説明

撮像装置

【課題】撮影チャンスを逃さずに撮影しつつも、撮影時にユーザの撮影意図を反映してテンポの良い映像を簡単に得られる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、被写体からの光束を光電変換して画像信号を出力するCCD80からの画像信号が入力されて画像データを作成する画像信号処理部46、この画像データを動画モードでの撮影中に動画データとして記録可能なメモリカード29への記録開始と記録停止とを指示するシャッタボタンSW1、動画撮影により得られる動画像の中から切り出して保存しておきたい一連の動画像としての注目点動画像を指定するセルフタイマ/削除スイッチSW9、切り出し時間を指定するメニュー画面、セルフタイマ/削除スイッチSW9の指示の都度指定された切り出し時間分の注目点動画像がメモリカード29に記録されるようにメモリカード29を制御するCPU40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画撮影可能な撮像装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラやデジタルカメラ等の動画撮影は、一瞬の時間を切り取って撮影対象を固定して記録する写真と異なり、ストーリー仕立てのテンポの良い映像を得るためには、事前にストーリーを計画したり、カメラワークを身につけたり等の撮影テクニックが必要である。従って、誰もが簡単にテンポの良い映像を得る撮影を行うことができるというものではない。
【0003】
テンポの良い映像が得られない主な原因は、実時間で撮影した長い映像をそのまま使用するからである。
通常、このような長い映像は、短いシーンをつなげるという編集を行うことにより、ストーリー仕立てのテンポの良い映像となる。
【0004】
しかし、ほとんどのユーザは編集作業が面倒なため、これらの映像は編集されることなくテープやハードディスク等の記録媒体に保存したまま全く見返されないか、仮に、ユーザーが見返したとしても、撮影した当人及び関係者以外には、見るに堪えない映像のままであろう。
【0005】
このような問題に対して、各種の対策が提案されている。なかでも、動画撮影時に後で編集を行う必要がない撮影を行うことができるようにすることが、編集が不要でかつユーザの撮影意図を一番反映しやすいとの観点から以下に説明する対策が提案されている。
【0006】
たとえば、「シナリオモード」撮影の場合、旅行やスポーツ等のテーマが複数準備されているビデオカメラがある。。
このビデオカメラでは、各テーマに好適なお薦め撮影シーンをビデオカメラがガイドする工夫が施されている。「4秒/8秒」等の各シーンでのお薦めの撮影時間(秒数)をユーザが選択して確認することにより、ユーザがテンポの良い映像を得ることができるようになっている。
【0007】
また、例えば、ストーリー性に優れかつ完成度の高い動画撮影を可能にすることを目的として、撮影前に撮影方法やタイトルを含むシナリオデータを入力し、そのシナリオデータに従って撮影ガイダンスを行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
また、例えば、記録された動画の中から、所定時間分の動画を簡単に切り出すことができる技術を提供することを目的として、動画を撮影するのと同じ感覚で動画像の切り出しを行う技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0009】
その「シナリオモード」撮影という概念による対策によれば、たとえば、結婚披露宴等、シナリオや被写体の立ち位置をあらかじめ把握でき、宴会自体の進行も遅い等、シナリオを選択する余裕がある条件下でとても有効である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、「シナリオモード」撮影という概念による対策では、子供の運動会等、被写体の立ち位置をあらかじめ把握できず、更には、運動会自体の進行も早くて、シナリオを選択している余裕すらない条件下においては、シナリオを選択しているうちに撮影チャンスを逃すおそれがある。
【0011】
そのため、ユーザーは、撮影チャンスを逃すまいとして、結局は実時間で撮影することになる。その結果、撮影された映像は長いものとなり、撮影時にテンポの良い映像を得ることができず、このため、テンポの良い映像を得るには、再生時に編集作業が必要になる。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、撮影チャンスを逃さずに撮影しつつも、撮影時にユーザの撮影意図を反映してテンポの良い映像を簡単に得られる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る撮像装置は、被写体からの光束を受光して光電変換することにより画像信号を出力する撮像部と、該撮像部からの画像信号が入力されて画像データを作成する画像処理部と、該画像処理部からの前記画像データを動画モードでの撮影中に動画データとして記録可能な記録部と、前記動画データの前記記録部への記録開始と記録停止とを指示する操作部と、前記動画モードでの撮影中に動画撮影により得られる動画像の中から切り出して保存しておきたい一連の動画像としての注目点動画像を指定する注目点動画像指定部と、前記注目点動画像の切り出し時間を指定する注目点動画像時間指定部と、前記操作部の操作による前記動画モードでの撮影中に、前記注目点動画像指定部の指示の都度、前記注目点動画像時間指定部により指定された切り出し時間分の前記注目点動画像が前記記録部に記録されるように該記録部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、実時間で撮影する長い動画モードでの撮影中に注目点動画像を指定できるようにし、その注目点動画像を切りだして保存しておきたい短い映像が得られるようにしたので、撮影チャンスを逃さずに撮影しつつも、撮影時にユーザの撮影意図を反映したテンポの良い映像が簡単に得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本実施例に係る撮像装置としてのデジタルカメラの上面図である。
【図2】図2は図1に示すデジタルカメラの正面図である。
【図3】図3は図1に示すデジタルカメラの背面図である。
【図4】図4は図1に示すデジタルカメラの制御系の回路構成を示すブロック図である。
【図5】図5は動画モードでの実時間の動画像と切り出したい動画像との関係を示す概念図である。
【図6】図6はビデオカメラの場合の注目点動画像指定部の一例を示す説明図である。
【図7】図7はタッチパネル式液晶表示装置を備えたデジタルカメラの注目点動画像指定部の一例を示す説明図である。
【図8】図8はスナップ動画を設定する設定手順を説明するためのメニュー画面を示す図である。
【図9】図9はスナップ動画像の切り出し設定画面の「中央重点」、「先頭」、「最後」、「カスタム」の意味を説明する模式図である。
【図10】図10はスナップ動画撮影の概要を説明するための模式図である。
【図11】図11はMPEG方式の動画ファイルの構造を示す説明図である。
【図12】図12はFATファイル・アロケーションシステムの記録媒体への記録構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、この発明に係る撮像装置としてのデジタルカメラの実施例を説明する。
(デジタルカメラの概略構成)
図1は本実施例に係るデジタルカメラの上面図、図2は図1に示すデジタルカメラの正面図、図3は図1に示すデジタルカメラの背面図である。
【0017】
その図1において、デジタルカメラの上面には、サブLCD1、シャッタボタンSW1、モードダイアルSW2、マイクロフォン2、及びスピーカ3が適宜の位置に設けられている。サブLCD1は静止画撮影が可能な枚数等を表示する役割を果たす。シャッタボタンSW1は、静止画像又は動画像撮影の際に押圧操作され、動画モードの際には動画データの記録部(後述する)への記録開始と記録停止とを指示する操作部として機能する。モードダイアルSW2、マイクロフォン2、スピーカ3については後述する。
【0018】
シャッタボタンSW1は、2段式のスイッチで構成されている。このシャッタボタンSW1は、半押し操作と押し切り操作とが可能である。デジタルカメラは、このシャッタボタンSW1の半押し操作によりAE(自動露出)/AF(オートフォーカス)が作動する。シャッタボタンSW1の押し切り操作により、AWB(オートホワイトバランス)が作動することにより、静止画の撮影を実行する。
【0019】
モードダイヤルSW2は、ダイヤル式のスイッチにより構成されている。デジタルカメラの上面には、モードダイヤルSW2に隣接して指示マークMIが設けられている。そのモードダイヤルSW2のモードをその指示マークMIの位置に合わせることにより、このデジタルカメラの動作モードが設定される。
【0020】
このデジタルカメラの動作モードには、静止画を撮影する「静止画撮影モード」、「シーン撮影モード」、動画を撮影する「動画撮影モード」、撮影された画像を再生する「再生モード」、カメラ設定のための「セットアップモード」がある。
【0021】
「シーン撮影モード」は、更に細かく分類されている。この「シーン撮影モード」には、「被写体追尾モード」、「ポートレートモード」、「フェイスモード」、「スポーツモード」、「遠景モード」、「夜景モード」、「高感度モード」、「ズームマクロモード」、「白黒モード」、「セピアモード」、「斜め補正モード」、「文字モード」等がある。これらのモードの切り替えも、モードダイヤルSW2の操作によって行われる。
【0022】
このデジタルカメラは、図2に示すように、その正面に、フラッシュ発光部4、AF補助光/セルフタイマランプ5、リモートコントロール受光部6、鏡胴ユニット7及び正面側光学ファインダ8が設けられている。また、このデジタルカメラの側面には、メモリカードスロットル、バッテリ収容部が設けられている。これらのメモリカードスロットル、バッテリ収容部は、蓋体9により閉塞されている。
【0023】
また、この実施例に係るデジタルカメラの側面には、テレビジョン装置等の外部表示機器にこのデジタルカメラを接続するためのAV出力端子(図4参照)21や、パーソナルコンピュータ等の外部情報端末機器にこのデジタルカメラを接続するためのUSB端子(図4参照)22等も設けられている。
【0024】
フラッシュ発光部4はフラッシュ発光する光源を有する。AF補助光/セルフタイマランプ5は、オートフォーカス時の補助光を被写体に投光する機能とセルフタイマ時の点滅機能とを有する。
リモートコントロール受光部6は、図示を略すリモートコントロール端末機器からの赤外線信号を受信する機能を有する。
【0025】
鏡胴ユニット7の構成及び機能、正面側光学ファインダ8の構成及び機能は必要に応じて後述する。メモリカードスロットルには、記録部としてのメモリカード(図4参照)29が挿入される。バッテリ収容部にはバッテリ25が収容される。
【0026】
このデジタルカメラは、図3に示すように、その背面に、AF動作時に点灯するAFLED10、フラッシュ発光時に点灯するフラッシュLED11、LCDモニタ12、裏面側光学ファインダ13及び電源スイッチ14が設けられている。
【0027】
LCDモニタ12は、カラー画像を表示可能な画像モニタである。このLCDモニタ12は、再生モード時には撮影済みの画像を表示するための画像表示パネルとして利用される。また、このLCDモニタ12は、セットアップモード時に、各種設定操作を行うためのユーザインタフェース表示パネルとして利用される。更に、このLCDモニタ12は、撮影モード時には、必要に応じてライブビューが表示される。これにより、画角確認用のファインダとして利用できる。
【0028】
更に、このデジタルカメラの背面には、ズーム(WIDE)スイッチSW3、ズーム(TELE)スイッチSW4、上/フラッシュスイッチSW5、右スイッチSW6、下/マクロスイッチSW7、左/画像確認スイッチSW8、セルフタイマ/削除スイッチSW9、メニュースイッチSW10、OKスイッチSW11、ディスプレイスイッチSW12、クイックアクセススイッチSW13の各種スイッチが設けられている。
【0029】
ズーム(WIDE)スイッチSW3及びズーム(TELE)スイッチSW4は、デジタルカメラのズーム動作の際に用いられる。デジタルカメラは、撮影モード時にズーム(WIDE)スイッチSW3が操作されると広角側へのズーム動作を行う。
また、デジタルカメラは、ズーム(TELE)スイッチSW4が操作されると、望遠側へのズーム動作を行う。これにより、レンズの焦点距離が変化する。
【0030】
再生モード時には、ズーム(WIDE)スイッチSW3が操作されると、再生中の画像がLCDモニタ12に縮小表示される。
ズーム(TELE)スイッチSW4が操作されると、再生中の画像がLCDモニタ12に拡大表示される。
【0031】
上/フラッシュスイッチSW5は、フラッシュのモード(発光禁止、オート、赤目軽減、強制発光、スローシンクロなど)を切り替える際やLCDモニタ12上のカーソルCaを上移動させる場合に用いられる。
【0032】
右スイッチSW6は、LCDモニタ12上のカーソルCaを右移動させる場合に用いられる。下/マクロスイッチSW7は、マクロ撮影を行う際やLCDモニタ12上のカーソルCaを下移動させる場合等に用いられる。左/画像確認スイッチSW8は、撮影した画像をLCDモニタ12で確認する際やLCDモニタ12上のカーソルCaを左移動させる場合等に用いられる。
【0033】
セルフタイマ/削除スイッチSW9は、セルフタイマの作動時やLCDモニタ12に表示中の画像を削除する際に用いられる。メニュースイッチSW10は、各モードの通常画面からメニュー画面への遷移を指示する際に用いられる。OKスイッチSW11は、選択内容の確定、処理の実行を指示する際に用いられる。
【0034】
ディスプレイスイッチSW12は、LCDモニタ12のマークの表示/非表示を切り替える等、LCDモニタ12の画面の表示状態の変更を指示する際に用いられる。撮影モード時、このディスプレイスイッチSW12が1回操作される毎に、LCDモニタ12の画面の表示内容が、「ヒストグラム表示→グリッドガイド表示→マーク表示なし→LCDモニタオフ→通常のマーク表示→ヒストグラム表示→・・」・と切り替えられる。
【0035】
また、再生モード時、ディスプレイスイッチSW12が1回操作される毎に、LCDモニタ12の画面の表示内容が、「ヒストグラム表示→ハイライト表示→マーク表示なし→通常のマーク表示→ヒストグラム表示→・・・」と切り替えられる。また、このディスプレイスイッチSW12は、入力操作のキャンセル操作や1つ前の操作状態に戻す指示を行う際に用いられる。クイックアクセススイッチSW13は、登録したメニューを瞬時に選択する際に用いられる。
【0036】
(デジタルカメラの制御系の回路構成及びその機能の概略説明)
図4はこのデジタルカメラの制御系の回路構成を示すブロック図である。このデジタルカメラは、全体の動作がCPU(中央処理装置)40によって統括的に制御される。
CPU40は、スイッチSW1〜SW13から入力される操作信号やリモートコントロール受光部6からの受信出力信号に基づき、所定の制御プログラム90に従ってデジタルカメラの全体を統括制御する。なお、スイッチSW1〜SW13は、図4には一括して操作部41として表示されている。
【0037】
すなわち、CPU40はデジタルカメラによる画像の撮影、撮影した画像の再生等の動作を統括制御する。また、フラッシュ発光部4からのフラッシュ発光制御、AF補助光/セルフタイマランプ5、AFLED10やフラッシュLED11の点灯制御、サブLCD1の表示制御等を行う。このCPU40の動作電源はバッテリ25から供給される。また、バッテリ25からの電力はDC/DCコンバータ53を介してデジタルカメラの内部の各回路へ供給される。
【0038】
フラッシュROM58が、バス100を介してCPU40と接続されている。このフラッシュROM58には、CPU40が実行する制御プログラム90及び制御に必要な各種データ、ユーザ設定情報等(例えば、カメラ調整データ91、カメラ設定データ92)のデジタルカメラの動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0039】
また、このフラッシュROM58には、デジタルカメラの画像撮影に関わる各種機能の説明や機能を設定するための操作方法等を簡単に示すガイダンス情報が、各機能毎に、ガイダンス情報表示データ93a及びガイダンス情報音声データ93bとして格納されている。
【0040】
SDRAM54は、CPU40の演算作業用領域、画像データ(Raw−RGB画像データ55、YUV画像データ56、圧縮伸張画像データ57)等の一時記憶領域として利用される。
鏡胴ユニット7は、被写体からの光束を取り込むズームレンズ71及びフォーカスレンズ72、これらのレンズを駆動するレンズ駆動部76、絞り73、この絞り73を制御する絞り駆動部77、メカニカルシャッタ74、このメカニカルシャッタ74を駆動するシャッタ駆動部78からなる。
【0041】
レンズ駆動部76、絞り駆動部77、シャッタ駆動部78は、CPU40からの駆動指令により駆動制御される。
デジタルカメラの電源がオンになると、フラッシュROM58に格納された制御プログラム90がSDRAM54にロードされる。CPU40はその制御プログラム90に従ってデジタルカメラの装置各部の動作を制御する。それとともに、CPU40は、制御に必要なデータ等を一時的にSDRAM54に保存させる。
【0042】
フラッシュROM58は、書き換え可能な半不揮発性メモリである。このため、このデジタルカメラでは、制御プログラム90や制御に必要な各種データ、ユーザ設定情報等(例えば、カメラ調整データ91、カメラ設定データ92)を変更することが可能となる。その結果、このデジタルカメラは、機能のバージョンアップを容易に行うことができる。
【0043】
また、このデジタルカメラでは、機能のバージョンアップと共に新たな機能に関するガイダンス情報表示データ93a及びガイダンス情報音声データ93bをフラッシュROM58に格納することにより、新たな機能に対応したガイダンス情報の提供が可能になる。
【0044】
デジタルカメラは、モードダイヤルSW2の操作により撮影モードが選択されると、このデジタルカメラの動作モードが撮影モードに設定される。
これにより、このデジタルカメラは被写体の撮影が可能になる。モードダイヤルSW2が撮影モードに設定されると、鏡胴ユニット7がカメラ本体から繰り出されて、撮影スタンバイ状態になる。
【0045】
この撮影モードでは、鏡胴ユニット7のレンズ(ズームレンズ71、フォーカスレンズ72)を通過した被写体からの光束は、絞り73を介して固体撮像素子(撮像部)としてのCCD80の受光面に結像される。なお、CCD80の代わりにCMOSイメージセンサ等、他の撮像素子を用いてもよい。
【0046】
CCD80の受光面には、多数の画素としてのフォトダイオード(受光素子)が二次元的に配置されている。このフォトダイオード(受光素子)の前面には、所定の配列構造(ベイヤー、Gストライプ等)の赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが配列されている。、
【0047】
レンズを通過した被写体からの光束は、その所定配列構造のカラーフィルタを介して各フォトダイオードに受光される。各フォトダイオードは、その受光した被写体光を受光光量に応じた量の信号電荷に光電変換する。
各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、タイミングジェネレータ(TG)81から与えられる駆動パルスによりその信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)としてフォトダイオードから順次読み出される。その電圧信号はアナログ処理部(CDS/AMP)42に向けて出力される。
【0048】
アナログ処理部(CDS/AMP)42は、入力された画素毎のRGB信号をサンプリングホールド(相関二重サンプリング処理)すると共に、増幅してA/D変換器43に向けて出力する。
A/D変換器43は、そのアナログ処理部(CDS/AMP)42から出力されたアナログRGB信号をデジタルRGB信号に変換する。
このA/D変換器43から出力されたデジタルのRGB信号は、センサ入力制御部44を介して、Raw−RGB画像データ55としてSDRAM54に取り込まれる。
【0049】
画像信号処理部46は、SDRAM54に取り込まれたRaw−RGB画像データ55をCPU40の指令に従って処理する。すなわち、画像信号処理部46は、輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr、Cb信号)へ変換し、YUV画像データ56を生成する。
【0050】
この画像信号処理部46について、更に詳述すると、画像信号処理部46は、同時化回路(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含む画像処理部として機能する。
【0051】
その画像信号処理部46は、CPU40からの指令に従ってSDRAM54をワークエリアとして利用しながら、入力されたRGB信号を信号処理することにより、輝度信号及び色差信号(輝度/色差信号)を生成する。生成された輝度/色差信号は、YUV画像データ56としてSDRAM54に格納される。
【0052】
撮影画像をLCDモニタ12に出力する場合、YUV画像データ56は、SDRAM54からOSDMIX部48に送られる。
OSDMIX部48は、入力されたYUV画像データ56の輝度/色差信号に文字や図形等のオンスクリーンディスプレイデータを重ね合わせて合成し、ビデオエンコーダ65及びLCDモニタ信号処理部49に出力する。
【0053】
これにより、所要の撮影情報等が画像データに重ねて表示される。
また、OSDMIX部48は、CPU40によりガイダンス情報の表示が必要と判断され、かつ、表示対象となるガイダンス情報表示データ93aがフラッシュROM58から読み出されて入力されると、YUV画像データ56の輝度/色差信号にガイダンス情報表示データ93aを合成し、LCDモニタ信号処理部49に出力する。
これにより、ガイダンス情報が画像データに重ねてLCDモニタ12に表示される。
【0054】
ビデオエンコーダ65は、入力されたYUV画像データ56の輝度/色差信号を表示用のデジタル表示出力信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換する。このデジタル表示出力信号はD/A変換器66に入力される。D/A変換器66はデジタル表示出力信号をアナログビデオ出力信号に変換する。
【0055】
ビデオAMP67は、D/A変換器66から出力されたアナログビデオ出力信号を、75 Ω インピーダンス変換して、AV出力端子21へ出力する。AV出力端子21はテレビジョン装置等の外部表示機器に接続する際に用いられる。これにより、CCD80により撮像された画像がテレビジョン装置等の外部表示機器に表示される。
【0056】
LCDモニタ信号処理部49は、入力されたYUV画像データ56の輝度/色差信号をLCDモニタ12の入力信号形式であるRGB信号へ変換して、LCDモニタ12へ出力する。これにより、CCD80により撮像された画像がLCDモニタ12に表示される。
【0057】
CCD80から画像信号が定期的に取り込まれ、その画像信号により生成される輝度/色差信号によってSDRAM54内のYUV画像データ56が定期的に書き換えられる。
この定期的に書き替えられたYUV画像データ56がLCDモニタ12及びAV出力端子21に出力されることにより、CCD80により撮像された画像がリアルタイムで表示される。
ユーザは、このLCDモニタ12にリアルタイムに表示される画像(ライブビュー)を見ることにより、撮影画角を確認できる。
【0058】
被写体の撮影はシャッタボタンSW1の押下によって行なわれる。撮影に先立ち、ユーザは、画角を調整する必要があるとき、ズーム(WIDE)スイッチSW3及びズーム(TELE)スイッチSW4を操作し、ズームレンズ71をズーミングさせて画角を調整する。
【0059】
シャッタボタンSW1が半押しされると、レリーズR1オン信号がCPU40に入力される。これにより、CPU40はAE/AF処理を実行する。
まず、センサ入力制御部44を介してCCD80から取り込まれた画像信号がAF検出部51並びにAE/AWB検出部52に入力される。
【0060】
AE/AWB検出部52は、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割エリア毎にR、G、B信号を積算する回路を含む。AE/AWB検出部52は、その回路による積算値をCPU40に提供する。
【0061】
CPU40は、AE/AWB検出部52から得られた積算値により被写体の明るさ(被写体輝度)を検出することにより、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。
そして、CPU40は、求められた撮影EV値と所定のプログラム線図とから絞り値とシャッタースピードとを決定する。これにより、CPU40は、CCD80の電子シャッタと絞り駆動部77とを制御し、その結果適正な露光量が得られる。
【0062】
また、AE/AWB検出部52は、自動ホワイトバランス調整時、分割エリア毎にR、G、B信号の色別の平均積算値を算出する。AE/AWB検出部52は、その算出結果をCPU40に提供する。そのCPU40は、得られたRの積算値、Bの積算値、Gの積算値から各分割エリア毎にR/G及びB/Gの比を求める。CPU40は、求めたR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等により光源種判別を行う。
【0063】
そして、CPU40は、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、各色チャンネルの信号を補正する。
CPU40は、そのホワイトバランス調整値に従って、例えば、各比の値がおよそ1(つまり、1画面においてRGBの積算比率がR:G:B≒1:1:1)になるように、ホワイトバランス調整回路のR、G、B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を制御し、各色チャンネルの信号を補正する。
【0064】
AF検出部51は、G信号の高周波成分のみを通過させるハイパスフィルタ、絶対値化処理部、所定のフォーカスエリア(たとえば、画面中央部)内の信号を切り出すAFエリア抽出部及びAFエリア内の絶対値データを積算する積算部から構成されている。
【0065】
AF検出部51において求められた積算値のデータはCPU40に通知される。CPU40は、レンズ駆動部76を制御してフォーカスレンズ72を移動させながら、複数のAF検出ポイントで焦点評価値(AF評価値)を演算し、その評価値が極大となるレンズ位置を合焦位置として決定する。そして、CPU40は、求められた合焦位置にフォーカスレンズ72が移動するように、レンズ駆動部76を制御する。
【0066】
このように、シャッタボタンSW1の半押しによって、AE/AF処理が行なわれる。その後、ユーザがシャッタボタンSW1を押し切ると、CPU40にR2オン信号が入力され、CPU40は、画像の撮影、記録処理を開始する。
【0067】
すなわち、CPU40は測光結果により決定された絞り値に従って、絞り駆動部77を制御して絞り73を駆動する。また、CPU40はシャッタ速度値に従って、シャッタ駆動部78を制御してメカニカルシャッタ74の開閉動作を制御する。これにより、CCD80の露光時間が制御され、CCD80が設定された露光時間に応じて露光される。
【0068】
CCD80から出力された画像信号は、アナログ処理部(CDS/AMP)42、A/D変換器43、センサ入力制御部44を介してSDRAM54に取り込まれる。その画像信号は、画像信号処理部46において輝度/色差信号に変換された後、YUV画像データ56としてSDRAM54に格納される。
【0069】
SDRAM54に格納されたYUV画像データ56は、圧縮伸張処理部47に転送され、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG形式)に従って圧縮された後、SDRAM54に圧縮伸張画像データ57として格納される。そのSDRAM54に格納される際に、所定の画像記録フォーマット(たとえばExif形式)の画像ファイルとされ、その後、カード制御部50を介して例えばメモリカード29(たとえばSDカード)に記録される。
【0070】
このようにしてメモリカード29に記録された圧縮画像データは、モードダイヤルSW2の操作により再生モードが選択され、デジタルカメラの動作モードが再生モードに設定されと、LCDモニタ12に再生表示される。
【0071】
すなわち、デジタルカメラの動作モードが再生モードに設定されると、CPU40は、カード制御部50にコマンドを出力する。これにより、メモリカード29に最後に記録された画像ファイルが読み出される。
【0072】
読み出された画像ファイルの圧縮画像データは、圧縮伸張処理部47に転送され、非圧縮の輝度/色差信号に伸張された後、OSDMIX部48及びLCDモニタ信号処理部49を介してLCDモニタ12に出力される。
これにより、メモリカード29に記録されている画像がLCDモニタ12に再生表示される。
【0073】
また、パーソナルコンピュータ等の外部情報端末機器とUSB通信を行う場合、デジタルカメラがUSB端子22を介して外部情報端末機器と接続される。CPU40は、USB制御部59を制御することにより、外部情報端末機器との間でUSB通信を行う。
【0074】
シャッタ音、操作音等の音声信号データはフラッシュROM58に格納されている。CPU40は、音声信号処理部45を制御する。この音声信号データは、音声信号処理部45を介してオーディオCODEC61へ出力される。
【0075】
また、CPU40は、ガイダンス情報の音声出力が必要であると判断すると、音声出力の対象となるガイダンス情報音声データ93bをフラッシュROM58から読み出す。このガイダンス情報音声データ93bは、音声信号処理部45を介してオーディオCODEC61へ出力される。
【0076】
オーディオCODEC61は、入力された音声信号を増幅するマイクロフォンアンプリファイアや、スピーカ3を駆動するオーディオアンプリファイアを内蔵している。このオーディオCODEC61には、ユーザが音声信号を入力するマイクロフォン(図1も合わせて参照)2、音声信号を出力するスピーカ3が接続されている。
【0077】
オーディオCODEC61は、音声信号処理部45から入力される音声信号データやガイダンス情報音声データ93bに応じてオーディオアンプでスピーカ3を駆動する。これにより、シャッタ音や操作音、ガイダンス情報などが、スピーカ3から出力される。
【0078】
(本発明に係るデジタルカメラの詳細説明)
このデジタルカメラは、スナップ動画撮影機能を有する。このスナップ動画撮影を実行する制御プログラム90’はフラッシュROM58に格納されている。
【0079】
CPU40は、動画撮影モードでは、シャッタボタンSW1の操作によるスナップ動画モードでの撮影中に、注目点動画像指定部の指示の都度注目点動画像時間指定部により指定された時間分の注目点動画像がメモリカード29に記録されるようにこのメモリカード29を制御する。
【0080】
そのシャッタボタンSW1は、動画モードでは、動画データの記録部への記録開始と記録停止とを指示する操作部として機能する。
メモリカード29は、画像信号処理部46からの画像データを動画モードでの撮影中に動画データとして記録可能な記録部として機能する。
【0081】
注目点動画像指定部は、動画モードでの撮影中に動画撮影により得られる動画像の中から切り出して保存しておきたい一連の動画像としての注目点動画像を指定する機能を有し、注目点動画像時間指定部は、注目点動画像の開始から終了までの切り出し時間を指定する機能を有する。
この注目点動画像指定部、注目点動画像時間指定部の詳細については、以下に説明するスナップ動画撮影の際の処理を説明しつつ説明する。
【0082】
動画モードでの撮影中に注目点動画像指定部を操作して、動画撮影により得られた動画像の中から切り出して保存しておきたい一連の動画像を注目点動画像という。図5は、動画モードでの撮影の実時間を示し、符号GUは動画撮影中に切り出して保存しておきたい一連の動画像としての注目点動画像を示している。
【0083】
(注目点動画像GUの指定)
その注目点動画像GUの指定には、シャッタボタンSW1とは別のスイッチが用いられる、例えば、デジタルカメラの背面に設けられているセルフタイマ/削除スイッチSW9(図3参照)を用いて指定することができる。この注目点動画像GUの指定に用いるスイッチは、動画撮影時にボタン操作をしてもカメラワークが乱れない位置に設けられているスイッチを用いるのが望ましい。
【0084】
例えば、図6に示すようなビデオカメラ99の場合には、液晶表示装置100Aの左端側にボタンBOを設け、右手でビデオカメラ本体を図6に示すようにホールドしながら、左手で液晶画面100Aの左下を摘むようにして注目点動画像GUの指定を行うことにすると、カメラを安定させて動画撮影を行いつつ、注目点動画像GUを指定できる。
【0085】
図6に示すビデオカメラ99の場合、ボタンBOが注目点動画像指定部として機能する。図1〜図3に示すデジタルカメラの場合、例えば、セルフタイマ/削除スイッチSW9が注目点動画像指定部として機能する。
【0086】
なお、セルフタイマ/削除スイッチSW9を用いて、注目点動画像GUを指定する構成とする場合、動画モードでの撮影時にのみ注目点動画像GUを指定する注目点動画像指定機能を発揮する。すなわち、動画モードでの撮影を行っていないときには、セルフタイマ/削除スイッチSW9としての通常機能を発揮するように制御プログラム90’を作成すれば良い。
【0087】
この注目点動画像GUの指定は、動画モードでの撮影の際に、都度、すなわち、何回でも指定することができる。セルフタイマ/削除スイッチSW9を押して注目点動画像データGUを指定すると、図3に示すLCDモニタ12の画面に注目点動画像GUが指定されたことを意味するメッセージを表示して、ユーザーが確認できるようにしても良い。
【0088】
以上の例においては、動画モードでの撮影の開始及び停止スイッチとして機能するシャッタボタンSW1とは別のスイッチであるセルフタイマ/削除スイッチSW9を用いて注目点動画像GUを指定することにして説明した。
【0089】
しかしながら、タッチ式のLCDモニタの場合には、例えば、タップ操作により注目点動画像GUを指定しても良い。また、例えば、図示を略す赤外線リモートコントロール受信部を有するデジタルカメラの場合、リモートコントロール端末機器の赤外線信号を用いて注目点動画像GUを都度指定する構成としても良い。
【0090】
(タッチパネル式の液晶表示装置による注目点動画像GUの指定の例)
図7はタッチパネル式の液晶表示装置による注目点動画像GUの指定の例を示している。図7(a)は、タップ操作による注目点動画像GUの指定を示し、図7(b)は、プレスアンドホールドによる注目点動画像GUの指定を示し、図7(c)はドラッグによる注目点動画像GUの指定を示す。
【0091】
タップ操作とは、図7(a)に示すように、指FuでLCDモニタの画面Giを軽く叩く操作を言い、符号Gjはそのタップ操作により凹んだモニタの画面Giの部分を模式的に示している。このタップ操作はマウスのクリックに相当する。
【0092】
プレスアンドホールドとは、指FuでLCDモニタの画面Giを適宜箇所を押さえつける動作を一定時間継続する状態を言い、符号Gkはそのプレスアンドホールド操作により凹んだモニタの画面Giの部分を模式的に示している。このプレスアンドホールド操作はマウスの右クリックに相当する。
【0093】
ドラッグ操作とは、指FuでLCDモニタの画面Giを押さえつつ指Fuを画面Gi上でずらす操作を言い、符号Glはそのドラッグ操作によるモニタの画面Gi上での軌跡を示している。
このタッチ式の液晶表示装置の場合、モニタの画面Giが注目点動画像指定部として機能する。
【0094】
以下に、動画像データからスナップ動画を設定するための設定手順、その注目点動画像GUの切り出し時間、切り出し開始位置等の設定手順について説明する。
この実施例では、注目点動画像GUの切り出し時間、切り出し開始位置等の設定は、セットアップモードのメニュー画面において設定される。
【0095】
図2に示すモードダイアルSW2を操作して、「セットアップモード」を選択すると、LCDモニタ12の画面Giがメニュー画面になり、図8(a)に示すように、スナップ動画撮影モード設定を含む各種のメニューが表示される。
【0096】
上/フラッシュスイッチSW5、右スイッチSW6、下/マクロスイッチSW7、左/画像確認スイッチSW8を操作して、カーソルCaを「スナップ動画モード」の項目に位置させ、OKスイッチSW11を操作することにより設定を確定する。
【0097】
ついで、各スイッチSW5〜SW8を操作して「次へ」に位置させ、OKスイッチSW11を操作することにより設定を確定する。すると、LCDモニタ12の画面Giがメニュー画面から図8(b)に示す動画像切り出し時間設定画面に遷移する。
【0098】
この動画像切り出し時間設定画面では、スナップ動画撮影時間の設定値として、3秒、5秒、10秒、カスタムの4種類が表示されている。この実施例では、LCDモニタ12のメニュー画面が注目点動画像の切り出し時間を指定する注目点動画像時間指定部としての役割を果たす。
【0099】
各スイッチSW5〜SW8を操作してカーソルCaを「3秒」に設定すると、実撮影時間中のうちの3秒間の動画像が切り出される。同様に「5秒」を設定すると、実撮影時間中のうち5秒間の動画像が切り出される。「10秒」を設定すると、実撮影時間中のうち10秒間の動画が切り出される。「カスタム」を設定すると、「1秒」単位で、動画像の切り出し時間を設定することができる。
【0100】
ついで、各スイッチSW5〜SW8を操作して「次へ」に位置させ、OKスイッチSW11を操作することにより設定を確定する。すると、LCDモニタ12の画面Giが動画像切り出し時間設定画面から図8(c)に示すスナップ動画像切り出し開始位置設定画面に遷移する。
【0101】
このスナップ動画像切り出し開始位置設定画面においては、[中央重点]、[先頭]、[最後]、[カスタム]の四種類のうちの一つを設定可能である。
[中央重点]とは、図9(a)に示すように、動画像の切り出し時間の中央値を基準にして、過去に遡って、(−[スナップ動画時間]/2)秒の時間位置を切り出し開始時間位置とし、未来方向に(+[スナップ動画時間]/2)秒の経過時間位置を切り出し終了時間位置として、[スナップ動画切り出し時間]分の動画像を切り出すことを言う。
【0102】
すなわち、例えば、セルフタイマ/削除スイッチSW9が注目点動画像指定部の場合、このセルフタイマ/削除スイッチSW9が操作された時点を動画像の切り出し時間の中央値として、その前側の(−[スナップ動画時間]/2)秒の時間位置を切り出し開始時間位置に設定され、その後側の(+[スナップ動画時間]/2)秒の経過時間位置を切り出し終了時間位置に設定される。
【0103】
[先頭]とは、図9(b)に示すように、動画像切り出し時間の先頭時間位置を切り出し開始時間位置とし、この切り出し開始時間位置を基準として未来方向に(+[スナップ動画時間])秒の経過時間位置を切り出し終了時間位置として[スナップ動画時間]分の動画を切り出すことを言う。すなわち、セルフタイマ/削除スイッチSW9が操作された時点が切り出し開始時間位置に設定され、切り出し開始時間経過後の時間位置が切り出し終了時間位置に設定される。
【0104】
[最後]とは、図9(c)に示すように、動画切り出し時間の最後を切り出し終了時間位置とし、この切り出し終了時間位置を基準として過去に遡って、(−[スナップ動画時間])秒の時間位置を切り出し開始位置として[スナップ動画時間]分の動画を切り出すことを言う。
すなわち、セルフタイマ/削除スイッチSW9が操作された時点が切り出し終了時間位置に設定され、過去に遡って、(−[スナップ動画時間])秒の時間位置が切り出し開始位置に設定される。
【0105】
[カスタム設定]とは、図9(d)に示すように、「1秒」から[スナップ動画撮影時間]で設定された時間を最大値として、1秒単位で切り出し開始時間位置を設定することを言う。
なお、この[カスタム設定]の場合、動画撮影時に何回でも設定できる。スイッチを押して、注目点動画像GUを決定すると、LCDモニタ12の画面上にメッセージを表示して注目点動画像GUが設定されていることをユーザーに認識させるようにするのが望ましい。なお、符号「n」はスナップ動画像撮影時間(注目点動画像)を示す。
【0106】
これらの例では、[スナップ動画撮影時間]をセットアップモードのメニュー画面で設定することにしているが、例えば、タッチパネル式のLCDモニタの場合、これらの代わりに以下に説明する構成として良い。
【0107】
例えば、LCDモニタの画面にタッチした後、LCDモニタの画面から指を離さないというプレスアンドホールドのタッチ操作により注目点動画像としてのスナップ動画像の切り出し開始時間位置を指示し、プレスアンドホールドを継続している期間の動画像データを切り出す構成としても良い。
また、このプレスアンドホールドの代わりに、セルフタイマ/削除スイッチSW9を押している期間の動画像を切り出す構成とすることも可能である。
【0108】
この実施例では、[スナップ動画モード]の設定をメニュー画面を用いて設定するようにしたが、ユーザの撮影意図は被写体状況により常に変化するので、メニューをいちいち設定するのは困難な場合が考えられる。
【0109】
この場合、以下に説明する構成を採用しても良い。
例えば、セルフタイマ/削除スイッチSW9の「短押し」により、「中央重点」による切り出し開始時間位置を設定し、セルフタイマ/削除スイッチSW9の「長押し」により先頭位置を切り出し開始時間位置に設定する構成としても良い。タッチ式のLCDモニタの場合でも、シングルタップにより「中央重点」による切り出し開始時間位置の設定、ダブルタップにより、「先頭位置」を切り出し開始時間位置とすることもできる。
【0110】
(スナップ動画撮影の概要)
次に、図10を参照しつつこのスナップ動画撮影の概要を説明する。時間は左側から右に向かって過去から未来に流れているものとする。動画像切り出し時間は、ここでは、「3秒」に設定され、「中央重点」により切り出し開始時間位置が設定されているものとする。シャッタボタンSW1の押下操作により、実時間の動画撮影を行っているものとする。シャッタボタンSW1の押下操作が解除されるまで、この動画撮影は継続実行されるものとする。
【0111】
時刻t1において、セルフタイマ/削除スイッチSW9を操作して、スナップ動画撮影を指示すると、時刻t1よりも「1.5秒」前の時刻t0が切り出し開始時間位置に設定され、この時刻t0から3秒経過後の時刻t2までの時間分の動画像データが切り出されて、CPU40によりメモリカード29に記録される。
【0112】
また、時刻t1から所定時間が経過した任意の時刻t4において、セルフタイマ/削除スイッチSW9を操作して、スナップ動画撮影を指示すると、時刻t4よりも「1.5秒」前の時刻t3が切り出し開始時間位置に設定され、この時刻t3から3秒経過後の時刻t5までの時間分の動画像データが切り出されて、CPU40によりメモリカード29に記録される。
【0113】
ついで、任意の時刻t7において、スナップ動画撮影を指示すると、時刻t7よりも「1.5秒」前の時刻t6が切り出し開始時間位置に設定され、この時刻t6から3秒経過後の時刻t8までの時間分の動画像データが切り出されて、CPU40によりメモリカード29に記録される。
【0114】
このようにして、切り出された一連の動画像データが動画像ファイルとしてメモリカード29に記録保存される。
この「中央重点」によるスナップ動画像の切り出しによれば、最も注目する場面の前後の場面を含む動画像を切り出すことができるというメリットが考えられる。
【0115】
「先頭」によるスナップ動画像の切り出しによれば、ユーザーが期待する場面が切り出し開始場面よりも若干後到来すると予測される場合に有効であると考えられる。
「最後」によるスナップ動画像の切り出しによれば、ユーザーのセルフタイマ/削除スイッチSW9の操作が遅れた場合でも、ユーザーが期待する動画像の切り出しを行うことができるというメリットが考えられる。
なお、元の長い動画像データを動画ファイルとしてメモリカード29に記憶させる構成としても良いし、元の長い動画像データを廃棄する構成とすることもできる。
【0116】
動画ファイルは、例えば、図11に示すように、MPEG方式では、「GOP」と呼ばれる単位で符号化されている。ここで、「GOP」(Group of Pictures)とは、MPEG規格において定められている動画を構成する最小の単位構造を言う。本実施例では、「GOP」を用いて説明しているが、MPEG-4 AVC H.264等、他の動画圧縮符号化形式を用いてもよい。
なお、その図11において、「hdr」は画像データのヘッダーを示し、「PCM」は音声等のアナログ信号をパルス列に変換するパルス符号変調を言い、「idx」は一連の動画像データの終わりを示す。
【0117】
動画再生中でもスナップ動画撮影を可能とするために、例えば、MPEG方式では、GOPを0.5秒等割り切れる数値に設定し、「GOP」の境界で分割点を決定する。
このように「GOP」を決定すれば、元の動画データや音声データを復号し、再度符号化せずに、動画像を切り出すことができる。この実施例では、動画像の分割の単位を0.5秒としている。従って、スナップ動画像を3秒間に設定する場合、図11に示すように、6個の「GOP」により構成される。
【0118】
デジタルカメラやビデオカメラ等の各電子機器では、図12に示すように、FATファイル・システムが利用されている。記録媒体はセクタ (sector) と呼ばれるブロック単位で読み書きが行われる。このセクタは、 MS-DOSからの伝統に従って512 Bytes が標準的な大きさとなっている。なお、クラスタとGOP、PCMとの間には一定の対応関係がある。
【0119】
実際のファイルは、セクタを更にまとめたクラスタ (cluster) 単位によって読み書きを行う。1クラスタは、複数 (1〜 64) 個のセクタをまとめたものである。このため、一般に知られているように、たとえ、1バイトのファイルであろうとも、1クラスタ分の容量を記録媒体上で占有することになる。
【0120】
このセクタのうち、ファイルとクラスタの関係を管理し、ファイルのデータが配置されていることを示すテーブルをFAT(File Allocation Table)と呼ぶ。1つのファイルは連続したクラスタに配置することもできるし、飛び飛びのクラスタに配置することもできる。
【0121】
動画ファイルを記憶媒体としての記録部(例えば、メモリカード29)に記録するとき、動画分割の単位をクラスタ境界に合わせるように記録すれば、動画を分割する時に余分なコピー処理が不要となったり、動画を切り出すときに、クラスタ単位で読み出しができるので、動画を分割したり、切り出したりする速度を高速にできる。
【0122】
以上、実施例においては、動画撮影中に注目点動画像GUを指定することにしたが、動画再生中にも注目点を指定する構成とすることもできる。
例えば、再生モードによる動画データの再生中に、注目点動画像の切り出し開始時間位置を指定する切り出し開始時間位置指定部を更に設け、CPU40は、動画データの再生中に、切り出し開始時間位置指定部の操作の都度切り出し開始時間位置指定部により指定された切り出し開始時間位置から切り出し時間分の注目点動画像が切り出されてメモリカード29に記録されるようにこのメモリカード29を制御する構成としても良い。
【符号の説明】
【0123】
29…メモリカード(記録部)
40…CPU(制御部)
46…画像信号処理部(画像処理部)
80…CCD(撮像部)
SW1…シャッタボタン(操作部)
SW9…セルフタイマ/削除スイッチ(注目点動画像指定部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開2006‐174318号公報
【特許文献2】特開2011‐010215号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光束を受光して光電変換することにより画像信号を出力する撮像部と、該撮像部からの画像信号が入力されて画像データを作成する画像処理部と、該画像処理部からの前記画像データを動画モードでの撮影中に動画データとして記録可能な記録部と、前記動画データの前記記録部への記録開始と記録停止とを指示する操作部と、前記動画モードでの撮影中に動画撮影により得られる動画像の中から切り出して保存しておきたい一連の動画像としての注目点動画像を指定する注目点動画像指定部と、前記注目点動画像の切り出し時間を指定する注目点動画像時間指定部と、前記操作部の操作による前記動画モードでの撮影中に、前記注目点動画像指定部の指示の都度、前記注目点動画像時間指定部により指定された切り出し時間分の前記注目点動画像が前記記録部に記録されるように該記録部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記注目点動画像時間指定部により指定された時点を切り出し時間の中央位置を基準にして前記注目点動画像の切り出し開始時間位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記注目点動画像時間指定部により指定された時点を切り出し時間の先頭位置として前記注目点動画像の切り出し開始時間位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記注目点動画像時間指定部により指定された時点を切り出し時間の最後位置として前記注目点動画像の切り出し開始時間位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記操作部はシャッターボタンであり、前記注目点動画像指定部は前記シャッターボタンを除く操作部を構成する各スイッチの一つであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記操作部はシャッターボタンであり、前記注目点動画像指定部は、タッチパネル式のモニタ画面であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記注目点動画像時間指定部は、液晶表示装置のモニター画面のセットアップメニュー画面に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
再生モードによる動画データの再生中に、前記注目点動画像の切り出し開始時間位置を指定する切り出し開始時間位置指定部を更に備え、
前記制御部は、前記動画データの再生中に、前記切り出し開始時間位置指定部の操作の都度、該切り出し開始時間位置指定部により指定された切り出し開始時間位置から前記切り出し時間分の前記注目点動画像が切り出されて前記記録部に記録されるように該記録部を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−58976(P2013−58976A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197149(P2011−197149)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】