撮像装置
【課題】 撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段の表示内容と焦点検出板のケガキ線が重複しないようにする。
【解決手段】 種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、装着されている焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段130と、光学ファインダの光路中に各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段112と、ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段101と、焦点検出板検知手段で検知された焦点検出板の種類に対応したファインダ内表示手段の表示内容に切り替える制御手段101とを有する。
【解決手段】 種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、装着されている焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段130と、光学ファインダの光路中に各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段112と、ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段101と、焦点検出板検知手段で検知された焦点検出板の種類に対応したファインダ内表示手段の表示内容に切り替える制御手段101とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、一眼レフカメラの光学ファインダ内において、撮影レンズを通して焦点検出板に1次結像した被写界像と光学的に等価の位置に各種撮影情報が重なって視認されるよう表示装置を設ける、いわゆるスーパーインポーズ表示(SI表示)が知られている。そして、ファインダ光路中に高分子分散液晶を配置し、該高分子分散液晶のパターンのON、OFFによって、クロップ撮影モード時の撮影領域や測距点、方眼表示など各種撮影情報を表示する技術が知られている(特開平04−109232号公報(特許文献1))。
【0003】
また、一眼レフカメラでは焦点検出板を撮影目的や撮影者の視覚的好みに応じて異なったタイプに交換装着可能となっており、構図合わせのしやすいように方眼のケガキ線がはいったもの、目盛りのケガキ線が入ったもの等が交換可能な焦点検出板として用意されている。また拡散特性が異なる交換用焦点検出板も用意されており、一般的に明るいファインダ像を好む場合は、拡散特性の低い所謂素通しに近いマット部(焦点検出板の表面部)を有する焦点検出板が装着される。逆に拡散特性の高いマット部を有する焦点検出板が装着された場合は、撮像レンズの合焦状態(ピント合わせ)の確認が容易になる特徴がある。
【0004】
しかしながら、該焦点検出板の透過光を測光素子等の測光手段により測光し、この測光結果を基に露出制御を行って露出因子(シャッタ速度、絞り値等)を決定する撮像装置において、装着している焦点検出板の拡散特性に応じて測光補正が必要となる場合がある。そこで、従来では測光補正の手段として、撮影者が予め用意された焦点検出板の種類に応じた測光補正値をカメラ操作部にて手動で設定する方法がとられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−109232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題の1つとして、上述したような方眼や目盛りのケガキ線がはいった焦点検出板の装着時には、該焦点検出板のケガキ線と、上述した高分子分散液晶の方眼パターンとが重複して光学ファインダ内に表示されてしまう。そのため、撮影者は焦点検出板交換時には、該焦点検出板のケガキ線と高分子分散液晶のパターンが重複しないよう、高分子分散液晶のパターンの表示を設定しなければならない問題がある。また、2つ目としては、焦点検出板の種類に応じて測光補正を手動で設定する従来の方法では、設定のし忘れ、設定の間違いが発生することは避けられず、その結果、不正確な測光補正により最適な露光量での撮影ができないことがあった。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段の表示内容と焦点検出板のケガキ線が重複しないようにし、撮影者に良好な被写界像を視認させることができる撮像装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、装着した焦点検出板の種類に応じて測光補正値を手動で設定する従来の方法で発生していた設定のし忘れ、設定の間違いを避けることができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、装着されている前記焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段と、光学ファインダの光路中に各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段と、前記ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている前記焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段と、前記焦点検出板検知手段で検知された前記焦点検出板の種類に対応した前記ファインダ内表示手段の表示内容に切り替える制御手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段の表示内容と該焦点検出板のケガキ線が重複しないようにし、撮影者に良好な被写界像を視認でさせることができる。
【0011】
また、本発明によれば、装着した焦点検出板の種類に応じて測光補正値を手動で設定する従来の方法で発生していた設定のし忘れ、設定の間違いを避けることができ、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、最適な露光量での撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【図2】焦点検出板の種類の例と拡散特性を示す図である。
【図3】ファインダ内撮影範囲を説明する図である。
【図4】高分子分散液晶パネルと焦点検出板を説明する図である。
【図5】高分子分散液晶パネルの電極パターンの例を説明する図である。
【図6】方眼焦点検出板装着時のファインダ視野を説明する図である。
【図7】実施例の回路構成を示すブロック図である。
【図8】実施例の動作を示すフローチャートである。
【図9】焦点検出板検知の例を説明する図である。
【図10】焦点検出板検知の他の例を説明する図である。
【図11】焦点検出板の種類とEEPROM保存テーブルの対応を説明する図である。
【図12】測光補正値テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に記載される通りである。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の撮像装置の実施例であるデジタルカメラを図1〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜図7において同一の要素部品には同じ番号がふってある。
【0015】
図1は、本発明の実施例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。同図において、101はCPU(中央演算処理装置)であり、本カメラの動作はCPU101により制御される。105は撮影レンズであり、撮影被写界光をCCDなどの撮像素子106上に結像させている。なお同図に書かれた撮影レンズ105は、便宜的に1枚のレンズ105aで表現しているが、実際には複数のレンズから成り立っている。
【0016】
128は、撮影レンズ105の撮像素子106上の結像面と等価の結像面に置かれた焦点検出板であり、種類の異なるものがファインダ光路中の所定位置に交換可能に装着される。被写界像は主ミラー126で反射され、焦点検出板128に1次結像する。撮影者はこの被写界像をペンタプリズム127、接眼レンズ121を通じて見ることができる、いわゆるTTL方式の光学ファインダ構成となっている。また、この焦点検出板128は、撮影目的や撮影者の視覚的好みに応じて異なったタイプに交換装着可能である。一般的に明るいファインダ像を好む場合は、拡散特性の低い所謂素通しに近いマット部(焦点検出板の表面部)を有する焦点検出板が装着される。逆に拡散特性の高いマット部を有する焦点検出板が装着された場合は、撮像レンズ105の合焦状態(ピント合わせ)の確認が容易になる特徴がある。また、構図合わせのしやすいように方眼のケガキ線がはいったもの(図2(c))(以降、方眼焦点検出板と称する)、目盛りのケガキ線が入ったもの(図2(d))(以降、目盛り焦点検出板と称する)等が交換可能な焦点検出板として用意されている。また、前述した拡散特性と交換可能な焦点検出板の関係として、例えば図2(e)のように焦点検出板の種類と拡散特性は予め定められており、つまりは焦点検出板のケガキ線から焦点検出板の種類を判別することで、装着されている焦点検出板の拡散特性が一意的に決定することとなる。また、ここで設定されている焦点検出板と拡散特性については、一般的に焦点検出手段によって自動的にレンズを焦点位置に駆動する、いわゆるAF(オートフォーカシング)設定時には特に撮影者は焦点検出板の被写界像を見ながら厳密な合焦状態(ピント合わせ)を確認する必要はない。したがって、拡散特性が低い所謂素通しに近い焦点検出板を装着したほうがファインダ内が明るく視認できるため、焦点検出範囲(図2(a))やスポット測光(図2(b))の指標が入った一般的な焦点検出板は拡散特性が低い焦点検出板として設定される。また、目盛り焦点検出板のような顕微鏡写真撮影で用いられる焦点検出板は撮影者が目視でピント合わせを行うことが考慮され、合焦状態(ピント合わせ)の確認が容易となる拡散特性の高い焦点検出板として設定されている。
【0017】
本実施例では簡潔に説明を行うため、拡散特性が「高い」か「低い」の2パターンでの説明とするが、焦点検出板ごとに拡散特性をそれぞれ設定しておいても良い。
【0018】
次に本発明に係るファインダ内撮影手段について説明する。130は例えば画素ピッチが約6μmで横640×縦480の約30万画素の高画素数のCCDセンサからなるファインダ内撮影用センサである。光学縮小倍率0.12倍のファインダ内撮影レンズ129によって焦点検出板128に結像した被写界像や上述した焦点検出板128上の方眼や目盛りのケガキ線(線幅約20μm)を撮影することで、装着されている焦点検出板の種類を検知するための情報を出力する。これにより、上述した焦点検出板と拡散特性の関係より、装着されている焦点検出板の種類を判別することが可能となっている。さらにこのファインダ内撮影手段は、ファインダ内撮影用センサ130の出力値から被写界の輝度分布を検出するための測光センサとしての役割も持っている。測光時には640×480画素(約30万画素)の領域を横5×縦3の粗い領域(1領域は128×160の約2万画素となる)に区切り、各々の領域内にあるセンサ出力値の和や平均値を算出し、その領域に対応した被写界の輝度検出を可能としている。また、上記ファインダ内撮影範囲はファインダ内撮影レンズ129の縮小倍率とファインダ内撮影用センサ130のセンササイズにより、図3のように視野枠よりも内側の範囲に対応することとなる。また、図3においてファインダ内撮影範囲の内部のA11〜A35は上記測光時に横5×縦3の領域を示している。また、焦点検出板128の近傍に配置された123は視野枠であり、被写体光束の周辺部を遮光することによって撮像素子106にて撮像される領域を撮影者に視認させるためのものである。
【0019】
115はファインダ内表示部であり、導光プリズム、ペンタプリズム127、接眼レンズ121を介して、絞り値やシャッタ速度など、カメラの各種撮影情報を撮影者に知らしめるためのものである。一方、主ミラー126は半透過ミラーであり、透過した一部の光束はサブミラー122を通じて焦点検出手段である焦点検出ユニット119に導かれ、周知の位相差検出方式の焦点検出動作を行う。
【0020】
続いて本発明に係るファインダ内表示手段の説明を行う。焦点検出板128の近傍に配置された112は、高分子分散液晶パネルである。上記焦点検出動作の状態や焦点検出範囲、方眼などを光学ファインダの光路中に表示し、光学ファインダを覗いているカメラの撮影者に知らしめるためのものである。
【0021】
図4は、高分子分散液晶パネル112と方眼焦点検出板128を模式的に書いたものである。高分子分散液晶パネル112は、上下2枚の板ガラス112a、112bとその間に封止された液晶層112cからなる。また図5から分かるように、2枚の板ガラスの液晶に対向する面にはITO(透明電極)による電極パターンが形成されており、図5の下板ガラス112bの液晶側表面に形成された方眼の電極パターンL2、スポット測光マークの電極パターンL3、焦点検出範囲の電極パターンL4、他の領域の電極パターンL1がそれぞれパターニングされている。一方、上板ガラス112aの液晶側表面には全面べたにCOM電極がパターニングされており、COM電極とL1、L2、L3、L4の電極との各々の間に電圧を加えることで、各パターンの透明、非透明を切り替えることが可能となる。高分子分散液晶は電圧をかけないと液晶内部材料の屈折率が各々異なることから光の散乱を生じ、外観上、不透明の状態である。これに電圧をかけると、内部の屈折率が一致し、液晶層は透明となる。したがって図5の電極パターンにおいて、例えばCOM電極とL1、L3、L4の電極との間に電圧をかけることで方眼以外の電極パターンが透明な状態になり、高分子分散液晶パネル112には方眼のみが表示されることとなる。
【0022】
次に図4のように方眼焦点検出板装着時の光学ファインダ内について、図6を用いて説明を行う。図6(a)は方眼焦点検出板が装着され、さらに上述したように高分子分散液晶パネル112の方眼線のパターンのみが表示されている時のファインダ内の様子である。高分子分散液晶パネル112と方眼焦点検出板の両方の方眼が重複してしまうため、ファインダ内が煩雑となってしまう。そこで、ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている焦点検出板128が方眼焦点検出板であることを判別した際には、自動的に高分子分散液晶パネル112のCOM電極とL2電極の間に電圧をかけるようにしておく。これにより、方眼焦点検出板装着時には図6(b)のように良好な被写界像が視認できるようになる。上記したファインダ内撮影手段による情報からの高分子分散液晶パネル112のパターンの表示制御方法の詳細は後述する。
【0023】
再びここで図1に戻って、撮影者がレリーズSW(不図示)を押すと、主ミラー126は撮影レンズ105の光路外に退避する。一方、撮影レンズ105によって集光された被写界光はフォーカルプレーンシャッタ133にてその光量制御がなされ、撮像素子106によって被写界像として光電変換処理表示された後、撮影済み画像として記録メディアに記録されるとともに、TFTの外部表示部113に撮影画像の表示がなされる。
【0024】
図7は、本発明の実施例によるデジタルカメラの概略構成を示す電気ブロック図である。
【0025】
同図において、101は前述のCPU(中央演算処理装置)であり、その内部には不揮発性メモリであるEEPROM101aが構成されている。またCPU101には、制御プログラムを記憶しているROM(リードオンリーメモリ)102、RAM(ランダムアクセスメモリ)103、データ格納手段104、画像処理部108、表示制御部111、レリーズSW114が接続されている。さらに、電源を供給するためのDC/DCコンバータ117、ファインダ内撮影用センサ130がそれぞれ接続され、画像処理部108には撮像素子制御部107、撮像素子106が接続されている。撮像素子106は有効画素数約1000万画素(3888×2592)を有している。
【0026】
そして、表示制御部111には外部表示部113が接続されており、外部表示部113は撮像素子106にて撮像された画像を縦横各々間引き処理された画像を表示することのできるTFTカラー液晶である。さらに表示制御部111は、前記ファインダ内にカメラの各種撮影情報の表示を行う前述のファインダ内表示部115、および高分子分散液晶パネル112の駆動を行っている。
【0027】
CPU101はROM102内の制御プログラムに基づいて各種制御を行う。これらの制御の中には、画像処理部108から出力された撮影画像信号を読み込み、RAM103へ転送を行う処理、同様にRAM103より表示制御部111へデータを転送する処理、また、画像データをJPEG圧縮してファイル形式でデータ格納手段104へ格納する処理を含む。
【0028】
さらにCPU101は、撮像素子106、撮像素子制御部107、画像処理部108、表示制御部111、ファインダ内撮影用センサ130などに対してデータ取り込み画素数やデジタル画像処理の変更指示を行う。
【0029】
119は前述の焦点検出用の一対のラインセンサを含んだ焦点検出ユニットであり、ラインセンサから得た電圧をA/D変換し、CPU101に送る。またCPU101の指示のもとに、焦点検出ユニット119はラインセンサの蓄積時間とAGC(オートゲインコントロール)の制御も行う。また、レリーズSW114の操作に伴う撮影動作の指示、さらに、各素子への電源の供給をコントロールするための制御信号をDC/DCコンバータ117に対して出力する処理等も、CPU101の制御の基に行われている。
【0030】
RAM103は画像展開エリア103a、ワークエリア103b、VRAM103c、一時退避エリア103dを備えている。画像展開エリア103aは、画像処理部108より送られてきた撮影画像(YUVデジタル信号)やデータ格納手段104から読み出されたJPEG圧縮画像データを一時的に格納するためのテンポラリバッファとして、また、画像圧縮処理、解凍処理のための画像専用ワークエリアとして使用される。ワークエリア103bは各種プログラムのためのワークエリアである。VRAM103cは外部表示部113へ表示する表示データを格納するVRAMとして使用される。また、一時退避エリア103dは各種データを一時退避させるためのエリアである。データ格納手段104は、CPU101によりJPEG圧縮された撮影画像データ、あるいはアプリケーションより参照される各種付属データ等をファイル形式で格納しておくためのフラッシュメモリである。撮像素子106は撮影レンズ105によって投影された撮影画像をアナログ電気信号に変換するための素子である。この撮像素子106は、CPU101よりの解像度変換指示に従って、水平方向および垂直方向の間引き画素データの出力が可能である。撮像素子制御部107は、撮像素子106に転送クロック信号やシャッタ信号を供給するためのタイミングジェネレータ、撮像素子出力信号のノイズ除去、ゲイン処理を行うための回路、さらに、アナログ信号を10ビットデジタル信号に変換するためのA/D変換回路を含む。また同様に、CPU101よりの解像度変換指示に従って、画素間引き処理を行うための回路等を含んでいる。
【0031】
また、画像処理部108は、撮像素子制御部107より出力された10ビットデジタル信号をガンマ変換、色空間変換、また、ホワイトバランス、AE、フラッシュ補正等の画像処理を行い、YUV(4:2:2)フォーマットの8ビットデジタル信号出力を行うものである。これら、撮像素子106、撮像素子制御部107から撮像手段が構成されている。表示制御部111は、画像処理部108から転送されたYUVデジタル画像データ、あるいはデータ格納手段104からの画像ファイルに対してJPEGの解凍を行ったYUVデジタル画像データを受け取り、RGBデジタル信号へ変換したあと、外部表示部113へ出力する処理を行う。
【0032】
ここで、本発明に係る焦点検出板検知手段を詳細に説明する。焦点検出板検知手段に取得した情報を出力するファインダ内撮影用センサ130は、ファインダ内撮影用レンズ129によって焦点検出板128に結像した被写界像の2次結像をアナログ電気信号に変換する役割を持っている。ファインダ内撮影用センサ130のアナログ電気信号はCPU101によってA/D変換が行われ、各々8ビットのデジタル信号となる。本実施例において、焦点検出板検知手段は、ファインダ内表示手段(高分子分散液晶パネル112)の表示制御機能と測光値補正機能の二つの機能を持っており、以下にそれぞれの場合の動作の説明を行う。
【0033】
まず、焦点検出板検知手段が持つファインダ内表示手段(高分子分散液晶パネル112)の表示制御機能を説明する。CPU101は、ファインダ内撮影用センサ130から取得した640×480画素(約30万画素)のデジタル信号を読み出し、その出力値の分布からどの種類の焦点検出板が装着されているかを検知する。なお、焦点検出板128の検知は、上記640×480画素(約30万画素)全てのセンサ出力値の分布から判別しても、焦点検出板128の種類が判別できる特徴的な範囲を予め定めておき、その範囲のセンサ出力値の分布から判別しても良い(詳細については後述する)。
【0034】
次に、焦点検出板検知測光手段の測光値補正機能について説明する。CPU101はファインダ内撮影用センサ130からの640×480画素(約30万画素)から得られた各々のアナログ電気信号に対して、A/D変換を行う。前述したように、640×480画素(約30万画素)の領域を横5×縦3に分割し、各々の領域内のデジタル信号値の和や平均値に変換する。その後、これに撮影レンズ105の明るさを示すFno.(実行Fno.)の値の補正、さらにセンサ出力信号のバラツキの補正(レベル・ゲインの調整)を行う。これに加えて、前述した焦点検出板検知手段から判別した焦点検出板128の情報から焦点検出板128の拡散特性に対応した測光補正を行い、最終的に被写界輝度信号値として情報を得る。これらの情報に基づき、カメラの最適露出演算が行われ、カメラのシャッタスピード、撮影レンズ105の絞りを最適に設定することが可能となる。
【0035】
レリーズSW114は、撮影動作の開始を指示するためのものである。このレリーズSW114は不図示のレリーズボタンの押下圧によって2段階のスイッチポジションが有る。1段目のポジション(SW1 ON)の検出で、ホワイトバランス、測光等のカメラ設定のロック動作が行われ、2段目のポジション(SW2 ON)の検出で、被写界画像信号の取り込み動作が行われる。
【0036】
電池116はリチャージャブルの2次電池あるいは乾電池である。また、DC/DCコンバータ117は、電池116からの電源供給を受け、昇圧、レギュレーションを行うことにより複数の電源を作り出し、CPU101を初めとする各素子に必要な電圧の電源を供給している。このDC/DCコンバータ117はCPU101からの制御信号により、各々の電圧供給の開始、停止を制御できるようになっている。
【0037】
次に図8のフローチャートを用いて本実施例に係る一眼レフカメラの動作について説明を行う。
【0038】
ステップS200において、一眼レフカメラの不作動状態から不図示の電源スイッチをONにする。本実施例ではステップS200において、一眼レフカメラの電源スイッチがONになると、以後の各ステップにて自動的にファインダ内撮影動作が行われ、装着されている焦点検出板128の種類を検知する。焦点検出板128の検知後は撮影者は特別な操作を行うことなく、前述したように装着されている焦点検出板128の種類に応じて、高分子分散液晶パネル112の表示の設定や測光補正値が決定され、設定が自動的に変更されることとなる。
【0039】
ステップS201では、ステップS202のファインダ内撮影動作のために高分子分散液晶パネル112を全透過の状態(素通し)にする。次に、ステップS202のファインダ内撮影動作を詳細に説明する。図9(a)は方眼焦点検出板装着時のファインダ視野内を表したものである。図に示すようにファインダ内撮影用レンズ129の縮小倍率により、ファインダ内撮影用センサ130の640×480画素(30万画素)の範囲はファインダ内撮影範囲に対応する。
【0040】
ここで、焦点検出板検知動作について詳細に説明する。CPU101はファインダ内撮影用センサ130のセンサ出力値から図のような水平方向の読出し範囲151(H)、垂直方向の読出し範囲150(V)の領域のセンサ出力値を読み出す。なお、焦点検出板検知時のファインダ内撮影用センサ130の出力値の読出し範囲や読出し位置の設定は、上記640×480画素(約30万画素)全てのセンサ出力値の分布から判別しても良い。また、焦点検出板128の種類が判別できる特徴的な範囲を予め定めておき、その範囲内のセンサ出力値の分布から判別しても良い。
【0041】
ステップS203では、ファインダ内撮影用センサ130の出力値は図9(b)(c)のように方眼のケガキ線部の出力値が低くなる。この時、焦点検出板検知の方法として、CPU101は水平方向の読出し範囲151(H)、垂直方向の読出し範囲150(V)のセンサ出力値の中で出力値が低下した部分H1、H2、H3、V1、V2、V3とその近傍部のセンサ出力差を算出する。該出力低下部と周囲部のセンサ出力差が、例えば閾値x以上であれば、それをケガキ部の候補とする。さらにその出力低下部の個数と出力低下部間の画素座標を基に装着されている焦点検出板128の種類を判別することが可能となり、方眼焦点検出板が装着されていることを検知する。なお、上述したセンサ出力の低下部の画素座標については、センサ読出し範囲の開始座標(原点座標)や、ファインダ内撮影用レンズ129の縮小倍率とファインダ内撮影用センサ130の画素サイズ、画素ピッチとの関係から焦点検出板のケガキ線部の間隔と画素座標の相関関係をを予め決めておけばよい。
【0042】
ここで、他の焦点検出板装着時の例を挙げる。図10(a)のように装着されている焦点検出板は中央のスポット測光のための指標(スポット測光マーク)、焦点検出範囲を示すケガキ線が入った焦点検出板である。CPU101は前述した焦点検出板検知手段によって、図10(b)(c)のような読出し範囲151(H)、150(V)のセンサ出力値を取得する。水平方向の読出し範囲151(H)においては、中央のスポット測光マーク、焦点検出範囲のケガキ線部の出力値が図10(b)のH1、H2、H3、H4のように低下する。垂直方向の読出し範囲150(V)のセンサ出力値はケガキ線がないため、図10(c)のようにセンサ出力値の低下部がない。前述したセンサ出力の低下部と周囲のセンサ出力差、及び出力低下部の個数と画素座標から、スポット測光マークと焦点検出範囲のケガキ線がある焦点検出板が装着されていることを検知する。同様に他の焦点検出板に対しても、ファインダ内撮影用センサ130のセンサ出力値から、装着されている焦点検出板の種類を判別することとなる。
【0043】
次に、ステップS203において装着されている焦点検出板の種類を検知した後のステップS204の高分子分散液晶パターン切替とステップS205の測光補正値切替について説明する。本発明に係る記録手段である、図7に示したEEPROM101aには、図11(a)のように各種焦点検出板とその時の高分子分散液晶パネル112の表示制御と測光値補正の関係がデータとして予め記録されている。さらに、高分子分散液晶パネル112の表示制御に関しては、図11(b)のように各テーブル(Table)と電極パターンL1〜L4の表示のON、OFFのデータが記録されている。焦点検出板128の種類に応じてRAM103に高分子分散液晶パネル112の表示制御データが展開され、CPU101からの信号を基に表示制御部122によって高分子分散液晶パネル112の表示内容が制御される。ステップS204を実行するCPU101は本発明に係る制御手段に相当する。これにより、次回の焦点検出板検知が動作するまでに、装着されている焦点検出板のケガキ線と高分子分散液晶パネル112の表示が重って煩雑にならないよう、例えば図6のように、高分子分散液晶パネル112の表示が制御され、撮影者は良好な被写界像を視認できる。
【0044】
同様に、ステップS205の測光補正値切替においても図12(a)、図12(b)のように焦点検出板の種類に応じた測光補正値のデータが展開されることとなる。ここで、図12(a)、図12(b)の領域グループに関して説明する。まず、各図の縦軸は、RAM103に展開される撮像レンズ105の0.5Fおきの開放Fno.であって、全ての撮像レンズ105はこの開放Fno.情報を記憶している。そして、撮像レンズ105が撮像装置に装着された時点で、撮像装置は撮像レンズ105の開放Fno.情報を得ることができる。一方、横軸は、ファインダ内撮影領域の横640×縦480画素(約30万画素)を横5×縦3に分割した領域A11〜A35を領域グループ1、領域グループ2、領域グループ3にグループ分けしたものである。詳しくは、領域グループ1は測光領域A23のみ、領域グループ2は測光領域A12、A13、A14、A22、A24、A32、A33、A34、領域グループ3は上記以外の領域である。そして、同一の領域グループ内では、各測光領域の出力に同じ測光補正値が用いられる。例えば、焦点距離135mm、開放Fno.2.8の撮像レンズ105が撮像装置に装着された場合を例にとる。方眼焦点検出板の装着時には、ファインダ内撮影手段からの情報によって方眼焦点検出板であることが検知され、図12(a)の測光補正値Table1より、領域グループ1は−0.5F、領域グループ2は−0.3F、領域グループ3は0F(測光補正値なし)の測光補正値が選択される。一方、拡散特性の低い焦点検出板が装着されていることが検知されると、図12(b)の測光補正値Table2より、領域グループ1は−0.7F、領域グループ2は−0.4F、領域グループ3は+0.1Fが選択される。ステップS205を実行するCPU101は本発明に係る制御手段に相当する。
【0045】
再び、図8に戻り、上記のようにCPU101内のEEPROM101aからRAM103に測光補正値が展開されている状態において、ステップS206に進み、スイッチSW1がONになると、ステップS207の測光動作が行われる。CPU101はファインダ内撮影用センサ130の横640×縦480画素(約30万画素)をA11〜A35の横5×縦3に分割し、各々の領域内のファインダ内撮影用センサ130のアナログ信号をA/D変換したデジタル信号値の和や平均値に変換する。その後、これに撮影レンズ105の明るさを示すFno.(実行Fno.)の値の補正、さらにセンサ出力信号のバラツキの補正(レベル・ゲインの調整)を行い、さらに上述した装着されている焦点検出板に応じた図12(a)(b)のいずれかの測光補正値を加算する。
【0046】
次に、ステップS208において、CPU101は、レンズ駆動を行う前の状態で焦点検出動作を行い、焦点検出ユニット119の信号に従って撮影レンズ駆動部125(図1)に信号を送って所定量だけ撮影レンズ105を駆動させる。スイッチSW1がONされている場合は、更にレリーズボタンが押し込まれてスイッチSW2がONされたか否かを判定する。ステップS209において、スイッチSW2がONされた場合、ステップS210において、CPU101は不図示のシャッタ制御部、絞り駆動部、撮像素子制御部107にそれぞれ信号を送信して、公知の撮影動作を行う。
【0047】
なお、ステップS206でスイッチSW1がOFFと判断された場合は、スイッチSW1のON待ちの待機状態となる。また、ステップS209でスイッチSW2がONでなければ、ステップS206に戻ってスイッチSW2のON待ちの待機状態となる。ステップS210における撮影動作は、まず不図示のモータ制御部を介してモータに通電して半透過の主ミラー126をアップさせ、撮影レンズ105の絞りを絞り込む。その後、シャッタ133のマグネットMG−1に通電し、シャッタ133の先幕を開放することで撮像素子106への被写界光の蓄積を開始する。所定のシャッタ秒時経過後、マグネットMG−2に通電し、シャッタ133の後幕を閉じることで撮像素子106への被写界光の蓄積を終了する。次にモータに再度通電し、ミラーダウン、シャッタチャージを行い、一連のシャッタレリーズシーケンスの動作(撮影動作)を終了する。このような動作によって、撮像素子106には被写界像からの光量が蓄積されることになる。
【0048】
ステップS210における撮影動作によって撮像素子106に露光された被写界像は光電変換され、画像処理部108にてデジタルデータに変換された後、RAM103へ一時的に格納される。その後、格納された画像デジタルデータを外部表示部113に表示するために縦横に間引き処理された全体画像データに変換する。そして、表示用のVRAM103cに再格納され、全体画像データを外部表示部113に表示し、撮影者は撮影された画像の全体像を確認することができる。一方、RAM103に格納された全体画像デジタルデータは、JPEG圧縮処理された後、画像データとしてデータ格納手段104によってコンパクトフラッシュ(登録商標)等の記録媒体に記録される。
【0049】
その後、再びステップS206のスイッチSW1の入力待ちの状態となり、その間全体画像を表示し続ける。スイッチSW1の入力がなされると、外部表示部113の撮影画像表示を消灯し、ステップS210まで進み、スイッチSW2の入力待ちとなり、スイッチSW2の入力がないとステップS206に戻り、スイッチSW1の入力待ちの状態で待機する。
【0050】
上記実施例により、いずれの焦点検出板128に交換された場合でも、撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示する高分子分散液晶パネル112の表示内容と該焦点検出板のケガキ線が重複しないよう、高分子分散液晶パネル112の表示内容が切り替わる。よって、撮影者は良好に被写界像を視認できるようになる。また、装着した焦点検出板128の種類に応じて測光補正値を手動で設定する従来の方法で発生していた設定のし忘れ、設定の間違いが避けられるようになり、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、最適な露光量での撮影が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
101 CPU
101a EEPROM
111 表示制御部
112 高分子分散液晶パネル
128 焦点検出板
130 ファインダ内撮影用センサ
150 垂直方向の読出し範囲
151 水平方向の読出し範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、一眼レフカメラの光学ファインダ内において、撮影レンズを通して焦点検出板に1次結像した被写界像と光学的に等価の位置に各種撮影情報が重なって視認されるよう表示装置を設ける、いわゆるスーパーインポーズ表示(SI表示)が知られている。そして、ファインダ光路中に高分子分散液晶を配置し、該高分子分散液晶のパターンのON、OFFによって、クロップ撮影モード時の撮影領域や測距点、方眼表示など各種撮影情報を表示する技術が知られている(特開平04−109232号公報(特許文献1))。
【0003】
また、一眼レフカメラでは焦点検出板を撮影目的や撮影者の視覚的好みに応じて異なったタイプに交換装着可能となっており、構図合わせのしやすいように方眼のケガキ線がはいったもの、目盛りのケガキ線が入ったもの等が交換可能な焦点検出板として用意されている。また拡散特性が異なる交換用焦点検出板も用意されており、一般的に明るいファインダ像を好む場合は、拡散特性の低い所謂素通しに近いマット部(焦点検出板の表面部)を有する焦点検出板が装着される。逆に拡散特性の高いマット部を有する焦点検出板が装着された場合は、撮像レンズの合焦状態(ピント合わせ)の確認が容易になる特徴がある。
【0004】
しかしながら、該焦点検出板の透過光を測光素子等の測光手段により測光し、この測光結果を基に露出制御を行って露出因子(シャッタ速度、絞り値等)を決定する撮像装置において、装着している焦点検出板の拡散特性に応じて測光補正が必要となる場合がある。そこで、従来では測光補正の手段として、撮影者が予め用意された焦点検出板の種類に応じた測光補正値をカメラ操作部にて手動で設定する方法がとられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−109232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題の1つとして、上述したような方眼や目盛りのケガキ線がはいった焦点検出板の装着時には、該焦点検出板のケガキ線と、上述した高分子分散液晶の方眼パターンとが重複して光学ファインダ内に表示されてしまう。そのため、撮影者は焦点検出板交換時には、該焦点検出板のケガキ線と高分子分散液晶のパターンが重複しないよう、高分子分散液晶のパターンの表示を設定しなければならない問題がある。また、2つ目としては、焦点検出板の種類に応じて測光補正を手動で設定する従来の方法では、設定のし忘れ、設定の間違いが発生することは避けられず、その結果、不正確な測光補正により最適な露光量での撮影ができないことがあった。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段の表示内容と焦点検出板のケガキ線が重複しないようにし、撮影者に良好な被写界像を視認させることができる撮像装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、装着した焦点検出板の種類に応じて測光補正値を手動で設定する従来の方法で発生していた設定のし忘れ、設定の間違いを避けることができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、装着されている前記焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段と、光学ファインダの光路中に各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段と、前記ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている前記焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段と、前記焦点検出板検知手段で検知された前記焦点検出板の種類に対応した前記ファインダ内表示手段の表示内容に切り替える制御手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段の表示内容と該焦点検出板のケガキ線が重複しないようにし、撮影者に良好な被写界像を視認でさせることができる。
【0011】
また、本発明によれば、装着した焦点検出板の種類に応じて測光補正値を手動で設定する従来の方法で発生していた設定のし忘れ、設定の間違いを避けることができ、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、最適な露光量での撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。
【図2】焦点検出板の種類の例と拡散特性を示す図である。
【図3】ファインダ内撮影範囲を説明する図である。
【図4】高分子分散液晶パネルと焦点検出板を説明する図である。
【図5】高分子分散液晶パネルの電極パターンの例を説明する図である。
【図6】方眼焦点検出板装着時のファインダ視野を説明する図である。
【図7】実施例の回路構成を示すブロック図である。
【図8】実施例の動作を示すフローチャートである。
【図9】焦点検出板検知の例を説明する図である。
【図10】焦点検出板検知の他の例を説明する図である。
【図11】焦点検出板の種類とEEPROM保存テーブルの対応を説明する図である。
【図12】測光補正値テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に記載される通りである。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の撮像装置の実施例であるデジタルカメラを図1〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜図7において同一の要素部品には同じ番号がふってある。
【0015】
図1は、本発明の実施例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。同図において、101はCPU(中央演算処理装置)であり、本カメラの動作はCPU101により制御される。105は撮影レンズであり、撮影被写界光をCCDなどの撮像素子106上に結像させている。なお同図に書かれた撮影レンズ105は、便宜的に1枚のレンズ105aで表現しているが、実際には複数のレンズから成り立っている。
【0016】
128は、撮影レンズ105の撮像素子106上の結像面と等価の結像面に置かれた焦点検出板であり、種類の異なるものがファインダ光路中の所定位置に交換可能に装着される。被写界像は主ミラー126で反射され、焦点検出板128に1次結像する。撮影者はこの被写界像をペンタプリズム127、接眼レンズ121を通じて見ることができる、いわゆるTTL方式の光学ファインダ構成となっている。また、この焦点検出板128は、撮影目的や撮影者の視覚的好みに応じて異なったタイプに交換装着可能である。一般的に明るいファインダ像を好む場合は、拡散特性の低い所謂素通しに近いマット部(焦点検出板の表面部)を有する焦点検出板が装着される。逆に拡散特性の高いマット部を有する焦点検出板が装着された場合は、撮像レンズ105の合焦状態(ピント合わせ)の確認が容易になる特徴がある。また、構図合わせのしやすいように方眼のケガキ線がはいったもの(図2(c))(以降、方眼焦点検出板と称する)、目盛りのケガキ線が入ったもの(図2(d))(以降、目盛り焦点検出板と称する)等が交換可能な焦点検出板として用意されている。また、前述した拡散特性と交換可能な焦点検出板の関係として、例えば図2(e)のように焦点検出板の種類と拡散特性は予め定められており、つまりは焦点検出板のケガキ線から焦点検出板の種類を判別することで、装着されている焦点検出板の拡散特性が一意的に決定することとなる。また、ここで設定されている焦点検出板と拡散特性については、一般的に焦点検出手段によって自動的にレンズを焦点位置に駆動する、いわゆるAF(オートフォーカシング)設定時には特に撮影者は焦点検出板の被写界像を見ながら厳密な合焦状態(ピント合わせ)を確認する必要はない。したがって、拡散特性が低い所謂素通しに近い焦点検出板を装着したほうがファインダ内が明るく視認できるため、焦点検出範囲(図2(a))やスポット測光(図2(b))の指標が入った一般的な焦点検出板は拡散特性が低い焦点検出板として設定される。また、目盛り焦点検出板のような顕微鏡写真撮影で用いられる焦点検出板は撮影者が目視でピント合わせを行うことが考慮され、合焦状態(ピント合わせ)の確認が容易となる拡散特性の高い焦点検出板として設定されている。
【0017】
本実施例では簡潔に説明を行うため、拡散特性が「高い」か「低い」の2パターンでの説明とするが、焦点検出板ごとに拡散特性をそれぞれ設定しておいても良い。
【0018】
次に本発明に係るファインダ内撮影手段について説明する。130は例えば画素ピッチが約6μmで横640×縦480の約30万画素の高画素数のCCDセンサからなるファインダ内撮影用センサである。光学縮小倍率0.12倍のファインダ内撮影レンズ129によって焦点検出板128に結像した被写界像や上述した焦点検出板128上の方眼や目盛りのケガキ線(線幅約20μm)を撮影することで、装着されている焦点検出板の種類を検知するための情報を出力する。これにより、上述した焦点検出板と拡散特性の関係より、装着されている焦点検出板の種類を判別することが可能となっている。さらにこのファインダ内撮影手段は、ファインダ内撮影用センサ130の出力値から被写界の輝度分布を検出するための測光センサとしての役割も持っている。測光時には640×480画素(約30万画素)の領域を横5×縦3の粗い領域(1領域は128×160の約2万画素となる)に区切り、各々の領域内にあるセンサ出力値の和や平均値を算出し、その領域に対応した被写界の輝度検出を可能としている。また、上記ファインダ内撮影範囲はファインダ内撮影レンズ129の縮小倍率とファインダ内撮影用センサ130のセンササイズにより、図3のように視野枠よりも内側の範囲に対応することとなる。また、図3においてファインダ内撮影範囲の内部のA11〜A35は上記測光時に横5×縦3の領域を示している。また、焦点検出板128の近傍に配置された123は視野枠であり、被写体光束の周辺部を遮光することによって撮像素子106にて撮像される領域を撮影者に視認させるためのものである。
【0019】
115はファインダ内表示部であり、導光プリズム、ペンタプリズム127、接眼レンズ121を介して、絞り値やシャッタ速度など、カメラの各種撮影情報を撮影者に知らしめるためのものである。一方、主ミラー126は半透過ミラーであり、透過した一部の光束はサブミラー122を通じて焦点検出手段である焦点検出ユニット119に導かれ、周知の位相差検出方式の焦点検出動作を行う。
【0020】
続いて本発明に係るファインダ内表示手段の説明を行う。焦点検出板128の近傍に配置された112は、高分子分散液晶パネルである。上記焦点検出動作の状態や焦点検出範囲、方眼などを光学ファインダの光路中に表示し、光学ファインダを覗いているカメラの撮影者に知らしめるためのものである。
【0021】
図4は、高分子分散液晶パネル112と方眼焦点検出板128を模式的に書いたものである。高分子分散液晶パネル112は、上下2枚の板ガラス112a、112bとその間に封止された液晶層112cからなる。また図5から分かるように、2枚の板ガラスの液晶に対向する面にはITO(透明電極)による電極パターンが形成されており、図5の下板ガラス112bの液晶側表面に形成された方眼の電極パターンL2、スポット測光マークの電極パターンL3、焦点検出範囲の電極パターンL4、他の領域の電極パターンL1がそれぞれパターニングされている。一方、上板ガラス112aの液晶側表面には全面べたにCOM電極がパターニングされており、COM電極とL1、L2、L3、L4の電極との各々の間に電圧を加えることで、各パターンの透明、非透明を切り替えることが可能となる。高分子分散液晶は電圧をかけないと液晶内部材料の屈折率が各々異なることから光の散乱を生じ、外観上、不透明の状態である。これに電圧をかけると、内部の屈折率が一致し、液晶層は透明となる。したがって図5の電極パターンにおいて、例えばCOM電極とL1、L3、L4の電極との間に電圧をかけることで方眼以外の電極パターンが透明な状態になり、高分子分散液晶パネル112には方眼のみが表示されることとなる。
【0022】
次に図4のように方眼焦点検出板装着時の光学ファインダ内について、図6を用いて説明を行う。図6(a)は方眼焦点検出板が装着され、さらに上述したように高分子分散液晶パネル112の方眼線のパターンのみが表示されている時のファインダ内の様子である。高分子分散液晶パネル112と方眼焦点検出板の両方の方眼が重複してしまうため、ファインダ内が煩雑となってしまう。そこで、ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている焦点検出板128が方眼焦点検出板であることを判別した際には、自動的に高分子分散液晶パネル112のCOM電極とL2電極の間に電圧をかけるようにしておく。これにより、方眼焦点検出板装着時には図6(b)のように良好な被写界像が視認できるようになる。上記したファインダ内撮影手段による情報からの高分子分散液晶パネル112のパターンの表示制御方法の詳細は後述する。
【0023】
再びここで図1に戻って、撮影者がレリーズSW(不図示)を押すと、主ミラー126は撮影レンズ105の光路外に退避する。一方、撮影レンズ105によって集光された被写界光はフォーカルプレーンシャッタ133にてその光量制御がなされ、撮像素子106によって被写界像として光電変換処理表示された後、撮影済み画像として記録メディアに記録されるとともに、TFTの外部表示部113に撮影画像の表示がなされる。
【0024】
図7は、本発明の実施例によるデジタルカメラの概略構成を示す電気ブロック図である。
【0025】
同図において、101は前述のCPU(中央演算処理装置)であり、その内部には不揮発性メモリであるEEPROM101aが構成されている。またCPU101には、制御プログラムを記憶しているROM(リードオンリーメモリ)102、RAM(ランダムアクセスメモリ)103、データ格納手段104、画像処理部108、表示制御部111、レリーズSW114が接続されている。さらに、電源を供給するためのDC/DCコンバータ117、ファインダ内撮影用センサ130がそれぞれ接続され、画像処理部108には撮像素子制御部107、撮像素子106が接続されている。撮像素子106は有効画素数約1000万画素(3888×2592)を有している。
【0026】
そして、表示制御部111には外部表示部113が接続されており、外部表示部113は撮像素子106にて撮像された画像を縦横各々間引き処理された画像を表示することのできるTFTカラー液晶である。さらに表示制御部111は、前記ファインダ内にカメラの各種撮影情報の表示を行う前述のファインダ内表示部115、および高分子分散液晶パネル112の駆動を行っている。
【0027】
CPU101はROM102内の制御プログラムに基づいて各種制御を行う。これらの制御の中には、画像処理部108から出力された撮影画像信号を読み込み、RAM103へ転送を行う処理、同様にRAM103より表示制御部111へデータを転送する処理、また、画像データをJPEG圧縮してファイル形式でデータ格納手段104へ格納する処理を含む。
【0028】
さらにCPU101は、撮像素子106、撮像素子制御部107、画像処理部108、表示制御部111、ファインダ内撮影用センサ130などに対してデータ取り込み画素数やデジタル画像処理の変更指示を行う。
【0029】
119は前述の焦点検出用の一対のラインセンサを含んだ焦点検出ユニットであり、ラインセンサから得た電圧をA/D変換し、CPU101に送る。またCPU101の指示のもとに、焦点検出ユニット119はラインセンサの蓄積時間とAGC(オートゲインコントロール)の制御も行う。また、レリーズSW114の操作に伴う撮影動作の指示、さらに、各素子への電源の供給をコントロールするための制御信号をDC/DCコンバータ117に対して出力する処理等も、CPU101の制御の基に行われている。
【0030】
RAM103は画像展開エリア103a、ワークエリア103b、VRAM103c、一時退避エリア103dを備えている。画像展開エリア103aは、画像処理部108より送られてきた撮影画像(YUVデジタル信号)やデータ格納手段104から読み出されたJPEG圧縮画像データを一時的に格納するためのテンポラリバッファとして、また、画像圧縮処理、解凍処理のための画像専用ワークエリアとして使用される。ワークエリア103bは各種プログラムのためのワークエリアである。VRAM103cは外部表示部113へ表示する表示データを格納するVRAMとして使用される。また、一時退避エリア103dは各種データを一時退避させるためのエリアである。データ格納手段104は、CPU101によりJPEG圧縮された撮影画像データ、あるいはアプリケーションより参照される各種付属データ等をファイル形式で格納しておくためのフラッシュメモリである。撮像素子106は撮影レンズ105によって投影された撮影画像をアナログ電気信号に変換するための素子である。この撮像素子106は、CPU101よりの解像度変換指示に従って、水平方向および垂直方向の間引き画素データの出力が可能である。撮像素子制御部107は、撮像素子106に転送クロック信号やシャッタ信号を供給するためのタイミングジェネレータ、撮像素子出力信号のノイズ除去、ゲイン処理を行うための回路、さらに、アナログ信号を10ビットデジタル信号に変換するためのA/D変換回路を含む。また同様に、CPU101よりの解像度変換指示に従って、画素間引き処理を行うための回路等を含んでいる。
【0031】
また、画像処理部108は、撮像素子制御部107より出力された10ビットデジタル信号をガンマ変換、色空間変換、また、ホワイトバランス、AE、フラッシュ補正等の画像処理を行い、YUV(4:2:2)フォーマットの8ビットデジタル信号出力を行うものである。これら、撮像素子106、撮像素子制御部107から撮像手段が構成されている。表示制御部111は、画像処理部108から転送されたYUVデジタル画像データ、あるいはデータ格納手段104からの画像ファイルに対してJPEGの解凍を行ったYUVデジタル画像データを受け取り、RGBデジタル信号へ変換したあと、外部表示部113へ出力する処理を行う。
【0032】
ここで、本発明に係る焦点検出板検知手段を詳細に説明する。焦点検出板検知手段に取得した情報を出力するファインダ内撮影用センサ130は、ファインダ内撮影用レンズ129によって焦点検出板128に結像した被写界像の2次結像をアナログ電気信号に変換する役割を持っている。ファインダ内撮影用センサ130のアナログ電気信号はCPU101によってA/D変換が行われ、各々8ビットのデジタル信号となる。本実施例において、焦点検出板検知手段は、ファインダ内表示手段(高分子分散液晶パネル112)の表示制御機能と測光値補正機能の二つの機能を持っており、以下にそれぞれの場合の動作の説明を行う。
【0033】
まず、焦点検出板検知手段が持つファインダ内表示手段(高分子分散液晶パネル112)の表示制御機能を説明する。CPU101は、ファインダ内撮影用センサ130から取得した640×480画素(約30万画素)のデジタル信号を読み出し、その出力値の分布からどの種類の焦点検出板が装着されているかを検知する。なお、焦点検出板128の検知は、上記640×480画素(約30万画素)全てのセンサ出力値の分布から判別しても、焦点検出板128の種類が判別できる特徴的な範囲を予め定めておき、その範囲のセンサ出力値の分布から判別しても良い(詳細については後述する)。
【0034】
次に、焦点検出板検知測光手段の測光値補正機能について説明する。CPU101はファインダ内撮影用センサ130からの640×480画素(約30万画素)から得られた各々のアナログ電気信号に対して、A/D変換を行う。前述したように、640×480画素(約30万画素)の領域を横5×縦3に分割し、各々の領域内のデジタル信号値の和や平均値に変換する。その後、これに撮影レンズ105の明るさを示すFno.(実行Fno.)の値の補正、さらにセンサ出力信号のバラツキの補正(レベル・ゲインの調整)を行う。これに加えて、前述した焦点検出板検知手段から判別した焦点検出板128の情報から焦点検出板128の拡散特性に対応した測光補正を行い、最終的に被写界輝度信号値として情報を得る。これらの情報に基づき、カメラの最適露出演算が行われ、カメラのシャッタスピード、撮影レンズ105の絞りを最適に設定することが可能となる。
【0035】
レリーズSW114は、撮影動作の開始を指示するためのものである。このレリーズSW114は不図示のレリーズボタンの押下圧によって2段階のスイッチポジションが有る。1段目のポジション(SW1 ON)の検出で、ホワイトバランス、測光等のカメラ設定のロック動作が行われ、2段目のポジション(SW2 ON)の検出で、被写界画像信号の取り込み動作が行われる。
【0036】
電池116はリチャージャブルの2次電池あるいは乾電池である。また、DC/DCコンバータ117は、電池116からの電源供給を受け、昇圧、レギュレーションを行うことにより複数の電源を作り出し、CPU101を初めとする各素子に必要な電圧の電源を供給している。このDC/DCコンバータ117はCPU101からの制御信号により、各々の電圧供給の開始、停止を制御できるようになっている。
【0037】
次に図8のフローチャートを用いて本実施例に係る一眼レフカメラの動作について説明を行う。
【0038】
ステップS200において、一眼レフカメラの不作動状態から不図示の電源スイッチをONにする。本実施例ではステップS200において、一眼レフカメラの電源スイッチがONになると、以後の各ステップにて自動的にファインダ内撮影動作が行われ、装着されている焦点検出板128の種類を検知する。焦点検出板128の検知後は撮影者は特別な操作を行うことなく、前述したように装着されている焦点検出板128の種類に応じて、高分子分散液晶パネル112の表示の設定や測光補正値が決定され、設定が自動的に変更されることとなる。
【0039】
ステップS201では、ステップS202のファインダ内撮影動作のために高分子分散液晶パネル112を全透過の状態(素通し)にする。次に、ステップS202のファインダ内撮影動作を詳細に説明する。図9(a)は方眼焦点検出板装着時のファインダ視野内を表したものである。図に示すようにファインダ内撮影用レンズ129の縮小倍率により、ファインダ内撮影用センサ130の640×480画素(30万画素)の範囲はファインダ内撮影範囲に対応する。
【0040】
ここで、焦点検出板検知動作について詳細に説明する。CPU101はファインダ内撮影用センサ130のセンサ出力値から図のような水平方向の読出し範囲151(H)、垂直方向の読出し範囲150(V)の領域のセンサ出力値を読み出す。なお、焦点検出板検知時のファインダ内撮影用センサ130の出力値の読出し範囲や読出し位置の設定は、上記640×480画素(約30万画素)全てのセンサ出力値の分布から判別しても良い。また、焦点検出板128の種類が判別できる特徴的な範囲を予め定めておき、その範囲内のセンサ出力値の分布から判別しても良い。
【0041】
ステップS203では、ファインダ内撮影用センサ130の出力値は図9(b)(c)のように方眼のケガキ線部の出力値が低くなる。この時、焦点検出板検知の方法として、CPU101は水平方向の読出し範囲151(H)、垂直方向の読出し範囲150(V)のセンサ出力値の中で出力値が低下した部分H1、H2、H3、V1、V2、V3とその近傍部のセンサ出力差を算出する。該出力低下部と周囲部のセンサ出力差が、例えば閾値x以上であれば、それをケガキ部の候補とする。さらにその出力低下部の個数と出力低下部間の画素座標を基に装着されている焦点検出板128の種類を判別することが可能となり、方眼焦点検出板が装着されていることを検知する。なお、上述したセンサ出力の低下部の画素座標については、センサ読出し範囲の開始座標(原点座標)や、ファインダ内撮影用レンズ129の縮小倍率とファインダ内撮影用センサ130の画素サイズ、画素ピッチとの関係から焦点検出板のケガキ線部の間隔と画素座標の相関関係をを予め決めておけばよい。
【0042】
ここで、他の焦点検出板装着時の例を挙げる。図10(a)のように装着されている焦点検出板は中央のスポット測光のための指標(スポット測光マーク)、焦点検出範囲を示すケガキ線が入った焦点検出板である。CPU101は前述した焦点検出板検知手段によって、図10(b)(c)のような読出し範囲151(H)、150(V)のセンサ出力値を取得する。水平方向の読出し範囲151(H)においては、中央のスポット測光マーク、焦点検出範囲のケガキ線部の出力値が図10(b)のH1、H2、H3、H4のように低下する。垂直方向の読出し範囲150(V)のセンサ出力値はケガキ線がないため、図10(c)のようにセンサ出力値の低下部がない。前述したセンサ出力の低下部と周囲のセンサ出力差、及び出力低下部の個数と画素座標から、スポット測光マークと焦点検出範囲のケガキ線がある焦点検出板が装着されていることを検知する。同様に他の焦点検出板に対しても、ファインダ内撮影用センサ130のセンサ出力値から、装着されている焦点検出板の種類を判別することとなる。
【0043】
次に、ステップS203において装着されている焦点検出板の種類を検知した後のステップS204の高分子分散液晶パターン切替とステップS205の測光補正値切替について説明する。本発明に係る記録手段である、図7に示したEEPROM101aには、図11(a)のように各種焦点検出板とその時の高分子分散液晶パネル112の表示制御と測光値補正の関係がデータとして予め記録されている。さらに、高分子分散液晶パネル112の表示制御に関しては、図11(b)のように各テーブル(Table)と電極パターンL1〜L4の表示のON、OFFのデータが記録されている。焦点検出板128の種類に応じてRAM103に高分子分散液晶パネル112の表示制御データが展開され、CPU101からの信号を基に表示制御部122によって高分子分散液晶パネル112の表示内容が制御される。ステップS204を実行するCPU101は本発明に係る制御手段に相当する。これにより、次回の焦点検出板検知が動作するまでに、装着されている焦点検出板のケガキ線と高分子分散液晶パネル112の表示が重って煩雑にならないよう、例えば図6のように、高分子分散液晶パネル112の表示が制御され、撮影者は良好な被写界像を視認できる。
【0044】
同様に、ステップS205の測光補正値切替においても図12(a)、図12(b)のように焦点検出板の種類に応じた測光補正値のデータが展開されることとなる。ここで、図12(a)、図12(b)の領域グループに関して説明する。まず、各図の縦軸は、RAM103に展開される撮像レンズ105の0.5Fおきの開放Fno.であって、全ての撮像レンズ105はこの開放Fno.情報を記憶している。そして、撮像レンズ105が撮像装置に装着された時点で、撮像装置は撮像レンズ105の開放Fno.情報を得ることができる。一方、横軸は、ファインダ内撮影領域の横640×縦480画素(約30万画素)を横5×縦3に分割した領域A11〜A35を領域グループ1、領域グループ2、領域グループ3にグループ分けしたものである。詳しくは、領域グループ1は測光領域A23のみ、領域グループ2は測光領域A12、A13、A14、A22、A24、A32、A33、A34、領域グループ3は上記以外の領域である。そして、同一の領域グループ内では、各測光領域の出力に同じ測光補正値が用いられる。例えば、焦点距離135mm、開放Fno.2.8の撮像レンズ105が撮像装置に装着された場合を例にとる。方眼焦点検出板の装着時には、ファインダ内撮影手段からの情報によって方眼焦点検出板であることが検知され、図12(a)の測光補正値Table1より、領域グループ1は−0.5F、領域グループ2は−0.3F、領域グループ3は0F(測光補正値なし)の測光補正値が選択される。一方、拡散特性の低い焦点検出板が装着されていることが検知されると、図12(b)の測光補正値Table2より、領域グループ1は−0.7F、領域グループ2は−0.4F、領域グループ3は+0.1Fが選択される。ステップS205を実行するCPU101は本発明に係る制御手段に相当する。
【0045】
再び、図8に戻り、上記のようにCPU101内のEEPROM101aからRAM103に測光補正値が展開されている状態において、ステップS206に進み、スイッチSW1がONになると、ステップS207の測光動作が行われる。CPU101はファインダ内撮影用センサ130の横640×縦480画素(約30万画素)をA11〜A35の横5×縦3に分割し、各々の領域内のファインダ内撮影用センサ130のアナログ信号をA/D変換したデジタル信号値の和や平均値に変換する。その後、これに撮影レンズ105の明るさを示すFno.(実行Fno.)の値の補正、さらにセンサ出力信号のバラツキの補正(レベル・ゲインの調整)を行い、さらに上述した装着されている焦点検出板に応じた図12(a)(b)のいずれかの測光補正値を加算する。
【0046】
次に、ステップS208において、CPU101は、レンズ駆動を行う前の状態で焦点検出動作を行い、焦点検出ユニット119の信号に従って撮影レンズ駆動部125(図1)に信号を送って所定量だけ撮影レンズ105を駆動させる。スイッチSW1がONされている場合は、更にレリーズボタンが押し込まれてスイッチSW2がONされたか否かを判定する。ステップS209において、スイッチSW2がONされた場合、ステップS210において、CPU101は不図示のシャッタ制御部、絞り駆動部、撮像素子制御部107にそれぞれ信号を送信して、公知の撮影動作を行う。
【0047】
なお、ステップS206でスイッチSW1がOFFと判断された場合は、スイッチSW1のON待ちの待機状態となる。また、ステップS209でスイッチSW2がONでなければ、ステップS206に戻ってスイッチSW2のON待ちの待機状態となる。ステップS210における撮影動作は、まず不図示のモータ制御部を介してモータに通電して半透過の主ミラー126をアップさせ、撮影レンズ105の絞りを絞り込む。その後、シャッタ133のマグネットMG−1に通電し、シャッタ133の先幕を開放することで撮像素子106への被写界光の蓄積を開始する。所定のシャッタ秒時経過後、マグネットMG−2に通電し、シャッタ133の後幕を閉じることで撮像素子106への被写界光の蓄積を終了する。次にモータに再度通電し、ミラーダウン、シャッタチャージを行い、一連のシャッタレリーズシーケンスの動作(撮影動作)を終了する。このような動作によって、撮像素子106には被写界像からの光量が蓄積されることになる。
【0048】
ステップS210における撮影動作によって撮像素子106に露光された被写界像は光電変換され、画像処理部108にてデジタルデータに変換された後、RAM103へ一時的に格納される。その後、格納された画像デジタルデータを外部表示部113に表示するために縦横に間引き処理された全体画像データに変換する。そして、表示用のVRAM103cに再格納され、全体画像データを外部表示部113に表示し、撮影者は撮影された画像の全体像を確認することができる。一方、RAM103に格納された全体画像デジタルデータは、JPEG圧縮処理された後、画像データとしてデータ格納手段104によってコンパクトフラッシュ(登録商標)等の記録媒体に記録される。
【0049】
その後、再びステップS206のスイッチSW1の入力待ちの状態となり、その間全体画像を表示し続ける。スイッチSW1の入力がなされると、外部表示部113の撮影画像表示を消灯し、ステップS210まで進み、スイッチSW2の入力待ちとなり、スイッチSW2の入力がないとステップS206に戻り、スイッチSW1の入力待ちの状態で待機する。
【0050】
上記実施例により、いずれの焦点検出板128に交換された場合でも、撮影者が特別な操作を行う必要なく、各種撮影情報を表示する高分子分散液晶パネル112の表示内容と該焦点検出板のケガキ線が重複しないよう、高分子分散液晶パネル112の表示内容が切り替わる。よって、撮影者は良好に被写界像を視認できるようになる。また、装着した焦点検出板128の種類に応じて測光補正値を手動で設定する従来の方法で発生していた設定のし忘れ、設定の間違いが避けられるようになり、いずれの焦点検出板に交換された場合でも、最適な露光量での撮影が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
101 CPU
101a EEPROM
111 表示制御部
112 高分子分散液晶パネル
128 焦点検出板
130 ファインダ内撮影用センサ
150 垂直方向の読出し範囲
151 水平方向の読出し範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、
装着されている前記焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段と、
光学ファインダの光路中に各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段と、
前記ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている前記焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段と、
前記焦点検出板検知手段で検知された前記焦点検出板の種類に対応した前記ファインダ内表示手段の表示内容に切り替える制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、
装着されている前記焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段と、
前記ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている前記焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段と、
前記焦点検出板検知手段で検知された前記焦点検出板の種類に対応した測光補正値を選択する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記焦点検出板の種類に対応した前記ファインダ内表示手段の表示内容を記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記焦点検出板の種類に対応した前記測光補正値を記録する記録手段を有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記焦点検出板検知手段は、前記ファインダ内撮影手段の出力値の分布から、装着されている前記焦点検出板のケガキの位置および数を判別することにより前記焦点検出板の種類を検知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記焦点検出板検知手段は、前記ファインダ内撮影手段の出力値の読出し範囲を水平方向と垂直方向に設定することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項1】
種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、
装着されている前記焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段と、
光学ファインダの光路中に各種撮影情報を表示するファインダ内表示手段と、
前記ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている前記焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段と、
前記焦点検出板検知手段で検知された前記焦点検出板の種類に対応した前記ファインダ内表示手段の表示内容に切り替える制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
種類の異なる焦点検出板をファインダ光路中の所定位置に交換可能である撮像装置であって、
装着されている前記焦点検出板を撮影するファインダ内撮影手段と、
前記ファインダ内撮影手段で取得した情報から、装着されている前記焦点検出板の種類を検知する焦点検出板検知手段と、
前記焦点検出板検知手段で検知された前記焦点検出板の種類に対応した測光補正値を選択する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記焦点検出板の種類に対応した前記ファインダ内表示手段の表示内容を記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記焦点検出板の種類に対応した前記測光補正値を記録する記録手段を有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記焦点検出板検知手段は、前記ファインダ内撮影手段の出力値の分布から、装着されている前記焦点検出板のケガキの位置および数を判別することにより前記焦点検出板の種類を検知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記焦点検出板検知手段は、前記ファインダ内撮影手段の出力値の読出し範囲を水平方向と垂直方向に設定することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−24885(P2013−24885A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155989(P2011−155989)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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