撮像装置、その制御方法、プログラム及び記録媒体
【課題】接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示できるようにする。
【解決手段】接眼ファインダ29に接眼中であることが接眼検出器68により検出されている期間にハンドジェスチャを行うと、システム制御回路50は、ジェスチャ検出器72からの検出信号に基づいて、当該ハンドジェスチャに係る手の移動方向を認識し、その移動方向に応じた機能を実行する。
【解決手段】接眼ファインダ29に接眼中であることが接眼検出器68により検出されている期間にハンドジェスチャを行うと、システム制御回路50は、ジェスチャ検出器72からの検出信号に基づいて、当該ハンドジェスチャに係る手の移動方向を認識し、その移動方向に応じた機能を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の操作技術に関し、特に操作部材を用いることなく操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを用いて撮影行為を行う場合、撮影したい被写体を撮影枠内に捉える(以下、フレーミング)必要がある。フレーミングには、接眼ファインダを利用する方法と、デジタルカメラの背面に配置された表示器に被写体像を表示させる方法がある。
【0003】
現在は、表示器に被写体像を表示させてフレーミングする場合が多いが、屋外などの周囲が明るい場所では表示器の画像が見にくくなる。このように表示器の画像が見にくい場合には、接眼ファインダを用いてフレーミングすることになる。
【0004】
また、昨今のデジタルカメラは機能が多く、これら機能を使うための操作ボタンやダイヤルなどの操作部材が非常に多く配置され、各々の操作部材あるいはその周辺には、当該操作部材の機能名やアイコンが表記されており、使いこなすのが大変である。このような理由から、従来の簡単な操作性を望む利用者は、多機能のデジタルカメラで撮影する場合にも接眼ファインダを用いてフレーミングすることがある。
【0005】
しかしながら、接眼ファインダを用いてフレーミングする場合は、接眼状態でフレーミングする必要がある。この接眼状態では、使用者は、操作部材、或は表記された機能名やアイコンを目視することはできない。従って、使用者は、操作部材の位置や機能を記憶していない場合には、接眼中の接眼ファインダから一旦目を離し、操作部材の位置や機能を目視確認してから操作部材を操作することとなる。
【0006】
しかし、接眼ファインダから一旦眼を離してしまうと、フレーミング位置がずれたり、シャッタチャンスを逃したりする場合が多々ある。また、たとえ操作部材の位置と機能を記憶していたとしても、接眼ファインダに接眼している状態では、操作部材を手探りで操作する必要があり、操作部材を操作し難くなる。このため、接眼ファインダを用いてフレーミングを行う場合にも、カメラ操作を簡単に行えるようにすることが望まれている。
【0007】
この問題を解決する手法として、ハンドジェスチャを用いてカメラ操作を行う方法が考えられる。このハンドジェスチャによるカメラ操作であれば、接眼ファインダを介した視界において、どのようなハンドジェスチャを行ったかをユーザ自身が確認でき、操作性が良くなる。
【0008】
ところで、撮像装置を遠隔操作する自動撮影制御装置が提案されている(特許文献1参照)。この自動撮影制御装置では、ハンドジェスチャと所望の機能を予め登録しておき、被写体の動作が当該ハンドジェスチャと一致した際に所望の機能を撮像装置に実行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−51472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に係る自動撮影制御装置では、被写体の動作が偶然に登録に係るジェスチャと一致した場合には、使用者が意図しない機能が実行されてしまう。また、使用者が意図的に行ったジェスチャが、その意図通りに認識されなかった場合には、意図する機能を実行させることができなくなる。
【0011】
このように、特許文献1に係る自動撮影制御装置では、使用者が意図する機能を装置に対して正確に指示することは困難であった。
【0012】
本発明は、このような技術的な背景の下になされたもので、その目的は、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、接眼ファインダを有する撮像装置において、前記撮像装置の被写体側での物体の移動形態を検出する検出手段と、前記接眼ファインダを使用中であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、前記検出手段により検出される前記物体の移動形態に応じた機能を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る撮像装置(デジタルカメラ)の正面外観図である。(b)は上記デジタルカメラの背面外観図である。
【図2】上記デジタルカメラの制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】ハンドジェスチャを例示した図である。
【図4】ジェスチャ検出部72によるジェスチャの検出方法を説明するための図である(第1の実施の形態)。
【図5】画像表示部へのガイダンス情報の表示例を示す図である。
【図6】接眼ファインダへのガイダンス情報の表示例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図8】図7の続きのフローチャートである。
【図9】図7のS105における撮像画像表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態におけるジェスチャの検出方法を説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1(a)は本発明の実施の形態に係る撮像装置の正面外観図であり、図1(b)は背面外観図である。本撮像装置は、デジタルカメラとして構成されている。
【0018】
デジタルカメラ100の正面(被写体側)には、撮影レンズ10、フラッシュ48、ジェスチャ検出部72が配備されている。ジェスチャ検出部72は、4つの検出素子を有しており、デジタルカメラ100の正面側での指等によるジェスチャを検出する。このジェスチャ検出部72の詳細は後述する。
【0019】
デジタルカメラ100の上面には、モードダイヤルスイッチ60、シャッタボタン61が配備されている。また、デジタルカメラ100の背面には、画像表示部28、接眼ファインダ29、ガイド表示部54、接眼検出器68、表示切替ボタン66、操作検出部69が配備されている。接眼検出器68は、使用者が接眼ファインダ29でフレーミングを行っていることを検出するものである。この接眼検出器68の詳細は後述する。
【0020】
図2は、デジタルカメラ100の制御系の構成を示すブロック図である。
【0021】
デジタルカメラ100は、システム制御部50の制御の下に各種の撮影動作を行うものである。システム制御部50は、バスを介してメモリ制御回路22、メモリ30、I/F90,94と接続されている。また、システム制御部50には、画像処理回路20、露光制御部40、接眼検出器68、操作検出部69等の各種デバイスが接続されている。
【0022】
図1において、10は撮影レンズ、12は絞り機能を備えるシャッタ、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子、16は撮像素子14から出力されるアナログの画像信号をデジタルの画像データに変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0023】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいて、システム制御回路50の制御の下にAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行う。
【0024】
さらに、画像処理回路20では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。また、画像処理回路20では、システム制御回路50の制御の下に、画像に所定の色を付けたりモノクロやセピア調への減色処理を施すデジタルフィルタ処理等の各種の画像処理も行っている。
【0025】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16の出力データが、画像処理回路20、及びメモリ制御回路22を介して、或いはメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書込まれる。
【0026】
28はTFT LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能を実現することが可能である。
【0027】
また、予め画像表示メモリ24に文字やアイコンなどを重ね合わせた画像データを生成させておくことによって、各種情報表示やデジタルカメラの操作用のガイダンス情報等を画像表示部28に表示させることができる。さらに、画像表示部28は、システム制御回路50の制御の下に、任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することができる。
【0028】
29はTFT LCD等により構成された接眼ファインダであり、覗き込んで使用する電子ファインダである。画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データは、D/A変換器26を介して接眼ファインダ29に逐次表示される。また、接眼ファインダ29は電子ファインダ機能のみならず、画像表示メモリ24に書込まれた画像データを表示できるので、画像表示部28と同等の機能を実現することができる。
【0029】
すなわち、予め画像表示メモリ24に文字やアイコンなどを重ね合わせた画像データを生成させておくことによって、各種情報表示やデジタルカメラの操作方法を示すガイダンス情報を接眼ファインダ29に表示させることができる。例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示などを表示させることができる。本実施の形態では、特に、ハンドジェスチャに係る機能を接眼ファインダ29に表示させている(図6参照)。
【0030】
また、接眼ファインダ29は、システム制御回路50の制御により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにすることでデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することができる。30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。メモリ30は、記録媒体200や210の書込みバッファとしても使われる。
【0031】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮・伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書込む。
【0032】
40は絞り機能を備えるシャッタ12を制御する露光制御部であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御部、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御部、46はバリアである保護部102の動作を制御するバリア制御部である。
【0033】
48はフラッシュであり、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能も有する。露光制御部40、測距制御部42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う。
【0034】
50はデジタルカメラ100全体を制御するシステム制御回路である。システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する第1,第2の実施の形態に特有な処理を実現する。
【0035】
52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読出したプログラム等を展開するメモリである。54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部である。
【0036】
ガイド表示部54は、デジタルカメラ100の操作部材の近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。ガイド表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、ブザー設定表示、電池残量表示、エラー表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示等がある。また、表示部54の表示内容のうち、発音素子等に表示するものとしては、ブザー音あるいは音声によるガイダンスやエラー等がある。
【0037】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御回路50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、後述の第1、第2の実施の形態における各種フローチャートを実行するためのアプリケーションプログラムのことである。58は記録媒体200,210のデータ記録速度や、取得するデータのデータレートを測定するために使われるタイマである。
【0038】
60、62、64、66、68及び70は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部材であり、スイッチやダイヤル、タッチパネル等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
【0039】
ここで、これら操作部材を具体的に説明する。60はモードダイヤルスイッチであり、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード(パノラマ撮影モード、動画撮影モード含む)、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定することができる。62はシャッタスイッチSW1であり、シャッタボタン61の押下途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0040】
64はシャッタスイッチSW2であり、シャッタボタン61の押下完了でONとなり、撮像素子14からの画像信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データとして書込む露光処理の動作開始を指示する。同時に、シャッタスイッチSW2のONにより、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読出し、圧縮・伸長回路32で圧縮が行われる。それら処理に続けて、記録媒体200或いは210に画像データを書込む記録処理が行われる。また、動画撮影の場合は、シャッタスイッチSW2のON・OFFにより、動画撮影の開始・停止を指示することができる。
【0041】
66は表示切替ボタン66であり、画像やメニューの表示先を切替えるボタンである。本デジタルカメラ100は、画像表示部28及び接眼ファインダ29の表示デバイスを備えているので、表示切替ボタン66は、どちらに表示するのか、或はどちらにも表示しないのかを切換える機能を備えるものとする。
【0042】
接眼検出器68は、接眼ファインダ29の付近に配置された例えば反射型の赤外線センサにより構成され、物体が近接したことを検知することができる。物体の接眼ファインダへの近接を使用者の顔の接近であるとみなし、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを検出することができる。この検出結果に応じて、システム制御回路50は、画像表示部28の表示をON/OFF制御することができる。また、この検出結果に応じて、システム制御回路50は、接眼ファインダ29の表示をON/OFF制御することができる。
【0043】
操作部70は、各種ボタンやタッチパネル等を有しており、その操作状況は、操作検出部69により検出される。操作部70の具体的な操作部材としては、以下のものが挙げられる。メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、再生ボタン、消去ボタン、ファンクションボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン。
【0044】
再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正+(プラス)ボタン、露出補正−(マイナス)ボタン、日付/時間設定ボタン。各種機能の選択及び切替えを設定する選択/切替えボタン。各種機能の決定及び実行を設定する決定ボタン、撮影時にズームと広角を調節する、或は再生時に拡大/縮小を調節する、1画面表示/マルチ画面表示を切替えるズーム操作部。JPEG(Joint Photographic Expert Group)圧縮の圧縮率を選択するため、或いは撮像素子の信号をそのままデジタル化して記録媒体に記録するCCDRAWモードを選択するための圧縮モードスイッチ。操作ガイダンスを表示或は非表示するためのガイダンスボタン、カメラの各種情報を表示するためのInfoボタン。
【0045】
ジェスチャ検出器72は、操作者のジェスチャを検出するデバイスである。74はジェスチャ検出器72からのアナログの検出信号をシステム制御回路50で取得可能にA/D変換するA/D変換器である。ジェスチャ検出器72は、例えば、反射型の赤外線センサ等の非接触センサにより構成され、ハンドジェスチャに係る手(物体)が所定の距離範囲内に在るか否かを検出することができる。
【0046】
電源制御手段80は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、その検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいて、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。82はコネクタ、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部である。
【0047】
90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェースである。92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタである。98はコネクタ92,96にそれぞれ記録媒体200、210が装着されているのか否かを検知する記録媒体着脱検知部である。
【0048】
なお、本実施の形態では、記録媒体を取付けるインタフェース及びコネクタを2系統持つものとして説明しているが、この系統数は任意である。また、異なる規格のインタフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としてもよい。インタフェース及びコネクタとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成することも可能である。さらに、インタフェース90及び94、コネクタ92及び96に各種通信カードを接続することにより、他機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を送受信することができる。
【0049】
102は、デジタルカメラ100のレンズ10を含む撮像部を覆うことにより、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである保護部である。110は通信手段で、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信機能を有する。112は通信手段110によりデジタルカメラ100を他の機器と接続するコネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
【0050】
114はマイクであり、音声データ取得手段である。116はマイク114で得られた音声データをシステム制御回路50で取得するためにA/D変換するA/D変換器である。
【0051】
118はスピーカーで、音声データ再生部である。120はシステム制御回路50から出力されるデジタル音声データをスピーカー118で再生するためにD/A変換するD/A変換器である。
【0052】
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、デジタルカメラ100とのインタフェース204、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ206を備えている。また、この記録媒体200がPCMCIA規格のPC−CardやCompactFlash等の場合は、性能が記されている情報記憶回路を内蔵していることもある。
【0053】
210はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部212、デジタルカメラ100とのインタフェース214、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ216を備えている。また、この記録媒体210がPCMCIA規格のPC−CardやCompactFlash等の場合は、性能が記されている情報記憶回路を内蔵していることもある。
【0054】
次に、第1の実施の形態におけるジェスチャの形態を、図3に基づいて説明する。図3に示したように、ハンドジェスチャは、デジタルカメラ100の正面、すなわち被写体側で行う。厳密には、ジェスチャ検出部72の前面の領域でハンドジェスチャを行う。従って、例えば、右手でデジタルカメラ100を持って接眼ファインダ29を覗いた状態のままで、左手でジェスチャを行うことができる。この場合、図1(a)に示したように、ジェスチャ検出部72は、右手でデジタルカメラ100を持った場合に左側となる位置に配備されているので、ハンドジェスチャを容易に行うことができる。
【0055】
図3(a),(b),(c)の比較から明らかなように、図3の例では、使用者は、手300を上から下に移動させるジェスチャを行っている。なお、本実施の形態では、後述するように、ジェスチャの形態としては、手300を「上から下」に移動させる、手300を「下から上」に移動させる、手300を「左から右」に移動させる、手300を「右から左」に移動させるという4つを想定している。また、ジェスチャ検出部72は、手300を単なる物体として捉え、その物体の移動形態を検出する検出器として機能する。
【0056】
次に、ジェスチャ検出部72によるジェスチャの検出方法を、図4に基づいて説明する。なお、図4(a),(b),(c)は、図3(a),(b),(c)にそれぞれ対応している。
【0057】
図4に示したように、ジェスチャ検出部72は、4つの検出素子72a,72b,72c,72dを有している。これら検出素子72a,72b,72c,72dとしては、例えば、反射型の赤外線センサ、フォトインタラプタ等の非接触センサを用いることができる。検出素子72a,72b,72c,72dは、十字状に離間して配備されている。なお、図4では、黒く塗り潰した検出素子72a,72b,72c,72dがON状態、黒く塗り潰されていない検出素子72a,72b,72c,72dがOFF状態を示している。
【0058】
従って、図4(a),(b),(c)に示したように、手300を「上から下」に動かした場合は、検出素子72cのみON→検出素子72a,72b,72c,72dの全てがON→検出素子72dのみONといった形態で、検出素子72a,72b,72c,72dのON,OFF状態が変化する。システム制御回路50は、このような検出素子72a,72b,72c,72dのON,OFF状態の変化を監視することにより、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」といった手300の移動方向(移動形態)を認識する。
【0059】
以上のように、本実施の形態では、機能を実行させるためのハンドジェスチャは、上下方向、左右方向に手を動かすという非常にシンプルなものとなっている。さらに、非常に少ない4つの検出素子の検出信号のみでハンドジェスチャ等を認識している。
【0060】
従って、上下方向、左右方向に動かすべき手の動きが多少斜めになったとしても、システム制御回路50は、上下方向、左右方向への移動であると認識するので、ハンドジェスチャ等を誤認識する可能性は殆ど無い。また、安価な反射型の赤外線センサ等の非接触センサを4つ設けるだけでよく、CCDセンサのような高価なデバイスを別途子設ける必要はないので、安価な構成でハンドジェスチャの認識精度を向上させることができる。
【0061】
なお、ハンドジェスチャの認識精度は、4つの検出素子の離間距離と手の平の大きさとの比率に大きく依存する。また、上下方向、左右方向の何れの方向に手を動かす場合も、図4(b)のように、検出素子72a,72b,72c,72dの全てがONになり、当該全てONの状態が解消するようにすることで、ハンドジェスチャの認識精度が高くなる。
【0062】
また、最初に1つの検出素子がON→4つの検出素子が全てON→最初にONした検出素子と対向する検出素子がONといったような変化形態にすると、ハンドジェスチャの認識精度は飛躍的に向上する。従って、これらのことを考慮して4つの検出素子の離間距離を最適化するのが望ましい。
【0063】
次に、図5、図6に基づいて、ジェスチャ用のガイダンス情報の表示方法を説明する。図5に示したように、画像表示部28には、被写体画像400と共に、操作ボタンの機能情報410がガイダンス表示される。図6に示したように、接眼ファインダ29には、被写体画像400と共に、操作ボタンの機能情報410、及びジェスチャの機能情報420がガイダンス表示される。このジェスチャの機能情報420は、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」といった手300の移動方向に割り当てられた機能をガイダンスするものである。
【0064】
このように、接眼ファインダ29にジェスチャの機能情報420を表示することにより、使用者は、ジェスチャの機能を覚えていなくても、ジェスチャによる操作を行うことができるようになる。また、図5のように、画像表示部28には操作ボタンの機能情報410を表示するが、ジェスチャの機能情報420は表示しないことで、次のことを使用者に報知することができる。すなわち、画像表示部28を見ているということは、接眼ファインダ29に接眼していないことを意味するので、接眼ファインダ29に接眼していない状態ではジェスチャによる操作が不能であることを、暗に使用者に報知することができる。これにより、使用者は、無駄な操作を行うのを回避することができる。
【0065】
次に、デジタルカメラ100の動作を図7、図8のフローチャートに基づいて説明する。デジタルカメラ100に電源を投入すると、システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に予め記憶されたプログラムをメモリ52に展開して実行することにより、S101〜S132の処理を行う。
【0066】
システム制御回路50は、プログラムを実行するための各種の変数を初期化する等の初期化処理を行う(S101)。次に、システム制御回路50は、撮影画像の表示先を判別する(S102)。この撮影画像の表示先は、原則としてD/A変換器26の出力先である画像表示部28、接眼ファインダ29の何れかであり、S101の初期化処理において、撮影画像の表示先は画像表示部28に初期設定されている。使用者は、表示切替ボタン66により、撮影画像の表示先を画像表示部28、接眼ファインダ29、何れにも表示しない状態の何れかに任意に切替えることができる。
【0067】
システム制御回路50は、撮影画像の表示先が接眼ファインダ29であれば、接眼ファインダ29に撮影画像等を表示すべく、ジェスチャフラグに「1」をセットする(S103)。一方、撮影画像の表示先が接眼ファインダ29以外でれば、システム制御回路50は、画像表示部28に撮影画像等を表示すべく、ジェスチャフラグに「0」をセットする(S104)。
【0068】
次に、システム制御回路50は、撮影画像表示処理を行う(S105)。この、撮影画像表示処理については、後で図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。次に、システム制御回路50は、シャッタスイッチSW2のON/OFF状態を判別する(S106)。その結果、シャッタスイッチSW2がON状態であれば、システム制御回路50は、前述の撮影処理を行い(S107)、S105に戻る。
【0069】
次に、システム制御回路50は、シャッタスイッチSW1のON/OFF状態を判別する(S108)。その結果、シャッタスイッチSW1がON状態であれば、システム制御回路50は、前述の撮影準備処理を行い(S109)、S105に戻る。次に、システム制御回路50は、再生ボタンのON/OFF状態を判別し(S110)、再生ボタンがON状態であれば、再生処理を行って(S111)、S105に戻る。
【0070】
この再生処理では、システム制御回路50は、デジタルカメラ100の外部の記録媒体200,210に記録された画像データをメモリ30に読込み、圧縮・伸長回路32で伸長した上で、再生表示用の画像データとして画像表示メモリ24に書込む。また、システム制御回路50は、必要に応じて画像表示メモリ24上でアイコン、撮影情報等と再生表示用の画像データとを合成する。システム制御回路50は、D/A変換器26を介して、再生表示用の画像データを画像表示部28、又は接眼ファインダ29に表示する。
【0071】
次に、システム制御回路50は、メニューボタンのON/OFF状態を判別し(S112)、メニューボタンがON状態であれば、メニュー表示処理を行う(S113)。このメニュー表示処理では、システム制御回路50は、デジタルカメラ100で実行可能な機能を示す機能メニューを、画像表示部28、又は接眼ファインダ29に表示する。
【0072】
次に、システム制御回路50は、表示切替ボタンのON/OFF状態を判別し(S114)、表示切替ボタンがON状態であれば、表示先切替処理を行って(S115)、S105に戻る。この表示先切替処理では、システム制御回路50は、D/A変換器26からのデータの出力先を画像表示部28、又は接眼ファインダ29の何れかに切替える。この場合、システム制御回路50は、現在の表示先のデバイス等を記憶しており、表示切替ボタンがONされる毎に、表示先を画像表示部28、接眼ファインダ29、何れにも表示しない状態へとサイクリックに切替える。
【0073】
次に、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを接眼検出器68の検出結果に基づいて判別する(S116)。その結果、接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」をセットして(S117)、S119に進む。一方、非接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「0」をセットして(S118)、S119に進む。
【0074】
後述のS121からS122への移行制御の説明から明らかなように、このフラグ制御により、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であれば、ハンドジェスチャ等による操作を可能とし、非接眼中であればハンドジェスチャ等による操作を不能とすることができる。これにより、ハンドジェスチャの誤認識を低減することができる。
【0075】
S119では、システム制御回路50は、他の操作部材のON/OFF状態を判別する。その結果、他の操作部材がON状態であれば、当該操作部材に係る処理を行って(S120)、S102に戻る。
【0076】
次に、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」がセットされているか否かを判別することにより、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを判別する(S121)。その結果、ジェスチャフラグに「1」がセットされておらず、接眼中でない場合は、システム制御回路50は、S105に戻ることにより、ジェスチャによる操作を無効処理し、ジェスチャ認識処理を行わないようにする。一方、ジェスチャフラグに「1」がセットされており、接眼中である場合は、システム制御回路50は、図3、図4を用いて説明したようなジェスチャ認識処理を行う(S122)。
【0077】
このように、使用者が接眼ファインダ29に非接眼中である場合は、ジェスチャ認識処理を行わないことで、ハンドジェスチャの誤認識を低減し、使用者が意図する機能を可及的正確にデジタルカメラ100に指示することが可能となる。
【0078】
次に、システム制御回路50は、規定のジェスチャを認識できたのか否かを判別する(S123)。この場合、システム制御回路50は、前述のように、ジェスチャ検出器72の検出素子72a,72b,72c,72dの出力信号に基づいて、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」への物体(実際には使用者の手)の移動方向を認識する。
【0079】
システム制御回路50は、規定のジェスチャ、すなわち物体の上記の4つの規定の移動方向を認識できなかった場合は、その旨の警告メッセージ、例えば「認識できません」という警告メッセージを接眼ファインダ29に表示する(S124)。
【0080】
この警告により、使用者は、誤ったハンドジェスチャや不正確なハンドジェスチャを行ったとしても、そのことを直ちに認識してハンドジェスチャをやり直し、自己の意図を正確にデジタルカメラ100に伝えることが可能となる。また、システム制御回路50は、警告メッセージを表示した後は、S105に戻るので、誤ったハンドジェスチャを実行することはない。なお、他の警告方法としては、上記のような警告メッセージを表示部54に文字、画像、音声等により表示することが考えられる。
【0081】
システム制御回路50は、規定の移動方向を認識できた場合は、その規定の移動方向が「上から下」であるか否かを判別する(S125)。その結果、認識した規定の移動方向が「上から下」であれば、システム制御回路50は、その「上から下」という移動方向に割り当てられたフィルタ切替処理を行う(S126)。
【0082】
このフィルタ切替処理では、システム制御回路50は、フィルタ切替処理を行う毎に、現在使用中のデジタルフィルタを「通常」、「モノクロ」、「セピア」等へ段階的に切替える。すなわち、「上から下」へのジェスチャを行う毎に、デジタルフィルタが、例えば「通常」→「モノクロ」、「モノクロ」→「セピア」、「セピア」→「普通」といったように切替わる。
【0083】
このデジタルフィルタは、画像に所定の色を付けたりモノトーンやセピア調への減色を施す処理であり、画像処理回路20により実行される。なお、「普通」の場合は、フィルタ処理は行われない。
【0084】
システム制御回路50は、認識した規定の移動方向が「下から上」であれば(S127)、その「下から上」という移動方向に割り当てられた情報表示処理を行う(S128)。この情報表示処理は、画像に撮影情報をオーバーラップして表示したり、ヒストグラムを表示したりする表示スタイルを切替える処理である。「下から上」へのジェスチャを行う毎に情報表示処理が呼出され、その都度、現在使用中の表示スタイルが順次切替えられる。
【0085】
システム制御回路50は、認識した規定の移動方向が「右から左」であれば(S129)、その「右から左」という移動方向に割り当てられた暗く補正処理、すなわち露出減補正処理を行う(S130)。この露出減補正処理は、画像表示部28や接眼ファインダ29に表示中の画像データの露出を所定値だけマイナス補正する処理である。
【0086】
露出減補正の方法としては、現在のシャッタスピードよりも所定値だけ速いシャッタスピードに設定変更する、或は現在の絞り値よりも所定値だけ絞った絞り値に設定変更する方法がある。「右から左」へのジェスチャを行う毎に露出減補正処理が呼出され、その都度、現在の露出量が所定値ずつマイナスされる。
【0087】
システム制御回路50は、認識した規定の移動方向が「左から右」であれば(S131)、その「左から右」という移動方向に割り当てられた明るく補正処理、すなわち露出増補正処理を行う(S132)。この露出増補正処理は、画像表示部28や接眼ファインダ29に表示中の画像データの露出を所定値だけプラス補正する処理である。
【0088】
露出増補正の方法としては、現在のシャッタスピードよりも所定値だけ遅いシャッタスピードに設定変更する、或は現在の絞り値よりも所定値だけ開けた絞り値に設定変更する方法がある。「左から右」へのジェスチャを行う毎に露出増補正処理が呼出され、その都度、現在の露出量が所定値ずつプラスされる。
【0089】
次に、図7のS105における撮像画像表示処理を、図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0090】
システム制御回路50は、まず、画像データ作成処理を行う(S201)。この画像データ作成処理では、システム制御回路50は、撮像素子14からのアナログの画像信号をA/D変換器16によりデジタルの画像データに変換する。そして、システム制御回路50は、画像処理回路20によりガンマ補正処理等の各種画像処理を施した後、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に格納する。
【0091】
次に、システム制御回路50は、ガイダンスボタンのON、OFF状態に基づいて、ガイダンス表示をするか否かを判別する(S202)。ガイダンスボタンがON状態でありガイダンス表示をする場合は、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」がセットされているか否かを判別する(S203)。
【0092】
ジェスチャフラグに「1」がセットされている場合は、システム制御回路50は、ジェスチャ用のガイダンス情報(機能情報)を設定する(S204)。この設定処理は、具体的には、例えば図6に示した操作ボタンの機能情報410、及びジェスチャの機能情報420と被写体画像(画像データ)400とを画像表示メモリ24上で合成することで行う。
【0093】
ジェスチャフラグに「1」がセットされていない場合は、システム制御回路50は、ボタン用のガイダンス情報(機能情報)を設定する(S205)。この設定処理は、具体的には、例えば図5に示した操作ボタンの機能情報410と被写体画像(画像データ)400とを画像表示メモリ24上で合成することで行う。
【0094】
ガイダンスボタンがOFF状態でありガイダンス表示をしない場合(S202)、及びS204、又はS205の処理が終了した場合は、システム制御回路50は、表示先を判別する(S206)。その結果、表示先が接眼ファインダ29の場合には、システム制御回路50は、画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データ(図6の画面参照)をD/A変換器26を介して接眼ファインダ29に表示する(S207)。
【0095】
一方、表示先が画像表示部28の場合には、システム制御回路50は、画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データ(図5の画面参照)をD/A変換器26を介して画像表示部28に表示する(S208)。表示先が画像表示部28、接眼ファインダ29の何れにも表示しない状態となっている場合、S207又はS208の処理が終了した場合は、システム制御回路50は、図7,8のフローにリターンする。
【0096】
以上説明したように、第1の実施の形態では、例えば、右手でデジタルカメラ100を持って接眼ファインダ29を覗いた状態のままで、カメラの前面に設けられたジェスチャ検出部72の前方において、左手でジェスチャを行うことができる。また、システム制御部50は、「上→下」、「下→上」、「左→右」、「右→左」という手の移動方向を、ジェスチャ検出部72内の検出素子72a,72b,72c,72dからの検知信号に基づいて認識し、その移動方向に割当てられた機能を実行している。
【0097】
従って、操作ボタンなどの操作部材を操作し難い状態であっても、ハンドジェスチャ等の方法で操作指示を行うことができ、利便性が向上する。しかも、接眼ファインダ29の不使用期間には、ハンドジェスチャの認識処理を行わないので、ハンドジェスチャによる誤操作やハンドジェスチャの誤認識を軽減することが可能となる。換言すれば、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示することが可能となる。
【0098】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、ハンドジェスチャを検出する検出素子として、デジタルカメラ100の正面に非接触センサ、すなわちジェスチャ検出部72(検出素子72a,72b,72c,72d)を設けていた。
【0099】
これに対し、第2の実施の形態では、ハンドジェスチャを検出する特別な検出素子を別途設けることなく、デジタルカメラ100に必要不可欠なデバイスとして内蔵されている撮像素子(撮像センサ)14を用いてハンドジェスチャを検出している。
【0100】
すなわち、撮影レンズ10を介して入力され被写体の光学像は、撮像素子14により光電変換される。そして、撮像素子14からの映像信号は、A/D変換器16によりA/D変換され、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して画像データとして画像表示メモリ24、及びメモリ30に格納される。そして、当該画像データは、D/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。
【0101】
そこで、第2の実施の形態では、使用者が撮影レンズ10の前でハンドジェスチャを行うと、システム制御回路50は、そのハンドジェスチャによる画像データの変化状況を解析することにより、ハンドジェスチャを検出するようにしている。なお、画像データの変化状況の解析処理(認識処理)は、メモリ30上の画像データに基づいて行われる。
【0102】
この撮像素子14を用いたハンドジェスチャの検出方法を、図10に基づいて説明する。図10(a),(b),(c)は、メモリ30に格納された撮影枠(フレーム)500内の画像データを示している。本実施の形態では、図10(a),(b),(c)に示したように、撮影枠(フレーム)500内の画像データのうち、十字状に離間した4つの規定領域の画素をジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dとして規定している。
【0103】
これら4つの規定領域は、必ずしも矩形領域である必要はないが、検出精度の点で1画素ではなく複数画素の領域であることが望ましい。ただし、解析速度を考慮すると、1領域の画素数を多くし過ぎるのは好ましくない。撮像素子14の画素数にもよるが、一般的には、(10×10)程度の画素数で十分である。
【0104】
図10(a),(b),(c)の比較から明らかなように、図10の例では、図4の例と同様に、使用者は、手300を上から下に移動させるジェスチャを行っている。なお、第1の実施の形態と同様に、第2の実施においても、ジェスチャの形態としては、手300を「上から下」に移動させる、手300を「下から上」に移動させる、手300を「左から右」に移動させる、手300を「右から左」に移動させるという4つを想定している。
【0105】
図10(a),(b),(c)に示したように、手300を「上から下」に動かした場合は、ジェスチャ検出用画素500cのみON→ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dの全てがON→ジェスチャ検出用画素500dのみONといった変化状況となる。システム制御回路50は、このようなジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dのON,OFF状態の変化を監視することにより、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」といった手300の移動方向を検出する。
【0106】
なお、ここでいうジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dのON、OFF状態は、第1の実施の形態における検出素子72a,72b,72c,72dのON、OFF状態と、意味合いが多少相違する。この相違点は、検出素子72a,72b,72c,72dは、ジェスチャ検出のための専用素子であったのに対し、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dは、ジェスチャ検出のための専用素子ではない点に起因する。
【0107】
すなわち、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dは、本来、被写体を撮影するための素子であり、当該素子に係る画像データは、被写体に係る画像データとジェスチャに係る画像データとが重畳されたものとなる。
【0108】
そこで、第2の実施の形態では、システム制御回路50は、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dについて、画素の輝度信号や色差の変化を監視して、その輝度や色差の平均値を求める。そして、システム制御回路50は、監視により求めた平均値を規定範囲の平均値と比較することで、ハンドジェスチャが行われて上記の輝度信号や色差が一時的に変化することを検出し、手の移動方向を認識する。
【0109】
ここで、上記の規定範囲は、人間の肌色以外の被写体の画像データの輝度や色差の上限値〜下限値の範囲を規定範囲とすることで、人間の肌色(ジェスチャ)に係る画像データと、他の被写体に係る画像データを区別できるようにすればよい。
【0110】
なお、人種によって肌色が異なるが、その肌色は、一人の人間では略同一であり、さらに撮影レンズ10の径よりも大きな手によるハンドジェスチャは撮影レンズ10の至近距離で行われるので、図10のように、撮影枠500内に手が大きく写し出される。従って、ハンドジェスチャを正確に行った場合、図10(b)のように、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dの全てにおいて、手だけの略同一の画像データとなる時期が必ず到来する。そこで、このように手だけのほぼ同一の画像データとなった場合に、ハンドジェスチャが行われたものと認定することも可能である。
【0111】
また、手の平などに高輝度発光材を付着させてハンドジェスチャを行うことにより、手を認識することも考えられる。この高輝度発光材としては、例えば、アルミ箔等が塗布された銀色の粘着テープ等が考えられる。この銀色の粘着テープの場合、散乱光が虹色になる可能性が高いので、システム制御回路50において容易に識別でき、手に貼り付けても容易に剥がすことができ、さらに安価でもある。
【0112】
次に、第2の実施の形態におけるデジタルカメラ100の動作を図11,12のフローチャートに基づいて説明する。
【0113】
システム制御回路50は、プログラムを実行するための各種の変数を初期化する等の初期化処理を行う(S301)。この初期化処理では、第1の実施の形態と異なり、ジェスチャフラグに「1」を初期設定しない。
【0114】
次に、システム制御回路50は、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを接眼検出器68の検出結果に基づいて判別する(S302)。その結果、接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」をセットして(S303)、S305に進む。一方、非接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「0」をセットして(S304)、S105に進む。
【0115】
S105以降の処理は、第1の実施の形態に係る図7,8のS105以降の処理と同様なので、ここでは、その説明を省略する。ただし、S114,S115の処理において、表示切替ボタンにより表示先を画像表示部28、又は接眼ファインダ29に切替える処理を行っても、その処理は無効とされる。S114の判定が偽となると、図8のS116へ進む。ただし第2の実施形態では、図8で処理が(2)(図7のS105)に進んだ場合は、図11のS302へ進むこととなる。
【0116】
すなわち、第2の実施の形態では、画像表示部28、又は接眼ファインダ29への表示先切替えは、接眼検出器68の検出結果のみに基づいて行っている。換言すれば、第2の実施の形態では、接眼ファインダ29に接眼中であることが接眼検出器68により検出された場合にのみ、ハンドジェスチャによる操作が可能となっている。
【0117】
以上説明したように、第2の実施の形態では、通常のデジタルカメラが具備する撮像素子14を用いてハンドジェスチャを認識する構成としたので、第1の実施の形態のように、ジェスチャ検出部72なるデバイスを別途設ける必要はない。
【0118】
なお、ハンドジェスチャを認識する画像は、接眼ファインダ29に接眼している間は、接眼ファインダ29にも逐次表示されるので、使用者が行ったハンドジェスチャを自身が目視確認でき、必ずしも認識結果を報知する必要はない(第1の実施の形態も同様)。
【0119】
なお、本発明は、上記の第1,第2の実施の形態に限定されることなく、例えば、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを適宜組み合わせることも可能である。この場合、特に、第1の実施の形態に係る図7のS101〜S104を、第2の実施の形態に係る図11のS301〜S304に置換えることも可能である。
【0120】
また、上下左右方向の4つの移動方向に加え、その移動速度をも考慮してハンドジェスチャの形態を認識することにより、8つ以上の機能をハンドジェスチャで指示・実行させることも可能である。
【0121】
この場合、第1,第2の実施の形態に係る4つの検出素子では、移動速度を2段階で識別すると、第1,第2の実施の形態で指示・実行可能な機能数は「8」となる。また、移動速度を3段階で識別すると、指示・実行可能な機能数は「12」となる。このように、移動方向に加え、その移動速度をも考慮してハンドジェスチャの形態を認識した場合には、比較的簡単に指示・実行可能な機能数を増加させることが可能となる。
【0122】
また、十字状に離間した4つの検出素子や画素の領域は、例えば、撮影枠に対して所定角度で傾斜した領域とすることで、正確なハンドジェスチャをより容易に行えるようにしてもよい。この場合は、当然ながら、システム制御回路50は、上下方向、左右方向ではなく、所定角度での右上がり方向、右下がり方向の移動方向を検出することとなる。
【0123】
以上説明したように、本発明では、接眼ファインダに接眼していない状態でハンドジェスチャ等を行っても、そのハンドジェスチャ等により当該ハンドジェスチャ等に割り当てられた機能を実行させることはできない。接眼ファインダに接眼している状態でハンドジェスチャ等を行うことにより、初めて、そのハンドジェスチャ等に割り当てられた機能が実行される。すなわち、使用者が明確な意図の下にハンドジェスチャ等を行った場合に限り、当該ハンドジェスチャ等に係る機能が実行される。
【0124】
従って、本発明によれば、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示することが可能となる。
【0125】
なお、上述の各実施の形態の処理は、各機能を具現化するようにプログラミングされたプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に提供してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、前述した実施形態の機能を実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることもできる。
【0126】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施例の機能が実現される場合も含まれている。
【0127】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含むものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の操作技術に関し、特に操作部材を用いることなく操作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラを用いて撮影行為を行う場合、撮影したい被写体を撮影枠内に捉える(以下、フレーミング)必要がある。フレーミングには、接眼ファインダを利用する方法と、デジタルカメラの背面に配置された表示器に被写体像を表示させる方法がある。
【0003】
現在は、表示器に被写体像を表示させてフレーミングする場合が多いが、屋外などの周囲が明るい場所では表示器の画像が見にくくなる。このように表示器の画像が見にくい場合には、接眼ファインダを用いてフレーミングすることになる。
【0004】
また、昨今のデジタルカメラは機能が多く、これら機能を使うための操作ボタンやダイヤルなどの操作部材が非常に多く配置され、各々の操作部材あるいはその周辺には、当該操作部材の機能名やアイコンが表記されており、使いこなすのが大変である。このような理由から、従来の簡単な操作性を望む利用者は、多機能のデジタルカメラで撮影する場合にも接眼ファインダを用いてフレーミングすることがある。
【0005】
しかしながら、接眼ファインダを用いてフレーミングする場合は、接眼状態でフレーミングする必要がある。この接眼状態では、使用者は、操作部材、或は表記された機能名やアイコンを目視することはできない。従って、使用者は、操作部材の位置や機能を記憶していない場合には、接眼中の接眼ファインダから一旦目を離し、操作部材の位置や機能を目視確認してから操作部材を操作することとなる。
【0006】
しかし、接眼ファインダから一旦眼を離してしまうと、フレーミング位置がずれたり、シャッタチャンスを逃したりする場合が多々ある。また、たとえ操作部材の位置と機能を記憶していたとしても、接眼ファインダに接眼している状態では、操作部材を手探りで操作する必要があり、操作部材を操作し難くなる。このため、接眼ファインダを用いてフレーミングを行う場合にも、カメラ操作を簡単に行えるようにすることが望まれている。
【0007】
この問題を解決する手法として、ハンドジェスチャを用いてカメラ操作を行う方法が考えられる。このハンドジェスチャによるカメラ操作であれば、接眼ファインダを介した視界において、どのようなハンドジェスチャを行ったかをユーザ自身が確認でき、操作性が良くなる。
【0008】
ところで、撮像装置を遠隔操作する自動撮影制御装置が提案されている(特許文献1参照)。この自動撮影制御装置では、ハンドジェスチャと所望の機能を予め登録しておき、被写体の動作が当該ハンドジェスチャと一致した際に所望の機能を撮像装置に実行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−51472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に係る自動撮影制御装置では、被写体の動作が偶然に登録に係るジェスチャと一致した場合には、使用者が意図しない機能が実行されてしまう。また、使用者が意図的に行ったジェスチャが、その意図通りに認識されなかった場合には、意図する機能を実行させることができなくなる。
【0011】
このように、特許文献1に係る自動撮影制御装置では、使用者が意図する機能を装置に対して正確に指示することは困難であった。
【0012】
本発明は、このような技術的な背景の下になされたもので、その目的は、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、接眼ファインダを有する撮像装置において、前記撮像装置の被写体側での物体の移動形態を検出する検出手段と、前記接眼ファインダを使用中であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、前記検出手段により検出される前記物体の移動形態に応じた機能を実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る撮像装置(デジタルカメラ)の正面外観図である。(b)は上記デジタルカメラの背面外観図である。
【図2】上記デジタルカメラの制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】ハンドジェスチャを例示した図である。
【図4】ジェスチャ検出部72によるジェスチャの検出方法を説明するための図である(第1の実施の形態)。
【図5】画像表示部へのガイダンス情報の表示例を示す図である。
【図6】接眼ファインダへのガイダンス情報の表示例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図8】図7の続きのフローチャートである。
【図9】図7のS105における撮像画像表示処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態におけるジェスチャの検出方法を説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1(a)は本発明の実施の形態に係る撮像装置の正面外観図であり、図1(b)は背面外観図である。本撮像装置は、デジタルカメラとして構成されている。
【0018】
デジタルカメラ100の正面(被写体側)には、撮影レンズ10、フラッシュ48、ジェスチャ検出部72が配備されている。ジェスチャ検出部72は、4つの検出素子を有しており、デジタルカメラ100の正面側での指等によるジェスチャを検出する。このジェスチャ検出部72の詳細は後述する。
【0019】
デジタルカメラ100の上面には、モードダイヤルスイッチ60、シャッタボタン61が配備されている。また、デジタルカメラ100の背面には、画像表示部28、接眼ファインダ29、ガイド表示部54、接眼検出器68、表示切替ボタン66、操作検出部69が配備されている。接眼検出器68は、使用者が接眼ファインダ29でフレーミングを行っていることを検出するものである。この接眼検出器68の詳細は後述する。
【0020】
図2は、デジタルカメラ100の制御系の構成を示すブロック図である。
【0021】
デジタルカメラ100は、システム制御部50の制御の下に各種の撮影動作を行うものである。システム制御部50は、バスを介してメモリ制御回路22、メモリ30、I/F90,94と接続されている。また、システム制御部50には、画像処理回路20、露光制御部40、接眼検出器68、操作検出部69等の各種デバイスが接続されている。
【0022】
図1において、10は撮影レンズ、12は絞り機能を備えるシャッタ、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子、16は撮像素子14から出力されるアナログの画像信号をデジタルの画像データに変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0023】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいて、システム制御回路50の制御の下にAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行う。
【0024】
さらに、画像処理回路20では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。また、画像処理回路20では、システム制御回路50の制御の下に、画像に所定の色を付けたりモノクロやセピア調への減色処理を施すデジタルフィルタ処理等の各種の画像処理も行っている。
【0025】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16の出力データが、画像処理回路20、及びメモリ制御回路22を介して、或いはメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書込まれる。
【0026】
28はTFT LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能を実現することが可能である。
【0027】
また、予め画像表示メモリ24に文字やアイコンなどを重ね合わせた画像データを生成させておくことによって、各種情報表示やデジタルカメラの操作用のガイダンス情報等を画像表示部28に表示させることができる。さらに、画像表示部28は、システム制御回路50の制御の下に、任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することができる。
【0028】
29はTFT LCD等により構成された接眼ファインダであり、覗き込んで使用する電子ファインダである。画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データは、D/A変換器26を介して接眼ファインダ29に逐次表示される。また、接眼ファインダ29は電子ファインダ機能のみならず、画像表示メモリ24に書込まれた画像データを表示できるので、画像表示部28と同等の機能を実現することができる。
【0029】
すなわち、予め画像表示メモリ24に文字やアイコンなどを重ね合わせた画像データを生成させておくことによって、各種情報表示やデジタルカメラの操作方法を示すガイダンス情報を接眼ファインダ29に表示させることができる。例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示などを表示させることができる。本実施の形態では、特に、ハンドジェスチャに係る機能を接眼ファインダ29に表示させている(図6参照)。
【0030】
また、接眼ファインダ29は、システム制御回路50の制御により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにすることでデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することができる。30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。メモリ30は、記録媒体200や210の書込みバッファとしても使われる。
【0031】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮・伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書込む。
【0032】
40は絞り機能を備えるシャッタ12を制御する露光制御部であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御部、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御部、46はバリアである保護部102の動作を制御するバリア制御部である。
【0033】
48はフラッシュであり、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能も有する。露光制御部40、測距制御部42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う。
【0034】
50はデジタルカメラ100全体を制御するシステム制御回路である。システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する第1,第2の実施の形態に特有な処理を実現する。
【0035】
52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読出したプログラム等を展開するメモリである。54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部である。
【0036】
ガイド表示部54は、デジタルカメラ100の操作部材の近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。ガイド表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、ブザー設定表示、電池残量表示、エラー表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示等がある。また、表示部54の表示内容のうち、発音素子等に表示するものとしては、ブザー音あるいは音声によるガイダンスやエラー等がある。
【0037】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御回路50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、後述の第1、第2の実施の形態における各種フローチャートを実行するためのアプリケーションプログラムのことである。58は記録媒体200,210のデータ記録速度や、取得するデータのデータレートを測定するために使われるタイマである。
【0038】
60、62、64、66、68及び70は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部材であり、スイッチやダイヤル、タッチパネル等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
【0039】
ここで、これら操作部材を具体的に説明する。60はモードダイヤルスイッチであり、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード(パノラマ撮影モード、動画撮影モード含む)、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定することができる。62はシャッタスイッチSW1であり、シャッタボタン61の押下途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0040】
64はシャッタスイッチSW2であり、シャッタボタン61の押下完了でONとなり、撮像素子14からの画像信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データとして書込む露光処理の動作開始を指示する。同時に、シャッタスイッチSW2のONにより、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読出し、圧縮・伸長回路32で圧縮が行われる。それら処理に続けて、記録媒体200或いは210に画像データを書込む記録処理が行われる。また、動画撮影の場合は、シャッタスイッチSW2のON・OFFにより、動画撮影の開始・停止を指示することができる。
【0041】
66は表示切替ボタン66であり、画像やメニューの表示先を切替えるボタンである。本デジタルカメラ100は、画像表示部28及び接眼ファインダ29の表示デバイスを備えているので、表示切替ボタン66は、どちらに表示するのか、或はどちらにも表示しないのかを切換える機能を備えるものとする。
【0042】
接眼検出器68は、接眼ファインダ29の付近に配置された例えば反射型の赤外線センサにより構成され、物体が近接したことを検知することができる。物体の接眼ファインダへの近接を使用者の顔の接近であるとみなし、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを検出することができる。この検出結果に応じて、システム制御回路50は、画像表示部28の表示をON/OFF制御することができる。また、この検出結果に応じて、システム制御回路50は、接眼ファインダ29の表示をON/OFF制御することができる。
【0043】
操作部70は、各種ボタンやタッチパネル等を有しており、その操作状況は、操作検出部69により検出される。操作部70の具体的な操作部材としては、以下のものが挙げられる。メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、再生ボタン、消去ボタン、ファンクションボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン。
【0044】
再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正+(プラス)ボタン、露出補正−(マイナス)ボタン、日付/時間設定ボタン。各種機能の選択及び切替えを設定する選択/切替えボタン。各種機能の決定及び実行を設定する決定ボタン、撮影時にズームと広角を調節する、或は再生時に拡大/縮小を調節する、1画面表示/マルチ画面表示を切替えるズーム操作部。JPEG(Joint Photographic Expert Group)圧縮の圧縮率を選択するため、或いは撮像素子の信号をそのままデジタル化して記録媒体に記録するCCDRAWモードを選択するための圧縮モードスイッチ。操作ガイダンスを表示或は非表示するためのガイダンスボタン、カメラの各種情報を表示するためのInfoボタン。
【0045】
ジェスチャ検出器72は、操作者のジェスチャを検出するデバイスである。74はジェスチャ検出器72からのアナログの検出信号をシステム制御回路50で取得可能にA/D変換するA/D変換器である。ジェスチャ検出器72は、例えば、反射型の赤外線センサ等の非接触センサにより構成され、ハンドジェスチャに係る手(物体)が所定の距離範囲内に在るか否かを検出することができる。
【0046】
電源制御手段80は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、その検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいて、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。82はコネクタ、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部である。
【0047】
90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェースである。92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタである。98はコネクタ92,96にそれぞれ記録媒体200、210が装着されているのか否かを検知する記録媒体着脱検知部である。
【0048】
なお、本実施の形態では、記録媒体を取付けるインタフェース及びコネクタを2系統持つものとして説明しているが、この系統数は任意である。また、異なる規格のインタフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としてもよい。インタフェース及びコネクタとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成することも可能である。さらに、インタフェース90及び94、コネクタ92及び96に各種通信カードを接続することにより、他機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を送受信することができる。
【0049】
102は、デジタルカメラ100のレンズ10を含む撮像部を覆うことにより、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである保護部である。110は通信手段で、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信機能を有する。112は通信手段110によりデジタルカメラ100を他の機器と接続するコネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
【0050】
114はマイクであり、音声データ取得手段である。116はマイク114で得られた音声データをシステム制御回路50で取得するためにA/D変換するA/D変換器である。
【0051】
118はスピーカーで、音声データ再生部である。120はシステム制御回路50から出力されるデジタル音声データをスピーカー118で再生するためにD/A変換するD/A変換器である。
【0052】
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、デジタルカメラ100とのインタフェース204、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ206を備えている。また、この記録媒体200がPCMCIA規格のPC−CardやCompactFlash等の場合は、性能が記されている情報記憶回路を内蔵していることもある。
【0053】
210はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。この記録媒体210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部212、デジタルカメラ100とのインタフェース214、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ216を備えている。また、この記録媒体210がPCMCIA規格のPC−CardやCompactFlash等の場合は、性能が記されている情報記憶回路を内蔵していることもある。
【0054】
次に、第1の実施の形態におけるジェスチャの形態を、図3に基づいて説明する。図3に示したように、ハンドジェスチャは、デジタルカメラ100の正面、すなわち被写体側で行う。厳密には、ジェスチャ検出部72の前面の領域でハンドジェスチャを行う。従って、例えば、右手でデジタルカメラ100を持って接眼ファインダ29を覗いた状態のままで、左手でジェスチャを行うことができる。この場合、図1(a)に示したように、ジェスチャ検出部72は、右手でデジタルカメラ100を持った場合に左側となる位置に配備されているので、ハンドジェスチャを容易に行うことができる。
【0055】
図3(a),(b),(c)の比較から明らかなように、図3の例では、使用者は、手300を上から下に移動させるジェスチャを行っている。なお、本実施の形態では、後述するように、ジェスチャの形態としては、手300を「上から下」に移動させる、手300を「下から上」に移動させる、手300を「左から右」に移動させる、手300を「右から左」に移動させるという4つを想定している。また、ジェスチャ検出部72は、手300を単なる物体として捉え、その物体の移動形態を検出する検出器として機能する。
【0056】
次に、ジェスチャ検出部72によるジェスチャの検出方法を、図4に基づいて説明する。なお、図4(a),(b),(c)は、図3(a),(b),(c)にそれぞれ対応している。
【0057】
図4に示したように、ジェスチャ検出部72は、4つの検出素子72a,72b,72c,72dを有している。これら検出素子72a,72b,72c,72dとしては、例えば、反射型の赤外線センサ、フォトインタラプタ等の非接触センサを用いることができる。検出素子72a,72b,72c,72dは、十字状に離間して配備されている。なお、図4では、黒く塗り潰した検出素子72a,72b,72c,72dがON状態、黒く塗り潰されていない検出素子72a,72b,72c,72dがOFF状態を示している。
【0058】
従って、図4(a),(b),(c)に示したように、手300を「上から下」に動かした場合は、検出素子72cのみON→検出素子72a,72b,72c,72dの全てがON→検出素子72dのみONといった形態で、検出素子72a,72b,72c,72dのON,OFF状態が変化する。システム制御回路50は、このような検出素子72a,72b,72c,72dのON,OFF状態の変化を監視することにより、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」といった手300の移動方向(移動形態)を認識する。
【0059】
以上のように、本実施の形態では、機能を実行させるためのハンドジェスチャは、上下方向、左右方向に手を動かすという非常にシンプルなものとなっている。さらに、非常に少ない4つの検出素子の検出信号のみでハンドジェスチャ等を認識している。
【0060】
従って、上下方向、左右方向に動かすべき手の動きが多少斜めになったとしても、システム制御回路50は、上下方向、左右方向への移動であると認識するので、ハンドジェスチャ等を誤認識する可能性は殆ど無い。また、安価な反射型の赤外線センサ等の非接触センサを4つ設けるだけでよく、CCDセンサのような高価なデバイスを別途子設ける必要はないので、安価な構成でハンドジェスチャの認識精度を向上させることができる。
【0061】
なお、ハンドジェスチャの認識精度は、4つの検出素子の離間距離と手の平の大きさとの比率に大きく依存する。また、上下方向、左右方向の何れの方向に手を動かす場合も、図4(b)のように、検出素子72a,72b,72c,72dの全てがONになり、当該全てONの状態が解消するようにすることで、ハンドジェスチャの認識精度が高くなる。
【0062】
また、最初に1つの検出素子がON→4つの検出素子が全てON→最初にONした検出素子と対向する検出素子がONといったような変化形態にすると、ハンドジェスチャの認識精度は飛躍的に向上する。従って、これらのことを考慮して4つの検出素子の離間距離を最適化するのが望ましい。
【0063】
次に、図5、図6に基づいて、ジェスチャ用のガイダンス情報の表示方法を説明する。図5に示したように、画像表示部28には、被写体画像400と共に、操作ボタンの機能情報410がガイダンス表示される。図6に示したように、接眼ファインダ29には、被写体画像400と共に、操作ボタンの機能情報410、及びジェスチャの機能情報420がガイダンス表示される。このジェスチャの機能情報420は、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」といった手300の移動方向に割り当てられた機能をガイダンスするものである。
【0064】
このように、接眼ファインダ29にジェスチャの機能情報420を表示することにより、使用者は、ジェスチャの機能を覚えていなくても、ジェスチャによる操作を行うことができるようになる。また、図5のように、画像表示部28には操作ボタンの機能情報410を表示するが、ジェスチャの機能情報420は表示しないことで、次のことを使用者に報知することができる。すなわち、画像表示部28を見ているということは、接眼ファインダ29に接眼していないことを意味するので、接眼ファインダ29に接眼していない状態ではジェスチャによる操作が不能であることを、暗に使用者に報知することができる。これにより、使用者は、無駄な操作を行うのを回避することができる。
【0065】
次に、デジタルカメラ100の動作を図7、図8のフローチャートに基づいて説明する。デジタルカメラ100に電源を投入すると、システム制御回路50は、不揮発性メモリ56に予め記憶されたプログラムをメモリ52に展開して実行することにより、S101〜S132の処理を行う。
【0066】
システム制御回路50は、プログラムを実行するための各種の変数を初期化する等の初期化処理を行う(S101)。次に、システム制御回路50は、撮影画像の表示先を判別する(S102)。この撮影画像の表示先は、原則としてD/A変換器26の出力先である画像表示部28、接眼ファインダ29の何れかであり、S101の初期化処理において、撮影画像の表示先は画像表示部28に初期設定されている。使用者は、表示切替ボタン66により、撮影画像の表示先を画像表示部28、接眼ファインダ29、何れにも表示しない状態の何れかに任意に切替えることができる。
【0067】
システム制御回路50は、撮影画像の表示先が接眼ファインダ29であれば、接眼ファインダ29に撮影画像等を表示すべく、ジェスチャフラグに「1」をセットする(S103)。一方、撮影画像の表示先が接眼ファインダ29以外でれば、システム制御回路50は、画像表示部28に撮影画像等を表示すべく、ジェスチャフラグに「0」をセットする(S104)。
【0068】
次に、システム制御回路50は、撮影画像表示処理を行う(S105)。この、撮影画像表示処理については、後で図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。次に、システム制御回路50は、シャッタスイッチSW2のON/OFF状態を判別する(S106)。その結果、シャッタスイッチSW2がON状態であれば、システム制御回路50は、前述の撮影処理を行い(S107)、S105に戻る。
【0069】
次に、システム制御回路50は、シャッタスイッチSW1のON/OFF状態を判別する(S108)。その結果、シャッタスイッチSW1がON状態であれば、システム制御回路50は、前述の撮影準備処理を行い(S109)、S105に戻る。次に、システム制御回路50は、再生ボタンのON/OFF状態を判別し(S110)、再生ボタンがON状態であれば、再生処理を行って(S111)、S105に戻る。
【0070】
この再生処理では、システム制御回路50は、デジタルカメラ100の外部の記録媒体200,210に記録された画像データをメモリ30に読込み、圧縮・伸長回路32で伸長した上で、再生表示用の画像データとして画像表示メモリ24に書込む。また、システム制御回路50は、必要に応じて画像表示メモリ24上でアイコン、撮影情報等と再生表示用の画像データとを合成する。システム制御回路50は、D/A変換器26を介して、再生表示用の画像データを画像表示部28、又は接眼ファインダ29に表示する。
【0071】
次に、システム制御回路50は、メニューボタンのON/OFF状態を判別し(S112)、メニューボタンがON状態であれば、メニュー表示処理を行う(S113)。このメニュー表示処理では、システム制御回路50は、デジタルカメラ100で実行可能な機能を示す機能メニューを、画像表示部28、又は接眼ファインダ29に表示する。
【0072】
次に、システム制御回路50は、表示切替ボタンのON/OFF状態を判別し(S114)、表示切替ボタンがON状態であれば、表示先切替処理を行って(S115)、S105に戻る。この表示先切替処理では、システム制御回路50は、D/A変換器26からのデータの出力先を画像表示部28、又は接眼ファインダ29の何れかに切替える。この場合、システム制御回路50は、現在の表示先のデバイス等を記憶しており、表示切替ボタンがONされる毎に、表示先を画像表示部28、接眼ファインダ29、何れにも表示しない状態へとサイクリックに切替える。
【0073】
次に、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを接眼検出器68の検出結果に基づいて判別する(S116)。その結果、接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」をセットして(S117)、S119に進む。一方、非接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「0」をセットして(S118)、S119に進む。
【0074】
後述のS121からS122への移行制御の説明から明らかなように、このフラグ制御により、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であれば、ハンドジェスチャ等による操作を可能とし、非接眼中であればハンドジェスチャ等による操作を不能とすることができる。これにより、ハンドジェスチャの誤認識を低減することができる。
【0075】
S119では、システム制御回路50は、他の操作部材のON/OFF状態を判別する。その結果、他の操作部材がON状態であれば、当該操作部材に係る処理を行って(S120)、S102に戻る。
【0076】
次に、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」がセットされているか否かを判別することにより、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを判別する(S121)。その結果、ジェスチャフラグに「1」がセットされておらず、接眼中でない場合は、システム制御回路50は、S105に戻ることにより、ジェスチャによる操作を無効処理し、ジェスチャ認識処理を行わないようにする。一方、ジェスチャフラグに「1」がセットされており、接眼中である場合は、システム制御回路50は、図3、図4を用いて説明したようなジェスチャ認識処理を行う(S122)。
【0077】
このように、使用者が接眼ファインダ29に非接眼中である場合は、ジェスチャ認識処理を行わないことで、ハンドジェスチャの誤認識を低減し、使用者が意図する機能を可及的正確にデジタルカメラ100に指示することが可能となる。
【0078】
次に、システム制御回路50は、規定のジェスチャを認識できたのか否かを判別する(S123)。この場合、システム制御回路50は、前述のように、ジェスチャ検出器72の検出素子72a,72b,72c,72dの出力信号に基づいて、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」への物体(実際には使用者の手)の移動方向を認識する。
【0079】
システム制御回路50は、規定のジェスチャ、すなわち物体の上記の4つの規定の移動方向を認識できなかった場合は、その旨の警告メッセージ、例えば「認識できません」という警告メッセージを接眼ファインダ29に表示する(S124)。
【0080】
この警告により、使用者は、誤ったハンドジェスチャや不正確なハンドジェスチャを行ったとしても、そのことを直ちに認識してハンドジェスチャをやり直し、自己の意図を正確にデジタルカメラ100に伝えることが可能となる。また、システム制御回路50は、警告メッセージを表示した後は、S105に戻るので、誤ったハンドジェスチャを実行することはない。なお、他の警告方法としては、上記のような警告メッセージを表示部54に文字、画像、音声等により表示することが考えられる。
【0081】
システム制御回路50は、規定の移動方向を認識できた場合は、その規定の移動方向が「上から下」であるか否かを判別する(S125)。その結果、認識した規定の移動方向が「上から下」であれば、システム制御回路50は、その「上から下」という移動方向に割り当てられたフィルタ切替処理を行う(S126)。
【0082】
このフィルタ切替処理では、システム制御回路50は、フィルタ切替処理を行う毎に、現在使用中のデジタルフィルタを「通常」、「モノクロ」、「セピア」等へ段階的に切替える。すなわち、「上から下」へのジェスチャを行う毎に、デジタルフィルタが、例えば「通常」→「モノクロ」、「モノクロ」→「セピア」、「セピア」→「普通」といったように切替わる。
【0083】
このデジタルフィルタは、画像に所定の色を付けたりモノトーンやセピア調への減色を施す処理であり、画像処理回路20により実行される。なお、「普通」の場合は、フィルタ処理は行われない。
【0084】
システム制御回路50は、認識した規定の移動方向が「下から上」であれば(S127)、その「下から上」という移動方向に割り当てられた情報表示処理を行う(S128)。この情報表示処理は、画像に撮影情報をオーバーラップして表示したり、ヒストグラムを表示したりする表示スタイルを切替える処理である。「下から上」へのジェスチャを行う毎に情報表示処理が呼出され、その都度、現在使用中の表示スタイルが順次切替えられる。
【0085】
システム制御回路50は、認識した規定の移動方向が「右から左」であれば(S129)、その「右から左」という移動方向に割り当てられた暗く補正処理、すなわち露出減補正処理を行う(S130)。この露出減補正処理は、画像表示部28や接眼ファインダ29に表示中の画像データの露出を所定値だけマイナス補正する処理である。
【0086】
露出減補正の方法としては、現在のシャッタスピードよりも所定値だけ速いシャッタスピードに設定変更する、或は現在の絞り値よりも所定値だけ絞った絞り値に設定変更する方法がある。「右から左」へのジェスチャを行う毎に露出減補正処理が呼出され、その都度、現在の露出量が所定値ずつマイナスされる。
【0087】
システム制御回路50は、認識した規定の移動方向が「左から右」であれば(S131)、その「左から右」という移動方向に割り当てられた明るく補正処理、すなわち露出増補正処理を行う(S132)。この露出増補正処理は、画像表示部28や接眼ファインダ29に表示中の画像データの露出を所定値だけプラス補正する処理である。
【0088】
露出増補正の方法としては、現在のシャッタスピードよりも所定値だけ遅いシャッタスピードに設定変更する、或は現在の絞り値よりも所定値だけ開けた絞り値に設定変更する方法がある。「左から右」へのジェスチャを行う毎に露出増補正処理が呼出され、その都度、現在の露出量が所定値ずつプラスされる。
【0089】
次に、図7のS105における撮像画像表示処理を、図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0090】
システム制御回路50は、まず、画像データ作成処理を行う(S201)。この画像データ作成処理では、システム制御回路50は、撮像素子14からのアナログの画像信号をA/D変換器16によりデジタルの画像データに変換する。そして、システム制御回路50は、画像処理回路20によりガンマ補正処理等の各種画像処理を施した後、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に格納する。
【0091】
次に、システム制御回路50は、ガイダンスボタンのON、OFF状態に基づいて、ガイダンス表示をするか否かを判別する(S202)。ガイダンスボタンがON状態でありガイダンス表示をする場合は、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」がセットされているか否かを判別する(S203)。
【0092】
ジェスチャフラグに「1」がセットされている場合は、システム制御回路50は、ジェスチャ用のガイダンス情報(機能情報)を設定する(S204)。この設定処理は、具体的には、例えば図6に示した操作ボタンの機能情報410、及びジェスチャの機能情報420と被写体画像(画像データ)400とを画像表示メモリ24上で合成することで行う。
【0093】
ジェスチャフラグに「1」がセットされていない場合は、システム制御回路50は、ボタン用のガイダンス情報(機能情報)を設定する(S205)。この設定処理は、具体的には、例えば図5に示した操作ボタンの機能情報410と被写体画像(画像データ)400とを画像表示メモリ24上で合成することで行う。
【0094】
ガイダンスボタンがOFF状態でありガイダンス表示をしない場合(S202)、及びS204、又はS205の処理が終了した場合は、システム制御回路50は、表示先を判別する(S206)。その結果、表示先が接眼ファインダ29の場合には、システム制御回路50は、画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データ(図6の画面参照)をD/A変換器26を介して接眼ファインダ29に表示する(S207)。
【0095】
一方、表示先が画像表示部28の場合には、システム制御回路50は、画像表示メモリ24に書込まれた表示用の画像データ(図5の画面参照)をD/A変換器26を介して画像表示部28に表示する(S208)。表示先が画像表示部28、接眼ファインダ29の何れにも表示しない状態となっている場合、S207又はS208の処理が終了した場合は、システム制御回路50は、図7,8のフローにリターンする。
【0096】
以上説明したように、第1の実施の形態では、例えば、右手でデジタルカメラ100を持って接眼ファインダ29を覗いた状態のままで、カメラの前面に設けられたジェスチャ検出部72の前方において、左手でジェスチャを行うことができる。また、システム制御部50は、「上→下」、「下→上」、「左→右」、「右→左」という手の移動方向を、ジェスチャ検出部72内の検出素子72a,72b,72c,72dからの検知信号に基づいて認識し、その移動方向に割当てられた機能を実行している。
【0097】
従って、操作ボタンなどの操作部材を操作し難い状態であっても、ハンドジェスチャ等の方法で操作指示を行うことができ、利便性が向上する。しかも、接眼ファインダ29の不使用期間には、ハンドジェスチャの認識処理を行わないので、ハンドジェスチャによる誤操作やハンドジェスチャの誤認識を軽減することが可能となる。換言すれば、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示することが可能となる。
【0098】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、ハンドジェスチャを検出する検出素子として、デジタルカメラ100の正面に非接触センサ、すなわちジェスチャ検出部72(検出素子72a,72b,72c,72d)を設けていた。
【0099】
これに対し、第2の実施の形態では、ハンドジェスチャを検出する特別な検出素子を別途設けることなく、デジタルカメラ100に必要不可欠なデバイスとして内蔵されている撮像素子(撮像センサ)14を用いてハンドジェスチャを検出している。
【0100】
すなわち、撮影レンズ10を介して入力され被写体の光学像は、撮像素子14により光電変換される。そして、撮像素子14からの映像信号は、A/D変換器16によりA/D変換され、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して画像データとして画像表示メモリ24、及びメモリ30に格納される。そして、当該画像データは、D/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。
【0101】
そこで、第2の実施の形態では、使用者が撮影レンズ10の前でハンドジェスチャを行うと、システム制御回路50は、そのハンドジェスチャによる画像データの変化状況を解析することにより、ハンドジェスチャを検出するようにしている。なお、画像データの変化状況の解析処理(認識処理)は、メモリ30上の画像データに基づいて行われる。
【0102】
この撮像素子14を用いたハンドジェスチャの検出方法を、図10に基づいて説明する。図10(a),(b),(c)は、メモリ30に格納された撮影枠(フレーム)500内の画像データを示している。本実施の形態では、図10(a),(b),(c)に示したように、撮影枠(フレーム)500内の画像データのうち、十字状に離間した4つの規定領域の画素をジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dとして規定している。
【0103】
これら4つの規定領域は、必ずしも矩形領域である必要はないが、検出精度の点で1画素ではなく複数画素の領域であることが望ましい。ただし、解析速度を考慮すると、1領域の画素数を多くし過ぎるのは好ましくない。撮像素子14の画素数にもよるが、一般的には、(10×10)程度の画素数で十分である。
【0104】
図10(a),(b),(c)の比較から明らかなように、図10の例では、図4の例と同様に、使用者は、手300を上から下に移動させるジェスチャを行っている。なお、第1の実施の形態と同様に、第2の実施においても、ジェスチャの形態としては、手300を「上から下」に移動させる、手300を「下から上」に移動させる、手300を「左から右」に移動させる、手300を「右から左」に移動させるという4つを想定している。
【0105】
図10(a),(b),(c)に示したように、手300を「上から下」に動かした場合は、ジェスチャ検出用画素500cのみON→ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dの全てがON→ジェスチャ検出用画素500dのみONといった変化状況となる。システム制御回路50は、このようなジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dのON,OFF状態の変化を監視することにより、「上から下」、「下から上」、「左から右」、「右から左」といった手300の移動方向を検出する。
【0106】
なお、ここでいうジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dのON、OFF状態は、第1の実施の形態における検出素子72a,72b,72c,72dのON、OFF状態と、意味合いが多少相違する。この相違点は、検出素子72a,72b,72c,72dは、ジェスチャ検出のための専用素子であったのに対し、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dは、ジェスチャ検出のための専用素子ではない点に起因する。
【0107】
すなわち、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dは、本来、被写体を撮影するための素子であり、当該素子に係る画像データは、被写体に係る画像データとジェスチャに係る画像データとが重畳されたものとなる。
【0108】
そこで、第2の実施の形態では、システム制御回路50は、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dについて、画素の輝度信号や色差の変化を監視して、その輝度や色差の平均値を求める。そして、システム制御回路50は、監視により求めた平均値を規定範囲の平均値と比較することで、ハンドジェスチャが行われて上記の輝度信号や色差が一時的に変化することを検出し、手の移動方向を認識する。
【0109】
ここで、上記の規定範囲は、人間の肌色以外の被写体の画像データの輝度や色差の上限値〜下限値の範囲を規定範囲とすることで、人間の肌色(ジェスチャ)に係る画像データと、他の被写体に係る画像データを区別できるようにすればよい。
【0110】
なお、人種によって肌色が異なるが、その肌色は、一人の人間では略同一であり、さらに撮影レンズ10の径よりも大きな手によるハンドジェスチャは撮影レンズ10の至近距離で行われるので、図10のように、撮影枠500内に手が大きく写し出される。従って、ハンドジェスチャを正確に行った場合、図10(b)のように、ジェスチャ検出用画素500a,500b,500c,500dの全てにおいて、手だけの略同一の画像データとなる時期が必ず到来する。そこで、このように手だけのほぼ同一の画像データとなった場合に、ハンドジェスチャが行われたものと認定することも可能である。
【0111】
また、手の平などに高輝度発光材を付着させてハンドジェスチャを行うことにより、手を認識することも考えられる。この高輝度発光材としては、例えば、アルミ箔等が塗布された銀色の粘着テープ等が考えられる。この銀色の粘着テープの場合、散乱光が虹色になる可能性が高いので、システム制御回路50において容易に識別でき、手に貼り付けても容易に剥がすことができ、さらに安価でもある。
【0112】
次に、第2の実施の形態におけるデジタルカメラ100の動作を図11,12のフローチャートに基づいて説明する。
【0113】
システム制御回路50は、プログラムを実行するための各種の変数を初期化する等の初期化処理を行う(S301)。この初期化処理では、第1の実施の形態と異なり、ジェスチャフラグに「1」を初期設定しない。
【0114】
次に、システム制御回路50は、使用者が接眼ファインダ29に接眼中であるか否かを接眼検出器68の検出結果に基づいて判別する(S302)。その結果、接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「1」をセットして(S303)、S305に進む。一方、非接眼中であれば、システム制御回路50は、ジェスチャフラグに「0」をセットして(S304)、S105に進む。
【0115】
S105以降の処理は、第1の実施の形態に係る図7,8のS105以降の処理と同様なので、ここでは、その説明を省略する。ただし、S114,S115の処理において、表示切替ボタンにより表示先を画像表示部28、又は接眼ファインダ29に切替える処理を行っても、その処理は無効とされる。S114の判定が偽となると、図8のS116へ進む。ただし第2の実施形態では、図8で処理が(2)(図7のS105)に進んだ場合は、図11のS302へ進むこととなる。
【0116】
すなわち、第2の実施の形態では、画像表示部28、又は接眼ファインダ29への表示先切替えは、接眼検出器68の検出結果のみに基づいて行っている。換言すれば、第2の実施の形態では、接眼ファインダ29に接眼中であることが接眼検出器68により検出された場合にのみ、ハンドジェスチャによる操作が可能となっている。
【0117】
以上説明したように、第2の実施の形態では、通常のデジタルカメラが具備する撮像素子14を用いてハンドジェスチャを認識する構成としたので、第1の実施の形態のように、ジェスチャ検出部72なるデバイスを別途設ける必要はない。
【0118】
なお、ハンドジェスチャを認識する画像は、接眼ファインダ29に接眼している間は、接眼ファインダ29にも逐次表示されるので、使用者が行ったハンドジェスチャを自身が目視確認でき、必ずしも認識結果を報知する必要はない(第1の実施の形態も同様)。
【0119】
なお、本発明は、上記の第1,第2の実施の形態に限定されることなく、例えば、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを適宜組み合わせることも可能である。この場合、特に、第1の実施の形態に係る図7のS101〜S104を、第2の実施の形態に係る図11のS301〜S304に置換えることも可能である。
【0120】
また、上下左右方向の4つの移動方向に加え、その移動速度をも考慮してハンドジェスチャの形態を認識することにより、8つ以上の機能をハンドジェスチャで指示・実行させることも可能である。
【0121】
この場合、第1,第2の実施の形態に係る4つの検出素子では、移動速度を2段階で識別すると、第1,第2の実施の形態で指示・実行可能な機能数は「8」となる。また、移動速度を3段階で識別すると、指示・実行可能な機能数は「12」となる。このように、移動方向に加え、その移動速度をも考慮してハンドジェスチャの形態を認識した場合には、比較的簡単に指示・実行可能な機能数を増加させることが可能となる。
【0122】
また、十字状に離間した4つの検出素子や画素の領域は、例えば、撮影枠に対して所定角度で傾斜した領域とすることで、正確なハンドジェスチャをより容易に行えるようにしてもよい。この場合は、当然ながら、システム制御回路50は、上下方向、左右方向ではなく、所定角度での右上がり方向、右下がり方向の移動方向を検出することとなる。
【0123】
以上説明したように、本発明では、接眼ファインダに接眼していない状態でハンドジェスチャ等を行っても、そのハンドジェスチャ等により当該ハンドジェスチャ等に割り当てられた機能を実行させることはできない。接眼ファインダに接眼している状態でハンドジェスチャ等を行うことにより、初めて、そのハンドジェスチャ等に割り当てられた機能が実行される。すなわち、使用者が明確な意図の下にハンドジェスチャ等を行った場合に限り、当該ハンドジェスチャ等に係る機能が実行される。
【0124】
従って、本発明によれば、接眼ファインダの使用中であっても、操作部材を用いることなく意図する機能を可及的正確に指示することが可能となる。
【0125】
なお、上述の各実施の形態の処理は、各機能を具現化するようにプログラミングされたプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或いは装置に提供してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって、前述した実施形態の機能を実現することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどを用いることができる。或いは、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることもできる。
【0126】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施例の機能が実現される場合も含まれている。
【0127】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれてもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含むものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼ファインダを有する撮像装置において、
前記撮像装置の被写体側での物体の移動形態を検出する検出手段と、
前記接眼ファインダを使用中であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、前記検出手段により検出される前記物体の移動形態に応じた機能を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中でないと判別された場合には、前記検出手段により検出される前記物体の移動形態に応じた機能は実行しないように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記接眼ファインダに撮影画像が表示されている状態の場合に、前記接眼ファインダを使用中であると判別することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記接眼ファインダへの物体の近接を検出する接眼検出手段をさらに有し、
前記判別手段は、前記接眼検出手段が前記ファインダへの物体の近接を検出した場合に、前記接眼ファインダを使用中であると判別することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、当該接眼ファインダに前記移動形態に応じた機能を表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記撮像装置の被写体側の面に配備された非接触センサを用いて物体の移動形態を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記非接触センサは、十字状に離間して4つ配備されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記撮像装置に内蔵された撮像センサの規定領域の画素の信号を用いて物体の移動形態を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記規定領域の画素は、十字状に離間した4つの領域の画素であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記物体の移動形態として、上下方向、左右方向の移動方向を検出することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
接眼ファインダを有する撮像装置の制御方法において、
前記撮像装置の被写体側での物体の移動形態を検出する検出工程と、
前記接眼ファインダを使用中であるか否かを判別する判別工程と、
前記判別工程により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、前記検出工程により検出される前記物体の移動形態に応じた機能を実行する制御工程と、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータが実行し得るようにプログラミングしたことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータが実行し得るようにプログラミングしたことを特徴とするプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
接眼ファインダを有する撮像装置において、
前記撮像装置の被写体側での物体の移動形態を検出する検出手段と、
前記接眼ファインダを使用中であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、前記検出手段により検出される前記物体の移動形態に応じた機能を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中でないと判別された場合には、前記検出手段により検出される前記物体の移動形態に応じた機能は実行しないように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記接眼ファインダに撮影画像が表示されている状態の場合に、前記接眼ファインダを使用中であると判別することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記接眼ファインダへの物体の近接を検出する接眼検出手段をさらに有し、
前記判別手段は、前記接眼検出手段が前記ファインダへの物体の近接を検出した場合に、前記接眼ファインダを使用中であると判別することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判別手段により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、当該接眼ファインダに前記移動形態に応じた機能を表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記撮像装置の被写体側の面に配備された非接触センサを用いて物体の移動形態を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記非接触センサは、十字状に離間して4つ配備されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記撮像装置に内蔵された撮像センサの規定領域の画素の信号を用いて物体の移動形態を検出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記規定領域の画素は、十字状に離間した4つの領域の画素であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記物体の移動形態として、上下方向、左右方向の移動方向を検出することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
接眼ファインダを有する撮像装置の制御方法において、
前記撮像装置の被写体側での物体の移動形態を検出する検出工程と、
前記接眼ファインダを使用中であるか否かを判別する判別工程と、
前記判別工程により前記接眼ファインダを使用中であると判別された場合に、前記検出工程により検出される前記物体の移動形態に応じた機能を実行する制御工程と、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータが実行し得るようにプログラミングしたことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータが実行し得るようにプログラミングしたことを特徴とするプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−213057(P2010−213057A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57793(P2009−57793)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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