説明

撮像装置

【課題】予備発光及び本発光を行う閃光発光部を備えた撮像装置において、温度による発光輝度の変動を抑え、適切な露光にて撮影を行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、閃光発光制御装置200と閃光発光制御装置200を制御するためのシステム制御回路108と、閃光発光制御装置の温度を検出するための温度検出回路204を有する。システム制御回路108は、検出された温度と予備発光の輝度から本発光時間を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閃光発光装置を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、または画像撮影機能を有した携帯電話などには、閃光発光部を発光させるための閃光発光回路と、この閃光発光を制御するための制御回路とを備えるものがある。
【0003】
このような閃光発光部の発光量または発光輝度は、閃光発光させるための主キャパシタの電圧、発光時間が一定でも、温度の変化により所定の発光輝度から変動することが一般的に知られている。これは、主キャパシタとして用いられているアルミ電解キャパシタが、低温では内部インピーダンスが上昇し静電容量が低下する特性を持ち、一方、高温では内部インピーダンスが下降し静電容量が上昇する特性を持つためである。そのため、低温では閃光発光の発光輝度が常温と比較して減少し、高温では発光輝度は常温と比較して増大してしまうことが知られている。
【0004】
このため、同じ露光条件でも、温度によりオーバーとなる画像が撮影されたり、またアンダーとなる画像が撮影されたりしてしまうことから、何らかの対策を行う撮像装置が多数提案されている。
【0005】
一般には、温度により主キャパシタの充電電圧を変化させ、同一の発光時間でも主キャパシタの静電容量エネルギーの変化により発光輝度を適正量に補正する撮像装置が知られている。
【0006】
また、特許文献1は、閃光発光部の温度と発光輝度の補正値テーブルを有し、高温・低温下での発光輝度を常温時と同じ発光輝度に補正することで適切な露光量の撮影画像が得られることを目的とした提案である。また特許文献2は、発光輝度の補正値を温度を変数とした演算式で算出することを目的とした提案である。
【0007】
また特許文献3は、温度に応じて、撮像装置のレンズ部分に備わる絞り機構を変化させて、適切な露光量の撮影画像が得られることを目的とした提案である。
【0008】
図9は閃光発光の各発光時間における発光輝度を表した図である。図9によると、発光してから間もなく、発光輝度は急峻に立ち上がって最大となり、その後なだらかに減少していくようなプロットとなる。
【0009】
閃光発光の発光輝度の制御は、発光管の発光時間を制御するIGBTなどのスイッチング素子により制御される。閃光発光の発光輝度はスイッチング素子がONしている区間の各時間の発光輝度の積分値であり、図6にてスイッチング素子が0からaまでONしているとすると、発光輝度はこの区間のプロットの積分値となる。
【0010】
従来より本発光の前に予備発光を行うことで適切な露光条件を決定し、撮影時の本発光時間を決定する種々の方式が提案されている。撮像装置のレリーズタイムラグ等により、予備発光と本発光の間隔はより短いほうが好ましいため、一般には予備発光と本発光の間に再充電は行われない。また行ったとしても数10msec〜数100msecの間隔であるため、再充電量は微小となる。よって、本発光時の発光輝度が小さくならないように、予備発光はできるだけ微小な発光となるように制御される。
【0011】
上記に記述した通り閃光発光部は主キャパシタの特性により温度により発光輝度が変動するが、発光時間が短いほど変動する割合も大きくなる。これは図10により説明される。前述した温度による変動は、特に急峻に立ち上がる時間bの傾きに影響を及ぼすため、主キャパシタのインピーダンス等の特性上、温度の変化により時間bの部分の立ち上がり、立下りが変動し、積分値である発光輝度も変動が大きくなる。一方で、発光時間が長いほど変動も小さくなるため、積分値である発光輝度の変動も小さくなっていく。
【0012】
ところで、予備発光時間はできるだけ短い発光時間という観点から、時間b前後が選択されることが多い。その結果、当然ながら、予備発光の発光輝度が大きく変動してしまい、その結果として本発光時間の算出にも影響を及ぼす。
【0013】
つまり、本発光の前に予備発光を行う撮像装置においては、低温時に予備発光の発光輝度が小さくなるため、常温時よりも暗いと判断され、本発光では発光輝度を大きくするような発光時間が選択される。算出された発光時間が予備発光時間に近い時間であれば、本発光自体の発光輝度も小さくなるため、相殺されて本発光は適切な発光となる場合もある。しかしながら、算出された発光時間が比較的長い時間は、本発光の発光輝度はそれほど小さくならないため、大きな発光輝度となり、結果としてオーバー気味の撮影画像が得られてしまう。
【0014】
また逆に、高温時には予備発光の発光輝度が大きくなるため、常温時よりも明るいと判断され、本発光では発光輝度を小さくするような発光時間が選択される。算出された発光時間が予備発光時間に近い時間であれば、本発光自体の発光輝度も大きくなるため、相殺されて本発光は適切な発光となる場合もある。しかしながら、算出された発光時間が比較的長い時間は、本発光の発光輝度はそれほど大きくならないため、発光輝度も小さくなり、結果としてアンダー気味の撮影画像が得られてしまう。
【0015】
前述した特許文献1乃至3は予備発光方式の閃光発光制御装置には対応していない。特許文献1乃至2は、低温時には発光輝度を大きくし、高温時には発光輝度を小さくするため、予備発光方式に当てはめると、低温時オーバー、高温時アンダーの影響がますます強くなってしまう。また、特許文献3についても、低温時に絞りを広げ、高温時に絞りを絞るため、同様に低温時オーバー、高温時アンダーの影響が強くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−072311号公報
【特許文献2】特開2004−133294号公報
【特許文献3】特開平9−203934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は以上のような状況を鑑みて提案するものである。すなわち、本発光の前に予備発光を行うことで適切な露光条件を決定し撮影を行う閃光発光部を有した撮像装置において、検出された温度と予備発光の輝度から本発光時間を決定し、温度による閃光発光の変動を極力抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明における撮像装置は、本発光の前に予備発光を行うことで適切な露光条件を決定し撮影を行う閃光発光部を有した撮像装置であって、1回乃至複数回の予備発光の輝度を検出して出力値を得る輝度取得手段を有し、
温度を検出して出力値を得る温度取得手段を有し、閃光発光部の本発光時間を算出する本発光時間算出手段を有し、記輝度取得手段と前記温度取得手段から閃光発光部の本発光時間を算出することを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明における撮像装置は、前記本発光時間の算出において、前記輝度取得手段により1回乃至複数回の予備発光の輝度値を取得し、前記温度取得手段により温度値を取得し、前記本発光算出手段は前記輝度値及び温度値を取得し、まず前記温度値から前記輝度値の補正を行い、前記補正された輝度値から本発光時間を算出することを特徴とする。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明における撮像装置は、前記本発光時間の算出において、前記輝度取得手段により1回乃至複数回の予備発光の輝度値を取得し、前記温度取得手段により温度値を取得し、前記本発光算出手段は前記輝度値及び温度値を取得し、まず前記輝度値から本発光時間を算出し、しかる後取得された温度値から前記算出された本発光時間を補正することを特徴とする。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明における撮像装置は、前記本発光時間の算出において、前記温度取得手段により温度値を取得し、前記制御装置は前記温度値に応じて予備発光の発光時間を変化させ、輝度取得手段は、予備発光のある時間からある時間までの発光輝度の輝度値を取得し、前記取得された輝度値から本発光の発光輝度の算出を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1乃至4に記載の本発明によると、本発光の前に予備発光を行うことで適切な露光条件を決定し撮影を行う閃光発光部を有した撮像装置において、検出された温度と予備発光の輝度から本発光時間を決定し、温度による閃光発光の変動を極力抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による一実施形態に係わる画像表示装置及び撮像装置を表すブロック図である。
【図2】本発明による一実施形態に係わる撮像装置に備わる閃光発光制御装置を表すブロック図である。
【図3】本発明による撮像装置の撮影処理の一例を表すフローチャートである。
【図4】本発明による撮像装置の閃光発光の一例を表すフローチャートである。
【図5】本発明による予備発光の輝度補正倍率の一例を表す図である。
【図6】本発明による本発光時間補正倍率の一例を表す図である。
【図7】本発明による撮像装置の閃光発光の一例を表すフローチャートである。
【図8】本発明による本発光時間補正倍率の一例を表す図である。
【図9】本発明に係る閃光発光部における、発光時間と発光輝度との関係の一例を表す図である。
【図10】本発明に係る閃光発光部における、発光時間と発光輝度との関係の一例を表す図である。
【図11】本発明に係る閃光発光部における、発光時間と発光輝度との関係の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に従って、本発明に係る撮像装置の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明の実施形態の一例を示す撮像装置100のブロック図である。
【0026】
図1の構成ブロック図において、101は撮影レンズ、102は絞り機能を備えるシャッター、103は光学像を電気信号に変換する撮像素子、104は撮像素子103のアナログ信号出力をデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0027】
105は撮像素子103やA/D変換器104にクロック信号や制御信号を供給する撮像素子制御回路であり、システム制御回路108により制御される。
【0028】
106は画像処理回路であり、 A/D変換器104からのデータ或いはシステム制御回路108からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。107は撮影した画像を格納するメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。また、画像処理回路106やシステム制御回路108の作業領域としても使用することが可能である。
【0029】
108は撮像装置100全体を制御するシステム制御回路である。109はシステム制御回路108の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。110は撮影レンズ101のフォーカシングならびにズーミングを制御するレンズ制御手段であり、111は絞り機能を備えるシャッター102を制御する露光制御手段である。
【0030】
112は撮像装置100に備え付けられているスイッチ全般を表すものであり、図示しないが測光・測距等を行うS1ボタン、撮影を行うS2ボタン、閃光発光の有無を切り替えるFLASHボタン等よりなる。
【0031】
113は液晶モニタであり、液晶パネル、ならびに液晶パネル背面より光を照射するバックライトより構成される。114は記録媒体接続部であり、各種記録媒体を接続し、システム制御回路108により、データの読み出しまたは書き込みが可能となる。記録媒体より読み出されたデータは、不揮発性メモリ109に記憶させることも可能である。
【0032】
200は閃光発光制御装置であり装置の構成は後述する。システム制御回路108により、充電、発光の制御がなされる。スイッチ112に含まれるFLASHボタンにより、ユーザーは不発光、強制発光、オート発光等の切替を行うことができる。オート発光の場合は、画像処理回路106から出力されたデータからシステム制御回路108は露出条件を決定し、露出条件により発光・不発光が自動的に選択される。
【0033】
図2は撮像装置100に備わる閃光発光制御装置200の一例を示すブロック図である。
【0034】
201は昇圧回路202にて昇圧しC1に電荷を充電するための電源であり、例えば単3電池やリチウムイオン電池である。202は昇圧回路であり、トランスやトトランスのスイッチング動作を行うためのトランジスタ、FET等からなる。C1は主キャパシタであり、主にアルミ電解キャパシタが用いられる。システム制御回路108により充電制御信号がHIGHになると、昇圧回路202により電源201を規定の電圧まで昇圧し、昇圧した電圧により主キャパシタC1に電荷が充電される。D1は整流ダイオードであり、主キャパシタC1へと流れる電流を整流する。R1、R2は抵抗であり、主キャパシタに充電された電圧をR2/(R1+R2)の割合で分圧し、分圧された電圧をシステム制御回路108が読み取る。システム制御回路は、この電圧が規定の電圧に達すると、充電制御信号をLOWにし、昇圧回路202が停止し、充電が終了する。203は発光管、TRは発光管に流れる電流を制御するスイッチング素子である。発光管203にはキセノンなどの希ガス分子が封入され、スイッチング素子TRがONすると内部のガスがイオン化され、大電流が流れると同時に瞬時発光を行う。204は温度検出手段であり、閃光学校制御装置内の温度や、環境温度を測定して量子化し、制御回路はこの値を読み取る。
【0035】
図3は、撮像装置100ならびに閃光発光制御装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0036】
撮像装置100のS1スイッチが押下されるとシステム制御回路108は、システム制御回路108の内部メモリ或いはメモリ107に記憶される測光データに従い、露光制御手段111によって、絞り機能を有するシャッター102を絞り値に応じて開放し、またレンズ制御手段110によって規定のステップずつレンズ101を稼動させながらS101にて測光・測距を行う。S101の測光・測距のデータによりS102にて露出演算を行い、最適な露出を算出する。次にS103にてS2スイッチが押下されると、S104にて撮像装置が閃光発光強制モードであるか、または許可するモードでありかつS102の露出演算で閃光発光が選択されれば、105にて閃光発光を行い、それ以外であればS106に進む。S105の閃光発光については後述する。S106にて所定の撮影動作が行われ、一連の撮影動作が終了する。
【0037】
図4は、図3におけるS105ステップの閃光発光動作の一例を示すフローチャートである。
【0038】
S201にてシステム制御回路108は閃光発光制御装置200の温度検出手段204より温度値を読み取り、システム制御回路内部のメモリまたは不揮発性メモリ109に温度値TH1を記憶させる。S202にてシステム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109より予備発光の発光時間を読み取り、読み取った発光時間の間、TRをONする。S203にて、TRがONの間、被写体の輝度が測定される。この間、システム制御回路108の内部メモリ或いはメモリ107に記憶される測光データに従い、露光制御手段111によって、絞り機能を有するシャッター102を絞り値に応じて開放し、撮像素子103に露光され、撮像素子制御装置105により撮影画像が読み出される。
【0039】
S203にてシステム制御回路108が発光輝度を取得すると、S204にてシステム制御回路108は、システム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109内部に記憶されている発光輝度の補正係数に従い、発光輝度を補正する。この発光輝度の補正係数の一例を示すと、補正前の発光輝度をFp、温度値TH1とすると、補正後の発光輝度Fp’は次式(1)で表すことが可能である。
【0040】
Fp’=f(Fp,TH1) …(1)
関数fは発光輝度Fpと温度値TH1を引数とする関数である。例えば、図5に示されるように、温度のみにより補正倍率が一意に決定され、発光輝度値Fsに補正倍率が乗算されることで求められる関数となっても構わない。
【0041】
図6によると、閃光発光制御装置の温度が低ければ低いほど予備発光の発光輝度は常温に比べると小さくなるため、発光輝度をゲインアップさせている。反対に閃光発光制御装置の温度が高ければ高いほど予備発光の発光輝度は常温に比べると大きくなるため、発光輝度をゲインダウンさせている。
【0042】
S204にて発光輝度が補正されると、S205にてシステム制御回路108は、システム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109内部に記憶されている所定の演算方法により、閃光発光の本発光時間を算出する。次にS206にてシステム制御回路108は閃光発光制御装置200の温度検出手段204より温度値TH2を再度読み取る。S207にてシステム制御回路108は、システム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109内部に記憶されている本発光時間の補正式に従い、本発光時間を補正する。
【0043】
この補正式の一例を示すと、補正前の本発光時間をTm1、温度値TH2とすると、本発光時間補正倍率k1を次式(2)で求める。
【0044】
k1=g(Tm1,TH2) …(2)
関数gは本発光時間Tm1と温度値TH2を引数とする関数である。例えば、図6に示されるように、本発光時間Tm1とTH2により本発光時間補正倍率が一意に決定される関数でも構わない。また求められた補正係数とS205にて算出された本発光時間を乗算し、補正後の本発光時間となる。
【0045】
図6によると、閃光発光制御装置の温度が低い場合は、発光時間が短いほど常温に比べて発光輝度が小さくなるため、発光時間をゲインアップさせている。反対に、閃光発光制御装置の温度が高い場合は、発光時間が短いほど常温に比べて発光輝度が大きくなるため、発光時間をゲインダウンさせている。
【0046】
S207にて本発光時間が補正されると、S208システム制御回路108は補正後の本発光時間にてTRをONし、発光S105の閃光発光ルーチンは終了する。
【0047】
ここで、S202ステップの予備発光とS203ステップの発光輝度取得の順序、取得のタイミングについては特に制約を設けない。予備発光期間すべてを取得しても構わないし、ある一定期間の予備発光を取得しても構わない。
【0048】
また、予備発光時間は特に一定でなくとも構わない。S201ステップの温度検出の結果により予備発光時間を変更しても構わない。さらに、S201の温度検出の結果により、予備発光時間ならびに、輝度取得タイミング両方を変更しても構わない。その際、図11のC2−C1の領域の予備発光の輝度を取得すれば、温度による発光輝度の変動を抑えることが可能となる。
【0049】
ここでS201からS206の間の温度上昇を無視して、高精度の温度検出が必要でなければS206の温度検出を省略し、S201で検出した温度値で代用しても構わない。この場合は、S206での温度検出における測定時間ならび検出に関わる消費電力の低減が可能である。
【実施例2】
【0050】
図7は、撮像装置100ならびに閃光発光制御装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0051】
なお、第2の実施例において、構成は第1の実施例と同じであり図1を用いて説明する。また、第2の実施例におけるメインフローチャートは図3と同じであるため省略し、
S105におけるS105ステップの閃光発光動作の一例を示すフローチャートを図7を用いて説明する。
【0052】
S301にてシステム制御回路108は閃光発光制御装置200の温度検出手段204より温度値を読み取り、システム制御回路内部のメモリまたは不揮発性メモリ109に温度値TH3を記憶させる。S302にてシステム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109より予備発光の発光時間を読み取り、読み取った発光時間の間、TRをONする。S303にて、TRがONの間、被写体の輝度が測定される。この間、システム制御回路108の内部メモリ或いはメモリ107に記憶される測光データに従い、露光制御手段111によって、絞り機能を有するシャッター102を絞り値に応じて開放し、撮像素子103に露光され、撮像素子制御装置105により撮影画像が読み出される。
【0053】
S303にてシステム制御回路108が発光輝度を取得すると、S304にてシステム制御回路108は、システム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109内部に記憶されている所定の演算方法により、閃光発光の本発光時間を算出する。次にS305にてシステム制御回路108は、システム制御回路108内部のメモリまたは不揮発性メモリ109内部に記憶されている本発光時間の算出式に従い、本発光時間を補正する。
【0054】
この算出式の一例を示すと、本発光時間をTm2、予備発光時間Tp、温度値をTH3とすると、本発光時間補正倍率k2を次式(3)で求める。
【0055】
k2=h(Tm2,Tp,TH3) …(3)
関数hは本発光時間Tm2と温度値、予備発光時間Tp、温度値TH3を引数とする関数である。例えば、図8に示されるように、本発光時間Tm2、予備発光時間Tp、温度値TH3により本発光時間補正倍率k2が一意に決定される関数となっても構わない。また求められた補正係数とS304にて算出された本発光時間を乗算し、補正後の本発光時間となる。
【0056】
図8によると、予備発光の時間毎に、本発光時間と閃光発光制御装置の温度から求まる本発光時間補正倍率が定義されている。例えば、予備発光時間が23μsecの場合において、S304にて算出された本発光時間も23μsecであったとする。図9より、低温(仮に10℃以下)において予備発光の発光輝度は減少してしまうが、本発光の発光輝度も同じ割合で減少するため、本発光時間補正倍率は×1.0となる(図8の※1)。同様に高温(仮に35℃以上)において予備発光の発光輝度は増大してしまうが、本発光の発光輝度も同じ割合で増大するため、本発光時間補正倍率は×1.0となる(図8の※2)。
【0057】
一方、予備発光時間が23μsec、S304にて算出された本発光時間が300μsecの場合において、低温(仮に10℃以下)において予備発光の発光輝度は減少してしまうが、本発光の発光輝度は予備発光の割合ほど減少せず、発光輝度がオーバーになるため、本発光時間補正倍率は×0.6となる(図8の※3)。同様に高温(仮に35℃以上)において予備発光の発光輝度は増大してしまうが、本発光の発光輝度は予備発光の割合ほど増大せず、発光輝度がアンダーとなるため、本発光時間補正倍率は×1.7となる(図8の※4)。
【0058】
S305にて本発光時間が補正されると、S306にてシステム制御回路108は補正後の本発光時間にてTRをONし、S105の閃光発光ルーチンは終了する。
【符号の説明】
【0059】
100 撮像装置
101 撮影レンズ
102 絞り機能を備えるシャッター
103 撮像素子
104 A/D変換器
105 撮像素子制御回路
106 画像処理回路
107 メモリ
108 システム制御回路
109 不揮発性メモリ
110 レンズ制御手段
111 露光制御手段
112 スイッチ全般
113 液晶モニタ
200 閃光発光制御装置
202 昇圧回路
203 発光管
204 温度検出手段
C1 主キャパシタ
D1 整流ダイオード
R1 抵抗
R2 抵抗
TR1 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発光の前に予備発光を行うことで適切な露光条件を決定し撮影を行う閃光発光部を有した撮像装置であって、
1回乃至複数回の予備発光の輝度を検出して出力値を得る輝度取得手段を有し、
温度を検出して出力値を得る温度取得手段を有し、
閃光発光部の本発光時間を算出する本発光時間算出手段を有し、
記輝度取得手段と前記温度取得手段から閃光発光部の本発光時間を算出することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記本発光時間の算出において、
前記輝度取得手段により1回乃至複数回の予備発光の輝度値を取得し、
前記温度取得手段により温度値を取得し、
前記本発光算出手段は前記輝度値及び温度値を取得し、まず前記温度値から前記輝度値の補正を行い、前記補正された輝度値から本発光時間を算出することを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記本発光時間の算出において、
前記輝度取得手段により1回乃至複数回の予備発光の輝度値を取得し、
前記温度取得手段により温度値を取得し、
前記本発光算出手段は前記輝度値及び温度値を取得し、まず前記輝度値から本発光時間を算出し、しかる後取得された温度値から前記算出された本発光時間を補正することを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記本発光時間の算出において、
前記温度取得手段により温度値を取得し、
前記制御装置は前記温度値に応じて予備発光の発光時間を変化させ、輝度取得手段は、予備発光のある時間からある時間までの発光の輝度値を取得し、前記取得された輝度値から本発光の輝度の算出を行うことを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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