説明

撮像装置

【課題】ストロボのワイヤレス発光システムにおいて、発光シーケンスの制御時間を不必要に長くすることなく、発光抜けを防止できるようにする。
【解決手段】光を発する発光部2およびそれを駆動する駆動回路1と、外部発光装置10を接続可能なインターフェース部3との少なくともいずれかを有する撮像装置であって、発光部あるいは外部発光装置の発光開始および発光終了を制御する制御部4と、発光部あるいは外部発光装置の総発光回数を記憶する記憶部5とを備え、制御部は、発光部あるいは外部発光装置に第1の発光を行わせてから、第2の発光を行わせるまでの時間間隔を、発光部あるいは外部発光装置の総発光回数が多くなるほど長くするように、発光部あるいは外部発光装置の発光開始および発光終了を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ光を用いたワイヤレス通信によりストロボの発光制御を行う撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラシステムにおいて、キセノン管のような発光放電管を用いて、通信パルスとして所定の間隔・回数で微小発光させ、離れた位置に配置した外付けストロボ(スレーブストロボ)に通信パルスを受信させる方式がある。この方式により、ワイヤレスモードによるストロボ光の発光制御を行い、スレーブストロボを使用したストロボ撮影を行うことができる。
【0003】
キセノン管を発光部として用いたワイヤレスモードにおいて、キセノン管は、印加されたトリガ回数や、発光時に生じたエネルギー量が負荷となり、発光時や発光後に特性が変化することが分かっている。
【0004】
例えば、特許文献1では、キセノン管が冷えている状態、即ち前回の発光からの経過時間が長い場合や、キセノン管を発光させるためのエネルギーを蓄積するメインコンデンサの電圧が低い場合において次の特性があることが開示されている。キセノン管の放電発光を開始させるためのトリガ信号を印加しても、キセノン管の放電が開始されるまでに、数十マイクロ秒の遅れが生じる(=発光遅延特性)。また、発光回数が増すことによって、キセノン管の電極が劣化すると、発光遅延特性が変動する。
【0005】
特許文献1では、これらの特性が原因となり、一定間隔で発光させているワイヤレス通信の発光間隔が規格外の時間となることにより通信エラーとなる点を解決するために、以下のことを実施している。ワイヤレス通信時の光パルスの発光遅延量に鑑みて、総発光回数や、前回の発光からの経過時間を可変としたり、キセノン管を発光させるための電圧によって発光間隔を可変とすることで通信間隔をワイヤレス通信可能な規格内に収めようとしている。
【0006】
また、特許文献2は、発光部のメカ部材の発熱による融解を防止する技術であり、キセノン管の特性を補正するものとは異なるが、次のことが開示されている。使用するカメラが発光部の発光回数をカウンタでカウントしており、所定の発光回数に到達した時、メカ部材がこれ以上温度上昇しないようにするために一定時間発光を禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−343697号公報
【特許文献2】特開平9−222632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、キセノン管の特性として、先に述べた発光遅延特性以外に、次の特性があることが実験的に分かった。図1のように、第1の発光をF1とし、その後の第2の発光をF2とした時に、F1の発光終了からF2の発光開始までの時間をtする。この時、図1(b)のように発光後、所定の時間まではキセノン管中のキセノンガスが励起された状態にあり、最低発光電圧が低い状態にある。その後、一定時間経過するとキセノンガスの励起が収まり、発光による発熱によって、キセノン管のインピーダンスが十分に発光間隔を置いた状態よりも高い状態になる。このため、最低発光電圧が通常の状態と比較して高くなる傾向がある。その後、発熱が収まり、キセノン管のインピーダンスが通常の状態となると、最低発光電圧は通常の状態に戻る。また、この傾向は、キセノン管の総発光回数が多くなり、キセノン管電極や管にトリガをかけるための導電コーティングの劣化が進むと、より顕著に現れる傾向がある。この状態を示したものが図1(b)である。また、この最低発光電圧変動特性は、発光量が多い程、発光直後の励起状態が長く続き、最低発光電圧が低下し、その後の熱により最低発光電圧が上昇する期間も長い傾向がある。この状態を示したものが図1(c)である。これらを動的な最低発光電圧変動特性と定義する。
【0009】
これらの特性に対し、上述の特許文献1に開示された従来技術では、キセノン管が数100マイクロ秒単位のような図1(b)における間隔tがt0以下の領域のような、短い時間間隔で連続的に発光する前提で発光間隔を可変としている。しかしながら、カメラの調光動作や、スレーブストロボの制約により、各通信ブロック間など発光間隔をt0以上にしか設定できない領域がある。これらの領域では、最低発光電圧が低下するt0以下の領域で発光を開始させることができない。この状態で、使用するカメラにおいて、キセノン管を発光させようとするメインコンデンサ電圧の最低値をV1とすると、次の問題が生じる。図1(b)のt0からt1の領域のように、最低発光電圧がV1を上回っており、発光抜けを起こす可能性がある。
【0010】
また、上述の特許文献2に開示された従来技術では、前回の発光から一定の時間が経過すると、発光を制限するためのカウンタのカウント数をクリアしてしまう。同様に、使用するカメラにおいて、キセノン管を発光させようとするメインコンデンサ電圧の最低値をV1とすると、次の問題が生じる。図1(b)において例えば、発光間隔tをt1に設定していた場合、総発光回数N1の時は問題無いが、総発光回数がN2の場合、発光間隔t1における最低発光電圧がV1を上回っており、発光抜けを起こす可能性がある。
【0011】
上記要因によって、ワイヤレス通信時に発光抜けが生じると、スレーブストロボは正しく制御命令を受け取ることができず、本発光時の光量異常や、誤発光などのエラーとなってしまうという課題がある。
【0012】
対策として、第1の発光終了から、第2の発光開始までの間隔tを最低発光電圧が上昇しない時間まで休止させた後に発光を開始すると良い。例えば、図1(b)では、tを総発光回数がN2の場合でも十分発光可能な間隔t2にする。また、図1(c)では、tを小発光P2でも発光可能とできるように、tcとする。しかしながら、このように間隔を総発光回数や発光量が多い場合に合わせて設定すると、ストロボ光のワイヤレス通信全体の制御時間がその分だけ長くなってしまう。例えば、発光回数初期(N1)の状態では、tはt1でも発光可能であるため、t2−t1だけ冗長に設定することになる。あるいは、微小発光P1の状態では、tはtbでも発光可能であり、tc−tbだけ冗長に設定することになる。
【0013】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ストロボのワイヤレス発光システムにおいて、発光シーケンスの制御時間を不必要に長くすることなく、発光抜けを防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係わる撮像装置は、光を発する発光部および該発光部を駆動する駆動回路と、外部発光装置を接続可能なインターフェース部との少なくともいずれかを有する撮像装置であって、前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御する制御手段と、前記発光部あるいは前記外部発光装置の総発光回数を記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記発光部あるいは前記外部発光装置に第1の発光を行わせてから、第2の発光を行わせるまでの時間間隔を、前記発光部あるいは前記外部発光装置の前記総発光回数が多くなるほど長くするように、前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ストロボのワイヤレス発光システムにおいて、発光シーケンスの制御時間を不必要に長くすることなく、発光抜けを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】最低発光電圧と第1の発光終了からの発光間隔の関係を示した図。
【図2】本発明の各実施形態に共通するカメラのストロボ制御装置の構成を示すブロック図。
【図3】ワイヤレスモード時の発光シーケンスを示すブロック図。
【図4】第1の実施形態におけるワイヤレスモード時の内蔵ストロボの制御を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態におけるワイヤレスモード時の通信間隔を決定するための特性を示した図。
【図6】第2の実施形態におけるワイヤレスモード時のストロボの制御を示すフローチャート。
【図7】第3の実施形態におけるワイヤレスモード時のストロボの制御を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態におけるワイヤレスモード時の通信間隔を決定するための特性を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、光ワイヤレス通信機能を制御可能な撮像装置(カメラ)に、本発明を適用した例である。
【0018】
図2は、本発明の各実施形態に共通するカメラの機能構成を示すブロック図である。制御部4は、例えばCPUであり、カメラ7のストロボ制御及び、不図示の測光制御や撮像制御など各ブロックの動作を制御する。また制御部4は発光部としてのキセノン管2や、I/F部(インターフェース部)3を通して接続可能な外部発光装置10の発光開始、終了の制御を行うとともに発光回数、発光量の計測を行う。記憶部5は例えば書き換え可能な不揮発性メモリであり、カメラ7の各ブロックの動作プログラムを保持している。また記憶部5は、キセノン管2の発光回数や、内蔵ストロボや外部発光装置の種類、及び発光回数や発光量に応じた通信間の発光間隔を決定するためのテーブルを保持している。タイマ6は、制御部4がストロボ回路(発光駆動回路)1や外部発光装置10が最後の発光を終了させたタイミングからの時間を計測している。ストロボ回路1は昇圧回路、トリガ回路、メインコンデンサを含む既知のストロボ回路であり、制御部4からの制御信号GATE_ONによって、キセノン管2への発光制御を行う。キセノン管2は、ストロボ回路1からキセノン管表面の導電コーティングへの数kVのトリガ電圧の印加と、陰極・陽極間に数百Vの電圧を印加されることによって発光する。キセノン管2から発せられた光は受光回路9によって受光され、受光した光の積分量が各発光に対し設定された値に達すると、制御部4へ発光停止信号を送る。制御部4は発光停止信号を受け取ると、直ちに、ストロボ回路の発光動作の停止を行う。発光停止後、受光回路9は最終的な発光量の積分値を制御部へ返す。操作入力部8は、例えば電源ボタンやレリーズボタン等のカメラが備えるユーザー入力インターフェースを有し、各ボタンに対するユーザーからの操作を受け付けて、制御部4に入力があったことを伝える。
【0019】
I/F部3は、外部発光装置10とのインターフェースであり、外部発光装置10が装着されたかを検知するSTSET端子、発光開始信号であるX端子、GND端子、外部発光装置のマイコンとの通信クロックであるSCLK端子を有する。さらにSCLK端子に同期して制御部4から外部発光装置10にデータ送信するMOSI端子、外部発光装置10から制御部4へデータを送信するMISO端子を有する。外部発光装置10は一般的な外付けストロボであり、使用するカメラ7との互換性があるものである。
【0020】
本実施形態では説明を分かりやすくするため、図3(a)に示すような発光シーケンスで発光するものとする。また、本実施形態中で説明する発光シーケンスにおいて、通信A、通信Bなどの通信ブロックは、例えば、図3(b)に示すような、少なくとも1回のパルス発光によって形成されたパルス列である。このパルス列によって、スレーブストロボの本発光前の調光発光制御などを行う。
【0021】
(第1の実施形態)
以下、図4を参照して、本発明の第1の実施形態による、内蔵ストロボ制御について説明する。本実施形態におけるカメラは図5のように、キセノン管の総発光回数と前回通信時の発光量に対応した、次の通信開始までの発光間隔を決定するためのテーブルを保持している。
【0022】
操作入力部8によって、ストロボ光のワイヤレスモードが選択され、発光シーケンスに移ったとき、カメラの制御部は図4のフローチャートの処理を行いストロボの発光制御を行う。
【0023】
S101において、カメラの制御部4は記憶部5を参照し、記憶部5に保存されているキセノン管2の総発光回数を読み出す。読み出された総発光回数に応じて、制御部5は通信A(第1の発光)と通信B(第2の発光)間の間隔(時間間隔)T1及び、通信Bから本発光までの間隔(時間間隔)T2の値を決定する。具体例を、図5を用いて説明する。
【0024】
図5(a)に示すように、通信間隔は総発光回数が多くなる程長く設定され、また、前回の発光量が多い程長く設定される。図5(a)から間隔を決めるための境界点として、任意の回数を選択する。例えば、総発光回数N1やN2やN3を境界点とする。また、総発光回数が所定値(上限値)、例えば、N3に達した場合、それ以降はキセノン管の耐久限界に達したと判断して、それ以上間隔を伸ばさず一定とする。同様に、発光量に対しても、境界点を設ける。例えば、光量P1を基準として、光量がP1以上、P1〜P3の間(P3より大きくP1未満)、P3以下のように分ける。その後、発光量に応じて、図5(a)から境界点を決め、テーブルを作成する。以上によって作成されたテーブルの一例が図5(b)である。
【0025】
本実施形態において、通信前に送信する通信パルス列の内容、パルス列最後の発光量は事前に算出可能である。以上により、例えば初期あるいは初回発光時は、テーブルの1列目と発光量によって間隔が決定できる。通信Aの発光量がP1であれば、T1=t1となり、通信Bの発光量がP2であれば、T2=t1+1と算出できる。あるいは、例えば総発光回数がN2〜N3の間にある場合は、テーブルの3列目と発光量によって間隔が決定できる。通信Aの発光量がP1であれば、T1=t3となり、通信Bの発光量がP2であれば、T2=t3+3と算出可能である。各通信間の間隔を決定した後、S103で、通信Aを開始する。制御部が通信Aの最後の発光時におけるGATE_ONの信号レベルをHレベルからLレベルに変化させた時、S105で、タイマはこのタイミングをt=0とし、時間の計測を開始する。S106でタイマの経過時間tが通信Aと通信Bの間隔であるT1に達した時、S107で通信Bを開始する。制御部4が、通信Bにおいて最後の発光時の駆動信号GATE_ONをHからLに変化させた時、S109で、タイマはこのタイミングをt=0とし、時間の計測を開始する。S110でタイマの経過時間tが通信Bと本発光の間隔であるT2に達した時、S111で本発光を開始する。本発光終了後、制御部4は、今回のシーケンスの総発光回数を、GATE_ON信号がLからHに変化した回数によって演算し、前回までの総発光回数に加算し、総発光回数として記憶部5に保存する。
【0026】
以上説明したように、本実施形態のカメラはストロボ光のワイヤレスモードにおいて、各通信間の間隔を、内蔵ストロボの発光回数及び発光前の各通信の発光量によって変化させる。これにより、総発光回数が多く、短い間隔では動的な最低発光電圧が上昇しており、発光し難い状況下にあっても発光抜けを防止し、総発光回数に応じた最適な時間で、発光シーケンスを制御することが可能となる。なお、制御部は、発光の時間間隔が通信の成立する規格の上限値に達した場合、あるいは、キセノン管2あるいは外部発光装置10の総発光回数が、時間間隔を長くすることで最低発光電圧を低下させることができない総発光回数に達した場合に、そのときの時間間隔を上限として制御する。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、図6を参照して、本発明の第2の実施形態による、外付けストロボを接続した時のカメラ制御について説明する。
【0028】
操作入力部8によって、ストロボ光のワイヤレスモードが選択され、発光シーケンスに移ったとき、カメラの制御部は図6のフローチャートの処理を行いストロボの発光制御を行う。
【0029】
S201において、カメラの制御部は外部発光装置10が装着されたかどうかSTSETの信号レベルを確認する。STSETの信号レベルがHの場合、制御部は外部発光装置10が装着されていないと判別し、第1の実施形態のように内蔵ストロボ用の発光シーケンスを行う。STSETの信号レベルがLの場合、制御部は外部発光装置10が装着されていると判別する。
【0030】
S201で外部発光装置10が装着されていると判別された場合、制御部4はS202で外部発光装置10と通信を行い、装着されている外部発光装置の種類を判別する。S203で制御部は、判別された外部発光装置の種類に対応した通信間隔テーブルを使用するように決定する。
【0031】
S204で、制御部4は外部発光装置10と通信を行い、外部発光装置10のキセノン管の総発光回数を読み出す。読み出された総発光回数に応じて、制御部4は通信Aと通信B間の間隔T1及び、通信Bから本発光までの間隔T2の値を決定する。具体例を、図5を用いて説明する。
【0032】
第1の実施形態と同じように、カメラの制御部は図5(a)に示すように、通信間隔を総発光回数が多くなる程長く設定し、前回の発光量が多い程長く設定する特性を保持している。第1の実施形態との違いは、この特性をストロボの種類毎に保持している点である。この特性は、ストロボの種類によって異なり、互いの相関関係は無いため、ストロボの種類毎に保持している。通信間の間隔を決めるテーブルを作成する方法は、図5(a)から間隔を決めるための境界点として、任意の回数を選択する。例えば、総発光回数N1やN2やN3を境界点とする。また、総発光回数が所定値、例えば、N3に達した場合、それ以降はキセノン管の耐久限界に達したと判断して、それ以上間隔を伸ばさず一定とする。同様に、発光量に対しても、境界点を設ける。例えば、光量P1を基準として、光量がP1以上、P1〜P3の間、P3以下のように分ける。以上により、作成されたテーブルの一例が図5(b)である。これをストロボの機種に応じて作成する。本実施形態において、通信前に送信する通信パルス列の内容、パルス列最後の発光量は事前に算出可能である。以上により、ストロボAが装着されている場合、例えば初期あるいは初回発光時は、テーブルの1列目と発光量によって間隔が決定できる。通信Aの発光量がP1であれば、T1=t1となり、通信Bの発光量がP2であれば、T2=t1+1と算出できる。あるいは、例えば総発光回数がN2〜N3の間にある場合は、テーブルの3列目と発光量によって間隔が決定できる。通信Aの発光量がP1であれば、T1=t3となり、通信Bの発光量がP2であれば、T2=t3+3と算出可能である。
【0033】
制御部4が通信Aの最後の発光終了タイミングを外部発光装置10との通信により検出した時、S208で、タイマはこのタイミングをt=0とし、時間の計測を開始する。S209でタイマの経過時間tが通信Aと通信Bの間隔であるT1に達した時、S210で通信Bを開始する。制御部4が、通信Bにおいて最後の発光終了を外部発光装置10との通信により検出した時、S211で、タイマはこのタイミングをt=0とし、時間の計測を開始する。S212でタイマの経過時間tが通信Bと本発光の間隔であるT2に達した時、S214で本発光を開始する。S215で本発光終了後、外部発光装置10は今回の通信シーケンスの総発光回数を前回までの総発光回数に加算し、総発光回数として記憶しておく。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のカメラはストロボ光のワイヤレスモードにおいて、各通信間の間隔を、装着した外部発光装置の種類と総発光回数及び発光前の各通信の発光量によって変化させる。これにより、総発光回数が多く、短い間隔では最低発光電圧が上昇しており、発光し難い状況下にあっても発光抜けを防止し、総発光回数に応じた最適な時間で、発光シーケンスを制御することが可能となる。また、種類の異なる外部発光装置を装着した場合においても制御可能となる。
【0035】
本実施形態における外部発光装置は、通常の外付けストロボに加え、ワイヤレストランスミッターのような、本発光を行わないワイヤレス通信専用の発光装置を用いても良い。
【0036】
(第3の実施形態)
以下、図7を参照して、本発明の第3の実施形態による、カメラの内蔵ストロボ制御に関して説明する。本実施形態における、総エネルギー量とは、フル発光時の消費エネルギーを1とした時のエネルギー量のことである。
【0037】
操作入力部8によって、ストロボ光のワイヤレスモードが選択され、発光シーケンスに移ったとき、カメラの制御部は図7のフローチャートの処理を行いストロボの発光制御を行う。
【0038】
S301において、カメラの制御部4は記憶部5を参照し、記憶部5に保存されているキセノン管の総発光回数及び、総消費エネルギー量を読み出す。S302において、読み出された総発光回数及び総消費エネルギー量に応じて、制御部は通信Aと通信B間の間隔T1及び、通信Bから本発光までの間隔T2の値を図8のテーブルにより決定する。
【0039】
読み出された総発光回数や総消費エネルギー量に応じて、制御部は通信Aと通信B間の間隔T1及び、通信Bから本発光までの間隔T2の値を決定する。具体例を、図8を用いて説明する。
【0040】
カメラの制御部4は図8(a)に示すように、通信間隔を総発光回数が多くなる程長く設定し、前回の発光量が多い程長く設定する特性を保持している。また、同じ発光量においては、総消費エネルギー量が多い程、通信間隔は長く設定され、総消費エネルギー量が短くなるほど、通信間隔は短く設定される。
【0041】
通信間の間隔を決めるテーブルを作成する方法は、図8(a)から間隔を決めるための境界点として、任意の回数を選択する。例えば、総発光回数N1やN2やN3を境界点とする。また、総発光回数が所定値、例えば、N3に達した場合、それ以降はキセノン管の耐久限界に達したと判断して、それ以上間隔を伸ばさず一定とする。以上により、作成されたテーブルの一例が図8(b)である。同様に、発光量や総消費エネルギー量に応じた特性から、テーブルを作成する。本実施形態において、通信前に送信する通信パルス列の内容、パルス列最後の発光量は事前に算出可能である。以上により、例えば初期あるいは初回発光時、かつ総消費エネルギー量がE3〜E2の間(E3より大きくE2未満)である場合は、テーブルの1列目と発光量によって間隔が決定できる。通信Aの発光量がP1であれば、T1=t1となり、通信Bの発光量がP2であれば、T2=t1+1と算出できる。あるいは、例えば総発光回数がN2〜N3の間にある場合は、テーブルの3列目と発光量によって間隔が決定できる。通信Aの発光量がP1であれば、T1=t3となり、通信Bの発光量がP2であれば、T2=t3+3と算出可能である。
【0042】
各通信間の間隔を決定した後、S303で、通信Aを開始する。制御部が通信Aの最後の発光時におけるGATE_ONの信号レベルをHレベルからLレベルに変化させた時、S305で、タイマはこのタイミングをt=0とし、時間の計測を開始する。S306でタイマの経過時間tが通信Aと通信Bの間隔であるT1に達した時、S307で通信Bを開始する。制御部が、通信Bにおいて最後の発光時の駆動信号GATE_ONをHからLに変化させた時、S309で、タイマはこのタイミングをt=0とし、時間の計測を開始する。S310でタイマの経過時間tが通信Bと本発光の間隔であるT2に達した時、S311で本発光を開始する。本発光終了後、S312で制御部は、今回のシーケンスの発光回数及び消費エネルギー量を演算する。発光回数は、GATE_ON信号がLからHに変化した回数によってカウントを行う。消費エネルギー量は、受光回路の積分量を用いる。具体的には、各発光時の積分量とフル発光時の積分量との比によって、消費エネルギー量の演算を行う。S312で、制御部が算出した発光回数及び消費エネルギー量を、前回までの総発光回数及び総消費エネルギー量へ加算し、総発光回数及び総消費エネルギー量として記憶部5に保存する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のカメラはストロボ光のワイヤレスモードにおいて、各通信間の間隔を、内蔵ストロボの総発光回数及び総消費エネルギー量、発光前の各通信の発光量によって変化させる。これにより、総発光回数が多く、キセノン管にトリガエネルギーが伝達し難い状態になっている場合、また、総消費エネルギー量が多く、キセノン管の電極の損傷が進んでいる場合、短い間隔では最低発光電圧が上昇して、発光し難い状況下にあるが、これらの場合においても、発光抜けを防止し、総発光回数に応じた最適な時間で、発光シーケンスを制御することが可能となる。
【0044】
本実施形態におけるカメラのストロボ制御は、外部発光装置が装着された場合においても、外部発光装置が、装着時までの総発光回数及び総消費エネルギー量が判別可能なものであれば、同様に実施可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する発光部および該発光部を駆動する駆動回路と、外部発光装置を接続可能なインターフェース部との少なくともいずれかを有する撮像装置であって、
前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御する制御手段と、
前記発光部あるいは前記外部発光装置の総発光回数を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記発光部あるいは前記外部発光装置に第1の発光を行わせてから、第2の発光を行わせるまでの時間間隔を、前記発光部あるいは前記外部発光装置の前記総発光回数が多くなるほど長くするように、前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の発光における発光量が多くなるほど、前記第1の発光を行わせてから前記第2の発光を行わせるまでの時間間隔を長くするように、前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
光を発する発光部および該発光部を駆動する駆動回路と、外部発光装置を接続可能なインターフェース部との少なくともいずれかを有する撮像装置であって、
前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御する制御手段と、
前記発光部あるいは前記外部発光装置の総発光回数および総消費エネルギー量を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記発光部あるいは前記外部発光装置に第1の発光を行わせてから、第2の発光を行わせるまでの時間間隔を、前記発光部あるいは前記外部発光装置の前記総発光回数および前記総消費エネルギー量が多くなるほど長くするように、前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の発光における発光量が多くなるほど、前記第1の発光を行わせてから前記第2の発光を行わせるまでの時間間隔を長くするように、前記発光部あるいは前記外部発光装置の発光開始および発光終了を制御することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記時間間隔が通信の成立する規格の上限値に達した場合、あるいは、前記発光部あるいは前記外部発光装置の前記総発光回数が、前記時間間隔を長くすることで前記発光部あるいは前記外部発光装置の最低発光電圧を低下させることができない総発光回数に達した場合に、そのときの前記時間間隔を上限として制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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