説明

撮像装置及び撮像方法

【課題】煩わしい補助線の表示を回避し、撮影者が被写体像に合わせやすい補助線を画面に表示することが可能な撮像装置及び撮像方法を提供する。
【解決手段】画面内で水平方向に移動可能な少なくとも1本の垂直線及び画面内で垂直方向に移動可能な少なくとも1本の水平線を表示する補助線表示部と、被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、抽出された輪郭から複数の直線部分を検出する直線検出部と、検出された直線部分の画面内における角度及び画面内における長さに応じて、検出された複数の直線部分から目標直線部分を抽出する目標抽出部と、抽出された目標直線部分と垂直線又は水平線との距離を算出する距離算出部とを備え、補助線表示部は、目標直線部分と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線を目標直線部分に向けて移動させながら表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置を用いて静止画像や動画像を撮影する際、LCD(Liquid Crystal Display)モニタやEVF(Electronic View Finder)等の画面に補助線を表示することで、撮影者は被写体像の構図が決定し易くなることがある。ファインダーに表示される補助線は、例えば図11に示すように、画面70内に縦線72,74が2本と横線76,78が2本、均等な間隔で表示されて、画面70を9分割する表示パターンが一般的である。図11は、補助線が表示された画面70を示す説明図である。また、補助線の表示は、撮影者によるメニュー操作によって、画面内に補助線が常に同じ位置で固定されて表示されるか、画面内に補助線が全く表示されないかのいずれかが選択される。
【0003】
特許文献1は、撮影時に画面内に補助線を表示する技術を開示している。特許文献1では、画面に常に補助線が表示されるという煩わしさを避けるため、被写体像に直線部分が含まれるときだけ、補助線が被写体像の直線部分の近傍のみに自動的に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−104463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像装置を用いて画像を撮影する際、図9に示すように、構造物に沿った垂直線が画面70内で垂直になり、海の水平線が画面70内で水平になって、被写体像の垂直と水平が画面枠に対して平行に被写体が撮影されることが望ましい。図9は、被写体像が表示された画面70を示す説明図である。しかし、補助線を使用せずに撮影すると、撮像装置本体がロール方向に回転して傾いて、図10のように、構図としては好ましくない画像を撮影してしまうことがある。図10では、海の水平線が右下斜め方向になって撮影されている。図10は、被写体像が表示された画面70を示す説明図である。
【0006】
図10に示すような構図の良くない画像の撮影を防止するため、撮像装置は、図11に示すように画面70内に補助線を表示し、被写体像の垂直又は水平の傾きを撮影者に示す機能を有する。補助線は、LCDモニタやEVFの画面上にOSD(On Screen Display)を使用して表示される。
【0007】
しかし、従来の補助線は、画面70内に固定されて表示されている。従って、被写体像が画面内70で4本の補助線のいずれかに近ければ、撮影者は被写体像の直線に垂直又は水平を合わせやすいが、補助線から被写体像の直線が離れている場合は、望ましい構図にしにくい。例えば、図11では、画面70内の海の水平線を補助線の横線78と平行に合わせれば、望ましい構図が得られる。しかし、画面70内の海の水平線と横線78が離れているため、撮影者は画面を水平にしづらい。また、画面70内の海の水平線と横線78を無理に近づけようとして、構図を移動させてしまうと、被写体像の他の部分、図11の例では吊り橋の頂点付近が画面に入らなくなる等、本来撮影したい構図が得られなくなる恐れがある。
【0008】
また、垂直又は水平に合わせる必要のない被写体の場合に、4本の補助線が表示されて画面が9分割されていると、撮影者にとってかえって目障りになり、画面を見づらくさせてしまう。
【0009】
更に、特許文献1のように、補助線を被写体像の直線部分の近傍のみに表示する場合、被写体像の直線部分によっては、短い補助線が表示され、撮影者は垂直又は水平を合わせにくい。また、特許文献1では、被写体像の直線部分と補助線の傾きの差が一定範囲内に入った場合、表示したり非表示にしたりする。しかし、このような制御では、被写体像の傾きによっては、補助線の表示と非表示が短時間に繰り返される場合があり、撮影者にとって補助線の表示が煩わしくなることがある。更に、特許文献1では、画面内に被写体像の直線部分が複数存在し分散している場合、画面内に補助線が多数表示される場合があり、やはり撮影者にとって補助線の表示が煩わしくなることがある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、煩わしい補助線の表示を回避し、撮影者が被写体像に合わせやすい補助線を画面に表示することが可能な、新規かつ改良された撮像装置及び撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画面内で水平方向に移動可能な少なくとも1本の垂直線及び画面内で垂直方向に移動可能な少なくとも1本の水平線を表示する補助線表示部と、被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、抽出された輪郭から複数の直線部分を検出する直線検出部と、検出された直線部分の画面内における角度及び画面内における長さに応じて、検出された複数の直線部分から目標直線部分を抽出する目標抽出部と、抽出された目標直線部分と垂直線又は水平線との距離を算出する距離算出部とを備え、補助線表示部は、目標直線部分と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線を目標直線部分に向けて移動させながら表示する、撮像装置が提供される。
【0012】
この構成によれば、画面内で水平方向に移動可能な少なくとも1本の垂直線及び画面内で垂直方向に移動可能な少なくとも1本の水平線が表示される。また、被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭が抽出され、抽出された輪郭から複数の直線部分が検出され、検出された直線部分の画面内における角度及び画面内における長さに応じて、検出された複数の直線部分から目標直線部分が抽出される。そして、抽出された目標直線部分と垂直線又は水平線との距離が算出されて、目標直線部分と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線が目標直線部分に向けて移動しながら表示される。その結果、補助線の表示が撮影者にとって煩わしいものにすることなく、撮影者が被写体像に合わせやすい補助線を画面に表示できる。
【0013】
上記垂直線及び水平線を画面に表示する補助線表示モードであるか否かを判断するモード判断部を更に備え、補助線表示部は、補助線表示モードであると判断されたとき、垂直線及び水平線を画面に表示し、補助線表示モードでないと判断されたとき、垂直線及び水平線を画面に表示しない。この構成によれば、補助線表示モードは、垂直線及び水平線を画面に表示するモードである。そして、補助線表示モードであるか否かが判断され、補助線表示モードであると判断されたとき、垂直線及び水平線が画面に表示され、補助線表示モードでないと判断されたとき、垂直線及び水平線が画面に表示されない。
【0014】
上記目標抽出部は、検出された複数の直線部分のうち、長さが最も長い直線部分を目標直線部分として抽出する。この構成によれば、直線部分の長さが考慮されて、目標直線部分が検出された複数の直線部分から抽出される。
【0015】
上記目標抽出部は、検出された複数の直線部分のうち、水平又は垂直との傾きの差が最も小さい直線部分を目標直線部分として抽出する。この構成によれば、直線部分の水平又は垂直との傾きが考慮されて、目標直線部分が検出された複数の直線部分から抽出される。
【0016】
上記目標抽出部は、検出された複数の直線部分のうち、画面中央からの距離が最も小さい直線部分を目標直線部分として抽出する。この構成によれば、直線部分の画面中央からの距離が考慮されて、目標直線部分が検出された複数の直線部分から抽出される。
【0017】
上記目標抽出部が、目標直線部分を抽出できないとき、距離算出部は、画面中央と垂直線又は水平線との距離を算出し、補助線表示部は、画面中央と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線を画面中央に向けて移動させながら表示する。この構成によれば、目標直線部分を抽出できないとき、画面中央と垂直線又は水平線との距離が算出され、画面中央と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線が画面中央に向けて移動しながら表示される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画面内で垂直方向に移動可能な少なくとも1本の水平線及び画面内で水平方向に移動可能な少なくとも1本の垂直線を表示するステップと、被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭を抽出するステップと、抽出された輪郭から複数の直線部分を検出するステップと、検出された直線部分の画面内における角度及び画面内における長さに応じて、検出された複数の直線部分から目標直線部分を抽出するステップと、抽出された目標直線部分と垂直線又は水平線との距離を算出するステップと、目標直線部分と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線を目標直線部分に向けて移動させながら表示するステップとを備える、撮像方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、煩わしい補助線の表示を回避し、撮影者が被写体像に合わせやすい補助線を画面に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置100を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る撮像装置100のガイドラインの表示動作を示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係る撮像装置100のガイドラインの移動量算出動作を示すフローチャートである。
【図4】ガイドラインが表示された画面170を示す説明図である。
【図5】被写体像に対して輪郭抽出し2値化処理した結果を表示した画像180を示す説明図である。
【図6】被写体像を直線近似した結果を表示した画像190を示す説明図である。
【図7】ガイドラインと目標直線部分との関係を表示した画像190を示す説明図である。
【図8】ガイドラインが表示された画面170を示す説明図である。
【図9】被写体像が表示された画面70を示す説明図である。
【図10】被写体像が表示された画面70を示す説明図である。
【図11】補助線が表示された画面70を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
[1.撮像装置100の構成]
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像装置100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る撮像装置100を示すブロック図である。
【0023】
撮像装置100は、例えば静止画像を撮影できるデジタルスチルカメラ、又は動画像を撮影できるビデオカメラである。本実施形態における画面内のガイドラインの表示は、静止画像撮影の際に表示するライブビュー表示、動画像撮影における撮影画像の表示のいずれにも適用できる。なお、デジタルスチルカメラで動画像を撮影する場合、又はビデオカメラで静止画像を撮影する場合にも適用できる。
【0024】
撮像装置100は、例えば、レンズ102と、撮像素子104と、コントローラ部108と、全体信号処理部110と、EVF駆動部122と、EVF124と、モニタ駆動部132と、LCDモニタ134と、静止画/動画圧縮処理部140と、メモリカード150と、操作部160等からなる。
【0025】
レンズ102は、外部の光情報を撮像素子104に結像させる光学系システムであり、被写体からの光を撮像素子104まで透過させる。レンズ102は、図示しないが、例えばズームレンズ、絞り、フォーカスレンズなどからなる。ズームレンズは、焦点距離を変化させて画角を変えるレンズである。絞りは、透過する光量を調節する機構である。フォーカスレンズは、光軸方向に移動することで撮像素子104の撮像面に被写体像を合焦させる。フォーカスレンズは、コントローラ部108によって駆動される。
【0026】
撮像素子104は、光電変換素子の一例であり、レンズ102を透過して入射した光情報を電気信号に変換する光電変換が可能な複数の素子から構成される。各素子は受光した光量に応じた電気信号を生成する。撮像素子104は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等を適用することができる。
【0027】
なお、撮像素子104の露光時間を制御するため、非撮影時に光を遮って撮影時のみ光が当たるように、メカニカルシャッター(図示せず。)を適用することができる。また、これに限定されず、電子シャッターを適用してもよい。なお、メカニカルシャッター又は電子シャッターの動作は、シャッターボタン(操作部160)のスイッチによって行われる。
【0028】
撮像素子104は、更にCDS/AMP部、A/D変換部を有する。CDS/AMP部(相関二重サンプリング回路(Correlated Double Sampling)/増幅器(Amplifier))は、撮像素子104から出力された電気信号に含まれるリセットノイズとアンプノイズを除去すると共に、電気信号を任意のレベルまで増幅する。A/D変換部は、CDS/AMP部から出力された電気信号をデジタル変換してデジタル信号を生成する。A/D変換部は、生成したデジタル信号を映像信号処理部106に出力する。
【0029】
映像信号処理部106は、前処理部と、画像処理部などからなる。前処理部は、A/D変換部から出力されたデジタル信号に対して処理を施し、画像処理が可能となる画像信号を生成する。前処理部は、例えば、撮像素子104の画素欠陥補正、黒レベル補正、シェーディング補正などの処理を行う。前処理部は、生成した画像信号を画像処理部に出力する。
【0030】
画像処理部は、前処理部から画像信号を受け、輝度信号と色信号に変換処理する。画像処理部は、WB制御値、γ値、エッジ(輪郭)強調制御値などに基づいて、画像処理された画像信号を生成する。画像処理部は、生成した画像信号を静止画/動画圧縮処理部140に送る。
【0031】
コントローラ部108は、例えばCPU(Central Processor Unit)であり、操作部160や全体信号処理部110からの信号に基づいてレンズ102、映像信号処理部106といった構成要素を制御する。
【0032】
全体信号処理部110は、例えばCPUであり、プログラムによって演算処理装置及び制御装置として機能し、撮像装置100内に設けられた各構成要素の処理を制御する。全体信号処理部110は、例えば、コントローラ部108に信号を出力してレンズ102のフォーカスレンズを駆動させる。なお、本実施形態においては、コントローラ部108による操作系の命令と、全体信号処理部110による信号系の命令とを別々のCPUで行う構成であるが、CPUが1つだけからなる構成でもよい。
【0033】
全体信号処理部110は、移動量算出部112と、ガイド表示部114を備える。
【0034】
移動量算出部112は、例えばモード判断部と、輪郭抽出部と、直線検出部と、目標抽出部と、距離算出部などからなる。
モード判断部は、撮像装置100が垂直線及び水平線からなるガイドラインを画面に表示するガイド表示モード(補助線表示モード)であるか否かを判断する。輪郭抽出部は、被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭を抽出する。直線検出部は、抽出された輪郭から複数の直線部分を検出する。目標抽出部は、検出された直線部分の画面内における角度及び画面内における長さに応じて、検出された複数の直線部分から目標直線部分を抽出する。距離算出部は、抽出された目標直線部分と垂直線又は水平線との距離を算出する。
【0035】
ガイド表示部114は、ガイド表示モードであると判断されたとき、画面内で垂直方向に移動可能な1本の水平線及び画面内で水平方向に移動可能な1本の垂直線を表示する。ガイド表示部114は、補助線表示部の一例である。ガイド表示部114は、目標直線部分と垂直線又は水平線との距離に基づいて、垂直線又は水平線を目標直線部分に向けて移動させながら表示する。ガイド表示部114は、ガイド表示モードでないと判断されたとき、垂直線及び水平線を画面に表示しない。
【0036】
EVF駆動部122又はモニタ駆動部132は、VRAMから画像データを受けて、EVF124又はLCDモニタ134の画面に画像を表示する。EVF124及びLCDモニタ134は、撮像装置100の本体に設けられる。EVF124及びLCDモニタ134が表示する画像は、例えば、VRAMから読み出された撮影前の画像(ライブビュー表示)、撮像装置100の各種設定画面や、撮像して記録された画像などである。EVF124及びLCDモニタ134は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。EVF124及びLCDモニタ134は、本実施形態のように両方が撮像装置100に設けられてもよいし、いずれか一方のみが撮像装置100に設けられるとしてもよい。
【0037】
また、EVF124及びLCDモニタ134には、撮影者が構図を決定しやすくするためのガイドライン(補助線)が表示される。ガイドラインは、EVF124又はLCDモニタ134が全体信号処理部110から信号を受けて、OSD(On Screen Display)によって表示される。
【0038】
静止画/動画圧縮処理部140は、映像信号処理部106からの画像データに対して、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)規格などの静止画像の符号化方式で圧縮符号化処理を行う。生成された圧縮符号化されたデータはメモリカード150等に記録される。
【0039】
また、静止画/動画圧縮処理部140は、映像信号処理部106から静止画像の画像データを受けて、コーディング(符号化)処理によって動画像データを生成する。静止画/動画圧縮処理部140は、例えばMPEG形式などで符号化処理をして、複数の画像フレームが一つのファイルとして纏められたストリームデータを生成する。生成された動画像データは、メモリカード150等に記録される。また、静止画/動画圧縮処理部140は、メモリカード150から供給された静止画像又は動画像の符号化データに対して伸張復号化処理を行う。
【0040】
メモリカード150は、画像データの書き込み、又は記録された画像データや設定情報などの読み出しがされる。メモリカード150は、例えば、磁気ディスク、半導体記憶媒体などの記録媒体であり、撮影された画像データを記録する。記録媒体であれば、メモリカード150に限定されず、光ディスク(CD、DVD、ブルーレイディスク等)、光磁気ディスクなどでもよい。メモリカード150は、撮像装置100から着脱可能に構成されてもよい。
【0041】
操作部160は、例えば、撮像装置100に設けられた上下左右キー、電源スイッチ、モードダイアル、シャッターボタンなどである。操作部160は、ユーザーによる操作に基づいて操作信号をコントローラ部108等に送る。例えば、静止画像の撮影に使用されるシャッターボタンは、ユーザーによる半押し(S1操作)、全押し(S2操作)、解除が可能である。シャッターボタンは、半押しされたときフォーカス制御開始の操作信号を出力し、半押し解除でフォーカス制御が終了する。また、シャッターボタンは、全押しされたとき、撮影開始の操作信号を出力する。
【0042】
なお、撮像装置100における一連の処理は、ハードウェアで処理してもよいし、コンピュータ上のプログラムによるソフトウェア処理で実現してもよい。
【0043】
[2.撮像装置100の動作]
(ガイドラインの表示動作)
まず、図2を参照して、撮像装置100のガイドラインの表示動作について説明する。図2は、本実施形態に係る撮像装置100のガイドラインの表示動作を示すフローチャートである。
【0044】
本実施形態のガイドラインは、図4に示すように、垂直線172及び水平線174からなり、被写体像から検出された目標直線部分に向けて画面内で徐々に移動する。ガイドラインが移動して撮影者がガイドラインに被写体像を合わせることによって、ガイドラインは、図8に示すように、目標直線部分に沿って表示される。図4及び図8は、ガイドラインが表示された画面170を示す説明図である。
【0045】
以下、詳細にガイドラインの表示動作を説明する。まず、撮像装置100は、ガイドラインをEVF124やLCDモニタ134の画面に表示可能とするガイド表示モードであるか否かを判断する(ステップS101)。ガイド表示モードの開始又は終了は、例えば撮影者によってメニュー画面を介して選択され決定されている。
【0046】
ステップS101において、ガイド表示モードであると判断されたときは、画面にガイドラインを表示する(ステップS102)。ガイドラインは、図4に示すように、1本の垂直線172と1本の水平線174の2本の直線からなり、画面170を4つに分割する。垂直線172、水平線174ともに、画面170の一側の端部又は端部近傍から他側の端部又は端部近傍にわたって延びる直線である。このように画面に長い直線を表示することで、撮影者は、ガイドラインの位置を認識し易くなる。また、画面内の直線部分の近傍のみにガイドラインが表示される場合に比べて、撮影者は被写体像を画面内で垂直線172又は水平線174に合わせやすい。
【0047】
なお、撮影者によるメニュー選択などによって、ガイドライン表示モードでない状態からガイドライン表示モードに移行したときは、例えば、図4に示すように、画面の中央を通るようにガイドラインの垂直線172と水平線174を表示する。
【0048】
次に、被写体像から移動目標とする目標直線部分(目標垂直直線部分と目標水平直線部分)を検出して、ガイドラインをその目標直線部分に移動する。目標直線部分とは、撮影者が画像の構図を決めるために基準となる被写体像に含まれる直線である。
【0049】
ガイドラインの目標直線部分への移動のために、まず、ガイドラインの画面内における移動量を算出する(ステップS103)。移動量は、図7に示すように、垂直線172についてΔx、水平線174についてΔyとして算出される。図7は、ガイドラインと目標直線部分との関係を表示した画像190を示す説明図である。
【0050】
Δxは、垂直線172の現在位置から目標垂直直線部分192までの距離であり、Δyは、水平線174の現在位置から目標水平直線部分までの距離である。移動量の算出の詳細については、後述する。
【0051】
移動量が算出されると、画面内に垂直線をΔx/nだけ目標垂直直線部分に移動して表示し、水平線をΔy/nだけ目標水平直線部分に移動して表示する(ステップS104)。なお、nは、n回の処理で移動が完了するとしたときの自然数である。このとき、ガイドラインの現在位置から目標直線部分まで、短時間でガイドラインを移動させるのではなく、撮影者が移動していることを認識できるような比較的長い時間で徐々にガイドラインを移動させる。これにより、撮影者はガイドラインを画面内で見つけやすくなり、ガイドラインに合わせて被写体像を画面内で動かしやすくなる。
【0052】
また、移動量の算出は、撮像装置100が画面全体の被写体像の切り替わりを認識した後や、比較的長い間隔で行うとよい。本実施形態と異なり、反対に、ガイドラインを目標直線部分に短時間に移動させたり、移動量の算出を短い間隔で行ったりすると、撮影者が画像の構図を決めている最中に、ガイドラインが画面内の様々な箇所に表示されたり非表示となったりする。その結果、撮影者は、ガイドラインの表示がかえって煩わしくなる。本実施形態のように、ガイドラインを目標直線部分まで徐々に移動させて、比較的長い間隔で移動量を算出することで、撮影者が画面を少しずらしたときに、ガイドラインは、目標直線部分を追いかけるように、遅れながら表示される。従って、撮影者は、画像の構図を決めやすくなる。
【0053】
そして、ガイドラインをn回移動処理したか、又はガイドラインの現在位置と目標直線部分までの距離が0(ゼロ)になったかを判断して、移動が完了したか否かを判断する(ステップS105)。移動が完了すれば、図8に示すように、その位置にガイドラインを表示し続ける。一方、移動が完了していないと判断されたときは、ガイドラインの移動処理を継続する。
【0054】
以上、ステップS101において、ガイド表示モードであると判断されたときについて説明した。一方、ステップS101において、ガイド表示モードでないと判断されたときは、ガイドラインを画面に表示しない(ステップS106)。撮影者によるメニュー選択によって、ガイド表示モードである状態からガイド表示モードでない状態に移行したときは、画面からガイドラインを消去する。これにより、撮影者がガイドラインを表示させたくないと判断したときは、ガイドラインを非表示にできる。
【0055】
(ガイドラインの移動量算出)
次に、図3を参照して、本実施形態に係る撮像装置100のガイドラインの移動量算出動作について説明する。図3は、本実施形態に係る撮像装置100のガイドラインの移動量算出動作を示すフローチャートである。
【0056】
ガイド表示モードで、画面にガイドラインが表示されると、ガイドラインの目標直線部分への移動のために、ガイドラインの画面内における移動量を算出する。以下、詳細にガイドラインの移動量算出動作を説明する。
【0057】
まず、撮影中の画像からガイドラインの移動目標とする目標垂直直線部分と目標水平直線部分を検出する。例えば、被写体の撮影によって得られた画像データ全体から被写体像の輪郭部を抽出する(ステップS111)。輪郭抽出処理は、例えば画像処理において通常用いられる技術を適用できる。そして、抽出された輪郭部に対して2値化処理を施して、図5に示すような画像を取得する。図5は、被写体像に対して輪郭抽出し2値化処理した結果を表示した画像180を示す説明図である。次に、被写体像に対して輪郭抽出し2値化処理した結果から、図6に示すように、画像全体を直線で近似する。図6は、被写体像を直線近似した結果を表示した画像190を示す説明図である。
【0058】
そして、直線近似して得られた画像における複数の直線部分から、垂直線、水平線それぞれに対して一定角度以下にあって、その直線部分の長さが一定長さ以上である直線部分を抽出する(ステップS112)。抽出する直線部分を一定角度以下かつ一定長さ以下に制限することで、画像の構図の決定に関係のない直線部分を排除することができ、構図の決定に関係度の高い直線部分を目標としてガイドラインを移動させることができる。
【0059】
次に、ステップS112の抽出の結果、抽出された直線部分が存在するか否かを判断する(ステップS113)。抽出された直線部分が存在する場合は、垂直線に対する目標垂直直線部分と、水平線に対する目標水平直線部分を抽出する(ステップS114)。図6の例では、例えば直線Aが目標水平直線部分として、直線Bが目標垂直直線部分として抽出される。
【0060】
例えば、(1)抽出された複数の直線部分のうち、垂直、水平それぞれにおいて、長さが最も長い直線部分を選択することで、目標垂直直線部分と目標水平直線部分を抽出する。または、(2)抽出された複数の直線部分のうち、垂直、水平それぞれにおいて、垂直又は水平との傾きの差が最も小さい直線部分を選択することで、目標垂直直線部分と目標水平直線部分を抽出する。また更には、(3)抽出された複数の直線部分のうち、垂直、水平それぞれにおいて、画面中央からの距離が最も小さい直線部分を選択することで、目標垂直直線部分と目標水平直線部分を抽出する。
【0061】
(1)の条件は、直線部分の位置や角度より直線部分の長さを重視したものである。(2)の条件は、直線部分の位置や長さより直線部分の角度を重視したものである。(3)の条件は、直線部分の長さや角度より直線部分の位置(画面中央)を重視したものである。これら(1)〜(3)のいずれか一つを、予め決定しておく。撮影された被写体像のシチュエーションなどに応じて決定してもよい。または、(1)〜(3)を組み合わせて優先順位を決定しておく。そして、決定しておいた条件に基づいて、ステップS114で垂直線に対する目標垂直直線部分と、水平線に対する目標水平直線部分を抽出する。なお、(1)〜(3)以外の条件を設定しておいてもよい。
【0062】
そして、図7に示すように、垂直線172の現在位置から目標垂直直線部分192の中心までの距離Δxと、水平線174の現在位置から目標水平直線部分194の中心までの距離Δyを算出する(ステップS116)。なお、距離の算出は、目標直線部分の中心ではなく、目標直線部分の他の部分、例えば端点を使用し、目標直線部分の端点と、垂直線172の現在位置又は水平線174の現在位置との距離を算出してもよい。
【0063】
ステップS112で一定角度以下かつ一定長さ以下の直線部分がなく、ステップS113で直線部分が存在しないと判断された場合、ガイドラインを移動させるための目標座標を画面中央に設定する(ステップS115)。そして、垂直線172の現在位置から画面中央までの距離Δxと、水平線174の現在位置から画面中央までの距離Δyを算出する(ステップS116)。
【0064】
以上によって、移動量の算出動作が終了する。その後、算出された移動量に基づいて、ガイドラインが画面内で移動する。
【0065】
以上、本実施形態によれば、撮像装置100に水平又は垂直を検知するセンサーを内蔵させて、センサーによって本来の垂直線や水平線を画面に表示させることなく、適正な構図を容易に得ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、垂直線及び水平線からなるガイドラインが適切な位置に移動するため、撮影者は被写体像をガイドラインに合わせやすい。例えば、従来、ガイドラインが固定されているとき、被写体像を無理にガイドラインに合わせることで本来撮影したい構図が得られなくなることがあったが、本実施形態ではこのような問題が発生しない。
【0067】
更に、本実施形態では、画面内で移動可能なガイドラインが、画面の一側の端部又は端部近傍から他端の端部又は端部近傍まで延びているため、短い補助線が表示される場合に比べて、撮影者は垂直又は水平を合わせやすい。また、目標直線部分を抽出して目標直線部分に向けてガイドラインを移動させるため、被写体像をガイドラインに合わせやすい。更に、本実施形態は、ガイドラインを移動させながら表示するため、画面内でガイドラインの切り替わりが少なく、撮影者は煩わしさを感じることなく構図を決定できる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、上記実施形態では、ガイドラインが垂直線1本と水平線1本からなるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ガイドラインは3本以上でもよく、例えば、垂直線2本と水平線2本からなるガイドラインを表示するとしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、2本のガイドラインが両方とも画面内で移動するとしたが、必ずしも全てのガイドラインを画面内で移動させなくてもよい。例えば垂直線2本と水平線2本からなるガイドラインを表示する場合、垂直線1本と水平線1本を画面内で固定させ、残りの垂直線1本と水平線1本を画面内で移動させてもよい。
【符号の説明】
【0071】
100 撮像装置
102 レンズ
104 撮像素子
106 映像信号処理部
108 コントローラ部
110 全体信号処理部
112 移動量算出部
114 ガイド表示部
122 EVF駆動部
124 EVF
132 モニタ駆動部
134 LCDモニタ
140 静止画/動画圧縮処理部
150 メモリカード
160 操作部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面内で水平方向に移動可能な少なくとも1本の垂直線及び前記画面内で垂直方向に移動可能な少なくとも1本の水平線を表示する補助線表示部と、
被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、
抽出された前記輪郭から複数の直線部分を検出する直線検出部と、
検出された前記直線部分の前記画面内における角度及び前記画面内における長さに応じて、検出された前記複数の直線部分から目標直線部分を抽出する目標抽出部と、
抽出された前記目標直線部分と前記垂直線又は前記水平線との距離を算出する距離算出部と
を備え、
前記補助線表示部は、前記目標直線部分と前記垂直線又は前記水平線との距離に基づいて、前記垂直線又は前記水平線を前記目標直線部分に向けて移動させながら表示する、撮像装置。
【請求項2】
前記垂直線及び前記水平線を前記画面に表示する補助線表示モードであるか否かを判断するモード判断部を更に備え、
前記補助線表示部は、前記補助線表示モードであると判断されたとき、前記垂直線及び前記水平線を前記画面に表示し、前記補助線表示モードでないと判断されたとき、前記垂直線及び前記水平線を前記画面に表示しない、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記目標抽出部は、検出された前記複数の直線部分のうち、長さが最も長い前記直線部分を前記目標直線部分として抽出する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記目標抽出部は、検出された前記複数の直線部分のうち、水平又は垂直との傾きの差が最も小さい前記直線部分を前記目標直線部分として抽出する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記目標抽出部は、検出された前記複数の直線部分のうち、画面中央からの距離が最も小さい前記直線部分を前記目標直線部分として抽出する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記目標抽出部が、前記目標直線部分を抽出できないとき、
前記距離算出部は、画面中央と前記垂直線又は前記水平線との距離を算出し、
前記補助線表示部は、前記画面中央と前記垂直線又は前記水平線との距離に基づいて、前記垂直線又は前記水平線を前記画面中央に向けて移動させながら表示する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
画面内で垂直方向に移動可能な少なくとも1本の水平線及び前記画面内で水平方向に移動可能な少なくとも1本の垂直線を表示するステップと、
被写体の撮影によって取得された画像データから被写体像の輪郭を抽出するステップと、
抽出された前記輪郭から複数の直線部分を検出するステップと、
検出された前記直線部分の前記画面内における角度及び前記画面内における長さに応じて、検出された前記複数の直線部分から目標直線部分を抽出するステップと、
抽出された前記目標直線部分と前記垂直線又は前記水平線との距離を算出するステップと、
前記目標直線部分と前記垂直線又は前記水平線との距離に基づいて、前記垂直線又は前記水平線を前記目標直線部分に向けて移動させながら表示するステップと
を備える、撮像方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−139129(P2011−139129A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295947(P2009−295947)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】