説明

撮像装置

【課題】装置の小型化と、撮影機能の拡大を両立することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、被写界からの撮影光線を反射光学素子により略90度方向に折り曲げて撮像素子6に導く折り曲げ光学系で構成された鏡筒全体ユニット53と、カメラ本体52とから構成されている。そして、鏡筒全体ユニット53は、カメラ本体52の長手方向にスライド可能に、カメラ本体52に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒機構を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の撮像装置に関しては、特許文献1に開示されている以下の技術がある。
【0003】
レンズの中心部分に複数の球状の支持部を形成し、それに対応する同様の球状の受部により上記レンズを回動可能に支持するとともに、ピンと溝を用いて光軸周りの回動を規制する。そして、鏡筒部に形成されたパン/チルト機構にズーム/フォーカス用のモータの回転力を選択的に供給することによって、パン/チルト機能を実行する。
【特許文献1】特開平8−292357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来例においては、撮影レンズがパンニング撮影を行う際、撮像レンズ支持部材の影響により、その撮影可能範囲は自ずと制限されると言う問題があった。
【0005】
また、撮影レンズは、撮影光線が撮影レンズを通り、撮像素子に導かれる一般の鏡筒である。そのため、この鏡筒全体をパンチルト撮影のために回転させることは、装置の大型化を招くとともに、いわゆる監視カメラとしての用途しか使い道が無く、撮影者が手に持って撮影を行うビデオカメラへの応用には多くの問題が残ると言う欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、装置の小型化と、撮影機能の拡大を両立することができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像装置は、被写界からの撮影光線を折り曲げて撮像素子に導く折り曲げ光学系で構成された鏡筒ユニットと、カメラ本体とから構成される撮像装置において、前記鏡筒ユニットは、その長手方向に前記カメラ本体に対してスライド可能に、前記カメラ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の撮像装置は、被写界からの撮影光線を光学素子により折り曲げて撮像素子に導く折り曲げ光学系で構成された鏡筒ユニットと、カメラ本体とから構成される撮像装置において、前記光学素子を回転駆動することによるパンチルト動作により、像ぶれ補正を行う機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の撮像装置は、被写界からの撮影光線を折り曲げて撮像素子に導く折り曲げ光学系で構成された鏡筒ユニットと、カメラ本体とから構成されている。そして、鏡筒ユニットは、その長手方向に前記カメラ本体に対してスライド可能に、カメラ本体に取り付けられている。このように、鏡筒ユニットがポップアップするので、パンニング撮影時に全方位撮影が可能となる。従って、装置の小型化と、撮影機能の拡大を両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の撮像装置における反射光学系の構成図である。
【0012】
図1において、対物レンズ1は、第一の光軸A上に位置する光学要素である。プリズム2は、第一の光軸Aを90度折り曲げて第二の光軸Bに導く反射要素である。該プリズム2には、対物レンズ1との間に位置する第一の接合レンズ3がプリズム1の入射平面部2aに、また第二の接合レンズ4がプリズムの射出平面部2bにそれぞれ接着固定されている。撮影レンズ群5は、前記第二の光軸B上に配置されており、先方には撮像素子6がある。
【0013】
対物レンズ1を透過した撮影光は、第一の接合レンズ3を介してプリズム2に入射され、プリズム2の反射面2cでその光軸を90度折り曲げられて図中下方に進んでゆく。プリズム2の反射面2cにより反射された光は、その後、第二の接合レンズ4を透過し、更に撮影レンズ群5を通過した後、撮像素子6上に結像されることとなる。
【0014】
上記のような反射光学系において、例えば、監視カメラなどへの応用を考えたとき、いわゆるチルト撮影が必要となる。これは、撮影画界を上下に変化させて撮影を行うものである。
【0015】
図2は、チルト撮影を行うために図1のプリズムを回転させた際の撮影光軸の変化を説明する説明図である。
【0016】
図2において、プリズム2の反射面2cが実線の状態からθだけ傾き、破線で示す状態になったとき、第一の光軸Aは最初の実線状態で示した図中平行方向から2θ傾いた状態となる。このため、対物レンズ1も元の状態から2θ傾けて、対物レンズ光軸と被写体からの入射光軸の傾きを一致させることが必要となる。
【0017】
つまり、このような反射光学系においては、プリズム2をθ回転させた際、対物レンズ1を2θ回転させることが常に必要となってくる。
【0018】
本発明における反射光学系のチルト駆動に関して以下に説明する。
【0019】
プリズム2及び対物レンズ1が、先ず一体となり回転する。このときの回転中心は図1中、第二の光軸B上に位置し、第二の接合レンズ4のR面4aのR中心である点B4Rを支点としてθだけ遥動する。
【0020】
このとき、対物ンズ1はプリズム2と一体となりθだけ回転しているが、上記の通り第一の光軸Aは2θの傾きを生じているため、対物レンズ1の光軸の傾きを一致させるためには、更にθだけ対物レンズ1を回転させることが必要となる。
【0021】
このため、対物レンズ1は、上記のようにプリズム2と一体となり前記B4Rを支点として遥動する際、同時にプリズム2に対して光軸補正のための遥動を行う。このときの回転中心は第一の光軸A上に位置し、対物レンズ1のR面1aのR中心である点A1Rを支点としてプリズム2に対してθだけ遥動する。
【0022】
この結果、プリズム2がθだけ回転したとき、対物レンズ1は上記の通りプリズム2と一体でB4Rを回転中心としてθ回転すると同時に、更にプリズム2に対してA1Rを回転中心としてθだけ回転することで、合計2θの回転を行う。このことで、第一の光軸Aに生じる傾き2θに対して、対物レンズ1の光軸の傾きを一致させることができる。
【0023】
上記したように、プリズム2及び対物レンズ1の遥動動作により、入射光軸が2θ傾いた際のチルト動作が行われたこととなる。
【0024】
図3は、本発明の撮像装置におけるチルト駆動機構を示す分解斜視図である。
【0025】
図3において、対物レンズ1は、対物レンズホルダー7に組み込まれ保持される。プリズム2には、上記の通り、第一の接合レンズ3及び第二の接合レンズ4が接着固定されている。プリズム2はプリズムホルダー8に組み込まれ保持される。撮影レンズ群5は、撮影レンズホルダー9に組み込まれて保持される。
【0026】
チルト地板10は、撮影レンズホルダー9の4箇所のネジ穴9a(一箇所は図外)に図外のネジが四箇所の穴部10c(二箇所は図外)を介して固定されることで、撮影レンズホルダー9に取り付けられる。そして、その状態で、その内部に上記対物レンズ1を保持した対物レンズホルダー7及び、プリズム2を保持したプリズムホルダー8を遥動自在に支持する。
【0027】
チルト駆動レバー11には、その回動中心に二箇所の穴部11aが設けられている。チルト駆動レバー支持ピン(一個は図示せず)12は、組み込み時、チルト駆動レバー11の穴部11aに対して、相対回動自在に組み込まれるとともに、チルト地板10の二箇所の穴部10aに圧入される。このことで、チルト駆動レバー11をチルト地板10に回動自在に支持することを可能としている。
【0028】
チルトギア地板13には、公知のステッピングモータ14が図外のネジにより固定される。ピニオンギア15は、ステッピングモータの回転軸14aに圧入される。第一減速ギア16、第二減速ギア17は、それぞれチルトギア地板13の支軸13a及び13bに回転可能に軸支される。
【0029】
ステッピングモータ14の回転は、ピニオンギア15を介して、第一減速ギア16、第二減速ギア17へ伝達される。また、第二減速ギア17には、その回転をチルト駆動レバー11の被係合溝部11bに伝達し、チルト駆動レバー11を、支点11aを中心に回動駆動するための係合突部17aが一体で形成されている。
【0030】
チルトギア押さえ18は、チルトギア地板13に図外のネジにより固定され、ピニオンギア15、第一減速ギア16、第二減速ギア17をチルトギア地板13との間で回転可能に支持する。
【0031】
上記のようにして組み立てられた減速ギアユニットは、チルト地板10の二箇所の穴部10bを介して、図外のネジがチルトギア地板13の二箇所のネジ穴13cに螺合し、チルト地板10に固定保持される。尚、減速ギアユニットは、チルトギア地板13、ステッピングモータ14、ピニオンギア15、第一減速ギア16、第二減速ギア17、チルトギア押さえ18にて構成される。
【0032】
次に、上記構成において、対物レンズホルダー7及び、プリズムホルダー8のチルト駆動機構に関して説明する。
【0033】
カムピン19は、対物レンズホルダー7に形成された4ヶ所の係合穴7a(一箇所は図外)に圧入されるとともに、組み立て時、プリズムホルダー8に形成された二箇所のカム溝8aに摺動自在に支持される。カム溝8aは、対物レンズホルダー7、即ち、対物レンズ1が図1において説明したように、第一の光軸A上の回転中心A1Rを支点として回転することが可能な軌跡に設定されている。
【0034】
対物レンズホルダー駆動ピン20(一個は図外)は、対物レンズホルダー7の二箇所の係合穴7bに圧入される。対物レンズホルダー駆動ピン20もカムピン19と同じく、組み立て時、プリズムホルダー8に形成された二ヶ所のカム溝8a部に位置することになる。
【0035】
対物レンズホルダー駆動ピン20の被駆動軸部20aはカム溝8aに干渉しないようにカムピン19よりも径が小さく設定されている。更に、被駆動軸部20aは後述のように、組み立て時において、チルト駆動レバー11の対物レンズホルダー駆動カム溝11cと摺動自在に係合する。
【0036】
図4は、図3のチルト駆動機構において、組み立てが完了したプリズムユニットの状態を示す要部斜視図である。
【0037】
上記の構成により、対物レンズ1は、プリズム2に対して、第一の光軸A上に位置する回転中心A1R(図1参照)を支点として回転することが可能な状態となっていることが分かる。
【0038】
次に、図3において、カムピン21(一個は図外)は、プリズムホルダー8に形成された二ヶ所の嵌合穴8bに圧入されるとともに、組み立て時、チルト地板10に形成された二ヶ所のカム溝10dに摺動自在に支持される。
【0039】
カムピン22(一個は図外)は、同じくプリズムホルダー8に形成された二ヶ所の嵌合穴8cに圧入されるとともに、チルト地板10に形成された二ヶ所のカム溝10dと係合部22aが摺動自在に支持される。カムピン22には、係合部22aよりも径小の被駆動部22bが形成され、後述のように組み立て時においてチルト駆動レバー11のプリズムユニット駆動カム溝11dと摺動自在に係合することとなる。
【0040】
カム溝10dは、対物レンズ1を保持した対物レンズホルダー7及びプリズム2を保持するプリズムホルダー8を一体で、図1において説明したように、第二の光軸B上の回転中心B4Rを支点として回転させることが可能な軌跡に設定されている。
【0041】
図5は、図4のプリズムユニットに撮影レンズホルダーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0042】
対物レンズ1及び対物レンズホルダー7はプリズム4に対して、第一の光軸A上の回転中心A1Rを支点として回転可能である。それと同時に、対物レンズ1を保持した対物レンズホルダー7及びプリズム2を保持するプリズムホルダー8を一体で第二の光軸B上の回転中心B4Rを支点として回転させることが可能な構成となっていることが分かる。
【0043】
図6は、図3のチルト駆動機構の最終組み立て状態を示す斜視図である。
【0044】
図5の組み立て状態において、更に、チルト駆動レバー11がチルト地板10に対してチルトレバー支持ピン12で回動自在に固定されるとともに、減速ギアユニットがチルト地板10に取り付けられた状態を示している(チルトギア押さえ18は図示せず)。
【0045】
上記のように、対物レンズホルダー駆動カム溝11cが対物レンズホルダー駆動ピン20の被駆動軸部20aと摺動自在に係合するとともに、プリズムユニット駆動カム溝11dがカムピン22の被駆動部22bと摺動可能に係合している。
【0046】
また、チルト駆動レバー11の被係合溝部11bには、第二減速ギア17の係合突部17aが摺動可能に係合している。ステッピングモータ14の回転は、ピニオンギア15、及び第一減速ギア16を介して第二減速ギア17に伝達される。第二減速ギア17が回転すると、係合突部17aが係合溝部11bを上下方向に駆動する。この結果、チルト駆動レバー11はチルトレバー支持ピン12部を支点として回転することとなる。
【0047】
このとき、対物レンズホルダー駆動カム溝11c及び、プリズムユニット駆動カム溝11dが以下のように作用する。
【0048】
即ち、対物レンズ1を保持した対物レンズホルダー7及びプリズム2を保持するプリズムホルダー8を一体で第二の光軸B上の回転中心B4R(図1参照)を支点としてθだけ回転させる。そして同時に、対物レンズ1及び対物レンズホルダー7はプリズム4に対して、第一の光軸A上の回転中心A1R(図1参照)を支点として更にθだけ回転される。
【0049】
この結果、プリズム2がθだけ回転したとき、対物レンズ1は、上記の通りプリズムと一体でB4Rを回転中心としてθ回転すると同時に、更にプリズム2に対してA1Rを回転中心としてθだけ回転することで合計2θの回転を行う。この結果、第一の光軸Aに生じる傾き2θに対して、対物レンズ1の光軸の傾きを一致させることが可能となる。
【0050】
図7は、図6のチルト駆動機構により実現されるチルト動作の様子を示す斜視図である。
【0051】
図6に示された初期状態からステッピングモータ14が図中時計方向回転を始めると、ピニオンギア15も時計方向回転を始め、その回転が第一減速ギア16に伝達され、第一減速ギア16は図中反時計方向に回転する。更にこの回転は、第二減速ギア17に伝達されることで、第二減速ギア17は時計方向の回転を始める。
【0052】
この回転によりチルト駆動レバー11の被係合溝部11bには、第二減速ギア17の係合突部17aの作用により図中下方向に押圧力が加わることとなる。この結果、チルト駆動レバー11はチルトレバー支持ピン12部を支点として図中時計方向に回転を始める。
【0053】
チルト駆動レバー11の回転により、上記の通り、対物レンズ1を保持した対物レンズホルダー7及びプリズム2を保持するプリズムホルダー8が一体で第二の光軸B上の回転中心B4R(図1参照)を支点としてθだけ回転する。そして、同時に、対物レンズ1及び対物レンズホルダー7はプリズム4に対して、第一の光軸A上の回転中心A1R(図1参照)を支点として更にθだけ回転される。
【0054】
プリズム2がθだけ回転したとき、対物レンズ1は上記の通りプリズムと一体でB4Rを回転中心としてθ回転すると同時に、更にプリズム2に対してA1Rを回転中心としてθだけ回転することで合計2θの回転を行う。このことで、第一の光軸Aに生じる傾き2θに対して、対物レンズ1の光軸の傾きを一致させるような関係を保ちながら、図7に示される状態までチルト動作を行うこととなる。
【0055】
以上説明したチルト動作は、ステッピングモータ14が図6中、時計方向に回転した際、結果として対物レンズ1を保持する対物レンズホルダー7が図6中、時計方向に回転しチルトする様子を説明した。
【0056】
逆にステッピングモータ14が図6中反時計方向に回転したときは、上記した各部の動きが逆となり、結果として対物レンズ1を保持する対物レンズホルダー7は図6中、反時計方向に回転してチルトすることとなるが、その詳細説明は省略する。
【0057】
図8は、図6のチルト機構が搭載されるとともに、パンニング駆動用の駆動機構を内包する鏡筒ユニットの要部斜視図である。
【0058】
図8において、CCDホルダー23は、鏡枠の一部を構成し、撮像素子であるCCD24が図1の反射光学系の結像面に取り付けられるとともに、後述する鏡筒構成部品がその内部に配置されている。CCDホルダー23のCCD取り付け部と反対側には、上記したチルト駆動機構がCCDホルダー23のフランジ部23aに図外のねじ等により固定される。
【0059】
2群ホルダー25は、撮影レンズ群5の一部を構成する2群レンズを内包する。2群ホルダー25は、CCDホルダー23に光軸に沿って固定されたガイドバー26に摺動自在に支持されるとともに、もう一つのガイドバー27によってガイドバー26周りの回転を規制されている。
【0060】
2群ホルダー25には、公知のラック28が取り付けられている。ステッピングモータ29は、2群ホルダー25を光軸に沿って駆動するためのものである。その出力軸には公知のリードスクリュー30が同軸上に固定されている。一方、ラック28とリードスクリュー30のネジの噛み合っている。これらにより、リードスクリュー30の回転に伴って2群ホルダー25を光軸に沿って進退させることとなる。2群レンズは撮影光学系の変倍機能を有する、いわゆるバリエータレンズである。
【0061】
4群ホルダー31は、撮影レンズ群5の一部を構成する4群レンズを内包する。4群ホルダー31も、2本のガイドバー26、27によって、光軸方向摺動自在に支持されるとともに、図外のラックが取り付けられている。
【0062】
2群ホルダー25の場合と同じく、ステッピングモータ32の出力が、リードスクリュー30に伝達され、ラック28を駆動することで、4群ホルダー31を光軸方向に沿って進退させることとなる。4群レンズは撮影光学系の補正機能を有する、いわゆるコンペンセータレンズである。
【0063】
アイリスユニット33は、撮影光の透過量を適宜規制する。アイリスユニット33には、パンニング駆動機構が取り付けられており、該駆動機構により鏡筒全体を光軸周りに回転させて、パンニング撮影を行うことを可能とする。
【0064】
図9は、図8におけるアイリスユニットの一部を構成するパンニング駆動機構を示す斜視図である。
【0065】
図9において、アイリス地板34は、図外のアイリス羽根が光軸開口部34aを適宜遮蔽して撮影光量を制御し、適性露光が得られるように構成されている。また、光軸開口部34aの奥に位置するレンズ受け部34cには撮影レンズ群5の一部を構成する3群レンズが固定されている。
【0066】
ステッピングモータ35は、アイリス地板34に図外のネジにより固定されている。ピニオンギア36は、ステッピングモータ35の出力軸35aに圧入される。第一減速ギア37は、アイリス地板34の軸34bに回転可能に軸支されるとともに、その大ギア部37aがピニオンギア36とギア結合される。
【0067】
中間地板38は、上記までの組立で、第一減速ギア37がアイリス地板34に組み込まれた後、アイリス地板34に図外のネジにより固定される。第二減速ギア39は、中間地板38の支軸38aに回転可能に軸支されるとともに、その大ギア部39aが第一減速ギアの小ギア部37bとギア結合される。
【0068】
第三減速ギア40は、中間地板38の支軸38bに回転可能に軸支されるとともに、その大ギア部40aが第二減速ギアの小ギア部39bとギア結合される。出力ギア41は、中間地板38の支軸38cに回転可能に軸支されるとともに、そのギア部41aが第三減速ギアの小ギア部40bにギア結合される。
【0069】
ギア押さえ42は、上記の各ギアが組み込まれた後、アイリス地板34に図外のネジにより固定されることで、各ギアを回転可能に保持し、減速ギアユニットを構成する。
【0070】
上記構成により、ステッピングモータ35の回転は、上記の各減速ギアに伝達され、最終的に出力ギア41へその回転力が拡大して伝達されることとなる。出力ギア41はその一部が後述のようにCCDホルダー23の外周面から突出するように配置されている。
【0071】
図10は、図8におけるアイリスユニットの一部を構成するパンニング駆動機構の組み立て状態を示す要部斜視図である。
【0072】
図10において、アクチュエータ47はアイリス駆動用のものである。アイリス羽根43、44は、アイリス地板34の支持軸34bにそれぞれ回転可能に軸支され、更にアクチュエータ47の駆動軸47aがそれぞれの被係合穴に摺動自在に係合する。そして、アクチュエータ47の回転を受けて、アイリス地板34の光軸開口部34aの開口量を適宜制御して、適正露光が得られるように構成されている。
【0073】
またこのとき、光の透過量を規制する半透過フィルムで構成されたNDフィルタ45は、アイリス地板34の支持軸34dに回転可能に軸支されるとともに、被係合穴45aがアクチュエータ47の駆動軸47aに摺動自在に係合する。NDフィルタ45は、アクチュエータ47の駆動に伴い、アイリス羽根43,44により形成された開口部に進退し、その透過光量を制御する。
【0074】
図11は、図8におけるCCDホルダーに組み込まれる構成部品を示す斜視図である。
【0075】
図11において、アイリスユニット33は、CCDホルダー23に図外のネジなどにより固定され、2群ホルダー25、4群ホルダー31は2本のガイドバー26、27により光軸方向摺動自在に支持されている。
【0076】
鏡筒全体をパンニングするため、ステッピングモータ35が回転すると、その駆動力が上記のように各減速ギアに伝達され、出力ギア41に伝達される。出力ギア41は、上記の通り、CCDホルダー23の外周面より一部が突出するように配置されている。
【0077】
このような構成により、パンニング駆動機構は2群ホルダー25や4群ホルダー31の作動に影響を与えることなく、CCDホルダー23内部に収まることが可能となり、小型のパンニング機構が実現されることとなる。
【0078】
図12は、図8の鏡筒ユニットを、第一支持部材に組み込んだ様子を示す斜視図である。
【0079】
第一支持部材60には内歯ギア60aが形成され、出力ギア41とギア結合するように成されており、出力ギア41の回転に伴って、鏡筒ユニット全体が光軸周りに回転する。この結果、撮影者が意図する構図になるようにパンニング撮影を行うことが可能となる。
【0080】
図13は、図8の鏡筒ユニット及び、第一支持部材、第二支持部材の分解斜視図である。
【0081】
図13において、第一支持部材60と同様に第二支持部材48にも、出力ギア41とギア結合可能なように内歯ギア48aが形成されている。第一支持部材60と第二支持部材48とが公知のネジ等により組み立てられると、鏡筒ユニットは、第一支持部材60及び第二支持部材48の中で回転可能に保持される。
【0082】
また、出力ギア41の回転に伴って、鏡筒ユニット全体が光軸周りに360度回転することが可能となるように構成される。チルトヘッドカバー49は、鏡筒ユニットのチルト機構部分に取り付けられ、外観部品として構成される。
【0083】
第一支持部材60には、二箇所の断面L字状のフック60bが形成されており、更にこのフック部60bには、球状突部60cが一体に形成されている。また、第二支持部材48にも同様のフック部48a及び球状突部48b(図14参照)が形成されている。
【0084】
図14は、本発明の撮像装置における鏡筒全体ユニットの斜視図である。
【0085】
図14において、第一支持部材60と同様に、第二支持部材48のフック部48aに、球状突部48bが形成されている様子が現されている。
【0086】
鏡筒ガイド部材50は、第一支持部材60及び第二支持部材48それぞれのフック部60b、48aが二箇所のガイド溝50a(第一支持部材60のフック部60aに対応する溝部は不図示)に相対摺動自在に保持される。該構成により鏡筒全体ユニット53は図中上下方向に移動自在となり、ポップアップ及びポップダウン動作が可能となる。
【0087】
図15は、図14の鏡筒全体ユニットに更に、板バネが固定された状態を示す斜視図である。
【0088】
図15において、板バネ51には二箇所の球状突部51a、51bが形成されており、この球状突部51a、51bの図中紙面裏側は凹部となっている。図15に示した状態は、鏡筒全体ユニット53がポップダウンした位置となっている。
【0089】
第二支持部材48の上側球状突部48b(図14参照)と、板バネ51に形成された球状突部51aの裏側凹部とが係合し、鏡筒全体ユニット53をポップダウン位置にクリック力を持って保持する。
【0090】
また、鏡筒全体ユニット53がポップアップすると、今度は第二支持部材48の下側球状突部48b(図14参照)と、板バネ51に形成された球状突部51bの裏側凹部とが係合し、鏡筒全体ユニット53をポップアップ位置にクリック力を持って保持する。
【0091】
更に、鏡筒ガイド部材50の紙面裏側には、板バネ51と鏡面対象形状を成したもう一つの板バネ(図外)が固定され、第一支持部材60に形成された球状突部60c(図13参照)と、図外の板バネに形成された球状突部裏側の凹部とが適宜係合する。そして、鏡筒全体ユニット53のポップアップ及びポップダウン位置でのクリック力による保持を行う。
【0092】
図16は、本発明の実施の形態に係る撮像装置において、鏡筒全体ユニットがポップアップ状態のときの斜視図である。
【0093】
図16において、鏡筒ガイド部材50がカメラ本体52に内包されるとともに、カメラ本体52には公知の映像記録媒体や、電装部品、液晶表示装置などが取り付けられている。図16において、鏡筒全体ユニット53はポップアップ状態となっており、パンニング及びチルティング駆動機構により被写界を選択的に撮影することが可能である。
【0094】
このとき、チルトヘッドカバー49に形成された、撮影光を取り込むための開口部49aは、パンニング撮影において、カメラ本体52に被写界を遮られること無く全方位の撮影を行うことが可能となる。開口部49aは、カメラ本体52の上面52aよりも上部に突出しているからである。
【0095】
この際、撮影者は、カメラ本体52を手持ちで撮影し、また、机の上や充電用クレードルに置いた状態で適宜パンチルト撮影を行うことができる。
【0096】
また、被写体の動きを自動的に判別して自動的に追尾する自動追尾撮影を行うことで、一家全員の映った家族団欒の風景を自動撮影することができる。更に、カメラからの撮像情報をインターネット経由で確認することで、留守宅の監視カメラなどへの応用も可能である。
【0097】
図17は、本発明の実施の形態に係る撮像装置において、鏡筒全体ユニットがポップダウン状態のときの斜視図である。
【0098】
図17において、撮影者はパンチルトを行わない通常の手持ちビデオ撮影を行うことが可能である。またこのとき、カメラ本体52に被写界が遮られない範囲で、手持ちのパンニング撮影を行い、また、チルト撮影、更には上記のパンチルト撮影機能を使って、手ブレを抑止するための防振機能を持たせた防振カメラを実現することも可能である。
【0099】
以上、本発明が適用されたパンニング駆動機構及びチルト駆動機構を有するパンチルトカメラに関する実施の形態の詳細を説明した。しかし、本発明は上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載された内容を逸脱しない範囲でどのような形態をとってもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の撮像装置における反射光学系の構成図である。
【図2】チルト撮影を行うために図1のプリズムを回転させた際の撮影光軸の変化を説明する説明図である。
【図3】本発明の撮像装置におけるチルト駆動機構を示す分解斜視図である。
【図4】図3のチルト駆動機構において、組み立てが完了したプリズムユニットの状態を示す要部斜視図である。
【図5】図4のプリズムユニットに撮影レンズホルダーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図3のチルト駆動機構の最終組み立て状態を示す斜視図である。
【図7】図6のチルト駆動機構により実現されるチルト動作の様子を示す斜視図である。
【図8】図6のチルト機構が搭載されるとともに、パンニング駆動用の駆動機構を内包する鏡筒ユニットの要部斜視図である。
【図9】図8におけるアイリスユニットの一部を構成するパンニング駆動機構を示す斜視図である。
【図10】図8におけるアイリスユニットの一部を構成するパンニング駆動機構の組み立て状態を示す要部斜視図である。
【図11】図8におけるCCDホルダーに組み込まれる構成部品を示す斜視図である。
【図12】図8の鏡筒ユニットを、第一支持部材に組み込んだ様子を示す斜視図である。
【図13】図8の鏡筒ユニット及び、第一支持部材、第二支持部材の分解斜視図である。
【図14】本発明の撮像装置における鏡筒全体ユニットの斜視図である。
【図15】図14の鏡筒全体ユニットに更に、板バネが固定された状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る撮像装置において、鏡筒全体ユニットがポップアップ状態のときの斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る撮像装置において、鏡筒全体ユニットがポップダウン状態のときの斜視図である。
【符号の説明】
【0101】
1 対物レンズ
2 プリズム
3 第一の接合レンズ
4 第二の接合レンズ
5 撮影レンズ群
6 撮像素子
7 対物レンズホルダー
8 プリズムホルダー
9 撮影レンズホルダー
10 チルト地板
11 チルト駆動レバー
12 チルト駆動レバー支持ピン
13 チルトギア地板
14 ステッピングモータ
15 ピニオンギア
16 第一減速ギア
17 第二減速ギア
18 チルトギア押さえ
19 カムピン
20 対物レンズホルダー駆動ピン
21、22 カムピン
23 CCDホルダー
24 CCD
25 2群ホルダー
26、27 ガイドバー
28 ラック
29 ステッピングモータ
30 リードスクリュー
31 4群ホルダー
32 ステッピングモータ
33 アイリスユニット
34 アイリス地板
35 ステッピングモータ
36 ピニオンギア
37 第一減速ギア
38 中間地板
39 第二減速ギア
40 第三減速ギア
41 出力ギア
42 ギア押さえ
43、44 アイリス羽根
45 NDフィルタ
46 CCDカバー
47 アクチュエータ
48 第二支持部材
49 チルトヘッドカバー
50 鏡筒ガイド部材
51 板バネ
52 カメラ本体
53 鏡筒全体ユニット
60 第一支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界からの撮影光線を折り曲げて撮像素子に導く折り曲げ光学系で構成された鏡筒ユニットと、カメラ本体とから構成される撮像装置において、前記鏡筒ユニットは、その長手方向に前記カメラ本体に対してスライド可能に、前記カメラ本体に取り付けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記鏡筒ユニットは、前記カメラ本体から突出した状態において、前記被写界の一部を選択的に撮影するため、前記反射光学素子を回転駆動することによりパンチルト動作を行いながら、撮影を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記被写界の動きを自動的に判別して、追尾撮影を行う自動追尾撮影機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項4】
被写界からの撮影光線を光学素子により折り曲げて撮像素子に導く折り曲げ光学系で構成された鏡筒ユニットと、カメラ本体とから構成される撮像装置において、前記光学素子を回転駆動することによるパンチルト動作により、像ぶれ補正を行う機能を有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−9337(P2008−9337A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182524(P2006−182524)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】