説明

摩擦係数の増加に伴いブレードのストレス及び感光体のトルクを最小化する旋回式クリーニングブレード

【課題】故障が少ない旋回式クリーニングブレードを提供する。
【解決手段】感光体108に対する動作位置内に位置するブレード210のホルダ300の瞬間回転中心が、ブレード先端が感光体に接触する面の上でブレード先端の上流、又は接触面の下でブレード先端から下流に位置するよう、旋回機構は設計される。これらの構成により、ブレードと感光体との摩擦係数が増加するとブレード荷重が低減され、感光体のトルクが大きくなることを遅らせる。回転の中心位置を慎重に選択することにより、予測される摩擦係数の範囲で良好な清掃を行うために十分に高い値にブレード荷重を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に複写機/プリンタに関し、より詳細には、撮像装置の表面から残留トナーを清掃し、摩擦係数が増加することで引き起こされるブレードのストレスを制御することによりクリーニングブレードの故障を削減することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な静電記録式印刷処理では、感光体、即ち感光材が均一な電位に帯電されて帯、その表面に感光性を与える。感光材の帯電された部分には、複写される原稿の光画像が照射される。帯電された感光材への照射により、照射された領域内の感光材の電荷が選択的に集散される。この処理により、原稿の中の情報を含む領域に対応する静電潜像が感光材の上に記録される。感光材の上に静電潜像が記録された後、現像剤材料をその潜像に付着させることで、この潜像は現像される。一般に、現像剤材料には摩擦電気的にキャリア粒体に付着するトナー粒子が含まれる。トナー粒子は、このキャリア粒体から潜像に引き付けられて、感光材の上にトナー粉末画像を形成する。次いで、トナー粉末画像は感光材からコピーシートに転写される。トナー粒子に熱を加えることにより、この粉末画像を恒久的にコピーシートに定着させる。各転写処理の後、感光体上に残存するトナーは、クリーニング装置により清掃される。
【0003】
ブレードクリーニングとは、印刷システム内の感光体、感光材、又はその他の基板の表面からトナー及び付着物を取り除く技術である。一般的な用途では、比較的薄く弾力性のあるブレード部材が、感光体に隣接し、横方向に感光体に交差して支持される。このブレード部材は感光材の表面からトナーを削る、又はふき取るためのブレードエッジを含む。ブレードに近辺に蓄積されたトナーは、トナー搬送機構又は重力によりブレード領域から取り除かれる。ブレードクリーニングは、低コスト、小型の清掃ユニット、低消費電力、及び簡単な構造、により他のクリーニングシステムに比べて有利である。しかし、クリーニングブレードは主に帯電モードで使用される。ブレードには抵触荷重、又は駆動荷重のどちらか一方がかかり、また印刷作業が完了するまでの開始―動作―停止のサイクル(「動作サイクル」)通して動作位置にとどまったままである。帯電モードでは、主に動作サイクルが始まりや終わりでの感光体との干渉により引き起こされる故障のためにクリーニングブレードの耐用期間が短縮される。感光体表面を被覆することで感光体の耐用期間を延ばせるが、一般に摩擦係数が増加しブレード摩耗率が高くなる。クリーニングブレードに対する摩擦係数が増加すると、トルクが大きくなり引っかき傷の問題が発生する。これらの問題が、感光体の表面からトナーを清掃するときにさらなる問題を引き起こす。
【0004】
クリーニングブレードは、一般的に一定の抵触荷重又は一定のブレード荷重のどちらかにおいて動作するよう設計されている。経時的なブレードの応力緩和、及びブレードエッジの摩耗、部品及び組立体の耐性、並びに環境条件及び供給されるトナーからのクリーニングストレスを考慮して、クリーニングブレードには当初、ブレードの耐用期間中、極度のストレス状態で良好な清掃を行うために十分に高いブレード荷重がかけられる。しかし、必用とする荷重より高いブレード荷重により、ブレード及び電荷保持面はより急速に摩耗する。この摩耗率を低くするために、被膜電荷保持面が開発されている。被膜することにより電荷保持面を保護できるが、この被膜により、大抵の場合ブレードの摩擦率は増加してしまう。
【0005】
抵触荷重において、ブレードをフレームにきつく取り付けて感光体に対するブレード荷重を発生させる。ブレード材料は経時的に緩み、ブレード荷重は当初の値より若干減少する。荷重をかけられるブレードは、旋回式ブレードホルダに取付けられる。ブレード荷重は、重さ又はブレードホルダに対して押し付けるバネにより生成され、このブレードホルダにより荷重がブレードの先端に伝えられる。経時的にブレード材料は動き、その作用角は当初の値より若干減少する。さらに、ブレードの老朽化による摩擦の増加、潤滑性の欠乏、及び表面に付着する硬化トナーによりブレードへストレスが加わり、ブレードの効果は減少する。従来、旋回式ブレードホルダは、ブレード先端が接触する面の上にその旋回軸を設けて設計されていた。この構成では、先端が接触する面の摩擦力が旋回点を通して作用し、旋回軸の周りの回転モーメントは発生さず、したがってブレードの垂直荷重の変化を完全に妨げてきた。結果として、従来のブレードホルダでは、摩擦係数の変動により生じるブレード荷重の変化をうまく利用することはできない。
【0006】
高い摩擦状態においてクリーニングブレードを動作させるための別の手段には、ブレードと感光体との間の摩擦を減少させる方法が含まれ、この方法では、感光体を駆動させるために利用できるトルクを大きくし、ブレードの強度を増やし、クリーニングブレードのパラメータを最適化する。摩擦を抑えるという発想には、現像されるトナー(文書間の領域に現像されるすじ等)を増やすこと、トナーの中に潤滑性の添加物(ステアリン酸亜鉛等)を加えること、感光体の表面に潤滑性の添加物(PTFE等)を塗布すること、潤滑性の添加物をブレードに塗布すること、及び添加物(ステアリン酸亜鉛等)を直接感光体の表面に塗布することが含まれる。従来、摩擦を抑えるという発想は、非常に高い摩擦状態ではほとんどうまくいかない。潤滑剤としてのトナーの添加物、PTFE感光体、及びステアリン酸亜鉛塗布器が最も成功した代替手段であった。感光体を駆動させるモータのトルクを大きくすることで、高い摩擦により感光体の速度が落ちるという問題を防ぐことができるが、ブレードの耐用期間の要求基準を極端に短くしなければ、ブレードエッジの損傷という問題が残ってしまう。現状のブレード材料は、高い摩擦状態では、強度を増し、且つブレード耐用期間を著しく延ばすことがほとんどない方向に発展してきた。より硬いブレード材料は、耐用期間も長く、一般的に低い摩擦係数を有するが、ブレード材料を改良するだけでは十分とは言えない。クリーニングブレードの作用角度を小さくすることで、ブレード荷重を抑えカット角を最適化することが、ブレードエッジにかかるストレスをいくらか抑えることに役立つが、おそらくそれだけでは高い摩擦に関する問題を解決するためには十分ではない。これらの代替手段は全て、ブレードの耐用期間を延長させ、感光体を駆動させるトルクを小さくし、システムの相互作用に潤滑性を加えるために、ある種の犠牲を払っている。ブレードを旋回させるという発想より、感光体を駆動させるトルク、及びブレードエッジへのストレスを非常に著しく低減させる、しかも上記の様々な別の手段の組み合わせることで、さらに大きな改良が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の理由、及びその他の本明細書を読み理解すれば当業者には容易には明らかとなる下記の理由から、当技術分野では、ブレード荷重を低減することにより、摩擦の増加に適用するクリーニングシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の態様により、クリーニングブレードと感光体との表面との接触を管理してブレードの実用的な耐用期間を延長する装置及び方法が提供される。クリーニングブレードは、旋回式のホルダに取付けられる。感光体に対するその動作位置で、ブレードホルダの瞬間回転中心が、ブレード先端が感光体に接触する面の上でブレード先端の上流、又は接触する面の下でブレード先端から下流に位置するように、旋回機構が設計される。これらの構成により、ブレードと感光体との摩擦係数が増加するとブレードの荷重が低減され、従来の抵触荷重をかけられたブレードと比較して、感光体のトルクが大きくなることを遅らせる。回転の中心位置を慎重に選ぶことにより、予想される摩擦係数の範囲で良好な清掃を行うための十分に高い値にブレード荷重を維持することができる。4枚板の連結構造により、ブレードホルダを旋回させる機構がコンパクトとなり、処理部及びその他の構成部品に干渉するという、これらの機構の潜在的な問題が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施形態による静電記録式、又は乾式静電記録式印刷の関連部品を示す概略正面図である。
【図2】図2は、実施形態による仮想旋回点、及び4枚板の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具を示す説明図である。
【図3】図3は、実施形態によるコンパクトな4枚板の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具の部品図である。
【図4】図4は、実施形態によるコンパクトな4枚板の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具の側面図である。
【図5】図5は、実施形態によるブレード荷重と、ブレード荷重(N)に対する摩擦係数との関係を示す曲線のグラフである。
【図6】図6は、実施形態によるブレードを調整後のブレード荷重と、ブレード荷重(N)に対する摩擦係数との関係を示す曲線のグラフである。
【図7】図7は、実施形態による弾力性のある材料で作られたブレード部材、及びそのブレード部材を旋回可能に支持する機構を用いて、印刷装置内の構成部品の表面上の物質を処理する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載される様々な態様によって、クリーニングブレードを用いる乾式電子写真方式撮像装置内の感光体表面の清掃を円滑にするシステム及び方法を説明する。動作のサイクル中にブレードにかかるストレスを大幅に低減するために、開示されている発明では、摩擦係数の変動に応じてブレード荷重が調整される。ブレードと感光体との間の摩擦接触により引き起こされるストレスは、主として垂直力を増やし疲労破損エッジの亀裂を招く。本開示により、旋回式の荷重をかけられるクリーニングブレードの使用が提案され、この旋回式クリーニングブレードは、ブレード荷重を低減することにより、ブレードと感光体との摩擦の増加に順応する。接触面での摩擦力(μN)により作り出される回転モーメントにより、ブレード荷重(N)が低減され、摩擦力(μN)の増加量を抑えられるよう、ブレードホルダの旋回軸は、ブレード先端が接触する面からオフセットされる。摩擦係数が増加するとブレードの垂直力が低減されるよう、旋回軸の位置を選択する。さらに、全ての選択された旋回軸の位置において、最大予測摩擦係数でのブレード荷重が、良好な清掃性能を提供するために十分に高いことが確実に保証される。
【0011】
開示されている実施形態の態様は、移動する表面から残留材料を取り除くための旋回式クリーニングブレード取付け具に関し、この旋回式クリーニングブレード取付け具は、ブレード材のブレード先端が移動する表面の経路に対して傾斜するように支持されたブレード部材であって、ブレード先端が接触角度で移動する表面と接触する第1の面を形成する、ブレード部材と、第1の面からオフセットされた第2の面内に仮想旋回点を有するブレード部材を旋回可能に支持する機構と、を含み、この仮想旋回点の位置は、老朽化、又は移動する表面の潤滑性の減少により引き起こされる摩擦係数の変動によるブレード先端のストレスを抑えるよう選択される。
【0012】
旋回式クリーニングブレード取付け具の開示されている実施形態のさらに別の態様では、ボード取付け具、連結ロッド、連結ロッドクランプ、及びそれらを組み合わせから成る群から選択された機構を含む。
【0013】
旋回式クリーニングブレード取付け具の開示されている実施形態のさらに別の態様では、ボード取付け具のうちの1つにより、その全長に沿って支持されるブレード部材を含む。
【0014】
旋回式クリーニングブレード取付け具の開示されている実施形態のさらに別の態様では、ブレード部材の支持部は、旋回運動に関して取付けられるよう適用される。
【0015】
旋回式クリーニングブレード取付け具の開示されている実施形態のさらに別の態様では、この機構は、支持部に取り付けられる圧縮バネ、引張りバネ、ねじりバネ、又は重さのうちの手段により傾斜をかけられる。
【0016】
旋回式クリーニングブレード取付け具の開示されている実施形態のさらに別の態様では、この機構は、ボード取付け具に接続する連結ロッドを含む。
【0017】
旋回式クリーニングブレード取付け具の開示されている実施形態のさらに別の態様では、連結ロッドは、連結ロッドクランプの中で回転する。
【0018】
開示されている実施形態さらに別の態様では、構成部品の表面の物質を処理するための装置が含まれ、この装置は、第1の表面を有する自由端部を含み、弾力性のある材料からなる本体と、自由端部の反対側に位置し、本体を旋回可能に支持する機構にしっかりと固定された固定端であって、これにより本体が仮想旋回点の周りを旋回する固定端と、第1の表面の反対側の第2の表面と、本体の第1の表面が構成部品の表面の物質を処理するよう、本体に荷重をかけるよう適用されたバネ又は重さであって、このバネ又は重さにより機構を通して自由端部で本体の第2の表面に荷重が加えられる、バネ又は重さと、を含み、仮想旋回点の位置は、老朽化又は構成部品の潤滑性の減少により引き起こされる摩擦係数の変動により、本体の第1の表面にかかるストレスを低減するために選択される。
【0019】
さらに別の態様では、開示されている実施形態は、旋回式クリーニングブレード取付け具の上にと付けられる弾力性のある材料で作られたブレード部材を用いる、印刷装置内の構成部品の表面の物質を処理する方法に関し、この方法は、機構を仮想旋回点の周りで旋回させることによりブレード部材に荷重をかけるステップと、ブレード部材への荷重を調整して、老朽化又は構成部品の潤滑性の減少により引き起こされる摩擦係数の変化によるストレスと低減するステップと、を含む。
【0020】
一般に用語「印刷媒体」とは、可塑性のある、若干カールした、紙のシート、プラスチック、又はその他の好適な画像のための物理的な印刷媒体の基板のことを指し、カット済みのものでもロール紙でもよい。
【0021】
本明細書で使用される用語「画像形成装置」とは、デジタル複写機又はデジタルプリンタ、静電記録式プリンタ、製本機、ファクシミリ装置、多機能装置等を指し、複数のマーキングエンジン、及び給紙装置、仕上げ装置等のその他の印刷媒体処理ユニットを含むことができる。用語「静電記録式印刷装置」とは、静電記録式受像体エレメント上に現像される乾式トナーを用いる画像再生装置、静電記録式プリンタ、及び静電記録式複写機を包含することを意図する。
【0022】
本明細書で使用される用語「ブレード劣化」とは、摩擦や汚れによるブレード機能の低減のことを指す。このブレード劣化は、どのくらい長い期間、ブレードが使用されているかに比例する、即ちブレードの老朽化である。
【0023】
本明細書で使用される「第1」、「第2」等の関連用語は単に、ある実体又はある動作を別の実態又は別の動作から区別するために用いることができ、それらの実体又は動作の間の物理的なこのような関係又は順序を必ずしも必要としない、又は示唆しない。「オフセット」、「上流」、「下流」、「上端」「下端」「前」「後」「水平」「垂直」等の関連用語も、単に相対的な要素の空間的方向を区別するために用いることができ、その他の全ての物理的座標系に関連する空間的方向を必ずしも示唆しない。「含む」「含んでいる」という用語又はその他のこれらの派生語は全て、非排他的な包含に対応することを意図し、列挙された構成要素含む処理、方法、物品、又は装置が、これらの構成要素だけを含むものではなく、明確には列挙されていないその他の構成要素、又はそれらの処理、方法、物品、又は装置に固有のその他の構成要素も含むことができる。「a」「an」等に続く構成要素は、より多くの制約を受けることなく、その構成要素を含む処理、方法、物品、又は装置内に同一の構成要素がさらに存在することを排除しない。また「別の」という用語は少なくとも第2の、又はそれより多くの構成要素があるものとして規定される。本明細書で使用される「備える」「有する」等の用語は、「含む」として規定される。
【0024】
図5は、実施形態によるブレード荷重と、ブレード荷重(N)に対する摩擦係数との間の関係を示す曲線のグラフである。図5では、おそらく被膜した感光体により摩擦係数が増加すると、摩擦力(μN)510、及びブレード荷重(N)520が増加する様子が示される。場合によっては、摩擦係数の増加により、ブレード荷重及び摩擦の両方が急速に増加することもある。例として、抵触荷重をかけられたブレードの場合、摩擦係数(COF)が1.5から2に増加すると、ブレード荷重(N)が約8g/cm増加し、摩擦力(μN)が約30g/cm増加する。
【0025】
図6は、実施形態によるブレード荷重の調整後のブレード荷重と、ブレード荷重(N)に対する摩擦係数の関係を示す曲線のグラフである。図6では、ブレード機構の旋回位置を設けることにより摩擦係数(COF)が増加すると、ブレードの垂直力(N)が減少する様子が示されている。しかし、最大予測摩擦係数(この場合は3)でのブレード荷重(N)520が良好な清掃性能を提供するために十分に高くなるように旋回軸の位置を選択しなければならない。良好な清掃を提供するためのブレード荷重は、約15g/cmから約60g/cmまでの間で変動することができ、その他の良好な範囲は約25g/cmから約35g/cmまでを含む。しかし、ブレード荷重を大きくし過ぎると、ブレードの耐用期間が短縮され、信頼性が損なわれることを強調しておかなければならない。図6に示す通り、COFが3のときブレード荷重は20g/cmである。但し、仮想旋回点を設けることによりブレード荷重の大きさを制御することで、最小値が30g/cm(COFが3のとき)であることも十分に可能であることは、この後のホルダ300(図2及び図3)の説明を読むことで理解できる。
【0026】
図1は、実施形態によるクリーニングシステムを含む印刷装置の概略正面図である。この概略正面図では、静電記録式又は乾式静電記録式の印刷装置の関連要素が示されており、それらの多くが全体として140で示されるモジュール式収納部の中に配置されている。周知の通り、静電潜像は、電荷受容体、即ち感光体108の表面に、図示されていない手段により、生成される。この潜像は、現像剤ローラ112等を用いて供給されるトナー粒子を、その潜像に塗布することにより現像される。現像剤ローラは、磁気ブラシローラ又はドナーローラ等の、当技術分野において周知である種々の設計のうちの任意のものでよい。トナー粒子は、適切に帯電された潜像領域に付着する。次いで、感光体108の表面は、全体として114で示された転写分離組立体により生成された転写領域に、矢印で示した通り、移動する。それと同時に、その上に所望の画像を印刷される印刷シートが、供給スタック116から引き出され、同様に転写領域114に搬送される。この転写領域114で、まだその上にトナー粒子を載せている感光体108の表面を印刷シートと接触させる、又は少なくとも近接させる。転写領域114のコロトロン又はその他の電荷ソースにより、感光体108上のトナーは印刷シートに電気的に転写される。次いで、印刷シートは、定着装置や仕上げ装置等の(図示せず)、当技術分野において周知である後続のステーションに搬送される。ほとんどのトナー粒子が転写領域で印刷シートに転写された後、感光体108の表面に残る全ての残留トナーの粒子は、全体として120で示されるクリーニングステーションにて取り除かれる。その他の例示的な印刷システムは、(Meshta et alによる)米国特許第7,633,647号により開示されており、当該出願の全内容はここに引用して完全に組み込まれているものとする。
【0027】
印刷に便利な装置、即ち定着装置、及び印刷に便利な装置内で媒体を分離する方法が提供される。これらの装置は、異なる種類のマーキング材料を異なる種類の媒体上で処理できるよう構築されている。これらの装置は、ドラム等の感光面を含む。ドラムを加熱させて、ドラムと接触する媒体に熱エネルギを供給することができる。これらの装置は、感光面、即ちドラムから異なる種類の媒体を分離することができるよう構築されている。印刷媒体が、感光体108等の感光面から分離された後、残留トナー/現像剤、及び感光面に付着する全ての紙繊維の小片は、クリーニングステーション(図示せず)で清掃される。一般にクリーニングステーションは収納部を備え、紙繊維を掃出し取り除くために感光面、即ちドラムに接触して回転可能に取付けられた繊維ブラシ、及び転写されなかったトナー粒子を取り除くためのブレード210等のクリーニングブレードを含む。ブレードは、一般的にその弾性係数を特徴とすることができる弾力性材料から作ることができる。クリーニングブレードを、用途に応じてワイパーブレード位置、又はドクターブレード位置に設定することができる。清掃後、放電ランプ(図示せず)が、感光面に光を浴びせて、その上に残る全ての残留静電電荷を集散させた後、次の一連の画像作成サイクルのために、感光面を帯電させる。
【0028】
図2は、実施形態による仮想旋回点及び4枚板の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具の説明図である。クリーニング装置は、トナーを削る上端を有するブレード210、ブレード210のブレードを旋回可能に支持するホルダ300内の旋回台、及びブレード210の上端を感光体ドラム108の表面に押し付ける圧縮バネ等の傾斜手段310を含む。旋回機構、即ちホルダ300は、その感光体ドラムに対する動作位置において、旋回点220等のブレードホルダの瞬間回転中心が、ブレード先端が感光体に接触する面の上でブレード先端の上流(現時点で図2に示す)、又は接触する面の下でブレード先端から下流に位置するように設計されている。ブレード310が感光体ドラム(円筒)と作る角度212は、円筒表面に対する連結構造を有するブレードの位置と、ブレードと円筒との接触位置でのブレードの傾きと、の2点に依存する。ホルダ300の回転により、連結構造を有するブレードは移動する。ブレードの傾きが上端の連結構造の角度と重なり、接触位置におけるブレード角度が決定される。感光体を過度に被覆することより経時的な摩擦係数(CoF)の増加がみられ、通常の抵触荷重をかけられたブレード構成においてクリーニングブレードが早めに故障する。荷重バネと呼応する連結構造を使用することにより、ドラムの老朽化又はトナーの潤滑性の低減に伴のCoFの増加により、摩擦力が大きくなるにつれて、ドラム対するブレードの垂直力が低減される。この提案されている荷重を加える方法を用いることで、クリーニングシステムの信頼性を向上させることにより、感光体のトルク、及び乾式静電記録式交換ユニット(XRU)のランニングコストを低減することができる。4枚板の連結構造は薄いため、小さくてコンパクトなXRUに組み込んで設計することが可能となる。
【0029】
ブレード210の基部を支持するためのホルダ300は、ブレード210に対して感光体ドラム108の反対側に配置され、ホルダ300及びブレード210は、ブレード210の上端と、感光体ドラム108の移動面との間の角度(Ф)212が良好な清掃を行うために最適な角度(一般的には、5°から30°の範囲)となるように配置される。図2に示す通り、バネ等の傾斜手段310はホルダ300を旋回させて、ブレード210が感光体ドラム108と接触する方向に荷重(K)をかける。これらの表面どうしの接触で、ブレード荷重(N)218、及び摩擦力(μN)215が発生して、その接触位置で大きくなる。摩擦係数(μ)とは、材料どうしがせん断されるときの、静的力及び動的力の大きさであり、当業者には既知である様々な技術により計測することができる。これらの力は、材料の表面エネルギ、垂直力、分子の付着力、粗さ、及び表面速度の関数である。そして、次に疲労破損やエッジの亀裂を引き起こすブレードエッジにかかるストレスは、主として垂直力(ブレード荷重218)及び摩擦荷重(摩擦力215)の影響を受けが、これらは摩擦係数(μ)及びブレード荷重(N)の関数である。ドラムに対してブレードがチャタリング(chattering)等の、ブレードの故障の増加に繋がるストレスを抑えるために、又は無くすために、ブレードに関する摩擦係数(μ)を低く抑えて、ブレード210が感光体ドラム108の上をスムーズに摺動できるようにすることが有利である。しかし、引っかき傷や摩擦に対する耐性を改善させるための感光体表面(ドラム)の過度の被膜、並びに帯電及び環境条件による表面の変化が全て作用して、摩擦係数を動的に変動させ、長時間に渡って摩擦を低く抑えることを困難にしている。垂直力は摩擦係数と相関するため、これを制御することが摩擦を抑えるための別の手段である。
【0030】
摩擦係数が増加すると垂直力を低減させるためのホルダ300を設置する。このようにホルダ300を設置することにより、既存のクリーニングブレード技術を極めて高い摩擦係数で動作させることができる。図2〜図4に示す連結構造を、荷重バネと呼応して使用することにより、ドラムやブレードの老朽化、及び摩擦係数の増加により判明する潤滑性の低減により、摩擦力が増加すると、ブレード210にかかる垂直荷重218が低減される。傾斜手段310(ねじりバネ、引張りバネ、圧縮バネ等)により荷重が加えられ、ブレードの垂直荷重218が生成される。ブレード210が、感光体ドラム108に対して荷重をかけられると、ホルダ300を通過する線225が、感光体ドラムと接触する第1の面211からオフセットされた第2の面の上で交差するように、ホルダ300を設置する。これらの線が交差する位置は、瞬間回転中心、又は仮想旋回点(VPP)220と呼ばれる。この機構の利点は、摩擦力(μN)215がこの機構に作用し、感光体の移動を妨げることなく印刷装置上で用いることができることである。この利点を仮想旋回点220の周りの運動学モデルから参照する。
【0031】
ブレード荷重、摩擦、及びその他のシステム荷重等のブレード210にかかる様々な荷重により、ブレードとホルダ300はその仮想旋回点220の周りを回転する傾向にある。動作中、摩擦力が増加する前は、ホルダ300は正味角加速度を有さない準定常状態でありVPP220の周りの全ての回転モーメントの合計をゼロにして、その状態を維持する。摩擦係数の変動により判明するようにシステムが変化し始めると、ブレードは、摩擦の増加により生じる余計なエネルギを吸収しなければならず、これによりブレードへの過荷重もたらされる。図2のホルダ200が、図3に示す連結構造のような一定の構造長、及び主としてブレードによる可変角度を介して、各荷重(荷重、摩擦等)に関わり合うよう、ホルダ300を配置する。この位置は、仮想位置220の周の回転モーメントM220の合計により決定される。この合計は、以下の式を用いて算出される。:
【数1】

【数2】

【数3】

【0032】
上記の式において、a、b及びcは、ブレード荷重(N)、摩擦力(μN)、及び圧縮バネ等の傾斜手段310により仮想旋回点220かけられる傾斜力(K)と垂直な距離である。接触面での摩擦力により作られた回転モーメントにより、ブレード荷重(N)が低減され、取付け具の摩擦力(μN)の増加量が抑えられることが式3により証明される。さらに、上記の式(特に式2)から、準定常状態では、1より高い摩擦係数ではブレード荷重(N)の一部が傾斜手段310にかかり、1より低い摩擦係数ではブレード荷重(N)は傾斜手段からエネルギを受けることが判る。図6では、どのように旋回軸の位置を選択して、摩擦係数が増加すると、ブレードの垂直力が低減するようにできるかということがグラフで示されている。4枚板の連結構造(図3を参照)と、ブレード210に対する旋回軸と、を用いることにより、ブレードと感光体の表面との間の摩擦係数が増加すると、ブレード荷重及びトルクが低減させる。
【0033】
図3は、実施形態によるコンパクトな4枚の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具の部品図である。図3に示す通り、ブレード210のホルダ300は、4枚の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具でよい。ブレード210は、4枚板の連結構造の拡張カプラ325に取付けられる。ホルダ300は、ボード取付け具320及び325、連結ロッド315、並びに連結ロッドクランプ330を含む。ボード取付け具には、ブレード取付け具325、及び連結構造取付け具320が含まれる。連結ロッド315は、連結構造取付け具320の上に取付けられ、連結ロッドクランプ330により留められる。連結ロッド315は、ベント型ロッドの短いオフセット部である。連結ロッドクランプ330は、ブレードホルダ及び印刷装置又は顧客交換可能ユニット(CRU)フレーム332に対して、連結ロッド315が矢印350に示される方向に回転することを制限する。各連結ロッドクランプは、ネジ等の単一の留め具により留められる。4枚板機構の連結構造を有する取付け具320には、ねじりバネ、引張りバネ、圧縮バネ等の傾斜手段310、又は重さにより荷重312がかけられ、ブレードの垂直荷重Nが産み出される。感光体ドラム108に対してブレード210に荷重がかけられると、連結ロッド315のオフセット部を通過する線が仮想旋回点220で交差するように、ブレード取付け具325、及び連結構造の取付け具320は位置を決められる。4枚板の連結構造を有する装置は、複雑になる必要はなく、様々な構成に順応し装置の空間要求にも適用する。
【0034】
残留トナーが感光体ドラム108の表面に強固に付着するときなど摩擦係数が増加すると、大きなストレスがブレード210の端にかかり、このストレスの増加により、ブレード取付け具325が、350で示される回転方向に回転して、ブレード210の上端が後退し、傾斜手段310内のバネにより付加エネルギに置き換えられるようになる。それに応じて、ブレード210の上端は、所定の距離だけ曲げられ、ブレード取付け具325に押し付けられ、又は強く接触し、傾斜手段310内のバネが圧縮され、摩擦係数の増加に対してブレード荷重を低減させる。
【0035】
図4は、実施形態によるコンパクトな4枚の連結構造を有する旋回式クリーニングブレード取付け具の側面図である。図4は、旋回式の4枚板の連結構造の部分概略正面図である。この図は、連結ロッドクランプ330が、どのように連結ロッド315をCRUフレーム332の取付け面、及びバックブレードホルダ420に留めているかを示している。連結ロッドは、連結ロッドクランプ330内で回転する。連結ロッドの連結部分は、ベント型連結ロッド315の垂直部410である。
【0036】
図5は、実施形態によるブレード荷重と、ブレード荷重(N)に対する摩擦係数の関係を示す曲線のグラフである。図5は、摩擦係数の増加により、どのように従来の抵触荷重をかけられたブレード内でブレード荷重520、及び摩擦荷重510が増加するかを示す。
【0037】
図6は、実施形態によるブレードの調整後のブレード荷重と、ブレード荷重(N)に対する摩擦係数の関係を示す曲線のグラフである。図6は、摩擦荷重510が増加すると、図2及び図3に示された旋回式クリーニングブレード取付け具が、どのようにブレード荷重520を低減させるかを示す。
【0038】
図7は、実施形態による弾力性のある材料で作られたブレード部材、及びそのブレード部材を旋回可能に支持する機構を用いた、印刷装置内の構成部品の表面の物質を処理する方法のフローチャートである。摩擦係数の変動に適用する機構としての4枚板の連結構造を有する旋回式クリーニングブレードにより、方法600は行われる。方法600は、仮想旋回点の周りに旋回機構を設けてブレードに荷重をかけることによりスタートする。所与の摩擦係数における所望のブレード荷重が旋回点により調整される。例えば、25g/cmから45g/cmまで等の良好な清掃範囲とされるものを提供する適切な清掃アプリケーションに関して旋回点を選択することができる。動作620で、構成部品の表面にブレードを接触させて適切なブレード荷重で清掃動作を行う。動作630で、ホルダ300は摩擦係数の変動に順応することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する表面から残留材料を取り除くための旋回式クリーニングブレード取付け具であって、
ブレード部材のブレード先端が前記移動する表面の経路に対して傾斜するよう支持されたブレード部材であって、前記ブレード先端が接触角度で前記移動する表面と接触する第1の面を形成する、ブレード部材と、
前記第1の面からオフセットされた第2の面に仮想旋回点を有する前記ブレード部材を旋回可能に支持する機構と、を含み、
前記仮想旋回点は、老朽化、又は前記移動する表面の潤滑性の減少により引き起こされる摩擦係数の変動による前記ブレード先端のストレスを低減するよう選択される、旋回式クリーニングブレード取付け具。
【請求項2】
前記機構が、ボード取付け具、連結ロッド、連結ロッドクランプ、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の旋回式クリーニングブレード取付け具。
【請求項3】
前記ブレード部材が、前記ボード取付け具のうちの1つにより、その全長に沿って支持される、請求項2に記載の旋回式クリーニングブレード取付け具。
【請求項4】
前記支持が、旋回運動に関して取付けられるよう適用される、請求項2に記載の旋回式クリーニングブレード取付け具。
【請求項5】
前記機構が、前記支持部に取り付けられた圧縮バネ、引張りバネ、ねじりバネ、又は重さのうちの手段により傾斜を付けられる、請求項2に記載の旋回式クリーニングブレード取付け具。
【請求項6】
旋回式クリーニングブレード取付け具の上に取り付けられた弾力性のある材料から作られたブレード部材を用いて、印刷装置内の構成部品の表面の材料を処理する方法であって、
仮想旋回点の周りで機構を旋回させることにより、前記ブレード部材に荷重をかけるステップと、
前記ブレード部材への前記荷重を調整して、老朽化、又は前記構成部品における潤滑性の減少により引き起こされる摩擦係数の変動によるストレスを抑えるステップと、を含む方法。
【請求項7】
前記機構が、ボード取付け具、連結ロッド、連結ロッドクランプ、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレード部材が、前記ボード取付け具のうちの1つにより、その全長に沿って支持される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記支持が、旋回運動に関して取付けられるよう適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記機構が、前記支持部に取り付けられた圧縮バネ、引張りバネ、ねじりバネ、又は重さのうちの手段により傾斜を付けられる、請求項7に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−61644(P2013−61644A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187538(P2012−187538)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】