説明

撮影装置

【課題】撮影装置において、環境負荷を小さくするためにユーザが具体的に対応をとれるようにする。
【解決手段】CPU50は、フラッシュメモリ71から前回の開始電圧及び終了電圧を読み出して前回の撮影で使用された消費電力を算出し、積算電力使用量,当日電力使用量にそれぞれ加算する。環境負荷演算部74は、積算電力使用量,当日電力使用量にそれぞれ電力原単位を乗算して現時点での積算使用時環境負荷,当日使用時環境負荷を算出する。CPU50は、1コマあたりの積算使用時環境負荷,当日使用時環境負荷と1コマ標準使用時環境負荷とを比較し、1コマあたりの積算使用時環境負荷及び/又は1コマあたりの当日使用時環境負荷が1コマ標準使用時環境負荷よりも大きい場合には、撮影条件のうちどの項目が使用過剰であるかを調べて警告文及びCO排出量をLCD22の画面に表示する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮影装置に関し、さらに詳しくは環境負荷を表示する機能を有する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球資源保護および地球環境保護の観点から、家電製品、OA機器等の機器を製造するメーカ、これらの機器を使用するユーザに対して地球環境負荷の低減が強く求められるようになってきた。このような環境負荷を定量的に評価する手法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)が注目されている。
【0003】
LCAとは、製品およびサービスが、資源の採取から製品の製造、輸送、使用、廃棄、リサイクルなどのライフサイクル全体にわたって、環境に及ぼす影響を客観的に評価する手法の一つである。LCAの原則は、国際標準化機構の規格ISO14040に明文化され、そのまま日本工業規格(JISQ 14040)となっている。LCAは、製品などの全ライフサイクルの環境負荷の評価及び改善のためのツールとして注目されている。
【0004】
このようなLCAの手法を適用して、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などの撮影装置についても環境負荷を定量的に評価することが考えられる。デジタルカメラの場合、製造時の環境負荷(製造環境負荷)については、製造メーカが素材、投入電力量等の環境負荷に影響を与えるファクターを把握し、これらを、例えばCO2 の排出量に換算することにより定量的に把握することが可能である。その結果をインターネット上で公開するエコリーフ環境ラベル(http://www.jemai.or.jp/CACHE/ecoleaf_news.cfm)という制度も運用されている。
【0005】
また、複写機などの基本的に一定の場所に固定された状態で使用される機器については、使用中の環境負荷を測定又は算出し、その結果をユーザに対して表示するという技術(例えば特許文献2)、電気製品(洗濯乾燥機)の使用時において環境負荷を評価して環境負荷が小さくなるように運転制御するという技術(例えば特許文献3)が開示されている。
【特許文献1】特開2005−332006号公報
【特許文献2】特開2001−356648号公報
【特許文献3】特開2004−105266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デジタルカメラなどの撮影装置では、上記特許文献3記載のように装置側がかってに環境負荷が小さくなるように駆動方法を変更する訳にはいかない。また、上記特許文献2記載のように環境負荷の測定結果を表示しても、それに対してユーザが具体的にどのような対応をとれば環境負荷を小さくできるのか、最適な対応方法が分からないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、環境負荷を小さくするためにユーザが具体的に対応をとれるようにする撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮影装置は、ユーザが購入後最初に使用を開始してから現時点に至るまでの電源電池の積算使用量に基づく累積的な使用時の環境負荷である現時点での累積使用時環境負荷を求める累積使用時環境負荷算出部と、ユーザが購入後最初に使用を開始してから現時点に至るまでの累積的な撮影コマ数をカウントする累積コマ数カウンタと、撮影当日の最初にユーザが使用を開始してから撮影当日内の現時点に至るまでの電源電池の積算使用量に基づく環境負荷である現時点での当日使用時環境負を求める当日使用時環境負荷算出部と、撮影当日内に撮影される当日撮影コマ数をカウントする当日コマ数カウンタと、全ての撮影コマについて少なくともフラッシュ使用の有無を含む撮影条件を記憶する撮影条件記憶部と、前記現時点での累積使用時環境負荷と累積撮影コマ数とから1撮影コマあたりの累積使用時環境負荷である1コマ累積使用時環境負荷を求めるとともに、前記現時点での当日使用時環境負荷と当日撮影コマ数とから1撮影コマあたりの当日使用時環境負荷である1コマ当日使用時環境負荷を求め、これらと予め設定された標準的な撮影条件下での1撮影コマあたりの使用時環境負荷である標準1コマ使用時環境負荷とをそれぞれ比較する比較演算部と、前記1コマ累積使用時環境負荷及び/又は1コマ当日使用時環境負荷が標準1コマ使用時環境負荷よりも大きい場合に今後の撮影条件を見直すように促す警告表示を表示部に表示する制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記電源電池の交換又は充電を検知する検知部と、前記電源電池の種別を判断する種別判断部と、前記電源電池の種別ごとに1回の電池交換又は1回の充電により実際に撮影された撮影コマ数である実撮影コマ数を記憶する実撮影コマ数記憶部と、前記電源電池の種別ごとに1回の電池交換又は1回の充電により前記標準的な撮影条件下で撮影される標準撮影コマ数を予め記憶している標準撮影コマ数記憶部とを有し、前記制御部は、前記電源電池の種別ごとに、前記電源電池が交換又は充電される度に実撮影コマ数と標準撮影コマ数とを比較し、前記実撮影コマ数が標準撮影コマ数よりも少ない場合に、前記表示部に今後の撮影条件を見直すように促す警告表示を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の撮影装置によれば、現時点での累積使用時環境負荷と累積撮影コマ数とから1コマ累積使用時環境負荷を求めるとともに、現時点での当日使用時環境負荷と当日撮影コマ数とから1コマ当日使用時環境負荷を求め、これらと標準1コマ使用時環境負荷とをそれぞれ比較し、1コマ累積使用時環境負荷及び/又は1コマ当日使用時環境負荷が標準1コマ使用時環境負荷よりも大きい場合には、今後の撮影条件を見直すように促す警告表示を行うので、環境負荷を小さくするためにユーザが具体的な対応(撮影条件の見直し)をとることができる。
【0011】
また、電源電池の種別ごとに電源電池が交換又は充電される度に実撮影コマ数と標準撮影コマ数とを比較し、実撮影コマ数が標準撮影コマ数よりも少ない場合には、今後の撮影条件を見直すように促す警告表示を行うので、環境負荷を小さくするためにユーザが具体的な対応(撮影条件の見直し)をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態であるデジタルカメラを示す図1において、デジタルカメラ10のカメラボディ11の前面には、沈胴式の撮影レンズ12、ストロボ発光部14、オートフォーカス(AF)補助光投光窓15及び調光センサ16が設けられている。
【0013】
また、カメラボディ11の左手側面には、図示していないが、メモリカード67(図3参照)を装着するためのカードスロットが設けられている。このメモリカード67としては、例えばxD−ピクチャーカード(商標)が用いられる。
【0014】
また、カメラボディ11の上面には、回転させることによりオートやマニュアル等の撮影モードを切り替えるリング状のモード切替ダイヤル18,この中心部に設けられたシャッタボタン19,その側方に電源ボタン20が配設されている。
【0015】
また、カメラボディ11の底面部には、開閉蓋21が開閉自在に配置されており、この開閉蓋21によって開閉される電源収容室には、デジタルカメラ10の電源としての充電式の二次電池であるバッテリパック76(図3参照)が着脱可能に装填される。
【0016】
前記バッテリパック76は、電源収容室から取り出して専用のバッテリチャージャで充電される他、デジタルカメラ10をクレードルに装着することにより、電源収容室に装填したまま充電される。また、デジタルカメラ10は、前記バッテリパック76の代わりに、アルカリ電池などの一次電池も使用可能である。
【0017】
図2に示すように、カメラボディ11の背面には、液晶ディスプレイ(LCD)22,ズームボタン24,多機能の十字ボタン26,メニュー/実行ボタン27,液晶表示/戻るボタン28,再生モードボタン31,フォトモードボタン32が設けられている。
【0018】
前記LCD22は、撮影時に電子ファインダとして使用されるとともに、撮影した画像のプレビュー画やメモリカード67から読み出した再生画像の他、環境負荷に係る警告文33(図4参照)などが長方形をした画面22a上に表示される。また、前記十字ボタン26を使用したメニューの選択や各メニューにおける各種項目の設定などもLCD22の画面22aを用いて行われる。
【0019】
前記環境負荷は、デジタルカメラ10のライフサイクル全体で使用されるエネルギーや天然資源、また、ライフサイクル全体から環境へ排出される水質汚濁物質など、地球環境に負荷を与えて地球温暖化を促進するものであり、一般に温室効果ガスであるCO2 の排出量に換算して表される。
【0020】
前記ズームボタン24は、右端部24aを押圧することで望遠(TELE)方向にズーミングを行い、左端部24bを押圧することで広角(WIDE)方向にズーミングを行う。前記十字ボタン26は、上下左右のいずれかの縁部を押圧することによって、対応する4方向(上、下、左、右)の指示を入力でき、メニュー画面における各種設定項目の選択や設定内容の変更を指示する操作ボタンとして使用されるとともに、電子ズームの倍率調整や再生コマの送り/戻しを指示する手段として用いられる。
【0021】
前記メニュー/実行ボタン27は、各モードの通常画面からメニュー画面へ遷移させる時に使用されるとともに、選択内容の確定、処理の実行(確認)指示の時などに使用される。
【0022】
前記液晶表示/戻るボタン28は、撮影モードや再生モードで一定時間が経過すると省エネのためにLCD22のバックライトが消灯されるが、この消灯状態に押圧すると、LCD22のバックライトが点灯される。また、前記液晶表示/戻るボタン28は、メニューから選んだ項目の取消(キャンセル)や一つ前の操作状態に戻る時などに使用される。
【0023】
前記再生モードボタン31は、これを押圧操作すると、撮影された画像をLCD22に再生表示する。前記フォトモードボタン32は、標準色調の「F−スタンダード」,風景や花の撮影に最適な色彩を実現する「F−クローム」などの設定や、記録画素数,感度,プリント予約の各設定を行う際に使用される。
【0024】
デジタルカメラ10の電気的構成を示す図3において、CPU50は、操作部51から入力される各種の操作信号に応じて、I/Oバス52を介してデジタルカメラ10の各部を制御する。前記操作部51には、前記モード切替ダイヤル18,シャッタボタン19,電源ボタン20,ズームボタン24、十字ボタン26、液晶表示ボタン28等が含まれる。
【0025】
撮影レンズ12は、レンズ52と絞り53からなる。前記レンズ52は、バリエータレンズである前群レンズと、フォーカシング機能をもったコンペンセータレンズである後群レンズとからなる。前記レンズ52は、ステッピングモータを含むレンズ駆動機構54によって駆動され、光学ズーム倍率の変更と焦点調節が行われる。
【0026】
前記絞り53は、モータを含む絞り駆動機構55によって駆動されて絞り径が切り換えられる。前記レンズ駆動機構54及び絞り駆動機構55は、CPU50に制御されるモータドライバ56,57によって駆動される。
【0027】
撮影レンズ12の背後には、CCD58が配置されている。このCCD58は、CCD駆動部59によって駆動される。スルー画表示の際にはCCD58からフィールド画(偶数フィールド又は奇数フィールド)の撮像信号が読み出され、CDS/AMP回路60に入力される。また、本番撮影時にはCCD58からフレーム画の撮像信号が読み出され、CDS/AMP回路60に入力される。
【0028】
前記CDS/AMP回路60は、相関二重サンプリング回路(CDS)と、増幅器(AMP)とからなる。CDSは、CCD58が出力した撮像信号からR,G,Bのアナログ画像信号を生成する。AMPは、前記R,G,Bのアナログ画像信号を増幅する。
【0029】
前記CDS/AMP回路60で増幅された撮像信号は、A/D変換器62によりデジタルの画像データに変換された後、デジタル信号処理回路63に送られ、輪郭強調処理,メディアンフィルタ,コアリング処理や自動ホワイトバランス等が施される。この画像データがスルー画表示用の場合には、SDRAM70に一時的にストアされた後、ビデオエンコーダ65を介してLCD22に送られ、スルー画が表示される。なお、前記SDRAM70には、連続した2フィールド画分を記憶するスルー画用のメモリエリアがあり、一方から読み出し中に、他方に書き込みをする。
【0030】
また、前記デジタル信号処理回路63から出力された画像データが本番撮影によるもの(フレーム画)である場合には、前記SDRAM70に一時的にストアされた後、圧縮処理回路64で圧縮処理が施されてから、メディアコントローラ66を介してメモリカード67に記憶される。
【0031】
前記I/Oバス52には、前記デジタル信号処理回路63,圧縮処理回路64,メディアコントローラ66,SDRAM70等の他に、AE検出回路68,AF検出回路69,フラッシュメモリ71,電源電圧測定部72,環境負荷演算部74及びカウンタ77が接続されている。
【0032】
前記AE検出回路68は、撮像信号の輝度信号を積分演算し、得られた輝度積分値を測光データとしてCPU50に送る。CPU50は、前記輝度データに基づいて自然光だけでは被写体輝度が不足であると判断した場合には、ストロボ装置78を駆動してストロボ発光部14を発光する。このストロボ発光の停止は、調光センサ16からストロボ装置78に入力される信号に基づいて行われる。
【0033】
前記AF検出回路69は、撮像信号を空間周波数成分に分解し、このうち高周波数成分のコントラストデータをCPU50に送る。CPU50は、モータドライバ57を介してレンズ駆動機構55を制御し、フォーカシングレンズを光軸方向に進退させて、被写体像の高周波数成分のコントラストが最も高くなる位置で停止させる。
【0034】
前記SDRAM70は、画像データを一時的に記憶するフレームメモリとして使用される他、各種演算等を行う際のワークメモリとして使用される。また、前記フラッシュメモリ71は、周知の不揮発性メモリであり、後述する1コマ標準使用時環境負荷や標準撮影条件,この標準撮影条件の下で撮影可能とされる標準撮影コマ数などの各種のデータや各種のプログラム,各種制御用のパラメータなどが記憶されている。
【0035】
前記電源電圧測定部72は、デジタルカメラ10の電源ON操作の直後に行われる撮影レンズ12の繰り出し等の一連の撮影準備動作を経て訪れる無負荷状態でのバッテリパック76の電圧(開始電圧)と、デジタルカメラ10の電源OFF操作直後に行われる撮影レンズ12の沈胴等の一連の終了動作を経て訪れる無負荷状態でのバッテリパック76の電圧(終了電圧)とを測定する。これらの開始電圧及び終了電圧は、フラッシュメモリ71に記憶される。
【0036】
CPU50は、前記電源電圧測定部72で測定され、フラッシュメモリ71に記憶されている前回の開始電圧及び終了電圧をフラッシュメモリ71から読み込み、前記開始電圧から終了電圧を減算して、その値を電力使用量としてフラッシュメモリ71に記憶する。
【0037】
前記電力使用量は、ユーザがデジタルカメラ10を購入後初めて使用を開始してから現時点(厳密には前回使用終了時点)まで積算してフラッシュメモリ71に記憶され、現時点での積算電力使用量として環境負荷の演算用に使用される。また、前記電力使用量は、撮影当日内でも(日付ごとに)積算してフラッシュメモリ71され、現時点(厳密には前回使用終了時点)での当日電力使用量として環境負荷の演算用に使用される。
【0038】
前記電力使用量は、撮影レンズ12のズーミングの有無,ストロボ(フラッシュ)発光の有無などの撮影条件によって変動する。この撮影条件は、全ての撮影コマごとにフラッシュメモリ71に記憶される。また、フラッシュメモリ71には、バッテリパック76の充電時の日時も記録される。
【0039】
前記カウンタ77は、ユーザが購入後最初に使用を開始してから現時点に至るまでの累積撮影コマ数をカウントするとともに、撮影当日内に撮影される当日撮影コマ数をカウントする。また、前記カウンタ77は、電源電池の種別(本実施形態では一次電池と二次電池)ごとに前回の電池交換(充電を含む)から今回の電池交換(充電を含む)までに実際に撮影された撮影コマ数である実撮影コマ数をカウントする。また、累積撮影コマ数,当日撮影コマ数,電池種別ごとの実撮影コマ数は、それぞれフラッシュメモリ71に記憶される。
【0040】
前記環境負荷演算部74は、前記フラッシュメモリ71に記憶された積算電力使用量に、予め決められた電力原単位を乗算することにより、積算使用時環境負荷としてのCO2 排出量を算出する。なお、電力原単位とは、単位電力当たりのCO2 排出量である。また、前記環境負荷演算部74は、前記当日電力使用量に電力原単位を乗算することにより、当日使用時環境負荷としてのCO2 排出量を算出する。また、このように算出された積算使用時環境負荷及び当日使用時環境負荷は、前記フラッシュメモリ71に記憶される。
【0041】
なお、製造されてから販売,使用を経て廃棄されるまでのデジタルカメラ10のライフサイクル全体(デジタルカメラの生涯)に亘る全環境負荷は、デジタルカメラ10を製造する際に生じる製造時環境負荷、デジタルカメラ10を製造工場からユーザまで輸送する際に生じる輸送時環境負荷、デジタルカメラ10を使用する際に生じる使用時環境負荷、及びデジタルカメラ10を廃棄する際に生じる廃棄時環境負荷からなり、前記環境負荷演算部74は、このうちの使用時環境負荷を算出する。
【0042】
前記フラッシュメモリ71には、CIPA(カメラ映像機器工業会:Camera & Imaging Products Association)規格で定められた標準的な撮影条件(以下、標準撮影条件という)下で撮影された場合の1コマごとの標準的な使用時環境負荷(以下、1コマ標準使用時環境負荷という)が記憶されている。
【0043】
前記1コマ標準使用時環境負荷は、デジタルカメラ10を設計する際に決められ、デジタルカメラ10の全使用期間中に撮影されると予想される全撮影コマ数と、前記全使用期間中に標準撮影条件下で発生すると予想される全使用時環境負荷とを設定し、全使用時環境負荷を全撮影コマ数で除算して得られる。
【0044】
前記標準撮影条件は、記録メディアとしてxD-ピクチャーカード(商標)を使用し、液晶モニターON、温度23℃、30秒ごとに1回撮影、撮影ごとに光学ズームを広角側と望遠側で交互に繰り返して端点まで移動し、2回に1回フラッシュ(ストロボ)を発光、10回に1回電源をOFF/ONして撮影する、とCIPA規格で規定されている。
【0045】
CPU50は、前記積算使用時環境負荷を累積撮影コマ数で除算して得られる1コマあたりの積算使用時環境負荷と1コマ標準使用時環境負荷とを比較するともに、前記当日使用時環境負荷を当日撮影コマ数で除算して得られる1コマあたりの当日使用時環境負荷と1コマ標準使用時環境負荷とを比較する。この結果、1コマあたりの積算使用時環境負荷及び/又は1コマあたりの当日使用時環境負荷が1コマ標準使用時環境負荷よりも大きい場合には、各撮影コマごとの撮影条件を標準撮影条件と、ストロボ発光回数などの各項目ごとに比較する。
【0046】
そして、例えばストロボ発光回数が標準よりも上回っている場合には、図4に示すように、例えば「環境負荷が増大しています。画素数を小さくするか、Nモードでの撮影をお勧めします。CO排出量:***kg」というような警告文33を画面22aに表示する。なお、Nモードは、ストロボを使用しないで自然光のみで撮影するナチュラルモードである。また、標準撮影条件では、撮影画素数は規定していないが、これを小さくすれば、環境負荷はより小さくなることが知られている。
【0047】
このように構成されたデジタルカメラ10の作用を図5に示すフローチャートを参照して説明する。電源ボタン20を押圧操作して(st1)デジタルカメラ10の電源をONにすると、沈胴状態であった撮影レンズ12が繰り出されるなど、撮影準備動作が行われる。
【0048】
この後、デジタルカメラ10に対して何らの操作も行わないまま所定の時間(例えば30秒)が経過すると、バッテリパック76に全く負荷がかからない状態(無負荷状態)になる。なお、この無負荷状態は、例えば自動車のアイドリング状態にたとえられるように、厳密にはデジタルカメラ10内の各部に微弱電流が流れている。
【0049】
前記無負荷状態でバッテリパック76の開始電圧が電源電圧測定部72により測定される(st2)。CPU50は、この開始電圧から前回の電源OFF操作後に測定された終了電圧(OFF時電源電圧)を減算し、この値が0.6V以上であるか否か調べる(st3)。
【0050】
前記開始電圧が前回の終了電圧よりも0.6V以上高い場合には、前回の使用後に、バッテリパック76を充電したか、もしくはバッテリパック76をアルカリ電池などの一次電池に交換したと考えられる。本実施形態のバッテリパック76の充電直後の電圧は1.5V未満(約1.4V)であり、一般に市販されている新品のアルカリ電池は1.5V以上(約1.6V)であるから、前記開始電圧が1.5V以上であるか否かを調べる(st4)。
【0051】
前記開始電圧が1.5V以上である場合には、前回の使用後に旧いアルカリ電池から新品のアルカリ電池に交換したか、もしくはバッテリパック76から新品のアルカリ電池に交換したことを示すから、CPU50は、電池交換フラグと一次電池フラグの書込を行う(st5)。
【0052】
前記開始電圧が1.5V未満の場合には、前回の使用後にバッテリパック76を充電したか、もしくは旧いアルカリ電池を充電済みのバッテリパック76に交換したことを示すから、CPU50は、電池交換(この場合充電も含む)フラグと二次電池フラグの書込を行う(st6)。
【0053】
前記電池交換フラグと一次電池フラグの書込を行った後、CPU50は、一次電池に関する前回の電池交換から今回の電池交換までに実際に撮影された実撮影コマ数をフラッシュメモリ71から読み出し、予めフラッシュメモリ71に記憶されている一次電池による標準撮影コマ数と比較する(st7)。
【0054】
また、同様に電池交換フラグと二次電池フラグの書込を行った後、CPU50は、二次電池に関する前回の電池交換(充電を含む)から今回の電池交換(充電を含む)までの実撮影コマ数をフラッシュメモリ71から読み出し、予めフラッシュメモリ71に記憶されている二次電池による標準撮影コマ数と比較する(st7)。
【0055】
前記実撮影コマ数が標準撮影コマ数よりも小さい場合には、例えばストロボ発光の回数が標準撮影条件の回数よりも多いために電力を余計に消費したと考えられるから、CPU50は、図6に示すように、「1回の電池交換(充電)で撮影できる枚数が標準よりも少なくなっています。Nモードでの撮影をお勧めします。」などの警告文81をLCD22の画面22aに表示する(st8)。なお、実撮影コマ数が標準撮影コマ数よりも小さいか否かを判断する際に、実撮影コマ数と標準撮影コマ数との差に許容コマ数を設定してもよい。この許容コマ数は、例えば、一次電池では20コマ、二次電池では10コマとする。
【0056】
また、電池交換によって電源電池の種別が変わった場合には、実撮影コマ数と、比較される標準撮影コマ数とが対応しないが、一般には電源電池の種別を変更することはきわめて稀であるから、実害はない。なお、電源電池の種別をボタン操作などで入力できるようにしておき、電源電池の種別を変更した場合には、ユーザ自身で電源電池の種別を入力し直すことが望ましい。
【0057】
また、ステップ3(st3)において、前記開始電圧が前回の終了電圧よりも0.6V未満の高さである場合(開始電圧が前回の終了電圧よりも低い場合も含む)には、バッテリパック76の充電やアルカリ電池の交換を行っていないから、CPU50は、前記開始電圧をフラッシュメモリ71に記憶する(st9)。
【0058】
この後、CPU50は、フラッシュメモリ71から前回の開始電圧及び終了電圧を読み出して前回の撮影で使用された消費電力を算出し、フラッシュメモリ71に記憶されている積算電力使用量と当日電力使用量とにそれぞれ加算する。
【0059】
前記環境負荷演算部74は、フラッシュメモリ71に記憶された積算電力使用量に電力原単位を乗算して現時点での積算使用時環境負荷を算出するとともに、当日電力使用量に電力原単位を乗算して現時点での当日使用時環境負荷を算出し(st10)、これらはフラッシュメモリ71に記憶される。
【0060】
CPU50は、積算使用時環境負荷を累積撮影コマ数で除算して得られる1コマあたりの積算使用時環境負荷と1コマ標準使用時環境負荷とを比較するともに、当日使用時環境負荷を当日撮影コマ数で除算して得られる1コマあたりの当日使用時環境負荷と1コマ標準使用時環境負荷とを比較する(st11)。
【0061】
前記1コマあたりの積算使用時環境負荷及び/又は1コマあたりの当日使用時環境負荷が1コマ標準使用時環境負荷よりも大きい場合には、標準的な撮影条件を超えて撮影が行っている状況であると推測されるから、CPU50は、撮影条件のうちどの項目が使用過剰であるか各項目ごとに比較する。例えば、ストロボ発光回数が標準よりも上回っている場合には、警告文33及びCO排出量をLCD22の画面22aに表示する(図4参照)(st12)。
【0062】
また、ステップ11(st11)において、前記1コマあたりの積算使用時環境負荷及び/又は1コマあたりの当日使用時環境負荷が1コマ標準使用時環境負荷よりも小さいか同じ場合には、CPU50はCO排出量のみをLCD22の画面22aに表示する(st13)。
【0063】
また、CO排出量のみが表示される場合には、次の撮影に支障がないように、表示時間が例えば0.5秒間と非常に短く設定されているが、警告文33及びCO排出量が表示される場合には、例えばユーザがなんらかの操作を行うまで表示されたままにされる。
【0064】
この後、撮影を行ってゆくが、1コマ撮影を行うごとに、その撮影した際の撮影条件が撮影コマごとにフラッシュメモリ71に記憶される(st14)とともに、カウンタ77によって撮影コマ数がカウントされ、フラッシュメモリ71に記憶されている累積撮影コマ数,当日撮影コマ数,電池種別ごとの実撮影コマ数がインクリメントされる。
【0065】
撮影を終了して電源ボタン20を押圧操作すると(st15)、撮影レンズ12が沈胴動作を開始する。この沈胴動作が終わってバッテリパック76が無負荷状態になった直後に、電源電圧測定部72がバッテリパック76の電圧を測定する。この終了電圧がフラッシュメモリ71に記憶された後(st16)、デジタルカメラ10の電源がOFFにされる。
【0066】
以上説明した実施形態では、使用時環境負荷のCO排出量を表示するようにしたが、これに、製造時環境負荷,輸送時環境負荷、廃棄時環境負荷からなる既定の環境負荷を合算したCO排出量を表示するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、警告表示として、撮影画素数を小さくするかNモードでの撮影を勧める内容を採用したが、本発明はこれに限定されることなく、例えばズーミング操作を少なくするように促すものであってもよい。また、上記実施形態では、警告文の表示のみを行ったが、これに伴って警告音を発するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、CO排出量のみの表示時間を0.5秒間,警告文及びCO排出量の表示をユーザがなんらかの操作を行うまでとしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えばCO排出量のみの表示時間を1秒間,警告文及びCO排出量の表示を10秒間としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態は、撮影装置としてデジタルカメラを用いた例であったが、本発明はこれに限定されることなく、例えばカメラ付き携帯電話やカメラ付きPDAなどでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態であるデジタルカメラの外観を前面側から示す斜視図である。
【図2】デジタルカメラの外観を背面側から示す平面図である。
【図3】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】警告表示の一例を示すLCD画面の説明図である。
【図5】警告表示に係るシーケンスを示すフローチャートである。
【図6】警告表示の別の例を示すLCD画面の説明図である。
【符号の説明】
【0071】
10 デジタルカメラ
20 電源ボタン
22 LCD
33,81 警告文
50 CPU
67 メモリカード
70 SDRAM
71 フラッシュメモリ
72 電源電圧測定部
74 環境負荷演算部
76 バッテリパック
77 カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが購入後最初に使用を開始してから現時点に至るまでの電源電池の積算使用量に基づく累積的な使用時の環境負荷である現時点での累積使用時環境負荷を求める累積使用時環境負荷算出部と、
ユーザが購入後最初に使用を開始してから現時点に至るまでの累積的な撮影コマ数をカウントする累積コマ数カウンタと、
撮影当日の最初にユーザが使用を開始してから撮影当日内の現時点に至るまでの電源電池の積算使用量に基づく環境負荷である現時点での当日使用時環境負を求める当日使用時環境負荷算出部と、
撮影当日内に撮影される当日撮影コマ数をカウントする当日コマ数カウンタと、
全ての撮影コマについて少なくともフラッシュ使用の有無を含む撮影条件を記憶する撮影条件記憶部と、
前記現時点での累積使用時環境負荷と累積撮影コマ数とから1撮影コマあたりの累積使用時環境負荷である1コマ累積使用時環境負荷を求めるとともに、前記現時点での当日使用時環境負荷と当日撮影コマ数とから1撮影コマあたりの当日使用時環境負荷である1コマ当日使用時環境負荷を求め、これらと予め設定された標準的な撮影条件下での1撮影コマあたりの使用時環境負荷である標準1コマ使用時環境負荷とをそれぞれ比較する比較演算部と、
前記1コマ累積使用時環境負荷及び/又は1コマ当日使用時環境負荷が標準1コマ使用時環境負荷よりも大きい場合に今後の撮影条件を見直すように促す警告表示を表示部に表示する制御部と
を有することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記電源電池の交換又は充電を検知する検知部と、
前記電源電池の種別を判断する種別判断部と、
前記電源電池の種別ごとに1回の電池交換又は1回の充電により実際に撮影された撮影コマ数である実撮影コマ数を記憶する実撮影コマ数記憶部と、
前記電源電池の種別ごとに1回の電池交換又は1回の充電により前記標準的な撮影条件下で撮影される標準撮影コマ数を予め記憶している標準撮影コマ数記憶部とを有し、
前記制御部は、前記電源電池の種別ごとに、前記電源電池が交換又は充電される度に実撮影コマ数と標準撮影コマ数とを比較し、前記実撮影コマ数が標準撮影コマ数よりも少ない場合に、前記表示部に今後の撮影条件を見直すように促す警告表示を表示することを特徴とする請求項1記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−221467(P2007−221467A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39730(P2006−39730)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】