説明

撮像装置

【課題】カメラに接続された通信線や電力線のメンテナンスが一切不要な撮像装置を提供する。
【解決手段】第1回転ユニット4を第1回転軸周りに回転させ、撮像対象孔90の周方向に沿って撮像対象孔90の内部表面に照射光を順次当てている。また、撮像対象孔90の内部表面で反射した照射光の反射光を、第2回転ユニット5が備える3つのミラー51,52,53で反射させる。そして、制御部2により、第3のミラー52cから反射された照射光が、光軸周りに回転しないように回転速度を調整しながら、第1及び第2回転ユニット4,5を回転させている。そのため、この撮像装置1では、カメラユニット6を回転しなくてもよいので、カメラユニット6を回転させたときに必要であって、カメラの通信線や電力線のメンテナンスを一切不要とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象孔の内部表面を撮像するのに適した撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像対象孔の内部表面を撮像する従来の撮像装置は、撮像対象孔内で回転するミラーと、光源と、ミラーと同期して回転するカメラとを備えている。
この撮像装置では、光源から照射光をミラーに向けて照射すると、ミラーがその照射光を撮像対象孔の内部表面に向けて反射するとともに、内部表面で当たった照射光の反射光をカメラに向けて反射する。
【0003】
また、この撮像装置では、ミラーとカメラとを同期して回転すると、撮像対象孔の円周方向に沿って撮像対象孔の内部表面に照射光が順次あてられるとともに、この照射光を順次カメラに取り込むことで撮像対象孔の内部表面が細切れに撮像される。
【0004】
そして、この撮像装置では、この細切れに撮像した画像をつなぎ合わせることで、撮像対象孔の内部表面の円周方向に沿った展開画像を撮像している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の撮像装置は、撮像を行う際、カメラの回転速度を加速し、撮像のためカメラを定速で1回転し、その後回転速度を減速する制御を行っているので、これらの一連の動作を行うため、1回の撮像あたりカメラを約540°回転させる必要がある。
【0006】
そのため、従来の撮像装置は、カメラに接続された画像送信用の通信線や電力供給線等のケーブルが、カメラを回転させるたびに大きく伸縮したり、ねじられたりするため金属疲労が生じやすく、メンテナンスに手間を要した。
【0007】
また、撮像対象孔内の撮像は、深さ方向に撮像位置を変えて行われることが多いが、従来の撮像装置では、1回の撮像を終了するごとにカメラを540°回転させて元の位置に戻す必要があるので、撮像時間が長くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、カメラに接続されたケーブルのメンテナンスが一切不要でありかつ、撮像対象孔内の複数箇所の撮像を短時間で行うことが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するためになされた撮像装置で、撮像対象孔の内部表面に向かって照射光を当てて、前記撮像対象孔の内部表面で反射した前記照射光を受光する照光手段を備え、前記照射光が前記撮像対象孔の周方向に沿って前記撮像対象孔の内部表面に順次当たるように、前記照光手段を第1回転軸に沿って回転させる探孔手段と、3つの反射面を有し、第1の反射面は、前記探孔手段から受光した前記照射光を、第2回転軸からはずれた位置に配置された第2の反射面に向かって反射し、第2の反射面は、前記第2回転軸上に配置された第3の反射面に向かって反射し、第3の反射面は、前記第2回転軸と前記照射光の光軸とが一致するように、前記第2の反射面から入射した光を反射するとともに、前記3つの反射面を前記第2回転軸に沿って回転させる調光手段と、前記調光手段の前記第3の反射面で反射された前記照射光を受光して、前記撮像対象孔の内部表面を撮像するカメラと、前記第3の反射面から前記カメラに入射する前記照射光が、前記照射光の光軸周りに回転しないように回転速度を調整しながら、前記探孔手段及び前記調光手段を回転させる回転調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この撮像装置では、撮像対象孔の内部表面を撮像するため、探孔手段が備える照光手段を第1回転軸周りに回転させることにより、撮像対象孔の深さ方向に沿った軸を中心とする周方向に沿って撮像対象孔の内部表面に照射光を順次当てている。
【0011】
また、この撮像装置では、探孔手段が前記撮像対象孔の内部表面に当てた照射光の反射光を、調光手段が備える3つの反射面で反射させるとともに、これら3つの反射面を第2回転軸周りに回転させている。
【0012】
そして、この撮像装置では、回転調整手段により、第3の反射面から反射された照射光が、照射光の光軸周りに回転しないように回転速度を調整しながら、探孔手段及び調光手段を回転させている。
【0013】
そのため、本発明の撮像装置では、カメラを回転しなくても、探孔手段が回転して撮像対象孔の内部表面に当てた照射光の反射光を受光することができる。
従って、本発明の撮像装置は、撮像対象孔の内部表面の周方向に沿った展開画像をカメラを固定した状態で撮像できるので、カメラに接続された通信線や電力線のメンテナンスが一切不要となる。
【0014】
また、本発明の撮像装置を用いると、従来の撮像装置のようにカメラを回転前の状態に戻す必要がないので、撮像対象孔内の深さ位置を変えて行う撮像を、短時間に連続して行うことができる。
【0015】
なお、3つの反射面は、3枚のミラーで形成してもよいし、3つの反射面を有するプリズム等を用いて形成してもよい。
また、本発明の撮像装置は、請求項2に記載したように、探孔手段と調光手段とを、第1回転軸と第2回転軸とが同軸となるように配置するとよい。また、請求項3に記載したように、カメラについても、カメラの光軸が、第1回転軸及び第2回転軸と同軸となるように配置するとよい。撮像装置の構造が簡単でコンパクトになるからである。
【0016】
次に、請求項4に記載した撮像装置のように、調光手段は、第2の反射面が第2回転軸と平行に配置され、第1の反射面が第2回転軸に対し60度傾けて配置され、第3の反射面が第2回転軸に対し−60度傾けて配置され、第1の反射面と第3の反射面は第2の反射面に対して凸な、くの字状に配置されていることが好ましい。
【0017】
このように構成すると、調光手段の構造をシンプルな構造とすることができ、反射面の設定を非常に簡単に行うことができる。
次に、請求項5に記載したように、照光手段は、発光手段と、発光手段から照射された照射光を、撮像対象孔の内部表面に向かって反射するとともに、撮像対象孔の内部表面で反射した反射光を第1の反射面に向かって反射する対物ミラーとを備えることが好ましい。
【0018】
このようにすると、発光手段から照射された照射光を撮像対象孔の内部表面に向けて反射する手段と、この内部表面で反射した照射光を調光手段に向ける手段とを一つの対物ミラーで構成できるので、構造をシンプルにすることができるからである。
【0019】
次に、請求項6に記載の撮像装置のように、発光手段は、光源と、第3の反射面とカメラとの間に、第3の反射面からカメラに向かう照射光を透過する一方、光源から照射された照射光を、調光手段に向かって反射するハーフミラーを備え、反射手段は、ハーフミラーから調光手段を介して入射した照射光を撮像対象孔の内部表面に向かって反射することを特徴とする。
【0020】
このように構成すると、発光手段を第3の反射面とカメラとの間に配置しているので、発光手段を固定した状態で設置することができる。
ところで、本発明の撮像装置では、第3の反射面で反射した照射光が光軸回りに回転しないので、以下のように構成してもよい。
【0021】
第1に、請求項7に記載したように、照光手段を、照射光の光軸に垂直な一の幅方向に沿って長尺な照射光を照射するよう構成した場合、カメラとしてラインセンサを用いてもよい。
【0022】
そしてこのラインセンサを、ラインセンサの光軸と、第3の反射面でカメラに向かって反射された照射光の光軸とが一致し、かつ、ラインセンサの長手方向と、第3の反射面でカメラに向かって反射された照射光の幅方向とが一致するように配置する。
【0023】
このようにすると、ラインセンサを固定したまま、回転する探孔手段から、撮像対象孔の内部表面に当てた照射光の反射光を順次取り込むことで撮像対象孔の内部表面を細切れに撮像できる。
【0024】
そのため、この撮像装置では、ラインセンサを固定したまま、この細切れに撮像された画像をつなぎ合わることで、撮像対象孔の内部表面の円周方向に沿った展開画像を撮像することができる。
【0025】
第2に、請求項8に記載したように、照光手段を、照射光の光軸に垂直な一の幅方向に沿って長尺な照射光を照射するよう構成し、カメラとしてエリアカメラを用いる。
そして、このエリアカメラを、第3の反射面でカメラに向かって反射された照射光の幅方向に対して垂直、かつ、照射光の光軸に垂直な方向に移動可能、かつ、エリアカメラの撮像面が、照射光の光軸が通る位置を通過するように配置し、制御手段により、探孔手段及び調光手段の回転と同期してエリアカメラを移動させるとよい。
【0026】
このようにすると、エリアカメラを直線的に移動するだけで、回転する探孔手段から、撮像対象孔の内部表面に当てた照射光の反射光を順次撮像面に露光することで撮像対象孔の内部表面の円周方向に沿った展開画像を撮像することができる。
【0027】
なお、請求項9に記載したように、本発明の撮像装置において、第3の反射面で反射した照射光が光軸回りに回転しないようにするには、例えば、回転調整手段により、探孔手段が1回転する間に、調光手段を1/2回転させるよう制御するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態の撮像装置の全体構成を示した模式図である。制御部以外の部分は第1回転軸を通る断面図で示している。
【図2】制御部を除く撮像装置の全体構成を示す模式図である。第1回転軸を通る断面で示している。
【図3】照射光が反射される様子を説明するための模式図である。
【図4】第2実施形態の撮像装置の全体構成を示した模式図である。制御部以外の部分は第1回転軸を通る断面図で示している。
【図5】エリアカメラの側面図である。
【図6】照射光が反射される様子を説明するとともに、エリアカメラの移動と第1回転ユニット、第2回転ユニットの回転が同期して移動する様子を説明するための模式図である。
【図7】第2実施形態で実行される撮像の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
《第1実施形態》
[1.全体構成]
第1実施形態について説明する。
【0030】
本実施形態の撮像装置1は、図1に示すように、L字状に設置された設置台10を備え、この設置台10のL字の底辺11上に撮像対象孔90が形成された被写体9が載置される。
【0031】
そして、この撮像装置1の主要部3は、底辺11の上方に配置され、L字の上下方向に延びた辺を構成する柱状部12に上下方向に移動可能に固定されている。
また、本実施形態の撮像装置1は、主要部3を制御する制御部2を備えている。
【0032】
この制御部2は、パーソナルコンピュータ20と、モニター21と、モータドライバ22とを備えており、パーソナルコンピュータ20は、さらに画像取込ボード20aとパルス列発生ボード20bとを備えている。
【0033】
画像取込ボード20aは、主要部3に備えられた後述するカメラユニット6に接続されており、カメラユニット6が備えるラインセンサ61が撮像した画像を順次パーソナルコンピュータ20に取り込むためのボードである。
【0034】
パルス列発生ボード20bは、パーソナルコンピュータ20で行われる制御に基づいて、モータドライバ22を介して、主要部3に備えられた後述するモータ70駆動用のパルスを出力する装置である。
【0035】
モニター21は、例えば、画像取込ボード20aを介して撮像した画像など、パーソナルコンピュータ20で行われる処理に伴う画像を表示する。
[2.主要部3]
次に、図2を用いて主要部3について説明する。
【0036】
主要部3は、最下部に第1回転ユニット4と(右上がりの斜線を引いた部分)、この第1回転ユニット4の上方に配置された第2回転ユニット5(右下がりの斜線引いた部分)と、第2回転ユニット5の上方に配置されたカメラユニット6と、各回転ユニット4、5を回転させる駆動部7とを備えている。
【0037】
また、主要部3は、第2回転ユニット5とカメラユニット6との間に光源ユニット8を備えている。
そして、この主要部3は、第1回転ユニット4の下端部を除き、第1回転ユニット4の上端部、第2回転ユニット5、カメラユニット6と、駆動部7とが、筐体30内に収容されている。
【0038】
[3.第1回転ユニット4]
第1回転ユニット4は、主に、外周面に滑車溝40aが形成された本体部40と、この本体部40の下方に形成された略筒状の鏡筒41と、この鏡筒41の内部であって下端に配置された対物ミラー42とを備えている。
【0039】
この第1回転ユニット4は、本体部40に形成された滑車溝40aの回転軸と、鏡筒41の中心軸とが同軸となる形状に形成され、かつ、これら軸(以下、第1回転軸という)が重力方向に沿って配置されるように、柱状部12に対し回転可能に固定されている。
【0040】
また、対物ミラー42は、第1回転軸に対して45度傾けた状態で鏡筒41内の下端側に配置され、鏡筒41の第1回転軸を通って上方から下方に向かう光を水平方向に反射可能に配置されている。
【0041】
[4.第2回転ユニット5]
第2回転ユニット5は、第1回転ユニット4の上部に配置され、外周面に滑車溝50aが形成された本体部50と、この本体部50の下方に形成され、第1回転ユニット4の本体部40内に挿入される挿入部51と、本体部50の上方に設置された調光部52とを備えている。
【0042】
また、挿入部51は円筒状に形成され、本体部40に対して回転可能に固定され、調光部52には、内部に、3枚のミラー52a〜52cが備えられている。
そして、第2回転ユニット5は、本体部50の滑車溝50aの回転軸と、挿入部51の中心軸とが同軸となる形状に形成され、かつ、これら軸(以下、第2回転軸という)が第1回転軸と同軸になるように配置される。また、第2回転ユニット5は、挿入部51が第1回転ユニット4の本体部40に対して回転可能に固定されることにより、柱状部12に対し回転可能に固定されている。
【0043】
また、調光部52内に備えられた3枚のミラーのうち、下方に配置された第1のミラー52aと上方に配置された第3のミラー52cは第2回転軸上に配置され、中央に配置された第2のミラー52bは、第2回転軸から離れた位置で、第2回転軸に対して平行に配置されている。
【0044】
第1のミラー52aと第3のミラー52cは、第2のミラー52bに対して凸な略くの字状に配置されている。第1のミラー52aと第3のミラー52cは、第2回転軸に対して60°、−60°傾けて配置されている。
【0045】
これら第1のミラー52a〜第3のミラー52cは、対物ミラー42で反射され、重力方向に沿って上方に向かう第1回転軸上を通る光を、第1のミラー52aで第2のミラー52bに向かって反射し、さらに第2のミラー52bで第3のミラー52cに向かって反射して、第3のミラー52cでは、第2のミラー52bから入射した光を、第2回転軸上を通って上方に向かって反射するように配置される。
【0046】
[5.光源ユニット8]
光源ユニット8は、第2回転ユニット5の上方に配置され、第3のミラー52cの上方には、ハーフミラー80が配置され、このハーフミラー80の水平方向の一方側(図2の右方側)には、レンズ81とLED82が配置されている。
【0047】
ハーフミラー80は、第2回転軸に対して45度傾けて配置され、第3のミラー52cから入射する光については上方に向かって透過し、LED82から照射され、レンズ81を通ってハーフミラー80に到達した光については、第3のミラー52cに向かって第2回転軸に沿って反射する。
【0048】
LED82から照射された照射光は、レンズ81、ハーフミラー80、第3のミラー52c、第2のミラー52b、第1のミラー52a、対物ミラー42を介して、被写体9に形成された撮像対象孔90の内部表面に照射される。
【0049】
また、レンズ81としては、LED82から照射された光が、撮像対象孔90の内部表面に照射されたとき、重力方向に沿って長尺な光となるように調光するものを用いている。
【0050】
上述した光源ユニット8は、柱状部12に固定される。
[6.カメラユニット6]
カメラユニット6は、ラインセンサ61を備えており、ラインセンサ61の光軸と第2回転軸とが同軸となるように設置される。
【0051】
また、光源ユニット8から撮像対象孔90の内部表面に照射された長尺な照射光の反射光が、対物ミラー42、第1〜第3のミラー52a〜52cを介してラインセンサ61に入射するときに、反射光は、その光軸に対し所定の幅方向に長尺な帯状の光となる。
【0052】
カメラユニット6は、ラインセンサ61の光軸と、第3のミラー52cから第2回転軸に沿って上方に向かう照射光の反射光の光軸とが一致し、ラインセンサ61の長手方向と、照射光の幅方向とが一致するように配置する。
【0053】
上述したカメラユニット6は、柱状部12に固定される。
[7.駆動部7]
駆動部7は、ステッピングモータからなるモータ70と、第1回転ユニット4の滑車溝40aの回転面と同一水平面上に配置されたプーリ71と、第2回転ユニット5の滑車溝50aの回転面と同一水平面上に配置されたプーリ72とを備えている。
【0054】
そして各プーリ71、72は、ギア比がプーリ71:プーリ72=2:1となる大きさに形成され、プーリ71と滑車溝40aは、第1回転ベルト71a、プーリ72と滑車溝50aは第2回転ベルト72aでモータ70からの駆動力を伝達可能に構成されている。
【0055】
また、滑車溝40aと滑車溝50aとが構成する滑車についてはギア比が同じ滑車となるよう構成されているので、各プーリ71と72を上記のようなギア比で構成することにより、モータ70を駆動すると、第1回転ユニット4が1回転する間に、第2回転ユニット5が1/2回転する。
【0056】
上述した駆動部7は、柱状部12に固定される。
[8.撮像対象孔の内部表面の撮像機構]
次に、上記撮像装置1を用いて撮像対象孔90の内部表面を撮像する機構について説明する。
【0057】
本実施形態の撮像装置1では、上述したように、光源ユニット8のLED82を点灯すると、LED82から照射された照射光が対物ミラー42で反射され、撮像対象孔90の内部表面に照射される。
【0058】
すると、撮像対象孔90の内部表面に照射された照射光の反射光が対物ミラー42によって第1のミラー52aに向かって反射され、ハーフミラー80を透過してラインセンサ61に取り込まれる。
【0059】
このとき、第3のミラー52cからラインセンサ61に向かう照射光は、この照射光の光軸回りに回転しないので、その様子を図3に示す。
図3は、第1回転ユニット4が360°回転する間に、第2回転ユニット5が180°回転する様子を(a)〜(e)の順に時系列で示した図である。
【0060】
図3に示すように、本実施形態の撮像装置1では、第1回転ユニット4を360°回転する間に、第2回転ユニット5を180°回転するように回転量を調整しながら、第1回転ユニット4及び第2回転ユニット5を回転させると、第3のミラー52cからラインセンサ61に向かう照射光は、この照射光の光軸回りに回転しない。
【0061】
そのため、本実施形態の撮像装置1では、第1回転ユニット4を360°回転させても、ラインセンサ61を回転させることなく、撮像対象孔90の内部表面を撮像することが可能となる。
【0062】
[9.本実施形態の撮像装置1の特徴的な作用効果]
以上説明した撮像装置1では、撮像対象孔90の内部表面を撮像するため、第1回転ユニット4を第1回転軸周りに回転させることにより、撮像対象孔90の深さ方向に沿った軸を中心とする周方向に沿って撮像対象孔90の内部表面に照射光を順次当てている。
【0063】
また、この撮像装置1では、第1回転ユニット4が撮像対象孔90の内部表面に当てた照射光の反射光を、第2回転ユニット5が備える3つのミラー52a〜52cで反射させるとともに、これら3つのミラー52a〜52cを第2回転軸周りに回転させている。
【0064】
そして、この撮像装置1は、制御部2により、第3のミラー52cから反射された照射光が、照射光の光軸周りに回転しないようにギア比を調整して回転速度を調整し、第1回転ユニット4及び第2回転ユニット5を回転させている。
【0065】
そのため、本実施形態の撮像装置1では、カメラユニット6を回転しなくても、第1回転ユニット4が回転して撮像対象孔90の内部表面に当てた照射光の反射光を受光することができる。
【0066】
従って、本実施形態の撮像装置1は、撮像対象孔90の内部表面の周方向に沿った展開画像をカメラユニット6を固定した状態で撮像できるので、カメラユニット6に接続された通信線や電力線のメンテナンスを一切不要とすることができる。
【0067】
また、本実施形態の撮像装置1を用いると、従来の撮像装置のようにカメラユニット6を回転前の状態に戻す必要がないので、撮像対象孔90内の深さ位置を変えて行う撮像を、短時間に連続して行うことができる。
【0068】
本実施形態の撮像装置1が備える光源ユニット8は、ハーフミラー80を第3のミラー52cとラインセンサ61との間に配置したので、LED82を第1回転ユニット4等とともに回転させることなく固定した状態で設置することができる。
《第2実施形態》
次に、第2実施形態について説明する。
【0069】
この第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、同じ構成については同一符合を用いて説明する。
第1実施形態ではカメラユニット6としてラインセンサ61を用いていたが、本実施形態では、図4に示すように、エリアカメラ65を用いる点が異なる。
【0070】
このエリアカメラ65は、図5に示すように、カメラ本体65aの下部に長方形状に形成された撮像素子65bが配置され、この撮像素子65bの撮像面65cが、重力方向に対して垂直且つ第3のミラー52cの上方位置を水平方向に移動可能に設置される(図4参照)。より具体的には、エリアカメラ65については、第3のミラー52cでカメラユニット6に向かって反射される照射光の幅方向に対して垂直かつ、照射光の光軸(図4中の一点鎖線)に垂直な方向に移動可能、かつ、エリアカメラ65の撮像面65cが、照射光の光軸が通る位置を通過するように配置する。
【0071】
また、カメラユニット6は、ステッピングモーター66と、送りネジ67とを備え、ステッピングモータ66が送りネジ67を回転させると、この送りネジ67によって、水平方向にエリアカメラ65、ひいては、撮像素子65bが移動するよう構成する。
【0072】
そして、第2実施形態では、上記のように構成された撮像装置1において下記の撮像制御が実行される。
以下、この撮像制御を図6を参照しつつ説明する。
【0073】
この撮像制御は制御装置20において実施される。
本実施形態の撮像装置1では、この撮像制御が始まる前に、エリアカメラ65を加速に必要な距離分だけ照射光の光軸から離れた待機位置に移動させて待機させ、また、第1回転ユニット4と第2回転ユニット5を必要な角度回転させた待機位置に移動させて待機させる処理が実行される。
【0074】
(1)本実施形態の撮像装置1で撮像制御が実行される場合、制御装置20はまず、ステッピングモータ66及びステッピングモータ70を制御し、待機位置に移動しているエリアカメラ65及び第1回転ユニット4と第2回転ユニット5を加速する。
【0075】
(2)次に、制御装置20は、エリアカメラ65の撮像面65cの長手方向の一端が照射光の光軸に達したら、エリアカメラ65を制御して撮像を開始させる(シャッターを開く)(図6(a))。
【0076】
(3)その後、制御装置20は、エリアカメラ65が等速で移動させる制御を実行し、これに同期して第1回転ユニット4と第2回転ユニット5をそれぞれ下記の図6(a)〜図6(e)の説明のように回転させる制御を実行する。
【0077】
図6(a)は、撮像面65cの長手方向の先端が照射光の光軸に到達したときの図で、このときの対物ミラー42を備える第1回転ユニット4の回転角度、及び、ミラー52a〜52cを備える第2回転ユニット5の回転角度を0°とする。
【0078】
図6(b)は、撮像面65cの先端が照射光の光軸に到達したのち、撮像面65cの1/4がこの光軸を通過したときの図で、このとき第1回転ユニット4の回転角度は90°、第2回転ユニット5の回転角度は45°である。
【0079】
図6(c)は、撮像面65cの先端が照射光の光軸に到達したのち、撮像面65cの1/2がこの光軸を通過したときの図で、このとき第1回転ユニット4の回転角度は180°、第2回転ユニット5の回転角度は90°である。
【0080】
図6(d)は、撮像面65cの先端が照射光の光軸に到達したのち、撮像面65cの3/4がこの光軸を通過したときの図で、このとき第1回転ユニット4の回転角度は270°、第2回転ユニット5の回転角度は60°である。
【0081】
図6(e)は、撮像面65cの後端が照射光の光軸に到達したときの図で、このとき第1回転ユニット4の回転角度は360°、第2回転ユニット5の回転角度は180°である。
【0082】
(4)一方、制御装置20は、上記のように第1回転ユニット4、第2回転ユニット5を回転させ,エリアカメラ65を移動させると、すなわち、撮像面65cの後端が照射光の光軸に到達すると、エリアカメラ65を制御して撮像を終了させる(図6(e))(シャッターを閉じる)。
【0083】
(5)その後、制御装置20は、ステッピングモータ66及びステッピングモータ70を制御し、エリアカメラ65及び第1回転ユニット4と第2回転ユニット5を減速して停止させる。
【0084】
そして、この撮像制御が終了すると、制御装置20は、エリアカメラ65から画像情報を取得して、その画像情報を図示しないHDD(ハードディスクドライブ)等に記憶するとともに、この画像情報に基づいた画像をモニタ21に表示する。
【0085】
[本実施形態の撮像装置1の特徴的な作用効果]
以上説明した本実施形態の撮像装置1を用いると、以下のような作用効果がある。
この撮像装置1は、ラインカメラのように線ではなく、エリアカメラ65の撮像面65cで面により照射光を捉えているので、ピントが合わせやすく、しかも、エリアカメラ65の場合、一定の幅で画像を取り込むことで、ハイライト部分が若干移動しても確実にハイライト部分を受光できるので、明るさが一定した均質な画像が得られる。
【0086】
また、この撮像装置1は、エリアカメラ65の撮像面で、照射光を線ではなく、一定の幅のある光として捉えることができるので、図7に示すように、その幅のある線状光1〜4の一部を重ねながら、撮像することができる。
【0087】
従って、本実施形態の撮像装置1を用いると、ラインカメラを用いた場合に比べて、ピントが合わせやすく、しかも、光量むらを発生させずに被写体9の撮像対象孔90内の内部表面を二次元的に撮像することができる。
【0088】
また、本実施形態の撮像装置1は、図6に示すように、エリアカメラ65を直線的に移動するだけで、回転する第1回転ユニット4が備える対物ミラー42を介して、撮像対象孔90の内部表面に当てた照射光の反射光を順次撮像面65cに露光することで撮像対象孔90の内部表面の円周方向に沿った展開画像を撮像することができる。
【0089】
尚、本実施形態の撮像装置1を用いた場合、第1回転ユニット4及び第2回転ユニット5を高速で連続回転させておき、エリアカメラ65のシャッター速度は、第1回転ユニット4の回転の時間と同じにしておく。この状態で任意のタイミングでシャッターを切れば、円周1週分の画像が得られる。撮像開始位置を固定したい場合は、ステッピングモータ70の位置と同期を取りシャッターを切れば良い。次に対物ミラー42の高さ位置を変え、その間にカメラユニット6のエリアカメラ65も撮像開始位置に戻すことで、すぐさま次の位置で撮像ができる(エリアカメラ65の移動量は通常10mm程度であるので極短時間で移動できる)。したがって、カメラ回転方式に比べ、遥かに高速で撮像が可能となる。
【0090】
対物ミラー42を30rpsで回転した場合、撮像時間は約33msec、移動および次撮影に備えるのに対物ミラー42の2回転分の時間を要したとして、3回転毎の撮像となり、結果0.1秒毎に撮像可能となる。
(本発明と実施形態との対応関係)
請求項1:本発明の照光手段は、本実施形態の第1回転ユニット4及び光源ユニット8に相当する。本発明の探孔手段は、第1回転ユニット4、光源ユニット8及び駆動部7に相当する。本発明の調光手段は、本実施形態の第2回転ユニット5と駆動部7に相当する。本発明の3つの反射面は、本実施形態の第1〜第3のミラー52a〜52cに相当する。本発明のカメラは、カメラユニット6に相当する。本発明の回転調整手段は、ギア比を2対1に調整して形成されたプーリ71,72、モータ70、及び、制御部2に相当する。
【0091】
請求項5:本発明の発光手段は、本実施形態の光源ユニット8に相当する。
請求項6:本発明の光源は、本実施形態のLED82に相当する。
(その他の実施形態)
尚、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0092】
1…撮像装置、2…制御部、3…主要部、4…第1回転ユニット、5…第2回転ユニット、6…カメラユニット、7…駆動部、8…光源ユニット、9…被写体、10…設置台、11…底辺、12…柱状部、20…パーソナルコンピュータ、20a…画像取込ボード、20b…パルス列発生ボード、21…モニター、22…モータドライバ、30…筐体、40…本体部、40a…滑車溝、41…鏡筒、42…対物ミラー、50…本体部、50a…滑車溝、51…挿入部、52…調光部、52a〜52c…第1〜第3のミラー、61…ラインセンサ、70…モータ、71…プーリ、71a…第1回転ベルト、72…プーリ、72a…第2回転ベルト、80…ハーフミラー、81…レンズ、90…撮像対象孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象孔の内部表面に向かって照射光を当てて、前記撮像対象孔の内部表面で反射した前記照射光を受光する照光手段を備え、前記照射光が前記撮像対象孔の周方向に沿って前記撮像対象孔の内部表面に順次当たるように、前記照光手段を第1回転軸に沿って回転させる探孔手段と、
3つの反射面を有し、第1の反射面は、前記探孔手段から受光した前記照射光を、第2回転軸からはずれた位置に配置された第2の反射面に向かって反射し、第2の反射面は、前記第2回転軸上に配置された第3の反射面に向かって反射し、第3の反射面は、前記第2回転軸と前記照射光の光軸とが一致するように、前記第2の反射面から入射した光を反射するとともに、前記3つの反射面を前記第2回転軸に沿って回転させる調光手段と、
前記調光手段の前記第3の反射面で反射された前記照射光を受光して、前記撮像対象孔の内部表面を撮像するカメラと、
前記第3の反射面から前記カメラに入射する前記照射光が、前記照射光の光軸周りに回転しないように回転速度を調整しながら、前記探孔手段及び前記調光手段を回転させる回転調整手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記探孔手段と前記調光手段とは、前記第1回転軸と前記第2回転軸とが同軸となるように配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記カメラは、前記カメラの光軸が、前記第1回転軸及び前記第2回転軸と同軸となるように配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記調光手段は、
前記第2の反射面が前記第2回転軸と平行に配置され、前記第1の反射面が前記第2回転軸に対し60度傾けて配置され、前記第3の反射面が前記第2回転軸に対し−60度傾けて配置され、前記第1の反射面と前記第3の反射面は前記第2の反射面に対して凸な、くの字状に配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記照光手段は、
発光手段と、
前記発光手段から照射された前記照射光を、前記撮像対象孔の内部表面に向かって反射するとともに、前記撮像対象孔の内部表面で反射した反射光を前記第1の反射面に向かって反射する対物ミラーと
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記発光手段は、
光源と、
前記第3の反射面と前記カメラとの間に、前記第3の反射面から前記カメラに向かう前記照射光を透過する一方、前記光源から照射された前記照射光を前記調光手段に向かって反射するハーフミラーを備え、
前記対物ミラーは、前記ハーフミラーから前記調光手段を介して入射した前記照射光を前記撮像対象孔の内部表面に向かって反射することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記照光手段は、前記照射光の光軸に垂直な一の幅方向に沿って長尺な照射光を照射し、
前記カメラはラインセンサであり、
前記ラインセンサは、当該ラインセンサの光軸と前記照射光の光軸とが一致し、前記ラインセンサの長手方向と、前記照射光の幅方向とが一致するように配置されたことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記照光手段は、前記照射光の光軸に垂直な一の幅方向に沿って長尺な照射光を照射し、
前記カメラはエリアカメラであり、
前記エリアカメラは、前記照射光の幅方向に対して垂直かつ、前記照射光の光軸に垂直な方向に移動可能、かつ、前記エリアカメラの撮像面が、前記照射光の光軸が通る位置を通過するように配置され、
前記探孔手段及び前記調光手段の回転と同期して前記エリアカメラを移動させる制御手段を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記回転調整手段は、
前記探孔手段が1回転する間に、前記調光手段を1/2回転させることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−49624(P2012−49624A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187363(P2010−187363)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(508329667)ユキ技研株式会社 (3)
【Fターム(参考)】