説明

撮像装置、カメラ、及び信号処理方法

【課題】 撮像装置においてIRCFを用いなくとも良好な色再現性を実現し、S/Nを改善する。
【解決手段】 入射光に対応した第1の色信号R5、G5、B5と、第1の色信号に第1の定数iを指数としてべき乗することによって得られる値に概して等しく、入力レベルの小さい範囲においては利得が制限された色信号と、第1の色信号に第2の定数jを指数としてべき乗することによって得られる値に近似する値の色信号と、これらに対するマトリクス係数との乗算を含むマトリクス演算を行って、第2の色信号R6、G6、B6を得る。第1及び第2の定数及びマトリクス係数は、色信号生成手段20と分光感度特性補正手段6の総合的な特性が、人間の色覚特性又はそれを線形変換することによって得られる分光感度特性に近似したものとなるように定められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置に関し、特に赤外除去フィルタ(IRCF)を用いずに比視感度補正を行う信号処理手段を具備した撮像装置に関する。本発明はまた、そのような撮像装置を備えたカメラに関するものである。本発明はさらに、そのような撮像装置における信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置は、入射光を結像するレンズと、レンズにより結像した光学像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子から得られた電気信号に対し信号処理を施すことにより所定の画像信号を得る信号処理手段とを有している。
通常撮像素子として用いるCCD(Charge Coupled Device)センサー又はCMOS(Complimentary Metal Oxide)センサを一枚だけで撮像装置を構成する場合、即ち、単板式のセンサーにおいては、色分解を行う色フィルタとして、画素ごとに異なる色のものがセンサー上に設けられている。
赤(R)、緑(G)、青(B)の色信号を得るには、R、G、Bに対応する光の帯域を透過させる、R、G、Bの原色フィルタを用いる場合と、マジェンタ(Mg)、シアン(Cy)、イエロー(Ye)、Gの補色フィルタを用いる場合がある。上記のいずれの色フィルタも染料もしくは顔料を用いて目的の色を透過させるようにその分光透過特性が設計されているが、近赤外領域でも一定の透過率を有する。また、撮像素子の光電変換部は主にシリコン(Si)などの半導体で構成されているため、光電変換部の分光感度特性は波長の長い近赤外光まで感度を有している。よって、色フィルタを具備した撮像素子から得られた信号は近赤外領域の光線にも反応している。
【0003】
一方、人間の色に対する感度特性である色覚特性および明るさに対する感度特性である比視感度特性はその感度が可視域といわれる380nmから780nmまでの感度特性であり、700nmより長波長域ではほとんど感度を有さない。そこで、撮像装置の色再現性を人間の色覚特性に合わせるためには、撮像素子の前に近赤外領域の光線を通過させない視感度補正用の赤外線除去フィルタ(以後、IRCF:Infrared Cut Filter)を設ける必要があった。
【0004】
一方、例えば監視カメラ等のように色再現性よりも感度を重視する場合には、近赤外領域の光を利用するため、IRCFを設けず撮像素子に近赤外光を受光させるほうが良い。
【0005】
そこで、色再現性を必要とするときはIRCFを撮像素子の前に設置し、感度を優先するときは近赤外の光線を受光するために、IRCFを移動させる機構手段を設けたり、入射光量を調整する絞りの一部にIRCFを設け、光量に応じてIRCFを撮像素子の前に設置したり除去したりする技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、IRCFを設置せずにホワイトバランスを取り、IRCFを設置したときに輝度信号を生成するR、G、B信号の混色比とは異なる混色比で輝度信号を生成することで感度向上を図る技術も提案されている(特許文献2、3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−36807公報
【特許文献2】特開2003−134522公報
【特許文献3】特開2003−264843公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に挙げた従来の撮像装置はIRCFを移動させる機構手段が必要であり、撮像素子を含むユニットの小型化に不利であり、撮像素子の電子シャッタを用いて光量調整を行う簡易的な撮像装置(例えば、ピーシーカメラ(PCカメラ)、携帯電話用カメラ、トイカメラ(TOYカメラ)、民生用監視カメラ)は絞り機構を有していないことが多いため、新たにIRCFを着脱する機構手段を設けなければならない。
【0008】
また、特許文献2及び3に挙げた撮像装置は白黒の映像信号を得るときは問題ないが、カラーの映像信号を得るときは、色信号はホワイトバランスを合わせるのみであり、さらに輝度信号も人間の比視感度特性が考慮されていない色信号比であるため、そのカラーの映像信号は人間の色覚特性又はそれを線形変換することにより得られる分光感度特性で得られるR、G、B値と異なった映像信号、すなわちカラーの映像信号は人間の色覚特性又はそれを線形変換することにより得られる分光感度特性で得られるR、G、B値に対する色差ΔE*ab(JIS Z8730)の大きな映像信号となり、正確な色再現性が得られない。
また、S/N(signal to noize ratio)の良い画像を得ることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、IRCFを用いることなく、近赤外光が入射されたときでも、色再現性の良好なカラーの映像信号を得るとともに、S/Nの良い画像を得ることができる撮像装置及び信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
入射光を受けて、入射光に対応した第1の赤、緑、青の色信号を出力する色信号生成手段と、
前記第1の赤、緑、青の色信号と係数との乗算を含むマトリクス演算を行って第2の赤、緑、青の色信号を生成する分光感度特性補正手段とを備え、
前記分光感度特性補正手段は、
前記第1の赤、緑、青の色信号に予め定めた1より小さい第1の定数を指数としてべき乗することによって得られる値に近似した値を有する赤、緑、青の第3の色信号を生成する第1種の変換手段と、
前記第1の赤、緑、青の色信号に予め定めた第2の定数を指数としてべき乗することによって得られる値に近似した値を有する赤、緑、青の第4の色信号を生成する第2種の変換手段と、
前記第1の色信号と、前記第3の色信号と、前記第4の色信号と、これらに対する係数との乗算と、この乗算の結果の相互加算とを含むマトリクス演算を行うマトリクス演算手段と
を備え、
前記第1種の変換手段は、前記第3の色信号として、概して上記第1の定数を指数としてべき乗することによって得られる値を有し、上記第1の色信号が零に近い範囲においては、上記のべき乗により得られる値よりも小さな値に制限された値を有する信号を出力し、
前記第1の定数、前記第2の定数、及び前記係数は、前記色信号生成手段と前記分光感度特性補正手段の総合的な特性が、人間の色覚特性又はそれを線形変換することによって得られる分光感度特性に近似したものとなり、前記色信号生成手段の近赤外域での応答特性を補正するように定められている
ことを特徴とする撮像装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IRCFを用いなくても、良好な色再現性を得ることができ、さらに
かつS/Nの良い画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による撮像装置を示す概略構成図である。図示のように、この撮像装置は、撮像手段1と、増幅手段2と、A/D変換器(ADC)3と、直流成分再生手段(DC再生手段)4と、ホワイトバランス手段5と、分光感度特性補正手段6と、ガンマ(γ)補正手段7と、輝度色差信号生成手段8とを含む。
【0013】
撮像手段1は、例えば図2(a)、(b)に示すように、レンズ10aと、2次元的に配列された複数の光電変換素子を有する撮像素子11と、色分離手段としての色フィルタ10bとを有する。
撮像素子11の複数の光電変換素子は、例えば図2(a)に示すようにベイヤ(Bayer)型に配置された、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に対応する分光透過率を有する色フィルタ10bで覆われている。
【0014】
レンズ10aから入射した光は、撮像素子11の受光面上に結像する。撮像素子11は、上記のように、色フィルタ10bで覆われており、各光電変換素子からは、色フィルタ10bの分光透過率に対応した色成分、即ちR、G、Bのアナログ映像信号R1、G1、B1が出力される。
【0015】
このようにして、撮像手段1から出力されるR、G、Bのアナログ信号(以下、それぞれ「R信号」、「G信号」、「B信号」と言うことがある)は、増幅手段2によって増幅される。増幅手段2から出力された映像信号はADC3によってディジタル信号に変換される。ディジタル信号に変換された映像信号はDC再生手段4により、DCレベルが再生される。DC再生は通常映像信号の黒レベルが「0」になるように、ADC3によるA/D変換前に有していたオフセットレベルをDCシフトするか、クランプ処理を行う。
【0016】
積算手段9は、DC再生手段4から出力されるR信号、G信号、及びB信号をそれぞれ複数の画素に亘って、例えば画面全体に亘って積算し、R信号の積算値ΣR、G信号の積算値ΣG、及びB信号の積算値ΣB及びを求める。
【0017】
次に、ホワイトバランス(WB)手段5は、それぞれR、G、B信号を増幅する3つの増幅手段(図示しない)を有し、DC再生手段4からのR、G、B信号を受けて、さらに、積算手段9から積算値ΣR、ΣG、ΣBを受けて、映像信号の撮像条件に応じて被写体の白の箇所のR、G、B信号の値が等しくなる(すなわち白の箇所が無彩色になる)ような処理を施す。通常、ホワイトバランス手段5は一般被写体の、画面内のすべての画素についての積算した色は無彩色であるというエバンスの原理に基づき、積算値ΣR、ΣB、ΣGの値が等しくなるように3つの増幅手段の利得を変化させてホワイトバランスを行う。
【0018】
上記の撮像手段1、増幅手段2、ADC3、DC再生手段4、ホワイトバランス手段5、及び積算手段9により、入射光を受けて、入射光に対応したR、G、Bの色信号を出力する色信号生成手段20が構成されている。
【0019】
分光感度特性補正手段6は、ホワイトバランス手段5から出力されたホワイトバランス後のR、G、B信号R5、G5、B5を入力とし、それぞれの信号を後述するマトリクス演算することにより撮像手段1の近赤外領域の感度特性による色再現性への影響を補正したカラー信号R6、G6、B6を出力する。
【0020】
ガンマ補正手段7は分光感度特性補正手段6から出力された映像信号R6、G6、B6に非線形の階調変換を行う。
【0021】
輝度色差信号生成手段8はガンマ補正手段7から出力されたR、G、B信号R7、G7、B7を輝度信号(Y信号)、及び2つの色差信号(Cr信号、Cb信号)に変換する。輝度色差信号生成手段8は、この変換(YCrCb変換)においては、通常3行3列の係数マトリクスを掛ける、下記の式(2)の線形マトリクス演算を行ってY、Cr、Cb信号を生成する。
【0022】
【数3】




【0023】
式(2)において3行3列のマトリクス係数は例えば、IEC(International Electrotechnical Commission)61966−2−1)に規定されているように、y1=0.2990、y2=0.5870、y3=0.1140、cr1=−0.1687、cr2=−0.3313、cr3=0.5000、cb1=0.5000、cb2=−0.4187、cb3=−0.0813と定める。
【0024】
分光感度特性補正手段6についてその構成と原理を以下に説明する。
分光感度特性補正手段6は、色信号生成手段20と分光感度特性補正手段6の総合的な特性が、人間の色覚特性又はそれを線形変換することによって得られる分光感度特性に近似したものとなり、前記色信号生成手段の近赤外域での応答特性を補正するためのものである。
【0025】
図3は分光感度特性補正手段6の構成を示す概略構成図である。ホワイトバランス手段5から出力されたR、G、Bの色信号R5、G5、B5は分光感度特性補正手段6に入力される。分光感度特性補正手段6は、第1種の変換手段(以下「fi変換手段」と言う)61、63、65と、第2種の変換手段(以下「fj変換手段」と言う)62、64、66と、入力される各信号とそれぞれに対する係数との乗算を行ない、乗算結果を加算する3行9列マトリクス演算手段67とを有する。
【0026】
fi変換手段61、63、65は、入力信号R5、G5、B5に対し、1より小さい所定の実数iを指数とするべき乗により得られる値に近似した値を出力するものであり、より詳しく言うと、fi変換手段61、63、65は、概して、(即ち、入力が取り得る範囲のうちの大部分の領域において)、より具体的には、入力が取り得る範囲のうちの最小値に近い領域以外の領域において、入力信号R5、G5、B5に対して上記の実数iを指数としてべき乗することによって得られる値を有し、入力信号が零に近い範囲においては、上記のべき乗により得られる値よりも小さな値に制限された値を有する信号を出力する。例えば、入力信号が零に近い範囲においては、入力信号に対する出力信号の比が所定値以下に制限される。
fj変換手段62、64、66は、入力信号R5、G5、B5に対し、1より大きい所定の実数jを指数とするべき乗により得られる値に近似した値を出力するものであり、より詳しく言うと、fj変換手段62、64、66は、概して、(即ち、入力が取り得る範囲のうちの大部分の領域において)、より具体的には、入力が取り得る範囲のうちの最大値に近い領域以外の領域において、入力信号R5、G5、B5に対して上記の実数jを指数としてべき乗することによって得られる値を有し、入力信号が零に近い範囲においては、上記のべき乗により得られる値よりも小さな値に制限された値を有する信号を出力する。例えば、入力信号が最大値に近い範囲においては、入力信号に対する出力信号の比が所定値以下に制限される。
【0027】
3つのfi変換手段61、63、65の入出力特性は互いに同じであり、その一例を図4及び図5に示す。図4で横軸は入力x(x=R5、G5又はB5)を示し、縦軸は出力y(y=fi(R5)、fi(G5)又はfi(B5))を示す。図5は、図4のうちの入出力の小さい部分を拡大して示す。
例えば、上記の第1の実数iが0.3である場合、fi変換手段61、63、65は、概して(即ち、入力が取り得る範囲のうちの大部分の領域において)、より具体的には、入力が取り得る範囲のうちの最小値に近い領域以外の領域において、入力信号xの0.3乗に比例した値を出力するものであるが、入力信号xが0に近い所定の値xt1よりも小さい範囲では、0.3乗よりも小さい値、例えばk1・xに制限する。ここで、k1は定数であり、例えば「6」に定められる。またxt1は例えば「20」である。
図4及び図5で、xの0.3乗を曲線(a)で示す。これらの図では、入力信号xが取り得る値の最小値が「0(ゼロ)」、最大値が「255」、出力信号yが取り得る値の最小値が「0(ゼロ)」であり、最大値が8ビットを想定して「255」であり、入力に対する出力の関係は、最大値により正規化した値相互間の関係である。即ち、図のxとyとの間には、
(y/255)=(x/255)0.3
という関係がある。
また、k1・xを直線(b)で示す。
x=xt1において、直線(b)と曲線(a)とが交わっている。
この結果、x=xt1よりも小さい範囲においては、出力yは、k1・xであり、xがxt1以上の範囲では、出力yを正規化した値はxを正規化した値の0.3乗となる。
【0028】
3つのfj変換手段62、64、66の入出力特性は互いに同じであり、その一例を図6に示す。図6で横軸は入力x(x=R5、G5又はB5)を示し、縦軸は出力z(z=fj(R5)、fj(G5)又はfj(B5))を示す。
例えば、上記の第2の実数jが2である場合、fj変換手段62、64、66は、概して(即ち、入力が取り得る範囲のうちの大部分の領域において)、より具体的には、入力が取り得る範囲のうちの最大値に近い領域以外の領域において、入力信号xの2乗に比例した値を出力するものであるが、入力信号xが最大値に近い所定の値xt2よりも大きい範囲では、xの2乗よりも小さい値、例えばk2・xに制限する。ここで、k2は定数であり、例えば1.5に定められる。またxt2は例えば「200」である。
図6で、xの2乗を曲線(a)で示す。この図では、入力信号xが取り得る値の最小値が「0(ゼロ)」、最大値が「255」、出力信号zが取り得る値の最小値が「0(ゼロ)」、最大値が「255」であり、入力に対する出力の関係は、最大値により正規化した値相互間の関係である。即ち、図のxとzとの間には、
(z/255)=(x/255)
という関係がある。
また、k2・xを直線(b)で示す。
x=xt2において、直線(b)と曲線(a)とが交わっている。
この結果、xがxt2よりも大きい範囲では、出力zは、k2・xでありxがxt2以下の範囲では、出力zを正規化した値はxを正規化した値の2乗となる。
【0029】
以下の説明で、fi変換手段61、63、65による変換を単に「fi変換」と言い、fj変換手段62、64、66による変換を単に「fj変換」と言うことがある。
【0030】
R信号R5はそのままマトリクス演算手段67の入力端子601に入力されるとともに、fi変換手段61及びfj変換手段62に入力され、これらの出力(fi(R5)、fj(R5))がマトリクス演算手段67の入力端子602、603に入力される。
同様に、G信号G5はそのままマトリクス演算手段67の入力端子604に入力されるとともに、fi変換手段63及びfj変換手段64に入力され、これらの出力(fi(G5)、fj(G5))がマトリクス演算手段67の入力端子605、606に入力される。
同様に、B信号B5はそのままマトリクス演算手段67の入力端子607に入力されるとともに、fi変換手段65及びfj変換手段66に入力され、これらの出力(fi(B5),fj(B5))がマトリクス演算手段67の入力端子608、609に入力される。
【0031】
マトリクス演算手段67は、3行9列のマトリクス係数を掛けるマトリクス演算を行うものであり、3行9列の係数マトリクスを用いてマトリクス演算を行い、R、G、Bの色信号R6、G6、B6を生成する。演算により求められたR、G、B信号R6、G6、B6はそれぞれ、端子651、652、653から出力される。
【0032】
マトリスク手段67は、例えば以下の式(1)のマトリクス演算を行うものである。
【0033】
【数4】




【0034】
式(1)において、r1乃至r9、g1乃至g9、及びb1乃至b9は予め定めた係数である。
【0035】
定数i、j及び係数r1乃至r9、g1乃至g9、及びb1乃至b9は、色信号生成手段20と分光感度特性補正手段6の総合的な特性が、人間の色覚特性又はそれを線形変換することによって得られる分光感度特性に近似したものとなり、前記色信号生成手段の近赤外域での応答特性を補正するように定められている。
【0036】
マトリクス演算手段67は、例えば図7に示すように構成される。図示のようにこのマトリクス演算手段67は、27個の乗算手段(611乃至639)と3個の加算手段(641、642、643)とを有する。
【0037】
乗算手段611乃至619は、それぞれ端子601、604、607、602、605、608、603、606、609に入力される信号R5、G5、B5、fi(R5)、fi(G5)、fi(B5)、fj(R5)、fj(G5)、fj(B5)に所定の係数r1、r2、r3、r4、r5、r6、r7、r8、r9を掛けて、乗算結果を加算手段641に出力する。加算手段641は入力の総和を求め、信号R6として出力する。
乗算手段621乃至629は、それぞれ端子601、604、607、602、605、608、603、606、609に入力される信号R5、G5、B5、R5、G5、B5、R5、G5、B5に所定の係数g1、g2、g3、g4、g5、g6、g7、g8、g9を掛けて、乗算結果を加算手段642に出力する。加算手段642は入力の総和を求め、信号G6として出力する。
乗算手段631乃至639は、それぞれ端子601、604、607、602、605、608、603、606、609に入力される信号R5、G5、B5、R5、G5、B5、R5、G5、B5に所定の係数b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9を掛けて、乗算結果を加算手段643に出力する。加算手段643は入力の総和を求め、信号B6として出力する。
【0038】
なお、図7に示したマトリクス演算手段は式(1)で示した演算を実現するための一例であり、他の構成の演算手段で式(1)の演算を実現しても同様の効果が得られる。
【0039】
マトリクス演算手段67の乗算手段611乃至639で用いられる係数は、以下のように定められる。
【0040】
まず、本発明の分光感度特性補正手段6による補正の原理を説明する。
図8に人間の色覚特性を表した分光感度特性を示す。図8に示した特性は正常色覚者の等色関数の平均値であり、CIE(Commission Internationale de l‘E’clairage)1931にて規定されている。人間が感じる色は色順応などの機能を無視し、簡単に表せば図8に示したR、G、Bの分光感度特性(等色関数)と被写体の反射分光特性と照明の分光特性とを乗算し、乗算結果を可視域にて積算することにより得られる値として表すことができる。図8に示したように人間の感度特性はいわゆる可視域と呼ばれるように略380nmから780nmまでしか感度が無く、700nmより長波長側ではほとんど感度特性がない。
【0041】
それに対して、撮像手段1は光電変換を行うフォトダイオードがSi(シリコン)などの半導体で形成されているため、感度特性は可視域から近赤外領域(1000nm近辺)まで感度特性を有する。よって、撮像手段1に色分解を行うRGBの色フィルタ10bを設けた場合、色フィルタの分光特性とフォトダイオードの感度特性の積に応じたR、G、Bの信号が撮像手段1から出力される。
【0042】
図9に撮像手段1のR,G,B信号の分光感度特性r(λ)、g(λ)、b(λ)を実線で示す。図9に示すようにRの色フィルタは近赤外領域の透過率も比較的高いため、近赤外線を撮像素子11に入射させる。また、Bの光を入射するためのBの色フィルタや、Gの光を入射するためのGの色フィルタも同様に近赤外領域に一定の透過率を有する。これは、RGBの色フィルタは通常それぞれの色を含んだ染料や顔料を用いてフィルタを構成するが、その分光透過率は構成する材質に依存し、長波長側の可視域から近赤外領域に掛けて再び透過率が上がる特性を有しているためである。
【0043】
図9に実線で示した撮像手段1のRGBの分光感度特性r(λ)、g(λ)、b(λ)は図8に示した等色関数とは異なり、特に近赤外領域では著しく異なるため、通常の撮像装置では近赤外領域の光を通過させず除去する赤外カットフィルタ(IRCF)を撮像素子の前に設けている。IRCFの分光透過特性IRCF(λ)も図9に実線で示されている。IRCF(λ)とRGBの分光感度特性(r(λ)、g(λ)、b(λ))とを掛け合わせた特性が従来のIRCFを具備した場合の撮像手段1のRGB信号に対応するそれぞれの色の分光感度特性r’(λ)、g’(λ)、b’(λ)となり、図9の破線でその特性を示す。
【0044】
また、従来の撮像装置では図9の破線で表した分光感度特性とした場合でも、図8で示した負の特性は実現できないため、撮像手段から得られたRGB信号を式(3)で示すように3行3列の係数マトリクスを掛けるマトリクス演算を行いその色補正を行っていた。
【0045】
【数5】




【0046】
しかしながら、IRCFを用いない場合には、近赤外線による感度特性によって出力される信号が色再現性に与える影響が大きく、上記のような3行3列の係数マトリクスを掛ける線形マトリクス演算を行っても良好な色再現性が得られない。これに対して、本発明では図9に実線で示した、IRCFを用いない場合の撮像素子1の分光感度特性r(λ)、g(λ)、b(λ)の、近赤外領域のRGBそれぞれの感度特性相互間の差を利用して良好な色再現性を実現している。
【0047】
図10に図9に示した分光感度特性の近赤外領域の拡大図を示す。R、G、Bのフィルタとフォトダイオードを組合せたものの分光感度特性は略850nmから860nm近辺でその感度が一致して、それより波長が長くなるにつれて、同様に減衰していく。また、Gの分光感度特性は略650nm近辺まで一旦減衰しその後透過率を上げて略850nm近辺をピークに減衰していく。Bの分光感度特性は略760nm近辺から透過率を上げ同様に略850nm近辺でピークとなり、それより長い波長領域では次第に減衰していく。
【0048】
このように、略650nmから800nmまでの領域においてRの分光感度特性r(λ)とGの分光感度特性g(λ)とBの分光感度特性b(λ)との間にそれぞれ差異が生じるため、この差異を利用して近赤外領域におけるRGBの色分離を行うことができ、近赤外線の影響による色再現性に補正を加えることができることとなる。
【0049】
具体的には、マトリクスの演算に非線形の演算を含ませる。
例えば図11にGの分光感度特性をg(λ)として示す。
また、図11に前記のGの分光感度特性をfi変換することにより得られる特性、即ちiを指数とするべき乗、例えば0.3乗し、その最大値で正規化した特性をfi(g(λ))として示す。
さらに図11に前記Gの分光感度特性をfj変換することにより得られる特性、即ちjを指数とするべき乗、例えば2乗し、その最大値で正規化した特性をfj(g(λ))として示す。
図11に示すようにfi変換により得られた分光感度特性は、不必要とする近赤外側の分光感度特性と必要とする可視域の分光感度特性との感度差が小さくなり、
fj変換により得られた分光感度特性は、不必要とする近赤外側の分光感度特性と必要とする可視域の分光感度特性との感度差が大きくなる。よって、fi変換により得られた値係数との積と、fj変換により得られた値と係数との積を含むマトリクス演算、即ち、非線形マトリクス演算により、
赤外領域を含む赤外光を入射した際にも、適切な色補正を行い、良好な色再現性を得ることができる。
ここでの色再現性とは人間の目で見える色に略一致させることであり、かつ目で違うものに見える色は違う色に、同じものに見える色は同じ色に再現することを意味する。
【0050】
例えば、色信号生成手段20と分光感度特性補正手段6における補正の総合的な特性が、CIE1931等色関数又はCIE1931等色関数を線形変換することにより得られた等色関数に近似したものとなるように上記のマトリクス演算で用いられる係数r1乃至r9、g1乃至g9、およびb1乃至b9及び定数i、jを定めることとする。
【0051】
ここで、fi変換手段(61、63、65)及びfj変換手段(62、64、66)を用いて入力のべき乗そのものではなく、それに近似した値を用いる理由を説明する。
先にも述べたように、第1の定数が0.3であるとき、最大値で正規化した入力信号と最大値で正規化した出力信号の関係は図4に曲線(a)で示す通りである。
ここで、入力信号の最大値、出力信号の最大値は「255」としている。
この場合、入力信号の値が小さい範囲では、利得(入力信号に対する出力信号の比)が極めて大きい。例えば、入力信号の値が「1」のとき、出力信号の値は、「48」である。即ち、48倍(34dB)もの利得が与えられたこととなる。このため、映像信号が小さい範囲では、一定のノイズ、例えば暗電流による固定パターンノイズ(FPN)が増幅され、映像信号のS/Nが極めて劣化することとなる。
本実施の形態では、上記のように、入力信号が小さい範囲では、利得を0.3乗により得られる値より小さくする。これにより、S/Nの劣化を低減することができる。
具体的には図4(b)及び図5(b)に示すように入力信号が零に近いxt1(例えばxt1=20)よりも小さい範囲では、出力信号の値yをy=k1・x以下(k1は傾きを表す定数であり、例えば「6」)に制限することとしている。この結果、上記の問題が解決する。
【0052】
同様に、fj変換手段は1より大きい値j、例えば2を指数としてべき乗することにより得られる値に近似する値の色信号を出力するものであり、fi変換手段同様にjを指数とするべき乗により利得が大きくなる範囲、即ち最大値(「255」)に近い値xt2よりも大きい範囲において、利得を、制限することで、S/Nの劣化を抑制している。
具体的には、fj変換手段は、図6に直線(e)で示すように、入力信号が最大値に近いxt2(例えばxt2=200)よりも大きい範囲では、出力信号の値yをy=k2・x以下(k2は傾きを表す定数であり、例えば「1.5」)に制限することとしている。
【0053】
なお、上記の実施の形態における分光感度特性補正手段のfi変換手段61、63、65及びfj変換手段62、64、66は、入力(アドレス)の値をべき乗した値に近似した値を(そのアドレスのデータとして)出力するLUT(ルックアップテーブル)で構成しても良い。
【0054】
また、上記の実施の形態では、ADC3を設け、それ以降の演算をディジタル信号処理にて行ったが、アナログ信号処理を用いても同様の効果が得られる。
アナログ信号で処理する場合には、fi変換やfj変換を、べき乗値に近似する値の信号を出力するように、入力信号レベルに応じて利得を変化させる増幅手段で構成してもよい。これは、例えばトランジスタと演算増幅器とを組み合わせた回路で実現することができる。
【0055】
さらにまた、上記の実施の形態では、図4の直線(b)により信号利得を制限したが、図4の直線(c1)と(c2)の組合せにより信号利得を制限することもできる。即ちxt3(例えばxt3=5)よりも小さい領域では、y=k3・x(k3はk1よりも小さい定数であり、例えば「2.5」)で表される直線(c1)により制限し、xt3以上でxt4(例えばxt4=24)よりも小さい領域では、x座標値がxt3、y座標値が2.5×xt3の点を通り傾きk4が所定値、例えば「6」であるような直線(c2)により制限することもできる。この場合、入力信号が小さい領域における利得がより小さな値に制限されており、S/Nの劣化を一層抑制することができ、良好なS/Nを得ることができる。
【0056】
上記の実施の形態によれば、IRCFを用いなくても、良好な色再現性を得ることができ、また非線形マトリクス演算を行うことで、等色条件を高精度に近似し、良好な色再現性を得ることができることができる。また、S/Nの良い画像を得ることができる。
【0057】
実施の形態2.
以上の実施の形態1において、さらに、分光感度特性補正手段6以降の処理は、特に静止画の場合には、ソフトウェアによって、即ち、プログラムされたコンピュータによって実現することができる。
【0058】
実施の形態3.
以上の実施の形態の撮像装置は、動画や静止画を撮像するビデオカメラ、カメラ一体型VTR、デジタルスチルカメラ、PCカメラ、並びに携帯電話や携帯端末機に内蔵されるデジタルスチルカメラに適用可能であり、これらからIRCFを不要とし、かつ暗視に利用することが多い、監視カメラや車載カメラなどにも適用できる。
【0059】
図12は、その一例として、図1の撮像装置を用いたデジタルスチルカメラを構成した場合の概略図を示す。
図1にように、このディジタルカメラは、図1に示した撮像装置を構成する各要素のうち、撮像手段1の代わりに撮像手段21を備え、さらにシャッタボタン19、シャッタ駆動手段32、表示駆動手段33、ビューファインダ34、画像圧縮手段35、及び書き込み手段36を付加したものである。
【0060】
撮像手段21が、撮像手段1と異なるのは、図示しないシャッタを備えている点である。
シャッタ駆動手段32は、シャッタボタン19の操作に応じてシャッタを駆動する。
表示駆動手段33は、輝度色差信号生成手段8の出力を受けてビューファインダ34に画像を表示させる。
ビューファインダ34は、例えば液晶表示装置で構成され、表示駆動手段33に駆動されて、撮像手段1で撮像されている画像を表示する。
画像圧縮手段35は、輝度色差信号生成手段8の出力を受けて例えばJPEGに準拠した画像圧縮を行なう。
書き込み手段36は、画像圧縮手段35で圧縮されたデータを記録媒体37に書き込む。
【0061】
撮像装置を動画撮影に用いて、画像データを図示しない機器に伝送する場合、輝度色差信号生成手段の出力をエンコードしてNTSC信号を生成して出力する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態1を示す撮像装置を示す図である。
【図2】(a)及び(b)は、色フィルタを備えた単板撮像素子の一部を示す図である。
【図3】図1の分光感度特性補正手段の構成を示す図である。
【図4】図2のfi変換手段による入出力特性を示す図である。
【図5】図4の信号レベルの小さい箇所の入出力特性を示す図である。
【図6】fj変換手段の入出力特性を示す図である。
【図7】図3の3行9列のマトリクス演算手段の構成を示す図である。
【図8】CIE1931に示す等色関数を示す図である。
【図9】撮像手段、IRCF、およびそれらを乗算した分光感度特性を示す図である。
【図10】図9に示した分光感度特性の近赤外領域を拡大した図である。
【図11】撮像手段のg(λ)の分光感度特性を非線形変換したときの分光感度特性を示す図である。
【図12】図1の撮像装置を備えたディジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0063】
1 撮像手段、 2 増幅手段、 3 A/D変換器(ADC)、 4 直流成分(DC)再生手段、 5 ホワイトバランス(WB)手段、 6 分光感度特性補正手段、 61、63、65 fi変換手段、 62、64、66 fj変換手段、 67 マトリクス演算手段、 611乃至639 乗算手段、 641、642、643 加算手段、 7 ガンマ(γ)補正手段、 8 輝度色差信号生成手段、 9 積算手段、 10a レンズ、 10b フィルタ、 11 撮像素子、 21 撮像手段、 31 シャッタボタン、 32 シャッタ駆動手段、 33 表示駆動手段、 34 ビューファインダ、 35 画像表示手段、 36 書き込み手段、 37 記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を受けて、入射光に対応した第1の赤、緑、青の色信号を出力する色信号生成手段と、
前記第1の赤、緑、青の色信号と係数との乗算を含むマトリクス演算を行って第2の赤、緑、青の色信号を生成する分光感度特性補正手段とを備え、
前記分光感度特性補正手段は、
前記第1の赤、緑、青の色信号に予め定めた1より小さい第1の定数を指数としてべき乗することによって得られる値に近似した値を有する赤、緑、青の第3の色信号を生成する第1種の変換手段と、
前記第1の赤、緑、青の色信号に予め定めた第2の定数を指数としてべき乗することによって得られる値に近似した値を有する赤、緑、青の第4の色信号を生成する第2種の変換手段と、
前記第1の色信号と、前記第3の色信号と、前記第4の色信号と、これらに対する係数との乗算と、この乗算の結果の相互加算とを含むマトリクス演算を行うマトリクス演算手段と
を備え、
前記第1種の変換手段は、前記第3の色信号として、概して前記第1の定数を指数としてべき乗することによって得られる値を有し、前記第1の色信号が零に近い範囲においては、前記のべき乗により得られる値よりも小さな値に制限された値を有する信号を出力し、
前記第1の定数、前記第2の定数、及び前記係数は、前記色信号生成手段と前記分光感度特性補正手段の総合的な特性が、人間の色覚特性又はそれを線形変換することによって得られる分光感度特性に近似したものとなり、前記色信号生成手段の近赤外域での応答特性を補正するように定められている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1種の変換手段は、前記第1の色信号が零に近い範囲においては、前記第1の色信号に対する第3の色信号の比を所定値以下に制限することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の定数が1より大きく、
前記第2種の変換手段は、前記第4の色信号として、概して前記第2の定数を指数としてべき乗することによって得られる値を有し、前記第1の色信号が最大値に近い範囲においては、前記のべき乗により得られる値よりも小さな値に制限された値を有する信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2種の変換手段は、前記第1の色信号が最大値に近い範囲においては、前記第1の色信号に対する第4の色信号の比を所定値以下に制限することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1種の変換手段がルックアップテーブルで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2種の変換手段がルックアップテーブルで構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の撮像装置。
【請求項7】
第1の赤、緑、青の色信号をR5、G5、B5とし、前記第2の赤、緑、青の色信号をR6、G6、B6とするとき、前記分光感度特性補正手段は下記の式(1)、即ち、
【数1】




(ここで、
fi(R5),fi(G5),fi(B5)は、それぞれ、前記第3の色信号の値、
fj(R5),fj(G5),fj(B5)は、それぞれ、前記第4の色信号の値、
r1乃至r9、g1乃至g9、およびb1乃至b9は係数)
の演算を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の撮像装置と、
前記撮像装置から出力される画像データを記録媒体に書き込む手段とを備えた
カメラ。
【請求項9】
入射光を受けて、入射光に対応した第1の赤、緑、青の色信号を出力する色信号生成手段を備えた撮像装置における信号処理方法において、
前記第1の赤、緑、青の色信号と係数との乗算を含むマトリクス演算を行って第2の赤、緑、青の色信号を生成する分光感度特性補正工程を備え、
前記分光感度特性補正工程は、
前記第1の赤、緑、青の色信号に予め定めた1より小さい第1の定数を指数としてべき乗することによって得られる値に近似した値を有する赤、緑、青の第3の色信号を生成する第1種の変換工程と、
前記第1の赤、緑、青の色信号に予め定めた第2の定数を指数としてべき乗することによって得られる値に近似した値を有する赤、緑、青の第4の色信号を生成する第2種の変換工程と、
前記第1の色信号と、前記第3の色信号と、前記第4の色信号と、これらに対する係数との乗算と、この乗算の結果の相互加算とを含むマトリクス演算を行うマトリクス演算工程と
を備え、
前記第3の色信号の値が概して前記第1の定数を指数としてべき乗することによって得られる値であって、前記第1の色信号が零に近い範囲においては、前記のべき乗により得られる値よりも小さな値に制限され、
前記第1の定数、前記第2の定数、及び前記係数は、前記色信号生成手段における生成処理と前記分光感度特性補正工程の総合的な特性が、人間の色覚特性又はそれを線形変換することによって得られる分光感度特性に近似したものとなり、前記色信号生成手段の近赤外域での応答特性を補正するように定められている
ことを特徴とする信号処理方法。
【請求項10】
前記第1の色信号が零に近い範囲においては、前記第1の色信号に対する第3の色信号の比が所定値以下に制限されることを特徴とする請求項9に記載の信号処理方法。
【請求項11】
前記第2の定数が1より大きく、
前記第4の色信号の値が概して前記第2の定数を指数としてべき乗することによって得られる値であって、前記第1の色信号が最大値に近い範囲においては、前記のべき乗によって得られる値よりも小さな値に制限されることを特徴とする請求項9又は10に記載の信号処理方法。
【請求項12】
前記第1の色信号が最大値に近い範囲においては、前記第1の色信号に対する第4の色信号の比が所定値以下に制限されることを特徴とする請求項11に記載の信号処理方法。
【請求項13】
第1の赤、緑、青の色信号をR5、G5、B5とし、前記第2の赤、緑、青の色信号をR6、G6、B6とするとき、前記分光感度特性補正工程は下記の式(1)、即ち、
【数2】




(ここで、
fi(R5),fi(G5),fi(B5)は、それぞれ、前記第3の色信号の値、
fj(R5),fj(G5),fj(B5)は、それぞれ、前記第4の色信号の値、
r1乃至r9、g1乃至g9、およびb1乃至b9は係数)
の演算を行うことを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2005−303702(P2005−303702A)
【公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−117652(P2004−117652)
【出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】