説明

撮像装置

【課題】高速かつ大容量の外付け記録装置を用いて、大量の写真をテンポ良く、軽快に撮像することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、着脱可能な外付け記録装置を接続するUSBコネクタ24と、外付け記録装置29を利用している状態か利用していない状態かを表示するTFT表示装置13とを備える。また、外付け記録装置29を接続するか切断するかを指定する操作ボタン15と、上記各手段を制御する全体制御/画像処理CPU20とを備え、ユーザーに、外付け記録装置29の利用状況を的確に判断させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続ケーブルにより着脱可能な外付け記録装置を画像データの記録装置として使用する、デジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置に搭載されるCCDやCMOSセンサ等の撮像素子は、年々高画素化されてきている。このとき、単純に高画素化するとカメラとしてのレスポンスが悪化してしまうため、撮像素子の高速化も同時に行われている。
【0003】
特にハイエンドの製品では、1秒間に8コマ撮像できるような、高速な撮像が可能なデジタルカメラも市販されるなど、レスポンスの面でも従来に比べて性能向上の要求が高まってきているため、撮像素子のさらなる高速化を行う必要がある。
【0004】
このように撮像素子が高画素化、高速化されると、撮像装置のシステム全体としても大量の画像データを高速に処理する必要があり、その結果、最終的に画像を記録しておく記録メディアも、より高速かつ、大容量のものが要求されている。
【0005】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置では、着脱可能な記録メディアとして、一般的に、CFカードやSDカード、もしくは、マイクロドライブ、メモリスティック、XDカード、スマートメディア等が使用されてきた。以下、これらの記録メディアをメモリカードと呼ぶ。
【0006】
記録容量と高速性の点でこれらのメモリカードを上回る記録装置として、ハードディスクが挙げられる。現在、パーソナルコンピュータの外付け記録装置として市販されているハードディスクとしては、USBやIEEE1394等のケーブルで接続するものがあり、一般にメモリカードよりも高速に動作することが可能である。
【0007】
また、記録容量も100ギガバイト程度のものが市販されており、メモリカードの容量と比べると数10倍にも達する。従って、ハードディスクを使用すれば、撮像装置の記録装置に対する、高速化、大容量化の要求を一気に解決できる可能性がある。
【0008】
メモリカードはデジタルカメラ本体に比べて十分に体積が小さく、デジタルカメラ本体に納まってしまう形で接続されて、本体と一体となって操作できるようになっている。このメモリカードに比べ、現在市販されている一般的なハードディスクは、ほとんどがパーソナルコンピュータの周辺機器という位置づけで、比較的小さいものでさえディスク径が2.5インチや、1.8インチであり、装置の体積が非常に大きいという問題がある。
【0009】
従って、ハードディスクをデジタルカメラと組み合わせて使用することを考えると、デジタルカメラ本体に収めることは難しく、ケーブルによって接続し、デジタルカメラ本体とは別体のままで操作する形態を取らざるを得ない。
【0010】
このような撮像装置本体とは別体型の記録装置(以下、外付け記録装置と呼ぶ)を使用する撮像システムは、撮像装置本体と外付け記録装置がケーブルで接続される。この種の撮像システムにおいて、アクセス中にケーブルが抜けたときに、撮像した画像が消失しないように、あらかじめ用意しておいた別メディアに、書き込めなかった画像データを一次退避する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−238112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
撮像装置本体と外付け記録装置を使用する撮像システムは、メモリカードと一体となる撮像装置と比べ、操作性の面において様々な点で劣ってしまう。
【0013】
例えば、外付け記録装置がメカ的に堅固に本体に固定されているわけではないので、ケーブルが抜けることでアクセスができなくなってしまう問題がある。また、ケーブルコネクタにメカ的なスイッチを設けることが難しく、電気的な通信によって外付け記録装置が接続されているかどうかの検知を行うため、接続しているかどうかの判断自体に時間がかかってしまう。
【0014】
また、アクセス中にケーブルが抜けたときに、撮像した画像が消失しないように、あらかじめ用意しておいた別メディアに、書き込めなかった画像データを一次退避する仕組みを設ける必要がある。
【0015】
更に、接続しているかどうかが判断できたとしても、一度電源を切ってしまうと、次に電源を入れたときに接続されている外付け記録装置が、電源を切る前と同じものが接続されているかどうかの判断までは不可能である。そして、それを判断しようとすると、通信によって外付け記録装置の識別情報を取得せねばならず、更に秒単位の時間がかかってしまう。
【0016】
一方で、メモリカードと同様に、撮像装置内部のバッテリーでハードディスクを駆動することを考えたときには、消費電力が大きいこともハードディスクの欠点として挙げられる。
【0017】
PCの外付け記録装置としてハードディスクを使用するときは、一般的にPC本体の電源がオンしている間は継続してハードディスクの電源を入れておき、スピンドルも回転させ続けている。このようにすることで、データの書き込み/読み込みの際のレスポンスを速くすることが可能である。
【0018】
しかしながら、デジタルカメラのようなバッテリー駆動の携帯機器において同様なことを行うと、ハードディスクの消費電流が大きいために、すぐにバッテリーの容量がなくなってしまう。
【0019】
従って、1つのバッテリーで撮像できる撮像枚数が大幅に減ってしまうため、操作性に問題があり実用的ではない。そこで、アクセスがない間はハードディスクの電源をオフして節電しようとすると、再度ハードディスクにアクセスしようとした場合に、非常に時間がかかってしまう。
【0020】
従来の撮像装置では、書き込み可能な記録メディアを検出した後で、レリーズを許可する仕組みとなっているため、上記のようにハードディスクの検出、及び、認識に時間がかかってしまうと、それだけレリーズできるまでに時間がかかってしまう。デジタルカメラ等の撮像装置では、レリーズタイムラグを重要なスペックと位置づけており、秒単位で時間がかかってしまうようでは、商品として致命的な欠陥となってしまう。
【0021】
このように、現在市販されているハードディスク等の大容量記録装置を撮像装置の外付け記録装置として使用する際には、操作性の向上と消費電流の低減をいかに両立させるかが大きな課題となっている。
【0022】
本発明の目的は、高速かつ大容量の外付け記録装置を用いて、大量の写真をテンポ良く、軽快に撮像することができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、請求項1記載の撮像装置は、着脱可能な外付け記録装置を接続する接続手段と、前記外付け記録装置を利用している状態か利用していない状態かを表示する表示手段と、前記外付け記録装置を接続するか切断するかを指定する指定手段と、前記各手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の撮像装置は、着脱可能な外付け記録装置を接続する接続手段と、外付け記録装置を利用している状態か利用していない状態かを表示する表示手段と、外付け記録装置を接続するか切断するかを指定する指定手段と、各手段を制御する制御手段とを備える。
【0025】
従って、ユーザーは、外付け記録装置の利用状況を的確に判断することができ、結果として、高速かつ大容量の外付け記録装置を用いて、大量の写真をテンポ良く、軽快に撮像することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置のブロック構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の撮像装置の外形を示す図である。
【図3】TFT表示装置の表示画面を示す図である(その1)。
【図4】TFT表示装置の表示画面を示す図である(その2)。
【図5】LCD表示装置の表示画面を示す図である。
【図6】図1の撮像装置によって実行される撮像処理の第1の手順を示すフローチャートである。
【図7】TFT表示装置の表示画面を示す図である(その3)。
【図8】図1の撮像装置によって実行される撮像処理の第2の手順を示すフローチャートである。
【図9】TFT表示装置の表示画面を示す図である(その4)。
【図10】図1の撮像装置によって実行される撮像処理の第3の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置のブロック構成を概略的に示す図である。
【0029】
図1において、撮像装置は、撮像装置本体1と交換レンズ10とを有し、さらに外付け記録装置29と併せて、撮像システムを構成している。
【0030】
撮像装置本体1は、撮像素子11、全体制御/画像処理CPU20、及び全体制御/画像処理CPU20に接続される各ユニット、DCDCコンバータ25、バッテリー26、電源スイッチ27、過電流検出部28を備えている。交換レンズ10はレンズ制御CPU16を備えている。その他の構成は、以下に動作と併せて説明する。
【0031】
操作ボタン15の中のレリーズスイッチが押されると、全体制御/画像処理CPU20はAE/AF動作を行い、レンズ制御CPU16に情報を伝えてレンズを駆動し、センサ駆動部17を動作させて撮像動作を行う。
【0032】
交換レンズ10から入射した画像は、撮像素子11によって光電変換される。更に、AFE12でアナログ/デジタル変換された後、全体制御/画像処理CPU20によって画像処理され、最終的なデジタル画像となる。このデジタル画像は、TFT表示装置13にクイックレビュー表示されるとともに、画像データ記録メディアに保存される。
【0033】
図1の撮像装置は、一般的な記録メディアである、SDカード21及びCFカード23を撮像装置本体1内に装着することができる。また、それ以外に、USB Aコネクタ24に、USBケーブル30を用いて、USB接続のハードディスク等の外付け記録装置29を接続することができる。
【0034】
この外付け記録装置29は、USB接続のものであれば、市販されているいろいろなタイプのものを使用することができる。中には、駆動する電源として内部にバッテリーを備えているものや、AC電源から給電するタイプのものもあれば、USBケーブル30を通して、撮像装置本体1内部のバッテリー26から給電するタイプのものもある。
【0035】
撮像装置本体1内部のバッテリー26から給電するタイプは、持ち歩くバッテリーがひとつでよいというメリットがあるが、撮像装置本体1と外付け記録装置29との両方を駆動する電力は大きく、バッテリー26にかかる負担は大きい。
【0036】
そのため、消費電流を節約したいときや、外付け記録装置29に大電流が流れた場合など、必要に応じて電源スイッチ27を制御し、外付け記録装置29への給電を停止することができるようになっている。
【0037】
ユーザーは、画像データ記録メディアをSDカード21、CFカード23、外付け記録装置29の中から選択することができる。最終的な画像データは、ユーザーの選択に従って、SDカード21、CFカード23、外付け記録装置29のどれかひとつに記録することになる。
【0038】
外付け記録装置29が選択された場合は、全体制御/画像処理CPU20にある画像データは、通信制御CPU22を介して、USBケーブル30の通信ラインを通って外付け記録装置29に送られ、記録される。全体制御/画像処理CPU20には、LCD表示装置14、メモリ18、不揮発性メモリ19も接続される。
【0039】
図2は、図1の撮像装置の外形を示す図である。
【0040】
図2において、ユーザーは、左側端の操作ボタン15−1、右側のダイヤル式操作ボタン15−2及び、TFT表示装置13を用いて、外付け記録装置29の接続操作や、画像データ記録デバイスの選択を行う。
【0041】
このようにして選択した情報を、LCD表示装置14に表示することで、ユーザーは撮像装置の電源がONの間は、常に設定内容を確認することができる。また、撮像装置本体1には、レリーズスイッチ31と、外付け記録装置29用のLEDアクセスランプ32を備えている。
【0042】
LEDアクセスランプ32は、レリーズ外付け記録装置29にアクセスしている間は、緑色等で点滅することにより、アクセス中であることを示す。また同時に、外付け記録装置29へのアクセスがエラーとなった場合には、赤色に点滅することによって、エラー表示を行うこともできる。
【0043】
次に、外付け記録装置29の接続操作について、図1、図2、図3を用いて説明を行う。
【0044】
ユーザーは、外付け記録装置29を実際に使用するに先立って、USBケーブル30を外付け記録装置29、及び撮像装置本体1にそれぞれ接続する必要があるが、単に接続しただけでは、動作可能な状態にはならない。
【0045】
ユーザーは、操作部材ボタン15、及び、TFT表示装置13を用いて接続操作を行う。図3はTFT表示装置13の画面を表しており、(a)は外付け記録装置29の接続メニューである。外付け記録装置29を使用するときは、図3(a)において「接続」を選択することで、外付け記録装置29のマウントシーケンスを動作させる。
【0046】
「接続」を選択すると、撮像装置の撮像動作を一時的に禁止して、図3(b)のように、TFT表示装置13に接続中画面を表示する。このとき初めて通信制御CPU22は、電源スイッチ27をオンにして、外付け記録装置29への給電を開始する。
【0047】
これによって、撮像装置本体1と外付け記録装置29との通信が開始され、撮像装置は外部に何らかのデバイスが接続されていることを認識する。その後、外付け記録装置29への初期化通信によって、接続されているデバイスが、撮像装置で使用できるか否かを判断する。
【0048】
本実施の形態における外付け記録装置2919は、USB接続のため、例えばキーボードやマウスといった入力デバイスや、スピーカやプリンタ等の出力デバイスも物理的に接続が可能である。
【0049】
そういった外付け記録装置29としてサポートされないデバイスが接続された場合には、図3(c)のようにTFT表示装置13にエラーメッセージを出力し、ユーザーに接続デバイスの確認を促す。
【0050】
また、記録装置として動作するデバイスが接続された場合にも、以下の場合には、動作不可能なデバイスとして認識され、図3(c)のようにTFT表示装置13にエラーメッセージを出力する。
【0051】
即ち、通信プロトコルやファイルシステムがサポートされていないために論理的に接続できなかったり、過電流検出部28によって所定の電流を超える消費電流が検出されたりした場合には、TFT表示装置13にエラーメッセージを出力する。
【0052】
外付け記録装置29への給電を開始してから外部デバイスの接続を検知し、初期化通信によって外付け記録装置29を認識し、実際に使用できる状態になるまでには、通常0.5秒から10数秒かかる。その間は図3(b)のように接続中を示す画面となるが、この画面において「キャンセル」を選択することで、ユーザーは途中で接続操作を停止することができる。
【0053】
エラーを検出することなく、無事外付け記録装置29の接続に成功した場合には、図3(d)のように接続が成功したことを表示する。この画面においてユーザーが「OK」を選択すると、撮像装置は外付け記録装置29の利用状態を「利用中」とする。
【0054】
そして、不揮発性メモリ19に外付け記録装置29の識別情報/空き容量情報/カレントフォルダ情報/カレントファイル情報、及び、外付け記録装置29の利用状態を記憶する。これによって、外付け記録装置29が動作可能な状態となり、禁止されていた撮像動作が解除となって、通常の撮像動作を行うことができるようになる。
【0055】
逆に、利用中状態にある外付け記録装置29を切断し、利用していない状態とするには、図3(a)の表示画面にて「切断」を選択する。この場合も、撮像動作は一時的に禁止され、図3(e)の切断中表示となる。この画面において「キャンセル」を選択することで、ユーザーは切断動作を中止することができる。
【0056】
撮像装置は、外付け記録装置29への画像データ書き込み等のアクセスが残っている場合はアクセスを続け、すべてのアクセスが終了した時点でアンマウントシーケンスに入る。これによって論理的な接続を解除し、外付け記録装置29の利用状態を「利用していない状態」とし、利用状態を不揮発性メモリ19に記憶する。
【0057】
更に、TFT表示装置13に図3(f)の切断完了メッセージを出力し、ユーザーが「OK」を選択することで、切断完了となる。この状態になってから、ユーザーは物理的にUSBケーブル30を抜いて、外付け記録装置29を取り外すことが可能となる。
【0058】
外付け記録装置29の内容をPCにコピーしたり、別の外付け記録装置29を接続したりする場合は、常にこの切断操作が必要となる。この操作を行わずに外付け記録装置29を取り外した場合には、次に外付け記録装置29へアクセスするときにエラーとなってしまう。
【0059】
外付け記録装置29が「利用中」の状態になったとしても、撮像装置にSDカード21やCFカード23が挿入されている場合には、画像データを記録するメディアに指定するために、指定作業を行う必要がある。
【0060】
まず、図4(a)の画像ファイル記録メディアの選択メニューにおいて、「外付け記録装置29」を選択し、更に、図4(b)のメニューにおいて、外付け記録装置29に保存する画像ファイルの種類を選択する。
【0061】
画像ファイルの種類としては、画像処理後のJPEG画像として、大きさや圧縮率の違う「L」、「M」、「S」、更に、画像処理前の撮像素子の生データである「RAW」を指定することができる。また、JPEG画像とRAW画像を同時に記録するオプションも選択可能である。
【0062】
SDカード/CFカード/外付け記録装置29の中で複数のメディアを使用可能な場合には、複数メディア間に異なる種類の画像データを振り分けて記録したり、同じ種類の画像データを複数メディアに同時に記録するバックアップ記録動作を行うこともできる。
【0063】
このようにして、記録メディアの利用状態、保存する画像データの種類を指定すると、図5のLCD表示装置に、指定した状態を表示する。図5において、セグメント42、43、45は、それぞれSDカード21、CFカード23、外付け記録装置29が利用可能な状態にあるかどうかを示すセグメントである。これらのセグメントが表示状態にあるときは、表示しているメディアが使用可能な状態であることを示す。
【0064】
セグメント44は、現在主に使用するメディアとして指定されているカレントメディアを示す。更に、セグメント42、43、45の上部にある複数のセグメント41は、それぞれ、SDカード21、CFカード23、外付け記録装置29に、どの種類の画像データを記録するかを示すセグメントである。
【0065】
例えば、外付け記録装置29のセグメント45の上に、「L」のセグメントが表示状態にあれば、外付け記録装置29に「L」サイズのJPEG画像を記録する設定であることを示す。このLCD表示装置14は、撮像装置が電源オンの状態の場合は常に表示されているので、ユーザーは容易に現在の記録メディアの状態を識別することが可能である。
【0066】
図6は、図1の撮像装置によって実行される撮像処理の第1の手順を示すフローチャートである。
【0067】
本処理は、図1における全体制御/画像処理CPU20によって実行される。
【0068】
具体的には、図6は、撮像動作を行って画像データを外付け記録装置29に記録するまでのフローチャートである。図6のフローチャートにおいては、SDカードやCFカードが利用可能状態に無く、かつ、撮像装置の電源が切れている状態(オートパワーオフ状態)にあることを前提としている。
【0069】
図6において、まず、ユーザーの操作によってレリーズスイッチ31がオンされると(ステップS51)、撮像装置は直ちに起動して(ステップS52)、撮像動作にはいる準備を行う。
【0070】
撮像装置本体1の不揮発性メモリ19に保存された、外付け記録装置29の利用状態が、「利用中」の状態であるかどうかの判断を行う(ステップS53)。このときに、「利用中」の状態でなければ、画像を記録するメディアが無い状態となるため、ステップS54に進んでユーザーにメディアが無いことを示し、撮像動作は行わない。
【0071】
逆に「利用中」の状態であれば、外付け記録装置29の物理的な接続状態、及び、論理的な接続状態にかかわらず、撮像動作に入る(ステップS55)。それと同時に平行して、外付け記録装置29に電源を供給し始め(ステップS56)、外付け記録装置29の検知及び、起動が開始される。
【0072】
ステップS57及びステップS58において、一定時間内に外付け記録装置29が検知されるかどうかを判断する。外付け記録装置29は電源を供給し始めたら即座に検知されるわけではなく、電源を供給し始めてから外付け記録装置29の検知が完了するまでに、一般に数100ミリ秒から数10秒かかる。
【0073】
そのため、20秒程度のタイムアウトを設け、電源を供給してから20秒程度経っても検知されない場合には、ステップS59に進んでケーブル30が抜かれたことを示す表示を行う。
【0074】
20秒の間に検知された場合には、ステップS60に進み、初期化通信等の論理的な接続動作を行って、外付け記録装置29を起動する。このときにステップS61で画像データが書き込み可能かどうかを判断する。書き込み可能でなければ、ステップS62に進んでエラー表示を行い、書き込み可能であれば、外付け記録装置29の状態を、書き込み可能状態であると認識する(ステップS63)。
【0075】
図7の(a)、(b)はそれぞれ、ステップS59と、ステップS62の実際の表示イメージである。それぞれ、「再接続」と「切断」が選択できるようになっている。
【0076】
ユーザーが外付け記録装置29の状態を確認して、正しく接続し直した後、「再接続」を選択した場合には、再度、外付け記録装置29の起動シーケンスを行い、最終的に書き込み可能状態であると認識させることが可能である。外付け記録装置29の利用をあきらめて、「切断」を選択した場合には(ステップS64でNO)、外付け記録装置29を書き込み不可状態とする(ステップS65)。
【0077】
外付け記録装置29へ電源を供給し始めてから、外付け記録装置29の状態が、ステップS63の書き込み可能状態、もしくは、ステップS65の書き込み不可状態に確定するまでには、一般に数100ミリ秒から10数秒かかる。そのために、通常はその間に同時並行動作している撮像動作は先に終了することになる。
【0078】
画像データの記録メディアの空き容量情報やカレントフォルダ情報、カレントファイル情報は、撮像動作に前もって確定している必要がある。しかし、外付け記録装置29の状態が書き込み可能状態に確定する前には、その時点における正確な情報を外付け記録装置29から読み出すことはできない。
【0079】
そのため、ユーザーが外付け記録装置29を「利用中」の状態に設定している間は、外付け記録装置29を取り外して内部情報を更新する可能性は低い。この仮定の下に、以前アクセスをしたときの外付け記録装置29の空き容量情報やカレントフォルダ情報、カレントファイル情報を、不揮発性メモリ19に記録しておき、撮像動作時に必要な情報として用いる。
【0080】
不揮発性メモリ19は、撮像装置本体1内部に備えており、即座に読み出すことができるため、撮像動作に先立って情報を参照することが可能である。外付け記録装置29がアクセス可能になった時点で、外付け記録装置29から読み出した空き容量情報やカレントフォルダ情報、カレントファイル情報が、不揮発性メモリ19から読み出した情報と一致しなければ、以下の処理を行う。即ち、上述したステップS61において書き込み不可能と判断して、ステップS62においてエラーメッセージを出力する。
【0081】
このようにして画像1コマの撮像動作を行い、現像処理まで行って、不揮発性メモリ19に画像データを一時的に記憶しておき、ステップS66及びステップS67の間をループする。そして、外付け記録装置29の状態が、ステップS63の書き込み可能状態、もしくは、ステップS65の書き込み不可状態に確定するまで待つ。
【0082】
確定した状態が書き込み可能状態であれば、ステップS66に進み、不揮発性メモリ19上の画像データを外付け記録装置29に書き込んで、終了する。書き込み不可能状態であれば、ユーザーが外付け記録装置29への書き込みをあきらめたものとして、ステップS67にてメモリ上の画像データを消去し、終了する。
【0083】
図6では、外付け記録装置29以外の記録メディアが無いことを前提しているが、SDカード21やCFカード23が利用可能な状態にあるときには、撮像した画像データを消去しないようにすることも可能である。その場合、ユーザーが外付け記録装置29への書き込みをあきらめたとしても、画像データ記録先のメディアをSDカード21やCFカード23に切り替える。
【0084】
以上のように、本実施の形態においては、外付け記録装置29を実際に認識し起動して、書き込み可能であるとの判断を待つことなく、外付け記録装置29の利用状態、及び不揮発性メモリ19の情報を用いて、撮像動作を先行して行う。更に、外付け記録装置29が起動して書き込み可能になった後で、不揮発性メモリ19上の画像データを外付け記録装置29に書き込む。
【0085】
こうすることで、撮像装置としてのレスポンスを犠牲にすることなく、高速、大容量の外付け記録装置29を利用することができる。従来のように外付け記録装置29の起動を待ってから撮像動作に入ると、レリーズボタン31を押してから数100ミリ秒から10数秒の間待っていなければいけないので、シャッターチャンスを逃してしまう可能性が高い。
【0086】
しかし、本実施の形態のステップを踏むことで、従来のSDカード21やCFカード23と同様のレスポンスと信頼性とを同時に実現し、ユーザーはテンポ良く、軽快な撮像作業をすることができる。
【0087】
図8は、図1の撮像装置によって実行される撮像処理の第2の手順を示すフローチャートである。
【0088】
本処理は、図1における全体制御/画像処理CPU20によって実行される。
【0089】
具体的には、図8は、連写撮像をした場合のフローチャートである。図6と同様に、SDカード21やCFカード23が利用可能状態に無く、かつ、撮像装置の電源が切れている状態(オートパワーオフ状態)にあることを前提としている。
【0090】
図8において、まず、ステップS81でユーザーがレリーズスイッチ31をオンしてから、ステップS83にて外付け記録装置29の利用状態を判断するところまでは、図6と同様である。
【0091】
ステップS83にて外付け記録装置29が「利用中」だった場合には、図6と同様に、不揮発性メモリ19に記憶されている、外付け記録装置29の空き容量情報、カレントフォルダ情報、カレントファイル情報を用いて、撮像動作を始める。
【0092】
そして、それと同時に、外付け記録装置29への電源を供給して起動し、外付け記録装置29の状態が、書き込み可能状態か、書き込み不可状態になるまで処理を行う(ステップS84、ステップS85、及びステップS86)。
【0093】
1コマの撮像動作が終了した後は(ステップS87)、ステップS88に移行する。ステップS88においてレリーズスイッチ31がオンのままであると判断された場合、不揮発性メモリ19上の、画像データ一時記憶バッファの空き容量が、画像1枚分存在するかどうかを判断する(ステップS89)。
【0094】
判断の結果、空き容量がある場合には、ステップS87に戻って1コマ撮像動作を行う。その後、ステップS88においてレリーズスイッチ31がオンのままであれば、ステップS89の判断処理を行い、一時記憶バッファの空き容量が画像1枚分を下回るまで撮像動作を続けることになる。一時記憶バッファがいっぱいになったら、ステップS90に進んで“ビジー“表示を行い、撮像動作を禁止する。
【0095】
更にこの間に、ステップS91において、外付け記録装置29が書き込み可能状態になるまで待ち、書き込み可能状態になったら、ステップS92において、一時記憶バッファに記憶されている画像データを、撮像した順番に外付け記録装置29に書き込んでいく。撮像画像データを外付け記録装置29に書き込み終わると、一時記憶バッファに記憶しておく必要はなくなるので、その画像の容量分だけ、一時記憶バッファを空き状態にする。
【0096】
このようにして、一時記憶バッファの空き容量が画像1枚分確保されると、ステップS89の判断にて、撮像可能となるため、レリーズスイッチ31がオンのままである場合には、ステップS87に戻って1コマ撮像動作を続けることができる。
【0097】
最終的にレリーズスイッチ31がオフとなり、一時記憶バッファへ記憶されている画像データがすべて外付け記録装置29へ書き込まれたところで、すべての処理が終了することになる。尚、ステップS83で、外付け記録装置29が利用状態でないと判断されたら、TFT表示装置13にその旨表示して(ステップS93)、その処理を終了する。
【0098】
以上のように、連写撮像動作において、外付け記録装置29を用いた場合においても、不揮発性メモリ19一時記憶バッファがいっぱいになるまでは、従来のSDカード21やCFカード23と同様のレスポンスと信頼性とを同時に実現する。また、とっさのシャッターチャンスにも即座に反応して、連写動作を行うことができる。
【0099】
次に、外付け記録装置29の消費電流の低減を図るための、パワーセーブモードを加えた場合の実施の形態を説明する。
【0100】
図9は、ユーザーの操作によって、パワーセーブモードを有効にするかしないかを選択するユーザーインターフェース表示画面を示す図である。
【0101】
図9において、TFT表示装置13の表示画面でユーザーは「ON」を選択することで、パワーセーブモードを有効にすることができる。
【0102】
図10は、図1の撮像装置によって実行される撮像処理の第3の手順を示すフローチャートである。
【0103】
本処理は、図1における全体制御/画像処理CPU20によって実行される。
【0104】
具体的には、図10は、パワーセーブモードを有効にしたときの撮像動作から外付け記録装置29への画像書き込みまでの一連の動作を説明するフローチャートである。
【0105】
図10において、外付け記録装置29の利用状態が、「利用中」かつ、「書き込み可能」な状態にある場合に、一定時間、外付け記録装置29へのアクセスが無かったかどうか判断する(ステップS101)。
【0106】
アクセスが無かった場合、ステップS102で、外付け記録装置29の状態を「書き込み不可能」とし、ステップS103で停止処理を行い、ステップS104で、外付け記録装置29への電源の供給を停止することで、パワーセーブモードに入れる。
【0107】
これによって、外付け記録装置29で消費される電流をゼロにすることができ、撮像装置本体1内部に備えるバッテリー26の消費を抑え、バッテリー26を使い切るまでの撮像枚数を増やすことができる。
【0108】
PC等におけるUSB接続のハードディスクの使用例では、ハードディスクへの書き込み/読み込みのレスポンス向上のため、ハードディスクへの電源を供給し続け、スピンドルを回転させ続けていた。しかし、これでは使用する電力の効率が非常に悪く、バッテリー駆動の機器においては、待機時の消費電流でバッテリー容量の大部分を使い切ってしまい、実用的ではない。
【0109】
本実施の形態では、アクセスが無い場合には外付け記録装置29への給電を停止して消費電流を抑制しても、撮像装置のレスポンスを悪化させることが無い。そのため、ユーザーはバッテリー26を気にすることなく、高速、大容量の外付け記録装置29を利用でき、かつ、テンポよく軽快に撮像することが可能である。
【0110】
ステップS105において、ユーザーがレリーズスイッチ31をオンしたと判断すると、図6のフローチャートと同様に、不揮発性メモリ19に記憶した、外付け記録装置29の情報を利用して撮像動作を行う(ステップS106)。
【0111】
そして、それと同時に、外付け記録装置29に対して電源を供給し始め(ステップS107)、起動して(ステップS108)、書き込み可能状態(ステップS109)になるまで処理を行う。
【0112】
図10においては、書き込み可能状態(ステップS109)しか記述していない。しかし、図6のフローチャートと同様に、USBケーブル30が外れていたり、起動途中でエラーが出たりしたときには、ユーザーは外付け記録装置29の使用をあきらめて、書き込み不可状態とすることも可能である。
【0113】
ステップS110において、外付け記録装置29が書き込み可能状態にあるかどうかを判断し、書き込み可能状態になるまで待つ。書き込み可能状態になったら、撮像動作によって得られた画像データを、不揮発性メモリ19から、外付け記録装置29に書き込む(ステップS111)。
【0114】
書き込み終わった後、ステップS101において、一定時間外付け記録装置29へのアクセスが無かったら、ステップS102、ステップS103、ステップS104において外付け記録装置29の終了処理、電源供給停止を行って、パワーセーブモードに入れる。
【0115】
以上述べたように、本実施の形態によれば、外付け記録装置29を利用した場合にもレスポンスが悪化することが無い。従って、外付け記録装置29へのアクセスが無い場合にこまめに消費電流の低減を図ることができ、ユーザーは高速、かつ、大容量の外付け記録装置29をストレス無く使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0116】
1 撮像装置本体
10 交換レンズ
11 撮像素子
12 アナログ・フロント・エンド(AFE)
13 TFT表示装置(表示手段)
14 LCD表示装置
15 操作ボタン(指定手段)
16 レンズ制御CPU
17 センサ駆動部
18 メモリ
19 不揮発性メモリ(記憶手段、画像データ格納バッファ手段)
20 全体制御/画像処理CPU(制御手段)
21 SDカード(記録装置)
22 通信制御CPU(節電手段構成要素)
23 CFカード(記録装置)
24 USB Aコネクタ(接続手段)
25 DCDCコンバータ
26 バッテリー(電源供給手段)
27 電源スイッチ(節電手段構成要素)
28 過電流検出部(節電手段構成要素)
29 外付け記録装置
30 USBケーブル
31 レリーズスイッチ
32 LEDアクセスランプ
41 外付け記録装置へ保存する画像データの種類を示すセグメント
42 CFカード利用状態表示セグメント
43 SDカード利用状態表示セグメント
44 カレントメディア表示セグメント
45 外付け記録装置29利用状態表示セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な外付け記録装置を接続する接続手段と、
前記外付け記録装置を利用している状態か利用していない状態かを表示する表示手段と、
前記外付け記録装置を接続するか切断するかを指定する指定手段と、
前記各手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記外付け記録装置の識別情報、空き容量情報、カレントフォルダ情報、カレントファイル情報のいずれか1つ、もしくは、複数の情報を記憶しておく記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記外付け記録装置を利用中のときは、上記情報のいずれか1つ、もしくは複数の情報を前記記憶手段に記憶し、前記外付け記録装置の実際の動作状態にかかわらず、前記憶手段に記憶した情報を利用することを備えることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記外付け記録装置を利用中のときに、前記外付け記録装置が画像データ書き込み不可能と検知した場合には、前記表示手段に警告表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記外付け記録装置へ電源を供給する電源供給手段と、
前記外付け記録装置の消費電力を低減する節電手段とを備え、
前記制御手段は、前記外付け記録装置へのアクセスが終了したときには前記節電手段を機能させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像した画像データを一時的に記憶しておく画像データ格納バッファ手段を備え、
前記表示手段は、撮像した画像データを記録する記録装置を指定する画面を表示し、前記指定手段は前記記録装置を指定する機能を有し、
前記制御手段は、前記外付け記録装置を利用中、かつ、前記外付け記録装置が前記記録装置に指定されている場合は、前記外付け記録装置の接続状態、及び実際の動作状態にかかわらず、前記画像データ格納バッファ手段に画像データ1枚分以上の空き容量があれば、撮像動作を許可することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記指定手段を用いて切断状態を指定せずに、前記外付け記録装置を取り外したことを検知した場合には、前記表示手段に警告表示を行わせることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記外付け記録装置を利用中、かつ、前記外付け記録装置が画像データの前記記録装置に指定されている場合に、前記制御手段は、撮像動作の後で、前記外付け記録装置が画像データ書き込み不可能と検知した場合、前記表示手段警告表示を行わせ、再度画像データ書き込み可能状態に復帰した場合には、前記画像データ格納バッファ内の画像データを、前記外付け記録装置に記録することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項8】
前記外付け記録装置と、撮像装置本体内部に接続する記録装置を同時に使用可能であって、前記制御手段は、前記外付け記録装置が書き込み不可能と判断したときは、撮像画像の保存先を前記記録装置に切り替えることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−135045(P2012−135045A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−70324(P2012−70324)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【分割の表示】特願2006−329848(P2006−329848)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】