撮像装置、色ノイズ低減方法および色ノイズ低減プログラム
【課題】リソースに依存することなく、複数の色の色信号からなる画像信号から色ノイズ成分を迅速かつ最も効果的に低減させる。
【解決手段】撮像素子部を通じて取り込まれた複数の色の色信号からなるRaw画像データがデモザイク処理部1063に供給されるが、デモザイク処理部1063において、まず、色差生成部632において、色差信号であるR−G信号、B−G信号を形成し、これらR−G信号、B−G信号に対して、例えばεフィルタなどが用いられて構成されるノイズ低減処理部635において色ノイズの低減処理を施す。
【解決手段】撮像素子部を通じて取り込まれた複数の色の色信号からなるRaw画像データがデモザイク処理部1063に供給されるが、デモザイク処理部1063において、まず、色差生成部632において、色差信号であるR−G信号、B−G信号を形成し、これらR−G信号、B−G信号に対して、例えばεフィルタなどが用いられて構成されるノイズ低減処理部635において色ノイズの低減処理を施す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を1つ備えたいわゆる単板の撮像装置、いわゆる単板の撮像素子を通じて取り込まれた画像信号の色ノイズを低減させる方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備えたCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子が1つ用いられた、いわゆる単板のデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置では、通常、固体撮像素子からの画像信号に対していくつかの処理を行って画像を生成する。
【0003】
例えば、固体撮像素子のカラーフィルタの色コーディングがベイヤー(Bayer)配列のとき、各画素はR(赤)/G(緑)/B(青)のうち1つの色情報しか持っていない。すなわち、ベイヤー配列は、水平方向にRGRG…のように、RとGとが交互に並べられたラインと、水平方向にGBGB…のように、GとBとが交互に並べられたラインとが、垂直方向に交互に配置にされたものであり、G:B:Rの比率が2:1:1とされたものである。
【0004】
そのため、画像を構成する全ての画素毎に、R/G/Bの3原色信号が必要になるが、各画素において、存在しない色情報(色信号)については、周囲の画素から補間して、各画素毎にR/G/Bそれぞれの色情報を生成する必要がある。このように、画素毎に1つの色情報しか存在しないRaw画像データ(撮像素子から得られた状態の画像データ)から、各画素毎にR/G/Bの3つの色情報(3原色信号)を生成する処理をデモザイク処理(同時化処理)と呼ぶ。
【0005】
そして、デモザイク処理後に全画素について揃ったR/G/B信号を、Y/C変換することにより、輝度信号(Y)と色差信号(Cb/Cr)へと変換し、これら輝度信号(Y)と色差信号(Cb/Cr)からなる画像信号から表示用の画像が形成されたり、これら輝度信号(Y)と色差信号(Cb/Cr)からなる画像信号が記録媒体に記録されたりすることになる。
【0006】
近年の固体撮像素子の画素サイズの微小化に伴いS/N(Signal to Noise ratio)が悪化し、画像上のノイズが問題になってきている。カラー画像のノイズは、輝度信号成分のノイズである輝度ノイズと色差信号成分のノイズである色ノイズに分類され、色ノイズを低減することで画質を向上できることが知られている。
【0007】
例えば、デジタルスチルカメラに関して、後に記す特許文献1には、ノイズリダクション処理に適切な画素範囲を選択し、この選択した周辺画素を用いてノイズリダクション処理することにより、Raw画像データの段階で効率よくノイズを除去する方法が開示さている。
【0008】
また、後に記す特許文献2には、エッジの延長方向に沿った所定範囲の画素値を用いて注目画素の画素値を補間演算処理することにより、デモザイク処理等において、エッジを精度良く再現する方法が開示されている。
【0009】
しかし、Raw画像データの段階で色ノイズを除去するようにすると、輝度信号成分にまで影響を与え、各色信号の輝度値までも変化してしまうという問題がある。その結果、エッジ部分等が誤った色で表示され、著しく画質が劣化する場合があると考えられる。
【0010】
このため、色を表す色差信号はY(輝度)/C(色)変換後に生成されるので、色ノイズ低減処理をY/C変換後に行う手法が一般的に行われている。しかし、デモザイク処理前にはインパルス状だった色ノイズが、デモザイク処理での補間処理やアパーチャ補正などその他の処理によって複雑なフィルタを通るため、Y/C変換された信号では色ノイズの特性が変化してしまう(インパルス状で無くなる)。このようにノイズ信号の特性が変化すると、ノイズ信号成分と絵柄信号成分の分離が難しくなり、色ノイズをきれいに消すことができないという問題が生じている。
【0011】
なお、上述した特許文献1、2の所在は以下の通りである。
【特許文献1】特開2005−311455号公報
【特許文献2】特開2004−221838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したデモザイク処理後にY/C変換された信号では色ノイズの特性が変化してしまい、色ノイズをきれいに消すことができないという問題を解決する手法として、本出願人の他の特許出願である特願2006−338233号において、色ノイズの特性が変化する可能性のあるデモザイク処理前に色ノイズ低減処理を行う手法が提案されている。
【0013】
この出願に係る手法は、固体撮像素子の出力信号であるRaw状態の画像信号(Raw画像信号)から色ノイズの特性が変化しないように、画像の相関のある方向などの判別を行わない簡易的なデモザイク処理を行って色差信号を生成し、生成された色差信号に対してノイズ低減処理を行った後、再びRaw状態の画像信号に戻し、その後画像の相関のある方向などの判別を行う通常のデモザイク処理を行うというものである。
【0014】
当該手法を用いることにより、通常のデモザイク処理(本来行われるべきデモザイク処理)の前に色ノイズを除去することが可能となり、当該手法は、画質の向上を図る上で非常に有効なものである。しかしながら、当該手法の場合、通常のカメラ信号処理に対して、簡易的なデモザイク処理と、輝度信号と色ノイズ低減処理後の色差信号とをRaw状態の信号へ戻す処理が余分に必要となる。
【0015】
すなわち、当該手法は、ハードウェア資源の機能、性能、容量などのいわゆるリソースに余裕のある高性能の撮像装置においては特に有効な手法である。しかし、できれば、リソースを考慮することなく、種々の撮像装置においても適切かつ迅速に色ノイズを低減させることができるようにしたいとする要求がある。
【0016】
また、当該手法の場合、ノイズ低減前に追加された簡易的なデモザイク処理で生成された色差信号と、ノイズ低減後に存在する通常のデモザイク処理後に生成された色差信号とが異なる。このため、理論的に考えると、簡易的なデモザイク後の色差信号で色ノイズ低減を行っても、最終的な画像の色差信号となる通常のデモザイク処理後の色差信号で見ると色ノイズが十分に抑圧されていないということが発生する可能性あると考えられる。このため、より精度良く、色ノイズを低減できるようにしたいとする要求がある。
【0017】
以上のことに鑑み、この発明は、リソースに依存することなく、複数の色の色信号からなる画像信号から色ノイズ成分を迅速かつ効果的に低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の撮像装置は、
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理手段とを備えた撮像装置であって、
前記デモザイク処理手段は、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減部と
を備えることを特徴とする。
【0019】
この請求項1に記載の発明の撮像装置によれば、撮像素子を通じて取り込まれた複数の色の色信号からなる画像信号(Raw画像信号)が、デモザイク処理手段によりデモザイク処理されることにより、画像を形成する全ての画素毎に、複数の色のそれぞれの色信号が形成するようにされる。
【0020】
当該デモザイク処理手段においては、まず、生成部において、処理対象の画像信号の目的色信号(例えば、R(赤)色信号、B(青)色信号)と、他の色信号(例えば、G(緑)色信号)と演算することにより、色関連信号(例えば、色差信号あるいは色比信号)が生成される。この生成手段により生成された色関連信号に対して、ノイズ低減部においてノイズ低減処理(色ノイズの低減処理)が施される。このようにして、色ノイズが低減するようにされた色関連信号が用いられて、デモザイク処理がなされる。
【0021】
これにより、デモザイク処理の過程において生成される色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことができるので、ノイズ低減部を除いては、新たなに追加すべきハードウェアは必要なく、迅速に色ノイズの低減を行うことができるようにされる。しかも、デモザイク処理の過程において色ノイズの低減処理を行うことができるので、最も効果的に色ノイズを低減させることができるようにされる。
【発明の効果】
【0022】
複数の色の色信号からなる画像信号から色ノイズ成分を迅速かつ最も効果的に低減させることができる。すなわち、色ノイズを効果的に抑圧できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。なお、この発明は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話端末などの携帯電子機器に搭載されるカメラモジュール、イメージリーダ、スキャナなどの種々の画像処理装置に適用可能なものである。
【0024】
しかし、以下に説明する実施の形態においては説明を簡単にするため、動画像データの撮影が可能なデジタルビデオカメラ(撮像装置)に適用した場合を例にして説明する。また、以下に説明する撮像装置は、動画像と共に、音声についても取り込んで記録するなどすることができるものであるが、以下の実施の形態においては、説明を簡単にするため、音声信号の処理系についての説明は省略する。
【0025】
[第1の実施の形態]
[撮像装置の構成例について]
図1は、この発明による装置、方法、プログラムの一実施の形態が適用された、この実施の形態の撮像装置100を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の撮像装置は、画像信号の処理系として、レンズ部101、撮像素子部102、アナログゲイン調整部(図1においてはアナログゲインと記載。)103、A/D(Analog/Digital)変換器104、検波処理部105、カメラ信号処理部106、表示処理部107、表示部108を備えると共に、制御部110、キー操作部121、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)122、外部入出力端子123、記録再生処理部124、記録媒体125を備えたものである。
【0026】
制御部110は、この実施の形態の撮像装置100の各部を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)123、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)114が、CPUバス115を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
【0027】
ここで、CPU111は、後述もするROM112に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して各部に供給したり、各部からの信号を受け付けて、これを処理したりするなど、制御の主体となるものである。ROM112は、上述もしたように、CPU111によって実行されるプログラムや処理に必要になる各種のデータ等が予め記録されたものである。
【0028】
RAM113は、各種の処理の途中結果を一時記憶するなど、いわゆる作業領域として用いられるものである。EEPROM114は、いわゆる不揮発性メモリであり、例えば、各種の設定パラメータ、機能追加のために新たに提供されたプログラム等のこの実施の形態の撮像装置100の電源が落とされても保持しておくべき種々の情報を記憶保持するものである。
【0029】
また、キー操作部121は、例えば、録画スタンバイキー、録画開始キー、録画停止キー、望遠機能の調整キー、その他の各種の調整キーやファンクションキーなどを備え、ユーザーからの操作入力を受け付けて、当該操作入力を電気信号に変換し、これを制御部110に供給することができるものである。これにより、制御部110は、キー操作部121を通じて供給を受けたユーザーからの指示入力に応じて、この撮像装置100の各部を制御し、ユーザーの意図する処理を行うことができるようにされる。
【0030】
外部I/F122及び入出力端子123は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc)1394規格やUSB(Universal Serial Bus)規格等に合致したものである。これら外部I/F122及び入出力端子123に対しては、同じ規格のインターフェースを備える例えばパーソナルコンピュータやPVR(Personal Video Recorder)等の外部機器を接続することができるようにされる。
【0031】
記録再生処理部124は、制御部110の制御に応じて、これに供給された画像データを記録媒体125に記録したり、また、記録媒体125に記録されている画像データを読み出して、制御部110を通じて表示処理部107に供給して再生するようにしたりするなどのことができるものである。
【0032】
また、記録媒体125は、この実施の形態の撮像装置100においての主記録媒体であり、例えば、内蔵された半導体メモリ、半導体メモリが用いられ着脱可能とされたメモリカード、内蔵された小型のハードディスク、着脱可能とされた光ディスクなどのディスク記録媒体、着脱可能とされた磁気テープなどである。この実施の形態の撮像装置100において、記録媒体125は、例えば、内蔵された小型のハードディスクである。
【0033】
なお、記録媒体125に記録される画像データは、所定のデータ圧縮方式により圧縮処理されて記録され、また、記録媒体125から読み出された画像データは、当該所定のデータ圧縮方式に従って伸張処理されるが、データの圧縮処理や伸張処理は、図示しない圧縮/伸張処理部において行うようにされる。また、このような、画像データの圧縮/伸張機能を、記録再生処理部124に設けるようにすることも可能である。
【0034】
そして、この実施の形態の撮像装置100においては、画像信号の処理系を通じて、撮影することにより取り込んだ被写体の画像を表示部108の表示素子の表示画面に表示して確認しながら撮影を行い、撮影することにより得た画像信号(動画像信号)を記録媒体125に記録する記録機能と、記録媒体125に記録されている画像信号を読み出して、これを表示部108の表示素子の表示画面に表示するようにしたり、あるいは、外部I/F122及び入出力端子123を通じて外部機器に供給したりする再生機能とを有するものである。
【0035】
[記録機能(撮影機能)および再生機能について]
まず、この実施の形態の撮像装置100の記録機能について説明する。図1に示すように、画像信号の処理系を構成する、レンズ部101、撮像素子部102、アナログゲイン調整部103、A/D変換器104、検波処理部105、カメラ信号処理部106、表示処理部107、表示部108のそれぞれは、共通のCPUバス115を通じて接続されている。
【0036】
そして、画像信号の処理系を構成する各処理部間のデータのやり取りは、基本的には、共通のCPUバス115を通じて行われる。ただし、CPUバス115を経由せず、処理部間で直接データをやり取りする場合もある。処理部同士でCPUバス115を経由せずに直接接続しデータの転送を行う場合は、それをひとつの処理部と見做すこともできる。
【0037】
そして、キー操作部121を通じて、動画像の撮影を行うことが指示されると、制御部110が各部を制御して動画像の撮影処理を開始する。この場合、レンズ部101を通じて撮像素子部102の固体撮像素子の結像面に結像された被写体の画像は、順次に当該固体撮像素子により電気信号(アナログ動画像信号)に変換されて、アナログゲイン調整部103に供給される。ここで撮像素子部102に設けられている固体撮像素子は、例えばCCDセンサやCMOSセンサなどである。
【0038】
アナログゲイン調整部103供給されたアナログ動画像信号は、ここで当該アナログ動画像信号のゲイン(利得)が所定のレベルとなるようにゲイン調整された後に、A/D変換記104に供給される。そして、A/D変換器104に供給されたアナログ動画像信号は、ここでデジタル動画像信号(デジタルRaw動画像データ)に変換され、検波処理部105に供給される。なお、デジタルRaw動画像データは、現像処理されていないままのデジタル動画像データを意味し、撮像素子部2からのアナログ動画像信号がデジタル信号に変換された状態の画像信号である。
【0039】
検波処理部105は、これに供給されたRaw動画像データに基づいて、露出調整処理のためのパラメータやホワイトバランス調整処理のためのパラメータなど、後段で行う種々の画像処理のための現像パラメータの集まり(現像パラメータ群)Pmを生成し、この生成した現像パラメータ群を、制御部110を通じてカメラ信号処理部106に供給すると共に、Raw動画像データも、カメラ信号処理部106に供給する。
【0040】
カメラ信号処理部106では、詳しくは後述するが、黒レベル合わせ処理、ホワイトバランス調整処理、画素毎にRGBデータ(3原色データ)を生成するデモザイク処理(同時化処理)、アパーチャ補正処理、ガンマ(γ)補正処理、輝度信号(Y)と色差信号(C)への変換処理(Y/C変換処理)、解像度変換処理などを行って、輝度信号および色差信号(以下、YC信号と略称する)を形成する。
【0041】
カメラ信号処理部106で形成されたYC信号は、表示処理部107に供給され、ここで表示部108に供給する形式の動画像信号に変換されて表示部108に供給される。これにより表示部108の表示素子の表示画面には、撮影するようにされた被写体の動画像が表示するようにされる。
【0042】
同時に、カメラ信号処理部106で形成されたYC信号は、例えば図示しない圧縮/伸張処理部において、圧縮処理された後、記録再生処理部124に供給される。記録再生処理部124は、これに供給された画像データを、自機に搭載されている記録媒体125に読み出し可能なように記録する。
【0043】
なお、表示部108は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electroluminescence Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)などの表示素子を備え、上述したように、表示処理部からの動画像信号の供給を受けて、これに応じた動画像を自己の表示素子の表示画面に表示することができるものである。
【0044】
このように、この実施の形態の撮像装置100は、表示部108に搭載されている表示素子の表示画面に表示される被写体の動画像を確認しながら撮影を行い、撮影することにより得た動画像データを記録媒体125に記録することができるものである。なお、撮影することにより得た動画像データを記録媒体125に記録する場合には、上述もしたように、当該動画像データは、例えば図示しない圧縮/伸張処理部においてデータ圧縮された後に、記録再生処理部124を通じて記録媒体125に記録される。
【0045】
次に、この実施の形態の撮像装置100の再生機能について説明する。キー操作部121を通じて、記録媒体125に記録された動画像データを再生することの指示入力を受け付けると、制御部110は、記録再生処理部124を制御し、再生するように指示された動画像データを読み出し、例えば図示しない圧縮/伸張処理部に供給する。そして、当該圧縮/伸張処理部において伸張処理することにより、データ圧縮前の元の動画像データを復元し、これを制御部110を通じて表示処理部107に供給する。
【0046】
そして、表示処理部107においては、伸張処理されて復元された動画像データを、表示部108に供給する形式の動画像信号に変換して表示部108に供給する。これにより表示部108の表示素子の表示画面には、記録媒体125から読み出された動画像データに応じた動画像が表示するようにされる。
【0047】
また、同時に、圧縮されたままの動画像データは、あるいは、図示しない圧縮/伸張処理部において伸張処理されて、データ圧縮前の元の動画像データに復元された動画像データは、外部I/F122及び入出力端子123を通じて、これに接続された外部機器に供給し、当該外部機器において利用するようにすることもできるようにされる。
【0048】
このように、この実施の形態の撮像装置100は、撮影することにより得た動画像データを記録媒体125に記録したり、また、記録媒体125に記録した動画像データを再生して利用したりすることができるものである。そして、この実施の形態の撮像装置100は、色ノイズを効果的に低減させるようにするために、ノイズ低減専用のデモザイク処理等の負荷の大きな処理を増加させること無く、既存のカメラ信号処理の中で、最も効果的に色ノイズを低減させることができるようにしている。
【0049】
[カメラ信号処理部106について]
次に、図1に示したこの実施の形態の撮像装置100のカメラ信号処理部106の構成例について説明する。図2は、この実施の形態の撮像装置100に搭載されたカメラ信号処理部106の構成例を説明するためのブロック図である。
【0050】
図2に示すように、この実施の形態のカメラ信号処理部106は、黒レベル合わせ部1061、WB(ホワイトバランス)調整部1062、デモザイク処理部1063、アパーチャ補正部1064、ガンマ補正部1065、Y/C変換部1066、解像度変換部1067を備えたものである。
【0051】
上述もしたように、検波処理部105からのRaw動画像データは、カメラ信号処理部106の黒レベル合わせ部1061に供給される。撮像装置における黒レベルは、撮像素子の撮像面を完全に遮光した場合の当該撮像素子からの画像出力を意味する。しかし、例えば、撮像素子より後段の回路の影響等により、オフセット成分が混入するなどして、黒レベルが正確に表現できなくなり、画像が適切に形成できなくなる場合がある。このような場合を防止するために、黒レベル合わせ部1061は、検波処理部105からの出力値に基づいて、これに供給されるRaw動画像データの黒レベルの調整処理を行う。黒レベルが調整されたRaw画像データは、WB調整部1062に供給される。
【0052】
撮像装置を用いて被写体を撮影する場合、撮影時における光の種類(例えば、太陽光や蛍光灯など)により同じ被写体であってもその色合いは異なったものとなる。しかし、人間の目には白いものを常に白として認識しようとする習性が有る。そこで、WB調整部1062は、検波処理部105からのパラメータに基づいて、画像全体の色のバランス(具体的には、R(赤)とB(青)のバランス)を調整し、白いものは常に白いものとして表現できるようにしている。ホワイトバランスが調整されたRaw動画像データは、デモザイク処理部1063に供給される。
【0053】
デモザイク処理部1063は、撮像素子で用いられている色フィルタに応じて、画素毎に異なる色信号が用いられて形成されたRaw動画像データから、画像を形成する画素毎に必要となる色信号の全部、この実施の形態の撮像装置の場合には、R、G、Bの3原色信号を形成する処理を行うものである。
【0054】
そして、この実施の形態のデモザイク処理部1063は、詳しくは後述するが、デモザイク処理の過程において、色ノイズの低減処理を行うようにし、上述もしたように、ノイズ低減専用のデモザイク処理等の負荷の大きな処理を増加させること無く、既存のカメラ信号処理の中で、最も効果的に色ノイズを低減させることができるようにしている。そして、デモザイク処理部1063において形成されたR、G、Bの3原色信号(3原色データ)は、アパーチャ補正部1064に供給される。
【0055】
アパーチャ補正部1064は、これに供給される3原色データに対して、輪郭強調処理を施すことにより、画像をはっきりとシャープなものとなるようにする処理を行う。この実施の形態の撮像装置の場合には、例えば操作部121を通じて受け付けるユーザーからの指示入力に応じた制御部110からの制御信号により、輪郭強調の度合い(レベル)を調整することができ、画像をシャープなイメージに形成することも、また、ソフトなイメージに形成することもできるようにしている。アパーチャ補正部1064からの3原色データは、ガンマ補正部1065に供給される。
【0056】
ガンマ補正部1065は、これに供給された動画像データ(3原色データ)と、これが実際に出力される際の信号の相対関係を調節して、より自然に近い色合いの画像を得るようにする処理を行う。すなわち、ガンマ(γ)値は、画像の明るさの変化に対する電圧換算値の変化の比を意味し、これが値「1」に近づくのが理想であるが、用いられる素子の特性等により変化してしまう場合がある。このため、ガンマ補正部1065において、これに供給される動画像データのガンマ値の誤差を補正し、当該ガンマ値が値「1」に近くなるように補正する処理を行う。ガンマ補正部1065において処理された動画像データ(3原色データ)は、Y/C変換部1066に供給される。
【0057】
Y/C変換部1066は、これに供給された動画像データ(3原色データ)を、所定の計算式に従って、輝度信号(Y)と色差信号(Cb、Cr)に変換し、変換後の輝度信号(Y)と色差信号(Cb、Cr)からなるYC信号(YCデータ)を解像度変換部1067に供給する。
【0058】
解像度変換部1067は、これに供給されたYCデータに対して画像のスケーリングを行う。すなわち、解像度変換部1067は、これに供給されたYCデータについて間引き処理や補間処理を施すことにより、所定の解像度のYCデータを形成し、これを出力する。この解像度変換部1067から出力されたYCデータに応じた画像が、図1に示した表示処理部107を通じて表示部108に表示され、また、データ圧縮処理された後に、記録再生処理部124を通じて記録媒体125に記録されることになる。
【0059】
このように、カメラ信号処理部106においては、撮像素子部102を通じて撮影するようにした被写体のRaw動画像データに対して、上述したように種々の信号処理を施し、最終的に、表示や記録の対象となる目的とする解像度のYCデータを形成して出力することができるようにしている。そして、この実施の形態のカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063においては、以下に詳述するように、色ノイズの低減処理をも行うようにしている。
【0060】
[デモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要(ベイヤー配列の場合)]
図3は、この実施の形態の図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第1の構成例とその処理の概要とを説明するためのブロック図である。図3に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、G(緑)信号補間部(図3においてはG補間部と記載。)631と、色差生成部632と、色差補間部633と、G(緑)信号足し戻し部(図3においてはG足し戻し部と記載。)634とを備えたものである。
【0061】
なお、ここでは、撮像素子部102の固体撮像素子の色フィルタ(カラーフィルタ)の色コーディングがベイヤー配列である場合を例にして説明する。したがって、デモザイク処理部1063には、図3(1)に示すように、水平方向にRGRG…のように、水平方向の画素毎にRとGとが交互に並べられたラインと、水平方向にGBGB…のように、水平方向の画素毎に、GとBとが交互に並べられたラインとが、垂直方向に交互に配置にされたベイヤー配列にしたがったRaw動画像データが供給される。より具体的には、図3(1)のような配列のRaw動画像データが、各画面(フレーム)毎に、各画素R(赤)/G(緑)/B(青)のいずれか一色ずつの色信号(色データ)としてデモザイク処理部1063に入力され、G補間部631と、色差生成部632に供給される。
【0062】
図3(1)に示したように、ベイヤー配列の場合に市松状に存在するG信号に関しては、G補間部631により、G信号が存在しない画素上に周辺のG信号の存在する画素から相関を見てG信号を補間生成する。これにより、G補間部631からは、図3(2)に示すように、画像を構成する画素毎にG信号が形成されて出力される。
【0063】
また、R信号とB信号とに関しては、色差生成部632により、周辺の画素の色信号を用いて、R信号の画素上に色差信号であるR−G信号を生成し、B信号の画素上に色差信号であるB−G信号を生成する。これにより、色差生成部632からは、図3(3)に示すように、R信号の画素上に生成されたR−G信号と、B信号の画素上に生成されたB−G信号とが出力される。
【0064】
そして、色差生成部632から出力されたR−G信号とB−G信号とは、色差補間部633に供給される。色差補間部633は、これに供給されたR−G信号とB−G信号とから、既にR−G信号、B−G信号が生成されていない画素に、図3(4A)、(4B)に示すように、色差信号であるR−G信号とB−G信号とを補間生成する。
【0065】
これにより、色差補間部633からは、図3(4A)、(4B)に示すように、画像を形成する各画素毎に形成されたR−G信号とB−G信号が出力される。そして、色差補間部633から出力されたR−G信号、B−G信号は、G足し戻し部634に供給される。
【0066】
G足し戻し部634は、色差補間部633から出力された全画素揃った色差信号(R−G信号、B−G信号)に対して、G補間部631から出力されたG信号を加算処理することにより、全画素揃ったR信号とB信号とが生成される。これにより、G足し戻し部634からは、図3(5A)、(5B)に示すように、画像を構成する画素毎に形成されたR信号とB信号とが出力される。
【0067】
これにより、デモザイク処理部1063からは、G補間部631からの全画素揃ったG信号と、G足し戻し部634からの全画素揃ったR信号とB信号とが出力される。すなわち、画像を構成する全画素のそれぞれ毎に、RGBの3原色信号が出力するようにされる。そして、このようなデモザイク処理が、フレーム毎に行われ、Raw動画像データが、RGB動画像データに変換されることになる。
【0068】
なお、G補間部631での補間処理、色差生成部632での色差生成処理、色差補間部633での補間処理については、目的とする信号を生成可能な種々の方法を用いることができる。すなわち、目的とする信号を生成するために、用いる周辺画素の範囲や、目的する信号を生成するための計算ロジックなどについては、種々のものを用いることができる。
【0069】
そして、上述したように、この実施の形態のデモザイク処理部1063においては、R信号とB信号とを直接生成せず、色差信号を介在させてR信号とB信号とを生成するようにしている。このようにするのは、G信号をも考慮できるようにして、より正確に画像の色彩を再現できるようにするためである。すなわち、間違った色を作らないようにするためである。この色差信号を用いる点について図4、図5を用いて説明する。
【0070】
まず、ベイヤー配列のRawデータから、G信号、R信号、B信号が存在しない画素について、近隣の画素の色信号から直接に補間処理によりG信号、R信号、B信号のそれぞれを生成する場合について考える。
【0071】
図4は、ベイヤー配列の色フィルタの固体撮像素子を通じて取り込まれた1フレーム分のRaw動画像データからG信号だけでなく、R信号及びB信号についても直接に補間処理により生成する場合について説明するための図である。ここでは、無彩色(白黒の縦縞模様)の画像を形成するRaw動画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0072】
図4(A)に示すように、ベイヤー配列の無彩色(白黒の縦縞模様)のRawデータがあるとする。このRawデータによって形成される画像イメージは、図4(B)に示すように、垂直方向の1ライン毎(1列毎)に白色のラインと黒色のラインとが交互に存在する画像となる。すなわち、R、G、Bの各色信号の割合を、「0」〜「100」で表すものとすれば、R、G、Bの各色信号のそれぞれの信号の割合が値「100」である垂直方向のラインが白色のラインであり、R、G、Bの各色信号のそれぞれの信号の割合が値「0」である垂直方向のラインが黒色のラインである。
【0073】
このようなRaw画像データから、画像を形成する全ての画素毎に、R、G、Bの各色信号をデモザイク処理により形成する。G信号については、図4(A)を見ても分かるように、垂直方向の各ライン(各列)には、G信号が必ず存在するので、垂直方向の各ラインのG信号に基づいて、図4(C)に示すように、白色のライン部分では割合が値「100」となり、黒色のライン部分では割合が値「0」となるG信号を適切に生成することが可能である。
【0074】
そして、ここでは、色差信号を用いずに、R信号とB信号とについても直接に補間処理により形成することを考える。R信号とB信号とは、図4(A)を見ても分かるように、垂直方向の1ラインおきにしか存在しない。
【0075】
このため、図4(A)のように色信号が存在するRawデータの場合、近隣の画素に存在するR信号に基づいて、R信号が存在しない画素にR信号を補間生成すると、図4(D)に示すように、本来、R信号が存在しない垂直方向のラインの画素にまで割合が値「100」となるR信号が補間生成されてしまう。
【0076】
また、図4(A)のように色信号が存在するRawデータの場合、近隣の画素に存在するB信号に基づいて、B信号が存在しない画素にB信号を補間生成すると、図4(E)に示すように、割合が値「0」となるB信号が補間生成されてしまう。つまり、本来、割合が値「100」としてB信号が生成されるべき画素についても割合が値「0」のB信号が補間生成されてしまう。
【0077】
この場合、白色のライン部分について適切にB信号を生成することができないので、白色を本来の適正な白色として表現できなくなる。また、黒色のライン部分については割合が「100」のR信号が生成されてしまうので、黒色を本来の適正な黒色として表現できなくなる。したがって、R信号やB信号が存在しない画素に対して、周囲の画素のR信号、B信号を用いてR信号、B信号を直接に補間処理して生成した場合には、画像を本来の色彩で表現することができなくなってしまう場合がある。
【0078】
次に、ベイヤー配列のRawデータから、G信号が存在しない画素については、近隣の画素のG信号から直接に補間処理によりG信号を生成するが、R信号、B信号が存在しない画素については、まず、色差信号を生成し、この色差信号の状態で補間処理を行った上で、R信号、B信号を生成する場合について考える。
【0079】
図5は、ベイヤー配列の色フィルタの固体撮像素子を通じて取り込まれた1フレーム分のRaw動画像データからG信号については直接補間処理により、R信号及びB信号については、色差信号を介在させて生成する場合について説明するための図である。この図5に示す場合も、図4に示した場合と同様に、無彩色(白黒の縦縞模様)の画像を形成するRaw動画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0080】
また、色差信号を介在させてR信号、B信号を生成する場合、R信号については色差信号であるR−G信号を用い、B信号については色差信号であるB−G信号を用いることになるが、いずれの場合もほぼ同じ処理であるので、以下においては、説明を簡単にするため、R−G信号を用いてR信号を生成する場合を例にして説明する。
【0081】
そして、図4(A)、(B)を用いて説明した場合と同様に、図5(A)に示すように、ベイヤー配列の無彩色(白黒の縦縞模様)のRawデータがあるとする。このRawデータによって形成される画像イメージは、図5(B)に示すように、垂直方向の1ライン毎(1列毎)に白色のラインと黒色のラインとが交互に存在する画像となる。
【0082】
すなわち、図4(B)を用いて説明した場合と同様に、図5(B)の場合にも、R、G、Bの各色信号の割合を、「0」〜「100」で表すものとすれば、R、G、Bの各色信号のそれぞれの割合が値「100」である垂直方向のラインが白色のラインであり、R、G、Bの各色信号のそれぞれの割合が値「0」である垂直方向のラインが黒色のラインである。
【0083】
このようなRaw画像データから、画像を形成する全ての画素毎に、R、G、Bの各色信号をデモザイク処理により形成する。G信号については、図5(A)を見ても分かるように、垂直方向の各ライン(各列)には、G信号が存在するので、垂直方向の各ラインのG信号に基づいて、図5(C)に示すように、白色のライン部分では割合が値「100」となり、黒色のライン部分では割合が値「0」となるG信号を適切に生成することが可能である。
【0084】
そして、R信号については、図5(A)に示したように、垂直方向の1ラインおきに存在するR信号に基づいて、図5(D)に示すように実在するR信号を認識する。図5(D)において×印が付けられた部分(画素)は、R信号が存在しない部分である。そして、図5(D)に示したように認識されるR信号と図5(C)に示したように補間生成により適正に生成されたG信号とから、図5(E)に示すように、色差信号であるR−G信号を生成する。
【0085】
図5(E)において、×印が付けられた部分(画素)は、R信号が存在しないために、R−G信号を直接に生成できなかった部分である。このため、図5(E)に示したように、適正に生成されたR−G信号から、図5(F)に示すように、×印をつけて示したR−G信号が直接に生成できない部分(画素)について、R−G信号を補間生成する。この場合、図5(E)に示したように、実在するR信号とG信号とに基づいて、R−G信号が生成されているので、これから補間生成される図5(F)に示すR−G信号も適切なものである。
【0086】
最後に、図5(F)のように生成されたR−G信号に対して、図5(C)のように生成されたG信号を足し戻すことにより、図5(G)に示すように、白色のライン部分では割合が値「100」となり、黒色のライン部分では割合が値「0」となるR信号を適切に生成することができる。
【0087】
そして、図4を用いて説明したように、ベイヤー配列のRawデータから、G信号だけでなく、R信号、B信号についても直接に補間処理により生成するようにした場合には、迅速にR信号、B信号を、画像を構成する各画素について生成することが可能であるが、色彩の正確性は損なわれてしまう。これに対して、図5を用いて説明したように、ベイヤー配列のRawデータから、R信号、B信号については、色差信号を介在させて、R信号、B信号を生成するようにした場合には、処理に若干の手間がかかるが、色彩の正確性を高く保持することが可能となる。
【0088】
このため、図3を用いて説明したように、この実施の形態の撮像装置100のデモザイク処理部1063においては、ベイヤー配列のRaw動画像データから、画像を構成する画素毎にRGBの3原色信号を生成する場合に、R信号とB信号については、色差信号を用いて生成するようにしているのである。
【0089】
そして、この実施の形態の撮像装置のデモザイク処理部1063においては、ベイヤー配列のRaw動画像データが、G信号と、色差信号であるR−G信号、B−G信号に変換された段階で、色ノイズ成分を除去する構成を備えることにより、デモザイク処理の過程において効果的に色ノイズ成分を低減させることができるようにしている。
【0090】
[デモザイク処理部1063の構成例]
図6は、この第1の実施の形態のノイズ低減処理部635が設けられたデモザイク処理部1063の第1の構成例を説明するためのブロック図である。この例のデモザイク処理部1063は、図3に示したデモザイク処理部1063の構成例の場合と同様に、G補間部631、色差生成部632、色差補間部633、G足し戻し部634を備え、図3を用いて説明したように、G信号については周辺の画素のG信号に基づいて直接に、また、R信号、B信号については、色差信号を介して、画像を形成する画素毎にRGBの3原色信号を生成するものである。
【0091】
そして、図6に示すように、この実施の形態の撮像装置100のデモザイク処理部1063は、G補間部631と色差生成部632の直後に、ノイズ低減処理部635を設け、このノイズ低減処理部635の機能により、処理対象の画像データ(この例の場合には、補間処理されることにより生成された直後のG信号、及び生成直後の色差信号であるR−G信号、B−G信号)から色ノイズ成分を低減させることができるものである。
【0092】
このように、G補間部631と色差生成部632との直後にノイズ低減処理部635を配置した場合には、詳しくは後述するが、色差信号であるR−G信号、B−G信号が生成された直後であるため、色差信号に混入している色ノイズがデモザイク処理における補間処理による複雑なフィルタがかかっておらず、色ノイズを効果的に抑圧することができるためである。
【0093】
[ノイズ低減処理部635の構成例]
図7は、図6に示したノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。図7に示すように、この例のノイズ低減処理部635は、G信号に混入しているノイズを低減させるGノイズ低減処理部6351と、色差信号に混入しているノイズを低減させる色差ノイズ低減処理部6352とを備えたものである。
【0094】
そして、G信号についてはGノイズ低減処理部6351でノイズ低減処理を行い、色差信号であるR−G信号とB−G信号とについては、色差ノイズ低減処理部6352でノイズ低減処理を行う。Gノイズ低減処理部6351、色差ノイズ低減処理部6352においては、様々な方法を用いたノイズ低減処理を行うようにすることが可能であるが、ここでは、主にイプシロンフィルタ(以下、εフィルタと記載する。)を用いる場合を例にして説明する。
【0095】
[εフィルタについて]
まず、εフィルタについて簡単に説明する。図8は、εフィルタの機能を説明するための図である。非線形フィルタの1つであるεフィルタは、絵柄のエッジ部を保持しながらノイズ抑圧を行うことができるものである。これはノイズ信号の多くは高周波で小振幅であるという性質を利用している。
【0096】
すなわち、一般に画像データに含まれてしまうノイズ信号は高周波で小振幅の信号であり、絵柄のエッジ部のような大振幅の信号ではない。そこで、εフィルタは、画像の所定の領域内において、注目画素とその周辺画素との間でレベル差分を取り、このレベル差分と予め設定される閾値とを比較してノイズの有無を判定し、フィルタ係数に応じた演算を行うことによってノイズを平滑化するようにしている。
【0097】
具体的に説明する。ここでは、図8(A)に示すように、3画素×3画素の領域を設定し、その中央の画素を注目画素Tとする場合を例にして説明する。図8(A)に示した領域の画素について、図8(B)に示すように、横軸に図8(A)の領域にしたがった画素位置(画素no)を取り、縦軸に信号レベル(差分レベル)をとって、図8(A)に示した領域の各画素の信号レベルと注目画素Tの信号レベルとの差分(レベル差分)をプロットする。なお、注目画素Tは基準となるものであるので、差分ではなく、注目画素Tの信号レベルに基づいてプロットしている。
【0098】
そして、図8(B)において、点線で示した閾値により上下方向に範囲を示したように、画像の絵柄の振幅よりも小さい閾値幅を設定し、注目画素Tとの信号レベルの差分が閾値により定められた範囲外となる画素については、絵柄による差分と判断し、その画素を注目画素Tの平滑化のためには用いないようにする。一方、注目画素Tとの信号レベルの差分(レベル差分)が、閾値により定められた範囲内となる画素については、ノイズで生じる差分と判断して、その画素を注目画素Tの平滑化のために用いるようにする。
【0099】
すなわち、図8(B)に示した例の場合、no.2の画素と注目画素Tとのレベル差分と、no.7の画素と注目画素Tとのレベル差分とは、閾値により定められた範囲外となるので、no.2の画素とno.7の画素とは、平滑化のための平均化処理の対象(加算画素の対象)としない。
【0100】
これに対して、no.1、no.3、no.4、no.5、no.6、no.8のそれぞれの画素と注目画素Tとのレベル差分は、いずれも図8(B)に示したように、閾値により定められた範囲内となるので、no.1、no.3、no.4、no.5、no.6、no.8のそれぞれの画素は、平滑化のための平均処理の対象(加算画素の対象)とする。
【0101】
したがって、図8(B)に示したように、注目画素Tとの間におけるレベル差分が、予め決められる閾値の範囲内となるno.1、no.3、no.4、no.5、no.6、no.8のそれぞれの画素は、注目画素Tの平滑化のための平均化処理の加算対象となり、注目画素Tを周辺の画素から平均化したレベルに置き換えるようにする。そして、各画素を同様に処理することで全ての画像について平滑化が実行され、各画素は、ノイズ成分が除去されて平滑化される。これにより、画像信号により形成される画像の絵柄には影響を及ぼすことなく、ノイズ成分を除去して滑らかな画像を形成(再生)することができるようにされる。
【0102】
そして、上述したように、εフィルタの場合、図8(B)を用いて説明したように、閾値に基づいて、平滑化のための平均化処理の加算対象となる画素か否かを判定するので、閾値よりも大きなエッジは保持される。すなわち、図8(C)において実線で示すように、信号レベルが大きく変化するエッジを持つ画像において、点線で示すように、ノイズレベルに合わせて閾値を設定すれば、閾値外の信号は加算対象となることは無いので、画像が持つエッジは保持して、各画素(図8(C)において黒点で示したもの)のノイズ成分のみを抑圧することができるのである。
【0103】
なお、εフィルタにおいては、注目画素に近い周辺画素ほど重み付けを重くするなどというように、注目画素についての平滑化のための平均化処理に用いる画素の信号レベルに重み付けをつけるようにしてもよい。
【0104】
[Gノイズ低減処理部6351での処理の概要]
次に、図7に示したGノイズ低減処理部6351について説明する。Gノイズ低減処理部6351には、G補間部631において補間生成された画像を構成する画素毎のG信号(図7(1))が順次に供給される。そして、Gノイズ低減処理部6351においては、上述したεフィルタを用いて、G信号に含まれるノイズ成分を除去するように処理を行い、ノイズ低減されたG信号(図7(2))を出力する。
【0105】
また、Gノイズ低減処理部6351におけるノイズ低減処理の他の方法として、LPF(Low Pass Filter)と減算回路、あるいは、HPF(High Pass Filter)と減算回路などを用いることにより、G信号を高周波側(高周波成分)と低周波側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高周波側と低周波側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0106】
この他の方法を用いることにより、例え低照度で画像信号の絵柄成分とノイズ成分の大きさが近いときであっても、処理対象の画像信号により形成される絵柄の特徴を保持しながら、孤立点を生じさせないようにノイズ抑圧(低減)を行えるようにすることができる。なお、この他の方法(高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行う方法)については、この出願の発明者による他の出願である特願2007−262875に詳細に説明されている。
【0107】
なお、G信号は、輝度成分の強い信号であり、色ノイズ成分は少ないと考えられるので、デモザイク処理部1063の中ではノイズ低減処理は行わずに、デモザイク処理前の段階においてG信号のノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、図2に示したY/C変換部1066によるY/C変換の後のY信号(輝度信号)に対してノイズ低減処理を行うようにしたりするなどの選択もできる。すなわち、図7に示したGノイズ低減処理部6351は、ノイズ低減処理部635の必須の構成要件ではなく、画像信号に含まれる色ノイズを効率的に低減させるためには、以下に詳述する色差ノイズ低減処理部6352があればよい。
【0108】
[色差ノイズ低減処理部6352での処理の概要]
次に、図7に示した色差ノイズ低減処理部6352について説明する。色差ノイズ低減処理部6352には、色差生成部632において生成された色差信号(図7(3))が供給される。すなわち、色差生成部632においては、図7(3)に示したように、R信号が存在する画素に対してはR−G信号が生成され、B信号が存在する画素に対してはB−G信号が生成されて、これがノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352に供給される。そして、色差ノイズ低減処理部6352においては、同色同士で上述したεフィルタを用いて、R−G信号、B−G信号に含まれるノイズ成分(色ノイズ成分)を除去するように処理する。
【0109】
しかし、色差信号であるR−G信号、B−G信号のみに基づいてεフィルタをかけると、絵柄のエッジ部分で色が滲んだり、色の高周波部分で色が抜けたりする場合があると考えられる。つまり、1フレームの画像の中に、例えば、オレンジ色の部分と水色の部分が隣接して存在する場合(エッジを形成している場合)に、図7(3)に示したようなR−G信号、B−G信号だけでは当該2つの異なる色の隣接部分(エッジ部分)においては、考慮すべきでない画素(異なる色の部分の画素)を平滑化のために加算対象としてしまう場合があり、色の滲みや抜けを生じさせてしまう場合があると考えられる。
【0110】
そこで、色差ノイズ低減処理部6352においては、εフィルタをかける際に、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であることだけでなく、色差信号についてレベル差分を取る周辺画素と注目画素との間でG信号についてのレベル差分をも取るようにし、当該G信号についてのレベル差分についてもノイズ閾値の範囲内にある場合に、当該周辺画素を色差信号の平均化処理の対象とするようにする。
【0111】
図9は、色差信号についてのεフィルタによる処理を説明するための図である。図7に示した色差ノイズ低減処理部6352においては、基本的に、図9(A)に示すように、色差生成部632からの色差信号であるR−G信号、B−G信号を処理対象とすればよい。しかし、上述したエッジ部分の色の滲みや抜けの問題を解消するために、図9(B)に示すように、色差信号と同じようにG信号についても、色差信号を処理する場合に対応し、注目画素と周辺画素とのレベル差分を取り、当該G信号のレベル差分が所定の閾値範囲内か否かをも、平均化のために用いる画素とするか否かの判断に用いる。
【0112】
したがって、図7において、点線の矢印で示したように、G補間部631から出力されるG信号をも色差ノイズ低減処理部6352に供給するようにし、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であり、かつ、当該周辺画素と当該注目画素のG信号のレベル差分もノイズ閾値の範囲内である場合に、当該周辺画素の色差信号を注目画素の色差信号の平滑化のために用いるようにする。
【0113】
逆に言えば、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であっても、当該周辺画素と当該注目画素のG信号のレベル差分がノイズ閾値の範囲外である場合には、当該周辺画素の色差信号を注目画素の色差信号の平滑化のためには用いないようにする。
【0114】
このように、色差信号からεフィルタを用いて色ノイズ成分を除去する場合に、G信号のレベルをも考慮することにより、高精度に色ノイズ成分を除去し、適切に画像の色を再現することができるようにされる。
【0115】
なお、G信号を考慮することなく、色差信号であるR−G信号、B−G信号だけを用いて色ノイズの低減処理を行うようにした場合にも、色ノイズを十分に除去することができるので、より画質を重要視する製品においてはG信号を考慮するようにするなど、G信号を用いるものと用いないものとを切り分けするようにしてもよい。
【0116】
また、色差ノイズ低減処理部6352において、G信号を用いるか否かを、ユーザーが選択できるようにすることもできる。この場合には、キー操作部121を通じてG信号を用いるか否かの選択入力を受け付け、これに応じて、制御部110がカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063におけるノイズ低減処理部635における処理を制御するようにすればよい。
【0117】
なお、各色のノイズの大きさは異なるため、ノイズ閾値はR−G信号、B−G信号、G信号のそれぞれで異なる値を用いるようにする。ノイズの大きさはWB調整部など前段にかかるゲインの大きさに比例するため、前段ゲインの大きさを考慮してノイズ閾値を制御することが有効である。また、R−G信号、B−G信号、G信号のそれぞれのノイズ閾値を複数、ROM112などに用意しておき、キー操作部121を通じてユーザーが選択できるようにしてもよい。また、R−G信号、B−G信号、G信号のそれぞれのノイズ閾値を、キー操作部121を通じてユーザーが設定、変更できるようにすることも可能である。
【0118】
[ノイズ低減処理部635を設ける位置の重要性について]
図6を用いて説明したように、この例のノイズ低減処理部635は、G補間部631と色差生成部632との直後に配置している。このようにするのは、上述もしたように、色差信号であるR−G信号、B−G信号が生成された直後であるため、色差信号に混入している色ノイズがデモザイク処理における補間処理による複雑なフィルタがかかっておらず、色ノイズを効果的に抑圧することができるためである。この点について、図10、図11を用いて説明する。
【0119】
図10は、色差補間前の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。すなわち、図10は、図6に示した位置に配置したノイズ低減処理部635により、色差信号から色ノイズ成分を除去する場合の概要を説明するための図であり、絵柄の変化がない平坦な部分にノイズが乗った信号の例を示している。
【0120】
図10において、上端に記載されたR、G、R、G、Rの文字は、R信号が存在する画素の位置とG信号が存在する画素の位置とを示している。したがって、R信号が存在する画素に対しては、R−G信号が形成されることになる。そして、上述もしたように、εフィルタを用いて色ノイズの除去を行う場合、注目画素Tを基準とし、その周辺の同色の色差信号とのレベル差分が、予め決められる閾値範囲内にあれば、その周辺画素は注目画素Tの平滑化のための処理に用いられる。
【0121】
したがって、図10に示すように、注目画素Tの信号レベルを基準とし、当該注目画素Tの近隣画素とのレベル差分が閾値範囲内にあるR−G信号の画素である画素R1、画素R2は、注目画素Tの平滑化のための処理に用いられる画素である。したがって、これら画素R1、画素R2を用いて、注目画素Tを平滑化すると、注目画素Tは、比較的に信号レベルの高いレベルhに位置していたものが、ノイズ低減後の注目画素T1に示すように、注目画素Tに含まれる色ノイズ成分を大幅に低減させことができる。
【0122】
これに対して、図11は、色差補間後の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。すなわち、図11は、図3、図6に示した色差補間部633の後段において、色差信号から色ノイズ成分を除去する場合の概要を説明するための図である。
【0123】
図11において、上端に記載されたR、G、R、G、Rの文字は、R信号が存在する画素の位置とG信号が存在する画素の位置とを示している。したがって、R信号が存在する画素に対しては、R−G信号が形成されることになる。そして、図3を用いて説明したように、色差補間部633では、近隣の同色の色差信号に基づいて、G信号が存在する画素に対しても、色差信号であるR−G信号を補間生成する。
【0124】
これにより、図11において、画素H1、H2が示すように、色ノイズの低減処理を施す前に、G信号が存在する画素に対しても、色差信号としてのR−G信号が補間生成される。この後に、εフィルタを用いたノイズ低減処理を行うようにすると、既に補間生成されている画素H1、H2についても、注目画素Tとのレベル差分が閾値範囲内のものとなり、これらを用いてεフィルタによるノイズ低減処理を行うと、図11に示すように、補間処理された画素H1、画素H2の影響を受けて、ノイズ低減の注目画素T1からは、多くのノイズ成分を除去することができなくなってしまう。
【0125】
そして、図10、図11を比較すると分かるように、ノイズ低減後(平滑化後)の注目画素T1と、注目画素Tの平滑化に用いられた周辺画素と、横軸とが囲む面積は、図10方が小さいことが分かる。当該面積は、残存するノイズ成分の大まかな量と考えることができ、色差補間前の色差信号に対してεフィルタによるノイズ低減処理を行うようにしたほうが、より多くの色ノイズ成分を抑圧できることが分かる。
【0126】
なお、ここでは、色差信号としてR−G信号を用いる場合を例にして説明したが、色差信号としてB−G信号を用いる場合でも同様のことが言える。
【0127】
このため、図6に示したように、この実施の形態の撮像装置においては、図6に示したように、この実施の形態の撮像装置においては、ノイズ低減処理部635を、色差生成部632の直後に配置するようにしているのである。
【0128】
[デモザイク処理部1063の第2の構成例と処理の概要(ベイヤー配列の場合)]
図12は、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第2の構成例とその処理概要とを説明するためのブロック図である。図12に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、第1色差補間部636と第2色差補間部637とが設けられた点を除けば、図3に示したデモザイク処理部1063と同様に構成されたものである。
【0129】
このため、以下においては、説明を簡単にするため、図12に示した第2のデモザイク処理部においては、図3に示した第1のデモザイク処理部1063と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については省略する。また、ここでも、撮像素子部102の固体撮像素子の色フィルタ(カラーフィルタ)の色コーディングがベイヤー配列である場合を例にして説明することは、図3に示した第1のデモザイク処理部1063の場合と同様である。
【0130】
そして、図12に示すデモザイク処理部1063の場合には、図3に示したデモザイク処理部1063の色差補間部633の機能を2つに分け、第1色差補間部636と、第2色差補間部637とによって色差補間機能を実現している。すなわち、色差信号生成部632においては、図12(3)に示すように、R信号を有する画素に対してはR−G信号を形成して出力し、B信号を有する画素に対してはB−G信号を形成して出力する。
【0131】
このように、色差生成部632で生成された色差信号であるR−G信号、B−G信号は、第1色差補間部636に供給され、ここで図12(4A)、(4B)に示すように、R−G信号が生成された画素に対しても周囲のB−G信号に基づいてB−G信号を補間生成し、また、B−G信号が生成された画素に対しても周囲のR−G信号に基づいてR−G信号を補間生成する。
【0132】
そして、第2色差補間部637では、第1色差補間部636において補間生成された色差信号(図4の(4A)、(4B))から、色差信号が存在しない画素に対して、色差信号の存在する周辺の画素からの補間処理により、色差信号であるR−G信号(図12(5A))またはB−G信号(図12(5B))を補間生成する。この後のG足し戻し部634の処理は、図3を用い説明した通りである。
【0133】
このように、色差補間部が第1色差補間部636と第2色差補間部637とに分けられた構成のデモザイク処理部1063の場合には、第1色差補間部636と第2色差補間部637との間にノイズ低減処理部を設けるようにする。
【0134】
[デモザイク処理部1063の構成例]
図13は、図12を用いて説明したように構成されるデモザイク処理部1063において、ノイズ低減処理部638を設けた場合を説明するためのブロック図である。図13に示すように、この例のデモザイク処理部1063の場合には、第1色差補間部636と第2色差補間部637との間にノイズ低減処理部638を設けるようにしたものである。
【0135】
図13に示すように、G補間処理部631の後段には回路ブロックはないので、図13に示すデモザイク処理部1063においても、G信号に対する処理は、図6に示したデモザイク処理部の場合と同様である。しかし、色差信号に対するノイズ低減処理は、図12(4A)、(4B)に示した途中まで色差信号が補間された色差信号に対して施すことになる。
【0136】
図13に示した場合のノイズ低減処理部638においては、図6に示したノイズ低減処理部635における処理と比べると、補間処理による複雑なフィルタが多少かかっている色差信号であるR−G信号、B−G信号に対してノイズ低減処理を施すことになるが、同じ画素位置に、色差信号であるR−G信号とB−G信号とが2色とも存在しているので、図6に示したノイズ低減処理部635の場合よりも、絵柄のエッジを劣化させることなく、色ノイズを効果的に抑圧することができる。
【0137】
[ノイズ低減処理部638の構成例]
図14は、図13に示したデモザイク処理部1063のノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。ノイズ低減処理部638の構成は、図7に示したノイズ低減処理部635の場合と同様に、Gノイズ低減処理部6381と、色差ノイズ低減処理部6382とからなっている。
【0138】
[Gノイズ低減処理部6381での処理の概要]
Gノイズ低減処理部6381では、図7に示したGノイズ低減処理部6351と同じ形態のG信号を処理するので、図7に示したGノイズ低減処理部6351と同じ処理を行う。すなわち、εフィルタを用いてG信号に対してノイズ低減処理を施したり、あるいは、G信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしたりすることになる。
【0139】
[色差ノイズ低減処理部6382での処理の概要]
また、色差ノイズ低減処理部6382においては、図7に示したノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352の場合と同様に、色差信号から色ノイズの低減処理を行うようにするのであるが、以下に説明するように、図7に示した色差ノイズ低減処理部6352とは、その処理の内容が若干異なる。
【0140】
すなわち、図14に示すノイズ低減処理部638の色差ノイズ低減処理部6382においては、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、R−G信号と同じ位置のB−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0141】
同様に、B−G信号のノイズを抑圧したいときに,B−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、B−G信号と同じ位置のR−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、B−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0142】
これにより、図14(3A)、(3B)に示した色差信号からは、色ノイズが抑圧された色差信号(図14(4A)、(4B))を得ることができるようにされる。
【0143】
さらに、絵柄のエッジ部分をも考慮して、より高精度にノイズ低減処理を行うようにする場合には、図14において点線矢印で示したように、G信号の信号レベルをも考慮するようにする。
【0144】
すなわち、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号と同じ位置のB−G信号とG信号とについて、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、B−G信号のノイズを抑圧する際にも、B−G信号だけでなくR−G信号とG信号とを見てεフィルタをかけるようにする。
【0145】
これにより、図7に示したノイズ低減処理部635においても説明したように、絵柄のエッジ部分において、色彩が大きく異なる不要な画素の信号成分を画素の平滑化のための処理に入れないようにすることが可能となり、色の滲みや抜けを生じさせないようにすることができる。
【0146】
このように、この第2の例のデモザイク処理部1063で用いるノイズ低減処理部638は、一般的には、図15(A)、(B)に示すように、同じ画素位置に基づく色差信号R−G信号、B−G信号を相互の色ノイズの低減処理により考慮すると共に、さらに、図15(C)に示すように、同じ画素位置に基づくG信号をも考慮することにより、R−G信号とB−G信号とのいずれの信号から色ノイズを低減される場合にも、結果として、R、G、Bの3原色の要素を考慮して、色差信号から色ノイズを高精度に抑圧することができるよういうにされる。
【0147】
[ノイズ低減処理部の変形例]
図16は、ノイズ低減処理部638の他の構成例を説明するためのブロック図である。図14に示したノイズ低減処理部638の色差ノイズ低減処理部6382においては、精度よく色ノイズを抑圧するために、平滑化の対象とするか否かを判断する場合に、注目画素の色差信号とその周辺の画素の色差信号とのレベル差分を用いるだけでなく、注目画素のG信号とその周辺のG信号とのレベル差分をも考慮し、両レベル差分が所定の閾値範囲内にある場合に、その周辺画素を注目画素の平滑化のための平均化処理に用いるようにした。
【0148】
しかし、G信号を用いた場合には、例えば黒色の部分と赤色の部分とが隣接することにより生じるエッジをエッジとして判断できない場合がある。つまり、G信号は、輝度成分が多いといっても純粋な輝度信号ではなく、黒と赤とを表現しようとすれば、G信号は同じように含まれることになり、G信号だけではエッジと判断できないのである。
【0149】
そこで、図16に示す色差ノイズ低減処理部638の他の例においては、G信号と色差信号であるR−G信号、B−G信号から輝度信号Yと色差信号Cb、Crを形成し、Y信号をも考慮して、色差信号Cb、Crについてノイズ低減処理を施した後に、輝度信号Yと色差信号Cb、Crを元のG信号と色差信号であるR−G信号、B−G信号に戻すようにしている。
【0150】
すなわち、図16に示すように、この例のノイズ低減処理部638は、G信号と色差信号であるR−G信号、B−G信号を、輝度信号Yと色差信号Cb、Crとに変換するいわゆるY/C変換を行うY/C変換部6383と、輝度信号Yのノイズ低減処理を行う輝度ノイズ低減処理部6384と、色差信号Cb、Crのノイズ低減処理を行う色差ノイズ低減処理部6385と、ノイズ低減処理された輝度信号Y、色差信号Cb、Crを、元のG信号、色差信号であるR−G信号、B−G信号に逆変換する逆Y/C変換部6386とを備えたものである。
【0151】
そして、G補間部631からのG信号(図16(1))と、色差生成部632からの色差信号であるR−G信号(図16(4A))、B−G信号(図16(4B))とが、Y/C変換部6383に供給され、ここで、輝度信号Y(図16(2))、色差信号Cb(図16(5A))、色差信号Cr(図16(5B))に変換される。そして、輝度信号Yは、輝ノイズ低減処理部6384に供給され、色差信号Cb、Crは、色差ノイズ低減処理部6385に供給される。
【0152】
輝度ノイズ低減処理部6384は、これに供給された輝度信号Yに対してノイズの低減処理を施す。ここでも、εフィルタを用いてノイズ低減処理を行ったり、Y信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行ったりする。輝度ノイズ低減処理部6384でノイズの低減処理が施された輝度信号Yは、逆Y/C変換部6386に供給される。
【0153】
色差ノイズ低減処理部6385においては、色差信号Cbのノイズを抑圧したいときに、色差信号Cbと同じ画素位置の色差信号Crと輝度信号Yの周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、色差信号Cbの周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、色差信号Crのノイズを抑圧する際にも、色差信号Crだけでなく色差信号Cbと輝度信号Yを見てεフィルタをかけるようにする。色差ノイズ低減処理部6385において低減処理された色差信号Cb、Crは、逆Y/C変換部6386に供給される。
【0154】
そして、逆Y/C変換部6386においては、これに供給されたノイズ低減処理が施された輝度信号Y及び色差信号Cb、Crから、G信号、R−G信号、B−G信号が復元されて出力するようにされる。
【0155】
なお、Y/C変換部6383における変換処理は、処理対象がSD(Standard Definition)画像信号とHD(High Definition)画像信号とでは異なる。図17は、画像信号に応じたY/C変換処理のための計算式を示す図である。すなわち、処理対象がSD画像信号の場合、図17の(1)、(2)、(3)に示した計算式に基づいて、G信号、R−G信号、B−G信号を輝度信号Y、色差信号Cb、Crに変換する。また、処理対象がHD画像信号の場合、図17の(4)、(5)、(6)に示した計算式に基づいて、G信号、R−G信号、B−G信号を輝度信号Y、色差信号Cb、Crに変換する。
【0156】
そして、図16に示した構成のノイズ低減処理部683を用いた場合には、上述もしたように、色差ノイズ低減処理部6385におけるεフィルタによる色差ノイズの抑圧処理において、輝度信号Yの周辺画素と注目画素のレベル差分が見られるのでG信号を用いた場合に比べて、絵柄のエッジを保持しながらノイズ低減を行うようにすることができる。また、最終的に色を表す色差信号Cb、Crに対してノイズ抑圧処理を施すことができるので、色ノイズの効果的な抑圧を実現することができる。
【0157】
しかも、図16に示した構成のノイズ低減処理部683は、上述もしたように、デモザイク処理部1063の内部に構成されるものであり、撮像装置の構成に大きな変更を生じさせたり、撮像装置の制御部130に大きな負荷を負わせたりすることもない。
【0158】
また、図16に示した構成のノイズ低減処理部683では、輝度信号Yについても輝度ノイズ低減処理部6384において、ノイズ低減処理を施すようにしたが、輝度信号Yのノイズ低減処理は必須の要件ではなく、最終的にY/C変換を行った後に、ノイズ低減処理を施すようにしてもよい。
【0159】
なお、図7を用いて説明したデモザイク処理部635、図14を用いて説明したデモザイク処理部638の構成からも分かるように、この発明においては、色ノイズ低減処理を行う位置が重要である。すなわち、少なくとも、色差補間処理が完全に終了するよりも前の段階、すなわち、図7を用いて説明したように、色差生成直後の位置、あるいは、図14を用いて説明したように、R信号を有する画素とB信号を有する画素のそれぞれに対して、R−G信号とB−G信号とを補間処理した直後の位置において、色差信号であるR−G信号、B−G信号からノイズを除去する処理を行うことによって、効果的に色ノイズを低減させることができる。
【0160】
また、上述した実施の形態においては、ノイズ低減処理にεフィルタを用いるようにした場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、ウェーブレット変換を用いたノイズ低減処理や、バイラテラルフィルタを用いたノイズ低減処理でも効果的に色ノイズの抑圧が可能である。
【0161】
[第2の実施の形態]
[色フィルタがクリアビッド配列の場合について]
上述した実施の形態においては、図1に示した構成の撮像装置100において、撮像素子部102の固体撮像素子の色フィルタの色コーディングがベイヤー配列である場合を例にして説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、クリアビッド(Clearvid)配列など他のコーディングの個体撮像素子を用いた場合であっても、この発明は適用可能である。
【0162】
図18は、色フィルタの色コーディングについて説明するための図である。上述もし、また、図18Aに示すように、ベイヤー配列は、水平方向にBGBG…のように、BとGとが交互に並べられたラインと、水平方向にGRGR…のように、GとRとが交互に並べられたラインとが、垂直方向に交互に配置にされたものであり、G:B:Rの比率が2:1:1とされたものである。
【0163】
これに対して、クリアビッド配列は、図18Bに示すように、ベイヤー配列の場合に比べて、1画素の面積を拡大して高感度特性を向上させると共に、画素の配列を45度回転させるようにすることにより、ハイビジョンに必要な高解像度を実現するようにしたものであり、G:B:Rの比率が、例えば、6:1:1とされたものである。このようなクリアビッド配列の色フィルタを備えた固体撮像素子を通じて取り込んだ画像データを処理する場合にも、この発明を適用することができる。
【0164】
以下に説明する第2の実施の形態においては、図18Bに示したように構成されるクリアビット配列の色フィルタが用いられた固体撮像素子を有する撮像装置のデモザイク処理部にこの発明を適用したものである。すなわち、この第2の実施の形態においても、図1、図2を用いて説明したように構成される撮像装置にこの発明が適用された場合として説明するが、撮像素子部102において用いられる固体撮像素子が、クリアビット配列の色フィルタが用いられたものである。
【0165】
[デモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要(クリアビッド配列の場合)]
図19は、図1に示した撮像装置100の撮像素子部102で用いられている固体撮像素子が、クリアビット配列の色フィルタを用いている場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図19は、クリアビット配列の画像信号を処理対象とする、この第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【0166】
図19と、図3とを比較すると分かるように、図19に示すデモザイク処理部1063は、図3に示した場合と同様に構成されるものであり、G補間部631、色差生成部632、色差補間部633、G足し戻し部634とを備えたものである。そして、図19において点線で囲んで示した位置Aに、すなわち、G補間部631、及び色差生成部632の直後に、ノイズ低減処理部635を配置するようにしたものである。
【0167】
そして、図19に示すように、入力される画像データがクリアビッド配列の画像データであるために、それぞれの処理部において、処理の対象となる信号の形式が図3のデモザイク処理部1063で処理の対象となったものと若干異なってくる。すなわち、デモザイク処理部1063のG補間部631と色差生成部632には、図19(1)に示すように、クリアビット配列の画像データが供給される。
【0168】
そして、G補間部631においては、図19(1)に示した配列の画像データのG信号に基づいて、図19(2)に示すように、画像を構成する各画素のG信号を補間生成して出力する。また、色差生成部632においては、図19(1)に示した配列の画像データから、図19(3)に示すように、R信号を有する画素に色差信号であるR−G信号を生成し、B信号を有する画素に色差信号であるB−G信号を生成する。
【0169】
そして、G補間部631からのG信号と、色差生成部632からのR−G信号、B−G信号とは、後述するように、図19の位置Aに配置されるノイズ低減処理部635においてノイズ低減処理される。この後、ノイズ低減処理されたR−G信号、B−G信号は、色差補間処理部633に供給される。
【0170】
色差補間処理部633は、これに供給される図19(3)に示した色差信号に基づいて、画像を構成する画素毎にR−G信号(図19(4A))、B−G信号(図19(4B))を生成して、これをG足し戻し部634に供給する。G足し戻し部634は、色差補間部633からのR−G信号(図19(4A))、B−G信号(図19(4B))に対して、後述するノイズ低減処理部635からのG信号が足し戻しする処理を行い、画像を構成する画素毎に、R信号、B信号を形成して出力する。これにより、図19に示すデモザイク処理部1063からは、画像を形成する画素毎に形成されたG信号(図19(2))、R信号(図19(5A))、B信号(図19(5B))が出力される。
【0171】
[ノイズ低減処理部635の構成例]
図20は、図19に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。図20に示すように、この例のノイズ低減処理部635は、G信号に混入しているノイズを低減させるGノイズ低減処理部6351と、色差信号に混入しているノイズを低減させる色差ノイズ低減処理部6352とを備えたものである。すなわち、この図20に示したノイズ低減処理部635は、図7に示したノイズ低減処理部635と同様に構成されるものであるが、色差ノイズ低減処理部6352で処理される信号の形式が異なっている。
【0172】
[Gノイズ低減処理部6351での処理の概要]
Gノイズ低減処理部6351には、G補間部631において補間生成された画像を構成する画素毎のG信号(図20(1))が順次に供給される。そして、Gノイズ低減処理部6351においては、上述したεフィルタを用いて、G信号に含まれるノイズ成分を除去するように処理を行い、ノイズ低減されたG信号(図20(2))を出力する。
【0173】
また、Gノイズ低減処理部6351におけるノイズ低減処理の他の方法として、G信号を高周波側(高周波成分)と低周波側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高周波側と低周波側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0174】
この他の方法を用いることにより、例え低照度で画像信号の絵柄成分とノイズ成分の大きさが近いときであっても、処理対象の画像信号により形成される絵柄の特徴を保持しながら、孤立点を生じさせないようにノイズ抑圧(低減)を行えるようにすることができる。
【0175】
なお、この例の場合にも、G信号については、デモザイク処理部1063の中ではノイズ低減処理は行わずに、デモザイク処理前の段階においてG信号のノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、図2に示したY/C変換部1066によるY/C変換の後のY信号(輝度信号)に対してノイズ低減処理を行うようにしたりするなどの選択もできる。すなわち、図7に示したノイズ低減処理部6351は、ノイズ低減処理部635の必須の構成要件ではなく、画像信号に含まれる色ノイズを効率的に低減させるためには、以下に詳述する色差ノイズ低減処理部6352があればよい。
【0176】
[色差ノイズ低減処理部6352での処理の概要]
色差ノイズ低減処理部6352には、色差生成部632において生成された色差信号(図20(3))が供給される。すなわち、色差生成部632においては、図20(3)に示したように、R信号が存在する画素に対してはR−G信号が生成され、B信号が存在する画素に対してはB−G信号が生成されて、これがノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352に供給される。そして、色差ノイズ低減処理部6352においては、同色同士で上述したεフィルタを用いて、R−G信号、B−G信号に含まれるノイズ成分(色ノイズ成分)を除去するように処理する。
【0177】
しかし、色差信号であるR−G信号、B−G信号のみに基づいてεフィルタをかけると、絵柄のエッジ部分で色が滲んだり、色の高周波部分で色が抜けたりする場合があると考えられる。
【0178】
そこで、色差ノイズ低減処理部6352においては、εフィルタをかける際に、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であることだけでなく、色差信号についてレベル差分を取る周辺画素と注目画素との間でG信号についてのレベル差分をも取るようにし、当該G信号についてのレベル差分についてもノイズ閾値の範囲内にある場合に、当該周辺画素を色差信号の平均化処理の対象とするようにする。
【0179】
このように、色差信号からεフィルタを用いて色ノイズ成分を除去する場合に、G信号のレベルをも考慮することにより、高精度に色ノイズ成分を除去し、適切に画像の色を再現することができるようにされる。
【0180】
[デモザイク処理部1063の第2の構成例と処理の概要(クリヤビッド配列の場合)]
図21は、図1に示した撮像装置100の撮像素子部102で用いられている固体撮像素子が、クリアビット配列の色フィルタを用いている場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図21は、第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【0181】
図21に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、第1色差補間部636と第2色差補間部637とが設けられ、これらの間の位置Bにノイズ低減処理部638が設けられるようにされた点を除けば、図19に示したデモザイク処理部1063と同様に構成されたものである。ここでは、説明を簡単にするため、図21に示した第2のデモザイク処理部においては、図19に示した第1のデモザイク処理部1063と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については省略する。
【0182】
そして、図21に示すデモザイク処理部1063の場合には、図19に示したデモザイク処理部1063の色差補間部633の機能を2つに分け、第1色差補間部636と、第2色差補間部637とによって色差補間機能を実現している。すなわち、色差信号生成部632においては、図21(3)に示すように、R信号を有する画素に対してはR−G信号を形成して出力し、B信号を有する画素に対してはB−G信号を形成して出力する。
【0183】
このように、色差生成部632で生成された色差信号であるR−G信号、B−G信号は、第1色差補間部636に供給され、ここで図21(4A)、(4B)に示すように、R−G信号が生成された画素に対しても周囲のB−G信号に基づいてB−G信号を補間生成し、また、B−G信号が生成された画素に対しても周囲のR−G信号に基づいてR−G信号を補間生成する。
【0184】
そして、第2色差補間部637では、第1色差補間部636において補間生成された色差信号(図21(4A)、(4B))から、色差信号が存在しない画素に対して、色差信号の存在する周辺の画素からの補間処理により、色差信号であるR−G信号(図21(5A))、B−G信号(図12の(5B))を補間生成する。この後のG足し戻し部634の処理は、図19を用い説明した通りである。
【0185】
このように、色差補間部が第1色差補間部636と第2色差補間部637とに分けられた構成のデモザイク処理部1063の場合には、第1色差補間部636と第2色差補間部637との間にノイズ低減処理部638を設けるようにしている。
【0186】
[ノイズ低減処理部638の構成例]
図22は、図21に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。ノイズ低減処理部638の構成は、図20に示したノイズ低減処理部635の場合と同様に、Gノイズ低減処理部6381と、色差ノイズ低減処理部6382とからなっている。
【0187】
[Gノイズ低減処理部6381での処理の概要]
Gノイズ低減処理部6381では、図20に示したGノイズ低減処理部6351と同じG信号を処理するので、図20に示したGノイズ低減処理部6351と同じ処理を行う。すなわち、εフィルタを用いたり、あるいは、G信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしたりすることになる。
【0188】
[色差ノイズ低減処理部6382での処理の概要]
また、色差ノイズ低減処理部6382においては、図20に示したノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352の場合と同様に、色差信号から色ノイズの低減処理を行うようにするのであるが、以下に説明するように、図20に示した色差ノイズ低減処理部6352とは、その処理の内容が若干異なる。
【0189】
すなわち、図22に示すノイズ低減処理部638の色差ノイズ低減処理部6382においては、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、R−G信号と同じ位置のB−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0190】
同様に、B−G信号のノイズを抑圧したいときに,B−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、B−G信号と同じ位置のR−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、B−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0191】
これにより、図22(3A)、(3B)に示した色差信号からは、色ノイズが抑圧された色差信号(図22(4A)、(4B))を得ることができるようにされる。
【0192】
さらに、絵柄のエッジ部分をも考慮して、より高精度にノイズ低減処理を行うようにする場合には、図22において点線矢印で示したように、G信号の信号レベルをも考慮するようにする。
【0193】
すなわち、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号と同じ位置のB−G信号とG信号とについて、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、B−G信号のノイズを抑圧する際にも、B−G信号だけでなくR−G信号とG信号を見てεフィルタをかけるようにする。
【0194】
これにより、図7に示したノイズ低減処理部635においても説明したように、絵柄のエッジ部分において、色彩が大きく異なる不要な画素の信号成分を画素の平滑化のための処理に入れないようにすることが可能となり、色の滲みや抜けを生じさせないようにすることができる。
【0195】
[カメラ信号処理部の他の構成例について]
上述した実施の形態の撮像装置100のカメラ信号処理部106は、図2に示したように構成され、当該カメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063において、色ノイズの低減処理を行うようにした。しかし、ノイズ低減処理は、デモザイク処理部1063だけでなく、デモザイク処理部1063において行う色ノイズの低減処理に加えて、当該デモザイク処理部1063の前段において、別のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0196】
図23は、カメラ信号処理部106の他の例を説明するためのブロック図である。図23において、図2に示したカメラ信号処理部106と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の説明については省略する。そして、図23に示すようにデモザイク処理中のノイズ低減処理に加え、例えばノイズ低減処理部1068が示すように、デモザイク処理前の適宜の位置にノイズ低減処理を入れて、デモザイク処理部1063における色ノイズ低減処理と組み合わせて使用するようにしても良い。このとき、G信号はデモザイク処理部1063で相関を考慮したフィルタ処理が行われて絵柄成分とノイズ成分の区別が難しくなるので、その前のRaw状態でG信号のみノイズ低減処理部1068でノイズ低減を行い、R信号、B信号には何も処理をしないようにしたり、R信号、B信号は弱めにノイズ低減を施すようにしたりするなどのことも可能である。
【0197】
[第3の実施の形態]
[色比信号の利用について]
上述した実施の形態においては、色差信号であるR−G信号、B−G信号に対してノイズ低減処理を施すことにより、色ノイズを抑制するようにしたが、色比信号を用いるようにした場合にも、色差信号を用いた場合と同様に処理可能である。以下に説明する第3の実施の形態においては、色差信号に代えて色比信号を用いるようにするものである。そして、この第3の実施の形態においても、図1、図2を用いて説明したように構成される撮像装置にこの発明が適用された場合として説明する。
【0198】
[デモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要(色比信号を用いる場合)]
図24は、色差信号に代えて色比信号を用いるようにした場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図24は、第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。なお、この第3の実施の形態においては、ベイヤー配列の画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0199】
図24に示すデモザイク処理部1063は、G補間処理部6301、色比生成部6302、色比補間部6303、G掛け戻し部6304とを備えたものである。そして、図24において点線で囲んで示した位置Aに、すなわち、G補間部631、及び色差生成部632の直後に、ノイズ低減処理部6305を配置するようにしたものである。
【0200】
そして、この例のデモザイク処理部1063のG補間部6301と色比生成部6302には、図24(1)に示すように、ベイヤー配列の画像データが供給される。そして、G補間部6301においては、図24(1)に示した配列の画像データのG信号に基づいて、図24(2)に示すように、画像を構成する各画素のG信号を補間生成して出力する。
【0201】
また、色比生成部6302においては、図24(1)に示した配列の画像データから、図24(3)に示すように、R信号を有する画素にR信号とG信号との比(色比信号)として表現されるR/G信号を生成し、B信号を有する画素にB信号とG信号との比(色比信号)として表現されるB/G信号を生成する。
【0202】
そして、G補間部6301からのG信号と、色比生成部6302からのR/G信号、B/G信号とは、後述するように、図24の位置Aに配置されるノイズ低減処理部6305においてノイズ低減処理される。この後、ノイズ低減処理されたR/G信号、B/G信号は、色比補間処理部6303に供給される。
【0203】
色比補間処理部6303は、これに供給される図24(3)に示した色比信号に基づいて、画像を構成する画素毎にR/G信号(図24(4A))、B/G信号(図24(4B))を生成して、これをG掛け戻し部6304に供給する。G掛け戻し部6304は、色比補間部6303からのR/G信号(図24(4A))、B/G信号(図24(4B))に対して、後述するノイズ低減処理部6305からのG信号が掛け戻され、画像を構成する画素毎に、R信号、B信号が形成されて出力される。これにより、図24に示すデモザイク処理部1063からは、画像を構成する画素毎に形成されたG信号(図24(2))、R信号(図24(5A))、B信号(図24(5B))が出力される。
【0204】
[ノイズ低減処理部635の構成例]
図25は、図24に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部6305の構成例を説明するためのブロック図である。図25に示すように、この例のノイズ低減処理部6305は、G信号に混入しているノイズを低減させるGノイズ低減処理部6305Aと、色比信号に混入しているノイズを低減させる色比ノイズ低減処理部6305Bとを備えたものである。
【0205】
[Gノイズ低減処理部6305Aでの処理の概要]
Gノイズ低減処理部6305Aには、G補間部6301において補間生成された画像を構成する画素毎のG信号(図25(1))が順次に供給される。そして、Gノイズ低減処理部6305Aにおいては、上述したεフィルタを用いて、G信号に含まれるノイズ成分を除去するように処理を行い、ノイズ低減されたG信号(図25(2))を出力する。
【0206】
また、Gノイズ低減処理部6305Aにおけるノイズ低減処理の他の方法として、G信号を高周波側(高周波成分)と低周波側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高周波側と低周波側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0207】
この他の方法を用いることにより、例え低照度で画像信号の絵柄成分とノイズ成分の大きさが近いときであっても、処理対象の画像信号により形成される絵柄の特徴を保持しながら、孤立点を生じさせないようにノイズ抑圧(低減)を行えるようにすることができる。
【0208】
なお、この例の場合にも、G信号については、デモザイク処理部1063の中ではノイズ低減処理は行わずに、デモザイク処理前の段階においてG信号のノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、図2に示したY/C変換部1066によるY/C変換の後のY信号(輝度信号)に対してノイズ低減処理を行うようにしたりするなどの選択もできる。すなわち、図25に示したGノイズ低減処理部6305Aは、ノイズ低減処理部6305の必須の構成要件ではなく、画像信号に含まれる色ノイズを効率的に低減させるためには、以下に詳述する色差ノイズ低減処理部6305Bがあればよい。
【0209】
[色比ノイズ低減処理部6305Bでの処理の概要]
色比ノイズ低減処理部6305Bには、色比生成部6302において生成された色比信号(図25(3))が供給される。すなわち、色比生成部6302においては、図25(3)に示したように、R信号が存在する画素に対してはR/G信号が生成され、B信号が存在する画素に対してはB/G信号が生成されて、これがノイズ低減処理部6305の色比ノイズ低減処理部6305Bに供給される。そして、色比ノイズ低減処理部6305Bにおいては、同色同士で上述したεフィルタを用いて、R/G信号、B/G信号に含まれるノイズ成分(色ノイズ成分)を除去するように処理する。
【0210】
しかし、色比信号であるR/G信号、B/G信号のみに基づいてεフィルタをかけると、絵柄のエッジ部分で色が滲んだり、色の高周波部分で色が抜けたりする場合があると考えられる。
【0211】
そこで、色差ノイズ低減処理部6305Bにおいては、εフィルタをかける際に、色差信号であるR/G信号、B/G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であることだけでなく、色差信号についてレベル差分を取る周辺画素と注目画素との間でG信号についてのレベル差分をも取るようにし、当該G信号についてのレベル差分についてもノイズ閾値の範囲内にある場合に、当該周辺画素を色比信号の平均化処理の対象とするようにする。
【0212】
このように、色比信号からεフィルタを用いて色ノイズ成分を除去する場合に、G信号のレベルをも考慮することにより、高精度に色ノイズ成分を除去し、適切に画像の色を再現することができるようにされる。
【0213】
[デモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要(色比信号を用いる場合)]
図26は、色差信号に代えて色比信号を用いるようにした場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理の概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図26は、第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。この場合にも、ベイヤー配列の画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0214】
図26に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、第1色比補間部6306と第2色比補間部6307とが設けられ、これらの間の位置Bにノイズ低減処理部6308が設けられるようにされた点を除けば、図24に示したデモザイク処理部1063と同様に構成されたものである。ここでは、説明を簡単にするため、図26に示した第2のデモザイク処理部において、図24に示した第1のデモザイク処理部1063と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については省略する。
【0215】
そして、図26に示すデモザイク処理部1063の場合には、図24に示したデモザイク処理部1063の色比補間部6303の機能を2つに分け、第1色比補間部6306と、第2色比補間部6307とによって色比補間機能を実現している。すなわち、色比信号生成部6302においては、図26(3)に示すように、R信号を有する画素に対してはR/G信号を形成して出力し、B信号を有する画素に対してはB/G信号を形成して出力する。
【0216】
このように、色比生成部6302で生成された色比信号であるR/G信号、B/G信号は、第1色比補間部6306に供給され、ここで図26(4A)、(4B)に示すように、R/G信号が生成された画素に対しても周囲のB/G信号に基づいてB/G信号を補間生成し、また、B/G信号が生成された画素に対しても周囲のR/G信号に基づいてR/G信号を補間生成する。
【0217】
そして、第2色比補間部6307では、第1色比補間部6306において補間生成された色比信号(図26(4A)、(4B))から、色比信号が存在しない画素に対して、色比信号の存在する周辺の画素からの補間処理により、色比信号であるR/G信号(図26(5A))、B/G信号(図26(5B))を補間生成する。この後のG掛け戻し部6304の処理は、図24を用い説明した通りである。
【0218】
このように、色比補間部が第1色比補間部6306と第2色比補間部6307とに分けられた構成のデモザイク処理部1063の場合には、第1色比補間部6306と第2色比補間部6307との間にノイズ低減処理部6308を設けるようにしている。
【0219】
[ノイズ低減処理部6308の構成例]
図27は、図26に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部6308の構成例を説明するためのブロック図である。ノイズ低減処理部6308の構成は、図25に示したノイズ低減処理部6305の場合と同様に、Gノイズ低減処理部6308Aと、色差ノイズ低減処理部6308Bとからなっている。
【0220】
[Gノイズ低減処理部6308Aでの処理の概要]
Gノイズ低減処理部6308Aでは、図25に示したGノイズ低減処理部6305Aと同じG信号を処理するので、図25に示したGノイズ低減処理部6305Aと同じ処理を行う。すなわち、εフィルタを用いノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、G信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしたりする。
【0221】
[色差ノイズ低減処理部6382での処理の概要]
また、色差ノイズ低減処理部6308Bにおいては、図25に示したノイズ低減処理部6305の色比ノイズ低減処理部6305Bの場合と同様に、色比信号から色ノイズの低減処理を行うようにするのであるが、以下に説明するように、図25に示した色比ノイズ低減処理部6305Bとは、その処理の内容が若干異なる。
【0222】
すなわち、図27に示すノイズ低減処理部6308の色差ノイズ低減処理部6308Bにおいては、R/G信号のノイズを抑圧したいときに、R/G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、R/G信号と同じ位置のB/G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R/G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0223】
同様に、B/G信号のノイズを抑圧したいときに,B/G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、B/G信号と同じ位置のR/G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、B/G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0224】
これにより、図27(3A)、(3B)に示した色比信号からは、色ノイズが抑圧された色比信号(図27(4A)、(4B))を得ることができるようにされる。
【0225】
さらに、絵柄のエッジ部分をも考慮して、より高精度にノイズ低減処理を行うようにする場合には、図27において点線矢印で示したように、G信号の信号レベルをも考慮するようにする。
【0226】
すなわち、R/G信号のノイズを抑圧したいときに、R/G信号と同じ位置のB/G信号とG信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R/G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、B/G信号のノイズを抑圧する際にも、B/G信号だけでなくR/G信号とG信号を見てεフィルタをかけるようにする。
【0227】
これにより、図7に示したノイズ低減処理部635においても説明したように、絵柄のエッジ部分において、色彩が大きく異なる不要な画素の信号成分を画素の平滑化のための処理に入れないようにすることが可能となり、色の滲みや抜けを生じさせないようにすることができる。また、第3の実施の形態では、ベイヤー配列の画像データを処理する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。クリアビッド配列の画像データを処理する場合にも、上述した第3の実施の形態の場合と同様にして色比信号を用いるようにすることもできる。
【0228】
[デモザイク処理部における処理のまとめ]
上述した第1〜第3の実施の形態の説明から分かるように、この出願の発明は、デモザイク処理部1063において、色ノイズを効果的に低減させることができるようにするもので、その方法は、大きく分けて2通りある。第1の方法は、図6、図19、図24を用いて説明したように、色関連信号としての色差信号や色比信号の生成直後の位置で、これら色差信号や色比信号から色ノイズの低減を図るようにするものである。
【0229】
第2の方法は、図13、図21、図26を用いて説明したように、生成された色関連信号としての色差信号や色比信号から、画像を構成する画素毎に色差信号や色比信号を補間生成する場合に、当該補間生成を、色差信号、色比信号が生成された画素に対して、別の色の色差信号、色比信号を補間生成する第1補間処理と、第1補間処理の後、画像を構成する画素毎に色差信号、色比信号を補間生成する第2補間処理とを設け、第1補間処理後の色差信号や色比信号から色ノイズの低減を図るようにするものである。
【0230】
以下においては、これら第1の方法を用いたデモザイク処理と第2の方法を用いたデモザイク処理とのそれぞれについて、フローチャートを参照しながらその処理内容についてまとめる。
【0231】
[第1の方法が適用されたデモザイク処理について]
図28は、上述した第1の方法が適用されたデモザイク処理について説明するためのフローチャートである。この図28に示すフローチャートの処理は、図6、図19、図24に示したデモザイク処理部において用いられる方法である。なお、上述もしたように、色ノイズを低減させる信号は、色差信号の場合と、色比信号の場合とがあるが、以下においては、主に色差信号を用いる場合について説明するが、色比信号を用いる場合にも同様に処理することができる。
【0232】
デモザイク処理を行う場合、まず、Rawデータの形式の入力画像データから、色関連信号としての色差信号(色比信号)を生成する(ステップS101)。そして、生成された色差信号(色比信号)に対して、例えば、εフィルタなどの所定の方式を用いて、色ノイズを低減させるための処理を施す(ステップS102)。
【0233】
この後、色ノイズの低減処理が施された色差信号(色比信号)を用いて補間処理を行うことにより、画像を構成する画素毎に色差信号(色比信号)を補間生成する(ステップS103)。そして、ステップS103において、画像を構成する画素毎に補間生成された色差信号(色比信号)に対して、同じ画素位置のG信号を考慮して、R信号、B信号を生成する(ステップS104)。
【0234】
すなわち、ステップS104の処理は、処理対象が色差信号(R−G信号、B−G信号)である場合には、G信号を足し戻す処理であり、処理対象が色比信号(R/G信号、B/G信号)である場合には、G信号を掛け戻す処理である。そして、画像を構成する画素毎に形成された三原色信号であるR信号、G信号、B信号を出力することにより(ステップS105)、一連のデモザイク処理が行われる。
【0235】
なお、図28には明記しなかったが、ステップS101の処理において、G信号の補間生成を行い、画像を構成する画素毎にG信号が生成される。このG信号に対しては、上述もしたように、ノイズ低減処理を施してもよいし、施さなくてもよい。
【0236】
このように、色関連信号としての色差信号や色比信号を生成した直後に、色差信号や色比信号に対して色ノイズの低減処理を行うようにした場合には、色差信号や色比信号の補間処理が行われる前であるので、補間処理の影響を受けることなく、適切に色ノイズの低減処理を行うようにすることができる。
【0237】
また、図28にしたがったプログラムを作成し、これをCPUにおいて実行されることにより、この発明に係るデモザイク処理部の機能をCPUにおいて実現することもできる。すなわち、この発明に係るデモザイク処理はソフトウェアによっても実現することができる。
【0238】
[第2の方法が適用されたデモザイク処理について]
図29は、上述した第2の方法が適用されたデモザイク処理について説明するためのフローチャートである。この図29に示すフローチャートの処理は、図13、図21、図26に示したデモザイク処理部において用いられる方法である。なお、この第2の方法の場合においても、主に色差信号を用いる場合について説明するが、色比信号を用いる場合にも同様に処理することができる。
【0239】
デモザイク処理を行う場合、まず、Rawデータの形式の入力画像データから、色関連信号としての色差信号(色比信号)を生成する(ステップS201)。そして、生成された式信号(色比信号)に基づいて、当該色差信号(色比信号)が生成された画素に、異なる色の色差信号(色比信号)を補間生成する(ステップS202)。
【0240】
すなわち、ステップS201の処理により、R信号の存在する画素にはR−G信号(R/G信号)が生成され、B信号の存在する画素にはB−G信号(B/G信号)が生成されている。そこで、ステップS202の処理においては、R−G信号(R/G信号)が生成されている画素に対して、B−G信号(B/G信号)を生成し、B−G信号(B/G信号)が生成されている画素に対して、R−G信号(R/G信号)を生成する処理であり、色差信号(色比信号)についての第1補間処理に相当する。
【0241】
そして、ステップS202において、第1補間処理された色差信号(色比信号)に対して、例えば、εフィルタなどの所定の方式を用いて、色ノイズを低減させるための処理を施す(ステップS203)。
【0242】
この後、色ノイズの低減処理が施された色差信号(色比信号)を用いて補間処理を行うことにより、画像を構成する画素毎に色差信号(色比信号)を補間生成する(ステップS204)。このステップS204の色差信号(色比信号)の補間生成処理は、第2補間処理に相当する。
【0243】
そして、ステップS204において、画像を構成する画素毎に補間生成された色差信号(色比信号)に対して、同じ画素位置のG信号を考慮して、R信号、B信号を生成する(ステップS205)。すなわち、ステップS205の処理は、処理対象が色差信号(R−G信号、B−G信号)である場合には、G信号を足し戻す処理であり、処理対象が色比信号(R/G信号、B/G信号)である場合には、G信号を掛け戻す処理である。そして、画像を構成する画素毎に形成された三原色信号であるR信号、G信号、B信号を出力することにより(ステップS206)、一連のデモザイク処理が行われる。
【0244】
なお、図29には明記しなかったが、ステップS201の処理において、G信号の補間生成を行い、画像を構成する画素毎にG信号が生成される。このG信号に対しては、上述もしたように、ノイズ低減処理を施してもよいし、施さなくてもよい。
【0245】
このように、色関連信号としての色差信号や色比信号を生成した後、第1補間処理された色差信号(色比信号)に対して色ノイズの低減処理を行うようにした場合には、R−G信号(R/G信号)とB−G信号(B/G信号)との双方を用いて、精度良く色ノイズの低減処理を行うようにすることができる。
【0246】
また、図29にしたがったプログラムを作成し、これをCPUにおいて実行されることにより、この発明に係るデモザイク処理部の機能をCPUにおいて実現することもできる。すなわち、この発明に係るデモザイク処理はソフトウェアによっても実現することができる。
【0247】
[その他]
なお、第1の実施の形態のノイズ低減処理部638の他の構成例として、図16を用いて説明したように、G信号、色差信号であるR−G信号、B−G信号を、輝度信号Y、色差信号Cr、Cbに変換してノイズ低減処理を施し、ノイズ低減処理後の輝度信号Y、色差信号Cr、CbをG信号、R−G信号、B−G信号に変換し直す構成について説明した。しかし、これは、第1の実施の形態のノイズ低減処理部638においてのみ適用可能ものではない。第1の実施の形態のノイズ低減処理部635にも適用可能であるし、第2の実施の形態のノイズ低減処理部635、638、第3の実施の形態のノイズ低減処理部6305、6308に適用することも可能である。
【0248】
また、上述もしたように、この発明は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話端末などの携帯電子機器に搭載されるカメラモジュール、イメージリーダ、スキャナなどの単板の固体撮像素子を通じて取り込んだ画像データを処理する種々の撮像装置や、単板の固体撮像素子を通じて取り込んで記憶保持するようにされたRawデータを処理する種々の画像処理装置などにも適用可能なものである。
【0249】
また、図2において2重線で囲んで示したデモザイク処理部1063をIC化するような場合にも、当該IC化するデモザイク処理部にこの発明を適用することができる。また、カメラ信号処理部106を1つの回路ブロックとして構成する場合にも、そのモザイク処理部にこの発明を適用することが可能である。
【0250】
また、この出願の特許請求の範囲に記載した請求項の構成要件と、上述した実施の形態の各部との対応関係を示すと以下のようになる。すなわち、請求項における撮像素子は、図1に示した撮像素子部102に搭載されている固体撮像素子に相当する。また、デモザイク処理手段は、図2、図3、図6、図7、図12、図13、図19、図21、図24、図26に示した核デモザイク処理部に相当する。
【0251】
そして、デモザイク処理手段の生成部は、各デモザイク処理部1063の色差生成部632、色比生成部6302が相当し、ノイズ低減部は、各デモザイク処理部1063のノイズ低減処理部635、638、6305、6308が相当する。また、請求項における目的色信号は、R信号、B信号を想定しており、所定の他の色信号は、G信号を想定している。また、第1の補間部は、第1色差補間部636、第1色比補間部6306が相当し、第2の補間部は、第2色差補間部637、第2色比補間部6307が相当する。
【0252】
また、請求項における色関連信号という文言は、色差信号や色比信号を包括する文言として用いている。また、請求項における変換部は、Y/C変換部6383が相当し、逆変換部は、逆Y/C変換部6386が相当する。
【0253】
また、上述した実施の形態においては、色信号として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色信号を用いるものとして説明したが、これに限るものではない。近年においては、3原色信号に加えてエメラルド色とった色信号を用いるようにしているものもあるが、このような色信号を用いる場合にもこの発明を適用することが可能である。
【0254】
すなわち、少なくとも、色差信号や色比信号といった、目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号に対して、色ノイズの低減処理を施すようにすることにより、この発明が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】この発明の位置実施の形態が適用された撮像装置100を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した撮像装置100のカメラ信号処理部106を説明するためのブロック図である。
【図3】第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例とその処理の概要とを説明するためのブロック図である。
【図4】ベイヤー配列のRaw動画像データからR信号及びB信号についても直接に補間処理により生成する場合について説明するための図である。
【図5】ベイヤー配列のRaw動画像データからR信号及びB信号については色差信号を介在させて生成する場合について説明するための図である。
【図6】ノイズ低減処理部635が設けられた第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例を説明するためのブロック図である。
【図7】図6に示したノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。
【図8】εフィルタの機能を説明するための図である。
【図9】図7に示したノイズ低減処理部635におけるεフィルタによる処理を説明するための図である。
【図10】色差補間前の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。
【図11】色差補間後の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。
【図12】第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例とその処理の概要とを説明するためのブロック図である。
【図13】ノイズ低減処理部638が設けられた第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例を説明するためのブロック図である。
【図14】図13に示したノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。
【図15】図14に示したノイズ低減処理部638におけるεフィルタによる処理を説明するための図である。
【図16】ノイズ低減処理部638の他の構成例を説明するためのブロック図である。
【図17】画像信号に応じたY/C変換処理のための計算式を示す図である。
【図18】色フィルタの色コーディングについて説明するための図である。
【図19】第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図20】図19に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。
【図21】第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図22】図21に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。
【図23】カメラ信号処理部106の他の例を説明するためのブロック図である。
【図24】第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図25】図24に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部6305の構成例を説明するためのブロック図である。
【図26】第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図27】図26に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部6308の構成例を説明するためのブロック図である。
【図28】図6、図19、図24に示したデモザイク処理部において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図29】図13、図21、図26に示したデモザイク処理部において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0256】
1063…デモザイク処理部、631…G補間部、632…色差生成部、633…色差補間部、634…G足し戻し部、635…ノイズ低減処理部、6351…Gノイズ低減処理部、6352…色差ノイズ低減処理部、636…第1色差補間部、637…第2色差補間部、638…ノイズ低減処理部、6381…Gノイズ低減処理部、6382…色差ノイズ低減処理部、6383…Y/C変換部、6384…輝度ノイズ低減処理部、6385…色差ノイズ低減処理部、6386…逆Y/C変換部、6301…G補間部、6302…色比生成部、6303…色比補間部、6304…G掛け戻し部、6305…ノイズ低減処理部、6306…第1色比補間部、6307…第2色比補間部、6308…ノイズ低減処理部
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を1つ備えたいわゆる単板の撮像装置、いわゆる単板の撮像素子を通じて取り込まれた画像信号の色ノイズを低減させる方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備えたCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子が1つ用いられた、いわゆる単板のデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置では、通常、固体撮像素子からの画像信号に対していくつかの処理を行って画像を生成する。
【0003】
例えば、固体撮像素子のカラーフィルタの色コーディングがベイヤー(Bayer)配列のとき、各画素はR(赤)/G(緑)/B(青)のうち1つの色情報しか持っていない。すなわち、ベイヤー配列は、水平方向にRGRG…のように、RとGとが交互に並べられたラインと、水平方向にGBGB…のように、GとBとが交互に並べられたラインとが、垂直方向に交互に配置にされたものであり、G:B:Rの比率が2:1:1とされたものである。
【0004】
そのため、画像を構成する全ての画素毎に、R/G/Bの3原色信号が必要になるが、各画素において、存在しない色情報(色信号)については、周囲の画素から補間して、各画素毎にR/G/Bそれぞれの色情報を生成する必要がある。このように、画素毎に1つの色情報しか存在しないRaw画像データ(撮像素子から得られた状態の画像データ)から、各画素毎にR/G/Bの3つの色情報(3原色信号)を生成する処理をデモザイク処理(同時化処理)と呼ぶ。
【0005】
そして、デモザイク処理後に全画素について揃ったR/G/B信号を、Y/C変換することにより、輝度信号(Y)と色差信号(Cb/Cr)へと変換し、これら輝度信号(Y)と色差信号(Cb/Cr)からなる画像信号から表示用の画像が形成されたり、これら輝度信号(Y)と色差信号(Cb/Cr)からなる画像信号が記録媒体に記録されたりすることになる。
【0006】
近年の固体撮像素子の画素サイズの微小化に伴いS/N(Signal to Noise ratio)が悪化し、画像上のノイズが問題になってきている。カラー画像のノイズは、輝度信号成分のノイズである輝度ノイズと色差信号成分のノイズである色ノイズに分類され、色ノイズを低減することで画質を向上できることが知られている。
【0007】
例えば、デジタルスチルカメラに関して、後に記す特許文献1には、ノイズリダクション処理に適切な画素範囲を選択し、この選択した周辺画素を用いてノイズリダクション処理することにより、Raw画像データの段階で効率よくノイズを除去する方法が開示さている。
【0008】
また、後に記す特許文献2には、エッジの延長方向に沿った所定範囲の画素値を用いて注目画素の画素値を補間演算処理することにより、デモザイク処理等において、エッジを精度良く再現する方法が開示されている。
【0009】
しかし、Raw画像データの段階で色ノイズを除去するようにすると、輝度信号成分にまで影響を与え、各色信号の輝度値までも変化してしまうという問題がある。その結果、エッジ部分等が誤った色で表示され、著しく画質が劣化する場合があると考えられる。
【0010】
このため、色を表す色差信号はY(輝度)/C(色)変換後に生成されるので、色ノイズ低減処理をY/C変換後に行う手法が一般的に行われている。しかし、デモザイク処理前にはインパルス状だった色ノイズが、デモザイク処理での補間処理やアパーチャ補正などその他の処理によって複雑なフィルタを通るため、Y/C変換された信号では色ノイズの特性が変化してしまう(インパルス状で無くなる)。このようにノイズ信号の特性が変化すると、ノイズ信号成分と絵柄信号成分の分離が難しくなり、色ノイズをきれいに消すことができないという問題が生じている。
【0011】
なお、上述した特許文献1、2の所在は以下の通りである。
【特許文献1】特開2005−311455号公報
【特許文献2】特開2004−221838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したデモザイク処理後にY/C変換された信号では色ノイズの特性が変化してしまい、色ノイズをきれいに消すことができないという問題を解決する手法として、本出願人の他の特許出願である特願2006−338233号において、色ノイズの特性が変化する可能性のあるデモザイク処理前に色ノイズ低減処理を行う手法が提案されている。
【0013】
この出願に係る手法は、固体撮像素子の出力信号であるRaw状態の画像信号(Raw画像信号)から色ノイズの特性が変化しないように、画像の相関のある方向などの判別を行わない簡易的なデモザイク処理を行って色差信号を生成し、生成された色差信号に対してノイズ低減処理を行った後、再びRaw状態の画像信号に戻し、その後画像の相関のある方向などの判別を行う通常のデモザイク処理を行うというものである。
【0014】
当該手法を用いることにより、通常のデモザイク処理(本来行われるべきデモザイク処理)の前に色ノイズを除去することが可能となり、当該手法は、画質の向上を図る上で非常に有効なものである。しかしながら、当該手法の場合、通常のカメラ信号処理に対して、簡易的なデモザイク処理と、輝度信号と色ノイズ低減処理後の色差信号とをRaw状態の信号へ戻す処理が余分に必要となる。
【0015】
すなわち、当該手法は、ハードウェア資源の機能、性能、容量などのいわゆるリソースに余裕のある高性能の撮像装置においては特に有効な手法である。しかし、できれば、リソースを考慮することなく、種々の撮像装置においても適切かつ迅速に色ノイズを低減させることができるようにしたいとする要求がある。
【0016】
また、当該手法の場合、ノイズ低減前に追加された簡易的なデモザイク処理で生成された色差信号と、ノイズ低減後に存在する通常のデモザイク処理後に生成された色差信号とが異なる。このため、理論的に考えると、簡易的なデモザイク後の色差信号で色ノイズ低減を行っても、最終的な画像の色差信号となる通常のデモザイク処理後の色差信号で見ると色ノイズが十分に抑圧されていないということが発生する可能性あると考えられる。このため、より精度良く、色ノイズを低減できるようにしたいとする要求がある。
【0017】
以上のことに鑑み、この発明は、リソースに依存することなく、複数の色の色信号からなる画像信号から色ノイズ成分を迅速かつ効果的に低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の撮像装置は、
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理手段とを備えた撮像装置であって、
前記デモザイク処理手段は、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減部と
を備えることを特徴とする。
【0019】
この請求項1に記載の発明の撮像装置によれば、撮像素子を通じて取り込まれた複数の色の色信号からなる画像信号(Raw画像信号)が、デモザイク処理手段によりデモザイク処理されることにより、画像を形成する全ての画素毎に、複数の色のそれぞれの色信号が形成するようにされる。
【0020】
当該デモザイク処理手段においては、まず、生成部において、処理対象の画像信号の目的色信号(例えば、R(赤)色信号、B(青)色信号)と、他の色信号(例えば、G(緑)色信号)と演算することにより、色関連信号(例えば、色差信号あるいは色比信号)が生成される。この生成手段により生成された色関連信号に対して、ノイズ低減部においてノイズ低減処理(色ノイズの低減処理)が施される。このようにして、色ノイズが低減するようにされた色関連信号が用いられて、デモザイク処理がなされる。
【0021】
これにより、デモザイク処理の過程において生成される色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことができるので、ノイズ低減部を除いては、新たなに追加すべきハードウェアは必要なく、迅速に色ノイズの低減を行うことができるようにされる。しかも、デモザイク処理の過程において色ノイズの低減処理を行うことができるので、最も効果的に色ノイズを低減させることができるようにされる。
【発明の効果】
【0022】
複数の色の色信号からなる画像信号から色ノイズ成分を迅速かつ最も効果的に低減させることができる。すなわち、色ノイズを効果的に抑圧できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。なお、この発明は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話端末などの携帯電子機器に搭載されるカメラモジュール、イメージリーダ、スキャナなどの種々の画像処理装置に適用可能なものである。
【0024】
しかし、以下に説明する実施の形態においては説明を簡単にするため、動画像データの撮影が可能なデジタルビデオカメラ(撮像装置)に適用した場合を例にして説明する。また、以下に説明する撮像装置は、動画像と共に、音声についても取り込んで記録するなどすることができるものであるが、以下の実施の形態においては、説明を簡単にするため、音声信号の処理系についての説明は省略する。
【0025】
[第1の実施の形態]
[撮像装置の構成例について]
図1は、この発明による装置、方法、プログラムの一実施の形態が適用された、この実施の形態の撮像装置100を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の撮像装置は、画像信号の処理系として、レンズ部101、撮像素子部102、アナログゲイン調整部(図1においてはアナログゲインと記載。)103、A/D(Analog/Digital)変換器104、検波処理部105、カメラ信号処理部106、表示処理部107、表示部108を備えると共に、制御部110、キー操作部121、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)122、外部入出力端子123、記録再生処理部124、記録媒体125を備えたものである。
【0026】
制御部110は、この実施の形態の撮像装置100の各部を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)123、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)114が、CPUバス115を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
【0027】
ここで、CPU111は、後述もするROM112に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して各部に供給したり、各部からの信号を受け付けて、これを処理したりするなど、制御の主体となるものである。ROM112は、上述もしたように、CPU111によって実行されるプログラムや処理に必要になる各種のデータ等が予め記録されたものである。
【0028】
RAM113は、各種の処理の途中結果を一時記憶するなど、いわゆる作業領域として用いられるものである。EEPROM114は、いわゆる不揮発性メモリであり、例えば、各種の設定パラメータ、機能追加のために新たに提供されたプログラム等のこの実施の形態の撮像装置100の電源が落とされても保持しておくべき種々の情報を記憶保持するものである。
【0029】
また、キー操作部121は、例えば、録画スタンバイキー、録画開始キー、録画停止キー、望遠機能の調整キー、その他の各種の調整キーやファンクションキーなどを備え、ユーザーからの操作入力を受け付けて、当該操作入力を電気信号に変換し、これを制御部110に供給することができるものである。これにより、制御部110は、キー操作部121を通じて供給を受けたユーザーからの指示入力に応じて、この撮像装置100の各部を制御し、ユーザーの意図する処理を行うことができるようにされる。
【0030】
外部I/F122及び入出力端子123は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc)1394規格やUSB(Universal Serial Bus)規格等に合致したものである。これら外部I/F122及び入出力端子123に対しては、同じ規格のインターフェースを備える例えばパーソナルコンピュータやPVR(Personal Video Recorder)等の外部機器を接続することができるようにされる。
【0031】
記録再生処理部124は、制御部110の制御に応じて、これに供給された画像データを記録媒体125に記録したり、また、記録媒体125に記録されている画像データを読み出して、制御部110を通じて表示処理部107に供給して再生するようにしたりするなどのことができるものである。
【0032】
また、記録媒体125は、この実施の形態の撮像装置100においての主記録媒体であり、例えば、内蔵された半導体メモリ、半導体メモリが用いられ着脱可能とされたメモリカード、内蔵された小型のハードディスク、着脱可能とされた光ディスクなどのディスク記録媒体、着脱可能とされた磁気テープなどである。この実施の形態の撮像装置100において、記録媒体125は、例えば、内蔵された小型のハードディスクである。
【0033】
なお、記録媒体125に記録される画像データは、所定のデータ圧縮方式により圧縮処理されて記録され、また、記録媒体125から読み出された画像データは、当該所定のデータ圧縮方式に従って伸張処理されるが、データの圧縮処理や伸張処理は、図示しない圧縮/伸張処理部において行うようにされる。また、このような、画像データの圧縮/伸張機能を、記録再生処理部124に設けるようにすることも可能である。
【0034】
そして、この実施の形態の撮像装置100においては、画像信号の処理系を通じて、撮影することにより取り込んだ被写体の画像を表示部108の表示素子の表示画面に表示して確認しながら撮影を行い、撮影することにより得た画像信号(動画像信号)を記録媒体125に記録する記録機能と、記録媒体125に記録されている画像信号を読み出して、これを表示部108の表示素子の表示画面に表示するようにしたり、あるいは、外部I/F122及び入出力端子123を通じて外部機器に供給したりする再生機能とを有するものである。
【0035】
[記録機能(撮影機能)および再生機能について]
まず、この実施の形態の撮像装置100の記録機能について説明する。図1に示すように、画像信号の処理系を構成する、レンズ部101、撮像素子部102、アナログゲイン調整部103、A/D変換器104、検波処理部105、カメラ信号処理部106、表示処理部107、表示部108のそれぞれは、共通のCPUバス115を通じて接続されている。
【0036】
そして、画像信号の処理系を構成する各処理部間のデータのやり取りは、基本的には、共通のCPUバス115を通じて行われる。ただし、CPUバス115を経由せず、処理部間で直接データをやり取りする場合もある。処理部同士でCPUバス115を経由せずに直接接続しデータの転送を行う場合は、それをひとつの処理部と見做すこともできる。
【0037】
そして、キー操作部121を通じて、動画像の撮影を行うことが指示されると、制御部110が各部を制御して動画像の撮影処理を開始する。この場合、レンズ部101を通じて撮像素子部102の固体撮像素子の結像面に結像された被写体の画像は、順次に当該固体撮像素子により電気信号(アナログ動画像信号)に変換されて、アナログゲイン調整部103に供給される。ここで撮像素子部102に設けられている固体撮像素子は、例えばCCDセンサやCMOSセンサなどである。
【0038】
アナログゲイン調整部103供給されたアナログ動画像信号は、ここで当該アナログ動画像信号のゲイン(利得)が所定のレベルとなるようにゲイン調整された後に、A/D変換記104に供給される。そして、A/D変換器104に供給されたアナログ動画像信号は、ここでデジタル動画像信号(デジタルRaw動画像データ)に変換され、検波処理部105に供給される。なお、デジタルRaw動画像データは、現像処理されていないままのデジタル動画像データを意味し、撮像素子部2からのアナログ動画像信号がデジタル信号に変換された状態の画像信号である。
【0039】
検波処理部105は、これに供給されたRaw動画像データに基づいて、露出調整処理のためのパラメータやホワイトバランス調整処理のためのパラメータなど、後段で行う種々の画像処理のための現像パラメータの集まり(現像パラメータ群)Pmを生成し、この生成した現像パラメータ群を、制御部110を通じてカメラ信号処理部106に供給すると共に、Raw動画像データも、カメラ信号処理部106に供給する。
【0040】
カメラ信号処理部106では、詳しくは後述するが、黒レベル合わせ処理、ホワイトバランス調整処理、画素毎にRGBデータ(3原色データ)を生成するデモザイク処理(同時化処理)、アパーチャ補正処理、ガンマ(γ)補正処理、輝度信号(Y)と色差信号(C)への変換処理(Y/C変換処理)、解像度変換処理などを行って、輝度信号および色差信号(以下、YC信号と略称する)を形成する。
【0041】
カメラ信号処理部106で形成されたYC信号は、表示処理部107に供給され、ここで表示部108に供給する形式の動画像信号に変換されて表示部108に供給される。これにより表示部108の表示素子の表示画面には、撮影するようにされた被写体の動画像が表示するようにされる。
【0042】
同時に、カメラ信号処理部106で形成されたYC信号は、例えば図示しない圧縮/伸張処理部において、圧縮処理された後、記録再生処理部124に供給される。記録再生処理部124は、これに供給された画像データを、自機に搭載されている記録媒体125に読み出し可能なように記録する。
【0043】
なお、表示部108は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electroluminescence Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)などの表示素子を備え、上述したように、表示処理部からの動画像信号の供給を受けて、これに応じた動画像を自己の表示素子の表示画面に表示することができるものである。
【0044】
このように、この実施の形態の撮像装置100は、表示部108に搭載されている表示素子の表示画面に表示される被写体の動画像を確認しながら撮影を行い、撮影することにより得た動画像データを記録媒体125に記録することができるものである。なお、撮影することにより得た動画像データを記録媒体125に記録する場合には、上述もしたように、当該動画像データは、例えば図示しない圧縮/伸張処理部においてデータ圧縮された後に、記録再生処理部124を通じて記録媒体125に記録される。
【0045】
次に、この実施の形態の撮像装置100の再生機能について説明する。キー操作部121を通じて、記録媒体125に記録された動画像データを再生することの指示入力を受け付けると、制御部110は、記録再生処理部124を制御し、再生するように指示された動画像データを読み出し、例えば図示しない圧縮/伸張処理部に供給する。そして、当該圧縮/伸張処理部において伸張処理することにより、データ圧縮前の元の動画像データを復元し、これを制御部110を通じて表示処理部107に供給する。
【0046】
そして、表示処理部107においては、伸張処理されて復元された動画像データを、表示部108に供給する形式の動画像信号に変換して表示部108に供給する。これにより表示部108の表示素子の表示画面には、記録媒体125から読み出された動画像データに応じた動画像が表示するようにされる。
【0047】
また、同時に、圧縮されたままの動画像データは、あるいは、図示しない圧縮/伸張処理部において伸張処理されて、データ圧縮前の元の動画像データに復元された動画像データは、外部I/F122及び入出力端子123を通じて、これに接続された外部機器に供給し、当該外部機器において利用するようにすることもできるようにされる。
【0048】
このように、この実施の形態の撮像装置100は、撮影することにより得た動画像データを記録媒体125に記録したり、また、記録媒体125に記録した動画像データを再生して利用したりすることができるものである。そして、この実施の形態の撮像装置100は、色ノイズを効果的に低減させるようにするために、ノイズ低減専用のデモザイク処理等の負荷の大きな処理を増加させること無く、既存のカメラ信号処理の中で、最も効果的に色ノイズを低減させることができるようにしている。
【0049】
[カメラ信号処理部106について]
次に、図1に示したこの実施の形態の撮像装置100のカメラ信号処理部106の構成例について説明する。図2は、この実施の形態の撮像装置100に搭載されたカメラ信号処理部106の構成例を説明するためのブロック図である。
【0050】
図2に示すように、この実施の形態のカメラ信号処理部106は、黒レベル合わせ部1061、WB(ホワイトバランス)調整部1062、デモザイク処理部1063、アパーチャ補正部1064、ガンマ補正部1065、Y/C変換部1066、解像度変換部1067を備えたものである。
【0051】
上述もしたように、検波処理部105からのRaw動画像データは、カメラ信号処理部106の黒レベル合わせ部1061に供給される。撮像装置における黒レベルは、撮像素子の撮像面を完全に遮光した場合の当該撮像素子からの画像出力を意味する。しかし、例えば、撮像素子より後段の回路の影響等により、オフセット成分が混入するなどして、黒レベルが正確に表現できなくなり、画像が適切に形成できなくなる場合がある。このような場合を防止するために、黒レベル合わせ部1061は、検波処理部105からの出力値に基づいて、これに供給されるRaw動画像データの黒レベルの調整処理を行う。黒レベルが調整されたRaw画像データは、WB調整部1062に供給される。
【0052】
撮像装置を用いて被写体を撮影する場合、撮影時における光の種類(例えば、太陽光や蛍光灯など)により同じ被写体であってもその色合いは異なったものとなる。しかし、人間の目には白いものを常に白として認識しようとする習性が有る。そこで、WB調整部1062は、検波処理部105からのパラメータに基づいて、画像全体の色のバランス(具体的には、R(赤)とB(青)のバランス)を調整し、白いものは常に白いものとして表現できるようにしている。ホワイトバランスが調整されたRaw動画像データは、デモザイク処理部1063に供給される。
【0053】
デモザイク処理部1063は、撮像素子で用いられている色フィルタに応じて、画素毎に異なる色信号が用いられて形成されたRaw動画像データから、画像を形成する画素毎に必要となる色信号の全部、この実施の形態の撮像装置の場合には、R、G、Bの3原色信号を形成する処理を行うものである。
【0054】
そして、この実施の形態のデモザイク処理部1063は、詳しくは後述するが、デモザイク処理の過程において、色ノイズの低減処理を行うようにし、上述もしたように、ノイズ低減専用のデモザイク処理等の負荷の大きな処理を増加させること無く、既存のカメラ信号処理の中で、最も効果的に色ノイズを低減させることができるようにしている。そして、デモザイク処理部1063において形成されたR、G、Bの3原色信号(3原色データ)は、アパーチャ補正部1064に供給される。
【0055】
アパーチャ補正部1064は、これに供給される3原色データに対して、輪郭強調処理を施すことにより、画像をはっきりとシャープなものとなるようにする処理を行う。この実施の形態の撮像装置の場合には、例えば操作部121を通じて受け付けるユーザーからの指示入力に応じた制御部110からの制御信号により、輪郭強調の度合い(レベル)を調整することができ、画像をシャープなイメージに形成することも、また、ソフトなイメージに形成することもできるようにしている。アパーチャ補正部1064からの3原色データは、ガンマ補正部1065に供給される。
【0056】
ガンマ補正部1065は、これに供給された動画像データ(3原色データ)と、これが実際に出力される際の信号の相対関係を調節して、より自然に近い色合いの画像を得るようにする処理を行う。すなわち、ガンマ(γ)値は、画像の明るさの変化に対する電圧換算値の変化の比を意味し、これが値「1」に近づくのが理想であるが、用いられる素子の特性等により変化してしまう場合がある。このため、ガンマ補正部1065において、これに供給される動画像データのガンマ値の誤差を補正し、当該ガンマ値が値「1」に近くなるように補正する処理を行う。ガンマ補正部1065において処理された動画像データ(3原色データ)は、Y/C変換部1066に供給される。
【0057】
Y/C変換部1066は、これに供給された動画像データ(3原色データ)を、所定の計算式に従って、輝度信号(Y)と色差信号(Cb、Cr)に変換し、変換後の輝度信号(Y)と色差信号(Cb、Cr)からなるYC信号(YCデータ)を解像度変換部1067に供給する。
【0058】
解像度変換部1067は、これに供給されたYCデータに対して画像のスケーリングを行う。すなわち、解像度変換部1067は、これに供給されたYCデータについて間引き処理や補間処理を施すことにより、所定の解像度のYCデータを形成し、これを出力する。この解像度変換部1067から出力されたYCデータに応じた画像が、図1に示した表示処理部107を通じて表示部108に表示され、また、データ圧縮処理された後に、記録再生処理部124を通じて記録媒体125に記録されることになる。
【0059】
このように、カメラ信号処理部106においては、撮像素子部102を通じて撮影するようにした被写体のRaw動画像データに対して、上述したように種々の信号処理を施し、最終的に、表示や記録の対象となる目的とする解像度のYCデータを形成して出力することができるようにしている。そして、この実施の形態のカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063においては、以下に詳述するように、色ノイズの低減処理をも行うようにしている。
【0060】
[デモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要(ベイヤー配列の場合)]
図3は、この実施の形態の図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第1の構成例とその処理の概要とを説明するためのブロック図である。図3に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、G(緑)信号補間部(図3においてはG補間部と記載。)631と、色差生成部632と、色差補間部633と、G(緑)信号足し戻し部(図3においてはG足し戻し部と記載。)634とを備えたものである。
【0061】
なお、ここでは、撮像素子部102の固体撮像素子の色フィルタ(カラーフィルタ)の色コーディングがベイヤー配列である場合を例にして説明する。したがって、デモザイク処理部1063には、図3(1)に示すように、水平方向にRGRG…のように、水平方向の画素毎にRとGとが交互に並べられたラインと、水平方向にGBGB…のように、水平方向の画素毎に、GとBとが交互に並べられたラインとが、垂直方向に交互に配置にされたベイヤー配列にしたがったRaw動画像データが供給される。より具体的には、図3(1)のような配列のRaw動画像データが、各画面(フレーム)毎に、各画素R(赤)/G(緑)/B(青)のいずれか一色ずつの色信号(色データ)としてデモザイク処理部1063に入力され、G補間部631と、色差生成部632に供給される。
【0062】
図3(1)に示したように、ベイヤー配列の場合に市松状に存在するG信号に関しては、G補間部631により、G信号が存在しない画素上に周辺のG信号の存在する画素から相関を見てG信号を補間生成する。これにより、G補間部631からは、図3(2)に示すように、画像を構成する画素毎にG信号が形成されて出力される。
【0063】
また、R信号とB信号とに関しては、色差生成部632により、周辺の画素の色信号を用いて、R信号の画素上に色差信号であるR−G信号を生成し、B信号の画素上に色差信号であるB−G信号を生成する。これにより、色差生成部632からは、図3(3)に示すように、R信号の画素上に生成されたR−G信号と、B信号の画素上に生成されたB−G信号とが出力される。
【0064】
そして、色差生成部632から出力されたR−G信号とB−G信号とは、色差補間部633に供給される。色差補間部633は、これに供給されたR−G信号とB−G信号とから、既にR−G信号、B−G信号が生成されていない画素に、図3(4A)、(4B)に示すように、色差信号であるR−G信号とB−G信号とを補間生成する。
【0065】
これにより、色差補間部633からは、図3(4A)、(4B)に示すように、画像を形成する各画素毎に形成されたR−G信号とB−G信号が出力される。そして、色差補間部633から出力されたR−G信号、B−G信号は、G足し戻し部634に供給される。
【0066】
G足し戻し部634は、色差補間部633から出力された全画素揃った色差信号(R−G信号、B−G信号)に対して、G補間部631から出力されたG信号を加算処理することにより、全画素揃ったR信号とB信号とが生成される。これにより、G足し戻し部634からは、図3(5A)、(5B)に示すように、画像を構成する画素毎に形成されたR信号とB信号とが出力される。
【0067】
これにより、デモザイク処理部1063からは、G補間部631からの全画素揃ったG信号と、G足し戻し部634からの全画素揃ったR信号とB信号とが出力される。すなわち、画像を構成する全画素のそれぞれ毎に、RGBの3原色信号が出力するようにされる。そして、このようなデモザイク処理が、フレーム毎に行われ、Raw動画像データが、RGB動画像データに変換されることになる。
【0068】
なお、G補間部631での補間処理、色差生成部632での色差生成処理、色差補間部633での補間処理については、目的とする信号を生成可能な種々の方法を用いることができる。すなわち、目的とする信号を生成するために、用いる周辺画素の範囲や、目的する信号を生成するための計算ロジックなどについては、種々のものを用いることができる。
【0069】
そして、上述したように、この実施の形態のデモザイク処理部1063においては、R信号とB信号とを直接生成せず、色差信号を介在させてR信号とB信号とを生成するようにしている。このようにするのは、G信号をも考慮できるようにして、より正確に画像の色彩を再現できるようにするためである。すなわち、間違った色を作らないようにするためである。この色差信号を用いる点について図4、図5を用いて説明する。
【0070】
まず、ベイヤー配列のRawデータから、G信号、R信号、B信号が存在しない画素について、近隣の画素の色信号から直接に補間処理によりG信号、R信号、B信号のそれぞれを生成する場合について考える。
【0071】
図4は、ベイヤー配列の色フィルタの固体撮像素子を通じて取り込まれた1フレーム分のRaw動画像データからG信号だけでなく、R信号及びB信号についても直接に補間処理により生成する場合について説明するための図である。ここでは、無彩色(白黒の縦縞模様)の画像を形成するRaw動画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0072】
図4(A)に示すように、ベイヤー配列の無彩色(白黒の縦縞模様)のRawデータがあるとする。このRawデータによって形成される画像イメージは、図4(B)に示すように、垂直方向の1ライン毎(1列毎)に白色のラインと黒色のラインとが交互に存在する画像となる。すなわち、R、G、Bの各色信号の割合を、「0」〜「100」で表すものとすれば、R、G、Bの各色信号のそれぞれの信号の割合が値「100」である垂直方向のラインが白色のラインであり、R、G、Bの各色信号のそれぞれの信号の割合が値「0」である垂直方向のラインが黒色のラインである。
【0073】
このようなRaw画像データから、画像を形成する全ての画素毎に、R、G、Bの各色信号をデモザイク処理により形成する。G信号については、図4(A)を見ても分かるように、垂直方向の各ライン(各列)には、G信号が必ず存在するので、垂直方向の各ラインのG信号に基づいて、図4(C)に示すように、白色のライン部分では割合が値「100」となり、黒色のライン部分では割合が値「0」となるG信号を適切に生成することが可能である。
【0074】
そして、ここでは、色差信号を用いずに、R信号とB信号とについても直接に補間処理により形成することを考える。R信号とB信号とは、図4(A)を見ても分かるように、垂直方向の1ラインおきにしか存在しない。
【0075】
このため、図4(A)のように色信号が存在するRawデータの場合、近隣の画素に存在するR信号に基づいて、R信号が存在しない画素にR信号を補間生成すると、図4(D)に示すように、本来、R信号が存在しない垂直方向のラインの画素にまで割合が値「100」となるR信号が補間生成されてしまう。
【0076】
また、図4(A)のように色信号が存在するRawデータの場合、近隣の画素に存在するB信号に基づいて、B信号が存在しない画素にB信号を補間生成すると、図4(E)に示すように、割合が値「0」となるB信号が補間生成されてしまう。つまり、本来、割合が値「100」としてB信号が生成されるべき画素についても割合が値「0」のB信号が補間生成されてしまう。
【0077】
この場合、白色のライン部分について適切にB信号を生成することができないので、白色を本来の適正な白色として表現できなくなる。また、黒色のライン部分については割合が「100」のR信号が生成されてしまうので、黒色を本来の適正な黒色として表現できなくなる。したがって、R信号やB信号が存在しない画素に対して、周囲の画素のR信号、B信号を用いてR信号、B信号を直接に補間処理して生成した場合には、画像を本来の色彩で表現することができなくなってしまう場合がある。
【0078】
次に、ベイヤー配列のRawデータから、G信号が存在しない画素については、近隣の画素のG信号から直接に補間処理によりG信号を生成するが、R信号、B信号が存在しない画素については、まず、色差信号を生成し、この色差信号の状態で補間処理を行った上で、R信号、B信号を生成する場合について考える。
【0079】
図5は、ベイヤー配列の色フィルタの固体撮像素子を通じて取り込まれた1フレーム分のRaw動画像データからG信号については直接補間処理により、R信号及びB信号については、色差信号を介在させて生成する場合について説明するための図である。この図5に示す場合も、図4に示した場合と同様に、無彩色(白黒の縦縞模様)の画像を形成するRaw動画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0080】
また、色差信号を介在させてR信号、B信号を生成する場合、R信号については色差信号であるR−G信号を用い、B信号については色差信号であるB−G信号を用いることになるが、いずれの場合もほぼ同じ処理であるので、以下においては、説明を簡単にするため、R−G信号を用いてR信号を生成する場合を例にして説明する。
【0081】
そして、図4(A)、(B)を用いて説明した場合と同様に、図5(A)に示すように、ベイヤー配列の無彩色(白黒の縦縞模様)のRawデータがあるとする。このRawデータによって形成される画像イメージは、図5(B)に示すように、垂直方向の1ライン毎(1列毎)に白色のラインと黒色のラインとが交互に存在する画像となる。
【0082】
すなわち、図4(B)を用いて説明した場合と同様に、図5(B)の場合にも、R、G、Bの各色信号の割合を、「0」〜「100」で表すものとすれば、R、G、Bの各色信号のそれぞれの割合が値「100」である垂直方向のラインが白色のラインであり、R、G、Bの各色信号のそれぞれの割合が値「0」である垂直方向のラインが黒色のラインである。
【0083】
このようなRaw画像データから、画像を形成する全ての画素毎に、R、G、Bの各色信号をデモザイク処理により形成する。G信号については、図5(A)を見ても分かるように、垂直方向の各ライン(各列)には、G信号が存在するので、垂直方向の各ラインのG信号に基づいて、図5(C)に示すように、白色のライン部分では割合が値「100」となり、黒色のライン部分では割合が値「0」となるG信号を適切に生成することが可能である。
【0084】
そして、R信号については、図5(A)に示したように、垂直方向の1ラインおきに存在するR信号に基づいて、図5(D)に示すように実在するR信号を認識する。図5(D)において×印が付けられた部分(画素)は、R信号が存在しない部分である。そして、図5(D)に示したように認識されるR信号と図5(C)に示したように補間生成により適正に生成されたG信号とから、図5(E)に示すように、色差信号であるR−G信号を生成する。
【0085】
図5(E)において、×印が付けられた部分(画素)は、R信号が存在しないために、R−G信号を直接に生成できなかった部分である。このため、図5(E)に示したように、適正に生成されたR−G信号から、図5(F)に示すように、×印をつけて示したR−G信号が直接に生成できない部分(画素)について、R−G信号を補間生成する。この場合、図5(E)に示したように、実在するR信号とG信号とに基づいて、R−G信号が生成されているので、これから補間生成される図5(F)に示すR−G信号も適切なものである。
【0086】
最後に、図5(F)のように生成されたR−G信号に対して、図5(C)のように生成されたG信号を足し戻すことにより、図5(G)に示すように、白色のライン部分では割合が値「100」となり、黒色のライン部分では割合が値「0」となるR信号を適切に生成することができる。
【0087】
そして、図4を用いて説明したように、ベイヤー配列のRawデータから、G信号だけでなく、R信号、B信号についても直接に補間処理により生成するようにした場合には、迅速にR信号、B信号を、画像を構成する各画素について生成することが可能であるが、色彩の正確性は損なわれてしまう。これに対して、図5を用いて説明したように、ベイヤー配列のRawデータから、R信号、B信号については、色差信号を介在させて、R信号、B信号を生成するようにした場合には、処理に若干の手間がかかるが、色彩の正確性を高く保持することが可能となる。
【0088】
このため、図3を用いて説明したように、この実施の形態の撮像装置100のデモザイク処理部1063においては、ベイヤー配列のRaw動画像データから、画像を構成する画素毎にRGBの3原色信号を生成する場合に、R信号とB信号については、色差信号を用いて生成するようにしているのである。
【0089】
そして、この実施の形態の撮像装置のデモザイク処理部1063においては、ベイヤー配列のRaw動画像データが、G信号と、色差信号であるR−G信号、B−G信号に変換された段階で、色ノイズ成分を除去する構成を備えることにより、デモザイク処理の過程において効果的に色ノイズ成分を低減させることができるようにしている。
【0090】
[デモザイク処理部1063の構成例]
図6は、この第1の実施の形態のノイズ低減処理部635が設けられたデモザイク処理部1063の第1の構成例を説明するためのブロック図である。この例のデモザイク処理部1063は、図3に示したデモザイク処理部1063の構成例の場合と同様に、G補間部631、色差生成部632、色差補間部633、G足し戻し部634を備え、図3を用いて説明したように、G信号については周辺の画素のG信号に基づいて直接に、また、R信号、B信号については、色差信号を介して、画像を形成する画素毎にRGBの3原色信号を生成するものである。
【0091】
そして、図6に示すように、この実施の形態の撮像装置100のデモザイク処理部1063は、G補間部631と色差生成部632の直後に、ノイズ低減処理部635を設け、このノイズ低減処理部635の機能により、処理対象の画像データ(この例の場合には、補間処理されることにより生成された直後のG信号、及び生成直後の色差信号であるR−G信号、B−G信号)から色ノイズ成分を低減させることができるものである。
【0092】
このように、G補間部631と色差生成部632との直後にノイズ低減処理部635を配置した場合には、詳しくは後述するが、色差信号であるR−G信号、B−G信号が生成された直後であるため、色差信号に混入している色ノイズがデモザイク処理における補間処理による複雑なフィルタがかかっておらず、色ノイズを効果的に抑圧することができるためである。
【0093】
[ノイズ低減処理部635の構成例]
図7は、図6に示したノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。図7に示すように、この例のノイズ低減処理部635は、G信号に混入しているノイズを低減させるGノイズ低減処理部6351と、色差信号に混入しているノイズを低減させる色差ノイズ低減処理部6352とを備えたものである。
【0094】
そして、G信号についてはGノイズ低減処理部6351でノイズ低減処理を行い、色差信号であるR−G信号とB−G信号とについては、色差ノイズ低減処理部6352でノイズ低減処理を行う。Gノイズ低減処理部6351、色差ノイズ低減処理部6352においては、様々な方法を用いたノイズ低減処理を行うようにすることが可能であるが、ここでは、主にイプシロンフィルタ(以下、εフィルタと記載する。)を用いる場合を例にして説明する。
【0095】
[εフィルタについて]
まず、εフィルタについて簡単に説明する。図8は、εフィルタの機能を説明するための図である。非線形フィルタの1つであるεフィルタは、絵柄のエッジ部を保持しながらノイズ抑圧を行うことができるものである。これはノイズ信号の多くは高周波で小振幅であるという性質を利用している。
【0096】
すなわち、一般に画像データに含まれてしまうノイズ信号は高周波で小振幅の信号であり、絵柄のエッジ部のような大振幅の信号ではない。そこで、εフィルタは、画像の所定の領域内において、注目画素とその周辺画素との間でレベル差分を取り、このレベル差分と予め設定される閾値とを比較してノイズの有無を判定し、フィルタ係数に応じた演算を行うことによってノイズを平滑化するようにしている。
【0097】
具体的に説明する。ここでは、図8(A)に示すように、3画素×3画素の領域を設定し、その中央の画素を注目画素Tとする場合を例にして説明する。図8(A)に示した領域の画素について、図8(B)に示すように、横軸に図8(A)の領域にしたがった画素位置(画素no)を取り、縦軸に信号レベル(差分レベル)をとって、図8(A)に示した領域の各画素の信号レベルと注目画素Tの信号レベルとの差分(レベル差分)をプロットする。なお、注目画素Tは基準となるものであるので、差分ではなく、注目画素Tの信号レベルに基づいてプロットしている。
【0098】
そして、図8(B)において、点線で示した閾値により上下方向に範囲を示したように、画像の絵柄の振幅よりも小さい閾値幅を設定し、注目画素Tとの信号レベルの差分が閾値により定められた範囲外となる画素については、絵柄による差分と判断し、その画素を注目画素Tの平滑化のためには用いないようにする。一方、注目画素Tとの信号レベルの差分(レベル差分)が、閾値により定められた範囲内となる画素については、ノイズで生じる差分と判断して、その画素を注目画素Tの平滑化のために用いるようにする。
【0099】
すなわち、図8(B)に示した例の場合、no.2の画素と注目画素Tとのレベル差分と、no.7の画素と注目画素Tとのレベル差分とは、閾値により定められた範囲外となるので、no.2の画素とno.7の画素とは、平滑化のための平均化処理の対象(加算画素の対象)としない。
【0100】
これに対して、no.1、no.3、no.4、no.5、no.6、no.8のそれぞれの画素と注目画素Tとのレベル差分は、いずれも図8(B)に示したように、閾値により定められた範囲内となるので、no.1、no.3、no.4、no.5、no.6、no.8のそれぞれの画素は、平滑化のための平均処理の対象(加算画素の対象)とする。
【0101】
したがって、図8(B)に示したように、注目画素Tとの間におけるレベル差分が、予め決められる閾値の範囲内となるno.1、no.3、no.4、no.5、no.6、no.8のそれぞれの画素は、注目画素Tの平滑化のための平均化処理の加算対象となり、注目画素Tを周辺の画素から平均化したレベルに置き換えるようにする。そして、各画素を同様に処理することで全ての画像について平滑化が実行され、各画素は、ノイズ成分が除去されて平滑化される。これにより、画像信号により形成される画像の絵柄には影響を及ぼすことなく、ノイズ成分を除去して滑らかな画像を形成(再生)することができるようにされる。
【0102】
そして、上述したように、εフィルタの場合、図8(B)を用いて説明したように、閾値に基づいて、平滑化のための平均化処理の加算対象となる画素か否かを判定するので、閾値よりも大きなエッジは保持される。すなわち、図8(C)において実線で示すように、信号レベルが大きく変化するエッジを持つ画像において、点線で示すように、ノイズレベルに合わせて閾値を設定すれば、閾値外の信号は加算対象となることは無いので、画像が持つエッジは保持して、各画素(図8(C)において黒点で示したもの)のノイズ成分のみを抑圧することができるのである。
【0103】
なお、εフィルタにおいては、注目画素に近い周辺画素ほど重み付けを重くするなどというように、注目画素についての平滑化のための平均化処理に用いる画素の信号レベルに重み付けをつけるようにしてもよい。
【0104】
[Gノイズ低減処理部6351での処理の概要]
次に、図7に示したGノイズ低減処理部6351について説明する。Gノイズ低減処理部6351には、G補間部631において補間生成された画像を構成する画素毎のG信号(図7(1))が順次に供給される。そして、Gノイズ低減処理部6351においては、上述したεフィルタを用いて、G信号に含まれるノイズ成分を除去するように処理を行い、ノイズ低減されたG信号(図7(2))を出力する。
【0105】
また、Gノイズ低減処理部6351におけるノイズ低減処理の他の方法として、LPF(Low Pass Filter)と減算回路、あるいは、HPF(High Pass Filter)と減算回路などを用いることにより、G信号を高周波側(高周波成分)と低周波側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高周波側と低周波側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0106】
この他の方法を用いることにより、例え低照度で画像信号の絵柄成分とノイズ成分の大きさが近いときであっても、処理対象の画像信号により形成される絵柄の特徴を保持しながら、孤立点を生じさせないようにノイズ抑圧(低減)を行えるようにすることができる。なお、この他の方法(高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行う方法)については、この出願の発明者による他の出願である特願2007−262875に詳細に説明されている。
【0107】
なお、G信号は、輝度成分の強い信号であり、色ノイズ成分は少ないと考えられるので、デモザイク処理部1063の中ではノイズ低減処理は行わずに、デモザイク処理前の段階においてG信号のノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、図2に示したY/C変換部1066によるY/C変換の後のY信号(輝度信号)に対してノイズ低減処理を行うようにしたりするなどの選択もできる。すなわち、図7に示したGノイズ低減処理部6351は、ノイズ低減処理部635の必須の構成要件ではなく、画像信号に含まれる色ノイズを効率的に低減させるためには、以下に詳述する色差ノイズ低減処理部6352があればよい。
【0108】
[色差ノイズ低減処理部6352での処理の概要]
次に、図7に示した色差ノイズ低減処理部6352について説明する。色差ノイズ低減処理部6352には、色差生成部632において生成された色差信号(図7(3))が供給される。すなわち、色差生成部632においては、図7(3)に示したように、R信号が存在する画素に対してはR−G信号が生成され、B信号が存在する画素に対してはB−G信号が生成されて、これがノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352に供給される。そして、色差ノイズ低減処理部6352においては、同色同士で上述したεフィルタを用いて、R−G信号、B−G信号に含まれるノイズ成分(色ノイズ成分)を除去するように処理する。
【0109】
しかし、色差信号であるR−G信号、B−G信号のみに基づいてεフィルタをかけると、絵柄のエッジ部分で色が滲んだり、色の高周波部分で色が抜けたりする場合があると考えられる。つまり、1フレームの画像の中に、例えば、オレンジ色の部分と水色の部分が隣接して存在する場合(エッジを形成している場合)に、図7(3)に示したようなR−G信号、B−G信号だけでは当該2つの異なる色の隣接部分(エッジ部分)においては、考慮すべきでない画素(異なる色の部分の画素)を平滑化のために加算対象としてしまう場合があり、色の滲みや抜けを生じさせてしまう場合があると考えられる。
【0110】
そこで、色差ノイズ低減処理部6352においては、εフィルタをかける際に、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であることだけでなく、色差信号についてレベル差分を取る周辺画素と注目画素との間でG信号についてのレベル差分をも取るようにし、当該G信号についてのレベル差分についてもノイズ閾値の範囲内にある場合に、当該周辺画素を色差信号の平均化処理の対象とするようにする。
【0111】
図9は、色差信号についてのεフィルタによる処理を説明するための図である。図7に示した色差ノイズ低減処理部6352においては、基本的に、図9(A)に示すように、色差生成部632からの色差信号であるR−G信号、B−G信号を処理対象とすればよい。しかし、上述したエッジ部分の色の滲みや抜けの問題を解消するために、図9(B)に示すように、色差信号と同じようにG信号についても、色差信号を処理する場合に対応し、注目画素と周辺画素とのレベル差分を取り、当該G信号のレベル差分が所定の閾値範囲内か否かをも、平均化のために用いる画素とするか否かの判断に用いる。
【0112】
したがって、図7において、点線の矢印で示したように、G補間部631から出力されるG信号をも色差ノイズ低減処理部6352に供給するようにし、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であり、かつ、当該周辺画素と当該注目画素のG信号のレベル差分もノイズ閾値の範囲内である場合に、当該周辺画素の色差信号を注目画素の色差信号の平滑化のために用いるようにする。
【0113】
逆に言えば、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であっても、当該周辺画素と当該注目画素のG信号のレベル差分がノイズ閾値の範囲外である場合には、当該周辺画素の色差信号を注目画素の色差信号の平滑化のためには用いないようにする。
【0114】
このように、色差信号からεフィルタを用いて色ノイズ成分を除去する場合に、G信号のレベルをも考慮することにより、高精度に色ノイズ成分を除去し、適切に画像の色を再現することができるようにされる。
【0115】
なお、G信号を考慮することなく、色差信号であるR−G信号、B−G信号だけを用いて色ノイズの低減処理を行うようにした場合にも、色ノイズを十分に除去することができるので、より画質を重要視する製品においてはG信号を考慮するようにするなど、G信号を用いるものと用いないものとを切り分けするようにしてもよい。
【0116】
また、色差ノイズ低減処理部6352において、G信号を用いるか否かを、ユーザーが選択できるようにすることもできる。この場合には、キー操作部121を通じてG信号を用いるか否かの選択入力を受け付け、これに応じて、制御部110がカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063におけるノイズ低減処理部635における処理を制御するようにすればよい。
【0117】
なお、各色のノイズの大きさは異なるため、ノイズ閾値はR−G信号、B−G信号、G信号のそれぞれで異なる値を用いるようにする。ノイズの大きさはWB調整部など前段にかかるゲインの大きさに比例するため、前段ゲインの大きさを考慮してノイズ閾値を制御することが有効である。また、R−G信号、B−G信号、G信号のそれぞれのノイズ閾値を複数、ROM112などに用意しておき、キー操作部121を通じてユーザーが選択できるようにしてもよい。また、R−G信号、B−G信号、G信号のそれぞれのノイズ閾値を、キー操作部121を通じてユーザーが設定、変更できるようにすることも可能である。
【0118】
[ノイズ低減処理部635を設ける位置の重要性について]
図6を用いて説明したように、この例のノイズ低減処理部635は、G補間部631と色差生成部632との直後に配置している。このようにするのは、上述もしたように、色差信号であるR−G信号、B−G信号が生成された直後であるため、色差信号に混入している色ノイズがデモザイク処理における補間処理による複雑なフィルタがかかっておらず、色ノイズを効果的に抑圧することができるためである。この点について、図10、図11を用いて説明する。
【0119】
図10は、色差補間前の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。すなわち、図10は、図6に示した位置に配置したノイズ低減処理部635により、色差信号から色ノイズ成分を除去する場合の概要を説明するための図であり、絵柄の変化がない平坦な部分にノイズが乗った信号の例を示している。
【0120】
図10において、上端に記載されたR、G、R、G、Rの文字は、R信号が存在する画素の位置とG信号が存在する画素の位置とを示している。したがって、R信号が存在する画素に対しては、R−G信号が形成されることになる。そして、上述もしたように、εフィルタを用いて色ノイズの除去を行う場合、注目画素Tを基準とし、その周辺の同色の色差信号とのレベル差分が、予め決められる閾値範囲内にあれば、その周辺画素は注目画素Tの平滑化のための処理に用いられる。
【0121】
したがって、図10に示すように、注目画素Tの信号レベルを基準とし、当該注目画素Tの近隣画素とのレベル差分が閾値範囲内にあるR−G信号の画素である画素R1、画素R2は、注目画素Tの平滑化のための処理に用いられる画素である。したがって、これら画素R1、画素R2を用いて、注目画素Tを平滑化すると、注目画素Tは、比較的に信号レベルの高いレベルhに位置していたものが、ノイズ低減後の注目画素T1に示すように、注目画素Tに含まれる色ノイズ成分を大幅に低減させことができる。
【0122】
これに対して、図11は、色差補間後の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。すなわち、図11は、図3、図6に示した色差補間部633の後段において、色差信号から色ノイズ成分を除去する場合の概要を説明するための図である。
【0123】
図11において、上端に記載されたR、G、R、G、Rの文字は、R信号が存在する画素の位置とG信号が存在する画素の位置とを示している。したがって、R信号が存在する画素に対しては、R−G信号が形成されることになる。そして、図3を用いて説明したように、色差補間部633では、近隣の同色の色差信号に基づいて、G信号が存在する画素に対しても、色差信号であるR−G信号を補間生成する。
【0124】
これにより、図11において、画素H1、H2が示すように、色ノイズの低減処理を施す前に、G信号が存在する画素に対しても、色差信号としてのR−G信号が補間生成される。この後に、εフィルタを用いたノイズ低減処理を行うようにすると、既に補間生成されている画素H1、H2についても、注目画素Tとのレベル差分が閾値範囲内のものとなり、これらを用いてεフィルタによるノイズ低減処理を行うと、図11に示すように、補間処理された画素H1、画素H2の影響を受けて、ノイズ低減の注目画素T1からは、多くのノイズ成分を除去することができなくなってしまう。
【0125】
そして、図10、図11を比較すると分かるように、ノイズ低減後(平滑化後)の注目画素T1と、注目画素Tの平滑化に用いられた周辺画素と、横軸とが囲む面積は、図10方が小さいことが分かる。当該面積は、残存するノイズ成分の大まかな量と考えることができ、色差補間前の色差信号に対してεフィルタによるノイズ低減処理を行うようにしたほうが、より多くの色ノイズ成分を抑圧できることが分かる。
【0126】
なお、ここでは、色差信号としてR−G信号を用いる場合を例にして説明したが、色差信号としてB−G信号を用いる場合でも同様のことが言える。
【0127】
このため、図6に示したように、この実施の形態の撮像装置においては、図6に示したように、この実施の形態の撮像装置においては、ノイズ低減処理部635を、色差生成部632の直後に配置するようにしているのである。
【0128】
[デモザイク処理部1063の第2の構成例と処理の概要(ベイヤー配列の場合)]
図12は、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第2の構成例とその処理概要とを説明するためのブロック図である。図12に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、第1色差補間部636と第2色差補間部637とが設けられた点を除けば、図3に示したデモザイク処理部1063と同様に構成されたものである。
【0129】
このため、以下においては、説明を簡単にするため、図12に示した第2のデモザイク処理部においては、図3に示した第1のデモザイク処理部1063と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については省略する。また、ここでも、撮像素子部102の固体撮像素子の色フィルタ(カラーフィルタ)の色コーディングがベイヤー配列である場合を例にして説明することは、図3に示した第1のデモザイク処理部1063の場合と同様である。
【0130】
そして、図12に示すデモザイク処理部1063の場合には、図3に示したデモザイク処理部1063の色差補間部633の機能を2つに分け、第1色差補間部636と、第2色差補間部637とによって色差補間機能を実現している。すなわち、色差信号生成部632においては、図12(3)に示すように、R信号を有する画素に対してはR−G信号を形成して出力し、B信号を有する画素に対してはB−G信号を形成して出力する。
【0131】
このように、色差生成部632で生成された色差信号であるR−G信号、B−G信号は、第1色差補間部636に供給され、ここで図12(4A)、(4B)に示すように、R−G信号が生成された画素に対しても周囲のB−G信号に基づいてB−G信号を補間生成し、また、B−G信号が生成された画素に対しても周囲のR−G信号に基づいてR−G信号を補間生成する。
【0132】
そして、第2色差補間部637では、第1色差補間部636において補間生成された色差信号(図4の(4A)、(4B))から、色差信号が存在しない画素に対して、色差信号の存在する周辺の画素からの補間処理により、色差信号であるR−G信号(図12(5A))またはB−G信号(図12(5B))を補間生成する。この後のG足し戻し部634の処理は、図3を用い説明した通りである。
【0133】
このように、色差補間部が第1色差補間部636と第2色差補間部637とに分けられた構成のデモザイク処理部1063の場合には、第1色差補間部636と第2色差補間部637との間にノイズ低減処理部を設けるようにする。
【0134】
[デモザイク処理部1063の構成例]
図13は、図12を用いて説明したように構成されるデモザイク処理部1063において、ノイズ低減処理部638を設けた場合を説明するためのブロック図である。図13に示すように、この例のデモザイク処理部1063の場合には、第1色差補間部636と第2色差補間部637との間にノイズ低減処理部638を設けるようにしたものである。
【0135】
図13に示すように、G補間処理部631の後段には回路ブロックはないので、図13に示すデモザイク処理部1063においても、G信号に対する処理は、図6に示したデモザイク処理部の場合と同様である。しかし、色差信号に対するノイズ低減処理は、図12(4A)、(4B)に示した途中まで色差信号が補間された色差信号に対して施すことになる。
【0136】
図13に示した場合のノイズ低減処理部638においては、図6に示したノイズ低減処理部635における処理と比べると、補間処理による複雑なフィルタが多少かかっている色差信号であるR−G信号、B−G信号に対してノイズ低減処理を施すことになるが、同じ画素位置に、色差信号であるR−G信号とB−G信号とが2色とも存在しているので、図6に示したノイズ低減処理部635の場合よりも、絵柄のエッジを劣化させることなく、色ノイズを効果的に抑圧することができる。
【0137】
[ノイズ低減処理部638の構成例]
図14は、図13に示したデモザイク処理部1063のノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。ノイズ低減処理部638の構成は、図7に示したノイズ低減処理部635の場合と同様に、Gノイズ低減処理部6381と、色差ノイズ低減処理部6382とからなっている。
【0138】
[Gノイズ低減処理部6381での処理の概要]
Gノイズ低減処理部6381では、図7に示したGノイズ低減処理部6351と同じ形態のG信号を処理するので、図7に示したGノイズ低減処理部6351と同じ処理を行う。すなわち、εフィルタを用いてG信号に対してノイズ低減処理を施したり、あるいは、G信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしたりすることになる。
【0139】
[色差ノイズ低減処理部6382での処理の概要]
また、色差ノイズ低減処理部6382においては、図7に示したノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352の場合と同様に、色差信号から色ノイズの低減処理を行うようにするのであるが、以下に説明するように、図7に示した色差ノイズ低減処理部6352とは、その処理の内容が若干異なる。
【0140】
すなわち、図14に示すノイズ低減処理部638の色差ノイズ低減処理部6382においては、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、R−G信号と同じ位置のB−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0141】
同様に、B−G信号のノイズを抑圧したいときに,B−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、B−G信号と同じ位置のR−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、B−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0142】
これにより、図14(3A)、(3B)に示した色差信号からは、色ノイズが抑圧された色差信号(図14(4A)、(4B))を得ることができるようにされる。
【0143】
さらに、絵柄のエッジ部分をも考慮して、より高精度にノイズ低減処理を行うようにする場合には、図14において点線矢印で示したように、G信号の信号レベルをも考慮するようにする。
【0144】
すなわち、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号と同じ位置のB−G信号とG信号とについて、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、B−G信号のノイズを抑圧する際にも、B−G信号だけでなくR−G信号とG信号とを見てεフィルタをかけるようにする。
【0145】
これにより、図7に示したノイズ低減処理部635においても説明したように、絵柄のエッジ部分において、色彩が大きく異なる不要な画素の信号成分を画素の平滑化のための処理に入れないようにすることが可能となり、色の滲みや抜けを生じさせないようにすることができる。
【0146】
このように、この第2の例のデモザイク処理部1063で用いるノイズ低減処理部638は、一般的には、図15(A)、(B)に示すように、同じ画素位置に基づく色差信号R−G信号、B−G信号を相互の色ノイズの低減処理により考慮すると共に、さらに、図15(C)に示すように、同じ画素位置に基づくG信号をも考慮することにより、R−G信号とB−G信号とのいずれの信号から色ノイズを低減される場合にも、結果として、R、G、Bの3原色の要素を考慮して、色差信号から色ノイズを高精度に抑圧することができるよういうにされる。
【0147】
[ノイズ低減処理部の変形例]
図16は、ノイズ低減処理部638の他の構成例を説明するためのブロック図である。図14に示したノイズ低減処理部638の色差ノイズ低減処理部6382においては、精度よく色ノイズを抑圧するために、平滑化の対象とするか否かを判断する場合に、注目画素の色差信号とその周辺の画素の色差信号とのレベル差分を用いるだけでなく、注目画素のG信号とその周辺のG信号とのレベル差分をも考慮し、両レベル差分が所定の閾値範囲内にある場合に、その周辺画素を注目画素の平滑化のための平均化処理に用いるようにした。
【0148】
しかし、G信号を用いた場合には、例えば黒色の部分と赤色の部分とが隣接することにより生じるエッジをエッジとして判断できない場合がある。つまり、G信号は、輝度成分が多いといっても純粋な輝度信号ではなく、黒と赤とを表現しようとすれば、G信号は同じように含まれることになり、G信号だけではエッジと判断できないのである。
【0149】
そこで、図16に示す色差ノイズ低減処理部638の他の例においては、G信号と色差信号であるR−G信号、B−G信号から輝度信号Yと色差信号Cb、Crを形成し、Y信号をも考慮して、色差信号Cb、Crについてノイズ低減処理を施した後に、輝度信号Yと色差信号Cb、Crを元のG信号と色差信号であるR−G信号、B−G信号に戻すようにしている。
【0150】
すなわち、図16に示すように、この例のノイズ低減処理部638は、G信号と色差信号であるR−G信号、B−G信号を、輝度信号Yと色差信号Cb、Crとに変換するいわゆるY/C変換を行うY/C変換部6383と、輝度信号Yのノイズ低減処理を行う輝度ノイズ低減処理部6384と、色差信号Cb、Crのノイズ低減処理を行う色差ノイズ低減処理部6385と、ノイズ低減処理された輝度信号Y、色差信号Cb、Crを、元のG信号、色差信号であるR−G信号、B−G信号に逆変換する逆Y/C変換部6386とを備えたものである。
【0151】
そして、G補間部631からのG信号(図16(1))と、色差生成部632からの色差信号であるR−G信号(図16(4A))、B−G信号(図16(4B))とが、Y/C変換部6383に供給され、ここで、輝度信号Y(図16(2))、色差信号Cb(図16(5A))、色差信号Cr(図16(5B))に変換される。そして、輝度信号Yは、輝ノイズ低減処理部6384に供給され、色差信号Cb、Crは、色差ノイズ低減処理部6385に供給される。
【0152】
輝度ノイズ低減処理部6384は、これに供給された輝度信号Yに対してノイズの低減処理を施す。ここでも、εフィルタを用いてノイズ低減処理を行ったり、Y信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行ったりする。輝度ノイズ低減処理部6384でノイズの低減処理が施された輝度信号Yは、逆Y/C変換部6386に供給される。
【0153】
色差ノイズ低減処理部6385においては、色差信号Cbのノイズを抑圧したいときに、色差信号Cbと同じ画素位置の色差信号Crと輝度信号Yの周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、色差信号Cbの周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、色差信号Crのノイズを抑圧する際にも、色差信号Crだけでなく色差信号Cbと輝度信号Yを見てεフィルタをかけるようにする。色差ノイズ低減処理部6385において低減処理された色差信号Cb、Crは、逆Y/C変換部6386に供給される。
【0154】
そして、逆Y/C変換部6386においては、これに供給されたノイズ低減処理が施された輝度信号Y及び色差信号Cb、Crから、G信号、R−G信号、B−G信号が復元されて出力するようにされる。
【0155】
なお、Y/C変換部6383における変換処理は、処理対象がSD(Standard Definition)画像信号とHD(High Definition)画像信号とでは異なる。図17は、画像信号に応じたY/C変換処理のための計算式を示す図である。すなわち、処理対象がSD画像信号の場合、図17の(1)、(2)、(3)に示した計算式に基づいて、G信号、R−G信号、B−G信号を輝度信号Y、色差信号Cb、Crに変換する。また、処理対象がHD画像信号の場合、図17の(4)、(5)、(6)に示した計算式に基づいて、G信号、R−G信号、B−G信号を輝度信号Y、色差信号Cb、Crに変換する。
【0156】
そして、図16に示した構成のノイズ低減処理部683を用いた場合には、上述もしたように、色差ノイズ低減処理部6385におけるεフィルタによる色差ノイズの抑圧処理において、輝度信号Yの周辺画素と注目画素のレベル差分が見られるのでG信号を用いた場合に比べて、絵柄のエッジを保持しながらノイズ低減を行うようにすることができる。また、最終的に色を表す色差信号Cb、Crに対してノイズ抑圧処理を施すことができるので、色ノイズの効果的な抑圧を実現することができる。
【0157】
しかも、図16に示した構成のノイズ低減処理部683は、上述もしたように、デモザイク処理部1063の内部に構成されるものであり、撮像装置の構成に大きな変更を生じさせたり、撮像装置の制御部130に大きな負荷を負わせたりすることもない。
【0158】
また、図16に示した構成のノイズ低減処理部683では、輝度信号Yについても輝度ノイズ低減処理部6384において、ノイズ低減処理を施すようにしたが、輝度信号Yのノイズ低減処理は必須の要件ではなく、最終的にY/C変換を行った後に、ノイズ低減処理を施すようにしてもよい。
【0159】
なお、図7を用いて説明したデモザイク処理部635、図14を用いて説明したデモザイク処理部638の構成からも分かるように、この発明においては、色ノイズ低減処理を行う位置が重要である。すなわち、少なくとも、色差補間処理が完全に終了するよりも前の段階、すなわち、図7を用いて説明したように、色差生成直後の位置、あるいは、図14を用いて説明したように、R信号を有する画素とB信号を有する画素のそれぞれに対して、R−G信号とB−G信号とを補間処理した直後の位置において、色差信号であるR−G信号、B−G信号からノイズを除去する処理を行うことによって、効果的に色ノイズを低減させることができる。
【0160】
また、上述した実施の形態においては、ノイズ低減処理にεフィルタを用いるようにした場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、ウェーブレット変換を用いたノイズ低減処理や、バイラテラルフィルタを用いたノイズ低減処理でも効果的に色ノイズの抑圧が可能である。
【0161】
[第2の実施の形態]
[色フィルタがクリアビッド配列の場合について]
上述した実施の形態においては、図1に示した構成の撮像装置100において、撮像素子部102の固体撮像素子の色フィルタの色コーディングがベイヤー配列である場合を例にして説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、クリアビッド(Clearvid)配列など他のコーディングの個体撮像素子を用いた場合であっても、この発明は適用可能である。
【0162】
図18は、色フィルタの色コーディングについて説明するための図である。上述もし、また、図18Aに示すように、ベイヤー配列は、水平方向にBGBG…のように、BとGとが交互に並べられたラインと、水平方向にGRGR…のように、GとRとが交互に並べられたラインとが、垂直方向に交互に配置にされたものであり、G:B:Rの比率が2:1:1とされたものである。
【0163】
これに対して、クリアビッド配列は、図18Bに示すように、ベイヤー配列の場合に比べて、1画素の面積を拡大して高感度特性を向上させると共に、画素の配列を45度回転させるようにすることにより、ハイビジョンに必要な高解像度を実現するようにしたものであり、G:B:Rの比率が、例えば、6:1:1とされたものである。このようなクリアビッド配列の色フィルタを備えた固体撮像素子を通じて取り込んだ画像データを処理する場合にも、この発明を適用することができる。
【0164】
以下に説明する第2の実施の形態においては、図18Bに示したように構成されるクリアビット配列の色フィルタが用いられた固体撮像素子を有する撮像装置のデモザイク処理部にこの発明を適用したものである。すなわち、この第2の実施の形態においても、図1、図2を用いて説明したように構成される撮像装置にこの発明が適用された場合として説明するが、撮像素子部102において用いられる固体撮像素子が、クリアビット配列の色フィルタが用いられたものである。
【0165】
[デモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要(クリアビッド配列の場合)]
図19は、図1に示した撮像装置100の撮像素子部102で用いられている固体撮像素子が、クリアビット配列の色フィルタを用いている場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図19は、クリアビット配列の画像信号を処理対象とする、この第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【0166】
図19と、図3とを比較すると分かるように、図19に示すデモザイク処理部1063は、図3に示した場合と同様に構成されるものであり、G補間部631、色差生成部632、色差補間部633、G足し戻し部634とを備えたものである。そして、図19において点線で囲んで示した位置Aに、すなわち、G補間部631、及び色差生成部632の直後に、ノイズ低減処理部635を配置するようにしたものである。
【0167】
そして、図19に示すように、入力される画像データがクリアビッド配列の画像データであるために、それぞれの処理部において、処理の対象となる信号の形式が図3のデモザイク処理部1063で処理の対象となったものと若干異なってくる。すなわち、デモザイク処理部1063のG補間部631と色差生成部632には、図19(1)に示すように、クリアビット配列の画像データが供給される。
【0168】
そして、G補間部631においては、図19(1)に示した配列の画像データのG信号に基づいて、図19(2)に示すように、画像を構成する各画素のG信号を補間生成して出力する。また、色差生成部632においては、図19(1)に示した配列の画像データから、図19(3)に示すように、R信号を有する画素に色差信号であるR−G信号を生成し、B信号を有する画素に色差信号であるB−G信号を生成する。
【0169】
そして、G補間部631からのG信号と、色差生成部632からのR−G信号、B−G信号とは、後述するように、図19の位置Aに配置されるノイズ低減処理部635においてノイズ低減処理される。この後、ノイズ低減処理されたR−G信号、B−G信号は、色差補間処理部633に供給される。
【0170】
色差補間処理部633は、これに供給される図19(3)に示した色差信号に基づいて、画像を構成する画素毎にR−G信号(図19(4A))、B−G信号(図19(4B))を生成して、これをG足し戻し部634に供給する。G足し戻し部634は、色差補間部633からのR−G信号(図19(4A))、B−G信号(図19(4B))に対して、後述するノイズ低減処理部635からのG信号が足し戻しする処理を行い、画像を構成する画素毎に、R信号、B信号を形成して出力する。これにより、図19に示すデモザイク処理部1063からは、画像を形成する画素毎に形成されたG信号(図19(2))、R信号(図19(5A))、B信号(図19(5B))が出力される。
【0171】
[ノイズ低減処理部635の構成例]
図20は、図19に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。図20に示すように、この例のノイズ低減処理部635は、G信号に混入しているノイズを低減させるGノイズ低減処理部6351と、色差信号に混入しているノイズを低減させる色差ノイズ低減処理部6352とを備えたものである。すなわち、この図20に示したノイズ低減処理部635は、図7に示したノイズ低減処理部635と同様に構成されるものであるが、色差ノイズ低減処理部6352で処理される信号の形式が異なっている。
【0172】
[Gノイズ低減処理部6351での処理の概要]
Gノイズ低減処理部6351には、G補間部631において補間生成された画像を構成する画素毎のG信号(図20(1))が順次に供給される。そして、Gノイズ低減処理部6351においては、上述したεフィルタを用いて、G信号に含まれるノイズ成分を除去するように処理を行い、ノイズ低減されたG信号(図20(2))を出力する。
【0173】
また、Gノイズ低減処理部6351におけるノイズ低減処理の他の方法として、G信号を高周波側(高周波成分)と低周波側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高周波側と低周波側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0174】
この他の方法を用いることにより、例え低照度で画像信号の絵柄成分とノイズ成分の大きさが近いときであっても、処理対象の画像信号により形成される絵柄の特徴を保持しながら、孤立点を生じさせないようにノイズ抑圧(低減)を行えるようにすることができる。
【0175】
なお、この例の場合にも、G信号については、デモザイク処理部1063の中ではノイズ低減処理は行わずに、デモザイク処理前の段階においてG信号のノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、図2に示したY/C変換部1066によるY/C変換の後のY信号(輝度信号)に対してノイズ低減処理を行うようにしたりするなどの選択もできる。すなわち、図7に示したノイズ低減処理部6351は、ノイズ低減処理部635の必須の構成要件ではなく、画像信号に含まれる色ノイズを効率的に低減させるためには、以下に詳述する色差ノイズ低減処理部6352があればよい。
【0176】
[色差ノイズ低減処理部6352での処理の概要]
色差ノイズ低減処理部6352には、色差生成部632において生成された色差信号(図20(3))が供給される。すなわち、色差生成部632においては、図20(3)に示したように、R信号が存在する画素に対してはR−G信号が生成され、B信号が存在する画素に対してはB−G信号が生成されて、これがノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352に供給される。そして、色差ノイズ低減処理部6352においては、同色同士で上述したεフィルタを用いて、R−G信号、B−G信号に含まれるノイズ成分(色ノイズ成分)を除去するように処理する。
【0177】
しかし、色差信号であるR−G信号、B−G信号のみに基づいてεフィルタをかけると、絵柄のエッジ部分で色が滲んだり、色の高周波部分で色が抜けたりする場合があると考えられる。
【0178】
そこで、色差ノイズ低減処理部6352においては、εフィルタをかける際に、色差信号であるR−G信号、B−G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であることだけでなく、色差信号についてレベル差分を取る周辺画素と注目画素との間でG信号についてのレベル差分をも取るようにし、当該G信号についてのレベル差分についてもノイズ閾値の範囲内にある場合に、当該周辺画素を色差信号の平均化処理の対象とするようにする。
【0179】
このように、色差信号からεフィルタを用いて色ノイズ成分を除去する場合に、G信号のレベルをも考慮することにより、高精度に色ノイズ成分を除去し、適切に画像の色を再現することができるようにされる。
【0180】
[デモザイク処理部1063の第2の構成例と処理の概要(クリヤビッド配列の場合)]
図21は、図1に示した撮像装置100の撮像素子部102で用いられている固体撮像素子が、クリアビット配列の色フィルタを用いている場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図21は、第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【0181】
図21に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、第1色差補間部636と第2色差補間部637とが設けられ、これらの間の位置Bにノイズ低減処理部638が設けられるようにされた点を除けば、図19に示したデモザイク処理部1063と同様に構成されたものである。ここでは、説明を簡単にするため、図21に示した第2のデモザイク処理部においては、図19に示した第1のデモザイク処理部1063と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については省略する。
【0182】
そして、図21に示すデモザイク処理部1063の場合には、図19に示したデモザイク処理部1063の色差補間部633の機能を2つに分け、第1色差補間部636と、第2色差補間部637とによって色差補間機能を実現している。すなわち、色差信号生成部632においては、図21(3)に示すように、R信号を有する画素に対してはR−G信号を形成して出力し、B信号を有する画素に対してはB−G信号を形成して出力する。
【0183】
このように、色差生成部632で生成された色差信号であるR−G信号、B−G信号は、第1色差補間部636に供給され、ここで図21(4A)、(4B)に示すように、R−G信号が生成された画素に対しても周囲のB−G信号に基づいてB−G信号を補間生成し、また、B−G信号が生成された画素に対しても周囲のR−G信号に基づいてR−G信号を補間生成する。
【0184】
そして、第2色差補間部637では、第1色差補間部636において補間生成された色差信号(図21(4A)、(4B))から、色差信号が存在しない画素に対して、色差信号の存在する周辺の画素からの補間処理により、色差信号であるR−G信号(図21(5A))、B−G信号(図12の(5B))を補間生成する。この後のG足し戻し部634の処理は、図19を用い説明した通りである。
【0185】
このように、色差補間部が第1色差補間部636と第2色差補間部637とに分けられた構成のデモザイク処理部1063の場合には、第1色差補間部636と第2色差補間部637との間にノイズ低減処理部638を設けるようにしている。
【0186】
[ノイズ低減処理部638の構成例]
図22は、図21に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。ノイズ低減処理部638の構成は、図20に示したノイズ低減処理部635の場合と同様に、Gノイズ低減処理部6381と、色差ノイズ低減処理部6382とからなっている。
【0187】
[Gノイズ低減処理部6381での処理の概要]
Gノイズ低減処理部6381では、図20に示したGノイズ低減処理部6351と同じG信号を処理するので、図20に示したGノイズ低減処理部6351と同じ処理を行う。すなわち、εフィルタを用いたり、あるいは、G信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしたりすることになる。
【0188】
[色差ノイズ低減処理部6382での処理の概要]
また、色差ノイズ低減処理部6382においては、図20に示したノイズ低減処理部635の色差ノイズ低減処理部6352の場合と同様に、色差信号から色ノイズの低減処理を行うようにするのであるが、以下に説明するように、図20に示した色差ノイズ低減処理部6352とは、その処理の内容が若干異なる。
【0189】
すなわち、図22に示すノイズ低減処理部638の色差ノイズ低減処理部6382においては、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、R−G信号と同じ位置のB−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0190】
同様に、B−G信号のノイズを抑圧したいときに,B−G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、B−G信号と同じ位置のR−G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、B−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0191】
これにより、図22(3A)、(3B)に示した色差信号からは、色ノイズが抑圧された色差信号(図22(4A)、(4B))を得ることができるようにされる。
【0192】
さらに、絵柄のエッジ部分をも考慮して、より高精度にノイズ低減処理を行うようにする場合には、図22において点線矢印で示したように、G信号の信号レベルをも考慮するようにする。
【0193】
すなわち、R−G信号のノイズを抑圧したいときに、R−G信号と同じ位置のB−G信号とG信号とについて、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R−G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、B−G信号のノイズを抑圧する際にも、B−G信号だけでなくR−G信号とG信号を見てεフィルタをかけるようにする。
【0194】
これにより、図7に示したノイズ低減処理部635においても説明したように、絵柄のエッジ部分において、色彩が大きく異なる不要な画素の信号成分を画素の平滑化のための処理に入れないようにすることが可能となり、色の滲みや抜けを生じさせないようにすることができる。
【0195】
[カメラ信号処理部の他の構成例について]
上述した実施の形態の撮像装置100のカメラ信号処理部106は、図2に示したように構成され、当該カメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063において、色ノイズの低減処理を行うようにした。しかし、ノイズ低減処理は、デモザイク処理部1063だけでなく、デモザイク処理部1063において行う色ノイズの低減処理に加えて、当該デモザイク処理部1063の前段において、別のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0196】
図23は、カメラ信号処理部106の他の例を説明するためのブロック図である。図23において、図2に示したカメラ信号処理部106と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分の説明については省略する。そして、図23に示すようにデモザイク処理中のノイズ低減処理に加え、例えばノイズ低減処理部1068が示すように、デモザイク処理前の適宜の位置にノイズ低減処理を入れて、デモザイク処理部1063における色ノイズ低減処理と組み合わせて使用するようにしても良い。このとき、G信号はデモザイク処理部1063で相関を考慮したフィルタ処理が行われて絵柄成分とノイズ成分の区別が難しくなるので、その前のRaw状態でG信号のみノイズ低減処理部1068でノイズ低減を行い、R信号、B信号には何も処理をしないようにしたり、R信号、B信号は弱めにノイズ低減を施すようにしたりするなどのことも可能である。
【0197】
[第3の実施の形態]
[色比信号の利用について]
上述した実施の形態においては、色差信号であるR−G信号、B−G信号に対してノイズ低減処理を施すことにより、色ノイズを抑制するようにしたが、色比信号を用いるようにした場合にも、色差信号を用いた場合と同様に処理可能である。以下に説明する第3の実施の形態においては、色差信号に代えて色比信号を用いるようにするものである。そして、この第3の実施の形態においても、図1、図2を用いて説明したように構成される撮像装置にこの発明が適用された場合として説明する。
【0198】
[デモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要(色比信号を用いる場合)]
図24は、色差信号に代えて色比信号を用いるようにした場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図24は、第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。なお、この第3の実施の形態においては、ベイヤー配列の画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0199】
図24に示すデモザイク処理部1063は、G補間処理部6301、色比生成部6302、色比補間部6303、G掛け戻し部6304とを備えたものである。そして、図24において点線で囲んで示した位置Aに、すなわち、G補間部631、及び色差生成部632の直後に、ノイズ低減処理部6305を配置するようにしたものである。
【0200】
そして、この例のデモザイク処理部1063のG補間部6301と色比生成部6302には、図24(1)に示すように、ベイヤー配列の画像データが供給される。そして、G補間部6301においては、図24(1)に示した配列の画像データのG信号に基づいて、図24(2)に示すように、画像を構成する各画素のG信号を補間生成して出力する。
【0201】
また、色比生成部6302においては、図24(1)に示した配列の画像データから、図24(3)に示すように、R信号を有する画素にR信号とG信号との比(色比信号)として表現されるR/G信号を生成し、B信号を有する画素にB信号とG信号との比(色比信号)として表現されるB/G信号を生成する。
【0202】
そして、G補間部6301からのG信号と、色比生成部6302からのR/G信号、B/G信号とは、後述するように、図24の位置Aに配置されるノイズ低減処理部6305においてノイズ低減処理される。この後、ノイズ低減処理されたR/G信号、B/G信号は、色比補間処理部6303に供給される。
【0203】
色比補間処理部6303は、これに供給される図24(3)に示した色比信号に基づいて、画像を構成する画素毎にR/G信号(図24(4A))、B/G信号(図24(4B))を生成して、これをG掛け戻し部6304に供給する。G掛け戻し部6304は、色比補間部6303からのR/G信号(図24(4A))、B/G信号(図24(4B))に対して、後述するノイズ低減処理部6305からのG信号が掛け戻され、画像を構成する画素毎に、R信号、B信号が形成されて出力される。これにより、図24に示すデモザイク処理部1063からは、画像を構成する画素毎に形成されたG信号(図24(2))、R信号(図24(5A))、B信号(図24(5B))が出力される。
【0204】
[ノイズ低減処理部635の構成例]
図25は、図24に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部6305の構成例を説明するためのブロック図である。図25に示すように、この例のノイズ低減処理部6305は、G信号に混入しているノイズを低減させるGノイズ低減処理部6305Aと、色比信号に混入しているノイズを低減させる色比ノイズ低減処理部6305Bとを備えたものである。
【0205】
[Gノイズ低減処理部6305Aでの処理の概要]
Gノイズ低減処理部6305Aには、G補間部6301において補間生成された画像を構成する画素毎のG信号(図25(1))が順次に供給される。そして、Gノイズ低減処理部6305Aにおいては、上述したεフィルタを用いて、G信号に含まれるノイズ成分を除去するように処理を行い、ノイズ低減されたG信号(図25(2))を出力する。
【0206】
また、Gノイズ低減処理部6305Aにおけるノイズ低減処理の他の方法として、G信号を高周波側(高周波成分)と低周波側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高周波側と低周波側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしてもよい。
【0207】
この他の方法を用いることにより、例え低照度で画像信号の絵柄成分とノイズ成分の大きさが近いときであっても、処理対象の画像信号により形成される絵柄の特徴を保持しながら、孤立点を生じさせないようにノイズ抑圧(低減)を行えるようにすることができる。
【0208】
なお、この例の場合にも、G信号については、デモザイク処理部1063の中ではノイズ低減処理は行わずに、デモザイク処理前の段階においてG信号のノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、図2に示したY/C変換部1066によるY/C変換の後のY信号(輝度信号)に対してノイズ低減処理を行うようにしたりするなどの選択もできる。すなわち、図25に示したGノイズ低減処理部6305Aは、ノイズ低減処理部6305の必須の構成要件ではなく、画像信号に含まれる色ノイズを効率的に低減させるためには、以下に詳述する色差ノイズ低減処理部6305Bがあればよい。
【0209】
[色比ノイズ低減処理部6305Bでの処理の概要]
色比ノイズ低減処理部6305Bには、色比生成部6302において生成された色比信号(図25(3))が供給される。すなわち、色比生成部6302においては、図25(3)に示したように、R信号が存在する画素に対してはR/G信号が生成され、B信号が存在する画素に対してはB/G信号が生成されて、これがノイズ低減処理部6305の色比ノイズ低減処理部6305Bに供給される。そして、色比ノイズ低減処理部6305Bにおいては、同色同士で上述したεフィルタを用いて、R/G信号、B/G信号に含まれるノイズ成分(色ノイズ成分)を除去するように処理する。
【0210】
しかし、色比信号であるR/G信号、B/G信号のみに基づいてεフィルタをかけると、絵柄のエッジ部分で色が滲んだり、色の高周波部分で色が抜けたりする場合があると考えられる。
【0211】
そこで、色差ノイズ低減処理部6305Bにおいては、εフィルタをかける際に、色差信号であるR/G信号、B/G信号について、周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内であることだけでなく、色差信号についてレベル差分を取る周辺画素と注目画素との間でG信号についてのレベル差分をも取るようにし、当該G信号についてのレベル差分についてもノイズ閾値の範囲内にある場合に、当該周辺画素を色比信号の平均化処理の対象とするようにする。
【0212】
このように、色比信号からεフィルタを用いて色ノイズ成分を除去する場合に、G信号のレベルをも考慮することにより、高精度に色ノイズ成分を除去し、適切に画像の色を再現することができるようにされる。
【0213】
[デモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要(色比信号を用いる場合)]
図26は、色差信号に代えて色比信号を用いるようにした場合における、図2に示したカメラ信号処理部106のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理の概要とを説明するためのブロック図である。すなわち、図26は、第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。この場合にも、ベイヤー配列の画像データを処理する場合を例にして説明する。
【0214】
図26に示すように、この例のデモザイク処理部1063は、第1色比補間部6306と第2色比補間部6307とが設けられ、これらの間の位置Bにノイズ低減処理部6308が設けられるようにされた点を除けば、図24に示したデモザイク処理部1063と同様に構成されたものである。ここでは、説明を簡単にするため、図26に示した第2のデモザイク処理部において、図24に示した第1のデモザイク処理部1063と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、その部分の詳細な説明については省略する。
【0215】
そして、図26に示すデモザイク処理部1063の場合には、図24に示したデモザイク処理部1063の色比補間部6303の機能を2つに分け、第1色比補間部6306と、第2色比補間部6307とによって色比補間機能を実現している。すなわち、色比信号生成部6302においては、図26(3)に示すように、R信号を有する画素に対してはR/G信号を形成して出力し、B信号を有する画素に対してはB/G信号を形成して出力する。
【0216】
このように、色比生成部6302で生成された色比信号であるR/G信号、B/G信号は、第1色比補間部6306に供給され、ここで図26(4A)、(4B)に示すように、R/G信号が生成された画素に対しても周囲のB/G信号に基づいてB/G信号を補間生成し、また、B/G信号が生成された画素に対しても周囲のR/G信号に基づいてR/G信号を補間生成する。
【0217】
そして、第2色比補間部6307では、第1色比補間部6306において補間生成された色比信号(図26(4A)、(4B))から、色比信号が存在しない画素に対して、色比信号の存在する周辺の画素からの補間処理により、色比信号であるR/G信号(図26(5A))、B/G信号(図26(5B))を補間生成する。この後のG掛け戻し部6304の処理は、図24を用い説明した通りである。
【0218】
このように、色比補間部が第1色比補間部6306と第2色比補間部6307とに分けられた構成のデモザイク処理部1063の場合には、第1色比補間部6306と第2色比補間部6307との間にノイズ低減処理部6308を設けるようにしている。
【0219】
[ノイズ低減処理部6308の構成例]
図27は、図26に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部6308の構成例を説明するためのブロック図である。ノイズ低減処理部6308の構成は、図25に示したノイズ低減処理部6305の場合と同様に、Gノイズ低減処理部6308Aと、色差ノイズ低減処理部6308Bとからなっている。
【0220】
[Gノイズ低減処理部6308Aでの処理の概要]
Gノイズ低減処理部6308Aでは、図25に示したGノイズ低減処理部6305Aと同じG信号を処理するので、図25に示したGノイズ低減処理部6305Aと同じ処理を行う。すなわち、εフィルタを用いノイズ低減処理を行うようにしたり、あるいは、G信号を高域側(高周波成分)と低域側(低周波成分)とに帯域分割し、高周波側はコアリング処理やリミット処理を施し、低周波側はεフィルタなどで処理することにより、高域側と低域側とで別々のノイズ低減処理を行うようにしたりする。
【0221】
[色差ノイズ低減処理部6382での処理の概要]
また、色差ノイズ低減処理部6308Bにおいては、図25に示したノイズ低減処理部6305の色比ノイズ低減処理部6305Bの場合と同様に、色比信号から色ノイズの低減処理を行うようにするのであるが、以下に説明するように、図25に示した色比ノイズ低減処理部6305Bとは、その処理の内容が若干異なる。
【0222】
すなわち、図27に示すノイズ低減処理部6308の色差ノイズ低減処理部6308Bにおいては、R/G信号のノイズを抑圧したいときに、R/G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、R/G信号と同じ位置のB/G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R/G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0223】
同様に、B/G信号のノイズを抑圧したいときに,B/G信号に対して周辺画素と注目画素のレベル差がノイズ閾値の範囲内であるのをみるだけでなく、B/G信号と同じ位置のR/G信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、B/G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。
【0224】
これにより、図27(3A)、(3B)に示した色比信号からは、色ノイズが抑圧された色比信号(図27(4A)、(4B))を得ることができるようにされる。
【0225】
さらに、絵柄のエッジ部分をも考慮して、より高精度にノイズ低減処理を行うようにする場合には、図27において点線矢印で示したように、G信号の信号レベルをも考慮するようにする。
【0226】
すなわち、R/G信号のノイズを抑圧したいときに、R/G信号と同じ位置のB/G信号とG信号の周辺画素と注目画素のレベル差分がノイズ閾値の範囲内である場合に、R/G信号の周辺画素を平均化処理の対象とする。同様に、B/G信号のノイズを抑圧する際にも、B/G信号だけでなくR/G信号とG信号を見てεフィルタをかけるようにする。
【0227】
これにより、図7に示したノイズ低減処理部635においても説明したように、絵柄のエッジ部分において、色彩が大きく異なる不要な画素の信号成分を画素の平滑化のための処理に入れないようにすることが可能となり、色の滲みや抜けを生じさせないようにすることができる。また、第3の実施の形態では、ベイヤー配列の画像データを処理する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。クリアビッド配列の画像データを処理する場合にも、上述した第3の実施の形態の場合と同様にして色比信号を用いるようにすることもできる。
【0228】
[デモザイク処理部における処理のまとめ]
上述した第1〜第3の実施の形態の説明から分かるように、この出願の発明は、デモザイク処理部1063において、色ノイズを効果的に低減させることができるようにするもので、その方法は、大きく分けて2通りある。第1の方法は、図6、図19、図24を用いて説明したように、色関連信号としての色差信号や色比信号の生成直後の位置で、これら色差信号や色比信号から色ノイズの低減を図るようにするものである。
【0229】
第2の方法は、図13、図21、図26を用いて説明したように、生成された色関連信号としての色差信号や色比信号から、画像を構成する画素毎に色差信号や色比信号を補間生成する場合に、当該補間生成を、色差信号、色比信号が生成された画素に対して、別の色の色差信号、色比信号を補間生成する第1補間処理と、第1補間処理の後、画像を構成する画素毎に色差信号、色比信号を補間生成する第2補間処理とを設け、第1補間処理後の色差信号や色比信号から色ノイズの低減を図るようにするものである。
【0230】
以下においては、これら第1の方法を用いたデモザイク処理と第2の方法を用いたデモザイク処理とのそれぞれについて、フローチャートを参照しながらその処理内容についてまとめる。
【0231】
[第1の方法が適用されたデモザイク処理について]
図28は、上述した第1の方法が適用されたデモザイク処理について説明するためのフローチャートである。この図28に示すフローチャートの処理は、図6、図19、図24に示したデモザイク処理部において用いられる方法である。なお、上述もしたように、色ノイズを低減させる信号は、色差信号の場合と、色比信号の場合とがあるが、以下においては、主に色差信号を用いる場合について説明するが、色比信号を用いる場合にも同様に処理することができる。
【0232】
デモザイク処理を行う場合、まず、Rawデータの形式の入力画像データから、色関連信号としての色差信号(色比信号)を生成する(ステップS101)。そして、生成された色差信号(色比信号)に対して、例えば、εフィルタなどの所定の方式を用いて、色ノイズを低減させるための処理を施す(ステップS102)。
【0233】
この後、色ノイズの低減処理が施された色差信号(色比信号)を用いて補間処理を行うことにより、画像を構成する画素毎に色差信号(色比信号)を補間生成する(ステップS103)。そして、ステップS103において、画像を構成する画素毎に補間生成された色差信号(色比信号)に対して、同じ画素位置のG信号を考慮して、R信号、B信号を生成する(ステップS104)。
【0234】
すなわち、ステップS104の処理は、処理対象が色差信号(R−G信号、B−G信号)である場合には、G信号を足し戻す処理であり、処理対象が色比信号(R/G信号、B/G信号)である場合には、G信号を掛け戻す処理である。そして、画像を構成する画素毎に形成された三原色信号であるR信号、G信号、B信号を出力することにより(ステップS105)、一連のデモザイク処理が行われる。
【0235】
なお、図28には明記しなかったが、ステップS101の処理において、G信号の補間生成を行い、画像を構成する画素毎にG信号が生成される。このG信号に対しては、上述もしたように、ノイズ低減処理を施してもよいし、施さなくてもよい。
【0236】
このように、色関連信号としての色差信号や色比信号を生成した直後に、色差信号や色比信号に対して色ノイズの低減処理を行うようにした場合には、色差信号や色比信号の補間処理が行われる前であるので、補間処理の影響を受けることなく、適切に色ノイズの低減処理を行うようにすることができる。
【0237】
また、図28にしたがったプログラムを作成し、これをCPUにおいて実行されることにより、この発明に係るデモザイク処理部の機能をCPUにおいて実現することもできる。すなわち、この発明に係るデモザイク処理はソフトウェアによっても実現することができる。
【0238】
[第2の方法が適用されたデモザイク処理について]
図29は、上述した第2の方法が適用されたデモザイク処理について説明するためのフローチャートである。この図29に示すフローチャートの処理は、図13、図21、図26に示したデモザイク処理部において用いられる方法である。なお、この第2の方法の場合においても、主に色差信号を用いる場合について説明するが、色比信号を用いる場合にも同様に処理することができる。
【0239】
デモザイク処理を行う場合、まず、Rawデータの形式の入力画像データから、色関連信号としての色差信号(色比信号)を生成する(ステップS201)。そして、生成された式信号(色比信号)に基づいて、当該色差信号(色比信号)が生成された画素に、異なる色の色差信号(色比信号)を補間生成する(ステップS202)。
【0240】
すなわち、ステップS201の処理により、R信号の存在する画素にはR−G信号(R/G信号)が生成され、B信号の存在する画素にはB−G信号(B/G信号)が生成されている。そこで、ステップS202の処理においては、R−G信号(R/G信号)が生成されている画素に対して、B−G信号(B/G信号)を生成し、B−G信号(B/G信号)が生成されている画素に対して、R−G信号(R/G信号)を生成する処理であり、色差信号(色比信号)についての第1補間処理に相当する。
【0241】
そして、ステップS202において、第1補間処理された色差信号(色比信号)に対して、例えば、εフィルタなどの所定の方式を用いて、色ノイズを低減させるための処理を施す(ステップS203)。
【0242】
この後、色ノイズの低減処理が施された色差信号(色比信号)を用いて補間処理を行うことにより、画像を構成する画素毎に色差信号(色比信号)を補間生成する(ステップS204)。このステップS204の色差信号(色比信号)の補間生成処理は、第2補間処理に相当する。
【0243】
そして、ステップS204において、画像を構成する画素毎に補間生成された色差信号(色比信号)に対して、同じ画素位置のG信号を考慮して、R信号、B信号を生成する(ステップS205)。すなわち、ステップS205の処理は、処理対象が色差信号(R−G信号、B−G信号)である場合には、G信号を足し戻す処理であり、処理対象が色比信号(R/G信号、B/G信号)である場合には、G信号を掛け戻す処理である。そして、画像を構成する画素毎に形成された三原色信号であるR信号、G信号、B信号を出力することにより(ステップS206)、一連のデモザイク処理が行われる。
【0244】
なお、図29には明記しなかったが、ステップS201の処理において、G信号の補間生成を行い、画像を構成する画素毎にG信号が生成される。このG信号に対しては、上述もしたように、ノイズ低減処理を施してもよいし、施さなくてもよい。
【0245】
このように、色関連信号としての色差信号や色比信号を生成した後、第1補間処理された色差信号(色比信号)に対して色ノイズの低減処理を行うようにした場合には、R−G信号(R/G信号)とB−G信号(B/G信号)との双方を用いて、精度良く色ノイズの低減処理を行うようにすることができる。
【0246】
また、図29にしたがったプログラムを作成し、これをCPUにおいて実行されることにより、この発明に係るデモザイク処理部の機能をCPUにおいて実現することもできる。すなわち、この発明に係るデモザイク処理はソフトウェアによっても実現することができる。
【0247】
[その他]
なお、第1の実施の形態のノイズ低減処理部638の他の構成例として、図16を用いて説明したように、G信号、色差信号であるR−G信号、B−G信号を、輝度信号Y、色差信号Cr、Cbに変換してノイズ低減処理を施し、ノイズ低減処理後の輝度信号Y、色差信号Cr、CbをG信号、R−G信号、B−G信号に変換し直す構成について説明した。しかし、これは、第1の実施の形態のノイズ低減処理部638においてのみ適用可能ものではない。第1の実施の形態のノイズ低減処理部635にも適用可能であるし、第2の実施の形態のノイズ低減処理部635、638、第3の実施の形態のノイズ低減処理部6305、6308に適用することも可能である。
【0248】
また、上述もしたように、この発明は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話端末などの携帯電子機器に搭載されるカメラモジュール、イメージリーダ、スキャナなどの単板の固体撮像素子を通じて取り込んだ画像データを処理する種々の撮像装置や、単板の固体撮像素子を通じて取り込んで記憶保持するようにされたRawデータを処理する種々の画像処理装置などにも適用可能なものである。
【0249】
また、図2において2重線で囲んで示したデモザイク処理部1063をIC化するような場合にも、当該IC化するデモザイク処理部にこの発明を適用することができる。また、カメラ信号処理部106を1つの回路ブロックとして構成する場合にも、そのモザイク処理部にこの発明を適用することが可能である。
【0250】
また、この出願の特許請求の範囲に記載した請求項の構成要件と、上述した実施の形態の各部との対応関係を示すと以下のようになる。すなわち、請求項における撮像素子は、図1に示した撮像素子部102に搭載されている固体撮像素子に相当する。また、デモザイク処理手段は、図2、図3、図6、図7、図12、図13、図19、図21、図24、図26に示した核デモザイク処理部に相当する。
【0251】
そして、デモザイク処理手段の生成部は、各デモザイク処理部1063の色差生成部632、色比生成部6302が相当し、ノイズ低減部は、各デモザイク処理部1063のノイズ低減処理部635、638、6305、6308が相当する。また、請求項における目的色信号は、R信号、B信号を想定しており、所定の他の色信号は、G信号を想定している。また、第1の補間部は、第1色差補間部636、第1色比補間部6306が相当し、第2の補間部は、第2色差補間部637、第2色比補間部6307が相当する。
【0252】
また、請求項における色関連信号という文言は、色差信号や色比信号を包括する文言として用いている。また、請求項における変換部は、Y/C変換部6383が相当し、逆変換部は、逆Y/C変換部6386が相当する。
【0253】
また、上述した実施の形態においては、色信号として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色信号を用いるものとして説明したが、これに限るものではない。近年においては、3原色信号に加えてエメラルド色とった色信号を用いるようにしているものもあるが、このような色信号を用いる場合にもこの発明を適用することが可能である。
【0254】
すなわち、少なくとも、色差信号や色比信号といった、目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号に対して、色ノイズの低減処理を施すようにすることにより、この発明が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0255】
【図1】この発明の位置実施の形態が適用された撮像装置100を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した撮像装置100のカメラ信号処理部106を説明するためのブロック図である。
【図3】第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例とその処理の概要とを説明するためのブロック図である。
【図4】ベイヤー配列のRaw動画像データからR信号及びB信号についても直接に補間処理により生成する場合について説明するための図である。
【図5】ベイヤー配列のRaw動画像データからR信号及びB信号については色差信号を介在させて生成する場合について説明するための図である。
【図6】ノイズ低減処理部635が設けられた第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例を説明するためのブロック図である。
【図7】図6に示したノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。
【図8】εフィルタの機能を説明するための図である。
【図9】図7に示したノイズ低減処理部635におけるεフィルタによる処理を説明するための図である。
【図10】色差補間前の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。
【図11】色差補間後の色差信号に対してεフィルタを用いてノイズ低減処理する場合の処理概要を説明するための図である。
【図12】第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例とその処理の概要とを説明するためのブロック図である。
【図13】ノイズ低減処理部638が設けられた第1の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例を説明するためのブロック図である。
【図14】図13に示したノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。
【図15】図14に示したノイズ低減処理部638におけるεフィルタによる処理を説明するための図である。
【図16】ノイズ低減処理部638の他の構成例を説明するためのブロック図である。
【図17】画像信号に応じたY/C変換処理のための計算式を示す図である。
【図18】色フィルタの色コーディングについて説明するための図である。
【図19】第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図20】図19に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部635の構成例を説明するためのブロック図である。
【図21】第2の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図22】図21に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部638の構成例を説明するためのブロック図である。
【図23】カメラ信号処理部106の他の例を説明するためのブロック図である。
【図24】第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第1の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図25】図24に示した位置Aに配置されるノイズ低減処理部6305の構成例を説明するためのブロック図である。
【図26】第3の実施の形態のデモザイク処理部1063の第2の構成例と処理概要とを説明するためのブロック図である。
【図27】図26に示した位置Bに設けられるノイズ低減処理部6308の構成例を説明するためのブロック図である。
【図28】図6、図19、図24に示したデモザイク処理部において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図29】図13、図21、図26に示したデモザイク処理部において行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0256】
1063…デモザイク処理部、631…G補間部、632…色差生成部、633…色差補間部、634…G足し戻し部、635…ノイズ低減処理部、6351…Gノイズ低減処理部、6352…色差ノイズ低減処理部、636…第1色差補間部、637…第2色差補間部、638…ノイズ低減処理部、6381…Gノイズ低減処理部、6382…色差ノイズ低減処理部、6383…Y/C変換部、6384…輝度ノイズ低減処理部、6385…色差ノイズ低減処理部、6386…逆Y/C変換部、6301…G補間部、6302…色比生成部、6303…色比補間部、6304…G掛け戻し部、6305…ノイズ低減処理部、6306…第1色比補間部、6307…第2色比補間部、6308…ノイズ低減処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理手段とを備えた撮像装置であって、
前記デモザイク処理手段は、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記目的色信号は複数種類あり、
前記デモザイク処理手段は、
前記生成部からの前記色関連信号から、各目的色信号の画素に対して異なる目的色信号を用いた異なる色関連信号を生成し、前記生成部からの既に生成された前記色関連情報と共に出力する第1の補間部と、
前記第1の補間部から出力される前記色関連信号から、画像を構成する画素毎に、複数種類の前記色関連信号のそれぞれを用いて生成される複数種類の色関連情報を生成して出力する第2の補間部と
を備え、
前記ノイズ低減部は、前記第1の補間部と前記第2の補間部との間に配置され、前記第1の補間部から出力される前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施した後に、前記第2の補間部に供給することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ノイズ低減部は、前記所定の他の色信号をも考慮して、前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ノイズ低減部は、
前記色関連信号を形式の異なる他の色関連信号に変換する変換手段と、
前記他の色関連信号を元の形式の色関連信号に変換する逆変換手段と
を備え、
前記変換手段により変換された前記他の色関連信号に対してノイズ低減処理を施した後に、前記逆変換手段により元の形式の色関連信号に戻して出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記色関連信号は、前記目的色信号と前記他の色信号との差として表現される色差信号であることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記色関連信号は、前記目的色信号と前記他の色信号との比として表現される色比信号であることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理を行う場合に用いられる色ノイズ低減方法であって、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成した前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減工程と
を有することを特徴とする色ノイズ低減方法。
【請求項8】
請求項7に記載の色ノイズ低減方法であって、
前記目的色信号は複数種類あり、
前記生成工程において生成した前記色関連信号から、各目的色信号の画素に対して異なる目的色信号を用いた異なる色関連信号を生成し、前記生成工程において生成した前記色関連情報と共に出力する第1の補間工程と、
前記第1の補間工程を通じて出力される前記色関連信号から、画像を構成する画素毎に、複数種類の前記色関連信号のそれぞれを用いて生成される複数種類の色関連情報を生成して出力する第2の補間工程と、
を有し、
前記ノイズ低減工程は、前記第1の補間工程と前記第2の補間工程との間において行われ、前記第1の補間工程を通じて出力される前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことを特徴とする色ノイズ低減方法。
【請求項9】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理を行う撮像装置に搭載されたコンピュータに実行させる色ノイズ低減プログラムであって、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにおいて生成した前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減ステップと
を前記撮像装置に搭載された前記コンピュータに実行させることを特徴とする色ノイズ低減プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の色ノイズ低減プログラムであって、
前記目的色信号は複数種類あり、
前記生成ステップにおいて生成した前記色関連信号から、各目的色信号の画素に対して異なる目的色信号を用いた異なる色関連信号を生成し、前記生成ステップにおいて生成した前記色関連情報と共に出力する第1の補間ステップと、
前記第1の補間ステップを通じて出力される前記色関連信号から、画像を構成する画素毎に、複数種類の前記色関連信号のそれぞれを用いて生成される複数種類の色関連情報を生成して出力する第2の補間ステップと
を前記撮像装置に搭載された前記コンピュータに実行させるようにしており、
前記ノイズ低減ステップは、前記第1の補間ステップと前記第2の補間ステップとの間において実行され、前記第1の補間ステップを通じて出力される前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことを特徴とする色ノイズ低減プログラム。
【請求項1】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理手段とを備えた撮像装置であって、
前記デモザイク処理手段は、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記目的色信号は複数種類あり、
前記デモザイク処理手段は、
前記生成部からの前記色関連信号から、各目的色信号の画素に対して異なる目的色信号を用いた異なる色関連信号を生成し、前記生成部からの既に生成された前記色関連情報と共に出力する第1の補間部と、
前記第1の補間部から出力される前記色関連信号から、画像を構成する画素毎に、複数種類の前記色関連信号のそれぞれを用いて生成される複数種類の色関連情報を生成して出力する第2の補間部と
を備え、
前記ノイズ低減部は、前記第1の補間部と前記第2の補間部との間に配置され、前記第1の補間部から出力される前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施した後に、前記第2の補間部に供給することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ノイズ低減部は、前記所定の他の色信号をも考慮して、前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ノイズ低減部は、
前記色関連信号を形式の異なる他の色関連信号に変換する変換手段と、
前記他の色関連信号を元の形式の色関連信号に変換する逆変換手段と
を備え、
前記変換手段により変換された前記他の色関連信号に対してノイズ低減処理を施した後に、前記逆変換手段により元の形式の色関連信号に戻して出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記色関連信号は、前記目的色信号と前記他の色信号との差として表現される色差信号であることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記色関連信号は、前記目的色信号と前記他の色信号との比として表現される色比信号であることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理を行う場合に用いられる色ノイズ低減方法であって、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成した前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減工程と
を有することを特徴とする色ノイズ低減方法。
【請求項8】
請求項7に記載の色ノイズ低減方法であって、
前記目的色信号は複数種類あり、
前記生成工程において生成した前記色関連信号から、各目的色信号の画素に対して異なる目的色信号を用いた異なる色関連信号を生成し、前記生成工程において生成した前記色関連情報と共に出力する第1の補間工程と、
前記第1の補間工程を通じて出力される前記色関連信号から、画像を構成する画素毎に、複数種類の前記色関連信号のそれぞれを用いて生成される複数種類の色関連情報を生成して出力する第2の補間工程と、
を有し、
前記ノイズ低減工程は、前記第1の補間工程と前記第2の補間工程との間において行われ、前記第1の補間工程を通じて出力される前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことを特徴とする色ノイズ低減方法。
【請求項9】
複数の色の画素が所定の順序に従って配列された色フィルタを備え、被写体の画像を取り込んで複数の色の色信号からなる画像信号を出力する撮像素子を通じて取り込まれた画像信号から、画像を形成する画素毎に複数の色のそれぞれの色信号を形成するデモザイク処理を行う撮像装置に搭載されたコンピュータに実行させる色ノイズ低減プログラムであって、
前記撮像素子を通じて取り込まれた前記画像信号に含まれる目的とする所定の色信号である目的色信号と所定の他の色信号とを演算することにより、前記目的色信号の画素に対して、前記目的色信号と前記所定の他の色信号とを関連付けた色関連信号を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにおいて生成した前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すノイズ低減ステップと
を前記撮像装置に搭載された前記コンピュータに実行させることを特徴とする色ノイズ低減プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の色ノイズ低減プログラムであって、
前記目的色信号は複数種類あり、
前記生成ステップにおいて生成した前記色関連信号から、各目的色信号の画素に対して異なる目的色信号を用いた異なる色関連信号を生成し、前記生成ステップにおいて生成した前記色関連情報と共に出力する第1の補間ステップと、
前記第1の補間ステップを通じて出力される前記色関連信号から、画像を構成する画素毎に、複数種類の前記色関連信号のそれぞれを用いて生成される複数種類の色関連情報を生成して出力する第2の補間ステップと
を前記撮像装置に搭載された前記コンピュータに実行させるようにしており、
前記ノイズ低減ステップは、前記第1の補間ステップと前記第2の補間ステップとの間において実行され、前記第1の補間ステップを通じて出力される前記色関連信号に対してノイズ低減処理を施すことを特徴とする色ノイズ低減プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−153013(P2009−153013A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330509(P2007−330509)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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