説明

撮像装置

【課題】予期した明るさの画像が容易に得られるようにした撮像装置を提供すること。
【解決手段】撮像素子に設定される画像信号1フレーム当りの露光時間が任意に設定できるようにした撮像装置において、縦方向の寸法と横方向の寸法により面積が決まる方形の図形G1が表示可能な画像表示用のモニタを設け、露光時間の設定値と撮像レンズの絞り値により図形G1の縦方向の寸法が決り、画像信号のフレームレートにより図形G1の横方向の寸法が決るようにしたもの。露光量が図形G1の大きさに置き換えて表現されているので、感覚的に露光量がどの程度のものか容易に把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像デバイスを用いた撮像装置に係り、特に、画像信号のフレームレートと1フレーム期間中での露光時間が任意に設定できるようにした撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、爆発、燃焼、破壊、弾丸の発射状況や飛翔状況など、状態が短時間の間に大きく変化する現象、いわゆる高速現象を伴う被写体は、そのまま肉眼で観察しても像として捉えることは殆どできず、従って、現象の分析のためには、例えば1秒間に100万コマ、つまり1フレームの撮像時間が1μ秒以下という高速度で被写体を撮像する必要がある。
そして、このような高速現象を人間の視覚に認識させるためには、少なくとも1秒間以上の動画としてスローモーション再生する必要があり、従って、通常は、少なくとも30フレーム分の画像信号を取得するようにしている。
【0003】
このとき、近年、光電変換画素を構成する複数のフォトダイオードの各々の周辺に、対応するフォトダイオードの各々の信号電荷を蓄積するためのCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)を備えた個体撮像素子(以下、周辺画素記録型撮像素子)が実用化され、これによれば、個体撮像素子により高速撮像が容易に得られるようになった(例えば、特許文献1などを参照。)。
更に、この周辺画素記録型撮像素子のCCD(周辺蓄積CCDという)を斜行直線状にし、並列読み出しする撮像素子を用いることにより、100万枚/秒の超高速で連続撮像が行なえるようになっている(例えば、特許文献2などを参照。)。
【0004】
ところで、この周辺画素記録型撮像素子を用いた超高速撮像の場合、露光を開始してからフォトダイオードの信号電荷が周辺蓄積CCDに高速転送され、周辺蓄積CCDに蓄積される。
しかし、この場合、信号電荷を蓄積しながら画像情報として読み出すのは困難であり、このため、従来技術では、露光を開始してフォトダイオードの信号電荷が周辺蓄積CCDに高速転送され、蓄積された後、高速転送を停止させ、露光が終了してから、読み出しを行なうようにしている。
このときの露光手段としては、通常、金属薄板のセクターやマイクロミラーによる機械式シャッタが用いられ、ストロボ照明による露光開始と露光終了の場合はキセノン放電管や高輝度LEDが用いられる。
【0005】
そして、機械式シャッタやストロボ照明による露光開始から露光終了までの期間、フォトダイオードに入射した光量に応じた信号電荷がフォトダイオードから周辺蓄積CCDに高速転送され、蓄積されてゆく。
そして、周辺蓄積CCDから垂直読み出しCCDと水平読み出しCCDに転送され、FDA(Floating Diffusion Amplifier)により信号電圧として撮像素子から読み出す。
【0006】
このとき高速転送の停止以前に画素周辺蓄積CCDに蓄積された信号電荷が読み出される。そこで、露光開始途中時または露光終了途中時に高速転送された信号電荷から生成された画像信号は不要信号として取り出され、露光時に高速転送された信号電荷から生成された画像信号と共にパソコン等の画像編集装置に供給され、補正された高速撮影画像として編集される。
このとき、高速撮影に用いられる露光開始途中時または露光終了途中時に高速転送された信号電荷から生成された画像信号と露光時に高速転送された信号電荷から生成された画像信号は、連続する高速転送された信号電荷から生成された画像信号であるので、編集された高速撮影画像信号では途中で画面が飛んでしまう不都合は全く生じない。
【0007】
具体的に説明すると、この周辺画素記録型撮像素子の場合、図7(a)に示すように、各画素のフォトダイオードに、所定の転送パルスにより動作する多段CCDメモリ、例えば144段のCCDメモリからなる斜行直線状転送路(斜め転送路ともいう)と垂直転送路が直結してあり、各フォトダイオードにより光電変換された各画素の信号電荷は、所定の読出パルスにより、所定の読出間隔、例えば1μ秒の読出間隔で斜め転送路に順次、転送され、144段の斜行直線状転送路と垂直転送路に格納されて行くようになっている。
【0008】
そして、この周辺画素記録型撮像素子においては、図7(b)に示すように、複数の横画素単位でチャネルを構成し、全部で例えば16チャネルの並列出力を得るようにしている。
そこで、従来技術に係る撮像システムにおいては、高速転送を停止し露光を終了させた後、この高速転送の停止以前に斜行直線状転送路と垂直転送路に蓄積されていた電荷を斜行直線状転送路と垂直転送路から水平転送路に転送させ、水平転送路からFDAに転送され、FDAにより信号電圧として撮像素子から読み出す。
【0009】
そして、この読み出した信号電圧にCDS(Correlated Double Sampling)処理とAGC(Automatic Gain Control)処理を施した上でデジタル映像データに変換し、編集処理して1枚の画像に合成し、超高速撮像された画像とするのである。
【0010】
図8は、このときの編集処理に使用される編集部3の一例で、撮像用のレンズ(図示してない)により、周辺画素記録型撮像素子1に被写体の像が結像されると、周辺画素記録型撮像素子1から信号電圧Viが読み出され、撮像部3内に16チャネル分備えられているFEP(Front End Processor:フロントエンドプロセッサ)14〜29に入力される。
これらFEP14〜29は、それぞれ図示のように、雑音を除去するCDS(Correlated Double Sampling)とAGC(Automatic Gain Control:利得可変増幅回路)それにADC(Analog Digital Converter:アナログ−デジタル変換器)が内蔵されている。
【0011】
そこで、FEP14〜29に入力された画像信号は、雑音の除去と振幅変動の抑制などの処理が施され、デジタル画像信号に変換した上でMPX(Multiplexer:多重化回路)6に供給され、これから補正前画像信号Vi’として取り出されてレベル判定部7と係数マトリクス10、それにガンマ補正部11によりガンマ補正され、更に画像処理部13により補正され、その上で出力画像信号Vo として画像表示用のモニタ5に供給される。
【0012】
このとき、パソコン4は、LANI/F(Interface:インターフェース)12を介して補正前画像信号を取り込み、CPU9にアクセスして係数マトリクス10に係数設定を行い、上記したガンマ補正が得られるように制御する。
また、このとき、TG(Timing Generator:タイミング発生部)8は、クロックCLKと水平同期信号HD及び垂直同期信号VDを入力し、これらから選択信号SELを生成し、MPX6とレベル判定部7に供給するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−124624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、このような撮像装置の場合、撮像時に設定しなければならない撮像条件の一つに画像信号における画像の明るさがあるが、これは、撮像素子に入射されている光の強度と露光率によって決まる。
【0015】
ここで、まず、撮像素子に入射されている光の強度は、撮像レンズの口径比と、レンズの絞りに設定されたF値で決る。
しかし、このとき撮像レンズの口径比はレンズの仕様で決まるので、結局、この光の強度は、通常、当該撮像レンズのF値だけで表わされている。
【0016】
そして、このF値については、例えば、口径比が1.4のレンズの場合、絞りが100%全開のときF1.4とし、以下、絞り50%(絞り1/2)ではF2.0、絞り25%(絞り1/4)ではF2.8、12.5%絞り(絞り1/8)ではF4.0などと光量が半減する毎にF目盛をつけるのが一般的で、このF値については、オペレータによって設定され、撮像条件に対してパラメータとなる。
【0017】
次に、露光率とは、画像信号の1フレーム時間(期間)に対する露光時間の比(露光時間/フレーム時間)のことで、このときの露光時間とは、いわゆる電子シャッタ機能により画像信号1フレーム時間内において与えられる露光時間のことであり、従って、画像信号のフレームレートと露光時間の双方がパラメータとして設定されれば、1フレーム時間が決り、露光率も決ることになる。ここで、フレームレートとは単位時間当りのフレーム数、つまり1秒当りのフレーム数のことであり、従って、1フレーム時間はフレームレートから換算される。
【0018】
そして、このフレームレート(又はフレーム時間)と露光時間は、上記したF値と共に、オペレータにより撮像に関するパラメータとして撮像装置の制御部(例えばパソコン)に設定されるようになっている。
このときの1フレーム期間内での撮像素子の露光と遮光の関係を示したのが図9(a)、(b)、(c)、(d)で、これらの図に「露光」と示されている部分が1フレーム期間内での露光時間になる。
【0019】
従って、このような撮像装置の場合、その運用に際しては、設定されたフレームレートを前提として撮像すべき画像の明るさをどのようにするか予め想定し、それに従って絞り値と露光時間を設定する必要がある。
しかしながら、このとき従来技術では、絞り値と露光時間の設定について、専らオペレータの判断に任されていた。
このため、従来技術では、適切な絞り値と露光時間の設定による所望の明るさの画像を得るのに熟練を要するという問題があった。
【0020】
すなわち、従来技術の場合、画像の明るさを絞り値と露光時間から類推しなければならないので、所望の明るさの画像の取得に熟練を要してしまうのである。
本発明の目的は、予期した明るさの画像に対応した絞り値と露光時間の適切な設定が、与えられたフレームレートのもとで容易に得られるようにした撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的は、画像信号のフレームレート及び1フレーム期間中の撮像素子の露光時間が任意に設定できるようにした撮像装置において、横軸と縦軸で規定された方形の図形をモニタに表示させる表示制御手段を設け、前記表示制御手段は、撮像レンズに設定された絞り値と前記露光時間の設定値から算定される値を前記方形の図形の縦軸寸法とし、前記1フレーム期間として設定された値を前記方形の図形の横軸寸法として前記モニタに表示させるようにして達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、露光量が矩形の面積として表示されるので、その矩形の大きさや縦長が横長かなどの形状状態から露光の程度が感覚的に捉えられるようになる。
従って、本発明によれば、画像の明るさが或る程度、定量的に推測できるので、予期した明るさの画像を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明に係る撮像装置の一実施の形態による表示画像(その1)を示す説明図である。
【図3】本発明に係る撮像装置の一実施の形態による表示画像(その2)を示す説明図である。
【図4】本発明に係る撮像装置の一実施の形態による表示画像(その3)を示す説明図である。
【図5】本発明に係る撮像装置の一実施の形態による表示画像(その4)を示す説明図である。
【図6】本発明に係る撮像装置の一実施の形態による表示画像(その5)を示す説明図である。
【図7】周辺画素記録型撮像素子の説明図である。
【図8】周辺画素記録型撮像素子の編集処理に使用される編集部の一例を示すブロック図である。
【図9】フレームレートと1フレーム期間内での撮像素子の露光と遮光の関係を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による撮像装置について、図示の実施形態により詳細に説明する。
まず、図1は、本発明を、図7で説明した撮像装置により実現させた場合の一実施の形態であり、従って、周辺画素記録型撮像素子1と撮像部3、パソコン4、それにモニタ5は、何れも図7の場合と同じである。
このとき周辺画素記録型撮像素子1には撮像レンズ2が設けてあり、この撮像レンズ2により、周辺画素記録型撮像素子1に被写体Oの像が結像されるようになっている。そして、この撮像レンズ2には絞り機構2Sがあり、その絞り値(F値)は、オペレータにより任意に設定される。
【0025】
そこで、この絞り機構2Sにエンコーダ(図示してない)を設け、絞り機構2Sに設定されている絞り値がエンコード結果eとして取り出せるように構成してあり、エンコード結果eはパソコン4に取り込まれる。
次に、パソコン4は、撮像条件としてオペレータにより設定されているフレームレートFRを取り込み、これから1フレーム時間FTを算出する。例えば、このときのフレームレートFRが100fpsならフレーム時間は10msになる。
なお、フレームレートFRの代わりにフレーム時間FTを設定しておき、これを取り込むようにしてもよい。
【0026】
このとき、パソコン4には、所望の図形(詳細は後述)をモニタ5に表示するのに必要なソフトウエアが格納され、これにより表示制御手段としての働きをする。
そこで、オペレータの処理開始指示によりパソコン4による表示制御処理が開始されると、まず、エンコード結果eから、このとき絞り機構2Sに設定されている絞り値を取り込み、絞りが全開、つまりF値が最小値のときを絞り値100%(最大値)とするレンズ開放率LO(%)に換算する。
例えば、前述の口径比が1.4のレンズの場合、絞り値F1.4をLO100%、F2.0をLO50%、F2.8をLO25%、F4.0をLO12.5%に換算するのである。
【0027】
また、ここで画像信号のフレームレートFRと露光時間の双方が設定されたことにより、パソコン4で露光率(露光時間/フレーム期間)が算出できる。そこで、これを露光率ERとする。
従って、例えば、図9の場合、(a)は露光率ERが1/2で、(b)は1/4、(c)は9/10、そして(d)は1/8となる。
なお、ここでは、露光時間をms単位の時間で設定された場合について説明したが、露光時間に代えて直接、露光率ERを設定するようにしてもよい。
【0028】
ここで、パソコン4は、モニタ5の表示面に、所望の図形として、図2(a)に示す直角座標図形Zを表示させ、その横軸をX軸とし、これのX軸をフレームレートFRで決る1フレーム時間FT用の目盛(スケール)とする。
そして、このX軸に、図示のように、最大値を10msとして、0から所定の間隔毎に、例えば2.5ms、5ms、7.5msと表示する。
このとき、これも図示されているように、1フレーム時間FTが最大値となる数値(この場合、10ms)が表示される位置については、X軸の右端には達しない位置とする。
なお、このときの目盛の細かさは任意であり、例えば1ms単位で表示してもよい。
【0029】
ここで、X軸目盛の最大値が、上記のように10msとなるのは、設定されたフレームレートFRの最小値が100fpsの場合であり、この場合、表示対象となるフレームレートFRは、例えば図9の(b)、(c)、(d)など100fps以上のものに限られる。
従って、X軸目盛の最大値はフレームレートFRに応じて決める必要があり、例えば、設定されたフレームレートFRが100fpsよりも低い場合、例えば図9(a)の場合は、X軸目盛の最大値を66.6msにする必要がある。
そして、この図2(a)の場合、図2(b)に示すように、フレームレートFRは100fpsで露光率ERは1/2であるとする。
【0030】
そして、この図形ZのX軸は、更に、その両端からそれぞれ立ち上がっている2本の縦軸をもつものとして表示する。
まず、左側(一方の側)の縦軸をY1軸とし、このY1軸をレンズ開放率LO(%)用の目盛軸(スケール)とする。そして、このY1軸に、図示のように、下から所定の高さ毎に順次、25%、50%、75%、100%と表示する。このとき100%が最大値である。なお、これも一例で、目盛の細かさは任意であり、1%単位で目盛を表示してもよい。
【0031】
次に、右側(他方の側)の縦軸をY2軸とし、このY2軸は、露光率ER(無名数)用の目盛軸(スケール)とし、これに、図示のように、下から所定の高さ毎に順次、1/5、2/5、1/2、4/5、1(1/1)と表示する。このとき1が最大値である。なお、これも一例で、目盛の細かさは任意であり、例えば1/100単位で表示してもよい。
しかして、このとき、露光率ERの最大値が表示されるY2軸上での高さを固定とせず、レンズ開放率LO(%)に応じて変化させるようにする。
【0032】
このため、図示のように、実線の縦矢印Aを、露光率ER用の目盛軸であるY1軸の左側に表示させ、その高さを、いま設定されたレンズ開放率LOの値(%)にとる。
そして、この縦矢印Aの頂点位置から横方向に延びる破線の横矢印Bを表示させ、この横矢印Bが反対側にあるY2軸に到達した位置を、Y2軸上で露光率ERの最大値が表示される高さとし、露光率ER用の目盛を表示するのである。
【0033】
いま、一例として、設定されたレンズ開放率LOが75%とすると、この場合、図2(a)に示すように、矢印Aの高さはY1軸の75%になり、従って、この場合、露光率ER用の目盛軸であるY2軸上で露光率ERの最大値が表示される高さは、Y1軸の75%と同じ位置になる。
そして、この結果、撮像レンズ2の絞り(F値)を変えると、レンズ開放率LOが変わり、矢印Aの高さが変わるので、これに応じてY2軸上で露光率ERの最大値が表示される位置が自動的に上下し、露光率ER目盛が伸び縮みすることになる。
【0034】
このとき、パソコン4は、図示のように、このとき設定されているフレームレートFRとフレーム時間FT、レンズ開放率OL、露光率ERの各数値を、図形Zのタイトルとして表示する。このとき、設定した露光時間は、露光率ERに換算されているので、ここには表示してないが、露光率ERが1のときフレーム時間FTに等しくなるので、露光率ER=1の目盛にフレーム時間FTの値を併記してもよく、従って、この場合は、図示のようになる。
その上で、この図形Zで表わされている直角座標の中に、図にハッチングを付して示した方形の図形G1を表示させるのであるが、このとき図形G1の大きさについては以下の通りにする。
【0035】
まず、縦方向の寸法、つまり図形G1の高さについては、このとき設定されている露光率ERをY2軸の目盛でみた位置と同じにする。
次に、横方向の寸法、つまり図形G1の幅については、このとき設定されているフレーム時間FTをX軸からそのまま取るのである。
そうすると、この図2(a)の場合、図形G1は、高さがER目盛でみて1/2になり、幅はFT10msになっている。
従って、この図2(a)の場合、撮像した画像の明るさは、図にハッチングを付して示した方形の図形G1の大きさ(面積)で表現されていることになる。
【0036】
何故なら、撮像した画像の明るさは、上記したように、撮像素子に入射されている光の強度と露光時間によって決まり、このとき光の強度については、レンズ開放率LOとしてY1軸に設定された値がY2軸の露光率ER目盛の最大値に反映されていて、これが図形G1の高さになっており、図形G1の幅は露光時間になっているので、これらの積、つまり撮像した画像の明るさは、図形G1の大きさになっているからである。
【0037】
そして、この結果、オペレータは、図形G1をみると、その大きさから撮像した画像の明るさが感覚的に認識でき、有る程度、定量的に捉えることができるようになる。
これは、図形の場合、単なる数値とは異なり、見ただけで直ちに大きさが感じとれ、大小の程度が認識できるからであり、このとき図形G1によれば、その面積が画像の明るさに比例しているからである。
【0038】
一方、画像の明るさを、単に数値の積から把握しようとした場合、思考上で計算が必要であり、しかも計算結果も思考上にあるだけなので、感覚的に把握するのは困難であり、まして定量的に捉えることなど、ほとんど不可能であるといえ、このため、従来技術では、所望の明るさの画像の取得に熟練を要してしまうのである。
【0039】
次に、図3(a)、(b)は、同じくフレームレートFRは100(fps)であるが、絞りを変えてレンズ開放率LOを50%にした場合で、これにより露光率ER目盛の最大値が50/75に下がっている。
この結果、露光率ERは同じく1/2で変わっていないにもかかわらず、露光率ER目盛の最大値が50/75に下がっていることから、図形G2の高さが、図2の図形G1の高さの50/75に減少している。
そこで、この場合、図2の図形G1の面積が、図3の図形G2の面積より大きいことは一目瞭然で、しかも、差が約6割であることまで、ほとんど一目瞭然であるといえ、従って、この場合、明るさの大小が簡単に識別できることになる。
【0040】
また、図4(a)、(b)は、フレームレートFRだけを200(fps)にした場合の図形G3を示したものである。
この図4の場合、レンズ開放率LOと露光率FRは図3と同じなので、図形G3の高さも図3の図形G2と同じであるが、フレームレートFRが2倍で、フレーム時間FTは半分になっているので、図形G3の幅も図形G2の半分になっている。
従って、大きさ(面積)が半減していることから、明るさが半分になっていることが簡単に認識できる。
【0041】
そして、このことは、複数のケースを比較した場合、特に顕著で、違いが一目瞭然で判るようになる。
そこで、以下、この点について説明すると、まず、図5は、レンズ開放率LOは何れも100%と同じであるが、フレームレートFRと露光率ERが異なっている場合を左右に並べて示した図で、このときレームレートFRが100(fps)で露光率ERが1/4の場合が図5(a)で、フレームレートFRが200(fps)で露光率ERが1/2の場合が図5(b)である。
そして、この場合、図5(a)の図形G5Aと図5(b)の図形G5Bは、撮像条件を変えたので形状は異なっている。しかし、大きさ(面積)が同じであることから、画像の明るさは同じであることが直ちに認識できる。
【0042】
次に、図6は、レームレートFRは何れも100(fps)と同じであるが、今度はレンズ開放率LOと露光率ERが異なっている場合を左右に並べて示した図で、このときレンズ開放率LOが50(%)で露光率ERが1/2の場合が図6(a)で、レンズ開放率LOが100(%)で露光率ERが1/4の場合が図6(b)である。
そして、この場合、図6(a)の図形G6Aと図6(b)の図形G6Bは、撮像条件を変えたにもかかわらず、形状も大きさ(面積)も同じであることから、画像の明るさは同じであることが直ちに認識できる。
【0043】
以上のように、この実施形態によれば、画像の明るさが図形の大きさとして視覚的に把握できるので、従来技術のように、思考上での計算により画像の明るさを推測する必要がなく、従って、熟練を要することなく、予期した明るさの画像が容易に得られることになる。
【0044】
なお、ここに説明した実施形態では、撮像レンズ2の絞り値をエンコーダで電気的データに変換してパソコン4に入力するようになっているが、オペレータがレンズから絞り値を読み取り、それをパソコンに入力するようにしてもよく、この場合、エンコーダは不要であり、従って、汎用の撮像レンズをそのまま用いて実施することができる。
【0045】
ところで、上記の実施形態は、本発明を、周辺画素記録型撮像素子を用いた高速度撮像装置に適用した場合の一実施形態であるが、本発明は、通常の撮像素子による一般的な撮像装置にも適用可能なことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1:周辺画素記録型撮像素子
2:撮像レンズ
2S:絞り機構
3:撮像部
4:パソコン
5:モニタ(画像表示用のモニタ)
6:MPX(Multiplexer:多重化回路)
7:レベル判定部
8:TG(Timing Generator:タイミング発生器)
9:CPU、
10:係数マトリクス
11:ガンマ補正部
12:IF(Interface:インターフェース)
13:画像処理部
14〜29:FEP(Front End Processor:フロントエンドプロセッサ)
31、41、51:補正部
32、42、52:誤差検出部
33、34、43、44、45、48:減算器
35、36:ラインメモリ部
46、47、49、50:フレームメモリ部
53:切替器
54:ビットシフト
55:加算器
56:飽和検出部
57、58、59:遅延部、
CDS:Correlated Double Sampling
AGC:Automatic Gain Control(利得可変増幅回路)、
ADC:Analog Digital Converter(アナログ−デジタル変換器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号のフレームレート及び1フレーム期間中の撮像素子の露光時間が任意に設定できるようにした撮像装置において、
横軸と縦軸で規定された方形の図形をモニタに表示させる表示制御手段を設け、
前記表示制御手段は、撮像レンズに設定された絞り値と前記露光時間の設定値から算定される値を前記方形の図形の縦軸寸法とし、前記1フレーム期間として設定された値を前記方形の図形の横軸寸法として前記モニタに表示させるように構成したことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−171943(P2011−171943A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32933(P2010−32933)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】