説明

撮像装置及び画像出力方法

【課題】ユーザが手間をかけなくても撮像装置から出力される画像信号を補正し、良好な画質で表示装置に表示することができる撮像装置及び画像出力方法を提供する。
【解決手段】入出力機構39と、画像信号出力部61と、を備えた撮像装置100であって、基準画像記憶部62と、前記表示装置Tに表示された基準画像を撮像した撮像基準画像を記憶する撮像基準画像記憶部63と、補正データを算出する補正データ算出部64と、前記補正データに基づいて、前記画像信号を補正する画像信号補正部65と、前記入出力機構39を介して、少なくとも前記表示装置を識別するためのIDデータを取得する表示装置データ取得部66と、前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続された際に算出された前記補正データとを対にして記憶する補正データ記憶部67と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の撮像装置と、テレビ等の表示装置を接続し、前記撮像装置に記憶されている画像を外部出力して前記表示装置に表示できるように構成された撮像装置及びその画像出力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮影した画像を楽しむ際において、デジタルカメラが備えているモニタに表示させるのではなく、例えばテレビとデジタルカメラを接続し、デジタルカメラから画像信号を出力することによって大画面で画像を鑑賞することがある。この場合、デジタルカメラのモニタと、テレビとでは明るさやコントラスト等の設定や、表示デバイスとしての特性が異なるため、デジタルカメラで見た場合の画像と、テレビ出力された画像とで質感や色合いに微妙な違いが表れてしまう。
【0003】
このようなテレビへの外部出力時における画質の違いを補正する方法が特許文献1に記載されている。具体的にこの補正方法の手順を説明すると、まず、デジタルカメラとテレビとを接続して、デジタルカメラ内に記憶されているカラーバー等の基準画像を、テレビへと出力する。次に、そのテレビに表示されている基準画像をユーザが撮像して撮像基準画像としてデジタルカメラ内に記憶させる。最後にデジタルカメラ内で基準画像と撮像基準画像の比較が行われ、外部出力される画像信号を補正するための補正データが作成される。このようにして、生成された補正データに基づいて外部出力される画像信号を補正し、テレビでもデジタルカメラのモニタで表示するのと同様の画質で表示できるようにしている。
【0004】
しかしながら、この補正方法はユーザが表示装置に表示されている基準画像を撮影するという手間が必要であるにもかかわらず、デジタルカメラをテレビと接続する度に同様の操作を繰り返して補正情報を作らなくてはならず、ユーザにとって面倒な画像出力方法となってしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−152173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述したような問題点を鑑みてなされたものであり、ある表示装置について一度補正データを作るために表示装置に表示された基準画像を撮影した後は、再び接続された際に同様の撮影を行う必要がないようにし、ユーザが手間をかけなくても撮像装置から出力される画像信号を補正し、良好な画質で表示装置に表示することができる撮像装置及び画像出力方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の撮像装置は、表示装置と接続された際に各種信号の入出力が可能な入出力機構と、内部に記憶されている画像を画像信号として、前記表示装置に出力する画像信号出力部と、を備えた撮像装置であって、基準画像を記憶する基準画像記憶部と、前記表示装置に表示された基準画像を撮像した撮像基準画像を記憶する撮像基準画像記憶部と、前記基準画像と前記撮像基準画像とを比較して、前記表示装置に表示されている画像と、内部に記憶されている画像との画質の差が小さくなるように前記画像信号を補正するための補正データを算出する補正データ算出部と、前記補正データに基づいて、前記画像信号を補正する画像信号補正部と、前記入出力機構を介して、少なくとも前記表示装置を識別するためのIDデータを取得する表示装置データ取得部と、前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続された際に算出された前記補正データとを対にして記憶する補正データ記憶部と、を備え、前記表示装置と接続された際に、前記表示装置データ取得部が取得したIDデータと、前記補正データ記憶部に記憶されているIDデータとが一致した場合には、前記画像信号補正部が、一致したIDデータに対応させて前記補正データ記憶部に記憶されている補正データを用いて前記画像信号を補正することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像出力方法は、表示装置と接続された際に各種信号の入出力が可能な入出力機構と、内部に記憶されている画像を画像信号として、前記表示装置に出力する画像信号出力部と、を備えた撮像装置における画像出力方法であって、基準画像を記憶する基準画像記憶ステップと、前記表示装置に表示された基準画像を撮像した撮像基準画像を記憶する撮像基準画像記憶ステップと、前記基準画像と前記撮像基準画像とを比較して、前記表示装置に表示されている画像と、内部に記憶されている画像との画質の差が小さくなるように前記画像信号を補正するための補正データを算出する補正データ算出ステップと、前記補正データに基づいて、前記画像信号を補正する画像信号補正ステップと、前記入出力機構を介して、少なくとも前記表示装置を識別するためのIDデータを取得する表示装置データ取得ステップと、前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続された際に算出された前記補正データとを対にして記憶する補正データ記憶ステップと、を備え、前記撮像装置が前記表示装置と接続された際に、前記表示装置データ取得ステップにおいて取得したIDデータと、前記補正データ記憶ステップにおいて過去に記憶したIDデータとが一致した場合には、前記画像信号補正ステップにおいて、一致したIDデータに対応させて前記補正データ記憶ステップにおいて記憶した過去の補正データを用いて前記画像信号を補正することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、前記補正データ算出部が、基準画像と撮像基準画像とに基づいて、補正データを算出すると、その接続されている表示装置の機種や、製造番号等を示すIDデータとその補正データとを対にして記憶する補正データ記憶部を備えており、次に表示装置と接続された際には、前記補正データ記憶部に記憶されているIDデータを検索し、過去の補正データをそのまま使って前記画像信号補正部が、画像信号の補正を行うことができる。従って、同じ表示装置が接続された場合には、一度ユーザがその表示装置に表示されている基準画像を撮像しさえすれば、次回以降においては補正データの作成のための手順をユーザが繰り返す必要がない。つまり、ユーザが表示装置の接続の度に補正データを作成する手間を省くことができるとともに、表示装置に適切な画質で画像を表示する事が可能となる。
【0010】
一方の撮像装置では表示装置に表示されている基準画像を撮像するという作業を行っておらず、他方の撮像装置ですでにその作業が終了している場合に、同様の作業を一方の撮像装置で行う必要をなくし、よりユーザの手間を軽減できるようにするには、前記補正データ記憶部が、異なる撮像装置間で共有可能に構成されたものであればよい。
【0011】
補正データを作成したときと画像出力を行おうとしている時とで、表示装置の明るさ設定値等が異なっていても、前回の補正データを使って同様の画質で画像を表示できるようにするには、前記表示装置データ取得部が、前記表示装置から少なくとも明るさ設定値を含む設定データを更に取得し、前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続され、前記補正データが算出された時点での前記表示装置の設定データと、を対にして記憶する記憶する設定データ記憶部と、前記表示装置データ取得部が取得したIDデータと、前記設定データ記憶部に記憶されているIDデータとが一致した場合において、前記表示装置の現在の設定データと、前記設定データ記憶部に記憶されている過去の設定データとが異なっている場合には、ユーザに対して表示装置の現在の設定値を過去の設定データに対応する設定値へと変更するように促す表示を前記表示装置に表示させる設定変更推奨部と、を更に備えたものであればよい。
【0012】
表示装置の機種の違いだけでなく、表示装置の設定値の違いも含めて補正を行うことができるようにするための具体的な実施の態様としては前記表示装置データ取得部が、前記表示装置から少なくとも明るさ設定値を含む設定データを更に取得し、前記補正データ記憶部が、前記IDデータと、前記IDデータに対応する複数の異なる設定データと、各設定データに対応する補正データとを記憶するものであればよい。
【0013】
前記入出力機構が、HDMI(登録商標)接続を用いたものであれば、表示装置のIDデータ及び設定データを容易に取得することができるとともに、撮像装置側のインターフェースから前記表示装置の各種設定値を変更することも可能となる。このようのものであれば、前回の補正データ作成時とは表示装置の設定値が異なっていてもすぐに前回の設定値に戻すことがすぐにでき、常に最適な画質で表示装置に画像を表示する事がより簡単になる。
【0014】
前記前記補正データ算出部が、前記表示装置に表示される画像の画質が、撮像装置のモニタに表示される画像の画質と略同じになるように前記補正データを算出するものであれば、撮影時と略変わらない感覚で表示装置に出力されている画像を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明の撮像装置によれば、表示装置のIDデータを取得するとともに、そのIDデータと対応する補正データとを結び付けて撮像装置内の記憶部に記憶させているので、次回以降に同じ表示装置が接続された場合には、過去に作成した補正データをそのまま使って画像信号を外部出力することができる。従って、表示装置と接続する度に基準画像を表示した表示装置をユーザが撮影すると言った手間をなくすことができ、表示装置において十分な画質で画像を楽しむことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置を示す模式的前方斜視図。
【図2】同実施形態における撮像装置を示す模式的後方斜視図。
【図3】同実施形態における撮像装置とテレビの接続を示す模式図。
【図4】同実施形態における撮像装置全体の電気的構成を示す機能ブロック図。
【図5】同実施形態における表示装置に関する構成を示す機能ブロック図。
【図6】同実施形態における基準画像を示す模式図。
【図7】同実施形態における基準画像がテレビに表示された状態を示す模式図。
【図8】同実施形態における撮影基準画像を示す模式図。
【図9】同実施形態における外部出力を行う際の各部の動作を示すフローチャート。
【図10】同実施形態における補正データによる補正を行う際の動作を示すフローチャート。
【図11】同実施形態における各記憶部のデータ構造を示す模式図。
【図12】その他の実施形態における各記憶部のデータ構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
<装置全体の構成に関する説明>
【0019】
本実施形態の撮像装置100は、図1の前方斜視図に示すように、前面には電源オン時において撮像光学系1を保持する鏡筒が突出するように設けている他、ストロボ装置38等が設けてある。なお、これらの鏡筒は電源オフ時には内部に収容されるようにしてある。また、図2の後方斜視図に示すように背面には撮像されているスルー画像を見るためのモニタ35と、各種操作に用いられる操作キー53等が設けてある。そして上面には、シャッターレリーズ操作を行うために用いられるシャッタボタン51と、撮影モードを切り替えるためのモードダイヤル52が設けてある。
【0020】
さらに図3に示すようにこの撮像装置100の底面には、外部機器と接続するためのHDMI接続端子(図示しない)が設けてあり、例えば同じHDMI接続端子を有するテレビT等の表示装置と接続して、撮像装置100内に記憶されている画像を外部出力可能に構成してある。また、このHDMI接続によりCEC通信によりテレビTに関する情報を本撮像装置100が取得したり、テレビTの明るさ等の設定値をカメラ側から操作したりすることもできる。
【0021】
図4は、本実施形態の撮像装置100の電気的な構成を機能ブロックとして示すものである。図3に示すように、撮像光学系1、撮像素子2、画像信号処理回路31、VRAM32、評価値算出回路33、表示画像処理回路34、モニタ35、圧縮処理回路36、記録メディア37、CPU41、メモリ42、43、等が協業して、いわゆるデジタルカメラとしての機能を発揮するように構成してある。以下に各部について説明する。
【0022】
前記撮像光学系1は、光軸14に沿って外側から順に、ズームレンズ11、絞り12、フォーカスレンズ13、シャッタ17の順で並べて構成してあり、前記フォーカスレンズ13の後ろ側に前記撮像素子2が設けてある。前記撮像素子2としては、例えばCCD型やCMOS型のイメージセンサが用いられる。
【0023】
前記絞り12にはアイリスモータが接続されており、AE(Auto Exposure)動作時に絞り12値を変化させて光束を制限して露出量を制御するために用いられる。また前記フォーカスレンズ13にはレンズモータが接続されており、AF(Auto Focus)動作時に当該フォーカスレンズ13を撮像光学系1の光軸14に沿って移動させることにより、撮像光学系1のフォーカス位置を制御してピント調整を行うように構成してある。
【0024】
前記撮像素子2は、前記撮像光学系1により結像された被写体像を画像信号に変化するものである。当該撮像素子2には、タイミングジェネレータ21(TG)が接続してあり、TG21により前記撮像素子2の光電荷蓄積、転送動作が制御される。この光電荷蓄積及び転送動作の時間を制御することによって、撮像素子2への露光量が制御できるようにしてある。なお、前記絞り12、前記フォーカスレンズ13、前記シャッタ17はドライバ15、16、18を介して、前記撮像素子2はタイミングジェネレータ21(TG)を介して、CPU41により制御される。
【0025】
前記撮像素子2から出力された画像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)及び増幅器(AMP)22、A/Dコンバータ(ADC)23、の順で入力され、アナログデータからデジタルデータへと変換される。デジタルデータに変換された画像信号は、画像コントローラ24が入出力をコントロールする。また、前記増幅器22のゲインを制御することにより露光量を制御できるようにもしてある。前記画像信号は、画像信号処理回路31に入力され、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理等が施され、前記モニタ35で表示されるスルー画像として、VRAM32の所定領域A、Bに一次的に記憶される。このVRAM32に記憶されている各画像は所定周期ごとに更新される。具体的には例えば前記タイミングジェネレータ21により撮像素子2が1/30秒(1フレーム)ごとに露光及び画像信号の出力が繰り返されるのに合わせて更新できるようにしてある。
【0026】
前記評価値算出回路33は、VRAM32に記憶された画像からAF評価値及びAE評価値等を算出するものである。AF評価値とは、例えばコントラスト評価値に相当するものである。またコントラスト評価値は、前記各画像の所定領域について、輝度値の高周波成分を積算することにより算出されたものである。すなわち、隣接する画素間のコントラスト(輝度差)を所定領域内について足し合わせたものである。また、AE評価値とは、各画像データの所定領域について輝度値を積算することで算出され、画像の明るさを表すものである。コントラスト評価値、AE評価値はそれぞれ後述するAF動作及びAE動作において用いられる。
【0027】
前記表示画像処理回路34は、VRAM32に記憶されている画像に基づいてLCDモニタ35においてスルー画像を表示するための処理を行うものである。
【0028】
前記圧縮処理回路36は、VRAM32に記憶された画像に対して、JPEG方式等の圧縮形式により圧縮処理を施すものである。メディアコントーラ371は、圧縮処理回路36によって圧縮処理された各画像をメモリカード等の記録メディア37に保存する。また、モードダイヤル52によりビューモードが選択されている場合には、この記録メディア37に保存されている画像に基づいて、前記表示画像処理回路34により生成された立体画像が前記モニタ35により表示される。
【0029】
前記CPU41は、撮像装置100の全体の動作を統括的に制御するものである。CPU41には、前述のシャッタボタン51、モードダイヤル52、各種操作キー53の他、不揮発性メモリ43が接続されている。
【0030】
前記シャッタボタン51は、2段押のスイッチ構造となっている。シャッタボタン51がユーザにより軽く押圧(半押し)されると、撮像準備動作が開始される。本実施形態では、後述するようにシャッタボタン51が半押しになった時点で全てのAF動作が開始される入力後モードと、シャッタボタン51が半押しとなる前に、AF動作の一部が既に開始されている入力前モードとがある。このモードの切り替えは例えば、モードダイヤル52等や設定画面で切り換えるようにしてある。シャッタボタン51が強く押圧(全押し)されると、撮影処理が行われ、1画面分の第1及び第2画像がVRAM32から記録メディア37に転送されて記憶される。また、この記録メディア37に記憶されている撮影された画像は、モードダイヤル52で再生モードが選択されている場合には、前記表示画像処理回路で所定の処理が行われた後に前記モニタ35に表示される。
【0031】
<画像信号を外部出力するための構成の説明>
【0032】
前記前記不揮発性メモリ43には、各種制御用のプログラムや設定情報等が記憶されている。しかして、前記CPU41、SDRAM42、不揮発性メモリ43、各種回路等、記録メディア37等が協業してプログラムや設定情報に基づき、少なくとも、画像信号出力部61、基準画像記憶部62、撮像基準画像記憶部62、補正データ算出部64、表示装置データ取得部66、補正データ記憶部67、画像信号補正部65、設定データ記憶部68、設定変更推奨部69としての機能を発揮するように構成してある。これらの各部を示す機能ブロック図は図5のようになる。
【0033】
前記画像信号出力部61は、例えば記録メディア37に記録されている撮影した画像を、画像信号として出力するものである。本実施形態の前記表示画像処理回路がその機能の一部を担い、前記入出力機構を介して前記テレビTに画像を表示させるように構成してある。
【0034】
前記基準画像記憶部62は、後述する補正データを算出する際に用いられる基準画像を記憶するものである。前記基準画像は例えば図6に示すカラーバーであるが、その他の画像を用いても構わない。
【0035】
前記撮影基準画像記憶部63は、図7に示すような前記基準画像が外部出力されテレビTに表示されている状態をユーザが撮像装置100により撮像して生成する図8に示すような撮影基準画像を保存するものである。
【0036】
前記補正データ算出部64は、前記基準画像と前記撮影基準画像との明るさやコントラスト等の差分に基づいて、テレビTに表示される画像が前記モニタ35に表示されるのと略同じ態様となるような補正データを算出するものである。
【0037】
前記表示装置データ取得部66は、前記撮像装置100と前記テレビTとがHDMI接続された際に、前記テレビのメーカ、機種、シリアルナンバー、形式等の個々のテレビTを識別可能なデータであるIDデータと、前記テレビTに設定されている明るさ、コントラスト、シャープネス等といった画像表示に関連する設定値に関するデータである設定データとをテレビTから取得するように構成してある。
【0038】
前記補正データ記憶部67は、前記テレビTと接続された際に取得されたIDデータと、そのIDデータに対応するテレビTと接続されている間に前記補正データ算出部64が算出した補正データとを対にして記憶するものである。すなわち、前記補正データ記憶部67は、テレビTを識別するためのIDデータと、それに結び付けて補正データとを記憶している。
【0039】
前記画像信号補正部65は、前記補正データに基づいて前記画像信号出力部61から出力された前記画像信号を補正するものである。ここで、画像信号補正部65は、あるテレビTと初めて接続された場合と、別の機会に接続された場合とでその動作が異ならせてある。具体的には、前記画像信号補正部65は、HDMI接続がされると、まず前記表示装置データ取得部66により取得された新しいIDデータが、前記補正データ記憶部67に既に記憶されていないかどうかの検索を行う。検索の結果、接続されたテレビTが初めて接続されたものであると判明した場合には、ユーザにより撮影基準画像が撮影されて前記補正データ算出部64において補正データが算出するまで待機しており、その後、補正データが算出された後にその動作を開始する。一方、検索したIDが前記補正データ記憶部67にあった場合には、前記画像信号補正部65は、そのIDデータに対応させて記憶している補正データを用いて画像信号の補正を開始する。
【0040】
前記設定データ記憶部68は、あるテレビTが初めてHDMI接続され、ユーザが撮影基準画像を撮影して前記補正データ算出部64がそのテレビTに対応した補正データを算出した際に、その時のテレビの設定値等を含む設定データを対応するIDデータと対にして記憶するものである。
【0041】
前記設定変更推奨部69は、テレビTがHDMI接続された際に前記表示装置データ取得部66により取得されたIDデータが、前記設定データ記憶部68に記憶されているかどうかを検索し、IDデータがあった場合で、かつ、新たに取得された設定データが既に記憶されている過去の設定データと異なっている場合に、前記テレビTの画面に、現在の明るさ等の設定値から過去の設定値へと変更するかどうかを表示して、変更をうながすものである。そして、ユーザが変更すると選択した場合にはカメラの操作キー53等を用いて操作されるとテレビ側の設定値を変更できるようにしてある。
【0042】
<本実施形態における撮像装置の外部出力時の動作>
【0043】
このように構成した撮像装置100の外部出力時の動作について図9、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
まず、入出力機構にHDMIケーブルが接続されているかどうかの確認が行われ(ステップS1)、前記表示装置データ取得部66が、まずIDデータを取得する(ステップS2)。そして前記表示装置データ取得部66は、テレビTに現在設定されている明るさやコントラスト等の設定値に関するデータである設定データを取得する(ステップS3)。その後、前記画像信号補正部65は、新たに取得されたIDデータがすでに前記補正データ記憶部67に記憶されているかどうかの参照を行う(ステップS4)。ここで、前記補正データ記憶部67で新たに取得されたIDデータが既にあった場合には(ステップS5)、過去に作成した補正データに基づいて前記画像信号補正部65は画像信号の補正をしてHDMI出力に反映させる(ステップS6)。IDが前記補正データ記憶部67になかった場合には(ステップS5)、テレビTに関わりなく設定してあるデフォルトの補正データを前記HDMI出力に反映させる(ステップS7)。その後、いずれの場合でも新たに補正データを更新するかどうかの選択がユーザにより行われ(ステップS8)、新たに補正データを作成する場合には、まず基準画像を前記テレビに出力する(ステップS9)。その後ユーザがテレビ画面を撮影し、撮影基準画像を生成する(ステップS10)。そして、前記補正データ算出部64が、前記基準画像と前記撮影基準画像の明るさなどの差分を計算し、画像信号への補正に用いる補正データを決定する(ステップS11)。その後は、前記画像信号補正部65は新たに作成された補正データに基づいて補正を行う(ステップS12)。その後、補正結果にユーザが満足したかどうかの選択が行われ(ステップS13)その後、満足であった場合には、前記IDデータと前記補正データを対にして前記補正データ記憶部67に保存される(ステップS14)。一方、ステップS8で、補正を行わない場合は現在の補正データで画像信号の補正を行い続ける記憶の更新は行わない(ステップS15)。
【0045】
さらに、前記ステップS6において過去の補正データを反映させてHDMI出力させるときの詳細な動作を図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0046】
補正データに記憶されている補正データを用いる場合には、まず、テレビから取得された設定データと、前記設定データに記憶されているIDデータと対応する過去の設定データが一致しているかどうかの判断が行われる(ステップT1)。異なっている場合には、前記設定変更推奨部69が、テレビ画面に現在の設定値を過去の設定値に変更するかどうかの表示を行う(ステップT2)。その後ユーザにより変更するかどうかの選択が行われ(ステップT3)、変更する場合にはHDMI出力によりテレビを撮像装置から操作して設定値を変更する(ステップT4)。そして、画像信号を過去にすでに取得してある補正データに基づいて補正して外部出力する(ステップT5)。
【0047】
<本実施形態の効果>
【0048】
このように本実施形態の撮像装置及び画像出力方法によれば、接続されるテレビTを識別するとともに、過去にそのテレビで補正データを作成している場合には、その補正データを用いて画像信号を外部出力するように構成してあるので、テレビTと接続するたびに補正データを作成するためにユーザがテレビ画面を撮像する必要がない。従って、ほとんど手間をかけることなく、テレビ画面の設営したのと略同じ画質で外部出力することが容易にできるようになる。
【0049】
その他の実施形態について説明する。
【0050】
例えば複数の異なる撮像装置間で前記補正データ記憶部を共有する、すなわち、記録メディアや、通信により共有することによってテレビ画面を撮影しなくても良いようにしてもかまわない。
【0051】
前記実施形態では、図11に示すようにIDデータごとに補正データ、設定データを記憶するように構成していたが、図12に示すようにIDデータに対して複数の異なる設定データごとに補正データを作成してもかまわない。このようにすれば、表示装置の設定を変更することなく、最良の画質で外部出力することも可能である。
【0052】
前記表示装置はテレビに限られるものではなく、例えば、パソコンなどのモニタなどであってもかまわない。HDMI出力に限られず、IDデータや設定データを表示装置から取得できる接続であれば構わない。
【0053】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な変形や、実施形態の組み合わせを行っても良いことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0054】
100・・・撮像装置
39 ・・・入出力装置
61 ・・・画像信号出力部
62 ・・・基準画像記憶部
63 ・・・撮影基準画像記憶部
64 ・・・補正データ算出部
65 ・・・画像信号補正部
66 ・・・表示装置データ取得部
67 ・・・補正データ記憶部
68 ・・・設定データ記憶部
69 ・・・設定値変更推奨部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と接続された際に各種信号の入出力が可能な入出力機構と、内部に記憶されている画像を画像信号として、前記表示装置に出力する画像信号出力部と、を備えた撮像装置であって、
基準画像を記憶する基準画像記憶部と、
前記表示装置に表示された基準画像を撮像した撮像基準画像を記憶する撮像基準画像記憶部と、
前記基準画像と前記撮像基準画像とを比較して、前記表示装置に表示されている画像と、内部に記憶されている画像との画質の差が小さくなるように前記画像信号を補正するための補正データを算出する補正データ算出部と、
前記補正データに基づいて、前記画像信号を補正する画像信号補正部と、
前記入出力機構を介して、少なくとも前記表示装置を識別するためのIDデータを取得する表示装置データ取得部と、
前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続された際に算出された前記補正データとを対にして記憶する補正データ記憶部と、を備え、
前記表示装置と接続された際に、前記表示装置データ取得部が取得したIDデータと、前記補正データ記憶部に記憶されているIDデータとが一致した場合には、前記画像信号補正部が、一致したIDデータに対応させて前記補正データ記憶部に記憶されている補正データを用いて前記画像信号を補正することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正データ記憶部が、異なる撮像装置間で共有可能に構成された請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示装置データ取得部が、前記表示装置から少なくとも明るさ設定値を含む設定データを更に取得し、
前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続され、前記補正データが算出された時点での前記表示装置の設定データと、を対にして記憶する記憶する設定データ記憶部と、
前記表示装置データ取得部が取得したIDデータと、前記設定データ記憶部に記憶されているIDデータとが一致した場合において、前記表示装置の現在の設定データと、前記設定データ記憶部に記憶されている過去の設定データとが異なっている場合には、ユーザに対して表示装置の現在の設定値を過去の設定データに対応する設定値へと変更するように促す表示を前記表示装置に表示させる設定変更推奨部と、を更に備えた請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示装置データ取得部が、前記表示装置から少なくとも明るさ設定値を含む設定データを更に取得し、
前記補正データ記憶部が、前記IDデータと、前記IDデータに対応する複数の異なる設定データと、各設定データに対応する補正データとを記憶する請求項1、2又は3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記入出力機構が、HDMI接続を用いたものである請求項1、2、3又は4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記補正データ算出部が、前記表示装置に表示される画像の画質が、撮像装置のモニタに表示される画像の画質と略同じになるように前記補正データを算出する請求項1、2、3、4又は5記載の撮像装置。
【請求項7】
表示装置と接続された際に各種信号の入出力が可能な入出力機構と、内部に記憶されている画像を画像信号として、前記表示装置に出力する画像信号出力部と、を備えた撮像装置における画像出力方法であって、
基準画像を記憶する基準画像記憶ステップと、
前記表示装置に表示された基準画像を撮像した撮像基準画像を記憶する撮像基準画像記憶ステップと、
前記基準画像と前記撮像基準画像とを比較して、前記表示装置に表示されている画像と、内部に記憶されている画像との画質の差が小さくなるように前記画像信号を補正するための補正データを算出する補正データ算出ステップと、
前記補正データに基づいて、前記画像信号を補正する画像信号補正ステップと、
前記入出力機構を介して、少なくとも前記表示装置を識別するためのIDデータを取得する表示装置データ取得ステップと、
前記IDデータと、当該IDデータに対応する表示装置と接続された際に算出された前記補正データとを対にして記憶する補正データ記憶ステップと、を備え、
前記撮像装置が前記表示装置と接続された際に、前記表示装置データ取得ステップにおいて取得したIDデータと、前記補正データ記憶ステップにおいて過去に記憶したIDデータとが一致した場合には、前記画像信号補正ステップにおいて、一致したIDデータに対応させて前記補正データ記憶ステップにおいて記憶した過去の補正データを用いて前記画像信号を補正することを特徴とする画像出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−134698(P2012−134698A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284093(P2010−284093)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】