説明

撮像装置及びこの撮像装置のシャッタ駆動制御方法

【課題】意図しない外力による衝撃等に起因してシャッタ羽根が閉状態となっても自動的にシャッタ羽根を開状態に復帰させる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1において、撮像素子21aと、撮像素子へ被写体光束を与える第1の位置と該被写体光束を遮断する第2の位置とに移動するシャッタ羽根36と、シャッタ羽根を撮像素子の撮像面の前方から退避させた第1の位置と撮像素子の撮像面の前方に位置させた第2の位置とに駆動するシャッタ駆動手段37と、撮像素子からの出力画像を表示する画像表示手段5と、外部からの入力操作を検出する外部入力検出手段28a,28b,29a,29bと、外部入力検出手段からの出力を受けるとシャッタ駆動手段によりシャッタ羽根を第1の位置に駆動する制御手段10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置、詳しくは被写体光束の光路に設けられる開口を開閉するシャッタ機構を備えた撮像装置において、該シャッタ機構の駆動制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光学素子(光学レンズ)からなる撮影光学系を有するレンズ鏡筒を備え、該撮影光学系を透過して結像される被写体の光学像(被写体像という)を撮像素子等の光電変換素子により光電変換処理することで所望の被写体の光学像を電気的な画像信号として取得し、この画像信号及び該画像信号に付随する関連情報をデジタルデータ化して画像データを生成し、この画像データを記憶媒体に記憶し得るように構成されたデジタルカメラ等の撮像装置(以下、単にカメラという)が一般に広く普及している。
【0003】
このような形態の従来のカメラにおいては、撮影光学系を透過して撮像素子等へと到達する被写体からの光束の光量を調整するためのシャッタ機構、即ちに、被写体光束が通過する開口を開閉するシャッタ羽根や、このシャッタ羽根の開閉駆動を行うシャッタ駆動機構等からなるシャッタユニットをレンズ鏡筒内に備えて構成されたものが、例えば特開2006−113256号公報等によって種々提案されており、また実用化されている。
【0004】
従来のカメラに適用されるシャッタユニットにおいては、例えば電磁駆動によってシャッタ羽根の開閉駆動を行うように構成されるものがある。
【0005】
また、このような形態の従来のカメラは、所望のときにいつでも気軽に使用することができるように携帯性を考慮した小型化設計がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−113256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような形態の従来のカメラを使用者が携帯する場合の状況としては、例えば手に持った状態、あるいは衣服のポケットや鞄の中に入れた状態、もしくはストラップ等を用いて使用者の首又は手首等に吊り下げた状態等、様々な状況が考えられる。
【0008】
このような使用状況下においては、カメラを誤って壁や固定物等に衝突させてしまったり、カメラを意図せずに落下させてしまう等、カメラに対して意図しない外力が加わる可能性がある。
【0009】
例えば、電源オン状態にあるカメラを上述のような状況下で持ち運んでいるとき、該カメラに意図しない外力が加わって衝撃を受けると、カメラ(レンズ鏡筒)の内部に設けられるシャッタユニットのシャッタ羽根が開状態から閉状態に変位してしまうことがある。カメラの電源オン状態でシャッタ羽根が閉状態になると、被写体光束が通過する開口が遮蔽されてしまうことになる。これにより、撮影光学系へ入射した光束がシャッタ羽根によって遮られてしまう。すると、該光束は撮像素子の撮像面(結像面)へと到達することができない状態になる。
【0010】
通常の場合、カメラが電源オン状態にあるとき、カメラの表示装置には撮像素子によって所得された画像信号に基づく画像を連続的に表示する動作がなされている。この表示画像は、観察用のモニター画像として利用される。
【0011】
上述のように、カメラが電源オン状態にあるときに、外力による衝撃がカメラに対して加わることによりシャッタ羽根が閉状態になったとすると、表示装置に表示中の観察用モニター画像が消失し、画像表示面が暗黒状態になってしまう可能性がある。その結果、使用者によりカメラが故障したものと判断されてしまう虞があった。
【0012】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、使用中の撮像装置に対して意図しない外力による衝撃等に起因してシャッタ羽根が閉状態となったとしても、自動的にシャッタ羽根を開状態へと復帰させモニター画像を復帰させ得る撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明による撮像装置は、撮像素子と、上記撮像素子へ被写体光束を与える第1の位置と該被写体光束を遮断する第2の位置とに移動するシャッタ羽根と、上記シャッタ羽根を上記撮像素子の撮像面の前方から退避させた上記第1の位置と上記撮像素子の撮像面の前方に位置させた上記第2の位置とに駆動するシャッタ駆動手段と、上記撮像素子からの出力に基づく画像を表示する画像表示手段と、外部からの入力操作を検出する外部入力検出手段と、上記外部入力検出手段からの出力を受けると上記シャッタ駆動手段により上記シャッタ羽根を上記第1の位置に駆動する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用中の撮像装置に対して意図しない外力による衝撃等に起因してシャッタ羽根が閉状態となったとしても、自動的にシャッタ羽根を開状態へと復帰させモニター画像を復帰させ得る撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の撮像装置の主に前面側を示す外観斜視図。
【図2】図1の撮像装置の主に背面側を示す外観斜視図。
【図3】図1の撮像装置の内部構成において主に電気的な構成の概略を示すブロック構成図。
【図4】図1の撮像装置におけるレンズ鏡筒の構成の概略を示す要部分解斜視図。
【図5】図4のレンズ鏡筒が沈胴状態にあるときの断面図。
【図6】図4のレンズ鏡筒が撮影準備状態にあるときの断面図。
【図7】図4のレンズ鏡筒におけるシャッタユニット及び二群ズーム枠とを取り出して示す要部外観斜視図。
【図8】図7のシャッタユニットの正面透視図であって、シャッタ羽根が閉状態でかつ絞り羽根が開放状態にあるようすを示す図。
【図9】図7のシャッタユニットの正面透視図であって、シャッタ羽根が開状態でかつ絞り羽根が開放状態にあるようすを示す図。
【図10】図7のシャッタユニットの正面透視図であって、シャッタ羽根が開状態でかつ絞り羽根が小絞り状態にあるようすを示す図。
【図11】図1の撮像装置の作用を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0017】
本発明の一実施形態は、例えば複数の光学レンズ等からなる撮影光学系等により構成されるレンズ鏡筒を通過した被写体からの光束により形成される被写体の光学像を固体撮像素子を用いて光電変換し、これによって得られる画像信号を静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データに変換した後、生成されたデジタル画像データ及びこのデジタル画像データの付随情報等を記録媒体に記録し、また記録媒体に記録されたデジタル画像データに基いて静止画像又は動画像を表示装置に再生表示することができるように構成した撮像装置(以下、単にカメラという)を例に挙げて示すものである。
【0018】
なお、本実施形態においては、カメラの使用時に被写体に対向する面をカメラの前面というものとする。カメラの使用時に使用者が対面する面をカメラの背面というものとする。また、操作部材のうちレリーズボタンが配設されている面を上面というものとする。そして、カメラの上面に対向する面を底面というものとする。さらに、カメラの通常の使用状態で両側に配置される面を左側面及び右側面というものとする。この場合における左右の判別は、被写体側からカメラの前面に向かって見たときの左側又は右側をそれぞれ左又は右として区別する。
【0019】
また、本実施形態においては、レンズ鏡筒における撮影光学系の光軸を符号Oで表す。そして、この光軸Oに沿う方向において、カメラの前面に対向する被写体のある側を前方というものとし、カメラの背面側に配置される撮像素子の撮像面(結像面)のある側を後方というものとする。
【0020】
まず、本発明の一実施形態の撮像装置であるカメラ1の概略構成について、図1〜図3を用いて以下に説明する。
【0021】
本実施形態のカメラ1は、図1,図2に示すように、扁平な矩形形状からなる外装部材2と、外装部材2の外面の所定の位置にそれぞれ配置される複数の操作部材と、外装部材2の内部に収納される各種の構成部材によって構成されている。
【0022】
外装部材2の前面には、レンズ鏡筒3の開口と、閃光発光装置(以下、ストロボ装置という)4の照射窓が穿設されている。
【0023】
外装部材2の上面には、レリーズボタン14a,ズームレバー14b,電源ボタン14c等の操作部材が配置されている。
【0024】
外装部材2の背面には、再生ボタン14d,撮影ボタン14e,OKボタン14f,十字ボタン14g,メニューボタン14h,消去ボタン14i,モードダイヤル14j等の操作部材が配設されているほか、画像表示装置5の開口が穿設されている(図2参照)。
【0025】
なお、画像表示装置5は、本カメラ1により生成された画像信号(撮像素子からの出力画像信号)又は記録媒体(図示せず)に記録済みの画像データに基づく画像信号を受けて画像を外部に液晶等を用いた画像表示器により表示する画像表示手段である。
【0026】
外装部材2の内部には、レンズ鏡筒3,ストロボ装置4,画像表示装置5等の各種の構成ユニットと、本カメラ1の動作を電気的に制御する各種の電気回路(図3参照)を実装した複数の電気基板(図示せず)等が配設されている。なお、図3においては、各構成ブロック間の電気的な接続は実線を用いて示す一方、機械的な連動は点線を用いて示している。
【0027】
なお、上記レンズ鏡筒3は、主に撮影光学系を構成する複数の光学レンズ(図3では符合3aで示す)と、これらの複数の光学レンズ3aをそれぞれ保持する複数のレンズ枠部材と、これら複数のレンズ枠部材のそれぞれを所定のタイミングで光軸Oに沿う方向に進退移動させるズーミング駆動のための駆動モータ3b及びこれに連動するレンズ駆動機構3c等によって構成される。これらの構成に加えて、レンズ鏡筒3は、固体撮像素子である撮像素子21a等を有する撮像ユニット21と、光量調節機構であるシャッタ機構等を含んで構成されるシャッタユニット30等を含んで構成されている。レンズ鏡筒3自体の概略構成については、さらに後述する。
【0028】
上記電気基板上には、図3に示すような各種の電気回路、例えばCPU等の制御回路(図3ではCPUと表記している)10,映像信号処理回路22,レンズ駆動回路23,レンズ移動状態検知回路24,シャッタ制御回路25,表示制御回路26,ストロボ回路27等の各種の電気回路と、これらを構成する複数の電気部品等と、上記各種の操作部材に連動して作用する各種のスイッチ類、即ち外部からの入力操作を検出する外部入力検出手段等が実装されている。
【0029】
外部入力検出手段としては、例えばファースト(1st.)レリーズ検知スイッチ28a及びセカンド(2nd.)レリーズ検知スイッチ28b(レリーズスイッチ)や、ズームアップ駆動検知スイッチ29a及びズームダウン駆動検知スイッチ29b(ズームスイッチ)等がある。
【0030】
上記ファーストレリーズ検知スイッチ28a及びセカンドレリーズ検知スイッチ28bは、レリーズボタン14aの押圧操作に連動するスイッチ部材である。
【0031】
即ち、レリーズボタン14aの第一段目の押圧操作によって、ファーストレリーズ検知スイッチ28aが連動して、ファーストレリーズ信号が発生する。この信号がCPU10へと伝達されるようになっている。このファーストレリーズ信号は、撮影動作のうち画像取得のための動作を実行するのに先立って行われる各種の動作、例えば自動露出制御(AE)動作や自動焦点調節(AF)動作等の実行を開始させるための信号である。
【0032】
また、レリーズボタン14aの第二段目の押圧操作によって、セカンドレリーズ検知スイッチ28bが連動して、セカンドレリーズ信号が発生する。この信号がCPU10へと伝達されるようになっている。このセカンドレリーズ信号は、撮影動作のうち画像を取得するための各種の動作、例えば設定された露出値に基いてシャッタ機構を制御し、撮像素子21aを駆動して画像信号を取得する動作等、一連の動作の実行を開始させるための信号である。
【0033】
上記ズームアップ駆動検知スイッチ29a及びズームダウン駆動検知スイッチ29bは、上記ズームレバー14bの回動操作に連動するスイッチ部材である。
【0034】
即ち、ズームレバー14bを、図3に示す矢印T方向に回動させたときには、ズームアップ駆動検知スイッチ29aが連動してズームアップ信号が発生する。このズームアップ信号はCPU10へと伝達されて、所定のズームアップ動作が実行されるようになっている。
【0035】
また、ズームレバー14bを、図3に示す矢印W方向に回動させたときには、ズームダウン駆動検知スイッチ29bが連動してズームダウン信号が発生する。このズームダウン信号はCPU10へと伝達されて、所定のズームダウン動作が実行されるようになっている。
【0036】
次に、本実施形態のカメラ1におけるレンズ鏡筒3の概略構成について、図4〜図6及び図7を用いて以下に説明する。
【0037】
レンズ鏡筒3は、図4等に示すように後方から順に、撮像ユニット21,第四群枠49,固定枠41,回転枠42,移動枠43,カム枠44,直進ガイド枠45,第三群ユニット46,第二群枠47,第一群枠48等によって主に構成されている。なお、第三群ユニット46は、第三群枠50と、シャッタユニット30とを含んで構成されている。
【0038】
第一群枠48は、第一群レンズ31を保持する一群レンズ枠部材48aを内部に有する筒状部材である。第二群枠47は第二群レンズ32を保持する一群レンズ枠部材である。第三群枠50は第三群レンズ33を保持する一群レンズ枠部材である。なお、この第三群枠50は光軸Oから退避自在に構成される退避レンズ枠である。第四群枠49は焦点調節用レンズ群である第四群レンズ34を保持する一群レンズ枠部材である。これらの第一群レンズ31,第二群レンズ32,第三群レンズ33,第四群レンズ34は、複数の光学素子(光学レンズ)によって形成されていて本カメラ1における撮影光学系を構成している。
【0039】
固定枠41は、カメラ1の固定部に固定される略円筒形状の筒状部材である。
【0040】
回転枠42は、固定枠41に対して光軸Oを回転中心として回転自在かつ光軸Oに沿う方向に進退自在に支持される略円筒形状の筒状部材である。これにより回転枠42は、ズーム動作時や沈胴動作時には、固定枠41の外周面上に配設されるズームモータ(図示せず)の駆動力を受けて回転しながら光軸O方向に進退するようになっている。
【0041】
移動枠43は、回転枠42に対して相対的に回転自在となるように回転枠42の内周側に配置される略円筒形状の筒状部材である。また、移動枠43は、固定枠41によって回転規制されている。したがって、移動枠43は、回転枠42の回転を許容しつつ、光軸Oに沿う方向に移動自在となっている。
【0042】
カム枠44は、移動枠43の内周側に配置される略円筒形状の筒状部材である。このカム枠44は、回転枠42と共に回転し、回転枠42に対して相対的に光軸Oに沿う方向に移動自在となるように回転枠42によって支持されている。
【0043】
直進ガイド枠45は、カム枠44に対してバヨネット結合される略円筒形状の筒状部材である。また、直進ガイド枠45は、移動枠43によって回転規制されている。したがって、直進ガイド枠45は、移動枠43に対して光軸Oに沿う方向に移動自在となっている。
【0044】
第三群ユニット46は、移動枠43によって回転規制された状態で光軸Oに沿う方向に移動自在となっている。
【0045】
第一群枠48と第二群枠47は、いずれも直進ガイド枠45によって回転規制されており、カム枠44によって光軸Oに沿う方向に進退移動されるようになっている。
【0046】
上述の各筒状部材,枠部材等が組み込まれた状態のレンズ鏡筒3の後方に撮像ユニット21が配設されている。この撮像ユニット21は、例えばCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子),CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補型金属酸化膜半導体)等の撮像素子21a等を実装した電気基板等を含んで構成される構成ユニットである。
【0047】
第三群ユニット46は、図7の詳細図に示す通り、後側枠部材46aと前側枠部材46bとからなる支持部材と、第三群枠50と、シャッタユニット30とによって主に構成される。第三群枠50とシャッタユニット30とは、後側枠部材46aと前側枠部材46bとの間に形成される空間に配置される。
【0048】
この場合において、第三群枠50は、後側枠部材46aと前側枠部材46bとの間に懸架される軸46cを回動中心として光軸Oに対して直交する面内で回動自在に配置されている。これにより、第三群枠50は、レンズ鏡筒3が沈胴状態(図5に示す状態)とされたときには、第三群レンズ33を光軸Oから退避させた退避位置に配置する一方、レンズ鏡筒3が撮影準備状態(図6に示す状態等)とされたときには、第三群レンズ33の中心を光軸Oに合致させた位置に配置するようになっている。
【0049】
また、シャッタユニット30は、後側枠部材46aから前方に向けて光軸Oに沿う方向と平行な方向に突設される支持軸46dによって該支持軸46dに沿う方向に、即ち光軸Oと平行方向に摺動自在に支持されている。支持軸46dには、伸長性の付勢ばね46eが巻回されていて、シャッタユニット30を光軸Oに平行方向に前方に向けて付勢するようになっている。この付勢ばね46eによる付勢力は、シャッタユニット30の外周縁の一部が前側枠部材46bに当接することにより規制される。したがって、シャッタユニット30は、後側枠部材46aと前側枠部材46bとの間で支持軸46dに沿う方向に進退自在となっている。これにより、シャッタユニット30は、レンズ鏡筒3が沈胴状態(図5に示す状態)とされたときには、光軸Oに沿う方向に後退する第二群枠47によって付勢ばね46eの付勢力に抗して後方に向けて押されて後側枠部材46a寄りの所定の沈胴位置に配置される一方、レンズ鏡筒3が撮影準備状態(図6に示す状態等)とされたときには、第二群枠47が前進することにより付勢ばね46eの付勢力によって前方に向けて光軸Oと平行方向に前進し、前側枠部材46bに当接する位置に配置されるようになっている。
【0050】
シャッタユニット30は、図7〜図10に示すように、開口30aを有するユニット本体30cと、一対のシャッタ羽根36と、この一対のシャッタ羽根36を駆動させるシャッタアクチュエータ37と、絞り羽根38と、この絞り羽根38を駆動させる絞り羽根アクチュエータ39と、シャッタアクチュエータ37及び絞り羽根アクチュエータ39に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板30bと、上記2つのアクチュエータ37,39とシャッタ羽根36と絞り羽根38を覆うようにユニット本体30cに取り付く蓋部材30dとを有して構成される。
【0051】
ユニット本体30cは、略円形状に形成される支持台であり、その略中央部分には開口30aが穿設されている。シャッタユニット30は、後側枠部材46aに対して組み付けられるとき、開口30aの中心が撮影光学系の光軸Oと合致するように配置されるようになっている。
【0052】
シャッタ羽根36は、一対のセクター形状(扇形)の薄板部材によって構成されている。この一対のシャッタ羽根36の各一端は、ユニット本体30cの周縁寄りの所定の位置に植設されるシャッタ羽根回転軸36a,36bによってそれぞれ回動自在に支持されている。
【0053】
シャッタ羽根36は、所定のタイミングで駆動制御されるシャッタアクチュエータ37の駆動力によって駆動されて、開口30aから退避して撮像素子21aの受光面へと被写体光束を与える第1の位置と、開口30aを遮蔽して該被写体光束を遮断する第2の位置との間で光軸Oに直交する面内で移動するようになっている。
【0054】
シャッタアクチュエータ37は、シャッタ羽根36を撮像素子21aの撮像面の前方(の開口30a)から退避させた第1の位置と、シャッタ羽根36を撮像素子21aの撮像面の光軸O上の前方(の開口30a)に位置させる第2の位置とに駆動するシャッタ駆動手段(シャッタ駆動機構)である。
【0055】
シャッタアクチュエータ37は、ユニット本体30cの周縁寄りの所定の部位に配置されている。シャッタアクチュエータ37は、磁性体であるヨーク37a,電磁コイルであるコイル37b,磁極が着磁されたローター37c等によって構成される。このシャッタアクチュエータ37は、電磁駆動を行うロータリ型の電磁駆動手段である。
【0056】
ローター37cは、シャッタ羽根36の一端に連結されている。コイル37bに電流が流れると磁気が発生する。この磁気によりローター37cが所定の方向に回転する。これにより、シャッタ羽根36が駆動される。ローター37cの回転方向により、シャッタ羽根36の移動方向が規定される。
【0057】
なお、シャッタ羽根36が開方向に回動したとき、該シャッタ羽根36は、ユニット本体30cの固定部に設けられるストッパ30sa,30sbによって回動規制される。これにより、シャッタ羽根36の開状態での位置(第1の位置)が規定される。シャッタアクチュエータ37が駆動されると、シャッタ羽根36は開状態へと駆動され、開位置である第1の位置に電磁的に保持される。
【0058】
なお、絞り羽根38は、開口30aよりも小径の絞り開口38bを有する薄板部材からなる。絞り羽根38の一端は、ユニット本体30cの周縁寄りの所定の位置に植設される絞り羽根シャッタ回転軸38aによって回動自在に支持されている。
【0059】
絞り羽根38は、所定のタイミングで駆動制御される絞り羽根アクチュエータ39の駆動力によって駆動されて、開口30aから退避する位置(図9に示す状態)と、開口30a上に絞り開口38bを重畳させた位置(図10に示す状態)との間で光軸Oに直交する面内で移動するようになっている。
【0060】
絞り羽根アクチュエータ39は、絞り羽根39を駆動する絞り羽根駆動機構である。この絞り羽根アクチュエータ39は、上記シャッタアクチュエータ37と略同様に、ヨーク39a,コイル39b,ローター39c等によって構成されるロータリ型の電磁駆動手段である。
【0061】
ローター39cは、絞り羽根38の一端に連結されている。絞り羽根38が開口30aから退避する方向に回動したとき、絞り羽根38は、ユニット本体30cの固定部に設けられるストッパ30scにより回動規制される。
【0062】
このように構成された本実施形態のカメラ1における作用を、図11のフローチャートを用いて以下に説明する。
【0063】
まず、カメラ1は電源オフ状態にあるものとする。この状態において、使用者が例えば電源ボタン14cの押圧操作を行なうと、カメラ1は図11に示す電源投入処理シーケンス(撮影シーケンス)を実行する。
【0064】
上述のように電源ボタン14cの押圧操作がなされると、この電源ボタン14cに連動する電源スイッチ(図示せず)がオン状態になり、電源オン信号が発生する。この電源オン信号は、制御手段であるCPU10へと伝達される。
【0065】
ステップS1において、CPU10は、上述の電源オン信号を受けて所定の撮影準備動作を実行する。ここで、撮影準備動作としては、例えば
撮像素子21aを含む撮像ユニット21の起動制御、
レンズ駆動回路23,レンズ移動状態検知回路24等を制御して、沈胴位置にあるレンズ鏡筒3を撮影準備状態のうちの所定の初期設定位置(例えばワイド位置)に設定し、フォーカスリセット処理等を行う動作制御、
シャッタ制御回路25を制御してシャッタユニット30のシャッタ羽根36を開状態にする動作制御、
表示制御回路26等を制御して画像表示装置5を起動し、撮像素子21aにより取得された画像信号に基づく画像を画像表示器に表示する動作制御、
等、各種の動作制御が同時に又は順次行われる。
【0066】
次に、ステップS2において、CPU10は、使用者がズーム操作を行ったか否かの確認を行う。このズーム操作の確認は、外部入力検出手段のうちのズームスイッチ(ズームアップ駆動検知スイッチ29a又はズームダウン駆動検知スイッチ29b)からの出力信号が検知されたか否かにより判断される。
【0067】
ここで、ズーム操作が確認されなかった場合には、ステップS5の処理に進む。一方、ズーム操作が確認された場合には、次のステップS3の処理に進む。
【0068】
ステップS3において、CPU10は、シャッタ制御回路25を制御してシャッタユニット30のシャッタ羽根36を開状態にするシャッタ開動作処理を実行する。その後、ステップS4の処理に進む。
【0069】
ステップS4において、CPU10は、レンズ駆動回路23及びレンズ移動状態検知回路24等を制御してレンズ鏡筒3の駆動モータ3b,レンズ駆動機構3cを駆動させて、上述のステップS2の処理において受信したズーム指示信号に基くズーム駆動処理を実行する。これにより、レンズ鏡筒3の撮影光学系は、ズーム指示信号に応じたズーム状態に設定される。その後ステップS5の処理に進む。
【0070】
ステップS5において、CPU10は、1st.レリーズ検知スイッチ28aからの出力信号が検知されたか否かを確認する。これにより、使用者がレリーズボタン14aの第一段目の操作(1st.レリーズ操作)を行ったか否かの確認を行う。
【0071】
ここで、1st.レリーズ操作が確認されなかった場合には、上述のステップS2の処理に戻り、このステップS2以降の処理を繰り返す。一方、1st.レリーズ操作が確認された場合には、次のステップS6の処理に進む。
【0072】
ステップS6において、CPU10は、上述のステップS3の処理と同様のシャッタ開動作処理を実行する。その後、ステップS7の処理に進む。
【0073】
ステップS7において、CPU10は、所定のAE動作処理及びAF動作処理を実行する。ここで実行されるAE動作処理及びAF動作処理は、従来のカメラにおいて行われる処理と同様の処理が行われるものとして、その詳細説明は省略する。その後、ステップS8の処理に進む。
【0074】
ステップS8において、CPU10は、2nd.レリーズ検知スイッチ28bからの出力信号が検知されたか否かを確認する。これにより、使用者がレリーズボタン14aの第二段目の操作(2nd.レリーズ操作)を行ったか否かの確認を行う。
【0075】
ここで、2nd.レリーズ操作が確認されなかった場合には、上述のステップS2の処理に戻り、このステップS2の処理を繰り返す。一方、2nd.レリーズ操作が確認された場合には、次のステップS9の処理に進む。
【0076】
ステップS9において、CPU10は、撮像素子21a,映像信号処理回路22等を駆動制御して撮影動作処理(露出処理)を実行する。ここで実行される撮影動作処理(露出処理)についても、従来のカメラにおいて行われる処理と同様の処理が行われるものとして、その詳細説明は省略する。その後、ステップS10の処理に進む。
【0077】
ステップS10において、CPU10は、所定の記録動作処理を実行する。ここで実行される記録動作処理は、上述のステップS9の撮影動作処理(露出処理)によって取得された画像データを記録媒体(図示せず)に記録するためのデータ転送処理や媒体書き込み処理等である。この記録動作処理についても、従来のカメラにおいて行われる処理と同様の処理が行われるものとして、その詳細説明は省略する。その後、ステップS11の処理に進む。
【0078】
ステップS11において、CPU10は、電源スイッチからのオフ信号が検知されたか否かを確認する。これにより、使用者が電源ボタン14cのオフ操作を行ったか否かの確認を行う。
【0079】
ここで、電源オフ操作が確認されなかった場合には、上述のステップS2の処理に戻り、このステップS2以降の処理を繰り返す。一方、電源オフ操作が確認された場合には、CPU10は、一連の電源オフ処理(詳細は省略する)を実行して、カメラ1を電源オフ状態として、一連の処理シーケンス(撮影シーケンス)を終了する。
【0080】
以上説明したように上記一実施形態によれば、カメラ1に対して意図しない外力による衝撃が加わった場合に、シャッタユニット30のシャッタ羽根36が開状態から閉状態に変位して画像表示装置5に表示中のモニター画像が消失したとしても、使用者が何らかの操作部材(本実施形態ではレリーズボタン14a又はズームレバー14b)を操作することにより生じる指示信号(外部入力検出手段の出力信号)を受けてCPU10(制御手段)はシャッタアクチュエータ37(シャッタ駆動手段)を介してシャッタ羽根36を開状態とする第1の位置へと変位させる駆動制御が行われるようにしている。
【0081】
したがって、使用者は、特に意識することなく、意図せずに閉状態になってしまったシャッタ羽根36をことある毎に自動的に開状態に復帰させ、モニター画像の表示を回復させることができるので、撮影者(使用者)に不都合感を感じさせることがなくなる。
【0082】
なお、上述の一実施形態で示す処理シーケンス(図11)においては、シャッタ開動作処理(同図のステップS3,S6の各処理)は、
ズームレバー14bの操作によって生じるズームスイッチ(ズームアップ駆動検知スイッチ29a又はズームダウン駆動検知スイッチ29b)からの出力(図11のステップS2の処理)と、
レリーズボタン14aの操作によって生じる1st.レリーズ検知スイッチ28aからの出力(図11のステップS5の処理)と、
をそれぞれ確認した場合に実行するように構成しているが、これに限ることはない。上述の一実施形態の処理シーケンスで示す操作以外にも、カメラ1を電源オン状態で使用する場合に通常操作される可能性のある操作に応じた外部入力検出手段の出力が確認された場合にシャッタ開動作処理を実行させるような処理ステップを適宜追加することも可能である。
【0083】
また、上述の一実施形態においては、レンズ鏡筒の内部にシャッタユニットを設け、セクタ形状のシャッタ羽根により撮影用開口を開閉するように構成した、いわゆるレンズシャッタ形式のシャッタユニットを備えた撮像装置を例に挙げて説明しているが、本発明を適用し得る撮像装置のシャッタユニットの形式は、これに限ることはない。例えば、撮像装置の本体側にシャッタユニットを設け、撮像面の直前面において光軸に直交する面内で上下方向若しくは左右方向に移動するシャッター幕部材によって撮影用開口を開閉するように構成される、いわゆるフォーカルプレーンシャッタ形式のシャッタユニットを備えた撮像装置に対しても、本発明は、全く同様に適用することができる。
【0084】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0085】
1……カメラ
3……レンズ鏡筒
5……画像表示装置
10……制御手段(CPU)
14a……レリーズボタン
14b……ズームレバー
21……撮像ユニット
21a……撮像素子
23……レンズ駆動回路
24……レンズ移動状態検知回路
25……シャッタ制御回路
26……表示制御回路
28a……ファーストレリーズ検知スイッチ
28b……セカンドレリーズ検知スイッチ
29a……ズームアップ駆動検知スイッチ
29b……ズームダウン駆動検知スイッチ
30……シャッタユニット
30a……開口
31……第一群レンズ
32……第二群レンズ
33……第三群レンズ
34……第四群レンズ
36……シャッタ羽根
36a,36b……シャッタ羽根回転軸
37……シャッタアクチュエータ
37a……ヨーク
37b……コイル
37c……ローター
38……絞り羽根
41……固定枠
42……回転枠
43……移動枠
44……カム枠
45……直進ガイド枠
46……第三群ユニット
46a……後側枠部材
46b……前側枠部材
47……第二群枠
48……第一群枠
48a……一群レンズ枠部材
49……第四群枠
50……第三群枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置において、
撮像素子と、
上記撮像素子へ被写体光束を与える第1の位置と該被写体光束を遮断する第2の位置とに移動するシャッタ羽根と、
上記シャッタ羽根を上記撮像素子の撮像面の前方から退避させた上記第1の位置と上記撮像素子の撮像面の前方に位置させた上記第2の位置とに駆動するシャッタ駆動手段と、
上記撮像素子からの出力に基づく画像を表示する画像表示手段と、
外部からの入力操作を検出する外部入力検出手段と、
上記外部入力検出手段からの出力を受けると上記シャッタ駆動手段により上記シャッタ羽根を上記第1の位置に駆動する制御手段と、
を具備することを特徴とした撮像装置。
【請求項2】
上記外部入力検出手段は、レリーズスイッチを含むことを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記外部入力検出手段は、ズームスイッチを含むことを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記シャッタ駆動手段は、電磁駆動を行う電磁駆動手段を含むことを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
上記シャッタ駆動手段は、電磁コイルと磁石を含むロータリ電磁駆動手段であることを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記電磁駆動手段は、上記シャッタ羽根を上記第1の位置にて電磁的に保持することを特徴とした請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記撮像装置は、レンズ鏡筒を含み、該レンズ鏡筒内に上記シャッタ羽根とシャッタ駆動手段とを含むことを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像装置のシャッタ駆動制御方法において、
外部入力検出手段からの出力を検出する外部入力検出ステップと、
上記外部入力検出手段からの出力が検出された場合には、制御手段がシャッタ駆動手段を介してシャッタ羽根を開位置へと駆動するシャッタ開動作ステップと、
を含むことを特徴とする撮像装置のシャッタ駆動制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−217446(P2010−217446A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63541(P2009−63541)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】