説明

撮像装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】対象物の変更操作及び確定操作専用の新たな操作部材を設けることなく、撮像者の操作を簡略化した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置100は、静止画撮像ボタン114bが半押し操作されると、選択枠501を重畳させる対象物を変更し、静止画撮像ボタン114bが全押し操作されると、選択枠501が重畳された顔を主被写体として撮像するように撮像部102を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、特定の対象物を検出する撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定の特徴を持つ対象物を検出し、その対象物に対する撮像動作に関連するフォーカス制御や露出制御、ホワイトバランス調整などの特定の処理を施す撮像装置が知られている。
【0003】
また、複数の対象物を検出し、そのうち1つを撮像者が選択可能としたものも知られている。例えば、撮像装置が被写体の顔を検出し、撮像時に撮像者が対象とする顔を変更するために一旦専用のモードに入り、そのモードにおいて汎用的な方向操作部材を用いて、対象物(被写体の顔)を選択するものがある。
【0004】
また、撮像装置が認識した被写体の顔に対し、撮像時には専用の操作部材により顔認識制御のオン/オフを行い、静止画像再生時には画像から認識した顔の周辺を拡大するために、対象の顔を専用部材で変更する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−028959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、対象物を選択するときに、通常撮像時に他の機能に割り当てられている方向操作部材を使用するようになっている。その結果、方向操作部材の機能を変更するために対象物選択用の専用モードを用意する必要があり、操作手番が増えることになる。
【0007】
さらに、特許文献1にあるように対象物選択用の専用部材を用意する場合、撮像装置の大型化につながることになる。
【0008】
また、動画撮像時に撮像者が所望する対象物を選択する場合、選択の過程において、フォーカス制御や露出制御、ホワイトバランス調整などの処理を行ってしまうと、撮像動画像が見苦しいものになってしまう。そのため、動画撮像時には、対象物の選択操作及び確定操作の2つの操作が少なくとも必要になる。
【0009】
本発明の目的は、対象物の変更操作及び確定操作専用の新たな操作部材を設けることなく、撮像者の操作を簡略化した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の撮像装置は、被写体を撮像する撮像手段と、撮像者による半押し操作と全押し操作が可能な操作部材と、前記撮像手段により撮像されることで得られた前記被写体を示す撮像画像を表示する表示手段とを備えた撮像装置であって、前記撮像画像から特定の対象物を検出する検出手段と前記検出手段により検出された対象物のうちから選択された1つの対象物であることを示す選択画像を当該対象物に重畳させて前記表示手段に表示させる重畳手段と、前記操作部材が半押し操作されると、前記選択画像を重畳させる対象物を変更する変更手段と、前記操作部材が全押し操作されると、前記選択画像が重畳された対象物を主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対象物の変更操作及び確定操作専用の新たな操作部材を設けることなく、撮像者の操作を簡略化した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの前方からの外観斜視図である。
【図2】図1におけるビデオカメラの後方からの外観斜視図である。
【図3】図1におけるビデオカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図3におけるCPUにより実行される第1の実施の形態における撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1における表示部に表示された初期顔を示す画面を示す図である。
【図6】選択変更処理による変更後に表示部に表示された主顔を示す画面を示す図である。
【図7】選択変更処理による変更後に表示部に表示された主顔を示す画面を示す図である。
【図8】選択変更処理による変更後に表示部に表示された主顔を示す画面を示す図である。
【図9】図3におけるCPUにより実行される第2の実施の形態における撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図3におけるCPUにより実行される第3の実施の形態における撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図8に示す画面の状態で、図10のステップS305における通常ズーム処理後に表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図12】図8に示す画面の状態で、図10のステップS304における顔ズーム処理後に表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、本実施の形態では、撮像装置としてビデオカメラを用いた実施の形態について説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るビデオカメラ100の前方からの外観斜視図である。
【0015】
図1において、ビデオカメラ100は、レンズ101、マイクロフォン109、及び表示部105を備えている。
【0016】
レンズ101は、フォーカス及びズーム等の光学制御系を含む光学レンズ群及び絞りからなる。マイクロフォン109は、音声を音声信号に変換する。表示部105は、撮像することで得られた被写体を示す撮像画像を表示する。また、表示部105は、必要に応じてビデオカメラ本体100の動作状況をオンスクリーン・ディスプレイ情報として表示する。
【0017】
図2は、図1におけるビデオカメラ100の後方からの外観斜視図である。
【0018】
図2において、ビデオカメラ100は、ズームツマミ114a、静止画撮像ボタン114b、電源ボタン114c、モードダイヤル114d、動画撮像ボタン114e、及び
バッテリ123を備える。
【0019】
ズームツマミ114aは撮像画角をワイド側又はテレ側に変化させるズーム操作を行うためのツマミであり、撮像画角を変化させるための他の操作部に対応する。静止画撮像ボタン114bは、撮像時に用いられるボタンであり、撮像者による半押し操作と全押し操作が可能な2段階スイッチの操作部材となっている。電源ボタン114cは、電源をオン/オフするためのボタンである。
【0020】
モードダイヤル114dは、ダイヤルを回動動作することで、動画撮像モード、静止画撮像モード、動画再生モード、静止画再生モードを変更するためのダイヤルである。動画撮像ボタン114eは、押圧動作することで、動画撮像のスタート/ストップを行うためのボタンである。バッテリ123は、リチウムイオン電池等であり、ビデオカメラ100に電源を供給する。
【0021】
図3は、図1におけるビデオカメラ100の電気的構成を示すブロック図である。
【0022】
図3において、ビデオカメラ本体100は、上述したレンズ101、CCDなどの撮像素子を含む撮像部102、カメラ信号処理部103、圧縮伸張処理部104、表示部105、及び記録再生処理部106を備えている。上記撮像部102は、被写体を撮像する撮像手段に対応する。
【0023】
またビデオカメラ100は、カード制御部107、顔検出処理部108、上述したマイクロフォン109、音声信号処理部110、メモリ111、メモリ制御部112、及びCPU113を備えている。さらにビデオカメラ100は、操作部114、デジタルI/F115、入出力部116、電源制御部117を備えている。なお、図2に示したズームツマミ114a、静止画撮像ボタン114b、電源ボタン114c、モードダイヤル114d、及び動画撮像ボタン114eは、上記操作部114としてまとめて表現している。
【0024】
また、各機能ブロックはそれぞれデータバス118を介して互いにデータ通信可能に接続されている。
【0025】
このようなビデオカメラ100において、メモリ111は、プログラム記憶領域とデータ作業領域を有し、データバス118を介して各機能ブロックでタイム・シェアリングして使用され、メモリ制御部112により制御及び管理されている。
【0026】
操作部114は、図2に示したキーやボタン等に対する撮像者からの操作に基づいて、CPU113に対して動作指示する機能を有する。
【0027】
デジタルI/F115は、例えばHDMIやUSB等の規格に従い信号を授受する。
【0028】
メモリーカード119は、SDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)等の脱着式のフラッシュメモリーであり、撮像データ及び音声データが記録される。
【0029】
電源制御部117は、バッテリ検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを変更するスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。
【0030】
上記構成におけるビデオカメラ100の撮像動作及び記録動作、再生動作等の基本動作について説明する。
【0031】
例えば、操作部114により撮像動作及び記録動作が指示された場合、被写体からの光は、レンズ101により所定の明るさ、画角、及びフォーカス等が制御された光学信号となって撮像部102に対して入力される。
【0032】
撮像部102は入力された光学信号を電気信号に変換し、カメラ信号処理部103に出力する。カメラ信号処理部103はこの電気信号をデジタル画像信号に変換する。そして、この画像信号に対して、色分離、階調補正、及びホワイトバランス調整などの信号処理を施した後出力する。
【0033】
一方、音声信号処理部110は、マイクロフォン109より入力された音声信号を所定レベルにゲインコントロールしてデジタル化することで、音声データとして出力する。
【0034】
圧縮伸張処理部104は、カメラ信号処理部103から出力された画像データ及び音声信号処理部110から出力された音声データを所定の圧縮符号化方式により圧縮符号化する。
【0035】
記録再生処理部106は、圧縮伸張処理部104で得られた圧縮符号化後のデータに対して、エラー訂正符号化処理や変調処理等を施す。また、記録再生処理部106は、同期、IDなどのデータを付加して記録に適した形態に変換した後、メモリーカード119等の記録媒体に記録する。このとき、カード制御部107は、メモリーカード119の記録制御も行う。
【0036】
一方、操作部114により再生動作が指示された場合、記録再生処理部106は、メモリーカード119から読み出したデータから元のデジタルデータを検出し、エラー訂正及び復調等の処理を施す。また、記録再生処理部106は、PLL回路によりこの再生データに同期したクロックを生成する。
【0037】
圧縮伸張処理部104は、記録再生処理部106より出力されたデータに対して、所定の圧縮符号化方式に対応した伸張処理を施し、圧縮符号化前の撮像データ及び音声データを取得する。表示部105は、圧縮伸張処理部104で得られた再生データを表示する。
【0038】
また操作部114によりデジタルI/F115からの入力データを記録する指示があった場合、CPU113はデジタルI/F115により、外部装置121からの画像データまたは音声データをデジタル信号の状態で入力し、記録再生処理部106に送る。
【0039】
このとき、外部装置121からの画像データ、音声データは既に符号化されているものとし、記録再生処理部106は前述のようにこの入力データに対して記録に必要な処理を施してメモリーカード119などの記録媒体に記録する。
【0040】
また操作部114により、入出力部116からの入力信号を記録する指示があった場合、CPU113は入出力部116を制御し、外部装置122から出力された画像、音声信号を入力する。
【0041】
入出力部116は外部装置122から出力された画像、音声信号をデジタルデータに変換してメモリ111に出力する。CPU113はこのメモリ111に記憶された画像、音声データを圧縮伸張処理部104に出力して圧縮符号化し、記録再生処理部106に送る。
【0042】
記録再生処理部106は前述のようにこの圧縮符号化されたデータに対して記録に必要な処理を施してメモリーカード119などの記録媒体に記録する。
【0043】
顔検出処理部108は、カメラ信号処理部103から出力された顔検出対象の画像データに水平方向及び垂直方向のバンドパスフィルタを作用させる。これら水平方向及び垂直方向のバンドバスフィルタにより、画像データよりエッジ成分が検出される。
【0044】
その後、顔検出処理部108は、検出されたエッジ成分に関してパターンマッチングを行い、目及び鼻、口、耳の候補群を抽出する。そして、顔検出処理部108は、抽出された目の候補群の中から、予め設定された条件(例えば2つの目の距離、傾き等)を満たすものを目の対と判断し、目の対があるもののみ目の候補群として絞り込む。
【0045】
さらに、顔検出処理部108は、絞り込まれた目の候補群とそれに対応する顔を形成する他のパーツ(鼻、口、耳)を対応付け、また、予め設定した非顔条件フィルタを通すことで、特定の対象物である顔を検出する。
【0046】
顔検出処理部108は、顔の検出結果に応じて顔情報(例えば顔の数情報、目及び鼻、口、耳の位置情報)を出力し、処理を終了する。このとき、顔情報をメモリ111に記憶する。このように、顔検出処理部108は、撮像画像から特定の対象物を検出する検出手段に対応する。
【0047】
図4は、図3におけるCPU113により実行される第1の実施の形態における撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0048】
図4に示される撮像処理は、動画撮像モード時における顔選択及び確定処理手順を含んでいる。また、この撮像処理は、撮像者が電源ボタン114cを押圧することにより電源を入れ、モードダイヤル114dを動画撮像モードに設定することにより開始される。ここで、動画撮像モード時における顔選択及び確定処理は、撮像中及び撮像待機中に係らず同一の例として説明するため、撮像中及び撮像待機中かの記載については、省略する。
【0049】
図4において、動画撮像モード処理が開始されると、撮像動画のリアルタイムスルー画像を表示部105に表示する(ステップS101)。次いで、顔検出処理部108にて、上述した顔検出処理を行う(ステップS102)。
【0050】
ステップS102にて検出された顔から初期顔選択処理を行う(ステップS103)。この初期顔選択処理は、顔検出処理部108にて検出された顔のうちから、最初に選択する顔を主顔として決定する。決定された主顔に後述する検出枠を重畳して表示部105に表示する処理である。最初に選択する顔の決定方法については、例えば、画面の最も左に位置する顔としても良いし、画面中央に最も近い顔としても良い。また、最も大きい顔としても良い。
【0051】
図5は、図1における表示部105に表示された初期顔を示す画面を示す図である。
【0052】
図5において、初期顔選択処理によって、初期顔には、主顔を示す選択枠501が重畳されて表示されることが示されている。なお、初期顔が主顔として選択された際に、顔AF、顔AE、顔AWB等の、初期顔に対して最適化された撮像処理を行う構成としても良い。
【0053】
ここで、顔AFとは、検出された顔に対して焦点調節を行うものである。顔AEとは、検出された顔の明るさに合わせて撮像画像全体の露出を最適化する露出調整である。また、顔AWBとは、検出された顔に合わせてホワイトバランスを調整するホワイトバランス調節である。
【0054】
このように、初期顔選択処理は、検出された顔のうちから選択された1つの顔であることを示す選択枠501(選択画像)を当該顔に重畳させて表示部105に表示させる重畳手段に対応する。
【0055】
次いで、静止画撮像ボタン114bが半押しされたか否かを判別する(ステップS104)。ステップS104の判別の結果、静止画撮像ボタン114bが半押されたとき、顔選択変更処理を行う(ステップS105)。この顔選択変更処理は、静止画撮像ボタン114bが半押し操作されると、選択枠501を重畳させる顔を変更する変更手段に対応するが、詳細については後述する。また、ステップS104では半押しされるまで、半押しされたか否かが判別される。
【0056】
次いで、静止画撮像ボタン114bが全押しされたか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別の結果、静止画撮像ボタン114bが全押されていないとき、ステップS104に戻る。一方、静止画撮像ボタン114bが全押されたと判別されたとき、現在選択中の顔を確定し、顔AF(焦点処理)、顔AE(露出調節処理)、顔AWB(ホワイトバランス調節処理)等が最適化された撮像処理を行う(ステップS107)。この時、撮像者に選択中の顔が確定したことを知らせるために、選択枠501の形状及び色を変更する構成としても良い。ステップS107の処理が終了すると、ステップS104に戻る。このように、ステップS107は、静止画撮像ボタン114bが全押し操作されると、選択枠501が重畳された顔を主被写体として撮像するように撮像部102を制御する。なお、主被写体に対する顔AF、顔AE、及び顔AWBのうちの少なくとも1つ処理を行うことで顔を主被写体として撮像するように撮像部102を制御するようにしてもよい。
【0057】
上記顔選択変更処理について説明する。例えば、現在選択されている顔より右方向に認識している顔があれば、一つ右の顔を主顔として変更する。
【0058】
図6、図7、及び図8は、選択変更処理による変更後に表示部105に表示された主顔を示す画面を示す図である。
【0059】
図6において、図5で選択顔とされた顔の右の顔に、選択枠501が表示されていることが示されている。
【0060】
なお、図7に示されるように、主顔をされた顔より、右に認識している顔が無い場合もある。そのときは、図8に示されるように、反対方向で最も遠くに位置する顔を主顔として選択する。図8では、反対方向に位置する最も左の顔に主顔が変更されている。
【0061】
このように、本実施の形態では、主顔を変更する特定方向として右方向を説明したが、変更方法に関してはこの限りではなく、例えば順に左方向に変更しても良いし、上下方向としても良い。あるいは、ランダムに変化して変更しても良い。
【0062】
図4の処理によれば、静止画撮像ボタン114bが半押し操作されると、選択枠501を重畳させる対象物を変更する。そして、静止画撮像ボタン114bが全押し操作されると、選択枠501が重畳された顔を主被写体として撮像するように撮像部102を制御する。その結果、対象物の変更操作及び確定操作専用の新たな操作部材を設けることなく、撮像者の操作を簡略化したビデオカメラ100を提供することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、撮像者が所望する顔を選択する場合の顔の変更操作及び確定操作に単一の操作部材として、通常動画撮像モード時に使用しない半押しと全押し操作が可能な2段階スイッチである静止画撮像ボタンを使用する。その結果、新たに専用の操作部材を設ける必要が無いため、ビデオカメラ100の大型化を防止することが可能となる。
【0064】
さらに、静止画撮像ボタンは、通常グリップした状態で操作し易い場所に配置されるため、操作性し易く且つ顔の変更操作及び確定操作時にビデオカメラのブレを防止することが可能となる。
【0065】
その上、撮像者が顔の変更操作を静止画撮像ボタンの半押し操作で行い、全押し操作にて確定操作を行うことで選択中の顔に対して顔AF、顔AE、顔AWB等の最適化された撮像処理を行う構成とした。よって、選択の過程において、顔AF、顔AE、顔AWB等の撮像処理を行わないため、撮像動画像が見苦しくなるのを防止することが可能となる。
【0066】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態におけるビデオカメラの構成は、図1〜3に示した第1の実施の形態におけるビデオカメラ100と同じ構成となっているので、それらを流用する。
【0067】
第1の実施形態では、撮像者が所望する顔を選択する場合の顔の変更操作及び確定操作に静止画撮像ボタンを使用している。これに対し、第2の実施形態では、動画撮像中に静止画を撮像する場合の処理動作について説明する。
【0068】
図9は、図3におけるCPU113により実行される第2の実施の形態における撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0069】
図9に示される撮像処理は、動画撮像モード時における顔選択及び確定処理手順を含んでいる。また、第2の実施の形態では、静止画撮像ボタン114bにて、撮像者が所望する顔を選択する場合の顔の変更操作及び確定操作と静止画撮像操作を行うことが可能となる。また、この撮像処理は、撮像者が電源ボタン114cの押圧により電源を入れ、モードダイヤル114dを動画撮像モードに設定すると開始される。ここで、動画撮像モード時における顔選択及び確定処理と静止画撮像処理は、撮像中及び撮像待機中に係らず同一の例として説明するため、撮像中及び撮像待機中かの記載については省略する。
【0070】
ステップS201〜S204は、第1の実施形態で説明した図4のS101〜S104と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0071】
ステップS204の判別の結果、静止画撮像ボタン114bが半押しされたとき(ステップS204でYES)、静止画撮像ボタン114bが半押しされてからの時間カウントを開始する(ステップS205)。
【0072】
次いで、時間カウントが開始されてから経過したカウント時間T1が、予め定められた時間Tより大きいか否かを判別する(ステップS206)。ステップS206の判別の結果、カウント時間T1が、予め定められた時間Tより大きいとき(ステップS206でYES)、上述したステップS105の顔選択変更処理を行う(ステップS209)。
【0073】
次いで、静止画撮像ボタン114bが全押しされたか否かを判別する(ステップS210)。ステップS210の判別の結果、静止画撮像ボタン114bが全押しされないとき(ステップS210でNO)、ステップS204に戻る。
【0074】
一方、静止画撮像ボタン114bが全押しされたとき(ステップS210でYES)、上述したステップS104と同様に現在選択中の顔を確定し、顔AF、顔AE、顔AWB等の最適化された撮像処理を行い(ステップS211)、ステップS204に戻る。
【0075】
一方、ステップS206の判別の結果、カウント時間T1が、予め定められた時間T以下であるとき(ステップS206でNO)、さらに静止画撮像ボタン114bが全押しされたか否かを判別する(ステップS207)。
【0076】
ステップS207の判別の結果、静止画撮像ボタン114bが全押しされたとき(ステップS207でYES)、現在選択中の顔を確定し、顔AF、顔AE、顔AWB等の最適化された静止画撮像を行い(ステップS208)、ステップS204に戻る。
【0077】
一方、静止画撮像ボタン114bが全押されていないとき(ステップS207でNO)、ステップS206に戻る。
【0078】
このように、第2の実施の形態では、静止画撮像ボタンが半押し操作されてから全押し操作されるまでの時間をカウントし、予め定められた時間以下であれば、動画撮像中に静止画を撮像する構成とした。
【0079】
よって、撮像者は静止画撮像ボタンを半押しから全押しまで一気に操作することで、動画撮像中に静止画を撮像することが可能となる。また、撮像者は顔の変更操作を静止画撮像ボタンの半押し操作で行い、全押し操作にて確定操作を行うような半押し操作から全押し操作まである程度時間がかかる操作と使い分けることが出来る。
【0080】
その結果、動画撮像中の静止画撮像との顔の変更操作及び確定操作が単一の操作部材の静止画撮像ボタンで可能となる。さらに新たに専用の操作部材を設ける必要が無いため、撮像装置本体の大型化を防止することが可能となる。
【0081】
図9の処理によれば静止画撮像ボタン114bが半押し操作されてから全押し操作されるまでに経過した時間T1が予め定められた時間T以下のときに半押し操作された時点で選択枠501が重畳された顔を主被写体として撮像するように撮像部102を制御する。その結果、対象物の変更操作及び確定操作専用の新たな操作部材を設けることなく、撮像者の操作を簡略化したビデオカメラ100を提供することができる。
【0082】
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態におけるビデオカメラの構成は、図1〜3に示した第1の実施の形態におけるビデオカメラ100と同じ構成となっているので、それらを流用する。第3の実施の形態では、動画撮像モード時におけるズーム操作の処理動作について説明する。
【0083】
また、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、静止画撮像ボタンを操作することで、撮像者が所望する顔を選択する場合の顔の変更操作及び確定操作が可能である。
【0084】
図10は、図3におけるCPU113により実行される第3の実施の形態における撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0085】
図10に示される撮像処理は、ビデオカメラ100の動画撮像モード時におけるズーム操作の処理手順を含む。また、第3の実施の形態では、静止画ボタン114bの押圧状態によって、顔を中心として画角変更を行う顔ズームと光軸を中心として画角変更を行う通常ズームとに変更することが可能である。
【0086】
図10において、ズームツマミ114aが操作されたか否かを判別する(ステップS301)。ステップS301の判別の結果、ズームツマミ114aが操作されたとき(ステップS301でYES)、さらに静止画撮像ボタン114bが半押し状態か否かを判別する(ステップS302)。なお、ステップS301では、ズームツマミ114aが操作されるまで、ズームツマミ114aが操作されたか否かが判別される。
【0087】
ステップS302の判別の結果、静止画撮像ボタン114bが半押し状態でないとき(ステップS302でNO)、ズームツマミ114aの操作量に応じて、光軸を中心とて画角変更を行う通常ズーム処理を行い(ステップS305)、ステップS301に戻る。ここでのズームにつては、後に説明する。
【0088】
一方、静止画撮像ボタン114bが半押し状態であるとき(ステップS302でYES)、図4のステップS104と同様に現在選択中の顔を確定し、顔AF、顔AE、顔AWB等の最適化された撮像処理を行う(ステップS303)。
【0089】
そして、ズームツマミ114aの操作量に応じて、現在選択中の顔を中心として画角変更を行う顔ズーム処理を行い(ステップS304)、ステップS301に戻る。ここでのズームにつては、後に説明する。
【0090】
図11は、図8に示す画面の状態で、図10のステップS305における通常ズーム処理後に表示部105に表示された画面の一例を示す図である。
【0091】
図11に示されるように、この画面は図8に示される画面の状態で、光軸を中心とて画角変更を行う通常ズーム処理を行ったものとなっている。どれだけズームするかは、上述したようにズームツマミ114aの操作量に応じたものとなる。
【0092】
図12は、図8に示す画面の状態で、図10のステップS304における顔ズーム処理後に表示部105に表示された画面の一例を示す図である。
【0093】
図12に示されるように、この画面は図8に示される画面の状態で、現在選択中の顔を中心として所定画角を切り出し、記録フォーマット上の解像度まで拡大するデジタルズーム処理である顔ズーム処理を行ったものとなっている。どれだけズームするかは、上述したようにズームツマミ114aの操作量に応じたものとなる。
【0094】
このように、第3の実施の形態では、静止画ボタンの半押しの押圧状態によって、顔を中心として画角変更を行う顔ズームと光軸を中心として画角変更を行う通常ズームとに変更する構成とした。
【0095】
その結果、静止画撮像ボタンを半押し状態にてズームツマミを操作することで、撮像者が所望する顔へのズームが簡単かつ迅速に行うことが可能となる。
【0096】
図10の処理によれば、静止画撮像ボタン114bが半押し操作され、ズームツマミ114aが操作されたとき、選択枠501が重畳された顔を中心として画角を変化させることができる。
【0097】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0098】
100 ビデオカメラ
102 撮像部
105 表示部
108 顔検出処理部
113 CPU
114 操作部
114a ズームツマミ
114b 静止画撮像ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像手段と、撮像者による半押し操作と全押し操作が可能な操作部材と、前記撮像手段により撮像されることで得られた前記被写体を示す撮像画像を表示する表示手段とを備えた撮像装置であって、
前記撮像画像から特定の対象物を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された対象物のうちから選択された1つの対象物であることを示す選択画像を当該対象物に重畳させて前記表示手段に表示させる重畳手段と、
前記操作部材が半押し操作されると、前記選択画像を重畳させる対象物を変更する変更手段と、
前記操作部材が全押し操作されると、前記選択画像が重畳された対象物を主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記対象物は、人の顔であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記主被写体に対する焦点処理、露出調節処理、及びホワイトバランス調節処理のうちの少なくとも1つ処理を行うことで前記対象物を前記主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記操作部材が半押し操作されてから全押し操作されるまでに経過した時間が予め定められた時間以下のときに、半押し操作された時点で前記選択画像が重畳された対象物を主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像画角を変化させるための他の操作部をさらに備え、
前記操作部が半押し操作され、前記他の操作部が操作されたとき、前記選択画像が重畳された対象物を中心として画角を変化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、動画および静止画の撮像が可能であり、
前記変更手段は、動画撮像中に前記操作部材が半押し操作されると、前記選択画像を重畳させる対象物を変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記操作部材は、静止画撮像を指示するための操作部材であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、動画撮像中に、前記操作部材の全押し操作に応じて静止画の撮像が可能であり、
前記操作部材の全押し操作に応じて、静止画の撮像を行うか、または、静止画を撮像せずに、前記操作部材の半押し操作に応じて選択された対象物を主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御するかを、前記操作部材が半押し操作されてから全押し操作されるまでに経過した時間に応じて決定することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
被写体を撮像する撮像手段と、撮像者による半押し操作と全押し操作が可能な操作部材と、前記撮像手段により撮像されることで得られた前記被写体を示す撮像画像を表示する表示手段とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像画像から特定の対象物を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された対象物のうちから選択された1つの対象物であることを示す選択画像を当該対象物に重畳させて前記表示手段に表示させる重畳ステップと、
前記操作部材が半押し操作されると、前記選択画像を重畳させる対象物を変更する変更ステップと、
前記操作部材が全押し操作されると、前記選択画像が重畳された対象物を主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御する制御ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
被写体を撮像する撮像手段と、撮像者による半押し操作と全押し操作が可能な操作部材と、前記撮像手段により撮像されることで得られた前記被写体を示す撮像画像を表示する表示手段とを備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記撮像画像から特定の対象物を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された対象物のうちから選択された1つの対象物であることを示す選択画像を当該対象物に重畳させて前記表示手段に表示させる重畳ステップと、
前記操作部材が半押し操作されると、前記選択画像を重畳させる対象物を変更する変更ステップと、
前記操作部材が全押し操作されると、前記選択画像が重畳された対象物を主被写体として撮像するように前記撮像手段を制御する制御ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−30979(P2013−30979A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165582(P2011−165582)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】