説明

撮像装置、該撮像装置を具備する内視鏡先端部

【課題】電子機器の限られた空間内に、コンパクトに実装することができる構成を有することにより、配置される部位の小型化を実現することができる構成を有する撮像装置、該撮像装置を具備する内視鏡先端部を提供する。
【解決手段】先端硬質部材11sと、先端硬質部材11s内に設けられた、被検部位を観察するレンズの光軸方向後方に位置するプリズム20と、先端硬質部材11s内において、プリズム20の光の出射面に固定された撮像素子21と、一方の面22iが撮像素子21に固定されるとともに、他方の面22tが先端硬質部材11sの内周面11snに固定された基板22と、を具備し、基板22の他方の面22tは、先端硬質部材11sの内周面11snに沿った形状に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ、プリズム、撮像素子を用いて被検部位を撮像する撮像装置、該撮像装置を具備する内視鏡先端部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDやCMOS等の固体撮像素子(以下、単に撮像素子と称す)が設けられた撮像装置を具備する電子内視鏡や、カメラ付き携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器が周知である。
【0003】
撮像装置は、一般的に、レンズを介して受光部に被検部位の光学像が入光される撮像素子と、該撮像素子に電気的に接続された基板等から主要部が構成されている。尚、撮像素子により受光した被検部位の像の映像信号は、基板から延出する信号線を介して撮像装置外へと伝送される。
【0004】
ここで、撮像装置を、被検部位に挿入される内視鏡の挿入部の先端部内に設ける場合、通常、先端部内において、撮像素子は、レンズの光軸方向の後方(以下、単に後方と称す)の集光位置において、光軸方向に直交する先端部の径方向に沿って配置されている。
【0005】
ところが、先端部の小径化を図ると先端部内の空間が小さくなる。よって、先端部の径方向に沿って撮像素子を小さい空間内に配置するには、撮像素子自体も小型化されたものを用いなければならないことから、受光部の面積も小さくなるため、受光感度が小さくなってしまうといった問題があった。
【0006】
このような問題に鑑み、特許文献1には、内視鏡の挿入部の先端部内において、複数のレンズからなるレンズユニットの後方に設けられたプリズムを介して、該プリズムの光の出射面において光軸方向に沿って配置された撮像素子の受光面に光学像を入光させ、撮像素子に接続された基板から延出する信号線を介して、電気信号を撮像装置外へと伝送する構成が開示されている。
【0007】
このような構成によれば、撮像素子は、先端部内において光軸方向に沿って配置されていることから、先端部の小径化とは無関係な光軸方向に沿った方向の外形を大きくすることができるため、受光部の大きさを十分確保することができる。よって、先端部の小径化を図っても、受光感度を従来と同等に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−148745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に示す構成においては、先端部内において、レンズユニット及びプリズムは、先端部内の空間の中心から先端部の径方向外側にずれた位置に設けられており、撮像素子は、プリズムによって反射された光を受光するため、先端部内の空間の中心に位置している。尚、基板及び信号線も、先端部内の空間の中心に位置している。
【0010】
しかしながら、この構成では、先端部の小径化を図ると先端部内の空間が小さくなるため、先端部内の空間の中心に位置する撮像素子や基板、信号線が、先端部内の他の部品と干渉しやすくなってしまうことから、該干渉を避けるよう他の部品を配置することが難しくなってしまうといった問題があった。
【0011】
即ち、先端部の小径化を図ると、先端部内に複数の部品を高密度実装し難くなるといった問題があった。言い換えれば、撮像素子や基板、信号線に対する先端部内の他の部品の干渉を考慮すると、先端部の小径化が行い難くなるといった問題があった。
【0012】
尚、以上のことは、内視鏡の先端部に限らず、撮像素子を、電子機器の限られた空間内に設ける場合も同様である。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、電子機器の限られた空間内に、コンパクトに実装することができる構成を有することにより、配置される部位の小型化を実現することができる構成を有する撮像装置、該撮像装置を具備する内視鏡先端部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため本発明による撮像装置は、被検部位を撮像する撮像装置であって、枠体と、前記枠体内に設けられた、前記被検部位を観察するレンズの光軸方向後方に位置するプリズムと、前記枠体内において、前記プリズムの光の出射面に固定された撮像素子と、一方の面が前記撮像素子に固定されるとともに、他方の面が前記枠体の内周面に固定された基板と、を具備し、前記基板の前記他方の面は、前記枠体の前記内周面に沿った形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、撮像装置を具備する内視鏡先端部は、請求項1または2に記載の撮像装置が、内部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器の限られた空間内に、コンパクトに実装することができる構成を有することにより、配置される部位の小型化を実現することができる構成を有する撮像装置、該撮像装置を具備する内視鏡先端部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態の撮像装置が挿入部の先端部に設けられた内視鏡の挿入部の先端側を示す部分斜視図
【図2】図1中のII-II線に沿う先端部の断面図
【図3】図2の撮像装置を拡大して示す斜視図
【図4】図2中のIV-IV線に沿う先端部の断面図
【図5】図2の撮像装置を、図2中のV方向からみた平面図
【図6】図4の先端硬質部材がリング状に形成され、内部の空間に、撮像装置50を具備する撮像ユニットブロックが設けられた先端部の変形例を示す断面図
【図7】本付記の内視鏡の先端ユニットが挿入部の先端部に設けられた内視鏡の挿入部の先端側を示す部分斜視図
【図8】図7中のVIII-VIII線に沿う先端部の先端ユニットの断面図
【図9】図8中のIX-IX線に沿う先端部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。尚、以下、撮像装置は、内視鏡の挿入部の先端部内に設けられる場合を例に挙げて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態の撮像装置が挿入部の先端部に設けられた内視鏡の挿入部の先端側を示す部分斜視図、図2は、図1中のII-II線に沿う先端部の断面図、図3は、図2の撮像装置を拡大して示す斜視図、図4は、図2中のIV-IV線に沿う先端部の断面図、図5は、図2の撮像装置を、図2中のV方向からみた平面図である。
【0020】
図1に示すように、内視鏡1の挿入部10の後述するレンズ2の光軸方向Lの先端側(以下、単に先端側と称す)に位置する先端部11における先端面11mに、被検部位を観察する対物レンズ2aと、被検部位を照明する、例えば2つの照明用レンズ3と、対物レンズ2aの表面に流体を供給して、対物レンズ2aの表面の汚れを除去する送気送水ノズル5と、挿入部10内に設けられた被検部位に処置具を供給するまたは被検部位に位置する液体や固体を吸引する際用いるチャンネル6の先端開口6kとが設けられている。尚、照明用レンズ3の数は、2つに限定されない。
【0021】
また、図2に示すように、先端部11内に、被検部位を撮像する撮像装置50が設けられている。
【0022】
具体的には、先端部11内には、例えば光軸方向Lに沿って円柱状な枠体である先端硬質部材11sが設けられており、先端硬質部材11sにおいて、光軸方向Lに沿って形成された貫通孔12に、レンズユニット51と、該レンズユニット51よりも後方に位置する撮像装置50とが設けられている。尚、図2においては、先端硬質部材11sの外周面及び先端面に被覆される先端カバーは、図面を簡素化するため省略して示してある。
【0023】
また、貫通孔12は、図1、図2に示すように、先端部11の中心よりも先端部11の径方向外側、具体的には、先端部11の外周縁部の近傍位置において、光軸方向Lに沿って先端硬質部材11sに対して形成されている。
【0024】
尚、先端硬質部材11sには、貫通孔12の他、上述したチャンネル6や、上述した照明用レンズ2を具備する図示しない照明装置や、上述した送気送水ノズル5に流体を供給する流体供給管路等が設けられる図示しない貫通孔が、それぞれ光軸方向Lに沿って複数形成されている。
【0025】
レンズユニット51は、被検部位を観察する複数のレンズ2a〜2dを有するレンズ2と、該レンズ2を保持するレンズ枠4とから主要部が構成されている。
【0026】
撮像装置50は、図2〜図5に示すように、レンズ2dの集光位置に配置されたプリズム20と、該プリズム20の光の出射面20sに、少なくとも受光部21jが対向するようプリズム20に固定された撮像素子21と、該撮像素子21に一方の面22iが固定されるとともに、他方の面22tが先端硬質部材11sの貫通孔12により形成された内周面11snに固定された基板22と、該基板22の端子22dから延出する内視鏡1内に挿通された信号線27(図3参照)とから主要部が構成されている。尚、図5においては、信号線27は省略して示してある。
【0027】
ここで、図2、図4に示すように、基板22が固定される内周面11snを有する先端硬質部材11sの肉厚は、上述したように、先端硬質部材11sに対して貫通孔12が、先端部11の外周縁部の近傍位置において光軸方向Lに沿って形成されていることから、薄肉に、例えば0.15mm程度に形成されている。
【0028】
尚、この肉厚は、貫通孔12内の空間を出来るだけ大きく確保するため、出来るだけ薄いことが望ましいが、破損を防ぐため、破損しない程度の機械的強度を有する肉厚に設定されている。
【0029】
また、内周面11snは、図4に示すように、貫通孔12の内周面11snを形成する部位が円弧状に形成されていることから円弧状に形成されている。よって、内周面11snは、貫通孔12の内周面11snを形成する部位の形状によっては、当然、円弧以外の形状に形成される。
【0030】
プリズム20は、レンズ2dから入射面20nに入光した光の方向を、出射面20sから撮像素子21の受光部21jに入光させるよう可変するものである。
【0031】
撮像素子21は、図2、図3、図5に示すように、平面視した状態において、受光部21jがプリズム20の出射面20sに覆われており、プリズム20の固定領域以外に形成された複数の端子21dは、リード線23により、基板22の端子21dと同数の複数の端子22dに、1対1でそれぞれ電気的に接続されている。
【0032】
基板22の撮像素子21が固定された領域以外に形成された複数の端子22dに、図2、図3に示すように、信号線27の先端側から延出した、端子22dと同数の複数本のリード線24の芯線25が、それぞれ1対1で電気的に接続されている。
【0033】
このことにより、撮像素子21により出力された映像信号は、端子21d、リード線23、端子22d、芯線25、リード線24、信号線27を介して、内視鏡1外へと伝送される。
【0034】
基板22は、ガラスエポキシや、セラミック等から形成されており、図3、図4に示すように、内周面11snへの固定面となる他方の面22tが、内周面11snに沿った形状、具体的には円弧状となるよう形成されている。
【0035】
このことにより、基板22は、貫通孔12内において、内周面11snにぴったり密着した状態で、光軸方向Lに沿って配置される。また、基板22の一方の面22iに固定された撮像素子21も、貫通孔12内において、該貫通孔12の中心よりも内周面11sn側に位置する。
【0036】
尚、基板22の他方の面22tの形状は、内周面11snの形状に沿っていれば良い。即ち、他方の面22tを内周面11snに固定する場合には、形状を一致させて密着して固定する構成となっている。
【0037】
これは、内周面11snが円弧状に形成されているにも関わらず、基板22の他方の面22tが直線状に形成されていると、円弧状の内周面11snに対して他方の面22tを固定し難い他、内周面11snと他方の面22tとの間にデッドスペースが発生することから、先端部11を小径化した際における貫通孔12内に対する複数の部品の高密度実装が行い難くなってしまうためである。
しかしながら、他方の面22tの形状は、完全に内周面11snの形状に一致している必要も無く、上述したデッドスペースを無くす形状であれば、どのような形状であっても構わない。
即ち、内周面11snが円弧状であり、仮に他方の面22tが直線状であっても、他方の面22tの図4中、横方向となる幅方向の幅が小さく、基板22が内周面11snに向かうに従い幅が小さくなる断面形状を有していれば、デッドスペースは殆ど無視できる。
具体的には、基板22の断面が、内周面11snに向かうに従い幅が小さくなる台形形状を有し、他方の面22tが、幅が小さく形成された台形の上底を構成していたり、基板22の断面が内周面11snに向かうに従い幅が小さくなる幅方向の両端が階段状を有する形状を有しているとともに、他方の面22tが幅の小さい直線状に形成されていたりすれば、他方の面22tの形状が、内周面11snの形状に一致していなくても、デッドスペースを無くすことができる。
【0038】
また、基板22は、例えば絶縁体と配線パターンとが複数層積層されて形成された多層基板から構成されていても構わない。
さらに、基板22の他方の面22tが、内周面11snに沿う形状に形成されていたとしても、撮像装置50のハンドリング性に影響はない。
【0039】
このように、本実施の形態においては、先端硬質部材11sの貫通孔12内において、基板22の他方の面22tは、貫通孔12により形成された薄肉部の内周面11snに沿った形状に形成されており、他方の面22tを内周面11snに密着させて固定すると示した。
【0040】
このことによれば、他方の面22tと内周面11snとの間にデッドスペースが発生してしまうことなく基板22を貫通孔12の径方向外側において内周面11snに密着させて光軸方向Lに沿って位置させることができる他、基板22の端子22dに電気的に接続される信号線27も、光軸方向Lに沿って内周面11sn付近に挿通させることができ、さらには、撮像素子21も、貫通孔12内において、貫通孔12の中心よりも内周面11sn側に位置させることができる。
【0041】
このことから、貫通孔12内において、撮像素子21、基板22、信号線27が、貫通孔内に配置される他の部材と接触し難くなることから、貫通孔12内における複数の部品の高密度実装を実現することができる。尚、この効果は、先端部11の小径化に伴い、貫通孔12の径も小径化された場合に特に顕著である。
【0042】
また、貫通孔12内に撮像素子21を配置する際、基板22を内周面11snの形状に合わせて固定するだけで良いことから、撮像素子21の組み付け性を向上させることができる。
【0043】
さらに、先端部11の小径化に伴い貫通孔12が小径化すると、貫通孔12の径方向の空間が小さくなるため、薄型化された撮像素子21を用いる必要が生じるが、本構成では、撮像素子21は基板22に固定されているため、薄型化された撮像素子21の機械的強度を、基板22により向上させることができる。
【0044】
以上から、先端部11の限られた空間内に、コンパクトに実装することができる構成を有することにより、配置される先端部11の小型化を実現することができる構成を有する撮像装置50、該撮像装置50を具備する内視鏡先端部11を提供することができる。
【0045】
尚、本実施の形態においては、撮像装置50を、先端硬質部材11sに光軸方向Lに沿って形成された貫通孔12に配置する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、先端硬質部材11sが、例えば内部に大きな空間を有する薄肉のリング状に形成され、該空間に、撮像装置50や、上述したレンズユニット51や、上述した照明装置や、上述したチャンネル6や、上述した送気送水ノズル5に流体を供給する流体供給管路等が設けられる構成に適用しても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
この場合、本実施の形態の構成を適用すれば、先端部11の小径化、即ち、管状の先端硬質部材の内部の空間の小径化を図ったとしても、該空間において、撮像装置50の撮像素子21や基板22、信号線27を、照明装置や流体供給管路等の他の部材に干渉することなく容易に配置させることができる。
【0047】
また、以下、他の変形例を、図6を用いて示す。図6は、図4の先端硬質部材がリング状に形成され、内部の空間に、撮像装置50を具備する撮像ユニットブロックが設けられた先端部の変形例を示す断面図である。
【0048】
図6に示すように、リング状に形成された先端硬質部材11s’の内部に、撮像装置50を設ける場合、径方向の断面が扇状であって、光軸方向Lに沿って柱状な撮像ユニットブロック30に撮像装置50やレンズユニット51を設け、本実施の形態と同様に、先端硬質部材11s’の内周面11sn’に、基板22の他方の面22tを密着させて固定する構成であっても、本実施の形態は適用可能である。
【0049】
尚、この場合、先端硬質部材11s’の内部には、撮像ユニットブロック30の他、それぞれ撮像ユニットブロック30同様、径方向の断面が扇状であって光軸方向Lに沿って柱状な上述した照明装置を具備する照明ユニットブロック32や、流体供給管路を具備する流体供給ユニットブロック31や、チャンネル6が設けられたチャンネルユニットブロック33が、複数のブロックユニット30〜33によって径方向の断面が円形となるよう、周方向にそってそれぞれ隣接して嵌入されている。
【0050】
また、本実施の形態においては、撮像装置50は、内視鏡1の挿入部10の先端部11内に設けられると示したが、他の電子部品、例えば携帯電話の内部に設けても構わない。この場合であっても携帯電話の枠体の内周面に沿った形状に、基板22の他方の面22tが形成されておれば、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
[付記]
以上詳述した如く、本発明の実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。即ち、
(1)被検部位に挿入される内視鏡の挿入部の挿入方向の先端側の先端部内に設けられた内視鏡の先端ユニットであって、
前記先端部の径方向の断面が扇状を有する前記挿入方向に沿って柱状に形成された複数の本体ブロックが、前記先端部の径方向の断面が円形となるよう、前記挿入部の周方向に沿ってそれぞれ隣接して設けられていることを特徴とする内視鏡の先端ユニット。
【0052】
(2)前記複数の本体ブロックは、前記被検部位を撮像する撮像装置や被検部位を観察するレンズユニットが設けられた撮像ユニットブロックと、前記被検部位を照明する照明装置が設けられた照明ユニットブロックと、前記被検部位または前記撮像装置のレンズに流体を供給する流体供給管路が設けられた流体供給ユニットブロックと、前記被検部位に処置具を供給するまたは前記被検部位に位置する液体や固体を吸引する際用いるチャンネルが設けられたチャンネルユニットブロックからそれぞれ構成されていることを特徴とする付記1に記載の内視鏡の先端ユニット。
【0053】
(3)前記複数の本体ブロックは、各前記本体ブロックに設けられた連結部によって、前記周方向にそれぞれ連結されていることを特徴とする付記1または2に記載の内視鏡の先端ユニット。
【0054】
(4)前記先端部の径方向の断面が円形となるよう、前記周方向に沿ってそれぞれ隣接して設けられた前記複数の本体ブロックの外周面に、該複数の本体ブロックを固定する固定部材が被覆されていることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡の先端ユニット。
【0055】
ところで、従来、CCDやCMOS等の固体撮像素子(以下、単に撮像素子と称す)が設けられた撮像装置を具備する電子内視鏡が周知である。
【0056】
撮像装置は、一般的に、レンズを介して受光部に被検部位の光学像が入光される撮像素子と、該撮像素子に電気的に接続された基板等から主要部が構成されている。尚、撮像素子により受光した被検部位の像の映像信号は、基板から延出する信号線を介して、撮像装置外へと伝送される。
【0057】
ここで、撮像装置は、内視鏡において、被検部位に挿入される挿入部の挿入方向の先端側の先端部内において、レンズユニットの後方に設けられる。また、先端部内には、撮像装置の他、被検部位を照明する照明装置や、被検部位またはレンズユニットに流体を供給する流体供給ユニットや、被検部位に処置具を供給するまたは被検部位に位置する液体や固体を吸引する際用いるチャンネル等が設けられている。
【0058】
具体的には、特開2005−304585号公報に開示されているように、先端部を構成する先端硬質部材には、レンズの光軸方向に沿って複数の貫通孔が形成されており、各貫通孔に、レンズユニット及び撮像装置からなる撮像ユニット、照明装置、流体供給ユニット、チャンネル等がそれぞれ設けられた構成を内視鏡先端部は有している。即ち、先端硬質部材に対して、撮像ユニット、照明装置、流体供給ユニット、チャンネル等が一体的に形成された構成を内視鏡先端部は有している。
【0059】
しかしながら、先端部の小径化を図ると、またはその他の部品をさらに先端部内に設けようとすると、複数の部材が干渉する等、先端硬質部材に対して複数の部材が複雑かつ高密度に設けられることから、先端硬質部材に対して、複数の部材を組み付け難くなってしまうといった問題がある他、修理の際、各部材を先端硬質部材から取り出すことが難しくなってしまうといった問題がある。さらに、先端硬質部材も複雑な形状を有することになるため、小型化すると、加工が難しくなってしまい、製造コストが増大してしまうといった問題があった。
【0060】
本付記は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、内視鏡の挿入部の先端部内に複数の部材を高密度かつ簡単に組み付けることができるとともに、複数の部材を簡単に取り出すことができることにより修理性が向上され、製造コストを低減することができる構成を有する内視鏡の先端ユニットを提供することを目的とする。
【0061】
以下、上記目的を達成する構成を、図7〜図9を用いて示す。
【0062】
図7は、本付記の内視鏡の先端ユニットが挿入部の先端部に設けられた内視鏡の挿入部の先端側を示す部分斜視図、図8は、図7中のVIII-VIII線に沿う先端部の先端ユニットの断面図、図9は、図8中のIX-IX線に沿う先端部の断面図である。
【0063】
図7に示すように、内視鏡100の挿入部110の挿入方向Sの先端側(以下、単に先端側と称す)に位置する先端部111における先端面111mに、被検部位を観察する対物レンズ102aと、被検部位を照明する、例えば2つの照明用レンズ103と、対物レンズ102aの表面に流体を供給して、対物レンズ102aの表面の汚れを除去する送気送水ノズル105と、挿入部110内に設けられた被検部位に処置具を供給するまたは被検部位に位置する液体や固体を吸引する際用いるチャンネル106の先端開口106kとが設けられている。尚、先端面111mには、被検部位へ向けて流体を供給する前方送水ノズルが設けられていても構わない。
【0064】
また、図9に示すように、先端部111内に、被検部位を撮像する撮像ユニット300が設けられている。尚、撮像ユニット300は、複数のレンズ102a〜102c及び該複数のレンズ102a〜102cを保持するレンズ枠104を有するレンズユニット151と、撮像装置150とを具備している。
【0065】
撮像装置150は、レンズ枠104の光軸方向Lの基端側(以下、単に基端側と称す)に先端が固定された素子枠109及び該素子枠内に設けられたカバーガラス129、該カバーガラス129に固定された撮像素子121、該撮像素子121に電気的に接続された、電子部品128が搭載された基板122、該基板122の図示しない端子にリード線124を介して電気的に接続された信号線127を具備している。
【0066】
具体的には、先端部111内には、図8に示すように、先端部111の径方向の断面が扇状を有する挿入方向Sに沿って柱状に形成された複数の本体ブロック130〜134が、先端部111の径方向の断面が円形となるよう、挿入部110の周方向Rに沿ってそれぞれ隣接して設けられている。
【0067】
本体ブロック130は、撮像装置150やレンズユニット151が設けられた撮像ユニットブロックであり、本体ブロック132、134は、被検部位を照明する照明用レンズ103を含む照明装置が設けられた照明ユニットブロックであり、本体ブロック131は、被検部位または撮像装置150のレンズ102aに流体を供給する送気送水ノズル105を先端に有する流体供給管路105rが設けられた流体供給ユニットブロックであり、本体ブロック133は、被検部位に処置具を供給するまたは被検部位に位置する液体や固体を吸引する際用いるチャンネル106が設けられたチャンネルユニットブロックである。
【0068】
よって、複数の本体ブロック130〜134が先端部111内に設けられていることにより、先端面111mに、対物レンズ102aと、例えば2つの照明用レンズ103と、送気送水ノズル105と、チャンネル106の先端開口106kとが設けられるとともに、先端部111内に、撮像ユニット300や、照明装置や、流体供給管路105rや、チャンネル106が設けられる。
【0069】
また、図8に示すように、各本体ブロック130〜134は、各本体ブロック130〜134に設けられた連結部130p〜134pによって、周方向Rにそれぞれ連結された後、後述する固定部材140によって固定される。尚、固定部材140及び各本体ブロック130〜134の外周には、先端カバー160が被覆される。該先端カバー160が被覆されたものが、先端部111を構成する。
【0070】
具体的には、本体ブロック130は、本体ブロック131に、連結部130pが溝131qに嵌合することにより周方向Rに連結され、本体ブロック131は、本体ブロック132に、連結部131pが溝132qに嵌合することにより周方向Rに連結され、本体ブロック132は、本体ブロック133に、連結部132pが溝133qに嵌合することにより周方向Rに連結され、本体ブロック133は、本体ブロック134に、連結部133pが溝134qに嵌合することにより周方向Rに連結され、本体ブロック134は、本体ブロック130に、連結部134pが溝130qに嵌合することにより周方向Rに連結されている。
【0071】
また、図8、図9に示すように、先端部111の径方向の断面が円形となるよう、周方向Rに沿ってそれぞれ隣接して連結された複数の本体ブロック130〜134の外周面における先端側と基端側に、連結後の複数の本体ブロック130〜134を固定する固定部材140が被覆されている。尚、固定部材140は、図9に示すように、複数の本体ブロック130〜134の先端側及び基端側に形成されている溝にそれぞれ嵌入されている。
【0072】
よって、固定部材140が用いられるのであれば、各ブロック130〜134間の固定に、連結部130p〜134pを用いなくともよい。
【0073】
さらに、図8、図9に示すように、固定部材140及び複数の本体ブロック130〜134の外周面、複数の本体ブロック130〜131の先端面には、先端カバー160が被覆されている。
【0074】
尚、複数の本体ブロック130〜134、固定部材140、先端カバー160は、本構成の先端ユニット350を構成している。
【0075】
このような構成によれば、先端部111内に、撮像ユニット300や、照明装置や、流体供給管路105rや、チャンネル106を設ける場合には、先端部111内に、先端ユニット350を設けるのみで、即ち、複数の本体ブロック130〜134を嵌入して、各ブロック130〜134を連結部130p〜134pで周方向Rに連結し、固定部材140、先端カバー160を被覆するのみで容易に一体的に組み立てることができる。
【0076】
また、例えば撮像装置150が故障した場合、先端部111内から、本体ブロック130のみを抜き取ることにより、容易に撮像装置150の交換を行うことができるため、従来よりも交換性が確実に向上する。
【0077】
さらに、本体ブロック130〜134は、径方向の断面が扇状であり、挿入方向に柱状な形状と、形状が簡素なため、従来の複雑な加工形状の一体型の本体ブロック(先端硬質部材)と比較すると、各ブロック130〜134の加工費を低減することができる。
【0078】
また、撮像ユニット300や、照明装置や、流体供給管路105rや、チャンネル106は、それぞれ各ブロック130〜134内に設けられていることから、各部材が干渉してしまうことがない他、先端部111が小径化されても、各ブロック130〜134を小型化すれば良いことから、先端部111内に複数の部品を高密度実装することができる。
【0079】
以上から、内視鏡100の挿入部110の先端部111内に複数の部材を高密度かつ簡単に組み付けることができるとともに、複数の部材を簡単に取り出すことができることにより修理性が向上され、製造コストを低減することができる構成を有する内視鏡の先端ユニット350を提供することができる。
また、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0080】
2…レンズ
11…内視鏡先端部
11s…先端硬質部材(枠体)
11sn…内周面
20…プリズム
20s…出射面
21…撮像素子
22…基板
22i…基板の一方の面
22t…基板の他方の面
50…撮像装置
100…内視鏡
102…レンズ
106…チャンネル
110…挿入部
111…先端部
140…固定部材
150…撮像装置
151…レンズユニット
130…撮像ユニットブロック(本体ブロック)
130p…連結部
131…流体供給ブロック(本体ブロック)
131p…連結部
132…照明ユニットブロック(本体ブロック)
132p…連結部
133…チャンネルユニットブロック(本体ブロック)
133p…連結部
134…照明ユニットブロック(本体ブロック)
134p…連結部
350…先端ユニット
L…光軸方向
S…挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検部位を撮像する撮像装置であって、
枠体と、
前記枠体内に設けられた、前記被検部位を観察するレンズの光軸方向後方に位置するプリズムと、
前記枠体内において、前記プリズムの光の出射面に固定された撮像素子と、
一方の面が前記撮像素子に固定されるとともに、他方の面が前記枠体の内周面に固定された基板と、
を具備し、
前記基板の前記他方の面は、前記枠体の前記内周面に沿った形状に形成されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記基板は、絶縁体と配線パターンとが複数層積層された多層基板であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置が、内部に設けられていることを特徴とする撮像装置を具備する内視鏡先端部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−55525(P2012−55525A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202302(P2010−202302)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】