撮像画像の評価装置
【課題】複数のカメラが同一の手ぶれを受けた際に、撮像画像に与える影響の差については評価することができなかった。
【解決手段】本発明にかかる評価装置は、評価対象となる撮像装置を保持可能な振動台を有し、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる振動発生装置と、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像して生成した画像信号を受信し、その画像を評価する画像評価装置と、を備えている。モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形を生成する方法により生成された振動波形である。
【解決手段】本発明にかかる評価装置は、評価対象となる撮像装置を保持可能な振動台を有し、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる振動発生装置と、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像して生成した画像信号を受信し、その画像を評価する画像評価装置と、を備えている。モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形を生成する方法により生成された振動波形である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像画像の評価装置に関し、特に撮像画像に対して手ぶれが与える影響を評価する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮像装置によって撮像された画像に関する情報を撮影者に報知する方法を開示する。特許文献1が開示する報知方法は、撮像した画像が受けている手ぶれレベルを評価し、その評価結果を撮影者に報知する。
【0003】
これにより、撮影者は、撮像した画像が手ぶれによる影響をどの程度受けているかを撮像した直後に知ることができる。その結果、撮影者は、画像を撮像した直後に、手ぶれレベルに関する評価結果に応じて、補正による撮像画像の修正の可否、撮像画像の撮り直しの要否を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−19874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の報知方法は、実際に撮影者が撮像した画像を評価し、その結果を撮影者に報知するものである。
【0006】
しかしながら、撮影者は、撮像のたびに異なる手ぶれを生じさせる。従って、特許文献1に記載の報知方法によっては、同一の手ぶれを複数のカメラに与えることができない。よって、特許文献1に記載の報知方法によっては、複数のカメラが同一の手ぶれを受けた際に、撮像画像に与える影響の差については評価することができない。
【0007】
そこで、本発明は、同一の手ぶれを複数のカメラに与え、それらの手ぶれが撮像画像に与える影響の差を評価する評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる評価装置は、評価対象となる撮像装置を保持可能な振動台を有し、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる振動発生装置と、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像して生成した画像信号を受信し、その画像を評価する画像評価装置と、を備えている。モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形を生成する方法により生成された振動波形である。
【0009】
このような構成により、人が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が、撮像する画像にどのような影響を与えるかについて人工的に評価することが可能となる。
【0010】
また、本発明にかかる評価装置において、モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法により生成された振動波形としてもよい。
【0011】
このような構成により、生成される波形のうち、明らかに手振れモデル波形としてふさわしくない波形については、手振れモデル波形として選択されることがない。
【0012】
また、本発明にかかる評価装置において、モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、生成したモデル波形候補に関する情報と、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、比較結果に応じて、生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法により生成された振動波形としてもよい。
【0013】
このような構成により、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える振動と相関性のある波形を手振れモデル波形として取得することができる。
【0014】
また、本発明にかかる評価装置において、モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報を取得し、取得した複数の周波数情報の所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値を算出し、算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形の振幅をそれぞれ所定の位相分ずらしながら合成することによりモデル波形候補を生成し、生成したモデル波形候補に関する情報と、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、比較結果に応じて、生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法により生成された振動波形としてもよい。
【0015】
このような構成により、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える振動と相関性のある波形を手振れモデル波形として取得することができる。
【0016】
また、本発明にかかる評価装置において、基準情報は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅の絶対値に基づいて生成されるとしてもよい。
【0017】
このような構成により、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える平均的な振動波形を基準情報として選択することができる。
【0018】
また、本発明にかかる評価装置において、画像の評価は、撮像した画像のにじみ幅に基づいて、撮像した画像の評価を行うようにしてもよい。
【0019】
また、本発明にかかる評価装置において、画像の評価は、撮像した画像の面積に基づいて、撮像した画像の評価を行うようにしてもよい。
【0020】
また、本発明にかかる評価装置において、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が撮像画像に与える影響を抑制する手ぶれ補正機能がOFFの状態で、かつ、撮像装置にモデル波形に従って振動を与えた状態で被写体の撮像を行うOFF撮像により生成した画像信号と、手ぶれ補正機能がONの状態で、かつ、撮像装置に前記OFF撮像と同じ振動を与えた状態で前記OFF撮像と同じ被写体の撮像を行うON撮像により生成した画像信号と、をそれぞれ受信し、OFF撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるOFF評価値を算出すると共に、ON撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるON評価値を算出し、算出したOFF評価値とON評価値とから撮像装置の手ぶれ補正機能の効果の評価値をさらに算出すようにしてもよい。
【0021】
このような構成により、手ぶれ補正機能による手ぶれ補正の効果のみを厳密に評価することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る評価装置によれば、同一の手ぶれを複数のカメラに与え、それらの手ぶれが撮像画像に与える影響の差を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】評価装置の概略構成図
【図2】評価装置のブロック図
【図3】手ぶれモデル波形を生成する際のフローチャート
【図4】手ぶれ振動波形の実測データの周波数解析の概略説明図
【図5】手ぶれ振動波形の実測データの周波数解析の概略説明図
【図6】基準情報の生成方法を説明するための模式図
【図7】比較用情報の生成方法を説明するための模式図
【図8】比較用情報の生成方法を説明するための模式図
【図9】手ぶれ補正機能の評価のフローチャート
【図10】評価用画像の一例を示す図
【図11】評価方法の一例を示す図
【図12】評価用画像の他の一例を示す図
【図13】手ぶれ補正機能の評価のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔1:実施の形態1〕
以下、本発明に係る画像の評価方法の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、実質的に同一の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0025】
また、本文中における前方とは、カメラ本体からみて被写体側をいう。背後とは、カメラ本体からみて被写体側の反対側、すなわち、撮像素子側をいう。上側とは、撮影画像の長辺方向を水平方向に設置した際の鉛直上向きに相当する。また、下側とは、上側と反対方向をいい、図面においては下側に相当する。また各部において、前方、背後、上側、下側の各面をそれぞれ前面、背面、上面、下面という。
【0026】
また、カメラ本体から上方への方向をX方向といい、カメラ本体から前方への方向をZ方向といい、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向というものとする。
【0027】
<<1−1:評価対象>>
評価の対象は、手ぶれ補正機能を有する撮像装置である。デジタルスチルカメラの他、動画を撮影するムービーも評価の対象である。手ぶれ補正機能は、主に、(1)撮影時に手ぶれの影響を抑制する機能と、(2)撮影後の画像から手ぶれの影響を取り除いた画像を作成する機能とに分かれる。(1)撮影時に手ぶれの影響を抑制する機能は主に、(1A)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像の手ぶれによるぶれを検出する機能、および、(1B)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像のぶれを抑制する機能からなっている。
【0028】
(1A)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像の手ぶれによるぶれを検出する機能としては、(1Aa)カメラ本体またはレンズ鏡筒に設けられた角速度センサによってカメラ本体の動きを検出する方式、(1Ab)所定間隔にて撮影した複数の画像からカメラ本体の動きを算出する方式などがある。(1B)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像のぶれを抑制する機能としては、(1Ba)手ぶれ補正用レンズをレンズ鏡筒の光軸と垂直な平面内で動かすことによって撮像素子の撮像面における像の位置を変化させる方式、(1Bb)撮像素子の撮像面をレンズ鏡筒の光軸と垂直な平面内で動かすことによって撮像素子の撮像面における像の位置を変化させる方式、(1Bc)複数の画像を連続して撮影し、画像の切り出し位置を画像ごとに変えて画像を切り出し、これらを合成する方式などがある。(1Ba)および(1Bb)の方式を光学式手ぶれ補正、(1Bc)および(2)の方式を電子式手ぶれ補正という。
【0029】
消費者は、これらの種々の手ぶれ補正機能を備えたカメラから選択して購入をする。しかし、現状では、手ぶれ補正の効果を商品間で比較できる指標がなく、消費者にとって手ぶれ補正機能を客観的に比較することが困難であった。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、すべてのカメラについて統一的に用いることができる手ぶれ補正機能の評価方法を提供する。
【0031】
<<1−2:評価装置の構成>>
図1および図2を用いて評価装置について説明する。図1は評価装置の概略構成図、図2は評価装置のブロック図である。
【0032】
評価装置は、主に、振動発生装置a1と、加振データ生成/撮影画像評価装置a2と、評価用画像a3を有する。
【0033】
振動発生装置a1は、評価対象となるカメラに対して振動を加える装置である。振動発生装置a1は振動台a11と、第1方向回転部であるXモータa12と、第2方向回転部Yモータa13と、第3方向回転部Zモータa14と、レリーズボタン押下部a15と、振動装置コントローラa16とを有している。
【0034】
振動台a11は、評価対象であるカメラを固定可能である。Xモータa12、Yモータa13、Zモータa14の駆動により、振動台は振動する。これにより、振動台に固定されているカメラは振動する。
【0035】
Xモータa12は、振動台a11に対して、X方向を回転軸とした回転方向(以下、ヨー方向ともいう。)の振動を与えるモータである。Xモータa12は、振動装置コントローラa16からの制御信号Xにより、正転、逆転動作を行う。ヨー方向の振動の回転軸の位置は、カメラに対して任意の位置にすることが可能となっている。実際の手ぶれによるカメラのヨー方向の回転軸のカメラに対する位置は、撮影者や被写体距離によって変化するため、これらの評価を可能とするためである。本実施の形態では、Xモータa12を振動台a11に対して任意の位置に配置することが可能である。これにより、ヨー方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して任意の位置に設定することが可能である。なお、ヨー方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して固定し、カメラの位置を振動台a11に対して固定してもよい。
【0036】
Yモータa13は、振動台a11に対して、Y方向を回転軸とした回転方向(以下、ピッチ方向ともいう。)の振動を与えるモータである。Yモータa13は、振動装置コントローラa16からの制御信号Yにより、正転、逆転動作を行う。ピッチ方向の振動の回転軸の位置は、カメラに対して任意の位置にすることが可能である。実際の手ぶれによるカメラのピッチ方向の回転軸のカメラに対する位置は、撮影者や被写体距離によって変化するため、これらの評価を可能とするためである。本実施の形態では、Yモータa13の位置を振動台a11に対して任意に配置することが可能である。これにより、ピッチ方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して任意に設定することが可能である。なお、ピッチ方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して固定し、カメラの位置を振動台a11に対して固定してもよい。
【0037】
Zモータa14は、振動台a11に対して、Z方向を回転軸とした回転方向(以下、ロール方向ともいう。)の振動を与えるモータである。Zモータa14は、振動装置コントローラa16からの制御信号Zにより、正転、逆転動作を行う。ロール方向の振動の回転軸の位置は、カメラに対して任意の位置にすることが可能である。実際の手ぶれによるカメラのロール方向の回転軸のカメラに対する位置は、撮影者や被写体距離によって変化するため、これらの評価を可能とするためである。本実施の形態では、Zモータa14の位置を振動台a11に対して任意に配置することが可能である。これにより、ロール方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して任意に設定することが可能である。なお、ロール方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して固定し、カメラを振動台a11に対して固定してもよい。
【0038】
Xモータa12と、Yモータa13と、Zモータa14とは、振動台a11に対して、ヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の振動を与える。そして、振動台a11は、カメラにヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の振動を与える。なお、振動の回転軸は必ずしもこの3軸である必要はなく、評価の内容に応じて任意の軸について振動させることができる。
【0039】
レリーズボタン押下部a15は、カメラの有するレリーズボタンを機械的に押し下げる。本実施の形態において、レリーズボタン押下部a15は、ソレノイド機構にて構成される。ソレノイド機構とは、電磁力によってプランジャを駆動させるアクチュエータである。レリーズボタン押下部a15は、プランジャの駆動により、レリーズボタン押下を実現する。レリーズボタンを押し下げられたカメラは、撮影動作を行う。
【0040】
カメラに撮影動作を行わせる方法としては、レリーズボタンを押下せずに、レリーズボタンの押下の際に発生する電気信号を直接カメラに送る方法もある。しかし、機械的にレリーズボタンの押下を行う方法の方が、以下の点で優れている。(1)機械的にレリーズボタンの押下を行うことにより、レリーズボタン押下に伴う振動をカメラに加えることも可能であり、より実態に近い評価を行うことが可能となる。(2)電気信号による方式は、カメラの内部構造、すなわち、シャッター制御の電気系統が判明していないと利用できない。一方、機械的押下による方式は、ほとんどのカメラに対して適用が可能である。
【0041】
振動装置コントローラa16は、Xモータa12、Yモータa13およびZモータa14が振動台a11に対して与えるヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の振動が所望の振動となるように制御する制御器である。振動装置コントローラa16は、Xモータa12と、Yモータa13と、Zモータa14とをどの方向にどれだけ回転運動させるかの制御信号をそれぞれのモータに対して送る。モータとしてDCモータやACモータを用いる場合、振動装置コントローラa16は、モータが所望の回転運動を行っているかどうかを、モータに取り付けられたエンコーダ信号を用いて検知する。エンコーダ信号を用いてモータが所望の回転運動を行っているかどうかを検知することにより、振動装置コントローラa16は、モータに対してフィードバック制御を行う。また、振動装置コントローラa16は、レリーズボタン押下部a15に対して、所定のタイミングでレリーズボタンの押下を行わせるように制御する。
【0042】
加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、後述する手ぶれモデル波形作成方法にて振動台に発生させる振動波形(手ぶれモデル波形)の生成を行う。また、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手ぶれモデル波形の中のどのタイミングでレリーズボタンの押下を行うかのタイミング(レリーズタイミング)の生成を行う。そして、手ぶれモデル波形およびレリーズタイミングを、加振/レリーズ指令として振動装置コントローラa16に送信する。さらに、撮影した画像信号をカメラから受信し、画像の評価を行う。本実施の形態では、加振データ生成/撮影画像評価装置a2としてパーソナルコンピュータを用いている。
【0043】
評価用画像a3は、評価時にカメラによって撮影される被写体である。評価用画像a3は、後述の撮影画像の解析が容易となるように、エッジの明確な画像が好ましい。本実施の形態では、白地に黒塗りの矩形を配した画像を用いている。評価用画像の色は、必ずしも白黒である必要はなく、オレンジと緑などの色であってもよい。要するにエッジを抽出しやすいチャートであれば色はなんでもよい。評価用画像a3は、カメラの前方に設置される。カメラと評価用画像a3との距離は任意に設定可能となっている。また、評価用画像a3には、カメラによる撮影の際に撮影領域となる位置を示す印が表示されている。
【0044】
その他、図示しない照度コントローラによって、評価用画像a3の照度を任意に設定できるようになっている。
【0045】
<<1−3:手ぶれモデル波形の生成方法>>
本実施の形態において、振動台は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動(手ぶれ)を再現する。振動台は、手ぶれの際に生じる振動を模した手ぶれモデル波形に従って振動する。手ぶれモデル波形の生成方法について、図3〜図7を用いて説明する。
【0046】
図3は、手ぶれモデル波形を生成する際のフローチャートである。図4は、手ぶれにより生じた振動波形を周波数解析する様子を説明する模式図である。図5は、周波数帯域ごとに求められた振動波形を合成する様子を説明する模式図である。図6は、基準情報を生成する際の生成方法を説明するための模式図である。図7は、合成した振動波形と、基準情報とを比較する際の方法を説明するための模式図である。
【0047】
<1−3−1:手ぶれモデル波形生成フロー>
手ぶれモデル波形は、ヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれの回転方向について生成される。撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動のうち、撮像された画像に与える影響が大きい振動が、その3方向への振動だからである。ここでは、ヨー方向の振動についての手ぶれモデル波形の生成フローについて、主に図3を用いて説明する。
【0048】
撮影者は、撮像装置を用いて被写体を撮像する。その際に生じた手ぶれの振幅を表す波形のうち、ヨー方向の回転についての波形をサンプル波形として複数用意する(S200)。要するに、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得する。例えば、カメラに角速度センサを取り付け、実際に撮影者に撮影動作を行わせる。具体的には、撮影者にカメラを手に持った状態でレリーズボタンの押下動作を行わせる。そして、撮影時の角速度センサの出力からヨー方向の振動波形の実測データを取得する。ここで、撮影時とは、レリーズタイミングを含む一定期間である。この際、複数のサンプル波形は、なるべく多く用意することが好ましい。また、それぞれ異なる撮影者による撮像によって生じた手ぶれのサンプル波形であることが好ましい。これにより、撮影者による偏りをなくし、より一般的な手ぶれモデルの波形を生成することが可能となるからである。
【0049】
加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、サンプル波形が所定数入力されるまで待機する。所定数のサンプル波形が入力されると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、入力されたそれぞれのサンプル波形について周波数解析を行う(S201)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報を取得する。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図4の3−1に示されるようなサンプル波形に対してフーリエ変換を行う。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図4の3−1に示されるようなサンプル波形を、図4の3−2に示されるようなそれぞれの周波数帯域ごとの周波数成分に分解することができる。本実施の形態において、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、サンプル波形を1Hzごとの帯域に分解している。ここで、フーリエ変換により1Hzごとの帯域に分解すると、1つ目の振幅データAnは、1Hz±0.5Hzの周波数帯域の振幅成分をあらわすデータとなる。また、A2nは、2Hz±0.5Hzの振幅成分を表すデータとなる。手ぶれの周波数帯域はせいぜい20Hz程度である。従って、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、20Hz程度までの周波数成分を抽出しておけばよい。
【0050】
それぞれのサンプル波形についての周波数解析が終了すると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの周波数帯域ごとに、それぞれのサンプル波形の振幅の平均値を算出する(S202)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の周波数情報の所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値を算出する。例えば、複数のサンプル波形それぞれが、図4の3−3に示すように周波数帯域ごとの振幅に分解されている場合を考える。この場合において、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、ます、それぞれのサンプル波形のAnY成分のみの平均値A_avenYを算出する。次に、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれのサンプル波形のA2nY成分のみの平均値A_ave2nYを算出する。このような処理を全ての周波数帯域で繰り返すことにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、全ての周波数帯域ごとのサンプル波形の振幅の平均値を算出することができる。なお、本実施の形態においては、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの周波数帯域ごとに、全てのサンプル波形の振幅の平均値を算出することとした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はない。例えば、それぞれの周波数帯域ごとに、全てのサンプル波形のうち振幅が大きい上位3つと、振幅が小さい下位3つとについては、平均値の算出に際して省くような構成としてもよい。これにより、サンプル波形のうち大幅に異なる波形については平均値の算出の際に除くことができる。その結果、平均的な波形として特異な波形が生成されることを比較的抑えることができる。
【0051】
周波数帯域ごとのサンプル波形の振幅の平均値を算出すると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの周波数帯域におけるサンプル波形の平均の振幅に対して逆フーリエ変換を行う。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、周波数帯域ごとの振動波形を取得することができる(S203)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形を取得する。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−4に示されるような周波数帯域ごとの振幅の平均値A_avenY、A_ave2nY…それぞれに対して、逆フーリエ変換を行う。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−5に示されるような周波数帯域ごとの振動波形WnY、W2nY…を得ることができる。
【0052】
周波数帯域ごとの振動波形を得ると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの振動波形を所定の位相分ずらして合成する(S204)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形の振幅をそれぞれ所定の位相分ずらしながら合成する。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−5に示すような周波数帯域ごとの振動波形WnY、W2nY…を所定の位相分ずらして合成する。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−6に示すようなヨー方向の手振れモデル波形候補WY_modelを得ることができる。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいて、モデル波形候補を生成する。ここで、振動波形を合成する際にそれぞれの振動波形を所定の位相ずらすこととしているが、この所定の位相は、合成する際にランダムに変更されるものとする。なお、本実施の形態において、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、周波数帯域ごとの振動波形を所定の位相分ずらして合成することにより、モデル波形候補を得ることとした。しかし、必ずしもこのようにする必要はなく、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、周波数帯域ごとの振動波形を所定の位相分ずらして合成することにより、モデル波形を得ることとしてもよい。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいて、モデル波形を生成することとしてもよい。これにより、より簡単な方法で、人の手ぶれを模したモデル波形を得ることができる。また、このモデル波形に基づいて、撮像装置を保持する振動台を振動させることにより、人が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が、撮像する画像にどのような影響を与えるかについて人工的に評価することが可能となる。
【0053】
手振れモデル波形候補WY_modelが得られると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報との比較を行う(S205)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、生成したモデル波形候補に関する情報と、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報と、を比較する。ここで、基準情報とは、撮影者が被写体を撮像するタイミングにおいて、撮影者が撮像装置に与える振動の振幅の平均的な値と、露光時間との関係を示す情報である。ここで、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報との比較を行う理由を説明する。位相をランダムにずらして足し合わされた波形においては、足し合わされる特定帯域毎の振動波形の位相関係がランダムであるため、偶然に複数の特定帯域毎の振動波形のピークが一致することで手ぶれモデル波形の振幅が極端に大きくなる場合がある。このような波形は、通常のカメラ撮影時の手ぶれ振動波形を超える振幅を有した波形となる場合がある。従って、本実施の形態においては、通常のカメラ撮影時の手ぶれ振動波形を再現するために、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報との比較を行い、手振れ波形候補を手振れ波形として採用するかを判断することとした。
【0054】
ここで、基準情報の生成方法について説明する。まず、撮影者は、撮像装置を用いて被写体を撮像する。その際に生じた手ぶれの振幅を表す波形のうち、ヨー方向の振動についての波形をサンプルとして複数取得する。取得された複数のサンプル波形の振幅情報から、レリーズボタン押下後の複数の異なる時間幅におけるそれぞれの波形の振幅の平均値を求める。それら求めた複数の異なる時間幅における振幅の平均値から基準情報を生成する。要するに、基準情報は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅に基づいて生成される。例えば、図6に示すように、複数のサンプル波形として、サンプル波形61、サンプル波形62、サンプル波形63…を用意する。用意されたこれらのサンプル波形の振幅のうち、レリーズボタン押下後の複数の異なる時間幅(t1、t2、t3・・・)における振幅の平均値を求める。それら複数の平均値から基準情報64を得ることができる。これにより、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える平均的な振動情報を基準情報として選択することができる。
【0055】
ここで、手振れモデル波形候補WY_modelと、予め用意されている基準情報との比較方法について具体的に説明する。例えば、手振れモデル波形候補WY_modelとして図5の3−6に示される波形が得られた場合を考える。得られた手振れモデル波形候補WY_modelの複数個所の所定の時間幅(露光時間)における振幅の平均値を求める。具体的には、まず、図8に示すように、所定の露光時間(t1)における振幅の平均値を、選択した複数の箇所で算出する。これを別の露光時間(t2)についても行う。これを繰り返すことにより得られたそれぞれの露光時間に対応する振幅の平均値から、手振れモデル波形候補WY_modelにおける露光時間と、振幅との関係(図7の7−1に示す比較用情報70)を求める。
【0056】
このように、所定の時間幅における振幅を複数個所で求め、それらの平均値を算出することで比較用情報を求める理由を述べる。これは、手振れモデル波形候補WY_modelは、複数の波形を合成したもので、どのタイミングがレリーズタイミングか不明であるためである。本実施の形態における方法で求めた比較用情報と、基準情報とを比較することにより、レリーズタイミングがどこに設定されても、基準情報に近い露光時間と振幅との関係を持った波形を選択することができる。
【0057】
加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、比較用情報と、予め用意されている基準情報との比較を行う。
【0058】
このようにして得られた基準情報と、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報(比較用情報)との比較を行った後に、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、基準情報と、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報とのそれぞれの時間における振幅の差が所定の範囲内であるか否かを判断する(S206)。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、比較用情報70の振幅と、基準情報の振幅との所定の複数の時刻における差が所定の範囲内であるかを判断する。この際に、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの時刻における差が所定の範囲内であるかを判断してもよいし、それぞれの時刻における差の合計が所定の範囲内であるかを判断してもよい。要するに、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とが所定の相関を有するかを判断すればよい。
【0059】
このように、本実施の形態における加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、生成した手振れモデル波形候補WY_modelの選別を行う。つまり、単純にランダムに合成した波形を手振れモデル波形とせずに、所定の制約条件の基でモデル波形候補WY_modelの選別を行い、手振れモデル波形を決定する。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、生成される波形のうち、明らかに手振れモデル波形としてふさわしくない波形については、手振れモデル波形として選択しない。また、基準情報との相関性を考慮しつつ、モデル波形候補WY_modelの選別を行うことにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える振動と相関性のある波形を手振れモデル波形として取得することができる。
【0060】
手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とのそれぞれの時刻における振幅の差が所定の範囲内であると判断した場合には、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelを手ぶれ振動モデル波形として採用する(S207)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報との比較結果に応じて、モデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする。
【0061】
一方、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とのそれぞれの時刻における振幅の差が所定の範囲内ではないと判断した場合には、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、再度、周波数帯域ごとの振動波形を所定の位相分ずらして合成する(S204)。加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とのそれぞれの時刻における振幅の差が所定の範囲内に収まるまでこの処理を繰り返す(S204〜S206)。
【0062】
以上のフローにより、ヨー方向の手ぶれ振動モデルが生成される。ピッチ方向、ロール方向についても同じ要領で手ぶれ振動モデルが生成される。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮像装置に与える全ての回転方向の振動に関する振動波形を得ることができる。
【0063】
なお、本実施の形態において、手ぶれ振動モデルの生成は、加振データ生成/撮影画像評価装置a2が行うこととした。しかし、必ずしも加振データ生成/撮影画像評価装置a2が行う必要はない。例えば、加振データ生成装置と、撮影画像評価装置とは、別々の装置で構成することが可能である。その場合には、加振データ生成装置が振動モデルを生成する。加振動データ生成装置としては、パーソナルコンピュータなどの計算機を用いることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、手振れモデル波形候補WY_modelを1つ生成し、生成した手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報とを比較した。そして、その比較結果から、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報とが所定の相関を有していると判断できれば、手振れモデル波形候補WY_modelを手振れモデル波形として採用することとした。しかし、必ずしもこのようにする必要はなく、まず、手振れモデル波形候補WY_modelを複数用意し、用意した複数の手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報とを比較し、用意した複数の手振れモデル波形候補WY_modelのうち最も基準情報との相関が高い波形候補をモデル波形として採用するようにしてもよい。
【0065】
なお、本実施の形態においては、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報として比較用情報を用いた。しかし、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、手振れモデル波形候補WY_modelにおいて所定の時刻をレリーズタイミングとみなし、その時刻からの所定の時間幅(露光時間)における振幅から求めた情報と、基準情報とを比較するような構成としてもよい。
【0066】
なお、手ぶれ振動波形の実測データの取得を行う際には、レリーズボタン押下のタイミングを含む一定期間のデータを取得している。その際、実測データの取得期間は、レリーズボタン押下の瞬間のみとするほうが、よりレリーズボタン押下時のカメラ本体のぶれに近くて好ましいとも考えられる。しかし、実測データの取得期間が短いほど、波形解析(フーリエ変換)後の解析分解能が低くなり、手ぶれモデル波形の精度が劣化する。よって、解析分解能の維持と、レリーズボタン押下時の振動を極力手ぶれモデル波形に反映させることを両立するために、レリーズボタン押下時を含む一定期間(例えば2秒以上)の実測データから手ぶれモデル波形を合成することが好ましい。レリーズボタン押下時のカメラ本体のぶれについては、上述の振動発生装置a1によって再現することが可能である。
【0067】
<<1−4:評価方法>>
手ぶれ補正機能の評価の手順について、図9を用いて説明する。図9は、手ぶれ補正機能の評価のフローチャートである。
【0068】
<1−4−1:初期設定>
評価主体は、振動装置の初期設定を行う(S101)。ここで、初期設定としては、手ぶれモデル波形の取得や、評価対象となるカメラの固定などがある。以下それらについて説明する。
【0069】
[加振データの取得]
振動発生装置a1は、評価対象であるカメラに加える加振データを加振データ生成/撮影画像評価装置a2から取得する。ここで、加振データは、振動発生装置a1が加振データ生成/撮影画像評価装置a2から自動的に取得してもよいし、評価者が、加振データ生成/撮影画像評価装置a2から加振データを取得し、取得した加振データを振動発生装置a1に入力してもよい。加振データとして、あらかじめ準備しておいたヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれについての手ぶれモデル波形WY_model、WP_model、WR_modelを用いる。
【0070】
[露光タイミングの取得]
振動発生装置a1は、手ぶれモデル波形中のいずれのタイミングで撮影を行うか、すなわち、レリーズボタン押下部a15がレリーズボタンを押すタイミングを取得する。
【0071】
[評価対象の固定]
評価対象であるカメラを振動台a11に固定する。本実施の敬知あにおいては、評価対象となるカメラを振動台a11の上面に固定している。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、評価対象となるカメラを振動台a11の前面や下面に固定する構成としてもよいし、評価対象となるカメラを振動台a11上にただ載置する構成としてもよい。要するに、撮像装置を振動台に保持させればよい。レリーズボタン押下部a15とカメラのレリーズボタンの位置をあわせて、カメラと評価チャートとの距離を所定量離して設置する。
【0072】
[回転軸位置の決定]
Xモータa12の位置を調整する。その際、ヨー方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Yモータa13の位置を調整する。その際、ピッチ方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Zモータa14の位置を調整する。その際、ロール方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。本実施の形態では、ヨー方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ピッチ方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ロール方向の回転軸が光軸と一致するように設定する。
【0073】
<1−4−2:撮影領域の設定>
評価対象であるカメラの撮影領域を設定する(S102)。すなわち、評価用画像a3の所定の撮影領域が撮像素子の撮影面の撮影領域と一致するように設定する。この設定は、カメラから評価用画像a3までの距離(被写体距離)およびカメラの焦点距離を調整することにより実現できる。被写体距離と焦点距離は、評価条件に応じてどちらか一方を優先させることができる。通常、焦点距離は手ぶれによる撮像面上の像の動きに与える影響が大きく、手ぶれ補正性能評価の条件として扱われることになるので、例えば、焦点距離または画角を各カメラにて統一することとし、被写体距離によって撮影領域を設定する。
【0074】
<1−4−3:カメラの動作設定>
評価対象であるカメラの各種動作の設定を行う(S103)。評価対象であるカメラの焦点距離を設定し、被写体となる評価チャートの光学像が撮像素子の撮像面で結ばれるようにピント位置の調整を行う。カメラがオートフォーカス機能を有している場合は、これを用いても構わない。
【0075】
また、評価対象であるカメラの露光時間を設定する。露光時間は、評価対象となるカメラにかかわらず統一するのが好ましい。露光時間は撮影した画像のぶれの大きさに直接影響するためである。
【0076】
コンパクトカメラにおいては、一部露光時間を直接設定できないものがある。カメラが露出制御モードとして、シャッター優先AEが選択できれば、直接露光時間の設定を行う。そうでない場合は、評価用画像a3の照度を調整してカメラが所望の露光時間となるように設定を行えばよい。
【0077】
<1−4−4:手ぶれ補正機能の設定>
評価対象であるカメラの手ぶれ補正機能をONに設定する。なお、本実施の形態においては、手ぶれ補正機能がONの状態で、手ぶれが撮像画像に与える影響を評価する。しかし、本発明は、必ずしもこのような目的にのみ用いられるわけではない。例えば、手ぶれ補正機能を有さないカメラに対して、その撮像画像に手ぶれが与える影響を評価する目的などにも用いることができる。要するに、人工的に生成された手ぶれモデルを用いて、その手ぶれがカメラにより撮像された画像に与える影響を評価する場合であればどのような場合でも用いることができる。
【0078】
<1−4−5:振動動作の開始>
振動発生装置a1の振動台a11の振動を開始させる(S105)。具体的には、振動装置コントローラa16は、ヨー方向についての手ぶれモデル波形に従いXモータa12を動作させ、ピッチ方向についての手ぶれモデル波形に従いYモータa13を動作させ、ロール方向についての手ぶれモデル波形に従いZモータa14を動作させる。要するに、振動装置コントローラa16は、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる。
【0079】
<1−4−6:評価用画像の撮像>
レリーズボタン押下部a15は、設定されたレリーズタイミングにてカメラのレリーズボタンを押下する(S106)。なお、本実施の形態においては、カメラのレリーズボタンを押下することにより、評価用画像の撮像を行うこととした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、撮像を開始する際に流れる電気信号を撮像装置に流すことにより、評価用画像を撮像してもよい。要するに、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像すればよい。これにより、カメラは評価用画像の撮影を行う。
【0080】
<1−4−7:判断>
引き続き撮影を行う場合は、振動発生装置a1をそのまま繰り返し動作させ、S106の動作を繰り返し行う(S107)。
【0081】
<1−4−8:振動発生装置の停止>
撮影を終了する場合は、振動発生装置a1の動作を停止する(S108)。
【0082】
<1−4−9:撮影画像の解析>
手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像をカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に送信する(S109)。着脱可能な記録媒体によりカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に撮影画像を移動してもよい。そして、加振データ生成/撮影画像評価装置a2にて撮影画像の解析を行い、後述する方法によって撮影画像の画質を定量化し、評価値を算出する。
【0083】
<1−4−10:判定>
算出された評価値から手ぶれ補正機能の効果を判定する(S110)。詳細は後述する。これにより、手ぶれ補正機能の効果について精度の高い評価が可能となる。
【0084】
<1−4−11:その他>
なお、上記の説明では、S101、S102、S103等の設定値は1種類の固定値として記載しているが、手ぶれモデル波形、レリーズタイミング、焦点距離、露出時間は複数設定し、それぞれの条件で評価を行っても良い。
【0085】
また、本実施の形態においては、カメラの手振れ補正機能の効果を評価している。しかし、本発明は、必ずしもそのような評価にのみ用いられるものではない。カメラに手振れが加えられた状態で被写体の撮像をした際に、撮像した画像に与える影響を評価するものであれば何でも用いることができる。
【0086】
<<1−5:撮影画像の解析方法>>
<1−5−1:エッジのにじみ幅による定量化>
図10は、評価用画像の一例を示す模式図である。図10に示す評価用画像を撮影し画質評価に使用する。評価用画像には、撮影領域を示す印となる撮影領域マーカd1が表示されている。撮影領域マーカd1の枠内には、白地に4個の黒色のブロック(エッジ幅検出ブロックd2)が配置されている。評価用画像を撮影した撮影画像のエッジ幅検出ブロックd2の黒−白間のエッジのにじみ量で撮影画像の画質の評価を行う。なお、図の表記の都合上、黒色のブロックを、斜線を用いて表している。
【0087】
まず、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮影画像から垂直方向のエッジ部を検知する。具体的には、図10中の一点破線で示す8箇所のにじみ幅検知枠d3で垂直方向のエッジ部を検知する。また、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮影画像から水平方向のエッジ部を検知する。具体的には、図6中の二点破線で示す8箇所のにじみ幅検知枠d4で水平方向のエッジ部を検知する。
【0088】
図11は、にじみ幅の検出方法を説明するための模式図である。ここでは、図10中の水平方向のにじみ幅検知枠d4のひとつを例にとってにじみ幅の検出方法を説明する。
【0089】
まず、水平方向のにじみ幅検知枠d4のひとつの垂直方向の中心を通り、水平方向に平行な輝度情報抽出ラインe1を設定する。
【0090】
輝度情報抽出ラインe1に沿って各画素の輝度値を算出する。算出した輝度値をプロットしてe2を得る。
【0091】
輝度情報抽出ラインe1上の画素のうち、輝度のもっとも低い画素(画像中の黒い部分)の輝度値を0、輝度のもっとも高い画素(画像中の白い部分)の輝度値を100と規格化する。
【0092】
輝度値が20となる画素の水平方向の座標値をX20、輝度値が80となる画素の水平方向の座標値をX80とする。
【0093】
次に、にじみ幅を算出する。算出式は次式[(にじみ幅)=|X80−X20|]を用いる。
【0094】
垂直方向についても同様の処理を繰り返し、にじみ幅を算出する。
【0095】
ここで、算出したにじみ幅を画質の評価値とすると、手ぶれが撮像画像に与える影響について異なる画素数を有するカメラ間で十分に比較することができない。これは、ここで算出したにじみ幅は、画素数によって表されるものだからである。すなわち、異なる画素数を有する撮像素子を有するカメラ間においては、画素間の距離がそれぞれ異なるからである。従って、異なる画素数の撮像素子を有するカメラ間の比較を可能とすべく、にじみ幅から画質の評価値への変換を行う。評価値への変換は、算出したにじみ幅が撮像素子の撮影領域の水平方向、垂直方向の幅に対してどのくらいの割合になっているかを求めることにより行う。表示方法としては、例えば以下のような方法がある。
(1)同じ画素数のカメラ同士を比較して、「残留振れは○画素」と表示
(2)評価結果を例えば1000万画素の撮像素子に換算して「残留振れは○画素」と表示
(3)撮像素子の撮影領域の水平方向、垂直方向の幅に対するにじみ幅の割合(%)で表示
(4)撮影画角に対するにじみ幅の画角を表示
<<1−5−2:シンボル面積による定量化>>
撮影画像の画質の他の評価方法を説明する。図12に評価用画像の他の一例を示す。図12に示す評価用画像を撮影し画質評価に使用する。評価用画像には、撮影領域を示す印となる撮影領域マーカd1が表示されている。撮影領域マーカd1の枠内には、白地に黒色のブロック(面積計算用シンボルf1)が配置されている。評価用画像を撮影した撮影画像の面積計算用シンボルf1の面積で撮影画像の画質の評価を行う。すなわち、撮影画像の面積計算用シンボルf1の面積が大きいほど、面積計算用シンボルf1が鮮明でないことになり、画質が悪いということになる。なお、図の表記の都合上、黒色のブロックを、斜線を用いて表している。
【0096】
まず、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮影画像の全ての画素について輝度値を算出する。輝度値は、撮影画像中の最も輝度の低い画素の輝度値を0、最も輝度の高い画素の輝度値を100として算出する。
【0097】
面積計算用シンボルf1の面積を算出する。具体的には、輝度値の閾値(たとえば70)を設定し、閾値以下の輝度値を持つ画素の数をカウントし、その総数を面積計算用シンボルf1の面積とする。
【0098】
ここで、算出した面積計算用シンボルf1の面積を画質の評価値とすると、手ぶれが撮像画像に与える影響について異なる画素数を有するカメラ間で十分に比較することができない。これは、ここで算出した面積計算用シンボルf1の面積は画素数によって表されるものだからである。すなわち、異なる画素数を有する撮像素子を有するカメラ間においては、画素間の距離がそれぞれ異なるからである。従って、異なる画素数の撮像素子を有するカメラ間の比較を可能とすべく、面積計算用シンボルf1の面積から画質の評価値への変換を行う。評価値への変換は、算出した面積計算用シンボルf1の面積が撮像素子の撮影領域の面積に対してどのくらいの割合になっているかを求めることにより行う。表示方法としては、例えば以下の用は方法がある。
(1)同じ画素数のカメラ同士を比較して、「シンボル面積は○画素」と表示
(2)評価結果を例えば1000万画素の撮像素子に換算して「シンボル面積は○画素」と表示
(3)撮像素子の撮影領域の画素数に対する面積計算用シンボルf1の面積(画素数)の割合(%)で表示
<<1−6:効果判定方法>>
上述したようないずれかの方法等によって定量化された撮像画像の画質の評価値を用いることにより、手ぶれ補正機能の効果を判定する。例えば、エッジのにじみ幅によって撮像画像の画質を定量化した場合には、エッジのにじみ幅が第1の所定値以上である場合には、手ぶれ補正機能の効果は、「低」であると判断し、エッジのにじみ幅が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下である場合には、手ぶれ補正機能の効果は、「高」であると判断し、エッジのにじみ幅が第1の所定値と第2の所定値との間にある場合には、手ぶれ補正機能の効果は、「中」であると判断することが可能である。
【0099】
〔2:実施の形態2〕
以下、本発明にかかる第2の実施の形態について、図面を用いて説明する。特に説明しない事項については、実施の形態1と同様の構成をとるものとする。実施の形態1は、1つのカメラの手振れ補正モードがONに設定されている場合に、そのカメラに加えられた手ぶれが撮像画像に与える影響について評価を行った。実施の形態2は、1つのカメラの手振れ補正モードがONに設定されている場合と、OFFに設定されている場合とにおいて、手ぶれが撮像画像に与える影響を比較する。これにより、手ぶれ補正機能による手ぶれ補正の効果のみを厳密に評価することができる。
【0100】
<<2−1:評価方法>>
手ぶれ補正機能の評価の手順について、図13を用いて説明する。図13は、手ぶれ補正機能の評価のフローチャートである。
【0101】
<2−1−1:初期設定>
評価主体は、振動装置の初期設定を行う(S301)。ここで、初期設定としては、手ぶれモデル波形の取得や、評価対象となるカメラの固定などがある。以下それらについて説明する。
【0102】
[加振データの取得]
振動発生装置a1は、評価対象であるカメラに加える加振データを加振データ生成/撮影画像評価装置a2から取得する。ここで、加振データは、振動発生装置a1が加振データ生成/撮影画像評価装置a2から自動的に取得してもよいし、評価者が、加振データ生成/撮影画像評価装置a2から加振データを取得し、取得した加振データを振動発生装置a1に入力してもよい。加振データとして、あらかじめ準備しておいたヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれについての手ぶれモデル波形WY_model、WP_model、WR_modelを用いる。
【0103】
[露光タイミングの取得]
振動発生装置a1は、手ぶれモデル波形中のいずれのタイミングで撮影を行うか、すなわち、レリーズボタン押下部a15がレリーズボタンを押すタイミングを取得する。
【0104】
[評価対象の固定]
評価対象であるカメラを振動台a11に固定する。本実施の敬知あにおいては、評価対象となるカメラを振動台a11の上面に固定している。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、評価対象となるカメラを振動台a11の前面や下面に固定する構成としてもよいし、評価対象となるカメラを振動台a11上にただ載置する構成としてもよい。要するに、撮像装置を振動台に保持させればよい。レリーズボタン押下部a15とカメラのレリーズボタンの位置をあわせて、カメラと評価チャートとの距離を所定量離して設置する。
【0105】
[回転軸位置の決定]
Xモータa12の位置を調整する。その際、ヨー方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Yモータa13の位置を調整する。その際、ピッチ方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Zモータa14の位置を調整する。その際、ロール方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。本実施の形態では、ヨー方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ピッチ方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ロール方向の回転軸が光軸と一致するように設定する。
【0106】
<2−1−2:撮影領域の設定>
評価対象であるカメラの撮影領域を設定する(S302)。すなわち、評価用画像a3の所定の撮影領域が撮像素子の撮影面の撮影領域と一致するように設定する。この設定は、カメラから評価用画像a3までの距離(被写体距離)およびカメラの焦点距離を調整することにより実現できる。被写体距離と焦点距離は、評価条件に応じてどちらか一方を優先させることができる。通常、焦点距離は手ぶれによる撮像面上の像の動きに与える影響が大きく、手ぶれ補正性能評価の条件として扱われることになるので、例えば、焦点距離または画角を各カメラにて統一することとし、被写体距離によって撮影領域を設定する。
【0107】
<2−1−3:カメラの動作設定>
評価対象であるカメラの各種動作の設定を行う(S303)。評価対象であるカメラの焦点距離を設定し、被写体となる評価チャートの光学像が撮像素子の撮像面で結ばれるようにピント位置の調整を行う。カメラがオートフォーカス機能を有している場合は、これを用いても構わない。
【0108】
また、評価対象であるカメラの露光時間を設定する。露光時間は、評価対象となるカメラにかかわらず統一するのが好ましい。露光時間は撮影した画像のぶれの大きさに直接影響するためである。
【0109】
コンパクトカメラにおいては、一部露光時間を直接設定できないものがある。カメラが露出制御モードとして、シャッター優先AEが選択できれば、直接露光時間の設定を行う。そうでない場合は、評価用画像a3の照度を調整してカメラが所望の露光時間となるように設定を行えばよい。
【0110】
<2−1−4:手ぶれ補正機能の設定>
評価対象であるカメラの手ぶれ補正機能をOFFに設定する(S304)。
【0111】
<2−1−5:振動動作の開始>
振動発生装置a1の振動台a11の振動を開始させる(S305)。具体的には、振動装置コントローラa16は、ヨー方向についての手ぶれモデル波形に従いXモータa12を動作させ、ピッチ方向についての手ぶれモデル波形に従いYモータa13を動作させ、ロール方向についての手ぶれモデル波形に従いZモータa14を動作させる。要するに、振動装置コントローラa16は、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる。
【0112】
<2−1−6:評価用画像の撮像>
レリーズボタン押下部a15は、設定されたレリーズタイミングにてカメラのレリーズボタンを押下する(S306)。なお、本実施の形態においては、カメラのレリーズボタンを押下することにより、評価用画像の撮像を行うこととした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、撮像を開始する際に流れる電気信号を撮像装置に流すことにより、評価用画像を撮像してもよい。要するに、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像すればよい。これにより、カメラは評価用画像の撮影を行う。
【0113】
<2−1−7:判断>
手ぶれ補正機能OFFの状態にて引き続き撮影を行う場合は、振動発生装置a1をそのまま繰り返し動作させ、S306の動作を繰り返し行う(S307)。
【0114】
<2−1−8:振動発生装置の停止>
手ぶれ補正機能OFFの状態での撮影を終了する場合は、振動発生装置a1の動作を停止する(S308)。
【0115】
<2−1−9:手ぶれ補正機能の再設定>
評価対象であるカメラの手ぶれ補正機能をONに設定する(S309)。この他の撮影条件は変更しない。すなわち、S301からS303で設定した条件はそのまま同じにしておく。
【0116】
<2−1−10:振動動作の開始>
振動発生装置a1の振動台a11の振動を開始させる(S310)。ここでの動作は、S305と同じ動作である。
【0117】
<2−1−11:評価用画像の撮像>
レリーズボタン押下部a15は、設定されたレリーズタイミングにてカメラのレリーズボタンを押下する(S311)。これにより、カメラは評価用画像の撮影を行う。ここでの動作は、S306と同じ動作である。
【0118】
<2−1−12:判断>
手ぶれ補正機能ONの状態にて引き続き撮影を行う場合は、振動発生装置a1をそのまま繰り返し動作させ、S311の動作を繰り返し行う(S312)。
【0119】
<2−1−13:振動発生装置の停止>
手ぶれ補正機能ONの状態での撮影を終了する場合は、振動発生装置a1の動作を停止する(S313)。
【0120】
<2−1−14:撮像画像の解析>
手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像をカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に送信する。着脱可能な記録媒体によりカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に撮影画像を移動してもよい。そして、加振データ生成/撮影画像評価装置a2にて撮影画像の解析を行い、上述した方法によって撮影画像の画質を定量化し、評価値を算出する(S314)。評価値は、手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像のそれぞれについて算出する。
【0121】
<2−1−15:効果判定>
手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の評価値と、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の評価値との比較を行い、手ぶれ補正機能による画質の改善効果を判定する(S315)。詳細は後述する。これにより、カメラ個別のピント精度その他の性能差(光学性能差、画像処理の性能差など)を除去でき、手ぶれ補正機能について精度の高い評価が可能となる。
【0122】
<2−1−16:その他>
なお、上記の説明では、S301、S302、S303等の設定値は1種類の固定値として記載しているが、手ぶれモデル波形、レリーズタイミング、焦点距離、露出時間は複数設定し、それぞれの条件で評価を行っても良い。
【0123】
<<2−2:効果判定方法>>
上述したように、撮影画像の画質の評価値は、手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の双方について求める。手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値は、手ぶれによる影響以外にもピンボケ等のカメラ個別の影響を含んでいる。したがって、ピンボケ等の影響を取り除いて手ぶれ補正機能の効果の定量化を行う。
【0124】
手ぶれ補正機能の効果の定量化は、手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値を比較することにより可能となる。具体的には、例えば以下のような方法がある。
(1)手ぶれ補正機能の効果=手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値−手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値
(2)手ぶれ補正機能の効果=手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値/手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値
〔3:その他の実施の形態〕
手ぶれモデル波形自体は実際の手振れ波形と一致するものではなく、実際の手ぶれ振動波形の平均的波形であるため、より信頼性の高い評価結果を得るためには、複数種類の手ぶれモデル波形を用いて複数回評価した結果を平均することが望ましい。
【0125】
また例えば、年齢層別、性別、撮影熟練度別に実測した手ぶれ振動波形から、それぞれ別の手ぶれモデル波形を作成し、これを評価に用いることも考えられる。この場合、カメラが商品のターゲットとするユーザー層に固有の手振れにマッチした評価が可能となる。具体的には、カメラ撮影になじみのない女性などの場合、10Hz程度の振動が多く現れるケースがあり、こういうケースにマッチした手ぶれモデル波形を評価に用いるなどが考えられる。
【0126】
複数回評価する具体的な方法は、複数の手ぶれモデル波形を用意し、手ぶれモデル波形の振動期間中に任意に複数のレリーズタイミングを設定し、実写した画像の残留振れを個々に検出する。その検出結果を平均して最終的な評価値とする、などの方法でもよい。
【0127】
手ぶれモデル波形の作成は、レリーズボタン押下を含む一定期間の手ぶれ振動波形をもとに行ったが、レリーズボタン押下を含まない手ぶれモデル波形を作成してもよい。この場合の手ぶれモデル波形は、レリーズボタン押下によるカメラ本体の振動を含まないため、レリーズボタン押下部a15によるレリーズボタンの押下によって実際にカメラが振動するようにすることが好ましい。
【0128】
なお、本明細書における実施の形態において、手ぶれモデル波形を作成する際にフーリエ変換を用いる方法について説明を行ったがこれに限るものではなく、例えば離散コサイン変換等、時間軸波形を周波数領域での表現に変換する方法であれば、異なる変換方法を用いてもよい。
【0129】
本発明に係る手ぶれ補正機能の評価方法、および、評価装置は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る画像評価方法によれば、手振れが撮影画像に与える影響についての精度の高い評価が可能となる。このため本発明は、撮像装置の分野において有用である。
【符号の説明】
【0131】
a1 振動発生装置
a11 振動台
a12 Xモータ
a13 Yモータ
a14 Zモータ
a15 レリーズボタン押下部
a16 振動装置コントローラ
a2 加振データ生成/撮影画像評価装置
a3 評価用画像
d3 垂直方向にじみ幅検知枠
d4 水平方向にじみ幅検知枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像画像の評価装置に関し、特に撮像画像に対して手ぶれが与える影響を評価する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮像装置によって撮像された画像に関する情報を撮影者に報知する方法を開示する。特許文献1が開示する報知方法は、撮像した画像が受けている手ぶれレベルを評価し、その評価結果を撮影者に報知する。
【0003】
これにより、撮影者は、撮像した画像が手ぶれによる影響をどの程度受けているかを撮像した直後に知ることができる。その結果、撮影者は、画像を撮像した直後に、手ぶれレベルに関する評価結果に応じて、補正による撮像画像の修正の可否、撮像画像の撮り直しの要否を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−19874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の報知方法は、実際に撮影者が撮像した画像を評価し、その結果を撮影者に報知するものである。
【0006】
しかしながら、撮影者は、撮像のたびに異なる手ぶれを生じさせる。従って、特許文献1に記載の報知方法によっては、同一の手ぶれを複数のカメラに与えることができない。よって、特許文献1に記載の報知方法によっては、複数のカメラが同一の手ぶれを受けた際に、撮像画像に与える影響の差については評価することができない。
【0007】
そこで、本発明は、同一の手ぶれを複数のカメラに与え、それらの手ぶれが撮像画像に与える影響の差を評価する評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる評価装置は、評価対象となる撮像装置を保持可能な振動台を有し、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる振動発生装置と、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像して生成した画像信号を受信し、その画像を評価する画像評価装置と、を備えている。モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形を生成する方法により生成された振動波形である。
【0009】
このような構成により、人が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が、撮像する画像にどのような影響を与えるかについて人工的に評価することが可能となる。
【0010】
また、本発明にかかる評価装置において、モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法により生成された振動波形としてもよい。
【0011】
このような構成により、生成される波形のうち、明らかに手振れモデル波形としてふさわしくない波形については、手振れモデル波形として選択されることがない。
【0012】
また、本発明にかかる評価装置において、モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、生成したモデル波形候補に関する情報と、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、比較結果に応じて、生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法により生成された振動波形としてもよい。
【0013】
このような構成により、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える振動と相関性のある波形を手振れモデル波形として取得することができる。
【0014】
また、本発明にかかる評価装置において、モデル波形は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報を取得し、取得した複数の周波数情報の所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値を算出し、算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形の振幅をそれぞれ所定の位相分ずらしながら合成することによりモデル波形候補を生成し、生成したモデル波形候補に関する情報と、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、比較結果に応じて、生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法により生成された振動波形としてもよい。
【0015】
このような構成により、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える振動と相関性のある波形を手振れモデル波形として取得することができる。
【0016】
また、本発明にかかる評価装置において、基準情報は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅の絶対値に基づいて生成されるとしてもよい。
【0017】
このような構成により、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える平均的な振動波形を基準情報として選択することができる。
【0018】
また、本発明にかかる評価装置において、画像の評価は、撮像した画像のにじみ幅に基づいて、撮像した画像の評価を行うようにしてもよい。
【0019】
また、本発明にかかる評価装置において、画像の評価は、撮像した画像の面積に基づいて、撮像した画像の評価を行うようにしてもよい。
【0020】
また、本発明にかかる評価装置において、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が撮像画像に与える影響を抑制する手ぶれ補正機能がOFFの状態で、かつ、撮像装置にモデル波形に従って振動を与えた状態で被写体の撮像を行うOFF撮像により生成した画像信号と、手ぶれ補正機能がONの状態で、かつ、撮像装置に前記OFF撮像と同じ振動を与えた状態で前記OFF撮像と同じ被写体の撮像を行うON撮像により生成した画像信号と、をそれぞれ受信し、OFF撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるOFF評価値を算出すると共に、ON撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるON評価値を算出し、算出したOFF評価値とON評価値とから撮像装置の手ぶれ補正機能の効果の評価値をさらに算出すようにしてもよい。
【0021】
このような構成により、手ぶれ補正機能による手ぶれ補正の効果のみを厳密に評価することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る評価装置によれば、同一の手ぶれを複数のカメラに与え、それらの手ぶれが撮像画像に与える影響の差を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】評価装置の概略構成図
【図2】評価装置のブロック図
【図3】手ぶれモデル波形を生成する際のフローチャート
【図4】手ぶれ振動波形の実測データの周波数解析の概略説明図
【図5】手ぶれ振動波形の実測データの周波数解析の概略説明図
【図6】基準情報の生成方法を説明するための模式図
【図7】比較用情報の生成方法を説明するための模式図
【図8】比較用情報の生成方法を説明するための模式図
【図9】手ぶれ補正機能の評価のフローチャート
【図10】評価用画像の一例を示す図
【図11】評価方法の一例を示す図
【図12】評価用画像の他の一例を示す図
【図13】手ぶれ補正機能の評価のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔1:実施の形態1〕
以下、本発明に係る画像の評価方法の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、実質的に同一の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0025】
また、本文中における前方とは、カメラ本体からみて被写体側をいう。背後とは、カメラ本体からみて被写体側の反対側、すなわち、撮像素子側をいう。上側とは、撮影画像の長辺方向を水平方向に設置した際の鉛直上向きに相当する。また、下側とは、上側と反対方向をいい、図面においては下側に相当する。また各部において、前方、背後、上側、下側の各面をそれぞれ前面、背面、上面、下面という。
【0026】
また、カメラ本体から上方への方向をX方向といい、カメラ本体から前方への方向をZ方向といい、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向というものとする。
【0027】
<<1−1:評価対象>>
評価の対象は、手ぶれ補正機能を有する撮像装置である。デジタルスチルカメラの他、動画を撮影するムービーも評価の対象である。手ぶれ補正機能は、主に、(1)撮影時に手ぶれの影響を抑制する機能と、(2)撮影後の画像から手ぶれの影響を取り除いた画像を作成する機能とに分かれる。(1)撮影時に手ぶれの影響を抑制する機能は主に、(1A)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像の手ぶれによるぶれを検出する機能、および、(1B)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像のぶれを抑制する機能からなっている。
【0028】
(1A)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像の手ぶれによるぶれを検出する機能としては、(1Aa)カメラ本体またはレンズ鏡筒に設けられた角速度センサによってカメラ本体の動きを検出する方式、(1Ab)所定間隔にて撮影した複数の画像からカメラ本体の動きを算出する方式などがある。(1B)撮像素子の撮像面に形成された被写体の光学的な像のぶれを抑制する機能としては、(1Ba)手ぶれ補正用レンズをレンズ鏡筒の光軸と垂直な平面内で動かすことによって撮像素子の撮像面における像の位置を変化させる方式、(1Bb)撮像素子の撮像面をレンズ鏡筒の光軸と垂直な平面内で動かすことによって撮像素子の撮像面における像の位置を変化させる方式、(1Bc)複数の画像を連続して撮影し、画像の切り出し位置を画像ごとに変えて画像を切り出し、これらを合成する方式などがある。(1Ba)および(1Bb)の方式を光学式手ぶれ補正、(1Bc)および(2)の方式を電子式手ぶれ補正という。
【0029】
消費者は、これらの種々の手ぶれ補正機能を備えたカメラから選択して購入をする。しかし、現状では、手ぶれ補正の効果を商品間で比較できる指標がなく、消費者にとって手ぶれ補正機能を客観的に比較することが困難であった。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、すべてのカメラについて統一的に用いることができる手ぶれ補正機能の評価方法を提供する。
【0031】
<<1−2:評価装置の構成>>
図1および図2を用いて評価装置について説明する。図1は評価装置の概略構成図、図2は評価装置のブロック図である。
【0032】
評価装置は、主に、振動発生装置a1と、加振データ生成/撮影画像評価装置a2と、評価用画像a3を有する。
【0033】
振動発生装置a1は、評価対象となるカメラに対して振動を加える装置である。振動発生装置a1は振動台a11と、第1方向回転部であるXモータa12と、第2方向回転部Yモータa13と、第3方向回転部Zモータa14と、レリーズボタン押下部a15と、振動装置コントローラa16とを有している。
【0034】
振動台a11は、評価対象であるカメラを固定可能である。Xモータa12、Yモータa13、Zモータa14の駆動により、振動台は振動する。これにより、振動台に固定されているカメラは振動する。
【0035】
Xモータa12は、振動台a11に対して、X方向を回転軸とした回転方向(以下、ヨー方向ともいう。)の振動を与えるモータである。Xモータa12は、振動装置コントローラa16からの制御信号Xにより、正転、逆転動作を行う。ヨー方向の振動の回転軸の位置は、カメラに対して任意の位置にすることが可能となっている。実際の手ぶれによるカメラのヨー方向の回転軸のカメラに対する位置は、撮影者や被写体距離によって変化するため、これらの評価を可能とするためである。本実施の形態では、Xモータa12を振動台a11に対して任意の位置に配置することが可能である。これにより、ヨー方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して任意の位置に設定することが可能である。なお、ヨー方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して固定し、カメラの位置を振動台a11に対して固定してもよい。
【0036】
Yモータa13は、振動台a11に対して、Y方向を回転軸とした回転方向(以下、ピッチ方向ともいう。)の振動を与えるモータである。Yモータa13は、振動装置コントローラa16からの制御信号Yにより、正転、逆転動作を行う。ピッチ方向の振動の回転軸の位置は、カメラに対して任意の位置にすることが可能である。実際の手ぶれによるカメラのピッチ方向の回転軸のカメラに対する位置は、撮影者や被写体距離によって変化するため、これらの評価を可能とするためである。本実施の形態では、Yモータa13の位置を振動台a11に対して任意に配置することが可能である。これにより、ピッチ方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して任意に設定することが可能である。なお、ピッチ方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して固定し、カメラの位置を振動台a11に対して固定してもよい。
【0037】
Zモータa14は、振動台a11に対して、Z方向を回転軸とした回転方向(以下、ロール方向ともいう。)の振動を与えるモータである。Zモータa14は、振動装置コントローラa16からの制御信号Zにより、正転、逆転動作を行う。ロール方向の振動の回転軸の位置は、カメラに対して任意の位置にすることが可能である。実際の手ぶれによるカメラのロール方向の回転軸のカメラに対する位置は、撮影者や被写体距離によって変化するため、これらの評価を可能とするためである。本実施の形態では、Zモータa14の位置を振動台a11に対して任意に配置することが可能である。これにより、ロール方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して任意に設定することが可能である。なお、ロール方向の振動の回転軸の位置を振動台a11に対して固定し、カメラを振動台a11に対して固定してもよい。
【0038】
Xモータa12と、Yモータa13と、Zモータa14とは、振動台a11に対して、ヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の振動を与える。そして、振動台a11は、カメラにヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の振動を与える。なお、振動の回転軸は必ずしもこの3軸である必要はなく、評価の内容に応じて任意の軸について振動させることができる。
【0039】
レリーズボタン押下部a15は、カメラの有するレリーズボタンを機械的に押し下げる。本実施の形態において、レリーズボタン押下部a15は、ソレノイド機構にて構成される。ソレノイド機構とは、電磁力によってプランジャを駆動させるアクチュエータである。レリーズボタン押下部a15は、プランジャの駆動により、レリーズボタン押下を実現する。レリーズボタンを押し下げられたカメラは、撮影動作を行う。
【0040】
カメラに撮影動作を行わせる方法としては、レリーズボタンを押下せずに、レリーズボタンの押下の際に発生する電気信号を直接カメラに送る方法もある。しかし、機械的にレリーズボタンの押下を行う方法の方が、以下の点で優れている。(1)機械的にレリーズボタンの押下を行うことにより、レリーズボタン押下に伴う振動をカメラに加えることも可能であり、より実態に近い評価を行うことが可能となる。(2)電気信号による方式は、カメラの内部構造、すなわち、シャッター制御の電気系統が判明していないと利用できない。一方、機械的押下による方式は、ほとんどのカメラに対して適用が可能である。
【0041】
振動装置コントローラa16は、Xモータa12、Yモータa13およびZモータa14が振動台a11に対して与えるヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の振動が所望の振動となるように制御する制御器である。振動装置コントローラa16は、Xモータa12と、Yモータa13と、Zモータa14とをどの方向にどれだけ回転運動させるかの制御信号をそれぞれのモータに対して送る。モータとしてDCモータやACモータを用いる場合、振動装置コントローラa16は、モータが所望の回転運動を行っているかどうかを、モータに取り付けられたエンコーダ信号を用いて検知する。エンコーダ信号を用いてモータが所望の回転運動を行っているかどうかを検知することにより、振動装置コントローラa16は、モータに対してフィードバック制御を行う。また、振動装置コントローラa16は、レリーズボタン押下部a15に対して、所定のタイミングでレリーズボタンの押下を行わせるように制御する。
【0042】
加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、後述する手ぶれモデル波形作成方法にて振動台に発生させる振動波形(手ぶれモデル波形)の生成を行う。また、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手ぶれモデル波形の中のどのタイミングでレリーズボタンの押下を行うかのタイミング(レリーズタイミング)の生成を行う。そして、手ぶれモデル波形およびレリーズタイミングを、加振/レリーズ指令として振動装置コントローラa16に送信する。さらに、撮影した画像信号をカメラから受信し、画像の評価を行う。本実施の形態では、加振データ生成/撮影画像評価装置a2としてパーソナルコンピュータを用いている。
【0043】
評価用画像a3は、評価時にカメラによって撮影される被写体である。評価用画像a3は、後述の撮影画像の解析が容易となるように、エッジの明確な画像が好ましい。本実施の形態では、白地に黒塗りの矩形を配した画像を用いている。評価用画像の色は、必ずしも白黒である必要はなく、オレンジと緑などの色であってもよい。要するにエッジを抽出しやすいチャートであれば色はなんでもよい。評価用画像a3は、カメラの前方に設置される。カメラと評価用画像a3との距離は任意に設定可能となっている。また、評価用画像a3には、カメラによる撮影の際に撮影領域となる位置を示す印が表示されている。
【0044】
その他、図示しない照度コントローラによって、評価用画像a3の照度を任意に設定できるようになっている。
【0045】
<<1−3:手ぶれモデル波形の生成方法>>
本実施の形態において、振動台は、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動(手ぶれ)を再現する。振動台は、手ぶれの際に生じる振動を模した手ぶれモデル波形に従って振動する。手ぶれモデル波形の生成方法について、図3〜図7を用いて説明する。
【0046】
図3は、手ぶれモデル波形を生成する際のフローチャートである。図4は、手ぶれにより生じた振動波形を周波数解析する様子を説明する模式図である。図5は、周波数帯域ごとに求められた振動波形を合成する様子を説明する模式図である。図6は、基準情報を生成する際の生成方法を説明するための模式図である。図7は、合成した振動波形と、基準情報とを比較する際の方法を説明するための模式図である。
【0047】
<1−3−1:手ぶれモデル波形生成フロー>
手ぶれモデル波形は、ヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれの回転方向について生成される。撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動のうち、撮像された画像に与える影響が大きい振動が、その3方向への振動だからである。ここでは、ヨー方向の振動についての手ぶれモデル波形の生成フローについて、主に図3を用いて説明する。
【0048】
撮影者は、撮像装置を用いて被写体を撮像する。その際に生じた手ぶれの振幅を表す波形のうち、ヨー方向の回転についての波形をサンプル波形として複数用意する(S200)。要するに、撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得する。例えば、カメラに角速度センサを取り付け、実際に撮影者に撮影動作を行わせる。具体的には、撮影者にカメラを手に持った状態でレリーズボタンの押下動作を行わせる。そして、撮影時の角速度センサの出力からヨー方向の振動波形の実測データを取得する。ここで、撮影時とは、レリーズタイミングを含む一定期間である。この際、複数のサンプル波形は、なるべく多く用意することが好ましい。また、それぞれ異なる撮影者による撮像によって生じた手ぶれのサンプル波形であることが好ましい。これにより、撮影者による偏りをなくし、より一般的な手ぶれモデルの波形を生成することが可能となるからである。
【0049】
加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、サンプル波形が所定数入力されるまで待機する。所定数のサンプル波形が入力されると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、入力されたそれぞれのサンプル波形について周波数解析を行う(S201)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報を取得する。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図4の3−1に示されるようなサンプル波形に対してフーリエ変換を行う。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図4の3−1に示されるようなサンプル波形を、図4の3−2に示されるようなそれぞれの周波数帯域ごとの周波数成分に分解することができる。本実施の形態において、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、サンプル波形を1Hzごとの帯域に分解している。ここで、フーリエ変換により1Hzごとの帯域に分解すると、1つ目の振幅データAnは、1Hz±0.5Hzの周波数帯域の振幅成分をあらわすデータとなる。また、A2nは、2Hz±0.5Hzの振幅成分を表すデータとなる。手ぶれの周波数帯域はせいぜい20Hz程度である。従って、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、20Hz程度までの周波数成分を抽出しておけばよい。
【0050】
それぞれのサンプル波形についての周波数解析が終了すると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの周波数帯域ごとに、それぞれのサンプル波形の振幅の平均値を算出する(S202)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の周波数情報の所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値を算出する。例えば、複数のサンプル波形それぞれが、図4の3−3に示すように周波数帯域ごとの振幅に分解されている場合を考える。この場合において、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、ます、それぞれのサンプル波形のAnY成分のみの平均値A_avenYを算出する。次に、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれのサンプル波形のA2nY成分のみの平均値A_ave2nYを算出する。このような処理を全ての周波数帯域で繰り返すことにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、全ての周波数帯域ごとのサンプル波形の振幅の平均値を算出することができる。なお、本実施の形態においては、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの周波数帯域ごとに、全てのサンプル波形の振幅の平均値を算出することとした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はない。例えば、それぞれの周波数帯域ごとに、全てのサンプル波形のうち振幅が大きい上位3つと、振幅が小さい下位3つとについては、平均値の算出に際して省くような構成としてもよい。これにより、サンプル波形のうち大幅に異なる波形については平均値の算出の際に除くことができる。その結果、平均的な波形として特異な波形が生成されることを比較的抑えることができる。
【0051】
周波数帯域ごとのサンプル波形の振幅の平均値を算出すると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの周波数帯域におけるサンプル波形の平均の振幅に対して逆フーリエ変換を行う。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、周波数帯域ごとの振動波形を取得することができる(S203)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形を取得する。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−4に示されるような周波数帯域ごとの振幅の平均値A_avenY、A_ave2nY…それぞれに対して、逆フーリエ変換を行う。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−5に示されるような周波数帯域ごとの振動波形WnY、W2nY…を得ることができる。
【0052】
周波数帯域ごとの振動波形を得ると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの振動波形を所定の位相分ずらして合成する(S204)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形の振幅をそれぞれ所定の位相分ずらしながら合成する。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−5に示すような周波数帯域ごとの振動波形WnY、W2nY…を所定の位相分ずらして合成する。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、図5の3−6に示すようなヨー方向の手振れモデル波形候補WY_modelを得ることができる。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいて、モデル波形候補を生成する。ここで、振動波形を合成する際にそれぞれの振動波形を所定の位相ずらすこととしているが、この所定の位相は、合成する際にランダムに変更されるものとする。なお、本実施の形態において、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、周波数帯域ごとの振動波形を所定の位相分ずらして合成することにより、モデル波形候補を得ることとした。しかし、必ずしもこのようにする必要はなく、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、周波数帯域ごとの振動波形を所定の位相分ずらして合成することにより、モデル波形を得ることとしてもよい。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいて、モデル波形を生成することとしてもよい。これにより、より簡単な方法で、人の手ぶれを模したモデル波形を得ることができる。また、このモデル波形に基づいて、撮像装置を保持する振動台を振動させることにより、人が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が、撮像する画像にどのような影響を与えるかについて人工的に評価することが可能となる。
【0053】
手振れモデル波形候補WY_modelが得られると、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報との比較を行う(S205)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、生成したモデル波形候補に関する情報と、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報と、を比較する。ここで、基準情報とは、撮影者が被写体を撮像するタイミングにおいて、撮影者が撮像装置に与える振動の振幅の平均的な値と、露光時間との関係を示す情報である。ここで、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報との比較を行う理由を説明する。位相をランダムにずらして足し合わされた波形においては、足し合わされる特定帯域毎の振動波形の位相関係がランダムであるため、偶然に複数の特定帯域毎の振動波形のピークが一致することで手ぶれモデル波形の振幅が極端に大きくなる場合がある。このような波形は、通常のカメラ撮影時の手ぶれ振動波形を超える振幅を有した波形となる場合がある。従って、本実施の形態においては、通常のカメラ撮影時の手ぶれ振動波形を再現するために、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報との比較を行い、手振れ波形候補を手振れ波形として採用するかを判断することとした。
【0054】
ここで、基準情報の生成方法について説明する。まず、撮影者は、撮像装置を用いて被写体を撮像する。その際に生じた手ぶれの振幅を表す波形のうち、ヨー方向の振動についての波形をサンプルとして複数取得する。取得された複数のサンプル波形の振幅情報から、レリーズボタン押下後の複数の異なる時間幅におけるそれぞれの波形の振幅の平均値を求める。それら求めた複数の異なる時間幅における振幅の平均値から基準情報を生成する。要するに、基準情報は、取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅に基づいて生成される。例えば、図6に示すように、複数のサンプル波形として、サンプル波形61、サンプル波形62、サンプル波形63…を用意する。用意されたこれらのサンプル波形の振幅のうち、レリーズボタン押下後の複数の異なる時間幅(t1、t2、t3・・・)における振幅の平均値を求める。それら複数の平均値から基準情報64を得ることができる。これにより、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える平均的な振動情報を基準情報として選択することができる。
【0055】
ここで、手振れモデル波形候補WY_modelと、予め用意されている基準情報との比較方法について具体的に説明する。例えば、手振れモデル波形候補WY_modelとして図5の3−6に示される波形が得られた場合を考える。得られた手振れモデル波形候補WY_modelの複数個所の所定の時間幅(露光時間)における振幅の平均値を求める。具体的には、まず、図8に示すように、所定の露光時間(t1)における振幅の平均値を、選択した複数の箇所で算出する。これを別の露光時間(t2)についても行う。これを繰り返すことにより得られたそれぞれの露光時間に対応する振幅の平均値から、手振れモデル波形候補WY_modelにおける露光時間と、振幅との関係(図7の7−1に示す比較用情報70)を求める。
【0056】
このように、所定の時間幅における振幅を複数個所で求め、それらの平均値を算出することで比較用情報を求める理由を述べる。これは、手振れモデル波形候補WY_modelは、複数の波形を合成したもので、どのタイミングがレリーズタイミングか不明であるためである。本実施の形態における方法で求めた比較用情報と、基準情報とを比較することにより、レリーズタイミングがどこに設定されても、基準情報に近い露光時間と振幅との関係を持った波形を選択することができる。
【0057】
加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、比較用情報と、予め用意されている基準情報との比較を行う。
【0058】
このようにして得られた基準情報と、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報(比較用情報)との比較を行った後に、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、基準情報と、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報とのそれぞれの時間における振幅の差が所定の範囲内であるか否かを判断する(S206)。例えば、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、比較用情報70の振幅と、基準情報の振幅との所定の複数の時刻における差が所定の範囲内であるかを判断する。この際に、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、それぞれの時刻における差が所定の範囲内であるかを判断してもよいし、それぞれの時刻における差の合計が所定の範囲内であるかを判断してもよい。要するに、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とが所定の相関を有するかを判断すればよい。
【0059】
このように、本実施の形態における加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、生成した手振れモデル波形候補WY_modelの選別を行う。つまり、単純にランダムに合成した波形を手振れモデル波形とせずに、所定の制約条件の基でモデル波形候補WY_modelの選別を行い、手振れモデル波形を決定する。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、生成される波形のうち、明らかに手振れモデル波形としてふさわしくない波形については、手振れモデル波形として選択しない。また、基準情報との相関性を考慮しつつ、モデル波形候補WY_modelの選別を行うことにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、実際の撮影者が被写体を撮影する際に撮像装置に与える振動と相関性のある波形を手振れモデル波形として取得することができる。
【0060】
手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とのそれぞれの時刻における振幅の差が所定の範囲内であると判断した場合には、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelを手ぶれ振動モデル波形として採用する(S207)。要するに、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報との比較結果に応じて、モデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする。
【0061】
一方、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とのそれぞれの時刻における振幅の差が所定の範囲内ではないと判断した場合には、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、再度、周波数帯域ごとの振動波形を所定の位相分ずらして合成する(S204)。加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、基準情報とのそれぞれの時刻における振幅の差が所定の範囲内に収まるまでこの処理を繰り返す(S204〜S206)。
【0062】
以上のフローにより、ヨー方向の手ぶれ振動モデルが生成される。ピッチ方向、ロール方向についても同じ要領で手ぶれ振動モデルが生成される。これにより、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮像装置に与える全ての回転方向の振動に関する振動波形を得ることができる。
【0063】
なお、本実施の形態において、手ぶれ振動モデルの生成は、加振データ生成/撮影画像評価装置a2が行うこととした。しかし、必ずしも加振データ生成/撮影画像評価装置a2が行う必要はない。例えば、加振データ生成装置と、撮影画像評価装置とは、別々の装置で構成することが可能である。その場合には、加振データ生成装置が振動モデルを生成する。加振動データ生成装置としては、パーソナルコンピュータなどの計算機を用いることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、手振れモデル波形候補WY_modelを1つ生成し、生成した手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報とを比較した。そして、その比較結果から、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報とが所定の相関を有していると判断できれば、手振れモデル波形候補WY_modelを手振れモデル波形として採用することとした。しかし、必ずしもこのようにする必要はなく、まず、手振れモデル波形候補WY_modelを複数用意し、用意した複数の手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報と、予め用意されている基準情報とを比較し、用意した複数の手振れモデル波形候補WY_modelのうち最も基準情報との相関が高い波形候補をモデル波形として採用するようにしてもよい。
【0065】
なお、本実施の形態においては、手振れモデル波形候補WY_modelに関する情報として比較用情報を用いた。しかし、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、手振れモデル波形候補WY_modelにおいて所定の時刻をレリーズタイミングとみなし、その時刻からの所定の時間幅(露光時間)における振幅から求めた情報と、基準情報とを比較するような構成としてもよい。
【0066】
なお、手ぶれ振動波形の実測データの取得を行う際には、レリーズボタン押下のタイミングを含む一定期間のデータを取得している。その際、実測データの取得期間は、レリーズボタン押下の瞬間のみとするほうが、よりレリーズボタン押下時のカメラ本体のぶれに近くて好ましいとも考えられる。しかし、実測データの取得期間が短いほど、波形解析(フーリエ変換)後の解析分解能が低くなり、手ぶれモデル波形の精度が劣化する。よって、解析分解能の維持と、レリーズボタン押下時の振動を極力手ぶれモデル波形に反映させることを両立するために、レリーズボタン押下時を含む一定期間(例えば2秒以上)の実測データから手ぶれモデル波形を合成することが好ましい。レリーズボタン押下時のカメラ本体のぶれについては、上述の振動発生装置a1によって再現することが可能である。
【0067】
<<1−4:評価方法>>
手ぶれ補正機能の評価の手順について、図9を用いて説明する。図9は、手ぶれ補正機能の評価のフローチャートである。
【0068】
<1−4−1:初期設定>
評価主体は、振動装置の初期設定を行う(S101)。ここで、初期設定としては、手ぶれモデル波形の取得や、評価対象となるカメラの固定などがある。以下それらについて説明する。
【0069】
[加振データの取得]
振動発生装置a1は、評価対象であるカメラに加える加振データを加振データ生成/撮影画像評価装置a2から取得する。ここで、加振データは、振動発生装置a1が加振データ生成/撮影画像評価装置a2から自動的に取得してもよいし、評価者が、加振データ生成/撮影画像評価装置a2から加振データを取得し、取得した加振データを振動発生装置a1に入力してもよい。加振データとして、あらかじめ準備しておいたヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれについての手ぶれモデル波形WY_model、WP_model、WR_modelを用いる。
【0070】
[露光タイミングの取得]
振動発生装置a1は、手ぶれモデル波形中のいずれのタイミングで撮影を行うか、すなわち、レリーズボタン押下部a15がレリーズボタンを押すタイミングを取得する。
【0071】
[評価対象の固定]
評価対象であるカメラを振動台a11に固定する。本実施の敬知あにおいては、評価対象となるカメラを振動台a11の上面に固定している。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、評価対象となるカメラを振動台a11の前面や下面に固定する構成としてもよいし、評価対象となるカメラを振動台a11上にただ載置する構成としてもよい。要するに、撮像装置を振動台に保持させればよい。レリーズボタン押下部a15とカメラのレリーズボタンの位置をあわせて、カメラと評価チャートとの距離を所定量離して設置する。
【0072】
[回転軸位置の決定]
Xモータa12の位置を調整する。その際、ヨー方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Yモータa13の位置を調整する。その際、ピッチ方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Zモータa14の位置を調整する。その際、ロール方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。本実施の形態では、ヨー方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ピッチ方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ロール方向の回転軸が光軸と一致するように設定する。
【0073】
<1−4−2:撮影領域の設定>
評価対象であるカメラの撮影領域を設定する(S102)。すなわち、評価用画像a3の所定の撮影領域が撮像素子の撮影面の撮影領域と一致するように設定する。この設定は、カメラから評価用画像a3までの距離(被写体距離)およびカメラの焦点距離を調整することにより実現できる。被写体距離と焦点距離は、評価条件に応じてどちらか一方を優先させることができる。通常、焦点距離は手ぶれによる撮像面上の像の動きに与える影響が大きく、手ぶれ補正性能評価の条件として扱われることになるので、例えば、焦点距離または画角を各カメラにて統一することとし、被写体距離によって撮影領域を設定する。
【0074】
<1−4−3:カメラの動作設定>
評価対象であるカメラの各種動作の設定を行う(S103)。評価対象であるカメラの焦点距離を設定し、被写体となる評価チャートの光学像が撮像素子の撮像面で結ばれるようにピント位置の調整を行う。カメラがオートフォーカス機能を有している場合は、これを用いても構わない。
【0075】
また、評価対象であるカメラの露光時間を設定する。露光時間は、評価対象となるカメラにかかわらず統一するのが好ましい。露光時間は撮影した画像のぶれの大きさに直接影響するためである。
【0076】
コンパクトカメラにおいては、一部露光時間を直接設定できないものがある。カメラが露出制御モードとして、シャッター優先AEが選択できれば、直接露光時間の設定を行う。そうでない場合は、評価用画像a3の照度を調整してカメラが所望の露光時間となるように設定を行えばよい。
【0077】
<1−4−4:手ぶれ補正機能の設定>
評価対象であるカメラの手ぶれ補正機能をONに設定する。なお、本実施の形態においては、手ぶれ補正機能がONの状態で、手ぶれが撮像画像に与える影響を評価する。しかし、本発明は、必ずしもこのような目的にのみ用いられるわけではない。例えば、手ぶれ補正機能を有さないカメラに対して、その撮像画像に手ぶれが与える影響を評価する目的などにも用いることができる。要するに、人工的に生成された手ぶれモデルを用いて、その手ぶれがカメラにより撮像された画像に与える影響を評価する場合であればどのような場合でも用いることができる。
【0078】
<1−4−5:振動動作の開始>
振動発生装置a1の振動台a11の振動を開始させる(S105)。具体的には、振動装置コントローラa16は、ヨー方向についての手ぶれモデル波形に従いXモータa12を動作させ、ピッチ方向についての手ぶれモデル波形に従いYモータa13を動作させ、ロール方向についての手ぶれモデル波形に従いZモータa14を動作させる。要するに、振動装置コントローラa16は、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる。
【0079】
<1−4−6:評価用画像の撮像>
レリーズボタン押下部a15は、設定されたレリーズタイミングにてカメラのレリーズボタンを押下する(S106)。なお、本実施の形態においては、カメラのレリーズボタンを押下することにより、評価用画像の撮像を行うこととした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、撮像を開始する際に流れる電気信号を撮像装置に流すことにより、評価用画像を撮像してもよい。要するに、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像すればよい。これにより、カメラは評価用画像の撮影を行う。
【0080】
<1−4−7:判断>
引き続き撮影を行う場合は、振動発生装置a1をそのまま繰り返し動作させ、S106の動作を繰り返し行う(S107)。
【0081】
<1−4−8:振動発生装置の停止>
撮影を終了する場合は、振動発生装置a1の動作を停止する(S108)。
【0082】
<1−4−9:撮影画像の解析>
手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像をカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に送信する(S109)。着脱可能な記録媒体によりカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に撮影画像を移動してもよい。そして、加振データ生成/撮影画像評価装置a2にて撮影画像の解析を行い、後述する方法によって撮影画像の画質を定量化し、評価値を算出する。
【0083】
<1−4−10:判定>
算出された評価値から手ぶれ補正機能の効果を判定する(S110)。詳細は後述する。これにより、手ぶれ補正機能の効果について精度の高い評価が可能となる。
【0084】
<1−4−11:その他>
なお、上記の説明では、S101、S102、S103等の設定値は1種類の固定値として記載しているが、手ぶれモデル波形、レリーズタイミング、焦点距離、露出時間は複数設定し、それぞれの条件で評価を行っても良い。
【0085】
また、本実施の形態においては、カメラの手振れ補正機能の効果を評価している。しかし、本発明は、必ずしもそのような評価にのみ用いられるものではない。カメラに手振れが加えられた状態で被写体の撮像をした際に、撮像した画像に与える影響を評価するものであれば何でも用いることができる。
【0086】
<<1−5:撮影画像の解析方法>>
<1−5−1:エッジのにじみ幅による定量化>
図10は、評価用画像の一例を示す模式図である。図10に示す評価用画像を撮影し画質評価に使用する。評価用画像には、撮影領域を示す印となる撮影領域マーカd1が表示されている。撮影領域マーカd1の枠内には、白地に4個の黒色のブロック(エッジ幅検出ブロックd2)が配置されている。評価用画像を撮影した撮影画像のエッジ幅検出ブロックd2の黒−白間のエッジのにじみ量で撮影画像の画質の評価を行う。なお、図の表記の都合上、黒色のブロックを、斜線を用いて表している。
【0087】
まず、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮影画像から垂直方向のエッジ部を検知する。具体的には、図10中の一点破線で示す8箇所のにじみ幅検知枠d3で垂直方向のエッジ部を検知する。また、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮影画像から水平方向のエッジ部を検知する。具体的には、図6中の二点破線で示す8箇所のにじみ幅検知枠d4で水平方向のエッジ部を検知する。
【0088】
図11は、にじみ幅の検出方法を説明するための模式図である。ここでは、図10中の水平方向のにじみ幅検知枠d4のひとつを例にとってにじみ幅の検出方法を説明する。
【0089】
まず、水平方向のにじみ幅検知枠d4のひとつの垂直方向の中心を通り、水平方向に平行な輝度情報抽出ラインe1を設定する。
【0090】
輝度情報抽出ラインe1に沿って各画素の輝度値を算出する。算出した輝度値をプロットしてe2を得る。
【0091】
輝度情報抽出ラインe1上の画素のうち、輝度のもっとも低い画素(画像中の黒い部分)の輝度値を0、輝度のもっとも高い画素(画像中の白い部分)の輝度値を100と規格化する。
【0092】
輝度値が20となる画素の水平方向の座標値をX20、輝度値が80となる画素の水平方向の座標値をX80とする。
【0093】
次に、にじみ幅を算出する。算出式は次式[(にじみ幅)=|X80−X20|]を用いる。
【0094】
垂直方向についても同様の処理を繰り返し、にじみ幅を算出する。
【0095】
ここで、算出したにじみ幅を画質の評価値とすると、手ぶれが撮像画像に与える影響について異なる画素数を有するカメラ間で十分に比較することができない。これは、ここで算出したにじみ幅は、画素数によって表されるものだからである。すなわち、異なる画素数を有する撮像素子を有するカメラ間においては、画素間の距離がそれぞれ異なるからである。従って、異なる画素数の撮像素子を有するカメラ間の比較を可能とすべく、にじみ幅から画質の評価値への変換を行う。評価値への変換は、算出したにじみ幅が撮像素子の撮影領域の水平方向、垂直方向の幅に対してどのくらいの割合になっているかを求めることにより行う。表示方法としては、例えば以下のような方法がある。
(1)同じ画素数のカメラ同士を比較して、「残留振れは○画素」と表示
(2)評価結果を例えば1000万画素の撮像素子に換算して「残留振れは○画素」と表示
(3)撮像素子の撮影領域の水平方向、垂直方向の幅に対するにじみ幅の割合(%)で表示
(4)撮影画角に対するにじみ幅の画角を表示
<<1−5−2:シンボル面積による定量化>>
撮影画像の画質の他の評価方法を説明する。図12に評価用画像の他の一例を示す。図12に示す評価用画像を撮影し画質評価に使用する。評価用画像には、撮影領域を示す印となる撮影領域マーカd1が表示されている。撮影領域マーカd1の枠内には、白地に黒色のブロック(面積計算用シンボルf1)が配置されている。評価用画像を撮影した撮影画像の面積計算用シンボルf1の面積で撮影画像の画質の評価を行う。すなわち、撮影画像の面積計算用シンボルf1の面積が大きいほど、面積計算用シンボルf1が鮮明でないことになり、画質が悪いということになる。なお、図の表記の都合上、黒色のブロックを、斜線を用いて表している。
【0096】
まず、加振データ生成/撮影画像評価装置a2は、撮影画像の全ての画素について輝度値を算出する。輝度値は、撮影画像中の最も輝度の低い画素の輝度値を0、最も輝度の高い画素の輝度値を100として算出する。
【0097】
面積計算用シンボルf1の面積を算出する。具体的には、輝度値の閾値(たとえば70)を設定し、閾値以下の輝度値を持つ画素の数をカウントし、その総数を面積計算用シンボルf1の面積とする。
【0098】
ここで、算出した面積計算用シンボルf1の面積を画質の評価値とすると、手ぶれが撮像画像に与える影響について異なる画素数を有するカメラ間で十分に比較することができない。これは、ここで算出した面積計算用シンボルf1の面積は画素数によって表されるものだからである。すなわち、異なる画素数を有する撮像素子を有するカメラ間においては、画素間の距離がそれぞれ異なるからである。従って、異なる画素数の撮像素子を有するカメラ間の比較を可能とすべく、面積計算用シンボルf1の面積から画質の評価値への変換を行う。評価値への変換は、算出した面積計算用シンボルf1の面積が撮像素子の撮影領域の面積に対してどのくらいの割合になっているかを求めることにより行う。表示方法としては、例えば以下の用は方法がある。
(1)同じ画素数のカメラ同士を比較して、「シンボル面積は○画素」と表示
(2)評価結果を例えば1000万画素の撮像素子に換算して「シンボル面積は○画素」と表示
(3)撮像素子の撮影領域の画素数に対する面積計算用シンボルf1の面積(画素数)の割合(%)で表示
<<1−6:効果判定方法>>
上述したようないずれかの方法等によって定量化された撮像画像の画質の評価値を用いることにより、手ぶれ補正機能の効果を判定する。例えば、エッジのにじみ幅によって撮像画像の画質を定量化した場合には、エッジのにじみ幅が第1の所定値以上である場合には、手ぶれ補正機能の効果は、「低」であると判断し、エッジのにじみ幅が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下である場合には、手ぶれ補正機能の効果は、「高」であると判断し、エッジのにじみ幅が第1の所定値と第2の所定値との間にある場合には、手ぶれ補正機能の効果は、「中」であると判断することが可能である。
【0099】
〔2:実施の形態2〕
以下、本発明にかかる第2の実施の形態について、図面を用いて説明する。特に説明しない事項については、実施の形態1と同様の構成をとるものとする。実施の形態1は、1つのカメラの手振れ補正モードがONに設定されている場合に、そのカメラに加えられた手ぶれが撮像画像に与える影響について評価を行った。実施の形態2は、1つのカメラの手振れ補正モードがONに設定されている場合と、OFFに設定されている場合とにおいて、手ぶれが撮像画像に与える影響を比較する。これにより、手ぶれ補正機能による手ぶれ補正の効果のみを厳密に評価することができる。
【0100】
<<2−1:評価方法>>
手ぶれ補正機能の評価の手順について、図13を用いて説明する。図13は、手ぶれ補正機能の評価のフローチャートである。
【0101】
<2−1−1:初期設定>
評価主体は、振動装置の初期設定を行う(S301)。ここで、初期設定としては、手ぶれモデル波形の取得や、評価対象となるカメラの固定などがある。以下それらについて説明する。
【0102】
[加振データの取得]
振動発生装置a1は、評価対象であるカメラに加える加振データを加振データ生成/撮影画像評価装置a2から取得する。ここで、加振データは、振動発生装置a1が加振データ生成/撮影画像評価装置a2から自動的に取得してもよいし、評価者が、加振データ生成/撮影画像評価装置a2から加振データを取得し、取得した加振データを振動発生装置a1に入力してもよい。加振データとして、あらかじめ準備しておいたヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれについての手ぶれモデル波形WY_model、WP_model、WR_modelを用いる。
【0103】
[露光タイミングの取得]
振動発生装置a1は、手ぶれモデル波形中のいずれのタイミングで撮影を行うか、すなわち、レリーズボタン押下部a15がレリーズボタンを押すタイミングを取得する。
【0104】
[評価対象の固定]
評価対象であるカメラを振動台a11に固定する。本実施の敬知あにおいては、評価対象となるカメラを振動台a11の上面に固定している。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、評価対象となるカメラを振動台a11の前面や下面に固定する構成としてもよいし、評価対象となるカメラを振動台a11上にただ載置する構成としてもよい。要するに、撮像装置を振動台に保持させればよい。レリーズボタン押下部a15とカメラのレリーズボタンの位置をあわせて、カメラと評価チャートとの距離を所定量離して設置する。
【0105】
[回転軸位置の決定]
Xモータa12の位置を調整する。その際、ヨー方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Yモータa13の位置を調整する。その際、ピッチ方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。次に、Zモータa14の位置を調整する。その際、ロール方向の振動の回転軸の位置がカメラに対して所定の位置になるように調整する。本実施の形態では、ヨー方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ピッチ方向の回転軸の位置が撮像素子の撮影面上かつ光軸と直交するように設定し、ロール方向の回転軸が光軸と一致するように設定する。
【0106】
<2−1−2:撮影領域の設定>
評価対象であるカメラの撮影領域を設定する(S302)。すなわち、評価用画像a3の所定の撮影領域が撮像素子の撮影面の撮影領域と一致するように設定する。この設定は、カメラから評価用画像a3までの距離(被写体距離)およびカメラの焦点距離を調整することにより実現できる。被写体距離と焦点距離は、評価条件に応じてどちらか一方を優先させることができる。通常、焦点距離は手ぶれによる撮像面上の像の動きに与える影響が大きく、手ぶれ補正性能評価の条件として扱われることになるので、例えば、焦点距離または画角を各カメラにて統一することとし、被写体距離によって撮影領域を設定する。
【0107】
<2−1−3:カメラの動作設定>
評価対象であるカメラの各種動作の設定を行う(S303)。評価対象であるカメラの焦点距離を設定し、被写体となる評価チャートの光学像が撮像素子の撮像面で結ばれるようにピント位置の調整を行う。カメラがオートフォーカス機能を有している場合は、これを用いても構わない。
【0108】
また、評価対象であるカメラの露光時間を設定する。露光時間は、評価対象となるカメラにかかわらず統一するのが好ましい。露光時間は撮影した画像のぶれの大きさに直接影響するためである。
【0109】
コンパクトカメラにおいては、一部露光時間を直接設定できないものがある。カメラが露出制御モードとして、シャッター優先AEが選択できれば、直接露光時間の設定を行う。そうでない場合は、評価用画像a3の照度を調整してカメラが所望の露光時間となるように設定を行えばよい。
【0110】
<2−1−4:手ぶれ補正機能の設定>
評価対象であるカメラの手ぶれ補正機能をOFFに設定する(S304)。
【0111】
<2−1−5:振動動作の開始>
振動発生装置a1の振動台a11の振動を開始させる(S305)。具体的には、振動装置コントローラa16は、ヨー方向についての手ぶれモデル波形に従いXモータa12を動作させ、ピッチ方向についての手ぶれモデル波形に従いYモータa13を動作させ、ロール方向についての手ぶれモデル波形に従いZモータa14を動作させる。要するに、振動装置コントローラa16は、撮像装置を保持した状態の振動台をモデル波形に基づいて振動させる。
【0112】
<2−1−6:評価用画像の撮像>
レリーズボタン押下部a15は、設定されたレリーズタイミングにてカメラのレリーズボタンを押下する(S306)。なお、本実施の形態においては、カメラのレリーズボタンを押下することにより、評価用画像の撮像を行うこととした。しかし、必ずしもこのような構成とする必要はなく、撮像を開始する際に流れる電気信号を撮像装置に流すことにより、評価用画像を撮像してもよい。要するに、振動台が振動している状態で、撮像装置によって所定の被写体を撮像すればよい。これにより、カメラは評価用画像の撮影を行う。
【0113】
<2−1−7:判断>
手ぶれ補正機能OFFの状態にて引き続き撮影を行う場合は、振動発生装置a1をそのまま繰り返し動作させ、S306の動作を繰り返し行う(S307)。
【0114】
<2−1−8:振動発生装置の停止>
手ぶれ補正機能OFFの状態での撮影を終了する場合は、振動発生装置a1の動作を停止する(S308)。
【0115】
<2−1−9:手ぶれ補正機能の再設定>
評価対象であるカメラの手ぶれ補正機能をONに設定する(S309)。この他の撮影条件は変更しない。すなわち、S301からS303で設定した条件はそのまま同じにしておく。
【0116】
<2−1−10:振動動作の開始>
振動発生装置a1の振動台a11の振動を開始させる(S310)。ここでの動作は、S305と同じ動作である。
【0117】
<2−1−11:評価用画像の撮像>
レリーズボタン押下部a15は、設定されたレリーズタイミングにてカメラのレリーズボタンを押下する(S311)。これにより、カメラは評価用画像の撮影を行う。ここでの動作は、S306と同じ動作である。
【0118】
<2−1−12:判断>
手ぶれ補正機能ONの状態にて引き続き撮影を行う場合は、振動発生装置a1をそのまま繰り返し動作させ、S311の動作を繰り返し行う(S312)。
【0119】
<2−1−13:振動発生装置の停止>
手ぶれ補正機能ONの状態での撮影を終了する場合は、振動発生装置a1の動作を停止する(S313)。
【0120】
<2−1−14:撮像画像の解析>
手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像をカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に送信する。着脱可能な記録媒体によりカメラから加振データ生成/撮影画像評価装置a2に撮影画像を移動してもよい。そして、加振データ生成/撮影画像評価装置a2にて撮影画像の解析を行い、上述した方法によって撮影画像の画質を定量化し、評価値を算出する(S314)。評価値は、手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像のそれぞれについて算出する。
【0121】
<2−1−15:効果判定>
手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の評価値と、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の評価値との比較を行い、手ぶれ補正機能による画質の改善効果を判定する(S315)。詳細は後述する。これにより、カメラ個別のピント精度その他の性能差(光学性能差、画像処理の性能差など)を除去でき、手ぶれ補正機能について精度の高い評価が可能となる。
【0122】
<2−1−16:その他>
なお、上記の説明では、S301、S302、S303等の設定値は1種類の固定値として記載しているが、手ぶれモデル波形、レリーズタイミング、焦点距離、露出時間は複数設定し、それぞれの条件で評価を行っても良い。
【0123】
<<2−2:効果判定方法>>
上述したように、撮影画像の画質の評価値は、手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の双方について求める。手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値は、手ぶれによる影響以外にもピンボケ等のカメラ個別の影響を含んでいる。したがって、ピンボケ等の影響を取り除いて手ぶれ補正機能の効果の定量化を行う。
【0124】
手ぶれ補正機能の効果の定量化は、手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値、および、手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値を比較することにより可能となる。具体的には、例えば以下のような方法がある。
(1)手ぶれ補正機能の効果=手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値−手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値
(2)手ぶれ補正機能の効果=手ぶれ補正機能ONの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値/手ぶれ補正機能OFFの状態で撮影した撮影画像の画質の評価値
〔3:その他の実施の形態〕
手ぶれモデル波形自体は実際の手振れ波形と一致するものではなく、実際の手ぶれ振動波形の平均的波形であるため、より信頼性の高い評価結果を得るためには、複数種類の手ぶれモデル波形を用いて複数回評価した結果を平均することが望ましい。
【0125】
また例えば、年齢層別、性別、撮影熟練度別に実測した手ぶれ振動波形から、それぞれ別の手ぶれモデル波形を作成し、これを評価に用いることも考えられる。この場合、カメラが商品のターゲットとするユーザー層に固有の手振れにマッチした評価が可能となる。具体的には、カメラ撮影になじみのない女性などの場合、10Hz程度の振動が多く現れるケースがあり、こういうケースにマッチした手ぶれモデル波形を評価に用いるなどが考えられる。
【0126】
複数回評価する具体的な方法は、複数の手ぶれモデル波形を用意し、手ぶれモデル波形の振動期間中に任意に複数のレリーズタイミングを設定し、実写した画像の残留振れを個々に検出する。その検出結果を平均して最終的な評価値とする、などの方法でもよい。
【0127】
手ぶれモデル波形の作成は、レリーズボタン押下を含む一定期間の手ぶれ振動波形をもとに行ったが、レリーズボタン押下を含まない手ぶれモデル波形を作成してもよい。この場合の手ぶれモデル波形は、レリーズボタン押下によるカメラ本体の振動を含まないため、レリーズボタン押下部a15によるレリーズボタンの押下によって実際にカメラが振動するようにすることが好ましい。
【0128】
なお、本明細書における実施の形態において、手ぶれモデル波形を作成する際にフーリエ変換を用いる方法について説明を行ったがこれに限るものではなく、例えば離散コサイン変換等、時間軸波形を周波数領域での表現に変換する方法であれば、異なる変換方法を用いてもよい。
【0129】
本発明に係る手ぶれ補正機能の評価方法、および、評価装置は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る画像評価方法によれば、手振れが撮影画像に与える影響についての精度の高い評価が可能となる。このため本発明は、撮像装置の分野において有用である。
【符号の説明】
【0131】
a1 振動発生装置
a11 振動台
a12 Xモータ
a13 Yモータ
a14 Zモータ
a15 レリーズボタン押下部
a16 振動装置コントローラ
a2 加振データ生成/撮影画像評価装置
a3 評価用画像
d3 垂直方向にじみ幅検知枠
d4 水平方向にじみ幅検知枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象となる撮像装置を保持可能な振動台を有し、前記撮像装置を保持した状態の前記振動台をモデル波形に基づいて振動させる振動発生装置と、
前記振動台が振動している状態で、前記撮像装置によって所定の被写体を撮像して生成した画像信号を受信し、その画像を評価する画像評価装置と、を備え、
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形を生成する方法により生成された振動波形である、
評価装置。
【請求項2】
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、
前記生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法
により生成された振動波形である、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、
前記生成したモデル波形候補に関する情報と、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、
前記比較結果に応じて、前記生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法
により生成された振動波形である、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項4】
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報を取得し、
前記取得した複数の周波数情報の所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値を算出し、
前記算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形の振幅をそれぞれ所定の位相分ずらしながら合成することによりモデル波形候補を生成し、
前記生成したモデル波形候補に関する情報と、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、
前記比較結果に応じて、前記生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法
により生成された振動波形である、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項5】
前記基準情報は、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅の絶対値に基づいて生成されている、
請求項3又は4に記載の評価装置。
【請求項6】
前記基準情報は、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅の絶対値の平均値と、露光時間との関係を示す情報である、
請求項3又は4に記載の評価装置。
【請求項7】
前記画像の評価は、撮像した画像のにじみ幅に基づいて、撮像した画像の評価を行う、
請求項1〜6に記載の評価装置。
【請求項8】
前記画像の評価は、撮像した画像の面積に基づいて、撮像した画像の評価を行う、
請求項1〜6に記載の評価装置。
【請求項9】
前記画像評価装置は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が撮像画像に与える影響を抑制する手ぶれ補正機能がOFFの状態で、かつ、撮像装置に前記モデル波形に従って振動を与えた状態で被写体の撮像を行うOFF撮像により生成した画像信号と、
前記手ぶれ補正機能がONの状態で、かつ、撮像装置に前記OFF撮像と同じ振動を与えた状態で前記OFF撮像と同じ被写体の撮像を行うON撮像により生成した画像信号と、をそれぞれ受信し、
前記OFF撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるOFF評価値を算出すると共に、
前記ON撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるON評価値を算出し、
前記算出したOFF評価値とON評価値とから撮像装置の手ぶれ補正機能の効果の評価値をさらに算出する、
請求項1〜8に記載の評価装置。
【請求項1】
評価対象となる撮像装置を保持可能な振動台を有し、前記撮像装置を保持した状態の前記振動台をモデル波形に基づいて振動させる振動発生装置と、
前記振動台が振動している状態で、前記撮像装置によって所定の被写体を撮像して生成した画像信号を受信し、その画像を評価する画像評価装置と、を備え、
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形を生成する方法により生成された振動波形である、
評価装置。
【請求項2】
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、
前記生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法
により生成された振動波形である、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報について統計処理し、その結果に基づいてモデル波形候補を生成し、
前記生成したモデル波形候補に関する情報と、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、
前記比較結果に応じて、前記生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法
により生成された振動波形である、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項4】
前記モデル波形は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動に関する振動情報を複数取得し、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の周波数情報を取得し、
前記取得した複数の周波数情報の所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値を算出し、
前記算出した所定の周波数帯域ごとの振幅の平均値に基づいて生成された波形の振幅をそれぞれ所定の位相分ずらしながら合成することによりモデル波形候補を生成し、
前記生成したモデル波形候補に関する情報と、前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報に基づいて生成された基準情報とを比較し、
前記比較結果に応じて、前記生成したモデル波形候補の中からいずれかを選別してモデル波形とする方法
により生成された振動波形である、
請求項1に記載の評価装置。
【請求項5】
前記基準情報は、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅の絶対値に基づいて生成されている、
請求項3又は4に記載の評価装置。
【請求項6】
前記基準情報は、
前記取得した複数の振動情報のうちの全部又は一部の振動情報の振幅の絶対値の平均値と、露光時間との関係を示す情報である、
請求項3又は4に記載の評価装置。
【請求項7】
前記画像の評価は、撮像した画像のにじみ幅に基づいて、撮像した画像の評価を行う、
請求項1〜6に記載の評価装置。
【請求項8】
前記画像の評価は、撮像した画像の面積に基づいて、撮像した画像の評価を行う、
請求項1〜6に記載の評価装置。
【請求項9】
前記画像評価装置は、
撮影者が被写体を撮像する際に撮像装置に与える振動が撮像画像に与える影響を抑制する手ぶれ補正機能がOFFの状態で、かつ、撮像装置に前記モデル波形に従って振動を与えた状態で被写体の撮像を行うOFF撮像により生成した画像信号と、
前記手ぶれ補正機能がONの状態で、かつ、撮像装置に前記OFF撮像と同じ振動を与えた状態で前記OFF撮像と同じ被写体の撮像を行うON撮像により生成した画像信号と、をそれぞれ受信し、
前記OFF撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるOFF評価値を算出すると共に、
前記ON撮像により撮像された撮像画像の画質の評価値であるON評価値を算出し、
前記算出したOFF評価値とON評価値とから撮像装置の手ぶれ補正機能の効果の評価値をさらに算出する、
請求項1〜8に記載の評価装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−10406(P2012−10406A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213980(P2011−213980)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2008−49079(P2008−49079)の分割
【原出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2008−49079(P2008−49079)の分割
【原出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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