撮像システムおよび技法
光学走査顕微鏡および/または他の適当な撮像システムのためのシステムおよび技法は、スライド上に配置された組織標本および/または他の物体の焦点の合った画像を走査および収集する構成要素を含む。本明細書に記載する集束システムは、スナップショットが捕獲されると、各スナップショットに対する最善の焦点の判定を実現する。これを「実行中の集束」と呼ぶことができる。本明細書に提供されるデバイスおよび技法は、病理学スライド内の一領域のデジタル画像を形成するのに必要な時間を著しく低減させ、高い処理量で試験片の高品質のデジタル画像の作成を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「On−the−Fly Focusing Sensor」という名称の2010年7月23日出願の米国特許仮出願第61/367,341号、「Slide Caching in a Slide Scanning Microscope」という名称の2010年1月28日出願の米国特許仮出願第61/299,231号、「Scanning Microscope Slide Stage」という名称の2009年11月13日出願の米国特許仮出願第61/261,251号、「High Speed Slide Scanning System for Digital Pathology」という名称の2009年10月29日出願の米国特許仮出願第61/256,228号、および「On−the−Fly Focusing Systems and Techniques for Scanning Microscopes」という名称の2009年10月19日出願の米国特許仮出願第61/252,995号に対する優先権を主張する。同願をすべて、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本願は、撮像の分野に関し、より詳細には、画像を取得および捕獲するシステムおよび技法に関する。
【背景技術】
【0003】
疾病を示す細胞構造の変化の分子撮像識別は、依然として、創薬科学をよりよく理解するための鍵である。顕微鏡検査の適用分野は、微生物学(たとえば、グラム染色など)、植物組織培養、動物細胞培養(たとえば、位相差顕微鏡検査など)、分子生物学、免疫学(たとえば、ELISAなど)、細胞生物学(たとえば、免疫蛍光法、染色体分析など)、共焦点顕微鏡検査、微速度および生細胞撮像、直列および3次元撮像に適用することができる。
【0004】
共焦点顕微鏡検査の進歩により、細胞内で発生する秘密の多くを解明してきたため、蛍光マーカを使用すると、転写および並進のレベル変化を検出することができる。共焦点手法の利点は、試験片を通じて順次高い分解能で個々の光学断面を撮像する特性に起因する。しかし依然として、比較的低いコストで病理組織の正確な分析を提供する病理組織の画像のデジタル処理システムおよび方法が必要とされている。
【0005】
デジタル病理学における所望の目標は、観察するための高分解能のデジタル画像を短期間で取得することである。病理学者が顕微鏡の接眼レンズを通じてスライドを観察する現在の手動の方法では、細胞特性の検査または染色された細胞と染色されていない細胞の計数の際に診断することができる。デジタル画像が収集され、高分解能のモニタで観察され、また後の使用のために共用および保管できる自動化された方法が望ましい。デジタル化プロセスは、高い処理量ならびに高分解能および高品質の画像で効率的に実現されると有利である。
【0006】
従来の仮想顕微鏡検査システムにおける撮像技法では、個々の画像で、画像の大部分において著しく焦点がずれている可能性がある。従来の撮像システムは、カメラによって得られるそれぞれの個々のスナップショットに対して単一の焦点距離に制限されており、したがって、走査されている対象試験片の表面が均一でないとき、それぞれの「視野」には焦点のずれた領域がある。仮想顕微鏡検査で用いられる高倍率レベルでは、均一の表面を有する試験片は極めてまれである。
【0007】
従来のシステムは、1)第1の通過において、組織断面の上部に配置された2次元の格子上に構成された画像フレームによって分離される点のアレイで最善の焦点を判定するステップと、2)別の通過において、各焦点へ移動して画像フレームを獲得するステップとを含む2ステッププロセスに基づく事前集束技法を使用して、高い比率の焦点ずれ画像に対処する。これらの最善の焦点間の点では、焦点は補間される。この2ステッププロセスは、焦点ずれ画像を低減させ、またはさらにはなくすことができるが、このプロセスの結果、傾けた画像を獲得する速度が著しく損失される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来の撮像システムに固有の著しい問題を克服し、焦点の合った高品質の画像を高い処理量で効率的に提供するシステムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載するシステムによれば、試験片の焦点の合った画像を取得するデバイスは、試験片を検査するように配置された対物レンズを含む。対物レンズには低速集束ステージが結合され、低速集束ステージは、対物レンズの移動を制御する。ディザ焦点ステージがディザレンズを含み、ディザ焦点ステージはディザレンズを移動させる。ディザレンズを介して伝送される光に従って、焦点センサが焦点情報を提供する。少なくとも1つの電気構成要素が焦点情報を使用して測定基準を判定し、測定基準に従って対物レンズの第1の焦点位置を判定し、電気構成要素は、対物レンズを第1の焦点位置へ移動させるための位置情報を低速集束ステージへ送る。対物レンズが第1の焦点位置へ移動された後、画像センサが試験片の画像を捕獲する。XY移動ステージを含むことができ、XY移動ステージ上に試験片が配置され、電気構成要素は、XY移動ステージの移動を制御する。XY移動ステージの移動は、ディザレンズの運動に位相ロックすることができる。ディザ焦点ステージは、ディザレンズを並進運動で移動させる音声コイル作動式の屈曲アセンブリを含むことができる。ディザレンズは、少なくとも60Hzの共振周波数で移動させることができ、電気構成要素は、焦点情報を使用して、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算を実行する。焦点センサおよびディザ焦点ステージは、双方向に動作するように設定することができ、焦点センサは、共振周波数のディザレンズの運動の正弦波形の上下部分両方に関する焦点情報を生成する。測定基準は、コントラスト情報、鮮明度情報、および/または色度情報を含むことができる。焦点情報は、試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含むことができる。電気構成要素は、XY移動ステージの移動を制御することができ、XY移動ステージの速度を判定する際に、複数の区間の少なくとも一部分からの情報が使用される。焦点センサの視野は、画像センサの視野に対して傾けることができる。
【0010】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、試験片の焦点の合った画像を取得する方法が提供される。この方法は、試験片を検査するように配置された対物レンズの移動を制御するステップを含む。ディザレンズの運動が制御され、ディザレンズを介して伝送される光に従って焦点情報が提供される。焦点情報を使用して測定基準を判定し、測定基準に従って対物レンズの第1の焦点位置を判定する。対物レンズを第1の焦点位置へ移動させるために使用される位置情報が送られる。第1の焦点位置は、最善の焦点位置として判定することができ、この方法は、対物レンズが最善の焦点位置へ移動された後に、試験片の画像を捕獲するステップをさらに含むことができる。ディザレンズは、少なくとも60Hzの共振周波数で移動させることができ、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算を実行することができる。測定基準は、鮮明度情報、コントラスト情報、および/または色度情報を含むことができる。焦点情報は、試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含むことができる。試験片が配置されたXY移動ステージの移動を制御することができ、XY移動ステージの速度を判定する際に、複数の区間の少なくとも一部分からの情報を使用することができる。XY移動ステージの移動を制御して、試験片の前後の並進走査を提供することができる。
【0011】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、試験片の画像を取得する方法は、公称焦点面を確立するステップを含む。試験片は、関連するxおよびy座標を有する開始位置で位置決めされる。前記試験片を越える単一の横断で、第1の処理が実行される。第1の処理は、ディザレンズを使用して、複数の点のそれぞれに対して焦点位置を判定するステップと、前記焦点位置に従って、前記複数の点のそれぞれに対してフレームを獲得するステップとを含む。
【0012】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、コンピュータ可読媒体が、上述したステップのいずれかによって試験片の焦点の合った画像を取得するために記憶されたコードを備える。さらに、コンピュータ可読媒体は、後述するプロセスのいずれか1つまたは複数を実行するために記憶されたコードを備えることができる。
【0013】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、顕微鏡ステージのためのデバイスが、移動ステージブロックと、移動ステージブロックを案内する底ブロックとを含む。底ブロックは、実質上平坦な第1のブロックと、三角形の形状を有する第2のブロックとを含み、第1のブロックおよび第2のブロックは、移動ステージブロックを並進方向に案内する。第1のブロックおよび第2のブロックは、底板上の高くなった突起上で支持することができる。第1のブロックおよび第2のブロックは、ガラスから作製することができる。移動ステージブロック上に、第1のブロックおよび第2のブロックに接触する複数のボタン要素を配置することができ、ボタン要素は、並進方向にのみ移動ステージブロックの運動を可能にすることができる。ボタン要素は、球面形状を有することができ、熱可塑性物質から作製することができる。複数のボタン要素の少なくとも2つは、第2のブロックの三角形の形状の両側で互いに面するように構成することができ、複数のボタン要素の少なくとも1つのボタンは、その平坦な面で第1のブロックに接触する。移動ステージブロック上の複数のボタン要素の位置は、三角形を形成することができる。複数のボタン要素はそれぞれ、ステージの運動中に等しい重量を保持することができる。移動ステージブロックは、複数のボタン要素の位置によって形成された三角形の質量中心に重心を有するような形状とすることができる。片持ち梁アームアセンブリを提供することができ、片持ち梁アセンブリに堅く結合された第1の端部と、移動ステージブロック上の質量中心位置に結合された第2の端部とを有する屈曲要素を提供することができる。片持ち梁アームアセンブリは、レール上の再循環式の軸受設計を介して動作する軸受ブロックに結合された片持ち梁アームを含むことができる。レール上で軸受ブロックを駆動させると、屈曲要素は、移動ステージブロックに力を印加することができる。屈曲要素の曲げ剛性は、片持ち梁アームアセンブリの上下運動から移動ステージブロックを分離することができる。底ブロックは、移動ステージブロックの並進方向に対して垂直な方向に別の移動ステージを形成することができる。150ナノメートル程度の運動の繰返し精度を提供することができる。運動の繰返し精度は、移動ステージおよび底ブロックの並進方向に直交することができる。
【0014】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドキャッシングのためのデバイスが、ラックと、バッファと、ラックとバッファの間で第1のスライドを移動させるスライドハンドラと、XYステージとを含む。XYステージは、第2のスライドの走査に関連して第2のスライドを移動させ、第1のスライドに対応するスライドハンドラの少なくとも1つの機能が、第2のスライドに対応するXYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される。スライドハンドラは、ラック、バッファ、およびXYステージの間で第1のスライドおよび第2のスライドを移動させることができ、少なくとも3自由度で移動することができる。XYステージは、バッファからXYステージへスライドを移動させるスライドピックアップヘッドを含むことができる。撮像デバイスが、第1のスライドおよび第2のスライドを撮像することができ、集束システムおよびカメラを含むことができる。集束システムは、動的集束システムを含むことができる。XYステージの機能と並行して実行されるスライドハンドラの機能は、少なくとも10%の時間利得を提供することができる。スライドハンドラは、機械的ピックアップデバイスおよび/または真空ピックアップデバイスを含むスライドピックアップヘッドを含むことができる。バッファは、複数のスライドを受け入れる複数のバッファ位置を含むことができる。バッファの少なくとも1つのバッファ位置は、スライドのサムネイル画像を捕獲するために使用される位置とすることができる。ラックは、少なくとも1つの主トレーおよび迂回トレーを含むことができ、主トレー内に何らかのスライドが配置される前に、迂回トレー内に配置されたスライドが処理される。
【0015】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドキャッシングのための方法が、ラックおよびバッファを提供するステップを含む。ラックとバッファの間で、第1のスライドが移動される。第2のスライドが、第2のスライドの走査に関連してバッファ内またはバッファ外へ移動される。ラックとバッファの間の第1のスライドの移動は、第2のスライドの走査と並行して実行することができる。第2のスライドの走査は、集束動作および画像捕獲動作を含むことができる。第2のスライドの走査と並行して第1のスライドを移動させることで、少なくとも10%の時間利得を提供することができる。第2のスライドの走査は、動的集束動作を含むことができる。バッファは、カメラバッファ位置および戻りバッファ位置の少なくとも1つを含む複数のバッファ位置を含むことができる。この方法は、第1のスライドおよび/または第2のスライドがカメラバッファ位置にあるとき、第1のスライドおよび/または第2のスライドのサムネイル画像を捕獲するステップをさらに含むことができる。
【0016】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドキャッシングのためのデバイスは、第1のラック、第2のラック、第1のXYステージ、および第2のXYステージを含む。第1のXYステージは、第1のスライドを、第1のスライドの走査に関連して第1のラック内または第1のラック外へ移動させる。第2のXYステージは、第2のスライドを、第2のスライドの走査に関連して第2のラック内または第2のラック外へ移動させる。第1のスライドに対応する第1のXYステージの少なくとも1つの機能は、第2のスライドに対応する第2のXYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される。第1のラックおよび第2のラックは、単一のラックの一部を形成することができる。撮像デバイスが、第1のスライドおよび第2のスライドを撮像することができる。第1のXYステージと第2のXYステージはそれぞれ、スライドピックアップヘッドを含むことができる。
【0017】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライド走査のためのデバイスが、回転可能なトレーと、回転可能なトレー内に配置された少なくとも1つの凹部とを含む。凹部は、スライドを受け取るように寸法設定され、凹部は、回転可能なトレーの回転の結果、走査位置でスライドを安定させる。凹部は、スライドを安定させる複数の凸部を含むことができ、回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含むことができる。撮像システムを含むことができ、撮像システムの少なくとも1つの構成要素は、回転可能なトレーの放射方向に移動する。撮像システムの構成要素は、回転可能なトレーの1回転に対応して放射方向に漸進的に移動することができる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの長さは、回転可能なトレーの放射方向に向けることができる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの幅は、回転可能なトレーの放射方向に向けることができる。
【0018】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドを走査する方法が、回転可能なトレーの少なくとも1つの凹部内にスライドを配置するステップと、回転可能なトレーを回転させるステップとを含む。凹部は、スライドを受け取るように寸法設定され、凹部は、回転可能なトレーの回転の結果、走査位置でスライドを安定させる。凹部は、スライドを安定させる複数の凸部を含むことができ、回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含むことができる。この方法は、撮像システムを提供するステップと、回転可能なトレーの放射方向に撮像システムの少なくとも1つの構成要素を移動させるステップとをさらに含むことができる。撮像システムの構成要素は、回転可能なトレーの1回転に対応して放射方向に漸進的に移動させることができる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの長さは、回転可能なトレーの放射方向に向けられる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの幅は、回転可能なトレーの放射方向に向けられる。
【0019】
本明細書に記載するシステムの実施形態について、図面に基づいて本明細書により詳細に説明する。図面について、以下に簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によるデジタル病理学標本の走査および撮像に関連して使用される様々な構成要素デバイスを含むことができる走査顕微鏡および/または他の走査デバイスの撮像システムの概略図である。
【図2】本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点システムを含む撮像デバイスを示す概略図である。
【図3】図3Aは、制御システムが適当な電子機器を含むことができることを示す、制御システムの一実施形態の概略図である。図3Bは、制御システムが適当な電子機器を含むことができることを示す、制御システムの一実施形態の概略図である。
【図4】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点ステージをより詳細に示す概略図である。
【図5A】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5B】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5C】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5D】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5E】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図6】図6Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点光学系および鮮明度判断の命令波形を示すグラフの概略図である。図6Bは、ディザレンズの正弦波運動の一部分に対して計算された鮮明度(Zs)値のグラフを示す概略図である。
【図7】図7Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による試験片(組織)の集束判断および調整を示す概略図である。図7Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による試験片(組織)の集束判断および調整を示す概略図である。
【図8】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ集束光学系によって標本化された複数の点における各鮮明度応答に対する鮮明度曲線およびコントラスト比を含む鮮明度プロファイルの一例を示す概略図である。
【図9】制御信号を生成して低速焦点ステージを制御するためのコントラスト関数の使用を示す機能制御ループブロック図である。
【図10】本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理に関連して複数の区間に分割されている焦点窓を示す概略図である。
【図11】本明細書の技法による一実施形態において複数の時点で取得できる異なる鮮明度値の図である。
【図12】本明細書に記載するシステムの一実施形態による検査下で試験片の走査中に実行中の焦点処理を示す流れ図である。
【図13】本明細書に記載するシステムの一実施形態による低速焦点ステージにおける処理を示す流れ図である。
【図14】本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像捕獲処理を示す流れ図である。
【図15】本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理のための代替構成を示す概略図である。
【図16】本明細書に記載するシステムの別の実施形態による焦点処理のための代替構成を示す概略図である。
【図17】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライド上の組織のモザイク画像を獲得するための処理を示す流れ図である。
【図18】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるXYステージの精密ステージ(たとえば、Yステージ部分)の一実装形態を示す概略図である。
【図19】図19Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による精密ステージの移動ステージブロックのより詳細な図である。図19Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による精密ステージの移動ステージブロックのより詳細な図である。
【図20】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるYステージ、Xステージ、および底板を含む、本明細書に論じる精密ステージの特徴によるXY複合ステージ全体の一実装形態を示す図である。
【図21】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシングデバイスを示す概略図である。
【図22】図22Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を、第1のスライドに関連して示す流れ図である。図22Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を、第2のスライドに関連して示す流れ図である。
【図23A】本明細書に記載するシステムの様々な実施形態による時間の節約を示す、本明細書に記載するシステムの実施形態によるスライドキャッシング技法を使用するタイミング図である。
【図23B】本明細書に記載するシステムの様々な実施形態による時間の節約を示す、本明細書に記載するシステムの実施形態によるスライドキャッシング技法を使用するタイミング図である。
【図24】本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイスを示す概略図である。
【図25】図25Aは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第1のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図である。図25Bは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第2のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図である。
【図26】本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイスを示す概略図である。
【図27】図26によるスライドキャッシングデバイスの別の図を示す概略図である。
【図28A】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28B】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28C】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28D】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28E】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28F】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28G】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28H】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28I】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28J】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図29】本明細書に記載するシステムの一実施形態による発光ダイオード(LED)照射アセンブリを使用してスライドを照射する照射システムを示す概略図である。
【図30】本明細書に記載するシステムによるLED照射アセンブリに対する一実施形態のより詳細な図を示す概略図である。
【図31】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるLED照射アセンブリの特有の実装形態を示す概略分解図である。
【図32】デジタル病理学撮像に関連して使用できる本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイスを示す概略図である。
【図33】本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイスのトレー上の凹部をより詳細に示す概略図である。
【図34】凹部内のスライド上の試験片を撮像するためにスライドに対して第1の放射方向の位置から開始する撮像経路を示す概略図である。
【図35】図35Aは、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による回転式スライドホルダ上のスライドの代替構成を示す概略図である。
【0021】
図35Bは、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による回転式スライドホルダ上のスライドの代替構成を示す概略図である。
【図36】スライド上の試験片を検査するように配置された対物レンズを含む、本明細書に記載するシステムの一実施形態による撮像システムを示す概略図である。
【図37】本明細書に記載するシステムの一実施形態による回転可能なトレーを使用する高速スライド走査を示す流れ図である。
【図38】本明細書に記載するシステムの一実施形態による光学複像システムを示す概略図である。
【図39】図39Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像センサの前における第1の結像レンズおよび第2の結像レンズの往復を示す光学複像システムの概略図である。図39Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像センサの前における第1の結像レンズおよび第2の結像レンズの往復を示す光学複像システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によるデジタル病理学標本の走査および撮像に関連して使用される様々な構成要素デバイスを含むことができる走査顕微鏡および/または他の走査デバイスの撮像システム5の概略図である。撮像システム5は、本明細書に別途詳細にさらに論じるように、他の構成要素システム50の中でも、集束システム10、スライドステージシステム20、スライドキャッシングシステム30、および照射システム40を有する撮像デバイスを含むことができる。本明細書に記載するシステムは、「Digital Microscope Slide Scanning System and Methods」という名称のDietzらの米国特許出願公開第2008/0240613号に記載されているように、精度を実質的に損失することなく、拡大して画像を再構成し、再構成された画像を表示および記憶することに関連する特徴を含む、画像の捕獲、ステッチ、および拡大のための顕微鏡スライド走査計器のアーキテクチャおよび技法に関連して使用できることにも留意されたい。同願を、参照により本明細書に組み込む。
【0023】
図2は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライド上に配置された組織標本101および/または他の物体の焦点の合った画像を撮る集束システムの構成要素を含む光学走査顕微鏡および/または他の適当な撮像システムの撮像デバイス100を示す概略図である。本明細書に記載する集束システムは、スナップショットが捕獲されると、各スナップショットに対する最善の焦点の判定を実現する。これを、「実行中の集束」と呼ぶことができる。本明細書に提供されるデバイスおよび技法は、病理学スライド内の一領域のデジタル画像を形成するのに必要な時間を著しく低減させる。本明細書に記載するシステムは、従来のシステムの2ステップ手法のステップを組み込み、事前集束に必要な時間を本質的になくす。本明細書に記載するシステムは、スナップショットを捕獲するための実行中の処理を使用して顕微鏡スライド上の試験片のデジタル画像を作成するステップを提供し、すべてのスナップショットを捕獲する総時間は、スナップショットを捕獲する前に各スナップショットに対する焦点を事前判定するステップを使用する方法によって必要とされる時間より短くなる。
【0024】
撮像デバイス100は、電荷結合デバイス(CCD)および/またはコンプリメンタリ(complimentary)金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなどの撮像センサ110を含むことができる。撮像センサ110は、デジタル病理学画像を捕獲するカメラ111の一部とすることができる。撮像センサ110は、光が伝送される顕微鏡の結像レンズ112、ビームスプリッタ114、ならびに集光器116および光源118および/または他の適当な光学構成要素119などの他の構成要素を介して、顕微鏡対物レンズ120から伝送される光を受け取ることができる。顕微鏡対物レンズ120は、無限大補正式とすることができる。一実施形態では、ビームスプリッタ114は、光ビーム源の約70%を画像センサ110へ誘導し、約30%の残りの部分を経路に沿ってディザ集束ステージ150および焦点センサ160へ誘導するように配分することを実現することができる。撮像されている組織標本101は、X方向およびY方向に移動できるXY移動ステージ130上に配置することができ、XY移動ステージ130は、本明細書に別途さらに論じるように制御することができる。低速集束ステージ140が、画像センサ110によって捕獲される組織101の画像を集束させるように、顕微鏡対物レンズ120のZ方向の移動を制御することができる。低速集束ステージ140は、顕微鏡対物レンズ120を移動させるモータおよび/または他の適したデバイスを含むことができる。本明細書に記載するシステムによれば、オンフライ(on−fly−)集束に対する微細な集束制御を提供するために、ディザ集束ステージ150および焦点センサ160が使用される。様々な実施形態では、焦点センサ160は、CCDおよび/またはCMOSセンサとすることができる。
【0025】
ディザ集束ステージ150および焦点センサ160は、画像スナップショットが捕獲されると、各画像スナップショットに対する最善の焦点を取得するために撮像プロセス中に急速に計算される鮮明度値および/または他の測定基準に従って、実行中の集束を提供する。本明細書に別途詳細にさらに論じるように、ディザ集束ステージ150は、顕微鏡対物レンズ120のより低速の運動で実行可能な移動周波数とは無関係に、それを超過する周波数で、たとえば正弦運動で移動させることができる。焦点センサ160によって、ディザ集束ステージ150の運動範囲にわたって、組織の観察のための焦点情報に関する複数の測定が行われる。焦点電子機器および制御システム170は、焦点センサおよびディザリング焦点ステージ150を制御する電子機器と、マスタクロックと、低速焦点ステージ140を制御(Z方向)する電子機器と、X−Y移動ステージ130と、本明細書の技法によるシステムの一実施形態の他の構成要素とを含むことができる。焦点電子機器および制御システム170は、ディザ集束ステージ150および焦点センサ160からの情報を使用して鮮明度計算を実行するために使用することができる。ディザ移動によって画定される正弦曲線の少なくとも一部分にわたって、鮮明度値を計算することができる。次いで、焦点電子機器および制御システム170は、その情報を使用して組織の最善の焦点画像に対する位置を判定し、低速焦点ステージ140に命令して、撮像プロセス中に最善の焦点画像を取得するのに所望の位置へ顕微鏡対物レンズ120を移動(図示のようにZ軸に沿って)させる。制御システム170はまた、その情報を使用して、XY移動ステージ120の速度、たとえばステージ130のY方向の移動速度を制御することもできる。一実施形態では、隣接する画素のコントラスト値の差を計算してそれを2乗し、それらの値をともに合計して1つの点数を形成することによって、鮮明度値を算出することができる。鮮明度値を判定するための様々なアルゴリズムについては、本明細書に別途さらに論じる。
【0026】
本明細書に別途論じる構成要素によれば、本明細書に記載するシステムによる様々な実施形態では、顕微鏡スライド上の試験片のデジタル画像を作成するデバイスは、無限大補正式の顕微鏡対物レンズと、ビームスプリッタと、カメラ集束レンズと、高分解能のカメラと、センサ焦点レンズ群と、ディザ集束ステージと、集束センサと、集束粗動(低速)ステージと、焦点電子機器とを含む。このデバイスは、スナップショットを捕獲する前にすべてのスナップショットに対する焦点を事前判定する必要なく、対物レンズを集束させてカメラを通じて各スナップショットを捕獲することを可能にすることができ、すべてのスナップショットを捕獲する総時間は、スナップショットを捕獲する前に各スナップショットに対する焦点を事前判定するステップを必要とするシステムによって必要とされる時間より短くなる。このシステムは、i)z範囲全体にわたって粗動焦点ステージを移動させて鮮明度値を監視することによって、組織上の第1の焦点を判定して公称焦点面を確立するコンピュータ制御部、ii)当該領域の隅部から開始するように組織をxおよびyで位置決めするコンピュータ制御部、iii)ディザ微焦点ステージが移動するように設定し、ディザ焦点ステージがXYステージの速度も制御するマスタクロックに同期されるコンピュータ制御部、iv)ステージに命令して、フレームから隣接するフレームへ移動させるコンピュータ制御部、ならびに/またはv)トリガ信号を生成して画像センサ上でフレームを獲得し、光源をトリガして光パルスを生じさせるコンピュータ制御部を含むことができる。
【0027】
さらに、別の実施形態によれば、本明細書に記載するシステムは、顕微鏡スライド上の試験片のデジタル画像を作成するコンピュータ実施方法を提供することができる。この方法は、顕微鏡スライドのうち試験片の少なくとも一部分を含む領域を含む走査領域を判定するステップを含むことができる。走査領域は、複数のスナップショットに分けることができる。これらのスナップショットは、顕微鏡対物レンズおよびカメラを使用して捕獲することができ、対物レンズおよび顕微鏡の集束ならびにカメラを通じた各スナップショットの捕獲は、スナップショットを捕獲する前にすべてのスナップショットに対する焦点を事前判定する必要なく、各スナップショットに対して行うことができる。すべてのスナップショットを捕獲する総時間は、スナップショットを捕獲する前に各スナップショットに対する焦点を事前判定するステップを必要とする方法によって必要とされる時間より短くすることができる。
【0028】
図3Aは、焦点電子機器161、マスタクロック163、およびステージ制御電子機器165を含む焦点電子機器および制御システム170の一実施形態の概略図である。図3Bは、焦点電子機器161の一実施形態の概略図である。図示の実施形態では、焦点電子機器161は、適切な速さのA/D変換器171、および鮮明度計算を行うために使用できるマイクロプロセッサ173を有するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)172などの適当な電子機器を含むことができる。A/D変換器171は、焦点センサ160から情報を受け取ることができ、焦点センサ160は、FPGA172およびマイクロプロセッサ173に結合され、鮮明度情報を出力するために使用される。170内に含まれるマスタクロックは、システムの焦点電子機器161、ステージ制御電子機器165、および他の構成要素へマスタクロック信号を供給することができる。ステージ制御電子機器165は、本明細書に別途さらに論じるように、低速焦点ステージ140、X−Y移動ステージ130、ディザ集束ステージ150を制御するために使用される制御信号、ならびに/または他の制御信号および情報を生成することができる。FPGA172は、他の情報の中でも、クロック信号を焦点センサ160へ供給することができる。研究室における測定は、640×32画素のフレーム上の鮮明度計算を18マイクロ秒で行うことができることを示す。これは、本明細書に記載するシステムの適切な動作にとって優に十分な速さである。一実施形態では、焦点センサ160は、本明細書に別途さらに論じるように、640×32のストリップに窓を有する単色のCCDカメラを含むことができる。
【0029】
走査顕微鏡は、本明細書に別途さらに論じるように、コントラスト情報、および/またはRGBもしくは何らかの他の色空間の強度情報を含む1Dまたは2Dの画素アレイを獲得することができる。システムは、広い視野にわたって、たとえば25mm×50mmのガラススライド上で最善の焦点を見出す。多くの市販のシステムは、CCDアレイを有する20倍で0.75NAの顕微鏡対物レンズによって生成される情景を標本化する。対物レンズおよび集光器のNAが0.75であり、波長が500nmであることを考えると、この光学系の横方向の分解能は約0.5ミクロンである。この分解能の要素をナイキスト周波数で標本化するには、物体での画素寸法は、約0.25ミクロンである。30fpsで動作する4メガ画素のカメラ(たとえば、Dalsa Falcon 4M30/60)の場合、画素寸法が7.4ミクロンの状態では、物体から撮像カメラまでの倍率は7.4/0.25=30倍である。したがって、2352×1728の1つのフレームは、物体で0.588mm×0.432mmの面積を覆うことができ、これは、面積で15mm×15mmと画定される典型的な組織断面の場合、約910フレームに等しい。本明細書に記載するシステムは、焦点寸法における組織の空間的変動が、物体におけるフレーム寸法よりはるかに小さい場合に使用されることが望ましい。実際には、焦点の変動は、より大きい距離にわたって発生し、焦点調整の大部分は、傾きを補正するために行われる。これらの傾きは通常、物体における1フレーム寸法当たり0.5〜1ミクロンの範囲内である。
【0030】
現在の走査システム(たとえば、BioImagene iScan Coreoシステム)で結果を得る時間は、20倍で15mm×15mmの視野の事前走査および走査に対して約3.5分であり、15mm×15mmの視野で40倍の走査に対して約15分である。15mm×15mmの視野は、35フレームを26回の通過で通ることによって走査される。これらの走査は、1秒の回帰時間で単方向に行うことができる。本明細書に記載するシステムによる技法を使用して走査する時間は、公称焦点面を見出すのに約5秒とすることができ、1回の通過当たり1.17秒(25回通過)であり、合計は、5+25×(1.17+1)=59.25秒(約1分)である。これは、従来の手法に比べてかなりの時間の節約である。本明細書に記載するシステムの他の実施形態では、さらに速い焦点時間を可能にすることができるが、連続走査の際に運動のぼけを回避するために、短い照射時間で必要な光の量が制限されることがある。この問題は、本明細書に別途さらに論じるようにLED光源とすることができる光源118をパルシングまたはストロービングして高いピーク照射を可能にすることで緩和することができる。一実施形態では、光源118のパルシングは、焦点電子機器および制御システム170によって制御することができる。さらに、システムを双方向に動作させることで、20倍の走査の場合の約25秒の回帰時間の節約がなくなり、その結果、走査時間は35秒になるはずである。
【0031】
焦点電子機器および制御システム170に関連して使用される構成要素はまた、より全体として、本明細書に記載する技法の実施形態に関連して様々な異なる機能を実行するために使用される電気構成要素を指すことができることに留意されたい。
【0032】
図4は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点ステージ150をより詳細に示す概略図である。ディザ焦点ステージ150はディザ集束レンズ151を含むことができ、ディザ集束レンズ151は、音声コイルアクチュエータなどの1つまたは複数のアクチュエータ152a、b、によって移動させることができ、剛性の筐体153内へ取り付けることができる。一実施形態では、レンズは、市販の50mmの焦点距離を有する無彩色レンズとすることができる。たとえば、Edmund ScientificのNT32−323を参照されたい。別法として、ディザ集束レンズ151は、プラスチックから構築し、非球面にし、レンズの重量が低減されるような形状(極めて低い質量)にすることができる。屈曲構造154は、剛性の筐体153に取り付けることができ、剛性の接地点に取り付けることができ、またディザ集束レンズ151の並進運動のみを、たとえば約600〜1000ミクロンというわずかな距離だけ可能にすることができる。一実施形態では、屈曲構造154は、曲げ方向に厚さ約0.254mm(0.010”)の適当なステンレス鋼シートから構築することができ、4本のバーの連結を形成することができる。屈曲部154は、多くのサイクルにわたって動作するように、その疲労限度から程遠い使用応力(5低い係数)で適したばね鋼から設計することができる。
【0033】
ディザ集束レンズ151および屈曲部154の移動質量は、約60Hz以上の第1の機械的共振を提供するように設計することができる。移動質量は、制御システム170にフィードバックを提供するために、容量性センサまたは渦電流センサなどの適切な高帯域幅(たとえば、1kHz超)の位置センサ155で監視することができる(図2参照)。たとえば、KLA TencorのADE部門は、本願に適した1kHz帯域幅、1mmの測定範囲、および77ナノメートルの分解能を有する容量性センサの5mmの2805プローブを製造する。要素170内に含まれる機能によって代表されるようなディザ焦点および制御システムは、ディザ集束レンズ151の振幅を規定の焦点範囲に維持することができる。ディザ焦点および制御システムは、よく知られている利得制御式の発振器回路に依拠することができる。共振動作するとき、ディザ集束レンズ151を低電流で駆動し、音声コイル巻線内で低い電力を放散することができる。たとえば、BEI Kimco LAO8−10(巻線A)アクチュエータを使用すると、平均電流を180mA未満にすることができ、放散される電力を0.1W未満にすることができる。
【0034】
本明細書に記載するシステムの様々な実施形態に関連して、ディザレンズの他のタイプの運動および他のタイプのアクチュエータ152a、bを使用できることに留意されたい。たとえば、アクチュエータ152a、bとして、圧電アクチュエータを使用することができる。さらに、ディザレンズの運動は、顕微鏡対物レンズ120の運動とは無関係なままの共振周波数以外の運動とすることができる。
【0035】
本明細書の技法による一実施形態に含むことができる上記の容量性センサなどのセンサ155は、ディザ集束レンズがどこに位置決めされるか(たとえば、レンズの移動に対応する正弦波またはサイクルに対して)に関して、フィードバックを提供することができる。本明細書に別途説明するように、焦点センサを使用して取得されたどの画像フレームが最善の鮮明度値をもたらすかに関して、判断を行うことができる。このフレームに対して、センサ155によって示される正弦波位置に対するディザ集束レンズの位置を判定することができる。センサ155によって示される位置は、低速集束ステージ140に対する適当な調整を判定するために、170の制御電子機器によって使用することができる。たとえば、一実施形態では、顕微鏡対物レンズ120の移動は、低速焦点ステージ140の低速ステッパモータによって制御することができる。センサ155によって示される位置を使用して、顕微鏡対物レンズ120をZ方向に最善の焦点位置で位置決めするのに対応する移動量(および対応する制御信号(複数可))を判定することができる。制御信号(複数可)は、顕微鏡対物レンズ120の位置を最善の焦点位置へ必要に応じて変更するために、低速焦点ステージ140のステッパモータへ伝送することができる。
【0036】
図5A〜5Eは、本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。これらの図は、画像センサ110、焦点センサ160、ディザレンズを有するディザ集束ステージ150、および顕微鏡対物レンズ120を示す。組織101は、焦点動作が実行される間に、y軸、すなわちXY移動ステージ130上を移動しているところを示す。一例では、ディザ集束ステージ150は、60Hz以上(たとえば、80Hz、100Hz)などの所望の周波数でディザレンズを移動させることができるが、他の実施形態では、本明細書に記載するシステムはまた、ディザレンズが適用できる状況に応じてより低い周波数(たとえば、50Hz)で移動する状態で動作できることに留意されたい。XY移動ステージ130には、フレームから隣接するフレームへ、たとえばY方向に移動するように命令することができる。たとえば、ステージ130には、13mm/秒で一定に移動するように命令ことができる。これは、20倍の対物レンズの場合、約30フレーム/秒の取得速度に対応する。ディザ焦点ステージ150とXY移動ステージ130を位相ロックすることができるため、ディザ焦点ステージ150およびセンサ160は、1秒当たり60回の焦点計算を行うことができ、または1秒当たり120個の焦点もしくは1フレーム当たり4個の焦点で双方向に機能する(正弦波の上下運動を読む)ことができる。フレーム高さが1728画素である場合、これは、432画素ごと、または20倍の対物レンズの場合108ミクロンごとに1つの焦点があることに等しい。XY移動ステージ130が移動しているため、焦点は、情景の変動を最小で維持するために、非常に短い期間、たとえば330μ秒(以下)で捕獲されるはずである。
【0037】
様々な実施形態では、本明細書に別途さらに論じるように、このデータを記憶および使用して、次のフレームの焦点位置を外挿することができ、または別法として、外挿を使用しないことがあり、最後の焦点が、有効なフレームの焦点位置に使用される。ディザ周波数が60Hzであり、フレーム速度が1秒当たり30フレームである場合、焦点は、フレームのうち、スナップ撮影されたフレームの中心から1/4以下の位置で得られる。通常、組織の高さは、フレームの1/4では、この焦点を不正確にするのに十分なほど変化しない。
【0038】
組織上で第1の焦点を見出して、公称焦点面または基準面101’を確立することができる。たとえば、基準面101’は、最初に顕微鏡対物レンズ120を移動させ、z範囲全体にわたって、たとえば+1/−1mmで低速焦点ステージ140を使用して鮮明度値を監視することによって判定することができる。基準面101’が見出された後、図5Aから始まるように、当該領域の隅部および/または他の特定の位置から開始するように組織101をXおよびYで位置決めし、ディザ集束ステージ150は移動するように設定され、および/または他の方法で、ディザ集束ステージ150の移動は引き続き監視される。
【0039】
ディザ焦点ステージ150は、XY移動ステージ130の速度の制御に関連して使用することもできる制御システム170(図2参照)内のマスタクロックに同期させることができる。たとえば、ディザ焦点ステージ150が60ヘルツで0.6ミリメートルのp−v(山から谷)の正弦運動によって移動する場合、32%のデューティーサイクルで正弦のより直線的な範囲を使用すると仮定すると、2.7ミリ秒の期間にわたって焦点範囲で8つの点を収集することができる。図5B〜5Dでは、ディザ集束ステージ150は、ディザレンズを正弦運動で移動させ、正弦曲線の少なくとも一部分に沿って焦点標本が得られる。したがって焦点標本は、330μ秒ごとに、または3kHzの速度で得られるはずである。物体と焦点センサ160の間の倍率が5.5倍である場合、ディザレンズでの0.6mmのp−v運動は、対物レンズでの20のミクロンp−v運動に等しい。この情報は、最も高い鮮明度が算出される位置、すなわち最善の焦点を、低速焦点ステージ140のより低速のステッパモータに伝えるために使用される。図5Eに示すように、低速焦点ステージ140は、画像センサ110が組織101の当該領域の最善の焦点画像110’を捕獲するのに合わせて顕微鏡対物レンズ120を最善の焦点位置(運動範囲120’によって示す)へ移動させるように命令される。一実施形態では、画像センサ110は、たとえば制御システム170によってトリガして、ディザレンズ運動の特有の数のサイクル後に画像のスナップショットを撮影することができる。XY移動ステージ130は次のフレームへ移動し、ディザ焦点ステージ150におけるディザレンズの周期的な運動が継続し、図5A〜5Eの集束動作が繰り返される。鮮明度値は、プロセスの進行を妨げない速度、たとえば3kHzで計算することができる。
【0040】
図6Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点光学系および鮮明度判断の命令波形を示すグラフ200の概略図である。一実施形態では、図5A〜5Eの例に関連して論じる時間に基づいて、
T=16.67ミリ秒、/*レンズが60Hzで共振する場合のディザレンズ正弦の期間*/
F=300μm、/*焦点値の正の範囲*/
N=8、/*期間E内で取得される焦点の数*/
Δt=330μ秒、/*330μ秒ごとに取得される焦点標本*/
E=2.67ミリ秒、/*N個の焦点が取得される期間*/
Δf=焦点の進行の中心で1.06μm。/*焦点曲線のステップ寸法*/
したがって、このデューティーサイクルが32%である場合、8.48μm(8×1.06μm=8.48μm)が焦点処理を通じて標本化される。
【0041】
図6Bは、グラフ210に示すディザレンズの正弦波運動の一部分に対する計算された鮮明度(Zs)値のグラフ210を示す概略図である。各点iの関数として標本化された各焦点面に対する位置(z)は、等式1によって与えられる。
【0042】
【数1】
【0043】
CCDカメラに窓を付けることで、本明細書に記載するシステムに適した速いフレーム速度を提供することができる。たとえば、カナダのオンタリオ州ウォータールーのDalsaという会社は、Genie M640−1/3という640×480の単色カメラを生産している。Genie M640−1/3は、640×32のフレーム寸法において3,000フレーム/秒で動作する。CCDアレイ上の画素寸法は、7.4ミクロンである。物体と焦点面の間の倍率が5.5倍であると、1つの焦点画素は、その物体における約1.3ミクロンと同等である。1つの焦点画素当たり約16個の物体画素(4×4)の平均化を行うことができるが、良好な焦点情報を取得するのに十分な高さの空間周波数コントラスト変化が保持される。一実施形態では、最善の焦点位置は、鮮明度計算グラフ210のピーク値に従って判定することができる。追加の実施形態では、本明細書に別途さらに論じるように、他の焦点計算および技法を使用して、コントラスト測定基準の使用を含む他の測定基準に従って、最善の焦点位置を判定できることに留意されたい。
【0044】
図7Aおよび7Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による試験片(組織)の集束判断および調整を示す概略図である。図7Aでは、図250は、本明細書に論じるXY移動ステージ130の移動によるY軸に沿った試験片の移動に関連して近似の画像フレームに示す試験片の図である。Y軸に沿った(たとえば、XYステージの移動による)試験片の移動に関連する試験片上の1つの横断または通過を250に示す。図250’は、図250の一部分の拡大版である。図250’の1つのフレームをdtpと呼び、試験片の一定の組織点を指す。図250’の例では、試験片の境界を示し、試験片上の走査中、本明細書に記載するシステムによって複数の焦点計算が実行される。フレーム251では、例として、試験片の撮像に関連して4つの焦点計算(焦点位置1、2、3、および0*として示す)が実行された後に最善の焦点判断が行われることを示すが、本明細書に記載するシステムに関連してより多くの焦点計算を実行することもできる。図7Bは、検査されている試験片のY軸位置に対する顕微鏡対物レンズのZ軸位置のグラフを示す概略図260を示す。図示の位置261は、顕微鏡対物レンズ120を調整して本明細書に記載するシステムの一実施形態による最善の焦点を実現するようにZ軸に沿って判定された位置を示す。
【0045】
本明細書に記載するシステムは、顕微鏡対物レンズ全体が正弦または三角形のパターンで焦点を通じて移動される米国特許第7,576,307号および第7,518,642号に記載されているものなどの従来のシステムに比べて、著しい利点を提供することに留意されたい。同特許を、参照により本明細書に組み込む。本明細書に提供するシステムは、重い顕微鏡対物レンズおよび添付のステージとともに使用するのに適しており(特にターレットを介して他の対物レンズが追加されている場合)、ディザ光学系を使用する記載のより高い周波数では移動できないという点で有利である。本明細書に記載するディザレンズでは、質量を調整する(たとえば、より軽く、より少ないガラスにする)ことができ、焦点センサに対する撮像要求は、顕微鏡対物レンズによって課されるものより少ない。本明細書に記載するように、焦点データを高速で得て、鮮明度を算出するときの情景の変動を最小にすることができる。情景変動を最小にすることによって、本明細書に記載するシステムは、組織が顕微鏡対物レンズの下を移動している間、焦点が合った状態と焦点がぼけた状態をシステムが移動するときの鮮明度測定基準の不連続性を低減させる。従来のシステムでは、そのような不連続性により、最善の焦点計算に雑音が加わる。
【0046】
図8は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ集束光学系によって標本化された複数の点における各鮮明度応答に対する鮮明度曲線およびコントラスト比を含む、焦点位置を移動することから生成される鮮明度プロファイルの一例を示す概略図300である。グラフ310は、x軸にディザレンズの振幅をマイクロメートル単位で示し、y軸に沿って鮮明度単位を示す。図示のように、ディザレンズの運動は、代表点A、B、C、D、およびEを中心とすることができるが、鮮明度曲線上のそれぞれの点に、本明細書に記載する演算を適用できることに留意されたい。ディザレンズの運動がそれぞれの点A、B、C、D、およびEを中心とするときにディザレンズ正弦曲線のサイクルの2分の1で焦点センサ160から生成される鮮明度応答を、それぞれグラフ310a〜eに示す。これに基づき、コントラスト関数=(max−min)/(max+min)に従って、点A〜Eのうちの対応する1つを有するそれぞれの鮮明度応答に対するコントラスト比が算出される。点A〜Eのうちの1つ(たとえば、ディザレンズ運動が中心とする)および鮮明度応答曲線310a〜eのうちの対応する1つに対して判定されるコントラスト関数に関連して、maxは、鮮明度応答曲線から取得される最大の鮮明度値を表し、minは、鮮明度応答曲線から取得される最小の鮮明度値を表す。その結果得られるコントラスト関数グラフ320を、鮮明度曲線グラフ310の下に示し、コントラスト比値のグラフは、ディザレンズ振幅に従ってディザレンズの移動に対応する。グラフ320内のコントラスト関数の最小値は、最善の焦点位置である。コントラスト関数および最善の焦点位置の判断に基づいて、制御信号を生成することができ、この制御信号を使用して、画像センサ110が画像110’を捕獲する前に顕微鏡対物レンズ120を最善の焦点位置内へ移動させるように低速焦点ステージ140を制御する。
【0047】
図9は、制御信号を生成して低速焦点ステージ140を制御するためのコントラスト関数の使用を示す機能制御ループブロック図350を示す。Udは、焦点制御ループに対する妨害と見なすことができ、たとえばスライドの傾き、または組織表面の高さの変化を表すことができる。機能ブロック352は、焦点センサ160によって生成して焦点電子機器および制御システム170へ通信できる鮮明度ベクトル情報の生成を示す。機能ブロック354は、ディザレンズが焦点を標本化する点におけるコントラスト数(たとえば、コントラスト関数の値)の生成を示す。このコントラスト数は、最善の焦点が事前に確立された最初のステップで生成される設定点または基準値(Ref)と比較される。この比較から生成される誤差信号は、適用される適当な利得K1(機能ブロック356)とともに、情景に焦点を合わせたまま維持するように働く低速焦点モータ(機能ブロック358)を補正する。一実施形態では、移動の最小または閾値量に従って顕微鏡対物レンズ120の位置を調整できることに留意されたい。したがって、そのような一実施形態では、調整が閾値より小さくなるのを回避することができる。
【0048】
図10は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理に関連して焦点窓402が複数の区間に分割されていることを示す概略図である。図示の実施形態では、焦点窓は8つの区間(402’)にさらに分割されるが、本明細書に記載するシステムに関連して、8つの区間より少ない区間または多い区間を使用することもできる。これらの区間の第1の部分集合は、スナップショットn内に位置することができ、区間の第2の部分集合は、スナップショットn+1内に位置することができる。たとえば、区間2、3、4、5は、時間t1でスナップ撮影された画像フレーム404内に位置する。区間6および7は、XY移動ステージ130が図内で下から上へ横断するときにスナップ撮影される次の画像フレーム内に完全に位置することができ、ならびに/または区間0および1は、ステージ130が図の上から下へ横断するときにスナップ撮影される次の画像フレーム内に完全に位置することができる。焦点位置0、1、2、および3を使用して、スナップ撮影される次のフレームに対する最善の焦点位置を位置0*で外挿することができる。組織の範囲は、たとえば当該領域全体を横断する蛇行したパターンを実行することによって確立することができる。
【0049】
画像センサの方形の窓404は、撮像中に獲得される1列のフレームが方形の焦点窓402と位置合わせされるように、ステージ130の進行方向へ向けることができる。たとえばDalsaの4M30/60CCDカメラを使用する画像フレーム406内の物体の寸法は、倍率30倍の結像レンズを使用すると0.588mm×0.432mmである。アレイ寸法は、(2352×7.4ミクロン/30)×(1720×7.4ミクロン/30)とすることができる。画像フレーム406の広い方の寸法(0.588mm)は、焦点窓402に対して垂直に向けることができ、組織の断面を横断する列の数を最小にすることができる。焦点センサは、焦点レッグ406内で5倍の倍率を使用すると、0.05mm×0.94mmである。方形の窓402は、(32×7.4ミクロン/5.0)×(640×7.4ミクロン/5.0)とすることができる。したがって、焦点センサのフレーム402は、画像センサのフレーム404より約2.2倍高くすることができ、本明細書に別途さらに論じるように、複数の区間を伴う先取り集束技法に関連して使用できることが有利である。本明細書に記載するシステムの一実施形態によれば、1秒当たり120回の最善の焦点判断を行うことができ、333μ秒ごとに鮮明度計算が行われ、その結果、2.67ミリ秒で8つの鮮明度が計算される。2.67ミリ秒は、ディザレンズ運動のディザ期間の2分の1である8.3ミリ秒にわたるデューティーサイクルの約32%に等しい。
【0050】
各区間に対する鮮明度測定基準を算出および記憶することができる。複数の区間を使用して単一の焦点に対する鮮明度測定基準を算出するとき、たとえばそのような単一の点で考慮されるすべての区間に対するすべての鮮明度測定基準を追加することなどによって、各区間に対する鮮明度測定基準を判定して組み合わせることができる。区間ごとの鮮明度演算の一例を等式2に示す(たとえば、640×32のストリップに窓を有するカメラの使用に基づく)。行iでは寸法nが最高32であり、列jでは寸法mが最高640/zである場合、1区間に対する鮮明度を等式2によって表すことができる。上式で、zは区間の数である。
【0051】
【数2】
【0052】
上式で、kは1および5の間またはこれに等しい整数である。他の鮮明度測定基準およびアルゴリズムも、本明細書に記載するシステムに関連して使用することができる。XY移動ステージ130がy軸に沿って移動しているとき、システムは、焦点窓402内の区間0〜7すべてに対する鮮明度情報を獲得する。ステージ130が移動しているとき、組織の断面の高さがどのように変動しているかを知ることが望ましい。鮮明度曲線(最大鮮明度が最善の焦点である)を算出することによって、焦点高さを変動させることで、区間6および7はたとえば、情報を提供してから、次の最善の焦点面が位置決めされた次のフレームを移動させることができる。この先取りによって大きな焦点変化が予想される場合、ステージ130を減速させて、より密接して隔置された点を提供し、高さの遷移をより良好に追跡することができる。
【0053】
走査プロセス中、システムが白色空間(組織なし)からより暗い空間(組織)へ遷移しているかどうかを判定できることが有利である。たとえば区間6および7内の鮮明度を算出することによって、この遷移が行われようとしているかどうかを予測することが可能である。この列を走査しながら、区間6および7が鮮明度の増大を示す場合、XY移動ステージ130に命令して減速させ、組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成させることができる。他方では、高鮮明度から低鮮明度への移動が検出された場合、スキャナの図が白色空間に入っていると判定することができ、ステージ130を減速させて組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成できることが望ましい。これらの遷移が行われない領域では、ステージ130に命令してより速い一定の速度で移動させ、スライド走査の総処理量を増大させることができる。この方法では、組織を高速で走査できることが有利である。本明細書に記載するシステムによれば、集束データが収集される間に、スナップショットを撮ることができる。さらに、第1の走査ですべての焦点データを収集および記憶することができ、後の走査中に最善の焦点でスナップショットを撮ることができる。一実施形態では、焦点の変化を検出し、したがって組織または白色空間を含む領域内または領域外への遷移を判定するために、鮮明度値に関して本明細書に記載する方法と類似の方法で、コントラスト比または機能値を使用する。
【0054】
たとえば、0.588×0.432mmの画像フレーム寸法で、15mm×15mmで20倍の走査の場合、26列のデータが存在し、各列は35個のフレームを有する。撮像速度が30fpsである場合、各列を1.2秒で横断し、または走査時間は約30秒である。焦点センサ160が1秒当たり120個(以上)の焦点を算出するため、本明細書に記載するシステムは、1フレーム当たり4つの焦点(120焦点/秒を30fpsで割った値)を取得することができる。撮像速度が60fpsである場合、走査時間は15秒であり、1フレーム当たり2つの焦点(120焦点/秒を60fpsで割った値)である。
【0055】
別の実施形態では、焦点センサ160としてカラーカメラを使用することができ、鮮明度コントラスト測定基準に対する別法および/または追加として、色度測定基準を判定することができる。たとえば、640×480のGenieカメラのDalsaのカラー版を、この実施形態による焦点センサ140として適切に使用することができる。色度測定基準は、同様に照射された白色の明度に対する彩度として説明することができる。等式の形(等式3Aおよび3B)では、色度(C)は、R、G、B色尺度の直線的な組合せとすることができる。
【0056】
CB=−37.797×R−74.203×G+112×B 等式3A
CR=112×R−93.786×G−18.214×B 等式3B
R=G=B、CB=CR=0であることに留意されたい。全体的な色度を表すCに対する値は、CBおよびCRに基づいて判定することができる。(たとえば、CBとCRを足すことなどによる)。
【0057】
XY移動ステージ130がy軸に沿って移動しているとき、焦点センサ160は、明視野顕微鏡の場合と同様に、色(R、G、B)情報を獲得することができる。ステージが移動しているとき、組織の断面の高さがどのように変動しているかを知ることが望ましい。RGB色情報の使用をコントラスト技法の場合と同様に使用して、システムが白色空間(組織なし)から多彩な空間(組織)へ遷移しているかどうかを判定することができる。たとえば区間6および7内の色度を算出することによって、この遷移が行われようとしているかどうかを予測することが可能である。たとえば、色度がほとんど検出されない場合、C=0であり、組織境界に接近していないと認識することができる。しかし、この焦点列を走査しながら、区間6および7が色度の増大を示す場合、ステージ130に命令して減速させ、組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成させることができる。他方では、高色度から低色度への移動が検出された場合、スキャナが白色空間に入っていると判定することができ、ステージ130を減速させて組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成できることが望ましい。これらの遷移が行われない領域では、ステージ130に命令してより速い一定の速度で移動させ、スライド走査の総処理量を増大させることができる。
【0058】
鮮明度値、コントラスト比値、および/または色度値を使用して、視野または次に来るフレーム(複数可)が、組織を有するスライド領域に入っているのか、それともその組織から出ているのかを判定することに関連して、処理の変動を加えることができる。たとえば、白色空間から組織を有する領域に入るとき(たとえば、組織領域間)、Y方向の移動を低減させることができ、取得される複数の焦点も増大することができる。白色空間または組織標本間の領域を観察したとき、Y方向の移動を増大させることができ、組織を含む領域上の移動が検出される(たとえば、色度および/または鮮明度値の増大などによる)まで、より少ない焦点を判定することができる。
【0059】
図11は、本明細書の技法による一実施形態で複数の時点で取得できる異なる鮮明度値の図を示す。上部部分462は、ディザレンズ移動の正弦波サイクルの2分の1(たとえば、単一のピークからピークまでのサイクルまたは期間の2分の1)に対応する曲線452を含む。X軸は、このサイクル中のディザレンズ振幅値に対応し、Y軸は、鮮明度値に対応する。点462aなどの点はそれぞれ、焦点センサを使用してフレームが取得される点を表し、各フレームは、その点のX軸値によって表されるディザレンズ振幅で取得され、その点のY軸値によって表される鮮明度値を有する。下部部分464内の要素465は、図示のデータ点に対する部分462内に表される取得された1組の鮮明度値に適合された曲線を表す。
【0060】
図12は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による検査下で試験片の走査中に実行中の焦点処理を示す流れ図500である。ステップ502で、検査されている試験片に対して、公称焦点面または基準面を判定することができる。ステップ502後、処理はステップ504へ進み、本明細書に記載するシステムによるディザレンズが、特定の共振周波数で移動するように設定される。ステップ504後、処理はステップ506へ進み、XY移動ステージは、特定の速度で移動するように命令される。ステップ504および506の順序は、本明細書に論じる処理の他のステップの場合と同様に、本明細書に記載するシステムに従って適当に修正できることに留意されたい。ステップ506後、処理はステップ508へ進み、本明細書に記載するシステムによるディザレンズの運動(たとえば、正弦)に関連して、検査されている試験片に対する焦点の鮮明度計算が実行される。鮮明度計算は、本明細書に別途さらに論じるように、コントラスト、色度、および/または他の適当な尺度の使用を含むことができる。
【0061】
ステップ508後、処理はステップ510へ進み、本明細書に記載するシステムによって画像を捕獲するために画像センサに関連して使用される顕微鏡対物レンズの位置に対して、最善の焦点位置が判定される。ステップ510後、処理はステップ512へ進み、最善の焦点位置に関する制御信号が、顕微鏡対物レンズの位置(Z軸)を制御する低速焦点ステージへ送られる。ステップ512はまた、対物レンズ下の試験片部分の画像を捕獲するようにカメラ(たとえば、画像センサ)へトリガ信号を送ることを含むことができる。トリガ信号は、たとえば特有の数のサイクル(たとえば、ディザレンズの移動に関係する)後などに画像センサによる画像の捕獲を引き起こす制御信号とすることができる。ステップ512後、処理は試験ステップ514へ進み、走査下で試験片を保持するXY移動ステージの速度を調整するべきかどうかが判定される。この判断は、本明細書に別途詳細にさらに論じるように、焦点視野内の複数の区間の鮮明度および/または他の情報を使用する先取り処理技法に従って行うことができる。試験ステップ514で、XYステージの速度を調整するべきであると判定された場合、処理はステップ516へ進み、XY移動ステージの速度が調整される。ステップ516後、処理はステップ508へ戻る。試験ステップ514で、XY移動ステージの速度に対する調整を行うべきではないと判定された場合、処理は試験ステップ518へ進み、焦点処理を継続するべきかどうかが判定される。処理を継続するべきである場合、処理はステップ508へ戻る。そうではなく、処理を継続するべきでない(たとえば、現在の試験片の走査が完了した)場合、焦点処理は終了され、処理は完了する。
【0062】
図13は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による低速焦点ステージにおける処理を示す流れ図530である。ステップ532で、顕微鏡対物レンズの位置(たとえば、Z軸に沿って)を制御する低速焦点ステージは、試験片を検査している顕微鏡対物レンズの位置を調整するための情報を有する制御信号を受け取る。ステップ532後、処理はステップ534へ進み、低速焦点ステージは、本明細書に記載するシステムによる顕微鏡対物レンズの位置を調整する。ステップ534後、処理は待機ステップ536へ進み、低速焦点ステージは、別の制御信号を受け取るのを待機する。ステップ536後、処理はステップ532へ戻る。
【0063】
図14は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像捕獲処理を示す流れ図550である。ステップ552で、カメラの画像センサは、顕微鏡検査下で試験片の画像を捕獲するための処理をトリガするトリガ信号および/または他の命令を受け取る。様々な実施形態では、トリガ信号は、本明細書に記載するシステムによる焦点処理で使用されるディザレンズの特有の数の運動サイクル後、画像センサの画像捕獲処理のトリガを制御する制御システムから受け取ることができる。別法として、トリガ信号は、XY移動ステージ上の位置センサに基づいて提供することができる。一実施形態では、位置センサは、Renishaw Linear Encoderモデル番号T1000−10Aとすることができる。ステップ552後、処理はステップ554へ進み、画像センサは、画像を捕獲する。本明細書に詳細に論じるように、画像センサによって捕獲された画像は、本明細書に記載するシステムによる集束システムの動作に関連して焦点を合わすことができる。捕獲された画像は、本明細書に参照する他の技法に従って、ともにステッチすることができる。ステップ554後、処理はステップ556へ進み、画像センサは、別のトリガ信号を受け取るのを待機する。ステップ556後、処理はステップ552へ戻る。
【0064】
図15は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理に対する代替構成を示す概略図600である。窓を有する焦点センサは、フレーム視野(FOV)602を有することができ、フレームFOV602は、撮像センサのフレームFOV604の幅に実質上等しい幅を斜めに走査するように傾けることができ、または他の方法で位置決めすることができる。本明細書に記載するように、窓は、進行方向に傾けることができる。たとえば、タイトル(titled)の焦点センサのフレームFOV602は、45度回転させることができ、物体(組織)で0.94×0.707=0.66mmという有効幅を有するはずである。撮像センサのフレームFOV604は、0.588mmという有効幅を有することができ、したがって、組織を保持するXY移動ステージが対物レンズ下へ移動すると、タイトルの焦点センサのフレームFOV602は、画像センサによって観察される幅の縁部を見る。図では、傾けた焦点センサの複数のフレームは、時間0、1、2、および3において中間位置の画像センサのフレームFOV604上で重ね合わせたところを示す。焦点列内の隣接するフレームの中心間の3つの点で、焦点を得ることができる。焦点位置0、1、2、および3は、スナップ撮影される次のフレームに対する最善の焦点位置を位置0*で外挿するために使用される。この方法に対する走査時間は、本明細書に別途記載する方法に類似しているはずである。タイトルの焦点センサのフレームFOV602が、より短い先取り、この場合0.707×(0.94−0.432)/2=0.18mmを有し、または傾けた焦点センサが、獲得すべき次のフレーム内へ42%侵入するとき、画像センサのフレームFOV604に対して傾斜している傾けた焦点センサのフレームFOV602は、走査幅の縁部上の組織を見る。これは特定の場合、縁部の焦点情報を提供できることが有利になり得る。
【0065】
図16は、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による焦点処理に対する代替構成を示す概略図650である。図650のように、タイトルの焦点センサのフレームFOV652および画像センサのフレームFOV654を示す。傾けたセンサのフレームFOV652を使用して、組織を横断する前方通過に関する焦点情報を獲得することができる。後方通過の際には、撮像センサは、焦点ステージが先の前方通過焦点データを使用して調整する間、フレームをスナップ撮影する。従来の方法で中間位置0、1、2、3を飛ばし、すべての画像フレームで焦点データを得たい場合、XY移動ステージは、高速の焦点取得を考えると、前方通過の速度の4倍で移動することができる。たとえば、20倍で15mm×15mmである場合、1列のデータは35フレームである。焦点データは、1秒当たり120個の点で獲得されるため、前方通過は、0.3秒(1秒当たり35フレーム/120焦点)で実行することができる。この例における列の数は26であり、したがって焦点部分は、26×0.3または7.6秒で行うことができる。30fpsでの画像取得は、約32秒である。したがって、総走査時間の焦点部分はわずか20%であり、これは効率的である。さらに、焦点が1つおきにフレームを飛ばすことができた場合、走査時間の焦点部分は実質上さらに落ち込むはずである。
【0066】
他の実施形態では、焦点センサの焦点ストリップは、隣接するデータ列を標本化して、本明細書に記載するシステムに関連して使用できる追加の先取り情報を提供するように、視野内の他の位置に他の向きで位置決めできることに留意されたい。
【0067】
スライドを運ぶXY移動ステージは、後方進行上で生成されるものに対して、前方進行上で生成される最善の焦点を繰り返すことができる。焦点の深さが0.9ミクロンである20倍の0.75NAの対物レンズの場合、約0.1ミクロンまで繰り返すことが望ましいはずである。0.1ミクロンの前方/後方の繰返し精度を満たすステージを構築することができ、したがって本明細書に別途さらに論じるように、この要件は技術的に実行可能である。
【0068】
一実施形態では、本明細書に記載するシステムによって検査されているガラススライド上の組織または塗抹標本は、スライド全体または約25mm×50mmの面積を覆うことができる。分解能は、対物レンズの開口数(NA)、スライドへの結合媒体、集光器のNA、および光の波長に依存する。たとえば、60倍で0.9NAの顕微鏡対物レンズの平面のアポクロマート(平面APO)の場合、空気中の緑色光(532nm)では、顕微鏡の横方向の分解能は約0.2μmであり、焦点の深さは0.5μmである。
【0069】
本明細書に記載するシステムの動作に関連して、当該領域上で線走査センサまたはCCDアレイを介して制限された視野を移動させ、制限された視野またはフレームもしくはタイルをともに組み合わせてモザイクを形成することによって、デジタル画像を取得することができる。モザイクは、継ぎ目のないように見え、観察者が画像全体を見るときに目に見えるステッチ、焦点、または照射異常がないことが望ましい。
【0070】
図17は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によってスライド上の組織のモザイク画像を獲得するための処理を示す流れ図700である。ステップ702で、スライドのサムネイル画像を獲得することができる。サムネイル画像は、1倍または2倍程度の倍率の低分解能とすることができる。スライドラベル上にバーコードが存在する場合、このステップでバーコードを復号して、スライド画像に取り付けることができる。ステップ702後、処理はステップ704へ進み、組織は、標準的な画像処理ツールを使用してスライド上で見ることができる。組織は、所与の当該領域に走査領域を狭めるように範囲内にとどめることができる。ステップ704後、処理はステップ706へ進み、組織の平面にXY座標システムを取り付けることができる。ステップ706後、処理はステップ708へ進むことができ、組織に対して規則的なXおよびY間隔で1つまたは複数の焦点を生成することができ、本明細書に別途論じる1つまたは複数のオンフライ集束技法などの焦点技法を使用して、最善の焦点を判定することができる。ステップ708後、処理はステップ710へ進むことができ、所望の焦点の座標、および/または他の適当な情報を保存することができ、これらをアンカー点と呼ぶことができる。アンカー点間にフレームが位置する場合、焦点を補間できることに留意されたい。
【0071】
ステップ710後、処理はステップ712へ進むことができ、顕微鏡対物レンズは、本明細書に別途論じる技法によって最善の焦点位置で位置決めされる。ステップ712後、処理はステップ714へ進み、画像が収集される。ステップ714後、処理は試験ステップ716へ進み、当該領域全体が走査および撮像されたかどうかが判定される。そうでない場合、処理はステップ718へ進み、XYステージは、本明細書に別途論じる技法によって、X方向および/またはY方向に組織を移動させる。ステップ718後、処理はステップ708へ戻る。試験ステップ716で、当該領域全体が走査および撮像されたと判定された場合、処理はステップ720へ進み、本明細書に記載するシステムによって、本明細書に別途論じる技法(たとえば、米国特許出願公開第2008/0240613号参照)を使用して、収集された画像フレームはともにステッチまたは他の方法で組み合わされ、モザイク画像を作成する。ステップ720後、処理は完了する。本明細書に記載するシステムに関連して他の適当なシーケンスを使用して、1つまたは複数のモザイク画像を獲得することもできることに留意されたい。
【0072】
本明細書に記載するシステムの有利な動作のために、対物レンズの焦点の深さのほんの一部まで、z位置繰返し精度を繰返し可能にすることができる。焦点モータによってz位置へ戻る際のわずかな誤差は、傾けたシステム(2DのCCDまたはCMOS)および線走査システムの隣接する列で容易に見られる。60倍の上述した分解能の場合、150ナノメートル以下程度のzピーク繰返し精度が望ましく、したがってそのような繰返し精度は、4倍、20倍、および/または40倍の対物レンズなどの他の対物レンズにも適しているはずである。
【0073】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、たとえば実行中の集束技法に関連して本明細書に別途論じるXY移動ステージ130としての機能を含む本明細書に論じるデジタル病理学撮像に対する特徴および技法に関連して使用できる病理学上の顕微鏡検査の適用分野に対して、XYステージを含むスライドステージシステムに対する様々な実施形態が提供される。一実施形態によれば、本明細書に別途詳細にさらに論じるように、XYステージは、堅い底ブロックを含むことができる。底ブロックは、高くなった突起上で支持された平坦なガラスブロックと、高くなった突起上で支持された三角形の横断面を有する第2のガラスブロックとを含むことができる。2つのブロックは、移動ステージブロックを案内するための平滑かつまっすぐなレールまたは通路として使用することができる。
【0074】
図18は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるXYステージの精密ステージ800(たとえば、Yステージ部分)の一実装形態を示す概略図である。たとえば、精密ステージ800は、25mm×50mmの面積にわたって、150ナノメートル以下程度のzピーク繰返し精度を実現することができる。本明細書に別途さらに論じるように、精密ステージ800は、たとえば実行中の集束技法に関して論じたXY移動ステージ130に関連する機能を含む、本明細書に別途論じる特徴および技法に関連して使用することができる。精密ステージ800は、堅い底ブロック810を含むことができ、高くなった突起上に平坦なガラスブロック812が支持される。これらの突起の間隔は、精密ステージ800の重量による簡単な支持体上のガラスブロックのたるみが最小になるような間隔である。三角形の横断面を有する第2のガラスブロック814は、高くなった突起上で支持される。ガラスブロック812、814は、ガラスブロックを歪ませない半剛性のエポキシによって、底ブロック810に接着接合することができる。ガラスブロック812、814は、まっすぐにすることができ、500nmで1つまたは2つの光波まで研磨することができる。ガラスブロック812、814に対する材料として、Zerodurなどの低熱膨張の材料を用いることができる。他の適当なタイプのガラスを、本明細書に記載するシステムに関連して使用することもできる。切抜き816により、顕微鏡の集光器からの光をスライド上の組織へ照射することができる。
【0075】
2つのガラスブロック812、814は、移動ステージブロック820を案内するための平滑かつまっすぐなレールまたは通路として使用することができる。移動ステージブロック820は、位置821a〜eに示すように、ガラスブロックに接触する硬質プラスチックの球面形状のボタン(たとえば、5つのボタン)を含むことができる。これらのプラスチックボタンが球面であるため、接触表面は、プラスチックの弾性係数によって判定される非常に小さい領域<<0.5mm)に制限することができる。たとえば、英国のGGB Bearing Technology CompanyからのPTFEまたは他の熱可塑性物質混合物に他の潤滑添加剤を加えたものを使用して、直径約3mmの接触ボタンの形状に鋳造することができる。一実施形態では、プラスチックボタンと研磨されたガラスの間の摩擦係数は、可能な限り低くするべきであるが、計器の保守を抑えるために、液体の潤滑剤の使用を回避できることが望ましい。一実施形態では、0.1〜0.15の摩擦係数で枯渇を容易に実現することができる。
【0076】
図19Aおよび19Bは、位置821a〜eでガラスブロック810、812に接触する球面形状のボタン822a〜eを示す、本明細書に記載するシステムの一実施形態による移動ステージブロック820のより詳細な図である。これらのボタンは、駆動方向(Y)以外のすべての方向で優れた剛性を可能にする位置に構成することができる。たとえば、2つのプラスチックボタンは、三角形の形状のガラスブロック814の側面に接触するように互いに面することができ(すなわち、4つのボタン822b〜e)、1つのプラスチックボタン822aは、平坦なガラスブロック812に接触するように位置決めされる。移動ステージブロック820は、プラスチック支持ボタン822a〜eの位置によって形成された三角形の質量中心826に重心がくるような軽い重量および形状の1つまたは複数の孔824を含むことができる。このようにして、三角形828の隅部にあるプラスチックボタン822a〜eはそれぞれ、ステージ800の運動中はいつでも等しい重量を有することができる。
【0077】
再び図18を参照すると、スライドネスト832内で、ばね式のアーム830を介してスライド801が締め付けられる。スライド801は、ネスト832内に手動で配置することができ、および/または補助機構によってネスト832内にロボットで配置することができる。堅い片持ち梁アーム840は、高い疲労強度の鋼から作製できる小さい直径の屈曲棒842の端部を支持して堅く締め付ける。一例では、この直径は、0.7mmとすることができる。棒状の屈曲部842の他方の端部は、移動ステージ820上の質量中心位置826に取り付けることができる。片持ち梁アーム840は、軸受ブロック850に取り付けることができ、軸受ブロック850は、硬化された鋼レール852上の再循環式の軸受設計を介して動作することができる。軸受ブロック850には親ねじアセンブリ854を取り付けることができ、親ねじアセンブリ854は、ステッパモータ856によって回転させることができる。上記の要素に適した構成要素は、日本のTHKなどのいくつかの会社を通じて入手可能である。親ねじアセンブリ854は、レール852上の軸受ブロック850を駆動し、棒状の屈曲部842を介して移動ステージブロック820を押したり引いたりする。
【0078】
棒状の屈曲部842の曲げ剛性は、プラスチックパッド上の移動ステージブロック820の剛性の6000分の1より大きい係数とすることができる(これは、z方向の移動ステージの平面に直交する力に対向する剛性である)。これにより、軸受雑音によって生成される軸受ブロック850/片持ち梁アーム840の上下運動から、移動ステージブロック820を効果的に分離する。
【0079】
本明細書に記載する精密ステージ800の設計における注意深い物質収支および幾何形状への注意により、わずかな振動運動を生成するはずの移動ステージブロック820上のモーメントを最小にする。追加として、移動ステージブロック820は、研磨されたガラス上で動作するため、60倍の倍率で走査するのに十分な150ナノメートル未満のピークでz位置繰返し精度を有する。60倍の条件は最も厳しいため、20倍および40倍の高NAの対物レンズなどの他のより低い倍率もまた、60倍の条件下で取得される性能に類似している適した性能を示す。
【0080】
図20は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるYステージ920、Xステージ940、および底板960を含む、本明細書に論じる精密ステージの特徴によるXY複合ステージ900全体の一実装形態を示す。この場合、Yステージ920に対する底ブロックは、X方向の移動ステージであるXステージ940になる。Xステージ940に対する底ブロックは、地面へ固定できる底板960である。XY複合ステージ900は、本明細書に記載するシステムによって、Z方向に150ナノメートル程度の繰返し精度、ならびにX方向およびY方向に1〜2ミクロン(以下)程度の繰返し精度を実現する。これらのステージが、英国グロスターシャーのRenishawによって生産されるものなどのテープスケールを介してフィードバック位置を含む場合、本明細書に記載するシステムによってミクロン以下の精度が実現可能である。
【0081】
本明細書に記載するシステムによるステージ設計は、本明細書に記載するシステムによるXYステージが、球形でない玉軸受または円筒形でないクロスローラ軸受のために繰返し精度の誤差を受けないという点で、球形の軸受で支持された移動ステージより優れていることがある。さらに、再循環式の軸受設計では、異なる寸法の玉の新しい玉コンプリメントにより、繰り返しできない運動を引き起こすことができる。本明細書に記載する実施形態の追加の利益は、ステージのコストである。ガラス要素は、標準的なラップ仕上げおよび研磨技法を利用し、過度に高価ではない。軸受ブロックおよび親ねじアセンブリは、棒状の屈曲部が移動ステージを軸受ブロックから切り離すという点で、特に高品質である必要はない。
【0082】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、デジタル病理学スライドの走査中の走査時間を低減および/または他の方法で最小にすることが有利である。臨床上の設定では、所望の作業の流れは、スライドのラックをロボットのスライド走査顕微鏡内へ配置し、ドアを閉じ、システムに命令してスライドを走査させることである。すべてのスライドが走査されるまで、ユーザの介入が必要とされないことが望ましい。バッチ寸法は、複数のスライド(たとえば、160枚のスライド)を含むことができ、すべてのスライドを走査する時間を、バッチ時間と呼ぶ。スライド処理量とは、1時間当たりに処理されるスライドの数である。サイクル時間とは、観察する準備ができたそれぞれの利用可能なスライド画像間の時間である。
【0083】
サイクル時間は、画像を獲得する際、(a)スライドをロボットで持ち上げるステップと、(b)スライド組織領域およびラベルのサムネイル図または概観画像を作成するステップと、(c)スライド組織を範囲内にとどめる当該領域を計算するステップと、(d)範囲内にとどめた組織領域を事前走査して、組織上で焦点の合った最善の点の規則的なアレイを見出すステップと、(e)ステージおよび/またはセンサの移動に従って組織を走査するステップと、(f)観察する準備ができた圧縮された出力画像を作成するステップと、(g)スライドを配置して次のスライドのために準備するステップとによる影響を受けることがある。ステップ(d)は、本明細書に記載するシステムによって動的な集束または「実行中の」集束が実行された場合、必要でないこともあり、したがって、実行中の集束技法を使用する結果、走査/画像取得時間を低減できることに留意されたい。
【0084】
本明細書に記載するシステムは、ステップ(a)、(b)、(c)、および(g)を実行する時間をなくし、または著しく短くすることをさらに伴うことができる。本明細書に詳細にさらに論じるように、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によれば、これらの利得は、たとえば、1つのスライドに対する上述したステップ(a)、(b)、(c)、および(g)が、別のスライドに対するステップ(d)、(e)、および(f)に合わせて重複されるキャッシング概念を使用することによって実現することができる。様々な実施形態では、1つのスライドに対するステップ(a)、(b)、および(c)と別のスライドに対するステップ(d)、(e)、および(f)の重複は、1つのスライドに対するステップ(a)、(b)、および(c)が別のスライドに対するステップ(d)、(e)、および(f)と重複されないシステムと比較すると、10%、25%、またはさらには50%の利得を提供することができる。
【0085】
図21は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシングデバイス1000を示す概略図である。スライドピックアップヘッド1002は、スライド1001を持ち上げるように位置決めすることができる。ピックアップヘッド1002は、機械的デバイスおよび/または真空デバイスを使用して、スライド1001を持ち上げることができる。スライド1001は、バッチ、たとえば160枚のスライドからなるバッチ内のスライドの集合体のうちの1つとすることができる。スライドの集合体は、スライドラック1003内に配置することができる。ピックアップヘッド1002は、鋼レール1005上を進む軸受車またはブロック1004に取り付けられる。軸受ブロック1004は、回転する親ねじ1006によって移動される。回転エンコーダ1007でモータ数を検出し、直線的な進行に変換し、スライド位置をY方向に制御することができる。要素1002〜1007は、スライドローダ/アンローダ1008と呼ばれる移動アセンブリを備えることができる。スライドローダ/アンローダ1008はまた、電動式の軸受車またはブロック1009上で、レール1010上をx方向に移動することができ、それによってスライドローダ/アンローダ1008は、X方向とY方向の両方に移動することができる。
【0086】
動作の際には、スライドは、依然としてピックアップヘッド1002上に保持したまま、低分解能のカメラ1011下に位置決めして、スライド組織領域およびラベルのサムネイル図または概観画像を取得することができる(たとえば、上述したステップ(b))。この動作が完了した後、ステップ(c)を実行することができ、スライドは、スライドバッファ1012上の位置へ配置される。スライドバッファ1012は、2つ(以上)のバッファスロットまたは位置1018a、1018bを含むことができ、バッファ位置1018a内にスライド1017を含むところを示す。
【0087】
一実施形態では、複合XYステージ1013が、Y方向に移動するステージ板1014を含むことができ、ステージ板1014は、x方向に移動する板1015に取り付けられる。XYステージ1013は、たとえば本明細書に論じる複合XYステージ900の特徴を含めて、本明細書に別途論じるものに類似の特徴および機能を有することができる。ステージ板1014は、追加のスライドピックアップヘッド1016をさらに含むことができる。ピックアップヘッド1016は、上述したピックアップヘッド1012に類似のものとすることができる。ピックアップヘッド1016は、機械的デバイスおよび/または真空デバイスを使用して、スライドを持ち上げることができる。
【0088】
複合XYステージ1016のピックアップヘッド1016は、バッファ位置1018aへ移動してスライド1017を持ち上げることができる。スライド1017は次に、(d)事前走査するステップと、(e)走査するステップと、(f)出力画像を作成するステップとを含む上述したステップの1つまたは複数に進むことができる。この処理が実行されている間、スライドローダ/アンローダ1008は、点線1001’によって概略的に示すように、別のスライド(たとえば、スライド1001)を持ち上げ、カメラ1011を使用してスライド1001のサムネイル図を取得し、スライドバッファ1012内の空の位置1018bにスライド1001を配置することができる。先のスライド(スライド1017)上で走査が完了したとき、XY複合ステージ1013のスライドピックアップヘッド1016は、スライド1017をバッファ位置1018aへ配置し、バッファ位置1018bから走査する準備ができた次のスライド(スライド1001)を持ち上げることができる。複合XYステージ1013は、高分解能の光学システム顕微鏡の光学系およびカメラ1019下で規則的な前後の走査パターンで移動して、本明細書に別途論じる特徴および技法によって、生物学的組織の高分解能の画像を獲得することができる。複合XYステージ1013および/またはスライドローダ/アンローダ1008の移動およびスライド選択は、制御システム内の1つまたは複数の処理装置によって制御できることにさらに留意されたい。
【0089】
スライドローダ/アンローダ1008は、バッファ位置1018aへ移動して、スライド1017を持ち上げ、スライド1017をスライドラック1003内へ配置することができる。このスライド1017は、上記で列挙したステップのすべてを完了させる。次いでスライドローダ/アンローダ1008は引き続き、別のスライドを持ち上げてスライドバッファ1012内へ積み、最終的にスライド1001を持ち上げてスライドラック1003へ戻すことができる。上述したもののような処理は、スライドラック1003内に位置するすべてのスライドが走査されるまで継続することができる。
【0090】
本明細書に記載するシステムによるスライドキャッシング技法は、有利な時間の節約を提供する。たとえば、20倍の15mm×15mmの視野のシステム内では、ピックアップ時間は約25秒であり、サムネイル取得は約10秒であり、事前走査時間は約30秒であり、走査時間は90秒である。出力ファイルの生成は、走査プロセスと同時に行われ、約5秒追加することがある。スライドの配置は、約20秒である。これらの時間をすべて足し合わせると、180秒のサイクル時間になる。XY複合ステージはそれでもなお、走査されたスライドを持ち上げて配置する時間を必要とし、それによって約10秒相殺することがある。したがって、それに応じた走査時間の低減は、約1−(180−55+10)/180=25%である。本明細書に別途さらに論じるように、実行中の集束などの動的焦点技法を使用するシステムの場合、事前走査時間をなくすことができ、速いデータ速度のカメラを用いると、持上げおよび配置に関連しない時間を20〜30秒まで低減させることができる。この場合、スライドキャッシングを使用する際の走査時間の低減は、約1−(75−55+10)/75=50%とすることができる。
【0091】
図22Aは、第1のスライドに関連して本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を示す流れ図1100である。ステップ1102で、第1のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1102後、処理はステップ1104へ進み、サムネイル画像が取得され、および/またはスライド上の組織の当該領域の判定を含むことができる他のサムネイル処理が、第1のスライドに対して実行される。ステップ1104後、処理はステップ1106へ進み、第1のスライドは、スライドバッファ内へ配置される。ステップ1106後、処理はステップ1108へ進み、第1のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1108後、処理はステップ1110へ進み、第1のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1110後、処理はステップ1112へ進み、第1のスライドは、スライドバッファ内に配置される。ステップ1112後、処理はステップ1114へ進み、第1のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1114後、処理はステップ1116へ進み、第1のスライドは、スライドラック内に配置される。ステップ1116後、第1のスライドに対する処理は完了する。
【0092】
図22Bは、第2のスライドに関連して本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を示す流れ図1120である。本明細書にさらに論じるように、流れ図1120の様々なステップは、流れ図1100のステップと並行して実行することができる。ステップ1122で、第2のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1102後、処理はステップ1124へ進み、サムネイル画像が取得され、および/またはスライド上の組織の当該領域の判定を含むことができる他のサムネイル処理が、第2のスライドに対して実行される。ステップ1124後、処理はステップ1126へ進み、第2のスライドは、スライドバッファ内へ配置される。ステップ1126後、処理はステップ1128へ進み、第2のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1128後、処理はステップ1130へ進み、第2のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1130後、処理はステップ1132へ進み、第2のスライドは、スライドバッファ内に配置される。ステップ1132後、処理はステップ1134へ進み、第2のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1134後、処理はステップ1136へ進み、第2のスライドは、スライドラック内に配置される。ステップ1136後、第2のスライドに対する処理は完了する。
【0093】
スライドキャッシングに対処する本明細書に記載するシステムの一実施形態によれば、サイクル時間を低減させるために、第1のスライドに対する流れ図1100のステップを、第2のスライドに対する流れ図1120のステップと並行して、スライドキャッシングデバイスによって実行することができる。たとえば、第2のスライドに対する流れ図1120のステップ1122、1124、1126(たとえば、スライドラックから第2のスライドを持ち上げること、サムネイル画像処理、および第2のスライドをスライドバッファ内へ配置することに関連するステップ)は、第1のスライドに対する流れ図1100のステップ1108、1110、および1112(たとえば、スライドバッファから第1のスライドを持ち上げること、第1のスライドを走査および撮像すること、ならびに第1のスライドを再びスライドバッファ内に配置することに関連するステップ)と重複することができる。さらに、ステップ1134および1136(たとえば、スライドバッファから第2のスライドを持ち上げること、およびスライドをスライドラック内へ配置することに関連するステップ)はまた、第1のスライドの走査ステップと重複することができる。本明細書に記載するシステムによる並列スライド処理技法によれば、一度に1つのスライドを処理することと比較すると、最高50%の時間利得を取得することができ、本明細書に記載するシステムおよび技法の他の態様を使用すると、追加の利得が可能である。
【0094】
図23Aおよび23Bは、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態による時間の節約を示す、本明細書に記載するシステムの実施形態によるスライドキャッシング技法を使用するタイミング図を示す。
【0095】
図23Aは、事前走査ステップが使用されるシナリオに対するタイミング図1150を示す。このタイミング図は、スライドラックからスライドを持ち上げること、サムネイル画像処理、スライドをバッファ内に配置すること、バッファから持ち上げること、事前走査、スライドを走査してファイルを出力すること、バッファ内へ配置すること、およびスライドラック内へ配置することを含むスライドキャッシングを使用するスライド処理ステップを実行することに関連して、約300秒の期間にわたる3枚のスライド(スライド1、2、および3)に対するタイミングを示す。図示のように、一実施形態では、図示の処理に対するサイクル時間は、約150秒とすることができる。
【0096】
図23Bは、実行中の集束技法が使用される(事前走査なし)シナリオに対するタイミング図1160を示す。このタイミング図は、スライドラックからスライドを持ち上げること、サムネイル画像処理、スライドをバッファ内に配置すること、バッファから持ち上げること、スライドを走査してファイルを出力すること、バッファ内へ配置すること、およびスライドラック内へ配置することを含むスライドキャッシングを使用するスライド移動および走査ステップを実行することに関連して、約150秒の期間にわたる3枚のスライド(スライド1、2、および3)に対するタイミングを示す。図示のように、一実施形態では、図示の処理に対するサイクル時間は、約50秒とすることができる。
【0097】
図24は、本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイス1200を示す概略図である。図示の実施形態では、バッファは必要ではなく、スライドキャッシングデバイス1200を使用すると、持上げ、サムネイル、および配置時間をサイクル時間からなくすことができる。スライドキャッシングデバイス1200は、独立して動作する2つのXY複合ステージ1210、1220を含むことができる。XY複合ステージ1210、1220はそれぞれ、XY複合ステージ1013に対して本明細書に論じるものに類似の特徴を有することができる。ステージ1210の端部に、第1のスライドラック1211を位置決めすることができ、ステージ1220の端部に、第2のスライドラック1221を位置決めすることができる。本明細書に記載するシステムの別の実施形態に関連して、第1のスライドラック1211および第2のスライドラック1211は、1つのスライドラックの一部分を代わりに指すことができることに留意されたい。2つのサムネイルカメラ1212、1222は、XY複合ステージ1210、1220それぞれに作用することができる。スライドラック1211、1221は、対応するピックアップヘッドを有するその対応するXY複合ステージ1210、1220へスライドを供給することができる。1つの顕微鏡光学縦列1230は、XY複合ステージ1210、1220の両方に作用することができる。たとえば、XY複合ステージの一方(たとえば、ステージ1210)がスライドを走査している間、他方(たとえば、ステージ1220)は、別のスライドとともにその持上げ、サムネイル、および配置機能を実行している。これらの機能は、走査時間と重複させることができる。したがって、サイクル時間は、スライドの走査時間によって判定することができ、したがって、本明細書に記載するシステムの図示の実施形態によれば、持上げ、サムネイル、および配置時間をサイクル時間からなくすことができる。
【0098】
図25Aは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第1のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図1250である。ステップ1252で、第1のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1252後、処理はステップ1254へ進み、第1のスライド上でサムネイル処理が実行される。ステップ1254後、処理はステップ1256へ進み、第1のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1256後、処理はステップ1258へ進み、第1のスライドは、再びスライドラック内へ配置される。ステップ1258後、第1のスライドに対する処理は完了する。
【0099】
図25Bは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第2のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図1270である。ステップ1272で、第2のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1272後、処理はステップ1274へ進み、第2のスライド上でサムネイル処理が実行される。ステップ1274後、処理はステップ1276へ進み、第2のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1276後、処理はステップ1278へ進み、第2のスライドは、再びスライドラック内へ配置される。ステップ1278後、第2のスライドに対する処理は完了する。
【0100】
スライドキャッシングを伴う本明細書に記載するシステムの一実施形態によれば、サイクル時間を低減させるために、第1のスライドに関する流れ図1250のステップを、第2のスライドに関する流れ図1270のステップと並行して、スライドキャッシングデバイスによって実行することができる。たとえば、第2のスライドに対するステップ1272、1274、および1278(たとえば、持上げ、サムネイル処理、および配置)は、第1のスライドのステップ1256(たとえば、第1のスライドの走査/撮像)と重複することができ、逆も同様であり、したがって持上げ、サムネイル処理、および配置の時間は、サイクル時間からなくなる。したがってサイクル時間は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドの走査時間のみによって決まる。
【0101】
図26は、本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイス1300を示す概略図である。スライドキャッシングデバイス1300は、カルーセル1310として構成されたスライドラックと、スライドハンドラ1320と、バッファ1330と、XYステージ1340とを含むことができる。カルーセル1310は、1つまたは複数の位置1312、1312’、1312”を含むことができ、これらの位置には、本明細書に別途論じるもののような特徴および機能を有することができる撮像デバイス1350によって撮像される前および/または後に、スライド1301などのスライドを配置することができる。位置1312、1312’、1312”は、くさび(たとえば、8つのくさび)のアレイとして示し、本明細書に別途さらに論じるように、カルーセル1310は、複数のスライド位置がそれぞれの図示の最上位のくさび位置1312、1312’、1312”の下へ延びるような高さを有することができる。スライドハンドラ1320は、ピックアップヘッドとして働くアーム1322を含むことができ、スライドを持ち上げるために機械的および/または真空デバイスを含むことができる。スライドハンドラ1320上のアーム1322は、位置1322a〜d間を移動して、カルーセル1310、バッファ1330、およびXYステージ1340の間でスライドを移動させることができる。
【0102】
バッファ1330は、複数のバッファ位置1332、1334を含むことができる。1つのバッファ位置1332は、戻りバッファ位置1332と呼ぶことができ、XYステージ1340を介して撮像デバイス1350から戻されているスライドは、スライドハンドラ1320によって再びカルーセル1310へ位置決めしてから移動させることができる。別のバッファ位置1334は、カメラバッファ位置1334と呼ぶことができ、撮像デバイス1350へ送られるスライドは第1に、本明細書に別途論じる技法によって捕獲されたスライドのサムネイル画像を有することができる。カメラバッファ位置1334でスライドのサムネイル画像が捕獲された後、このスライドは、XYステージ1340上の位置1342へ移動させることができ、XYステージ1340は、本明細書に別途論じる技法による走査および撮像のために、スライドを撮像デバイス1350へ輸送する。
【0103】
図27は、スライドキャッシングデバイス1300の別の図を示す概略図である。スライドキャッシングデバイス1300の構成要素は、様々な移動および複数の移動自由度で動作する機能を有することができる。たとえば、カルーセル1310は、方向1311に回転可能とすることができ、複数のスライド(スライド1、2、3、および4として示す)を収容するために、各回転位置において複数の高さ位置で複数のスライド位置1312a〜dを含むことができる。一実施形態では、それぞれのくさび位置1312、1312’、1312”における複数のスライド位置1312a〜dは、たとえば一実施形態では30.48cm(12インチ)であるカルーセル1310の高さ内に等距離で位置決めされた40枚のスライドに対する位置を含むことができる。さらに、カルーセル1310はまた、1つまたは複数のスライド位置1314a、bを有するユーザトレー1314を含むことができ、これらの位置でユーザは、カルーセル1310内の他のスライドに加えて、撮像すべきスライドを挿入することができる。ユーザトレー1314へのスライドの相互作用、たとえばユーザトレー1314のカバーを持ち上げること、および/またはユーザトレー1314の位置決めする1314a、bのうちの1つの位置内へスライドを挿入することは、迂回モードをトリガするように働くことができ、迂回モードでは、カルーセル1310のくさび位置からの次のスライドの代わりに、ユーザトレー1314からのスライドが処理される。
【0104】
少なくとも3運動自由度を有するスライドハンドラ1320のアーム1322を示す。たとえば、アーム1322は、方向1321aに回転して、カルーセル1310、バッファ1330、およびXYステージ1340のそれぞれと係合することができる。追加として、アーム1322は、カルーセル1310の位置1312a〜dの異なる高さに対応して、方向1321bに調整可能とすることができる。追加として、アーム1322は、カルーセル1310、バッファ1330、およびXYステージ1340からのスライドの積降しに関連して、方向1321cに延びることができる。一実施形態では、以下にさらに論じるように、スライドキャッシングデバイス1300の無駄時間を最小にするために、アーム1322が回転する弧の距離を最小にすること、ならびに/またはアーム1322および/もしくはスライドハンドラ1320によって横断される他の距離を最小にすることが有利である。様々な実施形態では、カルーセル1310、スライドハンドラ1320、およびXYステージ1340の移動は、本明細書に別途論じるもののような制御システムによって制御することができる。一実施形態では、バッファ1330およびXYステージ1340は、同じ高さとすることができることにも留意されたい。
【0105】
図28A〜28Jは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。一実施形態によれば、本明細書に論じるスライド動作は、システムの無駄時間、すなわちスライド走査および撮像動作と重複しないスライド持上げおよび移送動作中の時間を最小にする。無駄時間は、たとえばXYステージ1340が、スライドハンドラ1320にスライドを持ち上げさせる位置へ移動する駐車時間を含むことがある。無駄時間への他の寄与は、スライドをバッファ1330の戻り位置へ移動させることと、XYステージ1340にスライドを再び積むこととを含む。
【0106】
図28Aは、スライド2が撮像デバイス1350で現在走査および撮像されている図示のシーケンスを開始する。スライド1、3、および4はカルーセル1310内で、走査および撮像されるのを待機しており、スライドハンドラ1320は、スライド2をXYステージ1340へ送達した位置にある。図28Bは、スライド2が引き続き走査および撮像される間に、スライドハンドラ1320が回転および下降して、走査および撮像すべき次のスライド(スライド3)を積むことを示す。図28Cは、スライドハンドラ1320は、スライド3のサムネイル画像を取得するために、スライド3をバッファ1330のカメラバッファ位置1334へ輸送することを示す。図28Dは、スライドハンドラ1320が、スライド2の走査を完了した後、画像デバイス1350から戻っているXYステージ1340からスライド2を降ろすように位置決めされることを示す。XYステージ1340が降ろすべき位置内へ移動する時間は、たるみ時間の一例であることに留意されたい。XYステージ1340が降ろすべき位置にあり、その上に降ろすべきスライド2が待機しており、スライド3がXYステージ1340上へ積まれるのを待機した後の時間は、駐車時間の一例である。
【0107】
図28Eは、スライド2がスライドハンドラ1320によってXYステージ1340からバッファ1330の戻り位置1332へ輸送されることを示す。次いでスライドハンドラ1320は、カメラバッファ位置1334からスライド3を持ち上げるための位置へ進む。図28Fは、スライド3がカメラバッファ位置1334から持ち上げられ、XYステージ1340上へ降ろされることを示す。図28Gは、スライド2がスライドハンドラ1310によって戻りバッファ位置1332から持ち上げられている間に、スライド3が現在走査されていることを示す。図28Hは、正しい位置に対して並進して回転および移動するスライドハンドラ1310によってスライド2がカルーセル1310内の位置へ戻されることを示す。図28Iは、スライドハンドラ1310がカルーセル1310からスライド1を持ち上げるように正しい位置に対して並進して移動することを示す。図28Jは、スライド3が現在依然として走査されている間に、スライドハンドラ1310がスライド1を輸送してカメラバッファ位置で降ろし、この位置でスライド1のサムネイル画像が取得されることを示す。カルーセル1310上の任意の残りのスライド(たとえば、スライド4)、および/またはユーザによってユーザトレー1314内へ挿入された任意のユーザスライドに対して、図示のシーケンスに関連して上記で論じたものに類似のさらなる反復を実行し、本明細書に論じた迂回モード動作を開始することができる。
【0108】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、本明細書に記載するシステムの様々な技法および特徴に適用できる顕微鏡検査の実施形態に関連して、照射システムを使用することができる。顕微鏡は、明視野顕微鏡検査のためにケーラー照射を一般に使用できることが知られている。ケーラー照射の主な特徴は、開口数と照射面積がどちらも、調整可能な虹彩を介して制御可能であることであり、したがって照射は、倍率、視野、および開口数を変動させて広い範囲の顕微鏡対物レンズを機械加工するように調整することができる。ケーラー照射は、所望の結果を提供するが、著しい空間体積を占める複数の構成要素を必要とすることがある。したがって、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態は、知られているケーラー照射システムの特定の欠点を回避しながらケーラー照射の利点を維持する、顕微鏡検査の適用分野で有利な照射のための特徴および技法をさらに提供する。
【0109】
図29は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による発光ダイオード(LED)照射アセンブリ1402を使用してスライド1401を照射する照射システム1400を示す概略図である。LED照射アセンブリ1402は、本明細書にさらに論じる複数の実施形態による様々な特徴を有することができる。LED照射アセンブリ1402からの光は、鏡1404および/または他の適当な光学構成要素を介して集光器1406へ伝送される。集光器1406は、本明細書に別途さらに論じるように、XYステージ1408の任意の必要な作業距離を収容するのに適した作業距離(たとえば、少なくとも28mm)を有する集光器とすることができる。一実施形態では、集光器は、28mmの作業距離を有するMoticによって製造された集光器SG03.0701とすることができる。集光器1406は、スライド1402上の試験片を照射する光の開口数(円錐角度)を制御する調整可能な虹彩絞りを含むことができる。スライド1401は、顕微鏡対物レンズ1410の下でXYステージ1408上に配置することができる。LED照射アセンブリ1402は、たとえば本明細書に記載するシステムの特徴および技法によるXYステージの移動、スライドキャッシング、および/または動的集束に関連する動作を含むスライド1401上の試験片の走査および撮像に関連して使用することができる。
【0110】
LED照射アセンブリ1402は、明白色のLEDなどのLED1420と、集光器要素として使用できるレンズ1422と、スライド1401上の照射面積を制御できる調整可能な虹彩視野絞り1424とを含むことができる。LED1420の発光表面は、レンズ1422によって集光器1406の入口瞳1406a上へ撮像することができる。入口瞳1406aは、集光器1406のNA調整絞り1406bと同じ場所に位置することができる。レンズ1422は、LED1402の画像が集光器1406のNA調整絞り1406bの開口を埋めるように、LED1420の出力光の大部分を収集するように、またLED1420の画像を集光器1406のNA調整絞り1406b上へ適当な倍率で集束させるように選択することができる。
【0111】
集光器1406を使用して、NA調整絞り1406bでLED1420の光をスライド1401上へ集束させることができる。スライド1401上の照射面積は、LED照射アセンブリ1402内に取り付けられた視野絞り1424によって制御することができる。視野絞り、および/または集光器1406と視野絞り1424の間の間隔は、視野絞り1424がスライド1401のうち照射される面積を制御できるように、LED1420からの光をスライド1401の平面上へ撮像するように調整することができる。
【0112】
スライドを含むYステージが移動している間に画像センサがフレームを獲得するため、LED1420のパルス(たとえば、ストロボ)を切り換えて、短時間にわたって非常に高い明度を可能にすることができる。たとえば、約13mm/秒で移動するYステージの場合、0.5画素(0.250ミクロン/画素)以下のぼけを維持するために、LED1420は、10マイクロ秒だけパルスを発することができる。LED光パルスは、本明細書に別途さらに論じる焦点システムおよび技法によって、ディザレンズ共振周波数にロックされたマスタクロックによってトリガすることができる。
【0113】
図30は、LED照射アセンブリ1402に関して本明細書に記載する特徴に対応する、本明細書に記載するシステムによるLED照射アセンブリ1402’に対する一実施形態のより詳細な側面図を示す概略図である。LED1430、レンズ1432、および視野絞り1434の実装形態および構成を、他の構造上の支持および調整構成要素1436に対してこれに関連して示す。
【0114】
図31は、LED照射アセンブリ1402に関して論じるもののような特徴および機能を有する本明細書に記載するシステムの一実施形態によるLED照射アセンブリ1402”の特有の実装形態の分解図を示す概略図である。アダプタ1451、マウント1452、クランプ1453、およびマウント1454を使用して、レンズ1462に対してしっかりと位置決めされるように、LED照射アセンブリ1402”内にLED1455をしっかりと取り付けて位置を定めることができる。適当なねじおよびワッシャ構成要素1456〜1461をさらに使用して、LED照射アセンブリ1402”を固定して取り付けることができる。様々な実施形態では、LED1455は、4,500ルーメンの光学出力および70,000時間の長い寿命を有する明白色のLEDであるPhlatLight White LED CM−360 Series、ならびに/またはLuxeonによって作製される適したLEDとすることができる。レンズ1462は、MG 9P6mmでOD(外径)12mmのレンズとすることができる。結像レンズ構成要素1463、アダプタ1464、スタック結像レンズ構成要素、および保持リング1467を使用して、調整可能な視野絞り構成要素1465に対してレンズ1462を位置決めして取り付けることができる。調整可能な視野絞り構成要素1465は、Thor Labsによるリング作動式の光彩絞り、部品番号SM1D12Dとすることができる。スタック結像レンズ1466は、Thor LabsによるP3LGスタック結像レンズとすることができる。結像レンズ1463は、Thor LabsによるP50DまたはP5LG結像レンズとすることができる。他のワッシャ1468およびねじ構成要素1469を適宜使用して、LED照射アセンブリ1402”の要素をさらに固定して取り付けることができる。
【0115】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によるデジタル病理学の適用分野向けの高速スライド走査のためのデバイスおよび技法が提供される。一実施形態では、病理学顕微鏡向けのスライドホルダは、(i)ディスク形のトレーと、(ii)トレー内に形成された複数の凹部とを含むことができ、各凹部は、スライドを受け取るように適合され、これらの凹部は、トレー内で円周方向に配置される。トレーは、中心のスピンドル孔および2つのロック孔を含むことができ、ロック孔は、トレーに対して垂直な軸の周りを高速で回転するように適合された駆動部を持ち上げるように適合される。これらの凹部は、トレー内で別個の角度位置に付けた凹部とすることができる。これらの凹部は、スライドに接触するがスライドを過度に抑制しない半円形の凸部を有することができ、それによって実質上歪みのないスライドを可能にする。凹部はまた、切抜きを有することができ、それによって指で保持すると、操作者は凹部からスライドを抜差しすることができる。様々な実施形態では、撮像システムに関して本明細書に別途論じる特徴および技法に関連して、スライドホルダおよびその動作を使用することができる。
【0116】
図32は、デジタル病理学撮像に関連して使用できる本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイス1500を示す概略図である。スライドホルダ1510がトレー1512を含むことができ、凹部1514a、b..nが、トレー1512上の円周または環状のリング1515の角度位置に配置され、凹部1514a〜nはそれぞれ、スライド1501を保持するように寸法設定することができる。トレー1512は、円形のディスクとして示し、所望の数のスライドを保持するように製造することができる。たとえば、16枚のスライドを保持するために、トレー1512は直径約33.02cm(13インチ)とすることができる。スライドの他の構成ならびにトレーの寸法および形状の他の構成は、本明細書に記載するシステムに関連して適宜使用でき、凹部1514a〜nの向きおよび構成を適宜修正できることに留意されたい。凹部1514a内にスライド1501を配置するなど、トレー1512の各凹部1514a〜n内にスライドを配置することができ、トレー1512は、高速スライド走査デバイス1500内へ配置することができる。トレー1512は、中心のスピンドル孔1516cと、2つのロック孔1516aおよび1516bとを含むことができ、ロック孔1516aおよび1516bは、スライドホルダ1510を回転方向1519に軸1518の周りを高速で回転させる駆動部と係合することができる。トレー1512は、1502で代表として示す低プロファイルの引出し内へ配置することができ、この引出しは、トレー1512をデバイス1500内へ後退させることができる。
【0117】
図33は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイスのトレー上の凹部1520をより詳細に示す概略図である。凹部1520は、凹部1514a〜nのいずれかとすることができる。凹部1520は、スライド1501に接触するがスライド1501を過度に抑制しない3つの凸部1522a〜cなどの複数の半円形の凸部を含むことができ、それによって実質上歪みのないスライド1501を可能にする。切抜き1523によって、指で保持すると、操作者は凹部1520からスライド1501を抜差しすることができる。軸1518の周りを回転するときにスライドホルダ1510/トレー1512によって生成される、矢印1521によって概略的に示す向心加速度は、撮像が行われている間に、スライド1501にわずかな保持力を印加して、スライド1501を定位置に維持することができる。保持力は、半円形の凸部1522a〜cに対してスライド1501を位置合わせするために、100rpmより速い速度でトレー1512を回転させることによって、最初少なくとも0.1gになるように設計することができる。スライド1501が位置合わせされた後、回転速度は、本明細書に別途論じるもののようなシステムの撮像速度と一貫して低減させることができる。より低い速度では、わずかな保持力でも、凸部1522a〜cに対してスライド1501を安定させるはずである。
【0118】
図32を再び参照すると、本明細書に別途詳細に論じるもののような顕微鏡撮像システム1530は、円周リング1515のうちスライドが配置された領域を撮像するように、回転式のトレー1512の上に配置することができる。撮像システム1530は、大きな作業距離を有する高NA、たとえば0.75NAの顕微鏡対物レンズ1532と、中間レンズ1534と、CCDまたはCMOSの2Dアレイ画像センサ1536とを含むことができ、画像センサ1536は、スライド1501上の物体を画像センサ1536へ拡大するように、適当な距離に配置される。画像センサ1536は、100フレーム/秒より大きいものなどの速いフレーム速度を有することができる。たとえば、画像センサ1536は、100フレーム/秒で動作するDalsa Falcon 1.4M100カメラの一部または均等物とすることができる。撮像システム1530は、直流モータもしくはステッパモータ、玉もしくは親ねじ、および/または直線ガイドなどの構成要素から構築できる2軸電動式の駆動部に堅く取り付けることができる。一方の軸、放射軸1531aは、撮像システム1530またはその少なくとも1つの構成要素を、10ミクロンの分解能でわずかな移動、たとえば1mmのステップによって放射状に移動させ、その下で回転するトレー1512上の1つまたは複数のリングを撮像することができる。他方の軸、焦点軸1531bは、0.1ミクロンの分解能で、5〜10ミクロンのわずかな移動で移動する。焦点軸は、高速で移動を実行するように、たとえば数ミリ秒でわずかな移動を実行するように構築することができる。顕微鏡対物レンズ1534の移動は、制御システムによって制御することができ、本明細書に別途論じるもののような動的集束技法に関連して使用することができる。
【0119】
回転式のトレー1502の下に、照射システム1540を配置することができ、本明細書に別途論じる照射構成要素と同様に、高明度の白色LEDなどの光源1542と、鏡1544などの1つまたは複数の光路構成要素と、集光器1546とを含むことができる。一実施形態では、顕微鏡の集光器および撮像経路はともに接続され、剛性体として移動することができ、したがって照射システム1540の移動方向1541は、撮像システム1530の放射方向1531aと同じ方向である。焦点方向1531bでは、撮像経路は、集光器経路から切り離すことができ、したがって撮像システム1530の1つまたは複数の構成要素は、高速の焦点移動を実行するために、焦点方向1531bに独立した移動を含むことができる。
【0120】
図34は、凹部1520内のスライド1501上の試験片1501’を撮像するためにスライド1501に対して第1の放射方向の位置から開始する撮像経路を示す概略図である。スライド1501を有する凹部1520は、スライドホルダ1510とともに回転方向1524に回転する。本明細書に別途論じる画像捕獲技法に従って、フレーム(たとえば、フレーム1525)に対して画像を捕獲することができる。図示のように、画像は、トレー1512が撮像システム1530の下を回転すると、スライドホルダ1510上の各スライドに対して1つのフレーム行(たとえば、フレーム1525)にわたって捕獲される。トレー1512の1回の回転後、撮像システム1530の放射方向の位置は、各スライドに対して別のフレーム行にわたって画像を捕獲するように増分される。各フレームは、下の情景を一時的に止めて高速で獲得される。明視野照射は、そのような短い露出を可能にするのに十分な放射とすることができる。これらの露出は、数10秒から数百マイクロ秒の時間枠で行うことができる。このプロセスは、スライドホルダ1510内の各スライドに対する当該領域全体が撮像されるまで継続される。この実施形態に関連して、収集された画像を当該領域のモザイク画像にする処理は、トレー1512上で回転される複数のスライド間の複数のフレーム行を正確に相関させるのに適した組織機構および/または画像タグ付けを必要とする。画像タイルの収集の弧状の運動は、知られているステッチソフトウェアによって対処でき、病理学者が標準的な顕微鏡下で見ながら理解するはずの図に変形できるため、捕獲された画像を正しいスライドに相関させるように画像にタグ付けするのに適した撮像処理技法を使用することができる。
【0121】
一例として、6rpmで回転する直径33.53cm(13.2インチ)のディスク形のトレーでは、NA=0.75の20倍の顕微鏡対物レンズは、約1平方mmの視野を生成する。この弧状の視野は、約10ミリ秒で横断される。15平方mmの有効面積内の組織断面の場合、視野間の重複を25%とすると、放射軸に沿って20個の視野を増分する必要があるはずである。フレーム転送が、取得時間を制限しないように十分なほど短かった場合、ディスク上の16枚のスライドを撮像するには、20回転で十分なはずである。これは、200秒間にわたって6rpmで、または12.5秒ごとに1枚のスライドという処理量で行われるはずである。
【0122】
図35Aおよび35Bは、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による回転式スライドホルダ上のスライドの代替構成を示す概略図である。図35Aは、トレー1512’を示し、凹部1514’は、スライド1501の長い方の寸法が、方向1519’に回転するディスク形状のトレー1512’の半径に沿って向けられるように構成される。この構成では、より多くのスライド(たとえば、30枚のスライド)を、トレー1512’上に収めることができる。図35Bは、上述のように構成された凹部1520’内のスライド1501に対する撮像経路の概略図である。図示の実施形態では、スライド1501は、方向1521’に示す向心力および凸部1522a’〜c’に従って、凹部1520’内に維持される。試験片1501’に対するフレーム1525’に対する画像を収集するための画像処理が実行される回転の方向1524’を示す。撮像システム1530の放射方向の位置は、各スライドに対して連続するフレーム行にわたって画像を捕獲するように、スライドの長さ方向の刻みで増分される。一例では、15mm×15mmの有効面積の場合、視野間の重複を25%とすると、放射軸に沿って20個の視野を増分する必要があるはずである。この場合も、6rpmの20回転で、200秒にわたって完全な撮像を提供するはずであるが、スライドの向きを考えると、より効率的な走査、したがって処理量は、6.67秒ごとに1枚のスライドまで増大するはずである。
【0123】
図36は、スライド1551上の試験片1551’を検査するように配置された対物レンズ1552を含む、本明細書に記載するシステムの一実施形態による撮像システム1550を示す概略図である。一実施形態では、焦点位置は、画像取得前のディスクのより低速の事前の回転によって事前に決定することができる。1枚のスライド当たり多くても20秒を自動焦点に充てることで、総走査時間は1枚のスライド当たり30秒になるはずであり、これは、現在の現況技術のシステムより1桁速い。スライド1551が配置されたトレー1560が方向1561に回転すると、対物レンズ1552は、本明細書に記載するシステムによって判定された最善の焦点に位置決めされるように、方向1562にわずかに移動することができる。別個の自動焦点値は、各視野1553に対して設定する必要はないが、スライドの反りまたは組織厚さの空間周波数がより大きいため、スライド1551上の別個のより大きい区間1554、たとえば3×3の視野またはサブフレームに該当するはずである。自動焦点値は、スライドが弧状の経路内でカメラの下を移動する間に、最善の焦点を適用して補間されるはずである。
【0124】
別法として、本明細書に提供する高速走査システムに関連して、本明細書に別途記載する実行中の集束技法などの動的集束技法を用いることができることが有利である。焦点(たとえば、1秒当たり120個の焦点)を獲得する時間により、上記で論じた高速回転走査技法とともに、実行中の集束を使用できることに留意されたい。回転式のディスクを10,000分の1の速度まで制御して、ディスクの回転フィードバックに依拠することなく各画像の開ループ標本化を可能にすることは、十分に制御システムの分野内であることにさらに留意されたい。
【0125】
通常、スライドの低分解能のサムネイル画像が生成される。これは、ここで記載した高分解能の顕微鏡に干渉しないように、ディスクの角度位置上に低分解能のカメラを設定することによって実現することができる。極めて大量の適用分野では、ディスクの形式はロボットによる取扱いに向いている。300mm(約12”)のディスクを取り扱う半導体ウェーハのロボットを使用して、バッファストックから高速走査デバイスへディスクを移動させることができる。さらに、大部分の技術では、ステップおよび反復運動で、直線ステージを通じて顕微鏡対物レンズの下にスライドを位置決めする。これらの運動は、画像取得時間を左右する。回転運動を使用する本明細書に記載するシステムは、効率的であり、かつ繰返し精度が非常に高い。自動焦点および画像取得時間は、現在の現況技術の製品より1桁小さい。
【0126】
大部分のシステムはまた、ステージの停止および再開運動中にスライドを定位置に保持するのに、締付け機構またはばねの固定具を必要とする。本明細書に記載するシステムは、回転運動が向心加速度をもたらし、ディスク内に切り抜いた凹部内の所定の位置へスライドを押し入れるという点で、固定機構を必要としない。これにより、スライドホルダの構造はより簡単になり、かつ信頼性がより高くなる。さらに、スライドの固定は、スライドに反りまたは歪みをもたらし、自動焦点プロセスを複雑にすることがあり、本明細書に記載するシステムによって回避することが有利である。
【0127】
現在のシステムでは、1枚のスライド当たり15mmの有効面積に対して、ピーク速度は2〜3分である。本明細書に提供するシステムおよび方法では、上記で概説した例の場合、同じ有効面積を30秒未満で走査することができる。多くの病理学研究室は、1日当たり100枚から200枚のスライドを走査することを目指している。これらの高速の画像取得により、操作者は、ディスクの積み降ろし、バーコードの読取り、事前の集束という追加のステップを含めて、日常的なスライドの在庫に1時間で対処することができる。これにより、結果を得る時間がより速くなり、研究室の経済性を高めることができる。
【0128】
図37は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による回転可能なトレーを使用する高速スライド走査を示す流れ図1600である。ステップ1602で、回転可能なトレーの凹部内へスライドが配置される。ステップ1602後、処理はステップ1604へ進み、回転可能なトレーは、走査および撮像システムに対するスライド走査位置内へ移動される。ステップ1604後、処理はステップ1606へ進み、回転可能なトレーの回転が開始される。上記で論じたように、回転可能なトレーの回転により、スライドに向心力が作用して、スライドを所望の撮像位置に維持する。ステップ1606後、処理はステップ1608へ進み、撮像システムは、回転可能なトレーの円周リング上の各スライドに対して1つのフレーム行にわたって、動的集束技法を含む本明細書に記載するシステムおよび技法に従って画像を捕獲する。ステップ1608後、処理は試験ステップ1610へ進み、回転可能なトレー上の各スライド上の所望の当該領域が走査および撮像されたかどうかが判定される。そうでない場合、処理はステップ1612へ進み、撮像システムおよび/またはその特定の構成要素は、回転可能なトレーの放射方向に1つ刻みで移動される。ステップ1612後、処理はステップ1608へ戻る。試験ステップ1610で、各スライド上の当該領域が走査および撮像されたと判定された場合、処理はステップ1614へ進み、各スライドに対して撮像された当該領域に対応する1つまたは複数のモザイク画像が作成される。ステップ1614後、処理は完了する。
【0129】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、本明細書に記載する撮像システムの特徴に関連して、光学複像デバイスおよび技法を提供および使用することができる。一実施形態では、本明細書に記載するシステムは、20倍で0.75NAのPlan Apo対物レンズによって生成される分解能要素を標本化することができる。この分解能要素は、500nmの波長で約0.5ミクロンである。この分解能要素のさらなる標本化を取得するには、撮像センサの前の結像レンズを変えることができる。この対物レンズ(f_tube lens=画像センサの前の結像レンズの焦点距離)を考えると、結像レンズの焦点距離を算出する近似計算は、
pix_sensor=CCDまたはCMOS画像センサ上の画素寸法
pix_object=物体または組織上の画素寸法
f_tube lens=pix_object/pix_sensor*9mmである。
【0130】
Dalsa Falcon 4M30/60(7.4ミクロンのセンサ画素)の場合に0.25ミクロンの物体での画素寸法を取得するには、結像レンズの焦点距離は約266mmになるはずである。物体での画素寸法が0.125ミクロンである場合、結像レンズの焦点距離は約532mmになるはずである。これらの2つの物体画素寸法間を切り換えることができることが望ましく、これは、撮像センサの前を往復する1つのステージに2つ以上の結像レンズを取り付けることによって実現することができる。新しい各焦点距離に関連する経路長さが異なることを考えると、固定の画像センサ位置に対する経路を折り畳むために、折畳み式の鏡を追加することも必要である。
【0131】
図38は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による光学複像システム1700を示す概略図である。光学複像システム1700は、本明細書に別途記載するように、カメラ1711の画像センサ1710と、顕微鏡対物レンズ1720とを含むことができる。実行中の集束システムなどの本明細書に論じるシステムおよび技法に関連する他の構成要素はまた、図示の光学複像システム1700とともに使用できることに留意されたい。2つ以上の物体画素寸法を実現するには、本明細書に記載するシステムに関連して、複数の結像レンズ、たとえば第1の結像レンズ1740および第2の結像レンズ1750を提供することができる。ステージ1730は、撮像センサの前で第1の結像レンズ1740および第2の結像レンズ1750をそれぞれ往復させることができる。一実施形態では、ステージ1730は、方向1731に移動する直線作動式のステージとすることができるが、本明細書に記載するシステムに関連して、他のタイプのステージおよびその移動も使用できることに留意されたい。第2の結像レンズ1750に対して、第2の結像レンズ1750から画像センサ1710への光路を調整するために、1つまたは複数の折畳み式の鏡を含むことができる鏡アセンブリ1752を示す。
【0132】
図39Aおよび39Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像センサ1710の前での第1の結像レンズ1740および第2の結像レンズ1750の往復を示す光学複像システム1700の概略図である。図39Aは、ステージ1730上で画像センサ1710の前に位置決めされた第1の結像レンズ1740に対する光路1741を示す。図39Bは、ステージ1730を介して画像センサ1710の前を往復した後の第2の結像レンズ1750に対する光路1751を示す。図示のように、光路1751は、鏡アセンブリ1752の1つまたは複数の鏡を使用して増大された。どちらの図でも、光学複像システム1700は、本明細書に別途詳細に論じるもののような他の適当な構造および光学的な構成要素1760を含むことができることに留意されたい。
【0133】
本明細書に論じる様々な実施形態は、本明細書に記載するシステムに関連して適当な組合せで互いに組み合わせることができる。追加として、場合によっては、フローチャート、流れ図、および/または記載の流れ処理内のステップの順序は、適宜修正することができる。さらに、本明細書に記載するシステムの様々な態様は、記載の特徴を有し、記載の機能を実行する、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組合せ、および/または他のコンピュータ実施モジュールもしくはデバイスを使用して実施することができる。本明細書に記載するシステムのソフトウェア実装形態は、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され、1つまたは複数の処理装置によって実行される実行可能なコードを含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータハードドライブ、ROM、RAM、フラッシュメモリ、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュドライブ、および/もしくはたとえばユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを有する他のドライブなどの携帯型のコンピュータ記憶媒体、ならびに/または処理装置によって実行可能なコードを記憶および実行できる任意の他の適当な有形の記憶媒体もしくはコンピュータメモリを含むことができる。本明細書に記載するシステムは、任意の適当な動作システムに関連して使用することができる。
【0134】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮し、または本明細書に開示する本発明を実施すれば、当業者には明らかであろう。本明細書および例は、例示的なのみを目的とし、本発明の本当の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲に示されるものとする。
【技術分野】
【0001】
本願は、「On−the−Fly Focusing Sensor」という名称の2010年7月23日出願の米国特許仮出願第61/367,341号、「Slide Caching in a Slide Scanning Microscope」という名称の2010年1月28日出願の米国特許仮出願第61/299,231号、「Scanning Microscope Slide Stage」という名称の2009年11月13日出願の米国特許仮出願第61/261,251号、「High Speed Slide Scanning System for Digital Pathology」という名称の2009年10月29日出願の米国特許仮出願第61/256,228号、および「On−the−Fly Focusing Systems and Techniques for Scanning Microscopes」という名称の2009年10月19日出願の米国特許仮出願第61/252,995号に対する優先権を主張する。同願をすべて、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本願は、撮像の分野に関し、より詳細には、画像を取得および捕獲するシステムおよび技法に関する。
【背景技術】
【0003】
疾病を示す細胞構造の変化の分子撮像識別は、依然として、創薬科学をよりよく理解するための鍵である。顕微鏡検査の適用分野は、微生物学(たとえば、グラム染色など)、植物組織培養、動物細胞培養(たとえば、位相差顕微鏡検査など)、分子生物学、免疫学(たとえば、ELISAなど)、細胞生物学(たとえば、免疫蛍光法、染色体分析など)、共焦点顕微鏡検査、微速度および生細胞撮像、直列および3次元撮像に適用することができる。
【0004】
共焦点顕微鏡検査の進歩により、細胞内で発生する秘密の多くを解明してきたため、蛍光マーカを使用すると、転写および並進のレベル変化を検出することができる。共焦点手法の利点は、試験片を通じて順次高い分解能で個々の光学断面を撮像する特性に起因する。しかし依然として、比較的低いコストで病理組織の正確な分析を提供する病理組織の画像のデジタル処理システムおよび方法が必要とされている。
【0005】
デジタル病理学における所望の目標は、観察するための高分解能のデジタル画像を短期間で取得することである。病理学者が顕微鏡の接眼レンズを通じてスライドを観察する現在の手動の方法では、細胞特性の検査または染色された細胞と染色されていない細胞の計数の際に診断することができる。デジタル画像が収集され、高分解能のモニタで観察され、また後の使用のために共用および保管できる自動化された方法が望ましい。デジタル化プロセスは、高い処理量ならびに高分解能および高品質の画像で効率的に実現されると有利である。
【0006】
従来の仮想顕微鏡検査システムにおける撮像技法では、個々の画像で、画像の大部分において著しく焦点がずれている可能性がある。従来の撮像システムは、カメラによって得られるそれぞれの個々のスナップショットに対して単一の焦点距離に制限されており、したがって、走査されている対象試験片の表面が均一でないとき、それぞれの「視野」には焦点のずれた領域がある。仮想顕微鏡検査で用いられる高倍率レベルでは、均一の表面を有する試験片は極めてまれである。
【0007】
従来のシステムは、1)第1の通過において、組織断面の上部に配置された2次元の格子上に構成された画像フレームによって分離される点のアレイで最善の焦点を判定するステップと、2)別の通過において、各焦点へ移動して画像フレームを獲得するステップとを含む2ステッププロセスに基づく事前集束技法を使用して、高い比率の焦点ずれ画像に対処する。これらの最善の焦点間の点では、焦点は補間される。この2ステッププロセスは、焦点ずれ画像を低減させ、またはさらにはなくすことができるが、このプロセスの結果、傾けた画像を獲得する速度が著しく損失される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来の撮像システムに固有の著しい問題を克服し、焦点の合った高品質の画像を高い処理量で効率的に提供するシステムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載するシステムによれば、試験片の焦点の合った画像を取得するデバイスは、試験片を検査するように配置された対物レンズを含む。対物レンズには低速集束ステージが結合され、低速集束ステージは、対物レンズの移動を制御する。ディザ焦点ステージがディザレンズを含み、ディザ焦点ステージはディザレンズを移動させる。ディザレンズを介して伝送される光に従って、焦点センサが焦点情報を提供する。少なくとも1つの電気構成要素が焦点情報を使用して測定基準を判定し、測定基準に従って対物レンズの第1の焦点位置を判定し、電気構成要素は、対物レンズを第1の焦点位置へ移動させるための位置情報を低速集束ステージへ送る。対物レンズが第1の焦点位置へ移動された後、画像センサが試験片の画像を捕獲する。XY移動ステージを含むことができ、XY移動ステージ上に試験片が配置され、電気構成要素は、XY移動ステージの移動を制御する。XY移動ステージの移動は、ディザレンズの運動に位相ロックすることができる。ディザ焦点ステージは、ディザレンズを並進運動で移動させる音声コイル作動式の屈曲アセンブリを含むことができる。ディザレンズは、少なくとも60Hzの共振周波数で移動させることができ、電気構成要素は、焦点情報を使用して、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算を実行する。焦点センサおよびディザ焦点ステージは、双方向に動作するように設定することができ、焦点センサは、共振周波数のディザレンズの運動の正弦波形の上下部分両方に関する焦点情報を生成する。測定基準は、コントラスト情報、鮮明度情報、および/または色度情報を含むことができる。焦点情報は、試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含むことができる。電気構成要素は、XY移動ステージの移動を制御することができ、XY移動ステージの速度を判定する際に、複数の区間の少なくとも一部分からの情報が使用される。焦点センサの視野は、画像センサの視野に対して傾けることができる。
【0010】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、試験片の焦点の合った画像を取得する方法が提供される。この方法は、試験片を検査するように配置された対物レンズの移動を制御するステップを含む。ディザレンズの運動が制御され、ディザレンズを介して伝送される光に従って焦点情報が提供される。焦点情報を使用して測定基準を判定し、測定基準に従って対物レンズの第1の焦点位置を判定する。対物レンズを第1の焦点位置へ移動させるために使用される位置情報が送られる。第1の焦点位置は、最善の焦点位置として判定することができ、この方法は、対物レンズが最善の焦点位置へ移動された後に、試験片の画像を捕獲するステップをさらに含むことができる。ディザレンズは、少なくとも60Hzの共振周波数で移動させることができ、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算を実行することができる。測定基準は、鮮明度情報、コントラスト情報、および/または色度情報を含むことができる。焦点情報は、試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含むことができる。試験片が配置されたXY移動ステージの移動を制御することができ、XY移動ステージの速度を判定する際に、複数の区間の少なくとも一部分からの情報を使用することができる。XY移動ステージの移動を制御して、試験片の前後の並進走査を提供することができる。
【0011】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、試験片の画像を取得する方法は、公称焦点面を確立するステップを含む。試験片は、関連するxおよびy座標を有する開始位置で位置決めされる。前記試験片を越える単一の横断で、第1の処理が実行される。第1の処理は、ディザレンズを使用して、複数の点のそれぞれに対して焦点位置を判定するステップと、前記焦点位置に従って、前記複数の点のそれぞれに対してフレームを獲得するステップとを含む。
【0012】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、コンピュータ可読媒体が、上述したステップのいずれかによって試験片の焦点の合った画像を取得するために記憶されたコードを備える。さらに、コンピュータ可読媒体は、後述するプロセスのいずれか1つまたは複数を実行するために記憶されたコードを備えることができる。
【0013】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、顕微鏡ステージのためのデバイスが、移動ステージブロックと、移動ステージブロックを案内する底ブロックとを含む。底ブロックは、実質上平坦な第1のブロックと、三角形の形状を有する第2のブロックとを含み、第1のブロックおよび第2のブロックは、移動ステージブロックを並進方向に案内する。第1のブロックおよび第2のブロックは、底板上の高くなった突起上で支持することができる。第1のブロックおよび第2のブロックは、ガラスから作製することができる。移動ステージブロック上に、第1のブロックおよび第2のブロックに接触する複数のボタン要素を配置することができ、ボタン要素は、並進方向にのみ移動ステージブロックの運動を可能にすることができる。ボタン要素は、球面形状を有することができ、熱可塑性物質から作製することができる。複数のボタン要素の少なくとも2つは、第2のブロックの三角形の形状の両側で互いに面するように構成することができ、複数のボタン要素の少なくとも1つのボタンは、その平坦な面で第1のブロックに接触する。移動ステージブロック上の複数のボタン要素の位置は、三角形を形成することができる。複数のボタン要素はそれぞれ、ステージの運動中に等しい重量を保持することができる。移動ステージブロックは、複数のボタン要素の位置によって形成された三角形の質量中心に重心を有するような形状とすることができる。片持ち梁アームアセンブリを提供することができ、片持ち梁アセンブリに堅く結合された第1の端部と、移動ステージブロック上の質量中心位置に結合された第2の端部とを有する屈曲要素を提供することができる。片持ち梁アームアセンブリは、レール上の再循環式の軸受設計を介して動作する軸受ブロックに結合された片持ち梁アームを含むことができる。レール上で軸受ブロックを駆動させると、屈曲要素は、移動ステージブロックに力を印加することができる。屈曲要素の曲げ剛性は、片持ち梁アームアセンブリの上下運動から移動ステージブロックを分離することができる。底ブロックは、移動ステージブロックの並進方向に対して垂直な方向に別の移動ステージを形成することができる。150ナノメートル程度の運動の繰返し精度を提供することができる。運動の繰返し精度は、移動ステージおよび底ブロックの並進方向に直交することができる。
【0014】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドキャッシングのためのデバイスが、ラックと、バッファと、ラックとバッファの間で第1のスライドを移動させるスライドハンドラと、XYステージとを含む。XYステージは、第2のスライドの走査に関連して第2のスライドを移動させ、第1のスライドに対応するスライドハンドラの少なくとも1つの機能が、第2のスライドに対応するXYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される。スライドハンドラは、ラック、バッファ、およびXYステージの間で第1のスライドおよび第2のスライドを移動させることができ、少なくとも3自由度で移動することができる。XYステージは、バッファからXYステージへスライドを移動させるスライドピックアップヘッドを含むことができる。撮像デバイスが、第1のスライドおよび第2のスライドを撮像することができ、集束システムおよびカメラを含むことができる。集束システムは、動的集束システムを含むことができる。XYステージの機能と並行して実行されるスライドハンドラの機能は、少なくとも10%の時間利得を提供することができる。スライドハンドラは、機械的ピックアップデバイスおよび/または真空ピックアップデバイスを含むスライドピックアップヘッドを含むことができる。バッファは、複数のスライドを受け入れる複数のバッファ位置を含むことができる。バッファの少なくとも1つのバッファ位置は、スライドのサムネイル画像を捕獲するために使用される位置とすることができる。ラックは、少なくとも1つの主トレーおよび迂回トレーを含むことができ、主トレー内に何らかのスライドが配置される前に、迂回トレー内に配置されたスライドが処理される。
【0015】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドキャッシングのための方法が、ラックおよびバッファを提供するステップを含む。ラックとバッファの間で、第1のスライドが移動される。第2のスライドが、第2のスライドの走査に関連してバッファ内またはバッファ外へ移動される。ラックとバッファの間の第1のスライドの移動は、第2のスライドの走査と並行して実行することができる。第2のスライドの走査は、集束動作および画像捕獲動作を含むことができる。第2のスライドの走査と並行して第1のスライドを移動させることで、少なくとも10%の時間利得を提供することができる。第2のスライドの走査は、動的集束動作を含むことができる。バッファは、カメラバッファ位置および戻りバッファ位置の少なくとも1つを含む複数のバッファ位置を含むことができる。この方法は、第1のスライドおよび/または第2のスライドがカメラバッファ位置にあるとき、第1のスライドおよび/または第2のスライドのサムネイル画像を捕獲するステップをさらに含むことができる。
【0016】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドキャッシングのためのデバイスは、第1のラック、第2のラック、第1のXYステージ、および第2のXYステージを含む。第1のXYステージは、第1のスライドを、第1のスライドの走査に関連して第1のラック内または第1のラック外へ移動させる。第2のXYステージは、第2のスライドを、第2のスライドの走査に関連して第2のラック内または第2のラック外へ移動させる。第1のスライドに対応する第1のXYステージの少なくとも1つの機能は、第2のスライドに対応する第2のXYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される。第1のラックおよび第2のラックは、単一のラックの一部を形成することができる。撮像デバイスが、第1のスライドおよび第2のスライドを撮像することができる。第1のXYステージと第2のXYステージはそれぞれ、スライドピックアップヘッドを含むことができる。
【0017】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライド走査のためのデバイスが、回転可能なトレーと、回転可能なトレー内に配置された少なくとも1つの凹部とを含む。凹部は、スライドを受け取るように寸法設定され、凹部は、回転可能なトレーの回転の結果、走査位置でスライドを安定させる。凹部は、スライドを安定させる複数の凸部を含むことができ、回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含むことができる。撮像システムを含むことができ、撮像システムの少なくとも1つの構成要素は、回転可能なトレーの放射方向に移動する。撮像システムの構成要素は、回転可能なトレーの1回転に対応して放射方向に漸進的に移動することができる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの長さは、回転可能なトレーの放射方向に向けることができる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの幅は、回転可能なトレーの放射方向に向けることができる。
【0018】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、スライドを走査する方法が、回転可能なトレーの少なくとも1つの凹部内にスライドを配置するステップと、回転可能なトレーを回転させるステップとを含む。凹部は、スライドを受け取るように寸法設定され、凹部は、回転可能なトレーの回転の結果、走査位置でスライドを安定させる。凹部は、スライドを安定させる複数の凸部を含むことができ、回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含むことができる。この方法は、撮像システムを提供するステップと、回転可能なトレーの放射方向に撮像システムの少なくとも1つの構成要素を移動させるステップとをさらに含むことができる。撮像システムの構成要素は、回転可能なトレーの1回転に対応して放射方向に漸進的に移動させることができる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの長さは、回転可能なトレーの放射方向に向けられる。凹部は、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定することができ、スライドの幅は、回転可能なトレーの放射方向に向けられる。
【0019】
本明細書に記載するシステムの実施形態について、図面に基づいて本明細書により詳細に説明する。図面について、以下に簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によるデジタル病理学標本の走査および撮像に関連して使用される様々な構成要素デバイスを含むことができる走査顕微鏡および/または他の走査デバイスの撮像システムの概略図である。
【図2】本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点システムを含む撮像デバイスを示す概略図である。
【図3】図3Aは、制御システムが適当な電子機器を含むことができることを示す、制御システムの一実施形態の概略図である。図3Bは、制御システムが適当な電子機器を含むことができることを示す、制御システムの一実施形態の概略図である。
【図4】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点ステージをより詳細に示す概略図である。
【図5A】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5B】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5C】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5D】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図5E】本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。
【図6】図6Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点光学系および鮮明度判断の命令波形を示すグラフの概略図である。図6Bは、ディザレンズの正弦波運動の一部分に対して計算された鮮明度(Zs)値のグラフを示す概略図である。
【図7】図7Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による試験片(組織)の集束判断および調整を示す概略図である。図7Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による試験片(組織)の集束判断および調整を示す概略図である。
【図8】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ集束光学系によって標本化された複数の点における各鮮明度応答に対する鮮明度曲線およびコントラスト比を含む鮮明度プロファイルの一例を示す概略図である。
【図9】制御信号を生成して低速焦点ステージを制御するためのコントラスト関数の使用を示す機能制御ループブロック図である。
【図10】本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理に関連して複数の区間に分割されている焦点窓を示す概略図である。
【図11】本明細書の技法による一実施形態において複数の時点で取得できる異なる鮮明度値の図である。
【図12】本明細書に記載するシステムの一実施形態による検査下で試験片の走査中に実行中の焦点処理を示す流れ図である。
【図13】本明細書に記載するシステムの一実施形態による低速焦点ステージにおける処理を示す流れ図である。
【図14】本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像捕獲処理を示す流れ図である。
【図15】本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理のための代替構成を示す概略図である。
【図16】本明細書に記載するシステムの別の実施形態による焦点処理のための代替構成を示す概略図である。
【図17】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライド上の組織のモザイク画像を獲得するための処理を示す流れ図である。
【図18】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるXYステージの精密ステージ(たとえば、Yステージ部分)の一実装形態を示す概略図である。
【図19】図19Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による精密ステージの移動ステージブロックのより詳細な図である。図19Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による精密ステージの移動ステージブロックのより詳細な図である。
【図20】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるYステージ、Xステージ、および底板を含む、本明細書に論じる精密ステージの特徴によるXY複合ステージ全体の一実装形態を示す図である。
【図21】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシングデバイスを示す概略図である。
【図22】図22Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を、第1のスライドに関連して示す流れ図である。図22Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を、第2のスライドに関連して示す流れ図である。
【図23A】本明細書に記載するシステムの様々な実施形態による時間の節約を示す、本明細書に記載するシステムの実施形態によるスライドキャッシング技法を使用するタイミング図である。
【図23B】本明細書に記載するシステムの様々な実施形態による時間の節約を示す、本明細書に記載するシステムの実施形態によるスライドキャッシング技法を使用するタイミング図である。
【図24】本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイスを示す概略図である。
【図25】図25Aは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第1のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図である。図25Bは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第2のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図である。
【図26】本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイスを示す概略図である。
【図27】図26によるスライドキャッシングデバイスの別の図を示す概略図である。
【図28A】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28B】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28C】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28D】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28E】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28F】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28G】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28H】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28I】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図28J】本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。
【図29】本明細書に記載するシステムの一実施形態による発光ダイオード(LED)照射アセンブリを使用してスライドを照射する照射システムを示す概略図である。
【図30】本明細書に記載するシステムによるLED照射アセンブリに対する一実施形態のより詳細な図を示す概略図である。
【図31】本明細書に記載するシステムの一実施形態によるLED照射アセンブリの特有の実装形態を示す概略分解図である。
【図32】デジタル病理学撮像に関連して使用できる本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイスを示す概略図である。
【図33】本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイスのトレー上の凹部をより詳細に示す概略図である。
【図34】凹部内のスライド上の試験片を撮像するためにスライドに対して第1の放射方向の位置から開始する撮像経路を示す概略図である。
【図35】図35Aは、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による回転式スライドホルダ上のスライドの代替構成を示す概略図である。
【0021】
図35Bは、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による回転式スライドホルダ上のスライドの代替構成を示す概略図である。
【図36】スライド上の試験片を検査するように配置された対物レンズを含む、本明細書に記載するシステムの一実施形態による撮像システムを示す概略図である。
【図37】本明細書に記載するシステムの一実施形態による回転可能なトレーを使用する高速スライド走査を示す流れ図である。
【図38】本明細書に記載するシステムの一実施形態による光学複像システムを示す概略図である。
【図39】図39Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像センサの前における第1の結像レンズおよび第2の結像レンズの往復を示す光学複像システムの概略図である。図39Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像センサの前における第1の結像レンズおよび第2の結像レンズの往復を示す光学複像システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によるデジタル病理学標本の走査および撮像に関連して使用される様々な構成要素デバイスを含むことができる走査顕微鏡および/または他の走査デバイスの撮像システム5の概略図である。撮像システム5は、本明細書に別途詳細にさらに論じるように、他の構成要素システム50の中でも、集束システム10、スライドステージシステム20、スライドキャッシングシステム30、および照射システム40を有する撮像デバイスを含むことができる。本明細書に記載するシステムは、「Digital Microscope Slide Scanning System and Methods」という名称のDietzらの米国特許出願公開第2008/0240613号に記載されているように、精度を実質的に損失することなく、拡大して画像を再構成し、再構成された画像を表示および記憶することに関連する特徴を含む、画像の捕獲、ステッチ、および拡大のための顕微鏡スライド走査計器のアーキテクチャおよび技法に関連して使用できることにも留意されたい。同願を、参照により本明細書に組み込む。
【0023】
図2は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライド上に配置された組織標本101および/または他の物体の焦点の合った画像を撮る集束システムの構成要素を含む光学走査顕微鏡および/または他の適当な撮像システムの撮像デバイス100を示す概略図である。本明細書に記載する集束システムは、スナップショットが捕獲されると、各スナップショットに対する最善の焦点の判定を実現する。これを、「実行中の集束」と呼ぶことができる。本明細書に提供されるデバイスおよび技法は、病理学スライド内の一領域のデジタル画像を形成するのに必要な時間を著しく低減させる。本明細書に記載するシステムは、従来のシステムの2ステップ手法のステップを組み込み、事前集束に必要な時間を本質的になくす。本明細書に記載するシステムは、スナップショットを捕獲するための実行中の処理を使用して顕微鏡スライド上の試験片のデジタル画像を作成するステップを提供し、すべてのスナップショットを捕獲する総時間は、スナップショットを捕獲する前に各スナップショットに対する焦点を事前判定するステップを使用する方法によって必要とされる時間より短くなる。
【0024】
撮像デバイス100は、電荷結合デバイス(CCD)および/またはコンプリメンタリ(complimentary)金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなどの撮像センサ110を含むことができる。撮像センサ110は、デジタル病理学画像を捕獲するカメラ111の一部とすることができる。撮像センサ110は、光が伝送される顕微鏡の結像レンズ112、ビームスプリッタ114、ならびに集光器116および光源118および/または他の適当な光学構成要素119などの他の構成要素を介して、顕微鏡対物レンズ120から伝送される光を受け取ることができる。顕微鏡対物レンズ120は、無限大補正式とすることができる。一実施形態では、ビームスプリッタ114は、光ビーム源の約70%を画像センサ110へ誘導し、約30%の残りの部分を経路に沿ってディザ集束ステージ150および焦点センサ160へ誘導するように配分することを実現することができる。撮像されている組織標本101は、X方向およびY方向に移動できるXY移動ステージ130上に配置することができ、XY移動ステージ130は、本明細書に別途さらに論じるように制御することができる。低速集束ステージ140が、画像センサ110によって捕獲される組織101の画像を集束させるように、顕微鏡対物レンズ120のZ方向の移動を制御することができる。低速集束ステージ140は、顕微鏡対物レンズ120を移動させるモータおよび/または他の適したデバイスを含むことができる。本明細書に記載するシステムによれば、オンフライ(on−fly−)集束に対する微細な集束制御を提供するために、ディザ集束ステージ150および焦点センサ160が使用される。様々な実施形態では、焦点センサ160は、CCDおよび/またはCMOSセンサとすることができる。
【0025】
ディザ集束ステージ150および焦点センサ160は、画像スナップショットが捕獲されると、各画像スナップショットに対する最善の焦点を取得するために撮像プロセス中に急速に計算される鮮明度値および/または他の測定基準に従って、実行中の集束を提供する。本明細書に別途詳細にさらに論じるように、ディザ集束ステージ150は、顕微鏡対物レンズ120のより低速の運動で実行可能な移動周波数とは無関係に、それを超過する周波数で、たとえば正弦運動で移動させることができる。焦点センサ160によって、ディザ集束ステージ150の運動範囲にわたって、組織の観察のための焦点情報に関する複数の測定が行われる。焦点電子機器および制御システム170は、焦点センサおよびディザリング焦点ステージ150を制御する電子機器と、マスタクロックと、低速焦点ステージ140を制御(Z方向)する電子機器と、X−Y移動ステージ130と、本明細書の技法によるシステムの一実施形態の他の構成要素とを含むことができる。焦点電子機器および制御システム170は、ディザ集束ステージ150および焦点センサ160からの情報を使用して鮮明度計算を実行するために使用することができる。ディザ移動によって画定される正弦曲線の少なくとも一部分にわたって、鮮明度値を計算することができる。次いで、焦点電子機器および制御システム170は、その情報を使用して組織の最善の焦点画像に対する位置を判定し、低速焦点ステージ140に命令して、撮像プロセス中に最善の焦点画像を取得するのに所望の位置へ顕微鏡対物レンズ120を移動(図示のようにZ軸に沿って)させる。制御システム170はまた、その情報を使用して、XY移動ステージ120の速度、たとえばステージ130のY方向の移動速度を制御することもできる。一実施形態では、隣接する画素のコントラスト値の差を計算してそれを2乗し、それらの値をともに合計して1つの点数を形成することによって、鮮明度値を算出することができる。鮮明度値を判定するための様々なアルゴリズムについては、本明細書に別途さらに論じる。
【0026】
本明細書に別途論じる構成要素によれば、本明細書に記載するシステムによる様々な実施形態では、顕微鏡スライド上の試験片のデジタル画像を作成するデバイスは、無限大補正式の顕微鏡対物レンズと、ビームスプリッタと、カメラ集束レンズと、高分解能のカメラと、センサ焦点レンズ群と、ディザ集束ステージと、集束センサと、集束粗動(低速)ステージと、焦点電子機器とを含む。このデバイスは、スナップショットを捕獲する前にすべてのスナップショットに対する焦点を事前判定する必要なく、対物レンズを集束させてカメラを通じて各スナップショットを捕獲することを可能にすることができ、すべてのスナップショットを捕獲する総時間は、スナップショットを捕獲する前に各スナップショットに対する焦点を事前判定するステップを必要とするシステムによって必要とされる時間より短くなる。このシステムは、i)z範囲全体にわたって粗動焦点ステージを移動させて鮮明度値を監視することによって、組織上の第1の焦点を判定して公称焦点面を確立するコンピュータ制御部、ii)当該領域の隅部から開始するように組織をxおよびyで位置決めするコンピュータ制御部、iii)ディザ微焦点ステージが移動するように設定し、ディザ焦点ステージがXYステージの速度も制御するマスタクロックに同期されるコンピュータ制御部、iv)ステージに命令して、フレームから隣接するフレームへ移動させるコンピュータ制御部、ならびに/またはv)トリガ信号を生成して画像センサ上でフレームを獲得し、光源をトリガして光パルスを生じさせるコンピュータ制御部を含むことができる。
【0027】
さらに、別の実施形態によれば、本明細書に記載するシステムは、顕微鏡スライド上の試験片のデジタル画像を作成するコンピュータ実施方法を提供することができる。この方法は、顕微鏡スライドのうち試験片の少なくとも一部分を含む領域を含む走査領域を判定するステップを含むことができる。走査領域は、複数のスナップショットに分けることができる。これらのスナップショットは、顕微鏡対物レンズおよびカメラを使用して捕獲することができ、対物レンズおよび顕微鏡の集束ならびにカメラを通じた各スナップショットの捕獲は、スナップショットを捕獲する前にすべてのスナップショットに対する焦点を事前判定する必要なく、各スナップショットに対して行うことができる。すべてのスナップショットを捕獲する総時間は、スナップショットを捕獲する前に各スナップショットに対する焦点を事前判定するステップを必要とする方法によって必要とされる時間より短くすることができる。
【0028】
図3Aは、焦点電子機器161、マスタクロック163、およびステージ制御電子機器165を含む焦点電子機器および制御システム170の一実施形態の概略図である。図3Bは、焦点電子機器161の一実施形態の概略図である。図示の実施形態では、焦点電子機器161は、適切な速さのA/D変換器171、および鮮明度計算を行うために使用できるマイクロプロセッサ173を有するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)172などの適当な電子機器を含むことができる。A/D変換器171は、焦点センサ160から情報を受け取ることができ、焦点センサ160は、FPGA172およびマイクロプロセッサ173に結合され、鮮明度情報を出力するために使用される。170内に含まれるマスタクロックは、システムの焦点電子機器161、ステージ制御電子機器165、および他の構成要素へマスタクロック信号を供給することができる。ステージ制御電子機器165は、本明細書に別途さらに論じるように、低速焦点ステージ140、X−Y移動ステージ130、ディザ集束ステージ150を制御するために使用される制御信号、ならびに/または他の制御信号および情報を生成することができる。FPGA172は、他の情報の中でも、クロック信号を焦点センサ160へ供給することができる。研究室における測定は、640×32画素のフレーム上の鮮明度計算を18マイクロ秒で行うことができることを示す。これは、本明細書に記載するシステムの適切な動作にとって優に十分な速さである。一実施形態では、焦点センサ160は、本明細書に別途さらに論じるように、640×32のストリップに窓を有する単色のCCDカメラを含むことができる。
【0029】
走査顕微鏡は、本明細書に別途さらに論じるように、コントラスト情報、および/またはRGBもしくは何らかの他の色空間の強度情報を含む1Dまたは2Dの画素アレイを獲得することができる。システムは、広い視野にわたって、たとえば25mm×50mmのガラススライド上で最善の焦点を見出す。多くの市販のシステムは、CCDアレイを有する20倍で0.75NAの顕微鏡対物レンズによって生成される情景を標本化する。対物レンズおよび集光器のNAが0.75であり、波長が500nmであることを考えると、この光学系の横方向の分解能は約0.5ミクロンである。この分解能の要素をナイキスト周波数で標本化するには、物体での画素寸法は、約0.25ミクロンである。30fpsで動作する4メガ画素のカメラ(たとえば、Dalsa Falcon 4M30/60)の場合、画素寸法が7.4ミクロンの状態では、物体から撮像カメラまでの倍率は7.4/0.25=30倍である。したがって、2352×1728の1つのフレームは、物体で0.588mm×0.432mmの面積を覆うことができ、これは、面積で15mm×15mmと画定される典型的な組織断面の場合、約910フレームに等しい。本明細書に記載するシステムは、焦点寸法における組織の空間的変動が、物体におけるフレーム寸法よりはるかに小さい場合に使用されることが望ましい。実際には、焦点の変動は、より大きい距離にわたって発生し、焦点調整の大部分は、傾きを補正するために行われる。これらの傾きは通常、物体における1フレーム寸法当たり0.5〜1ミクロンの範囲内である。
【0030】
現在の走査システム(たとえば、BioImagene iScan Coreoシステム)で結果を得る時間は、20倍で15mm×15mmの視野の事前走査および走査に対して約3.5分であり、15mm×15mmの視野で40倍の走査に対して約15分である。15mm×15mmの視野は、35フレームを26回の通過で通ることによって走査される。これらの走査は、1秒の回帰時間で単方向に行うことができる。本明細書に記載するシステムによる技法を使用して走査する時間は、公称焦点面を見出すのに約5秒とすることができ、1回の通過当たり1.17秒(25回通過)であり、合計は、5+25×(1.17+1)=59.25秒(約1分)である。これは、従来の手法に比べてかなりの時間の節約である。本明細書に記載するシステムの他の実施形態では、さらに速い焦点時間を可能にすることができるが、連続走査の際に運動のぼけを回避するために、短い照射時間で必要な光の量が制限されることがある。この問題は、本明細書に別途さらに論じるようにLED光源とすることができる光源118をパルシングまたはストロービングして高いピーク照射を可能にすることで緩和することができる。一実施形態では、光源118のパルシングは、焦点電子機器および制御システム170によって制御することができる。さらに、システムを双方向に動作させることで、20倍の走査の場合の約25秒の回帰時間の節約がなくなり、その結果、走査時間は35秒になるはずである。
【0031】
焦点電子機器および制御システム170に関連して使用される構成要素はまた、より全体として、本明細書に記載する技法の実施形態に関連して様々な異なる機能を実行するために使用される電気構成要素を指すことができることに留意されたい。
【0032】
図4は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点ステージ150をより詳細に示す概略図である。ディザ焦点ステージ150はディザ集束レンズ151を含むことができ、ディザ集束レンズ151は、音声コイルアクチュエータなどの1つまたは複数のアクチュエータ152a、b、によって移動させることができ、剛性の筐体153内へ取り付けることができる。一実施形態では、レンズは、市販の50mmの焦点距離を有する無彩色レンズとすることができる。たとえば、Edmund ScientificのNT32−323を参照されたい。別法として、ディザ集束レンズ151は、プラスチックから構築し、非球面にし、レンズの重量が低減されるような形状(極めて低い質量)にすることができる。屈曲構造154は、剛性の筐体153に取り付けることができ、剛性の接地点に取り付けることができ、またディザ集束レンズ151の並進運動のみを、たとえば約600〜1000ミクロンというわずかな距離だけ可能にすることができる。一実施形態では、屈曲構造154は、曲げ方向に厚さ約0.254mm(0.010”)の適当なステンレス鋼シートから構築することができ、4本のバーの連結を形成することができる。屈曲部154は、多くのサイクルにわたって動作するように、その疲労限度から程遠い使用応力(5低い係数)で適したばね鋼から設計することができる。
【0033】
ディザ集束レンズ151および屈曲部154の移動質量は、約60Hz以上の第1の機械的共振を提供するように設計することができる。移動質量は、制御システム170にフィードバックを提供するために、容量性センサまたは渦電流センサなどの適切な高帯域幅(たとえば、1kHz超)の位置センサ155で監視することができる(図2参照)。たとえば、KLA TencorのADE部門は、本願に適した1kHz帯域幅、1mmの測定範囲、および77ナノメートルの分解能を有する容量性センサの5mmの2805プローブを製造する。要素170内に含まれる機能によって代表されるようなディザ焦点および制御システムは、ディザ集束レンズ151の振幅を規定の焦点範囲に維持することができる。ディザ焦点および制御システムは、よく知られている利得制御式の発振器回路に依拠することができる。共振動作するとき、ディザ集束レンズ151を低電流で駆動し、音声コイル巻線内で低い電力を放散することができる。たとえば、BEI Kimco LAO8−10(巻線A)アクチュエータを使用すると、平均電流を180mA未満にすることができ、放散される電力を0.1W未満にすることができる。
【0034】
本明細書に記載するシステムの様々な実施形態に関連して、ディザレンズの他のタイプの運動および他のタイプのアクチュエータ152a、bを使用できることに留意されたい。たとえば、アクチュエータ152a、bとして、圧電アクチュエータを使用することができる。さらに、ディザレンズの運動は、顕微鏡対物レンズ120の運動とは無関係なままの共振周波数以外の運動とすることができる。
【0035】
本明細書の技法による一実施形態に含むことができる上記の容量性センサなどのセンサ155は、ディザ集束レンズがどこに位置決めされるか(たとえば、レンズの移動に対応する正弦波またはサイクルに対して)に関して、フィードバックを提供することができる。本明細書に別途説明するように、焦点センサを使用して取得されたどの画像フレームが最善の鮮明度値をもたらすかに関して、判断を行うことができる。このフレームに対して、センサ155によって示される正弦波位置に対するディザ集束レンズの位置を判定することができる。センサ155によって示される位置は、低速集束ステージ140に対する適当な調整を判定するために、170の制御電子機器によって使用することができる。たとえば、一実施形態では、顕微鏡対物レンズ120の移動は、低速焦点ステージ140の低速ステッパモータによって制御することができる。センサ155によって示される位置を使用して、顕微鏡対物レンズ120をZ方向に最善の焦点位置で位置決めするのに対応する移動量(および対応する制御信号(複数可))を判定することができる。制御信号(複数可)は、顕微鏡対物レンズ120の位置を最善の焦点位置へ必要に応じて変更するために、低速焦点ステージ140のステッパモータへ伝送することができる。
【0036】
図5A〜5Eは、本明細書に記載するシステムによる集束動作の反復を示す概略図である。これらの図は、画像センサ110、焦点センサ160、ディザレンズを有するディザ集束ステージ150、および顕微鏡対物レンズ120を示す。組織101は、焦点動作が実行される間に、y軸、すなわちXY移動ステージ130上を移動しているところを示す。一例では、ディザ集束ステージ150は、60Hz以上(たとえば、80Hz、100Hz)などの所望の周波数でディザレンズを移動させることができるが、他の実施形態では、本明細書に記載するシステムはまた、ディザレンズが適用できる状況に応じてより低い周波数(たとえば、50Hz)で移動する状態で動作できることに留意されたい。XY移動ステージ130には、フレームから隣接するフレームへ、たとえばY方向に移動するように命令することができる。たとえば、ステージ130には、13mm/秒で一定に移動するように命令ことができる。これは、20倍の対物レンズの場合、約30フレーム/秒の取得速度に対応する。ディザ焦点ステージ150とXY移動ステージ130を位相ロックすることができるため、ディザ焦点ステージ150およびセンサ160は、1秒当たり60回の焦点計算を行うことができ、または1秒当たり120個の焦点もしくは1フレーム当たり4個の焦点で双方向に機能する(正弦波の上下運動を読む)ことができる。フレーム高さが1728画素である場合、これは、432画素ごと、または20倍の対物レンズの場合108ミクロンごとに1つの焦点があることに等しい。XY移動ステージ130が移動しているため、焦点は、情景の変動を最小で維持するために、非常に短い期間、たとえば330μ秒(以下)で捕獲されるはずである。
【0037】
様々な実施形態では、本明細書に別途さらに論じるように、このデータを記憶および使用して、次のフレームの焦点位置を外挿することができ、または別法として、外挿を使用しないことがあり、最後の焦点が、有効なフレームの焦点位置に使用される。ディザ周波数が60Hzであり、フレーム速度が1秒当たり30フレームである場合、焦点は、フレームのうち、スナップ撮影されたフレームの中心から1/4以下の位置で得られる。通常、組織の高さは、フレームの1/4では、この焦点を不正確にするのに十分なほど変化しない。
【0038】
組織上で第1の焦点を見出して、公称焦点面または基準面101’を確立することができる。たとえば、基準面101’は、最初に顕微鏡対物レンズ120を移動させ、z範囲全体にわたって、たとえば+1/−1mmで低速焦点ステージ140を使用して鮮明度値を監視することによって判定することができる。基準面101’が見出された後、図5Aから始まるように、当該領域の隅部および/または他の特定の位置から開始するように組織101をXおよびYで位置決めし、ディザ集束ステージ150は移動するように設定され、および/または他の方法で、ディザ集束ステージ150の移動は引き続き監視される。
【0039】
ディザ焦点ステージ150は、XY移動ステージ130の速度の制御に関連して使用することもできる制御システム170(図2参照)内のマスタクロックに同期させることができる。たとえば、ディザ焦点ステージ150が60ヘルツで0.6ミリメートルのp−v(山から谷)の正弦運動によって移動する場合、32%のデューティーサイクルで正弦のより直線的な範囲を使用すると仮定すると、2.7ミリ秒の期間にわたって焦点範囲で8つの点を収集することができる。図5B〜5Dでは、ディザ集束ステージ150は、ディザレンズを正弦運動で移動させ、正弦曲線の少なくとも一部分に沿って焦点標本が得られる。したがって焦点標本は、330μ秒ごとに、または3kHzの速度で得られるはずである。物体と焦点センサ160の間の倍率が5.5倍である場合、ディザレンズでの0.6mmのp−v運動は、対物レンズでの20のミクロンp−v運動に等しい。この情報は、最も高い鮮明度が算出される位置、すなわち最善の焦点を、低速焦点ステージ140のより低速のステッパモータに伝えるために使用される。図5Eに示すように、低速焦点ステージ140は、画像センサ110が組織101の当該領域の最善の焦点画像110’を捕獲するのに合わせて顕微鏡対物レンズ120を最善の焦点位置(運動範囲120’によって示す)へ移動させるように命令される。一実施形態では、画像センサ110は、たとえば制御システム170によってトリガして、ディザレンズ運動の特有の数のサイクル後に画像のスナップショットを撮影することができる。XY移動ステージ130は次のフレームへ移動し、ディザ焦点ステージ150におけるディザレンズの周期的な運動が継続し、図5A〜5Eの集束動作が繰り返される。鮮明度値は、プロセスの進行を妨げない速度、たとえば3kHzで計算することができる。
【0040】
図6Aは、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ焦点光学系および鮮明度判断の命令波形を示すグラフ200の概略図である。一実施形態では、図5A〜5Eの例に関連して論じる時間に基づいて、
T=16.67ミリ秒、/*レンズが60Hzで共振する場合のディザレンズ正弦の期間*/
F=300μm、/*焦点値の正の範囲*/
N=8、/*期間E内で取得される焦点の数*/
Δt=330μ秒、/*330μ秒ごとに取得される焦点標本*/
E=2.67ミリ秒、/*N個の焦点が取得される期間*/
Δf=焦点の進行の中心で1.06μm。/*焦点曲線のステップ寸法*/
したがって、このデューティーサイクルが32%である場合、8.48μm(8×1.06μm=8.48μm)が焦点処理を通じて標本化される。
【0041】
図6Bは、グラフ210に示すディザレンズの正弦波運動の一部分に対する計算された鮮明度(Zs)値のグラフ210を示す概略図である。各点iの関数として標本化された各焦点面に対する位置(z)は、等式1によって与えられる。
【0042】
【数1】
【0043】
CCDカメラに窓を付けることで、本明細書に記載するシステムに適した速いフレーム速度を提供することができる。たとえば、カナダのオンタリオ州ウォータールーのDalsaという会社は、Genie M640−1/3という640×480の単色カメラを生産している。Genie M640−1/3は、640×32のフレーム寸法において3,000フレーム/秒で動作する。CCDアレイ上の画素寸法は、7.4ミクロンである。物体と焦点面の間の倍率が5.5倍であると、1つの焦点画素は、その物体における約1.3ミクロンと同等である。1つの焦点画素当たり約16個の物体画素(4×4)の平均化を行うことができるが、良好な焦点情報を取得するのに十分な高さの空間周波数コントラスト変化が保持される。一実施形態では、最善の焦点位置は、鮮明度計算グラフ210のピーク値に従って判定することができる。追加の実施形態では、本明細書に別途さらに論じるように、他の焦点計算および技法を使用して、コントラスト測定基準の使用を含む他の測定基準に従って、最善の焦点位置を判定できることに留意されたい。
【0044】
図7Aおよび7Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による試験片(組織)の集束判断および調整を示す概略図である。図7Aでは、図250は、本明細書に論じるXY移動ステージ130の移動によるY軸に沿った試験片の移動に関連して近似の画像フレームに示す試験片の図である。Y軸に沿った(たとえば、XYステージの移動による)試験片の移動に関連する試験片上の1つの横断または通過を250に示す。図250’は、図250の一部分の拡大版である。図250’の1つのフレームをdtpと呼び、試験片の一定の組織点を指す。図250’の例では、試験片の境界を示し、試験片上の走査中、本明細書に記載するシステムによって複数の焦点計算が実行される。フレーム251では、例として、試験片の撮像に関連して4つの焦点計算(焦点位置1、2、3、および0*として示す)が実行された後に最善の焦点判断が行われることを示すが、本明細書に記載するシステムに関連してより多くの焦点計算を実行することもできる。図7Bは、検査されている試験片のY軸位置に対する顕微鏡対物レンズのZ軸位置のグラフを示す概略図260を示す。図示の位置261は、顕微鏡対物レンズ120を調整して本明細書に記載するシステムの一実施形態による最善の焦点を実現するようにZ軸に沿って判定された位置を示す。
【0045】
本明細書に記載するシステムは、顕微鏡対物レンズ全体が正弦または三角形のパターンで焦点を通じて移動される米国特許第7,576,307号および第7,518,642号に記載されているものなどの従来のシステムに比べて、著しい利点を提供することに留意されたい。同特許を、参照により本明細書に組み込む。本明細書に提供するシステムは、重い顕微鏡対物レンズおよび添付のステージとともに使用するのに適しており(特にターレットを介して他の対物レンズが追加されている場合)、ディザ光学系を使用する記載のより高い周波数では移動できないという点で有利である。本明細書に記載するディザレンズでは、質量を調整する(たとえば、より軽く、より少ないガラスにする)ことができ、焦点センサに対する撮像要求は、顕微鏡対物レンズによって課されるものより少ない。本明細書に記載するように、焦点データを高速で得て、鮮明度を算出するときの情景の変動を最小にすることができる。情景変動を最小にすることによって、本明細書に記載するシステムは、組織が顕微鏡対物レンズの下を移動している間、焦点が合った状態と焦点がぼけた状態をシステムが移動するときの鮮明度測定基準の不連続性を低減させる。従来のシステムでは、そのような不連続性により、最善の焦点計算に雑音が加わる。
【0046】
図8は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるディザ集束光学系によって標本化された複数の点における各鮮明度応答に対する鮮明度曲線およびコントラスト比を含む、焦点位置を移動することから生成される鮮明度プロファイルの一例を示す概略図300である。グラフ310は、x軸にディザレンズの振幅をマイクロメートル単位で示し、y軸に沿って鮮明度単位を示す。図示のように、ディザレンズの運動は、代表点A、B、C、D、およびEを中心とすることができるが、鮮明度曲線上のそれぞれの点に、本明細書に記載する演算を適用できることに留意されたい。ディザレンズの運動がそれぞれの点A、B、C、D、およびEを中心とするときにディザレンズ正弦曲線のサイクルの2分の1で焦点センサ160から生成される鮮明度応答を、それぞれグラフ310a〜eに示す。これに基づき、コントラスト関数=(max−min)/(max+min)に従って、点A〜Eのうちの対応する1つを有するそれぞれの鮮明度応答に対するコントラスト比が算出される。点A〜Eのうちの1つ(たとえば、ディザレンズ運動が中心とする)および鮮明度応答曲線310a〜eのうちの対応する1つに対して判定されるコントラスト関数に関連して、maxは、鮮明度応答曲線から取得される最大の鮮明度値を表し、minは、鮮明度応答曲線から取得される最小の鮮明度値を表す。その結果得られるコントラスト関数グラフ320を、鮮明度曲線グラフ310の下に示し、コントラスト比値のグラフは、ディザレンズ振幅に従ってディザレンズの移動に対応する。グラフ320内のコントラスト関数の最小値は、最善の焦点位置である。コントラスト関数および最善の焦点位置の判断に基づいて、制御信号を生成することができ、この制御信号を使用して、画像センサ110が画像110’を捕獲する前に顕微鏡対物レンズ120を最善の焦点位置内へ移動させるように低速焦点ステージ140を制御する。
【0047】
図9は、制御信号を生成して低速焦点ステージ140を制御するためのコントラスト関数の使用を示す機能制御ループブロック図350を示す。Udは、焦点制御ループに対する妨害と見なすことができ、たとえばスライドの傾き、または組織表面の高さの変化を表すことができる。機能ブロック352は、焦点センサ160によって生成して焦点電子機器および制御システム170へ通信できる鮮明度ベクトル情報の生成を示す。機能ブロック354は、ディザレンズが焦点を標本化する点におけるコントラスト数(たとえば、コントラスト関数の値)の生成を示す。このコントラスト数は、最善の焦点が事前に確立された最初のステップで生成される設定点または基準値(Ref)と比較される。この比較から生成される誤差信号は、適用される適当な利得K1(機能ブロック356)とともに、情景に焦点を合わせたまま維持するように働く低速焦点モータ(機能ブロック358)を補正する。一実施形態では、移動の最小または閾値量に従って顕微鏡対物レンズ120の位置を調整できることに留意されたい。したがって、そのような一実施形態では、調整が閾値より小さくなるのを回避することができる。
【0048】
図10は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理に関連して焦点窓402が複数の区間に分割されていることを示す概略図である。図示の実施形態では、焦点窓は8つの区間(402’)にさらに分割されるが、本明細書に記載するシステムに関連して、8つの区間より少ない区間または多い区間を使用することもできる。これらの区間の第1の部分集合は、スナップショットn内に位置することができ、区間の第2の部分集合は、スナップショットn+1内に位置することができる。たとえば、区間2、3、4、5は、時間t1でスナップ撮影された画像フレーム404内に位置する。区間6および7は、XY移動ステージ130が図内で下から上へ横断するときにスナップ撮影される次の画像フレーム内に完全に位置することができ、ならびに/または区間0および1は、ステージ130が図の上から下へ横断するときにスナップ撮影される次の画像フレーム内に完全に位置することができる。焦点位置0、1、2、および3を使用して、スナップ撮影される次のフレームに対する最善の焦点位置を位置0*で外挿することができる。組織の範囲は、たとえば当該領域全体を横断する蛇行したパターンを実行することによって確立することができる。
【0049】
画像センサの方形の窓404は、撮像中に獲得される1列のフレームが方形の焦点窓402と位置合わせされるように、ステージ130の進行方向へ向けることができる。たとえばDalsaの4M30/60CCDカメラを使用する画像フレーム406内の物体の寸法は、倍率30倍の結像レンズを使用すると0.588mm×0.432mmである。アレイ寸法は、(2352×7.4ミクロン/30)×(1720×7.4ミクロン/30)とすることができる。画像フレーム406の広い方の寸法(0.588mm)は、焦点窓402に対して垂直に向けることができ、組織の断面を横断する列の数を最小にすることができる。焦点センサは、焦点レッグ406内で5倍の倍率を使用すると、0.05mm×0.94mmである。方形の窓402は、(32×7.4ミクロン/5.0)×(640×7.4ミクロン/5.0)とすることができる。したがって、焦点センサのフレーム402は、画像センサのフレーム404より約2.2倍高くすることができ、本明細書に別途さらに論じるように、複数の区間を伴う先取り集束技法に関連して使用できることが有利である。本明細書に記載するシステムの一実施形態によれば、1秒当たり120回の最善の焦点判断を行うことができ、333μ秒ごとに鮮明度計算が行われ、その結果、2.67ミリ秒で8つの鮮明度が計算される。2.67ミリ秒は、ディザレンズ運動のディザ期間の2分の1である8.3ミリ秒にわたるデューティーサイクルの約32%に等しい。
【0050】
各区間に対する鮮明度測定基準を算出および記憶することができる。複数の区間を使用して単一の焦点に対する鮮明度測定基準を算出するとき、たとえばそのような単一の点で考慮されるすべての区間に対するすべての鮮明度測定基準を追加することなどによって、各区間に対する鮮明度測定基準を判定して組み合わせることができる。区間ごとの鮮明度演算の一例を等式2に示す(たとえば、640×32のストリップに窓を有するカメラの使用に基づく)。行iでは寸法nが最高32であり、列jでは寸法mが最高640/zである場合、1区間に対する鮮明度を等式2によって表すことができる。上式で、zは区間の数である。
【0051】
【数2】
【0052】
上式で、kは1および5の間またはこれに等しい整数である。他の鮮明度測定基準およびアルゴリズムも、本明細書に記載するシステムに関連して使用することができる。XY移動ステージ130がy軸に沿って移動しているとき、システムは、焦点窓402内の区間0〜7すべてに対する鮮明度情報を獲得する。ステージ130が移動しているとき、組織の断面の高さがどのように変動しているかを知ることが望ましい。鮮明度曲線(最大鮮明度が最善の焦点である)を算出することによって、焦点高さを変動させることで、区間6および7はたとえば、情報を提供してから、次の最善の焦点面が位置決めされた次のフレームを移動させることができる。この先取りによって大きな焦点変化が予想される場合、ステージ130を減速させて、より密接して隔置された点を提供し、高さの遷移をより良好に追跡することができる。
【0053】
走査プロセス中、システムが白色空間(組織なし)からより暗い空間(組織)へ遷移しているかどうかを判定できることが有利である。たとえば区間6および7内の鮮明度を算出することによって、この遷移が行われようとしているかどうかを予測することが可能である。この列を走査しながら、区間6および7が鮮明度の増大を示す場合、XY移動ステージ130に命令して減速させ、組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成させることができる。他方では、高鮮明度から低鮮明度への移動が検出された場合、スキャナの図が白色空間に入っていると判定することができ、ステージ130を減速させて組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成できることが望ましい。これらの遷移が行われない領域では、ステージ130に命令してより速い一定の速度で移動させ、スライド走査の総処理量を増大させることができる。この方法では、組織を高速で走査できることが有利である。本明細書に記載するシステムによれば、集束データが収集される間に、スナップショットを撮ることができる。さらに、第1の走査ですべての焦点データを収集および記憶することができ、後の走査中に最善の焦点でスナップショットを撮ることができる。一実施形態では、焦点の変化を検出し、したがって組織または白色空間を含む領域内または領域外への遷移を判定するために、鮮明度値に関して本明細書に記載する方法と類似の方法で、コントラスト比または機能値を使用する。
【0054】
たとえば、0.588×0.432mmの画像フレーム寸法で、15mm×15mmで20倍の走査の場合、26列のデータが存在し、各列は35個のフレームを有する。撮像速度が30fpsである場合、各列を1.2秒で横断し、または走査時間は約30秒である。焦点センサ160が1秒当たり120個(以上)の焦点を算出するため、本明細書に記載するシステムは、1フレーム当たり4つの焦点(120焦点/秒を30fpsで割った値)を取得することができる。撮像速度が60fpsである場合、走査時間は15秒であり、1フレーム当たり2つの焦点(120焦点/秒を60fpsで割った値)である。
【0055】
別の実施形態では、焦点センサ160としてカラーカメラを使用することができ、鮮明度コントラスト測定基準に対する別法および/または追加として、色度測定基準を判定することができる。たとえば、640×480のGenieカメラのDalsaのカラー版を、この実施形態による焦点センサ140として適切に使用することができる。色度測定基準は、同様に照射された白色の明度に対する彩度として説明することができる。等式の形(等式3Aおよび3B)では、色度(C)は、R、G、B色尺度の直線的な組合せとすることができる。
【0056】
CB=−37.797×R−74.203×G+112×B 等式3A
CR=112×R−93.786×G−18.214×B 等式3B
R=G=B、CB=CR=0であることに留意されたい。全体的な色度を表すCに対する値は、CBおよびCRに基づいて判定することができる。(たとえば、CBとCRを足すことなどによる)。
【0057】
XY移動ステージ130がy軸に沿って移動しているとき、焦点センサ160は、明視野顕微鏡の場合と同様に、色(R、G、B)情報を獲得することができる。ステージが移動しているとき、組織の断面の高さがどのように変動しているかを知ることが望ましい。RGB色情報の使用をコントラスト技法の場合と同様に使用して、システムが白色空間(組織なし)から多彩な空間(組織)へ遷移しているかどうかを判定することができる。たとえば区間6および7内の色度を算出することによって、この遷移が行われようとしているかどうかを予測することが可能である。たとえば、色度がほとんど検出されない場合、C=0であり、組織境界に接近していないと認識することができる。しかし、この焦点列を走査しながら、区間6および7が色度の増大を示す場合、ステージ130に命令して減速させ、組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成させることができる。他方では、高色度から低色度への移動が検出された場合、スキャナが白色空間に入っていると判定することができ、ステージ130を減速させて組織境界上でより密接して隔置された焦点を作成できることが望ましい。これらの遷移が行われない領域では、ステージ130に命令してより速い一定の速度で移動させ、スライド走査の総処理量を増大させることができる。
【0058】
鮮明度値、コントラスト比値、および/または色度値を使用して、視野または次に来るフレーム(複数可)が、組織を有するスライド領域に入っているのか、それともその組織から出ているのかを判定することに関連して、処理の変動を加えることができる。たとえば、白色空間から組織を有する領域に入るとき(たとえば、組織領域間)、Y方向の移動を低減させることができ、取得される複数の焦点も増大することができる。白色空間または組織標本間の領域を観察したとき、Y方向の移動を増大させることができ、組織を含む領域上の移動が検出される(たとえば、色度および/または鮮明度値の増大などによる)まで、より少ない焦点を判定することができる。
【0059】
図11は、本明細書の技法による一実施形態で複数の時点で取得できる異なる鮮明度値の図を示す。上部部分462は、ディザレンズ移動の正弦波サイクルの2分の1(たとえば、単一のピークからピークまでのサイクルまたは期間の2分の1)に対応する曲線452を含む。X軸は、このサイクル中のディザレンズ振幅値に対応し、Y軸は、鮮明度値に対応する。点462aなどの点はそれぞれ、焦点センサを使用してフレームが取得される点を表し、各フレームは、その点のX軸値によって表されるディザレンズ振幅で取得され、その点のY軸値によって表される鮮明度値を有する。下部部分464内の要素465は、図示のデータ点に対する部分462内に表される取得された1組の鮮明度値に適合された曲線を表す。
【0060】
図12は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による検査下で試験片の走査中に実行中の焦点処理を示す流れ図500である。ステップ502で、検査されている試験片に対して、公称焦点面または基準面を判定することができる。ステップ502後、処理はステップ504へ進み、本明細書に記載するシステムによるディザレンズが、特定の共振周波数で移動するように設定される。ステップ504後、処理はステップ506へ進み、XY移動ステージは、特定の速度で移動するように命令される。ステップ504および506の順序は、本明細書に論じる処理の他のステップの場合と同様に、本明細書に記載するシステムに従って適当に修正できることに留意されたい。ステップ506後、処理はステップ508へ進み、本明細書に記載するシステムによるディザレンズの運動(たとえば、正弦)に関連して、検査されている試験片に対する焦点の鮮明度計算が実行される。鮮明度計算は、本明細書に別途さらに論じるように、コントラスト、色度、および/または他の適当な尺度の使用を含むことができる。
【0061】
ステップ508後、処理はステップ510へ進み、本明細書に記載するシステムによって画像を捕獲するために画像センサに関連して使用される顕微鏡対物レンズの位置に対して、最善の焦点位置が判定される。ステップ510後、処理はステップ512へ進み、最善の焦点位置に関する制御信号が、顕微鏡対物レンズの位置(Z軸)を制御する低速焦点ステージへ送られる。ステップ512はまた、対物レンズ下の試験片部分の画像を捕獲するようにカメラ(たとえば、画像センサ)へトリガ信号を送ることを含むことができる。トリガ信号は、たとえば特有の数のサイクル(たとえば、ディザレンズの移動に関係する)後などに画像センサによる画像の捕獲を引き起こす制御信号とすることができる。ステップ512後、処理は試験ステップ514へ進み、走査下で試験片を保持するXY移動ステージの速度を調整するべきかどうかが判定される。この判断は、本明細書に別途詳細にさらに論じるように、焦点視野内の複数の区間の鮮明度および/または他の情報を使用する先取り処理技法に従って行うことができる。試験ステップ514で、XYステージの速度を調整するべきであると判定された場合、処理はステップ516へ進み、XY移動ステージの速度が調整される。ステップ516後、処理はステップ508へ戻る。試験ステップ514で、XY移動ステージの速度に対する調整を行うべきではないと判定された場合、処理は試験ステップ518へ進み、焦点処理を継続するべきかどうかが判定される。処理を継続するべきである場合、処理はステップ508へ戻る。そうではなく、処理を継続するべきでない(たとえば、現在の試験片の走査が完了した)場合、焦点処理は終了され、処理は完了する。
【0062】
図13は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による低速焦点ステージにおける処理を示す流れ図530である。ステップ532で、顕微鏡対物レンズの位置(たとえば、Z軸に沿って)を制御する低速焦点ステージは、試験片を検査している顕微鏡対物レンズの位置を調整するための情報を有する制御信号を受け取る。ステップ532後、処理はステップ534へ進み、低速焦点ステージは、本明細書に記載するシステムによる顕微鏡対物レンズの位置を調整する。ステップ534後、処理は待機ステップ536へ進み、低速焦点ステージは、別の制御信号を受け取るのを待機する。ステップ536後、処理はステップ532へ戻る。
【0063】
図14は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像捕獲処理を示す流れ図550である。ステップ552で、カメラの画像センサは、顕微鏡検査下で試験片の画像を捕獲するための処理をトリガするトリガ信号および/または他の命令を受け取る。様々な実施形態では、トリガ信号は、本明細書に記載するシステムによる焦点処理で使用されるディザレンズの特有の数の運動サイクル後、画像センサの画像捕獲処理のトリガを制御する制御システムから受け取ることができる。別法として、トリガ信号は、XY移動ステージ上の位置センサに基づいて提供することができる。一実施形態では、位置センサは、Renishaw Linear Encoderモデル番号T1000−10Aとすることができる。ステップ552後、処理はステップ554へ進み、画像センサは、画像を捕獲する。本明細書に詳細に論じるように、画像センサによって捕獲された画像は、本明細書に記載するシステムによる集束システムの動作に関連して焦点を合わすことができる。捕獲された画像は、本明細書に参照する他の技法に従って、ともにステッチすることができる。ステップ554後、処理はステップ556へ進み、画像センサは、別のトリガ信号を受け取るのを待機する。ステップ556後、処理はステップ552へ戻る。
【0064】
図15は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による焦点処理に対する代替構成を示す概略図600である。窓を有する焦点センサは、フレーム視野(FOV)602を有することができ、フレームFOV602は、撮像センサのフレームFOV604の幅に実質上等しい幅を斜めに走査するように傾けることができ、または他の方法で位置決めすることができる。本明細書に記載するように、窓は、進行方向に傾けることができる。たとえば、タイトル(titled)の焦点センサのフレームFOV602は、45度回転させることができ、物体(組織)で0.94×0.707=0.66mmという有効幅を有するはずである。撮像センサのフレームFOV604は、0.588mmという有効幅を有することができ、したがって、組織を保持するXY移動ステージが対物レンズ下へ移動すると、タイトルの焦点センサのフレームFOV602は、画像センサによって観察される幅の縁部を見る。図では、傾けた焦点センサの複数のフレームは、時間0、1、2、および3において中間位置の画像センサのフレームFOV604上で重ね合わせたところを示す。焦点列内の隣接するフレームの中心間の3つの点で、焦点を得ることができる。焦点位置0、1、2、および3は、スナップ撮影される次のフレームに対する最善の焦点位置を位置0*で外挿するために使用される。この方法に対する走査時間は、本明細書に別途記載する方法に類似しているはずである。タイトルの焦点センサのフレームFOV602が、より短い先取り、この場合0.707×(0.94−0.432)/2=0.18mmを有し、または傾けた焦点センサが、獲得すべき次のフレーム内へ42%侵入するとき、画像センサのフレームFOV604に対して傾斜している傾けた焦点センサのフレームFOV602は、走査幅の縁部上の組織を見る。これは特定の場合、縁部の焦点情報を提供できることが有利になり得る。
【0065】
図16は、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による焦点処理に対する代替構成を示す概略図650である。図650のように、タイトルの焦点センサのフレームFOV652および画像センサのフレームFOV654を示す。傾けたセンサのフレームFOV652を使用して、組織を横断する前方通過に関する焦点情報を獲得することができる。後方通過の際には、撮像センサは、焦点ステージが先の前方通過焦点データを使用して調整する間、フレームをスナップ撮影する。従来の方法で中間位置0、1、2、3を飛ばし、すべての画像フレームで焦点データを得たい場合、XY移動ステージは、高速の焦点取得を考えると、前方通過の速度の4倍で移動することができる。たとえば、20倍で15mm×15mmである場合、1列のデータは35フレームである。焦点データは、1秒当たり120個の点で獲得されるため、前方通過は、0.3秒(1秒当たり35フレーム/120焦点)で実行することができる。この例における列の数は26であり、したがって焦点部分は、26×0.3または7.6秒で行うことができる。30fpsでの画像取得は、約32秒である。したがって、総走査時間の焦点部分はわずか20%であり、これは効率的である。さらに、焦点が1つおきにフレームを飛ばすことができた場合、走査時間の焦点部分は実質上さらに落ち込むはずである。
【0066】
他の実施形態では、焦点センサの焦点ストリップは、隣接するデータ列を標本化して、本明細書に記載するシステムに関連して使用できる追加の先取り情報を提供するように、視野内の他の位置に他の向きで位置決めできることに留意されたい。
【0067】
スライドを運ぶXY移動ステージは、後方進行上で生成されるものに対して、前方進行上で生成される最善の焦点を繰り返すことができる。焦点の深さが0.9ミクロンである20倍の0.75NAの対物レンズの場合、約0.1ミクロンまで繰り返すことが望ましいはずである。0.1ミクロンの前方/後方の繰返し精度を満たすステージを構築することができ、したがって本明細書に別途さらに論じるように、この要件は技術的に実行可能である。
【0068】
一実施形態では、本明細書に記載するシステムによって検査されているガラススライド上の組織または塗抹標本は、スライド全体または約25mm×50mmの面積を覆うことができる。分解能は、対物レンズの開口数(NA)、スライドへの結合媒体、集光器のNA、および光の波長に依存する。たとえば、60倍で0.9NAの顕微鏡対物レンズの平面のアポクロマート(平面APO)の場合、空気中の緑色光(532nm)では、顕微鏡の横方向の分解能は約0.2μmであり、焦点の深さは0.5μmである。
【0069】
本明細書に記載するシステムの動作に関連して、当該領域上で線走査センサまたはCCDアレイを介して制限された視野を移動させ、制限された視野またはフレームもしくはタイルをともに組み合わせてモザイクを形成することによって、デジタル画像を取得することができる。モザイクは、継ぎ目のないように見え、観察者が画像全体を見るときに目に見えるステッチ、焦点、または照射異常がないことが望ましい。
【0070】
図17は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によってスライド上の組織のモザイク画像を獲得するための処理を示す流れ図700である。ステップ702で、スライドのサムネイル画像を獲得することができる。サムネイル画像は、1倍または2倍程度の倍率の低分解能とすることができる。スライドラベル上にバーコードが存在する場合、このステップでバーコードを復号して、スライド画像に取り付けることができる。ステップ702後、処理はステップ704へ進み、組織は、標準的な画像処理ツールを使用してスライド上で見ることができる。組織は、所与の当該領域に走査領域を狭めるように範囲内にとどめることができる。ステップ704後、処理はステップ706へ進み、組織の平面にXY座標システムを取り付けることができる。ステップ706後、処理はステップ708へ進むことができ、組織に対して規則的なXおよびY間隔で1つまたは複数の焦点を生成することができ、本明細書に別途論じる1つまたは複数のオンフライ集束技法などの焦点技法を使用して、最善の焦点を判定することができる。ステップ708後、処理はステップ710へ進むことができ、所望の焦点の座標、および/または他の適当な情報を保存することができ、これらをアンカー点と呼ぶことができる。アンカー点間にフレームが位置する場合、焦点を補間できることに留意されたい。
【0071】
ステップ710後、処理はステップ712へ進むことができ、顕微鏡対物レンズは、本明細書に別途論じる技法によって最善の焦点位置で位置決めされる。ステップ712後、処理はステップ714へ進み、画像が収集される。ステップ714後、処理は試験ステップ716へ進み、当該領域全体が走査および撮像されたかどうかが判定される。そうでない場合、処理はステップ718へ進み、XYステージは、本明細書に別途論じる技法によって、X方向および/またはY方向に組織を移動させる。ステップ718後、処理はステップ708へ戻る。試験ステップ716で、当該領域全体が走査および撮像されたと判定された場合、処理はステップ720へ進み、本明細書に記載するシステムによって、本明細書に別途論じる技法(たとえば、米国特許出願公開第2008/0240613号参照)を使用して、収集された画像フレームはともにステッチまたは他の方法で組み合わされ、モザイク画像を作成する。ステップ720後、処理は完了する。本明細書に記載するシステムに関連して他の適当なシーケンスを使用して、1つまたは複数のモザイク画像を獲得することもできることに留意されたい。
【0072】
本明細書に記載するシステムの有利な動作のために、対物レンズの焦点の深さのほんの一部まで、z位置繰返し精度を繰返し可能にすることができる。焦点モータによってz位置へ戻る際のわずかな誤差は、傾けたシステム(2DのCCDまたはCMOS)および線走査システムの隣接する列で容易に見られる。60倍の上述した分解能の場合、150ナノメートル以下程度のzピーク繰返し精度が望ましく、したがってそのような繰返し精度は、4倍、20倍、および/または40倍の対物レンズなどの他の対物レンズにも適しているはずである。
【0073】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、たとえば実行中の集束技法に関連して本明細書に別途論じるXY移動ステージ130としての機能を含む本明細書に論じるデジタル病理学撮像に対する特徴および技法に関連して使用できる病理学上の顕微鏡検査の適用分野に対して、XYステージを含むスライドステージシステムに対する様々な実施形態が提供される。一実施形態によれば、本明細書に別途詳細にさらに論じるように、XYステージは、堅い底ブロックを含むことができる。底ブロックは、高くなった突起上で支持された平坦なガラスブロックと、高くなった突起上で支持された三角形の横断面を有する第2のガラスブロックとを含むことができる。2つのブロックは、移動ステージブロックを案内するための平滑かつまっすぐなレールまたは通路として使用することができる。
【0074】
図18は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるXYステージの精密ステージ800(たとえば、Yステージ部分)の一実装形態を示す概略図である。たとえば、精密ステージ800は、25mm×50mmの面積にわたって、150ナノメートル以下程度のzピーク繰返し精度を実現することができる。本明細書に別途さらに論じるように、精密ステージ800は、たとえば実行中の集束技法に関して論じたXY移動ステージ130に関連する機能を含む、本明細書に別途論じる特徴および技法に関連して使用することができる。精密ステージ800は、堅い底ブロック810を含むことができ、高くなった突起上に平坦なガラスブロック812が支持される。これらの突起の間隔は、精密ステージ800の重量による簡単な支持体上のガラスブロックのたるみが最小になるような間隔である。三角形の横断面を有する第2のガラスブロック814は、高くなった突起上で支持される。ガラスブロック812、814は、ガラスブロックを歪ませない半剛性のエポキシによって、底ブロック810に接着接合することができる。ガラスブロック812、814は、まっすぐにすることができ、500nmで1つまたは2つの光波まで研磨することができる。ガラスブロック812、814に対する材料として、Zerodurなどの低熱膨張の材料を用いることができる。他の適当なタイプのガラスを、本明細書に記載するシステムに関連して使用することもできる。切抜き816により、顕微鏡の集光器からの光をスライド上の組織へ照射することができる。
【0075】
2つのガラスブロック812、814は、移動ステージブロック820を案内するための平滑かつまっすぐなレールまたは通路として使用することができる。移動ステージブロック820は、位置821a〜eに示すように、ガラスブロックに接触する硬質プラスチックの球面形状のボタン(たとえば、5つのボタン)を含むことができる。これらのプラスチックボタンが球面であるため、接触表面は、プラスチックの弾性係数によって判定される非常に小さい領域<<0.5mm)に制限することができる。たとえば、英国のGGB Bearing Technology CompanyからのPTFEまたは他の熱可塑性物質混合物に他の潤滑添加剤を加えたものを使用して、直径約3mmの接触ボタンの形状に鋳造することができる。一実施形態では、プラスチックボタンと研磨されたガラスの間の摩擦係数は、可能な限り低くするべきであるが、計器の保守を抑えるために、液体の潤滑剤の使用を回避できることが望ましい。一実施形態では、0.1〜0.15の摩擦係数で枯渇を容易に実現することができる。
【0076】
図19Aおよび19Bは、位置821a〜eでガラスブロック810、812に接触する球面形状のボタン822a〜eを示す、本明細書に記載するシステムの一実施形態による移動ステージブロック820のより詳細な図である。これらのボタンは、駆動方向(Y)以外のすべての方向で優れた剛性を可能にする位置に構成することができる。たとえば、2つのプラスチックボタンは、三角形の形状のガラスブロック814の側面に接触するように互いに面することができ(すなわち、4つのボタン822b〜e)、1つのプラスチックボタン822aは、平坦なガラスブロック812に接触するように位置決めされる。移動ステージブロック820は、プラスチック支持ボタン822a〜eの位置によって形成された三角形の質量中心826に重心がくるような軽い重量および形状の1つまたは複数の孔824を含むことができる。このようにして、三角形828の隅部にあるプラスチックボタン822a〜eはそれぞれ、ステージ800の運動中はいつでも等しい重量を有することができる。
【0077】
再び図18を参照すると、スライドネスト832内で、ばね式のアーム830を介してスライド801が締め付けられる。スライド801は、ネスト832内に手動で配置することができ、および/または補助機構によってネスト832内にロボットで配置することができる。堅い片持ち梁アーム840は、高い疲労強度の鋼から作製できる小さい直径の屈曲棒842の端部を支持して堅く締め付ける。一例では、この直径は、0.7mmとすることができる。棒状の屈曲部842の他方の端部は、移動ステージ820上の質量中心位置826に取り付けることができる。片持ち梁アーム840は、軸受ブロック850に取り付けることができ、軸受ブロック850は、硬化された鋼レール852上の再循環式の軸受設計を介して動作することができる。軸受ブロック850には親ねじアセンブリ854を取り付けることができ、親ねじアセンブリ854は、ステッパモータ856によって回転させることができる。上記の要素に適した構成要素は、日本のTHKなどのいくつかの会社を通じて入手可能である。親ねじアセンブリ854は、レール852上の軸受ブロック850を駆動し、棒状の屈曲部842を介して移動ステージブロック820を押したり引いたりする。
【0078】
棒状の屈曲部842の曲げ剛性は、プラスチックパッド上の移動ステージブロック820の剛性の6000分の1より大きい係数とすることができる(これは、z方向の移動ステージの平面に直交する力に対向する剛性である)。これにより、軸受雑音によって生成される軸受ブロック850/片持ち梁アーム840の上下運動から、移動ステージブロック820を効果的に分離する。
【0079】
本明細書に記載する精密ステージ800の設計における注意深い物質収支および幾何形状への注意により、わずかな振動運動を生成するはずの移動ステージブロック820上のモーメントを最小にする。追加として、移動ステージブロック820は、研磨されたガラス上で動作するため、60倍の倍率で走査するのに十分な150ナノメートル未満のピークでz位置繰返し精度を有する。60倍の条件は最も厳しいため、20倍および40倍の高NAの対物レンズなどの他のより低い倍率もまた、60倍の条件下で取得される性能に類似している適した性能を示す。
【0080】
図20は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるYステージ920、Xステージ940、および底板960を含む、本明細書に論じる精密ステージの特徴によるXY複合ステージ900全体の一実装形態を示す。この場合、Yステージ920に対する底ブロックは、X方向の移動ステージであるXステージ940になる。Xステージ940に対する底ブロックは、地面へ固定できる底板960である。XY複合ステージ900は、本明細書に記載するシステムによって、Z方向に150ナノメートル程度の繰返し精度、ならびにX方向およびY方向に1〜2ミクロン(以下)程度の繰返し精度を実現する。これらのステージが、英国グロスターシャーのRenishawによって生産されるものなどのテープスケールを介してフィードバック位置を含む場合、本明細書に記載するシステムによってミクロン以下の精度が実現可能である。
【0081】
本明細書に記載するシステムによるステージ設計は、本明細書に記載するシステムによるXYステージが、球形でない玉軸受または円筒形でないクロスローラ軸受のために繰返し精度の誤差を受けないという点で、球形の軸受で支持された移動ステージより優れていることがある。さらに、再循環式の軸受設計では、異なる寸法の玉の新しい玉コンプリメントにより、繰り返しできない運動を引き起こすことができる。本明細書に記載する実施形態の追加の利益は、ステージのコストである。ガラス要素は、標準的なラップ仕上げおよび研磨技法を利用し、過度に高価ではない。軸受ブロックおよび親ねじアセンブリは、棒状の屈曲部が移動ステージを軸受ブロックから切り離すという点で、特に高品質である必要はない。
【0082】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、デジタル病理学スライドの走査中の走査時間を低減および/または他の方法で最小にすることが有利である。臨床上の設定では、所望の作業の流れは、スライドのラックをロボットのスライド走査顕微鏡内へ配置し、ドアを閉じ、システムに命令してスライドを走査させることである。すべてのスライドが走査されるまで、ユーザの介入が必要とされないことが望ましい。バッチ寸法は、複数のスライド(たとえば、160枚のスライド)を含むことができ、すべてのスライドを走査する時間を、バッチ時間と呼ぶ。スライド処理量とは、1時間当たりに処理されるスライドの数である。サイクル時間とは、観察する準備ができたそれぞれの利用可能なスライド画像間の時間である。
【0083】
サイクル時間は、画像を獲得する際、(a)スライドをロボットで持ち上げるステップと、(b)スライド組織領域およびラベルのサムネイル図または概観画像を作成するステップと、(c)スライド組織を範囲内にとどめる当該領域を計算するステップと、(d)範囲内にとどめた組織領域を事前走査して、組織上で焦点の合った最善の点の規則的なアレイを見出すステップと、(e)ステージおよび/またはセンサの移動に従って組織を走査するステップと、(f)観察する準備ができた圧縮された出力画像を作成するステップと、(g)スライドを配置して次のスライドのために準備するステップとによる影響を受けることがある。ステップ(d)は、本明細書に記載するシステムによって動的な集束または「実行中の」集束が実行された場合、必要でないこともあり、したがって、実行中の集束技法を使用する結果、走査/画像取得時間を低減できることに留意されたい。
【0084】
本明細書に記載するシステムは、ステップ(a)、(b)、(c)、および(g)を実行する時間をなくし、または著しく短くすることをさらに伴うことができる。本明細書に詳細にさらに論じるように、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によれば、これらの利得は、たとえば、1つのスライドに対する上述したステップ(a)、(b)、(c)、および(g)が、別のスライドに対するステップ(d)、(e)、および(f)に合わせて重複されるキャッシング概念を使用することによって実現することができる。様々な実施形態では、1つのスライドに対するステップ(a)、(b)、および(c)と別のスライドに対するステップ(d)、(e)、および(f)の重複は、1つのスライドに対するステップ(a)、(b)、および(c)が別のスライドに対するステップ(d)、(e)、および(f)と重複されないシステムと比較すると、10%、25%、またはさらには50%の利得を提供することができる。
【0085】
図21は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシングデバイス1000を示す概略図である。スライドピックアップヘッド1002は、スライド1001を持ち上げるように位置決めすることができる。ピックアップヘッド1002は、機械的デバイスおよび/または真空デバイスを使用して、スライド1001を持ち上げることができる。スライド1001は、バッチ、たとえば160枚のスライドからなるバッチ内のスライドの集合体のうちの1つとすることができる。スライドの集合体は、スライドラック1003内に配置することができる。ピックアップヘッド1002は、鋼レール1005上を進む軸受車またはブロック1004に取り付けられる。軸受ブロック1004は、回転する親ねじ1006によって移動される。回転エンコーダ1007でモータ数を検出し、直線的な進行に変換し、スライド位置をY方向に制御することができる。要素1002〜1007は、スライドローダ/アンローダ1008と呼ばれる移動アセンブリを備えることができる。スライドローダ/アンローダ1008はまた、電動式の軸受車またはブロック1009上で、レール1010上をx方向に移動することができ、それによってスライドローダ/アンローダ1008は、X方向とY方向の両方に移動することができる。
【0086】
動作の際には、スライドは、依然としてピックアップヘッド1002上に保持したまま、低分解能のカメラ1011下に位置決めして、スライド組織領域およびラベルのサムネイル図または概観画像を取得することができる(たとえば、上述したステップ(b))。この動作が完了した後、ステップ(c)を実行することができ、スライドは、スライドバッファ1012上の位置へ配置される。スライドバッファ1012は、2つ(以上)のバッファスロットまたは位置1018a、1018bを含むことができ、バッファ位置1018a内にスライド1017を含むところを示す。
【0087】
一実施形態では、複合XYステージ1013が、Y方向に移動するステージ板1014を含むことができ、ステージ板1014は、x方向に移動する板1015に取り付けられる。XYステージ1013は、たとえば本明細書に論じる複合XYステージ900の特徴を含めて、本明細書に別途論じるものに類似の特徴および機能を有することができる。ステージ板1014は、追加のスライドピックアップヘッド1016をさらに含むことができる。ピックアップヘッド1016は、上述したピックアップヘッド1012に類似のものとすることができる。ピックアップヘッド1016は、機械的デバイスおよび/または真空デバイスを使用して、スライドを持ち上げることができる。
【0088】
複合XYステージ1016のピックアップヘッド1016は、バッファ位置1018aへ移動してスライド1017を持ち上げることができる。スライド1017は次に、(d)事前走査するステップと、(e)走査するステップと、(f)出力画像を作成するステップとを含む上述したステップの1つまたは複数に進むことができる。この処理が実行されている間、スライドローダ/アンローダ1008は、点線1001’によって概略的に示すように、別のスライド(たとえば、スライド1001)を持ち上げ、カメラ1011を使用してスライド1001のサムネイル図を取得し、スライドバッファ1012内の空の位置1018bにスライド1001を配置することができる。先のスライド(スライド1017)上で走査が完了したとき、XY複合ステージ1013のスライドピックアップヘッド1016は、スライド1017をバッファ位置1018aへ配置し、バッファ位置1018bから走査する準備ができた次のスライド(スライド1001)を持ち上げることができる。複合XYステージ1013は、高分解能の光学システム顕微鏡の光学系およびカメラ1019下で規則的な前後の走査パターンで移動して、本明細書に別途論じる特徴および技法によって、生物学的組織の高分解能の画像を獲得することができる。複合XYステージ1013および/またはスライドローダ/アンローダ1008の移動およびスライド選択は、制御システム内の1つまたは複数の処理装置によって制御できることにさらに留意されたい。
【0089】
スライドローダ/アンローダ1008は、バッファ位置1018aへ移動して、スライド1017を持ち上げ、スライド1017をスライドラック1003内へ配置することができる。このスライド1017は、上記で列挙したステップのすべてを完了させる。次いでスライドローダ/アンローダ1008は引き続き、別のスライドを持ち上げてスライドバッファ1012内へ積み、最終的にスライド1001を持ち上げてスライドラック1003へ戻すことができる。上述したもののような処理は、スライドラック1003内に位置するすべてのスライドが走査されるまで継続することができる。
【0090】
本明細書に記載するシステムによるスライドキャッシング技法は、有利な時間の節約を提供する。たとえば、20倍の15mm×15mmの視野のシステム内では、ピックアップ時間は約25秒であり、サムネイル取得は約10秒であり、事前走査時間は約30秒であり、走査時間は90秒である。出力ファイルの生成は、走査プロセスと同時に行われ、約5秒追加することがある。スライドの配置は、約20秒である。これらの時間をすべて足し合わせると、180秒のサイクル時間になる。XY複合ステージはそれでもなお、走査されたスライドを持ち上げて配置する時間を必要とし、それによって約10秒相殺することがある。したがって、それに応じた走査時間の低減は、約1−(180−55+10)/180=25%である。本明細書に別途さらに論じるように、実行中の集束などの動的焦点技法を使用するシステムの場合、事前走査時間をなくすことができ、速いデータ速度のカメラを用いると、持上げおよび配置に関連しない時間を20〜30秒まで低減させることができる。この場合、スライドキャッシングを使用する際の走査時間の低減は、約1−(75−55+10)/75=50%とすることができる。
【0091】
図22Aは、第1のスライドに関連して本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を示す流れ図1100である。ステップ1102で、第1のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1102後、処理はステップ1104へ進み、サムネイル画像が取得され、および/またはスライド上の組織の当該領域の判定を含むことができる他のサムネイル処理が、第1のスライドに対して実行される。ステップ1104後、処理はステップ1106へ進み、第1のスライドは、スライドバッファ内へ配置される。ステップ1106後、処理はステップ1108へ進み、第1のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1108後、処理はステップ1110へ進み、第1のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1110後、処理はステップ1112へ進み、第1のスライドは、スライドバッファ内に配置される。ステップ1112後、処理はステップ1114へ進み、第1のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1114後、処理はステップ1116へ進み、第1のスライドは、スライドラック内に配置される。ステップ1116後、第1のスライドに対する処理は完了する。
【0092】
図22Bは、第2のスライドに関連して本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドキャッシング処理を示す流れ図1120である。本明細書にさらに論じるように、流れ図1120の様々なステップは、流れ図1100のステップと並行して実行することができる。ステップ1122で、第2のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1102後、処理はステップ1124へ進み、サムネイル画像が取得され、および/またはスライド上の組織の当該領域の判定を含むことができる他のサムネイル処理が、第2のスライドに対して実行される。ステップ1124後、処理はステップ1126へ進み、第2のスライドは、スライドバッファ内へ配置される。ステップ1126後、処理はステップ1128へ進み、第2のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1128後、処理はステップ1130へ進み、第2のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1130後、処理はステップ1132へ進み、第2のスライドは、スライドバッファ内に配置される。ステップ1132後、処理はステップ1134へ進み、第2のスライドは、スライドバッファから持ち上げられる。ステップ1134後、処理はステップ1136へ進み、第2のスライドは、スライドラック内に配置される。ステップ1136後、第2のスライドに対する処理は完了する。
【0093】
スライドキャッシングに対処する本明細書に記載するシステムの一実施形態によれば、サイクル時間を低減させるために、第1のスライドに対する流れ図1100のステップを、第2のスライドに対する流れ図1120のステップと並行して、スライドキャッシングデバイスによって実行することができる。たとえば、第2のスライドに対する流れ図1120のステップ1122、1124、1126(たとえば、スライドラックから第2のスライドを持ち上げること、サムネイル画像処理、および第2のスライドをスライドバッファ内へ配置することに関連するステップ)は、第1のスライドに対する流れ図1100のステップ1108、1110、および1112(たとえば、スライドバッファから第1のスライドを持ち上げること、第1のスライドを走査および撮像すること、ならびに第1のスライドを再びスライドバッファ内に配置することに関連するステップ)と重複することができる。さらに、ステップ1134および1136(たとえば、スライドバッファから第2のスライドを持ち上げること、およびスライドをスライドラック内へ配置することに関連するステップ)はまた、第1のスライドの走査ステップと重複することができる。本明細書に記載するシステムによる並列スライド処理技法によれば、一度に1つのスライドを処理することと比較すると、最高50%の時間利得を取得することができ、本明細書に記載するシステムおよび技法の他の態様を使用すると、追加の利得が可能である。
【0094】
図23Aおよび23Bは、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態による時間の節約を示す、本明細書に記載するシステムの実施形態によるスライドキャッシング技法を使用するタイミング図を示す。
【0095】
図23Aは、事前走査ステップが使用されるシナリオに対するタイミング図1150を示す。このタイミング図は、スライドラックからスライドを持ち上げること、サムネイル画像処理、スライドをバッファ内に配置すること、バッファから持ち上げること、事前走査、スライドを走査してファイルを出力すること、バッファ内へ配置すること、およびスライドラック内へ配置することを含むスライドキャッシングを使用するスライド処理ステップを実行することに関連して、約300秒の期間にわたる3枚のスライド(スライド1、2、および3)に対するタイミングを示す。図示のように、一実施形態では、図示の処理に対するサイクル時間は、約150秒とすることができる。
【0096】
図23Bは、実行中の集束技法が使用される(事前走査なし)シナリオに対するタイミング図1160を示す。このタイミング図は、スライドラックからスライドを持ち上げること、サムネイル画像処理、スライドをバッファ内に配置すること、バッファから持ち上げること、スライドを走査してファイルを出力すること、バッファ内へ配置すること、およびスライドラック内へ配置することを含むスライドキャッシングを使用するスライド移動および走査ステップを実行することに関連して、約150秒の期間にわたる3枚のスライド(スライド1、2、および3)に対するタイミングを示す。図示のように、一実施形態では、図示の処理に対するサイクル時間は、約50秒とすることができる。
【0097】
図24は、本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイス1200を示す概略図である。図示の実施形態では、バッファは必要ではなく、スライドキャッシングデバイス1200を使用すると、持上げ、サムネイル、および配置時間をサイクル時間からなくすことができる。スライドキャッシングデバイス1200は、独立して動作する2つのXY複合ステージ1210、1220を含むことができる。XY複合ステージ1210、1220はそれぞれ、XY複合ステージ1013に対して本明細書に論じるものに類似の特徴を有することができる。ステージ1210の端部に、第1のスライドラック1211を位置決めすることができ、ステージ1220の端部に、第2のスライドラック1221を位置決めすることができる。本明細書に記載するシステムの別の実施形態に関連して、第1のスライドラック1211および第2のスライドラック1211は、1つのスライドラックの一部分を代わりに指すことができることに留意されたい。2つのサムネイルカメラ1212、1222は、XY複合ステージ1210、1220それぞれに作用することができる。スライドラック1211、1221は、対応するピックアップヘッドを有するその対応するXY複合ステージ1210、1220へスライドを供給することができる。1つの顕微鏡光学縦列1230は、XY複合ステージ1210、1220の両方に作用することができる。たとえば、XY複合ステージの一方(たとえば、ステージ1210)がスライドを走査している間、他方(たとえば、ステージ1220)は、別のスライドとともにその持上げ、サムネイル、および配置機能を実行している。これらの機能は、走査時間と重複させることができる。したがって、サイクル時間は、スライドの走査時間によって判定することができ、したがって、本明細書に記載するシステムの図示の実施形態によれば、持上げ、サムネイル、および配置時間をサイクル時間からなくすことができる。
【0098】
図25Aは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第1のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図1250である。ステップ1252で、第1のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1252後、処理はステップ1254へ進み、第1のスライド上でサムネイル処理が実行される。ステップ1254後、処理はステップ1256へ進み、第1のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1256後、処理はステップ1258へ進み、第1のスライドは、再びスライドラック内へ配置される。ステップ1258後、第1のスライドに対する処理は完了する。
【0099】
図25Bは、スライド処理のために2つのXY複合ステージを有するスライドキャッシングデバイスに関して記載するシステムの一実施形態による第2のスライドに関連するスライドキャッシング処理を示す流れ図1270である。ステップ1272で、第2のスライドは、スライドラックから持ち上げられる。ステップ1272後、処理はステップ1274へ進み、第2のスライド上でサムネイル処理が実行される。ステップ1274後、処理はステップ1276へ進み、第2のスライドは、本明細書に別途さらに論じるもののような技法によって走査および撮像される。様々な実施形態では、走査および撮像技法は、集束ステップの事前走査および/または実行中の集束技法などの動的集束技法の使用を含むことができることに留意されたい。ステップ1276後、処理はステップ1278へ進み、第2のスライドは、再びスライドラック内へ配置される。ステップ1278後、第2のスライドに対する処理は完了する。
【0100】
スライドキャッシングを伴う本明細書に記載するシステムの一実施形態によれば、サイクル時間を低減させるために、第1のスライドに関する流れ図1250のステップを、第2のスライドに関する流れ図1270のステップと並行して、スライドキャッシングデバイスによって実行することができる。たとえば、第2のスライドに対するステップ1272、1274、および1278(たとえば、持上げ、サムネイル処理、および配置)は、第1のスライドのステップ1256(たとえば、第1のスライドの走査/撮像)と重複することができ、逆も同様であり、したがって持上げ、サムネイル処理、および配置の時間は、サイクル時間からなくなる。したがってサイクル時間は、本明細書に記載するシステムの一実施形態によるスライドの走査時間のみによって決まる。
【0101】
図26は、本明細書に記載するシステムの別の実施形態によるスライドキャッシングデバイス1300を示す概略図である。スライドキャッシングデバイス1300は、カルーセル1310として構成されたスライドラックと、スライドハンドラ1320と、バッファ1330と、XYステージ1340とを含むことができる。カルーセル1310は、1つまたは複数の位置1312、1312’、1312”を含むことができ、これらの位置には、本明細書に別途論じるもののような特徴および機能を有することができる撮像デバイス1350によって撮像される前および/または後に、スライド1301などのスライドを配置することができる。位置1312、1312’、1312”は、くさび(たとえば、8つのくさび)のアレイとして示し、本明細書に別途さらに論じるように、カルーセル1310は、複数のスライド位置がそれぞれの図示の最上位のくさび位置1312、1312’、1312”の下へ延びるような高さを有することができる。スライドハンドラ1320は、ピックアップヘッドとして働くアーム1322を含むことができ、スライドを持ち上げるために機械的および/または真空デバイスを含むことができる。スライドハンドラ1320上のアーム1322は、位置1322a〜d間を移動して、カルーセル1310、バッファ1330、およびXYステージ1340の間でスライドを移動させることができる。
【0102】
バッファ1330は、複数のバッファ位置1332、1334を含むことができる。1つのバッファ位置1332は、戻りバッファ位置1332と呼ぶことができ、XYステージ1340を介して撮像デバイス1350から戻されているスライドは、スライドハンドラ1320によって再びカルーセル1310へ位置決めしてから移動させることができる。別のバッファ位置1334は、カメラバッファ位置1334と呼ぶことができ、撮像デバイス1350へ送られるスライドは第1に、本明細書に別途論じる技法によって捕獲されたスライドのサムネイル画像を有することができる。カメラバッファ位置1334でスライドのサムネイル画像が捕獲された後、このスライドは、XYステージ1340上の位置1342へ移動させることができ、XYステージ1340は、本明細書に別途論じる技法による走査および撮像のために、スライドを撮像デバイス1350へ輸送する。
【0103】
図27は、スライドキャッシングデバイス1300の別の図を示す概略図である。スライドキャッシングデバイス1300の構成要素は、様々な移動および複数の移動自由度で動作する機能を有することができる。たとえば、カルーセル1310は、方向1311に回転可能とすることができ、複数のスライド(スライド1、2、3、および4として示す)を収容するために、各回転位置において複数の高さ位置で複数のスライド位置1312a〜dを含むことができる。一実施形態では、それぞれのくさび位置1312、1312’、1312”における複数のスライド位置1312a〜dは、たとえば一実施形態では30.48cm(12インチ)であるカルーセル1310の高さ内に等距離で位置決めされた40枚のスライドに対する位置を含むことができる。さらに、カルーセル1310はまた、1つまたは複数のスライド位置1314a、bを有するユーザトレー1314を含むことができ、これらの位置でユーザは、カルーセル1310内の他のスライドに加えて、撮像すべきスライドを挿入することができる。ユーザトレー1314へのスライドの相互作用、たとえばユーザトレー1314のカバーを持ち上げること、および/またはユーザトレー1314の位置決めする1314a、bのうちの1つの位置内へスライドを挿入することは、迂回モードをトリガするように働くことができ、迂回モードでは、カルーセル1310のくさび位置からの次のスライドの代わりに、ユーザトレー1314からのスライドが処理される。
【0104】
少なくとも3運動自由度を有するスライドハンドラ1320のアーム1322を示す。たとえば、アーム1322は、方向1321aに回転して、カルーセル1310、バッファ1330、およびXYステージ1340のそれぞれと係合することができる。追加として、アーム1322は、カルーセル1310の位置1312a〜dの異なる高さに対応して、方向1321bに調整可能とすることができる。追加として、アーム1322は、カルーセル1310、バッファ1330、およびXYステージ1340からのスライドの積降しに関連して、方向1321cに延びることができる。一実施形態では、以下にさらに論じるように、スライドキャッシングデバイス1300の無駄時間を最小にするために、アーム1322が回転する弧の距離を最小にすること、ならびに/またはアーム1322および/もしくはスライドハンドラ1320によって横断される他の距離を最小にすることが有利である。様々な実施形態では、カルーセル1310、スライドハンドラ1320、およびXYステージ1340の移動は、本明細書に別途論じるもののような制御システムによって制御することができる。一実施形態では、バッファ1330およびXYステージ1340は、同じ高さとすることができることにも留意されたい。
【0105】
図28A〜28Jは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による図26および27のスライドキャッシングデバイスのスライドキャッシング動作を示す概略図である。一実施形態によれば、本明細書に論じるスライド動作は、システムの無駄時間、すなわちスライド走査および撮像動作と重複しないスライド持上げおよび移送動作中の時間を最小にする。無駄時間は、たとえばXYステージ1340が、スライドハンドラ1320にスライドを持ち上げさせる位置へ移動する駐車時間を含むことがある。無駄時間への他の寄与は、スライドをバッファ1330の戻り位置へ移動させることと、XYステージ1340にスライドを再び積むこととを含む。
【0106】
図28Aは、スライド2が撮像デバイス1350で現在走査および撮像されている図示のシーケンスを開始する。スライド1、3、および4はカルーセル1310内で、走査および撮像されるのを待機しており、スライドハンドラ1320は、スライド2をXYステージ1340へ送達した位置にある。図28Bは、スライド2が引き続き走査および撮像される間に、スライドハンドラ1320が回転および下降して、走査および撮像すべき次のスライド(スライド3)を積むことを示す。図28Cは、スライドハンドラ1320は、スライド3のサムネイル画像を取得するために、スライド3をバッファ1330のカメラバッファ位置1334へ輸送することを示す。図28Dは、スライドハンドラ1320が、スライド2の走査を完了した後、画像デバイス1350から戻っているXYステージ1340からスライド2を降ろすように位置決めされることを示す。XYステージ1340が降ろすべき位置内へ移動する時間は、たるみ時間の一例であることに留意されたい。XYステージ1340が降ろすべき位置にあり、その上に降ろすべきスライド2が待機しており、スライド3がXYステージ1340上へ積まれるのを待機した後の時間は、駐車時間の一例である。
【0107】
図28Eは、スライド2がスライドハンドラ1320によってXYステージ1340からバッファ1330の戻り位置1332へ輸送されることを示す。次いでスライドハンドラ1320は、カメラバッファ位置1334からスライド3を持ち上げるための位置へ進む。図28Fは、スライド3がカメラバッファ位置1334から持ち上げられ、XYステージ1340上へ降ろされることを示す。図28Gは、スライド2がスライドハンドラ1310によって戻りバッファ位置1332から持ち上げられている間に、スライド3が現在走査されていることを示す。図28Hは、正しい位置に対して並進して回転および移動するスライドハンドラ1310によってスライド2がカルーセル1310内の位置へ戻されることを示す。図28Iは、スライドハンドラ1310がカルーセル1310からスライド1を持ち上げるように正しい位置に対して並進して移動することを示す。図28Jは、スライド3が現在依然として走査されている間に、スライドハンドラ1310がスライド1を輸送してカメラバッファ位置で降ろし、この位置でスライド1のサムネイル画像が取得されることを示す。カルーセル1310上の任意の残りのスライド(たとえば、スライド4)、および/またはユーザによってユーザトレー1314内へ挿入された任意のユーザスライドに対して、図示のシーケンスに関連して上記で論じたものに類似のさらなる反復を実行し、本明細書に論じた迂回モード動作を開始することができる。
【0108】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、本明細書に記載するシステムの様々な技法および特徴に適用できる顕微鏡検査の実施形態に関連して、照射システムを使用することができる。顕微鏡は、明視野顕微鏡検査のためにケーラー照射を一般に使用できることが知られている。ケーラー照射の主な特徴は、開口数と照射面積がどちらも、調整可能な虹彩を介して制御可能であることであり、したがって照射は、倍率、視野、および開口数を変動させて広い範囲の顕微鏡対物レンズを機械加工するように調整することができる。ケーラー照射は、所望の結果を提供するが、著しい空間体積を占める複数の構成要素を必要とすることがある。したがって、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態は、知られているケーラー照射システムの特定の欠点を回避しながらケーラー照射の利点を維持する、顕微鏡検査の適用分野で有利な照射のための特徴および技法をさらに提供する。
【0109】
図29は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による発光ダイオード(LED)照射アセンブリ1402を使用してスライド1401を照射する照射システム1400を示す概略図である。LED照射アセンブリ1402は、本明細書にさらに論じる複数の実施形態による様々な特徴を有することができる。LED照射アセンブリ1402からの光は、鏡1404および/または他の適当な光学構成要素を介して集光器1406へ伝送される。集光器1406は、本明細書に別途さらに論じるように、XYステージ1408の任意の必要な作業距離を収容するのに適した作業距離(たとえば、少なくとも28mm)を有する集光器とすることができる。一実施形態では、集光器は、28mmの作業距離を有するMoticによって製造された集光器SG03.0701とすることができる。集光器1406は、スライド1402上の試験片を照射する光の開口数(円錐角度)を制御する調整可能な虹彩絞りを含むことができる。スライド1401は、顕微鏡対物レンズ1410の下でXYステージ1408上に配置することができる。LED照射アセンブリ1402は、たとえば本明細書に記載するシステムの特徴および技法によるXYステージの移動、スライドキャッシング、および/または動的集束に関連する動作を含むスライド1401上の試験片の走査および撮像に関連して使用することができる。
【0110】
LED照射アセンブリ1402は、明白色のLEDなどのLED1420と、集光器要素として使用できるレンズ1422と、スライド1401上の照射面積を制御できる調整可能な虹彩視野絞り1424とを含むことができる。LED1420の発光表面は、レンズ1422によって集光器1406の入口瞳1406a上へ撮像することができる。入口瞳1406aは、集光器1406のNA調整絞り1406bと同じ場所に位置することができる。レンズ1422は、LED1402の画像が集光器1406のNA調整絞り1406bの開口を埋めるように、LED1420の出力光の大部分を収集するように、またLED1420の画像を集光器1406のNA調整絞り1406b上へ適当な倍率で集束させるように選択することができる。
【0111】
集光器1406を使用して、NA調整絞り1406bでLED1420の光をスライド1401上へ集束させることができる。スライド1401上の照射面積は、LED照射アセンブリ1402内に取り付けられた視野絞り1424によって制御することができる。視野絞り、および/または集光器1406と視野絞り1424の間の間隔は、視野絞り1424がスライド1401のうち照射される面積を制御できるように、LED1420からの光をスライド1401の平面上へ撮像するように調整することができる。
【0112】
スライドを含むYステージが移動している間に画像センサがフレームを獲得するため、LED1420のパルス(たとえば、ストロボ)を切り換えて、短時間にわたって非常に高い明度を可能にすることができる。たとえば、約13mm/秒で移動するYステージの場合、0.5画素(0.250ミクロン/画素)以下のぼけを維持するために、LED1420は、10マイクロ秒だけパルスを発することができる。LED光パルスは、本明細書に別途さらに論じる焦点システムおよび技法によって、ディザレンズ共振周波数にロックされたマスタクロックによってトリガすることができる。
【0113】
図30は、LED照射アセンブリ1402に関して本明細書に記載する特徴に対応する、本明細書に記載するシステムによるLED照射アセンブリ1402’に対する一実施形態のより詳細な側面図を示す概略図である。LED1430、レンズ1432、および視野絞り1434の実装形態および構成を、他の構造上の支持および調整構成要素1436に対してこれに関連して示す。
【0114】
図31は、LED照射アセンブリ1402に関して論じるもののような特徴および機能を有する本明細書に記載するシステムの一実施形態によるLED照射アセンブリ1402”の特有の実装形態の分解図を示す概略図である。アダプタ1451、マウント1452、クランプ1453、およびマウント1454を使用して、レンズ1462に対してしっかりと位置決めされるように、LED照射アセンブリ1402”内にLED1455をしっかりと取り付けて位置を定めることができる。適当なねじおよびワッシャ構成要素1456〜1461をさらに使用して、LED照射アセンブリ1402”を固定して取り付けることができる。様々な実施形態では、LED1455は、4,500ルーメンの光学出力および70,000時間の長い寿命を有する明白色のLEDであるPhlatLight White LED CM−360 Series、ならびに/またはLuxeonによって作製される適したLEDとすることができる。レンズ1462は、MG 9P6mmでOD(外径)12mmのレンズとすることができる。結像レンズ構成要素1463、アダプタ1464、スタック結像レンズ構成要素、および保持リング1467を使用して、調整可能な視野絞り構成要素1465に対してレンズ1462を位置決めして取り付けることができる。調整可能な視野絞り構成要素1465は、Thor Labsによるリング作動式の光彩絞り、部品番号SM1D12Dとすることができる。スタック結像レンズ1466は、Thor LabsによるP3LGスタック結像レンズとすることができる。結像レンズ1463は、Thor LabsによるP50DまたはP5LG結像レンズとすることができる。他のワッシャ1468およびねじ構成要素1469を適宜使用して、LED照射アセンブリ1402”の要素をさらに固定して取り付けることができる。
【0115】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、本明細書に記載するシステムの様々な実施形態によるデジタル病理学の適用分野向けの高速スライド走査のためのデバイスおよび技法が提供される。一実施形態では、病理学顕微鏡向けのスライドホルダは、(i)ディスク形のトレーと、(ii)トレー内に形成された複数の凹部とを含むことができ、各凹部は、スライドを受け取るように適合され、これらの凹部は、トレー内で円周方向に配置される。トレーは、中心のスピンドル孔および2つのロック孔を含むことができ、ロック孔は、トレーに対して垂直な軸の周りを高速で回転するように適合された駆動部を持ち上げるように適合される。これらの凹部は、トレー内で別個の角度位置に付けた凹部とすることができる。これらの凹部は、スライドに接触するがスライドを過度に抑制しない半円形の凸部を有することができ、それによって実質上歪みのないスライドを可能にする。凹部はまた、切抜きを有することができ、それによって指で保持すると、操作者は凹部からスライドを抜差しすることができる。様々な実施形態では、撮像システムに関して本明細書に別途論じる特徴および技法に関連して、スライドホルダおよびその動作を使用することができる。
【0116】
図32は、デジタル病理学撮像に関連して使用できる本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイス1500を示す概略図である。スライドホルダ1510がトレー1512を含むことができ、凹部1514a、b..nが、トレー1512上の円周または環状のリング1515の角度位置に配置され、凹部1514a〜nはそれぞれ、スライド1501を保持するように寸法設定することができる。トレー1512は、円形のディスクとして示し、所望の数のスライドを保持するように製造することができる。たとえば、16枚のスライドを保持するために、トレー1512は直径約33.02cm(13インチ)とすることができる。スライドの他の構成ならびにトレーの寸法および形状の他の構成は、本明細書に記載するシステムに関連して適宜使用でき、凹部1514a〜nの向きおよび構成を適宜修正できることに留意されたい。凹部1514a内にスライド1501を配置するなど、トレー1512の各凹部1514a〜n内にスライドを配置することができ、トレー1512は、高速スライド走査デバイス1500内へ配置することができる。トレー1512は、中心のスピンドル孔1516cと、2つのロック孔1516aおよび1516bとを含むことができ、ロック孔1516aおよび1516bは、スライドホルダ1510を回転方向1519に軸1518の周りを高速で回転させる駆動部と係合することができる。トレー1512は、1502で代表として示す低プロファイルの引出し内へ配置することができ、この引出しは、トレー1512をデバイス1500内へ後退させることができる。
【0117】
図33は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による高速スライド走査デバイスのトレー上の凹部1520をより詳細に示す概略図である。凹部1520は、凹部1514a〜nのいずれかとすることができる。凹部1520は、スライド1501に接触するがスライド1501を過度に抑制しない3つの凸部1522a〜cなどの複数の半円形の凸部を含むことができ、それによって実質上歪みのないスライド1501を可能にする。切抜き1523によって、指で保持すると、操作者は凹部1520からスライド1501を抜差しすることができる。軸1518の周りを回転するときにスライドホルダ1510/トレー1512によって生成される、矢印1521によって概略的に示す向心加速度は、撮像が行われている間に、スライド1501にわずかな保持力を印加して、スライド1501を定位置に維持することができる。保持力は、半円形の凸部1522a〜cに対してスライド1501を位置合わせするために、100rpmより速い速度でトレー1512を回転させることによって、最初少なくとも0.1gになるように設計することができる。スライド1501が位置合わせされた後、回転速度は、本明細書に別途論じるもののようなシステムの撮像速度と一貫して低減させることができる。より低い速度では、わずかな保持力でも、凸部1522a〜cに対してスライド1501を安定させるはずである。
【0118】
図32を再び参照すると、本明細書に別途詳細に論じるもののような顕微鏡撮像システム1530は、円周リング1515のうちスライドが配置された領域を撮像するように、回転式のトレー1512の上に配置することができる。撮像システム1530は、大きな作業距離を有する高NA、たとえば0.75NAの顕微鏡対物レンズ1532と、中間レンズ1534と、CCDまたはCMOSの2Dアレイ画像センサ1536とを含むことができ、画像センサ1536は、スライド1501上の物体を画像センサ1536へ拡大するように、適当な距離に配置される。画像センサ1536は、100フレーム/秒より大きいものなどの速いフレーム速度を有することができる。たとえば、画像センサ1536は、100フレーム/秒で動作するDalsa Falcon 1.4M100カメラの一部または均等物とすることができる。撮像システム1530は、直流モータもしくはステッパモータ、玉もしくは親ねじ、および/または直線ガイドなどの構成要素から構築できる2軸電動式の駆動部に堅く取り付けることができる。一方の軸、放射軸1531aは、撮像システム1530またはその少なくとも1つの構成要素を、10ミクロンの分解能でわずかな移動、たとえば1mmのステップによって放射状に移動させ、その下で回転するトレー1512上の1つまたは複数のリングを撮像することができる。他方の軸、焦点軸1531bは、0.1ミクロンの分解能で、5〜10ミクロンのわずかな移動で移動する。焦点軸は、高速で移動を実行するように、たとえば数ミリ秒でわずかな移動を実行するように構築することができる。顕微鏡対物レンズ1534の移動は、制御システムによって制御することができ、本明細書に別途論じるもののような動的集束技法に関連して使用することができる。
【0119】
回転式のトレー1502の下に、照射システム1540を配置することができ、本明細書に別途論じる照射構成要素と同様に、高明度の白色LEDなどの光源1542と、鏡1544などの1つまたは複数の光路構成要素と、集光器1546とを含むことができる。一実施形態では、顕微鏡の集光器および撮像経路はともに接続され、剛性体として移動することができ、したがって照射システム1540の移動方向1541は、撮像システム1530の放射方向1531aと同じ方向である。焦点方向1531bでは、撮像経路は、集光器経路から切り離すことができ、したがって撮像システム1530の1つまたは複数の構成要素は、高速の焦点移動を実行するために、焦点方向1531bに独立した移動を含むことができる。
【0120】
図34は、凹部1520内のスライド1501上の試験片1501’を撮像するためにスライド1501に対して第1の放射方向の位置から開始する撮像経路を示す概略図である。スライド1501を有する凹部1520は、スライドホルダ1510とともに回転方向1524に回転する。本明細書に別途論じる画像捕獲技法に従って、フレーム(たとえば、フレーム1525)に対して画像を捕獲することができる。図示のように、画像は、トレー1512が撮像システム1530の下を回転すると、スライドホルダ1510上の各スライドに対して1つのフレーム行(たとえば、フレーム1525)にわたって捕獲される。トレー1512の1回の回転後、撮像システム1530の放射方向の位置は、各スライドに対して別のフレーム行にわたって画像を捕獲するように増分される。各フレームは、下の情景を一時的に止めて高速で獲得される。明視野照射は、そのような短い露出を可能にするのに十分な放射とすることができる。これらの露出は、数10秒から数百マイクロ秒の時間枠で行うことができる。このプロセスは、スライドホルダ1510内の各スライドに対する当該領域全体が撮像されるまで継続される。この実施形態に関連して、収集された画像を当該領域のモザイク画像にする処理は、トレー1512上で回転される複数のスライド間の複数のフレーム行を正確に相関させるのに適した組織機構および/または画像タグ付けを必要とする。画像タイルの収集の弧状の運動は、知られているステッチソフトウェアによって対処でき、病理学者が標準的な顕微鏡下で見ながら理解するはずの図に変形できるため、捕獲された画像を正しいスライドに相関させるように画像にタグ付けするのに適した撮像処理技法を使用することができる。
【0121】
一例として、6rpmで回転する直径33.53cm(13.2インチ)のディスク形のトレーでは、NA=0.75の20倍の顕微鏡対物レンズは、約1平方mmの視野を生成する。この弧状の視野は、約10ミリ秒で横断される。15平方mmの有効面積内の組織断面の場合、視野間の重複を25%とすると、放射軸に沿って20個の視野を増分する必要があるはずである。フレーム転送が、取得時間を制限しないように十分なほど短かった場合、ディスク上の16枚のスライドを撮像するには、20回転で十分なはずである。これは、200秒間にわたって6rpmで、または12.5秒ごとに1枚のスライドという処理量で行われるはずである。
【0122】
図35Aおよび35Bは、本明細書に記載するシステムの別の実施形態による回転式スライドホルダ上のスライドの代替構成を示す概略図である。図35Aは、トレー1512’を示し、凹部1514’は、スライド1501の長い方の寸法が、方向1519’に回転するディスク形状のトレー1512’の半径に沿って向けられるように構成される。この構成では、より多くのスライド(たとえば、30枚のスライド)を、トレー1512’上に収めることができる。図35Bは、上述のように構成された凹部1520’内のスライド1501に対する撮像経路の概略図である。図示の実施形態では、スライド1501は、方向1521’に示す向心力および凸部1522a’〜c’に従って、凹部1520’内に維持される。試験片1501’に対するフレーム1525’に対する画像を収集するための画像処理が実行される回転の方向1524’を示す。撮像システム1530の放射方向の位置は、各スライドに対して連続するフレーム行にわたって画像を捕獲するように、スライドの長さ方向の刻みで増分される。一例では、15mm×15mmの有効面積の場合、視野間の重複を25%とすると、放射軸に沿って20個の視野を増分する必要があるはずである。この場合も、6rpmの20回転で、200秒にわたって完全な撮像を提供するはずであるが、スライドの向きを考えると、より効率的な走査、したがって処理量は、6.67秒ごとに1枚のスライドまで増大するはずである。
【0123】
図36は、スライド1551上の試験片1551’を検査するように配置された対物レンズ1552を含む、本明細書に記載するシステムの一実施形態による撮像システム1550を示す概略図である。一実施形態では、焦点位置は、画像取得前のディスクのより低速の事前の回転によって事前に決定することができる。1枚のスライド当たり多くても20秒を自動焦点に充てることで、総走査時間は1枚のスライド当たり30秒になるはずであり、これは、現在の現況技術のシステムより1桁速い。スライド1551が配置されたトレー1560が方向1561に回転すると、対物レンズ1552は、本明細書に記載するシステムによって判定された最善の焦点に位置決めされるように、方向1562にわずかに移動することができる。別個の自動焦点値は、各視野1553に対して設定する必要はないが、スライドの反りまたは組織厚さの空間周波数がより大きいため、スライド1551上の別個のより大きい区間1554、たとえば3×3の視野またはサブフレームに該当するはずである。自動焦点値は、スライドが弧状の経路内でカメラの下を移動する間に、最善の焦点を適用して補間されるはずである。
【0124】
別法として、本明細書に提供する高速走査システムに関連して、本明細書に別途記載する実行中の集束技法などの動的集束技法を用いることができることが有利である。焦点(たとえば、1秒当たり120個の焦点)を獲得する時間により、上記で論じた高速回転走査技法とともに、実行中の集束を使用できることに留意されたい。回転式のディスクを10,000分の1の速度まで制御して、ディスクの回転フィードバックに依拠することなく各画像の開ループ標本化を可能にすることは、十分に制御システムの分野内であることにさらに留意されたい。
【0125】
通常、スライドの低分解能のサムネイル画像が生成される。これは、ここで記載した高分解能の顕微鏡に干渉しないように、ディスクの角度位置上に低分解能のカメラを設定することによって実現することができる。極めて大量の適用分野では、ディスクの形式はロボットによる取扱いに向いている。300mm(約12”)のディスクを取り扱う半導体ウェーハのロボットを使用して、バッファストックから高速走査デバイスへディスクを移動させることができる。さらに、大部分の技術では、ステップおよび反復運動で、直線ステージを通じて顕微鏡対物レンズの下にスライドを位置決めする。これらの運動は、画像取得時間を左右する。回転運動を使用する本明細書に記載するシステムは、効率的であり、かつ繰返し精度が非常に高い。自動焦点および画像取得時間は、現在の現況技術の製品より1桁小さい。
【0126】
大部分のシステムはまた、ステージの停止および再開運動中にスライドを定位置に保持するのに、締付け機構またはばねの固定具を必要とする。本明細書に記載するシステムは、回転運動が向心加速度をもたらし、ディスク内に切り抜いた凹部内の所定の位置へスライドを押し入れるという点で、固定機構を必要としない。これにより、スライドホルダの構造はより簡単になり、かつ信頼性がより高くなる。さらに、スライドの固定は、スライドに反りまたは歪みをもたらし、自動焦点プロセスを複雑にすることがあり、本明細書に記載するシステムによって回避することが有利である。
【0127】
現在のシステムでは、1枚のスライド当たり15mmの有効面積に対して、ピーク速度は2〜3分である。本明細書に提供するシステムおよび方法では、上記で概説した例の場合、同じ有効面積を30秒未満で走査することができる。多くの病理学研究室は、1日当たり100枚から200枚のスライドを走査することを目指している。これらの高速の画像取得により、操作者は、ディスクの積み降ろし、バーコードの読取り、事前の集束という追加のステップを含めて、日常的なスライドの在庫に1時間で対処することができる。これにより、結果を得る時間がより速くなり、研究室の経済性を高めることができる。
【0128】
図37は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による回転可能なトレーを使用する高速スライド走査を示す流れ図1600である。ステップ1602で、回転可能なトレーの凹部内へスライドが配置される。ステップ1602後、処理はステップ1604へ進み、回転可能なトレーは、走査および撮像システムに対するスライド走査位置内へ移動される。ステップ1604後、処理はステップ1606へ進み、回転可能なトレーの回転が開始される。上記で論じたように、回転可能なトレーの回転により、スライドに向心力が作用して、スライドを所望の撮像位置に維持する。ステップ1606後、処理はステップ1608へ進み、撮像システムは、回転可能なトレーの円周リング上の各スライドに対して1つのフレーム行にわたって、動的集束技法を含む本明細書に記載するシステムおよび技法に従って画像を捕獲する。ステップ1608後、処理は試験ステップ1610へ進み、回転可能なトレー上の各スライド上の所望の当該領域が走査および撮像されたかどうかが判定される。そうでない場合、処理はステップ1612へ進み、撮像システムおよび/またはその特定の構成要素は、回転可能なトレーの放射方向に1つ刻みで移動される。ステップ1612後、処理はステップ1608へ戻る。試験ステップ1610で、各スライド上の当該領域が走査および撮像されたと判定された場合、処理はステップ1614へ進み、各スライドに対して撮像された当該領域に対応する1つまたは複数のモザイク画像が作成される。ステップ1614後、処理は完了する。
【0129】
さらに本明細書に記載するシステムによれば、本明細書に記載する撮像システムの特徴に関連して、光学複像デバイスおよび技法を提供および使用することができる。一実施形態では、本明細書に記載するシステムは、20倍で0.75NAのPlan Apo対物レンズによって生成される分解能要素を標本化することができる。この分解能要素は、500nmの波長で約0.5ミクロンである。この分解能要素のさらなる標本化を取得するには、撮像センサの前の結像レンズを変えることができる。この対物レンズ(f_tube lens=画像センサの前の結像レンズの焦点距離)を考えると、結像レンズの焦点距離を算出する近似計算は、
pix_sensor=CCDまたはCMOS画像センサ上の画素寸法
pix_object=物体または組織上の画素寸法
f_tube lens=pix_object/pix_sensor*9mmである。
【0130】
Dalsa Falcon 4M30/60(7.4ミクロンのセンサ画素)の場合に0.25ミクロンの物体での画素寸法を取得するには、結像レンズの焦点距離は約266mmになるはずである。物体での画素寸法が0.125ミクロンである場合、結像レンズの焦点距離は約532mmになるはずである。これらの2つの物体画素寸法間を切り換えることができることが望ましく、これは、撮像センサの前を往復する1つのステージに2つ以上の結像レンズを取り付けることによって実現することができる。新しい各焦点距離に関連する経路長さが異なることを考えると、固定の画像センサ位置に対する経路を折り畳むために、折畳み式の鏡を追加することも必要である。
【0131】
図38は、本明細書に記載するシステムの一実施形態による光学複像システム1700を示す概略図である。光学複像システム1700は、本明細書に別途記載するように、カメラ1711の画像センサ1710と、顕微鏡対物レンズ1720とを含むことができる。実行中の集束システムなどの本明細書に論じるシステムおよび技法に関連する他の構成要素はまた、図示の光学複像システム1700とともに使用できることに留意されたい。2つ以上の物体画素寸法を実現するには、本明細書に記載するシステムに関連して、複数の結像レンズ、たとえば第1の結像レンズ1740および第2の結像レンズ1750を提供することができる。ステージ1730は、撮像センサの前で第1の結像レンズ1740および第2の結像レンズ1750をそれぞれ往復させることができる。一実施形態では、ステージ1730は、方向1731に移動する直線作動式のステージとすることができるが、本明細書に記載するシステムに関連して、他のタイプのステージおよびその移動も使用できることに留意されたい。第2の結像レンズ1750に対して、第2の結像レンズ1750から画像センサ1710への光路を調整するために、1つまたは複数の折畳み式の鏡を含むことができる鏡アセンブリ1752を示す。
【0132】
図39Aおよび39Bは、本明細書に記載するシステムの一実施形態による画像センサ1710の前での第1の結像レンズ1740および第2の結像レンズ1750の往復を示す光学複像システム1700の概略図である。図39Aは、ステージ1730上で画像センサ1710の前に位置決めされた第1の結像レンズ1740に対する光路1741を示す。図39Bは、ステージ1730を介して画像センサ1710の前を往復した後の第2の結像レンズ1750に対する光路1751を示す。図示のように、光路1751は、鏡アセンブリ1752の1つまたは複数の鏡を使用して増大された。どちらの図でも、光学複像システム1700は、本明細書に別途詳細に論じるもののような他の適当な構造および光学的な構成要素1760を含むことができることに留意されたい。
【0133】
本明細書に論じる様々な実施形態は、本明細書に記載するシステムに関連して適当な組合せで互いに組み合わせることができる。追加として、場合によっては、フローチャート、流れ図、および/または記載の流れ処理内のステップの順序は、適宜修正することができる。さらに、本明細書に記載するシステムの様々な態様は、記載の特徴を有し、記載の機能を実行する、ソフトウェア、ハードウェア、ソフトウェアとハードウェアの組合せ、および/または他のコンピュータ実施モジュールもしくはデバイスを使用して実施することができる。本明細書に記載するシステムのソフトウェア実装形態は、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され、1つまたは複数の処理装置によって実行される実行可能なコードを含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータハードドライブ、ROM、RAM、フラッシュメモリ、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュドライブ、および/もしくはたとえばユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを有する他のドライブなどの携帯型のコンピュータ記憶媒体、ならびに/または処理装置によって実行可能なコードを記憶および実行できる任意の他の適当な有形の記憶媒体もしくはコンピュータメモリを含むことができる。本明細書に記載するシステムは、任意の適当な動作システムに関連して使用することができる。
【0134】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮し、または本明細書に開示する本発明を実施すれば、当業者には明らかであろう。本明細書および例は、例示的なのみを目的とし、本発明の本当の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲に示されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片の焦点の合った画像を取得するデバイスであって、
前記試験片を検査するように配置された対物レンズと、
前記対物レンズに結合され、前記対物レンズの移動を制御する低速集束ステージと、
ディザレンズを含み、前記ディザレンズを移動させるディザ焦点ステージと、
前記ディザレンズを介して伝送される光に従って焦点情報を提供する焦点センサと、
前記焦点情報を使用して測定基準を判定し、前記測定基準に従って前記対物レンズの第1の焦点位置を判定し、前記対物レンズを前記第1の焦点位置へ移動させるための位置情報を前記低速集束ステージへ送る少なくとも1つの電気構成要素と、
前記対物レンズが前記第1の焦点位置内へ移動された後に、前記試験片の画像を捕獲する画像センサとを備えるデバイス。
【請求項2】
XY移動ステージをさらに備え、前記XY移動ステージ上に前記試験片が配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素が、前記XY移動ステージの移動を制御する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記XY移動ステージの前記移動が、前記ディザレンズの運動に位相ロックされる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ディザ焦点ステージが、前記ディザレンズを並進運動で移動させる音声コイル作動式の屈曲アセンブリを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ディザレンズが、少なくとも60Hzの共振周波数で移動され、前記少なくとも1つの電気構成要素が、前記焦点情報を使用して、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算を実行する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記焦点センサおよび前記ディザ焦点ステージが、双方向に動作するように設定され、前記焦点センサが、前記共振周波数の前記ディザレンズの前記運動の正弦波形の上下部分両方に関する前記焦点情報を生成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記測定基準が、コントラスト情報、鮮明度情報、および色度情報の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記焦点情報が、前記試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
XY移動ステージをさらに備え、前記XY移動ステージ上に前記試験片が配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素が、前記XY移動ステージの移動を制御し、前記XY移動ステージの速度を判定する際に、前記複数の区間の少なくとも一部分からの前記情報が使用される、
請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記焦点センサの視野が、前記画像センサの視野に対して傾いている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
試験片の焦点の合った画像を取得する方法であって、
前記試験片を検査するように配置された対物レンズの移動を制御するステップと、
ディザレンズの運動を制御するステップと、
前記ディザレンズを介して伝送される光に従って焦点情報を提供するステップと、
前記焦点情報を使用して測定基準を判定し、前記測定基準に従って前記対物レンズの第1の焦点位置を判定するステップと、
前記対物レンズを前記第1の焦点位置内へ移動させるために使用される位置情報を送るステップとを含む方法。
【請求項12】
前記第1の焦点位置が、最善の焦点位置として判定され、前記方法が、
前記対物レンズが前記最善の焦点位置へ移動された後に、前記試験片の画像を捕獲するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記試験片が配置されたXY移動ステージの移動を制御するステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ディザレンズが、少なくとも60Hzの共振周波数で移動され、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算が実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記測定基準が、鮮明度情報、コントラスト情報、および色度情報の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記焦点情報が、前記試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記試験片が配置されたXY移動ステージの移動を制御するステップをさらに含み、前記XY移動ステージの速度を判定する際に、前記複数の区間の少なくとも一部分からの前記情報が使用される、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記XY移動ステージの前記移動が、前記試験片の前後の並進走査を提供するように制御される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
試験片の画像を取得する方法であって、
公称焦点面を確立するステップと、
関連するxおよびy座標を有する開始位置で前記試験片を位置決めするステップと、
前記試験片を越える単一の横断で、第1の処理を実行するステップとを含み、前記第1の処理が、
ディザレンズを使用して、複数の点のそれぞれに対して焦点位置を判定するステップと、
前記焦点位置に従って、前記複数の点のそれぞれに対してフレームを獲得するステップとを含む、方法。
【請求項20】
請求項11から19のいずれか一項に従って試験片の焦点の合った画像を取得するために記憶されたコードを備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
顕微鏡ステージのためのデバイスであって、
移動ステージブロックと、
前記移動ステージブロックを案内する底ブロックとを備え、前記底ブロックが、
実質上平坦な第1のブロックと、
三角形の形状を有する第2のブロックとを含み、前記第1のブロックおよび前記第2のブロックが、前記移動ステージブロックを並進方向に案内する、デバイス。
【請求項22】
前記第1のブロックおよび前記第2のブロックが、底板上の高くなった突起上で支持される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1のブロックおよび前記第2のブロックが、ガラスから作製される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記移動ステージブロック上に配置され、前記第1のブロックおよび前記第2のブロックに接触する複数のボタン要素をさらに備え、前記ボタン要素によって、前記並進方向にのみ前記移動ステージブロックの運動が可能になる、
請求項21に記載のデバイス。
【請求項25】
前記ボタン要素が球面形状であり、熱可塑性物質から作製される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記複数のボタン要素の少なくとも2つが、前記第2のブロックの前記三角形の形状の両側で互いに面するように構成され、前記複数のボタン要素の少なくとも1つのボタンが、その平坦な面で前記第1のブロックに接触する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記移動ステージブロック上の前記複数のボタン要素の位置が、三角形を形成する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
前記複数のボタン要素がそれぞれ、ステージの運動中に等しい重量を保持する、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記移動ステージブロックが、前記複数のボタン要素の前記位置によって形成された前記三角形の質量中心に重心を有するような形状である、請求項27に記載のデバイス。
【請求項30】
片持ち梁アームアセンブリと、
前記片持ち梁アセンブリに堅く結合された第1の端部、および前記移動ステージブロック上の質量中心位置に結合された第2の端部を有する屈曲要素と
をさらに備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項31】
前記片持ち梁アームアセンブリが、レール上の再循環式の軸受設計を介して動作する軸受ブロックに結合された片持ち梁アームを含む、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
前記レール上で前記軸受ブロックを駆動させると、前記屈曲要素が前記移動ステージブロックに力を印加する、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記屈曲要素の曲げ剛性が、前記片持ち梁アームアセンブリの上下運動から前記移動ステージブロックを分離する、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記底ブロックが、前記移動ステージブロックの前記並進方向に対して垂直な方向に別の移動ステージを形成する、請求項21に記載のデバイス。
【請求項35】
150ナノメートル程度の運動の繰返し精度が提供される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項36】
スライドキャッシングのためのデバイスであって、
ラックと、
バッファと、
前記ラックと前記バッファの間で第1のスライドを移動させるスライドハンドラと、
前記第2のスライドの走査に関連して第2のスライドを移動させるXYステージとを備え、前記第1のスライドに対応する前記スライドハンドラの少なくとも1つの機能が、前記第2のスライドに対応する前記XYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される、デバイス。
【請求項37】
前記スライドハンドラが、前記ラック、前記バッファ、および前記XYステージの間で前記第1のスライドおよび前記第2のスライドを移動させる、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記スライドハンドラが、少なくとも3自由度で移動する、請求項36に記載のデバイス。
【請求項39】
前記XYステージが、前記バッファから前記XYステージへスライドを移動させるスライドピックアップヘッドを含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項40】
前記第1のスライドおよび前記第2のスライドを撮像する撮像デバイス
をさらに備える、請求項36に記載のデバイス。
【請求項41】
前記撮像デバイスが、集束システムおよびカメラを含む、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記集束システムが動的集束システムを含む、請求項40に記載のデバイス。
【請求項43】
前記XYステージの前記少なくとも1つの機能と並行して実行される前記スライドハンドラの前記少なくとも1つの機能が、少なくとも10%の時間利得を提供する、請求項36に記載のデバイス。
【請求項44】
前記スライドハンドラが、機械的ピックアップデバイスおよび真空ピックアップデバイスの少なくとも1つを含むスライドピックアップヘッドを含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項45】
前記バッファが、複数のスライドを受け入れる複数のバッファ位置を含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項46】
前記バッファの少なくとも1つのバッファ位置が、スライドのサムネイル画像を捕獲するために使用される位置である、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記ラックが、少なくとも1つの主トレーおよび迂回トレーを含み、前記少なくとも1つの主トレー内に何らかのスライドが配置される前に、前記迂回トレー内に配置されたスライドが処理される、請求項36に記載のデバイス。
【請求項48】
スライドキャッシングのための方法であって、
ラックおよびバッファを提供するステップと、
前記ラックと前記バッファの間で第1のスライドを移動させるステップと、
第2のスライドを、前記第2のスライドの走査に関連して前記バッファ内または前記バッファ外へ移動させるステップとを含み、前記ラックと前記バッファの間の前記第1のスライドの移動が、前記第2のスライドの前記走査と並行して実行される、方法。
【請求項49】
前記第2のスライドの前記走査が、集束動作および画像捕獲動作を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のスライドの前記走査と並行して第1のスライドを移動させることで、少なくとも10%の時間利得を提供する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第2のスライドの前記走査が、動的集束動作を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記バッファが、カメラバッファ位置および戻りバッファ位置の少なくとも1つを含む複数のバッファ位置を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のスライドおよび前記第2のスライドの少なくとも1つが前記カメラバッファ位置にあるとき、前記第1のスライドおよび前記第2のスライドの少なくとも1つのサムネイル画像を捕獲するステップ
をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
スライドキャッシングのためのデバイスであって、
第1のラックと、
第2のラックと、
第1のスライドを、前記第1のスライドの走査に関連して前記第1のラック内または前記第1のラック外へ移動させる第1のXYステージと、
第2のスライドを、前記第2のスライドの走査に関連して前記第2のラック内または前記第2のラック外へ移動させる第2のXYステージとを備え、前記第1のスライドに対応する前記第1のXYステージの少なくとも1つの機能が、前記第2のスライドに対応する前記第2のXYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される、デバイス。
【請求項55】
前記第1のラックおよび前記第2のラックが、単一のラックの一部を形成する、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記第1のスライドおよび前記第2のスライドを撮像する撮像デバイス
をさらに備える、請求項54に記載のデバイス。
【請求項57】
前記第1のXYステージと前記第2のXYステージがそれぞれ、スライドピックアップヘッドを含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項58】
スライド走査のためのデバイスであって、
回転可能なトレーと、
前記回転可能なトレー内に配置された少なくとも1つの凹部とを備え、前記少なくとも1つの凹部が、スライドを受け取るように寸法設定され、前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの回転の結果、走査位置で前記スライドを安定させる、デバイス。
【請求項59】
前記少なくとも1つの凹部が、前記スライドを安定させる複数の凸部を含む、請求項58に記載のデバイス。
【請求項60】
前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含む、請求項58に記載のデバイス。
【請求項61】
撮像システムをさらに備え、前記撮像システムの少なくとも1つの構成要素が、前記回転可能なトレーの放射方向に移動する、
請求項58に記載のデバイス。
【請求項62】
前記撮像システムの前記少なくとも1つの構成要素が、前記回転可能なトレーの1回転に対応して前記放射方向に漸進的に移動する、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記長さが、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項58に記載のデバイス。
【請求項64】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記幅が、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項58に記載のデバイス。
【請求項65】
スライドを走査する方法であって、
回転可能なトレーの少なくとも1つの凹部内に前記スライドを配置するステップと、
前記回転可能なトレーを回転させるステップとを含み、前記少なくとも1つの凹部が、スライドを受け取るように寸法設定され、前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの回転の結果、走査位置で前記スライドを安定させる、方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの凹部が、前記スライドを安定させる複数の凸部を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
撮像システムを提供するステップと、
前記回転可能なトレーの放射方向に前記撮像システムの少なくとも1つの構成要素を移動させるステップと
をさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記撮像システムの前記少なくとも1つの構成要素が、前記回転可能なトレーの1回転に対応して前記放射方向に漸進的に移動される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記長さが、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記幅が、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項65に記載の方法。
【請求項1】
試験片の焦点の合った画像を取得するデバイスであって、
前記試験片を検査するように配置された対物レンズと、
前記対物レンズに結合され、前記対物レンズの移動を制御する低速集束ステージと、
ディザレンズを含み、前記ディザレンズを移動させるディザ焦点ステージと、
前記ディザレンズを介して伝送される光に従って焦点情報を提供する焦点センサと、
前記焦点情報を使用して測定基準を判定し、前記測定基準に従って前記対物レンズの第1の焦点位置を判定し、前記対物レンズを前記第1の焦点位置へ移動させるための位置情報を前記低速集束ステージへ送る少なくとも1つの電気構成要素と、
前記対物レンズが前記第1の焦点位置内へ移動された後に、前記試験片の画像を捕獲する画像センサとを備えるデバイス。
【請求項2】
XY移動ステージをさらに備え、前記XY移動ステージ上に前記試験片が配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素が、前記XY移動ステージの移動を制御する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記XY移動ステージの前記移動が、前記ディザレンズの運動に位相ロックされる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ディザ焦点ステージが、前記ディザレンズを並進運動で移動させる音声コイル作動式の屈曲アセンブリを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ディザレンズが、少なくとも60Hzの共振周波数で移動され、前記少なくとも1つの電気構成要素が、前記焦点情報を使用して、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算を実行する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記焦点センサおよび前記ディザ焦点ステージが、双方向に動作するように設定され、前記焦点センサが、前記共振周波数の前記ディザレンズの前記運動の正弦波形の上下部分両方に関する前記焦点情報を生成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記測定基準が、コントラスト情報、鮮明度情報、および色度情報の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記焦点情報が、前記試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
XY移動ステージをさらに備え、前記XY移動ステージ上に前記試験片が配置され、前記少なくとも1つの電気構成要素が、前記XY移動ステージの移動を制御し、前記XY移動ステージの速度を判定する際に、前記複数の区間の少なくとも一部分からの前記情報が使用される、
請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記焦点センサの視野が、前記画像センサの視野に対して傾いている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
試験片の焦点の合った画像を取得する方法であって、
前記試験片を検査するように配置された対物レンズの移動を制御するステップと、
ディザレンズの運動を制御するステップと、
前記ディザレンズを介して伝送される光に従って焦点情報を提供するステップと、
前記焦点情報を使用して測定基準を判定し、前記測定基準に従って前記対物レンズの第1の焦点位置を判定するステップと、
前記対物レンズを前記第1の焦点位置内へ移動させるために使用される位置情報を送るステップとを含む方法。
【請求項12】
前記第1の焦点位置が、最善の焦点位置として判定され、前記方法が、
前記対物レンズが前記最善の焦点位置へ移動された後に、前記試験片の画像を捕獲するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記試験片が配置されたXY移動ステージの移動を制御するステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ディザレンズが、少なくとも60Hzの共振周波数で移動され、1秒当たり少なくとも60回の焦点計算が実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記測定基準が、鮮明度情報、コントラスト情報、および色度情報の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記焦点情報が、前記試験片の焦点走査中に使用される焦点窓の複数の区間に対する情報を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記試験片が配置されたXY移動ステージの移動を制御するステップをさらに含み、前記XY移動ステージの速度を判定する際に、前記複数の区間の少なくとも一部分からの前記情報が使用される、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記XY移動ステージの前記移動が、前記試験片の前後の並進走査を提供するように制御される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
試験片の画像を取得する方法であって、
公称焦点面を確立するステップと、
関連するxおよびy座標を有する開始位置で前記試験片を位置決めするステップと、
前記試験片を越える単一の横断で、第1の処理を実行するステップとを含み、前記第1の処理が、
ディザレンズを使用して、複数の点のそれぞれに対して焦点位置を判定するステップと、
前記焦点位置に従って、前記複数の点のそれぞれに対してフレームを獲得するステップとを含む、方法。
【請求項20】
請求項11から19のいずれか一項に従って試験片の焦点の合った画像を取得するために記憶されたコードを備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
顕微鏡ステージのためのデバイスであって、
移動ステージブロックと、
前記移動ステージブロックを案内する底ブロックとを備え、前記底ブロックが、
実質上平坦な第1のブロックと、
三角形の形状を有する第2のブロックとを含み、前記第1のブロックおよび前記第2のブロックが、前記移動ステージブロックを並進方向に案内する、デバイス。
【請求項22】
前記第1のブロックおよび前記第2のブロックが、底板上の高くなった突起上で支持される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1のブロックおよび前記第2のブロックが、ガラスから作製される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記移動ステージブロック上に配置され、前記第1のブロックおよび前記第2のブロックに接触する複数のボタン要素をさらに備え、前記ボタン要素によって、前記並進方向にのみ前記移動ステージブロックの運動が可能になる、
請求項21に記載のデバイス。
【請求項25】
前記ボタン要素が球面形状であり、熱可塑性物質から作製される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記複数のボタン要素の少なくとも2つが、前記第2のブロックの前記三角形の形状の両側で互いに面するように構成され、前記複数のボタン要素の少なくとも1つのボタンが、その平坦な面で前記第1のブロックに接触する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記移動ステージブロック上の前記複数のボタン要素の位置が、三角形を形成する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
前記複数のボタン要素がそれぞれ、ステージの運動中に等しい重量を保持する、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記移動ステージブロックが、前記複数のボタン要素の前記位置によって形成された前記三角形の質量中心に重心を有するような形状である、請求項27に記載のデバイス。
【請求項30】
片持ち梁アームアセンブリと、
前記片持ち梁アセンブリに堅く結合された第1の端部、および前記移動ステージブロック上の質量中心位置に結合された第2の端部を有する屈曲要素と
をさらに備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項31】
前記片持ち梁アームアセンブリが、レール上の再循環式の軸受設計を介して動作する軸受ブロックに結合された片持ち梁アームを含む、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
前記レール上で前記軸受ブロックを駆動させると、前記屈曲要素が前記移動ステージブロックに力を印加する、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記屈曲要素の曲げ剛性が、前記片持ち梁アームアセンブリの上下運動から前記移動ステージブロックを分離する、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記底ブロックが、前記移動ステージブロックの前記並進方向に対して垂直な方向に別の移動ステージを形成する、請求項21に記載のデバイス。
【請求項35】
150ナノメートル程度の運動の繰返し精度が提供される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項36】
スライドキャッシングのためのデバイスであって、
ラックと、
バッファと、
前記ラックと前記バッファの間で第1のスライドを移動させるスライドハンドラと、
前記第2のスライドの走査に関連して第2のスライドを移動させるXYステージとを備え、前記第1のスライドに対応する前記スライドハンドラの少なくとも1つの機能が、前記第2のスライドに対応する前記XYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される、デバイス。
【請求項37】
前記スライドハンドラが、前記ラック、前記バッファ、および前記XYステージの間で前記第1のスライドおよび前記第2のスライドを移動させる、請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記スライドハンドラが、少なくとも3自由度で移動する、請求項36に記載のデバイス。
【請求項39】
前記XYステージが、前記バッファから前記XYステージへスライドを移動させるスライドピックアップヘッドを含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項40】
前記第1のスライドおよび前記第2のスライドを撮像する撮像デバイス
をさらに備える、請求項36に記載のデバイス。
【請求項41】
前記撮像デバイスが、集束システムおよびカメラを含む、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記集束システムが動的集束システムを含む、請求項40に記載のデバイス。
【請求項43】
前記XYステージの前記少なくとも1つの機能と並行して実行される前記スライドハンドラの前記少なくとも1つの機能が、少なくとも10%の時間利得を提供する、請求項36に記載のデバイス。
【請求項44】
前記スライドハンドラが、機械的ピックアップデバイスおよび真空ピックアップデバイスの少なくとも1つを含むスライドピックアップヘッドを含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項45】
前記バッファが、複数のスライドを受け入れる複数のバッファ位置を含む、請求項36に記載のデバイス。
【請求項46】
前記バッファの少なくとも1つのバッファ位置が、スライドのサムネイル画像を捕獲するために使用される位置である、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記ラックが、少なくとも1つの主トレーおよび迂回トレーを含み、前記少なくとも1つの主トレー内に何らかのスライドが配置される前に、前記迂回トレー内に配置されたスライドが処理される、請求項36に記載のデバイス。
【請求項48】
スライドキャッシングのための方法であって、
ラックおよびバッファを提供するステップと、
前記ラックと前記バッファの間で第1のスライドを移動させるステップと、
第2のスライドを、前記第2のスライドの走査に関連して前記バッファ内または前記バッファ外へ移動させるステップとを含み、前記ラックと前記バッファの間の前記第1のスライドの移動が、前記第2のスライドの前記走査と並行して実行される、方法。
【請求項49】
前記第2のスライドの前記走査が、集束動作および画像捕獲動作を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のスライドの前記走査と並行して第1のスライドを移動させることで、少なくとも10%の時間利得を提供する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第2のスライドの前記走査が、動的集束動作を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記バッファが、カメラバッファ位置および戻りバッファ位置の少なくとも1つを含む複数のバッファ位置を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のスライドおよび前記第2のスライドの少なくとも1つが前記カメラバッファ位置にあるとき、前記第1のスライドおよび前記第2のスライドの少なくとも1つのサムネイル画像を捕獲するステップ
をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
スライドキャッシングのためのデバイスであって、
第1のラックと、
第2のラックと、
第1のスライドを、前記第1のスライドの走査に関連して前記第1のラック内または前記第1のラック外へ移動させる第1のXYステージと、
第2のスライドを、前記第2のスライドの走査に関連して前記第2のラック内または前記第2のラック外へ移動させる第2のXYステージとを備え、前記第1のスライドに対応する前記第1のXYステージの少なくとも1つの機能が、前記第2のスライドに対応する前記第2のXYステージの少なくとも1つの機能と並行して実行される、デバイス。
【請求項55】
前記第1のラックおよび前記第2のラックが、単一のラックの一部を形成する、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記第1のスライドおよび前記第2のスライドを撮像する撮像デバイス
をさらに備える、請求項54に記載のデバイス。
【請求項57】
前記第1のXYステージと前記第2のXYステージがそれぞれ、スライドピックアップヘッドを含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項58】
スライド走査のためのデバイスであって、
回転可能なトレーと、
前記回転可能なトレー内に配置された少なくとも1つの凹部とを備え、前記少なくとも1つの凹部が、スライドを受け取るように寸法設定され、前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの回転の結果、走査位置で前記スライドを安定させる、デバイス。
【請求項59】
前記少なくとも1つの凹部が、前記スライドを安定させる複数の凸部を含む、請求項58に記載のデバイス。
【請求項60】
前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含む、請求項58に記載のデバイス。
【請求項61】
撮像システムをさらに備え、前記撮像システムの少なくとも1つの構成要素が、前記回転可能なトレーの放射方向に移動する、
請求項58に記載のデバイス。
【請求項62】
前記撮像システムの前記少なくとも1つの構成要素が、前記回転可能なトレーの1回転に対応して前記放射方向に漸進的に移動する、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記長さが、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項58に記載のデバイス。
【請求項64】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記幅が、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項58に記載のデバイス。
【請求項65】
スライドを走査する方法であって、
回転可能なトレーの少なくとも1つの凹部内に前記スライドを配置するステップと、
前記回転可能なトレーを回転させるステップとを含み、前記少なくとも1つの凹部が、スライドを受け取るように寸法設定され、前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの回転の結果、走査位置で前記スライドを安定させる、方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの凹部が、前記スライドを安定させる複数の凸部を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの凹部が、前記回転可能なトレーの円周リング上に配置された複数の凹部を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
撮像システムを提供するステップと、
前記回転可能なトレーの放射方向に前記撮像システムの少なくとも1つの構成要素を移動させるステップと
をさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記撮像システムの前記少なくとも1つの構成要素が、前記回転可能なトレーの1回転に対応して前記放射方向に漸進的に移動される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記長さが、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの凹部が、長さが幅より大きいスライドを受け取るように寸法設定され、前記スライドの前記幅が、前記回転可能なトレーの放射方向に向けられる、請求項65に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図28F】
【図28G】
【図28H】
【図28I】
【図28J】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図21】
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【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
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【図34】
【図35A】
【図35B】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公表番号】特表2013−508746(P2013−508746A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534178(P2012−534178)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/002772
【国際公開番号】WO2011/049608
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507179346)ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/002772
【国際公開番号】WO2011/049608
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507179346)ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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