説明

撮影装置

【課題】レリーズボタンを半押しすることで撮影準備動作を行い,その後全押しすることで撮影を行う二段式レリーズボタンを備えた撮影装置において,ミスなく撮影することができるようにする。
【解決手段】レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し,その後全押しされることで撮影を行う第1の撮影モードに加え,レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を行い,その後,全押しだけでなく,再び半押しされた場合にも撮影を行う第2の撮影モードを設け,第1の撮影モードと第2の撮影モードを選択できるように構成する。第2の撮影モードでは,二段式レリーズボタンの操作に慣れていない者が撮影する場合でも,半押しで撮影が完了したと勘違いすることなく,確実に撮影を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に係り、特に二段式のレリーズボタンを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるAE(Automatic Exposure:自動露出)、AF(Auto Focus:自動焦点合わせ)機能を備えたカメラでは、レリーズボタンの「半押し」でAE/AFが作動し、「全押し」で撮影が行われる(たとえば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2004−274285号公報
【特許文献2】特開2002−320138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、カメラの操作に慣れていない者にとってレリーズボタンの「半押し」と「全押し」は区別がつきにくく、「半押し」で撮影が行われたものと勘違いして、シャッタチャンスを逃してしまうという問題が生じていた。特に、コンパクトタイプのデジタルカメラの場合、カメラボディに備えられたモニタの表示を見ながら撮影することが多く、機種によっては、このモニタの表示がレリーズボタンの半押しでフリーズしたり、ブラックアウトしたりし、半押しで撮影が完了したと勘違いするミスが多々生じていた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作に慣れていない者でもミスなく撮影することができる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し、全押しで撮影制御を実行する制御手段を備えた撮影装置において、前記制御手段は、前記レリーズボタンの半押しの解除でも撮影制御を実行することを特徴とする撮影装置を提供する。
【0006】
請求項1に係る発明によれば、レリーズボタンの半押し後、レリーズボタンを全押した場合だけでなく、半押しを解除した場合にも撮影が実行される。これにより、操作に慣れていない者であっても、シャッタチャンスを逃すことなく、確実に撮影することができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、撮影モードを第1モード又は第2モードに設定するモード設定手段を有し、前記制御手段は、前記第1モードに設定されると、前記レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し、全押しで撮影制御を実行する一方、前記第2モードに設定されると、前記レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し、半押しの解除又は全押しで撮影制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置を提供する。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、第1モードに設定すると、レリーズボタンの半押しで撮影準備が行われ、全押しで撮影が実行される。一方、第2モードに設定すると、レリーズボタンの半押しで撮影準備が行われ、半押しの解除又は全押しで撮影が実行される。このように請求項2に係る発明によれば、第1モードと第2モードを使い分けることができ、これにより操作性が向上する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記撮影装置は、撮像素子を用いて画像を撮像し、記憶メディアに記録するデジタルカメラであって、前記撮像素子で撮像された画像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された画像の記録又は消去を指示する指示手段と、前記指示手段による指示に応じて前記撮像手段で撮像された画像の前記記憶メディアへの記録又は消去を制御する記録制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影装置を提供する。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、撮像素子で撮像された画像が、記憶メディアに記録される前に一度、表示手段に表示される。そして、指示手段によって記憶メディアへの記録が指示された場合にのみ、撮像手段で撮像された画像が記憶メディアに記録される。これにより、撮影に失敗した画像が記憶メディアに記録されて、記憶メディアの容量を無駄に圧迫するのを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る撮影装置によれば、操作に慣れていない者でもミスなく確実に撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明に係る撮影装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0013】
図1、図2は、それぞれ本発明が適用されたデジタルカメラの示す正面斜視図と背面斜視図である。
【0014】
同図に示すように、本実施の形態のデジタルカメラ10のカメラボディ12は、横方向に細長い矩形の箱状に形成されている。
【0015】
カメラボディ12の正面には、図1に示すように、撮影レンズ14、ファインダ窓16、セルフタイマランプ17、ストロボ18、マイク20等が設けられており、上面には、レリーズボタン22、電源/モードスイッチ24、モードダイヤル26等が設けられている。
【0016】
また、カメラボディ12の背面には、図2に示すように、ファインダ接眼部28、ファインダランプ29、液晶モニタ30、ズームボタン32、十字ボタン34、MENU/OKボタン36、DISPボタン38、BACKボタン40、スピーカ42等が設けられている。
【0017】
なお、図示されていないが、カメラボディ12の底面には、開閉自在なカバーが設けられており、このカバーの内側にバッテリを収納するためのバッテリ収納室と、メモリカードを装填するためのメモリカードスロットとが設けられている。
【0018】
撮影レンズ14は、沈胴式のズームレンズで構成されており、デジタルカメラの電源を投入すると、カメラボディ12から繰り出される(撮影モード時)。
【0019】
セルフタイマランプ17は、LEDランプで構成されており、セルフタイマ撮影時、所定のタイミングで発光、点滅して、被写体に撮影のタイミングを告知する(たとえば、約5秒間点灯したのち点滅に変わり、さらに約5秒後に撮影が行われる)。
【0020】
レリーズボタン22は、いわゆる「半押し」と「全押し」とからなる二段式のスイッチで構成されている。デジタルカメラ10は、このレリーズボタン22の半押しで撮影準備、すなわちAE、AF、AWB(Automatic White Balance:自動ホワイトバランス)を行い、全押し又は半押しの解除で撮影を実行する。この点については、後に詳述する。
【0021】
電源/モードスイッチ24は、デジタルカメラ10の電源をON/OFFする電源スイッチとして機能するとともに、デジタルカメラ10のモードを設定するモードスイッチとして機能し、「OFF位置」、「再生位置」、「撮影位置」の間をスライド自在に設けられている。デジタルカメラ10は、この電源/モードスイッチ24を「再生位置」又は「撮影位置」に合わせることにより、電源がONになり、「OFF位置」に合わせることにより、電源がOFFになる。また、電源/モードスイッチ24を「再生位置」に合わせることにより「再生モード」に設定され、「撮影位置」に合わせることにより「撮影モード」に設定される。そして、デジタルカメラ10は「撮影モード」に設定されると、画像の記録が可能になり、「再生モード」に設定されると、記録済み画像の再生が可能になる。
【0022】
モードダイヤル26は、撮影モードの設定に用いられ、回転させて所定のポジションに設定することにより、カメラの撮影モードを所定のモード(たとえば、AUTOモード、プログラムモード、絞り優先モード、シャッタ速度優先モード、マニュアルモード等)に設定する。
【0023】
ファインダランプ29は、LEDで構成されており、デジタルカメラの動作状況に応じて発光、点滅される。たとえば、撮影時に撮影準備が完了すると点灯し、規定のシャッタスピード以下で撮影しようとすると点滅する。
【0024】
液晶モニタ30は、カラー表示が可能な液晶ディスプレイで構成されている。この液晶モニタ30は、撮影した画像の表示画面として利用されるとともに、各種設定時にユーザインターフェースとして利用される。また、撮影時に必要に応じてスルー画像が表示され、画角確認用の電子ファインダとして利用される。
【0025】
ズームボタン32は、望遠側へのズームを指示するズームテレボタン32Tと、広角側へのズームを指示するズームワイドボタン32Wとで構成され、このズームボタン32が操作されることにより、撮影画角が変化する。
【0026】
十字ボタン34は、上下左右4方向に押圧操作することができるようにされており、各方向の指示を入力するボタンとして機能する。
【0027】
MENU/OKボタン36は、各モードの通常画面からメニュー画面への遷移を指示するボタン(MENUボタン)として機能するとともに、選択内容の確定、処理の実行等を指示するボタン(OKボタン)として機能する。
【0028】
DISPボタン38は、背面表示パネルの表示内容の切り替えを指示するボタンとして機能し、BACKボタン40は入力操作のキャンセル等を指示するボタンとして機能する。
【0029】
図3はデジタルカメラ10の電気的構成を示すブロック図である。
【0030】
同図に示すように、デジタルカメラ10は、CPU110、操作部(レリーズボタン22、電源/モードスイッチ24、モードダイヤル26、ズームボタン32、十字ボタン34、MENU/OKボタン36、DISPボタン38、BACKボタン40等)112、ROM116、EEPROM118、メモリ(SDRAM)120、VRAM122、撮影光学系126、フォーカスモータドライバ128、ズームモータドライバ130、アイリスモータドライバ132、撮像素子134、タイミングジェネレータ(TG)136、アナログ信号処理回路138、A/D変換器140、画像入力コントローラ142、画像信号処理回路144、圧縮・伸張処理回路146、メディアコントローラ148、記憶メディア(メモリカード)150、エンコーダ152、AE/AWB検出回路154、AF検出回路156、ストロボ制御回路158、音声入力処理回路160、音声出力処理回路162等で構成されている。
【0031】
CPU110は、デジタルカメラ10の全体の動作を制御する制御部として機能するとともに、各種の演算処理を行う演算手段として機能し、操作部112からの入力に基づき所定の制御プログラムに従って各回路を制御する。
【0032】
バス114を介して接続されたROM116には、CPU110が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、EEPROM118には、ユーザ設定情報等のデジタルカメラ10の動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0033】
メモリ(SDRAM)120は、CPU110の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データの一時記憶領域として利用され、VRAM122は、表示用の画像データ専用の一時記憶領域として利用される。
【0034】
撮影光学系126は、撮影レンズ14と絞り50とで構成されている。
【0035】
撮影レンズ14は、図示しないフォーカスモータに駆動されて光軸に沿って前後移動するフォーカスレンズ14Fと、図示しないズームモータに駆動されて光軸に沿って前後移動するズームレンズ14Zとを備えている。CPU110は、フォーカスモータドライバ128を介してフォーカスモータの駆動を制御することにより、撮影レンズ14のフォーカスを制御し、ズームモータドライバ130を介してズームモータの駆動を制御することにより、撮影レンズ14のズームを制御する。
【0036】
絞り50は、図示しないアイリスモータに駆動されることにより、開口量(絞り値)が変化する。CPU110は、アイリスモータドライバ132を介してアイリスモータの駆動を制御することにより、絞り50の絞り値を制御する。
【0037】
撮像素子134は、所定のカラーフィルタ配列(たとえば、ベイヤ配列)のカラーCCDで構成されている。撮影光学系126を介して撮像素子134の受光面に入射した光は、その受光面に配列された各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。
【0038】
タイミングジェネレータ(TG)136は、CPU110からの指令に従い、主として撮像素子134を駆動するためのタイミング信号を生成する。撮像素子134は、このタイミングジェネレータ136から加えられるタイミング信号に従って各フォトダイオードに蓄積された信号電荷を電圧信号(画像信号)として出力する。
【0039】
アナログ信号処理回路138は、撮像素子134から順次出力される画像信号を相関二重サンプリング処理するとともに増幅する。A/D変換器140は、このアナログ信号処理回路138から出力されたR、G、Bのアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。
【0040】
画像入力コントローラ142は、所定容量のバッファメモリを内蔵しており、A/D変換器118から出力された1コマ分の画像信号を蓄積して、メモリ120に格納する。
【0041】
画像信号処理回路144は、同時化回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含み、CPU110からの指令に従ってメモリ120に格納された画像信号を処理し、輝度信号と色差信号とからなるYUV信号を生成する。
【0042】
液晶モニタ30にスルー画像を表示させる場合は、撮像素子134で連続的に画像を撮像し、得られた画像信号を連続的に処理してYUV信号を生成する。生成されたYUV信号は、VRAM122を介してエンコーダ152に加えられ、液晶表示用の信号形式に変換されて液晶モニタ30に出力される。これにより、液晶モニタ30にスルー画像が表示される。ユーザは、この液晶モニタ30に表示されたスルー画像を見ながら構図やピントの調整を行うことができる。すなわち、この液晶モニタ30をファインダとして使いながら撮影することができる。
【0043】
画像を記録する場合は、撮影指令に応じて撮像素子134で画像を撮像し、得られた画像信号を画像信号処理回路144で処理してYUV信号を生成する。画像信号処理回路144で生成されたYUV信号は、圧縮・伸張処理回路146に加えられ、所定の圧縮画像データとされたのち、メディアコントローラ148を介して記憶メディア(メモリカード)150に記録される。
【0044】
記憶メディア150に記録された圧縮画像データは、再生指令に応じてメディアコントローラ148を介して読み出され、圧縮・伸張処理回路146で非圧縮のYUV信号とされた後、エンコーダ152を介して液晶モニタ30に出力される。これにより、記憶メディア150に記録された画像が液晶モニタ30に再生表示される。
【0045】
AE/AWB検出回路154は、CPU110からの指令に従って、入力された画像信号からAE制御及びAWB制御に必要な物理量を算出する。たとえば、AE制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割したエリアごとにR、G、Bの画像信号の積算値を算出する。CPU110は、このAE/AWB検出回路154から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、所定のプログラム線図から絞り値とシャッタスピードを決定する。
【0046】
また、AWB制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割したエリアごとにR、G、Bの画像信号の色別の平均積算値を算出する。CPU110は、得られたRの積算値、Bの積算値、Gの積算値から分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、求めたR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等に基づいて光源種判別を行う。そして、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、たとえば各比の値がおよそ1(つまり、1画面においてRGBの積算比率がR:G:B≒1:1:1)になるように、ホワイトバランス調整回路のR、G、B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を決定する。
【0047】
AF検出回路156は、CPU110からの指令に従って、入力された画像信号からAF制御に必要な物理量を算出する。本実施の形態のデジタルカメラ10では、画像のコントラストによりAF制御を行うものとし、AF検出回路156は、入力された画像信号から画像の鮮鋭度を示す焦点評価値を算出する。CPU110は、このAF検出回路156で算出される焦点評価値が極大となるように、フォーカスモータドライバ128を介してフォーカスモータを駆動し、フォーカスレンズ14Fの移動を制御する。
【0048】
ストロボ制御回路158は、CPU110からの指令に従ってストロボ18の発光を制御する。
【0049】
音声入力処理回路160は、CPU110からの指令に従ってマイク20を介して入力された音声信号を処理し、音声出力処理回路162は、CPU110からの指令に従ってスピーカ42から出力するための音声信号を処理する。
【0050】
前記のごとく構成された本実施の形態のデジタルカメラ10の作用は次のとおりである。
【0051】
上記のように本実施の形態のデジタルカメラ10では、レリーズボタン22の半押しで撮影準備、すなわちAE、AF、AWBを行い、全押し又は半押しの解除で撮影を実行する。
【0052】
図4は、本実施の形態のデジタルカメラ10の撮影時の処理手順を示すフローチャートである。
【0053】
CPU110は、操作部112からの入力に基づいてカメラのモードが撮影モードに設定されたか否か判定する(ステップS10)。
【0054】
撮影モードに設定されたと判定すると、CPU110は、操作部112からの入力に基づいてレリーズボタン22が半押しされたか否か判定する(ステップS11)。
【0055】
なお、レリーズボタン22が半押しされると、操作部112からCPU110にS1信号が入力される(半押しの間、常にS1オン)。CPU110は、このS1信号の入力をもってレリーズボタン22が半押しされたものと判定する。
【0056】
そして、このレリーズボタン22が半押しされたと判定すると、CPU110は、撮影準備制御を行う(ステップS12)。すなわち、AE、AF、AWB制御を実行する。
【0057】
まず、S1信号の入力に応じて撮影準備用の画像が撮像素子134で撮像される。撮像素子134から出力された画像信号は、アナログ信号処理回路138、A/D変換器140、画像入力コントローラ142を介してメモリ120に取り込まれ、メモリ120からAE/AWB検出回路154及びAF検出回路156に加えられる。
【0058】
AE/AWB検出回路154は、入力された画像信号からAE制御及びAWB制御に必要な物理量を算出し、CPU110に出力する。CPU110は、このAE/AWB検出回路154からの出力に基づき露出値(絞り値とシャッタスピード)とホワイトバランス補正値を決定する。
【0059】
また、AF検出回路156は、入力された画像信号からAF制御に必要な物理量を算出し、CPU110に出力する。CPU110は、このAF検出回路156からの出力に基づいてフォーカスモータの駆動を制御し、撮影レンズ14のピントを主要被写体に合わせる。
【0060】
このように、CPU110は、レリーズボタン22の半押しに応動して撮影準備を行う(ステップS12)。そして、撮影準備が完了したか否か判定する(ステップS13)。
【0061】
撮影準備が完了した場合は、操作部112からの入力に基づいてレリーズボタン22の半押しが解除されたか否かを判定(S1信号がオフされた否かを判定)する(ステップS14)。
【0062】
ここで、レリーズボタン22の半押しが解除されたと判定すると、CPU110は、撮影、記録処理を実行する(ステップS16)。まず、上記の撮影準備で求めた露出値で撮像素子134を露光する。撮像素子134から出力された画像信号は、アナログ信号処理回路136、A/D変換器136、画像入力コントローラ138を介してメモリ120に取り込まれ、メモリ120から画像信号処理回路144に加えられる。画像信号処理回路144は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施して画像データ(YUVデータ)を生成する。生成された画像データは、一旦メモリ120に格納されたのち、圧縮・伸張処理回路146に加えられ、所定の圧縮フォーマットで圧縮されて、再度、メモリ120に格納される。CPU110は、このメモリ120に格納された圧縮画像データに対して撮影日時や絞り値、シャッタスピードなどの付属情報を付加した所定フォーマット(たとえばExif)の画像ファイルを生成し、メディアコントローラ148を介して記憶メディアに記録する。
【0063】
一方、上記ステップS14でレリーズボタン22の半押しが解除されていないと判定すると、CPU110は、操作部112からの入力に基づいてレリーズボタン22が全押しされたか否か判定する(ステップS15)。
【0064】
なお、レリーズボタン22が全押しされると、操作部112からCPU110にS2信号が入力される(全押しの間、常にS2オン)。CPU110は、このS2信号の入力をもってレリーズボタン22が全押しされたものと判定する。
【0065】
そして、CPU110は、操作部112からS2信号が入力され、レリーズボタン22が全押しされたと判定すると、上記と同様にして撮影、記録処理を実行する(ステップS16)。
【0066】
一方、レリーズボタン22が全押しされていないと判定すると、ステップS14に戻り、レリーズボタン22の半押しが解除されたか否か判定する。
【0067】
このように、レリーズボタン22が半押しされ、撮影準備が完了した場合は、レリーズボタン22が全押しされた場合だけでなく、レリーズボタン22の半押しが解除された場合にも撮影が行われる。
【0068】
一方、上記ステップS13で撮影準備が完了していないと判定した場合、CPU110は、操作部112からの入力に基づいてレリーズボタン22の半押しが解除されたか否か判定する(ステップS17)。
【0069】
ここで、半押しが解除されていないと判定すると、CPU110は、ステップS13に戻り、再度、撮影準備が完了したか否か判定する。
【0070】
一方、半押しが解除されたと判定すると、CPU110は、撮影準備が完了したか否か判定し(ステップS18)、撮影準備が完了したところで、撮影、記録処理を実行する(ステップS16)。
【0071】
このように、撮影準備完了前にレリーズボタン22の半押しが解除された場合は、撮影準備の完了を待って撮影を実行する。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態のデジタルカメラ10によれば、レリーズボタン22を半押し後、全押しした場合だけでなく、半押し後、半押しを解除した場合にも撮影が行われるため、撮影に不慣れな者であってもミスなく確実に画像を撮影し、記録することができる。
【0073】
なお、撮影を実行した場合には、撮像素子134と同時に擬似的なシャッタ音をスピーカ42から出力するようにしてもよい。これにより、撮影が行われことを撮影者が明確に認識できるようになり、操作性が向上する。
【0074】
また、本実施の形態では、撮影した場合、常に画像を記録するようにしているが、撮影した画像の記録、消去を選択できるようにしてもよい。
【0075】
図5は、撮影後の画像を記録、消去する場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【0076】
撮影準備後、撮影指示が出されると、CPU110は、撮影処理を実行する(ステップS20)。
【0077】
まず、撮影準備で求めた露出値で撮像素子134を露光する。撮像素子134から出力された画像信号は、アナログ信号処理回路138、A/D変換器140、画像入力コントローラ142を介してメモリ120に取り込まれ、メモリ120から画像信号処理回路144に加えられる。画像信号処理回路144は、入力された画像信号に対して所要の信号処理を施して画像データ(YUVデータ)を生成する。生成された画像データは、メモリ120に格納されるとともに、VRAM122に格納される。
【0078】
以上により撮影処理が完了し、CPU110は、撮影された画像を液晶モニタ30にプレビュー表示させる(ステップS21)。すなわち、VRAM122に格納された画像データをエンコーダ152に加え、表示用の出力形式に変換して液晶モニタ30に出力する。これにより、撮影された画像が液晶モニタ30にプレビュー表示される。
【0079】
図6は、プレビュー画像の表示例を示す図である。同図に示すように、撮影された画像と共に記録の要否を問い合わせるメッセージ(「この画像を記録しますか?」)が表示される。撮影者は、この液晶モニタ30に表示されたプレビュー画像を確認して、記録又は消去を指示する。ここでは、MENU/OKボタン36の押下で記録を指示し、BACKボタン40の押下で消去を指示するものとする。
【0080】
CPU110は、操作部112からの入力に基づいて撮影画像の記録の要否を判定する(ステップS22)。そして、MENU/OKボタン36が押されて、記録が選択されたと判定すると、画像の記録処理を実行する(ステップS23)。この場合、メモリ120に格納された画像データが、圧縮・伸張処理回路146で圧縮されたのち、所定フォーマットの画像ファイルとしてメディアコントローラ148を介して記憶メディア150に記録される。
【0081】
一方、BACKボタン40が押されて、画像の消去が指示されたと判定すると、CPU110は、メモリ120に格納されている画像を消去する(ステップS24)。
【0082】
このように、撮影された画像をプレビュー表示し、画像の記録又は消去の指示を待って画像を記録又は消去を行うことにより、必要な画像のみを記憶メディア150に記録でき、不要に記憶メディア150の容量を圧迫するのを防止できる。
【0083】
なお、本例では、撮影者からの指示を待って画像の記録又は消去を行うようにしているが、プレビュー画像の表示後、一定時間経過しても指示の入力がない場合は、自動的に撮影画像を記録するようにしてもよい。
【0084】
また、半押し解除で撮影した画像については、半押し解除で撮影した画像であることを撮影者が認識できるようにすることが好ましい。たとえば、半押し解除で撮影した画像については、液晶モニタ30にプレビューする際、図7に示すように、半押し解除で撮影したことを示すマークを表示させるようにする。あるいは、スピーカ42から音声で告知するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、撮影者の意志にかかわらず、常に半押しを解除すると、画像が記録されるように構成しているが、全押した場合にのみ画像が記録されるモード(第1モード)と、全押し又は半押しの解除で画像が記録されるモード(第2モード)とを撮影者が選択できるようにしてもよい。
【0086】
この場合、第2モードが選択されたときには、上記実施の形態の処理動作を実行し(図4参照)、第1モードが選択されたときは、次の処理動作を実行する。
【0087】
図8は、第1モードが選択されたときのデジタルカメラの処理動作の手順を示すフローチャートである。
【0088】
まず、CPU110は、操作部112からの入力に基づいて撮影モードが第1モードに設定されてか否か判定する(ステップS30)。なお、第1モード又は第2モードの設定は、たとえばモードダイヤル26で行うものとする。
【0089】
第1モードに設定されたと判定すると、CPU110は、操作部112からの入力に基づいてレリーズボタン22が半押しされたか否かを判定する(ステップS31)。そして、レリーズボタン22が半押しされたと判定すると、撮影準備を行う(ステップS32)。すなわち、AE、AF、AWB制御を行う。
【0090】
この後、CPU112は、レリーズボタン22の半押しが解除されたか否かを判定し(ステップS33)、半押しが解除されたと判定すると、ステップS31に戻り、再度レリーズボタン22が半押しされたか否か判定する。
【0091】
一方、レリーズボタン22の半押しが解除されていないと判定すると、CPU110は、次に、レリーズボタン22が全押しされたか否かを判定する(ステップS34)。
【0092】
ここで、全押しされていないと判定すると、CPU110は、ステップS33に戻り、再度レリーズボタン22の半押しが解除されたか否か判定する。
【0093】
一方、レリーズボタン22が全押しされたと判定すると、CPU110は、撮影準備が完了したか否か判定し(ステップS35)、撮影準備の完了後、撮影、記録処理を実行する(ステップS36)。
【0094】
このように、第1モードでは、レリーズボタン22を全押ししたときだけ、画像が記録される。
【0095】
このような第1モードと、半押しの解除でも画像が記録される第2モードを用意することにより、状況に応じてモードを切り換えることができ、使い勝手が向上する。
【0096】
なお、上記の例では、撮影モードとして第1モードと第2モードを用意しているが、半押しの解除又は全押しで撮影が行われるモードを用意し、このモードに設定したときだけ、半押しの解除又は全押しで撮影が行われるようにしてもよい。
【0097】
また、第3モードとして、半押しを解除したときのみ撮影が行われるモードを用意してもよい。
【0098】
また、上記一連の実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではなく、フィルムカメラにも適用することができる。また、カメラ機能を備えた携帯電話機や静止画撮影機能を備えたビデオカメラにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明が適用されたデジタルカメラの正面斜視図
【図2】本発明が適用されたデジタルカメラの背面斜視図
【図3】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図
【図4】デジタルカメラの撮影時の処理手順を示すフローチャート
【図5】撮影後の画像を記録、消去する場合の処理の手順を示すフローチャート
【図6】プレビュー画像の表示例を示す図
【図7】プレビュー画像の表示例を示す図
【図8】第1モードが選択されたときのデジタルカメラの処理動作の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0100】
10…デジタルカメラ、12…カメラボディ、14…撮影レンズ、14F…フォーカスレンズ、14Z…ズームレンズ、16…ファインダ窓、17…セルフタイマランプ、18…ストロボ、20…マイク、22…レリーズボタン、24…電源/モードスイッチ、26…モードダイヤル、28…ファインダ接眼部、29…ファインダランプ、30…液晶モニタ、32…ズームボタン、34…十字ボタン、36…MENU/OKボタン、38…DISPボタン、40…BACKボタン、42…スピーカ、44…USB端子、46…電源端子、48…AV出力端子、50…絞り、110…CPU、112…操作部、114…バス、116…ROM、118…EEPROM、120…メモリ(SDRAM)、122…VRAM、126…撮影光学系、128…フォーカスモータドライバ、130…ズームモータドライバ、132…アイリスモータドライバ、134…撮像素子、136…タイミングジェネレータ(TG)、138…アナログ信号処理回路、140…A/D変換器、142…画像入力コントローラ、144…画像信号処理回路、146…圧縮・伸張処理回路、148…メディアコントローラ、150…記憶メディア(メモリカード)、152…エンコーダ、154…AE/AWB検出回路、156…AF検出回路、158…ストロボ制御回路、160…音声入力処理回路、162…音声出力処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し、全押しで撮影制御を実行する制御手段を備えた撮影装置において、
前記制御手段は、前記レリーズボタンの半押しの解除でも撮影制御を実行することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
撮影モードを第1モード又は第2モードに設定するモード設定手段を有し、
前記制御手段は、
前記第1モードに設定されると、前記レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し、全押しで撮影制御を実行する一方、
前記第2モードに設定されると、前記レリーズボタンの半押しで撮影準備制御を実行し、半押しの解除又は全押しで撮影制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記撮影装置は、撮像素子を用いて画像を撮像し、記憶メディアに記録するデジタルカメラであって、
前記撮像素子で撮像された画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像の記録又は消去を指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて前記撮像手段で撮像された画像の前記記憶メディアへの記録又は消去を制御する記録制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−25128(P2007−25128A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205618(P2005−205618)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】