説明

播種機

【課題】育苗箱に対する灌水を簡単な構成で実現する播種機を構成する。
【解決手段】搬送経路Xに沿って搬送される育苗箱1に床土供給部で床土を供給し、この後に育苗箱1に浸水させる形態で灌水を行う灌水部Bを備えた。この灌水部Bは、水を貯留する浸水槽5と、育苗箱1の底壁1bを浸水槽5の水面Lより低いレベルに送り込む浸水手段Qとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱の搬送経路に沿って、前記育苗箱に床土を供給する床土供給部と、播種を行う播種部と、覆土を供給する覆土部とを備えている播種機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された播種機として特許文献1には、コンベアで搬送される育苗箱に床土供給部で床土を供給し、播種部で播種を行い、灌水部で灌水を行い、覆土部で覆土の供給を行う構成が記載されている。
【0003】
この特許文献1では、灌水部(文献では灌水装置)が、搬送経路上に配置したノズルと、このノズルに対して水を加圧して供給するポンプとを備えており、灌水部ではノズルから水を噴霧する形態で灌水が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10‐276582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように灌水を行うためにポンプを備えるものでは、構成の複雑化を招くだけではなく播種機のコスト上昇を招くことになる。また、ポンプを備えずに灌水を行うように構成する場合、水道設備から灌水部に水を供給するように播種機を構成することも考えられるが、水道設備が整備されていない環境では使用することができず、改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、育苗箱に対する灌水を簡単な構成で実現する播種機を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、育苗箱の搬送経路に沿って、前記育苗箱に床土を供給する床土供給部と、播種を行う播種部と、覆土を供給する覆土部とを備えている播種機であって、
前記床土供給部で床土が供給された後の育苗箱が搬送される前記搬送経路に、前記育苗箱に浸水させる形態で水を供給する灌水部を備え、この灌水部が水を貯留する浸水槽と、前記育苗箱の底壁を前記浸水槽に貯留された水の水面より低いレベルまで送り込んで育苗箱の浸水を行う浸水手段とを備えている点にある。
【0008】
この構成によると、灌水を行う際には、床土が供給された育苗箱の底壁が、浸水手段により浸水槽の水面より低いレベルまで送り込まれ、浸水槽の水を育苗箱の内部に供給できる。また、この構成では、搬送経路の上部にノズル等を備えずに済むだけではなく、ノズルに供給する水に圧力を加えるポンプ類を必要とせず、ノズルに水道設備からの水を供給するための配管や、圧力調整のための弁等も必要としない。
このように、育苗箱に対する灌水を簡単な構成で、かつ、低コストで実現する播種機が構成された。
【0009】
本発明は、前記播種部を基準にして前記搬送経路の搬送上流側に前記灌水部を備えても良い。
【0010】
これによると、播種部で播種が行われる以前の床土に灌水を行うことになり、水分を含んだ床土に対して播種を行い良好な出芽を実現できる。
【0011】
本発明は、前記床土供給部で床土が供給された後の育苗箱が搬送される前記搬送経路に薬剤を散布する薬剤散布部を備えても良い。
【0012】
これによると、床土に、殺虫剤や殺菌剤等の薬剤を散布することが可能となり、苗の良好な生育を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】播種機の全体側面図である。
【図2】灌水部の縦断側面図である。
【図3】灌水部の平面図である。
【図4】灌水部の浸水槽とコンベアとを示す断面図である。
【図5】薬剤散布部の薬剤繰出機構を示す断面図である。
【図6】薬剤散布ユニットを備えた田植機の側面図である。
【図7】薬剤散布ユニットの構成示す側面図である。
【図8】薬剤散布ユニットの異なる構成を示す側面図である。
【図9】別実施形態(a)の播種機の全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、育苗箱1を搬送経路Xに沿って搬送するコンベア2を備え、このコンベア2により搬送経路Xに沿って搬送される育苗箱1に床土Saを供給する床土供給部Aと、この床土Saが供給された育苗箱1に水を供給する灌水部Bと、この灌水の後の床土Saに種籾T(種子の一例)の播種を行う播種部Cと、播種が行われた床土Saの上面に覆土Sbを供給する覆土部Dと、覆土Sbの表面に薬剤Uを散布する薬剤散布部Eとを備えて播種機が構成されている。
【0015】
この播種機は、複数の育苗箱1をコンベア2で連続的に搬送することにより、育苗箱1に対して床土供給と、灌水と、播種と、覆土と、薬剤散布とを連続的に行うように構成され、播種が行われた育苗箱1は育苗施設(図示せず)において適切な温度と湿度との環境下で管理されることにより出芽・育苗が行われる。この育苗の後に、田植機による圃場への移植に用いられるマット状苗W(図6を参照)が得られる。
【0016】
育苗箱1は、平面視で矩形に形成され、図4、図5に示すように底壁1bと、底壁1bに連なる側壁1cとを有し、底壁1bには水抜き用の複数の孔部(図示せず)が形成された樹脂製の成形物である。このような構成から、灌水部Bでは、図2に示すように浸水槽5に貯留された水の水面Lより下方に育苗箱1の一部を沈み込ませることで、育苗箱1の底壁1bの孔部(図示せず)から育苗箱1の内部に浸水させる形態で灌水が行われる。
【0017】
この実施形態では水稲用の種籾Tの播種に用いる形態を示しているが、本発明の播種機は、種子として水稲用の種籾Tの播種を行うものに限らず、野菜・花卉類等の種子の播種を行う播種機として構成しても良い。尚、野菜・花卉類用の播種機で播種を行う際の一形態を例に挙げると、育苗箱1にポット苗を生育させるための苗ポットを挿入し、床土Saを供給し、播種部Cでは、苗ポット毎に播種を行うように、ポットのピッチで播種が行われる。
【0018】
〔具体構成〕
コンベア2は、図1〜図4に示すように、左右のフレーム2Fに対して横向き姿勢の複数の支軸2Aを設定間隔で回転自在に支持し、この支軸2Aに一体回転する一対のプーリ2Rを備え、夫々のプーリ2Rに平行姿勢となるようにコンベアベルト2Cを巻回し、コンベアベルト2Cを駆動する電動型の搬送モータ2Mを備えている。このような構成から、搬送モータ2Mの駆動によりコンベアベルト2Cを作動させて育苗箱1の搬送が実現する。
【0019】
尚、このコンベア2は、コンベアベルト2Cを備えたものに限るものではなく、育苗箱1を載置した状態で駆動回転する複数のローラを備えて構成して良い。また、コンベア2と、このコンベア2を駆動する電動モータとを、床土供給部A、灌水部B、播種部C、覆土部D、薬剤散布部E夫々に独立して備えても良い。
【0020】
床土供給部Aは、上部の床土ホッパー10に貯留された床土Saを、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)の駆動により育苗箱1の全幅に供給する床土繰出機構11を備えると共に、育苗箱1に供給された床土表面の均平を図るための回転型の鎮圧ローラ12と、駆動回転型の床土ブラシ13とを備えている。
【0021】
床土繰出機構11は床土ホッパー10に貯留された床土Saを受け止めて水平方向に送るベルト状部材を備えており、このベルト状部材を設定速度で駆動することにより床土Saの繰出が実現する。
【0022】
灌水部Bは、図1〜図4に示すように、水を貯留する浸水槽5を備えると共に、育苗箱1の底壁1bを浸水槽5に貯留された水の水面Lより低いレベルまで送り込んで育苗箱1の浸水を行い、この後に、元のレベルに送り出す浸水手段Qを備えている。
【0023】
浸水手段Qは、床土Saが供給された後の育苗箱1を、その底壁1bが浸水槽5の水面Lより低いレベルに達する位置まで送り込み、この後に元のレベルに送り出すようにコンベア2の搬送経路Xを下方に突出するように湾曲させて構成されている。そして、浸水を実現するための搬送経路Xを浸水処理領域Xqと称しており、この浸水処理領域Xqに育苗箱1を搬送することにより、浸水槽5に貯留されている水が育苗箱1の底壁1bの貫通孔から育苗箱1の内部に浸入し床土Saに水を吸収させる形態の灌水が実現する。このように浸水を行わせることにより、床土Saの表面に流水の跡が残ることや、床土Saの偏りを招く不都合も抑制する。
【0024】
灌水部Bでは、浸水槽5の水面Lのレベルの低下を抑制するために自動的に水を補給する水補給機構(図示せず)を備えているが、この水補給機構に代えて、人為的に水の補給を行うように構成しても良い。
【0025】
播種部Cは、上部の種子ホッパー15に貯留された種籾Tを、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)の駆動により育苗箱1の内部の全幅に供給する種子繰出機構16を備えている。
【0026】
この種子繰出機構16は、搬送経路Xと直交する横向き姿勢の軸芯を中心に回転自在に支承されたロール状部材として構成され、このロール状部材の外周には軸芯と平行姿勢となる複数の凹部(図示せず)が形成されている。この構成から、ロール状部材を駆動回転させることにより種子ホッパー15に貯留された種籾Tが、自重により凹部に入り込み、ロール状部材が軸芯を中心にして回転することにより、種籾Tが脱落可能な姿勢に達した時点で凹部からが脱落し、播種が行われる。
【0027】
覆土部Dは、床土供給部Aと同様の構成を有しており、上部の覆土ホッパー18に貯留された覆土Sbを、電動モータ等のアクチュエータ(図示せず)の駆動により育苗箱1の全幅に供給する覆土繰出機構19を備えると共に、育苗箱1に供給された覆土表面の均平化を図り、余分の覆土Sbを除去する駆動回転型の覆土ブラシ20を備えている。
【0028】
覆土繰出機構19は、覆土ホッパー18に貯留された覆土Sbを受け止めて水平方向に送るベルト状部材を備えており、このベルト状部材を設定速度で駆動することにより覆土Sbの繰出が実現する。
【0029】
薬剤散布部Eは、上部の薬剤ホッパー22に貯留された粉粒状の薬剤Uを、育苗箱1の移動力により育苗箱1の全幅に供給する薬剤繰出機構23を有すると共に、育苗箱1に供給された薬剤Uのうち余分なものを取り除く薬剤ブラシ24を備えている。薬剤Uとしては殺虫剤や殺菌剤が使用され、薬剤の散布により種籾Tが出芽した後に害虫を駆除し、苗の病気を抑制する。
【0030】
この薬剤散布部Eは、図5に示すように育苗箱1の外縁部分の上面に接触することで育苗箱1の移動に伴って回転する従動ローラ25と、この従動ローラ25の回転力を薬剤繰出機構23に伝える連動ギヤ26とを備えている。この構成からコンベア2の搬送力により育苗箱1が搬送される場合には、移動に伴い従動ローラ25が回転し、この回転力が連動ギヤ26から薬剤繰出機構23に伝えられ、薬剤繰出機構23が回転し薬剤の散布が行われる。
【0031】
〔播種形態〕
この播種機で播種を行う場合には、コンベア2の搬送上流側に育苗箱1を連続的に供給し、コンベア2で搬送を行うことにより、床土供給部Aにおいて育苗箱1に床土Saが供給され、鎮圧ローラ12で床土面の上面に圧力が加えられ、余分の土が床土ブラシ13で除去される。これにより育苗箱1には必要とする量の床土Saが供給される。
【0032】
次に、灌水部Bでは、コンベア2の搬送に伴い浸水手段Qが、浸水処理領域Xqにおいて育苗箱1の底壁1bを浸水槽5に貯留された水の水面Lより低いレベルまで送り込むことにより、浸水槽5の水が育苗箱1の底壁1bの孔部から床土内に染み込む形態での灌水が行われる。
【0033】
次に、播種部Cにおいて育苗箱1の床土面に種籾Tが供給され(播種が行われ)、これに続いて、覆土部Dにおいて育苗箱1に覆土Sbが供給され、覆土ブラシ20により余分の土が除去され、最後に薬剤散布部Eにおいて覆土面に薬剤Uが散布される。この薬剤散布部Eでは、育苗箱1の搬送に連動して薬剤繰出機構23が回転作動する構成であるため、電動モータ等のアクチュエータを備えずとも育苗箱1が下部を通過する毎に薬剤散布が行われる。
【0034】
〔田植機での使用形態〕
図6には、前述した播種機での播種により生産されたマット状苗Wを乗用型の田植機に供給する際の状況を示している。田植機は、左右一対の前車輪31と左右一対の後車輪32とを有した走行機体Gの後端位置に苗植付装置33を昇降自在に備え、走行機体Gの中央位置に運転座席34を備えている。また、走行機体Gの前部位置でボンネット35の左右両側部にはマット状苗を載置する予備苗載部Hを備えている。
【0035】
苗植付装置33は、マット状苗Wを載置する苗載台33Aと、この苗載台33Aに載置されたマット状苗Wの下端から苗を切り出して圃場面に植え付ける植付機構33Bとを備えている。
【0036】
予備苗載部Hは、縦向きの支柱37に対して3つの予備苗載台38を備えており、夫々の予備苗載台38には、マット状苗Wの前後方向への移送を円滑に行うための複数の遊転ローラ38Rを備えている。この予備苗載部Hは、同図に仮想線で示す如く、3つの予備苗載台38を棚状に配置する重複姿勢と、同図に実戦で示す如く、3つの予備苗載台38が走行機体Gの前後方向で一直線上に並ぶ展開姿勢とに切換自在に構成されている。
【0037】
尚、展開姿勢では、上段の予備苗載台38を中段の中央の予備苗載台38の後部位置に隣接させ、下段の予備苗載台38を中段の予備苗載台38の前部位置に隣接させるように構成されている。マット状苗Wは育苗箱1に収容した状態で予備苗載台38に供給され、苗植付装置33の苗載台33Aに載置する際に育苗箱1から取り出される。
【0038】
このような構成のため、マット状苗Wを供給する場合には、予備苗載台38を展開姿勢に設定し、走行機体Gの前端を畦の近傍に接近させ、畦から前端位置の予備苗載台38に対して育苗箱1に収容された状態のマット状苗Wを供給することになる。このように供給されたマット状苗Wは複数の予備苗載台38の上面を滑動させる形態で後方に送られ、育苗箱1から取り出すことで苗植付装置33の苗載台33Aに供給できる。
【0039】
図7には、複数の予備苗載台38を展開した状態で支柱37に装着される薬剤散布ユニットFを示しており、この薬剤散布ユニットFは、予備苗載台38に送られるマット状苗Wに薬剤の散布を行えるように構成されている。
【0040】
つまり、薬剤散布ユニットFは、薬剤を貯留する薬剤ホッパー41と、薬剤を繰り出す薬剤ロール42を備えると共に、予備苗載台38の遊転ローラ38Rと一体回転する駆動輪体44と、薬剤ロール42と一体回転する被駆動輪体45とに亘って無端ベルトで成る駆動機構46を巻回した構成を備えている。この駆動機構46は、ベルト式に限るものではなくギヤ式や、駆動軸を備えた構成であっても良い。
【0041】
また、薬剤散布ユニットFの異なる構成として、図8には、マット状苗Wの上側の苗部分に接触して回転するように多数の扇状の部材を備えた従動回転体48を備え、この従動回転体48と一体回転する駆動輪体44の回転体の駆動力を、薬剤ロール42と一体回転する被駆動輪体45とに亘って無端ベルトで成る駆動機構46を巻回した構成を示している。
【0042】
この図7、図8に示す構成のように薬剤散布ユニットFを構成することにより、マット状苗Wを展開姿勢の予備苗載台38の前端から育苗箱1と共にマット状苗Wを送り込むことにより、このマット状苗Wの搬送に連動して薬剤散布ユニットFからマット状苗Wに薬剤が散布されることになり、人為的な散布を行わずとも、設定量の薬剤の散布を行えることになる。
【0043】
〔実施形態の作用・効果〕
このように本発明の播種機では、コンベア2に育苗箱1を連続的に送ることで、床土供給部Aにおいて育苗箱1に床土Saが供給され、この直後に灌水部Bにおいて育苗箱1の底壁1bから水を浸水させる形態で水が供給される。このように水を浸水させる形態で供給する構成のため、水を散布する構成と比較すると水を加圧するポンプを必要とせず、構成が簡素化してコストダウンを実現する。また、水道設備と接続する必要がないため、水道が整備されない環境においても播種が可能となる。
【0044】
この後に、播種部Cにおいて種籾Tの播種を行い、覆土部Dにおいて覆土Sbを供給し、薬剤散布部Eで薬剤Uの散布を行うことになる。尚、薬剤散布部Eでは育苗箱1の搬送に伴って薬剤Uを散布する構成であるので電動モータ等のアクチュエータを必要とせず、育苗箱1が搬送されない場合には薬剤の散布が行われず薬剤を無駄にすることもない。
【0045】
更に、田植機にマット状苗Wを送り込む場合には予備苗載部Hにおいて、マット状苗Wが送られる際に、薬剤散布ユニットFで薬剤の散布が行われるので、薬剤Uの散布に手間が掛からない。
【0046】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0047】
(a)本発明では、図9に示すように、灌水部Bが配置される位置を、コンベア2の搬送経路Xの搬送方向において播種部Cの搬送下流側に設定する。このように灌水部Bを配置することにより、播種後の育苗箱1に対する灌水が実現する。特に、播種後に床土Saに浸水させる形態で灌水を行う場合には、灌水時に種子が浮力によって浮き上がらないように、灌水時の水面Lを床土Saに播種されたレベルより低く設定され、このような設定によっても良好な播種処理が実現する。
【0048】
(b)灌水部Bの配置としては、床土供給部Aより搬送下流側であれば良く、例えば、覆土部Dより搬送下流側であっても良い。また、この灌水部Bを搬送経路中の複数箇所に配置しても良い。
【0049】
(c)灌水を行う際の浸水槽5の水面Lより育苗箱1の床土Saの表面が低いレベルとなるように、浸水時におけるレベルを設定しても良い。このように設定することにより灌水を確実に迅速に行うことが可能となる。
【0050】
(d)灌水部Bとして、育苗箱1を載置した状態で昇降可能な昇降台(浸水手段Qの一例)を浸水槽5に備え、育苗箱1が昇降台に達すると、昇降台を下降させ育苗箱1の底壁1bを浸水槽5の水面下まで下降させる形態で灌水を行い、この後に元のレベルまで育苗箱1を上昇させて送り出すように構成する。このように構成した場合には、浸水処理領域Xqとしてコンベア2に傾斜部を形成しなくて済み、搬送経路Xの全長の短縮も実現する。
【0051】
(e)灌水部Bとして、上述した別実施形態(d)と同様に育苗箱1を上下に昇降させる構成として、コンベア2で搬送される育苗箱を吊り上げるアーム機構等(浸水手段Qの一例)を備え、このアーム機構等で吊り上げた育苗箱1を、浸水槽5に移動させることで育苗箱1の底壁1bを浸水槽5の水面下まで下降させる形態で灌水を行い、この後に、コンベア2に載置し次の播種部Cや覆土部Dに搬送する構成を備える。このように構成した場合には、浸水処理領域Xqとしてコンベア2に傾斜部を形成しなくて済み、搬送経路Xの全長の短縮も実現する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、育苗箱をコンベアで搬送し床土供給の後に灌水を行う播種機全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 育苗箱
1b 底壁
5 浸水槽
A 床土供給部
B 灌水部
C 播種部
D 覆土部
E 薬剤散布部
L 水面
Q 浸水手段
Sa 床土
Sb 覆土
U 薬剤
X 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗箱の搬送経路に沿って、前記育苗箱に床土を供給する床土供給部と、播種を行う播種部と、覆土を供給する覆土部とを備えている播種機であって、
前記床土供給部で床土が供給された後の育苗箱が搬送される前記搬送経路に、前記育苗箱に浸水させる形態で水を供給する灌水部を備え、この灌水部が水を貯留する浸水槽と、前記育苗箱の底壁を前記浸水槽に貯留された水の水面より低いレベルまで送り込んで育苗箱の浸水を行う浸水手段とを備えている播種機。
【請求項2】
前記播種部を基準にして前記搬送経路の搬送上流側に前記灌水部を備えている請求項1記載の播種機。
【請求項3】
前記床土供給部で床土が供給された後の育苗箱が搬送される前記搬送経路に薬剤を散布する薬剤散布部を備えている請求項1又は2記載の播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−249622(P2012−249622A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127206(P2011−127206)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】