撮像装置
【課題】固定絞りによる回折現象を確実に防止でき撮像された画像の品質の向上を図る上で有利な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10の撮像光学系16を構成する複数のレンズのうち最終レンズ1602と色分解プリズム42との間に固定絞り40が設けられている。固定絞り40は入射光を制限する開口66が設けられ、開口66の縁部68は直線部70と円弧部72とを有している。直線部70は、最終レンズ1602の光軸方向から見て、光軸を通る仮想線に直交する仮想線上を延在しており、直線部70は、互いに対向して平行に延在するように縁部68の2箇所に設けられている。直線部70の全域に回折現象の発生を阻止する複数の凹凸76が形成されている。
【解決手段】撮像装置10の撮像光学系16を構成する複数のレンズのうち最終レンズ1602と色分解プリズム42との間に固定絞り40が設けられている。固定絞り40は入射光を制限する開口66が設けられ、開口66の縁部68は直線部70と円弧部72とを有している。直線部70は、最終レンズ1602の光軸方向から見て、光軸を通る仮想線に直交する仮想線上を延在しており、直線部70は、互いに対向して平行に延在するように縁部68の2箇所に設けられている。直線部70の全域に回折現象の発生を阻止する複数の凹凸76が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラなどの撮像装置として、撮像光学系と、撮像光学系によって導かれた入射光を三原色の成分光に分解して出射する3つのプリズムからなる色分解プリズムと、色分解プリズムから出射される3つの成分光のそれぞれを受光して撮像信号を生成する3つの撮像素子とを備えるものが提供されている(特許文献1参照)。
ところで、撮像光学系を透過する光線群の一部には、色分解プリズムを撮像光学系の光軸方向から見た場合に各プリズムのエッジの近傍を通過する光線群も存在する。
このような光線群の一部がプリズムのエッジに入射し、光線群がそれらエッジで反射、屈折、散乱することで異常光線が生じ、この異常光線が各撮像素子に到達してしまうと、撮像された画像にフレアなどが発生する不都合が生じる。
そこで、このようなフレアを防止する目的で、撮像光学系を構成する複数のレンズのうち色分解プリズムに最も近い箇所に配置された最終レンズと色分解プリズムとの間に固定絞りを設けることがなされている。
すなわち、固定絞りは入射光を制限する開口が設けられ、開口の縁部により、上記エッジ近傍を通過する光線群の一部をカットしエッジに光線が到達することを防止している。
通常、各撮像素子の撮像面における有効撮像範囲の横と縦との比率は横長である。
したがって、各撮像素子をそれらの短辺方向(縦方向)に沿って並べて配置すると、各撮像素子および各プリズムが占有するスペースを縮小でき小型化を図る上で有利となる。
この場合、色分解プリズムによる色分解の方向は、各プリズムが各撮像素子に臨む面(色分解された成分光が出射する面)にそれぞれ直交する方向となり、各プリズムのエッジは撮像光学系の光路の下部および上部に位置することになる。
そして、フレアなどの不具合の原因となる光線群は、色分解プリズムのエッジの近傍を通過する光線群であることから、固定絞りによって制限すべき光線群は、撮像光学系の光路の上部と下部を通過する光線群であり、固定絞りによる光線群の制限は撮像光学系の光路の上部と下部において積極的に行う必要がある。
一方、各撮像素子の長辺方向(横方向)は、色分解の方向と直交する方向であり、色分解とは直接関連しないので、固定絞りによる光線群の制限は横方向については積極的に行う必要はない。
そのため、固定絞りの縁部は、直線部と円弧部とを有し、直線部は、最終レンズの光軸方向から見て、光軸を通る仮想線に直交する仮想線上を延在し、直線部は、互いに対向して平行に延在するように縁部の2箇所に設けられることになる。
そして、これら2つの直線部により、撮像光学系の光路の上部および下部を通過する光線群の制限がなされるように構成されている。
【特許文献1】特開2006−186936
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、直線部に太陽光や光源などの高輝度被写体からの強い入射光が当たると、回折現象を生じ、その結果、撮像素子で撮像された画像に直線状に延在する光芒(回折光芒)が発生し、撮像された画像の品質を損なう不利があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定絞りによる回折現象を確実に防止でき撮像された画像の品質の向上を図る上で有利な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は、撮像光学系と、前記撮像光学系によって導かれた入射光を三原色の成分光に分解して出射する3つの色分解プリズムと、前記色分解プリズムから出射される前記3つの成分光のそれぞれを受光して撮像信号をそれぞれ生成する3つの撮像素子とを備え、前記3つの色分解プリズムのうち、前記入射光が最初に入射される第1の色分解プリズムは入射面と平行な方向に延在するエッジを有し、前記撮像光学系は、該撮像光学系を構成する複数のレンズのうち前記第1の色分解プリズムに最も近い箇所に配置された最終レンズと前記第1の色分解プリズムとの間に設けられた板状の固定絞りを有し、前記固定絞りは、前記入射光を制限する開口を有し、前記開口の縁部は、前記最終レンズの前記光軸方向から見て少なくとも前記エッジと平行に複数の凹凸が並べられて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、固定絞りの開口を縁取る縁部が最終レンズの光軸方向から見て少なくとも第1の色分解プリズムのエッジと平行に複数の凹凸が並べられて形成されているので、凹凸によって回折の発生を防止することができ、撮像した画像における光芒の発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態に係る撮像装置の概略構成について説明する。
図1は撮像装置10を前方から見た斜視図、図2は撮像装置10を後方から見た斜視図である。
図1、図2に示すように、撮像装置10はビデオカメラであり、撮像装置10は筐体12を有し、筐体12は、左右方向の幅よりも大きな寸法の前後方向の長さおよび上下方向の高さを有している。なお、本明細書において左右は、撮像装置10を後方から見た状態でいうものとし、また、被写体側を前方といい、その反対側を後方という。
筐体12の前部にはレンズ鏡筒14が設けられ、レンズ鏡筒14には撮像光学系16を構成する複数のレンズが収容されている。
筐体12の内部でレンズ鏡筒14の後方には、図3に示すように、本発明に係る固定絞り40と、色分解プリズム42と、第1乃至第3撮像素子44A,44B、44Cが設けられており、撮像光学系16は固定絞り40を含んで構成されている。
筐体12の上面には、該上面と間隔をおいて前後方向に延在するハンドル18が設けられている。
ハンドル18の前部には、アクセサリーを取り付けるための取り付け部20が接続され、取り付け部20の右側部に前後方向に延在するマイクロフォン22が前方に向けて取り付けられている。
ハンドル18の後部には、ビューファインダー装置24が上下方向に傾動可能に設けられている。
【0007】
ビューファインダー装置24の後端には接眼窓2402が設けられ、接眼窓2402の周囲には、接眼窓2402を囲むように後方に向けて開放された筒状のアイカップ2404が設けられている。
筐体12の右側部の前後の2箇所にはグリップベルト26が連結されており、グリップベルト26と筐体12の右側部との間に右手を挿入することで筐体12をしっかり保持できるようになっている。
筐体12の左側部の前部寄りの箇所には、矩形板状のディスプレイパネル28が上下方向に延在する第1の軸線回りに開閉可能に、かつ、第1の軸線と直交する第2の軸線回りに揺動可能に連結されている。
ディスプレイパネル28は、その内側に表示面2802が位置するように設けられ、表示面2802には第1乃至第3撮像素子44A,44B、44Cで撮像された被写体の画像などが表示される。
したがって、ディスプレイパネル28は、前記第1の軸線回りに揺動されることで、表示面2802が筐体12の左側面に重ね合わされた収容位置と、図2に示すように、表示面2802を後方に向けた開放位置との間で動き、また、ディスプレイパネル28は、前記開放位置の状態で前記第2の軸線回りに揺動されることによって表示面2802の向きを上下方向に変えることができるようになっている。
筐体12の上面、左側面、後面には、撮像装置10を操作するための複数の操作部材30が設けられ、筐体12の左側面には音声を出力するスピーカー32が設けられている。
また、筐体12の右側部には、第1乃至第3撮像素子44A,44B、44Cで撮像された画像の画像データやマイクロフォン22で収音された音声データを記録媒体36(図3)に対する記録および/または再生を行う記録再生部34が設けられている。記録媒体36としては、ハードディスク、光ディスク、メモリカード、磁気記録テープなどが挙げられる。
【0008】
図3は本実施の形態における撮像装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像装置10は、上述したレンズ鏡筒14、撮像光学系16、固定絞り40、色分解プリズム42、第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cに加えて、画像信号処理部46、音声信号処理部48、ディスプレイドライバ50、音声出力部52、制御部54などを含んで構成されている。
固定絞り40は、撮像光学系16によって導かれた被写体像、すなわち、被写体像を形成する入射光の光束を制限するものであり後述する。
色分解プリズム42は、固定絞り40を通った入射光を三原色(赤、緑、青)の成分光に分解するものである。
撮像光学系16を構成する複数のレンズのうち色分解プリズム42に最も近い箇所に配置されたレンズを最終レンズ1602(図4)と呼ぶと、固定絞り40は色分解プリズム42と最終レンズ1602との間に設けられている。
第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cは、三原色(赤、緑、青)に対応して設けられ、色分解プリズム42によって分解された三原色(赤、緑、青)の成分光のそれぞれを受光して撮像し、撮像信号を生成するものである。
画像信号処理部46は、第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cを駆動すると共に、各撮像素子44A,44B,44Cから供給される画像信号に対して、例えば、CDS(Correlated Double Sampling)処理を行って、S/N比を良好に保つようにするとともに、AGC(Automatic Gain Control)処理を行って、利得を制御し、さらに、A/D(Analog/Digital)変換を行って、デジタル信号とした画像データを生成するなどの一連の前処理を行い、さらに、前処理がなされた画像データを所定の圧縮方式によって圧縮(エンコード)することにより、前記の記録用の画像データを生成するものである。生成された記録用の画像データは、制御部54を介して記録再生部34に供給される。
【0009】
また、画像信号処理部46は、前記前処理がなされた画像信号をディスプレイドライバ50を介してディスプレイパネル28に供給することで撮像中の画像をディスプレイパネル28に表示させる。
また、画像信号処理部46は、記録再生部34で再生され制御部54を介して供給された画像データの伸張(デコード)を行い、その伸張された再生用の画像データをディスプレイドライバ50を介してディスプレイパネル28に供給することで再生画像をディスプレイパネル28に表示させる。
音声信号処理部48は、マイクロフォン22から供給される音声信号に対して、圧縮処理を含む所定の信号処理を行い所定の音声データを生成するものであり、音声データを制御部54を介して記録再生部34に供給する。
また、音声信号処理部48は、記録再生部34から制御部54を介して供給される音声データに対して、伸張処理を含む所定の信号処理を行い音声信号を生成し制御部54を介して音声出力部52に供給する。
ディスプレイドライバ50は、制御部54を介して供給される画像データに基づいてディスプレイパネル28を駆動することでディスプレイパネル28に画像を表示させる。
音声出力部52は、制御部54を介して供給される音声データに基づいてスピーカー32を駆動することでスピーカー32から音声を出力させる。
制御部54は、上述した操作部30、記録再生部34、画像信号処理部46、音声信号処理部48、ディスプレイドライバ50、音声出力部52の制御を司るものである。
具体的には、制御部50は、CPU、ワーキングエリアを提供するRAM、制御プログラムなどを格納するROM、記録再生部34、画像信号処理部46、音声信号処理部48、ディスプレイドライバ50、音声出力部52との間で制御信号やデータ信号を授受するための周辺LSIなどを含むマイクロコンピュータによって構成されており、前記CPUが前記ROMの制御プログラムを実行することによって種々の制御動作を実行する。
【0010】
次に、色分解プリズム42について説明する。
図4は撮像光学系16、固定絞り40、色分解プリズム42、第1乃至第3撮像素子44A、44B,44Cの構成を示す模式図である。
本実施の形態では、色分解プリズム42は、第1乃至第3プリズム56、58、60の3つのプリズム(特許請求の範囲の3つの色分解プリズムに相当)と、第1、第2ダイクロイック膜62、64とを含んで構成されている。
【0011】
第1プリズム56は、撮像光学系16によって導かれた入射光が最初に入射される第1の色分解プリズムを構成するものであり、第1面56A、第2面56B、第3面56Cの3つの面を有している。
第1面56Aは最終レンズ1602の光軸に対して直交した状態で固定絞り40に臨んでおり、第2面56Bは第1ダイクロイック膜62が形成され、第3面56Cは第2撮像素子44Bの撮像面に対面している。
第2プリズム58は、第1面58A、第2面58B、第3面58Cの3つの面を有している。
第1面58Aは第1プリズム56の第2面56Bに第1ダイクロイック膜62を介して対面し、第2面58Bは第2ダイクロイック膜64が形成され、第3面58Cは第3撮像素子44Cの撮像面に対面している。
第3プリズム60は、第1面60Aと第2面60Bと第3面60Cの3つの面を有している。
第1面60Aは第2ダイクロイック膜64を介して第2プリズム58の第2面58Bに対面し、第2面60Bは第1撮像素子44Aの撮像面に対面している。
第1プリズム56と第2プリズム58は、第1プリズム56の第2面56Bと第2プリズム58の第1面58Aとが接着剤で接着されることで固着されている。
第2プリズム58と第3プリズム60は、第2プリズム58の第2面58Bと第3プリズム60の第1面60Aとが接着剤で接着されることで固着されている。
したがって、第1、第2、第3プリズム56、58、60は一体的に設けられている。
【0012】
第1ダイクロイック膜62は緑の色光を反射し、青と赤の色光を透過する機能を有している。
第2ダイクロイック膜64は青の色光を反射し、赤の色光を透過する機能を有している。
したがって、固定絞り40を通過した入射光は、第1プリズム56の第1面56Aを通過したのち、入射光のうち緑の色光が第1ダイクロイック膜62で反射され第3面56Cを通過して第2撮像素子44Bの撮像面に導かれる。
また、入射光のうち青と赤の色光は、第1ダイクロイック膜62を透過したのち第2プリズム58の第1面58Aを通過したのち第2ダイクロイック膜64に至る。
そして、赤の色光が第2ダイクロイック膜64を透過して第3プリズム60の第1面60A、第2面60Bを通過して第1撮像素子44Aの撮像面に導かれる。
また、青の色光が第2ダイクロイック膜64で反射されたのち第2プリズム58の第3面58Cを通過して第3撮像素子44Cの撮像面に導かれる。
このようにして固定絞り40を通過した入射光は三原色の成分光に分解され、第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cにそれぞれ導かれることになる。
ここで、入射光が三原色に分解される際の方向、すなわち、色分解の方向は第1プリズム56の第3面56C、第2プリズム58の第3面58C,第3プリズム60の第3面60Cにそれぞれ直交する方向であり、したがって、第1プリズム56の第1面56Aと第2面56Bとが交わるエッジE1(すなわち第1プリズム56の入射面と平行な方向に延在するエッジ)および第2プリズム58の第1面58Aと第3面58Cとが交わるエッジE2が撮像光学系16の光路の下部に位置し、第2プリズム58の第1面58Aと第2面58Bとが交わるエッジE3および第3プリズム60の第1面60Aと第3面60Cとが交わるエッジE4が撮像光学系16の光路の上部に位置する。
なお、色分解プリズム42の構成は本実施の形態に限定されるものではなく、従来公知のさまざまな構成が採用可能であり、入射光の色分解の順序も本実施の形態の色分解プリズム42の順序に限定されるものではない。
また、第1乃至第3プリズム56、58、60と第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cとの間に、トリミングフィルタなどが配置されていてもよい。
【0013】
図5は色分解プリズム42(色分解光学系)に入射する光線群の模式図である。
図5に示すように、通常、撮像光学系16を通って色分解プリズム42(色分解光学系)に入射する光線群は、実線Rで示す通り第1乃至第3プリズム56、58、60を通る。
しかしながら、撮像光学系16を透過する光線群には、点線Qで示すように色分解プリズム42を光軸方向から見た場合に上述のエッジE1、E2の近傍を通過する光線群も存在する。
このような光線群Qが色分解プリズム42にそのまま入射すると、例えば、エッジE1、あるいは、エッジE2に光線群Qが入射することになる。
すると、光線群QがそれらエッジE1,E2で反射、屈折、散乱することで異常光線が生じ、この異常光線が各撮像素子44A,44B,44Cに到達してしまうと、撮像された画像にフレアなどが発生する不都合が生じる。
同様に、光線群Qが例えば、エッジE3、あるいは、エッジE4に入射すると、光線群QがそれらエッジE3,E4で反射、屈折、散乱することで異常光線が生じ、この異常光線が各撮像素子44A,44B,44Cに到達してしまうと、撮像された画像にフレアなどが発生する不都合が生じる。
そこで、このようなフレアを防止する目的で、図4に示すように、撮像光学系16を構成する複数のレンズのうち色分解プリズム42に最も近い箇所に配置された最終レンズ1602と色分解プリズム42との間に板状の固定絞り40を設ける。
すなわち、図5に示すように、固定絞り40は入射光を制限する開口66が設けられ、開口66の縁部68により、光線群Qの一部はカットされ、エッジE1、E2、E3、E4などに光線が到達することが防止される。
【0014】
次に、固定絞り40による光線群の制限方向について説明する。
通常、各撮像素子44A、44B、44Cの撮像面における有効撮像範囲の横と縦との比率は横長であり、その比率は、テレビモニタ同様の4:3もしくは16:9といった比率に近いものである。
したがって、各撮像素子44A、44B、44Cをそれらの短辺方向(縦方向)に沿って並べて配置すると、撮像素子44A、44B、44Cおよび第1乃至第3プリズム56、58、60が占有するスペースを縮小でき小型化を図る上で有利となる。
したがって、この場合、色分解プリズム42による色分解の方向は、第1プリズム56の第3面56C、第2プリズム58の第3面58C、第3プリズム60の第3面60Cにそれぞれ直交する方向となり、上述のように、エッジE1およびエッジE2が撮像光学系16の光路の下部に位置し、エッジE3およびエッジE4が撮像光学系16の光路の上部に位置することになる。
そして、フレアなどの不具合の原因となる光線群Qは、色分解プリズム42のエッジE1乃至E4の近傍を通過する光線群であることから、固定絞り40によって制限すべき光線群Qは、撮像光学系16の光路の上部と下部を通過する光線群であり、固定絞り40による光線群の制限は撮像光学系16の光路の上部と下部において積極的に行う必要がある。
一方、各撮像素子44A、44B、44Cの長辺方向(横方向)は、色分解の方向と直交する方向であり、色分解とは直接関連しないので、固定絞り40による光線群の制限は横方向については積極的に行う必要はない。
【0015】
図6は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の概略説明図である。
図7は第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを撮像光学系16側から見た平面図、図8は第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを色分解プリズム42側から見た平面図、図9は図8のAA線断面図である。
図10(A)は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66を撮像光学系16側から見た斜視図、(B)は(A)の拡大斜視図である。
図11(A)は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66を色分解プリズム42側から見た斜視図、(B)および(C)は(A)の拡大斜視図である。
図12は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
【0016】
本実施の形態では、図7、図8、図9に示すように、固定絞り40は、色分解プリズム42を保持するホルダ80の壁部82によって構成されている。
壁部82は板状を呈し、その厚さ方向の一方の面82Aに色分解プリズム42の第1プリズム56の第1面56Aを取り付けるための取り付け凹部84が形成されている。
取り付け凹部84の底面8402は平坦面で形成され、底面8402に開口66が形成されている。第1プリズム56の第1面56Aは、この底面8402に当て付けられ、第1面56Aの周囲が接着剤などにより底面8402に固定されている。
開口66の周囲で、壁部82の厚さ方向の他方の面82Bと底面8402との間に、第1プリズム56の第1面56Aから離間した平坦な壁部86が形成され、第1面56Aと壁部86との間に僅かな隙間(例えば1mm程度)が形成されている。したがって、本実施の形態では、開口66を縁取る縁部68が壁部86の縁部で構成されている。
【0017】
図6に示すように、固定絞り40の縁部68は、直線部70と円弧部72とを有している。
直線部70は、最終レンズ1602の光軸方向から見て、光軸を通る仮想線に直交する仮想線上を延在しており、直線部70は、互いに対向して平行に延在するように縁部68の2箇所に設けられている。
したがって、2つの直線部70により、撮像光学系16の光路の上部および下部を通過する光線群(エッジE1、E2に向かって撮像光学系16の光路の下部を通過する光線群およびエッジE3、E4に向かって撮像光学系16の光路の上部を通過する光線群)の制限がなされるように図られている。
円弧部72は、最終レンズ1602の光軸を中心とした円周上を延在し直線部70の両端に接続されている。
ここで、直線部70に太陽光や光源などの高輝度被写体からの強い入射光が当たると、回折が発生し撮像した画像に特定の方向に延在する光芒が生じることになる。
なお、円弧部72については、仮に回折現象が発生したとしても、回折によって発生する光芒の方向は特定の方向ではなく、放射方向に一様に発生するため、画質に与える影響は無視できるものとなる。
そこで、本実施の形態では、開口66の縁部68は、最終レンズ1602の光軸方向から見て少なくともエッジE1と平行に複数の凹凸76が並べられて形成され、また、複数の凹凸76は、エッジE1と平行をなしかつ互いに対向する縁部68の箇所に形成されている。
より具体的には、直線部70の全域に回折現象の発生を阻止する複数の凹凸76が形成されている。
なお、図6において符号74は各撮像素子44A、44B、44Cの撮像面のうち被写体像が撮像される有効撮像領域を示す。
【0018】
図11に示すように、凹凸76は、単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第1の波形と、前記単一半径とは値の異なる単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第2の波形とが交互に規則的に繰り返されて並べられることで設けられ、あたかも2種類の波形形状が重ね合わされた形状を呈している。
直線部70と直交する方向における開口66の幅を開口幅(開口径)としたとき、開口幅9.5mmに対し、2種類の波形形状のうち小さい方の波形は波長0.4mm/振幅0.2mmであり、開口幅に対する振幅は2.1%、波長は4.2%となっている。
開口幅9.5mmに対し、2種類の波形形状のうち大きい方の波形は波長0.8mm/振幅0.4mmであり、開口幅に対する振幅は4.2%、波長は8.4%となっている。
なお、開口幅に対する波形の振幅は1%以上8%以下であることが、凹凸76による回折抑制効果(光芒抑制効果)を確保し、点光源のボケ像に波形形状が映し出されることを抑制することでボケ味を含めた撮像画質を確保する上で好ましい。
開口幅に対する波形の振幅が1%未満だと、凹凸部76の加工性の面で不利がある。
また、開口幅に対する波形の振幅が8%を超えると、直線部70による回折抑制効果(光芒抑制効果)の低下や、点光源のボケ像に波形形状が映し出されボケ味を含めた撮像画質が低下する不利がある。
また、開口幅に対する波形の波長は1%以上16%以下であることが、凹凸76による回折抑制効果(光芒抑制効果)を確保し、点光源のボケ像に波形形状が映し出されることを抑制することでボケ味を含めた撮像画質を確保する上で好ましい。
開口幅に対する波形の波長が1%未満だと、凹凸部76の加工性の面で不利がある。
また、開口幅に対する波形の波長が16%を超えると、直線部70による回折抑制効果(光芒抑制効果)の低下や、点光源のボケ像に波形形状が映し出されボケ味を含めた撮像画質が低下する不利がある。
【0019】
本実施の形態によれば、固定絞り40の開口66を縁取る縁部68の直線部70の全域に回折現象の発生を阻止する複数の凹凸76を形成したので、有害な光線群が色分解プリズム42に入射することを直線部70によって防止することでフレアを防止できることは無論のこと、太陽光や光源などの高輝度被写体からの強い入射光が直線部70に当たっても凹凸76によって回折の発生を防止することで撮像した画像における光芒の発生を確実に防止することができ、撮像された画像の品質の向上を図る上で有利となる。
また、通常、固定絞り40の開口66はある程度の大きさを有しており、したがって、直線部70もある程度の長さで構成されているため、凹凸76を構成する波形形状の波長や振幅を極度に小さくする必要はなく、加工性を確保することができるため、凹凸76をプレス加工や射出成型等で容易に形成することができ製造コストの削減を図る上で有利である。
また、凹凸76を構成する波形形状は、直線部70の延在方向に沿って不規則に配置してもよいが、本実施の形態のように凹凸76を構成する波形形状を直線部70の延在方向に沿って規則的に配置すると、凹凸76の加工や品質管理面がより容易となり、量産性の向上を図る上でより有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について説明する。
図13は2の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
第2の実施の形態は、直線部70の凹凸76が、波長が異なる4種類の波形を構成する凸部と凹部が交互に規則的に繰り返されて並べられることで設けられ、あたかも4種類の波形形状が重ね合わされた形状を呈している。
なお、4種類の波形は何れも正弦波である。
4種類の波形形状は、開口幅9.5mmに対し、波長は0.32mm、0.68mm、0.44mm、0.56mm、振幅はいずれの波形も0.2mmであり、開口幅に対する波長はそれぞれ3.4%、7.2%、4.6%、5.9%、振幅は一律2.1%となる。
第2の実施の形態においても、開口幅に対する4種類の波形の振幅が1%以上8%以下であり、開口幅に対する4種類の波形の波長は1%以上16%以下であることが凹凸76による回折抑制効果(光芒抑制効果)を確保し、点光源のボケ像に波形形状が映し出されることを抑制することでボケ味を含めた撮像画質を確保する上で好ましいことは第1の実施の形態と同様である。
このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、第1の実施の形態では凹凸76が2種類の凸部および凹部で設けられていたのに対して、第2の実施の形態では凹凸76が4種類の凸部および凹部で設けられ波形形状がより一層複雑化していることから、回折現象を防止する効果をより一層高めることができ、撮像された画像の品質の向上を図る上でより一層有利となる。
なお、第2の実施の形態では、凹凸76を構成するために4種類の波形形状を組み合わせているが、組み合わせる波形形状の種類は3種類でも、5種類以上であっても構わない。
また、各波形形状の振幅は一定である必要はない。
また、各波形形状の配列の順番に制限は無い。
また、2つの直線部70の凹凸76の波形形状は、同一であっても、異なっていても構わない。
【0021】
図14は、直線部70に形成する凹凸76として、同一半径の半円から成る波形形状を用いた変形例を示す開口66の平面図である。
この場合にも、凹凸76の作用により、直線状に延在する光芒の発生を防止することができるが、凹凸76を構成する波形形状を複数組み合わせた第1、第2の実施の形態の方が撮像された画像の品質の向上を図る上でより有利となる。
【0022】
また、凹凸76の波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状の組み合わせで形成してもよいし、正弦波の一部を切り取った形状で形成してもよい。
また、凹凸76の波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状と正弦波の一部を切り取った形状とを組み合わせてもよい。
また、凹凸76の波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状の組み合わせ、正弦波の一部を切り取った形状以外の形状であってもよく、要は、凹凸76の波形形状が回折現象の発生を阻止することができる形状であればよい。
ただし、凹凸76の波形形状に規則性を持たせると、凹凸76の加工や品質管理面がより容易となり、量産性の向上を図る上でより有利である。
【0023】
なお、実施の形態では、色分解プリズム42のエッジE1乃至E4が撮像光学系16の光路の上下に位置していることから、固定絞り40の直線部70を上下2箇所に設けた場合について説明した。
しかしながら、色分解プリズム42のエッジが撮像光学系16の光路の上下の一方のみに位置している場合には、固定絞り40の直線部70も上下の一方に設ければよいことは無論であり、その場合には、縁部68のうち直線部70を除く部分を連続した円弧部で構成することができる。
【0024】
また、実施の形態では、固定絞り40の縁部68が対向する2つの直線部70と2つの円弧部76とで構成された場合について説明したが、縁部68の形状はこれに限定されるものではなく以下に示すような変形が可能である。
図15(A)に示す固定絞り40は、縁部68が2つの直線部70を有し、2つの直線部70の両端が直線部78で接続され、開口60が矩形状を呈している。また、凹凸部76は各直線部70の全域に形成されている。
図15(B)に示す固定絞り40は、縁部68が2つの直線部70を有し、2つの直線部70の両端が互いに屈曲する3つの直線部80で接続され、開口60が八角形を呈している。また、凹凸部76は各直線部70の全域に形成されている。
図15(C)に示す固定絞り40は、縁部68が2つの直線部70を有し、2つの直線部70の両端が屈曲する2つの直線部82で接続され、開口60が六角形を呈している。また、凹凸部76は各直線部70の全域に形成されている。
図15(D)に示す固定絞り40は、第1の実施の形態と同様に縁部68が対向する2つの直線部70と2つの円弧部76とで構成されているが、また、凹凸部76は各直線部70の中央に形成され、直線部70の中央を除く両端は凹凸76が形成されない直線部分84とされている。
上述した各変形例によっても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0025】
また、実施の形態では、撮像装置としてデジタルスチルカメラを例示したが、本発明はビデオカメラ、あるいは、カメラ付きの携帯電話機、PDA、携帯用電子機器などさまざまな撮像装置に無論適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】撮像装置10を前方から見た斜視図である。
【図2】撮像装置10を後方から見た斜視図である。
【図3】第1の実施の形態における撮像装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】撮像光学系16、固定絞り40、色分解プリズム42、第1乃至第3撮像素子44A、44B、44Cの構成を示す模式図である。
【図5】色分解プリズム42(色分解光学系)に入射する光線群の模式図である。
【図6】第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の概略説明図である。
【図7】第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを撮像光学系16側から見た平面図である。
【図8】第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを色分解プリズム42側から見た平面図である。
【図9】図8のAA線断面図である。
【図10】(A)は固定絞り40の開口66を撮像光学系16側から見た斜視図、(B)は(A)の拡大斜視図である。
【図11】(A)は固定絞り40の開口66を色分解プリズム42側から見た斜視図、(B)および(C)は(A)の拡大斜視図である。
【図12】第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
【図13】第2の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
【図14】変形例における固定絞り40の開口66の平面図である。
【図15】(A)乃至(D)は他の変形例における固定絞り40の開口66の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
10……撮像装置、16……撮像光学系、1602……最終レンズ、42……色分解プリズム、44A……第1撮像素子、44B……第2撮像素子、44C……第3撮像素子、40……固定絞り、66……開口、68……縁部、70……直線部、72……円弧部、76……凹凸。
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラなどの撮像装置として、撮像光学系と、撮像光学系によって導かれた入射光を三原色の成分光に分解して出射する3つのプリズムからなる色分解プリズムと、色分解プリズムから出射される3つの成分光のそれぞれを受光して撮像信号を生成する3つの撮像素子とを備えるものが提供されている(特許文献1参照)。
ところで、撮像光学系を透過する光線群の一部には、色分解プリズムを撮像光学系の光軸方向から見た場合に各プリズムのエッジの近傍を通過する光線群も存在する。
このような光線群の一部がプリズムのエッジに入射し、光線群がそれらエッジで反射、屈折、散乱することで異常光線が生じ、この異常光線が各撮像素子に到達してしまうと、撮像された画像にフレアなどが発生する不都合が生じる。
そこで、このようなフレアを防止する目的で、撮像光学系を構成する複数のレンズのうち色分解プリズムに最も近い箇所に配置された最終レンズと色分解プリズムとの間に固定絞りを設けることがなされている。
すなわち、固定絞りは入射光を制限する開口が設けられ、開口の縁部により、上記エッジ近傍を通過する光線群の一部をカットしエッジに光線が到達することを防止している。
通常、各撮像素子の撮像面における有効撮像範囲の横と縦との比率は横長である。
したがって、各撮像素子をそれらの短辺方向(縦方向)に沿って並べて配置すると、各撮像素子および各プリズムが占有するスペースを縮小でき小型化を図る上で有利となる。
この場合、色分解プリズムによる色分解の方向は、各プリズムが各撮像素子に臨む面(色分解された成分光が出射する面)にそれぞれ直交する方向となり、各プリズムのエッジは撮像光学系の光路の下部および上部に位置することになる。
そして、フレアなどの不具合の原因となる光線群は、色分解プリズムのエッジの近傍を通過する光線群であることから、固定絞りによって制限すべき光線群は、撮像光学系の光路の上部と下部を通過する光線群であり、固定絞りによる光線群の制限は撮像光学系の光路の上部と下部において積極的に行う必要がある。
一方、各撮像素子の長辺方向(横方向)は、色分解の方向と直交する方向であり、色分解とは直接関連しないので、固定絞りによる光線群の制限は横方向については積極的に行う必要はない。
そのため、固定絞りの縁部は、直線部と円弧部とを有し、直線部は、最終レンズの光軸方向から見て、光軸を通る仮想線に直交する仮想線上を延在し、直線部は、互いに対向して平行に延在するように縁部の2箇所に設けられることになる。
そして、これら2つの直線部により、撮像光学系の光路の上部および下部を通過する光線群の制限がなされるように構成されている。
【特許文献1】特開2006−186936
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、直線部に太陽光や光源などの高輝度被写体からの強い入射光が当たると、回折現象を生じ、その結果、撮像素子で撮像された画像に直線状に延在する光芒(回折光芒)が発生し、撮像された画像の品質を損なう不利があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定絞りによる回折現象を確実に防止でき撮像された画像の品質の向上を図る上で有利な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は、撮像光学系と、前記撮像光学系によって導かれた入射光を三原色の成分光に分解して出射する3つの色分解プリズムと、前記色分解プリズムから出射される前記3つの成分光のそれぞれを受光して撮像信号をそれぞれ生成する3つの撮像素子とを備え、前記3つの色分解プリズムのうち、前記入射光が最初に入射される第1の色分解プリズムは入射面と平行な方向に延在するエッジを有し、前記撮像光学系は、該撮像光学系を構成する複数のレンズのうち前記第1の色分解プリズムに最も近い箇所に配置された最終レンズと前記第1の色分解プリズムとの間に設けられた板状の固定絞りを有し、前記固定絞りは、前記入射光を制限する開口を有し、前記開口の縁部は、前記最終レンズの前記光軸方向から見て少なくとも前記エッジと平行に複数の凹凸が並べられて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、固定絞りの開口を縁取る縁部が最終レンズの光軸方向から見て少なくとも第1の色分解プリズムのエッジと平行に複数の凹凸が並べられて形成されているので、凹凸によって回折の発生を防止することができ、撮像した画像における光芒の発生を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態に係る撮像装置の概略構成について説明する。
図1は撮像装置10を前方から見た斜視図、図2は撮像装置10を後方から見た斜視図である。
図1、図2に示すように、撮像装置10はビデオカメラであり、撮像装置10は筐体12を有し、筐体12は、左右方向の幅よりも大きな寸法の前後方向の長さおよび上下方向の高さを有している。なお、本明細書において左右は、撮像装置10を後方から見た状態でいうものとし、また、被写体側を前方といい、その反対側を後方という。
筐体12の前部にはレンズ鏡筒14が設けられ、レンズ鏡筒14には撮像光学系16を構成する複数のレンズが収容されている。
筐体12の内部でレンズ鏡筒14の後方には、図3に示すように、本発明に係る固定絞り40と、色分解プリズム42と、第1乃至第3撮像素子44A,44B、44Cが設けられており、撮像光学系16は固定絞り40を含んで構成されている。
筐体12の上面には、該上面と間隔をおいて前後方向に延在するハンドル18が設けられている。
ハンドル18の前部には、アクセサリーを取り付けるための取り付け部20が接続され、取り付け部20の右側部に前後方向に延在するマイクロフォン22が前方に向けて取り付けられている。
ハンドル18の後部には、ビューファインダー装置24が上下方向に傾動可能に設けられている。
【0007】
ビューファインダー装置24の後端には接眼窓2402が設けられ、接眼窓2402の周囲には、接眼窓2402を囲むように後方に向けて開放された筒状のアイカップ2404が設けられている。
筐体12の右側部の前後の2箇所にはグリップベルト26が連結されており、グリップベルト26と筐体12の右側部との間に右手を挿入することで筐体12をしっかり保持できるようになっている。
筐体12の左側部の前部寄りの箇所には、矩形板状のディスプレイパネル28が上下方向に延在する第1の軸線回りに開閉可能に、かつ、第1の軸線と直交する第2の軸線回りに揺動可能に連結されている。
ディスプレイパネル28は、その内側に表示面2802が位置するように設けられ、表示面2802には第1乃至第3撮像素子44A,44B、44Cで撮像された被写体の画像などが表示される。
したがって、ディスプレイパネル28は、前記第1の軸線回りに揺動されることで、表示面2802が筐体12の左側面に重ね合わされた収容位置と、図2に示すように、表示面2802を後方に向けた開放位置との間で動き、また、ディスプレイパネル28は、前記開放位置の状態で前記第2の軸線回りに揺動されることによって表示面2802の向きを上下方向に変えることができるようになっている。
筐体12の上面、左側面、後面には、撮像装置10を操作するための複数の操作部材30が設けられ、筐体12の左側面には音声を出力するスピーカー32が設けられている。
また、筐体12の右側部には、第1乃至第3撮像素子44A,44B、44Cで撮像された画像の画像データやマイクロフォン22で収音された音声データを記録媒体36(図3)に対する記録および/または再生を行う記録再生部34が設けられている。記録媒体36としては、ハードディスク、光ディスク、メモリカード、磁気記録テープなどが挙げられる。
【0008】
図3は本実施の形態における撮像装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像装置10は、上述したレンズ鏡筒14、撮像光学系16、固定絞り40、色分解プリズム42、第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cに加えて、画像信号処理部46、音声信号処理部48、ディスプレイドライバ50、音声出力部52、制御部54などを含んで構成されている。
固定絞り40は、撮像光学系16によって導かれた被写体像、すなわち、被写体像を形成する入射光の光束を制限するものであり後述する。
色分解プリズム42は、固定絞り40を通った入射光を三原色(赤、緑、青)の成分光に分解するものである。
撮像光学系16を構成する複数のレンズのうち色分解プリズム42に最も近い箇所に配置されたレンズを最終レンズ1602(図4)と呼ぶと、固定絞り40は色分解プリズム42と最終レンズ1602との間に設けられている。
第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cは、三原色(赤、緑、青)に対応して設けられ、色分解プリズム42によって分解された三原色(赤、緑、青)の成分光のそれぞれを受光して撮像し、撮像信号を生成するものである。
画像信号処理部46は、第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cを駆動すると共に、各撮像素子44A,44B,44Cから供給される画像信号に対して、例えば、CDS(Correlated Double Sampling)処理を行って、S/N比を良好に保つようにするとともに、AGC(Automatic Gain Control)処理を行って、利得を制御し、さらに、A/D(Analog/Digital)変換を行って、デジタル信号とした画像データを生成するなどの一連の前処理を行い、さらに、前処理がなされた画像データを所定の圧縮方式によって圧縮(エンコード)することにより、前記の記録用の画像データを生成するものである。生成された記録用の画像データは、制御部54を介して記録再生部34に供給される。
【0009】
また、画像信号処理部46は、前記前処理がなされた画像信号をディスプレイドライバ50を介してディスプレイパネル28に供給することで撮像中の画像をディスプレイパネル28に表示させる。
また、画像信号処理部46は、記録再生部34で再生され制御部54を介して供給された画像データの伸張(デコード)を行い、その伸張された再生用の画像データをディスプレイドライバ50を介してディスプレイパネル28に供給することで再生画像をディスプレイパネル28に表示させる。
音声信号処理部48は、マイクロフォン22から供給される音声信号に対して、圧縮処理を含む所定の信号処理を行い所定の音声データを生成するものであり、音声データを制御部54を介して記録再生部34に供給する。
また、音声信号処理部48は、記録再生部34から制御部54を介して供給される音声データに対して、伸張処理を含む所定の信号処理を行い音声信号を生成し制御部54を介して音声出力部52に供給する。
ディスプレイドライバ50は、制御部54を介して供給される画像データに基づいてディスプレイパネル28を駆動することでディスプレイパネル28に画像を表示させる。
音声出力部52は、制御部54を介して供給される音声データに基づいてスピーカー32を駆動することでスピーカー32から音声を出力させる。
制御部54は、上述した操作部30、記録再生部34、画像信号処理部46、音声信号処理部48、ディスプレイドライバ50、音声出力部52の制御を司るものである。
具体的には、制御部50は、CPU、ワーキングエリアを提供するRAM、制御プログラムなどを格納するROM、記録再生部34、画像信号処理部46、音声信号処理部48、ディスプレイドライバ50、音声出力部52との間で制御信号やデータ信号を授受するための周辺LSIなどを含むマイクロコンピュータによって構成されており、前記CPUが前記ROMの制御プログラムを実行することによって種々の制御動作を実行する。
【0010】
次に、色分解プリズム42について説明する。
図4は撮像光学系16、固定絞り40、色分解プリズム42、第1乃至第3撮像素子44A、44B,44Cの構成を示す模式図である。
本実施の形態では、色分解プリズム42は、第1乃至第3プリズム56、58、60の3つのプリズム(特許請求の範囲の3つの色分解プリズムに相当)と、第1、第2ダイクロイック膜62、64とを含んで構成されている。
【0011】
第1プリズム56は、撮像光学系16によって導かれた入射光が最初に入射される第1の色分解プリズムを構成するものであり、第1面56A、第2面56B、第3面56Cの3つの面を有している。
第1面56Aは最終レンズ1602の光軸に対して直交した状態で固定絞り40に臨んでおり、第2面56Bは第1ダイクロイック膜62が形成され、第3面56Cは第2撮像素子44Bの撮像面に対面している。
第2プリズム58は、第1面58A、第2面58B、第3面58Cの3つの面を有している。
第1面58Aは第1プリズム56の第2面56Bに第1ダイクロイック膜62を介して対面し、第2面58Bは第2ダイクロイック膜64が形成され、第3面58Cは第3撮像素子44Cの撮像面に対面している。
第3プリズム60は、第1面60Aと第2面60Bと第3面60Cの3つの面を有している。
第1面60Aは第2ダイクロイック膜64を介して第2プリズム58の第2面58Bに対面し、第2面60Bは第1撮像素子44Aの撮像面に対面している。
第1プリズム56と第2プリズム58は、第1プリズム56の第2面56Bと第2プリズム58の第1面58Aとが接着剤で接着されることで固着されている。
第2プリズム58と第3プリズム60は、第2プリズム58の第2面58Bと第3プリズム60の第1面60Aとが接着剤で接着されることで固着されている。
したがって、第1、第2、第3プリズム56、58、60は一体的に設けられている。
【0012】
第1ダイクロイック膜62は緑の色光を反射し、青と赤の色光を透過する機能を有している。
第2ダイクロイック膜64は青の色光を反射し、赤の色光を透過する機能を有している。
したがって、固定絞り40を通過した入射光は、第1プリズム56の第1面56Aを通過したのち、入射光のうち緑の色光が第1ダイクロイック膜62で反射され第3面56Cを通過して第2撮像素子44Bの撮像面に導かれる。
また、入射光のうち青と赤の色光は、第1ダイクロイック膜62を透過したのち第2プリズム58の第1面58Aを通過したのち第2ダイクロイック膜64に至る。
そして、赤の色光が第2ダイクロイック膜64を透過して第3プリズム60の第1面60A、第2面60Bを通過して第1撮像素子44Aの撮像面に導かれる。
また、青の色光が第2ダイクロイック膜64で反射されたのち第2プリズム58の第3面58Cを通過して第3撮像素子44Cの撮像面に導かれる。
このようにして固定絞り40を通過した入射光は三原色の成分光に分解され、第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cにそれぞれ導かれることになる。
ここで、入射光が三原色に分解される際の方向、すなわち、色分解の方向は第1プリズム56の第3面56C、第2プリズム58の第3面58C,第3プリズム60の第3面60Cにそれぞれ直交する方向であり、したがって、第1プリズム56の第1面56Aと第2面56Bとが交わるエッジE1(すなわち第1プリズム56の入射面と平行な方向に延在するエッジ)および第2プリズム58の第1面58Aと第3面58Cとが交わるエッジE2が撮像光学系16の光路の下部に位置し、第2プリズム58の第1面58Aと第2面58Bとが交わるエッジE3および第3プリズム60の第1面60Aと第3面60Cとが交わるエッジE4が撮像光学系16の光路の上部に位置する。
なお、色分解プリズム42の構成は本実施の形態に限定されるものではなく、従来公知のさまざまな構成が採用可能であり、入射光の色分解の順序も本実施の形態の色分解プリズム42の順序に限定されるものではない。
また、第1乃至第3プリズム56、58、60と第1乃至第3撮像素子44A,44B,44Cとの間に、トリミングフィルタなどが配置されていてもよい。
【0013】
図5は色分解プリズム42(色分解光学系)に入射する光線群の模式図である。
図5に示すように、通常、撮像光学系16を通って色分解プリズム42(色分解光学系)に入射する光線群は、実線Rで示す通り第1乃至第3プリズム56、58、60を通る。
しかしながら、撮像光学系16を透過する光線群には、点線Qで示すように色分解プリズム42を光軸方向から見た場合に上述のエッジE1、E2の近傍を通過する光線群も存在する。
このような光線群Qが色分解プリズム42にそのまま入射すると、例えば、エッジE1、あるいは、エッジE2に光線群Qが入射することになる。
すると、光線群QがそれらエッジE1,E2で反射、屈折、散乱することで異常光線が生じ、この異常光線が各撮像素子44A,44B,44Cに到達してしまうと、撮像された画像にフレアなどが発生する不都合が生じる。
同様に、光線群Qが例えば、エッジE3、あるいは、エッジE4に入射すると、光線群QがそれらエッジE3,E4で反射、屈折、散乱することで異常光線が生じ、この異常光線が各撮像素子44A,44B,44Cに到達してしまうと、撮像された画像にフレアなどが発生する不都合が生じる。
そこで、このようなフレアを防止する目的で、図4に示すように、撮像光学系16を構成する複数のレンズのうち色分解プリズム42に最も近い箇所に配置された最終レンズ1602と色分解プリズム42との間に板状の固定絞り40を設ける。
すなわち、図5に示すように、固定絞り40は入射光を制限する開口66が設けられ、開口66の縁部68により、光線群Qの一部はカットされ、エッジE1、E2、E3、E4などに光線が到達することが防止される。
【0014】
次に、固定絞り40による光線群の制限方向について説明する。
通常、各撮像素子44A、44B、44Cの撮像面における有効撮像範囲の横と縦との比率は横長であり、その比率は、テレビモニタ同様の4:3もしくは16:9といった比率に近いものである。
したがって、各撮像素子44A、44B、44Cをそれらの短辺方向(縦方向)に沿って並べて配置すると、撮像素子44A、44B、44Cおよび第1乃至第3プリズム56、58、60が占有するスペースを縮小でき小型化を図る上で有利となる。
したがって、この場合、色分解プリズム42による色分解の方向は、第1プリズム56の第3面56C、第2プリズム58の第3面58C、第3プリズム60の第3面60Cにそれぞれ直交する方向となり、上述のように、エッジE1およびエッジE2が撮像光学系16の光路の下部に位置し、エッジE3およびエッジE4が撮像光学系16の光路の上部に位置することになる。
そして、フレアなどの不具合の原因となる光線群Qは、色分解プリズム42のエッジE1乃至E4の近傍を通過する光線群であることから、固定絞り40によって制限すべき光線群Qは、撮像光学系16の光路の上部と下部を通過する光線群であり、固定絞り40による光線群の制限は撮像光学系16の光路の上部と下部において積極的に行う必要がある。
一方、各撮像素子44A、44B、44Cの長辺方向(横方向)は、色分解の方向と直交する方向であり、色分解とは直接関連しないので、固定絞り40による光線群の制限は横方向については積極的に行う必要はない。
【0015】
図6は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の概略説明図である。
図7は第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを撮像光学系16側から見た平面図、図8は第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを色分解プリズム42側から見た平面図、図9は図8のAA線断面図である。
図10(A)は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66を撮像光学系16側から見た斜視図、(B)は(A)の拡大斜視図である。
図11(A)は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66を色分解プリズム42側から見た斜視図、(B)および(C)は(A)の拡大斜視図である。
図12は第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
【0016】
本実施の形態では、図7、図8、図9に示すように、固定絞り40は、色分解プリズム42を保持するホルダ80の壁部82によって構成されている。
壁部82は板状を呈し、その厚さ方向の一方の面82Aに色分解プリズム42の第1プリズム56の第1面56Aを取り付けるための取り付け凹部84が形成されている。
取り付け凹部84の底面8402は平坦面で形成され、底面8402に開口66が形成されている。第1プリズム56の第1面56Aは、この底面8402に当て付けられ、第1面56Aの周囲が接着剤などにより底面8402に固定されている。
開口66の周囲で、壁部82の厚さ方向の他方の面82Bと底面8402との間に、第1プリズム56の第1面56Aから離間した平坦な壁部86が形成され、第1面56Aと壁部86との間に僅かな隙間(例えば1mm程度)が形成されている。したがって、本実施の形態では、開口66を縁取る縁部68が壁部86の縁部で構成されている。
【0017】
図6に示すように、固定絞り40の縁部68は、直線部70と円弧部72とを有している。
直線部70は、最終レンズ1602の光軸方向から見て、光軸を通る仮想線に直交する仮想線上を延在しており、直線部70は、互いに対向して平行に延在するように縁部68の2箇所に設けられている。
したがって、2つの直線部70により、撮像光学系16の光路の上部および下部を通過する光線群(エッジE1、E2に向かって撮像光学系16の光路の下部を通過する光線群およびエッジE3、E4に向かって撮像光学系16の光路の上部を通過する光線群)の制限がなされるように図られている。
円弧部72は、最終レンズ1602の光軸を中心とした円周上を延在し直線部70の両端に接続されている。
ここで、直線部70に太陽光や光源などの高輝度被写体からの強い入射光が当たると、回折が発生し撮像した画像に特定の方向に延在する光芒が生じることになる。
なお、円弧部72については、仮に回折現象が発生したとしても、回折によって発生する光芒の方向は特定の方向ではなく、放射方向に一様に発生するため、画質に与える影響は無視できるものとなる。
そこで、本実施の形態では、開口66の縁部68は、最終レンズ1602の光軸方向から見て少なくともエッジE1と平行に複数の凹凸76が並べられて形成され、また、複数の凹凸76は、エッジE1と平行をなしかつ互いに対向する縁部68の箇所に形成されている。
より具体的には、直線部70の全域に回折現象の発生を阻止する複数の凹凸76が形成されている。
なお、図6において符号74は各撮像素子44A、44B、44Cの撮像面のうち被写体像が撮像される有効撮像領域を示す。
【0018】
図11に示すように、凹凸76は、単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第1の波形と、前記単一半径とは値の異なる単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第2の波形とが交互に規則的に繰り返されて並べられることで設けられ、あたかも2種類の波形形状が重ね合わされた形状を呈している。
直線部70と直交する方向における開口66の幅を開口幅(開口径)としたとき、開口幅9.5mmに対し、2種類の波形形状のうち小さい方の波形は波長0.4mm/振幅0.2mmであり、開口幅に対する振幅は2.1%、波長は4.2%となっている。
開口幅9.5mmに対し、2種類の波形形状のうち大きい方の波形は波長0.8mm/振幅0.4mmであり、開口幅に対する振幅は4.2%、波長は8.4%となっている。
なお、開口幅に対する波形の振幅は1%以上8%以下であることが、凹凸76による回折抑制効果(光芒抑制効果)を確保し、点光源のボケ像に波形形状が映し出されることを抑制することでボケ味を含めた撮像画質を確保する上で好ましい。
開口幅に対する波形の振幅が1%未満だと、凹凸部76の加工性の面で不利がある。
また、開口幅に対する波形の振幅が8%を超えると、直線部70による回折抑制効果(光芒抑制効果)の低下や、点光源のボケ像に波形形状が映し出されボケ味を含めた撮像画質が低下する不利がある。
また、開口幅に対する波形の波長は1%以上16%以下であることが、凹凸76による回折抑制効果(光芒抑制効果)を確保し、点光源のボケ像に波形形状が映し出されることを抑制することでボケ味を含めた撮像画質を確保する上で好ましい。
開口幅に対する波形の波長が1%未満だと、凹凸部76の加工性の面で不利がある。
また、開口幅に対する波形の波長が16%を超えると、直線部70による回折抑制効果(光芒抑制効果)の低下や、点光源のボケ像に波形形状が映し出されボケ味を含めた撮像画質が低下する不利がある。
【0019】
本実施の形態によれば、固定絞り40の開口66を縁取る縁部68の直線部70の全域に回折現象の発生を阻止する複数の凹凸76を形成したので、有害な光線群が色分解プリズム42に入射することを直線部70によって防止することでフレアを防止できることは無論のこと、太陽光や光源などの高輝度被写体からの強い入射光が直線部70に当たっても凹凸76によって回折の発生を防止することで撮像した画像における光芒の発生を確実に防止することができ、撮像された画像の品質の向上を図る上で有利となる。
また、通常、固定絞り40の開口66はある程度の大きさを有しており、したがって、直線部70もある程度の長さで構成されているため、凹凸76を構成する波形形状の波長や振幅を極度に小さくする必要はなく、加工性を確保することができるため、凹凸76をプレス加工や射出成型等で容易に形成することができ製造コストの削減を図る上で有利である。
また、凹凸76を構成する波形形状は、直線部70の延在方向に沿って不規則に配置してもよいが、本実施の形態のように凹凸76を構成する波形形状を直線部70の延在方向に沿って規則的に配置すると、凹凸76の加工や品質管理面がより容易となり、量産性の向上を図る上でより有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について説明する。
図13は2の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
第2の実施の形態は、直線部70の凹凸76が、波長が異なる4種類の波形を構成する凸部と凹部が交互に規則的に繰り返されて並べられることで設けられ、あたかも4種類の波形形状が重ね合わされた形状を呈している。
なお、4種類の波形は何れも正弦波である。
4種類の波形形状は、開口幅9.5mmに対し、波長は0.32mm、0.68mm、0.44mm、0.56mm、振幅はいずれの波形も0.2mmであり、開口幅に対する波長はそれぞれ3.4%、7.2%、4.6%、5.9%、振幅は一律2.1%となる。
第2の実施の形態においても、開口幅に対する4種類の波形の振幅が1%以上8%以下であり、開口幅に対する4種類の波形の波長は1%以上16%以下であることが凹凸76による回折抑制効果(光芒抑制効果)を確保し、点光源のボケ像に波形形状が映し出されることを抑制することでボケ味を含めた撮像画質を確保する上で好ましいことは第1の実施の形態と同様である。
このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、第1の実施の形態では凹凸76が2種類の凸部および凹部で設けられていたのに対して、第2の実施の形態では凹凸76が4種類の凸部および凹部で設けられ波形形状がより一層複雑化していることから、回折現象を防止する効果をより一層高めることができ、撮像された画像の品質の向上を図る上でより一層有利となる。
なお、第2の実施の形態では、凹凸76を構成するために4種類の波形形状を組み合わせているが、組み合わせる波形形状の種類は3種類でも、5種類以上であっても構わない。
また、各波形形状の振幅は一定である必要はない。
また、各波形形状の配列の順番に制限は無い。
また、2つの直線部70の凹凸76の波形形状は、同一であっても、異なっていても構わない。
【0021】
図14は、直線部70に形成する凹凸76として、同一半径の半円から成る波形形状を用いた変形例を示す開口66の平面図である。
この場合にも、凹凸76の作用により、直線状に延在する光芒の発生を防止することができるが、凹凸76を構成する波形形状を複数組み合わせた第1、第2の実施の形態の方が撮像された画像の品質の向上を図る上でより有利となる。
【0022】
また、凹凸76の波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状の組み合わせで形成してもよいし、正弦波の一部を切り取った形状で形成してもよい。
また、凹凸76の波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状と正弦波の一部を切り取った形状とを組み合わせてもよい。
また、凹凸76の波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状の組み合わせ、正弦波の一部を切り取った形状以外の形状であってもよく、要は、凹凸76の波形形状が回折現象の発生を阻止することができる形状であればよい。
ただし、凹凸76の波形形状に規則性を持たせると、凹凸76の加工や品質管理面がより容易となり、量産性の向上を図る上でより有利である。
【0023】
なお、実施の形態では、色分解プリズム42のエッジE1乃至E4が撮像光学系16の光路の上下に位置していることから、固定絞り40の直線部70を上下2箇所に設けた場合について説明した。
しかしながら、色分解プリズム42のエッジが撮像光学系16の光路の上下の一方のみに位置している場合には、固定絞り40の直線部70も上下の一方に設ければよいことは無論であり、その場合には、縁部68のうち直線部70を除く部分を連続した円弧部で構成することができる。
【0024】
また、実施の形態では、固定絞り40の縁部68が対向する2つの直線部70と2つの円弧部76とで構成された場合について説明したが、縁部68の形状はこれに限定されるものではなく以下に示すような変形が可能である。
図15(A)に示す固定絞り40は、縁部68が2つの直線部70を有し、2つの直線部70の両端が直線部78で接続され、開口60が矩形状を呈している。また、凹凸部76は各直線部70の全域に形成されている。
図15(B)に示す固定絞り40は、縁部68が2つの直線部70を有し、2つの直線部70の両端が互いに屈曲する3つの直線部80で接続され、開口60が八角形を呈している。また、凹凸部76は各直線部70の全域に形成されている。
図15(C)に示す固定絞り40は、縁部68が2つの直線部70を有し、2つの直線部70の両端が屈曲する2つの直線部82で接続され、開口60が六角形を呈している。また、凹凸部76は各直線部70の全域に形成されている。
図15(D)に示す固定絞り40は、第1の実施の形態と同様に縁部68が対向する2つの直線部70と2つの円弧部76とで構成されているが、また、凹凸部76は各直線部70の中央に形成され、直線部70の中央を除く両端は凹凸76が形成されない直線部分84とされている。
上述した各変形例によっても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【0025】
また、実施の形態では、撮像装置としてデジタルスチルカメラを例示したが、本発明はビデオカメラ、あるいは、カメラ付きの携帯電話機、PDA、携帯用電子機器などさまざまな撮像装置に無論適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】撮像装置10を前方から見た斜視図である。
【図2】撮像装置10を後方から見た斜視図である。
【図3】第1の実施の形態における撮像装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】撮像光学系16、固定絞り40、色分解プリズム42、第1乃至第3撮像素子44A、44B、44Cの構成を示す模式図である。
【図5】色分解プリズム42(色分解光学系)に入射する光線群の模式図である。
【図6】第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の概略説明図である。
【図7】第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを撮像光学系16側から見た平面図である。
【図8】第1の実施の形態における色分解プリズム42を取り付けるホルダを色分解プリズム42側から見た平面図である。
【図9】図8のAA線断面図である。
【図10】(A)は固定絞り40の開口66を撮像光学系16側から見た斜視図、(B)は(A)の拡大斜視図である。
【図11】(A)は固定絞り40の開口66を色分解プリズム42側から見た斜視図、(B)および(C)は(A)の拡大斜視図である。
【図12】第1の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
【図13】第2の実施の形態における固定絞り40の開口66の平面図である。
【図14】変形例における固定絞り40の開口66の平面図である。
【図15】(A)乃至(D)は他の変形例における固定絞り40の開口66の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
10……撮像装置、16……撮像光学系、1602……最終レンズ、42……色分解プリズム、44A……第1撮像素子、44B……第2撮像素子、44C……第3撮像素子、40……固定絞り、66……開口、68……縁部、70……直線部、72……円弧部、76……凹凸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系と、
前記撮像光学系によって導かれた入射光を三原色の成分光に分解して出射する3つの色分解プリズムと、
前記色分解プリズムから出射される前記3つの成分光のそれぞれを受光して撮像信号をそれぞれ生成する3つの撮像素子とを備え、
前記3つの色分解プリズムのうち、前記入射光が最初に入射される第1の色分解プリズムは入射面と平行な方向に延在するエッジを有し、
前記撮像光学系は、該撮像光学系を構成する複数のレンズのうち前記第1の色分解プリズムに最も近い箇所に配置された最終レンズと前記第1の色分解プリズムとの間に設けられた板状の固定絞りを有し、
前記固定絞りは、前記入射光を制限する開口を有し、
前記開口の縁部は、前記最終レンズの前記光軸方向から見て少なくとも前記エッジと平行に複数の凹凸が並べられて形成されている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記凹凸は、前記エッジと平行をなしかつ互いに対向する前記縁部の箇所に形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記凹凸は、凸部と凹部とからなる第1の波形と、前記凸部と凹部とは形状の異なる凸部と凹部とからなる第2の波形とが交互に規則的に繰り返され並べられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記凹凸は、単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第1の波形と、前記単一半径とは値の異なる単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第2の波形とが交互に規則的に繰り返されて並べられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記凹凸は、波長および振幅が異なる複数種類の波形を構成する凸部と凹部が交互に規則的に繰り返されて並べられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状の組み合わせで形成されている、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記波形を構成する凸部および凹部は、正弦波の一部を切り取った形状で形成されている、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記直線部と直交する方向における前記開口の幅を開口幅としたとき、
前記開口幅に対する前記波形の振幅は1%以上8%以下であり、
前記開口幅に対する前記波形の波長は1%以上16%以下である、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像光学系と、
前記撮像光学系によって導かれた入射光を三原色の成分光に分解して出射する3つの色分解プリズムと、
前記色分解プリズムから出射される前記3つの成分光のそれぞれを受光して撮像信号をそれぞれ生成する3つの撮像素子とを備え、
前記3つの色分解プリズムのうち、前記入射光が最初に入射される第1の色分解プリズムは入射面と平行な方向に延在するエッジを有し、
前記撮像光学系は、該撮像光学系を構成する複数のレンズのうち前記第1の色分解プリズムに最も近い箇所に配置された最終レンズと前記第1の色分解プリズムとの間に設けられた板状の固定絞りを有し、
前記固定絞りは、前記入射光を制限する開口を有し、
前記開口の縁部は、前記最終レンズの前記光軸方向から見て少なくとも前記エッジと平行に複数の凹凸が並べられて形成されている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記凹凸は、前記エッジと平行をなしかつ互いに対向する前記縁部の箇所に形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記凹凸は、凸部と凹部とからなる第1の波形と、前記凸部と凹部とは形状の異なる凸部と凹部とからなる第2の波形とが交互に規則的に繰り返され並べられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記凹凸は、単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第1の波形と、前記単一半径とは値の異なる単一半径の半円状の凸部と凹部とからなる第2の波形とが交互に規則的に繰り返されて並べられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記凹凸は、波長および振幅が異なる複数種類の波形を構成する凸部と凹部が交互に規則的に繰り返されて並べられることで形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記波形を構成する凸部および凹部は、円または楕円の一部を切り取った形状の組み合わせで形成されている、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記波形を構成する凸部および凹部は、正弦波の一部を切り取った形状で形成されている、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記直線部と直交する方向における前記開口の幅を開口幅としたとき、
前記開口幅に対する前記波形の振幅は1%以上8%以下であり、
前記開口幅に対する前記波形の波長は1%以上16%以下である、
ことを特徴とする請求項3乃至5に何れか1項記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−177277(P2009−177277A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11149(P2008−11149)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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