説明

撮像装置及び撮像装置の制御方法

【課題】通信回線から情報を得ないで、発電又は充電された電力量の変動に関わらず、長期間にわたって撮影を継続することが可能な撮像装置及び撮像装置の制御方法を提供する。
【解決手段】自然エネルギーを電気エネルギーに変換し発電する発電部102と、被写体を撮像し画像データを生成する撮像部140と、画像データを記憶するメモリ150と、メモリに記憶されている画像データを送信する無線通信部160と、撮像部と無線通信部の動作を制御する制御部110と、発電された電気エネルギーを充電し、撮像部、メモリ、無線通信部及び制御部に電力を供給するバッテリー130とを備え、制御部は、発電部の平均発電量に基づいてバッテリーの将来の充電量を推測し、将来の充電量に基づいて、撮像部又は無線通信部の動作を変化させる撮像装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラは、監視者が監視する場所から離れた地点に設置される。監視カメラは、常に電力を供給する送配電系統から電力線を通じて電力を受けることが一般的である。また、監視カメラがバッテリーを内蔵し使用している場合でも、電力が常に供給されていることから、バッテリーの残電力量に関係なく、監視カメラの動作を継続させることができた。
【0003】
特許文献1では、電力供給をバッテリーのみに依存している無線通信装置において、省電力を図るため、周辺の明るさに応じて省電力状態に移行する技術が開示されている。また、特許文献2では、太陽電池と蓄電池を電源とした撮像装置において、気象情報に応じて電力残量を算出し電力残量に基づいて撮影モードを切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−50243号公報
【特許文献2】特開2008−167047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視カメラへの電力の供給は、特に送配電系統が整っていない地域では困難である。例えば、ジャングル奥地において動物乱獲を監視するカメラや戦場での監視動作をするカメラ等への電力供給は、困難な場合が多い。そこで、太陽電池とバッテリー(コンデンサも含む。以下同じ。)とカメラを組み合わせたカメラユニットが要望されている。
【0006】
ところが、太陽電池は昼間にのみ発電され、バッテリーに蓄電される電力量も有限であるため、上記カメラユニットを監視カメラとして使用する場合、消費電力を適切に制御しないと電力不足が生ずるという問題があった。また、太陽電池の将来の発電量を正確に予測するため、ネットワーク等の通信回線を経由して気象情報等を取得することが考えられる。しかし、通信回線から情報を取得できない場合、太陽電池の将来の発電量を予測することが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、通信回線から情報を得ないで、発電又は充電された電力量の変動に関わらず、長期間にわたって撮影を継続することが可能な、新規かつ改良された撮像装置及び撮像装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、自然エネルギーを電気エネルギーに変換し発電する発電部と、被写体を撮像し画像データを生成する撮像部と、画像データを記憶するメモリと、メモリに記憶されている画像データを送信する無線通信部と、撮像部と無線通信部の動作を制御する制御部と、発電された電気エネルギーを充電し、撮像部、メモリ、無線通信部及び制御部に電力を供給するバッテリーとを備え、制御部は、発電部の平均発電量に基づいてバッテリーの将来の充電量を推測し、将来の充電量に基づいて、撮像部又は無線通信部の動作を変化させる撮像装置が提供される。
【0009】
上記制御部は、メモリの残メモリ量を算出し、バッテリーの残電力量を算出し、算出された残メモリ量と残電力量に基づいて、撮像部又は無線通信部の動作を変化させてもよい。
【0010】
上記制御部は、画像データの画質、画像データの圧縮率、撮像部の撮影頻度又は撮影範囲を制御して撮像部の動作を変化させてもよい。
【0011】
上記制御部は、画像データの送信頻度を制御して無線通信部の動作を変化させてもよい。
【0012】
上記制御部は、将来の充電量に基づいて、無線通信部に外部の一の撮像装置から画像データを受信させ、受信した画像データを外部の他の撮像装置に送信させてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、発電部が自然エネルギーを電気エネルギーに変換し発電するステップと、撮像部が被写体を撮像し画像データを生成するステップと、メモリが画像データを記憶するステップと、無線通信部がメモリに記憶されている画像データを送信するステップと、制御部が撮像部と無線通信部の動作を制御するステップと、バッテリーが発電された電気エネルギーを充電し、撮像部、メモリ、無線通信部及び制御部に電力を供給するステップと、制御部が、発電部の平均発電量に基づいてバッテリーの将来の充電量を推測し、将来の充電量に基づいて、撮像部又は無線通信部の動作を変化させるステップとを備える撮像装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、通信回線から情報を得ないで、発電又は充電された電力量の変動に関わらず、長期間にわたって撮影を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る監視カメラユニット100が配置される通信ネットワークの例を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係る監視カメラユニット100を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る監視カメラユニット100の制御部110を示すブロック図である。
【図4】同実施形態に係る監視カメラユニット100の撮像処理及びデータ転送処理を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る監視カメラユニット100の撮像計画立案処理及びデータ転送計画立案処理を示すフローチャートである。
【図6】充電量の時間的変化を示すグラフである。
【図7】撮像計画の決定方法の一例を示すテーブルである。
【図8】データ転送計画の決定方法の一例を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.一実施形態の構成
2.一実施形態の動作
【0018】
<1.一実施形態の構成>
本発明の一実施形態に係る監視カメラユニット100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る監視カメラユニット100が配置される通信ネットワークの例を示す説明図である。図2は、本実施形態に係る監視カメラユニット100を示すブロック図である。
【0019】
監視カメラユニット100は、図1に示すように、サーバ装置200や中継専用ユニット300と共に通信ネットワークを構成する。また、監視カメラユニット100は、図2に示すように、例えば太陽光発電パネル102と、制御部110と、バッテリー130と、撮像部140と、メモリ150と、無線通信部160等からなる。監視カメラユニット100は、撮像装置の一例である。
【0020】
監視カメラユニット100は、空間に対して適宜配置される。監視カメラユニット100は、例えば送配電系統が整っていない地域等に配置される。配置される複数の監視カメラユニット100は全て同じ構成であってもよいし、メモリ量を変えたり、太陽光発電パネルの数や面積を変えたりしてもよい。また、他の監視カメラユニット100との位置関係から、無線通信部160の出力を変更してもよい。例えば、他の監視カメラユニット100から遠ければ、無線受信感度(ゲイン)を上げ、無線出力電力を上げるが、近ければ感度を下げ、出力を下げる。こうすることで、最適な電力マネージメントができる。このように、基本構成は同じであるが、細部は適宜変更してもよい。
【0021】
監視カメラユニット100は、周辺環境等の被写体を撮影し撮像データを生成する。複数の監視カメラユニット100によって生成された全ての撮像データは、最終的にはサーバ装置200に送られる。なお、サーバ装置200には安定的に電源が供給され、サーバ装置200は撮像データを受ける無線受信機を有する。サーバ装置200は、受信した撮像データを管理したり、ディスプレイへ撮像データを表示したりする。
【0022】
各監視カメラユニット100は、サーバ装置200に対して比較的遠方に配置されるものと、比較的近傍に配置されるものとがある。そして、無線通信の通信能力に応じるため、全ての監視カメラユニット100が、サーバ装置200に直接撮像データを送ることができるとは限らない。
【0023】
そこで、サーバ装置200から遠方に配置された監視カメラユニット100は、その監視カメラユニット100の周辺に配置され、自ユニットよりサーバ装置200に近い監視カメラユニット100又は中継専用ユニット300に撮像データを送る。そして、撮像データを受けた監視カメラユニット100は、他の監視カメラユニット100から受けた撮像データと、自ユニットが生成した撮像データを、よりサーバ装置200に近い別の監視カメラユニット100、中継専用ユニット300又はサーバ装置200に送る。
【0024】
上記の撮像データの送受信を順次行うことで、複数の監視カメラユニット100で生成された撮像データがサーバ装置200に転送される。
【0025】
中継専用ユニット300は、無線通信部を備え、監視カメラユニット100から撮像データを受けたり、監視カメラユニット100やサーバ装置200に撮像データを送ったりする。中継専用ユニット300は、監視カメラユニット100単体に比べて、蓄電量の大きいバッテリー、大量に発電できる発電部、大容量のメモリを持つことが望まれる。これにより、中継専用ユニット300は、複数の監視カメラユニット100から受ける大量の撮像データを処理することができる。
【0026】
太陽光発電パネル102は、光を電気エネルギーに変換して発電し、発電した電力をバッテリー130に送る。太陽光発電パネル102は、発電部の一例である。本発明の発電部は、自然エネルギーを電気エネルギーに変換するものであればいずれでもよい。なお、本発明は、撮像ユニットに発電が不安定な発電部を適用する場合に有利な効果を奏する。即ち、安定的に発電できる発電部であれば、後述する本発明の特徴的な制御が不要だからである。
【0027】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、各監視カメラユニット100に設けられた構成要素を制御する。制御部110は、図3に示すように、例えば残電力算出部112と、残メモリ算出部114と、平均発電量管理部116と、充電量予測部118と、計画立案部120と、撮像制御部122と、無線通信制御部124等からなる。図3は、本実施形態に係る監視カメラユニット100の制御部110を示すブロック図である。
【0028】
残電力算出部112は、バッテリー130の現在の電圧又は積算した放電量を計測し、バッテリーの残電力量を算出する。残電力算出部112は、算出した残電力量を計画立案部120に送る。
【0029】
残メモリ算出部114は、メモリ150の現在の残メモリ量を算出する。残メモリ算出部114は、算出した残メモリ量を計画立案部120に送る。
【0030】
平均発電量管理部116は、太陽光発電パネル102による実績発電量又は日照時間データから算出される発電量等の発電量データを取得し、発電量データに基づいて平均発電量を日単位又は時間単位で管理する。平均発電量管理部116は、得られる平均発電量を充電量予測部118に送る。
【0031】
そして、充電量予測部118は、平均発電量に基づいて将来の充電量を算出しておく。例えば、充電量予測部118は、太陽光発電によって、何時から何時までの間でどれ位発電されるかを事前に算出しておく。本発明に風力発電を使用する場合は、例えば単位時間当たりどれ位発電されるかを事前に算出しておく。単位時間当たりの発電量は、時刻に応じて変動があってもよい。本実施形態における充電量予測によれば、外部から気象情報を受信できず、気象情報を使用できない場合でも、平均発電量を使用するため、将来の充電量を算出できる。
【0032】
計画立案部120は、充電量予測部118から予測される将来の充電量を取得し、バッテリー130の現在の残電力量とメモリ150の残メモリ量を比較したりして、撮像計画とデータ転送計画を立てる。
【0033】
計画立案部120は、例えば、数日以内にバッテリー130の残電力量が足りなくなり、メモリ150の残メモリ量が不足すると予想された場合、残電力量がある期間に、周辺の監視カメラユニット100等と通信し、撮像データの転送を行うようなデータ転送計画を立てる。このとき転送する撮像データは、メモリ150に保存された全ての撮像データである必要はない。例えば、次の発電時までに記録される撮像データに必要なメモリ量を最低限確保できるように、撮像データが送信されるようにすればよい。
【0034】
もし、撮像データを転送できるだけの残電力量がない場合、次に発電できるまで残メモリ量を残しておく必要があるため、計画立案部120は、撮像条件を変えるような撮像計画を立てる。計画立案部120は、例えば、撮像時間間隔を広げる、画質を落とす、回転などにより360度撮影する場合には、回転角間隔を広げるなどを行うような撮像計画を立てる。これにより、撮像データの保存に必要となるデータ量を削減できる。
【0035】
なお、センサーを設けて明るさを認識し、撮像計画とデータ転送計画を立ててもよい。但し、本実施形態は、太陽光発電パネル102を有しているため、実際に発電されている電力量から明るさは推定できる。また、現在の明るさが認識できても、将来(例えば、数時間後)の明るさは予想できない。そのため、センサーを設けて明るさを認識する利点や、明るさに基づいて撮像計画とデータ転送計画を立てることによる利点は、本実施形態に比べて小さい。
【0036】
撮像制御部122は、撮像計画に基づいて、撮像が実行されるように撮像部140を制御する。
【0037】
無線通信制御部124は、データ転送計画に基づいて、データ転送が実行されるように無線通信部160を制御する。
【0038】
バッテリー130は、太陽光発電パネル102で発電された電力を充電する。バッテリー130は、監視カメラユニット100に設けられた全ての回路に電力を供給する。例えば制御部110、撮像部140、無線通信部160等は、バッテリー130から電力の供給を受けて動作する。
【0039】
撮像部140は、レンズ等の光学系、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の撮像素子、画像処理回路等からなる。撮像部140は、周辺環境等の被写体を撮像する。撮像部140は、360度の撮像が可能なものを使用してもよい。360度の撮像を可能とするために、撮像部140はレンズやミラー等の光学系を回転させて撮像してもよいし、ミラーによって一度の撮影で360度全ての被写体像を取得できる光学系を使用して撮像してもよい。
【0040】
撮像部140の撮像は、撮像計画に基づいて定期的でもいいが、監視カメラユニット100にモーションセンサー又は振動センサー等が設けられて、移動する物体が監視カメラユニット100の近傍にあった時だけ撮像するようにしてもよい。
【0041】
撮像部140は、撮像データを生成する。撮像データには、監視カメラユニット100を特定するユニットID、撮像時刻、画像データが少なくとも含まれる。なお、監視カメラユニット100が移動できる場合、GPS(Global Positioning System)等を利用して得られる位置情報を含めるようにしてもよい。撮像部140が生成する撮像データの画質、圧縮率、撮像部140が撮像する撮像時間間隔、撮像部140が撮像する撮像範囲は制御部110からの指示に従う。撮像範囲は、例えば360度の撮像が可能な場合に何度おきに撮像するかなどによって決定される。生成された撮像データは、メモリ150に転送されて保存される。
【0042】
メモリ150は、各種データ、例えば撮像データを記憶する。メモリ150は、不揮発性メモリであり、例えばHDD、フラッシュ等である。
【0043】
無線通信部160は、他の監視カメラユニット100、サーバ装置200又は中継専用ユニット300に撮像データを送ったり、他の監視カメラユニット100や中継専用ユニット300から撮像データを受けたりする。無線通信部160における撮像データの転送データ量は、制御部110からの指示に従う。なお、本発明の監視カメラユニット100の通信方式は、無線通信に限定される。監視カメラユニット100において有線通信が可能であれば、安定的な電力供給もできると考えられるため、本発明の特徴的な制御に適合しないからである。
【0044】
無線通信部160のうち送信部は、撮像データを送信する時に起動し、撮像データを送信する時以外は起動しないように制御される。また、無線通信部160のうち受信部は、撮像データを中継できる時に起動するように制御される。そのため、受信部の起動は間欠的(非連続)になる。また、受信部は、撮像データの受信とは別に、同期を取るために定期的に起動するように制御される。ここでの同期とは、他の監視カメラユニット100の残電力量の有無又は残メモリ量の有無を確認するための動作である。同期は、撮像データの転送に比べて、起動時間は短い。
【0045】
メモリ150の残メモリ量が僅かになり、撮像データの記録ができないような状態になった場合、制御部110は、緊急送信リクエストを生成し、緊急送信リクエストを他の監視カメラユニット100に送信する。他の監視カメラユニット100は、同期を取るために定期的に受信部を起動しているため、ここで緊急送信リクエストを受け取ることができる場合がある。他の監視カメラユニット100が緊急送信リクエストを受け取れた場合、中継データ量を減らすことで、他の監視カメラユニット100が中継できるのであれば、リクエストに応える。その時は、緊急送信リクエストを送信した監視カメラユニット100は、データ量を減らして、少しだけ撮像データを送るようにする。
【0046】
<2.一実施形態の動作>
次に、本実施形態に係る監視カメラユニット100の動作について説明する。
【0047】
図4は、本実施形態に係る監視カメラユニット100の撮像処理及びデータ転送処理を示すフローチャートである。
まず、残電力算出部112と残メモリ算出部114が、それぞれ残電力量と残メモリ量を算出する(ステップS11)。そして、計画立案部120が、予測される将来の充電量を参照したり、バッテリー130の現在の残電力量とメモリ150の残メモリ量を比較したりして、撮像計画とデータ転送計画を立てる(ステップS12)。その後、立案された撮像計画とデータ転送計画に基づいて、撮像とデータ転送が実行される(ステップS13)。
【0048】
図5は、本実施形態に係る監視カメラユニット100の撮像計画立案処理及びデータ転送計画立案処理を示すフローチャートである。
まず、平均発電量管理部116が、太陽光発電パネル102による実績発電量又は日照時間データから算出される発電量等の発電量データを取得する。そして、平均発電量管理部116が、発電量データに基づいて平均発電量を日単位又は時間単位で管理する(ステップS21)。次に、充電量予測部118が、平均発電量に基づいて将来の充電量を算出する(ステップS22)。そして、計画立案部120が、予測される将来の充電量を参照したり、バッテリー130の現在の残電力量とメモリ150の残メモリ量を比較したりする(ステップS23)。その結果、計画立案部120によって、撮像計画とデータ転送計画が立案される(ステップS24)。
【0049】
以下、立案される撮像計画及びデータ転送計画の一例について説明する。
【0050】
ここでは、太陽光発電パネル102を有する監視カメラユニット100を例にして説明する。太陽光発電であるため、日中に発電され、夜は発電されない。
【0051】
監視カメラユニット100に設けられた回路全体が1日に消費する電力をEとすると、バッテリー130の全容量は例えば2E程度必要である。そして、太陽光発電パネル102は、雨天時以外に1日でE程度発電できることが望ましい。また、メモリ150は、1日の撮像データの保存に必要な量をMとすると、メモリ150の全容量は例えば4M程度あれば十分である。なお、太陽光発電パネル102、バッテリー130やメモリ150を大型化して、監視カメラユニット100の余力を増加させることは可能だが、コストがかかるという問題が生ずる。従って、上述した規模が適切な規模の一例である。
【0052】
ここで、2日続けて雨天となった場合、その日の夜にはバッテリー130がE/2まで減っていると想定される。この場合、残り半日で電気がなくなるため、消費電力を押さえる方向に撮像計画やデータ転送計画を変更する。例えば、撮像時間間隔を広げたり、撮像時の回転角間隔を広げたりして、撮像するようにする。
【0053】
撮像データは、メモリ150の残メモリ量がM以下になる頃に転送しておくことが望ましい。しかし、送信先の監視カメラユニット100もメモリ150は4Mの容量しか持っていないため、2M以上のデータを送ることが難しい。そこで、1日分の撮像データが蓄積される毎に、日中に撮像データを送信するとよい。日中は電力が潤沢にあり、撮像データを送信できる可能性が高い。もし、天候不順で撮像データを送信できない場合は、送信処理を次の日に延期する。送信処理の延期は、最大4日可能である。もし、3M分のデータが蓄積されていたら、撮像データを緊急的に少しずつ(例えば、M/2ずつなど)転送する。
【0054】
また、監視カメラユニット100の動作ができなくなるほど、バッテリー130の電力が不足してきた場合には、同期の頻度も落とすようにする。
【0055】
以上のように、撮像計画やデータ転送計画を立てることで、バッテリー130の充電量に応じたフレキシブルな撮像やデータ転送が行えるようになる。
【0056】
更に、上述した例とは別に図6を参照して、充電量の変化について説明する。図6は、充電量の時間的変化を示すグラフである。
【0057】
晴天時に発電が確実に行われバッテリー130に充電がされる場合は、図6のAに示すように、日中に充電量が増加し、夜間において撮像やデータ転送によって充電量が減少し、翌日も同様の充放電を繰り返す。
【0058】
しかし、雨天によって発電が行われない場合に、晴天時と同様に撮像やデータ転送を実行すると、図6のBに示すように、バッテリー130の残電力量が近い将来に欠如する可能性がある。そこで、撮像データの画質、撮像時間間隔、撮像範囲、データ転送回数等を調整する。そして、雨天時に晴天時と同様のペースでは充電量がQまで到達してしまうところを、充電量が0にならずPまでの低下で抑えられ、充電量の推移が図6のCとなるように撮像計画やデータ転送計画を立案する。
【0059】
次に、図7及び図8を参照して、撮像計画における撮像データの画質、圧縮率、撮像時間間隔の決定方法、データ転送計画における撮像データの転送データ量の決定方法について説明する。図7は、撮像計画の決定方法の一例を示すテーブルである。図8は、データ転送計画の決定方法の一例を示すテーブルである。
【0060】
例えば、図7に示すように、残電力量と残メモリ量が共に多い場合は、高画質、高圧縮の撮像データを生成し、頻度の多い撮影をする。残電力量が少ないが残メモリ量が多い場合は、低画質、低圧縮の撮像データを生成し、頻度を中程度に減らした撮影をする。残電力量が多いが残メモリ量が少ない場合は、中画質、高圧縮の撮像データを生成し、頻度を中程度に減らした撮影をする。残電力量と残メモリ量が共に少ない場合は、低画質、中圧縮の撮像データを生成し、頻度を少なくした撮影をする。
【0061】
また、図8に示すように、残電力量が多い場合は、残メモリ量の大小にかかわらず撮像データを送信する。残電力量があまり余っていないが翌日まで残存するような中程度の場合は、残メモリ量の大小にかかわらず、撮像データの一部を送信する。残電力量が更に減少した場合は、残メモリ量が多ければ撮像データを送信せず、残メモリ量が少なければ撮像データを送信する。これによって、残メモリ量が少ない場合でも撮像を継続できるようにする。
【0062】
以上、本実施形態によれば、気象情報等の情報を受けずに平均発電量に基づいて将来充電量を予測することができる。また、本実施形態は、将来充電量と残メモリ量に基づいて、バッテリー130の消費を低減したり、撮像データを記録できるようにメモリ150の残メモリ量を調整したりする。そのため、本実施形態では、バッテリー130の残電力量やメモリ150の残メモリ量に関わらず、撮像を継続することができ、監視を中断させることがない。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
100 監視カメラユニット
102 太陽光発電パネル
110 制御部
112 残電力算出部
114 残メモリ算出部
116 平均発電量管理部
118 充電量予測部
120 計画立案部
122 撮像制御部
124 無線通信制御部
130 バッテリー
140 撮像部
150 メモリ
160 無線通信部
200 サーバ装置
300 中継専用ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを電気エネルギーに変換し発電する発電部と、
被写体を撮像し画像データを生成する撮像部と、
前記画像データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されている前記画像データを送信する無線通信部と、
前記撮像部と前記無線通信部の動作を制御する制御部と、
前記発電された電気エネルギーを充電し、前記撮像部、前記メモリ、前記無線通信部及び前記制御部に電力を供給するバッテリーと、
を備え、
前記制御部は、前記発電部の平均発電量に基づいて前記バッテリーの将来の充電量を推測し、前記将来の充電量に基づいて、前記撮像部又は前記無線通信部の動作を変化させる、撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記メモリの残メモリ量を算出し、前記バッテリーの残電力量を算出し、算出された前記残メモリ量と前記残電力量に基づいて、前記撮像部又は前記無線通信部の動作を変化させる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像データの画質、前記画像データの圧縮率、前記撮像部の撮影頻度又は撮影範囲を制御して前記撮像部の動作を変化させる、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像データの送信頻度を制御して前記無線通信部の動作を変化させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記将来の充電量に基づいて、前記無線通信部に外部の一の撮像装置から画像データを受信させ、受信した前記画像データを外部の他の撮像装置に送信させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
発電部が自然エネルギーを電気エネルギーに変換し発電するステップと、
撮像部が被写体を撮像し画像データを生成するステップと、
メモリが前記画像データを記憶するステップと、
無線通信部が前記メモリに記憶されている前記画像データを送信するステップと、
制御部が前記撮像部と前記無線通信部の動作を制御するステップと、
バッテリーが前記発電された電気エネルギーを充電し、前記撮像部、前記メモリ、前記無線通信部及び前記制御部に電力を供給するステップと、
前記制御部が、前記発電部の平均発電量に基づいて前記バッテリーの将来の充電量を推測し、前記将来の充電量に基づいて、前記撮像部又は前記無線通信部の動作を変化させるステップと、
を備える、撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−228884(P2011−228884A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95846(P2010−95846)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】