説明

撮像装置、動画記録装置、制御方法、プログラム、及び動画記録システム

【課題】高解像度の動画の映像出力インタフェースを使用してRAW画像データを外部記録装置に伝送し、外部記録装置においてRAW形式の動画データを生成する。
【解決手段】撮像装置が出力したRAW画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送し、該動画記録装置においてRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録する。撮像装置は、被写体を撮像して得られたRAW画像に対して現像処理を行なって生成された現像画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送する。撮像装置は、動画記録装置にRAW動画を記録させる状態である場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、RAW画像を現像画像として動画記録装置に伝送する。動画記録装置は、撮像装置から伝送された情報を受信し、受信された情報にRAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW動画を構成するフレームとして記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、動画記録装置、制御方法、プログラム、及び動画記録システムに関し、特に高解像度の動画を記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラのような撮像装置に設けられた撮像素子は、多画素化の傾向にある。撮像装置の多くは静止画像の記録に限らず、動画像の記録にも対応している。画素数の多い撮像素子を有する撮像装置では、所謂HD映像等の高解像度の動画像を記録することができる。
【0003】
また、従来から撮像装置の中には映像出力インタフェース(映像出力機能)を有するものがある。このような撮像装置では、撮影した静止画像や動画像を家庭用のテレビジョン受像器等の表示装置に出力することで、表示装置での閲覧を可能にしている。近年では、高解像度の動画像の出力インタフェースとして、HD−SDI(High Definition Serial Digital Interface)やHDMI(High Definition Multimedia Interface(登録商標))が用いられている。
【0004】
このような映像出力機能の利用は、閲覧に限らず利用可能である。上述したような高解像度の動画像は、特許文献1のように撮像により得られた画像データ(フレーム画像)を映像出力機能を利用して出力し、外部の記録装置において動画データに変換させることによって得ることもできる。
【0005】
一方で、撮像装置の中には、撮像素子から出力された画像信号に対しての現像処理を、外部機器において実行するものがある。特許文献2では、撮像素子から出力された画像信号であるRAW画像データ(未処理の画像データ)を、ネットワークを介して外部機器に伝送して現像処理を行わせ、処理後の画像データを受信する電子カメラシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−341241号公報
【特許文献2】特開2004−193683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなRAW画像データは、信号処理の過程による情報損失を伴わないため、例えばPC等で画像編集を行う際に、輝度補正やレベル補正等、高品位な調整を行うことができる。このため、RAW形式の画像データで構成される動画データは、編集処理時の調整の多様性が見込め、有用であると考えられる。
【0008】
RAW画像データは現像処理を適用して得られた画像データに比べて情報量が多いため、RAW形式の動画データの記録を撮像装置で行う場合、撮像装置の回路規模が増大してしまう。このため、RAW形式の動画データの記録は、フレーム画像であるRAW画像データを記録機能に特化した外部記録装置に伝送し、該装置において動画データとして記録されることが好ましい。
【0009】
例えば、1画素あたり14bitの情報量を有する1920pixel×1080pixelのRAW形式のフレーム画像を毎秒24フレーム伝送する場合、データ伝送速度として
1920×1080×14×24≒665Mbps
が要求される。これは近年の撮像装置に一般的に設けられているUSB(Universal Serial Bus)2.0の規格の伝送速度480Mbpsを上回る。しかし、情報量の多いRAW画像データを連続的に伝送するために回路構成を対応させることは、回路規模の増大や生産コストの上昇につながるため現実的ではない。
【0010】
一方、HDMIは、所謂HDTV動画と呼ばれる、1920pixel×1080pixelのYUV422形式(8bit)のフレーム画像を毎秒24フレーム伝送する映像出力に対して対応している。YUV422形式では、2画素をセットとして輝度情報Y以外の情報を該2画素で共有する形式であるため、8bitのYUV422形式の画像は1画素あたりの情報量は16bitとなる。即ち、HDMIは
1920×1080×16×24≒759Mbps
の伝送速度を少なくとも有している。つまり、上述したようなHD−SDIやHDMI等の高解像度の動画像用の映像出力インタフェースを使用することで、RAW形式のフレーム画像を外部記録装置に伝送してRAW形式の動画データとして記録することが可能である。しかしながら、HD−SDIやHDMI等の高解像度の動画の映像出力インタフェースの規格では、RAW画像データの伝送は考慮されていなかった。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、高解像度の動画の映像出力インタフェースを使用してRAW画像データを外部記録装置に伝送し、外部記録装置においてRAW形式の動画データを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するために、本発明の撮像装置は、以下の構成を備える。
被写体を撮像してRAW画像を生成する撮像手段と、撮像手段により生成されたRAW画像に対して現像処理を行なって現像画像を生成する現像手段と、撮像装置が外部の動画記録装置にRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録させる状態であるか否かを判断する判断手段と、現像手段により生成された現像画像を、動画伝送インタフェースを介して外部の動画記録装置に伝送する伝送手段と、を有し、伝送手段は、判断手段により撮像装置が外部の動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であると判断された場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、撮像手段により生成されたRAW画像を現像画像として外部の動画記録装置に伝送することを特徴とする。
【0013】
また前述の目的を達成するために、本発明の動画記録装置は、以下の構成を備える。
撮像装置から伝送された情報を受信する受信手段と、受信手段により受信された情報に、RAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW画像のフレームで構成されるRAW動画のフレームとして記録する記録手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
また前述の目的を達成するために、本発明の動画記録システムは、以下の構成を備える。
撮像装置が出力したRAW画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送し、該動画記録装置においてRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録する動画記録システムであって、撮像装置は、被写体を撮像してRAW画像を生成する撮像手段と、撮像手段により生成されたRAW画像に対して現像処理を行なって現像画像を生成する現像手段と、撮像装置が動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であるか否かを判断する判断手段と、現像手段により生成された現像画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送する伝送手段と、を有し、伝送手段は、判断手段により撮像装置が動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であると判断された場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、撮像手段により生成されたRAW画像を現像画像として動画記録装置に伝送し、動画記録装置は、撮像装置から伝送された情報を受信する受信手段と、受信手段により受信された情報に、RAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW動画を構成するフレームとして記録する記録手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このような構成により本発明によれば、高解像度の動画の映像出力インタフェースを使用してRAW画像データを外部記録装置に伝送し、外部記録装置においてRAW形式の動画データを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る動画記録システムのシステム構成を示した図
【図2】本発明の実施形態に係るデジタルカメラ100の機能構成を示したブロック図
【図3】本発明の実施形態に係るPC200の機能構成を示したブロック図
【図4】本発明の実施形態1に係る第1映像出力I/F109からPC200に対して出力されるデータを例示した図
【図5】本発明の実施形態2に係る動画記録システムのシステム構成を示した図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1]
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、動画記録システムに係る撮像装置の一例としての、HDMI映像出力が可能なデジタルカメラ100と、HDMI映像入力が可能なPC200に、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、高解像度の動画の映像出力インタフェースを使用してRAW画像データを外部記録装置に伝送し、外部記録装置においてRAW形式の動画データを生成することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0018】
<動画記録システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る動画記録システムのシステム構成を示した図である。
【0019】
図1に示されるように、本実施形態の動画記録システムは、デジタルカメラ100、PC200、及び液晶テレビ400で構成される。デジタルカメラ100とPC200とはHDMIケーブル300を介して接続され、HDMI規格に準拠した転送形式で映像の入出力が行われる。具体的にはデジタルカメラ100において撮影され、PC200に対して出力されるデータは、動画データのフレーム画像データとして出力される。出力はブランキング期間とアクティブ期間を設けて行われ、フレーム画像データはアクティブ期間においてPC200に伝送される。
【0020】
本実施形態ではPC200は、ブランキング期間において伝送される動画補助データを参照することにより、アクティブ期間において伝送されるフレーム画像データの形式を認識し、形式に応じて該データを処理する。なお、本実施形態ではフレーム画像データとして、HDMI映像として再生可能な現像済みの通常のフレーム画像データと、現像処理がなされていない撮像素子からの出力であるフレームとしてのRAW画像データとがデジタルカメラ100から出力される。即ち、デジタルカメラ100はRAW形式の動画データ(RAW動画)のフレームであるRAW画像データを、通常のHDMI映像のフレーム画像データとして出力する。つまり、PC200は、ブランキング期間において出力される動画補助データを参照することにより、続いて入力されるアクティブ期間のフレーム画像データがRAW画像データであるか否かを判断する。そしてRAW画像データであると判断した場合、PC200はアクティブ期間に受信するRAW画像データをRAW形式の動画データを構成するフレームデータとして記録する。またデジタルカメラ100は、RAW画像データではないと判断した場合は、アクティブ期間に受信するフレーム画像データを液晶テレビ400に出力して表示させる。
【0021】
(デジタルカメラ100の構成)
図2は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ100の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
CPU101は、デジタルカメラ100が有する各ブロックの動作を制御する。具体的にはCPU101は、例えばROM102に記憶されている撮像処理や映像出力処理のプログラムを読み出し、RAM103に展開して実行することにより各ブロックの動作を制御する。
【0023】
ROM102は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリであり、デジタルカメラ100が有する各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作において必要なパラメータや撮影設定情報等を記録する。
【0024】
RAM103は、揮発性メモリであり、デジタルカメラ100が有する各ブロックの動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各ブロックから出力された中間データ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0025】
撮像部105は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子である。撮像部105は、結像光学系104を介して撮像素子の受光面に結像された光学像を光電変換し、得られたアナログ画像信号をA/D変換部106に出力する。なお、結像光学系104は、対物レンズや絞り等で構成され、CPU101の制御により所定の駆動系がフォーカス調節動作や露出動作を行う。
【0026】
A/D変換部106は、入力されたアナログ画像信号に対してA/D変換処理を適用し、デジタル画像信号(RAW画像データ)への変換を行う。A/D変換部106は、得られたRAW画像データを画像メモリ108に出力し、記憶させる。画像メモリ108は、画像データ用の記憶領域である。
【0027】
信号処理部107は、CPU101の制御のもと、RAW画像データに対して種々の画像処理を含む現像処理を行う。具体的には信号処理部107は画像メモリ108に記憶されているRAW画像データを読み出し、予め定められた映像出力形式に従って現像処理を行う。現像処理に含まれる画像処理には、ガンマ処理、補間処理、マトリクス変換等がある。本実施形態では信号処理部107は、種々の画像処理の適用後、YUV422形式(8bit)の画像データへの変換を行う。
【0028】
第1映像出力I/F109は、デジタルカメラ100が備える映像出力インタフェースである。本実施形態では第1映像出力I/F109はHDMIであるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば第1映像出力I/F109は、HD−SDI等、1フレームのフレーム画像データとして転送される容量が、撮像素子から出力されるRAW画像データの容量以上である映像出力インタフェースであればよい。
【0029】
(PC200の構成)
次に、本発明の実施形態に係るPC200の機能構成について、図3のブロック図を用いて説明する。なお、本明細書ではデジタルカメラ100及びPC200の各々の構成ブロックを区別するために、PC200が有する各ブロックについては、「PC」の接頭文字を付して説明するものとする。
【0030】
PC−CPU201は、PC200が有する各ブロックの動作を制御する。PC−CPU201は、例えばPC−HDD204に記憶されているOSや動画再生記録アプリケーションのプログラムを読み出してPC−RAM203に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0031】
PC−ROM202は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリであり、PC200が有有する各ブロックの動作に必要なパラメータや、PC200の起動設定等の情報を記憶する。
【0032】
PC−RAM203は、揮発性メモリであり、PC200が有する各ブロックの動作プログムの展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された中間データ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0033】
PC−HDD204は、例えばHDDやSSD等のPC200に着脱可能に接続される記録装置である。PC−HDD204は、上述したOSや動画再生記録アプリケーションが格納されるだけでなく、PC映像入力I/F205を介してPC200に入力された画像データが記録される。
【0034】
PC映像入力I/F205は、PC200が備える映像入力インタフェースであり、デジタルカメラ100からHDMIケーブル300を介して入力された動画データあるいは動画補助データを取得する。
【0035】
PC映像出力I/F206は、PC200が備える映像出力インタフェースである。本実施形態ではPC映像出力I/F206は、液晶テレビ400に表示する画像データを出力する。なお、液晶テレビ400は不図示の液晶映像入力I/F401を有しており、PC200から入力されたフレーム画像データを液晶映像入力I/F401において受信し、表示画面への画像提示を行う。
【0036】
<動画記録システムの動作>
このような構成をもつ本実施形態の動画記録システムを用いた、RAW動画の記録処理の動作について以下に説明する。なお、デジタルカメラ100及びPC200の各々において行われる処理は、CPU101あるいはPC−CPU201が、例えば対応する動作プログラムを読み出して実行することにより実現することができる。なお、以下に説明する記録処理の動作は、デジタルカメラ100とPC200とがHDMIケーブル300で接続された後、各機器において映像出力あるいは映像入力が可能な状態になった際に開始されるものとして説明する。
【0037】
(デジタルカメラ100の動作)
まず、デジタルカメラ100における各ブロックの動作について説明する。本実施形態のデジタルカメラ100は、第1映像出力I/F109を介して映像出力を行う場合、「モニタリングモード」と「動画記録モード」の2種類の状態を有する。
【0038】
「モニタリングモード」とは、接続先であるPC200において、デジタルカメラ100が撮影した画像データを略リアルタイムで閲覧可能とする状態である。即ち、デジタルカメラ100からの出力は、通常のHDMIの映像出力と同じ仕様であり、PC200において受信されたフレーム画像データは、液晶テレビ400に出力することで動画データとして閲覧することが可能である。
【0039】
また「動画記録モード」とは、接続先であるPC200に、RAW画像データのフレームで構成されるRAW動画データを記録させる状態である。即ち、デジタルカメラ100からの出力は、通常のHDMIの映像出力とは異なりRAW画像データが出力される。PC−CPU201は、PC映像入力I/F205が受信したRAW画像データを、例えばPC−HDD204にRAW動画データの1フレームとして記録する動作を行う。
【0040】
デジタルカメラ100の状態(モニタリングモードと動画記録モード)の切り替えは、例えば不図示のレリーズボタンがユーザにより操作されることで、動画記録指示がなされたことをCPU101が判断することで行われる。なお、モードの切り替えは、1フレーム分のフレーム画像データの伝送が完了するアクティブ期間の終了時に行われるものとする。
【0041】
図4は、モニタリングモード及び動画記録モードの各々において、第1映像出力I/F109から出力されるデータの詳細を示した図である。図4の例では、時刻t1においてモニタリングモードが設定されており、その後時刻t2で動画記録モードに設定された後に、時刻t3で再びモニタリングモードに設定される場合を示している。
【0042】
図示されるように、いずれのモードにおいてもデータの伝送中は、ブランキング期間とそれに続くアクティブ期間が繰り返される。ブランキング期間には水平ブランキング期間及び垂直ブランキング期間があり、ブランキング期間では上述したように動画補助データ(Auxiliary Data)や音声データが送信される。本実施形態では、HDMIでのデータ伝送となるため、動画補助データとしてVendor Specific InfoFrameがデジタルカメラ100からPC200に伝送される。CPU101は、動画記録モードではVendor Specific InfoFrameに後続するフレーム画像データがRAW画像データであることを示す識別情報を含め、モニタリングモードではフレーム画像データが通常のHDMIの映像出力形式であることを示す識別情報を含めて作成する。そしてCPU101は作成したVendor Specific InfoFrameを、第1映像出力I/F109を介してPC200に伝送する。なお、モニタリングモードで伝送されるVendor Specific InfoFrameは、本実施形態では通常のHDMIの映像出力形式であることを示す識別情報が含まれるものとして説明するが、動画補助データはこれに限られない。即ち、動画補助データは後続するフレーム画像データがRAW画像データであるか否かを示すことができればよいため、RAW画像データであることを示す識別情報を含まない構成であればよい。
【0043】
またフレーム画像データについては上述したように、モニタリングモードではYUV422形式(8bit)の画像データ、動画記録モードではRAW画像データが出力される。具体的にはCPU101は、設定されているモードを判断し、モニタリングモードである場合には画像メモリ108に記憶されているRAW画像データを読み出して信号処理部107に伝送し、YUV422形式(8bit)の画像データへの変換を行わせる。そしてCPU101は、得られた該形式の画像データを第1映像出力I/F109に伝送し、アクティブ期間においてPC200に対して出力させる。またCPU101は、設定されているモードが動画記録モードであった場合には画像メモリ108に記憶されているRAW画像データを読み出し、変換処理を行わずに第1映像出力I/F109に伝送し、アクティブ期間においてPC200に対して出力させる。
【0044】
(PC200の動作)
次にPC200における各ブロックの動作について説明する。なお、本実施形態ではPC200において動画記録アプリケーションが実行され、該アプリケーションにおいて以下のような動作が実行されるものとして説明するが、本発明の実施はこれに限られない。即ち、データが入力された場合に、以下の処理と同等の動作を行う専用回路によって実現されても良いことは言うまでもない。
【0045】
PC−CPU201は、PC映像入力I/F205においてデータが受信されると、該データに基づいてアクティブ期間及びブランキング期間のいずれであるかを判断する。具体的にはPC−CPU201は、受信したデータが動画補助データあるいは音声データであった場合はブランキング期間、フレーム画像データであった場合はアクティブ期間として判断する。
【0046】
PC−CPU201はブランキング期間において受信した動画補助データを解析し、続くアクティブ期間において受信するフレーム画像データがRAW画像データであることを示す識別情報が含まれているか否かを判断する。そしてPC−CPU201は、RAW画像データであることを示す情報が含まれる場合は、続いてPC映像入力I/F205において受信するフレーム画像データを、RAW動画のフレームとしてPC−HDD204に記録する。またPC−CPU201は、RAW画像データであることを示す情報が含まれない場合は、続いてPC映像入力I/F205において受信するフレーム画像データを、PC映像出力I/F206に伝送して液晶テレビ400に表示させる。
【0047】
なお、受信するフレーム画像データがRAW画像データである場合、受信しているフレーム画像データを液晶テレビ400に対して表示するためには、次のようにすればよい。PC−CPU201は、受信したRAW画像データを不図示の画像処理部に伝送し、現像処理を実行させて得られた画像データをPC映像出力I/F206から液晶テレビ400に出力させればよい。
【0048】
このように動画補助データにRAW画像データであることを示す識別情報を付加することにより、PC200に対してフレーム画像データがRAW画像データであることを判別させることができる。またPC200においてRAW画像データが入力された場合に、該データをRAW形式の動画データのフレームとして記録する動画記録アプリケーションを実行することで、RAW形式の動画データを生成することができる。
【0049】
また、上述したようにYUV422形式(8bit)の画像データ(1920pixel×1080pixel)がHDMIケーブル300を介してPC200に伝送される場合は、フレームあたりの情報量は
YUV=1920×1080×16÷8=3.96MBytes
である。一方同様の画素数を有し、1画素が14bitの情報で構成されるRAW画像データのフレームあたりの情報量は、
RAW=1920×1080×14÷8=3.46MBytes
となる。即ち、FYUV>FRAWが成り立つため、RAW画像データを、HDMIを用いて出力することが可能である。
【0050】
なお、本実施形態では第1映像出力I/F109はHDMI形式であるものとして説明したが、映像出力形式はHD−SDI等、1フレームのフレーム画像データとして転送される容量が、RAW画像データの容量以上である映像出力インタフェースであればよい。例えばHD−SDI形式の場合、フレーム画像データはYUV422形式(10bit)の画像データとなるため、フレームあたりの情報量は
SDI=1920×1080×20÷3=4.94MBytes
となる。つまり、該情報量に収まる範囲であれば、RAW画像データの画素数あるいは1画素の情報量を上昇させることができる。なお、動画補助データはHD−SDI形式ではユーザアプリケーション情報であり、該情報内にRAW画像データであることを示す識別情報を含めればよい。
【0051】
またHDMIでは、出力する画像データの形式としてRGB44やDeepColorが用いられる場合は、フレームあたりの情報量は上記より多くなるため、同様にRAW画像データの画素数あるいは1画素の情報量を上昇させることができる。
【0052】
また、本実施形態では動画記録モードにある場合に、変換処理が適用されていないRAW画像データが伝送されるものとして説明したが、本発明の実施はこれに限られない。即ち、PC200においてRAW画像データで構成されるRAW動画データの記録が実現できればよいため、デジタルカメラ100において可逆圧縮処理が適用されたRAW画像データが伝送される構成であってもよい。この場合PC−CPU201は、可逆圧縮されたRAW画像データをフレームデータとしてRAW動画データを記録してもよいし、復元処理を行なって得られた圧縮前のRAW画像データをフレームデータとしてRAW動画データを記録してもよい。
【0053】
同様に、本実施形態では、PC−CPU201は受信したRAW画像データをそのままRAW動画データのフレームとして記録するものとして説明したが、以下のようであってもよい。PC−CPU201はRAW画像データに対して不図示の画像処理部で可逆圧縮を行い、得られた画像データをRAW動画データのフレームとして記録する構成であってもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の動画記録システムは、高解像度の動画の映像出力インタフェースを使用してRAW画像データを外部記録装置に伝送し、外部記録装置においてRAW形式の動画データを生成することができる。具体的には動画記録システムは、撮像装置が出力したRAW画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送し、該動画記録装置においてRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録する。撮像装置は、被写体を撮像して得られたRAW画像に対して現像処理を行なって生成された現像画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送する。撮像装置は、動画記録装置にRAW動画を記録させる状態である場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、RAW画像を現像画像として動画記録装置に伝送する。動画記録装置は、撮像装置から伝送された情報を受信し、受信された情報にRAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW動画を構成するフレームとして記録する。
【0055】
このようにすることで、高品位な調整が可能なRAW形式の画像データで構成された動画データを取得することができる。
【0056】
[実施形態2]
上述した実施形態では、動画補助データにRAW画像データであることを示す識別情報が含まれるか否かによって、PC200において動画データの記録、及び液晶テレビ400への表示出力のいずれを行うかを切り替えるものとして説明した。本実施形態では、RAW動画データの記録を行なっている間も、液晶テレビ400において撮像信号の閲覧が可能である構成について説明する。
【0057】
<動画記録システムの構成>
本実施形態の動画記録システムにおいて各装置の構成は、デジタルカメラ100が第2映像出力I/F110を備えることを除いて、上述した実施形態1と同様である。図5は、本実施形態の動画記録システムのシステム構成を示した図である。
【0058】
図示されるように、本実施形態ではデジタルカメラ100はHDMIケーブル300を介してPC200及び液晶テレビ400と接続される。即ち、HDMIケーブル300は第1映像出力I/F109とPC映像入力I/F205、及び第2映像出力I/F110と液晶映像入力I/F401を接続する。本実施形態では、このように液晶テレビ400に対して、デジタルカメラ100から通常の映像出力としてのフレーム画像データが常時直接入力されるものとする。
【0059】
<動画記録システムの動作>
(デジタルカメラ100の動作)
上述した実施形態と同様に、本実施形態のデジタルカメラ100もモニタリングモードと動画記録モードの2種類の状態を有する。以下、上述の実施形態と異なる点のみ説明する。
【0060】
CPU101は、設定されているモードがモニタリングモードである場合、画像メモリ108に記憶されているRAW画像データを読み出して信号処理部107に伝送し、YUV422形式(8bit)の画像データへの変換を行わせる。そしてCPU101は得られた該形式の画像データを第2映像出力I/F110に伝送し、アクティブ期間においてPC200に対して出力させる。なお、このときブランキング期間にはRAW画像データであることを示す識別情報を含まない動画補助データが出力されるものとする。また、第1映像出力I/F109からは、RAW画像データが出力される必要はないため、CPU101は例えば画像メモリ108からのRAW画像データを読み出すことなく生成した全面黒の画像データを出力してもよい。このようにすることで、画像メモリ108から画像データを読み出すメモリ帯域を削減することができる。
【0061】
一方、設定されているモードが動画記録モードである場合、CPU101は画像メモリ108に記憶されているRAW画像データを読み出して信号処理部107及び第1映像出力I/F109に伝送する。第1映像出力I/F109に伝送されたRAW画像データは、上述した実施形態と同様にブランキング期間においてRAW画像データであることを示す識別情報を含む動画補助データが出力された後、PC200に対して出力される。また信号処理部107に伝送されたRAW画像データは、モニタリングモードと同様にYUV422形式(8bit)の画像データへの変換が行われた後、第2映像出力I/F110に伝送されて液晶テレビ400に対して出力される。
【0062】
即ち、本実施形態ではモードに依らず、液晶テレビ400に対してはYUV422形式(8bit)の画像データがフレーム画像データとして出力されるため、ユーザは液晶テレビ400を用いて撮像信号の閲覧が可能である。つまり、デジタルカメラ100が動画記録モードにある場合に、PC200における現像処理を行うことなく、ユーザに対して撮像信号を提示することができる。このようにすることでPC200の動作負荷を低減することができる。
【0063】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像してRAW画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段により生成されたRAW画像に対して現像処理を行なって現像画像を生成する現像手段と、
撮像装置が外部の動画記録装置にRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録させる状態であるか否かを判断する判断手段と、
前記現像手段により生成された現像画像を、動画伝送インタフェースを介して前記外部の動画記録装置に伝送する伝送手段と、を有し、
前記伝送手段は、前記判断手段により前記撮像装置が前記外部の動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であると判断された場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、前記撮像手段により生成されたRAW画像を前記現像画像として前記外部の動画記録装置に伝送する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記伝送手段は、前記判断手段により前記撮像装置が前記外部の動画記録装置にRAW動画を記録させる状態ではないと判断された場合は、前記識別情報を関連付けずに前記現像手段により生成された現像画像を前記外部の動画記録装置に伝送することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記伝送手段は、前記動画伝送インタフェースとは別に他の動画伝送インタフェースを有し、前記判断手段により前記撮像装置が前記外部の動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であると判断された場合は、RAW画像とは別に現像画像を前記他の動画伝送インタフェースを介して前記外部の動画記録装置に伝送することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記伝送手段は、RAW画像を伝送する場合に、伝送中のブランキング期間に前記識別情報を伝送し、アクティブ期間にRAW画像を伝送することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像装置から伝送された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された情報に、RAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW画像のフレームで構成されるRAW動画のフレームとして記録する記録手段と、を有する
ことを特徴とする動画記録装置。
【請求項6】
前記受信手段により受信された情報に、前記識別情報が含まれない場合に、該情報に含まれる画像を表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の動画記録装置。
【請求項7】
撮像装置の撮像手段が、被写体を撮像してRAW画像を生成する撮像工程と、
前記撮像装置の現像手段が、前記撮像工程において生成されたRAW画像に対して現像処理を行なって現像画像を生成する現像工程と、
前記撮像装置の判断手段が、前記撮像装置が外部の動画記録装置にRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録させる状態であるか否かを判断する判断工程と、
前記撮像装置の伝送手段が、前記現像工程において生成された現像画像を、動画伝送インタフェースを介して前記外部の動画記録装置に伝送する伝送工程と、を有し、
前記伝送手段は前記伝送工程において、前記判断工程において前記撮像装置が前記外部の動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であると判断された場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、前記撮像工程において生成されたRAW画像を現像画像として前記外部の動画記録装置に伝送する
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項8】
動画記録装置の受信手段が、撮像装置から伝送された情報を受信する受信工程と、
前記動画記録装置の記録手段が、前記受信工程において受信された情報に、RAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW画像のフレームで構成されるRAW動画のフレームとして記録する記録工程と、を有する
ことを特徴とする動画記録装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置の撮像手段を除く各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、請求項5または6に記載の動画記録装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
撮像装置が出力したRAW画像を、動画伝送インタフェースを介して動画記録装置に伝送し、該動画記録装置においてRAW画像のフレームで構成されるRAW動画を記録する動画記録システムであって、
前記撮像装置は、
被写体を撮像してRAW画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段により生成されたRAW画像に対して現像処理を行なって現像画像を生成する現像手段と、
前記撮像装置が前記動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であるか否かを判断する判断手段と、
前記現像手段により生成された現像画像を、前記動画伝送インタフェースを介して前記動画記録装置に伝送する伝送手段と、を有し、
前記伝送手段は、前記判断手段により前記撮像装置が前記動画記録装置にRAW動画を記録させる状態であると判断された場合は、RAW画像であることを示す識別情報を関連付けて、前記撮像手段により生成されたRAW画像を現像画像として前記動画記録装置に伝送し、
前記動画記録装置は、
前記撮像装置から伝送された情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された情報に、前記RAW画像であることを示す識別情報が含まれる場合に、該情報に含まれるRAW画像を、RAW動画を構成するフレームとして記録する記録手段と、を有する
ことを特徴とする動画記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115666(P2013−115666A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261002(P2011−261002)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】