説明

撮像装置

【課題】撮影画像の色補正処理を簡易で高精度にするものである。
【解決手段】被写体を撮影する撮像装置において、被写体を撮影する撮像素子110と、被写体及びカメラ周囲の外光の分光特性を測定するための分光計113を同一カメラ筐体102内部に同時に備え、被写体の撮影及び分光特性測定は跳ね上げ式ミラー103を用いることにより同一の撮影レンズ101を用いて行える構成とし、分光計113によって測定した分光特性を元に色補正係数を算出し、撮像素子110で撮影した画像に対して色補正処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、特に分光測定機能および色補正機能を備えた単板式カラー撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラにおける色補正の精度は、種々の原因によって低下する問題があった。そこで、特許文献1や特許文献2などにおいては、被写体の分光スペクトル情報を利用して、入力画像の色補正を行う撮影システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3614126号公報
【特許文献2】特開2005−341175号公報
【特許文献3】特開昭53−40522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では測色計とカメラが分離しており、正しい被写体の分光スペクトルを計測することが困難な課題があった。また特許文献2では分光計とカメラは接続されているが、それぞれが異なる光学レンズを用いており、両者の撮影位置を一致させることが困難であり、またレンズの特性が異なる課題があった。
【0005】
本発明の目的は、被写体の撮影と分光特性の測定を同じ光学レンズを通して行い、分光特性の測定を簡易に行うことである。またそれと共に撮影画像の色補正精度を向上させることである。また被写体だけでなくカメラ周囲の光源の分光特性を測定することにより、被写体の光源とカメラ周囲の光源の種類が一致している場合にカメラが撮影中でも色補正を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、跳ね上げ式ミラーまたは回転式ミラー、およびすりガラスを通して撮像画像を分光計へ導く機構を備え、測定した分光特性から色補正処理を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、撮影画像の色補正処理を簡易で高精度とできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施例
【図2】本発明の第2の実施例(回転ミラーの開口位置が上半分にあり、レンズからの入射光は分光計側へ反射している場合)
【図3】本発明の第2の実施例(回転ミラーの開口位置が下半分にあり、レンズからの入射光は撮像素子側へ透過している場合)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。なお、全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0010】
本発明を用いた第1の実施例の撮像装置について図1を用いて説明する。
【0011】
撮影レンズ101よりカメラ筐体102内に入射された光は、跳ね上げ式ミラー機構を通り、跳ね上げ式ミラー103(以下、「ミラー103」ということがある。)が下がっている場合(図1の実線の場合)、光学像はミラー103で反射され、ミラー構造上部に撮影レンズ101からの焦点距離が撮像素子110と等しい距離に設置されたすりガラス104に結像される。本実施例においては撮像素子110は単板カラー撮像素子である。すりガラス104上の像はさらにその上部に設置されたハーフミラー105(ビームスプリッター)によって2分割され、そのひとつの像はハーフミラー105の水平方向に設置された分光計113(例えばエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社より販売されているスペクトロラジオメーター(分光放射計)など)へ入射され、もうひとつの像はハーフミラー105上方に設置されたビューファインダー口となっている開口部106から観察できる構成となっている。このように、ミラー103が下がっている場合は、撮影レンズ101を通して撮影している被写体の分光特性が、分光計113によって測定できるようになっている。このとき、ビューファインダー口はカメラ外光を取り入れるための開口部106も兼ねているため、ミラー103が下がっている間は開口部106から外光が多少漏れ込む可能性がある。これを防ぐため、ミラー103が下がっている間は開口部106から観察する場合は接眼フード107を併用し、または開口部106を接眼フード107や蓋で遮光し、または回転式遮光蓋108を開口部分に設置してもよい。但し通常は、接眼時には開口部分から漏れ込む光はわずかであり、しかも漏れ込んだ光の一部はハーフミラー105で反射して暗幕109で吸収される。
【0012】
一方、ミラー103が跳ね上がっている場合(図1の点線の場合)、撮影レンズ101からの光学像はミラー機構を通り越して撮像素子110の表面上に結像される。撮像素子110は撮像素子駆動回路111によって光学像を電気信号に変換し、その信号はカメラプロセス回路111によってカメラ映像信号となり、色補正回路112を経て出力される。
【0013】
ミラー103が跳ね上がっている時、開口部106から外光を取り入れると、外光の一部はハーフミラー105を透過し、すりガラス104上で拡散される。またすりガラス104を透過した光もミラー103で反射され再びすりガラス104で拡散される。これらの拡散光の一部はハーフミラー105でさらに反射され、分光計113へ入射される。このように、ミラー103が跳ね上がっている場合は、カメラ上部の開口部106から入射される外光の分光特性が、分光計113によって測定できるようになっている。
【0014】
このようにして測定によって得られた被写体やカメラ周辺の分光特性は、色彩工学の考え方に基づいて色補正係数算出回路114によって色補正係数を得、色補正回路112において光源に応じた適当な色補正処理を行う。
【0015】
本実施例のように、撮像素子110が単板カラー撮像素子である場合は、色補正係数算出回路114が、分光計113が測定した分光特性、およびあらかじめ測定した本実施例の撮像装置(単板カラー撮像素子を用いた単板式カラーカメラ)の分光特性と3板式カラーカメラの分光特性から、本実施例の撮像装置の色再現性を3板式カラーカメラの色再現特性へ近づけるような色補正係数を算出し、色補正回路112が、色補正係数算出回路114により算出された色補正係数により、撮像素子110からの映像信号の色補正を行う。これにより、単板カラー撮像素子を用いた単板式カラーカメラであっても3板式カラーカメラに近い色再現特性が得られる。
【0016】
以下、その原理について簡単に説明する。カメラの被写体は、照明や太陽などの光源によって照らされ、その反射光がカメラの撮影レンズを通して撮像素子に入射される。このとき、照明は光源によって決まった、光の波長λに応じた強度の分光強度分布P(λ)を持つ(以下、P(λ)を光源の分光特性ということがある)。また被写体も分光反射率ρ(λ)を持つ。両者の積が被写体からの反射光Cs(λ)としてテレビカメラへ入射する。テレビカメラはその反射光を、例えばR,G,Bに対応した撮像素子の画素がそれぞれ分光感度S(λ),S(λ),S(λ)を持ったカラーセンサで撮像し、その積分値に応じた出力をR,G,Bの各色チャンネル出力信号として出力する。これを式で表すと以下に示す式1のようになる。
【0017】
【数1】

【0018】
このとき、被写体の分光反射率ρ(λ)を標準白色板などを用いてなるべく平坦にする、もしくは可能であれば既知のデータで校正することにより、被写体からの反射光Cs(λ)は、光源の分光分布P(λ)をできるだけ反映した特性とすることができる。すなわち、Cs(λ)のスペクトルを測定することにより、撮影環境の光源の分光特性を推定することが可能となる。また、RGBセンサの分光撮像特性をあらかじめ測定しておけば、そのセンサ出力RGB値を計算で求めることが可能となる。従って、例えばマクベスチャートなど反射分光特性ρ(λ)が既知のデータを用いると、光源の分光特性を測定するだけで、各照明条件におけるカメラで撮影したマクベスチャートの再現色を計算で作成することができる。以下、マクベスチャートを用いた例について説明するが、他のカラーチャートを用いてもよいことはいうまでもない。
【0019】
一般に放送用カメラでは撮影時に、その撮影環境に応じてカメラのホワイトバランスを調整するために、撮影前に灰色もしくは白色の標準反射チャート等の無彩色反射被写体を撮影し、そのときのRGB信号強度からRGBそれぞれのアンプゲイン設定を調整する。
【0020】
そこで、跳ね上げ式ミラーが下がっている状態(図1の実線の状態)、すなわち分光計113が撮影レンズ101を通して被写体の分光特性を計測する状態で、まず無彩色の標準反射チャートを撮影する。撮影レンズ101よりカメラ筐体102内に入射された光は、ミラー103で反射され、すりガラス104に結像される。すりガラス104上の像はハーフミラー105によって2分割され、その一つの像は分光計113に入る。分光計113は光源の分光特性P(λ)を出力する。分光計113から出力された光源の分光特性P(λ)は、色補正係数算出回路114に入力される。
【0021】
色補正係数算出回路114では、分光計113で求められた光源の分光特性P(λ)と、既知のマクベスチャート反射分光特性ρ(λ)と、あらかじめ測定した本実施例の撮像装置(単板カラー撮像素子を用いた単板式カラーカメラ)のカラー分光感度特性SR1(λ),SG1(λ),SB1(λ)とを積算し、本実施例の単板式カラーカメラで撮影したマクベスチャートの画像に相当するRGB値を計算で生成する(式1参照)。また、分光計113で求められた光源の分光特性P(λ)と、既知のマクベスチャート反射分光特性ρ(λ)と、一般的な放送用3板式カラーカメラのカラー分光感度特性SR2(λ),SG2(λ),SB2(λ)とを積算し、3板式カラーカメラで撮影したマクベスチャートの画像に相当するRGB値を計算で生成する(式1参照)。
【0022】
色補正は例えばこの計算によって求められた2種類のマクベスチャートの画像に相当するRGB値を用いて行える。すなわち、上記の計算で求めた本実施例の単板式カラーカメラのマクベスチャートの24色それぞれのRGB値を色補正係数で補正したRGB値が、上記の計算で求めた一般的な放送用3板式カラーカメラのそれぞれのRGB値に近づくように色補正係数を算出する。例えば色補正をリニアマトリクスで行う場合、本実施例の単板式カラーカメラのマクベスチャートの24色それぞれのRGB値が、一般的な放送用3板式カラーカメラのそれぞれのRGB値と最も近づくように、リニアマトリクスの補正係数を最小二乗法で求める。
【0023】
リニアマトリクス補正では、以下のようなRGB三原色の1次変換マトリクスで、RGBの混合比を変えることにより調整する。
【0024】
【数2】

【0025】
ここで、R,G,Bは本実施例の単板式カラーカメラで撮影したマクベスチャートの画像に相当するRGB値、R,G,Bは3板式カラーカメラで撮影したマクベスチャートの画像に相当するRGB値である。
【0026】
補正マトリクスLMは、
【0027】
【数3】

で算出する。実際には最小二乗法により最も近い行列を求める。具体的には例えば、いくつかの色票(例えばマクベスチャートの24色)を選定し、補正処理後のRGB値をR’,G’,B’とすると、補正ターゲット(R,G,B)との差の二乗平均を、
【0028】
【数4】

【0029】
とし、全ての色に対してその値が最も小さくなるようなLMを求る。このとき、任意の色票を選んだり、特定の色(例えば肌色)を重視して加重平均を行ってもよい。
【0030】
色補正係数算出回路114はこのようにして算出した色補正係数(リニアマトリクス補正を行う場合はリニアマトリクス係数)を出力する。
【0031】
色補正係数算出回路114により得られた色補正係数を用いて、本実施例の単板式カラーカメラ(撮像装置)の色補正回路112において色補正(リニアマトリクスル補正の場合はリニアマトリクス色補正処理)を行うことにより、本実施例の撮像装置(単板式カラーカメラ)の色再現特性を、3板式カラーカメラの色再現特性と近づけることが可能となる。
【0032】
本実施例では、跳ね上げ式ミラーが下がっている時(撮影していない時)に、被写体の光源に対して色補正係数の算出を行い、その色補正係数を用いて、跳ね上げ式ミラーが上がっている時(被写体を撮影している時)に、被写体の映像の色補正を行う。跳ね上げ式ミラーが下がっている時(撮影していない時)は、実際に撮影するのと同じ光学レンズを通るので、高精度に色補正係数を算出でき、その色補正係数を用いて、跳ね上げ式ミラーが上がっている時(撮影している時)の色補正を行うので、色補正精度を向上させることができる。
【0033】
また、跳ね上げ式ミラーがあがっている時(撮影している時)は、カメラ周囲の外部光源からの光が開口部106を介して分光計113に入射するので、上記と同様な方法により、撮影中にカメラ周囲の外光光源に対して色補正係数を計算し、その色補正係数を用いて、被写体の映像の色補正を行うこともできる。跳ね上げ式ミラーがあがっている時は、無彩色の標準反射チャートは使用しないが、開口部106からの入射光をすりガラス104が散乱させ、その散乱光によって分光特性を測定することにより、跳ね上げ式ミラーが下がっている時の無彩色の標準反射チャートを使用した測定と同様な測定ができる。もちろん被写体の光源とカメラ周囲の光源の種類が一致していることが必要であるが、その場合には撮影中にリアルタイムに色補正が可能となる。具体例としては、日中の外光での撮影で、天気が晴れたり曇ったり変化しても常に最適な色補正を続行できる。また中継番組などでカメラが屋外から屋内に移動して光源が外光から室内光(例えば蛍光灯)に変化したときに、カメラが室内に入ったと同時に室内向に合わせた色補正を(自動的に)行うことができる。一方デメリットとしては、被写体の光でなくカメラの周囲光で測定するので、被写体だけに異なる光源(例えば室内蛍光灯下で被写体にタングステン光をあてた場合など)のときは、被写体の光源とカメラ周囲の光源が異なるので、この方法は使えない。また、被写体とカメラ周囲の光源が同じ場合でも、レンズの透過率などを勘案した真の色補正係数とはならず多少精度が落ちる可能性がある。このような点が問題になる場合は、前述のように、跳ね上げ式ミラーが下がっている時(撮影していない時)に色補正係数の算出を行い、その色補正係数を用いて、跳ね上げ式ミラーが上がっている時(被写体を撮影している時)に、被写体の映像の色補正を行えばよい。
【実施例2】
【0034】
本発明を用いた第2の実施例の撮像装置について図2および図3を用いて説明する。
【0035】
図2および図3は、半円(シャッター開角度180度)もしくは任意のシャッター開角度を実現し撮像素子の動作と同期して回転するシャッター(回転ミラー)121を内蔵した、単板カラー撮像素子用カメラを模式的に示している。映画用カメラなどではこのような回転シャッター(回転ミラー)121を内蔵した機構は一般的に用いられており(例えば特許文献3ほか)、基本的な回転シャッター機構および動作はそれらと同様であるが、本実施例ではレンズ機構及び撮像機構は回転シャッター機構の下部に配置されている。
【0036】
図2では、回転ミラー121の下半分が反射面(実線で記載)となった状態で、光学像は回転ミラー121(以下、「ミラー121」ということがある。)で反射され、ミラー構造上部に撮影レンズ101からの焦点距離が撮像素子110と等しい距離に設置されたすりガラス104に結像される。すりガラス104上の像はさらにその上部に設置されたハーフミラー105(ビームスプリッター)によって2分割され、そのひとつの像はハーフミラー105の水平方向に設置された分光計113へ入射される。このときハーフミラー105と分光計113との間には回転ミラー121の撮像レンズ及び撮像面側と反対側の面が存在し、回転ミラーの開口部(点線で記載)の期間のみ、ハーフミラーからの光学像は分光計113に入射することになる。ハーフミラー105を透過したもうひとつの像はハーフミラー105上方に設置されたビューファインダー口となっている開口部106から観察できる構成となっている。なお、ビューファインダーが不要な場合は、ハーフミラー105を全反射ミラーとし、ビューファインダー口は設置しなくても良い。このように、回転ミラー121の下半分が反射面となっている場合は、撮影レンズ101を通して撮影している被写体の分光特性が、分光計113によって測定できるようになっている。
【0037】
図3では、回転ミラー121の下半分が透過面(点線で記載)となった状態で、撮影レンズ101からの光学像は回転ミラー機構を通り越して撮像素子110の表面上に結像される。撮像素子110は撮像素子駆動回路111によって光学像を電気信号に変換し、駆カメラプロセス回路111でカメラ映像信号となり、色補正回路112を経て出力される。
【0038】
図3では同時に、回転ミラー121の上半分が反射面(実線で記載)となっており、カメラ下方に拡散板122と共に設置された外光取り入れ開口部123からの光は筒状の導光管124に従って回転ミラー121上部反射面に達し、反射され、分光計113へ入射される。このように、回転ミラー121の上半分が反射面となっている場合は、カメラ下部の外光取り入れ開口部123から入射される外光の分光特性が、分光計113によって測定できるようになっている。一方図2のように回転ミラー121の上半分が透過面となっている場合は、外光からの導光管124の光は回転ミラー機構部を透過してカメラ筐体102内部の暗部もしくは暗幕125等で吸収される。なお、外光取り入れ開口部123はカメラ上部もしくは任意の場所に設置しても良く、適当な導光管と反射ミラーなどを組み合わせて、また場合によっては光ファイバーなどの導光管を用いて、先ほどの回転ミラー反射面に光を導いても良い。
【0039】
分光計113は回転ミラー121の開口部(点線で記載)に同期して測定を行う。例えば図2のように回転ミラー121の上部だけが開口している期間のみ測定を行うことにより、撮影レンズ101を通して撮影した被写体の分光特性が測定できる。また図3のように回転ミラー121の上部が反射面(実線で記載)となっている期間に測定を行うと、カメラ周囲の外光の分光特性が測定できる。例えばエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社より販売されているスペクトロラジオメーター(分光放射計)では、測定開始トリガー、測定時間、測定回数を設定することが可能であり、これらを適当に設定することにより、目的とする期間の光入射を繰り返し測定し、測定の感度およびノイズ特性を改善することも可能である。
【0040】
分光計113、色補正係数算出回路114、色補正回路112の構成および動作は第1の実施例と同様である。
【0041】
本実施例では、図2のように回転ミラー121の上部が開口している時(撮影していない時)に、被写体の光源に対して色補正係数の算出を行い、その色補正係数を用いて、図3のように回転ミラー121の上部が反射面(実線で記載)となっている時(被写体を撮影している時)に、被写体の映像の色補正を行う。図2のように回転ミラー121の上部が開口している時(撮影していない時)は、実際に撮影するのと同じ光学レンズを通るので、高精度に色補正係数を算出でき、その色補正係数を用いて、図3のように回転ミラー121の上部が反射面(実線で記載)となっている時(撮影している時)の色補正を行うので、色補正精度を向上させることができる。
【0042】
また、図3のように回転ミラー121の上部が反射面(実線で記載)となっている時(撮影している時)は、カメラ周囲の外部光源からの光が開口部123を介して分光計113に入射するので、撮影中にカメラ周囲の外光光源に対して色補正係数を計算し、その色補正係数を用いて、被写体の映像の色補正を行うこともできる。もちろん被写体の光源とカメラ周囲の光源の種類が一致していることが必要であるが、その場合には撮影中にリアルタイムに色補正が可能となる。具体例としては、日中の外光での撮影で、天気が晴れたり曇ったり変化しても常に最適な色補正を続行できる。また中継番組などでカメラが屋外から屋内に移動して光源が外光から室内光(例えば蛍光灯)に変化したときに、カメラが室内に入ったと同時に室内向に合わせた色補正を(自動的に)行うことができる。一方デメリットとしては、被写体の光でなくカメラの周囲光で測定するので、被写体だけに異なる光源(例えば室内蛍光灯下で被写体にタングステン光をあてた場合など)のときは、被写体の光源とカメラ周囲の光源が異なるので、この方法は使えない。また、被写体とカメラ周囲の光源が同じ場合でも、レンズの透過率などを勘案した真の色補正係数とはならず多少精度が落ちる可能性がある。このような点が問題になる場合は、前述のように、図2のように回転ミラー121の上部が開口している時(撮影していない時)に色補正係数の算出を行い、その色補正係数を用いて、回転ミラー121の上部が反射面となっている時(被写体を撮影している時)に、被写体の映像の色補正を行えばよい。
【0043】
以上説明した各実施例において、回路のかわりにコンピュータとプログラムを用いてもよい。
【0044】
以上、本発明の各実施例を詳細に説明したが、本発明の実施例の撮像装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを通して被写体を撮影する撮像素子と、前記撮影レンズを通して被写体の分光特性を測定するための分光計を同一カメラ筐体内部に備えるものであればよい。
【0045】
また、本発明の実施例の撮像装置は、前記分光計によって測定した分光特性を元に色補正係数を算出し、前記撮像素子で撮影した画像に対して前記色補正係数を用いて色補正処理を行うものであってもよい。
【0046】
また、本発明の実施例の撮像装置は、跳ね上げ式ミラーと、すりガラスを備え、前記跳ね上げ式ミラーが下がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記跳ね上げ式ミラーによって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記分光計に入射される構造であり、前記跳ね上げ式ミラーが跳ね上がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記撮像素子へ入射される構造であるものであってもよい。
【0047】
また、本発明の実施例の撮像装置は、ハーフミラーと、ビューファインダー口兼外光取り入れ口となる開口部を備え、前記跳ね上げ式ミラーが下がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記跳ね上げ式ミラーによって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記ハーフミラーを通して前記ビューファインダー口から観察できる構造となっており、なおかつ前記ハーフミラーで反射された像が前記分光計に入射される構造であり、前記跳ね上げ式ミラーが跳ね上がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記撮像素子へ入射され、一方前記開口部から入射した外光が前記ハーフミラーを通して前記すりガラスに入射し、その一部は前記すりガラス上で散乱し、また前記すりガラスを透過した光は前記跳ね上げ式ミラーで反射して再び前記すりガラスに入射しさらに散乱し、それらの散乱光が前記ハーフミラーで反射されて前記分光計へ入射される構造であり、前記分光計は、跳ね上げ式ミラーが下がっている間は前記撮影レンズを通して被写体の分光特性を測定し、前記跳ね上げ式ミラーが跳ね上がっている間は前記開口部から入射した外光の分光特性を測定するものであってもよい。
【0048】
また、本発明の実施例の撮像装置は、一部が開口しその他は鏡面で構成され回転する構造となっている回転ミラーと、すりガラスを備え、前記回転ミラーの上部が開口部分となっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記回転ミラー下部の鏡面によって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記分光計に入射される構造であり、一方回転ミラーの下部が開口部分となっている間は、前記レンズからの映像は前記回転ミラー下部の開口部分を透過して前記撮像素子に入射される構造であるものであってもよい。
【0049】
また、本発明の実施例の撮像装置は、ハーフミラーまたは全反射ミラーと、ビューファインダー口となる開口部または外光取り入れ開口部を備え、前記回転ミラーの上部が開口部分となっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記回転ミラー下部の鏡面によって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記ハーフミラーを通して前記ビューファインダー口から観察できるとともに前記ハーフミラーで反射された像が前記回転ミラーの開口部を透過して前記分光計に入射される構造または前記すりガラスの像が前記全反射ミラーによって反射され前記回転ミラーの開口部を透過して前記分光計に入射される構造であり同時に前記外光取り入れ開口部からの光が前記回転ミラー上部の開口部分を透過して暗幕で吸収される構造であり、一方回転ミラーの下部が開口部分となっている間は、前記レンズからの映像は前記回転ミラー下部の開口部分を透過して前記撮像素子に入射されるとともに外光取り入れ開口部からの外光が前記回転ミラー上部の鏡面で反射され前記分光計へ入射される構造であり、前記分光計は、前記回転ミラーの上部が開口部分となっている間は前記撮影レンズを通して被写体の分光特性を測定し、前記回転ミラーの下部が開口部分となっている間は前記外光取り入れ開口部からの外光の分光特性を測定するものであってもよい。また、前記分光計の測定は前記回転ミラーの回転と同期して行われるものであってもよい。
【0050】
また、本発明の実施例の撮像装置は、前記撮像素子は単板カラー撮像素子であり、前記分光計が測定した分光特性、およびあらかじめ測定した本撮像装置の分光特性と3板式カラーカメラの分光特性から、本撮像装置の色再現性を3板式カラーカメラの色再現特性へ近づけるような色補正係数を算出する色補正係数算出手段と、前記色補正係数算出手段により算出された色補正係数により、前記単板カラー撮像素子からの映像信号の色補正を行う色補正手段と、を備えるものであってもよい。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
101…撮影レンズ、102…カメラ筐体、103…跳ね上げ式ミラー、104…すりガラス、105…ハーフミラー、106…開口部、107…接眼フード(または遮光フード)、108…回転式遮光蓋、109…暗幕、110…撮像素子、111…撮像素子駆動回路/カメラプロセス回路、112…色補正回路、113…分光計、114…色補正係数算出回路、121…回転シャッター(回転ミラー)、122…拡散板、123…外光取り入れ開口部、124…導光管、125、126…暗幕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮像装置において、
撮影レンズと、前記撮影レンズを通して被写体を撮影する撮像素子と、前記撮影レンズを通して被写体の分光特性を測定するための分光計を同一カメラ筐体内部に備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記分光計によって測定した分光特性を元に色補正係数を算出し、前記撮像素子で撮影した画像に対して前記色補正係数を用いて色補正処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
跳ね上げ式ミラーと、すりガラスを備え、
前記跳ね上げ式ミラーが下がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記跳ね上げ式ミラーによって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記分光計に入射される構造であり、
前記跳ね上げ式ミラーが跳ね上がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記撮像素子へ入射される構造であることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
ハーフミラーと、ビューファインダー口兼外光取り入れ口となる開口部を備え、
前記跳ね上げ式ミラーが下がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記跳ね上げ式ミラーによって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記ハーフミラーを通して前記ビューファインダー口から観察できる構造となっており、なおかつ前記ハーフミラーで反射された像が前記分光計に入射される構造であり、
前記跳ね上げ式ミラーが跳ね上がっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記撮像素子へ入射され、一方前記開口部から入射した外光が前記ハーフミラーを通して前記すりガラスに入射し、その一部は前記すりガラス上で散乱し、また前記すりガラスを透過した光は前記跳ね上げ式ミラーで反射して再び前記すりガラスに入射しさらに散乱し、それらの散乱光が前記ハーフミラーで反射されて前記分光計へ入射される構造であり、
前記分光計は、跳ね上げ式ミラーが下がっている間は前記撮影レンズを通して被写体の分光特性を測定し、前記跳ね上げ式ミラーが跳ね上がっている間は前記開口部から入射した外光の分光特性を測定することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
一部が開口しその他は鏡面で構成され回転する構造となっている回転ミラーと、すりガラスを備え、
前記回転ミラーの上部が開口部分となっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記回転ミラー下部の鏡面によって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記分光計に入射される構造であり、
一方回転ミラーの下部が開口部分となっている間は、前記レンズからの映像は前記回転ミラー下部の開口部分を透過して前記撮像素子に入射される構造であることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
ハーフミラーまたは全反射ミラーと、ビューファインダー口となる開口部または外光取り入れ開口部を備え、
前記回転ミラーの上部が開口部分となっている間は、前記撮影レンズからの映像は前記回転ミラー下部の鏡面によって反射されて前記すりガラス上に結像し、その像が前記ハーフミラーを通して前記ビューファインダー口から観察できるとともに前記ハーフミラーで反射された像が前記回転ミラーの開口部を透過して前記分光計に入射される構造または前記すりガラスの像が前記全反射ミラーによって反射され前記回転ミラーの開口部を透過して前記分光計に入射される構造であり同時に前記外光取り入れ開口部からの光が前記回転ミラー上部の開口部分を透過して暗幕で吸収される構造であり、
一方回転ミラーの下部が開口部分となっている間は、前記レンズからの映像は前記回転ミラー下部の開口部分を透過して前記撮像素子に入射されるとともに外光取り入れ開口部からの外光が前記回転ミラー上部の鏡面で反射され前記分光計へ入射される構造であり、
前記分光計は、前記回転ミラーの上部が開口部分となっている間は前記撮影レンズを通して被写体の分光特性を測定し、前記回転ミラーの下部が開口部分となっている間は前記外光取り入れ開口部からの外光の分光特性を測定することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の撮像装置において、
前記分光計の測定は前記回転ミラーの回転と同期して行われることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項2ないし7のうちいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は単板カラー撮像素子であり、
前記分光計が測定した分光特性、およびあらかじめ測定した本撮像装置の分光特性と3板式カラーカメラの分光特性から、本撮像装置の色再現性を3板式カラーカメラの色再現特性へ近づけるような色補正係数を算出する色補正係数算出手段と、
前記色補正係数算出手段により算出された色補正係数により、前記単板カラー撮像素子からの映像信号の色補正を行う色補正手段と、
を備えることを特徴とする単板カラー式撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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