説明

撮影機器

【課題】簡単な操作で、顔部等に処理を施した撮影画像を得る。
【解決手段】 撮影機器は、被写体を撮影して得た撮影画像を出力する撮像部と、前記撮影画像中の特定の領域を非公開領域として検出する検出部と、前記被写体の撮影に際して、前記非公開領域の少なくとも一部を覆うマスク画像を前記撮影画像に合成して合成画像を生成する合成制御部とを具備する。これにより、非公開領域が認識不能となり、非公開領域を含む画像が記録又は送信等された場合でも、個人情報等を保護することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アップロード用の撮影画像等の撮影に好適な撮影機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮影機能付き携帯機器(撮影機器)は、画像処理を駆使して、様々な撮影機能を備えている。また、撮影機器においては、通信機能を備えたものもあり、撮影して得た画像を他の機器やネットワーク上に伝送することも可能である。
【0003】
例えば、自分の周りで起こった日常を撮影して得た撮影画像を、インターネット等のネットワーク上にアップロードして、第3者との間で画像共有して楽しむこともできる。しかしながら、街の風景などの撮影時には、意図せず、撮影画像内に人の顔などが入ってしまうことがある。このような撮影画像が画像共有されると、肖像権やプライバシーの観点から好ましくない。
【0004】
そこで、特許文献1においては、画像中の顔部にモザイクをかけることでプライバシーを保護する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、モザイク処理に必要な設定が煩雑であるという問題があった。
【0007】
本発明は、簡単な操作で、顔部等に処理を施した撮影画像を得ることができる撮影機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る撮影機器は、被写体を撮影して得た撮影画像を出力する撮像部と、前記撮影画像中の特定の領域を非公開領域として検出する検出部と、前記被写体の撮影に際して、前記非公開領域の少なくとも一部を覆うマスク画像を前記撮影画像に合成して合成画像を生成する合成制御部とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な操作で、顔部等に処理を施した撮影画像を得ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮影機器の回路構成を示すブロック図。
【図2】合成モードの利用形態を説明するための説明図。
【図3】撮影画像と合成画像を説明するための説明図。
【図4】カメラ制御を説明するためのフローチャート。
【図5】図4中の合成画像作成処理を説明するためのフローチャート。
【図6】仮記憶部14の記憶内容を模式的に説明するための説明図。
【図7】仮記憶部14の記憶内容を模式的に説明するための説明図。
【図8】仮記憶部14の記憶内容を模式的に説明するための説明図。
【図9】合成画像の表示例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施の形態に係る撮影機器の回路構成を示すブロック図である。本実施の形態は、撮影時に、撮影画像中の顔部等を非公開領域として検出し、この領域にマスク画像を合成して処理を行うモード(以下、合成モードという)での撮影を可能にするものである。本実施の形態の撮影機器においては、常に合成モードでの撮影を行うように構成してもよく、また、撮影画像をそのまま処理する通常モードと合成モードとを切換え可能に構成してもよい。
【0013】
図1において、撮影機器本体10は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子によって構成された撮像部11を有している。撮像部11は、撮影機器本体10の前面に設けられた交換レンズ20からの被写体像を光電変換して撮影画像信号を得る。
【0014】
交換レンズ20は、撮影機器本体10の撮像部11に被写体像を導く撮影光学系21を有している。撮影光学系21は、円筒状の部分を有するレンズ収納部21a及びレンズを駆動制御するためのリング状の操作部22を備えている。操作部22はレンズ収納部21aの周方向に回動自在であると共に、光軸方向にスライド自在に構成されている。
【0015】
回転操作判定部23は、例えばフォトカプラやエンコーダー等によって構成されており、操作部22の回転操作に基づく操作信号を制御部25に出力するようになっている。また、スライド位置判定部24は、例えば、複数のスイッチ等によって構成されており、操作部22のスライド操作に基づく操作信号を制御部25に出力するようになっている。制御部25は、マイコン等によって構成される。
【0016】
回転操作判定部23からの操作信号は操作部22の回転位置に対応しており、制御部25は、操作部22の回転位置に応じたフォーカス信号を生成して駆動部26を制御する。撮影光学系21には図示しない複数のレンズが設けられており、モーター等によって構成された駆動部26はこれらのレンズを駆動してレンズ位置を変更し、ズーム制御及びフォーカス制御を行う。操作部22を回転操作することで、回転操作に応じたピント微調整が行われる。
【0017】
スライド位置判定部24は、操作部22のスライド位置として2つの状態を判定可能に構成することができる。制御部25は、スライド位置の判定結果に基づいて、ピント合わせのモードとして通常モードとパンフォーカスモードとを切換える。例えば、制御部25は、スライド位置判定部24によってスライド位置が一方の位置であることが示された場合には、通常モードを設定して操作部22の回転操作に基づくピント微調整を行う。
【0018】
一方、制御部25は、スライド位置が他方の位置であることが示された場合には、駆動部26を制御してレンズを駆動し、特定の距離にピントが合うようにパンフォーカス制御を行う。この場合には、制御部25は、操作部22の回転操作に基づいてパンフォーカス設定の距離を変更する。
【0019】
撮影光学系21にはピント制御部21bが設けられており、ピント制御部21bはレンズの位置に対応した信号をピント位置判定部27に出力する。ピント位置判定部27は、ピント制御部21bの出力に基づいてピント位置を判定して判定結果を制御部25に出力する。制御部25のピント換算部25aは、回転操作の判定結果及びピント位置の判定結果が与えられ、操作部22の回転操作とレンズの移動量との換算を行って、ピント位置が回転操作に基づく所定の位置になるように、駆動部26を制御する。
【0020】
交換レンズ20には、通信部28が設けられている。また、撮影機器本体10には通信部13が設けられている。通信部28は、所定の伝送路を介して撮影機器本体10の通信部13との間で情報の送受を行う。制御部25は、撮影機器本体10の通信部13との間の通信が確立すると、図示しないメモリに格納したレンズ情報を通信部28,13によって撮影機器本体10に送信させることができる。これにより、撮影機器本体10は、交換レンズ20がどのようなズーム機能を有しているか、ズームレンズの倍率、焦点距離、明るさナンバーや、ピント合わせのモード等を認識することができる。また、制御部25は、通信部13,28介して撮影機器本体10の信号処理及び制御部12から制御信号が供給されて、信号処理及び制御部12によって制御可能に構成されている。
【0021】
なお、本実施の形態においては種々の交換レンズを採用することができる。図1では、回転及びスライド自在の操作部22によってピント合わせのモードを設定可能な交換レンズを採用する例を示したが、撮影機器本体側でパンフォーカスモードを設定可能にしてもよく、ピント合わせのモードの設定機能や通信機能等を有していない交換レンズを採用してもよく、あるいは交換不能なレンズを採用してもよい。
【0022】
撮影機器本体10の撮像部11は、信号処理及び制御部12によって駆動制御されて、交換レンズ20を介して被写体を撮影し、撮影画像を出力する。信号処理及び制御部12は、撮像部11に撮像素子の駆動信号を出力すると共に、撮像部11からの撮影画像を読み出す。信号処理及び制御部12は、読み出した撮影画像に対して、所定の信号処理、例えば、色調整処理、マトリックス変換処理、ノイズ除去処理、その他各種の信号処理を行う。
【0023】
本実施の形態においては、撮影機器本体10には、仮記憶部14及び顔検出部16が設けられている。仮記憶部14は、信号処理及び制御部12による信号処理後の撮影画像を仮記憶することができるようになっている。また、信号処理及び制御部12は、撮影画像を顔検出部16にも与える。
【0024】
顔検出部16は、公知の顔検出の手法によって、撮影画像中の人物の顔を検出する。例えば、顔検出部16は、顔の明るさの特徴をモデル化した複数の濃淡画像と撮影画像とを順次比較することで、人物の顔を検出する手法を採用してもよい。また、顔検出部16は、例えば笑顔の場合における口角の角度や目尻の角度、顔パーツの陰影の特徴を記憶したデータベースを利用することで、顔の表情を判定することもできる。更に、顔検出部16は、多数の人物の顔の特徴量を記憶したデータベースを利用することで、撮影された人物の年齢、性別等を判定することも可能である。
【0025】
信号処理及び制御部12は、顔検出部16の検出結果が与えられる。信号処理及び制御部12は、大きさ及び位置判定部12aを有しており、大きさ及び位置判定部12aは、顔検出の検出結果によって、撮影画像中の顔部の大きさ及び位置を判定する。また、信号処理及び制御部12は、コントラスト判定部12bを有しており、コントラスト判定部12bは、撮影画像中の顔部及びその周囲のコントラストを判定する。なお、コントラスト判定部12bは、交換レンズ20のピント合わせ処理にも用いられる。
【0026】
信号処理及び制御部12は、信号処理後の撮影画像を仮記憶部14に与える。また、信号処理及び制御部12は、撮影時には、ROM15に記憶されているマスク画像を読み出して仮記憶部14に記憶させるようになっている。なお、信号処理及び制御部12は、ROM15に記憶されているマスク画像の他に、ユーザが図示しないメモリに記録している画像をマスク画像として読み出して仮記憶部14に記憶させるようにしてもよい。
【0027】
信号処理及び制御部12は、リサイズ処理部12c及び合成制御部12dを有している。リサイズ処理部12cは、仮記憶部14に記憶されているマスク画像を読み出して、大きさ及び位置判定部12aの大きさの判定結果に従ってマスク画像の拡大又は縮小処理(以下、リサイズ処理という)を行う。合成制御部12dは、仮記憶部14に記憶されている撮影画像を読み出し、顔部の大きさに従ってリサイズ処理されたマスク画像(顔部合成画像)を、大きさ及び位置判定部12aの位置の判定結果に従って、撮影画像の顔部の位置に合成した合成画像を生成する。合成制御部12dは、合成画像を仮記憶部14の合成画像記憶部14aに記憶させる。
【0028】
信号処理及び制御部12は、仮記憶部14に記憶されている撮影画像、マスク画像及び合成画像を読み出して表示部19に与える。表示部19はLCD(液晶表示パネル)等によって構成されており、信号処理及び制御部12から与えられた画像を表示する。
【0029】
また、信号処理及び制御部12は、仮記憶部14に記憶されている撮影画像や合成画像を読み出して圧縮処理し、圧縮後の画像を記録部17に与えて記録させることができる。記録部17としては、例えばカードインターフェースを採用することができ、記録部17はメモリカード等の記録媒体に画像情報及び音声情報等を記録可能である。
【0030】
また、撮影機器本体10には、操作判定部18も設けられている。操作判定部18は、図示しないレリーズボタンや、撮影モード設定等の各種スイッチ等を有しており、ユーザ操作に基づく操作信号を発生して信号処理及び制御部12に供給する。信号処理及び制御部12は、操作信号に基づいて、各部を制御する。
【0031】
更に、撮影機器本体10にはタッチパネル19aが設けられている。例えば、タッチパネル19aを表示部19の表示画面上に設けることで、ユーザが指で指し示した表示画面上の位置に応じた操作信号を発生することができる。これにより、ユーザは、表示部19の表示画面上に表示された画像に対する選択操作等を簡単に行うことができる。
【0032】
信号処理及び制御部12は、各部を制御することで、ユーザ操作に基づく撮影モードを設定して、各撮影モードに応じた撮影機能を実現する。例えば、信号処理及び制御部12は、操作判定部18から合成モードを指示するための図示しないスイッチの操作に基づく操作信号が入力されると、合成モードを設定することができるようになっている。
【0033】
また、信号処理及び制御部12は、操作部22のスライド操作によってパンフォーカスモードが設定された場合には、自動的に合成モードを設定するようにしてもよい。また、信号処理及び制御部12は、オートフォーカスモードが設定された場合や、所定の時間以内にレリーズボタンを押し終える(一気押し)の場合等において、合成モードを設定するようにしてもよい。
【0034】
合成モード時においては、信号処理及び制御部12は、ユーザ操作に応じて、マスク画像の合成処理、マスク画像の変更処理、合成画像から合成されたマスク画像を除去するマスク画像除去処理を、各顔部毎に実施することができるようになっている。また、信号処理及び制御部12は、マスク画像の合成処理、変更処理及び除去処理時における撮影画像、マスク画像及び合成画像を表示させることができると共に、これらの処理後の撮影画像及び合成画像を記録部17に与えて記録させることができるようになっている。
【0035】
撮影機器本体10には、通信部31が設けられており、通信部31は、信号処理及び制御部12に制御されて、記録部17に記録された合成画像をインターネット等の図示しない伝送路を介して他の機器に送信することができるようになっている。例えば、信号処理及び制御部12は、通信部31によって、記録部17に記録された合成画像を自動的に送信するモードを設定することができる。
【0036】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図2乃至図9を参照して説明する。図2は合成モードの利用形態を説明するための説明図であり、図3は撮影画像と合成画像を説明するための説明図である。
【0037】
本実施の形態においては、パンフォーカスモードを設定することができる。パンフォーカスモードにおいては、予めパンフォーカスの距離を設定しておくことで、撮影時におけるピント合わせを不要にするものである。パンフォーカスモードを設定すると、例えば、散策中等において、気に入った風景をとっさに撮影する場合等においても、シャッターチャンスを逃さない撮影が容易となる。ネットワーク上の記録領域に撮影画像をアップロードして写真共有する場合等においては、このような撮影方法によって撮影されることが多い。
【0038】
図2(a)はこのような撮影方法が採用される場面の例を示している。撮影者41は、道路42上を歩行中である。撮影者41の前方には、ビル群43やタワー44等の建造物等の風景が見渡せる。ここで、撮影者41が前方の風景を撮影しようとするものとする。図2(b)に示すように、撮影者41は手45によってカメラ46を構えて撮影を行う。この場合において、撮影範囲内に、人物47が存在することがある。パンフォーカスモードは、手早く撮影を行う場合に適したものであり、このような撮影時に、ピント合わせが不要で簡単に撮影できる反面、意図しない人物が撮影されてしまうことがある。このような場合に、撮影画像をそのまま画像共有のためにアップロードすると、個人情報保護の観点から好ましくない。
【0039】
そこで、本実施の形態においては、撮影時において、このような人物の顔部等にマスク画像を合成する合成モードを採用し、撮影画像中の人物を判別不能にする。図3(a)は撮影画像を示し、図3(b)は合成画像を示している。
【0040】
図3(a)は撮影された画像51中に、建物の画像52及び人物の画像53が撮影されている様子を示している。画像51においては、人物の顔部の画像54が写された状態を示している。図3(b)は図3(a)の撮影画像中の人物の顔部の画像54上に、マスク画像55を合成した合成画像51bの一例を示している。図3(a),(b)の比較から明らかなように、図3(b)の合成画像51bにおいては、顔の画像54の大部分はマスク画像55によって覆い隠されており、合成画像51bに写された人物を特定することはできない。
【0041】
次に、図4乃至図8を参照して合成モードを可能にするカメラ制御について説明する。図4はカメラ制御を説明するためのフローチャートであり、図5は図4中の合成画像作成処理を説明するためのフローチャートである。また、図6乃至図8は仮記憶部14の記憶内容を模式的に説明するための説明図である。
【0042】
なお、図4はオートフォーカスモード及びパンフォーカスモードを指定するユーザ操作を検出して合成モードを設定する例について示しているが、他の所定の操作、例えば、2段階で押下するシャッターボタンを短時間で一気に押し終える一気押し操作を検出して、合成モードを設定してもよく、また、撮影時にはユーザ操作に拘わらず、常に合成モードを設定するようにしてもよい。
【0043】
例えば、撮影者が、交換レンズ20の操作部22をスライドさせる操作によって、制御部25はパンフォーカスモードを設定することができる。パンフォーカスモードが設定されたことを示す情報は、制御部25から通信部28,31を介して撮影機器本体10の信号処理及び制御部12に供給される。このように、ピント合わせ用の操作部22をスライドさせるという簡単な操作によって、パンフォーカスモードを設定して、自動的に合成モードに移行することができる。
【0044】
更に、通常モードから合成モードへの移行は、撮影機器本体10の姿勢又は振動等を検出することで行ってもよい。例えば、手早く撮影行おうとした場合には、撮影機器本体10を撮影位置に構える場合のように、姿勢が安定していない状態、或いは、直前に撮影機器本体10の振動が大きくなる状態等が生じることがあるので、このような状態を検出することで、合成モードに移行するようにしても良い。
【0045】
図4のステップS1において、信号処理及び制御部12は撮影モードであるか否かを判定する。いま、撮影モードが指示されているものとする。この場合には、信号処理及び制御部12は、ステップS2において、スルー画の表示及び顔検出を行う。信号処理及び制御部12は撮像部11からの撮影画像を取り込んで、所定の信号処理を施す。信号処理及び制御部12は、信号処理後の撮影画像を顔検出部16に出力すると共に、信号処理後の撮影画像を表示部19に与えてスルー画を表示させる。
【0046】
また、信号処理及び制御部12は、ROM15からマスク画像を読み出して仮記憶部14に記憶させる。図6は仮記憶部14の記憶領域61内に4つのマスク画像FA,FC,MA,MCが格納されていることを模式的に示している。
【0047】
信号処理及び制御部12は、ステップS3においてオートフォーカスモードが指定されているか否かを判定し、指定されている場合にはステップS4においてオートフォーカスモードを設定し、ステップS5で撮影操作の有無を判定する。
【0048】
ここで、撮影者がレリーズボタン等の操作によって撮影を行うものとする。この場合には、信号処理及び制御部12は、次のステップS6に移行して、オートフォーカス又はパンフォーカスが設定されているか否かを判定する。
【0049】
オートフォーカス又はパンフォーカスが設定されていない場合等においては、信号処理及び制御部12は、通常モードを設定して撮影及び圧縮記録を行う(ステップS7)。即ち、信号処理及び制御部12は、レリーズボタンの押下によって、撮像部11からの撮影画像を取り込んで、所定の信号処理を行う。信号処理及び制御部12は、信号処理後の撮影画像を圧縮して、記録部17に与えて記録する。また、信号処理及び制御部12は、ステップS8において、記録した撮影画像を表示部19にも与えてレックビュー表示させる(ステップS8)。
【0050】
信号処理及び制御部12は、レックビュー表示の開始から所定時間経過後に(ステップS9)、レックビュー表示を終了させる(ステップS10)。信号処理及び制御部12は、次のステップS11において、記録した撮影画像の通信が可能な状態で有るか否かを判定(ステップS11)した後、通信可能であれば、ステップS12において、通信部31を制御して、記録した撮影画像を所定のネットワークに送信する。
【0051】
ここで、撮影者が、オートフォーカスモード、パンフォーカスモードを指定する操作や、シャッターボタンを短時間に押し終える(一気押し)操作を行うものとする。この場合には、信号処理及び制御部12は、合成モードを設定する。
【0052】
例えば、撮影に際して、撮影者が交換レンズ20の操作部22をスライド操作して、パンフォーカスモードを指定している場合には、信号処理及び制御部12は、ステップS6から処理をステップS15に移行して、合成モードのための撮影と仮記憶を行う。
【0053】
ステップS15〜S24は合成モードの処理を示している。信号処理及び制御部12は、レリーズボタンの押下によって撮像部11から転送された撮影画像を取り込んで信号処理した後、信号処理後の撮影画像を仮記憶部14に与えて仮記憶させる。信号処理及び制御部12は、ステップS16においてマスク画像(顔部合成画像)を作成し、撮影画像と合成した合成画像を作成する。
【0054】
図5は合成画像作成の具体的なフローの一例を示している。
【0055】
顔検出部16には、レリーズボタン等の撮影操作によって得られた撮影画像が信号処理及び制御部12から供給され、顔検出部16は、撮影画像中の顔検出処理を行う。更に、顔検出部16は、撮影画像中の顔から当該人物の性別及び小児か否かを検出すると共に、顔の表情についても検出する。顔検出部16の検出結果は信号処理及び制御部12に与えられる。
【0056】
信号処理及び制御部12は、顔検出部16の検出結果を元に、ステップS51において顔が女性のものであるか否か、ステップS52,53において顔が小児のものであるか否かを判定する。信号処理及び制御部12は、顔が男性の大人であると判定した顔部については、仮記憶部14から男性で大人用のマスク画像MAを選択して顔部合成画像に用いる(ステップS57)。同様に、信号処理及び制御部12は、顔が男性の小児であると判定した顔部については、仮記憶部14から男性の小児用のマスク画像MCを選択し(ステップS56)、顔が女性の大人であると判定した顔部については、仮記憶部14から女性の大人用のマスク画像FAを選択し(ステップS55)、顔が女性の小児であると判定した顔部については、仮記憶部14から女性の小児用のマスク画像FCを選択して(ステップS54)、顔部合成画像に用いる。
【0057】
信号処理及び制御部12の大きさ及び位置判定部12aは、顔検出部16の検出結果に基づいて、撮影画像中の顔部の大きさ及び位置を判定する(ステップS60)。リサイズ処理部12cは、各顔毎に選択されたマスク画像を、各顔の大きさに応じて夫々リサイズする(ステップS61)。更に、信号処理及び制御部12は、ステップS62において、撮影画像中の各顔毎に顔の表情を判定し、表情に応じてマスク画像を選択すると共に変形させる。例えば、性別毎、大人と小児毎に複数のマスク画像が用意されている場合には、表情に応じてマスク画像を選択することができる。更に、選択したマスク画像を表情に応じて変形させることもできる。
【0058】
また、信号処理及び制御部12のコントラスト判定部12bは、撮影画像中の顔部及びその周囲のコントラストを判定する(ステップS64)。信号処理及び制御部12は、選択したマスク画像のコントラストを顔部のコントラストに比べて十分に高く又は低くする(ステップS65)。顔のコントラスト以外にも、背景のコントラストや色の判定結果を利用してもよい。また輪郭の太さを切り換えても良い。その場合は、ステップS65の前で、顔部の周辺のコントラストや色を判定するステップを設ければよい。
【0059】
合成モード時には、顔部を加工していることを明確に表した方がよいことが考えられる。このため、例えば顔のコントラストを求め、そのコントラストよりも高いコントラストのマスク画像を合成することで、顔部をマスク画像で置き換えたことが明確になるようにする。また、顔部の色を検出し、マスク画像を顔部の色よりも濃い色に補正するようにしてもよい。また、顔部の色が濃い人物については、薄い色のマスク画像を顔部に重ねるようにしてもよい。例えば、黒い顔の人物が撮影されている場合には、その顔部に白い花のマスク画像を合成する等の方法が考えられる。また、顔部の背景に対して、コントラストや色合いを強調したマスク画像を合成するようにしてもよい。これによって、背景や顔部から分離して見えるようにして、マスク画像であることを鑑賞者に分かりやすく認識できるようにすると共に、はっきりさせすぎて不自然にならないようにすることができる。
【0060】
信号処理及び制御部12の合成制御部12dは、選択されてリサイズ、変形等が加えられたマスク画像を撮影画像の顔部に重ねた合成画像を生成して、仮記憶部14の合成画像記憶部14aに記憶させる。
【0061】
図7は仮記憶部14及び合成画像記憶部14aに記憶されている撮影画像62a、マスク画像FA,FC,MA,MC及び合成画像62bの一例を示している。図7は図3(a),(b)の撮影画像に対応した例を示しており、仮記憶された撮影画像62aには、人物の画像が含まれており、信号処理及び制御部12は、この人物が女性の小児であるものと判定し、女性の小児用のマスク画像FCを選択した例を示している。そして、図7の例では、信号処理及び制御部12が、撮影画像62aの人物の顔部に、選択した後にリサイズ、変形等を加えたマスク画像FCを重ねて合成した合成画像62aを生成したことを示している。
【0062】
合成画像の作成が終わると、信号処理及び制御部12は、ステップS17において、この合成画像の記録の前にレックビュー表示を開始する。信号処理及び制御部12は、合成画像記憶部14aから合成画像を読み出して、表示部19に与えて表示させる。こうして、表示部19の表示画面上において、図3(b)に示す合成画像が表示される。
【0063】
レックビュー表示の表示開始から所定時間が経過するまでは、ステップS21〜S24においてマスク画像の解除、設定操作が可能である。ユーザが撮影画像中のマスク画像が合成された顔部(以下、合成顔部という)を選択する操作、例えば、タッチパネル19aが設けられた表示部19の表示画面上の合成顔部の位置をタッチする操作を行うと(ステップS21)、この操作に応じた操作信号が信号処理及び制御部12に与えられ、信号処理及び制御部12は、合成画像からマスク画像を除去した画像を生成して(ステップS22)、合成画像記憶部14aに記憶させる。
【0064】
図8はこの例を示しており、合成画像記憶部14aに記憶されている画像62bは、マスク画像が除去されている。信号処理及び制御部12は、図8に示す画像62bを表示部19に与えて表示させる。即ち、表示部19の表示画面上には、図3(a)に示す画像が表示されることになる。なお、説明の便宜上、一度合成処理された画像は、マスク画像が除去されたとしても合成画像と言うことがある。
【0065】
この状態で、ユーザが画像中の顔部を選択する操作、例えば、表示部19の表示画面上の顔部の位置をタッチする操作を行うと(ステップS23)、この操作に応じた操作信号が信号処理及び制御部12に与えられ、信号処理及び制御部12は、画像上に再度マスク画像を合成した合成画像を生成して(ステップS24)、合成画像記憶部14aに記憶させる。即ち、この場合には、合成画像記憶部14aには、図7に示す合成画像62bが記憶されることになる。信号処理及び制御部12は、図7に示す合成画像62bを表示部19に与えて表示させる。即ち、表示部19の表示画面上には、再度図3(b)に示す画像が表示されることになる。
【0066】
レックビュー表示の表示開始から所定時間が経過するまで、マスク画像の解除、設定操作が可能であり、信号処理及び制御部12は、所定時間経過すると、ステップS18からステップS19に処理を移行して、合成画像記憶部14aに記憶されている画像を記録部17に与えて記憶させる。信号処理及び制御部12は、ステップS20においてレックビュー表示を終了させた後、処理をステップS11に移行する。こうして、ステップS12では、撮影画像中の人物の顔部にマスク画像を合成した合成画像を記録すると共に、アップロードすることが可能となる。
【0067】
また、図4の例では、マニュアルフォーカス時においても、合成画像を表示して合成画像を確認することができるようになっている。信号処理及び制御部12は、ステップS3,S31においてオートフォーカス又はパンフォーカスが指定されているか否かを判定し、いずれも指定されていない場合には、ステップS32において顔部がタッチされたか否かを判定する。レリーズボタンが押下される前のレックビュー表示時において、表示画面上の顔部がタッチされた場合には、信号処理及び制御部12は、処理をステップS33に移行して、合成画像を表示する。なお、ステップS33の処理はステップS16と同様の処理であり、レックビュー画像中の人物の顔部に、選択されたマスク画像がリサイズ、変形等の処理が施された後合成されて表示される。
【0068】
撮影モードが指定されていない場合には、信号処理及び制御部12は、ステップS41において再生モードが指定されているか否かを判定する。再生モードが指定された場合には、信号処理及び制御部12は、記録部17に記録されている画像を読み出し、伸張処理等の所定の信号処理を施した後、表示部19に与えて再生表示させる。信号処理及び制御部12は、ステップS43において再生画像の変更操作が行われていたか否かを判定し、他の画像を指定する変更操作があった場合には、指定された他の画像を読み出し、伸張処理等の所定の信号処理を施した後、表示部19に与えて再生表示させる(ステップS44)。
【0069】
信号処理及び制御部12は、ステップS41において再生モードが指定されていないと判定した場合には、ステップS45において通信可能で未送信の画像が記録部17に記録されているか否かを判定する。信号処理及び制御部12は、通信可能な未送信の画像が存在する場合には、ステップS46において、当該未送信画像を読み出し、通信部31によってネットワーク上に送信させる。
【0070】
なお、図4のフローチャートでは、ステップS21〜S24において、マスク画像の解除、設定を行う例について説明したが、マスク画像の解除、設定の他にマスク画像の変更を可能にするようにしてもよい。例えば、信号処理及び制御部12は、仮記憶部14に格納されているマスク画像の一部又は全部をレックビュー表示時に合成画像に重ねて表示させるようにしてもよい。図9はこの場合の表示例を示す説明図である。図9において、レックビュー画像71には、人物の顔部72にマスク画像73が合成されている。このレックビュー画像71の所定の領域には、選択可能な複数のマスク画像74が配置表示されている。
【0071】
ユーザが変更前後のマスク画像を指定する操作を行うものとする。例えば、表示されているマスク画像のうち変更後のマスク画像として選択したいマスク画像をタッチしながらスライドさせて変更したい合成顔部又は顔部の位置に移動させる、即ち、ドラッグ操作することで、このような指定が可能である。
【0072】
信号処理及び制御部12は、この操作に応答して、ユーザによって指定されたマスク画像を選択して、大きさ及び位置判定部12a、コントラスト判定部12b、リサイズ処理部12c及び合成制御部12dにより、選択したマスク画像に対して、リサイズ、変形等の処理を施した後、処理後のマスク画像を指定された合成顔部のマスク画像と入れ替える又は新たに顔部に合成する。これにより、レックビュー表示期間であれば、マスク画像の設定、変更、解除を自由に行うことが可能である。
【0073】
このように本実施の形態においては、撮影時において、撮影画像中の人物の顔部に、自動的にマスク画像を重ねた合成画像を生成することができる。これにより、撮影直後に記録した撮影画像をネットワーク上にアップロードする場合等においても、撮影された人物の個人情報を保護することができる。また、撮影者は、撮影時においてマスク画像が合成された合成画像を記録するか、マスク画像が合成されていない通常の撮影画像を記録するかを選択すると共に、簡単な操作でマスク画像を指定して合成することができ、利便性に優れている。更に、通常モードから合成モードへの移行は、パンフォーカスモードの設定操作等の極めて簡単な操作で行うことができ、操作性に優れている。
【0074】
なお、上記実施の形態においては、通常モードから合成モードへの移行は、撮影機器本体の物理的な状態の変化を検出することで行ったが、撮影画像の状態によってモードの移行を行うようにしてもよい。例えば、撮影操作時において、撮影画像の中央に十分な大きさで人物が位置する場合には、この人物を被写体として撮影することを意図したものと考えることできるので、通常モードを設定する。逆に、スルー画中の被写体の動きを検出し、画面の中心から外れる方向に移動する人物、或いは移動量が大きい人物について、撮影を意図しない被写体であるものと判定して、これらの人物の顔部にマスク画像を合成する合成モードを設定するようにしてもよい。また、スルー画中の人物のうち、移動する人物は撮影を意図しない被写体と判定してマスク画像を合成し、移動しない人物は撮影を意図した被写体と判定してマスク画像を合成しないようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態においては、人物の顔部の略全体を覆うマスク画像を合成する例について説明したが、目及びその周囲等の顔の一部のみを覆うマスク画像、顔部及び顔部周囲の部分まで覆うマスク画像、或いは人物全体を覆うマスク画像を合成するようにしてもよいことは、明らかである。
【0076】
また、上記実施の形態においては、合成画像記憶部に記憶された合成画像のみをアップロードすると共に記録部に与えて記録する例について説明したが、合成画像だけでなく合成前の撮影画像についても同様に記録するようにしてもよい。更に、信号処理及び制御部によって、合成画像記憶部に記憶された合成画像については、圧縮した後通信部に与えてネットワーク上にアップロードすると共に、合成前の撮影画像については、圧縮処理した後記録部に与えて記録するようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態においては、撮影画像から人物の顔部を検出してマスク画像を合成する例について説明したが、撮影画像中の非公開としたい領域、例えば、撮影画像中の看板や住所表示等の文字列の画像を検出して、文字列の画像を覆うマスク画像を合成するものにも同様に適用可能である。
【0078】
さらに、上記実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話やスマートフォンなど携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも勿論構わない。
【0079】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0080】
なお、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップは、発明の本質に影響しない部分については、適宜省略も可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
10…撮影機器本体、11…撮像部、12…信号処理及び制御部、12a…大きさ及び位置判定部、12b…コントラスト判定部、12c…リサイズ処理部、12d…合成制御部、13,28,31…通信部、14…仮記憶部、14a合成画像記憶部、16…顔検出部、17…記録部、19…表示部、19a…タッチパネル、21…撮影光学系、22…操作部、23…回転操作判定部、24…スライド位置判定部、25…制御部、26…駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して得た撮影画像を出力する撮像部と、
前記撮影画像中の特定の領域を非公開領域として検出する検出部と、
前記被写体の撮影に際して、前記非公開領域の少なくとも一部を覆うマスク画像を前記撮影画像に合成して合成画像を生成する合成制御部と
を具備したことを特徴とする撮影機器。
【請求項2】
前記合成制御部は、所定のユーザ操作に応答して、前記マスク画像を合成する合成モードを自動的に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影機器。
【請求項3】
前記所定のユーザ操作は、オートフォーカスモード或いはパンフォーカスモードを指定する操作又はレリーズボタンを一気押しする操作である
ことを特徴とする請求項2に記載の撮影機器。
【請求項4】
前記検出部は、
人物の顔部を前記非公開領域として検出する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の撮影機器。
【請求項5】
前記合成画像を前記撮影画像の記録又は送信前に表示する表示制御部
を具備したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の撮影機器。
【請求項6】
前記検出部は、前記人物の顔部の特徴を検出し、
前記合成制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、複数のマスク画像から前記撮像画像に合成するマスク画像を選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の撮影機器。
【請求項7】
前記合成制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記マスク画像をリサイズして前記撮像画像に合成する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮影機器。
【請求項8】
前記検出部は、前記人物の顔部の背景のコントラストを検出し、
前記合成制御部は、前記検出部によるコントラストの検出結果に基づいて、前記マスク画像を強調する
ことを特徴とする請求項4に記載の撮影機器。
【請求項9】
前記合成制御部は、前記表示制御部によって表示された合成画像に対するユーザ操作に応答して、前記マスク画像の合成を解除可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の撮影機器。
【請求項10】
前記合成制御部は、前記表示制御部によって表示された合成画像に対するユーザ操作に応答して、合成されているマスク画像の合成を解除して他のマスク画像を合成可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の撮影機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−115656(P2013−115656A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260773(P2011−260773)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】