説明

撮像本体部及びそれを備えた撮像装置

【課題】薄型でありながら、受光部の大きなサイズの撮像素子を用いることが可能な撮像本体部、及びそれを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】撮影光学系10が脱着される脱着部2と、光路分割手段3と、撮像素子4と、変換光学系5,5’を有する撮像本体部1であって、変換光学系5,5’は、前側レンズ系5a,5c,5dと後側レンズ系後側レンズ系で構成され、光路分割手段3を第1の位置と第2の位置で移動させる第1移動機構6と、前側レンズ系5a,5c,5dを第1の位置と第3の位置で移動させる第2移動機構9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系が脱着可能な撮像本体部、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影目的に応じて撮像素子をサイズの異なるものと交換できるカメラが知られている(特許文献1参照)。このカメラは、略横長の箱型のカメラ本体と、銀塩一眼レフカメラ用の撮影レンズとを備えている。カメラ本体は、銀塩一眼レフカメラ用のカメラ本体をそのまま流用している。裏蓋としては、銀塩カメラ用のものと、デジタルカメラ用のものがある。そして、デジタルカメラ用の裏蓋をカメラ本体に装着することができ、これにより、デジタルカメラとして使用可能となる。さらに、CCD基板を交換することができるようになっている。これにより、一つのカメラ本体2で異なるデジタルカメラを構成することができる。
【特許文献1】特開2000−59655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された技術では、交換可能なCCDは、それぞれ受光部のサイズが、横16mm×縦12mmと横24mm×縦18mmである。これは、銀塩フィルムのサイズ横36mm×縦24mmよりも小さい。そのため、受光部の大きなサイズの撮像素子を用いることができなかった。
【0004】
本発明は従来技術のこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄型でありながら、受光部の大きなサイズの撮像素子を用いることが可能な撮像本体部、及びそれを備えた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の撮像本体部は、撮影光学系が脱着される脱着部と、光路分割手段と、撮像素子と、変換学光学系を有する撮像本体部であって、前記変換光学系は、前側レンズ系と後側レンズ系で構成され、前記光路分割手段を第1の位置と第2の位置で移動させる第1移動機構と、前記前側レンズ系を前記第1の位置と第3の位置で移動させる第2移動機構を備えることを特徴とする。
【0006】
また、前記光路分割手段が前記第2の位置に移動した時に、前記第2の移動機構は前記前側レンズ系を前記第1の位置に移動させることを特徴とする。
【0007】
また、前記変換光学系は、前記撮像本体内部に中間像を形成しない光学系であることを特徴とする。
【0008】
また、前記変換光学系は、前記撮像本体内部に中間像を形成する光学系であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、上記の撮像本体部と前記撮影光学系を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明によると、薄型でありながら、受光部の大きなサイズの撮像素子を用いることが可能な撮像本体部、及びそれを備えた撮像装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態について説明する。本実施形態の撮像本体部を図1に示す。図1において、撮像本体部1は、脱着部2と、光路分割手段3と、撮像素子4と、変換学光学系5と、第1の移動機構6とファインダー光学系7と、第2の移動機構9を有する。脱着部2は、例えば、バヨネットリングである。この脱着部2を介して、撮影光学系が脱着できるようになっている。
【0012】
光路分割手段3は、例えばミラー(クイックリターンミラー)である。このミラーは駆動機構6によって、第1の位置と第2の位置に移動可能になっている。第1の位置は実線で示す位置である。この第1の位置は、脱着部2と撮像素子4の間である。また、第2の位置は破線で示す位置である。この第2の位置は、第1の位置にある光路分割手段3を45度回転させた位置で、ファインダー光学系7の近傍の位置である。
【0013】
撮像素子4は、第1の位置を挟んで、脱着部2の反対側に配置されている。この位置は、撮影光学系が装着された時に、被写体の像が形成される位置である。また、本実施形態では、撮像素子4の前方に、フィルタ8が配置されている。
【0014】
変換学光学系5は、脱着部2と撮像素子4の間に配置されている。変換光学系5は、前側レンズ系5aと後側レンズ系5bで構成されている。ここで、前側レンズ系5aは、第1の位置近傍に配置されている。一方、後側レンズ系5bは、光路分割手段3(第1の位置)と撮像素子4の間に配置されている。
【0015】
本実施形態の撮像本体部は、第2の移動機構9を備えている。kの第2の移動機構9は、前側レンズ系5aを移動させるためのものである。この第2の移動機構9により、光路分割手段3を、第1の位置と第3の位置に移動させることができる。ここで、第3の位置は、前側レンズ系5aを退避させる位置である。退避位置としては、例えば、撮像本体部1の底面部がある。なお、退避に際しては、移動機構や回転機構、あるいはその両方の機構を用いることができる。
【0016】
本実施形態では、第1の位置には、光路分割手段3と前側レンズ系5aのどちらか一方が移動してくる。図1は、光路分割手段3が第1の位置に移動した場合の様子を示している。この場合、前側レンズ系5aは、光路分割手段3の接触(衝突)を避けるために、退避位置に移動している。一方、図2は、光路分割手段3が第2の位置に移動した場合の様子を示している。この場合、前側レンズ系5aは第1の位置に移動している。
【0017】
このように、本実施形態の撮像部本体1は、本体内部に変換学光学系5を備えている。このため、この変換学光学系5によって、受光部全体に被写体の像を大きく形成できる。その結果、撮像素子4に受光部の大きな素子を用いることができる。しかも、前側レンズ系5aを移動させる第2の移動機構9を備えている。これにより、第1の位置を、光路分割手段3と前側レンズ系5aで共用することができる。その結果、撮像部本体1を薄型化できる。
【0018】
なお、受光部のサイズが小さい撮像装置用の撮影光学系であっても、変換学光学系5によって、被写体の像を大きく形成できる。よって、既存の撮影光学系が使えるというメリットがある。
【0019】
なお、前側レンズ系5aは負の屈折力を有するのが好ましい。一方、後側レンズ系5bは正の屈折力を有するのが好ましい。このようにすることで、被写体の像を大きく形成できる。なお、図1では、前側レンズ系5aと後側レンズ系5bを、それぞれ1枚のレンズとしている。しかしながら、前側レンズ系5aと後側レンズ系5bを、それぞれ複数のレンズで構成しても良い。
【0020】
また、変換光学系5は、中間像(1次像)を形成しない光学系である。このようにすれば、光学系の薄型化と撮像本体部1の薄型化ができる。
【0021】
変換光学系の別の例を図3に示す。変換学光学系5’は脱着部2と撮像素子4の間に配置されている。変換光学系5’は、前側レンズ系5c,5dと後側レンズ系5eで構成されている。前側レンズ系5c,5dは、全体として正の屈折力を有している。また、後側レンズ系5eは、全体として正の屈折力を有している。
【0022】
なお、光路分割手段3は、前側レンズ系5c,5dの位置に移動可能になっている。よって、前側レンズ系5c,5dの少なくとも一方は、退避位置に移動可能に構成されている。図3では、光路分割手段3は、レンズ5dの位置に移動する。よって、レンズ5dが退避位置に移動可能になっている。
【0023】
ここで、前側レンズ系5c,5dは、中間像の近傍に配置された正の屈折力のレンズ5cと、さらに別の正の屈折力のレンズ5dを有する。レンズ5cは中間像の近傍に配置されているので、フィールドレンズとして機能する。
【0024】
変換学光学系5’は、中間像(1次像)を形成する光学系である。このようにすれば、被写体の像を大きくした場合であっても、収差の少ない像が得られる。
【0025】
次に、本実施形態の撮像装置11を図4に示す。本実施形態の撮像装置11は、撮像本体部1と撮影光学系10を備えている。撮像装置9は、脱着部2を介して撮像本体部1と接続されている。これにより、被写体の像は、撮影光学系9と変換学光学系5を介して、撮像素子4上に形成される。
【0026】
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態における撮像本体部を示す図であって、第1の位置に光路分割手段がある場合を示している。
【図2】本発明の第1の実施形態における撮像本体部を示す図であって、第1の位置に前側レンズ系がある場合を示している。
【図3】変換光学系の別の構成を示す図である。
【図4】本発明の撮像装置を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 撮像本体部
2 脱着部
3 光路分割手段
4 撮像素子
5,5’ 変換光学系
5a,5c,5d 前側レンズ系
5b,5e 後側レンズ系
6 第1の移動機構
7 ファインダー光学系
8 フィルタ
9 第2の移動機構
10 撮影光学系
11 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系が脱着される脱着部と、
光路分割手段と、
撮像素子と、
変換学光学系を有する撮像本体部であって、
前記変換光学系は、前側レンズ系と後側レンズ系で構成され、
前記光路分割手段を第1の位置と第2の位置で移動させる第1移動機構と、
前記前側レンズ系を前記第1の位置と第3の位置で移動させる第2移動機構を備えることを特徴とする撮像本体部。
【請求項2】
前記光路分割手段が前記第2の位置に移動した時に、前記第2の移動機構は前記前側レンズ系を前記第1の位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像本体部。
【請求項3】
前記変換光学系は、前記撮像本体内部に中間像を形成しない光学系であることを特徴とする請求項1に記載の撮像本体部。
【請求項4】
前記変換光学系は、前記撮像本体内部に中間像を形成する光学系であることを特徴とする請求項1に記載の撮像本体部。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像本体部と前記撮影光学系を備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−175608(P2009−175608A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16336(P2008−16336)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】