説明

撮像装置

【課題】撮像部に塵埃の付着しにくい撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置(1)は、被写体の像を撮像する撮像素子(41A)を備えた撮像部(41)と、前記撮像部(41)を保持する第1筐体(44)と、前記第1筐体(44)よりも前記被写体側に配置される保護カバー(32)と、前記第1筐体(44)とは独立した筐体であり、前記保護カバー(32)を保持し、且つ前記被写体側に交換レンズ(20)を着脱可能に装着するためのマウント構造(10M)を前記保護カバー(32)よりも前記被写体側に備えている第2筐体(30)と、を備え、前記第1筐体(44)又は前記第2筐体(30)の少なくとも一方と、前記撮像部(41)と、前記保護カバー(32)と、によって密閉空間(90)が形成されていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を撮像する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換式デジタルカメラ等の撮像装置は、一般に撮影レンズ着脱の際にカメラ本体の内部空間が外部に晒される構造を有している。このため、外部からカメラ本体の内部空間に侵入する塵埃が、撮像部に付着するという問題を生じる。
このため、撮影者側の撮像素子と被写体側のマウント近傍に配置された透明カバーとを壁部として含む筐体で密閉空間を形成し、カメラ本体外部からの進入する塵埃の撮像部への付着を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−241869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術は、被写体光をファインダ部へ導くミラーがその密閉空間内に配置されているため、密閉空間内部において塵埃が発生し、撮像部に付着する可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、撮像部に塵埃の付着しにくい撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、被写体の像を撮像する撮像素子(41A)を備えた撮像部(41)と、前記撮像部(41)を保持する第1筐体(44)と、前記第1筐体(44)よりも前記被写体側に配置される保護カバー(32,232,332)と、前記第1筐体(44)とは独立した筐体であり、前記保護カバー(32,232,332)を保持し、且つ前記被写体側に交換レンズ(20)を着脱可能に装着するためのマウント構造(10M)を前記保護カバー(32,232,332)よりも前記被写体側に備えている第2筐体(30,230,330)と、を備え、前記第1筐体(44)又は前記第2筐体(30,230,330)の少なくとも一方と、前記撮像部(41)と、前記保護カバー(32,232,332)と、によって密閉空間(90)が形成されていること、を特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置(1,2,200,300)であって、前記第1筐体(44)に設けられ且つ前記撮像素子(41A)の撮像面に垂直な光軸に沿って延びる第1筒状部(44E)、または、前記第2筐体(30,230,330)に設けられ且つ前記光軸に沿って延びる第2筒状部(33)の少なくとも一方を有すること、を特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の撮像装置(1,2,200,300)であって、前記第1筐体(44)が前記第1筒状部(44E)を有する場合、該第1筒状部(44E)と前記保護カバー(32,232,332)または前記第2筐体(30,230,330)との間に第1封止部材(91)が設けられ、前記第2筐体(30,230,330)が前記第2筒状部(33)を有する場合、該第2筒状部(33)と前記撮像部(41)または前記第1筐体(44)との間に第2封止部材(92)が設けられていること、を特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の撮像装置(1,2,200,300)であって、前記第1筐体(44)が前記第1筒状部(44E)を有し、前記第2筐体(30,230,330)が前記第2筒状部(33)を有する場合、前記第1筒状部(44E)が前記第2筒状部(33)の内側に配置されていること、を特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置(1,2,200,300)であって、前記撮像部(41)と前記第1筐体(44)との間に第3封止部材(93)が介在されてしていること、を特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の撮像装置(1,2,200,300)であって、前記撮像部(41)は、前記撮像素子(41A)の撮像面に垂直な方向における位置調整が可能であることを特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置(1,2,200,300)であって、前記撮像部(41)は、前記第2筐体(30,230,330)に対して、前記撮像素子(41A)の撮像面と平行な方向において位置調整が可能であること、を特徴とする撮像装置(1,2,200,300)である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置(2)であって、前記第2筐体(30,230,330)は、前記撮像部(41)に入射する被写体光の通過領域を開閉可能なバリア部材(100)を、前記保護カバー(32)よりも前記被写体側に備えること、を特徴とする撮像装置(2)である。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置(200,300)であって、前記保護カバー(232,332)は、前記撮像装置(200,300)が組み立てられた状態で、前記第2筐体(230,330)に対して着脱可能であること、を特徴とする撮像装置(200,300)である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の撮像装置(200,300)であって、前記保護カバー(232,332)の被写体側に配置され、前記第2筐体(230,330)に対する着脱構造を有し、前記第2筐体(230,330)との間で前記保護カバー(232,332)を挟持する保持部材(236,336)を備えること、を特徴とする撮像装置(200,300)である。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の撮像装置(300)であって、前記着脱構造は、前記保持部材(336)の像側の外周部に設けられ、一端が該保持部材(336)に結合されて該結合部から円周に沿って前記保持部材(336)と平行に延びる腕部(320)と、前記第2筐体(330)に設けられた、該腕部(320)が挿入可能な挿入口(337)と、を備え、前記第2筐体(330)と前記保持部材(336)との間に前記保護カバー(332)を配置した状態で、前記腕部(320)を前記挿入口(337)に挿入し、前記保持部材(336)を前記腕部(320)における前記一端側から前記他端側に向かう方向に回転すると、前記挿入口(337)に挿入されていた前記腕部(320)の前記他端側が前記第2筐体(330)の像側背面に入り込み、前記保持部材(336)が前記第2筐体(330)に固定されるように構成されていること、を特徴とする撮像装置(300)である。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の撮像装置(300)であって、前記腕部(320)の前記被写体側面の先端部には係合部(313)が設けられ、前記第2筐体(330)の前記像側面には、前記保持部材(336)を前記第2筐体(330)に対して回転したときに前記係合部(313)が係合する被係合部(302A,302B)が設けられていること、を特徴とする撮像装置(300)である。

なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像部に塵埃の付着しにくい撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態としてのカメラの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1においてカメラ本体から撮像レンズを取り外した状態を示す断面図である。
【図3】撮像ユニットを前面側から見た図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態としてのカメラの概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態としてのカメラの概略構成を示す断面図である。
【図7】第3実施形態においてカメラ本体からカバーガラスを取り外した状態を示した図である。
【図8】図6におけるAA方向から見た図であり、カメラ構造体より内径側のみを示す。
【図9】本発明の第4実施形態としてのカメラの概略構成を示す断面図である。
【図10】第4実施形態においてカメラ本体からカバーガラスを取り外した状態を示した図である。
【図11】図10におけるBB方向から見た図であり、保持部材がカメラ構造体に固定されている状態を示す。
【図12】図10におけるBB方向から見た図であり、保持部材がカメラ構造体から取り外し可能な状態を示す。
【図13】(a)は、図11のCC線に沿った断面図であり、(b)は図12のCC線に沿った断面図である。
【図14】第3実施形態カメラの変形形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態のカメラ1の概略構成を示す断面図である。図2は、カメラ本体10から、カメラ1に着脱自在な交換レンズ20を取り外した状態の断面図である。
なお、以下の図には、説明と理解を容易にするために、適宜XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。また、以下の説明においては、被写体に向かうZプラス方向を前面側、その逆側のZマイナス側を背面側とも呼ぶ。
【0011】
カメラ1は、レンズ交換式のカメラであって、カメラ本体10と、そのカメラ本体10に対して着脱可能な交換レンズ20とにより構成されている。カメラ本体10はボディマウント10Mを備える一方、交換レンズ20はレンズマウント20Mを備える。そして、ボディマウント10Mとレンズマウント20Mとの結合によって、カメラ本体10に対して交換レンズ20が光軸OAを一致させた状態で装着される。これにより、カメラ本体10に対して交換レンズ20が着脱可能となり、撮影対象に応じて焦点距離や機能などの異なる種々の交換レンズ20を用いることができる。
【0012】
カメラ本体10は、カメラ構造体30と、カメラ構造体30に装着された撮像ユニット40と、電子ビューファインダー50と、これらの構成部材を収容する外装部材60等により構成されている。また、外装部材60のカメラ本体10の背面側(Zマイナス側)に、表示装置70(液晶パネルなど)を備えている。
【0013】
カメラ構造体30は、カメラ本体10の前面側(被写体光が入射する側)に配置される部材であり、その略中央には、被写体光が通過する開口部31が形成されている。カメラ構造体30の前面側の外面には、ボディマウント10Mがマウントネジ89によって固定されている。
【0014】
撮像ユニット40は、カメラ構造体30の背面側に装着されるユニットである。撮像ユニット40は、被写体光を電気信号に変換するCCDなどの撮像素子41Aを備えた撮像部41を撮像基板42に保持しており、撮像素子41Aの受光面を光軸OAに対して直角として、撮像基板42を介してカメラ構造体30に装着されている。
【0015】
交換レンズ20の光学系を介して撮像ユニット40の撮像素子41Aに結像された被写体像は撮像素子41Aによって電気信号に変換される。撮像素子41Aによって光電変換された撮像データは、撮像実装基板41Dを介し、図示しない制御装置によって画像データとして信号処理される。信号処理された画像データは電子ビューファインダー50および表示装置70に送られ、また、撮影時には、図示しない記録装置に記録される。
【0016】
なお、本実施形態のカメラ1(カメラ本体10)は、機械式のシャッター装置を備えていない。撮影時における撮像素子41Aに対する被写体光の露光時間(撮像素子41Aが被写体光を蓄積する時間)の調整は、制御部が撮像素子41Aを電気的に制御(電子シャッタ制御)して行う。
【0017】
電子ビューファインダー50は、カメラ本体10の上部に配置され、撮像照射モジュール51と、接眼光学系52と、を備えている。
電子ビューファインダー50は、撮像素子41Aによって撮像したスルー画像を撮像照射モジュール51に表示する。撮影者は、撮像照射モジュール51に表示された画像を、接眼光学系52を介して視認することができる。これにより、クイックリターンミラーを備えることなく、いわゆる一眼レフのように撮像素子41Aによる撮像をリアルタイムで見ることができる。
【0018】
表示装置70は、撮像素子41Aによって撮像したスルー画像を液晶パネルに表示する。これにより、電子ビューファインダー50を覗くことなく、表示装置70を介して撮像素子41Aによる撮像を見て撮影することもできる。
【0019】
詳しくは後述するが、カメラ構造体30と撮像ユニット40とは、外部と隔絶された密閉空間90を形成する防塵構造を構成している。これによって、交換レンズ20を交換する際などに、外部から侵入した塵埃が撮像ユニット40に付着して撮像素子41Aによる撮像に写り込むなどの不具合を防ぐようになっている。
【0020】
つぎに、前述の図1および図2に加えて図3および図4を参照し、このカメラ構成の防塵構造について詳細に説明する。
図3は、撮像ユニット40を前面側から見た図である。図4は、図3のA−A線断面図である。
【0021】
カメラ構造体30は、前述したように、その略中央に被写体光の通過する開口部31を備えており、その開口部31の前面側開口部にカバーガラス32が装着されている。開口部31は、撮像ユニット40の撮像素子41Aに至る被写体光の通過を妨げない大きさおよび形状に設定されている。本実施形態では、図示しないが、撮像素子41Aの写角と対応する矩形形状となっている。なお、開口部31の形状は矩形に限らず、たとえば円形などであってもよい。
【0022】
カメラ構造体30に装着されたカバーガラス32は、透明な部材によって所定厚さの板状に形成されている。そして、開口部31の前面側に形成された凹部に収容される。そして、カメラ構造体30の前面に固定部材35によって、カバーガラス32の背面側の面を開口部31の凹部の前面側の面に密着させた状態で、止めネジ88にてカメラ構造体30に固定されている。これにより、カバーガラス32が開口部31の前面側の開口部を密閉し、カメラ本体10の前面側から開口部31の内部への塵埃の侵入を阻止するようになっている。なおカバーガラス32としては、平行平板ガラスに限られるものではなく、レンズ(凹レンズまたは凸レンズ)を用いても構わない。
【0023】
また、カメラ構造体30の背面側には、外筒部33が設けられている。外筒部33は、開口部31の周囲に設けられた角筒形状(円筒形状でも可)を有している。外筒部33より外周側の、カメラ構造体30の背面側には、撮像ユニット40を支持する支持部34が、カメラ本体10の背面側に向かって所定長さで立設されている。この支持部34は、カメラ構造体30と撮像ユニット40とを締結するときに図3に示す撮像ユニット40の部位42Bに位置づけられる(対応する)ように、カメラ構造体30上の3箇所に設けられている。
支持部34の背面側端部には、固定雌ネジが形成されると共に、所定径および所定深さの穴グリが固定雌ネジと同芯に形成されている。
【0024】
上記のように構成されたカメラ構造体30には、その背面側に撮像ユニット40が調整装着ネジ81によって装着される。この撮像ユニット40は、撮像素子41Aと、撮像素子41Aを保持する撮像基板42と、光学ローパスフィルタ43と、遮光構造体44とが、一体に組み立てられて構成されている。そして、一体の撮像ユニット40として、カメラ構造体30に装着される。
【0025】
撮像部41は、図1および図4に示すように、撮像素子41Aが配置された撮像部41の背面側の周囲には、撮像実装基板41Dが設けられ、この撮像実装基板41Dが撮像素子41Aと外部との電気的な接続を担っている。
撮像素子41Aは、撮像基板42に対する遮光構造体44の固定によって、同時に撮像基板42に固定される。この固定構造については後述する。
【0026】
撮像基板42は、図3に示すように、前面側から見た形状が撮像部41と略相似形の大形な矩形である。撮像基板42の中央部には、撮像部41を支持する支持凸部42A(図1および図4参照)が、前面側に向けて所定高さに突出形成されている。この支持凸部42Aの面内において撮像部41の位置調整(XY位置調整)を行った後で、支持凸部42A上に撮像部41の背面側が接着剤等により固定される。
【0027】
また、撮像基板42には、カメラ構造体30の支持部34と対応する位置に、それぞれ貫通孔を有する固定部42Bが設けられている。すなわち、固定部42Bは、上側に2カ所、下側に1カ所の合計3カ所設けられている。撮像基板42は、この固定部42Bでカメラ構造体30に装着される。
さらに、撮像基板42の左右両側には、遮光構造体44を位置決めする位置決め突起(ボス)42Cが、それぞれ前面側に向けて所定高さで突設されている。
【0028】
光学ローパスフィルタ43は、撮像素子41Aの受光面に結像される被写体像にモアレなどが発生するのを抑制するための板状のフィルタである。光学ローパスフィルタ43は、撮像部41の前面側に、間にマスク45を挟んで配置されている。
光学ローパスフィルタ43は、前述の撮像部41と同様に、撮像基板42への遮光構造体44の固定によって、同時に撮像基板42に固定される。この固定構造については後述する。
【0029】
遮光構造体44は、図3に示すように、前面側から見た外形形状が、撮像部41と略相似形で一回り大きい矩形の角筒状に形成されている。
遮光構造体44の内周には、図1および図4に示すように、背面側(図中右側)から順番に、撮像実装基板41Dを収容する実装基板収容段部44Aと、撮像部41を収容する撮像部収容段部44Bと、光学ローパスフィルタ43を収容するフィルタ収容段部44Cとが、前面側程先細りとなる段々に形成されている。
【0030】
また遮光構造体44は、前面側に向かって前面側が小さくなる方向の段付によって所定長さに延びる角筒形状であって、内筒部44Eを備える。この内筒部44Eの外周側には、前面側に向いた所定幅のシール段面44Dが形成されている。
さらに、遮光構造体44の基端部(背面側の端部)の外周には、上側(Yプラス側)と下側(Yマイナス側)の左右両端近傍に、それぞれ雌ネジを備える固定突部44Fが設けられている。すなわち、固定突部44Fは、遮光構造体の四隅にそれぞれ設けられている。
さらに遮光構造体44は、位置決め穴44Gによって、前述した位置決め突起42Cと位置決めされる。
【0031】
遮光構造体44は、撮像基板42を貫通して固定突部44Fの雌ネジに螺合する固定ネジ82によって、撮像基板42に固定されている。
この撮像基板42への遮光構造体44の固定状態において、フィルタ収容段部44Cが、ローパスフィルタ43と、撮像部41とを、撮像基板42に向けて押圧し、撮像基板42に固定している。すなわち、撮像部41と光学ローパスフィルタ43とは、遮光構造体44によっていわゆる共締め状態で撮像基板42に固定されている。なおマスク45が、後述するようなゴム材料で構成されているものであれば、撮像部41はこのマスク45によっても押圧されることになる。
ここで、フィルタ収容段部44Cにおける光軸とOAに対して垂直な面と光学ローパスフィルタ43の間には、撮像部内シール部材93が介装されている。また、光学ローパスフィルタ43と撮像素子41Aの間には、前述のマスク45が介装されている。
【0032】
撮像部内シール部材93は、所定の弾性を有するシリコーンゴム、または、独立気泡性のスポンジゴムなどによって形成されている。この撮像部内シール部材93は、フィルタ収容段部44Cと光学ローパスフィルタ43との間に挟まれて圧縮され、所定量弾性変形した状態となって両者に密着し、両者間の内外を気密的にシールする。
【0033】
マスク45は、光学ローパスフィルタ43と撮像部41の前面側に両者を接触させないように隙間を形成するために介装されるものである。合成樹脂素材などによって形成してもよいが、弾性を有して密着するシリコーンゴムなどのゴム素材によって形成すれば、塵埃の侵入を防ぐシール材として機能させることができる。
【0034】
また、撮像部41の撮像実装基板41Dは、支持凸部42Aの周囲の一段低い撮像基板42の前面側に収容される。
【0035】
上記のように構成された撮像ユニット40は、カメラ構造体30に、撮像基板42の固定部42Bを介して光軸OA方向に位置調整(フランジバック調整)可能に装着される。すなわち、撮像ユニット40の固定部42Bを貫通した調整装着ネジ81が、カメラ構造体30の支持部34に設けられた穴グリに挿置されたコイルスプリング83を貫通して固定雌ネジに螺合することで、撮像ユニット40がカメラ構造体30に装着される。コイルスプリング83は、その弾性復帰力で撮像基板42を調整装着ネジ81の頭部下面に押圧付勢する。従って、調整装着ネジ81の頭部下面の光軸OA方向の位置によって撮像ユニット40の光軸OA方向の位置が規定される。これにより、調整装着ネジ81を回転させて光軸OA方向に進退調整することで、カメラ構造体30のボディマウント面に対する撮像ユニット40の光軸OA方向の位置を調整することができる。そして、この調整装着ネジ81による位置調整後は、カメラへ加わる振動などの影響を受けてネジ81が動いてしまわないように、その調整位置においてネジ81を接着剤等で接着固定することが望ましい。
【0036】
ところで撮像基板42の各固定部42Bに、調整装着ネジ81との係合のためにそれぞれ設けられている穴の径は、調整装着ネジ81の芯部の径よりも若干大きめに(ネジ頭部の径よりは小さく)形成されている。これは、撮像基板42の固定部42Bの、支持部34に対するXY面内における位置関係を調整できるようにするためにである。この位置関係を調整することによって、カメラ構造体30に対する撮像ユニット40のXY方向(撮像面に平行な方向)の位置関係を調整することができる。この撮像ユニット40のカメラ構造体30に対するXY位置調整作業は、調整装着ネジ81が接着固定される前に行っておくようにする。
【0037】
なお、カメラ構造体30に、撮像ユニット40を、光軸OA方向の位置調整を行って固定する構造は、上記構成に限るものではない。たとえば、撮像ユニット40の固定部42Bを、カメラ構造体30の支持部34に密着させてネジ等で固定する構成とし、支持部34の端面、またはその端面に密着する固定部42Bの面を切削加工することで、カメラ構造体30に対する撮像ユニット40の光軸OA方向の位置を調整するように構成してもよい。
【0038】
カメラ構造体30に撮像ユニット40が装着された状態において、撮像ユニット40における遮光構造体44の内筒部44Eは、カメラ構造体30における外筒部33の内周側に嵌入される。内筒部44Eの前面側の端面と、カメラ構造体30におけるカバーガラス32の背面とは、所定の間隔を有し、その間には第1シール部材91が介装されている。
カメラ構造体30における外筒部33の背面側の端面は、撮像ユニット40における遮光構造体44のシール段面44Dと所定間隔を有して対向し、この対向する面の間に、第2シール部材92が介装されている。
【0039】
第1シール部材91は、所定の弾性を有するシリコーンゴム、または、独立気泡性のスポンジゴムなどによって形成されている。そして、カメラ構造体30のカバーガラス32と撮像ユニット40における遮光構造体44の内筒部44Eとの間に挟まれて圧縮され、所定量弾性変形した状態となって両者に密着し、両者間の内外を気密的にシールする。
【0040】
第2シール部材92は、第1シール部材91と同様に、所定の弾性を有するシリコーンゴム、または、独立気泡性のスポンジゴムなどによって形成されている。そして、カメラ構造体30における外筒部33と撮像ユニット40における遮光構造体44のシール段面44Dとの間に挟まれて圧縮され、所定量弾性変形した状態となって両者に密着し、両者間の内外を気密的にシールする。
【0041】
上記のようなカメラ構造体30と撮像ユニット40との結合構造によって、カメラ構造体30のカバーガラス32と、撮像ユニット40との間には、外部と気密的に隔絶されて、外部からの塵埃の侵入を防ぐ密閉空間90が形成されている。
すなわち、カメラ構造体30の前面側から密閉空間90への塵埃の侵入は、カバーガラス32が防ぐ。カメラ構造体30に装着された撮像ユニット40の背面側からの塵埃の侵入は、撮像ユニット40の特にシール部材93とマスク45が防ぐ。
【0042】
また、カメラ構造体30と撮像ユニット40との結合部位の周囲からの密閉空間90への塵埃の侵入は、カメラ構造体30の外筒部33および撮像ユニット40における遮光構造体44(シール段面44D)の間に介設された第2シール部材92と、カメラ構造体30に装着されたカバーガラス32および撮像ユニット40における遮光構造体44の内筒部44Eとの間に介装された第1シール部材91と、が阻止する。つまり、カメラ構造体30と撮像ユニット40との結合部位の周囲は、第2シール部材92と、第1シール部材91との二重のシール構造によって密閉空間90への塵埃の侵入を防ぐようになっている。なお、このカメラ構造体30と撮像ユニット40との結合部位の周囲からの塵埃に侵入を防ぐシール構造は、必ずしも二重に設けなければならないものではなく、いずれか一方のみであってもよい。しかし、本実施の形態のように二重構造とすれば、より高い塵埃侵入防止効果が得られる。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、カメラ構造体30のカバーガラス32と、撮像ユニット40との間には、その外部と隔絶された密閉空間90が形成される。
これにより、交換レンズ20を交換する際などに、外部から侵入した塵埃が撮像ユニット40(撮像部41の前面側(光路面側)や光学ローパスフィルタ43)に付着して、撮像素子41Aによる撮像に写り込むといった不具合を防ぐことができる。なお、交換レンズ20を交換する際に、塵埃がカバーガラス32の外側表面(前面)に付着することは生じ得る。しかし、カバーガラス32の配設位置は撮像素子41Aから離間して位置しており、万一カバーガラス32の前面に塵埃が付着したとしても撮像への影響は小さい。また、カバーガラス32はカメラ構造体30の前面側開口部に配置されており、ボディマウント10Mのマウント面から近いため、容易に清掃することができる。
【0044】
さらに、本実施形態におけるカメラ1は、クイックリターンミラーやシャッターを備えておらず、密閉空間90の内部に可動機構は全く配設されていない。従って、密閉空間90の内部において、可動機構の作動によって生成された微細な摩耗塵などが撮像ユニット40に付着すること生じない。
【0045】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)カメラ構造体30と撮像ユニット40とが、撮像ユニット40の周囲に外部と隔絶された密閉空間90を形成することで、交換レンズ20を交換する際などに、外部から侵入した塵埃が撮像ユニット40に付着して撮像素子41Aによる撮像に写り込むなどの不具合を防ぐことができる。
【0046】
(2)密閉空間90の内部に可動機構は配設されていないため、密閉空間90の内部において、可動機構が作動することで生成された微少な摩耗塵などが撮像ユニット40に付着することがない。
【0047】
(3)ボディマウント10Mを備えるカメラ構造体30と、撮像部41を備える撮像ユニット40とが、別体として構成され、カメラ構造体30のボディマウント10Mに対して撮像ユニット40が光軸OA方向に位置調整可能に装着されていることにより、撮像ユニット40で撮像部41の位置精度の調整や加工を行うことができ、組み立て調整作業が容易となると共に、精度確保も容易となる。
【0048】
(4)ボディマウント10Mを備えるカメラ構造体30と、撮像部41を備える撮像ユニット40とが、別体として構成されていることにより、製造時における内部の清掃作業を容易に行うことができる。
【0049】
(5)密閉空間90は、カメラ構造体30に別体の撮像ユニット40が装着されて構成されていることにより、万一密閉空間90の内部に塵埃が発見された場合でも、分解清掃を容易に行うことができ、メンテナンスの作業性が良好である。
【0050】
(第2実施形態)
つぎに、図5に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。
図5は、第2実施形態のカメラ2の概略構成を示す断面図である。なお、カメラ2の基本構成は前述した図1および図2に示すカメラ1と同様であり、同機能の部位には同符号を付して説明は省略する。
前述の実施形態におけるカメラ1は、機械式のシャッター装置を備えていない。従って、交換レンズ20の前面にキャップを被せるなどの遮光手段が施されていないと、撮像素子41Aは交換レンズ20から入射した像光に常時曝されることとなる。これは、撮像素子41Aの種類によっては、耐久性などの観点から好ましくない場合がある。
【0051】
第2実施形態におけるカメラ2は、カメラ本体10のカメラ構造体30におけるカバーガラス32の前面側に、バリア部材100を備えている。
バリア部材100は、バリア基板101とカバー板102との間に、光路を開閉可能なバリア群103を備えて構成されている。そして、図示しない駆動手段によって、バリア群103が開閉駆動される。なお、本実施形態におけるバリア部材100は、露光時間を司る高い精度は必要とせず、開閉可能で閉状態において光路を遮蔽するものであれば、どのような構成であってもよい。
バリア部材100は、カメラ構造体30の前面側に形成された凹部に収容され、その周囲で装着ネジ84によってカメラ構造体30に固定されている。
【0052】
ここで、バリア部材100のカバー板102の背面側に隣接して位置するカバーガラス32は、バリア部材100のカメラ構造体30への固定によって、バリア部材100に押圧されてカメラ構造体30に固定されるようになっている。つまり、本構成では、バリア部材100は、カバーガラス32をカメラ構造体30に固定する固定部材(前述の実施形態における固定部材35)を兼ねている。これにより、専用の固定部材を必要とせず、部品点数や組立工数を削減できる合理的な構成となっている。
【0053】
バリア部材100におけるバリア群103の開閉は、図示しない制御部によって制御される。基本的には、メインスイッチが切られた状態(電源OFF状態)ではバリア群103は閉ざされ、メインスイッチが入れられた撮影待機状態(電源ON状態)でバリア群103が開放される。また、電源ON状態であっても、カメラ本体10に交換レンズ20が装着されていない状態(カメラ本体10から交換レンズ20が取り外された状態)では、バリア群103は閉ざされる。その他、長時間露光の際などにおいて、バリア群103を閉ざしてバックグラウンドノイズを減算処理するためのバックグラウンドノイズ情報を取得する際に用いることもできる。
【0054】
以上説明した第2実施形態の構成によれば、密閉空間90の前面側を構成するカバーガラス32のさらに前面側にバリア部材100を備え、電源OFF状態時にはバリア群103を閉ざすことで、撮像部41の撮像素子41Aが交換レンズ20から入射した像光に常時曝されること防ぎ、撮像素子41Aを保護することができる。
また、カメラ本体10に交換レンズ20が装着されていない状態ではバリア群103を閉ざすことで、交換レンズ20を交換する際などにカバーガラス32の表面に塵埃が付着することを防ぐことができる。
またバリア群を閉ざしておくことによって、カバーガラス32に異物が直接接触してカバーガラス表面を傷つけてしまう(例えばレンズ交換時に交換レンズの端面がカバーガラス表面にぶつかって傷つけてしまう)といった虞を回避することが出来る。
【0055】
上記第2実施形態によると、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)密閉空間90を構成するカバーガラス32の前面側にバリア部材100を備え、電源OFF状態時にはバリア群103を閉ざすことで、撮像素子41Aが交換レンズ20から入射した像光に常時曝されること防ぎ、センサ41Aを保護することができる。
【0056】
(2)密閉空間90を構成するカバーガラス32の前面側にバリア部材100を備え、カメラ本体10に交換レンズ20が装着されていない状態ではバリア103を閉ざしておくことで、交換レンズ20を交換する際などにカバーガラス32の表面に塵埃が付着することや接触による傷つきなどを防ぐことができる。
【0057】
(第3実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態のカメラ200の概略構成を示す断面図であり、カメラ本体210から、カメラ本体210に着脱自在な交換レンズ20を取り外した状態の断面図である。図7は、カメラ本体210からカバーガラス232を取り外した状態を示した図である。図8は図6におけるAA方向から見た図であり、カメラ構造体230から内径側のみを示す。
【0058】
第3実施形態と第1実施形態との相違点はカバーガラス232が、カメラ構造体230に対して着脱可能となっている点である。その他の部分については第1実施形態と同様であり、同様な部分には第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
図示するように、カメラ構造体230の前面側におけるボディマウント10Mの爪部よりも内径側には、撮像素子側に窪んだ第1段部225が形成されている。第1段部225の外形は、光軸OAを中心とした円形に形成されている。カメラ構造体230における、その第1段部225の更に内側には、第1段部225よりも小径であって第1段部225よりも更に像側に窪んだ第2段部226が形成されている。
【0060】
カバーガラス232は、第2段部226の径よりもわずかに小さい外径を有し、その厚みは第2段部226の深さと略同じであり、第2段部226に収納可能となっている。また、カバーガラス232は、図6に示すように第2段部226内に収納された状態で、第1実施形態と同様に、内筒部44Eの前面側の端面に第1シール部材91を挟んで配置される。
【0061】
カバーガラス232の被写体側には保持部材236が配置されている。保持部材236は、円環形状の遮光部材で、中央に円形の透光孔212が設けられている。透光孔212の像側の径は内筒部44Eの内周の径と略同じ大きさである。また、透光孔212は保持部材236の厚み方向の略中央部より被写体側に向かって開口径が大きくなるように形成されている。これにより、透光孔212の内周面での撮像素子への散乱光(迷光)の被写体光路への入射が防止される。
【0062】
保持部材236における透光孔212の外周側の円環部分には、互いに円周上において等間隔で、一例として4個(4個に限らなくても可)のネジ穴239が形成されている。また、カメラ構造体230における、そのネジ穴239に対応する位置には、内側がネジ切りされたネジ部237が形成されている。
【0063】
保持部材236のネジ穴239を貫通してカメラ構造体230のネジ部237に、固定ネジ238が螺合されている。この固定ネジ238の螺合によって保持部材236がカメラ構造体230に固定され、この保持部材236とカメラ構造体230とに挟まれてカバーガラス232もカメラ構造体230に固定される。
【0064】
図7はカバーガラス232を取り外した状態である。図示するように、カバーガラス232は、接着剤等を用いず、保持部材236とカメラ構造体230との間に挟持されて保持されているだけなので、固定ネジ238をはずすことで、保持部材236及びカバーガラス232を容易に取り外すことができる。
【0065】
以上、第3実施形態のカメラ200によると、第1実施形態のカメラ1のカメラの効果に加え、以下の効果を有する。
(1)カメラ200が組み立てられて外装部品や電気実装部品などが良好な状態に設定された後であっても、上述のように固定ネジ238をはずすことで、保持部材236及びカバーガラス232を容易に取り外すことができる。また、カバーガラス232を第2段部226に嵌め込み、保持部材236で押さえて固定ネジ238を保持部材236のネジ穴239からカメラ構造体230のネジ部237に挿入して螺合することにより、カバーガラス232をカメラ構造体230に容易に再組み込みすることができる。したがって、組み立て後のカメラ200において密閉空間90内(図6参照)に粉塵が発見された場合、その粉塵の除去を容易に行うことができる。またカバーガラス232の内面に汚れや傷が発見された場合も、カバーガラス232のみを容易に交換することができる。
また、清掃、交換に必要でない周辺部品の分解、再組込みが少なくできる。
【0066】
(2)カバーガラス232の取り外し作業は、固定ネジ238を取り外すだけで可能なので、カメラ200の使用者自身が行うこともできる。
【0067】
(第4実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図9は、第4実施形態のカメラ300の概略構成を示す断面図であり、カメラ本体310から、カメラ本体310に着脱自在な交換レンズ20を取り外した状態の断面図である。図10は、カメラ本体310から保持部材336及びカバーガラス332を取り外した状態を示す図である。また、図11、図12は、図10におけるBB方向から見た図であり、図11は保持部材336がカメラ構造体330に固定されている状態を示し、図12は保持部材336がカメラ構造体330から取り外し可能な状態を示す図である。
【0068】
第4実施形態と第1実施形態との相違点は、カバーガラス332が、カメラ構造体330に対して着脱可能となっている点である。また、第4実施形態と第3実施形態との相違点は、保持部材336がネジ部材を用いることなく、カメラ構造体330に取り付け可能となっている点である。その他の部分については第1実施形態と同様であり、その同様な部分には第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図示するように、カメラ構造体330の前面側におけるボディマウント10Mの爪部よりも内径側には、撮像素子側に窪んだ第1段部325が形成されている。第1段部325の外形は、光軸OAを中心とした円形に形成されている。
【0070】
第1段部325には、その第1段部325の径よりもわずかに小さい外径を有し、その最大厚みが第1段部325の深さと略同じ保持部材336が嵌め込まれている。
保持部材336は、遮光部材で形成され、中央に円形の透光孔312が設けられている。また、透光孔312は保持部材336の厚み方向の略中央部より被写体側に向かって開口径が大きくなるように形成されている。これにより、透光孔312の内周面での散乱光(迷光)の被写体光路への入射が防止される。
【0071】
保持部材336の撮像素子側には、被写体側に窪んだ第2段部326が形成されている。第2段部326の深さはカバーガラス332の厚みと略同一で、第2段部326にカバーガラス332が嵌め込み可能となっている。
【0072】
また、保持部材336の撮像素子側には、円周に沿って互いに等間隔となるように3つの取付け腕部320が形成されている。図13(a)は、図11のCC線に沿った断面図であり、図13(b)は図12のCC線に沿った断面図である。
図示するように取付け腕部320は、保持部材336の像側面と結合される結合部321と、その結合部321から保持部材336の像側面と平行に円周に沿って延びる延在部322とを備える。延在部322の先端部には、延在部322の幅方向に延びるように内側に(保持部材336側に)突出した保持部材側突起313が形成されている。
さらに、保持部材336の保持部材側突起313が設けられている部分の被写体側面(取付け腕部320と反対側面)には、図13に示すように1箇所、円形の窪み314が設けられている。
【0073】
一方、カメラ構造体330における、第1段部325の底部には、挿入口337が設けられている。挿入口337は、取付け腕部320に対応して円周に沿って互いに等間隔となる3箇所に設けられている。挿入口337は、取付け腕部320が挿入可能な長さ及び幅で形成されている。
【0074】
カメラ構造体300の挿入口337と同一の円周上における、挿入口337との挿入口337との間の像側面には、挿入口337の幅(径方向長さ)と略同じ幅(径方向長さ)の構造体側突起302A、302Bが2つ並んで設けられている。
【0075】
また、図11、図12において被写体側から見たときに、カメラ構造体330における、ボディマウント10Mの爪部によって隠れていない部分には、図中三角印で示す構造体側第1指標340,構造体側第2指標341が設けられている。一方、保持部材336の被写体側面にも保持部材側指標342が設けられている。
【0076】
まず、保持部材336の第2段部326にカバーガラス332を嵌め込む。そして、図12に示すように、その保持部材336を構造体側第1指標340と保持部材側指標342とが一致するようにして、カメラ構造体330の第1段部325に配置する。構造体側第1指標340及び保持部材側指標342は、その際に図12及び図13(a)に示すようにカメラ構造体330の挿入口337に、保持部材336の腕部320が挿入されるような位置に示されている。
【0077】
そして、保持部材336の窪み314に指を押し付けて保持部材336を図12及び図13(b)の矢印方向に回転させると、取付け腕部320が、ボディマウント10Mの円周方向(被写体側から見て時計周り)にスライドする。
そして、保持部材側指標342が構造体側第1指標340から構造体側第2指標341の位置にくるまで保持部材336を回転すると、取付け腕部320の保持部材側突起313がカメラ構造体330に設けられた突起のうちの1つである第1構造体側突起302Aを乗り上げ、302Aと302Bにて形成された凹部に収まる。
【0078】
この回転により保持部材336の本体と取付け腕部320の延在部322との間でカメラ構造体330を挟み込み、保持部材336がカメラ構造体330に固定される。そして保持部材336とカメラ構造体330との間に挟持されたカバーガラス332も固定される。
また、保持部材側突起313は第1構造体側突起302Aと第2構造体側突起302Bとの間に保持されるので、保持部材336は使用者が窪み314に指をおいて回転させない限り、その位置にとどまる。
なお、保持部材336を外す際には、上記とは逆の操作を行うようにすれば良い。
【0079】
以上、本実施形態によると、第1実施形態及び第3実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。
(1)保持部材336がネジを用いることなくカメラ構造体330に対して着脱可能であるので、保持部材336、即ちカバーガラス332を、カメラ構造体330に対して、さらに容易に着脱することができる。
(2)保持部材336のカメラ構造体330に対する装着の際に、指標が設けられているので、容易に位置決め可能であり、また回転させる際にも第1指標から第2指標の位置まで移動すればよいので、固定されたかどうかを容易に判断できる。
【0080】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上記実施形態では、カメラ構造体と撮像ユニットとの接合部位の周囲からの密閉空間への塵埃の侵入を、カメラ構造体の外筒部および撮像ユニットにおける遮光構造体(シール段面44D)の間に介設された第2シール部材と、カメラ構造体に装着されたカバーガラスおよび撮像ユニットにおける遮光構造体の内筒部との間に介装された第1シール部材との二重のシール構造によって防ぐようになっている。しかし、シール構造は、いずれか一方のみであってもよい。
【0081】
(2)また、上記実施形態では、第2シール部材は、カメラ構造体の外筒部の端面と、撮像ユニットにおける遮光構造体のシール段面との間に介装されている。しかし、第2シール部材を、カメラ構造体の外筒部と撮像ユニットの撮像基板との間、または、撮像素子との間に介装して構成してもよい。すなわち、カメラ構造体の外筒部を、撮像基板(または撮像素子の前面ガラス)と所定間隔を有するように背面側に延ばし、その端面と撮像基板(または撮像素子の前面ガラス)との間に第2シール部材を介装するものである。このように構成すれば、遮光構造体を省略することができる。
【0082】
(3)また、上記実施形態では、第1シール部材は、カメラ構造体に装着されたカバーガラス32と撮像ユニットにおける遮光構造体の内筒部との間に介装されている。しかし、第1シール部材は、カメラ構造体と内筒部との間に介装するように構成してもよい。
【0083】
(4)さらに、上記第1及び第2実施形態では、カメラ構造体の外筒部と、撮像ユニットにおける遮光構造体の内筒部とは、それぞれ断面形状が矩形の角筒状に形成されているが、角筒状に限らず円筒状とするなど適宜変更可能である。
【0084】
(5)第3実施形態でカバーガラスは均一な厚さの板部材で形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば図14に示すように、カバーガラスの外周部分に段部を設けて薄く形成し、その部分に保持部材が嵌め込まれる形状としても良い。この形態によると、カバーガラスの光学的に必要とされる厚みを保ちつつ、カバーガラスと保持部材との全体として厚みを薄くできるので、カメラの小型化が可能となる。
【0085】
(6)第3実施形態では、カバーガラスを保持する段部をカメラ構造体に設けたが、これに限定されず、カバーガラスを保持する段部を保持部材に設けてもよい。また、第4実施形態においてはカバーガラスを保持する段部を保持部材に設けたが、これに限定されず、カバーガラスを保持する段部をカメラ構造体に設けてもよい。
【0086】
(7)第4実施形態では、保持部材336の取付け腕部320に1つの突起(保持部材側突起313)を設け、カメラ構造体330の像側面に2つの突起(第1構造体側突起302A及び第2構造体側突起302B)を設け、保持部材側突起313が第1構造体側突起302A及び第2構造体側突起302Bの間に挟まれて保持される構造について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、保持部材336の取付け腕部320に2つの突起を設け、カメラ構造体330の像側面に1つの突起を設けてもよい。さらに、例えば、保持部材336の取付け腕部320に1つの突起を設け、カメラ構造体330の像側面にそれに対応する凹部を設けてもよく、保持部材336の取付け腕部320に1つの凹部を設け、カメラ構造体330の像側面にそれに対応する突起を設けてもよい。
【0087】
(8)第3実施形態で記載した保持部材、カバーガラスは、円形でなくても良い。この場合、これらと接するボディ側の構造も第1段部225の外形や第2段部226の外形なども、保持部材やカバーガラスの外形に合わせた形状に形成されることになる。また、第4実施形態では、カバーガラスは円形でなくても良いが、回転操作によって着脱される保持部材については、すくなくとも円形でなければならない。
【0088】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0089】
1,2,200,300:カメラ、10,210,310:カメラ本体、10M:ボディマウント、20:交換レンズ、20M:交換レンズ側マウント、30,230,330:カメラ構造体(第2筐体)、31:開口部、32,232,332:カバーガラス(保護カバー)、33:外筒部(第2筒状部)、34:取付部(撮像ユニット取付部)、35:固定部材、40:撮像ユニット、41:撮像部、41A:撮像素子(受光面)、41D:撮像実装基板、42:撮像基板、42A:支持凸部、42B:固定部(カメラ構造体取付部)、42C:位置決めボス、43:光学ローパスフィルタ、44:遮光構造体(第1筐体)、44A:実装基板収容段部、44B:撮像部収容段部、44C:フィルタ収容段部、44D:シール段面、44E:内筒部(第1筒状部)、44F:固定突部、44G:位置決め穴、45:マスク、50:電子ビューファインダー(EVF)、51:撮像照射モジュール、52:接眼光学系、60:カメラ外装(外装部材)、70:外部表示装置、81:調整装着ネジ、82:固定ネジ83:コイルスプリング、84:装着ネジ、88:止めネジ、89:マウントネジ、90:密閉空間、91:第1シール部材、92:第2シール部材、93:撮像部内シール部材(第3シール部材)、100:バリア部材(シャッター部材)、OA:光軸、101:バリア基板、102:バリアカバー板、103:バリア群、236,336:保持部材、320:取付け腕部、321:結合部、322:延在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の像を撮像する撮像素子を備えた撮像部と、
前記撮像部を保持する第1筐体と、
前記第1筐体よりも前記被写体側に配置される保護カバーと、
前記第1筐体とは独立した筐体であり、前記保護カバーを保持し、且つ前記被写体側に交換レンズを着脱可能に装着するためのマウント構造を前記保護カバーよりも前記被写体側に備えている第2筐体と、を備え、
前記第1筐体又は前記第2筐体の少なくとも一方と、前記撮像部と、前記保護カバーと、によって密閉空間が形成されていること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第1筐体に設けられ且つ前記撮像素子の撮像面に垂直な光軸に沿って延びる第1筒状部、または、前記第2筐体に設けられ且つ前記光軸に沿って延びる第2筒状部の少なくとも一方を有すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記第1筐体が前記第1筒状部を有する場合、該第1筒状部と前記保護カバーまたは前記第2筐体との間に第1封止部材が設けられ、
前記第2筐体が前記第2筒状部を有する場合、該第2筒状部と前記撮像部または前記第1筐体との間に第2封止部材が設けられていること、を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記第1筐体が前記第1筒状部を有し、前記第2筐体が前記第2筒状部を有する場合、前記第1筒状部が前記第2筒状部の内側に配置されていること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記撮像部と前記第1筐体との間に第3封止部材が介在されてしていること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の撮像装置であって、
前記撮像部は、前記撮像素子の撮像面に垂直な方向における位置調整が可能であることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記撮像部は、前記第2筐体に対して、前記撮像素子の撮像面と平行な方向において位置調整が可能であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記第2筐体は、前記撮像部に入射する被写体光の通過領域を開閉可能なバリア部材を、前記保護カバーよりも前記被写体側に備えること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記保護カバーは、前記撮像装置が組み立てられた状態で、前記第2筐体に対して着脱可能であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像装置であって、
前記保護カバーの被写体側に配置され、前記第2筐体に対する着脱構造を有し、前記第2筐体との間で前記保護カバーを挟持する保持部材を備えること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像装置であって、
前記着脱構造は、
前記保持部材の像側の外周部に設けられ、一端が該保持部材に結合されて該結合部から円周に沿って前記保持部材と平行に延びる腕部と、
前記第2筐体に設けられた、該腕部が挿入可能な挿入口と、を備え、
前記第2筐体と前記保持部材との間に前記保護カバーを配置した状態で、前記腕部を前記挿入口に挿入し、前記保持部材を前記腕部における前記一端側から前記他端側に向かう方向に回転すると、前記挿入口に挿入されていた前記腕部の前記他端側が前記第2筐体の像側背面に入り込み、前記保持部材が前記第2筐体に固定されるように構成されていること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置であって、
前記腕部の前記被写体側面の先端部には係合部が設けられ、
前記第2筐体の前記像側面には、前記保持部材を前記第2筐体に対して回転したときに前記係合部が係合する被係合部が設けられていること、
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−193435(P2010−193435A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7135(P2010−7135)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】