撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法
【課題】HDR画像データの輝度の階調範囲を圧縮する処理において発生する時間ロスを低減するのに好適な撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法を提供する。
【解決手段】撮像制御装置20を、HDR信号処理部30と、フレームメモリ40とを含む構成とし、HDR信号処理部30において、超短露光時間T1及び短露光時間T2で撮像して得られた画素データS1及びS2を、標準露光時間T3で撮像して得られた画素データS3よりも先行して取得し、画素データS2の取得タイミングを開始タイミングとして、画素データS1及びS2から、その照明光成分を分離した輝度画像データPを生成し、この輝度画像データPからトーンマッピング用のゲインを生成する。一方、画素データS3の取得タイミングを開始タイミングとして画素データS1〜S3からHDR画像データを生成し、この画像データに対して前記ゲインを乗算することでトーンマッピングを施す。
【解決手段】撮像制御装置20を、HDR信号処理部30と、フレームメモリ40とを含む構成とし、HDR信号処理部30において、超短露光時間T1及び短露光時間T2で撮像して得られた画素データS1及びS2を、標準露光時間T3で撮像して得られた画素データS3よりも先行して取得し、画素データS2の取得タイミングを開始タイミングとして、画素データS1及びS2から、その照明光成分を分離した輝度画像データPを生成し、この輝度画像データPからトーンマッピング用のゲインを生成する。一方、画素データS3の取得タイミングを開始タイミングとして画素データS1〜S3からHDR画像データを生成し、この画像データに対して前記ゲインを乗算することでトーンマッピングを施す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特に、画像データのダイナミックレンジを圧縮するのにかかる時間を低減するのに好適な撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長さの異なる複数の露光時間で撮像して得られた画像データを合成して、ダイナミックレンジを拡大した画像データ(HDR画像データ)を生成する技術がある。しかし、HDR画像データは、例えば、20ビットなどの非常に広いレンジを有するため、そのままのレンジでは、例えば、8ビットなどの比較的狭いレンジを有する、既存の多くの表示装置において表示できない。そのため、HDR画像データのダイナミックレンジを、既存の表示装置のレンジに合わせて変換する必要があった。
【0003】
HDR画像データのダイナミックレンジを変換する技術としては、例えば、特許文献1に記載の高ダイナミックレンジ(HDR)画像を低ダイナミックレンジ(LDR)画像に変換する方法がある。
一般に、HDR画像を高コントラストでLDR画像に変換する技術は、トーンマッピング、ダイナミックレンジ圧縮技術などと呼ばれている。これらは、暗部(シャドウ)から明部(ハイライト)まで良好な色再現性を維持したままレンジ圧縮を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−284534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1を含む従来技術において、トーンマッピングは計算機上で実現される。HDR(High Dynamic Range)画像データを得るためには、デジタルカメラ等によって、長さの異なる複数の露光時間で撮像した複数の画像データが必要である。または、感度の異なる複数の撮像部(画素群)を有するデジタルカメラ等で撮像した複数の画像デーが必要である。そして、従来は、これら複数の画像データを全て取得してから計算機においてHDR画像データの生成、及びトーンマッピング等の画像処理を順に行っていた。
【0006】
また、トーンマッピングに用いる、HDR画像データから照明光成分を分離(抽出)して得られる「ぼかし」画像データを得るために、HDR画像データに対してローパスフィルタ(LPF)を用いたフィルタ処理が必要となる。このフィルタ処理は、計算機のリソースを多量に必要にすると共に、処理時間も大きい。従って、ぼかし画像の生成における時間ロスが大きくなり、実時間でHDR画像データをLDR画像データに変換して動画像を作成するような場合に、その実現が困難となっている。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、画像データの輝度の階調範囲(ダイナミックレンジ)を圧縮する処理において発生する時間ロスを低減するのに好適な撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の撮像制御装置は、
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備える。
【0008】
このような構成であれば、画像データ取得手段によって、撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で撮像して得られた複数の画像データのうち1つが取得される。更に、合成画像データ取得手段によって、前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データ(例えば、HDR画像データ)が取得される。これら画像データが取得されると、ゲイン分布生成手段によって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布が生成される。ゲイン分布が生成されると、階調変換手段によって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲が、当該階調範囲より狭い範囲に変換される。
【0009】
例えば、ゲイン分布生成手段において、第1の合成画像データの各画素に対応する輝度成分のうち、反射率成分を保持した状態で照明光成分を圧縮するゲイン分布を生成する。そして、階調変換手段において、この生成したゲイン分布を用いて、第1の合成画像データに対して階調変換(トーンマッピング)を施す。
以上より、第1の合成画像データの生成に係る複数の画像データのうち少なくとも1に基づき、ゲイン分布を生成することができるので、全てのダイナミックレンジにおいて階調性を維持し、且つ色再現性の良い階調変換を施すことができるという効果が得られる。
【0010】
また、例えば、前記複数の画像データのうち、より先に撮像素子から出力される画像データを、ゲイン分布の生成に用いるようにすることで、第1の合成画像データを生成する手段が第1の合成画像データを生成する前に、ゲイン分布生成手段でゲイン分布の生成処理を開始することができる。
これによって、第1の合成画像データの生成が終了する時間と、ゲイン分布の生成が終了する時間との遅延差を低減することができるという効果が得られる。
ここで、上記合成画像データ取得手段は、撮像制御装置の内部に第1の合成画像データを生成する機能部がある場合は、その機能部から第1の合成画像データを取得し、撮像素子などの外部装置が第1の合成画像データを生成する機能を有する場合は、外部装置から第1の合成画像データを取得する。
【0011】
〔形態2〕 更に、形態2の撮像制御装置は、形態1の撮像制御装置において、
前記撮像素子は、各画素から蓄積電荷を維持したまま前記蓄積電荷に応じた画素信号を読み出す非破壊読み出し方式で画素信号を読み出すことが可能であり、露光時間の短い順に前記長さの異なる複数の露光時間で前記各画素を露光すると共に、露光した各画素から前記非破壊読み出し方式で前記画素信号を読み出し、読み出した順番に前記画素信号のデータを出力する。
【0012】
このような構成であれば、撮像素子において、各画素から非破壊方式で画素信号を読み出すことができるので、最長の露光時間に対応する画素信号を読み出すまでの間に、より短い露光時間から順に各露光時間に対応する画素信号の読み出しを行うことができる。
従って、第1の合成画像データの生成に用いる前記2以上の画像データの取得時間を低減することができる。更に、より短い露光時間に対応した画像データを、ゲイン分布の生成に用いるようにすることで、該短い露光時間の画像データを取得してから第1の合成画像データが生成されるまでの時間(ゲイン分布を生成する時間)をより長く確保することができる。
【0013】
これによって、第1の合成画像データの生成が終了する時間と、ゲイン分布の生成が終了する時間との遅延差を、より低減することができるという効果が得られる。
特に、車載カメラやマシンビジョンなどのように実時間性が要求されるアプリケーションにおいて、実時間に近いタイミングで出力装置の階調に合わせて階調変換された合成画像(映像)の取得を行うのに有効である。
【0014】
〔形態3〕 更に、形態3の撮像制御装置は、形態1又は形態2の撮像制御装置において、
前記撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して前記第1の合成画像データを生成する合成画像データ生成手段を備える。
このような構成であれば、長さの異なる複数の露光時間で撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを取得し、取得した画像データを合成して第1の合成画像データ生成することができる。
また、この構成の場合に、合成画像データ取得手段は、合成画像データ生成手段で生成した第1の合成画像データを取得する。
【0015】
〔形態4〕 更に、形態4の撮像制御装置は、形態3の撮像制御装置において、
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いられる前記少なくとも2以上の画像データのうち、最長の露光時間の画像データよりも短い露光時間の画像データを、少なくとも、前記合成画像データ生成手段が前記最長の露光時間の画像データを取得するよりも先行して取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記先行して取得した短い露光時間の画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成する。
【0016】
このような構成であれば、ゲイン分布生成手段が、撮像素子から最長の露光時間よりも短い露光時間の画像データを取得してから、合成画像データ生成手段が、撮像素子から最長の露光時間の画像データを取得するまでの間をゲイン分布の生成に用いることができる。
これにより、撮像素子が、最長の露光時間の画像データを出力するまでの時間を有効に活用することができる。従って、第1の合成画像データの階調範囲が変換されるまでにかかる時間をより低減することができるという効果が得られる。
【0017】
〔形態5〕 一方、上記目的を達成するために、形態5の撮像制御装置は、
感度の異なる複数の画素群を有する撮像素子において前記複数の画素群で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備える。
【0018】
このような構成であれば、画像データ取得手段によって、撮像素子において感度の異なる複数の画素郡で撮像して得られた複数の画像データのうち少なくとも1の画像データが取得される。更に、合成画像データ取得手段によって、前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データ(例えば、HDR画像データ)が取得される。これら画像データが取得されると、ゲイン分布生成手段によって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布が生成される。ゲイン分布が生成されると、階調変換手段によって、ゲイン分布に基づき、第1の合成画像データの輝度の階調範囲が、当該階調範囲より狭い範囲に変換される。
【0019】
ここで、人間の目に入る光は物体の反射率と照明光の積で決まり、人の目の知覚は反射率と強い相関を持つ。このことから、例えば、ゲイン分布生成手段において、第1の合成画像データの各画素に対応する輝度成分のうち、反射率成分を保持した状態で照明光成分を圧縮するゲイン分布を生成する。そして、階調変換手段において、この生成したゲイン分布を用いて、第1の合成画像データに対して階調変換(トーンマッピング)を施す。
以上より、第1の合成画像データの生成に係る複数の画像データのうち少なくとも1に基づき、ゲイン分布を生成することができるので、全てのダイナミックレンジにおいて階調性を維持し、且つ色再現性の良い階調変換を施すことができるという効果が得られる。
【0020】
また、例えば、前記複数の画像データのうち、より先に撮像素子から出力される画像データを、ゲイン分布の生成に用いるようにすることで、第1の合成画像データを生成する手段が第1の合成画像データを生成する前に、ゲイン分布生成手段でゲイン分布の生成処理を開始することができる。
これによって、第1の合成画像データの生成が終了する時間と、ゲイン分布の生成が終了する時間との遅延差を低減することができるという効果が得られる。
【0021】
〔形態6〕 更に、形態6の撮像制御装置は、形態5の撮像制御装置において、
前記撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して前記第1の合成画像データを生成する合成画像データ生成手段を備える。
このような構成であれば、感度の異なる複数の画素郡で撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを取得し、取得した画像データを合成して第1の合成画像データ生成することができる。
【0022】
〔形態7〕 更に、形態7の撮像制御装置は、形態1乃至6のいずれか1の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データを構成する複数の画素データの各々に対して前記ゲインを算出して前記ゲイン分布を生成する。
このような構成であれば、画像データ取得手段で取得した画像データに基づき、第1の合成画像データの輝度の階調範囲を圧縮するためのゲインが、処理対象の画像データの複数の画素データの各々に対して算出される。
これによって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮を、精度良く行うことができるという効果が得られる。
【0023】
〔形態8〕 更に、形態8の撮像制御装置は、形態1乃至7のいずれか1の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成する。
このような構成であれば、画像データ取得手段で取得した画像データに対してフィルタ処理を施すことによって、取得した画像データの画像の照明光成分を簡易に得ることができるという効果が得られる。
具体的に、反射率成分を保持して照明光成分を圧縮するゲイン係数の分布を生成するために、照明光成分を通過させて反射率成分を遮断又は低減させる性能を有したフィルタを用いてフィルタ処理を行うことが望ましい。
【0024】
〔形態9〕 更に、形態9の撮像制御装置は、形態1乃至7のいずれか1の撮像制御装置において、
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いる3以上の画像データのうちから2以上の画像データを取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した2以上の画像データを合成して第2の合成画像データを生成し、生成した第2の合成画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成する。
【0025】
このような構成であれば、画像データ取得手段で取得した、第1の合成画像データの生成に用いる3以上の画像データのうちの2以上の画像データを合成して第2の合成画像データを生成し、該生成した第2の合成画像データに基づき、ゲイン分布を生成することができる。
これによって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲を圧縮するのに、より適切なゲイン分布を生成することができ、より高画質な階調圧縮画像を得ることができるという効果が得られる。
【0026】
〔形態10〕 更に、形態10の撮像制御装置は、形態8又は9の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、前記フィルタ処理を、処理対象の画像データにおける照明光成分を通過させて反射率成分の通過を阻止する特性のローパスフィルタを用いて行う。
ここで、照明光成分は、反射率成分と比較して低周波数である。
従って、上記構成であれば、画像データ取得手段で取得した画像データに対して照明光成分を通過させて反射率成分の通過を阻止する特性のローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことができる。
これによって、画像データから、照明光成分を簡易に分離することができるという効果が得られる。
【0027】
〔形態11〕 更に、形態11の撮像制御装置は、形態8乃至10のいずれか1の撮像制御装置において、
前記第1の合成画像データにおける各画素データの示す値をYとし、前記輝度画像データにおける各画素データの示す値をPとし、前記Yに対応するゲインをK(P)とすると、前記階調変換手段で階調変換後の画素データの示す値Y’は、下式(1)で算出されることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
Y’=K(P)×Y (1)
このような構成であれば、画像データ取得手段で画像データが取得され、取得した画像データに基づきゲイン分布生成手段でゲイン分布が生成される。そして、合成画像データ取得手段で第1の合成画像データが取得されると、上式(1)に従って、第1の合成画像データの各画素データに対して、照明光成分の圧縮された階調変換後の輝度値が算出される。
【0028】
〔形態12〕 更に、形態12の撮像制御装置は、形態11の撮像制御装置において、
指数部iを1以下の正の実数とし、前記輝度画像データの各画素データの示す輝度値を0〜1の範囲で正規化した値をPLとして、前記ゲインK(P)は、下式(2)で算出されることを特徴とする請求項11に記載の撮像制御装置。
K(P)=1/PLi (2)
このような構成であれば、画像データ取得手段で画像データが取得され、取得した画像データに基づきゲイン分布生成手段で輝度画像データが生成される。そして、輝度画像データの各画素データの示す輝度値から、上式(2)に従って、第1の合成画像データの各画素に対応するゲインK(P)が算出される。
【0029】
〔形態13〕 更に、形態13の撮像制御装置は、形態11又は12の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、所定の輝度値に対する前記ゲインK(P)のデータが登録されたルックアップテーブルを有し、前記輝度画像データの複数の画素データの各々に対して、前記ルックアップテーブルから対応するゲインKを取得することで前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の撮像制御装置。
このような構成であれば、輝度画像データが生成されることで、該輝度画像データの複数の画素データの各々の輝度値に対応するゲインK(Y)を、ルックアップテーブルから取得することができる。これによって、簡易且つ高速にゲイン分布を生成することができるという効果が得られる。
【0030】
〔形態14〕 更に、形態14の撮像制御装置は、形態1乃至13のいずれか1の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データを構成する複数の画素データの各々の示す輝度値を所定数の画素郡毎に合成して画像データのサイズを縮小化し、該縮小化した画像データに基づき、前記ゲイン分布として前記画素群毎のゲインの分布を生成する。
【0031】
このような構成であれば、ゲイン分布生成手段において、画像データ取得手段で取得した画像データを構成する複数の画素データの各々の示す輝度値が、所定数の画素郡毎に合成(例えば、平均化)され、画像データのサイズが縮小化される。更に、ゲイン分布生成手段において、縮小化された画像データに基づきゲイン分布が生成される。
これによって、画像データのサイズを縮小化(リサイズ)することができるので、後段の処理(例えば、輝度画像データを生成するためのフィルタ処理)を簡易化することができる。
従って、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に係る処理を、より高速に行うことができるという効果が得られる。
【0032】
〔形態15〕 更に、形態15の撮像制御装置は、形態10乃至14のいずれか1の撮像制御装置において、
前記撮像素子は、赤色、緑色及び青色で構成される原色もしくはその補色のカラーフィルターを有する。
このような形態であれば、例えば、前記ローパスフィルタを通過した前記輝度画像データPは、画像の局所領域においては、その領域を構成する画素の輝度画像データPがほぼ同じ値なので前記ゲインKもほぼ同じ値となる。そのため、撮像素子を構成する赤色、緑色、青色の画素のゲインが、局所的にみれば同じ値となることから、赤色、緑色、青色のバランスが崩れない。よって、色再現性が優れている、という特徴を有する。
【0033】
〔形態16〕 更に、形態16の撮像制御装置は、形態14の撮像制御装置において、
前記撮像素子は、赤色、緑色及び青色の各画素に対応するフィルター部が赤、緑、緑、青の組み合わせでベイヤ配列されたカラーフィルター、もしくはその補色のカラーフィルターを有し、
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データのうち前記カラーフィルターで区分される各4画素の画素データを合成して画像データのサイズを1/4に縮小化し、該縮小化した画像データに基づき、前記ゲイン分布として前記区分された4画素毎のゲインの分布を生成する。
【0034】
このような構成であれば、ゲイン分布生成手段において、画像データ取得手段で取得した画像データのサイズを、カラーフィルターアレイ13で区分された4画素ごとに適切な色成分で合成して画像のサイズを1/4にリサイズすることができる。そして、リサイズされた画像データに基づき各4画素の領域毎のゲインの分布となるゲイン分布を生成することができる。
これによって、画像のサイズを縮小化(リサイズ)することができるので、後段の処理を簡易化することができ、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に係る処理を、より高速に行うことができるという効果が得られる。
【0035】
〔形態17〕 更に、形態16の撮像制御装置は、形態1乃至15のいずれか1の撮像制御装置において、
前記階調変換手段は、前記ゲイン分布を用いた階調変換後の前記第1の合成画像データの輝度のヒストグラムがブロード化されるように前記ゲイン分布の内容を補正し、当該補正したゲイン分布を用いて前記第1の合成画像データの階調範囲を変換し、変換後の前記第1の合成画像データにガンマ変換を施す。
【0036】
このような構成であれば、第1の合成画像データのヒストグラムがブロード化されるように階調範囲を変換してから、変換後の第1の合成画像データに対してガンマ変換を施すことができる。
これによって、ヒストグラムをブロード化してから、トーンカーブによってガンマ変換が施されるので、階調性を維持することが可能となり、且つレンジ圧縮したことと同じ結果を得ることができる。
【0037】
特に、上式(2)において、輝度値Yの範囲を0〜1とすると、輝度値が0に近い小さい値のときには、ゲインが大きくなり、輝度値が1に近い大きい値のときには、ゲインが1に極めて近い値となる。これによって、1枚の画像の中で、入力が暗い領域はゲインによって持ち上げられて明るくなり、入力が明るい領域はそのまま維持される。つまり、このようにして生成されたゲイン分布を第1の合成画像データに適用することで、適用後のヒストグラムをブロード化することができる。
【0038】
〔形態18〕 更に、形態18の撮像制御装置は、形態17の撮像制御装置において、
前記第1の合成画像データの画像を出力する出力装置の出力可能な階調範囲に係る情報を、前記出力装置から取得する階調情報取得手段と、
前記出力可能な階調範囲に対応する複数種類のトーンカーブの情報を記憶するトーンカーブ情報記憶手段と、を備え、
前記階調変換手段は、前記トーンカーブ情報記憶手段に記憶された、前記階調情報取得手段で取得した情報に対応する種類のトーンカーブの情報を用いて、前記ブロード化した第1の合成画像データに対して、ガンマ変換を施す。
【0039】
このような構成であれば、階調情報取得手段によって、第1の合成画像データの画像を出力する出力装置から、該出力装置の出力可能な階調範囲に係る情報が取得される。そして、階調変換手段において、補正後のゲイン分布を用いてヒストグラムがブロード化された第1の合成画像データに対して、前記取得した情報に対応する種類のトーンカーブの情報を用いたガンマ変換が施される。
【0040】
これによって、撮像制御装置に接続された出力装置の画像の出力性能に応じた階調変換を施すことができるので、出力装置の性能に柔軟に対応できるシステムを容易に構築することができるという効果が得られる。
ここで、上記階調範囲に係る情報とは、表示可能な階調範囲の情報そのもの、階調範囲を算出できる情報などの他、階調変換手段側で出力装置の機種に対応する表示可能な階調範囲のデータテーブルを用意できれば、出力装置の機種情報なども含む情報となる。
【0041】
〔形態19〕 また、上記目的を達成するために、形態19の撮像装置は、
長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して、前記複数の露光時間に対応する複数の画像データを出力する撮像素子と、
形態1乃至4のいずれか1に記載の撮像制御装置と、を備える。
このような構成であれば、上記形態1〜4の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0042】
〔形態20〕 また、上記目的を達成するために、形態20の撮像装置は、
感度の異なる複数の画素群を有し、前記複数の画素群で被写体を撮像して前記複数の画素群に対応する複数の画像データを出力する撮像素子と、
形態5又は6の撮像制御装置と、を備える。
このような構成であれば、上記形態5又は6の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0043】
〔形態21〕 また、上記目的を達成するために、形態21の撮像制御方法は、
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップで取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成ステップと、
前記ゲイン分布生成ステップで生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得ステップで取得した前記第1の合成画像データの階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換ステップと、を含む。
このような構成であれば、上記形態1の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0044】
〔形態22〕 また、上記目的を達成するために、形態22の撮像制御方法は、
感度の異なる複数の画素群を有する撮像素子において前記複数の画素群で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップで取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成ステップと、
前記ゲイン分布生成ステップで生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得ステップで取得した前記第1の合成画像データの階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換ステップと、を含む。
このような構成であれば、上記形態5の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る撮像システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】カラーフィルタアレイ13の構成を示す図である。
【図3】HDRセンサ14のセンサセルアレイにおける各画素のライン毎の露光及び画素信号の読み出し動作の一例を示す図である。
【図4】蓄積電荷のリセットタイミングと、各露光時間の画素信号の読み出しタイミングとの一例を示す図である。
【図5】第1実施形態の撮像制御装置20の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】輝度画像生成部32の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】本線系処理部33の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】HDRセンサ14からの画素データの出力形式の一例を示す図である。
【図9】各フレームにおける画素データの出力タイミングの一例を示す図である。
【図10】(a)は、HDR画像データのヒストグラムの一例を示す図であり、(b)は、トーンマップ処理によってブロード化されたヒストグラムの一例を示す図である。
【図11】第2実施形態の撮像制御装置50の詳細な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。図1〜図10は、本発明に係る撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法の第1実施形態を示す図である。
まず、本発明に係る撮像システムの構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る撮像システム1の構成を示すブロック図である。
撮像システム1は、図1に示すように、撮像装置2と、表示装置3とを含んで構成される。
撮像装置2は、撮像素子10と、撮像制御装置20とを含んで構成され、撮像制御装置20は、HDR信号処理部30と、フレームメモリ40とを含んで構成される。
【0047】
撮像素子10は、レンズ11と、マイクロレンズ12と、カラーフィルタアレイ13と、HDRセンサ14とを含んで構成される。
レンズ11は、被写体からの反射光を集光して、マイクロレンズ12へと導くものである。なお、撮像条件などに応じて、単焦点レンズ、ズームレンズ、オートアイリスレンズなどの種類がある。
マイクロレンズ12は、レンズ11を透過した光をHDRセンサ14の有するセンサセルアレイの各センサセル(画素)に集光するものである。
【0048】
カラーフィルタアレイ13は、マイクロレンズ12を透過した光から所定の1種類の色要素に対応する波長の光を分離して該分離した光を対応する各画素に入射するカラーフィルター部(以下、CF部と称す)を少なくとも画素数分含んで構成されるものである。
HDRセンサ14は、各センサセル(画素)がフォトダイオード及びCMOS素子から構成されるセンサセルアレイを有し、電子シャッタ方式によって露光時間を制御して露光時間の異なる複数種類の画像データを出力するものである。
【0049】
HDR信号処理部30は、撮像素子10から出力される、露光時間の異なる複数種類の撮像画像データに基づき、ノイズ除去処理、輝度画像データ生成処理、ゲイン分布生成処理、トーンマッピング処理、合成処理、色処理、ガンマ変換処理等を行うものである。なお、詳細な構成は後述する。
フレームメモリ40は、HDR信号処理部30において、ノイズ除去処理後の撮像画像データ、輝度画像データ生成処理によって生成された輝度画像データなどの各種画像データを記憶するメモリである。
表示装置3は、HDR信号処理部30で生成された、HDRカラー画像データ(R_HDR画像データ、G_HDR画像データ、B_HDR画像データ)に基づき、撮像画像を表示する装置である。
【0050】
次に、図2に基づき、カラーフィルタアレイ13の構成を説明する。
ここで、図2は、カラーフィルタアレイ13の構成を示す図である。
図2において、R、G、Bは、光の3原色(赤色、緑色、青色)のいずれか1色の波長領域の光を選択的に透過するCF部に対応し、これらに付された下付の数字は、行番号及び列番号を示す。例えば、R00であれば、行番号1の第1列目の画素に対応するRの波長領域の光を透過するフィルタ部となる。なお、本実施形態においては、水平方向を行方向とし、垂直方向を列方向として、撮像装置2は、水平方向に並ぶ複数の画素から構成されるラインの単位で処理を行うようになっている。
【0051】
具体的に、CFアレイ13は、マイクロレンズ12を介して入射された光から、赤色に対応する波長領域の光(以下、R光と称す)、緑色に対応する波長領域の光(以下、G光と称す)及び青色に対応する波長領域の光(以下、B光と称す)のうち所定の1色に対応する波長領域の光を分離して、該分離した光をそれぞれ対応する画素に入射する複数のCF部から構成されている。
【0052】
より具体的に、CFアレイ13は、図2に示すように、入射光からR光を分離して、該分離したR光を画素に入射する複数のR光透過フィルタ部(図2中のR)と入射光からG光を分離して、該分離したG光を画素に入射する複数のG光透過フィルタ部(図2中のG)とがR→G→R→G→R→G→・・・の順で水平方向に連続した構成のフィルタラインRGFLを複数備えている。
【0053】
更に、複数のG光透過フィルタ部と、入射光からB光を分離して、該分離したB光を画素に入射する複数のB光透過フィルタ部(図2中のB)とがG→B→G→B→G→B→・・・の順で水平方向に連続した構成のフィルタラインGBFLを複数備えている。これら複数の、フィルタラインRGFLと、フィルタラインGBFLとは、図2に示すように、RGFL→GBFL→RGFL→GBFL→RGFL→・・・の順で垂直方向に連続して配列されている。つまり、複数のG光透過フィルタ部と、複数のB光透過フィルタ部と、複数のR光透過フィルタ部とがベイヤ型に配列された構成となっている。
【0054】
次に、図3及び図4に基づき、撮像素子10のHDRセンサ14の露光時間の制御方法、及びセンサセルアレイからの画素信号の読み出し方法について説明する。ここで、図3は、HDRセンサ14のセンサセルアレイにおける各画素のライン毎の露光及び画素信号の読み出し動作の一例を示す図である。また、図4は、蓄積電荷のリセットタイミングと、各露光時間の画素信号の読み出しタイミングとの一例を示す図である。
【0055】
ここで、本発明の露光時間の制御は、センサセルアレイの露光領域(走査領域)に対して、超短露光時間T1の画素信号の非破壊読み出しを行う非破壊読み出しラインL1と、短露光時間T2の画素信号の非破壊読み出しを行う非破壊読み出しラインL2とを設定する。更に、各画素のラインの蓄積電荷のリセット及び標準露光時間T3の画素信号の読み出しを行う読み出し&リセットラインL3を設定する。なお、T1〜T3の関係は、図4に示すように、「T1<T2<T3」となっており、リセットされてから、まずT1経過時に非破壊読み出しラインL1が設定される。次にT2経過時に非破壊読み出しラインL2が設定され、次にT3経過時に読み出し&リセットラインL3が設定される。
【0056】
具体的に、非破壊読み出しラインL1及びL2並びに読み出し&リセットラインL3は、図3に示すように、露光領域における画素のラインに順次標準露光時間T3分の電荷が蓄積されると、読み出し&リセットラインL3が各画素のラインの画素信号を順次読み出すと共に、その蓄積電荷を順次リセットするように設定される。一方、露光領域のリセット後の各画素のラインにおいては、標準露光時間T3分の電荷が蓄積される期間中、超短露光時間T1及び短露光時間T2において各画素のラインの画素信号を非破壊で順次読み出すように非破壊読み出しラインL1及びL2がそれぞれ設定される。
【0057】
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、リセット直後の超短露光時間T1に対応する画素信号(アナログデータ)S1は、第1ラインメモリに読み出され、短露光時間T2に対応する画素信号(アナログデータ)S2は、第2ラインメモリに読み出される。更に、標準露光時間T3に対応する画素信号(アナログデータ)S3は、第3ラインメモリに読み出される。そして、これら読み出された画素信号S1〜S3は、図3に示すように、それぞれ選択回路を経てADCにS1〜S3の順で順次出力されそこでデジタルデータ(画素データ)に変換される。変換された各画素データは、変換された順に(S1〜S3の順に)ライン単位で撮像制御装置20のHDR信号処理部30に出力される。
【0058】
また、上記非破壊読み出しラインL1及びL2並びに読み出し&リセットラインL3の画素信号の読み出しタイミングの制御は、図3に示すように、各画素のライン毎に、読み出し&リセットラインL3を順次走査する(図3のスキャン方向)。そして、読み出し&リセットラインL3においては、蓄積電荷のリセットを行うとともに、蓄積電荷のリセット直前に標準露光時間T3の露光が行われた画素の画素信号の読み出しを行う。更に、リセット直後に、超短露光時間T1の画素信号の読み出しを行う。
【0059】
例えば、露光領域の一番目のラインである第1ラインにおいて標準露光時間T3の画素信号S3の読み出し及びリセットが行われたとする。以降は、画素信号S3が第3ラインメモリから全て外部に読み出される毎に、図3中のスキャン方向に1ラインずつ、読み出し&リセットラインL3の走査が順次行われる。このとき、読み出し&リセットラインL3が再び第1ラインに到達したときに、丁度標準露光時間T3が経過するタイミングとなるように走査が行われる。このような手順で、センサセルアレイの露光領域の画素のラインに対して、各画素のライン毎に、標準露光時の画素信号の読み出し及び蓄積電荷のリセットを順次行う。
【0060】
一方、蓄積電荷がリセットされると、当該リセット後の画素のラインに対して、非破壊読み出しラインL1において超短露光時間T1の露光が行われた画素の画素信号S1の非破壊読み出しを行い、引き続き、非破壊読み出しラインL2において短露光時間T2の露光が行われた画素の画素信号S2の非破壊読み出しを行う。このような手順で、センサセルアレイの各画素のラインに対して、ライン毎に、超短露光時間T1及び短露光時間T2で露光時の画素信号S1及びS2の非破壊読み出しを順次行う。
【0061】
次に、図5〜図7に基づき、HDR信号処理部30及びフレームメモリ40の構成を説明する。
ここで、図5は、撮像制御装置20の詳細な構成を示すブロック図である。
HDR信号処理部30は、図5に示すように、プリプロセス部31と、輝度画像生成部32と、本線系処理部33と、メモリインターフェース(以下、メモリIFと称す)34とを含んで構成される。
プリプロセス部31は、HDRセンサ14からの画素信号(画素データS1〜S3)に対して、超短露光時間T1の画素データS1を用いた固定パターンノイズの除去処理、クランプ処理などを行う。
【0062】
具体的に、固定パターンノイズの除去処理は、短露光時間T2及び標準露光時間T3の画素データから、超短露光時間T1の画素データを各対応する画素毎に減算する処理となる。つまり、超短露光時間T1の画素データは、リセット直後の画素信号に対応するデータであるため、電荷の蓄積量が少なく、固定パターンノイズの成分に支配されているので、このデータを、他の露光時間のデータから減算することで、固定パターンノイズの成分のみを除去することができる。
【0063】
また、クランプ処理は、HDRセンサ14からの画素データS1〜S3を受信し、それが遮光領域の信号か否かを検出し、遮光領域と検出された場合はその信号レベルが黒(基準)レベルになるように、全ての入力画素データの直流成分をクランプする処理となる。
そして、固定パターンノイズの除去処理及びクランプ処理を経た画素データS1〜S3は、メモリIF34を介して、フレームメモリ40にセンサセルアレイの画素の配列順と対応する順番で格納される。以下、露光時間T1〜T3にそれぞれ対応する撮像画像データ(1フレーム分の画素データ)を、画素データと同様に、撮像画像データS1〜S3と称す。
【0064】
輝度画像生成部32は、フレームメモリ40から、メモリIF34を介して、画素データS1及びS2を読み出し、読み出した画素データS1及びS2から、トーンマッピング処理のための輝度画像データPを生成する。
本線系処理部33は、フレームメモリ40から、メモリIF34を介して、撮像画像データS1〜S3を読み出すと共に、輝度画像データPを読み出して、これら読み出した画像データに基づき、HDR合成処理、トーンマップ処理、色処理、ガンマ変換処理を行う。そして、ガンマ変換後の画像データをLDR画像データとして、表示装置3に出力する。
【0065】
メモリIF34は、フレームメモリ40に対するデータの書き込み及びデータの読み出しを調停する機能を有している。具体的に、プリプロセス部31、輝度画像生成部32及び本線系処理部33からの、データの読出要求及び書込要求に応じて、正常に読み書きが行われるように、これらの調停を行う。そして、各構成部からの要求に応じた、フレームメモリ40からのデータの読み出し、及びフレームメモリ40へのデータの書き込み処理を実行する。
【0066】
次に、図6に基づき、輝度画像生成部32の詳細な構成を説明する。
ここで、図6は、輝度画像生成部32の詳細な構成を示すブロック図である。
輝度画像生成部32は、Line Memory(以下、LMと称す)320A及び320Bと、画素混合部321A及び321Bと、LM322と、HDR合成処理部323と、ぼかし処理部324と、LM325と、LM326とを含んだ構成となっている。
【0067】
LM320Aは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、超短露光時間T1の画素データS1を少なくとも2ライン単位で格納するためのメモリである。
LM320Bは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、短露光時間T2の画素データS2を少なくとも2ライン単位で格納するためのメモリである。
【0068】
画素混合部321Aは、LM320Aに格納された画素データS1における、カラーフィルタアレイ13で区分される2行×2列のR、G、G、BのCF部にそれぞれ対応する4画素の輝度値を混合する処理を行う。4画素の輝度値を混合して1画素の輝度値とした画素データは、1/4のサイズにリサイズされる。以下、リサイズ後の画素データS1を、画素データCS1と称す。
【0069】
画素混合部321Bは、LM320Bに格納された画素データS2における、カラーフィルタアレイ13で区分されるR、G、G、BのCF部にそれぞれ対応する4画素の輝度値を混合する処理を行う。以下、リサイズ後の画素データS2を、画素データCS2と称す。
LM322は、画素混合部321A及び321Bで混合された画素データCS1及びCS2を格納するメモリである。
【0070】
HDR合成処理部323は、画素混合部321Aで混合された画素データCS1と、画素混合部321Bで混合された画素データCS2とに対して、露光時間T1及びT2の比に応じたゲインで正規化処理を行う。更に、正規化したデータに対して、重み付け処理を行い、重み付けされた画素データCS1及びCS2を足し合わせて、輝度画像データ生成用のHDR画素データ(Y_RAW_HDR画素データ)を生成する。なお、Y_RAW_HDR画素データの1フレーム分のデータがY_RAW_HDR画像データとなる。
【0071】
ぼかし処理部324は、HDR合成処理部323で生成されたY_RAW_HDR画素データに対して、ローパスフィルター(以下、LPFと称す)を用いたぼかし処理を行って、輝度画像データPを生成する。このぼかし処理を行う目的は、Y_RAW_HDR画像データから照明光成分を分離し、分離した照明光成分の輝度画像を得るためである。また、輝度画像は、画素毎のゲインを算出することが目的で、画素毎もしくは領域毎にその輝度値が推定できればよいので、本実施形態では、1/4にリサイズした画素データCS1及びCS2から生成する。
【0072】
LM325は、ぼかし処理を行うのに必要な分のY_RAW_HDR画素データを格納するメモリである。例えば、LPFが5×5のサイズであれば、Y_RAW_HDR画素データの5行分のデータが格納される。
LM326は、ぼかし処理を行った後の輝度画像データPを格納するメモリである。輝度画像生成部32は、このメモリがいっぱいになると、格納された輝度画像データPを、メモリIF34を介して、フレームメモリ40に格納する。
【0073】
次に、図7に基づき、本線系処理部33の詳細な構成を説明する。
ここで、図7は、本線系処理部33の詳細な構成を示すブロック図である。
本線系処理部33は、図7に示すように、LM330A〜330Cと、HDR合成処理部331と、LM332と、輝度画像→ゲイン変換器333と、LUT(Lookup table)334と、トーンマップ用乗算器335とを含んだ構成となっている。
【0074】
本線系処理部33は、更に、色処理部336と、LM337と、ガンマ変換部338と、LUT339とを含んだ構成となっている。
LM330Aは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、超短露光時間T1の画素データS1をライン単位で格納するためのメモリである。
LM330Bは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、短露光時間T2の画素データS2をライン単位で格納するためのメモリである。
【0075】
LM330Cは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、標準露光時間T3の画素データS3をライン単位で格納するためのメモリである。
HDR合成処理部331は、LM330A〜330Cに格納された画素データS1〜S3に対して、露光時間T1及びT3、並びにT2及びT3の比率に応じたゲインをそれぞれ求めると共に、求めたゲインによって画素データS1及びS2の正規化を行う。更に、正規化した画素データS1〜S2と、画素データS3とに対して、それぞれ重み付け処理を行う。更に、重み付けされた画素データS1〜S3を合成して、HDR画素データ(HDR_RAW画素データ)を生成する。例えば、画素データS1〜S3がそれぞれ10ビットのデータであるとして、16ビットのHDR画素データを生成する。なお、1フレーム分のHDR画素データが、HDR画像データ(HDR_RAW画像データ)となる。
【0076】
LM332は、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、輝度画像データPを構成する複数の輝度画素データをライン単位で格納するためのメモリである。
輝度画像→ゲイン変換器333は、LM332に格納された輝度画素データの入力に対して、各輝度画素データの示す輝度値に対応したゲインを、LUT334から読み出して、トーンマップ用乗算器335に出力する。
【0077】
LUT334は、予め下式(1)に従って算出された、各輝度値Pに対するゲインK(P)を格納したデータテーブルである。本実施形態では、HDR画像データの輝度のヒストグラムを、ブロード化するゲインK(P)が格納されている。
K(P)=1/PLi (1)
但し、指数部iは、1以下の正の実数であり、PLは正規化された輝度値であり「0〜1」の範囲の値となる。
【0078】
トーンマップ用乗算器335は、HDR合成処理部331で生成されたHDR画像データを構成する各HDR画素データに対して、輝度画像→ゲイン変換器333から出力されるゲインを乗算することでトーンマッピングを行う。つまり、HDR画像データの各画素データの示す値Yと、トーンマッピング後の値Y’との間には、下式(2)の関係が成立する。
Y’=K(P)×Y (2)
【0079】
本実施形態では、1/4のサイズにリサイズされた輝度画像データPに対してゲイン分布を生成するので、輝度画像→ゲイン変換器333では、4画素の領域毎のゲインが生成されることになる。従って、トーンマップ用乗算器335においては、輝度画像→ゲイン変換器333から出力される1つのゲインを、HDR画像データにおけるカラーフィルタアレイ13で区分される4画素毎に対応するHDR画素データに対して乗算する。
【0080】
トーンマップ用乗算器335においてトーンマッピングしたHDR画素データは、色処理部336へと出力される。
色処理部336は、LM337に格納されたHDR画素データ(処理すべき画素のデータ)と、LM337に格納された、処理すべき画素の周辺のHDR画素データとを用いて色補間処理を行う。すなわち、LM337により遅延された、HDR画素データを用いて、画像の各点について、RGB色空間に規定される色信号(データ)を生成する処理(色信号処理)を行う。
【0081】
具体的に、色処理部336は、色補間処理によって、HDR画素データを、画素毎に、RGBの各色要素にそれぞれ対応するカラーHDR画素データに変換する。
これにより、画素毎に、Rの色要素に対応するR_HDR画素データ、Gの色要素に対応するG_HDR画素データ及びBの色要素に対応するB_HDR画素データを有するカラーHDR画素データが生成される。なお、1フレーム分の画素データS1〜S3に対応するカラーHDR画素データからカラーHDR画像データが構成される。
【0082】
LM337は、色処理に必要なトーンマッピング後の画素データをライン単位で格納するメモリである。
ここで、前記LPFを通過した前記輝度画像データPは、画像の局所領域においては、その領域を構成する画素の輝度画像データPがほぼ同じ値なので前記ゲインKもほぼ同じ値となる。そのため、撮像素子を構成する赤色、緑色、青色の画素のゲインが、局所的にみれば同じ値となることから、赤色、緑色、青色のバランスが崩れない。
【0083】
なお、トーンマップ用乗算器335と色処理部336の順番は逆でも良い。すなわち、HDR合成処理後のHDR_RAW画素データに対して色信号処理を施して、R、G、BのカラーHDR画素データを生成後、各々のR、G、Bに対してトーンマップ用の乗算を施す。この場合、乗算処理が3回必要となる。
ガンマ変換部338は、表示装置3の表示可能な階調範囲に対応するトーンカーブの情報が格納されたLUT339から、色処理部336で色処理後の各画素データの示す輝度値に対応した変換値を取得する。つまり、各画素データの示す輝度値を、トーンカーブにおける対応する変換値に置き換えることでガンマ変換を施す。
【0084】
例えば、HDRカラー画素データの階調範囲が20ビットで、表示装置3の表示可能な階調範囲が8ビットである場合は、LUT339に格納された、20ビットの階調範囲の輝度値を8ビットの階調範囲の輝度値に変換するトーンカーブの情報から、各入力輝度値に対応した変換値を取得する。このとき、表示装置3から、その表示可能な階調範囲が解る情報を取得するようにしてもよい。
【0085】
このようにして、トーンマッピングによってヒストグラムがブロード化されたHDRカラー画像データをガンマ変換し、20ビットの階調範囲のHDR画像データを、8ビットの階調範囲のLDRカラー画像データへと変換する。
LUT339は、少なくとも、表示装置3の表示可能な階調範囲に対応するトーンカーブの情報が格納されたデータテーブルである。
【0086】
次に、図8〜図10に基づき、本実施形態の動作を説明する。
ここで、図8は、HDRセンサ14からの画素データの出力形式の一例を示す図である。また、図9は、各フレームにおける画素データの出力タイミングの一例を示す図である。また、図10(a)は、HDR画像データのヒストグラムの一例を示す図であり、(b)は、トーンマップ処理によってブロード化されたヒストグラムの一例を示す図である。
【0087】
被写体の撮像が開始されると、被写体から反射された光は、レンズ11で集光されてマイクロレンズ12に入射される。レンズ11からの入射光は、マイクロレンズ12において平行化されて、カラーフィルタアレイ13の各CF部を介してセンサセルアレイの各画素に入射される。カラーフィルタアレイ13は、RGBの三原色に対応するCF部がベイヤ配列された構成となっているので、R光、G光及びB光のうち各CF部に対応した色要素の光のみが各画素に入射されることになる。
【0088】
一方、撮像が開始されると、開始ラインから順に1ラインずつ読み出し&リセットラインL3が設定されて、走査されたラインの各画素から画素信号S3が読み出され、その後、各画素の蓄積電荷がリセットされる。なお、最初に読み出される画素信号S3は、標準露光時間T3での露光がされていないため後段の各構成部において無視するように処理される。引き続き、各走査ラインに対して、各画素のリセット後において超短露光時間T1の経過タイミングで非破壊読み出しラインL1が設定され、画素信号S1が読み出される。引き続き、各走査ラインに対して、各画素のリセット後において短露光時間T2の経過タイミングで非破壊読み出しラインL2が設定され、画素信号S2が読み出される。そして、再び、開始ラインから順に読み出し&リセットラインL3が設定されて、走査されたラインの各画素から画素信号S3が読み出され、その後、各画素の蓄積電荷がリセットされる。このとき読み出される画素信号S3とその前に読み出された画素信号S1及びS2とが後段の各構成部において処理対象となる。
以降、撮像が行われている間は、上記のL1〜L3の設定、画素信号S1〜S3の読み出し及びリセット処理が繰り返し行われる。
【0089】
このようにして読み出された画素信号S1〜S3は、ライン毎に、第1ラインメモリ〜第3ラインメモリにそれぞれ格納されライン単位で選択回路へと出力される。選択回路からは、S1〜S3の順でアナログの画素データS1〜S3がADCに出力される。ADCは、アナログの画素データS1〜S3を、デジタルの画素データS1〜S3に変換する。そして、ADCからは、図8に示すように、ライン単位でS1〜S3の順に画素データが順次、HDR信号処理部30へと出力される。つまり、HDR信号処理部30には、図9に示すように、画素データS3に先行して、画素データS1〜S2が順に入力される。
【0090】
一方、HDR信号処理部30は、HDRセンサ14からの画素データS1〜S3をS1から順番に受信すると、プリプロセス部31において、受信した順に画素データに対して、固定パターンノイズの除去処理、及びクランプ処理を施す。そして、これらの処理が施された画素データを、メモリIF34を介して、S1〜S3の順にフレームメモリ40に格納する。
【0091】
また、フレームメモリ40に画素データS1〜S2が格納されると、輝度画像生成部32は、格納された画素データS1〜S2を、メモリIF34を介して読み出す。そして、読み出した画素データS1をLM320Aに、画素データS2をLM320Bにそれぞれ格納する。輝度画像生成部32は、LM320A及び320Bに、1ライン分の画素データS1〜S2が格納されると、格納された画素データS1〜S2を、画素混合部321A及び321Bに出力する。画素混合部321A及び321Bは、入力された画素データS1〜S2をLM322に格納する。そして、LM322に、処理対象の2ライン分の画素データS1〜S2が格納されると、画素混合部321Aにおいて、画素データS1の画素混合処理が、画素混合部321Bにおいて、画素データS2の画素混合処理がそれぞれ実行される。具体的に、ベイヤ配列で区分された2行×2列の4つの画素毎に、これらの画素に対応するR、G、G、Bの4つの色要素に対応する画素データを混合する。
【0092】
図2に示す、「R00、G01、G10、B11」の4画素に着目すると、画素データの混合は、例えば、混合後の画素データの示す輝度値をCSとすると、「CS=R00+G01+G10+B11」のように行う。つまり、2つのG光の画素データの示す輝度値と、R光及びB光の画素データの示す輝度値とを足し合わせて、各4画素の領域の代表の輝度値を決定する。
これによって、撮像画像データS1及びS2を構成する画素データS1及びS2は4画素のデータが1画素のデータに変換され、撮像画像が、それぞれ1/4のサイズにリサイズされる。画素混合部321A及び321Bは、画素混合処理後の画素データCS1及びCS2を、HDR合成処理部323に出力する。
【0093】
HDR合成処理部323は、画素データCS1及びCS2が入力されると、まず、画素データCS1を、露光時間T1及びT2の比率に応じたゲインによって正規化する。次に、正規化した画素データCS1と画素データCS2とに対して、重み付け処理を行う。次に、重み付け処理を施した画素データCS1及びCS2を足し合わせることで、輝度画像データ生成用のHDR画素データ(Y_RAW_HDR画素データ)を生成する。
HDR合成処理部323は、生成したY_RAW_HDR画素データを、ぼかし処理部324に出力する。
【0094】
ぼかし処理部324は、HDR合成処理部323から、Y_RAW_HDR画素データが入力されると、これをLM325に格納する。そして、LM325に、処理に必要な分のY_RAW_HDR画素データが格納されると、格納されたY_RAW_HDR画素データを読み出し、読み出したデータに対してLPFを用いたフィルタ処理を行う。このフィルタ処理は、単純な平均化処理でもよいし、各画素データ毎に重み付けをしてもよい。
【0095】
このようにして、Y_RAW_HDR画素データに対して、ぼかし処理が施されると、その画素データに対する輝度画素データが生成される。つまり、反射率成分が低減され、照明光成分を多く含む画素データが生成される。ぼかし処理部324は、生成した輝度画素データをLM326に格納する。輝度画像生成部32は、LM326がいっぱいになった時点で、格納された輝度画素データを、メモリIF34を介して、フレームメモリ40に格納する。なお、画素データS1及びS2の1フレーム分のデータに対する輝度画素データによって輝度画像データPが構成される。
【0096】
一方、本線系処理部33は、フレームメモリ40に輝度画素データが格納されると、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から輝度画素データを読み出して、LM332に格納する。LM332に輝度画素データが格納されると、輝度画像→ゲイン変換器333は、格納された各輝度画素データを順次読み出して、そのデータの示す輝度値に対応したゲインを、LUT334から取得して、取得したゲインをトーンマップ用乗算器335に出力する。
【0097】
また、本線系処理部33は、フレームメモリ40に画素データS3が格納されると、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から、画素データS1〜S3を読み出し、読み出した画素データS1〜S3を、それぞれ対応するLM330A〜330Cに格納する。
HDR合成処理部331は、LM330A〜330Cに画素データS1〜S3が格納されると、まず、露光時間T1及びT3、並びにT2及びT3の比率に応じたゲインG11及びG12をそれぞれ求める。次に、LM330A〜330Cから画素データS1〜S3を読み出し、読み出した画素データS1に対してゲインG11を乗算し、読み出した画素データS2にゲインG12を乗算することで、画素データS1及びS2の正規化を行う。
【0098】
次に、正規化した画素データS1〜S2と、画素データS3とに対して、それぞれ重み付け処理を行う。そして、重み付けされた画素データS1〜S3を合成して、HDR画素データ(HDR_RAW画素データ)を生成する。生成したHDR_RAW画素データは、トーンマップ用乗算器335に出力される。
ここでは、LUT334に、上式(2)において、iを「0.6」に設定した下式(3)によって算出したゲインK(P)を登録していることとする。
K(P)=1/PL0.6 (3)
【0099】
上式(3)において、PLは、HDR_RAW画素データの階調範囲の輝度値を0〜1の範囲に正規化した値である。例えば、HDR_RAW画素データの階調範囲が20ビットであれば、最小値「0」〜最大値「20’hFFFFF(16進数)」の範囲の輝度値Yを「220」で除算することで正規化される。
上式(3)で算出されたゲインK(P)は、PLが1に近い(明るい)ほどその値を保持し、PLが0に近い(暗い)ほどその値を明るく持ち上げる特性を有している。
【0100】
トーンマップ用乗算器335は、HDR合成処理部331から入力されたHDR_RAW画素データの示す輝度値に、輝度画像→ゲイン変換器333から入力されたゲインを乗算して、その乗算結果を色処理部336に出力する。
ここで、トーンマップ用乗算器335において、ゲインを乗算する前のHDR_RAW画像データの輝度のヒストグラムは、図10(a)に示すように、PLが0に近い暗部(図10(a)中の丸で囲った部分)において画素数の多い突出した部分を有している。一方、ゲインを乗算して、トーンマッピングを施した後のHDR_RAW画像データの輝度のヒストグラムは、図10(b)に示すように、暗部が図10(b)中の丸で囲った範囲に渡って広がり、明部は現状が維持されて、全体的にブロード化されたものとなる。
【0101】
色処理部336は、トーンマップ用乗算器335から入力されたHDR_RAW画素データを、LM337に格納し、処理に必要なHDR_RAW画素データがLM337に格納されると、格納されたHDR_RAW画素データを読み出す。
そして、読み出したデータに対して、色補間処理を施し、画素毎に、Rの色要素に対応するR_HDR画素データ、Gの色要素に対応するG_HDR画素データ及びBの色要素に対応するB_HDR画素データを有するカラーHDR画素データを生成する。生成されたカラーHDR画素データは、ガンマ変換部338に出力される。
【0102】
ガンマ変換部338は、色処理部336から、カラーHDR画素データが入力されると、表示装置3の表示可能な階調範囲に対応したトーンカーブの情報が格納されたLUT339から、入力された各画素データの示す輝度値に対応する変換値を読み出す。そして、この読み出した変換値をガンマ変換後の値とすることで、カラーHDR画素データに対して、ガンマ変換を施す。このガンマ変換後の画素データが、カラーLDR画素データとなる。
【0103】
例えば、表示装置3の表示可能な階調範囲が8ビットであるとすると、8ビットのカラーLDR画像データが、ガンマ変換によって生成される。カラーLDR画像データは、RGBビデオ出力信号として、表示装置3に出力される。
なお、上記したように、各フレームの画素信号S1〜S3は、画素データS1→S2→S3の順番でフレームメモリ40に格納される。
【0104】
そして、本線系処理部33においては、上記したように、画素データS1〜S3を全て用いてHDR画像データを生成する処理(本線系処理)が行われる。
従って、本実施形態では、本線系処理の開始タイミングを、図9の本線系VSYNC0〜2に示すように、フレームメモリ40に各フレームの最初の画素データS3(ライン単位)が格納されたタイミングとしている。各フレームにおいては、新たな画素データS3が格納される毎に、順次、パイプライン処理のごとく本線系処理が行われる。
【0105】
また、上記したように、輝度画像生成部32及び本線系処理部33においては、画素データS1〜S2を用いて輝度画像データPを生成し、輝度画像データPからトーンマッピングのためのゲインを求める処理(TM系処理)が行われる。
従って、本実施形態では、TM系処理の開始タイミングを、図9のTM系VSYNC1〜2に示すように、フレームメモリ40に各フレームの最初の画素データS2(ライン単位)が格納されたタイミングとしている。各フレームにおいては、新たな画素データS2が格納される毎に、順次、パイプライン処理のごとくTM系処理が行われる。
【0106】
その結果、各フレームにおける、本線系処理の開始タイミングと、TM系処理の開始タイミングとには、図9に示す時間差が発生する。この時間差において、TM系処理を完了させ、生成した輝度画像データPをフレームメモリ40に格納することができれば、本線系処理と、TM系処理との一方を遅延させることなく合わせることができる。本実施形態では、時間差の間にTM系処理を完了させるようにしている。つまり、タイミングを合わせるための遅延素子を不要とした構成としている。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置2は、輝度画像生成部32において、標準露光時間T3の取得に先立って取得される、超短露光時間T1及び短露光時間T2の画素データS1及びS2を使って輝度画像データPを生成し、それをフレームメモリ40に格納することができる。そして、本線系処理部33が、標準露光時間T3の画素データS3を取得して、画素データS1〜S3からHDR画像データを生成すると、生成したHDR画像データに対して、フレームメモリに格納した輝度画像データPを使って、トーンマッピングを行うことができる。
これによって、HDR画像データを生成する本線系処理と、輝度画像データPを生成するTM系処理とのタイミングを合わせるための遅延素子を不要とすることができる。
【0108】
更に、輝度画像データPの生成に、非破壊読み出しで取得した画素データS1及びS2を用いるようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、色相の維持ができる。
更に、輝度画像データPに基づき、HDR画像データに対して、トーンマップ処理を施すようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、階調性を維持し、色再現性の良い映像を出力することができる。
【0109】
更に、輝度画像データPの生成において、画素データS1及びS2をリサイズして、リサイズした画素データを合成して輝度画像生成用のHDR画像データを生成し、これにLPFによるフィルタ処理を施すようにした。
これによって、フィルタ処理を軽減できると共に、リサイズによって輝度画像データPを1/4のサイズにすることができるので、ラインメモリを小さくでき、より安価な構成とすることができる。
上記第1実施形態において、プリプロセス部31は、形態1、4及び9のいずれか1に記載の画像データ取得手段に対応し、輝度画像生成部32、LM332、輝度画像→ゲイン変換器333及びLUT334は、形態1、4、7、9、10、13、14及び16のいずれか1に記載のゲイン分布生成手段に対応する。
【0110】
また、上記第1実施形態において、トーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339は、形態1、11、17及び18のいずれか1に記載の階調変換手段に対応する。
また、上記第1実施形態において、トーンマップ用乗算器335におけるHDR合成処理部331からHDR_RAW画素データを取得する機能部は、形態1の合成画像データ取得手段に対応する。
【0111】
また、上記第1実施形態において、LM330A〜330C及びHDR合成処理部331は、形態3又は4に記載の合成画像データ生成手段に対応する。
また、上記第1実施形態において、プリプロセス部31における画素データS1〜S2の取得処理は、形態21に記載の画像データ取得ステップに対応し、輝度画像生成部32、LM332、輝度画像→ゲイン変換器333及びLUT334によるゲインの生成処理は、形態21に記載のゲイン分布生成ステップに対応する。
【0112】
また、上記第1実施形態において、LM330A〜330C及びHDR合成処理部331におけるHDR画像データの生成処理は、形態21に記載の合成画像データ取得ステップに対応する。
また、上記第1実施形態において、トーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339によるHDR画像データの階調を変換する処理は、形態21に記載の階調変換ステップに対応する。
【0113】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づき説明する。図11は、本発明に係る撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法の第2実施形態を示す図である。
本実施形態は、上記第1実施形態の撮像素子10におけるHDRセンサ14が、感度の異なる2種類の画素群から構成されたセンサセルアレイを有し、異なる感度の画素で撮像した2種類の画素データSL及びSHを出力する点が異なる。ここで、画素データSLの方が画素データSHよりも低感度の画素で撮像されたデータであるとする。
【0114】
更に、本実施形態は、撮像制御装置の構成が、上記第1実施形態の撮像制御装置と異なり、画素データSL及びSHからHDR画像データを生成する本線系処理を行い、一方、画素データSLから輝度画像データPを生成するTM系処理を行う。
まず、本発明に係る撮像制御装置の構成を図11に基づき説明する。図11は、本実施形態に係る撮像制御装置50の詳細な構成を示すブロック図である。
図11に示すように、撮像装置4は、撮像素子15と、撮像制御装置50とを含んで構成される。
【0115】
撮像素子15は、上記第1実施形態の撮像素子10と同様のレンズ11、マイクロレンズ12、カラーフィルタアレイ13を備えている。そして、比較的感度の低い画素で被写体を撮像して得られた低感度画素データSLと、比較的感度の高い画素で被写体を撮像して得られた高感度画素データSHとを同じタイミングで出力する。
具体的に、サイズが異なる2種類の画素群からセンサセルアレイを構成する。これによって、同じ露光時間に対して、サイズの大きい方が高感度(受光量大)に、サイズの小さい方が低感度(受光量小)となる。
【0116】
また、本実施形態では、センサセルアレイは、上記第1実施形態とは異なり、CCD(Charge Coupled Device)で構成されている。
撮像制御装置50は、輝度画像生成部51と、輝度画像→ゲイン変換器52と、LUT53と、HDR合成処理部54と、遅延部55と、補正部56とを含んだ構成となっている。なお、撮像制御装置50には、上記第1実施形態と同様に、表示装置3が接続されるものとする。
【0117】
輝度画像生成部51は、上記第1実施形態の輝度画像生成部32から、HDR合成処理部323とこれに関連するLMを除いた構成となっており、低感度画素データSLに対して画素混合処理を行う画素混合部を備えている。更に、画素混合処理を施してリサイズされた低感度画素データSL’に対して上記第1実施形態のぼかし処理部324と同様のぼかし処理を行うぼかし処理部を備えている。ぼかし処理後の画素データは、輝度画素データとして、輝度画像→ゲイン変換器52に出力される。
【0118】
輝度画像→ゲイン変換器52は、輝度画像生成部51から入力される輝度画素データの示す輝度値に対応したゲインを、LUT53から取得して、補正部56に出力する。即ち、入力される輝度画素データの生成工程が異なるのみで、上記第1実施形態の輝度画像→ゲイン変換器333と同様となる。
LUT53は、上記第1実施形態のLUT334と同様に、輝度画素データの輝度値に対応するゲインK(Y)のデータテーブルを格納したものである。
【0119】
HDR合成処理部54は、撮像素子15から入力される低感度画素データSL及び高感度画素データSHに対して、感度の比率に応じたゲインを算出し、算出したゲインを用いて、低感度画素データSLの正規化を行う。更に、正規化した低感度画素データと、高感度画素データSHに対して重み付け処理を行い、重み付け処理後のSL及びSHを足し合わせることで、HDR_RAW画素データを生成する。生成したHDR_RAW画素データは、遅延部55に出力される。
【0120】
遅延部55は、HDR合成処理部54から入力されたHDR_RAW画素データを、輝度画像→ゲイン変換器52のゲインの出力タイミングとタイミングが合うように所定時間だけ遅延させてから、補正部56に出力する。
補正部56は、上記第1実施形態と同様のトーンマップ用乗算器335と、色処理部336と、LM337と、ガンマ変換部338と、LUT339とを含んで構成される。
【0121】
従って、トーンマップ用乗算器335は、遅延部55から入力されたHDR_RAW画素データに、輝度画像→ゲイン変換器52から入力されたゲインを乗算して、HDR_RAW画素データをトーンマッピングする。更に、色処理部336は、トーンマッピングされたHDR_RAW画素データに対して、色補間処理を施して、画素毎に、R_HDR画素データ、G_HDR画素データ及びB_HDR画素データを有するカラーHDR画素データを生成する。更に、ガンマ変換部338は、撮像制御装置50に接続された表示装置3の表示可能な階調範囲に対応したトーンカーブの情報が格納されたLUT339から、入力された各画素データの示す輝度値に対応する変換値を読み出す。そして、入力された輝度値を、この読み出した変換値に置き換えることで、カラーHDR画素データに対して、ガンマ変換を施す。このガンマ変換後の画素データが、カラーLDR画素データとなる。カラーLDR画素データは、RGBビデオ出力信号として、表示装置3に出力される。
【0122】
次に、本実施形態の実際の動作を説明する。
被写体の撮像が開始されると、被写体から反射された光は、レンズ11で集光されてマイクロレンズ12に入射される。レンズ11からの入射光は、マイクロレンズ12において平行化されて、カラーフィルタアレイ13の各CF部を介してセンサセルアレイの各画素に入射される。
低感度の画素群からは、撮像によって得られた低感度画素データSLが、高感度の画素群からは、撮像によって得られた高感度画素データSHが、それぞれ撮像制御装置50に出力される。具体的に、低感度画素データSLが、輝度画像生成部50及びHDR合成処理部54に出力され、高感度画素データSHが、HDR合成処理部54に出力される。
【0123】
一方、撮像制御装置50は、撮像素子15からの画素データSL及びSHを受信すると、輝度画像生成部51において、低感度画素データSLを、画素混合部に出力する。画素混合部は、入力された低感度画素データSLの画素混合処理を実行する。具体的に、ベイヤ配列で区分された2行×2列の4つの画素毎に、これらの画素に対応するR、G、G、Bの4つの色要素に対応する画素データを混合する。
これによって、低感度画素データSLは4画素のデータが1画素のデータに変換され、低感度の画素で撮像して得られた低感度撮像画像データが、1/4のサイズにリサイズされる。画素混合部は、画素混合処理後の低感度画素データCSLを、ぼかし処理部に出力する。
【0124】
ぼかし処理部は、画素混合部から、低感度画素データCSLが入力されると、入力されたデータに対してLPFを用いたフィルタ処理を行う。
このようにして、低感度画素データCSLに対して、ぼかし処理が施されると、その画素データに対する輝度画素データが生成される。ぼかし処理部は、生成した輝度画素データを、輝度画像→ゲイン変換器52に出力する。
輝度画像→ゲイン変換器52は、入力された各輝度画素データの示す輝度値に対応したゲインを、LUT53から取得して、取得したゲインを補正部56のトーンマップ用乗算器に出力する。ここでは、LUT53に、上式(3)によって算出したゲインK(Y)を登録していることとする。
【0125】
一方、輝度画素データを生成し、生成した輝度画素データをゲインに変換する処理と並列して、HDR合成処理部54では、入力された低感度画素データSLと、高感度画素データSHからHDR_RAW画素データを生成する処理を実行する。
具体的に、HDR合成処理部54は、まず、感度の比率に応じたゲインを求める。次に、低感度画素データSLに対してゲインを乗算することで、低感度画素データSLの正規化を行う。
【0126】
次に、正規化した低感度画素データSLと、高感度画素データSHとに対して、それぞれ重み付け処理を行う。そして、重み付けされた低感度画素データSLと高感度画素データSHとを合成して、HDR画素データ(HDR_RAW画素データ)を生成する。生成したHDR_RAW画素データは、遅延部55に出力される。
遅延部55は、HDR合成処理部54から入力されたHDR_RAW画素データを遅延させて、補正部56に出力する。
つまり、輝度画像生成部51及び輝度画像→ゲイン変換器52で行われる処理にかかる時間よりも、HDR合成処理部54で行われる処理にかかる時間の方が短いため、その分を遅延部55で吸収する。
【0127】
補正部56は、遅延部55からHDR_RAW画素データが入力され、輝度画像→ゲイン変換器52からゲインが入力されると、トーンマップ用乗算器335において、HDR_RAW画素データの示す輝度値にゲインを乗算して、その乗算結果を色処理部336に出力する。
具体的に、輝度画像データPは、HDR_RAW画像データに対して、1/4のサイズとなるので、HDR_RAW画像データの4つの画素データに対して、1つの輝度画素データが対応する。従って、1つのゲインによって、ベイヤ配列で区分される各4つのHDR_RAW画素データがトーンマッピングされることになる。
これにより、HDR_RAW画像データの輝度のヒストグラムは、全体的にブロード化されたものとなる。
【0128】
色処理部336は、トーンマップ用乗算器335から入力されたゲインを乗算後のHDR_RAW画素データに対して、色補間処理を施し、カラーHDR画素データを生成する。生成されたカラーHDR画素データは、ガンマ変換部338に出力される。
ガンマ変換部338は、色処理部336から、カラーHDR画素データが入力されると、このカラーHDR画素データに対して、ガンマ変換を施す。このガンマ変換後の画素データが、カラーLDR画素データとなる。LDR画像データは、RGBビデオ出力信号として、表示装置3に出力される。
【0129】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置4は、輝度画像生成部51において、撮像素子15から入力される、低感度画素データSLを使って輝度画像データPを生成し、生成した輝度画像データPを輝度画像→ゲイン変換器52において、ゲインに変換することができる。
また、これらの処理と並列して、HDR合成処理部54において、撮像素子15から入力される、低感度画素データSL及び高感度画素データSHからHDR画像データを生成することができる。そして、遅延部55において、生成したHDR画像データの補正部56への出力を、ゲインの出力に合わせて遅延させることができる。更に、トーンマップ用乗算器335において、輝度画像→ゲイン変換器52から入力されるゲインを、遅延部55から入力される輝度画素データに乗算することで、トーンマッピングを行うことができる。
【0130】
これによって、輝度画像データPの生成に、同じ被写体に対して同じ露光時間で2種類の感度で撮像して得られた低感度画素データSL及び高感度画素データSHのうち、低感度画素データSLを用いるようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、色相の維持ができる。
更に、輝度画像データPに基づき、HDR画像データに対して、トーンマップ処理を施すようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、階調性を維持し、色再現性の良い映像を出力することができる。
【0131】
更に、撮像制御装置50は、輝度画像データPの生成において、低感度画素データSLを画素混合処理によってリサイズし、リサイズした画素データにLPFによるフィルタ処理を施して輝度画像データPを生成することができる。
これによって、フィルタ処理を軽減できると共に、リサイズによって輝度画像データPを1/4のサイズにすることができるので、ラインメモリを小さくでき、より安価な構成とすることができる。
【0132】
上記第2実施形態において、輝度画像生成部51における低感度画素データSLを取得する機能は、形態5又は8に記載の画像データ取得手段に対応し、輝度画像生成部51、輝度画像→ゲイン変換器52及びLUT53は、形態5、7、8、10、13、14及び16のいずれか1に記載のゲイン分布生成手段に対応する。
また、上記第2実施形態において、トーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339は、形態5、11、17及び18のいずれか1に記載の階調変換手段に対応する。
【0133】
また、上記第2実施形態において、HDR合成処理部54は、形態5に記載の合成画像データ取得手段、及び形態6に記載の合成画像データ生成手段に対応する。
また、上記第2実施形態において、輝度画像生成部51における低感度画素データSLを取得する処理は、形態22に記載の画像データ取得ステップに対応し、輝度画像生成部51、輝度画像→ゲイン変換器52及びLUT53によるゲインの生成処理は、形態22に記載のゲイン分布生成ステップに対応する。
【0134】
また、上記第2実施形態において、HDR合成処理部54におけるHDR画像データの生成処理は、形態22に記載の合成画像データ取得ステップに対応する。
また、上記第2実施形態において、補正部56のトーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339によるHDR画像データの階調を変換する処理は、形態22に記載の階調変換ステップに対応する。
【0135】
なお、上記各実施形態において、輝度画像データPの生成に用いる画像データをリサイズする構成としたが、この構成に限らず、リサイズせずにぼかし処理を適用して輝度画像データを生成する構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、HDR信号処理部30が、撮像素子10又は15から露光時間の長さ又は感度の異なる複数種類の画像データを取得し、取得した複数種類の画像データを合成して、HDR画像データを生成する構成を例として説明したが、この構成に限らない。
【0136】
例えば、撮像素子10又は15がHDR画像データを生成する手段を有する構成、又は外部の別の装置が撮像素子10又は15から取得した画像データを用いてHDR画像データを生成する構成としてもよい。この構成であれば、HDR信号処理部30から、LM330A〜330C及びHDR合成処理部331を取り除くことが可能となる。
この場合に、撮像素子10若しくは15、又は外部の装置からHDR画像データを取得する機能は、形態1の合成画像データ取得手段に対応する。
【0137】
また、上記各実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
1…撮像システム、2,4…撮像装置、3…表示装置、10,15…撮像素子、11…レンズ、12…マイクロレンズ、13…カラーフィルタアレイ、14…HDRセンサ、20,50…撮像制御装置、30…HDR信号処理部、31…プリプロセス部、32,51…輝度画像生成部、33…本線系処理部、34…メモリIF、40…フレームメモリ、55…遅延部、56…補正部、320A,320B,322,325,326,330A〜330C,332,337…ラインメモリ、321A〜321B…画素混合部、54,323,331…HDR合成処理部、324…ぼかし処理部、52,333…輝度画像→ゲイン変換器、53,334,339…LUT、335…トーンマップ用乗算器、336…色処理部、338…ガンマ変換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特に、画像データのダイナミックレンジを圧縮するのにかかる時間を低減するのに好適な撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長さの異なる複数の露光時間で撮像して得られた画像データを合成して、ダイナミックレンジを拡大した画像データ(HDR画像データ)を生成する技術がある。しかし、HDR画像データは、例えば、20ビットなどの非常に広いレンジを有するため、そのままのレンジでは、例えば、8ビットなどの比較的狭いレンジを有する、既存の多くの表示装置において表示できない。そのため、HDR画像データのダイナミックレンジを、既存の表示装置のレンジに合わせて変換する必要があった。
【0003】
HDR画像データのダイナミックレンジを変換する技術としては、例えば、特許文献1に記載の高ダイナミックレンジ(HDR)画像を低ダイナミックレンジ(LDR)画像に変換する方法がある。
一般に、HDR画像を高コントラストでLDR画像に変換する技術は、トーンマッピング、ダイナミックレンジ圧縮技術などと呼ばれている。これらは、暗部(シャドウ)から明部(ハイライト)まで良好な色再現性を維持したままレンジ圧縮を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−284534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1を含む従来技術において、トーンマッピングは計算機上で実現される。HDR(High Dynamic Range)画像データを得るためには、デジタルカメラ等によって、長さの異なる複数の露光時間で撮像した複数の画像データが必要である。または、感度の異なる複数の撮像部(画素群)を有するデジタルカメラ等で撮像した複数の画像デーが必要である。そして、従来は、これら複数の画像データを全て取得してから計算機においてHDR画像データの生成、及びトーンマッピング等の画像処理を順に行っていた。
【0006】
また、トーンマッピングに用いる、HDR画像データから照明光成分を分離(抽出)して得られる「ぼかし」画像データを得るために、HDR画像データに対してローパスフィルタ(LPF)を用いたフィルタ処理が必要となる。このフィルタ処理は、計算機のリソースを多量に必要にすると共に、処理時間も大きい。従って、ぼかし画像の生成における時間ロスが大きくなり、実時間でHDR画像データをLDR画像データに変換して動画像を作成するような場合に、その実現が困難となっている。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、画像データの輝度の階調範囲(ダイナミックレンジ)を圧縮する処理において発生する時間ロスを低減するのに好適な撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の撮像制御装置は、
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備える。
【0008】
このような構成であれば、画像データ取得手段によって、撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で撮像して得られた複数の画像データのうち1つが取得される。更に、合成画像データ取得手段によって、前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データ(例えば、HDR画像データ)が取得される。これら画像データが取得されると、ゲイン分布生成手段によって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布が生成される。ゲイン分布が生成されると、階調変換手段によって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲が、当該階調範囲より狭い範囲に変換される。
【0009】
例えば、ゲイン分布生成手段において、第1の合成画像データの各画素に対応する輝度成分のうち、反射率成分を保持した状態で照明光成分を圧縮するゲイン分布を生成する。そして、階調変換手段において、この生成したゲイン分布を用いて、第1の合成画像データに対して階調変換(トーンマッピング)を施す。
以上より、第1の合成画像データの生成に係る複数の画像データのうち少なくとも1に基づき、ゲイン分布を生成することができるので、全てのダイナミックレンジにおいて階調性を維持し、且つ色再現性の良い階調変換を施すことができるという効果が得られる。
【0010】
また、例えば、前記複数の画像データのうち、より先に撮像素子から出力される画像データを、ゲイン分布の生成に用いるようにすることで、第1の合成画像データを生成する手段が第1の合成画像データを生成する前に、ゲイン分布生成手段でゲイン分布の生成処理を開始することができる。
これによって、第1の合成画像データの生成が終了する時間と、ゲイン分布の生成が終了する時間との遅延差を低減することができるという効果が得られる。
ここで、上記合成画像データ取得手段は、撮像制御装置の内部に第1の合成画像データを生成する機能部がある場合は、その機能部から第1の合成画像データを取得し、撮像素子などの外部装置が第1の合成画像データを生成する機能を有する場合は、外部装置から第1の合成画像データを取得する。
【0011】
〔形態2〕 更に、形態2の撮像制御装置は、形態1の撮像制御装置において、
前記撮像素子は、各画素から蓄積電荷を維持したまま前記蓄積電荷に応じた画素信号を読み出す非破壊読み出し方式で画素信号を読み出すことが可能であり、露光時間の短い順に前記長さの異なる複数の露光時間で前記各画素を露光すると共に、露光した各画素から前記非破壊読み出し方式で前記画素信号を読み出し、読み出した順番に前記画素信号のデータを出力する。
【0012】
このような構成であれば、撮像素子において、各画素から非破壊方式で画素信号を読み出すことができるので、最長の露光時間に対応する画素信号を読み出すまでの間に、より短い露光時間から順に各露光時間に対応する画素信号の読み出しを行うことができる。
従って、第1の合成画像データの生成に用いる前記2以上の画像データの取得時間を低減することができる。更に、より短い露光時間に対応した画像データを、ゲイン分布の生成に用いるようにすることで、該短い露光時間の画像データを取得してから第1の合成画像データが生成されるまでの時間(ゲイン分布を生成する時間)をより長く確保することができる。
【0013】
これによって、第1の合成画像データの生成が終了する時間と、ゲイン分布の生成が終了する時間との遅延差を、より低減することができるという効果が得られる。
特に、車載カメラやマシンビジョンなどのように実時間性が要求されるアプリケーションにおいて、実時間に近いタイミングで出力装置の階調に合わせて階調変換された合成画像(映像)の取得を行うのに有効である。
【0014】
〔形態3〕 更に、形態3の撮像制御装置は、形態1又は形態2の撮像制御装置において、
前記撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して前記第1の合成画像データを生成する合成画像データ生成手段を備える。
このような構成であれば、長さの異なる複数の露光時間で撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを取得し、取得した画像データを合成して第1の合成画像データ生成することができる。
また、この構成の場合に、合成画像データ取得手段は、合成画像データ生成手段で生成した第1の合成画像データを取得する。
【0015】
〔形態4〕 更に、形態4の撮像制御装置は、形態3の撮像制御装置において、
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いられる前記少なくとも2以上の画像データのうち、最長の露光時間の画像データよりも短い露光時間の画像データを、少なくとも、前記合成画像データ生成手段が前記最長の露光時間の画像データを取得するよりも先行して取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記先行して取得した短い露光時間の画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成する。
【0016】
このような構成であれば、ゲイン分布生成手段が、撮像素子から最長の露光時間よりも短い露光時間の画像データを取得してから、合成画像データ生成手段が、撮像素子から最長の露光時間の画像データを取得するまでの間をゲイン分布の生成に用いることができる。
これにより、撮像素子が、最長の露光時間の画像データを出力するまでの時間を有効に活用することができる。従って、第1の合成画像データの階調範囲が変換されるまでにかかる時間をより低減することができるという効果が得られる。
【0017】
〔形態5〕 一方、上記目的を達成するために、形態5の撮像制御装置は、
感度の異なる複数の画素群を有する撮像素子において前記複数の画素群で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備える。
【0018】
このような構成であれば、画像データ取得手段によって、撮像素子において感度の異なる複数の画素郡で撮像して得られた複数の画像データのうち少なくとも1の画像データが取得される。更に、合成画像データ取得手段によって、前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データ(例えば、HDR画像データ)が取得される。これら画像データが取得されると、ゲイン分布生成手段によって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布が生成される。ゲイン分布が生成されると、階調変換手段によって、ゲイン分布に基づき、第1の合成画像データの輝度の階調範囲が、当該階調範囲より狭い範囲に変換される。
【0019】
ここで、人間の目に入る光は物体の反射率と照明光の積で決まり、人の目の知覚は反射率と強い相関を持つ。このことから、例えば、ゲイン分布生成手段において、第1の合成画像データの各画素に対応する輝度成分のうち、反射率成分を保持した状態で照明光成分を圧縮するゲイン分布を生成する。そして、階調変換手段において、この生成したゲイン分布を用いて、第1の合成画像データに対して階調変換(トーンマッピング)を施す。
以上より、第1の合成画像データの生成に係る複数の画像データのうち少なくとも1に基づき、ゲイン分布を生成することができるので、全てのダイナミックレンジにおいて階調性を維持し、且つ色再現性の良い階調変換を施すことができるという効果が得られる。
【0020】
また、例えば、前記複数の画像データのうち、より先に撮像素子から出力される画像データを、ゲイン分布の生成に用いるようにすることで、第1の合成画像データを生成する手段が第1の合成画像データを生成する前に、ゲイン分布生成手段でゲイン分布の生成処理を開始することができる。
これによって、第1の合成画像データの生成が終了する時間と、ゲイン分布の生成が終了する時間との遅延差を低減することができるという効果が得られる。
【0021】
〔形態6〕 更に、形態6の撮像制御装置は、形態5の撮像制御装置において、
前記撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して前記第1の合成画像データを生成する合成画像データ生成手段を備える。
このような構成であれば、感度の異なる複数の画素郡で撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを取得し、取得した画像データを合成して第1の合成画像データ生成することができる。
【0022】
〔形態7〕 更に、形態7の撮像制御装置は、形態1乃至6のいずれか1の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データを構成する複数の画素データの各々に対して前記ゲインを算出して前記ゲイン分布を生成する。
このような構成であれば、画像データ取得手段で取得した画像データに基づき、第1の合成画像データの輝度の階調範囲を圧縮するためのゲインが、処理対象の画像データの複数の画素データの各々に対して算出される。
これによって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮を、精度良く行うことができるという効果が得られる。
【0023】
〔形態8〕 更に、形態8の撮像制御装置は、形態1乃至7のいずれか1の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成する。
このような構成であれば、画像データ取得手段で取得した画像データに対してフィルタ処理を施すことによって、取得した画像データの画像の照明光成分を簡易に得ることができるという効果が得られる。
具体的に、反射率成分を保持して照明光成分を圧縮するゲイン係数の分布を生成するために、照明光成分を通過させて反射率成分を遮断又は低減させる性能を有したフィルタを用いてフィルタ処理を行うことが望ましい。
【0024】
〔形態9〕 更に、形態9の撮像制御装置は、形態1乃至7のいずれか1の撮像制御装置において、
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いる3以上の画像データのうちから2以上の画像データを取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した2以上の画像データを合成して第2の合成画像データを生成し、生成した第2の合成画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成する。
【0025】
このような構成であれば、画像データ取得手段で取得した、第1の合成画像データの生成に用いる3以上の画像データのうちの2以上の画像データを合成して第2の合成画像データを生成し、該生成した第2の合成画像データに基づき、ゲイン分布を生成することができる。
これによって、第1の合成画像データの輝度の階調範囲を圧縮するのに、より適切なゲイン分布を生成することができ、より高画質な階調圧縮画像を得ることができるという効果が得られる。
【0026】
〔形態10〕 更に、形態10の撮像制御装置は、形態8又は9の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、前記フィルタ処理を、処理対象の画像データにおける照明光成分を通過させて反射率成分の通過を阻止する特性のローパスフィルタを用いて行う。
ここで、照明光成分は、反射率成分と比較して低周波数である。
従って、上記構成であれば、画像データ取得手段で取得した画像データに対して照明光成分を通過させて反射率成分の通過を阻止する特性のローパスフィルタを用いたフィルタ処理を施すことができる。
これによって、画像データから、照明光成分を簡易に分離することができるという効果が得られる。
【0027】
〔形態11〕 更に、形態11の撮像制御装置は、形態8乃至10のいずれか1の撮像制御装置において、
前記第1の合成画像データにおける各画素データの示す値をYとし、前記輝度画像データにおける各画素データの示す値をPとし、前記Yに対応するゲインをK(P)とすると、前記階調変換手段で階調変換後の画素データの示す値Y’は、下式(1)で算出されることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
Y’=K(P)×Y (1)
このような構成であれば、画像データ取得手段で画像データが取得され、取得した画像データに基づきゲイン分布生成手段でゲイン分布が生成される。そして、合成画像データ取得手段で第1の合成画像データが取得されると、上式(1)に従って、第1の合成画像データの各画素データに対して、照明光成分の圧縮された階調変換後の輝度値が算出される。
【0028】
〔形態12〕 更に、形態12の撮像制御装置は、形態11の撮像制御装置において、
指数部iを1以下の正の実数とし、前記輝度画像データの各画素データの示す輝度値を0〜1の範囲で正規化した値をPLとして、前記ゲインK(P)は、下式(2)で算出されることを特徴とする請求項11に記載の撮像制御装置。
K(P)=1/PLi (2)
このような構成であれば、画像データ取得手段で画像データが取得され、取得した画像データに基づきゲイン分布生成手段で輝度画像データが生成される。そして、輝度画像データの各画素データの示す輝度値から、上式(2)に従って、第1の合成画像データの各画素に対応するゲインK(P)が算出される。
【0029】
〔形態13〕 更に、形態13の撮像制御装置は、形態11又は12の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、所定の輝度値に対する前記ゲインK(P)のデータが登録されたルックアップテーブルを有し、前記輝度画像データの複数の画素データの各々に対して、前記ルックアップテーブルから対応するゲインKを取得することで前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の撮像制御装置。
このような構成であれば、輝度画像データが生成されることで、該輝度画像データの複数の画素データの各々の輝度値に対応するゲインK(Y)を、ルックアップテーブルから取得することができる。これによって、簡易且つ高速にゲイン分布を生成することができるという効果が得られる。
【0030】
〔形態14〕 更に、形態14の撮像制御装置は、形態1乃至13のいずれか1の撮像制御装置において、
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データを構成する複数の画素データの各々の示す輝度値を所定数の画素郡毎に合成して画像データのサイズを縮小化し、該縮小化した画像データに基づき、前記ゲイン分布として前記画素群毎のゲインの分布を生成する。
【0031】
このような構成であれば、ゲイン分布生成手段において、画像データ取得手段で取得した画像データを構成する複数の画素データの各々の示す輝度値が、所定数の画素郡毎に合成(例えば、平均化)され、画像データのサイズが縮小化される。更に、ゲイン分布生成手段において、縮小化された画像データに基づきゲイン分布が生成される。
これによって、画像データのサイズを縮小化(リサイズ)することができるので、後段の処理(例えば、輝度画像データを生成するためのフィルタ処理)を簡易化することができる。
従って、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に係る処理を、より高速に行うことができるという効果が得られる。
【0032】
〔形態15〕 更に、形態15の撮像制御装置は、形態10乃至14のいずれか1の撮像制御装置において、
前記撮像素子は、赤色、緑色及び青色で構成される原色もしくはその補色のカラーフィルターを有する。
このような形態であれば、例えば、前記ローパスフィルタを通過した前記輝度画像データPは、画像の局所領域においては、その領域を構成する画素の輝度画像データPがほぼ同じ値なので前記ゲインKもほぼ同じ値となる。そのため、撮像素子を構成する赤色、緑色、青色の画素のゲインが、局所的にみれば同じ値となることから、赤色、緑色、青色のバランスが崩れない。よって、色再現性が優れている、という特徴を有する。
【0033】
〔形態16〕 更に、形態16の撮像制御装置は、形態14の撮像制御装置において、
前記撮像素子は、赤色、緑色及び青色の各画素に対応するフィルター部が赤、緑、緑、青の組み合わせでベイヤ配列されたカラーフィルター、もしくはその補色のカラーフィルターを有し、
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データのうち前記カラーフィルターで区分される各4画素の画素データを合成して画像データのサイズを1/4に縮小化し、該縮小化した画像データに基づき、前記ゲイン分布として前記区分された4画素毎のゲインの分布を生成する。
【0034】
このような構成であれば、ゲイン分布生成手段において、画像データ取得手段で取得した画像データのサイズを、カラーフィルターアレイ13で区分された4画素ごとに適切な色成分で合成して画像のサイズを1/4にリサイズすることができる。そして、リサイズされた画像データに基づき各4画素の領域毎のゲインの分布となるゲイン分布を生成することができる。
これによって、画像のサイズを縮小化(リサイズ)することができるので、後段の処理を簡易化することができ、第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に係る処理を、より高速に行うことができるという効果が得られる。
【0035】
〔形態17〕 更に、形態16の撮像制御装置は、形態1乃至15のいずれか1の撮像制御装置において、
前記階調変換手段は、前記ゲイン分布を用いた階調変換後の前記第1の合成画像データの輝度のヒストグラムがブロード化されるように前記ゲイン分布の内容を補正し、当該補正したゲイン分布を用いて前記第1の合成画像データの階調範囲を変換し、変換後の前記第1の合成画像データにガンマ変換を施す。
【0036】
このような構成であれば、第1の合成画像データのヒストグラムがブロード化されるように階調範囲を変換してから、変換後の第1の合成画像データに対してガンマ変換を施すことができる。
これによって、ヒストグラムをブロード化してから、トーンカーブによってガンマ変換が施されるので、階調性を維持することが可能となり、且つレンジ圧縮したことと同じ結果を得ることができる。
【0037】
特に、上式(2)において、輝度値Yの範囲を0〜1とすると、輝度値が0に近い小さい値のときには、ゲインが大きくなり、輝度値が1に近い大きい値のときには、ゲインが1に極めて近い値となる。これによって、1枚の画像の中で、入力が暗い領域はゲインによって持ち上げられて明るくなり、入力が明るい領域はそのまま維持される。つまり、このようにして生成されたゲイン分布を第1の合成画像データに適用することで、適用後のヒストグラムをブロード化することができる。
【0038】
〔形態18〕 更に、形態18の撮像制御装置は、形態17の撮像制御装置において、
前記第1の合成画像データの画像を出力する出力装置の出力可能な階調範囲に係る情報を、前記出力装置から取得する階調情報取得手段と、
前記出力可能な階調範囲に対応する複数種類のトーンカーブの情報を記憶するトーンカーブ情報記憶手段と、を備え、
前記階調変換手段は、前記トーンカーブ情報記憶手段に記憶された、前記階調情報取得手段で取得した情報に対応する種類のトーンカーブの情報を用いて、前記ブロード化した第1の合成画像データに対して、ガンマ変換を施す。
【0039】
このような構成であれば、階調情報取得手段によって、第1の合成画像データの画像を出力する出力装置から、該出力装置の出力可能な階調範囲に係る情報が取得される。そして、階調変換手段において、補正後のゲイン分布を用いてヒストグラムがブロード化された第1の合成画像データに対して、前記取得した情報に対応する種類のトーンカーブの情報を用いたガンマ変換が施される。
【0040】
これによって、撮像制御装置に接続された出力装置の画像の出力性能に応じた階調変換を施すことができるので、出力装置の性能に柔軟に対応できるシステムを容易に構築することができるという効果が得られる。
ここで、上記階調範囲に係る情報とは、表示可能な階調範囲の情報そのもの、階調範囲を算出できる情報などの他、階調変換手段側で出力装置の機種に対応する表示可能な階調範囲のデータテーブルを用意できれば、出力装置の機種情報なども含む情報となる。
【0041】
〔形態19〕 また、上記目的を達成するために、形態19の撮像装置は、
長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して、前記複数の露光時間に対応する複数の画像データを出力する撮像素子と、
形態1乃至4のいずれか1に記載の撮像制御装置と、を備える。
このような構成であれば、上記形態1〜4の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0042】
〔形態20〕 また、上記目的を達成するために、形態20の撮像装置は、
感度の異なる複数の画素群を有し、前記複数の画素群で被写体を撮像して前記複数の画素群に対応する複数の画像データを出力する撮像素子と、
形態5又は6の撮像制御装置と、を備える。
このような構成であれば、上記形態5又は6の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0043】
〔形態21〕 また、上記目的を達成するために、形態21の撮像制御方法は、
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップで取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成ステップと、
前記ゲイン分布生成ステップで生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得ステップで取得した前記第1の合成画像データの階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換ステップと、を含む。
このような構成であれば、上記形態1の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0044】
〔形態22〕 また、上記目的を達成するために、形態22の撮像制御方法は、
感度の異なる複数の画素群を有する撮像素子において前記複数の画素群で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップで取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成ステップと、
前記ゲイン分布生成ステップで生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得ステップで取得した前記第1の合成画像データの階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換ステップと、を含む。
このような構成であれば、上記形態5の撮像制御装置と同等の作用及び効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る撮像システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】カラーフィルタアレイ13の構成を示す図である。
【図3】HDRセンサ14のセンサセルアレイにおける各画素のライン毎の露光及び画素信号の読み出し動作の一例を示す図である。
【図4】蓄積電荷のリセットタイミングと、各露光時間の画素信号の読み出しタイミングとの一例を示す図である。
【図5】第1実施形態の撮像制御装置20の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】輝度画像生成部32の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】本線系処理部33の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】HDRセンサ14からの画素データの出力形式の一例を示す図である。
【図9】各フレームにおける画素データの出力タイミングの一例を示す図である。
【図10】(a)は、HDR画像データのヒストグラムの一例を示す図であり、(b)は、トーンマップ処理によってブロード化されたヒストグラムの一例を示す図である。
【図11】第2実施形態の撮像制御装置50の詳細な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。図1〜図10は、本発明に係る撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法の第1実施形態を示す図である。
まず、本発明に係る撮像システムの構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る撮像システム1の構成を示すブロック図である。
撮像システム1は、図1に示すように、撮像装置2と、表示装置3とを含んで構成される。
撮像装置2は、撮像素子10と、撮像制御装置20とを含んで構成され、撮像制御装置20は、HDR信号処理部30と、フレームメモリ40とを含んで構成される。
【0047】
撮像素子10は、レンズ11と、マイクロレンズ12と、カラーフィルタアレイ13と、HDRセンサ14とを含んで構成される。
レンズ11は、被写体からの反射光を集光して、マイクロレンズ12へと導くものである。なお、撮像条件などに応じて、単焦点レンズ、ズームレンズ、オートアイリスレンズなどの種類がある。
マイクロレンズ12は、レンズ11を透過した光をHDRセンサ14の有するセンサセルアレイの各センサセル(画素)に集光するものである。
【0048】
カラーフィルタアレイ13は、マイクロレンズ12を透過した光から所定の1種類の色要素に対応する波長の光を分離して該分離した光を対応する各画素に入射するカラーフィルター部(以下、CF部と称す)を少なくとも画素数分含んで構成されるものである。
HDRセンサ14は、各センサセル(画素)がフォトダイオード及びCMOS素子から構成されるセンサセルアレイを有し、電子シャッタ方式によって露光時間を制御して露光時間の異なる複数種類の画像データを出力するものである。
【0049】
HDR信号処理部30は、撮像素子10から出力される、露光時間の異なる複数種類の撮像画像データに基づき、ノイズ除去処理、輝度画像データ生成処理、ゲイン分布生成処理、トーンマッピング処理、合成処理、色処理、ガンマ変換処理等を行うものである。なお、詳細な構成は後述する。
フレームメモリ40は、HDR信号処理部30において、ノイズ除去処理後の撮像画像データ、輝度画像データ生成処理によって生成された輝度画像データなどの各種画像データを記憶するメモリである。
表示装置3は、HDR信号処理部30で生成された、HDRカラー画像データ(R_HDR画像データ、G_HDR画像データ、B_HDR画像データ)に基づき、撮像画像を表示する装置である。
【0050】
次に、図2に基づき、カラーフィルタアレイ13の構成を説明する。
ここで、図2は、カラーフィルタアレイ13の構成を示す図である。
図2において、R、G、Bは、光の3原色(赤色、緑色、青色)のいずれか1色の波長領域の光を選択的に透過するCF部に対応し、これらに付された下付の数字は、行番号及び列番号を示す。例えば、R00であれば、行番号1の第1列目の画素に対応するRの波長領域の光を透過するフィルタ部となる。なお、本実施形態においては、水平方向を行方向とし、垂直方向を列方向として、撮像装置2は、水平方向に並ぶ複数の画素から構成されるラインの単位で処理を行うようになっている。
【0051】
具体的に、CFアレイ13は、マイクロレンズ12を介して入射された光から、赤色に対応する波長領域の光(以下、R光と称す)、緑色に対応する波長領域の光(以下、G光と称す)及び青色に対応する波長領域の光(以下、B光と称す)のうち所定の1色に対応する波長領域の光を分離して、該分離した光をそれぞれ対応する画素に入射する複数のCF部から構成されている。
【0052】
より具体的に、CFアレイ13は、図2に示すように、入射光からR光を分離して、該分離したR光を画素に入射する複数のR光透過フィルタ部(図2中のR)と入射光からG光を分離して、該分離したG光を画素に入射する複数のG光透過フィルタ部(図2中のG)とがR→G→R→G→R→G→・・・の順で水平方向に連続した構成のフィルタラインRGFLを複数備えている。
【0053】
更に、複数のG光透過フィルタ部と、入射光からB光を分離して、該分離したB光を画素に入射する複数のB光透過フィルタ部(図2中のB)とがG→B→G→B→G→B→・・・の順で水平方向に連続した構成のフィルタラインGBFLを複数備えている。これら複数の、フィルタラインRGFLと、フィルタラインGBFLとは、図2に示すように、RGFL→GBFL→RGFL→GBFL→RGFL→・・・の順で垂直方向に連続して配列されている。つまり、複数のG光透過フィルタ部と、複数のB光透過フィルタ部と、複数のR光透過フィルタ部とがベイヤ型に配列された構成となっている。
【0054】
次に、図3及び図4に基づき、撮像素子10のHDRセンサ14の露光時間の制御方法、及びセンサセルアレイからの画素信号の読み出し方法について説明する。ここで、図3は、HDRセンサ14のセンサセルアレイにおける各画素のライン毎の露光及び画素信号の読み出し動作の一例を示す図である。また、図4は、蓄積電荷のリセットタイミングと、各露光時間の画素信号の読み出しタイミングとの一例を示す図である。
【0055】
ここで、本発明の露光時間の制御は、センサセルアレイの露光領域(走査領域)に対して、超短露光時間T1の画素信号の非破壊読み出しを行う非破壊読み出しラインL1と、短露光時間T2の画素信号の非破壊読み出しを行う非破壊読み出しラインL2とを設定する。更に、各画素のラインの蓄積電荷のリセット及び標準露光時間T3の画素信号の読み出しを行う読み出し&リセットラインL3を設定する。なお、T1〜T3の関係は、図4に示すように、「T1<T2<T3」となっており、リセットされてから、まずT1経過時に非破壊読み出しラインL1が設定される。次にT2経過時に非破壊読み出しラインL2が設定され、次にT3経過時に読み出し&リセットラインL3が設定される。
【0056】
具体的に、非破壊読み出しラインL1及びL2並びに読み出し&リセットラインL3は、図3に示すように、露光領域における画素のラインに順次標準露光時間T3分の電荷が蓄積されると、読み出し&リセットラインL3が各画素のラインの画素信号を順次読み出すと共に、その蓄積電荷を順次リセットするように設定される。一方、露光領域のリセット後の各画素のラインにおいては、標準露光時間T3分の電荷が蓄積される期間中、超短露光時間T1及び短露光時間T2において各画素のラインの画素信号を非破壊で順次読み出すように非破壊読み出しラインL1及びL2がそれぞれ設定される。
【0057】
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、リセット直後の超短露光時間T1に対応する画素信号(アナログデータ)S1は、第1ラインメモリに読み出され、短露光時間T2に対応する画素信号(アナログデータ)S2は、第2ラインメモリに読み出される。更に、標準露光時間T3に対応する画素信号(アナログデータ)S3は、第3ラインメモリに読み出される。そして、これら読み出された画素信号S1〜S3は、図3に示すように、それぞれ選択回路を経てADCにS1〜S3の順で順次出力されそこでデジタルデータ(画素データ)に変換される。変換された各画素データは、変換された順に(S1〜S3の順に)ライン単位で撮像制御装置20のHDR信号処理部30に出力される。
【0058】
また、上記非破壊読み出しラインL1及びL2並びに読み出し&リセットラインL3の画素信号の読み出しタイミングの制御は、図3に示すように、各画素のライン毎に、読み出し&リセットラインL3を順次走査する(図3のスキャン方向)。そして、読み出し&リセットラインL3においては、蓄積電荷のリセットを行うとともに、蓄積電荷のリセット直前に標準露光時間T3の露光が行われた画素の画素信号の読み出しを行う。更に、リセット直後に、超短露光時間T1の画素信号の読み出しを行う。
【0059】
例えば、露光領域の一番目のラインである第1ラインにおいて標準露光時間T3の画素信号S3の読み出し及びリセットが行われたとする。以降は、画素信号S3が第3ラインメモリから全て外部に読み出される毎に、図3中のスキャン方向に1ラインずつ、読み出し&リセットラインL3の走査が順次行われる。このとき、読み出し&リセットラインL3が再び第1ラインに到達したときに、丁度標準露光時間T3が経過するタイミングとなるように走査が行われる。このような手順で、センサセルアレイの露光領域の画素のラインに対して、各画素のライン毎に、標準露光時の画素信号の読み出し及び蓄積電荷のリセットを順次行う。
【0060】
一方、蓄積電荷がリセットされると、当該リセット後の画素のラインに対して、非破壊読み出しラインL1において超短露光時間T1の露光が行われた画素の画素信号S1の非破壊読み出しを行い、引き続き、非破壊読み出しラインL2において短露光時間T2の露光が行われた画素の画素信号S2の非破壊読み出しを行う。このような手順で、センサセルアレイの各画素のラインに対して、ライン毎に、超短露光時間T1及び短露光時間T2で露光時の画素信号S1及びS2の非破壊読み出しを順次行う。
【0061】
次に、図5〜図7に基づき、HDR信号処理部30及びフレームメモリ40の構成を説明する。
ここで、図5は、撮像制御装置20の詳細な構成を示すブロック図である。
HDR信号処理部30は、図5に示すように、プリプロセス部31と、輝度画像生成部32と、本線系処理部33と、メモリインターフェース(以下、メモリIFと称す)34とを含んで構成される。
プリプロセス部31は、HDRセンサ14からの画素信号(画素データS1〜S3)に対して、超短露光時間T1の画素データS1を用いた固定パターンノイズの除去処理、クランプ処理などを行う。
【0062】
具体的に、固定パターンノイズの除去処理は、短露光時間T2及び標準露光時間T3の画素データから、超短露光時間T1の画素データを各対応する画素毎に減算する処理となる。つまり、超短露光時間T1の画素データは、リセット直後の画素信号に対応するデータであるため、電荷の蓄積量が少なく、固定パターンノイズの成分に支配されているので、このデータを、他の露光時間のデータから減算することで、固定パターンノイズの成分のみを除去することができる。
【0063】
また、クランプ処理は、HDRセンサ14からの画素データS1〜S3を受信し、それが遮光領域の信号か否かを検出し、遮光領域と検出された場合はその信号レベルが黒(基準)レベルになるように、全ての入力画素データの直流成分をクランプする処理となる。
そして、固定パターンノイズの除去処理及びクランプ処理を経た画素データS1〜S3は、メモリIF34を介して、フレームメモリ40にセンサセルアレイの画素の配列順と対応する順番で格納される。以下、露光時間T1〜T3にそれぞれ対応する撮像画像データ(1フレーム分の画素データ)を、画素データと同様に、撮像画像データS1〜S3と称す。
【0064】
輝度画像生成部32は、フレームメモリ40から、メモリIF34を介して、画素データS1及びS2を読み出し、読み出した画素データS1及びS2から、トーンマッピング処理のための輝度画像データPを生成する。
本線系処理部33は、フレームメモリ40から、メモリIF34を介して、撮像画像データS1〜S3を読み出すと共に、輝度画像データPを読み出して、これら読み出した画像データに基づき、HDR合成処理、トーンマップ処理、色処理、ガンマ変換処理を行う。そして、ガンマ変換後の画像データをLDR画像データとして、表示装置3に出力する。
【0065】
メモリIF34は、フレームメモリ40に対するデータの書き込み及びデータの読み出しを調停する機能を有している。具体的に、プリプロセス部31、輝度画像生成部32及び本線系処理部33からの、データの読出要求及び書込要求に応じて、正常に読み書きが行われるように、これらの調停を行う。そして、各構成部からの要求に応じた、フレームメモリ40からのデータの読み出し、及びフレームメモリ40へのデータの書き込み処理を実行する。
【0066】
次に、図6に基づき、輝度画像生成部32の詳細な構成を説明する。
ここで、図6は、輝度画像生成部32の詳細な構成を示すブロック図である。
輝度画像生成部32は、Line Memory(以下、LMと称す)320A及び320Bと、画素混合部321A及び321Bと、LM322と、HDR合成処理部323と、ぼかし処理部324と、LM325と、LM326とを含んだ構成となっている。
【0067】
LM320Aは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、超短露光時間T1の画素データS1を少なくとも2ライン単位で格納するためのメモリである。
LM320Bは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、短露光時間T2の画素データS2を少なくとも2ライン単位で格納するためのメモリである。
【0068】
画素混合部321Aは、LM320Aに格納された画素データS1における、カラーフィルタアレイ13で区分される2行×2列のR、G、G、BのCF部にそれぞれ対応する4画素の輝度値を混合する処理を行う。4画素の輝度値を混合して1画素の輝度値とした画素データは、1/4のサイズにリサイズされる。以下、リサイズ後の画素データS1を、画素データCS1と称す。
【0069】
画素混合部321Bは、LM320Bに格納された画素データS2における、カラーフィルタアレイ13で区分されるR、G、G、BのCF部にそれぞれ対応する4画素の輝度値を混合する処理を行う。以下、リサイズ後の画素データS2を、画素データCS2と称す。
LM322は、画素混合部321A及び321Bで混合された画素データCS1及びCS2を格納するメモリである。
【0070】
HDR合成処理部323は、画素混合部321Aで混合された画素データCS1と、画素混合部321Bで混合された画素データCS2とに対して、露光時間T1及びT2の比に応じたゲインで正規化処理を行う。更に、正規化したデータに対して、重み付け処理を行い、重み付けされた画素データCS1及びCS2を足し合わせて、輝度画像データ生成用のHDR画素データ(Y_RAW_HDR画素データ)を生成する。なお、Y_RAW_HDR画素データの1フレーム分のデータがY_RAW_HDR画像データとなる。
【0071】
ぼかし処理部324は、HDR合成処理部323で生成されたY_RAW_HDR画素データに対して、ローパスフィルター(以下、LPFと称す)を用いたぼかし処理を行って、輝度画像データPを生成する。このぼかし処理を行う目的は、Y_RAW_HDR画像データから照明光成分を分離し、分離した照明光成分の輝度画像を得るためである。また、輝度画像は、画素毎のゲインを算出することが目的で、画素毎もしくは領域毎にその輝度値が推定できればよいので、本実施形態では、1/4にリサイズした画素データCS1及びCS2から生成する。
【0072】
LM325は、ぼかし処理を行うのに必要な分のY_RAW_HDR画素データを格納するメモリである。例えば、LPFが5×5のサイズであれば、Y_RAW_HDR画素データの5行分のデータが格納される。
LM326は、ぼかし処理を行った後の輝度画像データPを格納するメモリである。輝度画像生成部32は、このメモリがいっぱいになると、格納された輝度画像データPを、メモリIF34を介して、フレームメモリ40に格納する。
【0073】
次に、図7に基づき、本線系処理部33の詳細な構成を説明する。
ここで、図7は、本線系処理部33の詳細な構成を示すブロック図である。
本線系処理部33は、図7に示すように、LM330A〜330Cと、HDR合成処理部331と、LM332と、輝度画像→ゲイン変換器333と、LUT(Lookup table)334と、トーンマップ用乗算器335とを含んだ構成となっている。
【0074】
本線系処理部33は、更に、色処理部336と、LM337と、ガンマ変換部338と、LUT339とを含んだ構成となっている。
LM330Aは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、超短露光時間T1の画素データS1をライン単位で格納するためのメモリである。
LM330Bは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、短露光時間T2の画素データS2をライン単位で格納するためのメモリである。
【0075】
LM330Cは、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、標準露光時間T3の画素データS3をライン単位で格納するためのメモリである。
HDR合成処理部331は、LM330A〜330Cに格納された画素データS1〜S3に対して、露光時間T1及びT3、並びにT2及びT3の比率に応じたゲインをそれぞれ求めると共に、求めたゲインによって画素データS1及びS2の正規化を行う。更に、正規化した画素データS1〜S2と、画素データS3とに対して、それぞれ重み付け処理を行う。更に、重み付けされた画素データS1〜S3を合成して、HDR画素データ(HDR_RAW画素データ)を生成する。例えば、画素データS1〜S3がそれぞれ10ビットのデータであるとして、16ビットのHDR画素データを生成する。なお、1フレーム分のHDR画素データが、HDR画像データ(HDR_RAW画像データ)となる。
【0076】
LM332は、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から読み出した、輝度画像データPを構成する複数の輝度画素データをライン単位で格納するためのメモリである。
輝度画像→ゲイン変換器333は、LM332に格納された輝度画素データの入力に対して、各輝度画素データの示す輝度値に対応したゲインを、LUT334から読み出して、トーンマップ用乗算器335に出力する。
【0077】
LUT334は、予め下式(1)に従って算出された、各輝度値Pに対するゲインK(P)を格納したデータテーブルである。本実施形態では、HDR画像データの輝度のヒストグラムを、ブロード化するゲインK(P)が格納されている。
K(P)=1/PLi (1)
但し、指数部iは、1以下の正の実数であり、PLは正規化された輝度値であり「0〜1」の範囲の値となる。
【0078】
トーンマップ用乗算器335は、HDR合成処理部331で生成されたHDR画像データを構成する各HDR画素データに対して、輝度画像→ゲイン変換器333から出力されるゲインを乗算することでトーンマッピングを行う。つまり、HDR画像データの各画素データの示す値Yと、トーンマッピング後の値Y’との間には、下式(2)の関係が成立する。
Y’=K(P)×Y (2)
【0079】
本実施形態では、1/4のサイズにリサイズされた輝度画像データPに対してゲイン分布を生成するので、輝度画像→ゲイン変換器333では、4画素の領域毎のゲインが生成されることになる。従って、トーンマップ用乗算器335においては、輝度画像→ゲイン変換器333から出力される1つのゲインを、HDR画像データにおけるカラーフィルタアレイ13で区分される4画素毎に対応するHDR画素データに対して乗算する。
【0080】
トーンマップ用乗算器335においてトーンマッピングしたHDR画素データは、色処理部336へと出力される。
色処理部336は、LM337に格納されたHDR画素データ(処理すべき画素のデータ)と、LM337に格納された、処理すべき画素の周辺のHDR画素データとを用いて色補間処理を行う。すなわち、LM337により遅延された、HDR画素データを用いて、画像の各点について、RGB色空間に規定される色信号(データ)を生成する処理(色信号処理)を行う。
【0081】
具体的に、色処理部336は、色補間処理によって、HDR画素データを、画素毎に、RGBの各色要素にそれぞれ対応するカラーHDR画素データに変換する。
これにより、画素毎に、Rの色要素に対応するR_HDR画素データ、Gの色要素に対応するG_HDR画素データ及びBの色要素に対応するB_HDR画素データを有するカラーHDR画素データが生成される。なお、1フレーム分の画素データS1〜S3に対応するカラーHDR画素データからカラーHDR画像データが構成される。
【0082】
LM337は、色処理に必要なトーンマッピング後の画素データをライン単位で格納するメモリである。
ここで、前記LPFを通過した前記輝度画像データPは、画像の局所領域においては、その領域を構成する画素の輝度画像データPがほぼ同じ値なので前記ゲインKもほぼ同じ値となる。そのため、撮像素子を構成する赤色、緑色、青色の画素のゲインが、局所的にみれば同じ値となることから、赤色、緑色、青色のバランスが崩れない。
【0083】
なお、トーンマップ用乗算器335と色処理部336の順番は逆でも良い。すなわち、HDR合成処理後のHDR_RAW画素データに対して色信号処理を施して、R、G、BのカラーHDR画素データを生成後、各々のR、G、Bに対してトーンマップ用の乗算を施す。この場合、乗算処理が3回必要となる。
ガンマ変換部338は、表示装置3の表示可能な階調範囲に対応するトーンカーブの情報が格納されたLUT339から、色処理部336で色処理後の各画素データの示す輝度値に対応した変換値を取得する。つまり、各画素データの示す輝度値を、トーンカーブにおける対応する変換値に置き換えることでガンマ変換を施す。
【0084】
例えば、HDRカラー画素データの階調範囲が20ビットで、表示装置3の表示可能な階調範囲が8ビットである場合は、LUT339に格納された、20ビットの階調範囲の輝度値を8ビットの階調範囲の輝度値に変換するトーンカーブの情報から、各入力輝度値に対応した変換値を取得する。このとき、表示装置3から、その表示可能な階調範囲が解る情報を取得するようにしてもよい。
【0085】
このようにして、トーンマッピングによってヒストグラムがブロード化されたHDRカラー画像データをガンマ変換し、20ビットの階調範囲のHDR画像データを、8ビットの階調範囲のLDRカラー画像データへと変換する。
LUT339は、少なくとも、表示装置3の表示可能な階調範囲に対応するトーンカーブの情報が格納されたデータテーブルである。
【0086】
次に、図8〜図10に基づき、本実施形態の動作を説明する。
ここで、図8は、HDRセンサ14からの画素データの出力形式の一例を示す図である。また、図9は、各フレームにおける画素データの出力タイミングの一例を示す図である。また、図10(a)は、HDR画像データのヒストグラムの一例を示す図であり、(b)は、トーンマップ処理によってブロード化されたヒストグラムの一例を示す図である。
【0087】
被写体の撮像が開始されると、被写体から反射された光は、レンズ11で集光されてマイクロレンズ12に入射される。レンズ11からの入射光は、マイクロレンズ12において平行化されて、カラーフィルタアレイ13の各CF部を介してセンサセルアレイの各画素に入射される。カラーフィルタアレイ13は、RGBの三原色に対応するCF部がベイヤ配列された構成となっているので、R光、G光及びB光のうち各CF部に対応した色要素の光のみが各画素に入射されることになる。
【0088】
一方、撮像が開始されると、開始ラインから順に1ラインずつ読み出し&リセットラインL3が設定されて、走査されたラインの各画素から画素信号S3が読み出され、その後、各画素の蓄積電荷がリセットされる。なお、最初に読み出される画素信号S3は、標準露光時間T3での露光がされていないため後段の各構成部において無視するように処理される。引き続き、各走査ラインに対して、各画素のリセット後において超短露光時間T1の経過タイミングで非破壊読み出しラインL1が設定され、画素信号S1が読み出される。引き続き、各走査ラインに対して、各画素のリセット後において短露光時間T2の経過タイミングで非破壊読み出しラインL2が設定され、画素信号S2が読み出される。そして、再び、開始ラインから順に読み出し&リセットラインL3が設定されて、走査されたラインの各画素から画素信号S3が読み出され、その後、各画素の蓄積電荷がリセットされる。このとき読み出される画素信号S3とその前に読み出された画素信号S1及びS2とが後段の各構成部において処理対象となる。
以降、撮像が行われている間は、上記のL1〜L3の設定、画素信号S1〜S3の読み出し及びリセット処理が繰り返し行われる。
【0089】
このようにして読み出された画素信号S1〜S3は、ライン毎に、第1ラインメモリ〜第3ラインメモリにそれぞれ格納されライン単位で選択回路へと出力される。選択回路からは、S1〜S3の順でアナログの画素データS1〜S3がADCに出力される。ADCは、アナログの画素データS1〜S3を、デジタルの画素データS1〜S3に変換する。そして、ADCからは、図8に示すように、ライン単位でS1〜S3の順に画素データが順次、HDR信号処理部30へと出力される。つまり、HDR信号処理部30には、図9に示すように、画素データS3に先行して、画素データS1〜S2が順に入力される。
【0090】
一方、HDR信号処理部30は、HDRセンサ14からの画素データS1〜S3をS1から順番に受信すると、プリプロセス部31において、受信した順に画素データに対して、固定パターンノイズの除去処理、及びクランプ処理を施す。そして、これらの処理が施された画素データを、メモリIF34を介して、S1〜S3の順にフレームメモリ40に格納する。
【0091】
また、フレームメモリ40に画素データS1〜S2が格納されると、輝度画像生成部32は、格納された画素データS1〜S2を、メモリIF34を介して読み出す。そして、読み出した画素データS1をLM320Aに、画素データS2をLM320Bにそれぞれ格納する。輝度画像生成部32は、LM320A及び320Bに、1ライン分の画素データS1〜S2が格納されると、格納された画素データS1〜S2を、画素混合部321A及び321Bに出力する。画素混合部321A及び321Bは、入力された画素データS1〜S2をLM322に格納する。そして、LM322に、処理対象の2ライン分の画素データS1〜S2が格納されると、画素混合部321Aにおいて、画素データS1の画素混合処理が、画素混合部321Bにおいて、画素データS2の画素混合処理がそれぞれ実行される。具体的に、ベイヤ配列で区分された2行×2列の4つの画素毎に、これらの画素に対応するR、G、G、Bの4つの色要素に対応する画素データを混合する。
【0092】
図2に示す、「R00、G01、G10、B11」の4画素に着目すると、画素データの混合は、例えば、混合後の画素データの示す輝度値をCSとすると、「CS=R00+G01+G10+B11」のように行う。つまり、2つのG光の画素データの示す輝度値と、R光及びB光の画素データの示す輝度値とを足し合わせて、各4画素の領域の代表の輝度値を決定する。
これによって、撮像画像データS1及びS2を構成する画素データS1及びS2は4画素のデータが1画素のデータに変換され、撮像画像が、それぞれ1/4のサイズにリサイズされる。画素混合部321A及び321Bは、画素混合処理後の画素データCS1及びCS2を、HDR合成処理部323に出力する。
【0093】
HDR合成処理部323は、画素データCS1及びCS2が入力されると、まず、画素データCS1を、露光時間T1及びT2の比率に応じたゲインによって正規化する。次に、正規化した画素データCS1と画素データCS2とに対して、重み付け処理を行う。次に、重み付け処理を施した画素データCS1及びCS2を足し合わせることで、輝度画像データ生成用のHDR画素データ(Y_RAW_HDR画素データ)を生成する。
HDR合成処理部323は、生成したY_RAW_HDR画素データを、ぼかし処理部324に出力する。
【0094】
ぼかし処理部324は、HDR合成処理部323から、Y_RAW_HDR画素データが入力されると、これをLM325に格納する。そして、LM325に、処理に必要な分のY_RAW_HDR画素データが格納されると、格納されたY_RAW_HDR画素データを読み出し、読み出したデータに対してLPFを用いたフィルタ処理を行う。このフィルタ処理は、単純な平均化処理でもよいし、各画素データ毎に重み付けをしてもよい。
【0095】
このようにして、Y_RAW_HDR画素データに対して、ぼかし処理が施されると、その画素データに対する輝度画素データが生成される。つまり、反射率成分が低減され、照明光成分を多く含む画素データが生成される。ぼかし処理部324は、生成した輝度画素データをLM326に格納する。輝度画像生成部32は、LM326がいっぱいになった時点で、格納された輝度画素データを、メモリIF34を介して、フレームメモリ40に格納する。なお、画素データS1及びS2の1フレーム分のデータに対する輝度画素データによって輝度画像データPが構成される。
【0096】
一方、本線系処理部33は、フレームメモリ40に輝度画素データが格納されると、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から輝度画素データを読み出して、LM332に格納する。LM332に輝度画素データが格納されると、輝度画像→ゲイン変換器333は、格納された各輝度画素データを順次読み出して、そのデータの示す輝度値に対応したゲインを、LUT334から取得して、取得したゲインをトーンマップ用乗算器335に出力する。
【0097】
また、本線系処理部33は、フレームメモリ40に画素データS3が格納されると、メモリIF34を介して、フレームメモリ40から、画素データS1〜S3を読み出し、読み出した画素データS1〜S3を、それぞれ対応するLM330A〜330Cに格納する。
HDR合成処理部331は、LM330A〜330Cに画素データS1〜S3が格納されると、まず、露光時間T1及びT3、並びにT2及びT3の比率に応じたゲインG11及びG12をそれぞれ求める。次に、LM330A〜330Cから画素データS1〜S3を読み出し、読み出した画素データS1に対してゲインG11を乗算し、読み出した画素データS2にゲインG12を乗算することで、画素データS1及びS2の正規化を行う。
【0098】
次に、正規化した画素データS1〜S2と、画素データS3とに対して、それぞれ重み付け処理を行う。そして、重み付けされた画素データS1〜S3を合成して、HDR画素データ(HDR_RAW画素データ)を生成する。生成したHDR_RAW画素データは、トーンマップ用乗算器335に出力される。
ここでは、LUT334に、上式(2)において、iを「0.6」に設定した下式(3)によって算出したゲインK(P)を登録していることとする。
K(P)=1/PL0.6 (3)
【0099】
上式(3)において、PLは、HDR_RAW画素データの階調範囲の輝度値を0〜1の範囲に正規化した値である。例えば、HDR_RAW画素データの階調範囲が20ビットであれば、最小値「0」〜最大値「20’hFFFFF(16進数)」の範囲の輝度値Yを「220」で除算することで正規化される。
上式(3)で算出されたゲインK(P)は、PLが1に近い(明るい)ほどその値を保持し、PLが0に近い(暗い)ほどその値を明るく持ち上げる特性を有している。
【0100】
トーンマップ用乗算器335は、HDR合成処理部331から入力されたHDR_RAW画素データの示す輝度値に、輝度画像→ゲイン変換器333から入力されたゲインを乗算して、その乗算結果を色処理部336に出力する。
ここで、トーンマップ用乗算器335において、ゲインを乗算する前のHDR_RAW画像データの輝度のヒストグラムは、図10(a)に示すように、PLが0に近い暗部(図10(a)中の丸で囲った部分)において画素数の多い突出した部分を有している。一方、ゲインを乗算して、トーンマッピングを施した後のHDR_RAW画像データの輝度のヒストグラムは、図10(b)に示すように、暗部が図10(b)中の丸で囲った範囲に渡って広がり、明部は現状が維持されて、全体的にブロード化されたものとなる。
【0101】
色処理部336は、トーンマップ用乗算器335から入力されたHDR_RAW画素データを、LM337に格納し、処理に必要なHDR_RAW画素データがLM337に格納されると、格納されたHDR_RAW画素データを読み出す。
そして、読み出したデータに対して、色補間処理を施し、画素毎に、Rの色要素に対応するR_HDR画素データ、Gの色要素に対応するG_HDR画素データ及びBの色要素に対応するB_HDR画素データを有するカラーHDR画素データを生成する。生成されたカラーHDR画素データは、ガンマ変換部338に出力される。
【0102】
ガンマ変換部338は、色処理部336から、カラーHDR画素データが入力されると、表示装置3の表示可能な階調範囲に対応したトーンカーブの情報が格納されたLUT339から、入力された各画素データの示す輝度値に対応する変換値を読み出す。そして、この読み出した変換値をガンマ変換後の値とすることで、カラーHDR画素データに対して、ガンマ変換を施す。このガンマ変換後の画素データが、カラーLDR画素データとなる。
【0103】
例えば、表示装置3の表示可能な階調範囲が8ビットであるとすると、8ビットのカラーLDR画像データが、ガンマ変換によって生成される。カラーLDR画像データは、RGBビデオ出力信号として、表示装置3に出力される。
なお、上記したように、各フレームの画素信号S1〜S3は、画素データS1→S2→S3の順番でフレームメモリ40に格納される。
【0104】
そして、本線系処理部33においては、上記したように、画素データS1〜S3を全て用いてHDR画像データを生成する処理(本線系処理)が行われる。
従って、本実施形態では、本線系処理の開始タイミングを、図9の本線系VSYNC0〜2に示すように、フレームメモリ40に各フレームの最初の画素データS3(ライン単位)が格納されたタイミングとしている。各フレームにおいては、新たな画素データS3が格納される毎に、順次、パイプライン処理のごとく本線系処理が行われる。
【0105】
また、上記したように、輝度画像生成部32及び本線系処理部33においては、画素データS1〜S2を用いて輝度画像データPを生成し、輝度画像データPからトーンマッピングのためのゲインを求める処理(TM系処理)が行われる。
従って、本実施形態では、TM系処理の開始タイミングを、図9のTM系VSYNC1〜2に示すように、フレームメモリ40に各フレームの最初の画素データS2(ライン単位)が格納されたタイミングとしている。各フレームにおいては、新たな画素データS2が格納される毎に、順次、パイプライン処理のごとくTM系処理が行われる。
【0106】
その結果、各フレームにおける、本線系処理の開始タイミングと、TM系処理の開始タイミングとには、図9に示す時間差が発生する。この時間差において、TM系処理を完了させ、生成した輝度画像データPをフレームメモリ40に格納することができれば、本線系処理と、TM系処理との一方を遅延させることなく合わせることができる。本実施形態では、時間差の間にTM系処理を完了させるようにしている。つまり、タイミングを合わせるための遅延素子を不要とした構成としている。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置2は、輝度画像生成部32において、標準露光時間T3の取得に先立って取得される、超短露光時間T1及び短露光時間T2の画素データS1及びS2を使って輝度画像データPを生成し、それをフレームメモリ40に格納することができる。そして、本線系処理部33が、標準露光時間T3の画素データS3を取得して、画素データS1〜S3からHDR画像データを生成すると、生成したHDR画像データに対して、フレームメモリに格納した輝度画像データPを使って、トーンマッピングを行うことができる。
これによって、HDR画像データを生成する本線系処理と、輝度画像データPを生成するTM系処理とのタイミングを合わせるための遅延素子を不要とすることができる。
【0108】
更に、輝度画像データPの生成に、非破壊読み出しで取得した画素データS1及びS2を用いるようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、色相の維持ができる。
更に、輝度画像データPに基づき、HDR画像データに対して、トーンマップ処理を施すようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、階調性を維持し、色再現性の良い映像を出力することができる。
【0109】
更に、輝度画像データPの生成において、画素データS1及びS2をリサイズして、リサイズした画素データを合成して輝度画像生成用のHDR画像データを生成し、これにLPFによるフィルタ処理を施すようにした。
これによって、フィルタ処理を軽減できると共に、リサイズによって輝度画像データPを1/4のサイズにすることができるので、ラインメモリを小さくでき、より安価な構成とすることができる。
上記第1実施形態において、プリプロセス部31は、形態1、4及び9のいずれか1に記載の画像データ取得手段に対応し、輝度画像生成部32、LM332、輝度画像→ゲイン変換器333及びLUT334は、形態1、4、7、9、10、13、14及び16のいずれか1に記載のゲイン分布生成手段に対応する。
【0110】
また、上記第1実施形態において、トーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339は、形態1、11、17及び18のいずれか1に記載の階調変換手段に対応する。
また、上記第1実施形態において、トーンマップ用乗算器335におけるHDR合成処理部331からHDR_RAW画素データを取得する機能部は、形態1の合成画像データ取得手段に対応する。
【0111】
また、上記第1実施形態において、LM330A〜330C及びHDR合成処理部331は、形態3又は4に記載の合成画像データ生成手段に対応する。
また、上記第1実施形態において、プリプロセス部31における画素データS1〜S2の取得処理は、形態21に記載の画像データ取得ステップに対応し、輝度画像生成部32、LM332、輝度画像→ゲイン変換器333及びLUT334によるゲインの生成処理は、形態21に記載のゲイン分布生成ステップに対応する。
【0112】
また、上記第1実施形態において、LM330A〜330C及びHDR合成処理部331におけるHDR画像データの生成処理は、形態21に記載の合成画像データ取得ステップに対応する。
また、上記第1実施形態において、トーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339によるHDR画像データの階調を変換する処理は、形態21に記載の階調変換ステップに対応する。
【0113】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づき説明する。図11は、本発明に係る撮像制御装置、撮像装置及び撮像制御方法の第2実施形態を示す図である。
本実施形態は、上記第1実施形態の撮像素子10におけるHDRセンサ14が、感度の異なる2種類の画素群から構成されたセンサセルアレイを有し、異なる感度の画素で撮像した2種類の画素データSL及びSHを出力する点が異なる。ここで、画素データSLの方が画素データSHよりも低感度の画素で撮像されたデータであるとする。
【0114】
更に、本実施形態は、撮像制御装置の構成が、上記第1実施形態の撮像制御装置と異なり、画素データSL及びSHからHDR画像データを生成する本線系処理を行い、一方、画素データSLから輝度画像データPを生成するTM系処理を行う。
まず、本発明に係る撮像制御装置の構成を図11に基づき説明する。図11は、本実施形態に係る撮像制御装置50の詳細な構成を示すブロック図である。
図11に示すように、撮像装置4は、撮像素子15と、撮像制御装置50とを含んで構成される。
【0115】
撮像素子15は、上記第1実施形態の撮像素子10と同様のレンズ11、マイクロレンズ12、カラーフィルタアレイ13を備えている。そして、比較的感度の低い画素で被写体を撮像して得られた低感度画素データSLと、比較的感度の高い画素で被写体を撮像して得られた高感度画素データSHとを同じタイミングで出力する。
具体的に、サイズが異なる2種類の画素群からセンサセルアレイを構成する。これによって、同じ露光時間に対して、サイズの大きい方が高感度(受光量大)に、サイズの小さい方が低感度(受光量小)となる。
【0116】
また、本実施形態では、センサセルアレイは、上記第1実施形態とは異なり、CCD(Charge Coupled Device)で構成されている。
撮像制御装置50は、輝度画像生成部51と、輝度画像→ゲイン変換器52と、LUT53と、HDR合成処理部54と、遅延部55と、補正部56とを含んだ構成となっている。なお、撮像制御装置50には、上記第1実施形態と同様に、表示装置3が接続されるものとする。
【0117】
輝度画像生成部51は、上記第1実施形態の輝度画像生成部32から、HDR合成処理部323とこれに関連するLMを除いた構成となっており、低感度画素データSLに対して画素混合処理を行う画素混合部を備えている。更に、画素混合処理を施してリサイズされた低感度画素データSL’に対して上記第1実施形態のぼかし処理部324と同様のぼかし処理を行うぼかし処理部を備えている。ぼかし処理後の画素データは、輝度画素データとして、輝度画像→ゲイン変換器52に出力される。
【0118】
輝度画像→ゲイン変換器52は、輝度画像生成部51から入力される輝度画素データの示す輝度値に対応したゲインを、LUT53から取得して、補正部56に出力する。即ち、入力される輝度画素データの生成工程が異なるのみで、上記第1実施形態の輝度画像→ゲイン変換器333と同様となる。
LUT53は、上記第1実施形態のLUT334と同様に、輝度画素データの輝度値に対応するゲインK(Y)のデータテーブルを格納したものである。
【0119】
HDR合成処理部54は、撮像素子15から入力される低感度画素データSL及び高感度画素データSHに対して、感度の比率に応じたゲインを算出し、算出したゲインを用いて、低感度画素データSLの正規化を行う。更に、正規化した低感度画素データと、高感度画素データSHに対して重み付け処理を行い、重み付け処理後のSL及びSHを足し合わせることで、HDR_RAW画素データを生成する。生成したHDR_RAW画素データは、遅延部55に出力される。
【0120】
遅延部55は、HDR合成処理部54から入力されたHDR_RAW画素データを、輝度画像→ゲイン変換器52のゲインの出力タイミングとタイミングが合うように所定時間だけ遅延させてから、補正部56に出力する。
補正部56は、上記第1実施形態と同様のトーンマップ用乗算器335と、色処理部336と、LM337と、ガンマ変換部338と、LUT339とを含んで構成される。
【0121】
従って、トーンマップ用乗算器335は、遅延部55から入力されたHDR_RAW画素データに、輝度画像→ゲイン変換器52から入力されたゲインを乗算して、HDR_RAW画素データをトーンマッピングする。更に、色処理部336は、トーンマッピングされたHDR_RAW画素データに対して、色補間処理を施して、画素毎に、R_HDR画素データ、G_HDR画素データ及びB_HDR画素データを有するカラーHDR画素データを生成する。更に、ガンマ変換部338は、撮像制御装置50に接続された表示装置3の表示可能な階調範囲に対応したトーンカーブの情報が格納されたLUT339から、入力された各画素データの示す輝度値に対応する変換値を読み出す。そして、入力された輝度値を、この読み出した変換値に置き換えることで、カラーHDR画素データに対して、ガンマ変換を施す。このガンマ変換後の画素データが、カラーLDR画素データとなる。カラーLDR画素データは、RGBビデオ出力信号として、表示装置3に出力される。
【0122】
次に、本実施形態の実際の動作を説明する。
被写体の撮像が開始されると、被写体から反射された光は、レンズ11で集光されてマイクロレンズ12に入射される。レンズ11からの入射光は、マイクロレンズ12において平行化されて、カラーフィルタアレイ13の各CF部を介してセンサセルアレイの各画素に入射される。
低感度の画素群からは、撮像によって得られた低感度画素データSLが、高感度の画素群からは、撮像によって得られた高感度画素データSHが、それぞれ撮像制御装置50に出力される。具体的に、低感度画素データSLが、輝度画像生成部50及びHDR合成処理部54に出力され、高感度画素データSHが、HDR合成処理部54に出力される。
【0123】
一方、撮像制御装置50は、撮像素子15からの画素データSL及びSHを受信すると、輝度画像生成部51において、低感度画素データSLを、画素混合部に出力する。画素混合部は、入力された低感度画素データSLの画素混合処理を実行する。具体的に、ベイヤ配列で区分された2行×2列の4つの画素毎に、これらの画素に対応するR、G、G、Bの4つの色要素に対応する画素データを混合する。
これによって、低感度画素データSLは4画素のデータが1画素のデータに変換され、低感度の画素で撮像して得られた低感度撮像画像データが、1/4のサイズにリサイズされる。画素混合部は、画素混合処理後の低感度画素データCSLを、ぼかし処理部に出力する。
【0124】
ぼかし処理部は、画素混合部から、低感度画素データCSLが入力されると、入力されたデータに対してLPFを用いたフィルタ処理を行う。
このようにして、低感度画素データCSLに対して、ぼかし処理が施されると、その画素データに対する輝度画素データが生成される。ぼかし処理部は、生成した輝度画素データを、輝度画像→ゲイン変換器52に出力する。
輝度画像→ゲイン変換器52は、入力された各輝度画素データの示す輝度値に対応したゲインを、LUT53から取得して、取得したゲインを補正部56のトーンマップ用乗算器に出力する。ここでは、LUT53に、上式(3)によって算出したゲインK(Y)を登録していることとする。
【0125】
一方、輝度画素データを生成し、生成した輝度画素データをゲインに変換する処理と並列して、HDR合成処理部54では、入力された低感度画素データSLと、高感度画素データSHからHDR_RAW画素データを生成する処理を実行する。
具体的に、HDR合成処理部54は、まず、感度の比率に応じたゲインを求める。次に、低感度画素データSLに対してゲインを乗算することで、低感度画素データSLの正規化を行う。
【0126】
次に、正規化した低感度画素データSLと、高感度画素データSHとに対して、それぞれ重み付け処理を行う。そして、重み付けされた低感度画素データSLと高感度画素データSHとを合成して、HDR画素データ(HDR_RAW画素データ)を生成する。生成したHDR_RAW画素データは、遅延部55に出力される。
遅延部55は、HDR合成処理部54から入力されたHDR_RAW画素データを遅延させて、補正部56に出力する。
つまり、輝度画像生成部51及び輝度画像→ゲイン変換器52で行われる処理にかかる時間よりも、HDR合成処理部54で行われる処理にかかる時間の方が短いため、その分を遅延部55で吸収する。
【0127】
補正部56は、遅延部55からHDR_RAW画素データが入力され、輝度画像→ゲイン変換器52からゲインが入力されると、トーンマップ用乗算器335において、HDR_RAW画素データの示す輝度値にゲインを乗算して、その乗算結果を色処理部336に出力する。
具体的に、輝度画像データPは、HDR_RAW画像データに対して、1/4のサイズとなるので、HDR_RAW画像データの4つの画素データに対して、1つの輝度画素データが対応する。従って、1つのゲインによって、ベイヤ配列で区分される各4つのHDR_RAW画素データがトーンマッピングされることになる。
これにより、HDR_RAW画像データの輝度のヒストグラムは、全体的にブロード化されたものとなる。
【0128】
色処理部336は、トーンマップ用乗算器335から入力されたゲインを乗算後のHDR_RAW画素データに対して、色補間処理を施し、カラーHDR画素データを生成する。生成されたカラーHDR画素データは、ガンマ変換部338に出力される。
ガンマ変換部338は、色処理部336から、カラーHDR画素データが入力されると、このカラーHDR画素データに対して、ガンマ変換を施す。このガンマ変換後の画素データが、カラーLDR画素データとなる。LDR画像データは、RGBビデオ出力信号として、表示装置3に出力される。
【0129】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置4は、輝度画像生成部51において、撮像素子15から入力される、低感度画素データSLを使って輝度画像データPを生成し、生成した輝度画像データPを輝度画像→ゲイン変換器52において、ゲインに変換することができる。
また、これらの処理と並列して、HDR合成処理部54において、撮像素子15から入力される、低感度画素データSL及び高感度画素データSHからHDR画像データを生成することができる。そして、遅延部55において、生成したHDR画像データの補正部56への出力を、ゲインの出力に合わせて遅延させることができる。更に、トーンマップ用乗算器335において、輝度画像→ゲイン変換器52から入力されるゲインを、遅延部55から入力される輝度画素データに乗算することで、トーンマッピングを行うことができる。
【0130】
これによって、輝度画像データPの生成に、同じ被写体に対して同じ露光時間で2種類の感度で撮像して得られた低感度画素データSL及び高感度画素データSHのうち、低感度画素データSLを用いるようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、色相の維持ができる。
更に、輝度画像データPに基づき、HDR画像データに対して、トーンマップ処理を施すようにしたので、全ダイナミックレンジにおいて、階調性を維持し、色再現性の良い映像を出力することができる。
【0131】
更に、撮像制御装置50は、輝度画像データPの生成において、低感度画素データSLを画素混合処理によってリサイズし、リサイズした画素データにLPFによるフィルタ処理を施して輝度画像データPを生成することができる。
これによって、フィルタ処理を軽減できると共に、リサイズによって輝度画像データPを1/4のサイズにすることができるので、ラインメモリを小さくでき、より安価な構成とすることができる。
【0132】
上記第2実施形態において、輝度画像生成部51における低感度画素データSLを取得する機能は、形態5又は8に記載の画像データ取得手段に対応し、輝度画像生成部51、輝度画像→ゲイン変換器52及びLUT53は、形態5、7、8、10、13、14及び16のいずれか1に記載のゲイン分布生成手段に対応する。
また、上記第2実施形態において、トーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339は、形態5、11、17及び18のいずれか1に記載の階調変換手段に対応する。
【0133】
また、上記第2実施形態において、HDR合成処理部54は、形態5に記載の合成画像データ取得手段、及び形態6に記載の合成画像データ生成手段に対応する。
また、上記第2実施形態において、輝度画像生成部51における低感度画素データSLを取得する処理は、形態22に記載の画像データ取得ステップに対応し、輝度画像生成部51、輝度画像→ゲイン変換器52及びLUT53によるゲインの生成処理は、形態22に記載のゲイン分布生成ステップに対応する。
【0134】
また、上記第2実施形態において、HDR合成処理部54におけるHDR画像データの生成処理は、形態22に記載の合成画像データ取得ステップに対応する。
また、上記第2実施形態において、補正部56のトーンマップ用乗算器335、色処理部336、LM337、ガンマ変換部338及びLUT339によるHDR画像データの階調を変換する処理は、形態22に記載の階調変換ステップに対応する。
【0135】
なお、上記各実施形態において、輝度画像データPの生成に用いる画像データをリサイズする構成としたが、この構成に限らず、リサイズせずにぼかし処理を適用して輝度画像データを生成する構成としてもよい。
また、上記各実施形態において、HDR信号処理部30が、撮像素子10又は15から露光時間の長さ又は感度の異なる複数種類の画像データを取得し、取得した複数種類の画像データを合成して、HDR画像データを生成する構成を例として説明したが、この構成に限らない。
【0136】
例えば、撮像素子10又は15がHDR画像データを生成する手段を有する構成、又は外部の別の装置が撮像素子10又は15から取得した画像データを用いてHDR画像データを生成する構成としてもよい。この構成であれば、HDR信号処理部30から、LM330A〜330C及びHDR合成処理部331を取り除くことが可能となる。
この場合に、撮像素子10若しくは15、又は外部の装置からHDR画像データを取得する機能は、形態1の合成画像データ取得手段に対応する。
【0137】
また、上記各実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
1…撮像システム、2,4…撮像装置、3…表示装置、10,15…撮像素子、11…レンズ、12…マイクロレンズ、13…カラーフィルタアレイ、14…HDRセンサ、20,50…撮像制御装置、30…HDR信号処理部、31…プリプロセス部、32,51…輝度画像生成部、33…本線系処理部、34…メモリIF、40…フレームメモリ、55…遅延部、56…補正部、320A,320B,322,325,326,330A〜330C,332,337…ラインメモリ、321A〜321B…画素混合部、54,323,331…HDR合成処理部、324…ぼかし処理部、52,333…輝度画像→ゲイン変換器、53,334,339…LUT、335…トーンマップ用乗算器、336…色処理部、338…ガンマ変換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備えることを特徴とする撮像制御装置。
【請求項2】
前記撮像素子は、各画素から蓄積電荷を維持したまま前記蓄積電荷に応じた画素信号を読み出す非破壊読み出し方式で画素信号を読み出すことが可能であり、露光時間の短い順に前記長さの異なる複数の露光時間で前記各画素を露光すると共に、露光した各画素から前記非破壊読み出し方式で前記画素信号を読み出し、読み出した順番に前記画素信号のデータを出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像制御装置。
【請求項3】
前記撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して前記第1の合成画像データを生成する合成画像データ生成手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像制御装置。
【請求項4】
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いられる前記少なくとも2以上の画像データのうち、最長の露光時間の画像データよりも短い露光時間の画像データを、少なくとも、前記合成画像データ生成手段が前記最長の露光時間の画像データを取得するよりも先行して取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記先行して取得した短い露光時間の画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項3に記載の撮像制御装置。
【請求項5】
感度の異なる複数の画素群を有する撮像素子において前記複数の画素群で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備えることを特徴とする撮像制御装置。
【請求項6】
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項7】
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いる3以上の画像データのうちから2以上の画像データを取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した2以上の画像データを合成して第2の合成画像データを生成し、生成した第2の合成画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項8】
前記第1の合成画像データにおける各画素データの示す値をYとし、前記輝度画像データにおける各画素データの示す値をPとし、前記Yに対応するゲインをK(P)とすると、前記階調変換手段で階調変換後の画素データの示す値Y’は、下式(1)で算出されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の撮像制御装置。
Y’=K(P)×Y (1)
【請求項9】
指数部iを1以下の正の実数とし、前記輝度画像データの各画素データの示す輝度値を0〜1の範囲で正規化した値をPLとして、前記ゲインK(P)は、下式(2)で算出されることを特徴とする請求項8に記載の撮像制御装置。
K(P)=1/PLi (2)
【請求項10】
前記ゲイン分布生成手段は、所定の輝度値に対する前記ゲインK(P)のデータが登録されたルックアップテーブルを有し、前記輝度画像データの複数の画素データの各々に対して、前記ルックアップテーブルから対応するゲインKを取得することで前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の撮像制御装置。
【請求項11】
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データを構成する複数の画素データの各々の示す輝度値を所定数の画素郡毎に合成して画像データのサイズを縮小化し、該縮小化した画像データに基づき、前記ゲイン分布として前記画素群毎のゲインの分布を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項12】
長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して、前記複数の露光時間に対応する複数の画像データを出力する撮像素子と、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の撮像制御装置と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップで取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成ステップと、
前記ゲイン分布生成ステップで生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得ステップで取得した前記第1の合成画像データの階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換ステップと、を含むことを特徴とする撮像制御方法。
【請求項1】
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備えることを特徴とする撮像制御装置。
【請求項2】
前記撮像素子は、各画素から蓄積電荷を維持したまま前記蓄積電荷に応じた画素信号を読み出す非破壊読み出し方式で画素信号を読み出すことが可能であり、露光時間の短い順に前記長さの異なる複数の露光時間で前記各画素を露光すると共に、露光した各画素から前記非破壊読み出し方式で前記画素信号を読み出し、読み出した順番に前記画素信号のデータを出力することを特徴とする請求項1に記載の撮像制御装置。
【請求項3】
前記撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して前記第1の合成画像データを生成する合成画像データ生成手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像制御装置。
【請求項4】
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いられる前記少なくとも2以上の画像データのうち、最長の露光時間の画像データよりも短い露光時間の画像データを、少なくとも、前記合成画像データ生成手段が前記最長の露光時間の画像データを取得するよりも先行して取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記先行して取得した短い露光時間の画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項3に記載の撮像制御装置。
【請求項5】
感度の異なる複数の画素群を有する撮像素子において前記複数の画素群で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段で取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成手段と、
前記ゲイン分布生成手段で生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得手段で取得した前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換手段と、を備えることを特徴とする撮像制御装置。
【請求項6】
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項7】
前記画像データ取得手段は、前記第1の合成画像データの生成に用いる3以上の画像データのうちから2以上の画像データを取得し、
前記ゲイン分布生成手段は、前記画像データ取得手段で取得した2以上の画像データを合成して第2の合成画像データを生成し、生成した第2の合成画像データに対して、その画像の照明光成分を抽出するフィルタ処理を施して輝度画像データを生成し、生成した輝度画像データに基づき、前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項8】
前記第1の合成画像データにおける各画素データの示す値をYとし、前記輝度画像データにおける各画素データの示す値をPとし、前記Yに対応するゲインをK(P)とすると、前記階調変換手段で階調変換後の画素データの示す値Y’は、下式(1)で算出されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の撮像制御装置。
Y’=K(P)×Y (1)
【請求項9】
指数部iを1以下の正の実数とし、前記輝度画像データの各画素データの示す輝度値を0〜1の範囲で正規化した値をPLとして、前記ゲインK(P)は、下式(2)で算出されることを特徴とする請求項8に記載の撮像制御装置。
K(P)=1/PLi (2)
【請求項10】
前記ゲイン分布生成手段は、所定の輝度値に対する前記ゲインK(P)のデータが登録されたルックアップテーブルを有し、前記輝度画像データの複数の画素データの各々に対して、前記ルックアップテーブルから対応するゲインKを取得することで前記ゲイン分布を生成することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の撮像制御装置。
【請求項11】
前記ゲイン分布生成手段は、処理対象の画像データを構成する複数の画素データの各々の示す輝度値を所定数の画素郡毎に合成して画像データのサイズを縮小化し、該縮小化した画像データに基づき、前記ゲイン分布として前記画素群毎のゲインの分布を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の撮像制御装置。
【請求項12】
長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して、前記複数の露光時間に対応する複数の画像データを出力する撮像素子と、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の撮像制御装置と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
撮像素子において長さの異なる複数の露光時間で被写体を撮像して得られた複数の画像データのうち、少なくとも1の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記複数の画像データのうち、少なくとも2以上の画像データを合成して得られる第1の合成画像データを取得する合成画像データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップで取得した前記画像データに基づき、前記第1の合成画像データの輝度の階調範囲の圧縮に用いるゲイン係数の分布であるゲイン分布を生成するゲイン分布生成ステップと、
前記ゲイン分布生成ステップで生成したゲイン分布に基づき、前記合成画像データ取得ステップで取得した前記第1の合成画像データの階調範囲を、当該階調範囲よりも狭い範囲に変換する階調変換ステップと、を含むことを特徴とする撮像制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−10108(P2011−10108A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152604(P2009−152604)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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