説明

撮像装置

【課題】予め定められていない経路を移動する撮像対象を、追尾しながら撮像することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100が、光学系111による像を撮像して、当該像に応じた画像信号を出力する撮像部110と、画像信号に基づいて、撮像対象を認識する認識部131と、認識部131が認識した撮像対象の状態に応じて、移動体300を制御して、移動体300に備えられた撮像装置100を移動させる移動体制御部142と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象を認識する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上を空中撮影(空撮)する場合、小型飛行機に搭載された撮像装置は、予め定められた経路を辿って、その経路を空撮していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−186145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された撮像装置は、予め定められた経路を辿って空撮するため、予め定められていない経路を移動する撮像対象を、追尾しながら撮像することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、予め定められていない経路を移動する撮像対象を、追尾しながら撮像することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、光学系による像を撮像して、当該像に応じた画像信号を出力する撮像部と、前記画像信号に基づいて、撮像対象を認識する認識部と、制御に応じて、自装置を移動させる移動部と、前記認識部が認識した前記撮像対象の状態に応じて、前記移動部を制御して前記移動部に自装置を移動させる制御部と、を備えることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置は、予め定められていない経路を移動する撮像対象を、追尾しながら撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】撮像装置100と、インタフェース部200と、移動体300の外観の一例を示す図である。
【図2】撮像対象が複数存在する場合の例が示されている図である。
【図3】撮像装置100と、インタフェース部200と、移動体300の構成を示すブロック図である。
【図4】画像フレーム内の所定の探索範囲500から、撮像対象400aの画像503aを、認識部131が検出する手順を説明するための図である。
【図5】認撮像装置100と撮像対象400aとの相対距離の変化を、認識部131が認識する手順を説明するための図である。
【図6】撮像対象400aの顔の向きに応じた複数のテンプレート画像の例を示す図である。
【図7】撮像装置100と、インタフェース部200と、移動体300の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、撮像装置100と、インタフェース部200と、移動体300の外観の一例が示されている。
【0010】
撮像対象400aは、撮像装置100が撮像する対象であり、かつ、撮像装置100が追尾する対象である。また、撮像対象400aは、例えば、地上を歩行する人であってもよい。また、撮像対象400aは、予め定められていない経路を移動してもよい。
【0011】
移動体300は、推進器(例えば、プロペラ、スクリュー等を有する)と、舵(例えば、方向舵、昇降舵等)を備える。移動体300の推進器と舵は、撮像装置100により制御され、空中を3軸(次元)方向に移動可能である。以下、移動体300は、一例として、小型の飛行船であるとして説明する。なお、移動体300は、例えば、地上、地中、水上、又は水中を移動してもよい。
【0012】
撮像装置100は、移動体300に備えられる。撮像装置100は、光学系による像を撮像し、撮像した像に応じた画像信号を、撮像装置100の外部にある通信装置(不図示)にインタフェース部200を介して送信する。この通信装置は、画像を表示するディスプレイを備え、撮像装置100が送信した画像信号に基づく画像を表示する。
【0013】
また、撮像装置100は、撮像した像の中から撮像対象400aを認識し、認識した撮像対象400aの状態に応じて、移動体300と一体で撮像対象400aを追尾しながら撮像対象400aを撮像する。なお、撮像装置100は、表示部を備えてもよく、例えば、撮像した像に応じた画像信号をスルー画として表示部に表示してもよい。
【0014】
図2には、撮像対象が複数存在する場合の例が示されている。図2に示されているように、撮像対象400a〜400cは、例えば、水面を泳ぐ人であってもよい。そして、撮像対象400a〜400cは、息継ぎなどのために、移動方向とは別の方向に顔を向けることがあってもよい。なお、撮像対象400b及び400cは、予め定められていない経路を移動してもよいが、撮像装置100が追尾する対象でないものとして説明する。
【0015】
次に、撮像装置100の構成を説明する。
図3には、撮像装置100と、インタフェース部200と、移動体300の構成が、ブロック図で示されている。撮像装置100は、撮像部110と、記憶部120と、演算部130と、制御部140を備える。
【0016】
撮像部110は、光学系111と、撮像素子112と、レンズ駆動部113と、A/D(Analog/Digital)変換部114を備える。撮像部110は、制御部140により制御され、光学系111による像を撮像する。光学系111は、撮像素子112の受光面に、光学像を導く。ここで、光学系111は、レンズ駆動部113に駆動されることで、撮像する倍率及び画角を変更する。
【0017】
撮像素子112は、光電変換面を備え、光学系111により光電変換面の受光面に結像した光学像を電気信号に変換する。A/D変換部114は、撮像素子112によって変換された電気信号をデジタル化して、画像信号として記憶部120に出力する。
【0018】
記憶部120は、A/D変換部114が出力した画像信号を一時的に記憶(バッファリング)し、演算部130に出力する。また、記憶部120は、テンプレート画像を記憶する。ここで、テンプレート画像は、テンプレートマッチングに用いられる画像である。例えば、テンプレート画像は、撮像対象の外観を表す画像であってもよい。そして、この場合、テンプレート画像は、撮像部110によって撮像された「撮像対象の外観を表す画像」であってもよい。また、テンプレート画像は、撮像部110によって撮像される前から、記憶部120に予め記憶されていてもよい。テンプレート画像の詳細については、図4〜6を用いて後述する。
【0019】
なお、記憶部120は、複数のテンプレート画像(例えば、撮像対象400aの顔の向き毎のテンプレート画像)を予め記憶してもよい。また、記憶部120は、画像処理条件(例えば、輪郭補正量など)を記憶してもよい。
【0020】
演算部130は、記憶部120に一時的に記憶されている画像信号に対して、静止画又は動画の画像処理を実行し、画像フレームを生成する。ここで、演算部130が、いずれの画像処理を実行するかは、制御部140から制御される。また、演算部130は、画像処理条件(例えば、輪郭補正量など)が記憶部120に記憶されている場合、その画像処理条件を参照して、画像信号を画像処理してもよい。そして、画像信号は、制御部140を介して、インタフェース部200に出力される。ここで、インタフェース部200に出力される画像信号は、画像処理されている信号、又は画像処理されていない画像信号のいずれであってもよい。
【0021】
また、演算部130は、認識部131を備える。認識部131は、記憶部120からテンプレート画像を取得する。ここで、撮像対象400a〜400cの画像は、画像フレームにおいて、予めラベリングされているものとする。
【0022】
認識部131は、テンプレートマッチングにより、撮像対象400aの画像を検出する。具体的には、認識部131は、テンプレート画像と、撮像対象400aの画像との類似度の評価値(以下、「類似度評価値」という)を算出することにより、撮像対象400aの画像を検出する。この類似度評価値については、図4及び6を用いて後述する。
【0023】
さらに、認識部131は、類似度評価値に基づいて、撮像対象400aの状態を認識する。ここで、撮像対象400aの状態とは、例えば、画像フレームにおける撮像対象400aの画像の位置、大きさ(サイズ)、移動方向、移動速度、撮像対象400aの画像に顔が検出された場合には、顔の向き、顔の表情、等である。なお、認識部131の認識処理は、繰り返し実行されてもよい。
【0024】
認識部131は、類似度評価値により検出された撮像対象400aの画像に基づいて、画像フレームにおける撮像対象400aの画像の位置(以下、「撮像対象位置」という)を算出することで、撮像対象400aを認識する。撮像対象位置の認識については、図4を用いて後述する。
【0025】
また、認識部131は、類似度評価値により検出された撮像対象400aの画像に基づいて、画像フレームにおける撮像対象400aの画像の大きさ(以下、「サイズ情報」という)を認識する。そして、認識部131は、サイズ情報の変化、すなわち、撮像装置100と撮像対象400aとの相対距離の変化(例えば、近づいたか否か)を検出する。サイズ情報の変化の検出については、図5を用いて後述する。
【0026】
制御部140は、演算部130を介して画像信号を取得し、取得した画像信号をインタフェース部200に出力する。
【0027】
また、制御部140は、光学系111による像を静止画として撮像するか、動画として撮像するかを決定する。制御部140は、例えば、インタフェース部200を介してユーザの操作入力を取得し、その操作入力に基づいて、光学系111による像を静止画として撮像するか、動画として撮像するかを決定してもよい。
【0028】
また、制御部140は、移動体制御部142を備える。移動体制御部142は、撮像対象400aの状態に応じて移動体300を制御して、移動体300に備えられた撮像装置100を、移動体300と一体で移動させる。
【0029】
移動体制御部142は、サイズ情報又はサイズ情報の変化を、認識部131から取得する。そして、移動体制御部142は、撮像対象400aが画像フレームにおいて予め定められた大きさに撮像されるように、サイズ情報又はサイズ情報の変化に応じて移動体300を制御し、移動体300に備えられた撮像装置100と、撮像対象400aとの距離を調節する。例えば、移動体制御部142は、移動体300の推進器及び舵を制御することで、推進力と推進方向を制御して、画像フレームにおいて撮像対象400aが予め定められた大きさに撮像されるようにする。
【0030】
また、移動体制御部142は、認識部131から撮像対象位置を取得する。そして、移動体制御部142は、画像フレームの中央に撮像対象400aが位置するように、移動体300の移動方向と移動速度を調節し、移動体300と一体で撮像装置100を移動させる。例えば、移動体制御部142は、移動体300の推進器と舵を制御することで、推進力と推進方向を制御して、画像フレームの中央に撮像対象400aが位置するようにする。
【0031】
インタフェース部200は、撮像装置100から画像信号を取得し、取得した画像信号を、撮像装置100の外部の通信装置(不図示)に送信する。このインタフェース部200は、例えば、無線通信を実行する。なお、インタフェース部200は、撮像装置100に対する命令を受信して、その命令を撮像装置100に出力してもよい。
【0032】
次に、演算部130の認識部131の認識処理を説明する。以下の認識処理は、繰り返し実行されてもよい。
認識部131は、画像フレームにおける撮像対象400aの画像を、次のように検出する。
図4は、画像フレーム内の所定の探索範囲500から、撮像対象400aの画像503aを、認識部131が検出する手順を説明するための図である。図4(A)には、テンプレート画像の一例として、テンプレート画像600が示されている。ここで、テンプレート画像600は、撮像対象400aの画像であるものとする。また、図4(B)には、撮像対象400aの画像503aと、撮像対象400bの画像501aと、撮像対象400cの画像502aが、探索範囲500に撮像された画像の一例として、それぞれ示されている。
【0033】
認識部131は、探索範囲500に撮像された各画像(図4(B)において、画像501a〜503a)と、テンプレート画像との類似度評価値を算出する。ここで、類似度評価値Rは、[式1]で表される。
【0034】
=|A−B|…[式1]
【0035】
[式1]における「i」は、探索範囲500に撮像された各画像を識別する識別子である。そして、[式1]の右辺は、識別子「i」に対応する画像「A」の画像情報から、テンプレート画像600「B」の画像情報を、画素ごとに減算した値の絶対値を示す。ここで、画像情報とは、例えば、色成分、輝度、彩度である。
【0036】
まず、認識部131は、画像501aを選択する。そして、認識部131は、[式1]に基づいて、選択した画像501aの類似度評価値を算出する。例えば、認識部131は、画像501aの色成分(白色を示す成分値の例「255」)と、テンプレート画像600の色成分(黒色を示す成分値の例「0」)との差分を算出することで、画像501aの類似度評価値を算出する。次に、認識部131は、画像502a及び503aについても同様に、類似度評価値を算出する。
【0037】
そして、認識部131は、類似度評価値が最も小さい画像を、探索範囲500内から検出し、その画像がテンプレート画像600に最も類似する画像である、と認識する。ここで、テンプレート画像600が撮像対象400aの画像を表すので、認識部131は、テンプレート画像600に最も類似する画像であると認識した画像を、撮像対象400aの画像である、と認識する。例えば、図4(B)において、画像503aがテンプレート画像600に最も類似する画像であると認識部131が認識した場合、認識部131は、画像503aを、撮像対象400aの画像である、と認識する。
【0038】
さらに、認識部131は、画像フレーム内(探索範囲500内)における画像503aの位置(座標)を、撮像対象位置と認識する。また、認識部131は、画像フレーム内(探索範囲500内)における画像503aの大きさ(サイズ)を、サイズ情報と認識する。
【0039】
また、認識部131は、サイズ情報の変化、すなわち、撮像装置100と撮像対象400aとの相対距離の変化を、テンプレート画像600と、撮像対象400aの画像503aとの相対的な大きさに基づいて、次のように検出する。
図5には、撮像装置100と撮像対象400aとの相対距離の変化を、認識部131が検出する手順を説明するための図が示されている。図5(A)及び(B)には、テンプレート画像600と、撮像対象400aの画像503aが示されている。図5(A)に示されているように、撮像対象400aの画像503aが、テンプレート画像600よりも大きくなったことを検出した場合、認識部131は、撮像装置100と撮像対象400aとの相対距離が短くなった(変化した)と認識する。
【0040】
一方、図5(B)に示されているように、撮像対象400aの画像503aが、テンプレート画像600よりも小さくなったことを検出した場合、認識部131は、撮像装置100と撮像対象400aとの相対距離が長くなった(変化した)と認識する。
【0041】
さらに、認識部131は、画像フレーム内(探索範囲500内)における画像503aの大きさ(サイズ)を、新たなサイズ情報と認識する。
【0042】
以上のようにして、撮像装置100は、認識部131が認識した撮像対象400aの状態に応じて、移動体300を制御して、移動体300に備えられた撮像装置100を移動させる。これにより、撮像装置100は、予め定められていない経路を移動する撮像対象400aを追尾しながら、撮像対象400aの状態に応じて、撮像対象400aを撮像することができる。
【0043】
また、演算部130の認識部131は、テンプレート画像と、撮像対象400aの画像503aとの差分を算出し、差分に基づいて、移動体300に備えられた撮像装置100を移動させる。これにより、撮像装置100は、画像フレームに撮像した複数の画像501a〜503aから、撮像対象400aの画像503aを選択(検出)し、予め定められていない経路を移動する撮像対象400aを追尾しながら、撮像対象400aの状態に応じて、撮像対象400aを撮像することができる。
【0044】
また、認識部131は、画像フレームにおける撮像対象400aの大きさ及び撮像対象位置を算出する。そして、制御部140は、予め定められた大きさで、画像フレームの中央に撮像対象400aが撮像されるように、移動体300を制御することで、移動体300に備えられた撮像装置100と、撮像対象400aと、の距離を調節する。これにより、撮像装置100は、予め定められていない経路を移動する撮像対象400aを追尾しながら、予め定められた大きさで、画像フレームの中央に撮像対象400aを撮像することができる。
【0045】
<撮像対象の定め方について>
演算部130の認識部131は、撮像対象を自ら定めてもよい。例えば、画像フレームに撮像された撮像対象の画像のうち、最も至近に撮像された撮像対象、又は画像フレームにおける最大の撮像対象の画像を、撮像装置100が追尾する撮像対象の画像と定めてもよい。ここで、認識部131は、例えば、位相差検出方式、コントラスト検出方式、色収差検出方式によって、最も至近に撮像された撮像対象を検出してもよい。さらに、認識部131は、追尾する撮像対象と定めた撮像対象400aの画像を、新たなテンプレート画像600として、記憶部120に記憶されたテンプレート画像600を更新してもよい。
【0046】
また、上記の通信装置は、例えば、ヘッドマウントディスプレイであってもよい。この通信装置としてのヘッドマウントディスプレイは、撮像装置100から送信された画像信号を受信して、その画像を表示してもよい。
【0047】
そして、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザは、そのディスプレイに表示された複数の撮像対象の画像から、撮像対象を視線で指定(視線入力)し、指定した撮像対象を示す情報を撮像装置100に送信することで、撮像対象を指定可能としてもよい。また、上記の通信装置は、例えば、情報端末であってもよい。そして、情報端末のユーザは、マウス操作、又はタッチパネル操作等により、指定した撮像対象を示す情報を撮像装置100に送信することで、撮像対象を指定可能としてもよい。
【0048】
<撮像対象400aに顔が検出された場合の処理について>
演算部130の認識部131は、顔検出のアルゴリズムにより、撮像対象400aの画像に顔が検出された場合には、テンプレート画像と、検出された撮像対象400aの画像とに基づいて、画像フレームにおける撮像対象400aの画像503aの顔の向きを認識する。認識部131は、画像フレーム内(探索範囲500内)における画像503aの顔の向きを、類似度評価値に基づいて検出する。
【0049】
図6には、撮像対象400aの顔の向きに応じた複数のテンプレート画像の例が示されている。図6(A)には、撮像装置100から見て「左を向いた顔」のテンプレート画像601の例が示されている。また、図6(B)には、撮像装置100から見て「正面を向いた顔」のテンプレート画像602の例と、図6(C)には、撮像装置100から見て「右を向いた顔」のテンプレート画像603の例とが、それぞれ示されている。
【0050】
まず、認識部131は、顔検出のアルゴリズムにより、撮像対象400aの画像503a(図4(B)を参照)に顔を検出したとする。そして、認識部131は、検出された顔を構成する画素についてのみ、上記の[式1]に基づいて類似度評価値を算出し、撮像対象400aの画像503aの顔の向きを認識する。
【0051】
具体的には、認識部131は、検出された顔の類似度評価値を、上記の[式1]に基づいて、テンプレート画像601〜603毎に算出し、算出した類似度評価値を比較する。例えば、各テンプレート画像のうち、テンプレート画像601(図6(A)を参照)との類似度評価値が最も小さい値であった場合、認識部131は、画像503aに検出された顔が、撮像装置100から見て「左を向いた顔」であると認識する。
【0052】
なお、認識部131は、テンプレート画像と、検出された撮像対象400aの画像503aとに基づいて、撮像対象400aの画像503aの顔の表情(例えば、笑顔か否か)を認識してもよい。
【0053】
そして、制御部140の移動体制御部142は、撮像対象400aの顔の向きを示す情報を、演算部130の認識部131から取得する。さらに、移動体制御部142は、移動体300の移動方向と移動速度を調節し、撮像対象400aの顔を正面から撮像可能な位置に、移動体300と一体で撮像装置100を移動させる。例えば、移動体制御部142は、推進器と舵を制御することで、推進力と推進方向を制御し、撮像対象400aの顔を正面から撮像可能な位置に、移動体300と一体で撮像装置100を移動させる。
【0054】
このようにして、認識部131は、撮像した光学像における撮像対象400aに顔が検出された場合、顔の向きを認識する。そして、制御部140は、その顔の向きに応じて、移動体300に備えられた撮像装置100を移動させる。これにより、例えば、撮像装置100から見て、画像503aが「左を向いた顔」であると認識部131が認識した場合、撮像装置100は、撮像対象400aの顔が正面に向く方向(例えば、図2において、撮像対象400aの移動方向の左側)に移動して、撮像対象400aの顔を正面から撮像することができる。
【0055】
<デフォーカス量に基づく合焦動作について>
演算部130の認識部131は、画像信号に基づいて、検出された撮像対象400aの画像503a(図4(B)を参照)のデフォーカス量を算出してもよい。また、その算出アルゴリズムは、例えば、位相差検出方式、コントラスト検出方式、色収差検出方式に使用される公知のアルゴリズムであってよい。そして、認識部131は、デフォーカス量に基づいて、光学系111による像が撮像対象400aの前側に合焦しているか、又は撮像対象400aの後側に合焦しているかを検出する。
【0056】
さらに、移動体制御部142は、デフォーカス量に応じて移動体300を制御し、移動体300と一体で撮像装置100を移動させる。例えば、撮像された像が撮像対象400aの後側に合焦していることを、演算部130の認識部131が検出した場合、制御部140の移動体制御部142は、撮像対象400aから離れる方向に、撮像装置100を移動させることで、撮像対象400aに合焦させる。一方、撮像された像が撮像対象400aの前側に合焦していることを、演算部130の認識部131が検出した場合、制御部140の移動体制御部142は、撮像対象400aに近づく方向に、撮像装置100を移動させることで、撮像対象400aに合焦させる。これにより、撮像装置100は、撮像部110の光学系111を駆動しなくても、デフォーカス量に応じて移動体300を移動させることで、撮像対象400aに合焦させることができる。
【0057】
<撮像対象400aの画像が検出された画像信号のみを表示させる場合について>
演算部130の認識部131は、撮像対象400aが撮像されているか否かを検出してもよい。そして、制御部140は、撮像対象400aの画像が検出されたか否かを示す情報を、画像信号に対応させて、インタフェース部200を介して通信装置に送信する。これにより、通信装置は、受信した画像信号と、撮像対象400aが撮像されている否かを示す情報とから、撮像対象400aが撮像されている画像信号のみを選択し、選択した画像信号のみを画像処理して、撮像対象400aが撮像されている画像のみを表示することができる。
【0058】
また、制御部140は、撮像部110が出力した画像信号を取得し、撮像対象400aの画像が検出されたか否かを示す情報に基づいて、撮像部110が出力した画像信号から、撮像対象400aが撮像されている画像信号のみを、インタフェース部200を介して、通信装置に送信することができる。これにより、ユーザは、撮像対象400aが撮像されている画像のみを、通信装置のディスプレイに観ることができる。
【0059】
<複数の撮像対象が集合した画像を撮像する場合について>
演算部130の認識部131は、撮像対象400aを認識する上述の手順と同様に、テンプレート画像によって、撮像対象400b及び400cを認識する。そして、認識部131は、探索範囲500に撮像された撮像対象の数を検出する。例えば、図4(B)では、撮像対象400aの画像503aと、撮像対象400bの画像501aと、撮像対象400cの画像502aとが撮像されているので、この場合、探索範囲500に撮像された撮像対象の数は3つとなる。そして、認識部131は、検出した撮像対象の数を、制御部140に出力する。
【0060】
制御部140は、探索範囲500に撮像された撮像対象の数が予め定められた閾値以上である場合、インタフェース部200に画像信号を出力する。一方、撮像対象の数が予め定められた閾値未満である場合、制御部140は、インタフェース部200に画像信号を出力しなくてもよい。また、予め定められた閾値は、記憶部120に記憶されていてもよい。
【0061】
このようにして、撮像装置100は、画像フレームにおける所定の探索範囲500(図4(B)を参照)に撮像されている撮像対象の数が、予め定められた閾値以上となった場合のみ、通信装置に画像信号を送信する。これにより、撮像装置100は、撮像対象が集合した画像を、通信装置に送信することができる。
【0062】
<撮像された像に予め定められた閾値以上の変化があった場合の撮像について>
制御部140は、時間的に連続する複数の画像フレーム間の差分を、演算部130の認識部131から取得してもよい。そして、制御部140は、その差分が予め定められた閾値以上である場合、すなわち、撮像部110に撮像された像に予め定められた閾値以上の変化があった場合のみ、演算部130から画像信号を取得して、インタフェース部200に出力してもよい。これにより、撮像装置100は、撮像部110に撮像された像に予め定められた閾値以上の変化があった場合のみ、画像信号を通信装置に送信することができる。例えば、水面に浮上した鯨が潮を噴く前の画像と、潮を噴いている画像とで、大きな変化があれば、撮像装置100は、水面に浮上した鯨が潮を噴いている画像を、通信装置に送信することができる。
【0063】
<撮像対象400aが撮像されていない場合の処理について>
例えば、撮像装置100が追尾していた撮像対象400aを見失ったとする。このような場合、演算部130の認識部131は、撮像対象400aを再び追尾して撮像するために、撮像対象400aが撮像されているか否かを検出してもよい。そして、認識部131は、撮像対象400aの画像が検出されたか否かを示す情報を、制御部140に出力する。そして、制御部140の移動体制御部142は、撮像対象400aが撮像されていない場合、撮像部110が撮像する範囲が広がるように、移動体300を制御して、移動体300に備えられた撮像装置100を移動(例えば、地上又は水面から離れるように上昇)させる。このようにすれば、撮像装置100は、より広い範囲を撮像することができるので、撮像対象400aの画像を再び検出して、撮像対象400aの追尾と撮像を再開することができる。
【0064】
<撮像対象400aの移動方向から、撮像対象400aを撮像する場合について>
演算部130の認識部131は、撮像対象位置の変化に基づいて、画像フレームにおける撮像対象400aの画像503a(図4(B)を参照)の移動方向及び移動速度を認識する。例えば、認識部131は、時間的に連続する複数の画像フレームにおける撮像対象位置の変化(差分)に基づいて、画像フレーム内(探索範囲500内)における画像503aの「動きベクトル」を算出することで、撮像対象400aの画像の移動方向及び移動速度を認識してもよい。
【0065】
そして、制御部140の移動体制御部142は、画像フレームにおける画像503aの移動方向及び移動速度を、認識部131から取得する。そして、移動体制御部142は、撮像対象400aの移動方向に、撮像対象400aよりも先に位置するように、移動体300を移動させる。このようにすれば、撮像装置100は、撮像対象400aの移動方向から、撮像対象400aを撮像することができる。例えば、撮像装置100は、撮像対象400aの移動方向から見える撮像対象400aの正面を、撮像することができる。
【0066】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態では、撮像部110の光学系111の倍率及び画角が変更される点が、第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0067】
制御部140は、撮像制御部141を更に備える。撮像制御部141は、撮像対象400aの画像503aが検出されたか否かを示す情報を、認識部131から取得する。そして、撮像制御部141は、撮像対象400aの画像503aが画像フレームにおいて予め定められた大きさに撮像されるように、サイズ情報又はサイズ情報の変化に基づいて撮像部110を制御することで、光学系111の倍率を変更させる。
【0068】
また、撮像制御部141は、撮像対象400aの画像が検出されていない場合、撮像範囲を広げるために、撮像部110を制御して、光学系111の倍率を低倍率に変更させる。
【0069】
また、撮像制御部141は、撮像部110の光学系111の画角を制御する。例えば、撮像制御部141は、撮像対象400aの画像が検出されていない場合、撮像範囲を広げるために、撮像部110を制御して、光学系111の画角を広角に変更させる。
【0070】
以上のようにして、制御部140の撮像制御部141は、撮像対象400aが画像フレームにおいて予め定められた大きさに撮像されるように、撮像部110に光学系111の倍率又は画角を変更させて、撮像対象400aを撮像させる。
【0071】
光学系111が駆動した場合と、移動体300が移動した場合とで、光学系111が駆動したほうが、撮像された画像の倍率又は画角が短い時間で変更される場合、撮像装置100は、光学系111を駆動させることで、第1実施形態と対比して更に、倍率又は画角を短い時間で変更して、撮像対象400aを予め定められた大きさに撮像することができる。
【0072】
<優先処理について>
撮像制御部141は、光学系111による像を撮像装置100が静止画として撮像する場合、移動体制御部142が移動体300を制御して、撮像装置100と、撮像対象400aとの距離を調節するよりも、撮像制御部141が撮像部110に光学系111の倍率を変更させることを優先してもよい。
【0073】
光学系111が駆動した場合と、移動体300が移動した場合とで、光学系111が駆動したほうが、撮像された画像の倍率又は画角が短い時間で変更される場合、撮像装置100は、優先処理として光学系111を駆動させることで、倍率又は画角を短い時間で変更して、撮像対象400aを予め定められた大きさに静止画として撮像することができる。
【0074】
また、移動体制御部142は、光学系111による像を撮像装置100が動画として撮像する場合、撮像制御部141が撮像部110に光学系111の倍率を変更させるよりも、移動体制御部142が移動体300を制御して、撮像装置100と、撮像対象400aとの距離を調節することを優先してもよい。
【0075】
光学系111が駆動した場合と、移動体300が移動した場合とで、移動体300が移動したほうが、撮像された画像の倍率又は画角が長い時間で変更される場合、撮像装置100は、優先処理として移動体300を移動させることで、画像の構図を急に変化させることなく、撮像対象400aを予め定められた大きさに動画として撮像することができる。
【0076】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0077】
なお、インタフェース部200は、有線通信を実行してもよい。また、インタフェース部200は、制御部140から取得した画像信号及び音信号を記憶する記録媒体(フラッシュメモリ等)であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
100…撮像装置、110…撮像部、111…光学系、112…撮像素子、113…レンズ駆動部、114…A/D変換部、120…記憶部、130…演算部、131…認識部、140…制御部、141…撮像制御部、142…移動体制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系による像を撮像して、当該像に応じた画像信号を出力する撮像部と、
前記画像信号に基づいて、撮像対象を認識する認識部と、
前記認識部が認識した前記撮像対象の状態に応じて、移動体を制御して、当該移動体に備えられた自装置を移動させる制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記像における前記撮像対象の大きさを算出し、
前記制御部は、前記撮像対象が前記像において予め定められた大きさに撮像されるように、前記移動体を制御して、当該移動体に備えられた自装置と、前記撮像対象と、の距離を調節することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記認識部は、前記像における前記撮像対象の大きさを算出し、
前記制御部は、前記撮像対象が前記画像において予め定められた大きさに撮像されるように、前記撮像部に前記光学系の倍率を変更させて、前記撮像対象を撮像させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記像が動画として撮像される場合、前記撮像部に前記光学系の倍率を変更させるよりも、前記移動体を制御して、当該移動体に備えられた自装置と、前記撮像対象と、の距離を調節することを優先することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記像が静止画として撮像される場合、前記移動体を制御して、当該移動体に備えられた自装置と、前記撮像対象と、の距離を調節するよりも、前記撮像部に前記光学系の倍率を変更させることを優先することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記認識部は、前記撮像対象が撮像されているか否かを検出し、
前記制御部は、前記撮像対象が撮像されていない場合、前記撮像部が撮像する前記像の範囲を広げるように前記移動体を制御して、当該移動体に備えられた自装置を移動させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記認識部は、前記撮像対象が撮像されているか否かを検出し、
前記制御部は、前記撮像対象が撮像されていない場合、前記撮像部に前記光学系を広角に変更させる、又は前記光学系の倍率を変更させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記認識部は、前記撮像対象の移動方向を検出し、
前記制御部は、前記撮像対象の前記移動方向に位置するように、前記移動体に備えられた自装置を移動させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記認識部は、前記像における前記撮像対象の顔の向きを認識し、
前記制御部は、前記顔の向きに基づいて、前記移動体に備えられた自装置を移動させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記認識部は、前記像における前記撮像対象の数を検出し、
前記制御部は、前記撮像部が出力した前記画像信号を取得し、当該数が予め定められた閾値以上である場合、前記画像信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−135247(P2011−135247A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291828(P2009−291828)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】