説明

摩擦層及びそれを備えた軸受け要素

【課題】軸受け要素のための合成ポリマー層から成る摩擦層を、高められた負荷に摩擦層が耐えるように、再構築すること。
【解決手段】合成ポリマー層、特に樹脂もしくはラッカー層から成る、軸受け要素(1)、特に滑り軸受けのための摩擦層(4)であって、そのポリマー層が、少なくとも、組成を異にする第1の部分層(5)及び第2の部分層(6)から成っているように、構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成ポリマー層、特に樹脂もしくはラッカー層から成る、軸受け要素、特に滑り軸受けのための摩擦層、並びに、支持金属層、該支持金属層上に配置された軸受け金属層、並びに該軸受け金属層上に配置された摩擦層を備えた軸受け要素、特に滑り軸受けに関する。
【背景技術】
【0002】
トライボロジカルな負荷を受ける構成部材もしくは面の被覆体は、種々様々な要件を満たすべきである。一方では、比較的軟質であり、そしてその結果、摩耗に起因する摩損、並びに滑りの相手に良好に順応することができる、できる限り摩擦の少ない被覆体が望まれる。他方では、静的振動負荷の他に動的振動負荷も吸収できるように、ひいては耐久性及び寿命を高めるように、十分に高い機械的な安定性及び強度が与えられていなければならない。例えば自動車産業における開発は、排ガス基準がますます厳しくなっていることを特に考慮して、内燃機関の効率、ひいては経済性及び環境協調性を高めるために、より高い固有の出力を得る方向で進んでいる。この開発には、内燃機関の多数の構成部分、例えば極めて高いトルクによって、また、例えば直接噴射式ターボディーゼル・エンジンの、燃焼プロセスの最適化のためにますます高くなる着火圧によって、極めて高い負荷を与えられるラジアル滑り軸受けが該当している。このようなエンジンの高性能の噴射システムによって、噴射ポンプの構成部分及びその測定機器も、もしくは、高い出力によって、他の構成部分、例えば滑り負荷を受けるタペット、ピン、又はロールも、やはりこのような高い負荷に曝される。しばしばアルミニウム合金がこれらの構成部分のために使用される。それというのはこれにより基本的には、得ることができる特性と、費やされるべきコストとの間に良好な関係を達成することができるからである。
【0003】
このような分野における最も新しい開発は−この分野における基本的な使用はすでに数年前から知られてはいるが−いわゆる滑りラッカーの使用を増加させる。
【0004】
例えば、独国特許出願公開第22 06 400号明細書には、金属支持体と、支持体に接着剤によって結合された、高い熱負荷を与えることができるプラスチックから成る摩擦層もしくは滑り層とを備えた複合材料が記載されている。この摩擦層もしくは滑り層は、熱硬化性ポリイミド樹脂と、軸受けの滑り特性を改善する添加物、例えばポリテトラフルオロエチレン、金属軸受け合金、又はこれに類するものとを含有する。滑り層は70〜20重量%の熱硬化性ポリイミド樹脂と、ほぼ30〜80重量%の自己潤滑型添加物を含有することができる。自己潤滑型添加物としては、グラファイト、二硫化モリブデン、並びに酸化物が挙げられる。
【0005】
欧州特許出願公開第0 939 106号明細書から公知の滑り層材料は、マトリックス材料としてPTFEを含有するか、又は、融点が260℃を上回る他のフルオロ熱可塑性材料と組み合わされたPTFEを含有する。ここでは少なくとも1種の粉末状ポリアラミドが含有されており、ポリアラミドの含有率は、PTFE、又はPTFEと他のフルオロ熱可塑性材料とポリアラミドとから成る混合物の総量を基準として、10〜50容積%である。
【0006】
欧州特許出願公開第1 236 914号明細書にも、軸受け金属層上に樹脂被覆体を有する滑り軸受けが記載されている。この樹脂被覆体は、30〜70容積%の範囲の自己潤滑型添加物と混和された状態で、所定の物理特性を有する熱硬化性樹脂を70〜30容積%の量で有し、ヴィッカース硬度は20以下である。樹脂は例えばポリアミドイミド樹脂であってよい。自己潤滑型添加物としては、二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ素、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、鉛などが挙げられる。
【0007】
滑り要素の被覆材料として使用するためのポリマーは、下記の文献にも記載されている:
【0008】
米国特許第5,525,246号明細書、特開昭60-1424号公報、欧州特許出願公開第0 984 182号明細書、特開平04-83914号公報、同第07-247493号公報、英国特許第2 337 306号明細書、特開平09-79262号公報、特開2001-173644号公報、独国特許出願公開第20 00 632号明細書、同第33 43 309号明細書、同第32 21 785号明細書、国際公開第97/38046号パンフレット、欧州特許出願公開第0 340 839号明細書、同第0 044 577号明細書、同第0 340 838号明細書、独国特許出願公開第24 15 327号明細書、欧州特許出願公開第060 725号明細書、独国特許出願公開第198 14 756号明細書、米国特許第4,618,270号明細書、独国特許出願公開第25 04 833号明細書、仏国特許出願公開第21 33 320号明細書、英国特許第2 384 033号明細書、特開昭53-007780号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、軸受け要素のための合成ポリマー層から成る摩擦層を、高められた負荷に摩擦層が耐えるように、再構築することである。
【0010】
この課題は、摩擦層の合成ポリマー層が、組成を異にする複数の部分層、特に少なくとも2つの層から成ることにより解決される。これにより、このような摩擦層に対する要件を今や単独の部分層だけが満たさなければならないのではなく、これらの要件は少なくとも2つの部分層に分けることができるので、それぞれの部分層を、要件プロフィールをより良く満たすことができるように形成することができる、という利点が達成される。これにより、部分層のうちの1つが消耗すると、摩擦層の構造全体においては本発明の思想から別の要件プロフィールを有している、それぞれ下側に位置する部分層が、その任務を少なくとも部分的に引き受けることができるように、摩擦層全体を形成することが可能である。これにより、合成摩擦層を備えた軸受け要素が、より長い耐用時間を有することが可能になる。
【0011】
摩擦層の第1の部分層は、第2の部分層よりも硬質であり得る。これにより、第2の部分層には、支承しようとする構成要素、例えば軸に対する順応能力、もしくは摩損から生じる粒子のための埋め込み能力を付与することができ、これに対して、第1の部分層は耐摩耗性がより高く、そして摩損に対してより高い抵抗力を有することができる。第1の部分層の硬度がより高いことにより、より高い耐キャビテーション性も達成される。同時に、第2の部分層がより軟質であることにより、摩擦層の、それ自体に対する局所的な順応性が可能になる。
【0012】
高い機械的な負荷に対する耐久性を考慮して、第1の部分層が、下限値HV2 35及び上限値HV2 60を有する範囲から選択されるヴィッカース硬度を有すると有利である。
【0013】
これとは異なり、埋め込み能力を改善するために、第2の部分層は、下限値HV2 25及び上限値HV2 45を有する範囲から選択されるヴィッカース硬度を有することができる。
【0014】
第1の部分層の硬度を高めるために、この第1の部分層内には、少なくとも1種の硬質材料が含有されていてよい。これによりやはり、摩損に対する抵抗力、もしくは第1の部分層の耐久性を高めることができる。
【0015】
摩擦層の任務を複数の部分層に分けることにより、第1の部分層内で、硬質材料が、下限値5重量%、特に10重量%、例えば15重量%、及び上限値50重量%、特に45重量%、例えば40重量%を有する範囲から選択される量で含有されること、つまり、合成ポリマー層から成る公知の摩擦層と比較して、より高い比率の硬質材料が含有されることが可能である。
【0016】
しかし、ある程度の抵抗力を第2の部分層にも付与するために、第2の部分層内に硬質材料が含有されていてもよい。この場合、硬質材料の含有率は、下限値2重量%、特に5重量%、例えば10重量%、及び上限値50重量%、特に40重量%、例えば30重量%を有する範囲から選択される。
【0017】
硬質材料は、例えばCrO3、Fe3O4、PbO、ZnO、CdO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、MnO、Si3N4、粘土、タルク、TiO2、ケイ酸アルミニウム、例えばムライト、ケイ酸マグネシウム、例えばアモサイト、アントフィライト、クリソタイル、球状炭素、カーバイド、例えばCaC2、Mo2C、WC、金属粒子、例えばZn、Ag、Ba、Bi、青銅、Cd、Co、Cu、In、Pb、Sn、Tl、鉛-錫合金粒子、Pb又はSn系の軸受け金属粒子、AlN、Fe3P、金属ホウ化物、例えばFe2B、Ni2B、FeB、BaSO4、金属硫化物、例えばZnS、Ag2S、CuS、FeS、FeS2、Sb2S3、PbS、Bi2S3、CdS、WS2、塩素化炭酸水素塩、フッ化物、例えばCaF2、金属フッ化物、例えばPbF2、カルボフルオリド(CFx)、金属オキシフッ化物、クロシドライト、トレモライト、チオカルバミン酸モリブデン、ケイ化物、チオリン酸塩、例えばチオリン酸亜鉛、のような硬質材料を含む群から選択され得る。
【0018】
種々異なる硬質材料、例えば2種、3種、4種、又は5種以上の異なる硬質材料の混合物も可能である。例えば、CrO3、及び/又はFe3O4、及び/又はPbO、及び/又はZnO、及び/又はCdO、及び/又はAl2O3、及び/又はSiC、及び/又はSi3N4、及び/又はSiO2、及び/又はMnO、及び/又はSi3N4、及び/又は粘土、及び/又はタルク、及び/又はTiO2、及び/又はケイ酸アルミニウム、例えばムライト、及び/又はケイ酸マグネシウム、例えばアモサイト、アントフィライト、及び/又はクリソタイル、及び/又は球状炭素、及び/又はカーバイド、例えばCaC2、Mo2C、及び/又はWC、及び/又は金属粒子、例えばZn、Ag、Ba、Bi、青銅、Cd、Co、Cu、In、Pb、Sn、Tl、鉛-錫合金粒子、Pb又はSn系の軸受け金属粒子、及び/又はAlN、及び/又はFe3P、及び/又は金属ホウ化物、例えばFe2B、Ni2B、FeB、BaSO4、及び/又は金属硫化物、例えばZnS、Ag2S、CuS、FeS、FeS2、Sb2S3、PbS、Bi2S3、CdS、WS2、及び/又は塩素化炭酸水素塩、及び/又はフッ化物、例えばCF2、及び/又は金属フッ化物、例えばPbF2、及び/又は金属オキシフッ化物、及び/又はクロシドライト、及び/又はトレモライト、及び/又はチオカルバミン酸モリブデン、及び/又はケイ化物、及び/又はチオリン酸塩、例えばチオリン酸亜鉛を、CrO3、及び/又はFe3O4、及び/又はPbO、及び/又はZnO、及び/又はCdO、及び/又はAl2O3、及び/又はSiC、及び/又はSi3N4、及び/又はSiO2、及び/又はMnO、及び/又はSi3N4、及び/又は粘土、及び/又はタルク、及び/又はTiO2、及び/又はケイ酸アルミニウム、例えばムライト、及び/又はケイ酸マグネシウム、例えばアモサイト、アントフィライト、及び/又はクリソタイル、及び/又は球状炭素、及び/又はカーバイド、例えばCaC2、Mo2C、及び/又はWC、及び/又は金属粒子、例えばZn、Ag、Ba、Bi、青銅、Cd、Co、Cu、In、Pb、Sn、Tl、鉛-錫合金粒子、Pb又はSn系の軸受け金属粒子、及び/又はAlN、及び/又はFe3P、及び/又は金属ホウ化物、例えばFe2B、Ni2B、FeB、及び/又はBaSO4、及び/又は金属硫化物、例えばZnS、Ag2S、CuS、FeS、FeS2、Sb2S3、PbS、Bi2S3、CdS、WS2、及び/又は塩素化炭酸水素塩、及び/又はフッ化物、例えばCF2、及び/又は金属フッ化物、例えばPbF2、及び/又は金属オキシフッ化物、及び/又はクロシドライト、及び/又はトレモライト、及び/又はチオカルバミン酸モリブデン、及び/又はケイ化物、及び/又はチオリン酸塩、例えばチオリン酸亜鉛と混合することが可能である。
【0019】
摩擦層の別の実施態様によれば、第1及び/又は第2の部分層に繊維、特に、例えばガラス、炭素、アスベスト、チタン酸カリウムから成るような無機繊維、例えばSiCのようなホイスカー、例えばCu又は鋼から成る金属繊維、硬質金属コアを備えたフィラメントが含有されている。これらの繊維によって、同様にマトリックス強化が達成される。合成層に加えられる繊維の比率に応じて、より高い、又はより低いマトリックス強度が達成される。
【0020】
この場合、第2部分層がより軟質であり、やはりより高い埋め込み能力もしくは順応性を有するように、より硬質である第1部分層により高い比率の繊維が含有されていると有利である。
【0021】
この場合もやはり、種々異なる繊維、例えばガラス、及び/又は炭素、及び/又はアスベスト、及び/又はチタン酸カリウム、及び/又はSiC、及び/又は銅から成る金属繊維、及び/又は鋼から成る金属繊維、及び/又は硬質金属コアを備えたフィラメントと、ガラス、及び/又は炭素、及び/又はアスベスト、及び/又はチタン酸カリウム、及び/又はSiC、及び/又は銅から成る金属繊維、及び/又は鋼から成る金属繊維、及び/又は硬質金属コアを備えたフィラメントから成る繊維との混合物が可能である。
【0022】
上記特性を達成するために、第1の部分層内の繊維の含有率が、下限値5重量%、特に7重量%、例えば9重量%、及び上限値20重量%、特に15重量%、例えば12重量%を有する範囲から選択されていると有利である。
【0023】
埋め込み能力を考慮して、第2の部分層内に繊維が存在しているならば、第2の部分層内の繊維の含有率が、下限値0.05重量%、特に1重量%、例えば3重量%、及び上限値10重量%、特に7重量%、例えば5重量%を有する範囲から選択されていると有利である。
【0024】
支承されるべき構成要素、例えば軸が、第2の部分層と直接に接触しているので、第2の部分層に固形潤滑剤が含有されていると有利である。さらに、より硬質の第1の部分層にも固形潤滑剤を含有することにより、より軟質の第2の部分層が局所的に摩耗しても、摩擦層のある程度の滑り能力が依然として得られ続けるようにすることも可能である。この場合、少なくとも1種の固形潤滑剤の含有率が、下限値5重量%、特に7重量%、例えば9重量%、及び上限値20重量%、特に15重量%、例えば12重量%を有する範囲から選択される。それというのも、これにより、硬度と潤滑能力との組み合わせの点で最良の作用が得られるからである。
【0025】
これに対して、第2の部分層の少なくとも1種の固形潤滑剤の含有率は、より高いことが好ましく、これによりこのような第2の部分層は、より軟質であるだけではなく、より高い潤滑能力をも有しており、そしてこの場合、この含有率は、下限値15重量%、特に20重量%、例えば25重量%、及び上限値50重量%、特に40重量%、例えば30重量%を有する範囲から選択されていると有利である。
【0026】
固形潤滑剤は、好ましくは、MoS2、h-BN、WS2、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、Pb、Pb-Sn合金、CF2、PbF2を含む群から選択される。
【0027】
この場合にも、複数の固形潤滑剤の混合物が可能である。例えば、第1及び/又は第2の部分層内に、MoS2、及び/又はh-BN、及び/又はWS2、及び/又はグラファイト、及び/又はポリテトラフルオロエチレン、及び/又はPb、及び/又はPb-Sn合金、及び/又はCF2、及び/又はPbF2と、MoS2、及び/又はh-BN、及び/又はWS2、及び/又はグラファイト、及び/又はポリテトラフルオロエチレン、及び/又はPb、及び/又はPb-Sn合金、及び/又はCF2、及び/又はPbF2とから成る混合物が含有されていてよい。
【0028】
第1及び第2の部分層は、同一のポリマーから成っていてよく、そしてこの場合には、異なる含有率の硬質材料、及び/又は固形潤滑剤、及び/又は他の添加剤を有する。しかしながら、第1の部分層が、第2の部分層とは異なるポリマーから成っていることも可能であり、これにより、例えば順応性、抵抗力、硬度などのような効果を強化することができる。この場合、「異なるポリマー」という表現は、ポリマー鎖の配置もしくはポリマー鎖の残基が異なることによってのみ異なっている同様のポリマー、例えばタクチック、アタクチック、シンジオタクチック・ポリマーなどをも含む。それというのも、これらのポリマーは互いに異なる特性を有することもあるからである。
【0029】
有利には、第1及び/又は第2の部分層のポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含有樹脂、例えばペルフルオロアルコキシ-コポリマー、ポリフルオロアルコキシ-ポリテトラフルオロエチレン-コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフロオロエチレン、フッ素化エチレン-プロピレン-コポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、交互コポリマー、統計的コポリマー、例えばペルフルオロエチレンプロピレン、ポリエステルイミド、ビスマレイミド、ポリイミド樹脂、例えばカルボランイミド、芳香族ポリイミド樹脂、無水素ポリイミド樹脂、ポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、ポリアミドイミド、特に芳香族の、場合によってはイソシアネートで改質されたポリアリールエーテルイミド、場合によってはイソシアネートで改質されたポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂エステル、フェノール樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリオキシメチレン、シリコーン、ポリアリールエーテル、ポリアリールケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアリールエーテル-エーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリ二フッ化ビニリデン、ポリ硫化エチレン、硫化アリレン、ポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、ポリエステルイミド、ポリ硫化アリール、ポリ硫化ビニレン、ポリ硫化フェニレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリ酸化アリール、ポリ硫化アリール、ニトリルゴム、フルオロ天然ゴム、ならびにこれらのコポリマーを含む群から選択される。
【0030】
この場合にもやはり、第1及び/又は第2の部分層のための複数のポリマーの混合物、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、及び/又はフッ素含有樹脂、例えばペルフルオロアルコキシ-コポリマー、ポリフルオロアルコキシ-ポリテトラフルオロエチレン-コポリマー、及び/又はエチレン-テトラフルオロエチレン、及び/又はポリクロロトリフロオロエチレン、及び/又はフッ素化エチレン-プロピレン-コポリマー、及び/又はポリフッ化ビニル、及び/又はポリフッ化ビニリデン、及び/又は交互コポリマー、及び/又は統計的コポリマー、例えばペルフルオロエチレンプロピレン、ポリエステルイミド、及び/又はビスマレイミド、及び/又はポリイミド樹脂、例えばカルボランイミド、及び/又は芳香族ポリイミド樹脂、及び/又は無水素ポリイミド樹脂、及び/又はポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、及び/又はポリアミドイミド、特に芳香族の、場合によってはイソシアネートで改質されたポリアリールエーテルイミド、及び/又は場合によってはイソシアネートで改質されたポリエーテルイミド、及び/又はエポキシ樹脂、及び/又はエポキシ樹脂エステル、及び/又はフェノール樹脂、及び/又はポリアミド6、及び/又はポリアミド66、及び/又はポリオキシメチレン、及び/又はシリコーン、及び/又はポリアリールエーテル、及び/又はポリアリールケトン、及び/又はポリアリールエーテルケトン、及び/又はポリアリールエーテル-エーテルケトン、及び/又はポリエーテルエーテルケトン、及び/又はポリエーテルケトン、及び/又はポリ二フッ化ビニリデン、及び/又はポリ硫化エチレン、及び/又は硫化アリレン、及び/又はポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、及び/又はポリエステルイミド、及び/又はポリ硫化アリール、及び/又はポリ硫化ビニレン、及び/又はポリ硫化フェニレン、及び/又はポリスルホン、及び/又はポリエーテルスルホン、及び/又はポリアリールスルホン、及び/又はポリ酸化アリール、及び/又はポリ硫化アリール、及び/又はニトリルゴム、及び/又はフルオロ天然ゴムと、ポリテトラフルオロエチレン、及び/又はフッ素含有樹脂、例えばペルフルオロアルコキシ-コポリマー、ポリフルオロアルコキシ-ポリテトラフルオロエチレン-コポリマー、及び/又はエチレン-テトラフルオロエチレン、及び/又はポリクロロトリフロオロエチレン、及び/又はフッ素化エチレン-プロピレン-コポリマー、及び/又はポリフッ化ビニル、及び/又はポリフッ化ビニリデン、及び/又は交互コポリマー、及び/又は統計的コポリマー、例えばペルフルオロエチレンプロピレン、ポリエステルイミド、及び/又はビスマレイミド、及び/又はポリイミド樹脂、例えばカルボランイミド、及び/又は芳香族ポリイミド樹脂、及び/又は無水素ポリイミド樹脂、及び/又はポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、及び/又はポリアミドイミド、特に芳香族の、場合によってはイソシアネートで改質されたポリアリールエーテルイミド、及び/又は場合によってはイソシアネートで改質されたポリエーテルイミド、及び/又はエポキシ樹脂、及び/又はエポキシ樹脂エステル、及び/又はフェノール樹脂、及び/又はポリアミド6、及び/又はポリアミド66、及び/又はポリオキシメチレン、及び/又はシリコーン、及び/又はポリアリールエーテル、及び/又はポリアリールケトン、及び/又はポリアリールエーテルケトン、及び/又はポリアリールエーテル-エーテルケトン、及び/又はポリエーテルエーテルケトン、及び/又はポリエーテルケトン、及び/又はポリ二フッ化ビニリデン、及び/又はポリ硫化エチレン、及び/又は硫化アリレン、及び/又はポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、及び/又はポリエステルイミド、及び/又はポリ硫化アリール、及び/又はポリ硫化ビニレン、及び/又はポリ硫化フェニレン、及び/又はポリスルホン、及び/又はポリエーテルスルホン、及び/又はポリアリールスルホン、及び/又はポリ酸化アリール、及び/又はポリ硫化アリール、及び/又はニトリルゴム、及び/又はフルオロ天然ゴムとの混合物が可能である。
【0031】
これらの部分層のうちの少なくとも一方に2種又は3種以上のポリマーが存在している場合、これらのポリマーは、各ポリマーが網状構造状に存在する貫入網状構造を形成することができる。このためには、ポリマーは一緒に、すなわちそれぞれ他のポリマーの存在において製造もしくは架橋することができる。ポリマーは、類似の反応速度論を有することが望ましい。
【0032】
第1の部分層の固形潤滑材料の含有率は、第2の部分層に向かって増大することができる。これにより、第1の部分層は、第2の部分層に向かって軟質になり、第2の部分層との界面領域内に最小硬度を有するので、第2の部分層が局所的に消耗しても、上記実施態様と比較して第1の部分層のより高い滑り能力が可能になる。
【0033】
第1の部分層の硬質材料の含有率が、第2の部分層に向かって低減することも可能である。これにより、やはりこの場合も、第2の部分層との界面領域内で、第1の部分層が最小硬度を有し、ひいては、この界面領域内に、より高い順応性もしくは埋め込み能力を有する。
【0034】
同じ目的から、第2の部分層の硬質材料の含有率が第1の部分層に向かって増大することにより、第2の部分層が下側の層領域内に、より高い抵抗力を有し、ひいては既にある程度は、第1の部分層の任務の一部を引き受けることができるようにすることが可能である。
【0035】
支承されるべき構成部分との界面領域における滑り能力を高めるために、第2の部分層の固形潤滑材料の含有率が、第1の部分層に向かって低減すること、つまり、軸の領域において最高含有率の固形潤滑材料を有することが可能である。
【0036】
これらの目的において、第1の部分層及び/又は第2の部分層が、上記の意味において異なる組成を有する複数の個別層から成っており、例えば、第1の部分層内で、硬質材料の含有率が第2の部分層に向かって段階的に低減し、もしくは固形潤滑材料の濃度がこの方向に増大すること、もしくは、第2の部分層内で、硬質材料の含有率が第1の部分層に向かって段階的に増大し、もしくは固形潤滑材料の含有率がこの方向に低減することが可能である。
【0037】
個々のポリマー層の付着力が十分であるので、摩擦層の個々の層の間に接着剤を配置することは、基本的には絶対に必要というわけではないが、是が非でもこの付着強度を高めるためには、部分層の少なくとも2つの個別層の間、もしくは部分層の間に、接着剤を配置することが可能である。これにより、単独の部分層が他方の部分層から少なくとも局所的に剥がれることが予防される。
【0038】
最後に、本発明の課題は、摩擦層が本発明により形成されている軸受け要素であって、第1の部分層が第2の部分層と軸受け金属層との間に配置されている、つまり第2の部分層が、支承しようとする構成部分の領域内に配置されている軸受け要素によっても解決される。
【0039】
本発明をより良く理解するために、以下の図面及び例に基づき、本発明をさらに詳しく説明する。なお、図面は、それぞれ著しく概略的に単純化して示されていることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
最初に説明しておくと、種々に記載される実施態様において、同じ部分は同じ符号もしくは同じ構成部分記号を有し、明細書全体に含まれる開示内容は、同じ符号もしくは同じ構成部分記号を有する同じ部分に意味に即して転用することができる。また、本明細書において述べられる位置の記述、例えば上、下、側方などの記述は、直接に説明され図示された図面を基準としており、位置が変化するときには、新しい位置に意味に即して転用することができる。さらに、図示され説明された種々の実施態様の個々の特徴又は特徴の組み合わせは、それ自体独立した、本発明の、又は本発明に基づく解決手段となる。
【0041】
図1は、支持金属層2と、支持金属層2上に配置された軸受け金属層3と、軸受け金属層3上に配置された摩擦層4とから成る軸受け要素1を示している。摩擦層4は、この実施態様の場合、軸受け金属層3上に形成された第1の部分層5と、第1の部分層5上に配置された第2の部分層6とから成っている。第2の部分層6は、例えば、図示されていない軸と接触している。
【0042】
支持金属層2は通常、鋼から成るが、しかしもちろん、相応の構造強度を軸受け要素1に付与する、鋼と比較可能な材料から形成されていてもよい。
【0043】
軸受け金属層3としては、このような軸受け要素に関して従来技術から公知の、基本的に全ての軸受け金属が考えられる。その例には、次のようなものがある:
【0044】
1.アルミニウム系軸受け金属(一部DIN ISO 4381もしくは4383に基づく):
AlSn6CuNi、AlSn20Cu、AlSi4Cd、AlCd3CuNi、AlSi11Cu、AlSn6Cu、AlSn40、AlSn25CuMn、AlSi11CuMgNi;
【0045】
2.銅系軸受け金属(一部DIN ISO 4383に基づく):
CuSn10、CuAl10Fe5Ni5、CuZn31Si1、CuPb24Sn2、CuSn8Bi10;
【0046】
3.錫系軸受け金属:
SnSb8Cu4、SnSb12Cu6Pb。
【0047】
第1の部分層5並びに第2の部分層6は、上記実施態様に従って形成されている。
【0048】
軸受け要素1は、滑り軸受け、例えば滑り軸受け半割シェルの形態を有することができ、また同様に、例えばコネクティングロッド、特にコネクティングロッド・アイの完全構造もしくは直接被覆体における実施も可能である。直接被覆体の場合には、事情によっては、軸受け金属層3を省くことができる。しかし、他の使用可能性、例えば摩擦ディスクなどの形成も本発明に含まれる。基本的には、本発明は、トライボラジカル特性が必要であるような軸受け要素1全体に使用可能である。
【0049】
図2には、軸受け要素1の他の多層構造が示されている。この多層構造は、この場合もやはり、外側に位置する支持金属層2、軸受け金属層3、並びに摩擦層4から成っている。
【0050】
このような実施態様の場合、支持金属層2と軸受け金属層3との間に、中間層7が配置されている。中間層7は、例えば結合層として形成することができる。このような結合層はすでに、従来技術から滑り軸受けに関して公知であり、例えば、このような結合層は、純アルミニウム、アルミニウム合金、特にスカンジウムを有するアルミニウム合金などから成っている。しかし、中間層7は、拡散遮断層として、例えばニッケル・ダム、銅ダム、又は銀ダムなどとして形成することもできる。
【0051】
もちろん、複数のこれらの中間層7、例えば結合層も拡散遮断層も配置することが可能である。
【0052】
この実施態様の場合、摩擦層4は、やはり第1の部分層5、並びに第2の部分層6から成り、第1の部分層5も第2の部分層6も複数の個別層から成っている。このことは既に上述した通りであるので、不要の繰り返しを避けるために、その詳細に触れることはしない。
【0053】
本発明の実施態様全体において、もちろん摩擦層4と軸受け金属層3との間に、図示していない中間層、例えばやはり結合層及び/又は拡散遮断層が配置されていてもよい。
【0054】
既に上述したように、第1の部分層5、及び/又は第2の部分層6の層間にも、少なくとも部分的に接着剤層が形成されていてよい。
【0055】
接着剤としては、例えばプライマーを使用することができる。
【0056】
第1の部分層5は、下限値3 μm及び上限値20 μmの範囲から選択される層厚を有することができる。
【0057】
第2の部分層6は、下限値3 μm及び上限値20 μmの範囲から選択される層厚を有することができる。
【0058】
第1の部分層5もしくは第2の部分層6の個別層は、下限値3 μm及び上限値10 μmの範囲から選択される層厚を有することができる。
【0059】
上述のように、第1の部分層5もしくは第2の部分層6のこのような個別層の内部で、固形潤滑剤もしくは硬質粒子もしくは繊維の濃度を段階的に変化させることが可能である。しかし、段階的な変化の代わりに、第1の部分層5及び/又は第2の部分層6の内部で、区別可能な不連続な個別層がもはやなくなるように、このような濃度変化が連続的に進むことも可能である。
【0060】
さらに念のために述べるならば、濃度が第1の部分層5内でも第2の部分層内6でも変化することが絶対に必要というわけではなく、第1の部分層5内、又は第2の部分層6内に、このような濃度変化が形成されるような実施態様がある。
【0061】
固形潤滑剤の濃度だけ、又は硬質粒子の濃度だけ、又は繊維の濃度だけ、部分層5,6のうちの一方の内部で変化することも可能である。
【0062】
部分層5,6の内部では、硬質材料に関しては、下限値5 %、特に10 %、例えば15 %、及び上限値50 %、特に40 %、例えば30 %を有する範囲から選択され、固形潤滑剤に関しては、下限値5 %、特に20 %、例えば30 %、及び上限値70 %、特に60 %、例えば50 %を有する範囲から選択される濃度変化が可能である。繊維に関しては、下限値0.5 %、特に5 %、例えば10 %、及び上限値20 %、特に17 %、例えば15 %を有する範囲から選択される、これらの層内部の濃度変化が可能である。
【0063】
濃度変化は、例えば5 %又は10 %ずつ段階的に形成されていてよい。
【0064】
さらに、第1の部分層5及び/又は第2の部分層6内部に、複数の固形潤滑剤又は硬質粒子、及び/又は繊維が配置されている実施態様において、濃度変化が、単独の固形潤滑剤、及び/又は硬質粒子、及び/又は繊維にだけ関連し、もしくは種々異なる固形潤滑剤、及び/又は硬質粒子、及び/又は繊維の数全体には関連しないことも可能である。
【0065】
本発明による、軸受け要素の摩擦層4についてのいくつかの例を以下に示す。
【実施例】
【0066】
例1:
本例では、第1の部分層5は、硬質粒子として24重量%〜28重量%の含有率で窒化ホウ素もしくは炭化ケイ素を含有するポリアミドから成る。更なる強化のため、そして熱伝導性を高めるために、金属繊維が、10重量%の範囲から選択された含有率で含有されている。加えて、このような第1の部分層5は、10重量%までの範囲で固形潤滑剤を含有する。これらの固形潤滑剤はMoS2又はグラファイトから成っている。
【0067】
第2の部分層6は、より高い含有率の固形潤滑剤、特にMoS2及び/又はグラファイトを有するポリアミドイミドから成っており、このようなより高い含有率は、最大20重量%である。この層には金属繊維が含有されていない。
【0068】
例2:
下側の部分層は、層の強化のための25 %炭化ケイ素と、5%の固形潤滑剤、特にMoS2、h-BN、又はTiO2とを有するエポキシ樹脂から成っている。
【0069】
第2の部分層6は、やはり、約10 %の炭化ケイ素と、含有率50 %の固形潤滑剤、特にMoS2及び/又はグラファイトとを有するエポキシ樹脂から成っている。
【0070】
例3:
本例では、部分層5は、軸受け金属層の領域内に配置された下側の個別層と、下側の個別層上に配置された第2の個別層とから成っている。第1の個別層は、含有率15 %のSi3N4、SiC、及びWCの形態の硬質粒子を有するポリアミドイミドから成っている。部分層5のこの第1の個別層内には固形潤滑剤は含有されていない。
【0071】
第2の部分層6に隣接して配置された第2の個別層は、やはり、含有率20 %の強化用粒子、特に硬質粒子、例えばSi3N4、SiC、WCと、10 %の固形潤滑剤、特にMoS2及び/又はh-BNとを有するポリアミドイミド樹脂から成っている。
【0072】
第2の部分層6は、MoS2及び/又はグラファイトの形態の20 %の固形潤滑剤を有するポリアミドイミド樹脂ベースを含む。
【0073】
更なる例を添付の表1に示す。なお、表1は、下記のように「その1」から「その4」までの4つの表からなり、また、それぞれの表は、作表の都合で、左半分及び右半分に分割されている。さらに、それぞれの表において、「1」は第1の部分層5を意味し、「2」は第2の部分層6を意味する。各例ごとに、それぞれ1つの第1の部分層5及び第2の部分層6が挙げられている。組成に関する全てのデータは重量%で理解されるべきである。
【0074】
本明細書に記載された実施例は、本発明の権利範囲を限定するものではない。本発明は、特許請求の範囲に存在することができる可能な組み合わせ全体に及ぶものであることを理解されたい。
【0075】
本明細書中の値範囲に関する記載事項は全て、値範囲がその任意の部分領域及び全ての部分領域を一緒に含むように理解されるべきである。例えば「1〜10」という記載は、下限値1及び上限値10から出発する部分範囲全体が含まれるように、すなわち、部分範囲全体が下限値1以上で始まり、そして上限値10以下で終わる、例えば1〜1.7、3.2〜8.1、又は5.5〜10であるように、理解されるべきである。
【0076】
実施例は、摩擦層4もしくは軸受け要素1の可能な実施態様を示したものである。ここで留意すべきことは、本発明が具体的に示された実施態様自体に限定されるものではなく、むしろ個別の実施態様の多様な相互の組み合わせも可能であり、そして、本発明による技術的な取り扱いに関する教示内容に基づいて、当業者であればその知識内で変更を加えることが可能であることである。つまり、例示され、説明された実施態様の個別の詳細を組み合わせることにより可能である、全ての考えられ得る実施態様も権利範囲に一緒に含まれる。
【0077】
秩序を保つ上で最後に付記しておくと、軸受け要素1の構造をより良く理解するために、軸受け要素もしくはその構成部分は、部分的に、一定の尺度では示されず、且つ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【0078】
独立した本発明による解決手段の根底を成す課題は、本明細書の記載から明らかとなるであろう。
【0079】
とりわけ、図1及び図2に示されている個別の構成は、独立した本発明による解決手段の対象を形成する。これに関する本発明による課題及び解決手段は、これらの図面の詳細な説明から明らかであろう。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
【表6】

【0086】
【表7】

【0087】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】軸受け要素の第1実施態様を示す断面図である。
【図2】軸受け要素の層構造の更なる実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 軸受け要素
2 支持金属層
3 軸受け金属層
4 摩擦層
5 部分層
6 部分層
7 中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ポリマー層、特に樹脂もしくはラッカー層から成る、軸受け要素(1)、特に滑り軸受けのための摩擦層(4)であって、ポリマー層が、少なくとも、組成を異にする第1の部分層(5)及び第2の部分層(6)から成っていることを特徴とする、摩擦層(4)。
【請求項2】
第1の部分層(5)が、第2の部分層(6)よりも硬質であることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦層(4)。
【請求項3】
第1の部分層(5)が、下限値HV2 35及び上限値HV2 60を有する範囲から選択されるヴィッカース硬度を有することを特徴とする、請求項2に記載の摩擦層(4)。
【請求項4】
第2の部分層(6)が、下限値HV2 25及び上限値HV2 45を有する範囲から選択されるヴィッカース硬度を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の摩擦層(4)。
【請求項5】
第1の部分層(5)に少なくとも1種の硬質材料が含有されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項6】
第1の部分層(5)内の少なくとも1種の硬質材料の含有率が、下限値5重量%及び上限値50重量%を有する範囲から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の摩擦層(4)。
【請求項7】
第2の部分層(6)に、下限値2重量%及び上限値50重量%を有する範囲から選択される含有率を有する硬質材料が含有されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項8】
硬質材料が、CrO3、Fe3O4、PbO、ZnO、CdO、Al2O3、SiC、Si3N4、SiO2、MnO、Si3N4、粘土、タルク、TiO2、ケイ酸アルミニウム、例えばムライト、ケイ酸マグネシウム、例えばアモサイト、アントフィライト、クリソタイル、球状炭素、カーバイド、例えばCaC2、Mo2C、WC、金属粒子、例えばZn、Ag、Ba、Bi、青銅、Cd、Co、Cu、In、Pb、Sn、Tl、鉛-錫合金粒子、Pb又はSn系の軸受け金属粒子、AlN、Fe3P、金属ホウ化物、例えばFe2B、Ni2B、FeB、BaSO4、金属硫化物、例えばZnS、Ag2S、CuS、FeS、FeS2、Sb2S3、PbS、Bi2S3、CdS、WS2、塩素化炭酸水素塩、フッ化物、例えばCF2、金属フッ化物、例えばPbF2、金属オキシフッ化物、クロシドライト、トレモライト、チオカルバミン酸モリブデン、ケイ化物、チオリン酸塩、例えばチオリン酸亜鉛、並びにこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項9】
第1及び/又は第2の部分層(5,6)に、繊維、特に、例えばガラス、炭素、アスベスト、チタン酸カリウムから成るような無機繊維、例えばSiCのようなホイスカー、例えばCu又は鋼から成る金属繊維、硬質金属コアを備えたフィラメント、並びにこれらの混合物が含有されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項10】
第1の部分層(5)内の繊維の含有率が、下限値5重量%及び上限値20重量%を有する範囲から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の摩擦層(4)。
【請求項11】
第2の部分層(6)内の繊維の含有率が、下限値0.05重量%及び上限値10重量%を有する範囲から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の摩擦層(4)。
【請求項12】
第1の部分層(5)に少なくとも1種の固形潤滑剤が含有されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項13】
第1の部分層(5)内の少なくとも1種の固形潤滑剤の含有率が、下限値5重量%及び上限値20重量%を有する範囲から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の摩擦層(4)。
【請求項14】
第2の部分層(6)に少なくとも1種の固形潤滑剤が含有されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項15】
第2の部分層(6)内の少なくとも1種の固形潤滑剤の含有率が、下限値15重量%及び上限値50重量%を有する範囲から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の摩擦層(4)。
【請求項16】
少なくとも1種の固形潤滑剤が、MoS2、h-BN、WS2、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、Pb、Pb-Sn合金、CF2、PbF2、並びにこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項17】
第1及び/又は第2の部分層(5,6)のポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素含有樹脂、例えばペルフルオロアルコキシ-コポリマー、ポリフルオロアルコキシ-ポリテトラフルオロエチレン-コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフロオロエチレン、フッ素化エチレン-プロピレン-コポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、交互コポリマー、統計的コポリマー、例えばペルフルオロエチレンプロピレン、ポリエステルイミド、ビスマレイミド、ポリイミド樹脂、例えばカルボランイミド、芳香族ポリイミド樹脂、無水素ポリイミド樹脂、ポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、ポリアミドイミド、特に芳香族の、場合によってはイソシアネートで改質されたポリアリールエーテルイミド、場合によってはイソシアネートで改質されたポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂エステル、フェノール樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリオキシメチレン、シリコーン、ポリアリールエーテル、ポリアリールケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリアリールエーテル-エーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリ二フッ化ビニリデン、ポリ硫化エチレン、硫化アリレン、ポリ-トリアゾ-ピロメリットイミド、ポリエステルイミド、ポリ硫化アリール、ポリ硫化ビニレン、ポリ硫化フェニレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリ酸化アリール、ポリ硫化アリール、ニトリルゴム、フルオロ天然ゴム、これらの混合物及びコポリマーを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項18】
第1の部分層(5)内の硬質材料の含有率が、第2の部分層(6)に向かって低減していることを特徴とする、請求項5〜17のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項19】
第1の部分層(5)内の固形潤滑材料の含有率が、第2の部分層(6)に向かって増大していることを特徴とする、請求項12〜18のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項20】
第2の部分層(6)内の硬質材料の含有率が、第1の部分層(5)に向かって増大していることを特徴とする、請求項7〜19のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項21】
第2の部分層(6)内の固形潤滑材料の含有率が、第1の部分層(5)に向かって低減していることを特徴とする、請求項14〜20のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項22】
第1の部分層(5)が、組成を異にする複数の個別層から成っていることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項23】
第2の部分層(6)が、組成を異にする複数の個別層から成っていることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項24】
部分層(5,6)の間、もしくは部分層(5,6)の少なくとも2つの個別層の間に、接着剤が配置されていることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の摩擦層(4)。
【請求項25】
支持金属層(2)、該支持金属層上に配置された軸受け金属層(3)、並びに該軸受け金属層(3)上に配置された摩擦層(4)を備えた軸受け要素(1)、特に滑り軸受けであって、摩擦層(4)が、請求項1〜24のいずれか1項に記載の摩擦層(4)から形成されており、第1の部分層(5)が、第2の部分層(6)と軸受け金属層(3)との間に配置されていることを特徴とする、軸受け要素(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−39185(P2008−39185A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202021(P2007−202021)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(504101245)ミーバ グライトラガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (16)
【Fターム(参考)】