説明

撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラ、レンズユニット及びカメラ本体

【課題】撮像素子の発熱によりレンズユニット及びカメラ本体の伝熱部が高温である場合においても、カメラ本体から安全にレンズユニットを取り外すことができる。
【解決手段】カメラ本体10は、カメラ本体10内に放熱するヒートシンク35と、ヒートシンク35を覆うように配設されたヒートシンクカバー36を備え、レンズユニット20は、撮像素子23及び基板24の背面に当接するように配設された伝熱板25と、伝熱板25を覆うように配設された伝熱板カバー26とを備える。レンズユニットをカメラ本体へ装着すると、装着動作に連動して伝熱板カバー26が光軸方向に移動する。それに伴い、伝熱板25に形成された凸部25bが、伝熱板カバー25の貫通穴から突出することで、伝熱板25とヒートシンク35とが凸部25bを介して接触し、撮像素子23から発生した熱がカメラ本体10内に放熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズユニット及びレンズ交換式カメラに係り、特に交換レンズユニットに撮像素子が内蔵されたレンズ交換式デジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影レンズと撮像素子が組み込まれたレンズユニットを着脱自在に交換できるレンズ交換式のカメラが提案されている。このようなレンズ交換式カメラにおいては、レンズユニットがカメラに装着された後、給電を受けて駆動されると撮像素子が発熱する。レンズユニット内部の温度を所定範囲内に保つためには、レンズユニットからカメラ本体へ熱を伝えることで、レンズユニットを冷却する必要がある。
【0003】
これに対応するために、特許文献1には、交換レンズユニットがカメラ本体へ装着されると、撮像素子等の発熱をレンズユニットの伝熱部とカメラ本体の伝熱部とを介してカメラ本体に放熱する撮像素子一体型レンズ交換式カメラが提案されている。
【特許文献1】特開2006―86752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の撮像素子一体型レンズ交換式カメラでは、レンズユニットがカメラ本体から取り外されたときに伝熱部が高熱となっている場合には、レンズユニット又はカメラ本体の伝熱部が露出しているため、ユーザーが高温の伝熱部に触れる虞があり、危険である。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、撮像素子の発熱によりレンズユニット及びカメラ本体の伝熱部が高温である場合においても、カメラ本体から安全にレンズユニットを取り外すことができるレンズユニット及び撮像素子一体型レンズ交換式カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラは、前記目的を達成するために、レンズユニットと、該レンズユニットが装着されるカメラ本体とからなる撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラにおいて、前記レンズユニットは、撮像素子とレンズとが内部に配設された鏡筒と、前記撮像素子及び該撮像素子が実装される基板の少なくとも一方の背面に当接するように前記鏡筒の内部に配設された伝熱板と、前記伝熱板を覆うように前記鏡筒の内部に配設された伝熱板カバーであって、前記伝熱板に手が触れない大きさの貫通穴が形成された伝熱板カバーと、を備え、前記カメラ本体は、前記レンズユニットを着脱可能にするマウントと、前記レンズユニットの装着時に前記伝熱板と接触し、前記撮像素子から発生した熱をカメラ本体内に放熱するためのヒートシンクと、前記ヒートシンクを覆うように前記カメラ本体内に配設されたヒートシンクカバーであって、前記ヒートシンクに手が触れない大きさの貫通穴が形成されたヒートシンクカバーと、を備え、前記伝熱板及びヒートシンクの一方には、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーの貫通穴から突出する凸部が形成され、前記レンズユニットのカメラ本体への装着時に、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの一方のカバーが前記装着動作に連動して光軸方向に移動し、前記凸部が前記光軸方向に移動するカバーの貫通穴から突出することで、前記伝熱板とヒートシンクとが前記凸部を介して接触するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラによれば、レンズユニットのカメラ本体への装着時に、装着動作に連動して伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの一方のカバーが光軸方向に移動する。それに伴い、伝熱板及びヒートシンクの一方に形成された凸部が、伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの光軸方向に移動するカバーの貫通穴から突出することで、伝熱板とヒートシンクとが凸部を介して接触し、レンズユニットからカメラ本体へ熱が伝えられる。ここで、伝熱板は、撮像素子及び撮像素子が実装される基板の少なくとも一方の背面に当接するように鏡筒の内部に配設され、伝熱板を覆うように、伝熱板に手が触れない大きさの貫通穴が形成された伝熱板カバーが鏡筒の内部に配設されている。また、ヒートシンクは、撮像素子から発生した熱をカメラ本体内に放熱するために、レンズユニットの装着時に伝熱板と接触するように配設され、ヒートシンクを覆うように、ヒートシンクに手が触れない大きさの貫通穴が形成されたヒートシンクカバーがカメラ本体内に配設されている。これにより、レンズユニットとカメラ本体とが装着された場合には、レンズユニット内部の温度を所定の温度以下に保つことができる。また、レンズユニットとカメラ本体とが取り外された場合には、ユーザーが伝熱板又はヒートシンクに触れることができないため、撮像素子の発熱により伝熱板又はヒートシンクが高温である場合にも、カメラ本体からレンズユニットを安全に取り外すことができる。
【0008】
請求項2に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラは、前記レンズユニットが前記マウントに差し込まれて所定量回転させられることで、前記レンズユニットが前記マウントに装着され、前記レンズユニットが前記マウントに差し込まれると、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの一方のカバーは光軸方向に移動し、前記レンズユニットが回転させられると、他方のカバーは回転させられることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラによれば、レンズユニットがマウントに差し込まれると、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの一方のカバーは光軸方向に移動し、前記レンズユニットが所定量回転させられると、他方のカバーは所定量回転させられて、レンズユニットがマウントに装着される。これにより、レンズユニットとカメラ本体とが装着された場合には、伝熱板及びヒートシンクの一方に形成された凸部が伝熱板カバー及びヒートシンクカバーの貫通穴から突出し、伝熱板とヒートシンクとを凸部を介して接触させることができる。
【0010】
請求項3に記載のレンズユニットは、請求項1又は2に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラを構成するレンズユニットであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のカメラ本体は、請求項1又は2に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラを構成するカメラ本体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮像素子の発熱によりレンズユニット及びカメラ本体の伝熱部が高温である場合においても、カメラ本体から安全にレンズユニットを取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明に係る撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラを実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1、図2は、本発明に係る撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラ1の一実施形態の外観図であり、図1は、レンズユニットがカメラ本体から取り外された状態を示し、図2は、レンズユニットがカメラ本体に装着されたときの各部品の状態を部品毎に示したものである。
【0015】
デジタルカメラ1は、カメラ本体10と、撮像素子一体型交換レンズユニット20(以下レンズユニット20と称する)とで構成される。レンズユニット20は、カメラ本体10の正面に設けられたレンズユニット接続部12を介してカメラ本体10に着脱自在に設けられている。
【0016】
カメラ本体10は、図1に示すように、主として、外装であるカメラ筐体11と、レンズユニット接続部12と、フラッシュ13と、レリーズボタン14とで構成される。
【0017】
レンズユニット接続部12は、図3(a)に示すように、マウント31と、接点32と、レンズロックピン33と、レンズ取り外しボタン34と、ヒートシンク35と、ヒートシンクカバー36と、ヒートシンクカバーピン37と、圧縮スプリング38と、ロック機構40とで構成される。
【0018】
レンズロックピン33は、カメラ本体10にレンズユニット20が装着されたときに、レンズユニット20をロックするためのものである。
【0019】
レンズ取り外しボタン34は、レンズロックピン33によりカメラ本体10にロックされたレンズユニット20を取り外すときに用いるものである。レンズ取り外しボタン34を押すことでレンズロックピン33がレンズユニット20から外れて、レンズユニット20をカメラ本体10から取り外せるようになる。
【0020】
ヒートシンク35は、レンズユニット20から伝えられた熱を受け取り、放熱するものであり、カメラ筐体11の内部のマウント31の背面に設けられている。ヒートシンク35は、図3(b)に示すように、前面には、圧縮スプリング38を収納するための圧縮スプリング収納リブ部35aと、ボス35bが設けられており、背面にはレンズユニット20から伝えられた熱を放熱する放熱部35cが設けられている。放熱部35cは、ヒートシンク35に所定の深さの複数の溝を設けることにより作成された所定の高さの複数のリブで構成され、その表面から熱が伝達されることにより、ヒートシンク35の熱を放熱する。
【0021】
ヒートシンクカバー36は、ユーザーの指が入らない程度の大きさの複数の穴36bが設けられた板状の部材であり、ヒートシンク35を隠すように、ヒートシンク35の前面に設けられている。ヒートシンクカバーピン37を、ヒートシンクカバー36の前面からヒートシンクカバー36の穴36bを貫通させて、ヒートシンク35のリブ35bに圧入することにより、ヒートシンクカバー36がヒートシンク35に対して回転可能なように設けられる。ヒートシンクカバー36の背面には、凸部36aが設けられている。ヒートシンクカバー36の回転に伴い、凸部36aはカメラ筐体11に設けられた凹部11aを摺動する。
【0022】
圧縮スプリング38は、ヒートシンクカバー36にカメラ本体10前面から見て時計回り(図4(b)矢印方向)の力を付勢するものであり、ヒートシンク35と、ヒートシンクカバー36と、カメラ筐体11との間に収納されている。これにより、ヒートシンクカバー36が所定の位置に設けられる。
【0023】
ロック機構40は、レンズ取り外しボタン34によって操作され、レンズロックピン33を用いてレンズユニット20をロックするものである。ロック機構40については後で詳述する。
【0024】
レンズユニット20は、図4に示すように、主として、鏡筒21と、レンズ22と、レンズによって被写体像が結像される撮像素子23と、基板24と、伝熱板25と、伝熱板カバー26と、圧縮スプリング27とで構成される。
【0025】
鏡筒21には、レンズユニット20をカメラ本体10に装着するときに、レンズユニット接続部12と勘合する勘合部21aがもうけられている。また、マウント31と当接する当接部21bには、レンズロックピン33と勘合する穴21cが設けられている。
【0026】
撮像素子23は、撮像素子23の前面に設けられたレンズ22により被写体像が結像されるものであり、撮像素子23の背面には、撮像素子23を駆動する回路等を有する基板24及び伝熱板25が設けられている。
【0027】
伝熱板25は、撮像素子23や基板24で発生した熱を奪い、ヒートシンク35へ伝えるものであり、基板24の背面に設けられている。また、伝熱板25の前面には凸部25aが設けられており、凸部25aは基板24の穴を貫通して、撮像素子23の背面に当接する。また、伝熱板25の背面側には、複数の円筒形の凸部25bが設けられている。
【0028】
伝熱板カバー26は、凸部25bが貫通可能であって、ユーザーの指が入らない程度の大きさの穴26bが複数設けられている板状の部材であり、伝熱板25を隠すように伝熱板25の背面に設けられている。伝熱板カバー26は、カメラ筐体11に圧縮スプリング27を介して取り付けられており、伝熱板カバー26には鏡筒21から押し上げられる方向の力が付勢されている。また、伝熱板カバー26は、鏡筒21の内面を光軸方向に揺動可能であり、伝熱板カバー26に外力が加えられると、凸部25bが伝熱板カバー26の穴26bを貫通して、図2に示すように、凸部25bが露出される。
【0029】
次に、上記のように構成されたレンズユニット20をカメラ本体10に着脱する方法について説明する。
【0030】
始めに、勘合部21aの凸部とマウント31の凹部との位置を合わせて、レンズユニット20をカメラ本体10に挿入する。そうすると、まず伝熱板カバー26とヒートシンクカバー36とが当接する。さらにレンズユニット20を押し込むと、伝熱板カバー26が圧縮スプリング27の付勢力に抗して伝熱板25側に押し込まれる。それと同時に、伝熱板25に設けられた凸部25bが伝熱板カバー26に設けられた穴26bを貫通することで露出され、ヒートシンクカバー36に設けられた穴36bに凸部25bが挿入される。最終的には、凸部25bの先端は、ヒートシンク35の前面に当接する。
【0031】
その後、レンズユニット20をカメラ本体10前面から見て反時計回り(図2矢印方向)に回転させると、ヒートシンクカバー36の穴36bに貫通している凸部25bを介して、ヒートシンクカバー36に回転力が伝えられる。これにより、ヒートシンクカバー36が、レンズユニット20の回転に伴い、圧縮スプリング38の付勢力に抗して図5(a)に示す状態から図5(b)に示す状態まで反時計回りに回転される。
【0032】
レンズユニット20が所定の位置まで回転されると、レンズロックピン33が当接部21bに設けられた穴21cに勘合して、ロック機構40によりレンズユニット20がロックされる。以下に、ロック機構40によってレンズユニット2をロックする方法について説明する。
【0033】
ロック機構40は、図6に示すように、主として、スライダー41と、コイルスプリングA42と、コイルスプリングB43と、ガイド44とで構成される。
【0034】
スライダー41は、レンズ取り外しボタン34と当接し、かつレンズロックピン33と嵌め合わされるように配設されており、レンズ取り外しボタン34に連動して揺動する。スライダー41の揺動は、カメラ筐体11に固定されているガイド44によって規制される。スライダー41がレンズ取り外しボタン34によってカメラ本体10内部へ押し込まれることで、レンズロックピン33によるレンズユニット20のロックが解除される。
【0035】
コイルスプリングA42は、レンズロックピン33とスライダー41との間に設けられており、スライダー41にはカメラ本体10内部へ押し込まれるような力が付勢されている。また、コイルスプリングA42の内部には、レンズロックピン33が通されている。
【0036】
コイルスプリングB43は、スライダー41とガイド44との間に設けられており、スライダー41には被写体方向に押し上げるような力が付勢されている。なお、スライダー41とレンズ取り外しボタン34とが接触しているため、レンズ取り外しボタン34は、スライダー41と同様に、被写体方向に押し上げるような力が付勢されている。また、コイルスプリングB43の内部には、レンズロックピン33が通されている。
【0037】
レンズロックピン33は、コイルスプリングA42とコイルスプリングB43とにより、光軸方向に摺動可能であり、マウント31には、レンズロックピン33が摺動可能なように、貫通穴31aが設けられている。
【0038】
上記のように構成されたロック機構40は、以下のように作用する。
【0039】
レンズユニット20をマウント31に挿入すると、図6(a)に示すように、レンズロックピン33はレンズユニット20に押されて、カメラ本体10の内部へ押し込まれる(図6(a)実線部参照)。コイルスプリングB43の力はコイルスプリングA42の力より大きくなっているため、レンズロックピン33が押し込まれることにより、コイルスプリングA42のみが収縮され、スライダー41及びレンズ取り外しボタン34は押し込まれない。
【0040】
その後、レンズユニット20を回転させると、コイルスプリングB43の付勢力によりレンズロックピン33が、図6(a)の実線で示す状態から破線で示す状態へと押し上げられ、レンズロックピン33が貫通穴31aを貫通してレンズロックピン33用の穴21cに勘合し、レンズユニット20がロックされる。
【0041】
このような方法により、レンズユニット20がカメラ本体10に装着されると、マウント31に設けられた接点32とレンズユニット20の勘合部21aに設けられた接点(図示せず)とを介して、カメラ本体10とレンズユニット20とが電気的に接続される。
【0042】
カメラ本体10とレンズユニット20とが電気的に接続されたら、カメラ本体10内の基板39に配設された中央処理装置(CPU)が電気的接続を検知し、レンズユニット20内の基板24に配設されたシステムメモリからレンズユニット20 の調整に必要な各種データを読み出し、レンズユニット20の制御を実行する。
【0043】
撮像素子23は、駆動されると発熱を開始する。レンズユニット20内の各部の温度が所定以上に達した場合には、レンズユニット20の電気特性の劣化等により、撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラ1が正常に作動しないという問題を生じる。例えば、撮像素子23における高温時の暗電流増大によるノイズ増大等である。そこで、レンズユニット20とカメラ本体10 が電気的に接続されたときに、レンズユニット20内の撮像素子23による発熱をカメラ本体10へ効率良く伝熱して放熱させることにより、レンズユニット20内の各部の電気特性が劣化するのを防止する。
【0044】
撮像素子23による発熱をカメラ本体10へ伝熱する方法について、図7を用いて説明する。なお、図7(a)は全体図であり、図7(b)は要部拡大図である。
【0045】
伝熱板25の凸部25bが伝熱板カバー26の穴26b及びヒートシンクカバー36の穴36bを貫通してヒートシンク35に当接している。そのため、撮像素子23で発生した熱は、主として光軸方向に沿って、伝熱板25を介してヒートシンク35に伝導される。ヒートシンク35に伝えられた熱は、ヒートシンク35の放熱部35cを介してカメラ本体10内に放熱される。
【0046】
ここで、伝熱板25及びヒートシンク35に使用する素材として、例えば、伝熱性シリコン(放熱シリコンゲル)や伝熱性エラストマー、銅、アルミ、ヒートパイプ等の金属などを用いることで、好ましい伝熱特性や密着性を得ることができる。また、これらを組み合わせて構成し伝熱効率を向上させるようにしても良い。また、バネなどを用いてヒートシンク35を光軸方向に揺動可能にすることで、更に密着性を良くすることができる。
【0047】
撮影が終了し、レンズ取り外しボタン34が押されると、図6(b)に示すように、コイルスプリングB43の付勢力に抗して、スライダー41とレンズロックピン33が押し下げられる。レンズロックピン33が押し下げられることで、レンズロックピン33とレンズロックピン33用の穴21cとの勘合が外れ、レンズユニット20のロックが解除される。レンズユニット20のロックが解除された状態でレンズユニット20を時計方向に回転させることにより、レンズユニット20をカメラ本体10から取り外すことができる。
【0048】
レンズユニット20がカメラ本体10から取り外されると、ヒートシンクカバー36に当接することにより伝熱板25側に押し込まれていた伝熱板カバー26が、圧縮スプリング27の付勢力により押し上げられ、伝熱板カバー26の穴26bを貫通して露出していた凸部25bが伝熱板カバー26により覆われる。これにより、伝熱板25が伝熱板カバー26により遮られ、ユーザーが伝熱板25に触れることができなくなる。
【0049】
また、レンズユニット20がカメラ本体10から取り外されると、ヒートシンクカバー36は、圧縮スプリング38の付勢力により時計回りに回転し、所定の位置に戻される。
【0050】
本実施の形態によれば、レンズユニット内で発生した熱をレンズユニットからカメラ本体へ伝えることで、レンズユニット内部の温度を所定の温度以下に保つことができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、レンズユニットからカメラ本体へ熱が伝えられることにより、伝熱板やヒートシンクが高温となった場合でも、ユーザーが伝熱板やヒートシンクに触れることができないため、火傷などをすることなく、カメラ本体からレンズユニットを安全に取り外すことができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、撮像素子で発生した熱を伝熱板を介してヒートシンクへ伝熱したが、撮像素子で発生した熱のみでなく、基板で発生した熱を伝熱板を介してヒートシンクへ伝熱することもできる。また、撮像素子で発生した熱がまず基板に伝えられ、その後で伝熱板を介してヒートシンクへ伝熱する場合も考えられる。
【0053】
また、本実施の形態では、撮像素子と当接する伝熱板の面積は伝熱板の中央部に設けられた凸部の面積であるが、撮像素子と当接する伝熱板の面積を撮像素子の面積の略同等以上とすることで、熱伝導を効率良く行うことができる。また、伝熱板として伝熱性シリコン等の弾性力のある素材を用いることにより、凸部を設けることなく、撮像素子と伝熱板とが当接するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、ヒートシンクの背面に設けられた放熱部の表面から空気に熱が伝達されることにより、ヒートシンク35の熱を放熱したが、ファンを用いて空気を対流させる等することより、更に効率よく放熱することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、突起として円筒形のものを用いたが、円筒形に限らず、半球形、直方体等の様々な形状を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明が適用された撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラの外観図である。
【図2】上記撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラのレンズユニットがカメラ本体に装着されたときの各部品の状態を部品毎に示した外観図である。
【図3】上記撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラのレンズユニット接続部の分解斜視図であり、(a)はカメラ筐体11の前面に設けられた部品を分解した状態を示し、(b)はカメラ筐体11を除いた状態を示す。
【図4】上記撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラのレンズユニットの断面図である。
【図5】上記撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラのレンズユニットをカメラ本体に取り付ける方法を説明するための説明図であり、(a)はレンズユニットを取り付ける前の状態を示し、(b)はレンズユニットを取り付けた後の状態を示す。
【図6】上記撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラの要部断面図である。
【図7】上記撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラのロック機構を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1:撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラ、10:カメラ本体、11:カメラ筐体、12:レンズユニット接続部、13:フラッシュ、14:レリーズボタン、20:レンズユニット、21:鏡筒、22:レンズ、23:撮像素子、24:基板、25:伝熱板、26:伝熱板カバー、27:圧縮スプリング、31:マウント、32:接点、33:レンズロックピン、34:レンズ取り外しボタン、35:ヒートシンク、36:ヒートシンクカバー、37:ヒートシンクカバーピン、38:圧縮スプリング、39:基板、41:スライダー、42:コイルスプリングA、43:コイルスプリングB、44:ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットと、該レンズユニットが装着されるカメラ本体とからなる撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラにおいて、
前記レンズユニットは、
撮像素子とレンズとが内部に配設された鏡筒と、
前記撮像素子及び該撮像素子が実装される基板の少なくとも一方の背面に当接するように前記鏡筒の内部に配設された伝熱板と、
前記伝熱板を覆うように前記鏡筒の内部に配設された伝熱板カバーであって、前記伝熱板に手が触れない大きさの貫通穴が形成された伝熱板カバーと、を備え、
前記カメラ本体は、
前記レンズユニットを着脱可能にするマウントと、
前記レンズユニットの装着時に前記伝熱板と接触し、前記撮像素子から発生した熱をカメラ本体内に放熱するためのヒートシンクと、
前記ヒートシンクを覆うように前記カメラ本体内に配設されたヒートシンクカバーであって、前記ヒートシンクに手が触れない大きさの貫通穴が形成されたヒートシンクカバーと、を備え、
前記伝熱板及びヒートシンクの一方には、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーの貫通穴から突出する凸部が形成され、
前記レンズユニットのカメラ本体への装着時に、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの一方のカバーが前記装着動作に連動して光軸方向に移動し、前記凸部が前記光軸方向に移動するカバーの貫通穴から突出することで、前記伝熱板とヒートシンクとが前記凸部を介して接触するように構成されたことを特徴とする撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラ。
【請求項2】
前記レンズユニットが前記マウントに差し込まれて所定量回転させられることで、前記レンズユニットが前記マウントに装着され、
前記レンズユニットが前記マウントに差し込まれると、前記伝熱板カバー及びヒートシンクカバーのうちの一方のカバーは光軸方向に移動し、前記レンズユニットが回転させられると、他方のカバーは回転させられることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラを構成するレンズユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の撮像素子一体型レンズ交換式デジタルカメラを構成するカメラ本体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−245144(P2008−245144A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85829(P2007−85829)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】