説明

撮像装置

【課題】 撮像の高品位化及び小型化を両立して達成することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】 撮像レンズを介して結像した被写体の像を受光する撮像素子を有し、前記被写体を撮像する撮像装置であって、前記撮像レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記被写体からの光のうち、所定の偏光を有する光を分離する第1の光学ローパスフィルターと、前記第1の光学ローパスフィルターの、前記被写体側の光路中に挿脱可能に配置され、前記被写体からの光のうち所定の偏光を有する光を遮断する第1の遮断手段とを有することを特徴とする撮像装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、撮像装置に係り、特に、撮像レンズと撮像素子との間に光学ローパスフィルターを備えた撮像装置に関する。本発明は、例えば、デジタル一眼レフカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、テレビカメラ等の撮像装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラやビデオカメラなどの撮像装置の普及に伴って、かかる撮像装置には撮像の高品位化及び小型化がますます要求されるようになってきている。特に、撮像装置の一例であるデジタルカメラは、例えば、撮像した画像をその場ですぐに確認することができる、不要な画像は消去して何度でも撮像することができる、撮像した画像をパソコンなどに容易に取り込み、保存などすることができるなど、マルチメディア時代に適した製品として注目されている。
【0003】
撮像素子を利用したデジタルカメラは、画素及びカラーフィルターを規則的に配置しているため、被写体がカラーフィルターの周期にマッチングした周期パターンを有すると、偽色を発生することが知られている。偽色とは、カラーフィルターの周期パターンと被写体像の周期パターンとのモアレであり、色のないところに色付いたモアレ状パターン(モアレ縞)が出現するため、特に、芸術写真や商品撮影において、その違和感が嫌われる。
【0004】
従来のデジタルカメラでは、偽色を改善するために、撮像光学系と撮像素子との間に光学ローパスフィルターを組み込んでいる。光学ローパスフィルターは、入射する光線を空間的に光路が離間した常光線と異常光線とに分離し、偽色の発生を抑制する。一方、光学ローパスフィルターは、撮像素子のナイキスト周波数でMTF(Modulation Transfer Function)がゼロとなるように像ズレ量を選んで像をぼかしているため、ナイキスト周波数近傍の周波数及び低周波数においてMTFを低下させ、解像力及びコントラストの低下した画像を生じてしまうという欠点を有する。つまり、デジタルカメラの偽色は、カラーフィルターの周期にマッチングする周期パターンを有する被写体のみに発生するため、そのような周期パターンを有さない(即ち、偽色の発生がない)被写体には、光学ローパスフィルターが不要となるばかりでなく、解像力及びコントラストの低下の悪影響のみが残ることになる。
【0005】
このようなことから、光学ローパスフィルターを取り外し可能に、カメラのマウント付近に設けたデジタル一眼レフカメラが市場に登場している。また、光学ローパスフィルターを撮像光路中に挿入又は退避可能に構成し、光学的ローパス効果を可変としたデジタルカメラも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−322589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光学的ローパス効果を可変とする(即ち、光学ローパスフィルターの使用又は未使用を切り替え可能な)従来のデジタルカメラは、近年要求されている小型化を十分に達成することができなくなってきた。これは、光学ローパスフィルターは、一般には、複屈折性を有する結晶(結晶板)で構成され、更に、板厚も厚く、折り曲げたりすることができないために、光学ローパスフィルターを撮像光路中に挿入又は退避可能にする機構が大型化してしまうからである。
【0007】
そこで、本発明は、撮像の高品位化及び小型化を両立して達成することができる撮像装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての撮像装置は、撮像レンズを介して結像した被写体の像を受光する撮像素子を有し、前記被写体を撮像する撮像装置であって、前記撮像レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記被写体からの光のうち、所定の偏光を有する光を分離する第1の光学ローパスフィルターと、前記第1の光学ローパスフィルターの、前記被写体側の撮像光路中に挿脱可能に配置され、前記被写体からの光のうち所定の偏光を有する光を遮断する第1の遮断手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像の高品位化及び小型化を両立して達成することができる撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての撮像装置について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の撮像装置1の構成を示す概略断面図である。
【0012】
撮像装置1は、被写体からの光を、撮像レンズを介して撮像素子に結像し、被写体を撮像する撮像装置であり、本実施形態では、デジタル一眼レフカメラで具現化される。
【0013】
撮像装置1は、図1に示すように、撮像レンズ10と、カメラ本体20と、回転ミラー30と、撮像素子40と、ファインダー光学系50と、光学ローパスユニット100とを有する。
【0014】
撮像レンズ10は、交換型の撮像レンズであり、焦点調節レンズを含む撮像光学系を備えている。カメラ本体20は、後述する回転ミラー30と、撮像素子40と、ファインダー光学系50と、光学ローパスユニット100とを収納し、マウント部22を介して撮像レンズ10を着脱可能とする。
【0015】
回転ミラー30は、撮像レンズ10を透過した光(光像)を反射し、後述する焦点板52に導光する。回転ミラー30は、撮像光路上への挿脱が可能なように構成され、ファインダー観察時には撮像光路上の所定の位置に配置され、撮影時には撮像光路外に退避する。
【0016】
撮像素子40は、規則的に配列された画素及びカラーフィルターを有し、撮像レンズ10により結像される被写体からの光を、後述する光学ローパスユニット100を介して受光し、画像信号に変換する(光電変換)機能を有する。撮像素子40は、例えば、受光した光を画素毎に電気信号に変換し、その光量に応じた電荷をそれぞれ蓄積して、その電荷を読み出すタイプのライン(1次元)センサーやエリア(2次元)センサーなどで構成される。なお、撮像素子40からの出力信号は、図示しない画像処理回路にて所定の処理が施されて画像データとなり、かかる画像データは図示しないメモリースティック等の記憶媒体に記憶される。
【0017】
ファインダー光学系50は、撮像する被写体を観察するための光学系であり、本実施形態では、焦点板52と、ペンタプリズム54と、接眼レンズ56とを有する。換言すれば、ファインダー光学系50は、撮像される被写体の画像を擬似的にユーザーに提供する。
【0018】
焦点板52は、回転ミラー30で反射された撮像レンズ10からの光(光像)を拡散してペンタプリズム54に射出する。ペンタプリズム54は、互いに45度の2つの反射面と、入射光と射出光に直角の2つの屈折面を含み、焦点板52で拡散された光を反射し、接眼レンズ54に導光する。接眼レンズ54は、アイピースとも呼ばれ、ファインダー光学系50において、最終的に像を結ぶ機能を有する。接眼レンズ54は、例えば、光像を拡大する。
【0019】
光学ローパスユニット100は、図1に示すように、光学ローパスフィルター110と、偏光フィルター120とを有し、撮像素子40のナイキスト周波数でMTFがゼロとなるように像ズレ量を選んで被写体像(撮像レンズ10を透過した光)をぼかした状態で撮像素子40に結像させる(光学的ローパス効果)。但し、光学ローパスユニット100は、常に光学的ローパス効果を有するのではなく、後述するように、被写体に応じて光学的ローパス効果を可変とする(即ち、光学的ローパス効果を有する又は有さない)構成となっている。なお、以下では、光学ローパスユニット100が光学的ローパス効果を有する状態を「光学的ローパス効果ありの状態」、光学ローパスユニット100が光学的ローパス効果を有さない状態を「光学的ローパス効果なしの状態」と称する。
【0020】
光学ローパスフィルター110は、撮像レンズ10から撮像素子40に至る撮像光路中に配置され、撮像レンズ10から入射する光のうち、所定の偏光を有する光を空間的に光路が離間した常光線と異常光線とに分離して射出する。光学ローパスフィルター110の分離幅は、撮像素子40の画素配列ピッチに応じた寸法であり、被写体の画素配列ピッチに応じた所定の空間周波数成分を減衰させて、撮像素子40の光電変換面に像を形成する。換言すれば、光学ローパスフィルター110は、ある特定の空間周波数の像(本実施形態では、撮像素子40のナイキスト周波数近傍の周波数を有する光)をぼかす機能を有する。
【0021】
光学ローパスフィルター110は、本実施形態では、複屈折性を有する結晶から構成される。なお、光学ローパスフィルター110は、構成する結晶の結晶構造によって定まる光学軸を含む平面内の偏光(例えば、光学軸に平行な偏光や垂直な偏光)を分離することはできない。かかる性質を利用することにより、後述する偏光フィルター120は、光学ローパスフィルターの光学的ローパス効果をキャンセルすることができる。
【0022】
偏光フィルター120は、図1(a)及び図1(b)に示すように、光学ローパスフィルター110の被処理体側の撮像光路中に挿脱可能に配置され、撮像レンズ10から入射する光のうち、所定の偏光を有する光を遮断する。なお、図1(a)は、撮像光路外に偏光フィルター120を退避させた状態を示し、図1(b)は、撮像光路中に偏光フィルター120が配置された状態を示している。偏光フィルター120は、光学ローパスフィルター110で分離される所定の偏光を有する光を遮断し、光学ローパスフィルター110に入射させないため、光学ローパスフィルター110を射出する光は、分離されることなく射出される。換言すれば、偏光フィルター120を撮像光路中に配置することで、光学ローパスフィルター110を撮像光路外に退避させた場合と同様の効果を得ることができる。即ち、偏光フィルター120を撮像光路中に配置したり、撮像光路外に退避させたりすることにより、光学ローパスユニット100の光学的ローパス効果ありの状態と光学的ローパス効果なしの状態を切り替えることができる。なお、偏光フィルター120は、光学ローパスフィルター110と比べて、薄く、且つ、軽量に構成することが可能である。従って、偏光フィルター120を撮像光路中に挿脱可能にする機構は、光学ローパスフィルター110を撮像光路中に挿脱可能にする機構よりも小さく構成することが可能であり、撮像装置1の小型化に寄与する。
【0023】
以下、光学ローパスユニット100を具体的に説明する。図2は、光学ローパスユニット100の構成を示す概略斜視図であって、図2(a)は偏光フィルター120が撮像光路外に退避した場合、図2(b)は偏光フィルター120が撮像光路上に配置された場合を示している。図2において、撮像素子40はラインセンサーであり、光学ローパスフィルター110は矢印A方向に光学軸を有する結晶から構成され、偏光フィルター120は矢印A方向に垂直な方向(矢印B方向)の偏光を有する光のみを透過する(即ち、矢印A方向に平行な偏光を有する光を遮断する)偏光フィルターであるとする。
【0024】
図2(a)を参照するに、偏光フィルター120が撮像光路外に退避しており、光学ローパスユニット100は光学的ローパス効果ありの状態である。この状態では、光学的ローパス効果が基準の状態である。従って、撮像素子40のカラーフィルターの周期にマッチングする周期パターンを有する(即ち、偽色の発生がある)被写体であっても、偽色の発生を抑えることができ、撮像の高品位化を図ることができる。但し、ナイキスト周波数近傍の周波数及び低周波数においてMTFを低下させ、解像力及びコントラストを低下させてしまう。
【0025】
そこで、撮像素子40のカラーフィルターの周期にマッチングする周期パターンを有さない(即ち、偽色の発生がない)被写体の場合には、図2(b)に示すように、偏光フィルター120を光学ローパスフィルター110の前段の撮像光路上に配置し、光学ローパスユニット100を光学的ローパス効果なしの状態にする。この状態では、光学ローパスフィルター110で分離される矢印A方向の偏光を有する光が光学ローパスフィルター110に入射しないため、矢印B方向の偏光を有する光がそのまま光学ローパスフィルター110から射出する。これにより、偽色の発生がない被写体の場合には、撮像レンズ10の像性能を損なうことなく、被写体像を撮像素子40で撮像することができる。
【0026】
このように、偽色が発生する被写体の場合には、偏光フィルター120を撮像光路外に退避させて光学的ローパス効果ありの状態にし、偽色を光学的に除去した画像を撮像し、偽色が発生しない被写体の場合には、偏光フィルター120を撮像光路上に配置して光学的ローパス効果なしの状態にし、高解像でコントラストの高い画像を撮像することができる。従って、撮像装置1は、常に最良の画像を撮像することができる。
【0027】
なお、撮像素子40がエリアセンサーの場合には、図3に示すように、2つの光学ローパスフィルター110及び130と、2つの偏光フィルター120及び140が必要となる。これは、光学ローパスフィルター110を一軸結晶で構成する場合、光線を2つにしか分離することができず、一方向(1次元)の光学的ローパス効果しか期待できないからである。ここで、図3は、光学ローパスユニット100の構成を示す概略斜視図であって、図3(a)は偏光フィルター120及び140が撮像光路外に退避した場合、図3(b)は偏光フィルター120及び140が撮像光路上に配置された場合を示している。
【0028】
図3において、撮像装置40はエリアセンサーであり、光学ローパスフィルター110は矢印A方向に光学軸を有する結晶から構成され、偏光フィルター120は矢印A方向に垂直な方向(矢印B方向)の偏光を有する光のみを透過する(即ち、矢印A方向に平行な偏光を有する光を遮断する)偏光フィルターである。また、光学ローパスフィルター130は、光学ローパスフィルター110の光学軸とは異なる矢印α方向に光学軸を有する結晶から構成され、偏光フィルター140は矢印α方向に垂直な方向(矢印β方向)の偏光を有する光を透過し、その他の方向の偏光は弱めるか遮断する(即ち、矢印α方向に平行な偏光を有する光を大きく弱める)偏光フィルターである。2つの光学ローパスフィルター110及び130の光学軸の成す角度が0°と90°の間で0°と90°以外であれば4点分離する。通常、分離の希望特性によって2つの光学ローパスフィルターの光学軸のなす角度として、20°〜70°の間の角度が使用される。
【0029】
光学ローパスフィルター130は、光学ローパスフィルター110の後段に配置され、偏光フィルター140は、光学ローパスフィルター130の撮像素子40側の撮像光路上に挿脱可能に配置される。偏光フィルター140は、光学ローパスフィルター130で分離された光のうち、所定の偏光とは異なる偏光(所定の偏光と直交する偏光)を有する光を遮断する。
【0030】
図3(a)を参照するに、偏光フィルター120及び140が撮像光路外に退避しており、光学ローパスユニット100は光学的ローパス効果ありの状態である。この状態では、光学的ローパス効果が基準の状態である。従って、偽色が発生する被写体であっても、偽色の発生を抑えることができ、撮像の高品位化を図ることができる。但し、ナイキスト周波数近傍の周波数及び低周波数においてMTFを低下させ、解像力及びコントラストを低下させてしまう。
【0031】
そこで、偽色の発生がない被写体の場合には、図3(b)に示すように、偏光フィルター120を光学ローパスフィルター110の前段、偏光フィルター140を光学ローパスフィルター130の後段の撮像光路上に配置し、光学ローパスユニット100を光学的ローパス効果なしの状態にする。この状態では、光学ローパスフィルター110で分離される矢印A方向の偏光を有する光が光学ローパスフィルター110に入射しないため、矢印B方向の偏光を有する光がそのまま光学ローパスフィルター110から射出する。光学ローパスフィルター110から射出した矢印B方向の偏光を有する光は、光学ローパスフィルター130によって分離されるが、偏光フィルター140によって矢印B方向の偏光を有する光が大幅に強度が弱められる。これにより、偽色の発生がない被写体の場合には、撮像レンズ10の像性能を損なうことが少なく、被写体像を撮像素子40で撮像することができる。
【0032】
また、光学ローパスフィルター110の光学軸が、図4に示すように、1つの軸に対してしか傾いていない場合には、光学ローパスフィルター110で分離された所定の偏光を有する光が、光学ローパスフィルター130で分離されない(即ち、光学ローパスフィルター130の光学軸に対して垂直になる)ため、光学ローパスフィルター110と光学ローパスフィルター130との間に、円偏光に変換するための位相板(λ/4板)150が必要となる。位相板150は、光学軸が表面に対して平行に構成されるため(矢印X方向)、入射される光の分離は行わない。また、位相板150は、光学ローパスフィルター110が分離する光(即ち、常光線と異常光線)の位相差がλ/4となるような厚さとなるように設定されているため、矢印X方向の光学軸に対して45度傾けた偏光を有する光を円偏光に変換する。ここで、図4は、光学ローパスユニット100の構成を示す概略斜視図であって、図4(a)は偏光フィルター120及び140が撮像光路外に退避した場合、図4(b)は偏光フィルター120及び140が撮像光路上に配置された場合を示している。
【0033】
図4(a)を参照するに、偏光フィルター120及び140が撮像光路外に退避しており、光学ローパスユニット100は光学的ローパス効果ありの状態である。この状態では、光学的ローパス効果が基準の状態である。従って、偽色が発生する被写体であっても、偽色の発生を抑えることができ、撮像の高品位化を図ることができる。但し、ナイキスト周波数近傍の周波数及び低周波数においてMTFを低下させ、解像力及びコントラストを低下させてしまう。
【0034】
そこで、偽色の発生がない被写体の場合には、図4(b)に示すように、偏光フィルター120を光学ローパスフィルター110の前段、偏光フィルター140を光学ローパスフィルター130の後段の撮像光路上に配置し、光学ローパスユニット100を光学的ローパス効果なしの状態にする。この状態では、光学ローパスフィルター110で分離される矢印A方向の偏光を有する光が光学ローパスフィルター110に入射しないため、矢印B方向の偏光を有する光がそのまま光学ローパスフィルター110から射出する。光学ローパスフィルター110から射出した矢印B方向の偏光を有する光は、位相板150によって円偏光に変換され、更に、光学ローパスフィルター130によって分離されるが、偏光フィルター140によって矢印B方向の偏光を有する光が遮断される。これにより、偽色の発生がない被写体の場合には、撮像レンズ10の像性能を損なうことなく、被写体像を撮像素子40で撮像することができる。
【0035】
なお、図5に示すように、位相板150を液晶160に置換して、光学ローパスユニット100を構成することも可能である。液晶160は、光学ローパスフィルター110と光学フィルター130との間に配置され(本実施形態では、光学ローパスフィルター110、液晶160及び光学ローパスフィルター130が一体的に構成している)、光学ローパスフィルター110で分離された所定の偏光を有する光を、光学ローパスフィルター130で分離されるように、円偏光に変換する機能を有する。ここで、図5は、光学ローパスユニット100の構成を示す概略斜視図であって、図5(a)は偏光フィルター120及び140が撮像光路外に退避した場合、図5(b)は偏光フィルター120及び140が撮像光路上に配置された場合を示している。
【0036】
図5(a)を参照するに、偏光フィルター120及び140が撮像光路外に退避しており、光学ローパスユニット100は光学的ローパス効果ありの状態である。この状態では、光学的ローパス効果が基準の状態である。従って、偽色が発生する被写体であっても、偽色の発生を抑えることができ、撮像の高品位化を図ることができる。但し、ナイキスト周波数近傍の周波数及び低周波数においてMTFを低下させ、解像力及びコントラストを低下させてしまう。
【0037】
そこで、偽色の発生がない被写体の場合には、図5(b)に示すように、偏光フィルター120を光学ローパスフィルター110の前段、偏光フィルター140を光学ローパスフィルター130の後段の撮像光路上に配置し、光学ローパスユニット100を光学的ローパス効果なしの状態にする。この状態では、光学ローパスフィルター110で分離される矢印A方向の偏光を有する光が光学ローパスフィルター110に入射しないため、矢印B方向の偏光を有する光がそのまま光学ローパスフィルター110から射出する。光学ローパスフィルター110から射出した矢印B方向の偏光を有する光は、液晶160によって円偏光に変換され、更に、光学ローパスフィルター130によって分離されるが、偏光フィルター140によって矢印B方向の偏光を有する光が遮断される。これにより、偽色の発生がない被写体の場合には、撮像レンズ10の像性能を損なうことなく、被写体像を撮像素子40で撮像することができる。
【0038】
撮像装置1の動作について説明する。ファンインダー観察時において、撮像レンズ10を透過した光(光像)は、回転ミラー30で反射され、焦点板52に結像し、ペンタプリズム54及び接眼レンズ56を介して観察される。
【0039】
一方、撮像時において、回転ミラー20は、撮像光路上から退避し、撮像レンズ10を透過した光は、光学ローパスユニット100を介して、撮像素子40で撮像される。撮像装置1が使用する光学ユニット100は、偏光フィルター120を撮像光路上に挿脱することにより、光学的ローパス効果の有無を切り替えることができるため、偽色が発生する被写体の場合には、光学的ローパス効果ありの状態にして偽色を光学的に除去した画像を撮像し、偽色が発生しない被写体の場合には、光学的ローパス効果なしの状態にして高解像でコントラストの高い画像を撮像することができる。なお、被写体が偽色を発生するかどうかの判断は、簡単なアルゴリズムで可能であり、当業界で周知のいかなる技術をも適用することが可能であるため、ここでの詳細な説明は省略する。また、偏光フィルター120を撮像光路上に挿脱する機構は、大型の構成を必要としないため、撮像装置1の小型化も十分に達成することができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び偏光が可能である。例えば、光学ローパスユニットの光学的ローパス効果の切り替え(可変)は、偏光フィルターの撮像光路上への挿脱に限らず、偏光フィルターを回転させることによって行うこともできる。また、電気的複屈折効果を利用して電気的に光学的ローパス効果を可変とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一側面としての撮像装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す光学ローパスユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す光学ローパスユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図4】図1に示す光学ローパスユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図5】図1に示す光学ローパスユニットの構成を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 撮像装置
10 撮像レンズ
20 カメラ本体
30 回転ミラー
40 撮像素子
50 ファインダー光学系
52 焦点板
54 ペンタプリズム
56 接眼レンズ
100 光学ローパスユニット
110及び130 光学ローパスフィルター
120及び140 偏光フィルター
150 位相板
160 液晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズを介して結像した被写体の像を受光する撮像素子を有し、前記被写体を撮像する撮像装置であって、
前記撮像レンズと前記撮像素子との間に配置され、前記被写体からの光のうち、所定の偏光を有する光を分離する第1の光学ローパスフィルターと、
前記第1の光学ローパスフィルターの、前記被写体側の光路中に挿脱可能に配置され、前記被写体からの光のうち所定の偏光を有する光を遮断する第1の遮断手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1のローパスフィルターを通過した光のうち前記所定の偏光とは異なる偏光を有する光を分離する第2の光学ローパスフィルターと、
前記第2の光学ローパスフィルターの、前記撮像素子側の光路中に挿脱可能に配置され、前記第2のローパスフィルターを通過した光のうち前記所定の偏光とは異なる偏光を有する光を遮断する第2の遮断手段とを更に有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の遮断手段は、前記第1の光学ローパスフィルターの光学軸と平行な偏光を有する光を遮断することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の遮断手段は、前記第2の光学ローパスフィルターの光学軸と平行な偏光を有する光を遮断することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の遮断手段及び/又は前記第2の遮断手段は、偏光フィルターであることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子は、周期的に配列された画素を有し、
前記第1の遮断手段は、前記被写体が前記周期的に配列された画素と略一致する周期を有する場合に前記撮像光路中に配置され、前記被写体が前記周期的に配列された画素と略一致する周期を有さない場合に前記撮像光路中から退避することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−180076(P2006−180076A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369544(P2004−369544)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】