撮像装置
【課題】焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系の位置間隔を適切に決定すること。
【解決手段】撮像装置は、撮影光学系11による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮影光学系11を光軸方向に移動させながら撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系11の焦点調節状態を検出する焦点検出部15と、焦点検出部15が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系11の初期位置を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、焦点検出部15が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を決定する決定部15と、を備える。
【解決手段】撮像装置は、撮影光学系11による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮影光学系11を光軸方向に移動させながら撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系11の焦点調節状態を検出する焦点検出部15と、焦点検出部15が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系11の初期位置を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、焦点検出部15が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を決定する決定部15と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コントラスト検出方式による焦点調節において、フォーカシングレンズを初期位置から無限側と至近側へ微少駆動してコントラスト評価値を取得し、該取得結果に基づいてフォーカシングレンズの移動方向を決定するウォブリング処理を行う撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−301031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ウォブリング処理によってフォーカシングレンズの移動方向を決定するものの、コントラスト評価値を取得するレンズ位置の間隔については一律に決定していたため、適切ではない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像装置は、撮影光学系による被写体像を撮像する撮像素子と、撮影光学系を光軸方向に移動させながら撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出部と、焦点検出部が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系の初期位置を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、焦点検出部が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系の位置間隔を決定する決定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系の位置間隔を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像装置の構成例を説明するブロック図である。
【図2】CPUが実行するメインシーケンス処理を説明するフローチャートである。
【図3】ウォブリング処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態における微少駆動処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態における微少駆動処理のレンズの動きを説明する図である。
【図6】第1の実施の形態における決定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図8】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図9】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図10】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図11】ウォブリング開始位置とサーチ速度の関係を説明する図である。
【図12】第2の実施の形態における微少駆動処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態における微少駆動処理のレンズの動きを説明する図である。
【図14】第2の実施の形態における決定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図16】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図17】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図18】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。図1において、撮像装置は、撮影光学系11と、撮像素子12と、レンズ駆動制御回路13と、画像信号処理回路14と、CPU15と、LCDモニタ16と、電源スイッチ17と、半押しスイッチ18と、レリーズスイッチ19と、ROM20と、RAM21とを備える。
【0009】
撮影光学系11は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子12の受光面に結像させる。なお、図1を簡単にするため、撮影光学系11を単レンズとして図示している。レンズ駆動制御回路13は、CPU15からの指示に応じて光学系駆動機構(不図示)を駆動する。光学系駆動機構に含まれるフォーカシングレンズ駆動部材が撮影光学系11のフォーカシングレンズを光軸方向に進退駆動し、光学系駆動機構に含まれるズームレンズ駆動部材が撮影光学系11のズームレンズを光軸方向に進退駆動する。
【0010】
撮像素子12は、画素を構成する受光素子のフォトダイオードが受光面に二次元配列されたCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子12は、撮影光学系11を通過した光束による像を光電変換し、デジタル画像データを生成する。
【0011】
撮像素子12により生成されたデジタル画像データは、画像信号処理回路14に入力される。画像信号処理回路14は、デジタル画像データに対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を施す。
【0012】
LCDモニタ16は液晶パネルなどによって構成される。LCDモニタ16は、CPU15からの指示に応じて画像や操作アイコン、メニュー画面などを表示する。RAM21は、画像信号処理回路14による画像処理の前工程や後工程でのデジタル画像データを一時的に記憶する他、CPU15によるプログラム実行時に用いられる。ROM20はCPU15が実行するプログラムなどを記憶する。CPU15は、ROM20が記憶するプログラムを実行することにより、撮像装置が行う動作を制御する。
【0013】
電源スイッチ17は、電源ボタン(不図示)の押下操作に連動してオン/オフし、オン操作信号またはオフ操作信号をCPU15へ送出する。半押しスイッチ18およびレリーズスイッチ19は、それぞれレリーズボタン(不図示)の押下操作に連動してオン/オフする。半押しスイッチ18は、レリーズボタンが半押し操作されるとオンして半押し操作信号をCPU15へ出力する。半押しスイッチ18は、レリーズボタンの半押し操作が解除されるとオフして半押し操作信号の出力を停止する。レリーズスイッチ19は、レリーズボタンが半押し操作時より深い全押し位置まで押下操作されるとオンしてレリーズ操作信号をCPU15へ出力する。レリーズスイッチ19は、レリーズボタンの全押し操作が解除されるとオフしてレリーズ操作信号の出力を停止する。
【0014】
<コントラストAF処理>
CPU15は、撮像素子12からの出力信号(撮像信号)を用いて公知のコントラスト検出方式によるフォーカス調節(コントラストAF処理)を行う。コントラスト検出方式では、像のボケの程度とコントラストとの間には相関があること、すなわち焦点が合ったときに像のコントラストが最大になることを利用して焦点合わせを行う。一般に、コントラストの大小は撮像信号の高域空間周波数成分の大小により評価することができる。そのため、CPU15は、撮像信号の高域空間周波数成分を抽出し、該高域空間周波数成分の絶対値を積分したものをコントラスト評価値として算出する。このコントラスト評価値は、合焦してコントラストが最大となったときに最大値となる。
【0015】
本実施の形態において、CPU15は、至近側から無限側へ、または無限側から至近側へとフォーカシングレンズを所定速度で移動させながら所定時間ごとにコントラスト評価値を算出し、該コントラスト評価値が最大になるレンズ位置をサーチする。そしてCPU15は、サーチ後に該レンズ位置へフォーカシングレンズを移動させることによってフォーカス調節を行う。なお、本説明では、フォーカシングレンズの移動方向をサーチ方向と呼び、フォーカシングレンズの移動速度をサーチ速度と呼ぶ。本実施形態では、サーチ速度が速いほどコントラスト評価値を取得するレンズ位置の間隔が広くなり、サーチ速度が遅いほどコントラスト評価値を取得するレンズ位置の間隔が狭くなる。
【0016】
上記撮像装置は、上記コントラストAF処理の前に行うウォブリング処理に特徴を有するので、以降の説明はこの点を中心に行う。図2は、CPU15が実行するメインシーケンス処理の流れを説明するフローチャートである。CPU15は、電源オンされると、図2の処理を行うプログラムを起動する。
【0017】
ステップS10において、CPU15は、半押し操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、半押しスイッチ18がオンするとステップS10を肯定判定してステップS20へ進む。CPU15は、半押しスイッチ18がオンしない場合にはステップS10を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。
【0018】
ステップS20において、CPU15は、所定のウォブリング処理を行ってステップS30へ進む。ウォブリング処理の詳細については後述する。ステップS30において、CPU15は、ウォブリング処理(S20)により決定したサーチ方向およびサーチ速度でフォーカシングレンズの移動を開始させ、上記コントラストAF処理を行ってステップS40へ進む。
【0019】
ステップS40において、CPU15は、全押し操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、レリーズスイッチ19がオンするとステップS40を肯定判定してステップS50へ進む。CPU15は、レリーズスイッチ19がオンしない場合にはステップS40を否定判定してステップS60へ進む。
【0020】
ステップS50において、CPU15は、所定の撮影処理を行って図2による処理を終了する。ステップS60においてCPU15は、半押し操作が解除されたか否かを判定する。CPU15は、半押しスイッチ18がオフされた場合、ステップS60を肯定判定してステップS10へ戻る。CPU15は、半押しスイッチ18がオンしたままである場合、ステップS60を否定判定してステップS40へ戻る。
【0021】
上記ウォブリング処理(S20)の詳細について、図3に例示するフローチャートを参照して説明する。ステップS201において、CPU15は、所定の微少駆動処理を行ってステップS202へ進む。該微少駆動処理では、フォーカシングレンズを微少駆動させてコントラスト評価値を取得する。詳しくは後述する。
【0022】
ステップS202において、CPU15は、所定の決定処理を行って図3による処理を終了する。該決定処理では、微少駆動処理(S201)において取得したコントラスト評価値に基づいて、コントラストAF処理(S30)においてフォーカシングレンズの移動を開始する際のサーチ方向およびサーチ速度を決定する。詳しくは後述する。
【0023】
上記微少駆動処理(S201)の詳細について、図4に例示するフローチャートを参照して説明する。上記微少駆動処理(ウォブリング動作)におけるレンズの動きを図5に例示する。図5の上部にはレンズ位置とコントラスト評価値の関係を示し、図5の下部には経過時間とレンズ位置の関係を示す。
【0024】
図4のステップS2011において、CPU15は、フォーカシングレンズが停止していた位置(ウォブリング開始位置)Pにおけるコントラスト評価値E(P)を取得して、ステップS2012へ進む。ステップS2012において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔa離れた位置Aへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2013へ進む。ステップS2013において、CPU15は、位置Aにおけるコントラスト評価値E(A)を取得して、ステップS2014へ進む。
【0025】
ステップS2014において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔb離れた位置Bへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2015へ進む。なお、位置Aおよび位置Bはウォブリング開始位置Pとの距離が等しい(Δa=Δb)。ステップS2015において、CPU15は、位置Bにおけるコントラスト評価値E(B)を取得して、ステップS2016へ進む。
【0026】
ステップS2016において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔc離れた位置Cへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2017へ進む。なお、位置Cは位置Aよりもウォブリング開始位置Pに近い(Δc<Δa)。ステップS2017において、CPU15は、位置Cにおけるコントラスト評価値E(C)を取得して、ステップS2018へ進む。
【0027】
ステップS2018において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔd離れた位置Dへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2019へ進む。なお、位置Cおよび位置Dはウォブリング開始位置Pとの距離が等しい(Δc=Δd)。すなわち、Δa=Δb>Δc=Δdの関係を有する。ステップS2019において、CPU15は、位置Dにおけるコントラスト評価値E(D)を取得して、図4による処理を終了する。
【0028】
上記決定処理(S202)の詳細について、図6に例示するフローチャートを参照して説明する。ステップS2021において、CPU15は、上記微少駆動処理(S201)において取得したコントラスト評価値E(P)、E(C)、E(D)が次式(1)および(2)を満たすか否かを判定する。
E(D)<E(P) …(1)
E(P)>E(C) …(2)
【0029】
式(1)および(2)を満たす場合、コントラスト評価値E(P)は極大値となっている。ゆえにウォブリング開始位置Pが合焦位置であることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2021を肯定判定してステップS2022へ進み、上記コントラストAF処理(S30)において合焦位置をサーチしないよう決定して、図6による処理を終了する。この場合のCPU15は、該コントラストAF処理においてウォブリング開始位置Pを合焦位置と判定する。
【0030】
一方、式(1)および(2)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2021を否定判定してステップS2023へ進む。ステップS2023において、CPU15は、コントラスト評価値E(C)、E(D)が次式(3)を満たすか否かを判定する。
E(D)<E(C) …(3)
【0031】
式(3)を満たす場合、コントラスト評価値はウォブリング開始位置Pから至近側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも至近側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2023を肯定判定してステップS2024へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を至近側へ向かう方向(Near方向)に決定して、ステップS2026へ進む。
【0032】
ステップS2026において、CPU15は、次式(4)および(5)を用いて、各コントラスト評価値の差分V1およびV4を算出して、ステップS2028へ進む。
V1=E(A)−E(C) …(4)
V4=E(D)−E(B) …(5)
【0033】
一方、式(3)を満たさない場合、すなわちE(D)>E(C)となる場合、コントラスト評価値はウォブリング開始位置Pから無限側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも無限側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2023を否定判定してステップS2025へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を無限側へ向かう方向(Far方向)に決定して、ステップS2027へ進む。
【0034】
ステップS2027において、CPU15は、次式(6)および(7)を用いて、各コントラスト評価値の差分V1およびV4を算出して、ステップS2028へ進む。
V1=E(B)−E(D) …(6)
V4=E(C)−E(A) …(7)
【0035】
ステップS2028において、CPU15は、ステップS2026またはS2027で算出した差分V1およびV4が次式(8)を満たすか、または次式(9)および(10)を満たすか否かを判定する。なお、次式(8)におけるαは所定値であり、たとえばα≒2とする。
V1/V4≧α …(8)
V1>0 …(9)
V4<0 …(10)
【0036】
図7(a)は、式(8)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。なお、以下図7〜図10では、サーチ方向をNear方向に決定してステップS2027の処理を行った場合について例示している。式(8)を満たす場合、位置A〜位置Bの間において、コントラスト評価値はサーチ方向に向かって加速度的に増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0037】
図7(b)および(c)は、式(9)および(10)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間に、コントラスト評価値が極小となるレンズ位置が存在する。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0038】
式(8)を満たす場合、または式(9)および(10)を満たす場合のCPU15は、ステップS2028を肯定判定してステップS2029へ進む。ステップS2029においてCPU15は、ウォブリング開始位置Pにおいて以下の条件(1)または(2)を満たすか否かを判定する。
条件(1)…サーチ方向がFar方向であって、ウォブリング開始位置Pが無限側のレンズ可動端近傍の位置FPFよりも至近側に位置すること。
条件(2)…サーチ方向がNear方向であって、ウォブリング開始位置Pが至近側のレンズ可動端近傍の位置FPNよりも無限側に位置すること。
【0039】
条件(1)または(2)を満たす場合は、ウォブリング開始位置Pがサーチ方向側のレンズ可動端近傍にない場合である。条件(1)および(2)を満たさない場合は、ウォブリング開始位置Pがサーチ方向側のレンズ可動端近傍にある場合である。
【0040】
条件(1)または(2)を満たす場合のCPU15は、ステップS2029を肯定判定して、ステップS2030へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値よりも速い速度S3に決定して、図6による処理を終了する。すなわち、合焦位置がウォブリング開始位置Pからかなり離れており、且つウォブリング開始位置Pがサーチ方向のレンズ可動端近傍にない場合、サーチ速度を初期値よりも速い速度S3に決定する。
【0041】
一方、条件(1)または(2)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2029を否定判定してステップS2031へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定して、図6による処理を終了する。すなわち、合焦位置がウォブリング開始位置Pからかなり離れているが、ウォブリング開始位置Pがサーチ方向のレンズ可動端近傍にある場合、サーチ速度を初期値である速度S2に決定する。
【0042】
式(8)を満たさず、且つ式(9)および(10)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2028を否定判定してステップS2032へ進む。ステップS2032においてCPU15は、上記差分V1およびV4が次式(11)を満たすか否かを判定する。なお、次式(11)におけるβは所定値であり、たとえばβ≒0.5とする。
V1/V4≦β …(11)
【0043】
式(11)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2032を否定判定して上記ステップ2031へ進む。図8は、ステップS2032を否定判定する場合(式(8)〜(11)を満たさない場合、すなわち、β<V1/V4<αの場合)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間において、コントラスト評価値の変化率がほぼ一定の状態である。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからやや離れていることが推測される。そこでCPU15は、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定する。
【0044】
一方、式(11)を満たす場合のCPU15は、ステップS2032を肯定判定してステップS2033へ進む。ステップS2033においてCPU15は、上記差分V1およびV4が次式(12)および(13)を満たすか否かを判定する。
V1<0 …(12)
V4>0 …(13)
【0045】
図9は、式(12)および(13)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間に、コントラスト評価値が極大となるレンズ位置が存在する。ゆえに、位置A〜位置Bの間に合焦位置があることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2033を肯定判定してステップS2034へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S0に決定して、図6による処理を終了する。
【0046】
図10は、式(8)、(9)および(10)、(12)および(13)は満たさないが式(11)を満たす場合(0≦V1/V4<β)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間で、コントラスト評価値の変化がサーチ方向に向かって緩やかになっている。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pの近傍にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2033を否定判定してステップS2035へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S1に決定して、図6による処理を終了する。なお、速度S1は上記速度S0よりも速い。すなわち上記速度S0〜速度S3は、S0<S1<S2<S3となるように設定される。
【0047】
図11は、ウォブリング開始位置Pとサーチ速度の関係をまとめた図である。上述したようにCPU15は、ウォブリング開始位置Pが合焦位置から離れている場合サーチ速度をupし(速度S3に決定し)、ウォブリング開始位置Pが合焦位置近傍である場合サーチ速度をdownする(速度S0またはS1に決定する)。
【0048】
しかしながら、CPU15は、サーチ方向がFar方向であってウォブリング開始位置Pが位置FPFよりも無限側に位置する(上記条件(1)を満たさない)場合、またはサーチ方向がNear方向であってウォブリング開始位置Pが位置FPNよりも至近側に位置する(上記条件(2)を満たさない)場合には、サーチ速度のdownは行うが、サーチ速度のupは行わないようにする。
【0049】
以上説明した第1の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像装置は、撮影光学系11による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮影光学系11を光軸方向に移動させながら撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系11の焦点調節状態を検出するCPU15と、CPU15が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系11の初期位置(P)を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、CPU15が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔(サーチ速度)を決定するCPU15と、を備えるので、焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0050】
(2)上記(1)の撮像装置において、CPU15は、撮影光学系11の、初期位置(P)から無限側および至近側に各々第1の距離離れた2点(A、B)と、初期位置から無限側および至近側に各々該第1の距離と異なる第2の距離離れた2点(C、D)とにおいてそれぞれ撮像素子12からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて上記位置間隔を決定するように構成したので、コントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔をさらに適切に決定することができる。
【0051】
(3)上記(1)または(2)の撮像装置において、CPU15は、上記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の変化を検出し、検出結果に基づいて上記位置間隔を決定するように構成したので、初期位置が合焦位置から近いかまたは離れているかを適切に判定してコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0052】
(4)上記(3)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報が合焦位置方向に増加し且つ上記コントラスト情報の変化率(差分V1、V4)の増減が所定範囲内である場合、上記位置間隔を所定間隔とするように構成したので、コントラストAF処理を適切に行うことができる。
【0053】
(5)上記(4)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報の変化率(差分V1、V4)が合焦位置方向に所定範囲を超えて減少する場合、上記位置間隔を所定間隔よりも狭めるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を精度良く検出することができる。
【0054】
(6)上記(4)または(5)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報の変化率(差分V1、V4)が合焦位置方向に所定範囲を超えて増加する場合、上記位置間隔を所定間隔よりも広げるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を検出するまでの時間を短縮することができる。
【0055】
(7)上記(4)〜(6)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報が合焦位置方向に増加した後減少する場合は、上記位置間隔を所定間隔よりも狭めるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を精度良く検出することができる。
【0056】
(8)上記(4)〜 (7)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報が合焦位置方向に向かって減少した後増加する場合は、上記位置間隔を所定間隔よりも広げるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を検出するまでの時間を短縮することができる。
【0057】
(9)上記(6)〜(8)の撮像装置において、CPU15は、初期位置が合焦位置側における撮影光学系11の可動端から所定範囲にある場合は、上記位置間隔を所定間隔よりも広げることを禁止するように構成したので、上記位置間隔を広げてしまう場合に比べて可動端により近い位置でコントラスト情報を得ることができる。
【0058】
(10)上記(2)〜(9)の撮像装置において、CPU15は、(上記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の)取得結果に基づいてCPU15が焦点調節状態を検出する際の撮影光学系11の移動速度(サーチ速度)を決定し、CPU15は、(焦点調節状態を検出する際に)撮影光学系11を移動させながら所定時間ごとにコントラスト情報を取得するように構成したので、コントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0059】
(11)上記(2)〜(10)の撮像装置において、CPU15は、(上記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の)取得結果に基づいて、上記位置間隔と、CPU15が焦点調節状態を検出する際における撮影光学系11の移動方向とを決定するように構成したので、コントラストAF処理における、撮影光学系11の移動方向とコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔とを両方決定することができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態とウォブリング処理が異なっているため、相違点を中心に詳しく説明する。なお、ウォブリング処理以外については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0061】
第2の実施の形態のウォブリング処理では、第1の実施の形態における微少駆動処理(図4)に代えて、図12に例示する微少駆動処理を実行する。該微少駆動処理(ウォブリング動作)におけるレンズの動き例を図13に例示する。図13の上部にはレンズ位置とコントラスト評価値の関係を示し、図13の下部には経過時間とレンズ位置の関係を示す。
【0062】
図12のステップS2111において、CPU15は、フォーカシングレンズが停止していた位置(ウォブリング開始位置)Pにおけるコントラスト評価値E(P)を取得して、ステップS2112へ進む。ステップS2112において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔq離れた位置Qへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2113へ進む。ステップS2113において、CPU15は、位置Qにおけるコントラスト評価値E(Q)を取得して、ステップS2114へ進む。
【0063】
ステップS2114において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔr離れた位置Rへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2115へ進む。なお、位置Qおよび位置Rはウォブリング開始位置Pとの距離が等しい(Δq=Δr)。ステップS2115において、CPU15は、位置Rにおけるコントラスト評価値E(R)を取得して、ステップS2116へ進む。
【0064】
ステップS2116において、CPU15は、コントラスト評価値E(Q)およびE(R)が次式(14)を満たすか否かを判定する。
E(Q)>E(R)…(14)
【0065】
式(14)を満たす場合のCPU15は、ステップS2116を肯定判定してステップS2117へ進む。ステップS2117において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔs離れた位置Snへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2119へ進む。
【0066】
一方、式(14)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2116を否定判定してステップS2118へ進む。ステップS2118において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔs離れた位置Sfへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2119へ進む。なお、以下の説明では、位置Snおよび位置Sfをまとめて位置Sと呼ぶ。位置Sは、位置PおよびQよりもウォブリング開始位置Pから離れた位置である(Δs>Δp=Δq)。
【0067】
ステップS2119において、CPU15は、位置Sにおけるコントラスト評価値E(S)を取得して、図12による処理を終了する。なお、図13は、ステップS2116を肯定判定してステップS2117へ進んだ場合(至近側の位置Snへレンズを駆動させた場合)のレンズの動き例を示している。
【0068】
また、第2の実施の形態のウォブリング処理では、第1の実施の形態における決定処理(図6)に代えて、図14に例示する決定処理を実行する。図14のステップS2121において、CPU15は、上記微少駆動処理において取得したコントラスト評価値E(P)、E(Q)、E(R)が次式(15)および(16)を満たすか否かを判定する。
E(Q)<E(P) …(15)
E(P)>E(R) …(16)
【0069】
式(15)および(16)を満たす場合、コントラスト評価値E(P)は極大値となっている。ゆえにウォブリング開始位置Pが合焦位置であることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2121を肯定判定してステップS2122へ進み、上記コントラストAF処理(S30)において合焦位置をサーチしないよう決定して、図14による処理を終了する。この場合のCPU15は、該コントラストAF処理においてウォブリング開始位置Pを合焦位置と判定する。
【0070】
一方、式(15)および(16)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2121を否定判定してステップS2123へ進む。ステップS2123において、CPU15は、コントラスト評価値E(Q)、E(R)が次式(17)を満たすか否かを判定する。
E(Q)>E(R) …(17)
【0071】
式(17)を満たす場合、コントラスト評価値はウォブリング開始位置Pから至近側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも至近側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2123を肯定判定してステップS2124へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を至近側へ向かう方向(Near方向)に決定して、ステップS2126へ進む。
【0072】
ステップS2126において、CPU15は、次式(18)および(19)を用いて、各コントラスト評価値の差分V11およびV13を算出して、ステップS2128へ進む。
V11=E(S)−E(Q) …(18)
V13=E(P)−E(R) …(19)
【0073】
一方、式(17)を満たさない場合、すなわちE(R)>E(Q)となる場合、コントラスト評価値は、ウォブリング開始位置Pから無限側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも無限側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2123を否定判定してステップS2125へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を無限側へ向かう方向(Far方向)に決定して、ステップS2127へ進む。
【0074】
ステップS2127において、CPU15は、次式(20)および(21)を用いて、各コントラスト評価値の差分V11およびV13を算出して、ステップS2128へ進む。
V11=E(S)−E(R) …(20)
V13=E(P)−E(Q) …(21)
【0075】
ステップS2128において、CPU15は、ステップS2126またはS2127で算出した差分V11およびV13が次式(22)を満たすか、または次式(23)および(24)を満たすか否かを判定する。なお、次式(22)におけるαは所定値であり、たとえばα≒2とする。
V11/V13≧α …(22)
V11>0 …(23)
V13<0 …(24)
【0076】
図15(a)は、式(22)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。なお、以下図15〜図18では、サーチ方向をNear方向に決定してステップS2127の処理を行った場合について例示している。式(22)を満たす場合、位置R〜位置Sの間において、コントラスト評価値はサーチ方向に向かって加速度的に増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0077】
図15(b)は、式(23)および(24)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間に、コントラスト評価値が極小となるレンズ位置が存在する。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0078】
式(22)を満たす場合、または式(23)および(24)を満たす場合のCPU15は、ステップS2128を肯定判定してステップS2129へ進む。ステップS2129においてCPU15は、ウォブリング開始位置Pにおいて上記条件(1)または(2)を満たすか否かを判定する。
【0079】
上記条件(1)または(2)を満たす場合のCPU15は、ステップS2129を肯定判定してステップS2130へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値よりも速い速度S3に決定して、図14による処理を終了する。
【0080】
一方、上記条件(1)または(2)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2129を否定判定してステップS2131へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定して、図14による処理を終了する。
【0081】
式(22)を満たさず、且つ式(23)および(24)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2128を否定判定してステップS2132へ進む。ステップS2132においてCPU15は、上記差分V11およびV13が次式(25)を満たすか否かを判定する。なお、次式(25)におけるβは所定値であり、たとえばβ≒0.5とする。
V11/V13≦β …(25)
【0082】
式(25)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2132を否定判定して上記ステップ2131へ進む。図16は、ステップS2132を否定判定する場合(式(22)〜(25)を満たさない場合、すなわち、β<V11/V13<αの場合)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間において、コントラスト評価値の変化率がほぼ一定の状態である。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからやや離れていることが推測される。そこで、CPU15は、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定する。
【0083】
一方、式(25)を満たす場合のCPU15は、ステップS2132を肯定判定してステップS2133へ進む。ステップS2133においてCPU15は、上記差分V11およびV13が次式(26)および(27)を満たすか否かを判定する。
V11<0 …(26)
V13>0 …(27)
【0084】
図17は、式(26)および(27)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間に、コントラスト評価値が極大となるレンズ位置が存在する。ゆえに、位置R〜位置Sの間に合焦位置があることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2133を肯定判定してステップS2134へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S0に決定して、図14による処理を終了する。
【0085】
図18は、式(22)、(23)および(24)、(26)および(27)は満たさないが式(25)を満たす場合(0≦V11/V13<β)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間で、コントラスト評価値の変化がサーチ方向に向かって緩やかになっている。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pの近傍にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2133を否定判定してステップS2135へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S1に決定して、図14による処理を終了する。なお、第1の実施の形態と同様に、上記速度S0〜速度S3は、S0<S1<S2<S3となるように設定される。
【0086】
以上説明した第2の実施形態によれば、上述した第1の実施の形態における作用効果に加えて、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)撮像装置は、撮影光学系11による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮影光学系11を光軸方向に移動させながら撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系11の焦点調節状態を検出するCPU15と、CPU15が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系11の初期位置(P)を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、CPU15が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を決定するCPU15とを備えるので、焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0087】
(2)上記(1)の撮像装置において、CPU15は、撮影光学系11の、初期位置(P)と、初期位置から無限側および至近側に各々第3の距離離れた2点(Q、R)と、初期位置から合焦位置方向に第3の距離と異なる第4の距離離れた1点(S)とにおいてそれぞれ撮像素子12からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて上記位置間隔を決定するように構成したので、コントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定するまでの時間を短縮することができる。
【0088】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では、位置P、位置A〜Dにおいてそれぞれコントラスト評価値を1回取得するようにしたが、位置P、位置A〜Dにおいてそれぞれコントラスト評価値を複数回取得して各位置におけるコントラスト評価値の平均値を算出し、該平均値を用いて上記決定処理(図6)を実行するようにしてもよい。また上述した第2の実施の形態における場合も同様にしてもよい。
【0089】
(変形例2)
上述した第1の実施の形態では、4点(位置A〜D)のコントラスト評価値に基づいて上記コントラストAF処理におけるサーチ速度を決定するようにしたが、これに限らなくてもよい。
【0090】
たとえば、3点のコントラスト評価値に基づいて上記コントラストAF処理におけるサーチ速度を決定するようにしてもよい。この場合のCPU15は、たとえば、ウォブリング開始位置Pにおけるコントラスト評価値E(P)と、初期位置から至近側にΔa離れた位置Aにおけるコントラスト評価値E(A)と、初期位置から無限側にΔb離れた位置Bにおけるコントラスト評価値E(B)とを取得する。
【0091】
CPU15は、コントラスト評価値E(A)およびE(B)を比較し、コントラスト評価値E(A)がE(B)より大きい場合はサーチ方向をNear方向に決定し、コントラスト評価値E(B)がE(A)より大きい場合はサーチ方向をFar方向に決定する。
【0092】
またCPU15は、サーチ方向をNear方向に決定した場合、コントラスト評価値E(A)およびE(P)の差分をV1として算出し、コントラスト評価値E(P)およびE(B)の差分をV4として算出する。一方CPU15は、サーチ方向をFar方向に決定した場合、コントラスト評価値E(B)およびE(P)の差分をV1として算出し、コントラスト評価値E(P)およびE(A)の差分をV4として算出する。そしてCPU15は、上述した第1の実施の形態のステップS2028〜S2035と同様の処理を行ってサーチ速度を決定する。
【0093】
また、5点以上のコントラスト評価値に基づいて該サーチ速度を決定するようにしてもよい。すなわち、フォーカシングレンズのウォブリング開始位置(初期位置)を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置におけるコントラスト評価値に基づいて該サーチ速度を決定すればよい。変形例2によっても、コントラストAF処理におけるサーチ速度を適切に決定することができる。
【0094】
(変形例3)
上述した第1および第2の実施の形態では、フォーカシングレンズを所定速度で移動させながら所定時間ごとにコントラスト評価値を取得するようにしたが、フォーカシングレンズを所定間隔で間欠的に移動させ、該所定間隔ごとにコントラスト評価値を取得するようにしてもよい。この場合、上記ウォブリング処理によって該所定間隔を決定するようにしてもよい。
【0095】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態に各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【符号の説明】
【0096】
11…撮影光学系
12…撮像素子
13…レンズ駆動制御回路
14…画像信号処理回路
15…CPU
20…ROM
21…RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コントラスト検出方式による焦点調節において、フォーカシングレンズを初期位置から無限側と至近側へ微少駆動してコントラスト評価値を取得し、該取得結果に基づいてフォーカシングレンズの移動方向を決定するウォブリング処理を行う撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−301031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ウォブリング処理によってフォーカシングレンズの移動方向を決定するものの、コントラスト評価値を取得するレンズ位置の間隔については一律に決定していたため、適切ではない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像装置は、撮影光学系による被写体像を撮像する撮像素子と、撮影光学系を光軸方向に移動させながら撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出部と、焦点検出部が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系の初期位置を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、焦点検出部が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系の位置間隔を決定する決定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系の位置間隔を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像装置の構成例を説明するブロック図である。
【図2】CPUが実行するメインシーケンス処理を説明するフローチャートである。
【図3】ウォブリング処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態における微少駆動処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態における微少駆動処理のレンズの動きを説明する図である。
【図6】第1の実施の形態における決定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図8】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図9】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図10】第1の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図11】ウォブリング開始位置とサーチ速度の関係を説明する図である。
【図12】第2の実施の形態における微少駆動処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態における微少駆動処理のレンズの動きを説明する図である。
【図14】第2の実施の形態における決定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図16】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図17】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【図18】第2の実施の形態におけるレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置の構成例を示すブロック図である。図1において、撮像装置は、撮影光学系11と、撮像素子12と、レンズ駆動制御回路13と、画像信号処理回路14と、CPU15と、LCDモニタ16と、電源スイッチ17と、半押しスイッチ18と、レリーズスイッチ19と、ROM20と、RAM21とを備える。
【0009】
撮影光学系11は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成され、被写体像を撮像素子12の受光面に結像させる。なお、図1を簡単にするため、撮影光学系11を単レンズとして図示している。レンズ駆動制御回路13は、CPU15からの指示に応じて光学系駆動機構(不図示)を駆動する。光学系駆動機構に含まれるフォーカシングレンズ駆動部材が撮影光学系11のフォーカシングレンズを光軸方向に進退駆動し、光学系駆動機構に含まれるズームレンズ駆動部材が撮影光学系11のズームレンズを光軸方向に進退駆動する。
【0010】
撮像素子12は、画素を構成する受光素子のフォトダイオードが受光面に二次元配列されたCMOSイメージセンサなどによって構成される。撮像素子12は、撮影光学系11を通過した光束による像を光電変換し、デジタル画像データを生成する。
【0011】
撮像素子12により生成されたデジタル画像データは、画像信号処理回路14に入力される。画像信号処理回路14は、デジタル画像データに対して各種の画像処理(色補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を施す。
【0012】
LCDモニタ16は液晶パネルなどによって構成される。LCDモニタ16は、CPU15からの指示に応じて画像や操作アイコン、メニュー画面などを表示する。RAM21は、画像信号処理回路14による画像処理の前工程や後工程でのデジタル画像データを一時的に記憶する他、CPU15によるプログラム実行時に用いられる。ROM20はCPU15が実行するプログラムなどを記憶する。CPU15は、ROM20が記憶するプログラムを実行することにより、撮像装置が行う動作を制御する。
【0013】
電源スイッチ17は、電源ボタン(不図示)の押下操作に連動してオン/オフし、オン操作信号またはオフ操作信号をCPU15へ送出する。半押しスイッチ18およびレリーズスイッチ19は、それぞれレリーズボタン(不図示)の押下操作に連動してオン/オフする。半押しスイッチ18は、レリーズボタンが半押し操作されるとオンして半押し操作信号をCPU15へ出力する。半押しスイッチ18は、レリーズボタンの半押し操作が解除されるとオフして半押し操作信号の出力を停止する。レリーズスイッチ19は、レリーズボタンが半押し操作時より深い全押し位置まで押下操作されるとオンしてレリーズ操作信号をCPU15へ出力する。レリーズスイッチ19は、レリーズボタンの全押し操作が解除されるとオフしてレリーズ操作信号の出力を停止する。
【0014】
<コントラストAF処理>
CPU15は、撮像素子12からの出力信号(撮像信号)を用いて公知のコントラスト検出方式によるフォーカス調節(コントラストAF処理)を行う。コントラスト検出方式では、像のボケの程度とコントラストとの間には相関があること、すなわち焦点が合ったときに像のコントラストが最大になることを利用して焦点合わせを行う。一般に、コントラストの大小は撮像信号の高域空間周波数成分の大小により評価することができる。そのため、CPU15は、撮像信号の高域空間周波数成分を抽出し、該高域空間周波数成分の絶対値を積分したものをコントラスト評価値として算出する。このコントラスト評価値は、合焦してコントラストが最大となったときに最大値となる。
【0015】
本実施の形態において、CPU15は、至近側から無限側へ、または無限側から至近側へとフォーカシングレンズを所定速度で移動させながら所定時間ごとにコントラスト評価値を算出し、該コントラスト評価値が最大になるレンズ位置をサーチする。そしてCPU15は、サーチ後に該レンズ位置へフォーカシングレンズを移動させることによってフォーカス調節を行う。なお、本説明では、フォーカシングレンズの移動方向をサーチ方向と呼び、フォーカシングレンズの移動速度をサーチ速度と呼ぶ。本実施形態では、サーチ速度が速いほどコントラスト評価値を取得するレンズ位置の間隔が広くなり、サーチ速度が遅いほどコントラスト評価値を取得するレンズ位置の間隔が狭くなる。
【0016】
上記撮像装置は、上記コントラストAF処理の前に行うウォブリング処理に特徴を有するので、以降の説明はこの点を中心に行う。図2は、CPU15が実行するメインシーケンス処理の流れを説明するフローチャートである。CPU15は、電源オンされると、図2の処理を行うプログラムを起動する。
【0017】
ステップS10において、CPU15は、半押し操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、半押しスイッチ18がオンするとステップS10を肯定判定してステップS20へ進む。CPU15は、半押しスイッチ18がオンしない場合にはステップS10を否定判定し、当該判定処理を繰り返す。
【0018】
ステップS20において、CPU15は、所定のウォブリング処理を行ってステップS30へ進む。ウォブリング処理の詳細については後述する。ステップS30において、CPU15は、ウォブリング処理(S20)により決定したサーチ方向およびサーチ速度でフォーカシングレンズの移動を開始させ、上記コントラストAF処理を行ってステップS40へ進む。
【0019】
ステップS40において、CPU15は、全押し操作が行われたか否かを判定する。CPU15は、レリーズスイッチ19がオンするとステップS40を肯定判定してステップS50へ進む。CPU15は、レリーズスイッチ19がオンしない場合にはステップS40を否定判定してステップS60へ進む。
【0020】
ステップS50において、CPU15は、所定の撮影処理を行って図2による処理を終了する。ステップS60においてCPU15は、半押し操作が解除されたか否かを判定する。CPU15は、半押しスイッチ18がオフされた場合、ステップS60を肯定判定してステップS10へ戻る。CPU15は、半押しスイッチ18がオンしたままである場合、ステップS60を否定判定してステップS40へ戻る。
【0021】
上記ウォブリング処理(S20)の詳細について、図3に例示するフローチャートを参照して説明する。ステップS201において、CPU15は、所定の微少駆動処理を行ってステップS202へ進む。該微少駆動処理では、フォーカシングレンズを微少駆動させてコントラスト評価値を取得する。詳しくは後述する。
【0022】
ステップS202において、CPU15は、所定の決定処理を行って図3による処理を終了する。該決定処理では、微少駆動処理(S201)において取得したコントラスト評価値に基づいて、コントラストAF処理(S30)においてフォーカシングレンズの移動を開始する際のサーチ方向およびサーチ速度を決定する。詳しくは後述する。
【0023】
上記微少駆動処理(S201)の詳細について、図4に例示するフローチャートを参照して説明する。上記微少駆動処理(ウォブリング動作)におけるレンズの動きを図5に例示する。図5の上部にはレンズ位置とコントラスト評価値の関係を示し、図5の下部には経過時間とレンズ位置の関係を示す。
【0024】
図4のステップS2011において、CPU15は、フォーカシングレンズが停止していた位置(ウォブリング開始位置)Pにおけるコントラスト評価値E(P)を取得して、ステップS2012へ進む。ステップS2012において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔa離れた位置Aへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2013へ進む。ステップS2013において、CPU15は、位置Aにおけるコントラスト評価値E(A)を取得して、ステップS2014へ進む。
【0025】
ステップS2014において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔb離れた位置Bへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2015へ進む。なお、位置Aおよび位置Bはウォブリング開始位置Pとの距離が等しい(Δa=Δb)。ステップS2015において、CPU15は、位置Bにおけるコントラスト評価値E(B)を取得して、ステップS2016へ進む。
【0026】
ステップS2016において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔc離れた位置Cへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2017へ進む。なお、位置Cは位置Aよりもウォブリング開始位置Pに近い(Δc<Δa)。ステップS2017において、CPU15は、位置Cにおけるコントラスト評価値E(C)を取得して、ステップS2018へ進む。
【0027】
ステップS2018において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔd離れた位置Dへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2019へ進む。なお、位置Cおよび位置Dはウォブリング開始位置Pとの距離が等しい(Δc=Δd)。すなわち、Δa=Δb>Δc=Δdの関係を有する。ステップS2019において、CPU15は、位置Dにおけるコントラスト評価値E(D)を取得して、図4による処理を終了する。
【0028】
上記決定処理(S202)の詳細について、図6に例示するフローチャートを参照して説明する。ステップS2021において、CPU15は、上記微少駆動処理(S201)において取得したコントラスト評価値E(P)、E(C)、E(D)が次式(1)および(2)を満たすか否かを判定する。
E(D)<E(P) …(1)
E(P)>E(C) …(2)
【0029】
式(1)および(2)を満たす場合、コントラスト評価値E(P)は極大値となっている。ゆえにウォブリング開始位置Pが合焦位置であることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2021を肯定判定してステップS2022へ進み、上記コントラストAF処理(S30)において合焦位置をサーチしないよう決定して、図6による処理を終了する。この場合のCPU15は、該コントラストAF処理においてウォブリング開始位置Pを合焦位置と判定する。
【0030】
一方、式(1)および(2)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2021を否定判定してステップS2023へ進む。ステップS2023において、CPU15は、コントラスト評価値E(C)、E(D)が次式(3)を満たすか否かを判定する。
E(D)<E(C) …(3)
【0031】
式(3)を満たす場合、コントラスト評価値はウォブリング開始位置Pから至近側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも至近側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2023を肯定判定してステップS2024へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を至近側へ向かう方向(Near方向)に決定して、ステップS2026へ進む。
【0032】
ステップS2026において、CPU15は、次式(4)および(5)を用いて、各コントラスト評価値の差分V1およびV4を算出して、ステップS2028へ進む。
V1=E(A)−E(C) …(4)
V4=E(D)−E(B) …(5)
【0033】
一方、式(3)を満たさない場合、すなわちE(D)>E(C)となる場合、コントラスト評価値はウォブリング開始位置Pから無限側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも無限側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2023を否定判定してステップS2025へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を無限側へ向かう方向(Far方向)に決定して、ステップS2027へ進む。
【0034】
ステップS2027において、CPU15は、次式(6)および(7)を用いて、各コントラスト評価値の差分V1およびV4を算出して、ステップS2028へ進む。
V1=E(B)−E(D) …(6)
V4=E(C)−E(A) …(7)
【0035】
ステップS2028において、CPU15は、ステップS2026またはS2027で算出した差分V1およびV4が次式(8)を満たすか、または次式(9)および(10)を満たすか否かを判定する。なお、次式(8)におけるαは所定値であり、たとえばα≒2とする。
V1/V4≧α …(8)
V1>0 …(9)
V4<0 …(10)
【0036】
図7(a)は、式(8)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。なお、以下図7〜図10では、サーチ方向をNear方向に決定してステップS2027の処理を行った場合について例示している。式(8)を満たす場合、位置A〜位置Bの間において、コントラスト評価値はサーチ方向に向かって加速度的に増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0037】
図7(b)および(c)は、式(9)および(10)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間に、コントラスト評価値が極小となるレンズ位置が存在する。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0038】
式(8)を満たす場合、または式(9)および(10)を満たす場合のCPU15は、ステップS2028を肯定判定してステップS2029へ進む。ステップS2029においてCPU15は、ウォブリング開始位置Pにおいて以下の条件(1)または(2)を満たすか否かを判定する。
条件(1)…サーチ方向がFar方向であって、ウォブリング開始位置Pが無限側のレンズ可動端近傍の位置FPFよりも至近側に位置すること。
条件(2)…サーチ方向がNear方向であって、ウォブリング開始位置Pが至近側のレンズ可動端近傍の位置FPNよりも無限側に位置すること。
【0039】
条件(1)または(2)を満たす場合は、ウォブリング開始位置Pがサーチ方向側のレンズ可動端近傍にない場合である。条件(1)および(2)を満たさない場合は、ウォブリング開始位置Pがサーチ方向側のレンズ可動端近傍にある場合である。
【0040】
条件(1)または(2)を満たす場合のCPU15は、ステップS2029を肯定判定して、ステップS2030へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値よりも速い速度S3に決定して、図6による処理を終了する。すなわち、合焦位置がウォブリング開始位置Pからかなり離れており、且つウォブリング開始位置Pがサーチ方向のレンズ可動端近傍にない場合、サーチ速度を初期値よりも速い速度S3に決定する。
【0041】
一方、条件(1)または(2)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2029を否定判定してステップS2031へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定して、図6による処理を終了する。すなわち、合焦位置がウォブリング開始位置Pからかなり離れているが、ウォブリング開始位置Pがサーチ方向のレンズ可動端近傍にある場合、サーチ速度を初期値である速度S2に決定する。
【0042】
式(8)を満たさず、且つ式(9)および(10)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2028を否定判定してステップS2032へ進む。ステップS2032においてCPU15は、上記差分V1およびV4が次式(11)を満たすか否かを判定する。なお、次式(11)におけるβは所定値であり、たとえばβ≒0.5とする。
V1/V4≦β …(11)
【0043】
式(11)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2032を否定判定して上記ステップ2031へ進む。図8は、ステップS2032を否定判定する場合(式(8)〜(11)を満たさない場合、すなわち、β<V1/V4<αの場合)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間において、コントラスト評価値の変化率がほぼ一定の状態である。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからやや離れていることが推測される。そこでCPU15は、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定する。
【0044】
一方、式(11)を満たす場合のCPU15は、ステップS2032を肯定判定してステップS2033へ進む。ステップS2033においてCPU15は、上記差分V1およびV4が次式(12)および(13)を満たすか否かを判定する。
V1<0 …(12)
V4>0 …(13)
【0045】
図9は、式(12)および(13)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間に、コントラスト評価値が極大となるレンズ位置が存在する。ゆえに、位置A〜位置Bの間に合焦位置があることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2033を肯定判定してステップS2034へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S0に決定して、図6による処理を終了する。
【0046】
図10は、式(8)、(9)および(10)、(12)および(13)は満たさないが式(11)を満たす場合(0≦V1/V4<β)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置A〜位置Bの間で、コントラスト評価値の変化がサーチ方向に向かって緩やかになっている。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pの近傍にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2033を否定判定してステップS2035へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S1に決定して、図6による処理を終了する。なお、速度S1は上記速度S0よりも速い。すなわち上記速度S0〜速度S3は、S0<S1<S2<S3となるように設定される。
【0047】
図11は、ウォブリング開始位置Pとサーチ速度の関係をまとめた図である。上述したようにCPU15は、ウォブリング開始位置Pが合焦位置から離れている場合サーチ速度をupし(速度S3に決定し)、ウォブリング開始位置Pが合焦位置近傍である場合サーチ速度をdownする(速度S0またはS1に決定する)。
【0048】
しかしながら、CPU15は、サーチ方向がFar方向であってウォブリング開始位置Pが位置FPFよりも無限側に位置する(上記条件(1)を満たさない)場合、またはサーチ方向がNear方向であってウォブリング開始位置Pが位置FPNよりも至近側に位置する(上記条件(2)を満たさない)場合には、サーチ速度のdownは行うが、サーチ速度のupは行わないようにする。
【0049】
以上説明した第1の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像装置は、撮影光学系11による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮影光学系11を光軸方向に移動させながら撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系11の焦点調節状態を検出するCPU15と、CPU15が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系11の初期位置(P)を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、CPU15が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔(サーチ速度)を決定するCPU15と、を備えるので、焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0050】
(2)上記(1)の撮像装置において、CPU15は、撮影光学系11の、初期位置(P)から無限側および至近側に各々第1の距離離れた2点(A、B)と、初期位置から無限側および至近側に各々該第1の距離と異なる第2の距離離れた2点(C、D)とにおいてそれぞれ撮像素子12からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて上記位置間隔を決定するように構成したので、コントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔をさらに適切に決定することができる。
【0051】
(3)上記(1)または(2)の撮像装置において、CPU15は、上記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の変化を検出し、検出結果に基づいて上記位置間隔を決定するように構成したので、初期位置が合焦位置から近いかまたは離れているかを適切に判定してコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0052】
(4)上記(3)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報が合焦位置方向に増加し且つ上記コントラスト情報の変化率(差分V1、V4)の増減が所定範囲内である場合、上記位置間隔を所定間隔とするように構成したので、コントラストAF処理を適切に行うことができる。
【0053】
(5)上記(4)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報の変化率(差分V1、V4)が合焦位置方向に所定範囲を超えて減少する場合、上記位置間隔を所定間隔よりも狭めるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を精度良く検出することができる。
【0054】
(6)上記(4)または(5)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報の変化率(差分V1、V4)が合焦位置方向に所定範囲を超えて増加する場合、上記位置間隔を所定間隔よりも広げるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を検出するまでの時間を短縮することができる。
【0055】
(7)上記(4)〜(6)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報が合焦位置方向に増加した後減少する場合は、上記位置間隔を所定間隔よりも狭めるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を精度良く検出することができる。
【0056】
(8)上記(4)〜 (7)の撮像装置において、CPU15は、上記コントラスト情報が合焦位置方向に向かって減少した後増加する場合は、上記位置間隔を所定間隔よりも広げるように構成したので、コントラストAF処理において、合焦位置を検出するまでの時間を短縮することができる。
【0057】
(9)上記(6)〜(8)の撮像装置において、CPU15は、初期位置が合焦位置側における撮影光学系11の可動端から所定範囲にある場合は、上記位置間隔を所定間隔よりも広げることを禁止するように構成したので、上記位置間隔を広げてしまう場合に比べて可動端により近い位置でコントラスト情報を得ることができる。
【0058】
(10)上記(2)〜(9)の撮像装置において、CPU15は、(上記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の)取得結果に基づいてCPU15が焦点調節状態を検出する際の撮影光学系11の移動速度(サーチ速度)を決定し、CPU15は、(焦点調節状態を検出する際に)撮影光学系11を移動させながら所定時間ごとにコントラスト情報を取得するように構成したので、コントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0059】
(11)上記(2)〜(10)の撮像装置において、CPU15は、(上記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の)取得結果に基づいて、上記位置間隔と、CPU15が焦点調節状態を検出する際における撮影光学系11の移動方向とを決定するように構成したので、コントラストAF処理における、撮影光学系11の移動方向とコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔とを両方決定することができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態とウォブリング処理が異なっているため、相違点を中心に詳しく説明する。なお、ウォブリング処理以外については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0061】
第2の実施の形態のウォブリング処理では、第1の実施の形態における微少駆動処理(図4)に代えて、図12に例示する微少駆動処理を実行する。該微少駆動処理(ウォブリング動作)におけるレンズの動き例を図13に例示する。図13の上部にはレンズ位置とコントラスト評価値の関係を示し、図13の下部には経過時間とレンズ位置の関係を示す。
【0062】
図12のステップS2111において、CPU15は、フォーカシングレンズが停止していた位置(ウォブリング開始位置)Pにおけるコントラスト評価値E(P)を取得して、ステップS2112へ進む。ステップS2112において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔq離れた位置Qへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2113へ進む。ステップS2113において、CPU15は、位置Qにおけるコントラスト評価値E(Q)を取得して、ステップS2114へ進む。
【0063】
ステップS2114において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔr離れた位置Rへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2115へ進む。なお、位置Qおよび位置Rはウォブリング開始位置Pとの距離が等しい(Δq=Δr)。ステップS2115において、CPU15は、位置Rにおけるコントラスト評価値E(R)を取得して、ステップS2116へ進む。
【0064】
ステップS2116において、CPU15は、コントラスト評価値E(Q)およびE(R)が次式(14)を満たすか否かを判定する。
E(Q)>E(R)…(14)
【0065】
式(14)を満たす場合のCPU15は、ステップS2116を肯定判定してステップS2117へ進む。ステップS2117において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから至近側にΔs離れた位置Snへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2119へ進む。
【0066】
一方、式(14)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2116を否定判定してステップS2118へ進む。ステップS2118において、CPU15はレンズ駆動制御回路13に指示を送り、ウォブリング開始位置Pから無限側にΔs離れた位置Sfへフォーカシングレンズを駆動させて、ステップS2119へ進む。なお、以下の説明では、位置Snおよび位置Sfをまとめて位置Sと呼ぶ。位置Sは、位置PおよびQよりもウォブリング開始位置Pから離れた位置である(Δs>Δp=Δq)。
【0067】
ステップS2119において、CPU15は、位置Sにおけるコントラスト評価値E(S)を取得して、図12による処理を終了する。なお、図13は、ステップS2116を肯定判定してステップS2117へ進んだ場合(至近側の位置Snへレンズを駆動させた場合)のレンズの動き例を示している。
【0068】
また、第2の実施の形態のウォブリング処理では、第1の実施の形態における決定処理(図6)に代えて、図14に例示する決定処理を実行する。図14のステップS2121において、CPU15は、上記微少駆動処理において取得したコントラスト評価値E(P)、E(Q)、E(R)が次式(15)および(16)を満たすか否かを判定する。
E(Q)<E(P) …(15)
E(P)>E(R) …(16)
【0069】
式(15)および(16)を満たす場合、コントラスト評価値E(P)は極大値となっている。ゆえにウォブリング開始位置Pが合焦位置であることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2121を肯定判定してステップS2122へ進み、上記コントラストAF処理(S30)において合焦位置をサーチしないよう決定して、図14による処理を終了する。この場合のCPU15は、該コントラストAF処理においてウォブリング開始位置Pを合焦位置と判定する。
【0070】
一方、式(15)および(16)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2121を否定判定してステップS2123へ進む。ステップS2123において、CPU15は、コントラスト評価値E(Q)、E(R)が次式(17)を満たすか否かを判定する。
E(Q)>E(R) …(17)
【0071】
式(17)を満たす場合、コントラスト評価値はウォブリング開始位置Pから至近側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも至近側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2123を肯定判定してステップS2124へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を至近側へ向かう方向(Near方向)に決定して、ステップS2126へ進む。
【0072】
ステップS2126において、CPU15は、次式(18)および(19)を用いて、各コントラスト評価値の差分V11およびV13を算出して、ステップS2128へ進む。
V11=E(S)−E(Q) …(18)
V13=E(P)−E(R) …(19)
【0073】
一方、式(17)を満たさない場合、すなわちE(R)>E(Q)となる場合、コントラスト評価値は、ウォブリング開始位置Pから無限側へと増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pよりも無限側にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2123を否定判定してステップS2125へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ方向を無限側へ向かう方向(Far方向)に決定して、ステップS2127へ進む。
【0074】
ステップS2127において、CPU15は、次式(20)および(21)を用いて、各コントラスト評価値の差分V11およびV13を算出して、ステップS2128へ進む。
V11=E(S)−E(R) …(20)
V13=E(P)−E(Q) …(21)
【0075】
ステップS2128において、CPU15は、ステップS2126またはS2127で算出した差分V11およびV13が次式(22)を満たすか、または次式(23)および(24)を満たすか否かを判定する。なお、次式(22)におけるαは所定値であり、たとえばα≒2とする。
V11/V13≧α …(22)
V11>0 …(23)
V13<0 …(24)
【0076】
図15(a)は、式(22)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。なお、以下図15〜図18では、サーチ方向をNear方向に決定してステップS2127の処理を行った場合について例示している。式(22)を満たす場合、位置R〜位置Sの間において、コントラスト評価値はサーチ方向に向かって加速度的に増加している。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0077】
図15(b)は、式(23)および(24)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間に、コントラスト評価値が極小となるレンズ位置が存在する。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからかなり離れていることが推測される。
【0078】
式(22)を満たす場合、または式(23)および(24)を満たす場合のCPU15は、ステップS2128を肯定判定してステップS2129へ進む。ステップS2129においてCPU15は、ウォブリング開始位置Pにおいて上記条件(1)または(2)を満たすか否かを判定する。
【0079】
上記条件(1)または(2)を満たす場合のCPU15は、ステップS2129を肯定判定してステップS2130へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値よりも速い速度S3に決定して、図14による処理を終了する。
【0080】
一方、上記条件(1)または(2)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2129を否定判定してステップS2131へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定して、図14による処理を終了する。
【0081】
式(22)を満たさず、且つ式(23)および(24)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2128を否定判定してステップS2132へ進む。ステップS2132においてCPU15は、上記差分V11およびV13が次式(25)を満たすか否かを判定する。なお、次式(25)におけるβは所定値であり、たとえばβ≒0.5とする。
V11/V13≦β …(25)
【0082】
式(25)を満たさない場合のCPU15は、ステップS2132を否定判定して上記ステップ2131へ進む。図16は、ステップS2132を否定判定する場合(式(22)〜(25)を満たさない場合、すなわち、β<V11/V13<αの場合)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間において、コントラスト評価値の変化率がほぼ一定の状態である。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pからやや離れていることが推測される。そこで、CPU15は、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値である速度S2に決定する。
【0083】
一方、式(25)を満たす場合のCPU15は、ステップS2132を肯定判定してステップS2133へ進む。ステップS2133においてCPU15は、上記差分V11およびV13が次式(26)および(27)を満たすか否かを判定する。
V11<0 …(26)
V13>0 …(27)
【0084】
図17は、式(26)および(27)を満たす場合のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間に、コントラスト評価値が極大となるレンズ位置が存在する。ゆえに、位置R〜位置Sの間に合焦位置があることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2133を肯定判定してステップS2134へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S0に決定して、図14による処理を終了する。
【0085】
図18は、式(22)、(23)および(24)、(26)および(27)は満たさないが式(25)を満たす場合(0≦V11/V13<β)のレンズ位置とコントラスト評価値の関係を例示した図である。この場合、位置R〜位置Sの間で、コントラスト評価値の変化がサーチ方向に向かって緩やかになっている。ゆえに合焦位置は、ウォブリング開始位置Pの近傍にあることが推測される。そこで、CPU15は、ステップS2133を否定判定してステップS2135へ進み、上記コントラストAF処理(S30)におけるサーチ速度を初期値S2よりも低速の速度S1に決定して、図14による処理を終了する。なお、第1の実施の形態と同様に、上記速度S0〜速度S3は、S0<S1<S2<S3となるように設定される。
【0086】
以上説明した第2の実施形態によれば、上述した第1の実施の形態における作用効果に加えて、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)撮像装置は、撮影光学系11による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮影光学系11を光軸方向に移動させながら撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて撮影光学系11の焦点調節状態を検出するCPU15と、CPU15が焦点調節状態の検出を開始する前に、撮影光学系11の初期位置(P)を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ撮像素子12からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、CPU15が焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を決定するCPU15とを備えるので、焦点調節状態を検出する際にコントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定することができる。
【0087】
(2)上記(1)の撮像装置において、CPU15は、撮影光学系11の、初期位置(P)と、初期位置から無限側および至近側に各々第3の距離離れた2点(Q、R)と、初期位置から合焦位置方向に第3の距離と異なる第4の距離離れた1点(S)とにおいてそれぞれ撮像素子12からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて上記位置間隔を決定するように構成したので、コントラスト情報を取得する撮影光学系11の位置間隔を適切に決定するまでの時間を短縮することができる。
【0088】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では、位置P、位置A〜Dにおいてそれぞれコントラスト評価値を1回取得するようにしたが、位置P、位置A〜Dにおいてそれぞれコントラスト評価値を複数回取得して各位置におけるコントラスト評価値の平均値を算出し、該平均値を用いて上記決定処理(図6)を実行するようにしてもよい。また上述した第2の実施の形態における場合も同様にしてもよい。
【0089】
(変形例2)
上述した第1の実施の形態では、4点(位置A〜D)のコントラスト評価値に基づいて上記コントラストAF処理におけるサーチ速度を決定するようにしたが、これに限らなくてもよい。
【0090】
たとえば、3点のコントラスト評価値に基づいて上記コントラストAF処理におけるサーチ速度を決定するようにしてもよい。この場合のCPU15は、たとえば、ウォブリング開始位置Pにおけるコントラスト評価値E(P)と、初期位置から至近側にΔa離れた位置Aにおけるコントラスト評価値E(A)と、初期位置から無限側にΔb離れた位置Bにおけるコントラスト評価値E(B)とを取得する。
【0091】
CPU15は、コントラスト評価値E(A)およびE(B)を比較し、コントラスト評価値E(A)がE(B)より大きい場合はサーチ方向をNear方向に決定し、コントラスト評価値E(B)がE(A)より大きい場合はサーチ方向をFar方向に決定する。
【0092】
またCPU15は、サーチ方向をNear方向に決定した場合、コントラスト評価値E(A)およびE(P)の差分をV1として算出し、コントラスト評価値E(P)およびE(B)の差分をV4として算出する。一方CPU15は、サーチ方向をFar方向に決定した場合、コントラスト評価値E(B)およびE(P)の差分をV1として算出し、コントラスト評価値E(P)およびE(A)の差分をV4として算出する。そしてCPU15は、上述した第1の実施の形態のステップS2028〜S2035と同様の処理を行ってサーチ速度を決定する。
【0093】
また、5点以上のコントラスト評価値に基づいて該サーチ速度を決定するようにしてもよい。すなわち、フォーカシングレンズのウォブリング開始位置(初期位置)を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置におけるコントラスト評価値に基づいて該サーチ速度を決定すればよい。変形例2によっても、コントラストAF処理におけるサーチ速度を適切に決定することができる。
【0094】
(変形例3)
上述した第1および第2の実施の形態では、フォーカシングレンズを所定速度で移動させながら所定時間ごとにコントラスト評価値を取得するようにしたが、フォーカシングレンズを所定間隔で間欠的に移動させ、該所定間隔ごとにコントラスト評価値を取得するようにしてもよい。この場合、上記ウォブリング処理によって該所定間隔を決定するようにしてもよい。
【0095】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態に各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【符号の説明】
【0096】
11…撮影光学系
12…撮像素子
13…レンズ駆動制御回路
14…画像信号処理回路
15…CPU
20…ROM
21…RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系による被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮影光学系を光軸方向に移動させながら前記撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出部と、
前記焦点検出部が前記焦点調節状態の検出を開始する前に、前記撮影光学系の初期位置を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ前記撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、前記焦点検出部が前記焦点調節状態を検出する際に前記コントラスト情報を取得する前記撮影光学系の位置間隔を決定する決定部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記撮影光学系の、前記初期位置から無限側および至近側に各々第1の距離離れた2点と、前記初期位置から無限側および至近側に各々該第1の距離と異なる第2の距離離れた2点とにおいてそれぞれ前記撮像素子からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて前記位置間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記撮影光学系の、前記初期位置と、前記初期位置から無限側および至近側に各々第3の距離離れた2点と、前記初期位置から合焦位置方向に第3の距離と異なる第4の距離離れた1点とにおいてそれぞれ前記撮像素子からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて前記位置間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の変化を検出し、該検出結果に基づいて前記位置間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報が合焦位置方向に増加し且つ前記コントラスト情報の変化率の増減が所定範囲内である場合、前記位置間隔を所定間隔とすることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報の変化率が合焦位置方向に前記所定範囲を超えて減少する場合、前記位置間隔を前記所定間隔よりも狭めることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報の変化率が合焦位置方向に前記所定範囲を超えて増加する場合、前記位置間隔を前記所定間隔よりも広げることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報が合焦位置方向に増加した後減少する場合は、前記位置間隔を前記所定間隔よりも狭めることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報が合焦位置方向に向かって減少した後増加する場合は、前記位置間隔を前記所定間隔よりも広げることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記初期位置が合焦位置側における前記撮影光学系の可動端から所定範囲にある場合は、前記位置間隔を前記所定間隔よりも広げることを禁止することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記取得結果に基づいて前記焦点検出部が前記焦点調節状態を検出する際の前記撮影光学系の移動速度を決定し、前記焦点検出部は、前記撮影光学系を移動させながら所定時間ごとに前記コントラスト情報を取得することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記取得結果に基づいて、前記位置間隔と、前記焦点検出部が前記焦点調節状態を検出する際における前記撮影光学系の移動方向とを決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
撮影光学系による被写体像を撮像する撮像素子と、
前記撮影光学系を光軸方向に移動させながら前記撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出部と、
前記焦点検出部が前記焦点調節状態の検出を開始する前に、前記撮影光学系の初期位置を含む所定範囲内の少なくとも3つの位置においてそれぞれ前記撮像素子からの信号に基づいてコントラスト情報を取得し、該取得結果に基づいて、前記焦点検出部が前記焦点調節状態を検出する際に前記コントラスト情報を取得する前記撮影光学系の位置間隔を決定する決定部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記撮影光学系の、前記初期位置から無限側および至近側に各々第1の距離離れた2点と、前記初期位置から無限側および至近側に各々該第1の距離と異なる第2の距離離れた2点とにおいてそれぞれ前記撮像素子からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて前記位置間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記撮影光学系の、前記初期位置と、前記初期位置から無限側および至近側に各々第3の距離離れた2点と、前記初期位置から合焦位置方向に第3の距離と異なる第4の距離離れた1点とにおいてそれぞれ前記撮像素子からの信号を用いてコントラスト情報を取得し、これらの取得結果に基づいて前記位置間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記少なくとも3つの位置におけるコントラスト情報の変化を検出し、該検出結果に基づいて前記位置間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報が合焦位置方向に増加し且つ前記コントラスト情報の変化率の増減が所定範囲内である場合、前記位置間隔を所定間隔とすることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報の変化率が合焦位置方向に前記所定範囲を超えて減少する場合、前記位置間隔を前記所定間隔よりも狭めることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報の変化率が合焦位置方向に前記所定範囲を超えて増加する場合、前記位置間隔を前記所定間隔よりも広げることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報が合焦位置方向に増加した後減少する場合は、前記位置間隔を前記所定間隔よりも狭めることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記コントラスト情報が合焦位置方向に向かって減少した後増加する場合は、前記位置間隔を前記所定間隔よりも広げることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記初期位置が合焦位置側における前記撮影光学系の可動端から所定範囲にある場合は、前記位置間隔を前記所定間隔よりも広げることを禁止することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記取得結果に基づいて前記焦点検出部が前記焦点調節状態を検出する際の前記撮影光学系の移動速度を決定し、前記焦点検出部は、前記撮影光学系を移動させながら所定時間ごとに前記コントラスト情報を取得することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記決定部は、前記取得結果に基づいて、前記位置間隔と、前記焦点検出部が前記焦点調節状態を検出する際における前記撮影光学系の移動方向とを決定することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−11673(P2013−11673A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143103(P2011−143103)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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