説明

撮像装置

【課題】放送用のスタジオカメラなどの撮像装置で、例えば、熟練した技術が無くとも簡単に光軸調整を行うことを可能とする。
【解決手段】光学ブロック4の光軸を調整することが可能な撮像装置において、フロントフレーム1と、前記光学ブロック4の光軸を水平方向に調整する機構及び前記光学ブロック4の光軸を垂直方向に調整する機構を有する第1の調整板(X−Y調整板2)と、前記光学ブロック4の光軸を回転方向に調整する機構を有する第2の調整板(ローテーション調整板3)と、前記光学ブロック4を含んで、組み立てられ、前記第1の調整板(X−Y調整板2)及び前記第2の調整板(ローテーション調整板3)は、背面側から固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送用のスタジオカメラなどの撮像装置に関し、特に、熟練した技術が無くとも簡単に光軸調整を行うことができる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3(a)〜(e)を参照して、背景技術の例に係る放送用のスタジオカメラの構成例や動作例を説明する。
本例のスタジオカメラについて、図3(a)には全体の外観斜視図を示してあり、図3(b)には頭部の側面の断面図を示してあり、図3(c)には頭部の背面図を示してある。
【0003】
フロントフレーム101の背面に光軸調整板102が配置され、光軸調整板102に光学ブロック103が取り付けられている。光軸調整板102の上端では、中央に、図3(d)に示されるように光軸調整板102の上下方向の位置を調整する調整ネジ104が設けられており、また、その左右のそれぞれに、図3(e)に示されるように光軸調整板102の振り子方向の位置を調整する調整ネジ105a、105bが設けられている。
また、フロントフレーム101と光軸調整板102とは、前面から背面への固定ネジ106で固定される。
【0004】
本例のスタジオカメラでは、フロントフレーム101に配置された光軸調整板102に光学ブロック103が取り付いている。そして、中央の調整ネジ104を左右に回転することにより、光軸調整板102が上下に動く。また、左右の調整ネジ105a、105bを左右に回転することにより、光軸調整板102が調整ネジ104を中心に振り子運動をする。これらの調整により、レンズの光軸に対して光学ブロック103の光軸を合わせる調整を行う。
また、この調整が完了した後には、前面のレンズを外して前側より固定ネジ106で光軸調整板102を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2850010号公報
【特許文献2】特開平7−336573号公報
【特許文献3】実開平5−57973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3(a)〜(e)に示されるような背景技術の例に係る放送用のスタジオカメラでは、光軸調整板102が上下、振り子運動を行うため、上下の調整を行った後に左右、軸の傾きの調整を行おうとすると、上下位置がズレてしまい、また最初から調整をし直し調整幅を徐々に小さくして位置合わせを行う必要があった。
また、左右、回転は、左右の調整ネジ105a、105bで振り子運動にて行う構造で、光学ブロック103の光軸中心で回転するわけではなく、調整には熟練した技術が必要であった。
また、調整後は、レンズを外し、固定ネジ106で光軸調整板102を固定し、またレンズを装着して確認を行う必要があった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、熟練した技術が無くとも簡単に光軸調整を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、光学ブロックの光軸を調整することが可能な撮像装置において、次のような構成とした。
すなわち、フロントフレームと、前記光学ブロックの光軸を水平方向に調整する機構及び前記光学ブロックの光軸を垂直方向に調整する機構を有する第1の調整板と、前記光学ブロックの光軸を回転方向に調整する機構を有する第2の調整板と、前記光学ブロックを含んで、組み立てられる。また、前記第1の調整板及び前記第2の調整板は、背面側から固定される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明に係る撮像装置によると、例えば、熟練した技術が無くとも簡単に光軸調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)〜(c)は本発明の一実施例に係る放送用のスタジオカメラを説明するための図である。
【図2】(a)〜(i)は本発明の一実施例に係る放送用のスタジオカメラを説明するための図である。
【図3】(a)〜(e)は背景技術の例に係る放送用のスタジオカメラを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(i)を参照して、本発明の一実施例に係る放送用のスタジオカメラの構成例や動作例を説明する。本例では、主に、調整機構の構造例や動作例を示す。
本例のスタジオカメラについて、図1(a)には全体の外観斜視図を示してあり、図1(b)にはフロントフレーム1より背面側の内部構造の斜視図を示してあり、図1(c)にはフロントフレーム1から光学ブロック4の間の分解斜視図を示してある。
【0012】
また、本例のスタジオカメラについて、図2(a)にはフロントフレーム1から光学ブロック4を組み立てた外観斜視図を示してあり、図2(b)にはフロントフレーム1から光学ブロック4を組み立てたものの背面図を示してあり、図2(c)にはその左側面図(図2(b)において、左側から見たもの)を示してあり、図2(d)にはその右側面図(図2(b)において、右側から見たもの)を示してあり、図2(e)にはフロントフレーム1から光学ブロック4を組み立てたものを上方から見た図を示してあり、図2(f)にはその断面図を示してある。
【0013】
フロントフレーム1の背面側にX(左右)−Y(上下)調整板2を取り付けるための枠11が設けられており、その枠11の中央部には円状の穴が設けられている。その枠11に円状の穴が設けられたX−Y調整板2が合わせられて、枠11に設けられたネジ止め穴12にX−Y調整板2に設けられた穴21を介してネジ(X−Y調整板固定ネジ)8により固定される。
なお、本例では、このようなネジ止め穴12、穴21、ネジ8は、枠11及びX−Y調整板2の4隅に設けられており、そのうちの1組のみに符号を付してある。
【0014】
X−Y調整板2の背面側にローテーション(回転)調整板3が合わせられて、X−Y調整板2に設けられたネジ止め穴22、23にローテーション調整板3に設けられた穴31、32を介してネジ(ローテーション板固定ネジ)9、10により固定される。
ここで、ローテーション調整板3は、環状の平板(環状平板)と、この環状平板上の一方の側に取り付けられた穴31を設けた平板と、この環状平板の対向する他方の側に取り付けられた上下の隅に穴32を設けた部材33から構成されている。この部材33は外側(図1(c)において、左側)に、縦(上下)方向に長い長方形の平面を有している。
【0015】
なお、本例では、この部材33の穴32及びそれに対応するネジ止め穴23、ネジ10は、上下の2隅に設けられており、そのうちの1組のみに符号を付してある。
また、本例では、これらの穴31、32は楕円状となっており、ネジ9、10に対して、幾らか余裕を有している。
ローテーション調整板3の背面側から、フロントフレーム1とX−Y調整板2とローテーション調整板3に設けられた円状の穴を介して、光学ブロック4が取り付けられる。
【0016】
フロントフレーム1等の上側において、フロントフレーム1の上側の突起部に設けられた穴13を介して、X−Y調整板2の上側の突起部に設けられたネジ止め穴24に、Y(上下)方向の調整ネジ5が取り付けられる。このY(上下)方向の調整ネジ5により、X−Y調整板2を上下方向で調整することができる構造となっている。
【0017】
フロントフレーム1等の片方の側面の側(本例では、図1(c)において、左側)において、フロントフレーム1の側面側の突起部に設けられた穴14を介して、X−Y調整板2の側面側の突起部に設けられたネジ止め穴25に、X(左右)方向の調整ネジ6が取り付けられる。このX(左右)方向の調整ネジ6により、X−Y調整板2を左右方向で調整することができる構造となっている。
また、このX−Y調整板2の側面側の突起部には、このネジ止め穴25が縦(上下)方向の中央(又は、その付近)に設けられており、その上下のそれぞれにネジ穴26a、26bが設けられている。
【0018】
フロントフレーム1等の片方の側面の側(本例では、図1(c)において、左側)において、X−Y調整板2の側面側の突起部に設けられた上側のネジ穴26a及び下側のネジ穴26bのそれぞれに、上側のローテーション(回転)調整ネジ7a及び下側のローテーション(回転)調整ネジ7bが取り付けられる。これらのローテーション(回転)調整ネジ7a、7bの先端部は、それぞれ、これらのネジ穴26a、26bを貫通して、ローテーション調整板3の片方の側面の側の部材33の上方と下方に接触し、これにより、ローテーション調整板3を回転方向で調整することができる構造となっている。
【0019】
ここで、本例では、フロントフレーム1(又は、それより前面側)にレンズが取り付けられ、また、光学ブロック4は、CCD(Charge Coupled Device)や撮像管等の撮像素子を内部又は外部に備えており、必要に応じてフィルタやプリズム等の光学系を有している。
そして、本例では、レンズの光軸と光学ブロック4(撮像素子など)の光軸とを合わせるように調整することを可能とする。
【0020】
本例のスタジオカメラの光軸調整機構の動作例をより詳しく説明する。
フロントフレーム1に、X−Y調整板固定ネジ8で半固定されているX−Y調整板2がある。このX−Y調整板2に、ローテーション板固定ネジ9でローテーション調整板3が半固定されている。このローテーション調整板3に光学ブロック4が固定されている。
【0021】
図2(g)に示されるように、例えば人の手で、Y(上下)調整ネジ5を回すことにより、X−Y調整板2の上下方向の位置を調整することができる。
図2(h)に示されるように、例えば人の手で、X(左右)調整ネジ6を回すことにより、X−Y調整板2の左右方向の位置を調整することができる。
図2(i)に示されるように、例えば人の手で、ローテーション(回転)調整ネジ7a、7bを回すことにより、ローテーション調整板3の傾き(回転)を調整することができる。
本例では、これらにより光軸を調整した後に、X−Y調整板固定ネジ8及びローテーション板固定ネジ9で後方より固定する。
【0022】
以上のように、本例の放送用のスタジオカメラでは、スタジオカメラにレンズ(例えば、箱型ズームレンズ)を装着したときに、レンズとカメラ(撮像素子)等の光軸調整を垂直(上下)軸方向、水平(左右)軸方向、回転方向にそれぞれ独立で調整することができる構造としてあり、更に、光軸調整の終了後に必要な固定作業(ロック)を、レンズの取り外しをしないで行うことができる構造としてある。
【0023】
具体的には、本例では、光学ブロック4を取り付けて調整を行う調整板の構造を、左右、上下、回転のそれぞれの運動を妨げないように独立した動きにするために、調整板を(背景技術の例に係る図3に示される構造における1枚から)2枚の構造とするように、構造を変更した。本例では、この2枚は、X−Y調整板2とローテーション調整板3となる。
更に、本例では、調整の完了後における調整板の固定方法として、背面より行うことができる方法に変更して、これにより、レンズの取り外し無く固定することができる構造とした。
【0024】
従って、本例の放送用のスタジオカメラでは、調整板の構造を変更することにより、例えば、熟練した技術が無くとも、簡単に光軸調整を行うことができ、また、調整の完了後にレンズの取り外しを行うことなく調整板を固定することができ、(例えば、背景技術の例に係る図3に示される構造と比べて)正確に効率良く光軸の調整をすることが可能となる。このように、本例では、特殊な技術を要することなく、簡単に、正確に、効率良く、レンズに対して光学ブロック4の光軸を素早く合わせることができる。
【0025】
(以下、構成例の説明)
一構成例を示す。
光学ブロック(本例では、光学ブロック4)の光軸を調整することが可能な撮像装置(本例では、スタジオカメラ)において、
フロントフレーム(本例では、フロントフレーム1)と、
前記光学ブロックの光軸を水平方向に調整する機構(本例では、X調整ネジ6に関する機構)及び前記光学ブロックの光軸を垂直方向に調整する機構(本例では、Y調整ネジ5に関する機構)を有する第1の調整板(本例では、X−Y調整板2)と、
前記光学ブロックの光軸を回転方向に調整する機構(本例では、ローテーション調整ネジ7a、7bに関する機構)を有する第2の調整板(本例では、ローテーション調整板3)と、
前記光学ブロックを含んで、組み立てられ、
前記第1の調整板及び前記第2の調整板は、背面側(フロントフレームとは逆の側であり、光学ブロックの側)から固定される、
ことを特徴とする撮像装置。
【0026】
従って、光学ブロックの光軸を水平方向及び垂直方向に調整することができる調整板と、光学ブロックの光軸を回転方向に調整することができる調整板を、別体で設けたため、水平方向と垂直方向をそれぞれ独立に調整することを可能とし、更に、回転方向を独立に調整することを可能とすることで、光軸調整を効率的、効果的に行うことができる。
また、2つの調整板は、例えばそれぞれ、ネジ等により背面側から固定される構造とすることで、レンズを外さずに固定することを可能とすることができ、光軸調整の効率化などを更に図ることができる。
なお、回転方向の調整は、例えば、光軸から外れた中心軸の周りの回転により行われる。
(以上、構成例の説明)
【符号の説明】
【0027】
1、101・・フロントフレーム、 2・・X−Y調整板、 3・・ローテーション(回転)調整板、 4、103・・光学ブロック、 5・・Y(上下)調整ネジ、 6・・X(左右)調整ネジ、 7a、7b・・ローテーション(回転)調整ネジ、 8・・X−Y調整板固定ネジ、 9、10・・ローテーション板固定ネジ、 11・・枠、 12、22〜25・・ネジ止め穴、 13、14、21、31、32・・穴、 26a、26b・・ネジ穴、 33・・部材、 102・・光軸調整板、 104、105a、105b・・調整ネジ、 106・・固定ネジ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ブロックの光軸を調整することが可能な撮像装置において、
フロントフレームと、
前記光学ブロックの光軸を水平方向に調整する機構及び前記光学ブロックの光軸を垂直方向に調整する機構を有する第1の調整板と、
前記光学ブロックの光軸を回転方向に調整する機構を有する第2の調整板と、
前記光学ブロックを含んで、組み立てられ、
前記第1の調整板及び前記第2の調整板は、背面側から固定される、
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−156630(P2012−156630A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11974(P2011−11974)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】