説明

撮像装置、及びその制御方法及びプログラム

【課題】振動が与えられた撮像装置の位置により、当該位置に依存して撮像装置を操作する。
【解決手段】撮像装置に与えられた振動を、加速度及び角加速度として検出するセンサを備え、検出された加速度及び角加速度から、撮像装置の予め定められた複数の振動検出位置のうちのいずれの振動検出位置に振動が与えられたかを次のように判定する。センサの位置と複数の振動検出位置それぞれとがなす距離に検出された角加速度を乗じて得られた値を、検出された加速度に加えることにより評価値を算出する。当該評価値の絶対値が最大である振動検出位置を前記振動が与えられた振動検出位置として判定し、制御手段は、当該振動が与えられた振動検出位置に対して予め割り当てられた処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及びその制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置の小型化、及び撮影した画像等を表示する表示装置の大型化に伴い、撮像装置の物理的な操作部材(電源ボタン、レリーズボタン等)の配置されるスペースは少なくなっている。当該操作部材自体を物理的に小さくすることにより、配置できる操作部材の数は多くすることができるが、操作性が低下するため現実的ではない。
【0003】
一方、近年では撮像装置の中には、タッチパネルセンサ等の物理的な操作部材以外のセンシング手段や、主被写体の表情を検出する画像解析手段を用いて、物理的な操作部材を操作せずに撮影指示を可能なものもある。
【0004】
特許文献1には、撮影時の手ぶれを検出するために設けられた振動センサを利用し、撮像装置に与えられた閾値以上の振動に対して、撮影指示を割り当てる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−193362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1の技術は、ユーザが撮像装置の起動時に電源ボタンを操作した状態から、撮像装置を持ち直すことなく撮影を可能にさせるために撮影指示を振動に割り当てたものである。即ち、特許文献1の技術では、振動を利用した操作は一種類(撮影指示)しか規定されず、ユーザは露光時間やストロボの有無等の撮影の設定等を行うためには、撮像装置を持ち直して他の操作部材を操作する必要があった。
【0007】
また、振動の回数等を規定することで、他の操作も振動に割り当てられることが考えられるが、操作部材を用いる方法より煩雑な操作をすることになりうるため、現実的ではない。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、振動が与えられた撮像装置の位置により、当該位置に依存して撮像装置を操作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明の撮像装置は、以下の構成を備える。
撮像装置であって、撮像装置に与えられた振動を、加速度及び角加速度として検出する検出手段と、検出手段により検出された加速度及び角加速度から、撮像装置の予め定められた複数の振動検出位置のうちのいずれの振動検出位置に振動が与えられたかを判定する判定手段と、判定手段により判定された振動が与えられた振動検出位置に対して、予め割り当てられた処理を実行する制御手段と、を備え、判定手段は、検出手段の位置と複数の振動検出位置それぞれとがなす距離に検出された角加速度を乗じて得られた値を、検出された加速度に加えることにより複数の振動検出位置それぞれについて検出手段の位置に対する相対加速度を算出し、当該相対加速度の絶対値が最大である振動検出位置を、振動が与えられた振動検出位置として判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような構成により本発明によれば、振動が与えられた撮像装置の位置により、当該位置に依存して撮像装置を操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの外観図、及び当該デジタルカメラが備える物理的な操作部材を説明するための図
【図2】実施形態に係るデジタルカメラの機能構成を示すブロック図
【図3】実施形態に係るシフトレンズユニットを使用した像ぶれ補正動作を説明するための図
【図4】実施形態に係る振動位置の判定原理を説明するための図
【図5】実施形態に係る振動操作判定処理のフローチャート
【図6】実施形態に係る振動判定位置の例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は、撮像装置の一例としての、撮像装置に与えられた振動及び回転を検出可能なデジタルカメラに、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、装置に与えられた振動及び回転を検出することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0013】
なお、本明細書では、図1(a)に示すようなデジタルカメラの姿勢を正位置(横位置)と呼ぶものとする。また、当該デジタルカメラの正位置について、図示するように3次元座標系を定めるものとする。即ち、重力方向と逆方向にY軸の正方向が規定されるものとする。また、それぞれの軸について、軸の正方向にみて時計回りにそれぞれの回転方向(ピッチ方向AGx、ヨー方向AGy、ロール方向AGz)の正方向を定めるものとする。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1000の機能構成を示すブロック図である。
システム制御部2014は、例えばマイコンであり、デジタルカメラ1000が備える各ブロックの動作を制御する。具体的にはシステム制御部2014は、ROM2015に記憶されているデジタルカメラ1000が備える各ブロックの動作プログラムを読み出し、RAM2016に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。
【0015】
ROM2015は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、デジタルカメラ1000が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータ等の設定情報、撮像素子2004の欠陥画素アドレスを含む補正データ等を記憶する。またRAM2016は、揮発性メモリであり、デジタルカメラ1000が備える各ブロックの動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各ブロックの動作において出力された情報を一時的に格納する記憶領域としても用いられる。
【0016】
撮像素子2004は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の光電変換素子であり、光学系1001により撮像素子2004上に結像された光学像を光電変換することにより、得られたアナログ画像信号をCDS回路2005に出力する。
【0017】
駆動回路2007は、後述するタイミング信号発生器2023あるいは像ぶれ補正制御部2022からの入力される制御信号に従い、光学部材の駆動制御を行う。具体的には駆動回路2007は、光学系1001の不図示の絞り機構及びオートフォーカス機構、メカシャッタ2002、シフトレンズユニット2003、及び撮像素子2004を操作する駆動系を備え、当該光学部材の駆動制御を行う。
【0018】
メカニカルシャッタ(以下、メカシャッタと略記する)2002は、光学系1001を介して撮像素子2004に結像される光学像の光路を開放あるいは遮断する。シフトレンズユニット2003は、光学系1001を介して撮像素子2004に結像される光学像の光路を、シフトレンズにより屈折させる。具体的には駆動回路2007は、角速度センサ2017及び加速度センサ2018により検出されたデジタルカメラ1000の加速度及び回転の情報を用いて像ぶれ補正制御部2022で算出された位置にシフトレンズを駆動させることにより光路の方向を制御する。
【0019】
CDS回路2005は、撮像素子2004から出力されるアナログ画像信号に対し、相関二重サンプリング等のアナログ信号処理を行い、処理が適用されたアナログ画像信号をA/D変換器2006に出力する。A/D変換器2006は、CDS回路2005から入力されたアナログ画像信号に対してA/D変換処理を適用し、得られたデジタル画像信号を出力する。なお、撮像素子2004、CDS回路2005、A/D変換器2006、及び駆動回路2007の動作タイミングは、タイミング信号発生器2023により発生されて入力されるタイミング信号により制御される。
【0020】
信号処理回路2008は、A/D変換器2006から出力されたデジタル画像信号に対して、色補間処理やホワイトバランス処理等の、表示や記録を行うための画像データを生成するために必要な信号処理を適用し、画像データを出力する。
【0021】
画像メモリ2009は、デジタルカメラ1000が備える画像データ用の内蔵メモリであり、信号処理回路2008から処理された画像データ、あるいは後述する記録媒体2010より読み出された画像データが一時的に記憶される。また、画像メモリ2009は、例えばROM2015に記憶されたGUIデータ等を画像に重畳して画像表示装置1012に表示する際の、合成領域としても用いられる。
【0022】
記録回路2011は、例えばメモリカードやHDD等のデジタルカメラ1000に着脱可能に接続される記録媒体2010へのデータの書き込み、あるいは記録媒体2010からのデータの読み出しを行う回路である。記録媒体2010には、例えば信号処理回路から出力された画像データが記録される。
【0023】
画像表示装置1012は、例えば小型LCD等のデジタルカメラ1000が備える表示装置であり、入力された画像信号を表示画面に表示する。表示回路2013は、画像表示装置1012の表示画面の表示制御を行う回路であり、当該表示画面に表示する画像信号を生成して出力する。画像表示装置1012は、信号処理回路2008により順次出力された撮像された画像データに対し、表示回路2013でD/A変換処理を適用して得られた画像信号を表示することにより、電子ビューファインダとして機能する。
【0024】
操作部2021は、デジタルカメラ1000が備える物理的な操作部材を有するユーザインタフェースであり、ユーザが当該操作部材を操作することにより入力された信号を解析し、システム制御部2014に操作内容を伝送する。本実施形態のデジタルカメラ1000は、操作部2021が有する操作部材として、図1(b)に示すような以下の操作部材を備えるものとする。デジタルカメラ1000の上面にはレリーズボタン1002と、光学系1001が有する不図示のズームレンズの焦点距離を変化させるためのズームレバー1003が設けられている。また、デジタルカメラ1000の背面には、撮像モードを変更するためのモードダイヤル1004と、上下左右キー及び決定キーを含み、各種設定を行うためのファンクションボタン1005が設けられている。デジタルカメラ1000の背面には、各種設定メニューを画像表示装置1012に表示させるためのメニューボタン1006と、画像表示装置1012の表示切替を行うためのディスプレイボタン1007が設けられている。
【0025】
角速度センサ2017及び加速度センサ2018は、それぞれデジタルカメラ1000に生じた振動により生じた角速度及び加速度を検出する。振動判定部2019は、角速度センサ2017及び加速度センサ2018により検出された角速度及び加速度の出力結果を用いて、デジタルカメラ1000に生じた振動を解析し、振動が与えられた位置(振動位置)を算出する。なお、振動位置の検出の有効及び無効は、ユーザが設定を変更することにより切り替えることが可能であってよい。また角速度センサ2017及び加速度センサ2018は、本実施形態では略同一の箇所に設置されるものとする。
【0026】
本実施形態では角速度センサ2017及び加速度センサ2018は、図1(a)に示したようにそれぞれ3軸(XYZ軸方向、あるいはAGxAGyAGz方向)の動きを検出可能であるものとして説明する。しかしながら、検出する振動位置の数により、角速度センサ2017及び加速度センサ2018の検出可能な動きの種類、あるいは振動判定部2019における振動位置の特定に用いられる情報の種類は、6軸に限らなくてもよい。
【0027】
振動認識部2020は、振動判定部2019により解析された振動位置の情報から、ユーザにより与えられた操作指示を、当該振動位置に割り当てられている操作内容を特定することにより認識する。なお、振動位置に割り当てられている操作内容は、例えば内蔵される記憶領域にテーブルとして記憶されている、振動位置と当該振動位置に対応付けられた操作内容とを管理するテーブルを参照することにより、与えられた操作内容を特定すればよい。振動認識部2020は、このように特定された操作指示を操作部2021と同様にシステム制御部2014に伝送する。なお、振動位置に割り当てられる操作内容は、ユーザにより設定可能であってもよい。
【0028】
本実施形態では、振動が与えられたデジタルカメラ1000の位置に対して、デジタルカメラ1000の操作を割り当てるものとして説明する。しかしながら、さらに振動の大きさや回数等の情報を検出することにより、振動位置と、振動強度及び振動回数の少なくともいずれかとを組み合わせた検出結果に対して、それぞれ別の操作を割り当て可能であってもよいことは容易に理解されよう。
【0029】
またさらに、縦横位置検出センサ2024を設けることによりデジタルカメラ1000が縦位置及び横位置のいずれであるかを検出し、それぞれの位置に応じて振動位置に割り当てるデジタルカメラ1000の操作を異ならせてもよい。縦位置とは、光軸を中心として横位置から略90度だけデジタルカメラ1000を回転させた位置である。
【0030】
例えば、図6のように横位置でデジタルカメラ1000の右上部に位置する振動検出位置への振動に対して撮影指示を割り当てた場合は、デジタルカメラ1000が縦位置にされた際に次のようにしてもよい。デジタルカメラ1000が縦位置にされた場合、当該縦位置におけるデジタルカメラ1000の右上部に位置する振動検出位置に撮影指示を割り当てるようにしてもよい。即ち、縦位置及び横位置に限らず、常にユーザに対して相対的な位置に同じ操作を割り当てるようにすることもできる。なお、縦位置であるか否かは、縦横位置検出センサ2024を割り当てずに加速度センサ2018により、重力加速度の方向を検出することにより判定してもよい。
【0031】
(通常の静止画撮影処理)
このような構成をもつ本実施形態のデジタルカメラ1000の通常の静止画撮影処理について、以下に具体的な処理を説明する。
【0032】
撮影に先立ち、システム制御部2014の動作開始時(デジタルカメラ1000の電源投入時等)において、システム制御部2014は、ROM2015から必要なプログラム、制御データ及び補正データを読み出し、RAM2016に記憶させるものとする。またシステム制御部2014は、必要に応じて、追加のプログラムや制御データをROM2015から読み出してRAM2016に展開、あるいは直接ROM2015内のデータを展開して処理を実行してもよい。
【0033】
レリーズボタン1002は、約半ストローク押し込まれたときに第1スイッチがオン状態になり、最後まで押し込まれたときに第2スイッチがオン状態となる構造を有している。第1スイッチがオン状態になると、システム制御部2014は、AE処理やAF処理を含む撮影準備動作を開始する。そして、システム制御部2014は、駆動回路2007を介して光学系1001が有する絞りとレンズを駆動し、適切な明るさの被写体像を撮像素子2004上に結像させる。第2スイッチがオン状態になると、システム制御部2014は、本撮影動作を開始し、駆動回路2007を介してメカシャッタ2002をAE処理に基づいて決定された適切な露光時間だけ開放し、撮像素子2004を露光する。なお、撮像素子2004が電子シャッタ機能を有する場合は、メカシャッタ2002と併用して、必要な露光時間を確保してもよい。
【0034】
撮像素子2004は、システム制御部2014により制御されるタイミング信号発生器2023が発生する動作パルスから生成される駆動パルスによって駆動され、結像された光学像を光電変換して電気信号に変換し、アナログ画像信号として出力する。撮像素子2004から出力されたアナログ画像信号は、タイミング信号発生器2023が発生する動作パルスで動作するCDS回路2005においてクロック同期性ノイズが除去された後、A/D変換器2006でデジタル画像信号に変換される。
【0035】
次にシステム制御部2014により制御される信号処理回路2008において、A/D変換器2006から入力されたデジタル画像信号に対し、色変換、ホワイトバランス、ガンマ補正等の画像処理、解像度変換処理、画像圧縮処理等を行い、画像データを生成する。
【0036】
画像メモリ2009は、信号処理回路2008が処理中のデジタル画像信号を一時的に記憶したり、信号処理済みのデジタル画像信号である画像データを記憶したりするために用いられる。信号処理回路2008で生成された画像データは、記録回路2011において記録媒体2010に適したデータ(例えば階層構造を持つファイルシステムデータ)に変換されて記録媒体2010に記録される。また、画像データは、信号処理回路2008で解像度変換された後、表示回路2013において画像表示装置1012に適した信号(例えばNTSC方式のアナログ信号等)に変換され、画像表示装置1012に表示される。
【0037】
ここで、信号処理回路2008は、システム制御部2014からの制御信号に応じて、デジタル画像信号に画像処理を行わずに、そのまま画像データとして画像メモリ2009や記録回路2011に出力してもよい。また、信号処理回路2008は、システム制御部2014から要求があった場合に、信号処理の過程で生じたデジタル画像信号や画像データの情報、あるいは、それら情報から抽出された情報をシステム制御部2014に出力する。これらの情報には例えば、画像の空間周波数、指定領域内の平均画素値、圧縮画像のデータ量の情報などが含まれる。さらに、記録回路2011は、システム制御部2014からの要求に応答して、記録媒体2010の種類や空き容量等の情報をシステム制御部2014に出力する。
【0038】
記録媒体2010に記録されている画像データを再生する場合、記録回路2011は、システム制御部2014からの制御信号によって、再生する画像データを記録媒体2010から読み出す。そして、信号処理回路2008は、システム制御部2014からの制御信号に従い、画像データが圧縮画像であった場合には画像伸長処理を行い、画像メモリ2009に記憶する。画像メモリ2009に記憶された画像データは、信号処理回路2008で画像表示装置1012の解像度に応じた表示解像度に変換された後、表示回路2013において画像表示装置1012に適した信号に変換され、画像表示装置1012に表示される。
【0039】
(像ぶれ補正動作)
次に、シフトレンズユニット2003を使用した光路制御による、デジタルカメラ1000の像ぶれ補正動作について、図3のブロック図を用いて詳細に説明する。図3は、像ぶれ補正動作において使用される、シフトレンズユニット2003、像ぶれ補正制御部2022、加速度センサ2018、角速度センサ2017、及び駆動回路2007の内部構成を示している。
【0040】
なお、シフトレンズユニット2003で補正可能な像ぶれは、デジタルカメラ1000に与えられた振動のうち、X方向、Y方向、ヨー方向、及びピッチ方向の振動に限られる。このため図では具体的な説明のために、加速度センサ2018において、X方向及びY方向の加速度がX方向加速度検出部304及びY方向加速度検出部302から出力されるものとして示されている。また同様に、角速度センサ2017において、ヨー方向及びピッチ方向の角速度がヨー方向角速度検出部303及びピッチ方向角速度検出部301から出力されるものとして示されている。
【0041】
Y方向像ぶれ補正制御部305及びX方向像ぶれ補正制御部306は、撮像素子2004に結像される光学像が、デジタルカメラ1000に与えられた振動の影響を除去する位置に結像されるシフトレンズユニット2003のY方向及びX方向の位置を算出する。そしてY方向像ぶれ補正制御部305及びX方向像ぶれ補正制御部306は、算出されたY方向及びX方向それぞれの位置から、シフトレンズユニット2003のY方向及びX方向それぞれの補正位置制御信号を出力する。
【0042】
Y方向PID部307及びX方向PID部308は、帰還制御手段としてPID制御を行うブロックであり、入力された補正位置制御信号と、シフトレンズユニット2003の実際の位置を示す位置信号との偏差から制御量を算出し、位置指令信号を出力する。
【0043】
Y方向ドライブ部311及びX方向ドライブ部312は、入力された位置指令信号により指示された位置にシフトレンズユニット2003を駆動させる。シフトレンズユニット2003により駆動されたシフトレンズユニット2003の位置は、Y方向ホール素子309及びX方向ホール素子310によりY方向及びX方向それぞれについて検出される。Y方向ホール素子309及びX方向ホール素子310により検出されたシフトレンズユニット2003の位置の情報は、Y方向PID部307及びX方向PID部308にフィードバックされる。
【0044】
(振動位置判定原理)
ここで、本発明の特徴である、振動判定部2019において実行される、ユーザによりデジタルカメラ1000に振動が与えられた位置の判定方法について、その原理を、図4を用いて説明する。
【0045】
まず簡単のため、振動判定位置401及び402と、角速度センサ2017及び加速度センサ2018が設けられた位置400とが、図4(a)に示すように、力の方向と2次元的な位置関係にある場合を考える。
【0046】
なお、振動位置の判定に用いる、ユーザにより振動が与えられたと推定する方向の加速度G_Sensorは、加速度センサ2018により検出された3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)のうち、最大の加速度を有する軸方向の加速度を用いる。このように振動が与えられた方向を推定することにより、振動位置の判定に用いる振動位置、及び、判定に用いる、検出された加速度及び角速度の成分を限定することができるため、計算量を少なくすることができる。例えば図4(a)のような、振動が与えられたと推定する方向の力と、振動判定位置が2次元的な位置関係にある場合は、図示するような方向の回転角加速度A_Gyroが、振動位置の判定に用いられる。なお、角加速度A_Gyroは、角速度センサ2017より順次出力される角速度から振動判定部2019において算出されればよい。
【0047】
位置400においてG_Sensor及びA_Gyroが検出された場合、振動判定部2019は、振動判定位置401及び402それぞれの、回転により生じるG_Sensorと同一方向の加速度の評価値を算出する。具体的には振動判定部2019は、位置400を回転中心と考えた場合の、振動判定位置401及び402それぞれの回転により生じる加速度を加味した、各振動判定位置における評価値を以下の式により算出する。
【0048】
振動判定位置401における評価値V_Left[m/s2]は、最大の加速度を有する軸方向の加速度G_Sensor[m/s2]と、算出された角加速度A_Gyro[rad/s2]と、位置400からの距離L1[m]とを用いて、
V_Left=G_Sensor+A_Gyro×L1
となり、同様に振動判定位置402における評価値V_Right[m/s2]は、位置400からの距離L2[m]を用いて
V_Left=G_Sensor−A_Gyro×L2
となる。
【0049】
なお、回転により各振動判定位置に生じる加速度の符号は、角速度センサ2017及び加速度センサ2018が設けられた位置を中心として、算出された角加速度の方向に各振動判定位置が回転した場合の移動方向により決定される。即ち、角加速度の方向に回転した場合に、振動判定位置が、検出されている最大の加速度を有する軸方向の加速度と同じ方向に移動するのであれば評価値において角加速度項は加算、反対の方向に移動するのであれば減算する。
【0050】
このようにそれぞれの振動判定位置において評価値を算出し、当該評価値の絶対値が最大である振動判定位置を、振動が与えられた位置(振動位置)として振動判定部2019は判定する。
【0051】
また、図4(b)及び(c)のように、3次元的な位置関係の場合であっても、同様に振動位置を判定することができる。図示されるようにG_SensorがZ軸方向の加速度である場合、4つの振動判定位置の評価値は、X軸周りの回転角加速度AGx及びY軸周りの回転角加速度AGyを用いて次のようにそれぞれ表すことができる。
V_UL=G_Sensor+AGy×X1−AGx×Y2
V_BL=G_Sensor+AGy×X1+AGx×Y1
V_UR=G_Sensor−AGy×X2−AGx×Y2
V_BR=G_Sensor−AGy×X2+AGx×Y1
【0052】
このように、振動判定部2019は、ユーザがタッピング操作等によりデジタルカメラ1000に振動を与えた位置(振動位置)を、予め定められた振動判定位置のうちから特定することができる。即ち、当該振動位置にデジタルカメラ1000の操作を割り当てることにより、操作部材が少ない場合であってもユーザに様々な機能を簡単な振動操作で実行可能にすることができる。
【0053】
(振動操作判定処理)
このような構成をもつ本実施形態のデジタルカメラ1000の振動操作判定処理について、図5のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。当該フローチャートに対応する処理は、システム制御部2014が、例えばROM2015に記憶されている対応する処理プログラムを読み出し、RAM2016に展開して実行することにより実現することができる。なお、本振動操作判定処理は、例えばユーザによりデジタルカメラ1000に与えられた振動を、デジタルカメラ1000の操作に用いることが設定された際に開始されるものとして説明する。
【0054】
S501で、システム制御部2014は、ユーザによりデジタルカメラ1000が備える物理的な操作部材を使用した操作入力がなされたか否かを判断する。具体的にはシステム制御部2014は、ユーザが操作部材を操作したことを操作部2021が検出したか否かを判断し、操作入力がなされたか否かを判断する。システム制御部2014は、デジタルカメラ1000が備える物理的な操作部材を使用した操作入力がなされた場合は処理をS502に移し、なされていない場合は処理をS505に移す。
【0055】
S502で、システム制御部2014は、振動判定部2019による振動位置の判定を無効にする。即ち、物理的な操作部材の操作による振動を振動操作として誤検出することを防止するために、システム制御部2014は振動判定部2019に振動位置の判定をさせないように制御する。
【0056】
またS503でシステム制御部2014は、操作部2021から入力された、ユーザによりなされた操作入力に対応する処理を実行した後、S504で再び振動判定部2019による振動位置の判定を有効にする。
【0057】
S505で、システム制御部2014は、レリーズボタン1002の状態が、ユーザの操作によりSW1ON状態であるか否かを判断する。具体的にはシステム制御部2014は、操作部2021からSW1がON状態にされていることを受信しているか否かにより判断する。システム制御部2014は、SW1がON状態である場合は処理をS506に移し、SW1がOFF状態である場合は処理をS507に移す。
【0058】
S506で、システム制御部2014は振動認識部2020に、振動判定部2019が振動操作を検出した場合に、SW1がON状態である場合の振動位置に対応する操作のテーブルを参照して、振動操作の内容を決定するように制御する。本実施形態では、このようにSW1がON状態にある場合、即ち撮影待機状態である場合に、撮影待機状態でしか使用しない操作を振動操作に割り当てることでより多くの操作を振動操作に割り当てることが可能である。
【0059】
なお、本実施形態ではSW1のON状態、あるいは上述したように縦位置であるか否かにより振動操作の割り当て位置を変更するものとして説明するが、本発明の実施はこれに限らないことは容易に理解されよう。
【0060】
S507で、システム制御部2014は、振動操作に該当する振動が角速度センサ2017及び加速度センサ2018により検出されたか否かを判断する。例えば振動操作がなされたと判断する条件は、ある大きさ以上の加速度が検出されたか否か等により判断してよい。システム制御部2014は、振動操作に該当する振動が検出されたと判断された場合は処理をS508に移し、検出されていない場合は本処理を一度終了し、再度S501から本振動操作判定処理を実行する。
【0061】
S508で、システム制御部2014は、振動判定部2019が検出された振動から振動位置の判定を行い、振動認識部2020が当該振動位置に対応する振動操作を判別することにより得られた振動操作に対応する処理を実行する。そしてシステム制御部2014は、本処理を終了する。なお、本振動操作判定処理は、振動操作をデジタルカメラ1000の操作に用いることが設定されている間、繰り返し実行されればよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置は、振動が与えられた撮像装置の位置により、当該位置に依存して撮像装置を操作することができる。具体的には撮像装置は、撮像装置に与えられた振動を、加速度及び角加速度として検出するセンサを備える。そしてセンサにより検出された加速度及び角加速度から、撮像装置の予め定められた複数の振動検出位置のうちのいずれの振動検出位置に振動が与えられたかを次のように判定する。センサの位置と複数の振動検出位置それぞれとがなす距離に検出された角加速度を乗じて得られた値を、検出された加速度に加えることにより複数の振動検出位置それぞれについて評価値を算出する。そして、当該評価値の絶対値が最大である振動検出位置を前記振動が与えられた振動検出位置として判定し、制御手段は、当該振動が与えられた振動検出位置に対して予め割り当てられた処理を実行する。
【0063】
このようにすることで、撮像装置を持ち直して他の操作部材を操作することなく、振動を撮像装置に与えることで、ユーザは様々な操作を簡単な操作で実行することができる。
【0064】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
前記撮像装置に与えられた振動を、加速度及び角加速度として検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された加速度及び角加速度から、前記撮像装置の予め定められた複数の振動検出位置のうちのいずれの振動検出位置に前記振動が与えられたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された前記振動が与えられた振動検出位置に対して予め割り当てられた処理を実行する制御手段と、を備え、
前記判定手段は、前記検出手段の位置と前記複数の振動検出位置それぞれとがなす距離に前記検出された角加速度を乗じて得られた値を、
前記検出手段の位置を中心として、前記検出された角加速度の方向に回転した場合に、前記検出された加速度と同一の方向に動く振動検出位置については前記検出された加速度に加え、
前記検出された加速度と反対の方向に動く振動検出位置については前記検出された加速度から減ずる
ことにより前記複数の振動検出位置それぞれについて評価値を算出し、当該評価値の絶対値が最大である振動検出位置を、前記振動が与えられた振動検出位置として判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置はさらに操作部材を備え、
前記振動検出位置に対して予め割り当てられた処理は、前記撮像装置の姿勢、あるいは前記操作部材の状態により異なることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記操作部材が操作されている場合は振動検出位置の判定を行わないことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像装置に与えられた振動を、加速度及び角加速度として検出する検出手段を備える撮像装置の制御方法であって、
判定手段が、前記検出手段により検出された加速度及び角加速度から前記撮像装置の予め定められた複数の振動検出位置のうちのいずれの振動検出位置に、前記振動が与えられたかを判定する判定工程と、
制御手段が、前記判定工程において判定された前記振動が与えられた振動検出位置に対して予め割り当てられた処理を実行する制御工程と、を備え、
前記判定工程において前記判定手段は、前記検出手段の位置と前記複数の振動検出位置それぞれとがなす距離に前記検出された角加速度を乗じて得られた値を、
前記検出手段の位置を中心として、前記検出された角加速度の方向に回転した場合に、前記検出された加速度と同一の方向に動く振動検出位置については前記検出された加速度に加え、
前記検出された加速度と反対の方向に動く振動検出位置については前記検出された加速度から減ずる
ことにより前記複数の振動検出位置それぞれについて評価値を算出し、当該評価値の絶対値が最大である振動検出位置を、前記振動が与えられた振動検出位置として判定することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として動作させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175460(P2012−175460A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36333(P2011−36333)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】