説明

撮像装置

【課題】小型化でき、光学性能を確保しやすく、かつ、安定して立体画像を取得できる撮像装置を提供する。
【解決手段】トリガ信号を入力すると共に、1つのトリガ信号に基づいて、第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、撮像面を有し、第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、光軸に対する撮像面の角度を変更する撮像素子煽り駆動部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像を取得する方法として、デジタルカメラ本体の左右水平方向に並設されて、被写体光を同時に入射可能とする2組の撮像光学系と、この2組の撮像光学系のそれぞれに対応して、各撮像光学系により結像されたそれぞれの被写体光を画像信号に変換して出力する2組のCCDと、で構成された撮像装置がある。この撮像装置では、得られた2組の像の差(視差)により、立体画像を取得・再生する。
【0003】
従来の撮像装置においては、撮像光学系内に配置された、少なくとも1つのレンズをシフトすることで、時分割に視差画像を取得する方法が考案されている。
例えば、特許文献1のデジタルカメラでは、光軸上に配置された複数のレンズのうち、少なくとも1つを、光軸と直交する左右方向に移動させることで、左右視差画像を取得している。
【0004】
また、特許文献2の電子カメラにおいては、特許文献1と同様に、光軸上に配置された複数のレンズのうち、少なくとも1つを、光軸と直交する左右方向に移動させることで、左右視差画像を取得している。
【0005】
さらにまた、特許文献3の立体画像形成装置では、被写体とそれを撮影する撮像部の相対位置を変化させるように移動手段を備えて、第一の方向、第二の方向を撮影している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−323065号公報
【特許文献2】特開2010−41381号公報
【特許文献3】特開平9−171221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光学系の少なくとも一つを光軸に対してシフトさせる場合、シフトさせるレンズによって、光学特性が変わったり、光学性能の著しい劣化などの問題が考えられる。例えば特許文献1のデジタルカメラにおいては、レンズ系内の一部のレンズをシフトさせると光学性能の維持が難しく、光学系を大型にして設計する必要がある。また、特許文献2の電子カメラでは、レンズ系内の一部のレンズをシフトさせると光学性能の維持が難しく、光学系を大型にして設計する必要がある。
【0008】
さらに、特許文献3の立体画像形成装置では、撮影において撮像系(鏡枠)全体を駆動させなければならず、装置が大型化してしまい、操作性や安定性に問題がある。また、鏡枠全体を動かすため、2方向を撮影する場合に大きな時間ずれが発生することから、デジタルカメラのような装置にはむいていない。
【0009】
また、二組の撮像光学系と、二つのCCDを使用する場合、コスト的に高価なデジタルカメラになってしまうことや、撮像光学系を二つカメラに搭載することで、装置が大型化するといった問題が発生してしまう。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化でき、光学性能を確保しやすく、かつ、安定して立体画像を取得できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、トリガ信号を入力すると共に、1つのトリガ信号に基づいて、第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、撮像面を有し、第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、光軸に対する撮像面の角度を変更する撮像素子煽り駆動部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る撮像装置においては、光軸に対する角度を変更できるように、撮像面を回動可能に支持する回動軸を備えることが好ましい。
【0013】
本発明に係る撮像装置において、回動軸は、撮像面の一方端と他方端の中心位置に対応する画素の撮像面付近に配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る撮像装置において、回動軸は、撮像面の一方端と他方端の中心位置以外の位置に対応する画素の撮像面付近に配置されていることが好ましい。
【0015】
本発明に係る撮像装置において、回動軸は、撮像面の一方端と他方端のいずれかに対応する画素の撮像面付近に配置されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る撮像装置において、撮像素子煽り駆動部は、角度を自由に設定可能であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る撮像装置において、撮像素子煽り駆動部は、第1の撮影の際の角度と第2の撮影の際の角度が光軸に関して互いに略対称となるように、角度を変更することが好ましい。
【0018】
本発明に係る撮像装置において、撮像素子煽り駆動部は、第1の撮影の際の角度と第2の撮影の際の角度が光軸に関して互いに対称とならないように、角度を変更することが好ましい。
【0019】
本発明に係る撮像装置において、撮像素子煽り駆動部は、第1の撮影の際に撮像面が光軸に対して略直交する角度に設定されていなかった場合、第2の撮影の際に撮像面を光軸に対して略直交するよう角度を変更することが好ましい。
【0020】
本発明に係る撮像装置において、撮像素子煽り駆動部は、第1の撮影の際に撮像面を光軸に対して略直交するよう角度を変更することが好ましい。
【0021】
本発明に係る撮像装置において、撮像素子煽り駆動部は、ブランキング期間中に光軸に対する撮像面の角度を変更する。
【0022】
本発明に係る撮像装置は、撮像装置の姿勢を検出するセンサと、撮像面に平行な面内において回動軸と直交する方向に延び、撮像面を回動可能に支持する第2の回動軸と、センサの検出結果に応じて、回動軸及び第2の回動軸のうち、撮像面の角度の変更に用いる回動軸を選択する煽り軸選択部と、を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る撮像装置は、小型化でき、光学性能を確保しやすく、かつ、安定して立体画像を取得できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係るデジタルカメラの概念を示す上面図である。
【図2】第1実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図3】シャインプルーフの定理を説明するための概念図である。
【図4】垂直同期信号と撮像素子の状態を対応して示す図である。
【図5】第2実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係るデジタルカメラを横向きにした状態の撮像素子と煽り軸を示す正面図である。
【図7】第2実施形態に係るデジタルカメラを縦向きにした状態の撮像素子と回動軸を示す正面図である。
【図8】第3実施形態に係るデジタルカメラの概念を示す上面図である。
【図9】第3実施形態の変形例に係るデジタルカメラ400(撮像装置)の概念を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る撮像装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る撮像装置は、撮像光学系と撮像素子を備え、撮影光学系に対する撮像素子の角度を変えた状態でそれぞれ撮影し、それぞれの状態での画像を用いて立体画像を取得する。これにより、従来必要であるとされた視差のある2枚以上の画像でなくても、特殊な画像処理を施すことなく立体画像を得ることができる。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るデジタルカメラ100の概念を示す上面図である。図2は、デジタルカメラ100の構成を示すブロック図である。
デジタルカメラ100(撮像装置)は、撮像レンズ110(撮像光学系)と、撮像素子120と、撮像素子煽り駆動部131と、を備えている。
【0027】
撮像レンズ110の光軸110cの延長線上であって、撮像素子120の撮像面121側には煽り軸120c(回動軸)が設けられている。撮像素子煽り駆動部131は、煽り軸120cを中心軸として、撮像素子120を左右方向(図1の上下方向)に煽ることが可能である。したがって、撮像素子120の撮像面121は、撮像素子煽り駆動部131の動作により、光軸110cに対する角度が変化する。すなわち、撮像素子煽り駆動部131を駆動させることにより、図1(a)のように光軸110cに対して撮像面121が直角な通常状態から、撮像面121の右端側(図1の上側)を撮像レンズ110に近づけるとともに左端側(図1の下側)を撮像レンズ110から遠ざけるような状態(図1(b))や、撮像面121の左側を撮像レンズ110に近づけるとともに右側を撮像レンズ110から遠ざけるような状態(図1(c))へ煽ることができる。
【0028】
さらに、図1(a)の通常状態では被写体面S1は光軸110cに垂直であるのに対して、撮像素子120を図1(b)に示すように回動させた場合、被写体面S1は、右端側(図1の上側)が撮像レンズ110に近づくとともに左端側(図1の下側)が撮像レンズ110から遠ざかるように傾斜する。また、撮像素子120を図1(c)に示すように回動させた場合、被写体面S1は、左端側が撮像レンズ110に近づくとともに右端側が撮像レンズ110から遠ざかるように傾斜する。このような被写体面の傾きは、後述のシャインプルーフの定理に基づいている。
【0029】
デジタルカメラ100においては、図1(b)の状態で撮像素子120を駆動して得られた画像(第1画像、左眼用画像)と、図1(c)の状態で撮像素子120を駆動して得られた画像(第2画像、右眼用画像)と、の視差のない一対の画像により立体画像を取得することができる。より具体的には、デジタルカメラ100は、図1(b)に示すように、被写体面S1が左奥から右手前に傾くように、撮像素子120の撮像面121を左手前から右奥に傾けて撮影した画像を右眼用画像として取得し、図1(c)に示すように、被写体面S1が左手前から右奥に傾くように、撮像素子120の撮像面121を右手前から左奥に傾けて撮影した画像を左眼用画像として取得し、これらの一対の画像により立体画像を取得する。
【0030】
ここで、図3を参照してシャインプルーフの定理について説明する。図3は、シャインプルーフの定理を説明するための概念図である。
撮像面とレンズ主面を平行でない配置にすると物体面は平行ではなくなり、撮像面、レンズ主面、物体面は同一直線上の1点(図3の交点55)で交わる。
従って、撮像レンズ50の光軸51に対して、撮像素子の撮像面60が垂直な状態では被写体面70も光軸51に対して垂直となるが、これに対して、図3に例示するように、撮像面60が90度以外の角度に傾くと、シャインプルーフの定理により、撮像面60の傾きに対応するように被写体面70が煽られて傾斜する。また、撮像面60の角度を変化させた断面上での像面の高さ方向に光軸51を中心に逆方向に倍率が変化する。
これらの現象により、視差の有無にかかわらず、奥行き方向にピント位置が合った画像を取得することでき、立体画像を生成することができる。
【0031】
立体画像の生成について、より具体的に説明する。
まず、図3に示すように、左側(図3の下側)が撮像レンズ50側に近づき右側(図3の上側)が撮像レンズ50から遠ざかるように、撮像レンズ50の光軸51に対して撮像面60を傾けた状態で煽り撮影を行って第1画像を取得する。次に、撮像素子を煽る方向を逆にして第2画像を取得する。すなわち、右側が撮像レンズ50側に近づき左側が撮像レンズ50から遠ざかるように、光軸51に対して撮像面60を傾けた状態で煽り撮影を行って第2画像を取得する。第1画像と第2画像は、一対の立体(3D)画像として、メモリーに格納される。
【0032】
第1画像と第2画像で異なる視点からの煽り画像を取得できる。
このような第1画像と第2画像を一対の立体画像として、映像出力時に同時に出力することによって立体画像を出力することが可能となる。
【0033】
ここで、図2を参照して、デジタルカメラ100の動作・制御について、より詳細に説明する。
図2に示すように、デジタルカメラ100は、撮像レンズ110、撮像素子120、撮像素子煽り駆動部131、撮像素子煽り制御部132、同期信号生成部133、駆動部134、画像処理部141、3Dフォーマット変換部142、出力処理部143、記録部144、システム制御部151、及び、指示部152を備えている。
なお、第1実施形態のデジタルカメラ100は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視カメラ、撮影機能付きの携帯電話など、動画表示や動画撮影の機能を備える各種の機器に広く適用することができる。
【0034】
撮像レンズ110は、光学的な被写体像を撮像素子120の撮像面121上に結像するための撮影光学系であり、絞りやフォーカスレンズ等を含んで構成されている。
【0035】
撮像素子120は、複数の画素が配列された撮像面121を備え、撮像レンズ110により結像された光学的な被写体像を光電変換して電気的な画像信号を生成する。撮像素子120は、画素単位やライン単位での画素リセット(電子シャッタ先幕)および画素読み出し(電子シャッタ後幕)を所望のタイミングで順次行うことができる、つまり露光時間を変更可能な、撮像素子となっている。この撮像素子120の具体例としては、CMOS撮像素子等のXYアドレス型撮像素子を挙げることができるが、勿論、これに限定されるものではない。
【0036】
同期信号生成部133は、システム制御部151の制御の下に、撮像素子120を駆動するタイミングの基礎となる垂直同期信号VDを生成するものである。
システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる垂直同期期間(撮像フレームレートに対応する垂直同期期間)がある場合には、同期信号生成部133に対してトリガ信号を出力するとともに、垂直同期期間を同期信号生成部133に設定する。
【0037】
一方、システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる垂直同期期間がない場合には、予め定められた垂直同期期間を同期信号生成部133に設定する。予め定められた垂直同期期間としては、例えば、標準値として与えられている撮像フレームレートに対応する垂直同期期間や、撮像素子120の駆動に今現在用いられている撮像フレームレートに対応する垂直同期期間がある。
このようにして同期信号生成部133に設定された垂直同期期間の垂直同期信号VDを発生させるように、システム制御部151は同期信号生成部133を制御する。
【0038】
駆動部134は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、読出開始パルスや電子シャッタ開始パルスを発生して撮像素子120を駆動する。
【0039】
撮像素子煽り制御部132は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、撮像素子120の煽り制御を行う。具体的には、垂直同期信号VDのブランキング期間中に撮像素子120の煽り動作が完了するように制御を行う。ここで、システム制御部151は、指示部11からの入力に基づいて定まる3Dモードに従い撮像素子120の煽りの角度を設定し、撮像素子120の煽り制御を行う。
【0040】
撮像素子煽り制御部132による撮像素子120の煽りには、光軸110cに垂直な撮像面121を垂直以外の角度へ回動させることのほか、撮像面121が光軸110cに対して垂直でない撮像素子120を垂直又は別の角度へ回動させる動きを含む。
【0041】
撮像素子煽り駆動部131は、撮像素子煽り制御部132の制御の指示に従い撮像素子の煽り駆動を行う。煽り駆動は、ボイスコイルモーター(VCM)、ステッピングモーター、超音波モーターなどを用いて行うことができ、前記以外でも煽り駆動ができればどのようなものでもよい。
【0042】
画像処理部141は、撮像素子120により撮像されて読み出された画像信号に各種の画像処理を施すものであり、3Dフォーマット変換部142を含んで構成されている。3Dフォーマット変換部142は、指示部152が3Dモードを選択すると、システム制御部151によって3Dモードに設定される。3Dフォーマット変換部142は、設定されたモードに対応し、3Dフォーマット変換を行う。3Dフォーマット変換としては、例えば、SIDE BY SIDE、LINE BY LINE、ABOVE−BELOW、CHECKERBOARDを用いる。
【0043】
出力処理部143は、画像処理部141により表示用に処理された画像(3Dフォーマット変換された画像を含む)を、TV等の外部表示装置への画像出力を行う。さらに、このデジタルカメラ100の操作系のメニュー表示などを行う表示デバイスへの画像出力処理も行う。
【0044】
記録部144は、画像処理部141により記録用に処理された画像データを不揮発に記憶するものであり、例えばメモリカードなどの撮像装置の外部に搬出し得るリムーバブルメモリとして構成されている。従って、記録部144は、撮像装置に固有の構成でなくても構わない。
【0045】
指示部152は、デジタルカメラ100に対する操作入力を行うためのユーザーインタフェースであり、電源のオン/オフを指示するための電源ボタンや撮影開始を指示するための撮影ボタン、3Dモード等を設定するための撮像モード設定ボタン、その他各種の設定ボタンなどを含む。
【0046】
次に、図4を用いて撮像素子の煽り方法を詳細に説明する。図4は、垂直同期信号と撮像素子の状態を対応して示す図である。
図4は、撮像素子120の垂直同期信号VD、撮像素子120の露光期間「Exposure」、撮像素子120の垂直ブランキング期間「V Blank」、3D撮像モード時の右側画像を撮像している状態「R固定」、及び、3D撮像モード時の左側画像を撮像している状態「L固定」を、横方向を経過時間として示している。撮像素子120の煽り状態は撮像素子120を真上から見た状態を示している。
【0047】
デジタルカメラ100が3Dモードに設定されたときは、撮像素子120の垂直同期信号VDを基準として、撮像素子120の垂直ブランキング中に撮像素子120を煽ることにより、左側又は右側の画像を撮像可能とする。このとき、撮像素子120を左側又は右側に煽った状態で、左側又は右側の画像を取得するための垂直同期信号VDは、第1の同期信号及び第2の同期信号である。
これに対して撮像素子120の露光期間中は、右側または左側の画像を撮像可能な煽り状態で撮像素子120を固定する。このような煽り動作を繰り返し、右側、左側の画像を交互に撮像する。
なお、撮像素子120は、3Dの設定モードに応じて、複数の角度で煽ることが可能である。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るデジタルカメラ200(撮像装置)においては、カメラの姿勢を検出する姿勢検出部260を備える点が第1実施形態に係るデジタルカメラ100と異なる。第1実施形態に係るデジタルカメラ100と同様の部材については同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図5は、デジタルカメラ200の構成を示すブロック図である。図6は、デジタルカメラ200を横向きにした状態の撮像素子220と煽り軸220cを示す正面図である。図7は、デジタルカメラ200を縦向きにした状態の撮像素子220と回動軸220vを示す正面図である。
【0050】
デジタルカメラ200においては、第1実施形態における撮像素子煽り駆動部131に代えて水平撮像素子煽り駆動部231及び垂直撮像素子煽り駆動部235を備え、撮像素子煽り制御部132及びシステム制御部151に代えて撮像素子煽り制御部232及びシステム制御部251を備える。さらに、デジタルカメラ200は姿勢検出部260を備える。また、システム制御部251は煽り軸選択部252を備える。
【0051】
姿勢検出部260は、デジタルカメラ200の姿勢が横向き(図6)か縦向き(図7)かを検出するセンサであって、検出結果をシステム制御部251の煽り軸選択部252に送信する。姿勢検出部260は、図6のようにデジタルカメラ200が横向きに保持され、横長の矩形形状の撮像素子220の長辺220aが水平方向に沿うようになる姿勢や、図7のようにデジタルカメラ200が縦向きに保持され、撮像素子220の長辺220aが鉛直方向に沿うようになる姿勢を検出する。
【0052】
デジタルカメラ200においては、撮像素子220の煽り軸(回動軸)として、撮像素子220の撮像面付近であって光軸110cに垂直な面内に2つの軸が設けられている。この2つの軸はいずれも撮像レンズ110の光軸110cを通り、一方の軸は、撮像素子220の長辺220aに垂直な煽り軸220c(図6)であり、他方の軸は、撮像素子220の長辺220aに平行な煽り軸220v(図7)である。
【0053】
煽り軸選択部252は、姿勢検出部260から受信した検出結果に基づいて、煽り軸220c、220vのいずれかを選択し、煽り軸を決定する。さらに、煽り軸選択部252は、撮像素子煽り制御部232に対して、煽り軸の設定を行う。
【0054】
撮像素子煽り制御部232は、煽り軸選択部252による設定に従って水平方向が設定された場合、水平撮像素子煽り駆動部231を駆動させ撮像素子220を煽り軸220cの周りに回動させ、撮像素子220を水平方向に煽る。一方、撮像素子煽り制御部232は、垂直方向が設定された場合、垂直撮像素子煽り駆動部235を駆動させ撮像素子220を煽り軸220vの周りに回動させ、撮像素子220を垂直方向に煽る。
以上の構成・動作により、デジタルカメラ200の姿勢に応じて適切な煽り軸を選択することができるため、安定して立体画像を取得することができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るデジタルカメラ300においては、撮像素子320の煽り軸320cが撮像レンズ110の光軸110cの延長線上にない点が第1実施形態に係るデジタルカメラ100と異なる。その他の構成は第1実施形態に係るデジタルカメラ100と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図8は、第3実施形態に係るデジタルカメラ300(撮像装置)の概念を示す上面図である。図9は、第3実施形態の変形例に係るデジタルカメラ400(撮像装置)の概念を示す上面図である。
図8及び図9に示すように、撮像素子を煽るための回動中心としての煽り軸は、光軸110cの延長線上ではない位置に設定されている。
【0057】
図8においては、撮像素子320の右端の撮像面321付近に設けた煽り軸320c(回動軸)の周りに撮像素子320を回動させた例を示している。
図8(a)は撮像素子320の撮像面321の左端側(図8の下側)が撮像レンズ110から遠ざかるように傾いた状態を示している。図8(a)に示す状態において、被写体面S3は、右端側(図8の上側)が撮像レンズ110に近づくとともに左端側(図8の下側)が撮像レンズ110から遠ざかるように傾斜する。
また、図8(b)は撮像素子320の撮像面321の左端側が撮像レンズ110に近づくように傾いた状態を示している。図8(b)に示す状態において、被写体面S3は、左端側が撮像レンズ110に近づくとともに右端側が撮像レンズ110から遠ざかるように傾斜する。
【0058】
デジタルカメラ300は、図8(a)に示すように、被写体面S3が左奥から右手前に傾くように、撮像素子320の撮像面321を左手前から右奥に傾けて撮影した画像を右眼用画像として取得し、図8(b)に示すように、被写体面S3が左手前から右奥に傾くように、撮像素子320の撮像面321を右手前から左奥に傾けて撮影した画像を左眼用画像として取得し、これらの一対の画像により立体画像を取得する。
【0059】
図9においては、撮像素子420の左端の撮像面421付近に設けた煽り軸420c(回動軸)の周りに撮像素子420を回動させた例を示している。図9に示す状態において、被写体面S4は、左端側(図9の下側)が撮像レンズ110に近づくとともに右端側(図9の上側)が撮像レンズ110から遠ざかるように傾斜する。図9では、撮像素子420の撮像面421の右端側(図9の上側)が撮像レンズ110から遠ざかるように傾いた状態を示しているが、これとは撮像面421の右端側が撮像レンズ110に近づくように傾けることができる。
【0060】
立体画像の取得は、次のような撮影の組み合わせで取得することができる。
(1)同じ煽り軸(回動軸)を使って撮像素子を左右に煽った2つの状態での撮影の組み合わせ。
例えば、図1(b)の状態と図1(c)の状態の組み合わせや、図8(a)の状態と図8(b)の状態の組み合わせである。
(2)撮像面を撮像レンズ110の光軸110cに垂直にした状態の撮影と、撮像面を撮像レンズ110の光軸110cに対して傾けた状態の撮影と、の組み合わせ。
例えば、図1(a)の状態と、図1(b)又は図1(c)の状態との組み合わせや、図8の撮像面321を光軸110cに垂直にした状態と、図8(a)又は図8(b)の状態との組み合わせがある。
(3)異なる煽り軸(回動軸)を使って撮像素子を左右に煽った2つの状態での撮影の組み合わせ。
例えば、図1(b)の状態と、図8(b)又は図9の状態との組み合わせや、図1(c)の状態と図8(a)の状態の組み合わせや、図1(b)又は図8(a)の状態と図9の状態との組み合わせである。
【0061】
取得した立体画像は、取得方法によって次のような特徴がある。
(a)(1)の取得方法のうち、図1(b)の状態と図1(c)の状態の組み合わせのように煽り軸120cが光軸110cの延長線上にある場合は、光軸110c上のピント位置が維持され、回動中心も一つであることから、左右像の対称性も高い。
(b)(2)の取得方法では、撮像面を光軸110cに垂直した状態を含むため、良好な2D撮影と3D撮影を容易に両立することができる。
(c)(1)の取得方法のうち、図8(a)の状態と図8(b)の状態の組み合わせのように煽り軸320cが光軸110cの延長線上にない場合は、撮像素子320の回動中心軸を撮像面321の画面中心から離すことになるため、カメラのレイアウトが容易になる
(d)(3)の取得方法のうち、図8(a)の状態と図9の状態との組み合わせのように、撮像面が光軸110cに垂直な状態に比して、煽った状態の撮像面が撮像レンズ110から遠ざかるのみである場合は、撮像レンズ110に近づけることなく撮像素子120を煽ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係る撮像装置は、デジタルカメラにおける立体(3D)画像取得に有用である。
【符号の説明】
【0063】
100 デジタルカメラ(撮像装置)
110 撮像レンズ
110c 光軸
120 撮像素子
120c 煽り軸
121 撮像面
131 撮像素子煽り駆動部
132 撮像素子煽り制御部
133 同期信号生成部
134 駆動部
141 画像処理部
142 3Dフォーマット変換部
143 出力処理部
144 記録部
151 システム制御部
152 指示部
200 デジタルカメラ(撮像装置)
220 撮像素子
220a 長辺
220c、220v 煽り軸
231 水平撮像素子煽り駆動部
232 撮像素子煽り制御部
235 垂直撮像素子煽り駆動部
251 システム制御部
252 煽り軸選択部
260 姿勢検出部
300 デジタルカメラ(撮像装置)
320 撮像素子
320c 煽り軸
321 撮像面
400 デジタルカメラ
420c 煽り軸
421 撮像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガ信号を入力すると共に、1つの前記トリガ信号に基づいて、第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、
撮像面を有し、前記第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、前記第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、
前記第1の撮影が実施された後であって前記第2の撮影が実施されるまでの間に、光軸に対する前記撮像面の角度を変更する撮像素子煽り駆動部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記光軸に対する前記角度を変更できるように、前記撮像面を回動可能に支持する回動軸を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記回動軸は、前記撮像面の一方端と他方端の中心位置に対応する画素の撮像面付近に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記回動軸は、前記撮像面の一方端と他方端の中心位置以外の位置に対応する画素の撮像面付近に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記回動軸は、前記撮像面の前記一方端と前記他方端のいずれかに対応する画素の撮像面付近に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子煽り駆動部は、前記角度を自由に設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像素子煽り駆動部は、前記第1の撮影の際の前記角度と前記第2の撮影の際の前記角度が前記光軸に関して互いに略対称となるように、前記角度を変更することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子煽り駆動部は、前記第1の撮影の際の前記角度と前記第2の撮影の際の前記角度が前記光軸に関して互いに対称とならないように、前記角度を変更することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像素子煽り駆動部は、前記第1の撮影の際に前記撮像面が光軸に対して略直交する角度に設定されていなかった場合、前記第2の撮影の際に前記撮像面を光軸に対して略直交するよう角度を変更することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子煽り駆動部は、前記第1の撮影の際に前記撮像面を光軸に対して略直交するよう角度を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像素子煽り駆動部は、ブランキング期間中に光軸に対する前記撮像面の角度を変更することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮像装置の姿勢を検出するセンサと、
前記撮像面に平行な面内において前記回動軸と直交する方向に延び、前記撮像面を回動可能に支持する第2の回動軸と、
前記センサの検出結果に応じて、前記回動軸及び前記第2の回動軸のうち、前記撮像面の角度の変更に用いる回動軸を選択する煽り軸選択部と、
を更に備えることを特徴とする請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−129601(P2012−129601A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276864(P2010−276864)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】