説明

撮像装置

【課題】撮影者が所望する偏光効果が得られるように、回転偏光フィルタの回転角度位置を迅速かつ確実に調整することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】被写体を撮像する撮像部と、この撮像部の前方に回転可能に設けられた回転偏光フィルタと、この回転偏光フィルタを回転駆動させる回転駆動部とを有する撮像装置において、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転角度位置にかかわらず、前記撮像部によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示するライブビュー画像表示部と、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの所定の回転角度位置で、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして静止画像として表示するコンペア画像表示部と、を併設したことを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転偏光フィルタを介した被写体像を撮影前にモニタで視認可能なライブビュー機能を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮像する撮像部と、この撮像部の前方に回転可能に設けられた回転偏光フィルタと、この回転偏光フィルタを回転駆動させる回転駆動部と、回転偏光フィルタを通って撮像部によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示するモニタとを有する、ライブビュー機能を備えた撮像装置が知られている。このタイプの撮像装置では、回転駆動部により回転偏光フィルタを回転駆動してその回転角度位置を調整することで、撮像部に入射する光束の偏光状態を変化させて、被写体の反射を除去し、あるいはコントラストを高めることができる。
【0003】
従来のライブビュー機能を備えた撮像装置では、回転偏光フィルタの回転角度位置を調整するために、撮影者がモニタに表示されたライブビュー画像を見て回転偏光フィルタの偏光効果を確認しながら、回転駆動部により回転偏光フィルタを回転させていた。
しかし、モニタに表示されるライブビュー画像は回転偏光フィルタが回転するにつれて時々刻々と移り変わるので、撮影者は、過去に見たライブビュー画像を想像しながら現在のライブビュー画像と比較して回転偏光フィルタの回転角度位置を微調整しなければならない。そのため、撮影者が所望する回転偏光フィルタの偏光効果を得ることが難しく、回転偏光フィルタの回転角度位置の調整に長時間を費やしてシャッターチャンスを逃してしまうおそれがある。
【0004】
また、回転偏光フィルタの回転角度位置を調整することなく、回転偏光フィルタの各回転角度位置において複数回の撮影を行い、これら複数枚の画像の中から所望の画像を選択することもできる。
しかし、実際には必要としない画像を大量に撮影することになるため、CPUの演算負担が増大し、所望の画像を得るために長時間を要する。
【0005】
さらに、特許文献1には、回転駆動部により回転駆動された回転偏光フィルタの各回転角度位置において撮像部により得られた画像データのPL評価値を取得し、取得したPL評価値と回転偏光フィルタの回転角度位置との関係を示した関係グラフをモニタに表示させる撮像装置が開示されている。
しかし、回転偏光フィルタの偏光効果をどのように発現させるかは被写体、撮影者の撮影意図などによってまちまちであり、PL評価値だけを頼りに回転偏光フィルタの回転角度位置を決める撮像装置では、撮影者が所望する回転偏光フィルタの偏光効果を得ることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−165986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、撮影者が所望する偏光効果が得られるように、回転偏光フィルタの回転角度位置を迅速かつ確実に調整することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、被写体を撮像する撮像部と、この撮像部の前方に回転可能に設けられた回転偏光フィルタと、この回転偏光フィルタを回転駆動させる回転駆動部とを有する撮像装置において、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転角度位置にかかわらず、前記撮像部によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示するライブビュー画像表示部と、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの所定の回転角度位置で、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして静止画像として表示するコンペア画像表示部と、を併設したことを特徴としている。
【0009】
前記コンペア画像表示部は、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転駆動量が所定値を超える度に、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして、自身に表示する静止画像を更新することができる。
【0010】
本発明の撮像装置は、前記コンペア画像表示部による静止画像の更新表示を停止させ、その停止時点での静止画像を前記コンペア画像表示部に継続して表示させる更新表示停止部をさらに有していてもよい。
【0011】
本発明の撮像装置は、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像または前記コンペア画像表示部に表示された静止画像の一部を選択して拡大表示させる表示拡大部をさらに有していてもよい。
前記表示拡大部は、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像または前記コンペア画像表示部に表示された静止画像の一部を選択して拡大表示させたとき、この拡大表示させた部分に対応する部分を、前記コンペア画像表示部に表示された静止画像または前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像から抽出して拡大表示させることが好ましい。
より具体的に前記表示拡大部は、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像または前記コンペア画像表示部に表示された静止画像の一部を選択して拡大表示させたとき、この拡大表示させた部分からパターン認識によって特定の対象物を探し出し、この特定の対象物を含む部分を、前記コンペア画像表示部に表示された静止画像または前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像から抽出して拡大表示させることができる。
【0012】
本発明の撮像装置は、前記コンペア画像表示部を、前記回転偏光フィルタの異なる回転角度位置での複数の静止画像を同時に表示可能として、前記コンペア画像表示部に同時に表示させる静止画像の数を増減させる静止画像数増減部をさらに有していてもよい。
【0013】
本発明の撮像装置は、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転角度位置を、前記コンペア画像表示部に表示された静止画像に対応する回転角度位置に移行させる回転角度移行部をさらに有していてもよい。
【0014】
本発明の撮像装置は、前記回転偏光フィルタを、前記撮像部の前方に挿脱自在に設けて、前記回転偏光フィルタが挿入状態から脱出状態に切り替わったとき、前記ライブビュー画像表示部が、前記回転偏光フィルタの脱出状態において前記撮像部によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示し、前記コンペア画像表示部が、前記回転偏光フィルタの脱出直前の挿入状態において前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして静止画像として表示するように構成してもよい。
【0015】
前記ライブビュー画像表示部は、前記動画像とともに、前記回転偏光フィルタの回転角度位置をリアルタイムに表示し、前記コンペア画像表示部は、前記静止画像とともに、前記静止画像に対応する前記回転偏光フィルタの回転角度位置を表示することができる。
【0016】
前記回転駆動部は、前記回転偏光フィルタを所定角度ずつステップ駆動するステッピングモータとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の撮像装置によれば、併設したライブビュー画像表示部とコンペア画像表示部を見比べることで、現在の回転角度位置で得られる偏光フィルタの偏光効果と過去の回転角度位置で得られる偏光フィルタの偏光効果を比較できるため、撮影者が所望する偏光効果が得られるように、回転偏光フィルタの回転角度位置を迅速かつ確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるデジタルカメラ(撮像装置)の構成を示すブロック図である。
【図2】回転偏光フィルタの周縁部に対峙するフォトインタラプタの構成を示す斜視図である。実際にはフォトインタラプタの凹状の収容空間に回転偏光フィルタが挿入されているが、回転偏光フィルタが一対の対向壁に隠れて判りにくくなってしまうため、この斜視図では偏光フィルタを実際とは異なる位置(フォトインタラプタの凹状の収容空間の上方)に描いている。
【図3】回転偏光フィルタの周縁部に対峙するフォトインタラプタの構成を示す断面図である。
【図4】通常ライブビューモードにおけるLCDモニタの表示状態を示す図である。
【図5】コンペアモードにおけるLCDモニタの表示状態を示す図であって、コンペア画像表示部に表示される静止画像を更新表示する様子を示す図である。
【図6】コンペアモードにおけるLCDモニタの表示状態を示す図であって、コンペア画像表示部に表示される静止画像の更新表示を停止する様子を示す図である。
【図7】コンペアモードにおけるLCDモニタの表示状態を示す図であって、ライブビュー画像表示部に表示された動画像の一部を選択して拡大表示させるとともに、コンペア画像表示部に表示された静止画像のうちこの拡大表示部分に対応する部分を抽出して拡大表示させた様子を示す図である。
【図8】コンペアモードにおけるLCDモニタの表示状態を示す図であって、コンペア画像表示部に同時に表示させる静止画像の数を増加させた様子を示す図である。
【図9】本発明によるデジタルカメラ(撮像装置)の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明によるデジタルカメラ(撮像装置)100のブロック図である。デジタルカメラ100は、撮影光軸Z上に位置させて、物体側から順に、固定レンズ101と可動のフォーカシングレンズ102からなる撮影光学系、及びCCD(撮像部)103を備えている。固定レンズ101とフォーカシングレンズ102は、入射した被写体光束をCCD103の撮像面103aに結像させる。フォーカシングレンズ102は、フォーカシングレンズ駆動手段102aにより駆動制御されて、フォーカシング時に撮影光軸Z方向に移動する。
【0020】
デジタルカメラ100は、CPU(更新表示停止部、表示拡大部、静止画像数増減部、回転角度移行部、回転角度位置検出部)104、A/D変換器105、信号処理回路106、画像記録手段107、撮影操作手段108、及びLCDモニタ130を備えている。CPU104は、デジタルカメラ100の全体の機能を制御する。A/D変換器105は、CCD103の撮像面103aに結像した被写体像をアナログ信号からデジタル信号に変換して信号処理回路106に送る。信号処理回路106は、A/D変換器105から送られたデジタル信号に所定の画像処理を施して画像信号とする。この画像信号は、CPU104を介して、画像記録手段107に記録され、LCDモニタ130に表示される。撮影操作手段108は、例えば電源レバー、ズームスイッチ、シャッターボタン、モードダイヤルなどの撮影操作を行うものである。
【0021】
デジタルカメラ100は、CCD103の前方の固定レンズ101とフォーカシングレンズ102の間に、回転偏光フィルタ110を備えている。回転偏光フィルタ110は、図示しない挿脱機構によって、撮影光軸Z上(撮影光路内)に位置する挿入位置と、撮影光軸Z(撮影光路)から脱した脱出位置との間で挿脱自在である。回転偏光フィルタ110を挿脱する挿脱機構は、例えば特開2007−3970号公報に記載されているように公知である。
【0022】
回転偏光フィルタ110は、その挿入位置において、回転偏光フィルタ駆動手段(回転駆動部)111により駆動制御されて、撮影光軸Z回りに回転自在である。図2に示すように、回転偏光フィルタ駆動手段111は、回転偏光フィルタ110を所定角度ずつステップ駆動するステッピングモータ111aと、CPU104の指示を受けてステッピングモータ111aを回転制御するモータドライバ111bとを備えている。回転偏光フィルタ110は、被写体光束が通らない周縁部の周方向の一部に位置させて遮光部110aを有している。
【0023】
回転偏光フィルタ110は、自身の偏光方向(偏光格子の方向)に振動する光のみを透過させる機能を持っている。従って、回転偏光フィルタ110を撮影光軸Z回りに回転させてその偏光方向(偏光格子の方向)を調整することで、CCD103に入射する被写体光束の偏光状態を変化させて、被写体の反射を除去し、あるいはコントラストを高めることができる。
【0024】
デジタルカメラ100は、回転偏光フィルタ110の周縁部に対峙するフォトインタラプタ(回転角度位置検出部)120を備えている。図2、図3に示すように、フォトインタラプタ120は、撮影光軸Zと平行な軸方向に沿って対向する一対の対向壁121と、この一対の対向壁121を接続する接続壁122とを有する凹断面形状のケース123を備えている。一対の対向壁121と接続壁122によって画成される凹状の収容空間123aには、回転偏光フィルタ110の周縁部が収容されている。尚、図2の斜視図では、回転偏光フィルタ110が一対の対向壁121の間に隠れて判りにくくなってしまうため、偏光フィルタ110を実際とは異なる位置(フォトインタラプタ120の凹状の収容空間123aの上方)に描いている。
【0025】
物体側の対向壁(図3中の左側の対向壁)121の内部には、発光素子124と、この発光素子124に通電する2本(図示しているのは1本)のリード端子124aが設けられている。像側の対向壁(図4中の右側の対向壁)121の内部には、受光素子125と、この受光素子125に通電する2本(図示しているのは1本)のリード端子125aが設けられている。発光素子124(リード端子124a)と受光素子125(リード端子125a)は、ケース123内に設けられた基板126上に実装されている。
【0026】
図3に示すように、フォトインタラプタ120では、対向配置された発光素子124と受光素子125の間の光路上に、回転自在に支持された回転偏光フィルタ110の周縁部が位置している。このため、受光素子125は、回転偏光フィルタ110の遮光部110aが発光素子124と受光素子125の間の光路上に位置しているときだけ、発光素子124から発光された光を受光せず(出力ゼロの状態となり)、その他のときは発光素子124から発光され回転偏光フィルタ110の周縁部を通過した光を受光する。
【0027】
CPU(回転角度位置検出部)104は、回転偏光フィルタ110の遮光部110aが発光素子124と受光素子125の間の光路上に位置している状態を回転偏光フィルタ110の初期状態(回転角度位置が0°の状態)として、この初期状態からの回転偏光フィルタ110の回転時間、回転パルス、ステップ駆動数などを検出することで、回転偏光フィルタ110の回転角度位置を検出する。0°から180°の範囲の回転角度位置と180°から360°の回転角度位置とで回転偏光フィルタ110の偏光特性は同じ(回転角度位置がα°とα+180°のときの回転偏光フィルタ110の偏光特性は同じ)なので、CPU(回転角度位置検出部)104は、回転偏光フィルタ110の回転角度位置を0°ないし180°の範囲内で検出する。
【0028】
デジタルカメラ100は、通常ライブビューモードとコンペアモードの設定を切り替えるコンペアスイッチ140を備えている。コンペアスイッチ140により通常ライブビューモードが設定されているときは、図4に示すように、LCDモニタ130の全面に、CCD103によって撮像される被写体像がリアルタイムに動画像として表示される。
【0029】
一方、コンペアスイッチ140によりコンペアモードが設定されているときは、図5ないし図8に示すように、LCDモニタ130が、ライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部132とに左右に分割される。図5ないし図8では、ライブビュー画像表示部131に表示される画像とコンペア画像表示部132に表示される画像の偏光フィルタ110による偏光効果の違いを、破線の形状と太さを変えることで表現している。
【0030】
ライブビュー画像表示部131には、回転偏光フィルタ駆動手段111による回転偏光フィルタ110の回転角度位置にかかわらず、常に、CCD103によって撮像される被写体像がリアルタイムに動画像として表示される。またライブビュー画像表示部131には、動画像とともに、回転偏光フィルタ110の回転角度位置がリアルタイムに表示される。
【0031】
コンペア画像表示部132には、回転偏光フィルタ駆動手段111による回転偏光フィルタ110の所定の回転角度位置で、ライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャした静止画像が表示される。またコンペア画像表示部132には、静止画像とともに、この静止画像に対応する回転偏光フィルタ110の回転角度位置が表示される。
【0032】
より具体的に、コンペア画像表示部132に表示される静止画像は、回転偏光フィルタ駆動手段111による回転偏光フィルタ110の回転駆動量が所定値(本実施形態では10°)を超える度に、ライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャすることで更新される。この更新処理は、フォトインタラプタ120と協働して回転偏光フィルタ110の回転角度位置を検出したCPU104がLCDモニタ130に更新指示信号を送ることで実行される。
【0033】
例えば、図5を参照して、回転偏光フィルタ110を初期状態(回転角度位置が0°)から回転させる場合を考える。
図5の上段に示すように、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が0°ないし10°の範囲内である場合は、コンペア画像表示部132には、回転偏光フィルタ110の初期状態(回転角度位置が0°)のときにライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャした静止画像が表示される。
やがて回転偏光フィルタ110の回転角度位置が10°を超えると、図5の下段に示すように、コンペア画像表示部132に表示される静止画像が、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が10°のときにライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャした静止画像によって更新される(上書きされる)。
このようにして、コンペア画像表示部132に表示される静止画像は、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が10°、20°、30°、…を超える度に、その超える直前のライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャすることで更新される(上書きされる)。従って、回転偏光フィルタ110の僅かな回転角度位置の違いによる偏光効果の差異を比較できるため、撮影者が所望する偏光効果を選択しやすくなる。
【0034】
デジタルカメラ100は、CPU104に接続されたスイッチ類として、HOLDスイッチ(更新表示停止部)141と、ZOOMスイッチ(表示拡大部)142と、ADDスイッチ(静止画像数増減部)143と、DELETEスイッチ(静止画像数増減部)144と、回転角度移行スイッチ(回転角度移行部)145とを備えている。これらのスイッチ141−145は、例えば、デジタルカメラ100のカメラボディに設けたボタンやスライドキーとしてもよいし、LCDモニタ130またはその他の図示しないモニタにタッチパネル方式で設けてもよく、その態様は問わない。
【0035】
HOLDスイッチ141が操作されると、CPU(更新表示停止部)104がLCDモニタ130に更新表示停止信号を送ることで、コンペア画像表示部132による静止画像の更新表示を停止させ、その停止時点での静止画像をコンペア画像表示部132に継続して表示させる(HOLD機能)。これにより、偏光効果の比較対象として残しておきたい静止画像をコンペア画像表示部132に固定できるので、撮影者が所望する偏光効果を選択しやすくなる。
【0036】
例えば、図6を参照して、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が20°ないし30°の範囲内である場合においてHOLDスイッチ141を操作したときを考える。
図6の上段に示すように、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が20°ないし30°の範囲内である場合は、コンペア画像表示部132には、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が20°のときにライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャした静止画像が表示される。
この状態でHOLDスイッチ141が操作されてコンペア画像表示部132による静止画像の更新表示が停止されると、図6の下段に示すように、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が30°を超えたとしても、コンペア画像表示部132に表示される静止画像は、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が20°のときの静止画像のままである(更新表示が停止されていなければ回転偏光フィルタ110の回転角度位置が30°のときの静止画像に更新されるはずである)。
【0037】
ZOOMスイッチ142は、ライブビュー画像表示部131に表示された動画像またはコンペア画像表示部132に表示された静止画像の一部を選択するスイッチである。ZOOMスイッチ142を操作してライブビュー画像表示部131に表示された動画像またはコンペア画像表示部132に表示された静止画像の一部を選択すると、CPU(表示拡大部)104がLCDモニタ130に表示拡大信号を送ることで、ライブビュー画像表示部131またはコンペア画像表示部132にその選択した部分を拡大表示させる(ZOOM機能)。これにより、拡大表示した部分に含まれる主要被写体の偏光効果を重点的にチェックできるため、撮影者が所望する偏光効果を選択しやすくなる。
【0038】
またCPU(表示拡大部)104は、ライブビュー画像表示部131に表示された動画像(コンペア画像表示部132に表示された静止画像)の一部を拡大表示させたときは、コンペア画像表示部132に表示された静止画像(ライブビュー画像表示部131に表示された動画像)からその拡大させた部分に対応する部分を抽出して拡大表示させる。
より具体的にCPU(表示拡大部)104は、ライブビュー画像表示部131(コンペア画像表示部132)に拡大表示させた部分からパターン認識によって特定の対象物(人物、建物、山などの主要被写体)を探し出し、コンペア画像表示部132に表示された静止画像(ライブビュー画像表示部131に表示された動画像)のうち、この特定の対象物を含む部分を抽出して拡大表示させる。
あるいはCPU(表示拡大部)104は、パターン認識を用いることなく、座標系を用いて拡大表示させるエリアを決めてもよい。
【0039】
図7の例では、ZOOMスイッチ142を操作して、ライブビュー画像表示部131に表示された動画像の一部(特定の対象物は人物)を選択することで、ライブビュー画像表示部131にこの選択した部分を拡大表示させている。
同時に、コンペア画像表示部132に表示された静止画像から、ライブビュー画像表示部131に拡大表示させた部分(特定の対象物である人物)を抽出して拡大表示させている。
【0040】
コンペア画像表示部132は、回転偏光フィルタ110の異なる回転角度位置での複数の静止画像を同時に表示するために、複数の画面に分割できる(分割画面の数を選択できる)ようになっている。ADDスイッチ143またはDELETEスイッチ144が操作されると、CPU(静止画像数増減部)104がLCDモニタ130に静止画像数増減信号を送ることで、コンペア画像表示部132に同時に表示する静止画像の数を増減させる(ADD機能、DELETE機能)。コンペア画像表示部132を複数の画面に分割して複数の静止画像を同時に表示している場合には、各画面の静止画像に対して、上述したHOLDスイッチ141によるHOLD機能とZOOMスイッチ142によるZOOM機能を適用することができる。これにより、コンペア画像表示部132を分割した複数の画面に、回転偏光フィルタ110の異なる回転角度位置での複数の静止画像を同時に表示でき、しかも各画面の静止画像に対してHOLD機能とZOOM機能を適用できるため、撮影者が所望する偏光効果を選択しやすくなる。
【0041】
図8の例では、ADDスイッチ143を操作することで、コンペア画像表示部132を上下に2分割して、コンペア画像表示部132に表示される静止画像の数を1つから2つに増やしている。これにより、例えば、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が20°ないし30°の範囲内である場合において、上側のコンペア画像表示部132に、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が20°(前回更新角度)のときの静止画像を表示させ、下側のコンペア画像表示部132に、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が10°(前々回更新角度)のときの静止画像を表示させることができる。またDELETEスイッチ144を操作すれば、上下に2分割されたコンペア画像表示部132を結合して、コンペア画像表示部132に表示される静止画像の数を2つから1つに減らすことができる。
【0042】
回転角度移行スイッチ145が操作されると、CPU(回転角度移行部)104が回転偏光フィルタ駆動手段111に回転角度移行信号を送ることで、回転偏光フィルタ駆動手段111による回転偏光フィルタ110の回転角度位置を、コンペア画像表示部132に表示された静止画像に対応する回転角度位置に移行させる。これにより、回転偏光フィルタ110を所望の回転角度位置まで簡単かつ短時間で回転させることができる。
【0043】
続いて、本発明によるデジタルカメラ(撮影装置)100のライブビュー動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
コンペアスイッチ140がオフであるとき(S1:NO)、または回転偏光フィルタ110が挿入されていないときは(S3:NO)、デジタルカメラ100は通常ライブビューモードとなり、図4に示すように、LCDモニタ130の全面に、CCD103によって撮像される被写体像がリアルタイムに動画像として表示される。
【0045】
一方、コンペアスイッチ140がオンであり、回転偏光フィルタ110が挿入されているときは(S1:YES、S3:YES)、デジタルカメラ100はコンペアモードとなる。つまり、図5ないし図8に示すように、LCDモニタ130が、ライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部132とに左右に分割される(S5)。また、ライブビュー画像表示部131には、動画像とともに、回転偏光フィルタ110の回転角度位置がリアルタイムに表示され、コンペア画像表示部132には、静止画像とともに、この静止画像に対応する回転偏光フィルタ110の回転角度位置が表示される(S7)。
【0046】
デジタルカメラ100がコンペアモードとなると、CPU104は、回転偏光フィルタ駆動手段111によって回転偏光フィルタ110を回転駆動させて、回転偏光フィルタ110を初期状態(回転角度位置が0°の状態)にして停止させる(S9)。すると、コンペア画像表示部132には、回転偏光フィルタ110の初期状態(回転角度位置が0°の状態)のときにライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャした静止画像が表示される(S11)。
【0047】
CPU104は、回転偏光フィルタ駆動手段111を介して、回転偏光フィルタ110を初期状態(回転角度位置が0°の状態)から回転駆動し始める(S13)。回転偏光フィルタ110の回転中にコンペアスイッチ140がオフされたときは(S15:YES)、デジタルカメラ100は通常ライブビューモードとなり、図4に示すように、LCDモニタ130の全面に、CCD103によって撮像される被写体像がリアルタイムに動画像として表示される。
【0048】
コンペアスイッチ140がオフされることなく(S15:NO)、回転偏光フィルタ110の回転駆動量が10°を超えると(S17:YES)、CPU104は、回転偏光フィルタ110の回転駆動量をリセットするとともに、コンペア画像表示部132に表示される静止画像を、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が10°のときにライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャした静止画像によって更新する(S19)。CPU104は、回転偏光フィルタ110の合計回転駆動量が180°に達するまで(S21:NO)、ステップS15からステップS19の処理を繰り返す。これにより、コンペア画像表示部132に表示される静止画像は、回転偏光フィルタ110の回転角度位置が10°、20°、30°、…を超える度に、その超える直前のライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャすることで更新される(上書きされる)。
【0049】
やがて、回転偏光フィルタ110の合計回転角度位置が180°に達すると(S21:YES)、LCDモニタ130(ライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部)によって、回転偏光フィルタ110の全ての回転角度位置での偏光効果を視認できたことになるので、CPU104はコンペアモードでの処理を終了する。
【0050】
尚、コンペアモードでの処理の終了条件である回転偏光フィルタ110の合計回転角度位置は180°に限定されず、例えば360°や720°などであってもよい。あるいは、コンペアスイッチ140が操作されてコンペアモードから通常ライブビューモードに移行するまで、回転偏光フィルタ110の合計回転角度位置にかかわらずコンペアモードが継続するようにしてもよい。
【0051】
上述したHOLDスイッチ141によるHOLD機能、ZOOMスイッチ142によるZOOM機能、ADDスイッチ143によるADD機能、DELETEスイッチ144によるDELETE機能、及び回転角度移行スイッチ145による回転角度移行機能は、デジタルカメラ100がコンペアモードに滞在している限りにおいて、いつでも起動させることができる。
【0052】
以上のように、本実施形態によるデジタルカメラ(撮像装置)100は、回転偏光フィルタ駆動手段(回転駆動部)111による回転偏光フィルタ110の回転角度位置にかかわらず、CCD(撮像部)103によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示するライブビュー画像表示部131と、回転偏光フィルタ駆動手段111による回転偏光フィルタ110の所定の回転角度位置で、ライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャして静止画像として表示するコンペア画像表示部132と、を併設させている。
これにより、併設したライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部132を見比べることで、現在の回転角度位置で得られる偏光フィルタ110の偏光効果と過去の回転角度位置で得られる偏光フィルタ110の偏光効果を比較できるため、撮影者が所望する偏光効果が得られるように、回転偏光フィルタ110の回転角度位置を迅速かつ確実に調整することができる。
【0053】
以上の実施形態では、回転偏光フィルタ110がCCD103の前方で撮影光軸Z上に位置する挿入状態を前提として説明している。
しかし、回転偏光フィルタ110が挿入状態から撮影光軸Zから脱した脱出状態に切り替わったときには、ライブビュー画像表示部131が、回転偏光フィルタ110の脱出状態においてCCD103によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示し、コンペア画像表示部132が、回転偏光フィルタ110の脱出直前の挿入状態においてライブビュー画像表示部131に表示された動画像をキャプチャして静止画像と表示するようにしてもよい。
これにより、併設したライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部132を見比べることで、回転偏光フィルタ110の挿入の有無による見え方の違いを比較できるため、撮影者がより良い写真を撮るための一助とすることができる。
【0054】
以上の実施形態では、ライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部132を左右に分割して配置している。しかし、LCDモニタ130の形状によっては、ライブビュー画像表示部131とコンペア画像表示部132を上下に分割して配置してもよく、分割の態様には自由度がある。
【0055】
以上の実施形態では、回転偏光フィルタ駆動手段111による回転偏光フィルタ110の回転駆動量が10°を超える度に、コンペア画像表示部132に表示される静止画像を更新(上書き)している。しかし、コンペア画像表示部132に表示される静止画像を更新(上書き)するための回転駆動量は10°に限定されず、例えば5°、20°、30°などとしてもよい。
【0056】
以上の実施形態では、回転偏向フィルタ110を正回転方向に駆動させているが、逆回転方向に駆動した方が有利な場合(例えば所望の回転角度位置に関する情報を有しており逆回転方向に駆動した方が回転偏光フィルタ110の回転駆動量を少なくできる場合)は、回転偏向フィルタ110を逆回転方向に駆動してもよい。
【0057】
また、デジタルカメラ100にコンペアモードが設定されている場合において、ズームスイッチ(撮影操作手段108)が操作されてズーミング動作を行うときは、デジタルカメラ100の動作モードをコンペアモードから通常ライブビューモードに移行させて、LCDモニタ130の全面に、CCD103によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 デジタルカメラ(撮像装置)
101 固定レンズ
102 フォーカシングレンズ
102a フォーカシングレンズ駆動手段
103 CCD(撮像部)
103a 撮像面
104 CPU(更新表示停止部、表示拡大部、静止画像数増減部、回転角度移行部、回転角度位置検出部)
105 A/D変換器
106 信号処理回路
107 画像記録手段
108 撮影操作手段
110 回転偏光フィルタ
110a 遮光部
111 回転偏光フィルタ駆動手段(回転駆動部)
111a ステッピングモータ
111b モータドライバ
120 フォトインタラプタ(回転角度位置検出部)
121 一対の対向壁
122 接続壁
123 ケース
123a 収容空間
124 発光素子
124a リード端子
125 受光素子
125a リード端子
126 基板
130 LCDモニタ
131 ライブビュー画像表示部
132 コンペア画像表示部
140 コンペアスイッチ
141 HOLDスイッチ(更新表示停止部)
142 ZOOMスイッチ(表示拡大部)
143 ADDスイッチ(静止画像数増減部)
144 DELETEスイッチ(静止画像数増減部)
145 回転角度移行スイッチ(回転角度移行部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、この撮像部の前方に回転可能に設けられた回転偏光フィルタと、この回転偏光フィルタを回転駆動させる回転駆動部とを有する撮像装置において、
前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転角度位置にかかわらず、前記撮像部によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示するライブビュー画像表示部と、
前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの所定の回転角度位置で、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして静止画像として表示するコンペア画像表示部と、を併設したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、
前記コンペア画像表示部は、前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転駆動量が所定値を超える度に、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして、自身に表示する静止画像を更新する撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置において、
前記コンペア画像表示部による静止画像の更新表示を停止させ、その停止時点での静止画像を前記コンペア画像表示部に継続して表示させる更新表示停止部をさらに有する撮像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像または前記コンペア画像表示部に表示された静止画像の一部を選択して拡大表示させる表示拡大部をさらに有する撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の撮像装置において、
前記表示拡大部は、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像または前記コンペア画像表示部に表示された静止画像の一部を選択して拡大表示させたとき、この拡大表示させた部分に対応する部分を、前記コンペア画像表示部に表示された静止画像または前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像から抽出して拡大表示させる撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の撮像装置において、
前記表示拡大部は、前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像または前記コンペア画像表示部に表示された静止画像の一部を選択して拡大表示させたとき、この拡大表示させた部分からパターン認識によって特定の対象物を探し出し、この特定の対象物を含む部分を、前記コンペア画像表示部に表示された静止画像または前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像から抽出して拡大表示させる撮像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記コンペア画像表示部は、前記回転偏光フィルタの異なる回転角度位置での複数の静止画像を同時に表示可能であり、
前記コンペア画像表示部に同時に表示させる静止画像の数を増減させる静止画像数増減部をさらに有する撮像装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記回転駆動部による前記回転偏光フィルタの回転角度位置を、前記コンペア画像表示部に表示された静止画像に対応する回転角度位置に移行させる回転角度移行部をさらに有する撮像装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記回転偏光フィルタは、前記撮像部の前方に挿脱自在に設けられており、
前記回転偏光フィルタが挿入状態から脱出状態に切り替わったとき、前記ライブビュー画像表示部は、前記回転偏光フィルタの脱出状態において前記撮像部によって撮像される被写体像をリアルタイムに動画像として表示し、前記コンペア画像表示部は、前記回転偏光フィルタの脱出直前の挿入状態において前記ライブビュー画像表示部に表示された動画像をキャプチャして静止画像として表示する撮像装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記ライブビュー画像表示部は、前記動画像とともに、前記回転偏光フィルタの回転角度位置をリアルタイムに表示し、前記コンペア画像表示部は、前記静止画像とともに、前記静止画像に対応する前記回転偏光フィルタの回転角度位置を表示する撮像装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項記載の撮像装置において、
前記回転駆動部は、前記回転偏光フィルタを所定角度ずつステップ駆動するステッピングモータである撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−51551(P2013−51551A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188300(P2011−188300)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】