説明

摩擦圧接方法

【課題】摩擦圧接時に隙間管理を精度良く行うことができる摩擦圧接方法を提供すること。
【解決手段】ワークE1とワークE2との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、監視工程は、振動検出工程と判断工程とを含んでいる。振動検出工程では、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とを当接させた時にワークE1内に生じた弾性波を、ワークE1に取り付けられた振動検出センサ4によって検出する。判断工程では、振動検出センサ4にて検出された弾性波の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間の隙間量が正常か否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦圧接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2つの被加工物を当接させて摩擦圧接する際には、一方の被加工物と他方の被加工物との間の隙間管理を行うことが重要となっている。隙間管理が不十分であると、所望の接合強度が確保できない等の問題が生じるからである。従来、2つの被加工物の間の隙間管理を行う目的で、特許文献1記載のように、定盤に載置された2つの被加工物の間の隙間量をCCDカメラによって検出する技術が知られている。
【特許文献1】特開2005−66604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来の技術では、端面間に生じた隙間を検出できないおそれがあった。通常、摩擦圧接では、2つの被加工物の端面同士を突き合わせることになる。互いの端面を突き合わせた時、端面の中心部同士が離間していても、端面の縁同士が当接していれば、外見上は被加工物同士が隙間なく接しているように見える。そのため、外部からの視認により隙間を検出する従来の技術では、内側に生じている隙間を検出できず、隙間管理を精度良く行うことが困難となっていた。
【0004】
そこで本発明は、摩擦圧接時に隙間管理を精度良く行うことができる摩擦圧接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の摩擦圧接方法は、第1の被加工物と、当該第1の被加工物と摩擦圧接される第2の被加工物との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、監視工程では、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面とを当接させた時に第1の被加工物内に生じた振動を、第1の被加工物に取り付けられた振動検出手段によって検出する振動検出工程と、振動検出工程にて検出された振動に基づいて、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する判断工程と、を含み、前記判断工程では、前記振動検出工程にて検出された振動の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断することを特徴とする。
【0006】
この摩擦圧接方法では、第1の被加工物と第2の被加工物とを当接した時に生じた振動に基づいて、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する。このような手法によれば、隙間を外部から視認することによって隙間量が正常か否かを判断する場合とは異なり、隙間が外部に露出していない場合であっても判断が可能となる。したがって、隙間管理を精度良く行うことができ、隙間による接合強度の低下等を抑えられる。また、隙間量の判断に振動強度の累積値を用いるので、隙間量が正常か否かをより正確に判断することができる。
【0007】
本発明の摩擦圧接方法は、第1の被加工物と、当該第1の被加工物と摩擦圧接される第2の被加工物との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、監視工程では、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面とを当接させた状態で第1の被加工物と第2の被加工物とを摩擦圧接している時に第1の被加工物内に生じた振動を、第1の被加工物に取り付けられた振動検出手段によって検出する振動検出工程と、振動検出工程にて検出された振動に基づいて、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する判断工程と、を含み、前記判断工程では、前記振動検出工程にて検出された振動の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断することを特徴とする。
【0008】
この摩擦圧接方法では、第1の被加工物と第2の被加工物とを摩擦圧接している時に生じた振動に基づいて、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する。このような手法によれば、隙間を外部から視認することによって隙間量が正常か否かを判断する場合とは異なり、隙間が外部に露出していない場合であっても判断が可能となる。したがって、隙間管理を精度良く行うことができ、隙間による接合強度の低下等を抑えられる。また、隙間量の判断に振動強度の累積値を用いるので、隙間量が正常か否かをより正確に判断することができる。
【0009】
本発明の摩擦圧接方法は、第1の被加工物と、当該第1の被加工物と摩擦圧接される第2の被加工物との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、監視工程では、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面とを当接させた状態で、第1及び第2の被加工物に対して振動発生手段から振動を付与した時に第1の被加工物内に生じた振動を、第1の被加工物に取り付けられた振動検出手段によって検出する振動検出工程と、振動検出工程にて検出された振動に基づいて、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する判断工程と、を含み、前記判断工程では、前記振動検出工程にて検出された振動の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断することを特徴とする。
【0010】
この摩擦圧接方法では、第1及び第2の被加工物に対して振動発生手段から振動を付与した時に生じた振動に基づいて、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する。このような手法によれば、隙間を外部から視認することによって隙間量が正常か否かを判断する場合とは異なり、隙間が外部に露出していない場合であっても判断が可能となる。したがって、隙間管理を精度良く行うことができ、隙間による接合強度の低下等を抑えられる。また、隙間量の判断に振動強度の累積値を用いるので、隙間量が正常か否かをより正確に判断することができる。
【0011】
また、本発明の摩擦圧接方法では、振動発生手段として所定周波数の弾性波を発生可能な発振器を用いることが好ましい。この場合、発振器によって安定した周波数の弾性波を第1及び第2の被加工物に付与することが可能となるので、隙間量が正常か否かの判断を精度良く行うことができる。
【0012】
また、本発明の摩擦圧接方法では、第1の被加工物のうち当接予定面とは反対側の面に、振動発生手段および振動検出手段を配置することが好ましい。
【0013】
この場合、振動発生手段及び振動検出手段を同じ面に置くことで、振動発生手段からの振動に応じて第1及び第2の被加工物で発生した反射波を、振動検出手段で検出することができる。例えば、振動発生手段及び振動検出手段を第1の被加工物側に配置した場合を考える。この場合、第1の被加工物と第2の被加工物との間に隙間がないならば、振動発生手段から付与された振動は、第1の被加工物内を伝搬し、第2の被加工物内に到達する。そして、第2の被加工物内で反射されて再び第1の被加工物内を伝搬し、振動検出手段にて検出される。もし第1の被加工物と第2の被加工物との間に隙間がある場合には、振動発生手段から付与された振動は、第2の被加工物には至らずに第1の被加工物内で反射され、振動検出手段にて検出される。よって、隙間がある場合には、隙間がない場合と比べて、第2の被加工物内を伝搬しない分だけ振動検出のタイミングが早まることになる。このように、振動発生手段及び振動検出手段を同じ面においた場合には、隙間の有無によって反射波の検出タイミングが異なるため、隙間量が正常か否かの判断をより確実に判断することが可能となる。
【0014】
また、本発明の摩擦圧接方法では、基準値とは、第1の被加工物の当接予定面と第2の被加工物の当接予定面との間に隙間量が正常な場合に振動検出工程にて検出された振動の強度を、時系列に沿って累積した値であることが好ましい。この場合、隙間が正常な時の累積値と比較することになるため、隙間量が正常か否かをいっそう正確に判断することができる。
【0015】
また、本発明の摩擦圧接方法では、第1の被加工物を位置固定して第2の被加工物を回転させることにより摩擦圧接を行うことが好ましい。位置固定される側に振動検出手段を設置するので、被加工物が激しく動くことにより振動検出手段が位置ずれしたり被加工物から外れる、ということが生じにくくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、摩擦圧接時に隙間管理を精度良く行うことができる摩擦圧接方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る摩擦圧接方法を実現する摩擦圧接システムを示す構成図である。図1に示すように、摩擦圧接システム1は、所定方向に延びる2つのワークE1,E2を摩擦圧接するためのシステムとして構成されている。本実施形態において、ワークE1,E2は円柱状を呈した部材であり、ワークE1(第1の被加工物)の一端面(当接予定面)とワークE2(第2の被加工物)の一端面(当接予定面)とは、突き合わされた状態で摩擦圧接される。
【0019】
摩擦圧接システム1は、発振器(振動発生手段)2と、振動検出センサ(振動検出手段)4と、異常検知装置6と、を備えている。摩擦圧接システム1は、これらの他に、ワークE1を位置固定する固定部(図示せず)と、ワークE2を矢印A方向、すなわち位置固定されたワークE1に近づく方向に移動させる移動部(図示せず)と、ワークE2を回転させる回転部(図示せず)と、を備えている。
【0020】
発振器2は、ワークE1の他端面に配置される。発振器2は、ワークE1に対して振動を付与する。より具体的には、発振器2は、超音波領域(数10kHz〜数kHz)の周波数成分を有する弾性波を、ワークE1内に向けて出力する。
【0021】
振動検出センサ4は、発振器2と同様に、一方のワークE1の他端面に配置される。振動検出センサ4は、弾性波を検出し、検出した弾性波の強度に対応する出力信号を、異常検知装置6に出力する。本実施形態における振動検出センサ4は、AE(Acoustic Emission)センサであって、ワークE1内を伝搬した弾性波を常に検出可能なように設定されている。
【0022】
異常検知装置6は、発振器制御部10と、判断部12と、結果出力部14と、を有している。
【0023】
発振器制御部10は、発振器2を制御し、発振器2に超音波領域(数10kHz〜数kHz)の周波数成分を有する弾性波を出力させる。
【0024】
判断部12は、振動検出センサ4にて検出された振動に基づいて、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間の隙間量が正常か否かを判断する部分である。より具体的には、判断部12は、振動検出センサ4から出力信号を受け取り、この出力信号の値と予め取得しておいた基準値とを用いて、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間量が正常か否かを判断する。本実施形態において、隙間量が正常とは、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間が無いことをいう。判断部12は、判断結果を結果出力部14に送る。なお、判断部12の動作については後に詳しく述べる。
【0025】
結果出力部14は、判断部12の判断結果を制御装置(図示せず)に出力する。制御装置は、固定部、移動部、及び回転部を制御するものであり、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間の隙間量が正常ではないことを示す判断結果を結果出力部14から受け取った場合には、移動部や回転部に対して動作を停止するよう命令する。
【0026】
次に、上述した構成を有する摩擦圧接システム1を用いた摩擦圧接方法について説明する。本実施形態における摩擦圧接方法は、ワークの当接状態を監視する監視工程を有しており、監視工程は、基準値決定工程と、ワークE1,E2の摩擦圧接工程と、を含む。基準値決定工程は、ワークE1,E2の摩擦圧接工程する前に行われる工程であり、ワークE1,E2の摩擦圧接工程で用いられる基準値を決定するものである。図2は、基準値の決定工程を示すフローチャートである。
【0027】
まず、ワークE1,E2と同一材料及び同一形状のワークE3,E4(以下、基準ワークE3,E4と呼ぶ)を用意する。用意した基準ワークE3と基準ワークE4とを、それぞれの一端面が対向するようにセットする。セット後、固定部によって基準ワークE3を位置固定する(ステップS1)。基準ワークE3の他端面には、発振器2および振動検出センサ4が取り付けられる。
【0028】
基準ワークE3を位置固定した後、移動部により基準ワークE4を移動させる(ステップS2)。基準ワークE4の移動により、基準ワークE3の一端面と基準ワークE4の一端面とが当接する(ステップS3)。基準ワークE3の一端面と基準ワークE4の一端面とは、隙間なく当接するものとする。
【0029】
基準ワークE3,E4が隙間なく当接すると、発振器制御部10の制御により、発振器2が基準ワークE3内に向けて弾性波を出力する(ステップS4)。図3は、発振器2から出力された弾性波の進行方向を説明するための図である。図3(a)に示すように、発振器2から出力された弾性波(矢印B1)は、基準ワークE3内を伝搬して、基準ワークE3と隙間なく接合している基準ワークE4内に到達する(矢印B2)。基準ワークE4内に到達した弾性波は、基準ワークE4の他端面で反射される(矢印B3)。基準ワークE4で生じた反射波は、基準ワークE4内と基準ワークE3内とを進行し、振動検出センサ4が設置された基準ワークE3の他端面に達する。
【0030】
基準ワークE4の他端面で反射波が発生してから、かかる反射波を振動検出センサ4が検出するまでには、基準ワークE3,E4の長さに応じた時間がかかる。また、発振器2が弾性波を出力してから、基準ワークE4の他端面で反射波が発生するまでにも、基準ワークE3,E4の長さに応じた時間がかかる。したがって、発振器2が弾性波を出力してから、振動検出センサ4が反射波を検出するまでには、タイムラグが発生することとなる。
【0031】
図4は、振動検出センサ4の出力信号値から得られた波形パターンを示す図である。図4に示す波形パターンは、出力信号値を時系列に並べることで得られる。図4に示す波形パターンのうち、波形パターン20は、基準ワークE3,E4を隙間なく当接させたときのものである。なお、図4では、発振器2が弾性波を出力した時刻を時刻ゼロとしている。波形パターン20によれば、時刻ゼロからある程度の時間が経ったのち、出力信号値に目立った変化が生じている。この変化は反射波によるものであって、変化が生じるまでに時間がかかっているのは上述した理由による。また、反射波は基準ワークE3,E4を進行するにつれて減衰するため、出力信号値の変化は比較的小さなものとなっている。
【0032】
異常検知装置6の判断部12には、振動検出センサ4から出力信号が常時送られる。判断部12は、発振器2が弾性波を出力した時刻を時刻ゼロとして、出力信号値の累積二乗和の算出を開始する(ステップS5)。より具体的には、時刻ゼロに振動検出センサ4から受け取った出力信号値を二乗して、これを時刻ゼロにおける累積二乗和とする。時刻txに振動検出センサ4から出力信号値を受け取ると、この出力信号値を二乗して得られた値と、時刻ゼロから時刻txまでに受け取った各出力信号値を二乗して得られた値とを加算して、これを時刻txにおける累積二乗和とする。
【0033】
また判断部12は、累積二乗和の算出と平行して、かかる算出結果から波形パターンを生成する。この波形パターンは、累積二乗和を時系列に並べることによって得られる。図5は、累積二乗和から得た波形パターンを示す図である。図5に示す波形パターンのうち、波形パターン24は、基準ワークE3,E4を隙間なく当接させたときのものである。
【0034】
異常検知装置6の判断部12は、時刻t1になると、累積二乗和の算出および波形パターンの生成を終了する。そして、時刻ゼロ〜時刻t1の累積二乗和を基準値として採用する(ステップS6)。なお、時刻t1は、出力信号に変化が殆ど見られなくなる時刻である。判断部12は、基準値を異常検知装置6の図示しない格納手段に格納する。また、判断部12は、生成した波形パターンを、基準パターンとして異常検知装置6の格納手段に格納する。以上のステップを経て、基準値決定工程が終了する。
【0035】
次に、ワークE1,E2の摩擦圧接工程を実行する。図6は、ワークE1,E2の摩擦圧接工程を示すフローチャートである。
【0036】
まず、ワークE1,E2を用意する。用意したワークE1とワークE2とを、それぞれの一端面が対向するようにセットする。セット後、ワークE1を位置固定し(ステップS11)、ワークE1に近づく方向にワークE2を移動させる(ステップS12)。移動により、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とが当接する(ステップS13)。ワークE1の他端面には、発振器2および振動検出センサ4が取り付けられる。
【0037】
ワークE1,E2が当接すると、発振器制御部10の制御により、発振器2がワークE1内に向けて弾性波を出力する(ステップS14)。
【0038】
ここで、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とが一部のみ当接している場合について説明する。図3(b)は、発振器2から出力された弾性波の進行方向を説明するための図であって、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とが一部のみ当接している場合を示す。この場合、発振器2から出力された弾性波は(矢印B4)、ワークE1内を伝搬してワークE1の一端面に到達する。弾性波のうち、一部はワークE1,E2の当接部分18を介してワークE2内に到達し(矢印B5)、その他は当接部分18を除くワークE1の一端面で反射される(矢印B6)。この反射波は、ワークE1内を伝搬して、振動検出センサ4が設置されたワークE1の他端面に到達する。
【0039】
一方、ワークE2内に到達した弾性波は、ワークE2内を伝搬して、ワークE2の他端面にぶつかる。そして、ワークE2の他端面にて反射される(矢印B7)。かかる反射波は、ワークE2内からワークE1内に伝搬し、振動検出センサ4にて検出される(振動検出工程)。
【0040】
ワークE1の一端面で生じた反射波は、ワークE2の他端面で生じた反射波と比べて、早い時間に発生し、また伝搬距離が短い。そのため、ワークE1の一端面で生じた反射波は、ワークE2の他端面で生じた反射波よりも先に振動検出センサ4にて検出される。また、ワークE1の一端面で生じた反射波は、ワークE2の他端面で生じた反射波と比べて、減衰が少ない。
【0041】
図4に示す波形パターン22は、振動検出センサ4の出力信号値から得られた波形パターンであって、ワークE1,E2が一部のみ当接している場合のものである。波形パターン22では、時刻ゼロから比較的短い時間で、出力信号値に目立った変化が生じている。上述したように、ワークE1で生じた反射波は、ワークE2で生じた反射波よりも先に振動検出センサ4にて検出され、減衰が少ないことから、かかる波形パターン22の変化は、ワークE1の一端面で生じた反射波によるものといえる。
【0042】
図6に示すフローチャートの説明に戻る。異常検知装置6の判断部12は、振動検出センサ4から出力された出力信号に基づいて、累積二乗和を算出する(ステップS15)。判断部12は、発振器2が弾性波を出力したタイミングで累積二乗和の算出を開始する。また、発振器2が弾性波を出力した時刻を時刻ゼロとする。
【0043】
判断部12は、累積二乗和の算出と平行して、かかる算出結果から波形パターンを生成する。この波形パターンは、累積二乗和を時系列に並べることで得られる。図5は、累積二乗和から得た波形パターンを示す図である。図5に示す波形パターン26は、ワークE1,E2が図3(b)に示す状態、すなわちワークE1,E2間に一部隙間があるときのものである。図5に示す波形パターン24,26からわかるように、ワークE1,E2間に隙間がある時とない時とでは、累積二乗和および波形パターンの形状が異なっている。
【0044】
判断部12は、時刻t2になると、時刻t2における累積二乗和と基準値とを比較し(ステップS16)、更に、生成した波形パターンと基準パターンとを公知の波形解析手法を用いて比較する。そして比較結果から、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間があるか否かを判断する(判断工程、ステップS17)。なお、時刻t2は、時刻ゼロと先述した時刻t1との間に位置する時刻であり、より正確な判断を行うという観点からすれば、できるだけ時刻t1に近いほうが好ましい。判断部12は、判断結果を結果出力部14に送る。
【0045】
結果出力部14は、判断部12の判断結果を制御装置に送る。判断結果が、ワークE1とワークE2との間に隙間がないことを示す場合には、制御装置の指示により移動部や回転部は動作を続行する(ステップS18)。そのためワークE2が回転し、ワークE1とワークE2とが摩擦圧接される。判断結果が、ワークE1とワークE2との間に隙間量があることを示す場合には、制御装置の指示により、移動部や回転部は動作を中断する(ステップS19)。以上のステップを経て、ワークE1,E2の摩擦圧接工程が終了する。
【0046】
以上説明したように、第1実施形態にかかる摩擦圧接方法では、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とが当接した状態で、ワークE1に対して発振器2から弾性波を付与する。これに応じてワークE1内に生じた弾性波に基づいて、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否か(ワークE1,E2間に隙間があるか否か)を判断する。このような手法によれば、隙間の存在を外部からの視認によって判断する場合とは異なり、隙間が外部に露出していない場合であっても隙間を検出することができ、その結果、隙間量が正常か否かを正確に判断することが可能となる。
【0047】
隙間量が正常か否かの判断に際しては、時系列に沿って出力信号の累積二乗和を算出し、この値と予め設定した基準値とを比較する。このように、判断に累積二乗和を用いるので、隙間量の異常をより正確に判断することができる。
【0048】
基準値としては、予め取得された、ワーク間に隙間がない場合の出力信号の累積二乗和を用いる。この場合、ワーク間に隙間量が正常な場合の累積二乗和と比較することになるので、隙間量が正常か否かをいっそう正確に判断することができる。
【0049】
また、隙間量が正常か否かの判断に際しては、累積二乗和を時系列に並べて波形パターンを生成し、この波形パターンと予め設定した基準パターンとを比較する。このようにパターン比較を行うことにより、ワークE1,E2間の隙間量に関する誤判断をより確実に抑止できる。また、隙間量が正常な時と正常ではない時との違いや隙間の程度を視覚的に把握することができる。
【0050】
また、発振器2として、超音波領域(数10kHz〜数kHz)の周波数成分を有する弾性波を出力するものを用いる。この場合、安定した周波数の弾性波をワークE1に付与することが可能となるので、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを精度良く判断できる。
【0051】
また、発振器2及び振動検出センサ4の位置に関しては、これらを共にワークE1の他端面に配する。発振器2及び振動検出センサ4を同じ面に置くことで、発振器2からの弾性波に応じてワークE1,E2で発生した反射波を、振動検出センサ4で検出することができる。反射波は、隙間がある場合と隙間がない場合とで、振動検出センサ4に到達するタイミング等が異なる。そのため、隙間量が正常か否かの判断を確実に判断することが可能となる。
(第2実施形態)
【0052】
続いて、本発明の第2実施形態に係る摩擦圧接方法について説明する。第2実施形態に係る摩擦圧接方法は、第1実施形態に係る摩擦圧接方法と同様に、摩擦圧接システム1を用いることで実現される。
【0053】
第1実施形態に係る摩擦圧接方法は、検出するワークE1,E2が当接した状態でワークE1に対して発振器2から弾性波を付与し、これに応じてワークE1内に生じた弾性波の強度に基づいて、隙間量が正常か否かの判断を判断した。これに対して本第2実施形態に係る摩擦圧接方法では、ワークE1とワークE2とを当接させた時にワークE1内に生じた弾性波の強度に基づいて、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを判断する。なお本実施形態において、隙間量が正常とは、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間が無いことをいう。
【0054】
本方法は、第1実施形態に係る摩擦圧接方法と同様に、基準値決定工程と、ワークE1,E2の摩擦圧接工程と、を含む。図7は、基準値決定工程を示すフローチャートである。
【0055】
まず、基準ワークE3,E4を用意する。用意した基準ワークE3と基準ワークE4とを、それぞれの一端面が対向するようにセットする。このとき、基準ワークE3と基準ワークE4とは非接触となっている。セット後、基準ワークE3を位置固定し(ステップS21)、基準ワークE3に近づく方向に基準ワークE4を移動させる(ステップS22)。基準ワークE3の他端面には、発振器2および振動検出センサ4が取り付けられる。
【0056】
基準ワークE4の移動により基準ワークE4の一端面と基準ワークE3の一端面とが当接すると(ステップS23)、これによる衝撃で、比較的大きな強度を有する弾性波が基準ワークE3内に生じる。基準ワークE3内に生じた弾性波は、振動検出センサ4にて検出される。これにより、振動検出センサ4が出力する出力信号の値が大きく変化することとなる。
【0057】
異常検知装置6の判断部12には、振動検出センサ4から出力信号が常時送られる。判断部12は、出力信号の値が大きく変化すると、これをトリガとして出力信号値の累積二乗和の算出を開始する(ステップS24)。判断部12は、累積二乗和の算出開始時刻を、時刻ゼロとして認識する。累積二乗和の算出と平行して、判断部12は、累積二乗和を時系列に並べることにより波形パターンの生成を開始する。異常検知装置6の判断部12は、時刻t3になると、累積二乗和の算出および波形パターンの生成を終了する。なお、本実施形態では、出力信号値の変化をトリガとしたが、基準ワークE4の移動開始をトリガとしてもよい。また、時刻t3は、出力信号に変化が殆ど見られなくなる時刻である。
【0058】
基準ワークE3の一端面と基準ワークE4の一端面とが隙間なく当接したときの累積二乗和を得るべく、場合によっては複数の基準ワークE3,E4を用意し、ステップS1〜S3を実行する。そして、基準ワークE3,E4が隙間なく当接したときの、時刻ゼロ〜時刻t3の累積二乗和を、基準値として採用する(ステップS25)。判断部12は、基準値を異常検知装置6の図示しない格納手段に格納する。また、累積二乗和から得た波形パターンも、基準パターンとして異常検知装置6の格納手段に格納する。以上のステップを経て、基準値の決定工程が終了する。
【0059】
次に、ワークE1,E2の摩擦圧接工程を実行する。図8は、ワークE1,E2の摩擦圧接工程を示すフローチャートである。
【0060】
まず、ワークE1,E2を用意する。用意したワークE1とワークE2とを、それぞれの一端面が対向するようにセットする。セット後、ワークE1を位置固定し(ステップS31)、ワークE1に近づく方向にワークE2を移動させる(ステップS32)。ワークE1の他端面には、発振器2および振動検出センサ4が取り付けられる。
【0061】
移動したワークE2の一端面とワークE1の一端面とが当接すると(ステップS33)、比較的大きな強度を有する弾性波が振動検出センサ4にて検出される。そのため、振動検出センサ4によって出力される出力信号の値が、大きく変化する。異常検知装置6の判断部12は、出力信号の値が大きく変化すると、これをトリガとして出力信号値の累積二乗和の算出を開始する(ステップS34)。判断部12は、累積二乗和の算出開始時刻を時刻ゼロとして認識する。また判断部12は、累積二乗和の算出と平行して、波形パターンの生成を開始する。波形パターンは、累積二乗和を時系列に並べることで生成される。
【0062】
判断部12は、時刻t4になると、時刻t4における累積二乗和と基準値とを比較し(ステップS35)、更に、生成した波形パターンと基準パターンとを比較する。そして比較結果から、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間があるか否かを判断する(ステップS36)。なお、時刻t4は、時刻ゼロと先述した時刻t3との間に位置する時刻であり、より正確な判断を行うという観点からすれば、できるだけ時刻t3に近いほうが好ましい。判断部12は、判断結果を結果出力部14に送る。
【0063】
結果出力部14は、判断部12の判断結果を図示しない制御装置に出力する。制御装置は、受け取った判断結果が、ワークE1とワークE2との間に隙間がないことを示す場合には、移動部や回転部の動作を続行させる(ステップS37)。これによりワークE2が回転し、ワークE1とワークE2とが摩擦圧接される。制御装置は、受け取った判断結果が、ワークE1とワークE2との間に隙間があることを示す場合には、動作を中断するよう、移動部や回転部に対して指示を送る。これにより、処理が中断される(ステップS38)。
【0064】
以上のステップを経て、ワークE1,E2の摩擦圧接工程が終了する。
【0065】
以上説明したように、第2実施形態にかかる摩擦圧接方法では、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とを当接させた時にワークE1内に生じた弾性波を検出し、この弾性波に基づいて、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否か(ワークE1,E2間に隙間があるか否か)を判断する。このような摩擦圧接方法においても、第1実施形態と同様に、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを判断することが可能となる。
(第3実施形態)
【0066】
続いて、本発明の第3実施形態に係る摩擦圧接方法について説明する。第3実施形態に係る摩擦圧接方法は、第1及び第2実施形態に係る摩擦圧接方法と同様に、摩擦圧接システム1を用いることで実現される。
【0067】
第1実施形態に係る摩擦圧接方法は、検出するワークE1,E2が当接した状態でワークE1に対して発振器2から弾性波を付与し、これに応じてワークE1内に生じた弾性波の強度に基づいて、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを判断した。これに対して本第3実施形態に係る摩擦圧接方法では、ワークE1とワークE2とを摩擦圧接している時にワークE1内に生じた弾性波の強度に基づいて、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを判断する。なお本実施形態において、隙間量が正常とは、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間が無いことをいう。
【0068】
本方法は、第1実施形態に係る摩擦圧接方法と同様に、基準値決定工程と、ワークE1,E2の摩擦圧接工程と、を含む。図9は、基準値決定工程を示すフローチャートである。
【0069】
まず、基準ワークE3,E4を用意する。用意した基準ワークE3と基準ワークE4とを、それぞれの一端面が対向するようにセットする。このとき、基準ワークE3と基準ワークE4とは非接触となっている。セット後、基準ワークE3を位置固定し(ステップS41)、基準ワークE3に近づく方向に基準ワークE4を移動させる(ステップS42)。基準ワークE4の移動により、基準ワークE4の一端面と基準ワークE3の一端面とが当接する(ステップS43)。基準ワークE3の一端面と基準ワークE4の一端面とは、隙間なく当接するものとする。なお、基準ワークE3の他端面には、発振器2および振動検出センサ4が取り付けられる。
【0070】
基準ワークE3,E4の当接後、制御装置の指示に応じて、回転部が基準ワークE4を回転させる。これにより、基準ワークE3,E4の摩擦圧接が開始される(ステップS44)。また、基準ワークE4が回転すると、比較的大きな強度を有する弾性波が基準ワークE3内に発生し、これが振動検出センサ4にて検出される。そのため、振動検出センサ4によって出力される出力信号の値が、大きく変化する。異常検知装置6の判断部12は、出力信号の値が大きく変化すると、これをトリガとして出力信号値の累積二乗和の算出を開始する(ステップS45)。判断部12は、累積二乗和の算出開始時刻を時刻ゼロとして認識する。累積二乗和の算出と平行して、判断部12は、累積二乗和を時系列に並べることにより波形パターンの生成を開始する。
【0071】
異常検知装置6の判断部12は、時刻t5になると、累積二乗和の算出および波形パターンの生成を終了する。そして、時刻ゼロ〜時刻t5の累積二乗和を基準値として採用する(ステップS46)。なお、時刻t5は、基準ワークE4の回転が終了し、出力信号に変化が殆ど見られなくなる時刻である。判断部12は、基準値を異常検知装置6の図示しない格納手段に格納する。また、判断部12は、生成した波形パターンを、基準パターンとして異常検知装置6の格納手段に格納する。以上のステップを経て、基準値の決定工程が終了する。
【0072】
次に、ワークE1,E2の摩擦圧接工程を実行する。図10は、ワークE1,E2の摩擦圧接工程を示すフローチャートである。
【0073】
まず、ワークE1,E2を用意する。用意したワークE1とワークE2とを、それぞれの一端面が対向するようにセットする。セット後、ワークE1を位置固定し(ステップS51)、ワークE1に近づく方向にワークE2を移動させる(ステップS52)。移動により、ワークE1の一端面とワークE2の一端面とが当接する(ステップS53)。ワークE1の他端面には、発振器2および振動検出センサ4が取り付けられる。
【0074】
ワークE1,E2の当接後、制御装置の指示に応じて、回転部が基準ワークE4を回転させる。ワークE2の回転により、ワークE1,E2の摩擦圧接が開始される(ステップS54)。また、ワークE2が回転すると、比較的大きな強度を有する弾性波が発生し、これがワークE1内を伝搬する。そのため、振動検出センサ4によって出力される出力信号の値が、大きく変化する。
【0075】
異常検知装置6の判断部12は、出力信号の値が大きく変化すると、これをトリガとして出力信号値の累積二乗和の算出を開始する(ステップS55)。判断部12は、累積二乗和の算出開始時刻を時刻ゼロとして認識する。累積二乗和の算出と平行して、判断部12は、累積二乗和を時系列に並べることにより波形パターンの生成を開始する。
【0076】
判断部12は、所定の時間間隔で、算出した累積二乗和と基準値とを比較し(ステップS56)、更に、生成した波形パターンと基準パターンとを比較する。そして比較結果から、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間があるか否かを判定する(ステップS57)。判断部12は、判断結果を結果出力部14に送る。
【0077】
結果出力部14は、判断部12の判断結果を図示しない制御装置に出力する。制御装置は、受け取った判断結果が、ワークE1とワークE2との間に隙間がないことを示す場合には、移動部や回転部の動作を続行させる(ステップS58)。これによりワークE2が引き続き回転し、ワークE1,E2の摩擦圧接が進められる。制御装置は、受け取った判断結果が、ワークE1とワークE2との間に隙間があることを示す場合には、動作を中断するよう、移動部や回転部に対して指示を送る。これにより、回転部によるワークE2の回転が停止し、処理が中断される(ステップS59)。
【0078】
以上のステップを経て、ワークE1,E2の摩擦圧接工程が終了する。
【0079】
以上説明したように、第3実施形態にかかる摩擦圧接方法では、ワークE1,E2を摩擦圧接している時にワークE1内に生じた弾性波の強度に基づいて、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否か(ワークE1,E2間に隙間があるか否か)を判断する。このような摩擦圧接方法においても、第1実施形態と同様に、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを判断することが可能となる。
【0080】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。
【0081】
例えば、第1実施形態では、発振器2及び振動検出センサ4を共にワークE1の他端面に配するとしたが、振動検出センサ4をワークE1の他端面に配し、発振器2をワークE2の他端面に配するとしてもよい。ワークE2の発振器2から出力された弾性波は、ワークE1,E2間に隙間がある場合には、一部のみがワークE2を通過してワークE1に到達することになる。そのため、ワークE1,E2間に隙間がある時とない時とで、振動検出センサ4が検出する弾性波の強度が異なり、その結果、出力信号値も異なることとなる。よって、発振器2及び振動検出センサ4を上述した位置に配置した場合にも、ワークE1,E2間の隙間量が正常か否かを判断することが可能となる。
【0082】
また、第1〜第3実施形態では、ワークE1,E2について算出された累積二乗和と基準値とを比較し、更にワークE1,E2について生成された波形パターンと基準パターンとを比較するとした。これを、ワークE1,E2について算出された累積二乗和と基準値との比較のみを行うとしてもよい。ただし、ワークE1,E2間の隙間量の異常をより正確に判断する、という観点からすれば、第1〜第3実施形態のようにすることが好ましい。
【0083】
また、第1〜第3実施形態では、隙間量が正常とは、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に隙間が無い状態を指すとした。これを、隙間量が正常とは、ワークE1の一端面とワークE2の一端面との間に所定量以下の隙間がある状態を指すとしてもよい。この場合、基準値及び基準パターンを取得する際に、基準ワークE3の一端面と基準ワークE4の一端面との間に上述した所定量の隙間をあけるようにする。
【0084】
また、第1〜第3実施形態では、振動検出センサとしてAEセンサを用いるとしたが、振動検出センサはこれに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態に係る摩擦圧接方法を実現する摩擦圧接システムを示す構成図である。
【図2】第1実施形態に係る基準値決定工程を示すフローチャートである。
【図3】発振器から出力された弾性波の進行方向を説明するための図である。
【図4】振動検出センサの出力信号値から得られた波形パターンを示す図である。
【図5】累積二乗和から得た波形パターンを示す図である。
【図6】第1実施形態に係る摩擦圧接工程を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る基準値決定工程を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る摩擦圧接工程を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態に係る基準値決定工程を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態に係る摩擦圧接工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1…摩擦圧接システム、2…発振器、4…振動検出センサ、6…異常検知装置、10…発振器制御部、12…判断部、14…結果出力部、18…当接部分、20,22,24,26…波形パターン、E1,E2…ワーク、E3,E4…基準ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被加工物と、当該第1の被加工物と摩擦圧接される第2の被加工物との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、
前記監視工程では、
前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面とを当接させた時に前記第1の被加工物内に生じた振動を、前記第1の被加工物に取り付けられた振動検出手段によって検出する振動検出工程と、
前記振動検出工程にて検出された振動に基づいて、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する判断工程と、
を含み、
前記判断工程では、前記振動検出工程にて検出された振動の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断することを特徴とする摩擦圧接方法。
【請求項2】
第1の被加工物と、当該第1の被加工物と摩擦圧接される第2の被加工物との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、
前記監視工程では、
前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面とを当接させた状態で前記第1の被加工物と前記第2の被加工物とを摩擦圧接している時に前記第1の被加工物内に生じた振動を、前記第1の被加工物に取り付けられた振動検出手段によって検出する振動検出工程と、
前記振動検出工程にて検出された振動に基づいて、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する判断工程と、
を含み、
前記判断工程では、前記振動検出工程にて検出された振動の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断することを特徴とする摩擦圧接方法。
【請求項3】
第1の被加工物と、当該第1の被加工物と摩擦圧接される第2の被加工物との当接状態を監視する監視工程を有する摩擦圧接方法であって、
前記監視工程では、
前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面とを当接させた状態で、前記第1及び第2の被加工物に対して振動発生手段から振動を付与した時に前記第1の被加工物内に生じた振動を、前記第1の被加工物に取り付けられた振動検出手段によって検出する振動検出工程と、
前記振動検出工程にて検出された振動に基づいて、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断する判断工程と、
を含み、
前記判断工程では、前記振動検出工程にて検出された振動の強度を時系列に沿って累積し、当該累積した値と予め取得した基準値とを比較することによって、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常か否かを判断することを特徴とする摩擦圧接方法。
【請求項4】
前記振動発生手段として所定周波数の弾性波を発生可能な発振器を用いることを特徴とする請求項3に記載の摩擦圧接方法。
【請求項5】
前記第1の被加工物のうち前記当接予定面とは反対側の面に、前記振動発生手段および前記振動検出手段を配置することを特徴とする請求項3又は4に記載の摩擦圧接方法。
【請求項6】
前記基準値とは、前記第1の被加工物の当接予定面と前記第2の被加工物の当接予定面との間の隙間量が正常な場合に前記振動検出工程にて検出された振動の強度を、時系列に沿って累積した値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の摩擦圧接方法。
【請求項7】
前記第1の被加工物を位置固定して前記第2の被加工物を回転させることにより摩擦圧接を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の摩擦圧接方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−82954(P2009−82954A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254932(P2007−254932)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】