは、絶食期間の全体を通して増加し(t0 461±32pmol/L、 t75 484±35pmol/L)、食事後低下した。(t225 357±28pmol/L)。しかしながら、OXMの点滴注入の間、グレリンの絶食レベルは、食事の前に低下し(t0 482±33pmol/L、 t75 435±35pmol/L)、グレリンのさらなる食事後低減があった(t225 356±31pmol/L)。従って、ビュッフェ式食事の前の血漿グレリンは、食塩水に日介してOXM点滴注入により有意に低減した(t0からt75のグレリンの平均変化: 食塩水 +24±10pmol/L、 OXM マイナス47±11pmol/L、 P<0.0001)(図21)。OXM点滴注入に起因するプラズマグレリンの抑制は、対応する食塩水点滴注入の日におけるグレリンの44±10%の食後の低下を示す(平均食後低下155±19pmol/L)。
【0181】
5.OXM点滴注入の血漿ホルモンレベルに対する影響:
PYY、インスリン、膵臓グルカゴン、GLP−1、またはレプチン(表1)の絶食血漿レベルに対するOXM点滴注入の有意の影響はなかった。女性対象のレプチンの血漿濃度は、先に報告されているように男性よりは高かった。
【0182】
検討.
我々は、OXMの全身投与が、健康なヒト対象の食物摂取を有意に低減するということを実証した。OXMの静脈内点滴注入は、19%だけビュッフェ式食事におけるカロリー摂取を低減し、累積エネルギー摂取は、点滴注入後12時間において低下した。食物摂取のよりいっそう小さな変化は、長期間持続される場合、体重減少となるであろう。しかしながら、累積24時間エネルギー摂取に対するOXMの有意な影響はなかった。我々の研究は、OXMがエネルギー消費を増加させ得ることを示している。OXMは、その可能性のある治療上の使用の観点から重要である食事の楽しみに影響を及ぼさなかった。
【0183】
グレリンは、ヒトの食欲の強力な刺激剤であり(Wren AM, Seal LJ, Cohen MA, Brynes AE, Frost GS, Murphy KG, Dhillo WS, Ghatei MA, Bloom SR 2001 Ghrelin enhances appetite and increases food intake in humans. J Clin Endocrinol Metab 86:5992)、血漿グレリンの食前の上昇は、食事開始の引き金であると示唆されている(Cummings DE, Purnell JQ, Frayo RS, Schmidova K, Wisse BE, Weigle DS 2001 血漿グレリンレベルの食前上昇は、ヒトの食事開始の役割を示唆する.Diabetes 50:1714-1719)。従って、OXM点滴注入が絶食血漿グレリンを抑制するという我々の新規な発見は、潜在的に重要である。OXMによるグレリンの通常の食前の上昇の阻害は、OXM点滴注入が食欲を低減する一つの機構となりそうである。この発見はまた、グレリンレベルが食後に低減されるほとんど知られていない機構に光を当てることができる。齧歯類において、絶食は、血漿グレリンを増加させ、一方、水でないグルコースの経口摂取は、グレリン分泌を低下させるが、これは、血漿グレリンの抑制が胃の拡張でなく栄養分の摂取に関連することを示唆している。従って、栄養分の摂取に応答して放出されるOXMは、血漿グレリンの通常の食後の阻害に寄与し得る。循環するグレリン全体の割合だけが、生物学的に活性なオクタノイル化された形態であると考えられる。食物消費およびOXM点滴注入の影響は、この活性グレリンのレベルを主に低減することとなり得る。
【0184】
ヒトの胃内容排出(gastric emptying)を阻害するOXMの静脈内点滴注入が示された。胃内容排出の抑制は、満腹感の感覚を生じることにより飽満に寄与し得る増加された胃の拡張となり得る。現在の研究において、空腹指数は、胃の拡張が重要でありそうもないときの絶食状態においてOXMによって有意に低減された。従って、食事前の期間における食欲の低減は、胃内容排出に対するOXMの影響から生じそうである。OXMの食欲抑制(anorectic)効果は、PYYおよびレプチンの放出の刺激によって媒介されるように思われないが、その理由は、これらのホルモンの濃度がOXM点滴注入によって影響を受けないからである。
【0185】
我々は、ヒトにおいて、上昇したOXM循環レベルの食欲抑制効果を実証した。OXMの点滴注入は、熱帯性スプルーに見られるとともに病的飽満のための空腸回腸バイパス手術の後に見られる上昇した濃度に比較され得るOLIの循環レベルを生成する。従って、OXMは、これらの条件で観察される食欲の喪失および体重減少に寄与し得る。我々は、OXMのより低い食後濃度が、通常の個人における食欲の生理的低減に寄与し得ると、また、OXMの外因的な(exogenous)投与が、肥満における食物摂取を低減することとエネルギー摂取を増加させることの一方または両方を行う可能性を有すると、考える。
【0186】
総合すると、これらのデータは、OXMが食物摂取、エネルギー消費、および体重維持の長期および短期の両方の調節において潜在的に重要であることを示す。従って、OXMは、哺乳動物における肥満などの過剰体重の治療または防止に有用であり得るとともに、さらには、哺乳動物、特にヒトにおける肥満などの過剰体重の治療における治療薬剤の開発のための標的となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、対象のカロリー摂取を低下させる方法、対象の食欲を低下させる方法、対象の食物摂取を低下させる方法、対象のエネルギー消費を増加させる方法、対象の体重制御または治療方法、または、対象の肥満の低減または防止方法。
【請求項2】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、対象の体重増加を防止および低減する方法、対象の体重減少を誘発および促進する方法、または、体格指数により測定される肥満を低減する方法。
【請求項3】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、対象の食欲、飽満、および空腹のいずれか1つまたは複数を制御する方法。
【請求項4】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含み、対象の飽満および飽満の感覚の一方または両方を誘発、増加、増強、または促進することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含み、対象の空腹または空腹の感覚を低減、阻害、または抑制することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、対象の所望の体重、所望の体格指数、および/または所望の容姿、および良好な健康を維持する方法。
【請求項7】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、対象の脂質プロフィールを改善する方法。
【請求項8】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、栄養分の有効性を低減することとエネルギー消費を増加させることの一方または両方により軽減できる対象の状態または障害を軽減する方法。
【請求項9】
対象にオキシントモジュリンを投与することを含むことを特徴とする、対象の循環グレリンのレベルを低減する方法。
【請求項10】
効果が、循環グレリンのレベルを低減することにより達成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
オキシントモジュリンが、脳に対する末梢的な経路を介して投与されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
オキシントモジュリンが、経口、粘膜例えば口腔、舌下、鼻腔、直腸、皮下、経皮静脈内、筋肉内、または腹腔内の経路により投与されることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
オキシントモジュリンは、対象の体重1kg当たり、例えば0.1nmol以上の投与量で、例えば、体重1kg当たり、0.2nmol以上、例えば0.5nmol以上、例えば1nmol以上、例えば1.5nmol以上、例えば2nmol以上、例えば2.5nmol以上、例えば3nmol以上、例えば4nmol以上、例えば5nmol以上、例えば6nmol以上、例えば7nmol以上、例えば8nmol以上、例えば9nmol以上、例えば10nmol、例えば11nmol以上、例えば12nmol以下の投与量で、末梢的に投与されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
オキシントモジュリンは、体重1kg当たり11nmol以下の投与量で、例えば、体重1kg当たり、10nmol以下、例えば9nmol以下、例えば8nmol以下、例えば7nmol以下、例えば6nmol以下、例えば5nmol以下、例えば4nmol以下、例えば3nmol以下、例えば2nmol以下、例えば1nmol以下、例えば0.5nmol以下、例えば0.4nmol以下、例えば0.2nmol以下の投与量で、投与されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
オキシントモジュリンは、食事前に0.5mgから2mgの投与量で投与されることを特徴とする請求項1から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
オキシントモジュリンと、それぞれが体重と食物摂取の一方または両方に対内する影響を有する1つまたは複数の他の薬剤とを投与することを含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の他の薬剤それぞれが、以下の効果すなわち、哺乳動物の、食物摂取を低減することと空腹を低減することの一方または両方、体重を低減すること、肥満を低減または防止すること、エネルギー消費を増加させること、または栄養分の有効性を低減することのうちの1つまたは複数を有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
他の薬剤、または他の薬剤のうちの1つが、GLP−1またはそのアゴニストであることを特徴とする請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
他の薬剤、または他の薬剤のうちの1つが、PYYまたはそのアゴニストであることを特徴とする請求項16または17記載の方法。
【請求項20】
他の薬剤は、PYYまたはそのアゴニストと、GLP−1またはそのアゴニストとであることを特徴とする請求項16または17記載の方法。
【請求項21】
オキシントモジュリンと、1つまたは複数の他の薬剤とは、同時にまたは任意の順序で逐次に投与されることを特徴とする請求項16から20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
PYYまたはそのアゴニストと、GLP−1またはそのアゴニストとの一方または両方は、対象の体重1kg当たり、0.1nmolまたはそれを超える投与量で、例えば、体重1kg当たり、0.2nmol以上、例えば0.4nmol以上、例えば0.6nmol以上、例えば0.8nmol以上、例えば1.0nmol以上、例えば1.2nmol以上、例えば1.4nmol以上、例えば1.6nmol以上、例えば1.8nmol以上、例えば2.0nmol以上、例えば2.2nmol以上、例えば2.4nmol以上、例えば2.6nmol以上、例えば2.8nmol、例えば3.0nmol以上、例えば3.2nmol以下の投与量で、末梢的に投与されることを特徴とする請求項16から21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
PYYまたはそのアゴニストと、GLP−1またはそのアゴニストとの一方または両方は、体重1kg当たり3.0nmol以下の量で、例えば、体重1kg当たり、2.8nmol以下、例えば2.6nmol以下、例えば2.4nmol以下、例えば2.2nmol以下、例えば2.0nmol以下、例えば1.8nmol以下、例えば1.4nmol以下、例えば1.2nmol以下、例えば1.0nmol以下、例えば0.8nmol以下、例えば0.6nmol以下、例えば0.4nmol以下、例えば0.2nmol以下の量で、末梢的に投与されることを特徴とする請求項16から22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1つに規定された方法における使用のためのオキシントモジュリン。
【請求項25】
請求項1から23のいずれか1つに記載された方法における使用のための医薬の製造のためのオキシントモジュリンの使用。
【請求項26】
製薬上適した担体との混合または組み合わせでオキシントモジュリンを含み、オキシントモジュリンの投与量が、請求項9または10記載の1kg当たり投与量を基準として計算されることを特徴とする、単位剤形の製薬組成物。
【請求項27】
投与量当たり0.5mgから2mgのオキシントモジュリンを含むことを特徴とする、皮下投与に適した形態の製薬組成物。
【請求項28】
オキシントモジュリンと、それぞれが体重と食物摂取の一方または両方に対内する影響を有する1つまたは複数の他の薬剤とを含むことを特徴とする製薬組成物。
【請求項29】
1つまたは複数の他の薬剤が、以下の効果すなわち、哺乳動物の、食物摂取を低減することと空腹を低減することの一方または両方、体重を低減すること、肥満を低減または防止すること、エネルギー消費を増加させること、または栄養分の有効性を低減することのうちの1つまたは複数を有することを特徴とする請求項28記載の製薬組成物。
【請求項30】
他の薬剤、または他の薬剤のうちの1つが、GLP−1またはそのアゴニストであることを特徴とする請求項28または29記載の組成物。
【請求項31】
他の薬剤、または他の薬剤のうちの1つが、PYYまたはそのアゴニストであることを特徴とする請求項28または29記載の組成物。
【請求項32】
他の薬剤は、PYYまたはそのアゴニストと、GLP−1またはそのアゴニストとであることを特徴とする請求項28または29記載の組成物。
【請求項33】
単位剤形であり、PYYとGLP−1の一方または両方の投与量が、請求項22または23記載の通りで、70から75kg対象を基準として計算されることを特徴とする請求項30から32のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項34】
脳に対する末梢的な経路を介する投与に適した形態であることを特徴とする請求項28から33のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項35】
経口、粘膜例えば口腔、舌下、鼻腔、直腸、皮下、経皮静脈内、筋肉内、または腹腔内の経路による投与に適した形態であることを特徴とする請求項34記載の組成物。
【請求項36】
単位剤形であり、オキシントモジュリンの投与量が、請求項10または11記載の通りで、70から75kg対象を基準として計算されることを特徴とする請求項28から35のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項37】
皮下投与に適した形態であり、オキシントモジュリンの投与量が0.5mgから2mgであることを特徴とする請求項36記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−42688(P2011−42688A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−264589(P2010−264589)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2006−500176(P2006−500176)の分割
【原出願日】平成16年1月12日(2004.1.12)
【出願人】(505167543)インペリアル・イノベ−ションズ・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】