説明

撮像装置、光量調整機構及び光量調整フィルター

【課題】 光量調整フィルターの光量調整機能の信頼性の向上を図る。
【解決手段】 内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒2と、撮像光学系の光路を開閉する可動部材26と、撮像光学系の光路となる透過孔36aを有し可動部材を移動自在に支持するベース体36と、可動部材に接着され透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルター32とを設け、可動部材に位置決め孔26b、26bを形成し、光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部35と、光量調整を行う光量調整部33と、可動部材上に位置され位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔34a、34aを有する位置決め部34とにより構成し、位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置、光量調整機構及び光量調整フィルターについての技術分野に関する。詳しくは、光量調整フィルターの光量調整部への接着剤の付着を防止して光量調整フィルターの光量調整機能の信頼性の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、フォーカス制御やズーミングのための各種のレンズを光軸方向へ移動させる光量調整機構を備え、該光量調整機構のアイリスを構成する可動部材(絞り羽根)を撮像光学系の光軸に対して直交する面内において駆動モーターの駆動力によって移動させることにより光学系の光路を開閉し光量調整を行うようにしたものがある。
【0003】
このような撮像装置にあっては、被写体からの戻り光の光量が大きすぎる場合等にCCD(Charge Coupled Device)等の撮像手段に入射される光の量を制御する必要があり、一般には、この光量制御が上記したアイリスに加え、ND(Neutral Density)フィルターと称される光量調整フィルターによっても行われる。
【0004】
NDフィルターは可動部材に接着される接着部と光量調整機能を有する光量調整部とを有し、可動部材の光量調整を行うための切欠部分を光量調整部が覆うように接着部が可動部材に接着されて取り付けられ、該可動部材と一体となって移動されることにより光量調整機能を発揮する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−356386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記のように、接着により光量調整フィルターが可動部材に取り付けられる場合には、接着剤の塗布位置と光量調整部との位置関係によっては、接着剤が光量調整部に付着するおそれがあり、光量調整フィルターの機能の低下を招来する可能性があった。特に、特許文献1に記載された従来の撮像装置にあっては、接着剤として液状のものが用いられており、この場合には毛細管現象により光量調整部に接着剤が浸透するという不具合を生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、光量調整フィルターの光量調整機能の信頼性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明撮像装置は、上記した課題を解決するために、内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒と、撮像光学系の光路を開閉する可動部材と、撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース体と、上記可動部材に接着され上記透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターとを設け、上記可動部材に位置決め孔を形成し、上記光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成したものである。
【0009】
本発明光量調整機構は、上記した課題を解決するために、撮像光学系の光路を開閉する可動部材と、撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース体と、上記可動部材に接着され透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターとを設け、上記可動部材に位置決め孔を形成し、上記光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成したものである。
【0010】
本発明光量調整フィルターは、上記した課題を解決するために、撮像光学系の光路を開閉し位置決め孔を有する可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とを設け、該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成したものである。
【0011】
従って、本発明撮像装置、光量調整機構及び光量調整フィルターにあっては、光量調整フィルターにおいて、光量調整部と接着部とが位置決め部が存在する分だけ離隔される。
【発明の効果】
【0012】
本発明撮像装置は、内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒と、撮像光学系の光路を開閉する可動部材と、撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース体と、上記可動部材に接着され上記透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターとを備え、上記可動部材に位置決め孔を形成し、上記光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成したことを特徴とする。
【0013】
従って、光量調整機能を有する光量調整部への接着剤の付着を防止することができ、光量調整フィルターの機能の低下を防止することができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、上記接着部を基材となるベースフィルムに両面接着シートの一方の接着面を接着することにより形成したので、接着剤の接着部から光量調整部側への浸透というおそれがなく、可動部材等への接着剤の付着のおそれがなく、光量調整フィルターの良好な特性を確保することができる。
【0015】
請求項3に記載した発明にあっては、上記位置決め部の位置合わせ孔を接着部から離隔した位置に形成したので、位置合わせ孔への接着剤の付着を防止することができる。
【0016】
本発明光量調整機構は、撮像光学系の光路を開閉する可動部材と、撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース体と、上記可動部材に接着され透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターとを備え、上記可動部材に位置決め孔を形成し、上記光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成したことを特徴とする。
【0017】
従って、光量調整機能を有する光量調整部への接着剤の付着を防止することができ、光量調整フィルターの機能の低下を防止することができる。
【0018】
請求項5に記載した発明にあっては、上記接着部を基材となるベースフィルムに両面接着シートの一方の接着面を接着することにより形成したので、接着剤の接着部から光量調整部側への浸透というおそれがなく、可動部材等への接着剤の付着のおそれがなく、光量調整フィルターの良好な特性を確保することができる。
【0019】
請求項6に記載した発明にあっては、上記位置決め部の位置合わせ孔を接着部から離隔した位置に形成したので、位置合わせ孔への接着剤の付着を防止することができる。
【0020】
本発明光量調整フィルターは、透過孔を有するベース体に移動自在に支持されて撮像光学系の光路を開閉し位置決め孔を有する可動部材に接着されると共に該可動部材の移動に伴って移動され透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターであって、上記可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成したことを特徴とする。
【0021】
従って、光量調整機能を有する光量調整部への接着剤の付着を防止することができ、光量調整フィルターの機能の低下を防止することができる。
【0022】
請求項8に記載した発明にあっては、上記接着部を基材となるベースフィルムに両面接着シートの一方の接着面を接着することにより形成したので、接着剤の接着部から光量調整部側への浸透というおそれがなく、可動部材等への接着剤の付着のおそれがなく、光量調整フィルターの良好な特性を確保することができる。
【0023】
請求項9に記載した発明にあっては、上記位置決め部の位置合わせ孔を接着部から離隔した位置に形成したので、位置合わせ孔への接着剤の付着を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明撮像装置、光量調整機構及び光量調整フィルターを実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。以下に示す最良の形態は、本発明撮像装置をビデオカメラに適用し、本発明光量調整機構をこのビデオカメラに用いられた光量調整フィルターに適用し、本発明光量調整フィルターをこのビデオカメラに用いられた光量調整フィルターに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はビデオカメラ又はビデオカメラに用いられたものに限られることはなく、本発明は、スチルカメラの他、動画撮影又は静止画撮影の機能を有する各種の撮像装置又はこれらの撮像装置に用いられた各種の光量調整機構及び光量調整フィルターに適用することができる。
【0025】
先ず、撮像装置(ビデオカメラ)の基本構成を説明する(図1参照)。
【0026】
撮像装置1は、外筐として設けられたレンズ鏡筒2に所要の各部が配置されて成り、レンズ鏡筒2には、レンズ又はレンズ群3(図には単レンズとして簡略化して示す。)と、固体撮像素子等の撮像手段4と、光量調整機能を有する光量調整機構5とが設けられている。
【0027】
光量調整機構5を構成する一対の可動部材6、6は駆動モーター7の駆動力によって移動され、可動部材6、6が移動されることにより光学系の光路が開閉される。駆動モーター7としては、例えば、ローターがステーターの内側に配置された所謂インナーローター型のモーターが用いられ、駆動モーター7の駆動力が可動部材6、6に伝達されて該可動部材6、6が移動される。
【0028】
被写体からレンズ又はレンズ群3を通った光は、一対の可動部材6、6として設けられた絞り羽根やシャッター部材によって形成される開口を通して撮像手段4に入射される。尚、光量調整時には、可動部材6、6が光軸OLに直交する面内で並進移動されるが、本発明の適用においては、可動部材の数や形状等の如何は問わず、1つ又は複数の可動部材を用いた各種形態での実施が可能である。
【0029】
次に、撮像装置の具体的な構成例について説明する(図2乃至図8参照)。
【0030】
撮像装置8のレンズ鏡筒9には、図2に示すように、被写体側から順に、対物レンズ10、変倍レンズ11、レンズ12、光量調整機構13、駆動モーター14、フォーカスレンズ15及び固体撮像素子16が配置されている。
【0031】
レンズ鏡筒9の内部には、光量調整機構13を挟んで光軸OL方向における互いに反対側の位置に、それぞれ光軸OLに対して平行なガイドバー17、17とガイドバー18、18が配置されている。
【0032】
変倍レンズ11はホルダー19に保持されており、該ホルダー19がガイドバー17、17に摺動自在に支持されている。ホルダー19に保持された変倍レンズ11は、変倍レンズ用駆動部20の駆動力がホルダー19に伝達されることにより光軸OLに沿う方向へ移動される。
【0033】
フォーカスレンズ15はホルダー21に保持されており、該ホルダー21がガイドバー18、18に摺動自在に支持されている。ホルダー21に保持されたフォーカスレンズ15は、フォーカスレンズ用駆動部22の駆動力がホルダー21に伝達されることにより光軸OLに沿う方向へ移動される。
【0034】
固体撮像素子16によって得られる画像出力は画像処理部23に送出されて所定の処理が行われる。画像処理部23は、制御等に必要な情報を演算処理部24に送出したり、撮影画像をビユーファインダーやモニター等に送って表示させ、或いは、ユーザーの操作指示に従って画像情報等を記録媒体に記録させる。マイクロコンピュータ等を有する演算処理部24は、制御部25に制御指令信号を送出し、該制御部25から駆動モーター14、変倍レンズ用駆動部20及びフォーカスレンズ用駆動部22等に制御信号が入力されることによって各部が制御される。
【0035】
光量調整機構13は、図3に示すように、一対の絞り羽根として機能する可動部材26、27を有しており、該可動部材26、27が移動されることにより入射光量の調整が行われる。光量調整機構13はレンズ鏡筒9の外周面から突出されることなく、レンズ鏡筒9の内部に組み込まれているため、他の部品との干渉の問題に煩わされることがなく、小型化やコンパクト化に好適である。
【0036】
可動部材26は主部28と該主部28の左右両端部からそれぞれ下方へ突出された突部29、29とが一体に形成されて成る。可動部材26には下方に開口された開口用切欠26aが形成されている。
【0037】
主部28には、一方の側縁に上下に長い被案内孔28aが形成され、上端部に左右に長い摺動孔28bが形成されている。
【0038】
突部29、29にはそれぞれ上下に長い被案内孔29a、29aが形成されている。
【0039】
可動部材26の開口用切欠26aの開口縁の近傍には、被案内孔29a、29aの並び方向に離隔して位置決め孔26b、26bが形成されている。一方の位置決め孔26bは円形状に形成され、他方の位置決め孔26bは長孔に形成されている。
【0040】
可動部材27は主部30と該主部30の一方の側縁部から上方へ突出された突部31とが一体に形成されて成る。可動部材27には上方に開口された開口用切欠27aが形成されている。主部30には、左右両側縁にそれぞれ上下に長い被案内孔30a、30aが形成されている。
【0041】
突部31には上下に長い被案内孔31aが形成されている。突部31の上端部には左右に長い摺動孔31bが形成されている。
【0042】
可動部材26には、それぞれ光量調整フィルター32が取り付けられる(図4参照)。尚、光量調整フィルター32は可動部材26又は可動部材27の何れか一方に取り付けられていればよいが、以下には、例として、光量調整フィルターが可動部材26に取り付けられている場合を示す。
【0043】
光量調整フィルター32は、例えば、台形状に形成され、平行な長辺部32a、短辺部32bと長辺部32aに近付くに従って互いに離隔する傾斜辺部32c、32cとによって外形が形成される(図5参照)。
【0044】
光量調整フィルター32は光量調整部33と位置決め部34と接着部35とによって構成されている。
【0045】
光量調整部33は台形状にされ、光吸収特性を有する金属材料、例えば、クロムが基材となる後述する透明なベースフィルム、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)に蒸着又はスパッタリングにより形成されている。光量調整部33は一側縁が長辺部32aにおける両端部を除く部分に一致されている。
【0046】
位置決め部34は光量調整部33の外側に連続して形成され、光量調整部33の3辺を囲むように位置されている。位置決め部34は上記した基材となるベースフィルムの一部により構成され、傾斜された2つの部分にそれぞれ位置合わせ孔34a、34aを有している。一方の位置合わせ孔34aは円形状に形成され、他方の位置合わせ孔34aは長孔に形成されている。
【0047】
接着部35は位置決め部34の外側に連続して形成され、位置決め部34の3辺を囲むように位置されている。接着部35は上記した基材となるベースフィルムに両面接着シートが接着されることにより構成され、3つの側縁がそれぞれ短辺部32bと傾斜辺部32c、32cとに一致されている。
【0048】
光量調整フィルター32は、それぞれ位置合わせ孔34a、34aが位置決め孔26b、26bに重ね合わされた状態で、接着部35が接着されることにより可動部材26に取り付けられている(図6参照)。光量調整フィルター32が可動部材26に取り付けられた状態においては、開口用切欠26aの一部が光量調整部33に覆われた状態とされている。
【0049】
可動部材26、27はそれぞれベース体36に上下方向へ移動自在に支持される(図7及び図8参照)。
【0050】
ベース体36は縦長の略矩形状に形成され、略中央部に撮像光学系の光路となる透過孔36aを有し、光学系の光軸OLが透過孔36aの中心を通る位置に設定されている。ベース体36には円弧状を為す挿通孔36b、36bが形成されている。
【0051】
ベース体36には前方へ突出された4つの案内ピン37、37、・・・が設けられている。
【0052】
ベース体36の3つの案内ピン37、37、37は、それぞれ可動部材26の被案内孔28a、29a、29aに挿入されて摺動自在に係合される。また、ベース体36の3つの案内ピン37、37、37は、それぞれ可動部材27の被案内孔30a、30a、31aに挿入されて摺動自在に係合される。即ち、2つの案内ピン37、37は可動部材26の被案内孔29a、29aと可動部材27の被案内孔30a、30aとに係合され、別の案内ピン37は可動部材26の被案内孔28aのみに係合され、また別の案内ピン37は可動部材27の被案内孔31aのみに係合される。
【0053】
ベース体36に可動部材26、27が支持された状態において、可動部材26、27を閉塞するカバー体38がベース体36に取り付けられる(図7参照)。カバー体38は縦長の略矩形状に形成され、カバー体38の中央部には大きな開口部38aが形成されている。カバー体38がベース体36に取り付けられた状態において、カバー体38の開口部38aの中心とベース体36の透過孔36aの中心とが光軸OL方向において一致される。
【0054】
ベース体36の後方には駆動モーター14が配置される(図7及び図8参照)。駆動モーター14はモーター軸14aが前後に延びる向きで配置されている。駆動モーター14のモーター軸14aには回動アーム39が固定されている。
【0055】
回動アーム39はアーム部39aと該アーム部39aの両端部に設けられた係合ピン39b、39bとから成る。アーム部39aは、長手方向における中央部がモーター軸14aに固定され、該モーター軸14aの軸方向と直交する方向へ延びるように設けられている。係合ピン39b、39bはアーム部39aから前方へ突出するように設けられている。
【0056】
駆動モーター14がベース体36の後側に配置された状態においては、回動アーム39の係合ピン39b、39bがそれぞれベース体36の挿通孔36b、36bに挿通されて可動部材26、27の摺動孔28b、31bにそれぞれ摺動自在に係合される。
【0057】
以下に、駆動モーター14の回転に伴う可動部材26、27の動作について説明する(図9及び図10参照)。尚、図9及び図10は、光量調整フィルター32を省略して示している。
【0058】
回動アーム39の係合ピン39b、39bがそれぞれ可動部材26、27の摺動孔28b、31bに係合されることにより、駆動モーター14の回転に伴って回動アーム39が回動されると、可動部材26、27が案内ピン37、37、・・・に案内されて互いに離接する方向(上下方向)へ並進移動される。
【0059】
このとき駆動モーター14が一方の方向へ回転されると、図9に示すように、可動部材26、27が互いに離れる方向へ移動され、可動部材26、27の開口用切欠26a、27aによって形成される開口40の面積が大きくなり透過孔36aが開放されていくことにより入射光量が増加する。逆に、回動アーム39が、他方の方向へ回転されると、図10に示すように、可動部材26、27が互いに近づく方向へ移動され、可動部材26、27の開口用切欠26a、27aによって形成される開口40の面積が小さくなり透過孔36aが閉塞されていくことにより入射光量が減少する。
【0060】
従って、ベース体36の透過孔36aを透過する光については、可動部材26、27による開口40の大きさによって光量調整が行われる。
【0061】
また、可動部材26、27が上記のように移動されるときには、可動部材26の移動に伴って光量調整フィルター32も移動されてベース体36の透過孔36aが開閉される。従って、可動部材26、27による他、光量調整フィルター32によっても光量調整が行われる。
【0062】
以下に、光量調整フィルター32の成形手順及び光量調整フィルター32の可動部材26への取付手順について説明する(図11乃至図17参照)。
【0063】
先ず、受け台41、ベースフィルム42及びマスク43を用意する(図11参照)。受け台41には取付ピン41a、41aが設けられ、ベースフィルム42及びマスク43にはそれぞれ被取付孔42a、42a、43a、43aが形成されている。ベースフィルム42は光量調整フィルター32の基材となるフィルムである。
【0064】
マスク43には複数の膜付け孔43b、43b、・・・が規則的に形成されている。膜付け孔43b、43b、・・・は光量調整部33、33、・・・を形成するための部分であり、台形状に形成されている。
【0065】
受け台41の取付ピン41a、41aをベースフィルム42の被取付孔42a、42a及びマスク43の被取付孔43a、43aに順に挿入し、受け台41上にベースフィルム42及びマスク43を順に載置する。
【0066】
次に、マスク43の膜付け孔43b、43b、・・・を用いてベースフィルム42上に金属蒸着を行い、光量調整部33、33、・・・を形成する(図12参照)。光量調整部33、33、・・・を形成した後、受け台41からベースフィルム42及びマスク43を取り外す。
【0067】
次いで、両面接着シート44を用意する(図13参照)。両面接着シート44には被取付孔44a、44aが形成されている。両面接着シート44は両面接着部45を挟んで剥離紙46、47が積層されて成り(図14参照)、剥離紙46を剥がすと両面接着部45の第1の接着面45aが露出され、剥離紙47を剥がすと両面接着部45の第2の接着面45bが露出される。
【0068】
両面接着シート44には複数の逃げ孔44b、44b、・・・が規則的に形成されている(図13参照)。逃げ孔44b、44b、・・・は光量調整部33、33、・・・に対応した位置に形成され、該光量調整部33、33、・・・より一回り大きな台形状に形成されている。
【0069】
受け台41の取付ピン41a、41aを両面接着シート44の被取付孔44a、44a及び光量調整部33、33、・・・が形成されたベースフィルム42の被取付孔42a、42aに順に挿入し、受け台41上に両面接着シート44及びベースフィルム42を順に載置する。このとき両面接着シート44の剥離紙46を剥がしておき、ベースフィルム42に第1の接着面45aが接着されるようにする。
【0070】
次に、プレス成形により、ベースフィルム42と両面接着シート44を打ち抜いて光量調整フィルター32を形成する(図15参照)。打抜を行う部分は、図16に1点鎖線で示す部分であり、光量調整部33より大きな外形の部分である。このとき位置合わせ孔34a、34aを形成するための打抜を同時に行う(位置合わせ孔34a、34aを形成するための打抜部分を図16に点線で示す。)。尚、プレス成形後には剥離紙47を剥がして両面接着部45の第2の接着面45bを露出させ、光量調整フィルター32を可動部材26に接着可能な状態とする。
【0071】
次いで、取付台48を用意する(図17参照)。取付台48には位置決めピン48a、48aが設けられている。
【0072】
取付台48の位置決めピン48a、48aを可動部材26の位置決め孔26b、26b及び光量調整フィルター32の位置合わせ孔34a、34aに順に挿入し、取付台48上に可動部材26及び光量調整フィルター32を順に載置する。このとき光量調整フィルター32の両面接着シート44の剥離紙47が剥がされているため、両面接着部45の第2の接着面45bが可動部材26に接着され、光量調整フィルター32が可動部材26に取り付けられる。
【0073】
以上に記載した通り、撮像装置1にあっては、光量調整フィルター32を、可動部材26に接着される接着部35と、光量調整を行う光量調整部33と、可動部材26上に位置され該可動部材26の位置決め孔26b、26bに重なり合う位置合わせ孔34a、34aを有する位置決め部34とにより構成し、該位置決め部34を接着部35と光量調整部33との間に形成している。
【0074】
従って、光量調整機能を有する光量調整部33への接着剤の付着を防止することができ、光量調整フィルター32の機能の低下を防止することができる。
【0075】
また、光量調整フィルター32の可動部材26への接着を両面接着シート44により行っているため、接着剤の接着部35から光量調整部33側への浸透というおそれがなく、可動部材26や受け台41、取付台48への接着剤の付着のおそれがなく、光量調整フィルター32の良好な特性を確保することができる。特に、受け台41及び取付台48への接着剤の付着のおそれがないため、引き続いて受け台41や取付台48に載置されるベースフィルム42、マスク43、両面接着シート44、可動部材26及び光量調整フィルター32への接着剤の付着を防止することができる。
【0076】
さらに、光量調整フィルター32の位置合わせ孔34a、34aを接着部35から離隔した位置に形成しているため、位置合わせ孔34a、34aへの接着剤の付着を防止することができ、取付台48の位置決めピン48a、48aへの接着剤の付着が防止され、引き続いて取付台48に載置される可動部材26及び光量調整フィルター32への接着剤の付着を防止することができる。
【0077】
尚、上記には、ベースフィルム42の一方の面に金属蒸着により光量調整部33を形成した光量調整フィルター32を例とし示したが、光量調整フィルターはベースフィルム42の一方の面に光量調整部33が形成されているものに限られることはなく、光量調整部33がベースフィルム42の両面に形成されているものであってもよい。
【0078】
また、上記には、図11等に示すように、一度に4つの光量調整フィルター32、32、・・・を形成する方法を示したが、光量調整フィルター32の一度の形成数は4つに限られることはなく任意である。
【0079】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図2乃至図17と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の基本構成を示す概念図である。
【図2】撮像装置の構成例を示す断面図である。
【図3】可動部材の拡大正面図である。
【図4】可動部材と光量調整フィルターを示す分解斜視図である。
【図5】光量調整フィルターの拡大正面図である。
【図6】可動部材に光量調整フィルターが取り付けられた状態を示す正面図である。
【図7】光量調整機構の分解斜視図である。
【図8】光量調整機構の拡大斜視図である。
【図9】図10と共に可動部材の動作を示すものであり、本図は透過孔が開放された状態を示す拡大正面図である。
【図10】透過孔が閉塞された状態を示す拡大正面図である。
【図11】図12乃至図17と共に光量調整フィルターの成形手順及び光量調整フィルターの可動部材への取付手順を説明するものであり、本図は受け台、ベースフィルム及びマスクが用意された状態を示す斜視図である。
【図12】ベースフィルムに光量調整部が形成された状態を示す斜視図である。
【図13】受け台、両面接着シート及び光量調整部が形成されたベースフィルムが用意された状態を示す斜視図である。
【図14】両面接着シートの一部を示す拡大断面図である。
【図15】成形された光量調整フィルターを示す拡大斜視図である。
【図16】光量調整部が形成されたベースフィルムと両面接着シートの切断位置を示す拡大分解斜視図である。
【図17】光量調整フィルターが可動部材に取り付けられる状態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1…撮像装置、2…レンズ鏡筒、5…光量調整機構、6…可動部材、8…撮像装置、9…レンズ鏡筒、13…光量調整機構、26…可動部材、26b…位置決め孔、27…可動部材、32…光量調整フィルター、33…光量調整部、34…位置決め部、34a…位置合わせ孔、35…接着部、36…ベース体、36a…透過孔、44…両面接着シート、45a…第1の接着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に撮像光学系が配置されたレンズ鏡筒と、
撮像光学系の光路を開閉する可動部材と、
撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース体と、
上記可動部材に接着され上記透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターとを備え、
上記可動部材に位置決め孔を形成し、
上記光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、
該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成した
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記接着部を基材となるベースフィルムに両面接着シートの一方の接着面を接着することにより形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記位置決め部の位置合わせ孔を接着部から離隔した位置に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像光学系の光路を開閉する可動部材と、
撮像光学系の光路となる透過孔を有し上記可動部材を移動自在に支持するベース体と、
上記可動部材に接着され透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターとを備え、
上記可動部材に位置決め孔を形成し、
上記光量調整フィルターを、可動部材に接着される接着部と、光量調整を行う光量調整部と、可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、
該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成した
ことを特徴とする光量調整機構。
【請求項5】
上記接着部を基材となるベースフィルムに両面接着シートの一方の接着面を接着することにより形成した
ことを特徴とする請求項4に記載の光量調整機構。
【請求項6】
上記位置決め部の位置合わせ孔を接着部から離隔した位置に形成した
ことを特徴とする請求項4に記載の光量調整機構。
【請求項7】
透過孔を有するベース体に移動自在に支持されて撮像光学系の光路を開閉し位置決め孔を有する可動部材に接着されると共に該可動部材の移動に伴って移動され透過孔を透過される光量の調整を行う光量調整フィルターであって、
上記可動部材に接着される接着部と、
光量調整を行う光量調整部と、
可動部材上に位置され上記位置決め孔に重なり合う位置合わせ孔を有する位置決め部とにより構成し、
該位置決め部を接着部と光量調整部との間に形成した
ことを特徴とする光量調整フィルター。
【請求項8】
上記接着部を基材となるベースフィルムに両面接着シートの一方の接着面を接着することにより形成した
ことを特徴とする請求項7に記載の光量調整フィルター。
【請求項9】
上記位置決め部の位置合わせ孔を接着部から離隔した位置に形成した
ことを特徴とする請求項7に記載の光量調整フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−126235(P2006−126235A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310446(P2004−310446)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】