説明

撮影補助装置及び接写装置

【課題】種々の長さや形状の被写体に簡単な構造によって略均一に光を照射することができる撮影補助装置及び接写装置を提供する。
【解決手段】背面側光照射部19は、被写体Fの正面から光を照射して撮影装置1によって撮影するときに、この被写体の背面側から光を照射する。背面側光照射部19は、装着部18内に収容されておりユニット化されている。背面側光照射部19は、被写体Mを挟み正面側光照射部と対向して配置されており、この正面側光照射部が照射する光が到達しない被写体Fの背面側に光を照射する。このため、種々の長さや形状の被写体Fに簡単な構造によって略均一に光を照射することができる。その結果、光源が被写体Fの上部及び下部に配置されるため、撮影装置によって被写体Fを撮影するときにこの被写体Fに陰が生じるのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影装置による撮影を補助する撮影補助装置、及び被写体を近距離から撮影装置によって撮影するための接写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に電力を供給する架線のトロリ線、このトロリ線と架線金具とを接続するイヤーなどの電車線設備を評価する場合には、これらの撤去品を室内で外観調査する必要がある。これらの撤去品の外観調査を記録するときには、カメラ又はビデオカメラなどの撮影装置を使用してこれらの撤去品を写真撮影し、データを編集して報告書を作成している。このような外観調査を記録するときには、撤去品を撮影台に載せ、この撮影台に固定された支柱に撮影装置を固定して、撮影台上の撤去品を撮影装置によって適当な撮影距離から撮影している。このような接写装置には、撮影装置を確実に固定可能であり、これらの撮影装置の着脱が用意であって、被写体が振動しないことなどが要求されている。
【0003】
従来の接写装置は、被写体を載せる四角形状の搭載台と、この搭載台の一片側に着脱自在に装着された支柱と、搭載台上の被写体を撮影する撮影装置を下方に向けて支持する支持部材と、この支持部材の基部を支柱の長さ方向にスライド自在に取り付ける取付部などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の接写装置では、被写体と撮影装置との間の距離を調整した後に、支柱の任意の位置に支持部材の基部を取付部によって固定して、最適な撮影距離から撮影装置によって被写体を撮影している。
【0004】
【特許文献1】実開昭58-191492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図25は、従来の接写装置を概略的に示す正面図である。図26は、従来の接写装置を概略的に示す右側面図である。図27は、従来の接写装置を概略的に示す平面図である。
図25〜図27に示す従来の接写装置103は、被写体Fを照明する照明装置102R,102Lと、被写体Fを載せる撮影台104と、この撮影台104に取り付けられた支柱部105と、この支柱部105を撮影台104に装着する装着部106と、支柱部105を装着部106に固定する固定部107と、照明装置102R,102Lを支持する支持装置108と、支柱部105に撮影装置101を着脱自在に固定する固定部109などを備えている。
【0006】
従来の接写装置103では、被写体Fが所定長さに切断されて撓んだ状態のトロリ線などの電車線材料であるときには、照明装置101から照射した光がこの電車線材料の表面で反射する。このため、従来の接写装置103では、照明装置101の数を増やして照明装置101から電車線材料に様々な照射角度で光を照射する必要がある。その結果、従来の接写装置103では、被写体Fの長さや形状が多種多様であるため照明装置101から被写体Fに均一に光を照射することが困難であるとともに、照明装置101の数を増やす接写装置103のコストが高くなってしまう問題点がある。
【0007】
この発明の課題は、種々の長さや形状の被写体に簡単な構造によって略均一に光を照射することができる撮影補助装置及び接写装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図3及び図17〜図19に示すように、撮影装置(1)によって被写体(F)を撮影するときに、この被写体に光を照射して撮影を補助する撮影補助装置であって、前記被写体の正面から光を照射して前記撮影装置によってこの被写体を撮影するときに、この被写体の背面側から光を照射する背面側光照射部(19)と、前記撮影装置によって前記被写体を撮影するときに使用する撮影台(4)に前記背面側光照射部を着脱自在に装着する装着部(18)とを備える撮影補助装置(13)である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮影補助装置において、図17〜図19に示すように、前記被写体の姿勢を所定の姿勢に保持した状態でこの被写体を搭載する搭載部(31a)を備え、前記搭載部は、前記背面側光照射部が照射する光を透過させることを特徴とする撮影補助装置である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の撮影補助装置において、図7及び図20に示すように、前記被写体の正面側から照射する光の波長とこの被写体の背面側から照射する光の波長とが略一致するように、前記背面側光照射部が照射する光のうち所定の波長の光を通過させる光フィルタ部(20)を備えることを特徴とする撮影補助装置である。
【0011】
請求項4の発明は、図1〜図3及び図17〜図19に示すように、被写体(F)を近距離から撮影装置(1)によって撮影するための接写装置であって、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の撮影補助装置(13)を着脱自在に備えることを備える接写装置(3)である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、種々の長さや形状の被写体に簡単な構造によって略均一に光を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す正面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す側面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す平面図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を概略的に示す平面図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を概略的に示す正面図である。
【図6】この発明の第1実施形態に係る発明補助装置を概略的に示す側面図である。
【図7】図4のVII-VII線で切断した状態を示す断面図である。
【図8】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置の接触力伝達部の収容状態を概略的に示す断面図である。
【図9】この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置の装着部の装着状態を概略的に示す平面図である。
【図10】図9のX-X線で切断した状態を示す断面図である。
【図11】この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す正面図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す側面図である。
【図13】この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す平面図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す正面図である。
【図15】この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す平面図である。
【図16】この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置の側面図である。
【図17】この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の正面図である。
【図18】この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の正面図である。
【図19】この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の右正面図である。
【図20】図18のXX-XX線で切断した状態を示す断面図である。
【図21】この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の側面図である。
【図22】この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の平面図である。
【図23】この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置の平面図である。
【図24】この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置の横断面図である。
【図25】従来の接写装置を概略的に示す正面図である。
【図26】従来の接写装置を概略的に示す側面図である。
【図27】従来の接写装置を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す正面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す側面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す平面図である。
【0015】
図1〜図3に示す被写体Fは、撮影装置1によって撮影される撮影対象物である。被写体Fは、例えば、鉄道車両、集電装置、電車線路又は軌道構造物などの撤去品である。被写体Fは、例えば、鉄道車両に関する撤去品であるときには、この鉄道車両の車輪又はこの車輪の踏面と接触するブレーキ装置の制輪子などである。被写体Fは、例えば、集電装置に関する撤去品であるときには、集電装置のすり板又はこのすり板が接触するトロリ線などである。被写体Fは、例えば、電車線路に関する撤去品であるときには、集電装置のすり板が接触するトロリ線、このトロリ線をちょう架線又は補助ちょう架線に吊り下げるハンガイヤー、補助ちょう架線をちょう架線に吊り下げるドロッパ、トロリ線にき電用変電所から電力を供給するためのき電線、曲線区間においてトロリ線を曲線外側に引っ張る曲線引金具、直線区間においてトロリ線の振動を抑えトロリ線にジグザグ偏位を付与する振止金具、絶縁のために加圧部分と接地部分との間に設置される碍子などである。被写体Fは、例えば、軌道構造物に関する撤去品であるときには、鉄道車両の車輪と接触するレール、このレールを支持体に締結するレール締結装置の締結ボルト、このレールの継目部分を接続する継目板などである。図1に示す被写体Fは、硬銅より線、硬アルミニウムより線又は鋼心アルミニウムより線などからなり所定長さに切断されたき電線である。図2に示す撮影者Mは、撮影装置1を使用して被写体Fを撮影する使用者である。
【0016】
図1〜図3に示す撮影装置1は、撮影台4上の被写体Fを撮影する装置である。撮影装置1は、例えば、撮影光学系を透過した被写体像を光電気変換素子(撮像素子)に撮像させるディジタル式カメラ(電子スチルカメラ)などである。図1〜図3に示す撮影装置1は、撮影者Mが撮影範囲を視認するためのビューファインダを使用して被写体Fを撮影するビューファインダカメラ(いわゆるコンパクトカメラ)である。撮影装置1は、撮影光学系を収容する図1及び図2に示すレンズ鏡筒1aと、このレンズ鏡筒1aが装着される図1〜図3に示すカメラボディ(撮影装置本体)1bと、撮影動作を開始するときに操作される図2に示すシャッタボタン(レリーズスイッチ(撮影動作開始スイッチ))1cと、光電気変換素子が撮像した画像を画面上に表示する図3に示す表示部1dと、撮影装置1を三脚に取り付けて撮影するときにこの三脚の雲台を取り付ける図2及び図3に示す取付部1eなどを備えている。
【0017】
図1及び図3に示す照明装置2R,2Lは、被写体Fを照明する装置である。図1〜図3に示す照明装置2Rは、被写体Fに対して右上方から光を照射し、図1及び図3に示す照明装置2Lは被写体Fに対して左上方から光を照射する。照明装置2R,2Lは、被写体Fに正面側から光を照射する正面側光照射部として機能する。照明装置2R,2Lは、ON/OFFを切り替える図示しない切替スイッチを備えており、この切替スイッチをON位置又はOFF位置に撮影者Mが操作することによって、それぞれ点灯状態及び消灯状態に切り替わる。
【0018】
図1〜図3に示す接写装置3は、撮影装置1によって被写体Fを近距離から撮影するための装置である。接写装置3は、図1及び図2に示すように、撮影装置1によって被写体Fを上方から撮影可能であり、被写体Fと撮影装置1との間の撮影距離を任意に調整して被写体Fを原寸大、拡大又は縮小して撮影する。接写装置3は、図1〜図3に示す撮影台4と、支柱部5と、図1及び図2に示す装着部6と、図1及び図3に示す固定部7と、図1〜図3に示す支持装置8と、図2及び図3に示す固定部9と、図1〜図3に示す支持装置10と、撮影補助装置13,21などを備えている。
【0019】
図1〜図3に示す撮影台4は、被写体Fを載せる部分であり、撮影装置1によって被写体Fを撮影するときに使用する。撮影台4は、撮影補助装置13を使用するときにはこの撮影補助装置13を搭載可能である。撮影台4は、図3に示すように、外観が四角形状の板状部材であり、図1及び図2に示すように撮影台4の上面は平坦面に形成されている。撮影台4は、テーブルなどの固定部材上に設置可能であり、底面の隅部に4個の脚部4aを備えている。
【0020】
図1〜図3に示す支柱部5は、支持装置8,10を支持する部分であり、撮影台4に取り付けられている。支柱部5は、内部が中空で断面が四角形状であり、図1及び図2に示すように垂直方向に伸びた柱状部材である。支柱部5は、図3に示すように、下端部が撮影台4の縁部中央に取り付けられている。支柱部5は、接写装置3の使用時には撮影台4に装着されるが、接写装置3の非使用時には収納及び運搬が可能なように撮影台4から取り外される。支柱部5は、撮影補助装置21の操作力伝達部22を格納する格納部としても機能する。支柱部5は、図1〜図3に示すように、この支柱部5の上端部を塞ぐ塞ぎ部5aなどを備えており、塞ぎ部5aは、支柱部5の上端部と着脱自在に嵌合可能である。塞ぎ部5aは、図1及び図3に示すように、収容口5b,5cなどを備えており、これらの収容口5b,5cを備えず支柱部5の上端部と着脱自在に嵌合可能な塞ぎ部との間で交換可能である。
【0021】
図1及び図2に示す装着部6は、支柱部5を撮影台4に着脱自在に装着する部分である。装着部6は、支柱部5の下端部が着脱自在に嵌合する筒状の部分であり、図3に示すように撮影台4の上面の縁部中央にねじ止め又は溶接などによって固定されている。装着部6は、支柱部5の外径よりも僅かに内径が大きく形成されており、図1及び図2に示すように支柱部5の下端部が挿入された状態でこの支柱部5が傾かないようにこの支柱部5の下端部を保持している。
【0022】
図1及び図3に示す固定部7は、支柱部5を装着部6に固定する部分である。固定部7は、支柱部5を撮影台4に固定及び固定解除するときに回転操作される操作部7aを備えている。固定部7は、操作部7aが締め付けられると支柱部5の外周部と装着部6の内周部とを密着させ、操作部7aが緩められると支柱部5の外周部と装着部6の内周部との間に隙間を形成する。
【0023】
図1〜図3に示す支持装置8は、照明装置2R,2Lを支持する装置である。支持装置8は、支柱部5に着脱自在に装着されており、照明装置2R,2Lの使用時には支柱部5に装着され、照明装置2R,2Lの非使用時には収納及び運搬が可能なように支柱部5から取り外される。支持装置8は、図1〜図3に示す支柱部8aと、図1及び図3に示す取付部8b,8cと、図1〜図3に示すスライド部8dと、固定ねじ部8eなどを備えている。
【0024】
図1〜図3に示す支柱部8aは、照明装置2R,2Lを支持する部分である。支柱部8aは、図1及び図3に示すように水平方向に伸びた柱状部材であり、中央部が支柱部5に取り付けられている。図1及び図3に示すように、取付部8bは照明装置2Rを支柱部8aに取り付ける部材であり、取付部8cは照明装置2Lを支柱部8aに取り付ける部材である。取付部8b,8cは、いずれも同一構造であり、被写体Fに対する照明装置2R,2Lの光の照射方向を任意に調節可能なように照明装置2R,2Lを支持しており、図1〜図3に示すように支柱部8aの任意の位置に取り付け可能なようにクリップ状に形成されている。スライド部8dは、支柱部5の長さ方向に沿って移動可能な部材である。スライド部8dは、図3に示すように支柱部5の外側に嵌め込まれる環状部材であり、スライド部8dの内面は支柱部5の両側面及び後面と接触し、支柱部5の前面との間に間隙部を形成している。スライド部8dは、支柱部8aを長さ方向に移動可能なように支持している。図1〜図3に示す固定ねじ部8eは、支柱部8aを支柱部5に固定する止めねじである。固定ねじ部8eは、図3に示すように、支柱部5の前面と先端部が接触する雄ねじ部8fと、この雄ねじ部8fを回転操作させる操作部8gなどを備えている。固定ねじ部8eは、操作部8gが締め付ける方向に回転操作されると支柱部5の前面に雄ねじ部8fの先端部を密着させて、スライド部8dを所定の高さに停止させ、操作部8gが緩める方向に回転操作されると支柱部5の前面から雄ねじ部8fの先端部が遠ざかり、スライド部8dを移動可能にする。
【0025】
図2及び図3に示す固定部9は、撮影台4上の支柱部5に固定される部分であり、支持装置10を着脱自在に固定する。固定部9は、図26及び図27に示す従来の接写装置103の固定部109と同一構造である。固定部9は、図2及び図3に示すスライド部9aと、取付部9bと、固定ねじ部9c,9dなどを備えている。
【0026】
スライド部9aは、支柱部5の長さ方向に沿って移動可能な部分であり、支柱部5の外側に嵌め込まれている。スライド部9aは、支柱部5の外径よりも僅かに内径が大きく形成されており、支柱部5に装着された状態でこの支柱部5に対してスライド部9aが傾かないようにこの支柱部5に支持されている。
【0027】
取付部9bは、連結部11を取り付ける部分である。取付部9bは、図2に示すように、スライド部9aと一体に形成されており、支柱部5の長さ方向に沿ってスライド部9aとともに移動可能である。取付部9bは、図2及び図3に示すように、連結部11のフレーム部11aの側面と密着可能なように先端部が平面状に形成されている。
【0028】
図2及び図3に示す固定ねじ部9cは、スライド部9aを支柱部5に固定する止めねじである。固定ねじ部9cは、スライド部9aを固定及び固定解除するときに回転操作される操作部9eを備えており、この操作部9eが締め付ける方向に回転操作されると支柱部5にスライド部9aを密着させて所定の高さに停止させ、この操作部9eが緩める方向に回転操作されるとスライド部9aを移動可能にする。
【0029】
固定ねじ部9dは、支持装置10を取付部9bに固定する止めねじである。固定ねじ部9dは、支持装置10を固定及び固定解除するときに回転操作させる操作部9fを備えている。固定ねじ部9dは、操作部9fが締め付ける方向に回転操作されると支持装置10を固定部9に固定し、操作部9fが緩める方向に回転操作されると支持装置10を固定部9から取り外し可能にする。固定ねじ部9dは、図26及び図27に示す従来の接写装置103の固定部109と同様に、撮影装置1の取付部1eを取付部9bに固定することも可能である。
【0030】
図1〜図3に示す支持装置10は、撮影装置1を支持する装置である。支持装置10は、図26及び図27に示す従来の接写装置103の固定部109の取付部109bに装着可能であり、従来の接写装置103にオプション品として簡単に装着可能な構造である。支持装置10は、図1〜図3に示すように、連結部11と固定部12などを備えている。
【0031】
連結部11は、図3に示すように、撮影台4上の被写体Fの上下と撮影装置1の上下とが一致するように、この撮影装置1と固定部9とを連結する部材である。連結部11は、撮影装置1の上部が支柱部5側に位置するように、この撮影装置1の底部とこの固定部9とを連結する。連結部11は、図1〜図3に示すフレーム部11aと、図2及び図3に示す補強部11bなどを備えている。
【0032】
図1〜図3に示すフレーム部11aは、一方の端部側が固定部9に着脱自在に連結され、他方の端部側が撮影装置1に着脱自在に連結される略U字状の部材である。フレーム部11aは、例えば、溶接、切削加工又はプレス加工によって形成された金属製の部材、射出成形によって形成された合成樹脂製の部材であり、断面がH形、四角形又は円形に形成されている。フレーム部11aは、図3に示すように、3つの直線部から構成されており、互に平行に配置された2つの直線部と、これらの直線部に対して垂直に配置されてこれらの直線部を繋ぐ1つの直線部と、略90°に屈曲した2つの屈曲部とを備えている。
【0033】
図2及び図3に示す補強部11bは、フレーム部11aの屈曲部を補強する部分である。補強部11bは、図3に示すように、フレーム部11aの屈曲部の内側に形成されたリブなどであり、撮影装置1の重量によって屈曲部に曲げ応力が作用してフレーム部11aが撓まないように、フレーム部11aに剛性を付与している。
【0034】
図1〜図3に示す固定部12は、撮影装置1を支持装置10に着脱自在に固定する部分である。固定部12は、例えば、撮影装置1の取付部1eの雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部を有する止めねじである。固定部12は、撮影装置1を固定及び固定解除するときに回転操作させる操作部12aを備えている。固定部12は、操作部12aが締め付ける方向に回転操作されるとフレーム部11aに撮影装置1を固定し、操作部12aが緩める方向に回転操作されるとフレーム部11aから撮影装置1を取り外し可能にする。
【0035】
図4は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を概略的に示す平面図である。図5は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置を概略的に示す正面図である。図6は、この発明の第1実施形態に係る発明補助装置を概略的に示す側面図である。図7は、図4のVII-VII線で切断した状態を示す断面図である。
【0036】
図1〜図3に示す撮影補助装置13は、撮影装置1によって被写体Fを撮影するときに、この被写体Fの姿勢を所定の姿勢に保持して撮影を補助する装置である。撮影補助装置13は、撮影者Mが撮影装置1によって被写体Fの任意の位置を撮影するときに、この被写体Fの姿勢が変化しないようにこの被写体Fの姿勢を一定に維持する。また、撮影補助装置13は、撮影装置1によって被写体Fを撮影するときにこの被写体Fに光を照射して撮影を補助する装置である。撮影補助装置13は、照明装置2R,2Lによって被写体Fに光を照射するときに、この被写体Fの表面で光が反射しないようにこの被写体Fに略均一の光を照射する。撮影補助装置13は、接写装置3の撮影台4に着脱自在に搭載可能であり、この接写装置3のアダプタ方式の付属品又は撮影者Mが必要に応じて選択可能なアダプタ方式のオプション品である。撮影補助装置13は、図4及び図5に示す姿勢保持部14R,14Lと、図6及び図7に示す固定部15R,15Lと、図4、図6及び図7に示すスケール部16と、図4、図5及び図7に示す色見本部17と、図4〜図7に示す装着部18と、図7に示す背面側光照射部19と、光フィルタ部20などを備えている。
【0037】
図4及び図5に示す姿勢保持部14R,14Lは、被写体Fの姿勢を所定の姿勢に保持する部分である。姿勢保持部14R,14Lは、被写体Fの姿勢を所定の姿勢に保持するために、この被写体Fを着脱自在に把持する。姿勢保持部14R,14Lは、外径の異なる種々の被写体Fを挟み込み保持可能なように、外観が固定クリップ状に形成されている。姿勢保持部14R,14Lは、被写体Fが長さや形状が多種多様であり撮影台4に載せたときにこの被写体Fが転がって、撮影者Mがこの被写体Fを撮影したい撮影角度に固定できないようなときに、この被写体Fの姿勢を撮影者Mが希望する所定の姿勢に保持する。姿勢保持部14R,14Lは、被写体Fが所定長さの線状部材又は棒状部材であるときに、この被写体Fの一方の端部側と他方の端部側とをそれぞれ保持する。姿勢保持部14R,14Lは、いずれも略同一構造であり、以下では一方の姿勢保持部14Rについて説明し、他方の姿勢保持部14Lについては詳細な説明を省略する。姿勢保持部14R,14Lは、図4〜図7に示す固定片部14aと、可動片部14bと、図4、図6及び図7に示す連結部14cと、図6に示す付勢部14dと、図5〜図7に示す滑り止め部14eなどを備えている。
【0038】
図4〜図7に示す固定片部14aは、可動片部14bとの間で被写体Fを挟み込む部分である。固定片部14aは、先端部側に被写体Fを挟み込む挟み込み部が形成されている。可動片部14bは、固定片部14aとの間で被写体Fを挟み込む部分である。可動片部14bは、固定片部14aと同様に、先端部側に被写体Fを挟み込む挟み込み部が形成されており、後端部側に撮影者Mによって操作される操作部が形成されている。可動片部14bは、連結部14cを回転中心として回転可能である。図4、図6及び図7に示す連結部14cは、固定片部14aと可動片部14bとを回転自在に連結する部分であり、固定片部14aの中心を貫通する貫通孔と、可動片部14bの中心を貫通する貫通孔とに挿入されている。
【0039】
図6に示す付勢部14dは、固定片部14aと可動片部14bとの間に被写体Fが挟み込まれるように、固定片部14aに向かって可動片部14bを付勢する部分である。付勢部14dは、素線を円筒形に巻いて形成されたねじりコイルばねであり、一方の端部が固定片部14aに固定され、他方の端部が可動片部14bに固定されており、円筒部が連結部14cに嵌め込まれて固定されている。付勢部14dは、固定片部14aの先端部と可動片部14bの先端部とが接触する方向に弾性力(付勢力)を常時発生しており、固定片部14aの先端部と可動片部14bの先端部とが離間する方向に可動片部14bの後端部を撮影者Mが操作したときには撮影者Mの操作力によって弾性変形して撓む。
【0040】
図5〜図7に示す滑り止め部14eは、固定片部14aと被写体Fとの間の滑りを防止するとともに、可動片部14bと被写体Fとの間の滑りを防止する部分である。滑り止め部14eは、固定片部14aの先端部と可動片部14bの先端部とに形成されており、被写体Fの表面を傷つけないような弾性を有するゴム板などである。滑り止め部14eは、固定片部14a及び可動片部14bの被写体Fと接触する側の表面に接着剤などによって貼り付けられている。
【0041】
図6及び図7に示す固定部15R,15Lは、姿勢保持部14R,14Lを装着部18に着脱自在に固定する部分である。固定部15R,15Lは、被写体Fが転がり易い形状であり被写体Fの姿勢を保持し難いときには、姿勢保持部14R,14Lを装着部18に固定し、被写体Fが転がり難い形状であり被写体Fの姿勢を保持し易いときには、姿勢保持部14R,14Lから装着部18を固定解除する。固定部15R,15Lは、被写体Fと接触する側の表面とは反対側の固定片部14aの表面(下面)を支持部18bに固定しており、この固定片部14aの後端部を貫通して支持部18bにねじ込まれるボルト又は止めねじなどである。
【0042】
図4、図6及び図7に示すスケール部16は、撮影装置1によって被写体Fとともに撮影される基準スケールを表示する部分である。スケール部16は、使用時には巻取り状態から引伸ばし状態になり、非使用時には引伸ばし状態から巻取り状態になる巻尺である。スケール部16は、図4に示すように、姿勢保持部14R側の可動片部14bに固定されており、この可動片部14bの連結部14c寄りに固定されている。スケール部16は、図4及び図7に示すスケール本体部16aと、図4〜図6に示す収容部16bと、図4に示す引出操作部16cと、図4及び図5に示すストッパ部16dなどを備えている。
【0043】
図4及び図7に示すスケール本体部16aは、表面に目盛りが表示された部分である。スケール本体部16aは、帯状の金属製の薄板材の表面に目盛り(基準スケール)が表示されており、引伸ばし状態では弛まないように、幅方向で切断したときの断面が凹状に形成されており剛性が付与されている。スケール本体部16aの表面は、照明装置2R,2Lから照射される光が反射するのを防ぐ反射防止材によって被覆されている。
【0044】
図4〜図6に示す収容部16bは、スケール本体部16aを巻取り状態で収容する部分である。収容部16bは、スケール本体部16aを内部に引き込むための付勢力を発生する引き戻しばねを備えており、この引き戻しばねの付勢力によってスケール本体部16aを巻取り内部に収容する。図4に示す引出操作部16cは、スケール本体部16aを収容部16bから引き出すときに撮影者Mが操作する部分である。引出操作部16cは、スケール本体部16aの先端部に取り付けられた略L字状の掛け止め部材であり、収容部16b内の引き戻しばねの付勢力に抗して撮影者Mがスケール本体部16aを引き出すときに操作される。
【0045】
図4及び図5に示すストッパ部16dは、スケール本体部16aが収容部16b内から所定長さだけ引き伸ばされた状態を維持するときに撮影者Mが操作する。ストッパ部16dは、スケール本体部16aを収容部6bから引き出し及び引き戻すときに操作される第1の操作位置と、スケール本体部16aを収容部16bから引伸ばした状態で維持するときに操作される第2の操作位置とに切り替えるスライド式のスイッチである。ストッパ部16dは、スケール本体部16aを収容部16b内から引き出した後に撮影者Mが第2の操作位置にスライド操作するとスケール本体部16aと接触して、このスケール本体部16aが引き戻しばねの付勢力によって収容部16b内に引き込まれるのを阻止する。一方、ストッパ部16dは、スケール本体部16aを収容部16b内から引き出した状態で撮影者Mが第1の操作位置にスライド操作するとスケール本体部16aと離間して、このスケール本体部16aが引き戻しばねの付勢力によって収容部16b内に引き込まれるのを許容する。また、ストッパ部16dは、スケール本体部16aを収容部16b内に巻き取られた状態で撮影者Mが第1の操作位置にスライド操作するとスケール本体部16aと離間して、このスケール本体部16aが引き戻しばねの付勢力に抗して収容部16b内から引き出されるのを許容する。
【0046】
図4、図5及び図7に示す色見本部17は、撮影装置1によって被写体Fとともに撮影される基準色を表示する部分である。色見本部17は、帯状の金属製の薄板材の表面に、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)などの基準色が表示されている。色見本部17は、図4に示すように、姿勢保持部14Rと姿勢保持部14Lとを連結する連結部としても機能し、一方の端部が姿勢保持部14R側の可動片部14bに固定されており、他方の端部が姿勢保持部14L側の可動片部14bに固定されている。色見本部17は、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fを把持したときに、この色見本部17とスケール部16との間に被写体Fが配置されるように、可動片部14bの先端寄りに固定されている。
【0047】
図1及び図3に示す装着部18は、撮影装置1によって被写体Fを近距離から撮影するときに使用する撮影台4に姿勢保持部14R,14Lを着脱自在に装着する部分である。装着部18は、図7に示すように、背面側光照射部19を撮影台4に着脱自在に装着する。装着部18は、図4〜図7に示すように、接写装置3の撮影台4に搭載可能な外観が板状のケーシング部材(置き台)であり、姿勢保持部14R,14Lを支持する台座として機能するとともに、背面側光照射部19などを収容する収容部としても機能する。装着部18は、透明又は半透明のガラス板又は合成樹脂板によって製造されており、照明装置2R,2Lから照射される光が反射するのを防ぐ反射防止材によって被覆されている。装着部18は、図5〜図7に示す搭載部18aと、図4〜図7に示す支持部18bと、枠部18cと、図7に示す透過部18dと、差し込み部18eなどを備えている。
【0048】
図5〜図7に示す搭載部18aは、装着部18の下面を構成する部分である。搭載部18aは、撮影台4の上面に搭載される平坦面であり、図1及び図3に示すように撮影台4の上面内に装着部18が装着可能なように、この撮影台4の上面よりも幅及び奥行きが小さく形成されている。図4〜図7に示す支持部18bは、装着部18の上面を構成する部分である。支持部18bは、図5に示すように、姿勢保持部14R,14Lを支持する平坦面であり、中央部には開口部が形成されている。図4〜図7に示す枠部18cは、装着部18の枠体を構成する部分であり、搭載部18aと支持部18bとの間に挟み込まれている。図7に示す透過部18dは、背面側光照射部19が照射する光を透過させる部分である。透過部18dは、透明又は半透明のガラス板又は合成樹脂板であり、支持部18bの開口部を塞ぐようにこの支持部18bの開口部に装着されている。差し込み部18eは、光フィルタ部20を差し込む部分である。差し込み部18eは、光フィルタ部20を着脱自在に交換可能なように、枠部18cを貫通してスリット状に形成されている。
【0049】
図7に示す背面側光照射部19は、図1〜図3に示すように被写体Fの正面から光を照射して撮影装置1によって撮影するときに、この被写体Fの背面側から光を照射する部分である。背面側光照射部19は、図7に示すように、装着部18内に収容されておりユニット化されている。背面側光照射部19は、被写体Fを挟み照明装置2R,2Lと対向して配置されており、この被写体Fの表面に略均一に光が照射されるように、照明装置2R,2Lが照射する光が到達しない被写体Fの背面側に光を照射する。背面側光照射部19は、発光部19aと、電源部19bと、定電流回路19cと、切替操作部19dなどを備えている。
【0050】
発光部19aは、光を照射する部分である。発光部19aは、発熱量が少なく白色又は電球色の光を照射する発光ダイオード(Light Emitting Diode(LED))などの下部照明装置(バックライト)であり、定電流回路19cからの電流によって発光し所定の波長の光を照射する。発光部19aは、装着部18内に所定の間隔をあけて複数並べて配置されている。電源部19bは、発光部19aに電力を供給する部分であり、着脱自在で交換可能な電池などである。定電流回路19cは、電源部19bが発生する電力を一定の電流にして発光部19aに流す回路である。切替操作部19dは、発光部19aを照明動作(ON)と消灯動作(OFF)とに切り替える部分であり、撮影者MのON/OFF操作によって電源部19bから電力を供給及び遮断する切替スイッチなどである。
【0051】
光フィルタ部20は、被写体Fの正面側から照射する光の波長とこの被写体Fの背面側から照射する光の波長とが略一致するように、背面側光照射部19が照射する光のうち所定の波長の光を通過させる部分である。光フィルタ部20は、照明装置2R,2Lが照射する光の波長に対応して複数種類存在し、この照明装置2R,2Lが照射する光の波長に応じて着脱自在に交換可能である。光フィルタ部20は、背面側光照射部19を覆うようにこの背面側光照射部19と透過部18dとの間に配置されている。
【0052】
図8は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置の接触力伝達部の収容状態を概略的に示す断面図である。図9は、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置の装着部の装着状態を概略的に示す平面図である。図10は、図9のX-X線で切断した状態を示す断面図である。
【0053】
図2に示す撮影補助装置21は、撮影装置1によって被写体Fを撮影するときに、この撮影装置1のシャッタボタン1cを遠隔で操作して撮影を補助する装置である。撮影補助装置21は、照明装置2R,2Lから被写体Fに光を照射して撮影装置1によってこの被写体Fを撮影するときに、この照明装置2R,2Lからの光によってシャッタボタン1cの操作が支障を受けず、このシャッタボタン1cを確実に操作させる。撮影補助装置21は、撮影装置1のシャッタボタン1cを遠隔で操作するワイヤ方式のレリーズ装置(レリーズケーブル)として機能する。撮影補助装置21は、撮影補助装置13と同様に接写装置3に着脱自在であり、この接写装置3の付属品又は撮影者Mが必要に応じて選択可能なオプション品である。撮影補助装置21は、図8〜図10に示す操作力伝達部22と、操作部23と、図8及び図10に示す押圧部24と、図8〜図10に示す装着部25などを備えている。
【0054】
図10に示す操作力伝達部22は、シャッタボタン1cを押圧する押圧部24に撮影者Mが操作する操作部23からの操作力を機械的に伝達する部分である。操作力伝達部22は、図1〜図3及び図8に示すように、撮影装置1によって被写体Fを近距離から撮影するときに使用する接写装置3の支柱部5に収納される。操作力伝達部22は、図1〜図3、図9及び図10に示すように、使用時には接写装置3の支柱部5から引き出され、図8に示すように非使用時にはこの接写装置3の支柱部5に引き込まれる。操作力伝達部22は、図8及び図10に示すように、一方の端部が操作部23に接続され、他方の端部が押圧部24に接続されており、図8に示すように操作部23に接続される側が接写装置3の塞ぎ部5aの収容口5bに収容され、押圧部24に接続される側が接写装置3の塞ぎ部5aの収容口5cに収容されている。操作力伝達部22は、図8〜図10に示すように、筒部22aと軸部22bなどを備えている。
【0055】
図8〜図10に示す筒部22aは、軸部22bを移動自在にガイドする部分であり、可撓性を有し柔軟な金属製又は合成樹脂製のチューブなどである。筒部22aは、図8及び図10に示すように、両端部にフランジ部22c,22dを備えている。フランジ部22cは、操作部23を撮影者Mが操作するときにこの撮影者Mが指を掛ける部分である。フランジ部22cは、操作部23が接続されている側の筒部22aの端部にこの筒部22aの外径よりも大きく形成されている。フランジ部22dは、押圧部24を移動自在にガイドする部分である。フランジ部22dは、押圧部24が接続されている側の筒部22aの端部にこの筒部22aの外径よりも大きく形成されている。フランジ部22c,22dは、図8に示すように、筒部22aが収容口5b,5cに収容されたときに塞ぎ部5aの上面と接触し、この筒部22aが支柱部5内に完全に落ち込むのを防ぐためのストッパとして機能する。図10に示す軸部22bは、シャッタボタン1cを操作する操作力を伝達する部分であり、可撓性を有し柔軟であってこの操作力を伝達可能な程度の剛性を有する金属製のワイヤなどである。軸部22bは、図8及び図10に示すように、筒部22a内に移動自在に収容されており、一方の端部が操作部23に接続されており他方の端部が押圧部24に接続されている。
【0056】
図10に示す操作部23は、シャッタボタン1cを押圧するときに撮影者Mによって操作される部分である。操作部23は、図8及び図10に示すように、軸部22bの端部に固定されておりこ、の軸部22bの外径よりも太く形成されている。操作部23は、撮影装置1のシャッタを開閉するときに撮影者Mによって手動で操作される。操作部23は、図10に示すA1方向に撮影者Mが操作したときには、軸部22bと一体となってA1方向に移動し、A1方向への操作を撮影者Mが中止したときには、シャッタボタン1cの復元力を受けて軸部22bと一体となってA2方向に移動する。
【0057】
押圧部24は、操作部23からの操作力を受けてシャッタボタン1cを押圧する部分であり、操作部23の手動操作に連動して押圧動作する。押圧部24は、図8〜図10に示すように、操作部23が接続されている側とは反対側の軸部22bの端部に固定されており、この軸部22bの外径よりも太く形成されている。押圧部24は、図10に示すA1方向に撮影者Mが操作部23を操作したときには、シャッタボタン1cを押し下げて撮影装置1に撮影動作を開始(ON)させる。一方、押圧部24は、A1方向への操作を撮影者Mが中止したときには、シャッタボタン1cの復元力を受けてA2方向に移動して、次の撮影動作まで撮影装置1を準備状態(OFF)にする。
【0058】
図8〜図10に示す装着部25は、撮影装置1に押圧部24を着脱自在に装着する部分である。装着部25は、図8及び図10に示すように、押圧部24が接続されている側の操作力伝達部22の端部に取り付けられており、図10に示すように、押圧部24をシャッタボタン1cと接触させた状態でこのシャッタボタン1cを覆うように撮影装置1に装着される。装着部25は、図9及び図10に示すように、使用時には撮影装置1に巻き付けられて装着されており、図8に示すように非使用時には撮影装置1から取り外されて巻き取られている。装着部25は、図8及び図10に示すように、ベルト部26と締結部27などを備えている。
【0059】
図10に示すベルト部26は、シャッタボタン1cに押圧部24を接触させた状態で撮影装置1に巻き付けられる部分である。ベルト部26は、可撓性を有する金属性又は合成樹脂製の固定帯(バインド部材)であり、図8及び図10に支援すように長さ方向の中間部に操作力伝達部22の筒部22aが貫通する貫通孔26aを備えている。ベルト部26は、貫通孔26aに筒部22aを挿入した状態でこの筒部22aのフランジ部22dに接着剤などによって固定されている。
【0060】
図8及び図10に示す締結部27は、ベルト部26を着脱自在に締結する部分である。締結部27は、撮影装置1の大きさにかかわらずベルト部26がこの撮影装置1に巻き付けられるように、このベルト部26を長さ調整可能に締結する。締結部27は、図10に示すように、ベルト部26が撮影装置1に密着するようにこのベルト部26を締め付ける。締結部27は、図8及び図10に示すように、面ファスナ27a,27bなどを備えている。面ファスナ27a,27bは、ベルト部26の一端部側と他端部側とを着脱自在に連結する部分である。面ファスナ27a,27bは、いずれか一方の表面には突起部が形成されており、他方の表面にはこの突起部と引っ掛かる環状部が形成されているファスナである。面ファスナ27aは、ベルト部26の一方の端部に固定されており、面ファスナ27aはベルト部26の他方の端部に固定されている。面ファスナ27a,27bは、大きさの異なる複数種類の撮影装置1にベルト部26を装着可能なように所定の長さに形成されており、ベルト部26の一方の端部側と他方の端部側とが重なり合う範囲内においてこのベルト部26に接着剤によって固定又は縫い付けられている。
【0061】
次に、この発明の第1実施形態に係る接写装置の組立方法を説明する。
図1及び図2に示す撮影台4をテーブル上などに設置して支柱部5の下端部を装着部6に挿入し、図1及び図2に示す固定部7の操作部7aを回転操作して支柱部5を撮影台4に固定する。次に、支柱部5の上端部から固定部9のスライド部9aをこの支柱部5に嵌め込み、支柱部5に沿ってスライド部9aを任意の高さまで垂直方向にスライドさせ、図2及び図3に示す操作部9fを回転操作して支柱部5に固定部9を固定する。この状態で、図3に示す固定部9の取付部9bに支持装置10のフレーム部11aを位置決めし、操作部9fを回転操作して固定部9に支持装置10を固定する。次に、支持装置10のフレーム部11aに撮影装置1を位置決めし、操作部12aを回転操作して支持装置10のフレーム部11aに撮影装置1を固定する。
【0062】
図1〜図3に示す支柱部5の上端部から支持装置8のスライド部8dをこの支柱部5に嵌め込み、支柱部5に沿ってスライド部8dを任意の高さまで垂直方向にスライドさせ、操作部8gを回転操作して支柱部5に支持装置8を固定する。次に、スライド部8dに支柱部8aの端部を嵌め込み、図1及び図2に示すように支柱部5の中央部がスライド部8dに位置するまでこの支柱部5を水平方向にスライドさせる。この状態で、取付部8bによって照明装置2Rを支柱部5の一方の端部に取り付けるとともに、取付部8cによって照明装置2Lを支柱部5の他方の端部に取り付ける。
【0063】
次に、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置の組立方法を説明する。
図1〜図3に示すように、撮影装置1の撮影領域内に撮影補助装置13が入り込むように、この撮影補助装置13の装着部18の搭載部18aを撮影台4上に任意の位置に設置する。このとき、被写体Fが転がり易くこの被写体Fの姿勢を一定に維持し難いときには、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fの姿勢を一定に維持する必要がある。このため、固定部15R,15Lによって姿勢保持部14R,14Lを装着部18に固定して、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fを把持した状態で撮影装置1によって被写体Fを撮影可能な状態にする。一方、被写体Fが転がり難くこの被写体Fの姿勢を一定に維持し易いときには、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fの姿勢を一定に維持する必要性が低い。このため、固定部15R,15Lを装着部18から取り外して姿勢保持部14R,14Lを装着部18から固定解除し、支持部18b上に被写体Fを直接載せて、撮影装置1によって被写体Fを撮影可能な状態に撮影者Mが選択可能である。
【0064】
図1〜図3に示すように、照明装置2R,2Lから被写体Fに光を照射して撮影装置1によってこの被写体Fを撮影するときには、照明装置2R,2Lから照射される強い光と光学式のリモートレリーズ装置から照射される光とが干渉する。このため、この光学式のリモートレリーズ装置によって撮影装置1のシャッタボタン1cを操作することが困難になり、撮影補助装置21によってシャッタボタン1cを機械的に操作する必要がある。図8に示す撮影補助装置21の押圧部24を撮影者Mが支柱部5の塞ぎ部5aから引っ張ると、図9及び図10に示すように支柱部5内に収容されている操作力伝達部22の筒部22aがこの塞ぎ部5aの収容口5cから引き出されて、押圧部24が使用可能な状態になる。次に、図10に示すように、シャッタボタン1cに押圧部24を位置決めして、図9に示すように表示部1dを避けるように装着部25のベルト部26を撮影装置1に巻き付けて、図10に示す締結部27の面ファスナ27aと面ファスナ27bとを重ね合わせて接合する。次に、図8に示す撮影補助装置21の操作部23を撮影者Mが支柱部5の塞ぎ部5aから引っ張ると、図9及び図10に示すように支柱部5内に収容されている操作力伝達部22の筒部22aがこの塞ぎ部5aの収容口5cから引き出されて、操作部23が使用可能な状態になる。
【0065】
次に、この発明の第1実施形態に係る接写装置の使用方法を説明する。
図3に示すように、撮影台4の支柱部5に近い側に被写体Fの上部が位置するように、撮影補助装置13の姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fの姿勢を保持する。この状態で、被写体Fに対する照明が適切になるように、照明装置2R,2Lの姿勢を変化させて光の照射角度を調整する。次に、図2及び図3に示す固定部9の操作部9eを緩めて、撮影装置1及び支持装置10とともに固定部9を支柱部5の長さ方向に沿って移動させ、図3に示すように撮影装置1の表示部1dを参照しながら被写体Fと撮影装置1との間の撮影距離を調整する。このとき、図2に示すように、支柱部5とは反対側(接写装置3の手前側)から撮影者Mが被写体Fの位置を調整し撮影装置1を操作可能であるため、これらの作業を撮影者Mが実施するときに支柱部5が邪魔にならず作業性が向上する。被写体Fと撮影装置1との間の撮影距離を調整した後に、図2及び図3に示す操作部9eを締め付けて固定部9を支柱部5に固定し、被写体Fと撮影装置1との間の撮影距離を所定の長さに保持する。この状態で、図3に示す撮影装置1のシャッタボタン1cを操作すると、被写体Fの上下と撮影装置1の上下とが一致するため被写体Fの正像が撮影装置1によって撮影される。
【0066】
次に、この発明の第1実施形態に係る撮影補助装置の使用方法を説明する。
図1〜図3に示すように、撮影補助装置13を使用して撮影装置1によって被写体Fを撮影するときには、図1及び図3に示す姿勢保持部14R,14Lの可動片部14bの後端部を固定片部14aの後端部に向かって撮影者Mが押し付ける。その結果、図7に示す付勢部14dが発生する付勢力に抗して、可動片部14bが連結部14cを支点として回転し、固定片部14aの先端部と可動片部14bの先端部との間に隙間が形成される。次に、図1及び図3に示すように、姿勢保持部14R側の固定片部14aと可動片部14bとの間の隙間に被写体Fの一方の端部を挟み込むとともに、姿勢保持部14L側の固定片部14aと可動片部14bとの間の隙間に被写体Fの他方の端部を挟み込むと、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fが把持される。この状態で、被写体Fの撮影したい部分が撮影装置1によって撮影されるように、撮影者Mが被写体Fの向きを手で調整し、撮影者Mが希望する向きに被写体Fの姿勢が維持される。被写体Fとともにスケール部16を撮影装置1によって撮影したいときには、図4に示す引出操作部16cを撮影者Mが操作して収容部16bからスケール本体部16aを所定長さ分だけ引き出し、ストッパ部16dを操作してスケール本体部16aを引伸ばし状態に維持する。
【0067】
図1〜図3に示す照明装置2R,2Lからの光の照射だけでは被写体Fに略均一に光を照射することが難いときには、図7に示す背面側光照射部19によって被写体Fの背面に光を照射する必要がある。このため、切替操作部19dを撮影者MがON操作して電源部19bから定電流回路19cを通じて発光部19aに電流が流れると発光部19aが所定の波長の光を発生する。このとき、発光部19aからの光が光フィルタ部20を通過するため、照明装置2R,2Lが照射する光の波長と発光部19aが照射する光の波長とが略一致し、被写体Fに略均一の光が照射される。
【0068】
図1〜図3に示すように、撮影補助装置21を使用して撮影装置1によって被写体Fを撮影するときには、図10に示す操作部23を撮影者MがA1方向に押し込むと、この操作部23と一体となって操作力伝達部22の軸部22bが筒部22a内をA1方向に移動する。その結果、撮影者Mが操作部23を操作したときに発生する操作力が操作力伝達部22を通じて押圧部24に伝達される。このため、軸部22bによって押圧部24が押されて軸部22bと一体となってこの押圧部24がA1方向に移動し、シャッタボタン1cを押し下げて撮影装置1のシャッタが開閉し、この撮影装置1によって被写体Fが撮影される。撮影装置1による撮影動作が完了して撮影者Mが操作部23から手を離すと、シャッタボタン1cの復元力によって押圧部24がA2方向に移動し、軸部22bがA2方向に移動するとともに操作部23もA2方向に移動し、この操作部23が撮影準備状態に復帰する。
【0069】
この発明の第1実施形態に係る接写装置及び撮影補助装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、被写体Fの姿勢を所定の姿勢に姿勢保持部14R,14Lが保持し、撮影装置1によってこの被写体Fを撮影するときに使用する撮影台4にこの姿勢保持部14R,14Lを装着部18が着脱自在に装着する。このため、種々の長さや形状の被写体Fの撮影姿勢を簡単な作業によって一定に維持し、被写体Fを撮影するときの作業性を向上させるとともに撮影効率を向上させることができる。また、既存の接写装置を改造せずに、既存の接写装置に撮影補助装置13を簡単に装着して低コストで使用することができる。
【0070】
(2) この第1実施形態では、姿勢保持部14R,14Lが被写体Fの姿勢を所定の姿勢に保持するために、この被写体Fを着脱自在に把持する。このため、例えば、転がり易く撮影姿勢を一定に保持することが困難なトロリ線などの電車線材料を確実に把持し、電車線材料の姿勢を一定の姿勢に維持することができる。
【0071】
(3) この第1実施形態では、被写体Fの正面から光を照射して撮影装置1によってこの被写体Fを撮影するときに、この被写体Fの背面側から背面側光照射部19が光を照射し、装着部18が撮影台4に背面側光照射部19を着脱自在に装着する。このため、種々の長さや形状の被写体Fに簡単な構造によって略均一に光を照射することができる。その結果、光源が被写体Fの上部及び下部に配置されるため、撮影装置1によって被写体Fを撮影するときにこの被写体Fに陰が生じるのを防ぐことができる。
【0072】
(4) この第1実施形態では、目盛りを表示するスケール部16が被写体Fとともに撮影装置1によって撮影される。このため、例えば、被写体Fが損傷品であるときにこの被写体Fの表面に発生した傷の大きさなどをスケール部16によって正確に把握することができる。また、スケールを別部品として準備しておく必要がなく、撮影時にスケールを被写体Fと並べて設置する手間がかからず撮影作業を簡略化することができる。
【0073】
(5) この第1実施形態では、スケール部16が使用時には巻取り状態から引伸ばし状態になり、非使用時には引伸ばし状態から巻取り状態になる。その結果、撮影補助装置13を使用しないときにはスケール部16を収納状態にして格納することができるため、撮影補助装置13をコンパクトな構造にすることができる。
【0074】
(6) この第1実施形態では、基準色を表示する色見本部17が被写体Fとともに撮影装置1によって撮影される。このため、光の加減によって被写体Fの色が鮮明でないようなときに、色見本部17を参考にして画像の色合い(カラーバランス)を調整することによって被写体Fの撮影画像を印刷することができる。特に、被写体Fの錆びの状態などの撮影画像を正確に印刷することができる。また、色見本を別部品として準備しておく必要がなく、撮影時に色見本を被写体Fと並べて設置する手間がかからず撮影作業を簡略化することができる。
【0075】
(7) この第1実施形態では、被写体Fの正面側から照射する光の波長とこの被写体Fの背面側から照射する光の波長とが略一致するように、背面側光照射部19が照射する光のうち所定の波長の光を光フィルタ部20が通過させる。このため、均一な光を被写体Fに照射して撮影装置1によってこの被写体Fを綺麗に撮影することができる。
【0076】
(8) この第1実施形態では、シャッタボタン1cを押圧する押圧部24に、撮影者Mが操作する操作部23からの操作力を操作力伝達部22が機械的に伝達し、撮影装置1によって被写体Fを近距離から撮影するときに使用する接写装置3の支柱部5にこの操作力伝達部22が収納される。このため、照明装置2R,2Lからの強い光を操作力伝達部22が受けても、操作部23から押圧部24に確実に操作力を伝達することができる。その結果、従来の赤外線を照射するリモートレリーズ装置のような照明装置2R,2Lからの光とこの赤外線とが干渉して撮影装置1が動作不良になってしまう不具合を回避することができる。また、接写装置3の支柱部5に操作力伝達部22を収納することによって、撮影補助装置21の紛失を防ぐことができるとともに、撮影補助装置21の取扱いが容易になり撮影補助装置21をコンパクトにすることができる。
【0077】
(9) この第1実施形態では、操作力伝達部22が使用時には接写装置3の支柱部5から引き出され、非使用時にはこの接写装置3の支柱部5に引き込まれる。このため、使用時には撮影補助装置21を支柱部5から簡単に取り出して撮影を迅速に開始することができるとともに、非使用時には撮影補助装置21を支柱部5に簡単に格納して撮影補助装置21が邪魔になるのを防ぐことができる。
【0078】
(10) この第1実施形態では、撮影装置1に押圧部24を装着部25が着脱自在に装着する。このため、操作部23から伝わる操作力によって押圧部24を押圧動作させてシャッタボタン1cを確実に押し込むことができる。また、使用時には押圧部24を撮影装置1に簡単に装着し、非使用時には押圧部24を撮影装置1から簡単に取り外すことができ、作業性を向上させることができる。さらに、撮影装置1が従来のレリーズケーブルを装着不可能ないわゆるコンパクトカメラであっても、コンパクトカメラに押圧部24を確実に装着可能になって、撮影装置1の形式にかかわらずシャッタボタン1cを遠距離から操作することができる。
【0079】
(11) この第1実施形態では、シャッタボタン1cに押圧部24を接触させた状態で撮影装置1にベルト部26が巻き付けられており、このベルト部26を着脱自在に締結部27が締結する。このため、撮影装置1に押圧部24を簡単に着脱することができるとともに、形状や大きさの異なる種々の撮影装置1のシャッタボタン1cに押圧部24を緩みなく強固に密着させることができる。
【0080】
(12) この第1実施形態では、操作力伝達部22の一方の端部が操作部23に接続され、この操作力伝達部22の他方の端部が押圧部24に接続されており、この操作力伝達部22の操作部23に接続される側が接写装置3の支柱部5の一方の収容口5bに収容され、この操作力伝達部22の押圧部24に接続される側がこの接写装置3の支柱部5の他方の収容口5cに収容される。このため、接写装置3の美観を損ねずに操作力伝達部22を支柱部5に格納することができる。また、操作力伝達部22の操作部23に接続される側と押圧部24に接続される側とがそれぞれ別個の収容口5b,5cに収容されるため、撮影者Mが視覚によって操作部23と押圧部24とを簡単に確認することができ、撮影作業を迅速に進めることができる。
【0081】
(13) この第1実施形態では、撮影装置1によって被写体Fを近距離から撮影するための接写装置3が撮影補助装置13,21を着脱自在に備えている。このため、既存の接写装置3の構造を変えずに、撮影補助装置13,21をオプション品又は付属品として接写装置3に簡単に装着することができるとともに、不要時には撮影補助装置13,21を接写装置3から簡単に取り外すことができる。
【0082】
(第2実施形態)
図11は、この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す正面図である。図12は、この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す側面図である。図13は、この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す平面図である。以下では、図1〜図10に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
図11〜図13に示す撮影補助装置13は、図1〜図3に示す装着部18、図7に示す背面側光照射部19及び光フィルタ部20を備えておらず、図11に示すように装着部28R,28Lなどを備えており、色見本部17の一方の端部のみが姿勢保持部14Rに固定されている。装着部28R,28Lは、姿勢保持部14R,14Lを撮影台4に着脱自在に装着する部分である。装着部28R,28Lは、撮影台4に着脱自在に吸着する磁力を発生する永久磁石であり、撮影台4の左右の側面に着脱自在に装着される。装着部28R,28Lは、図11及び図12に示すように、姿勢保持部14R,14Lを支持する支持面28aなどを備えており、支持面28aには姿勢保持部14R,14Lの固定片部14aの下面が接着剤などの固定部材によって固定されている。
【0084】
この発明の第2実施形態に係る撮影補助装置及び接写装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、装着部28R,28Lが撮影台4に着脱自在に吸着する。このため、右側の姿勢保持部14Rと左側の姿勢保持部14Lとを撮影台4の左右方向の中心線に対して上下方向にずらして配置することができる。その結果、例えば、被写体Fが曲線引金具のような湾曲した電車線金具であるときに、この被写体Fの両端部を姿勢保持部14R,14Lによって確実に把持することができる。
【0085】
(第3実施形態)
図14は、この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す正面図である。図15は、この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置を概略的に示す平面図である。図16は、この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置の側面図である。
【0086】
図14及び図15に示す撮影補助装置13は、図1〜図3に示す装着部18、図7に示す背面側光照射部19及び光フィルタ部20を備えておらず、図14に示すように装着部29R,29Lと姿勢変更部30R,30Lなどを備えている。装着部29R,29Lは、姿勢変更部30R,30Lを撮影台4に着脱自在に装着する部分である。装着部29R,29Lは、図11に示す装着部28R,28Lと同様に、撮影台4に吸着する磁力を発生する永久磁石であり、撮影台4の左右の側面に着脱自在に装着される。装着部29R,29Lは、図14及び図16に示すように、姿勢変更部30R,30Lを支持する支持面29aなどを備えている。
【0087】
図12に示す姿勢変更部30R,30Lは、被写体Fの姿勢を任意の姿勢に変更するために、姿勢保持部14R,14Lの姿勢を変更する部分である。姿勢変更部30R,30Lは、姿勢保持部14R,14Lと装着部29R,29Lとを連結する自在継手であり、姿勢保持部14R,14Lの固定片部14aと装着部29R,29Lの支持面29aとを連結しており、図16に示すように外側保持部30aと内側保持部30bなどを備えている。姿勢変更部30R,30Lは、外側保持部30aに対して内側保持部30bが所定の角度範囲内で回転可能な球面軸受(ボールジョイント)として機能する。外側保持部30aは、内側保持部30bを回転自在に保持する部分であり、外側保持部30aの内周面(滑り面)は内側保持部30bの球面凸部と摺動自在に面接触するように球面状の凹部に形成されている。外側保持部30aは、装着部29R,29Lの支持面29aから突出するようにこの支持面29aに固定されている。内側保持部30bは、外側保持部30aに回転自在に嵌合する部分であり、内側保持部30bの外周面(滑り面)は外側保持部30aの球面凹部と摺動自在に面接触する球面状の凸部に形成されている。内側保持部30bは、姿勢保持部14R,14Lの固定片部14aの下面から突出するようにこの固定片部14aの下面に固定されている。
【0088】
次に、この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置の使用方法を説明する。
図14〜図16に示すように、例えば、被写体Fが曲線引金具のような電車線金具を所定長さで切断した切断品であるときには、この被写体Fの外観形状が湾曲している。このため、図1〜図3及び図11〜図13に示すように、姿勢保持部14R,14Lの姿勢が一定に固定されていると、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fの両端部を把持して、この被写体Fの姿勢を所定の姿勢に維持することが困難な場合がある。例えば、図14に示すように、被写体Fの一方の端部を撮影台4上に接触させ、この被写体Fの他方の端部を撮影台4上から離間させた状態で、この被写体Fを撮影装置1によって撮影するときには、姿勢保持部14R,14Lの姿勢をそれぞれ変更する必要がある。先ず、姿勢変更部30Rの外側保持部30aの中心線に対して内側保持部30bの中心線が一致するようにこの内側保持部30bの姿勢を変更し、図14及び図15に示すように被写体Fの一方の端部を姿勢保持部14Lによって把持する。次に、図16に示すように、姿勢変更部30Rの外側保持部30aの中心線に対して内側保持部30bの中心線が傾斜一致するようにこの内側保持部30bの姿勢を変更し、図14及び図15に示すように被写体Fの他方の端部を姿勢保持部14Rによって把持する。
【0089】
また、姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fを把持した状態で、この被写体Fの姿勢を任意の姿勢に変更しながら最適な撮影姿勢を見つけ出して、撮影装置1によって撮影者Mが撮影したい場合がある。例えば、被写体Fの両端部を撮影台4上に接触させた状態で、この被写体Fの両端部を姿勢保持部14R,14Lによって把持し、撮影装置1によって撮影するときには、姿勢保持部14R,14Lの姿勢をそれぞれ変更する必要がある。この場合には、図16に示すように、姿勢変更部30R,30Lの外側保持部30aの中心線に対して内側保持部30bの中心線を変化させてこの内側保持部30bの姿勢を変更し、撮影者Mが希望する撮影姿勢になるように被写体Fの姿勢を変化させる。
【0090】
この発明の第3実施形態に係る撮影補助装置及び接写装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、姿勢保持部14R,14Lの姿勢を姿勢変更部30R,30Lが変更する。このため、被写体Fの形状を変えずに姿勢保持部14R,14Lによってこの被写体Fを確実に把持することができるとともに、この姿勢保持部14R,14Lによってこの被写体Fを把持した状態で撮影者Mが希望する撮影姿勢になるようにこの被写体Fの姿勢を簡単に変化させることができる。
【0091】
(第4実施形態)
図17は、この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の正面図である。図18は、この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の正面図である。図19は、この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の右正面図である。図20は、図18のXX-XX線で切断した状態を示す断面図である。
【0092】
図17〜図20に示す撮影補助装置13は、図1〜図3及び図11〜図15に示す姿勢保持部14R,14Lを備えておらず、姿勢保持部31などを備えている。姿勢保持部31は、被写体Fの姿勢を所定の姿勢に保持する部分であり、装着部18によって撮影台4に着脱自在に装着される。姿勢保持部31は、搭載部31aなどを備えている。
【0093】
図20に示す搭載部31aは、被写体Fの姿勢を保持した状態でこの被写体Fを搭載する部分であり、背面側光照射部19が照射する光を透過させる。搭載部31aは、被写体Fの背面側を支持した状態でこの被写体Fを搭載する。搭載部31aは、透過部18dと同様に透明又は半透明のガラス板又は合成樹脂板であり、装着部18の枠部18cの上面に固定されておりこの装着部18と一体に形成されている。搭載部31aは、この搭載部31aの表面に長さ方向に沿って直線状に所定の間隔をあけて複数列の凹凸が形成されており、底部側から頂部側に向かって傾斜する平坦な傾斜面31bを備えている。搭載部31aは、被写体Fが転がり易い形状であるときにこの被写体Fの周方向の少なくとも2点を隣り合う2つの傾斜面31bと接触させて、被写体Fの転がりを防止しこの被写体Fの姿勢を所定の姿勢に維持する。搭載部31aは、表面にスケール部16と色見本部17とが接着剤又は止めねじなどの固定部材によって固定されている。
【0094】
次に、この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置の使用方法を説明する。
図17〜図20に示すように、例えば、被写体Fが曲線引金具のような電車線金具を所定長さで切断した切断品であるときには、この被写体Fの外観形状が湾曲しており断面が円形である。このため、撮影台4上に被写体Fを載せても転がり被写体Fの姿勢を一定の姿勢に維持することができない。この場合には、図18及び図20に示すように、被写体Fの一方の端部の少なくとも2点を隣り合う2つの傾斜面31bと接触するように搭載部31a上に載せるとともに、被写体Fの他方の端部の少なくとも2点を隣り合う2つの傾斜面31bと接触するように搭載部31a上に載せる。その結果、図18及び図19に示すように、被写体Fの両端部が搭載部31aによって支持されて、この被写体Fが安定した姿勢でこの搭載部31a上に保持される。
【0095】
この発明の第4実施形態に係る撮影補助装置及び接写装置には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第4実施形態では、被写体Fの姿勢を所定の姿勢に保持した状態でこの被写体Fを搭載部31aが搭載する。このため、第1実施形態〜第3実施形態の姿勢保持部14R,14Lのような撮影者Mが可動片部14bを操作して被写体Fを挟み込む操作が不要になり、被写体Fを搭載部31aに載せるだけでこの被写体Fの姿勢を簡単に所定の姿勢に維持することができる。また、第1実施形態〜第3実施形態の姿勢保持部14R,14Lでは把持することが困難な長さの短い被写体Fの姿勢を搭載部31aによって簡単に所定の姿勢に維持することができる。
【0096】
(2) この第4実施形態では、被写体Fの正面から光を照射して撮影装置1によってこの被写体Fを撮影するときに、この被写体Fの背面側から背面側光照射部19が光を照射し、この背面側光照射部19が照射する光を搭載部31aが透過させる。このため、搭載部31a上の被写体Fの背面に背面側光照射部19から簡単に光を照射することができ、搭載部31a上の被写体Fに光源から均一に光を照射してこの被写体Fを綺麗に撮影することができる。
【0097】
(第5実施形態)
図21は、この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の側面図である。図22は、この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置を備える接写装置の平面図である。図23は、この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置の側面図である。図24は、この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置の横断面図である。
【0098】
図21〜図24に示す撮影補助装置21は、支持装置10の連結部11に装着されており、撮影装置1のシャッタボタン1cを遠隔で操作するエア方式のレリーズ装置(エアレリーズ)として機能する。撮影補助装置21は、操作力伝達部32と、操作部33と、押圧部34と、装着部35などを備えている。
【0099】
操作力伝達部32は、シャッタボタン1cを押圧する押圧部34に、撮影者Mが操作する操作部33からの操作力を機械的に伝達する部分である。操作力伝達部32は、一方の端部が操作部33に接続されており、他方の端部が押圧部34に接続されている。操作力伝達部32は、操作部33からの操作力を空気圧としてこの押圧部34に作用させており、操作部33を撮影者Mが操作したときに発生する流体圧の変化に応じて押圧部34を動作させる。操作力伝達部32は、筒部32aを備えており、この筒部32aは空気が流れる部分であり、可撓性を有し柔軟な金属製又は合成樹脂製の配管などである。筒部32aは、操作部33と押圧部34との間で空気が流れるように、図24に示すように一方の端部が操作部33内に接続されており、他方の端部が押圧部34のシリンダ部34a内に接続されている。
【0100】
操作部33は、シャッタボタン1cを押圧するときに撮影者Mによって操作される部分である。操作部33は、撮影者Mの操作によって弾性変形して内部の空気圧が変化するゴム製の袋体であり、撮影装置1のシャッタを開閉するときに撮影者Mによって手動で操作される。操作部33は、撮影動作開始時に撮影者Mが圧縮すると弾性力に抗して収縮状態に変化し内部の空気圧が上昇し、撮影動作終了後に撮影者Mが圧縮を解除すると弾性力によって復元して膨張状態に変化し内部の空気圧が元に戻る。
【0101】
押圧部34は、操作部33からの操作力を受けてシャッタボタン1cを押圧する部分であり、接写装置3の支柱部5に固定される撮影装置1の支持装置10に着脱自在に装着される。押圧部34は、使用時には支持装置10に装着され、非使用時には支持装置10から取り外される。押圧部34は、図24に示すように、シリンダ部34aと、ピストンロッド部34bと、貫通孔34cなどを備えている。
【0102】
シリンダ部34aは、ピストンロッド部34bを動作させる部分である。シリンダ部34aは、押圧部34の内部に形成されており、撮影動作時には操作力伝達部32から空気が流入するために内部の空気圧が上昇し、撮影動作終了直後には操作力伝達部32に空気が流出するために内部の空気圧が低下する。ピストンロッド部34bは、進出動作することによってシャッタボタン1cを押圧する部分であり、シリンダ部34a内のピストンの進退動作に連動して進退動作する。ピストンロッド部34bの先端部は、図21〜図24に示すように、シャッタボタン1cを押圧可能なように位置決めされており、このシャッタボタン1cと対向して配置されている。ピストンロッド部34bは、撮影者Mが操作部33を圧縮してシリンダ部34a内の空気圧が上昇したときには図24に示すA1方向に進出して、シャッタボタン1cを押し下げて撮影装置1に撮影動作を開始(ON)させる。一方、ピストンロッド部34bは、撮影者Mが操作部33の圧縮を解除してシリンダ部34a内の空気圧が低下したときには、シャッタボタン1cと一体となってA2方向に後退して、次の撮影動作まで撮影装置1を準備状態(OFF)にする。貫通孔34cは、ピストンロッド部34bを移動自在にガイドする部分であり、シリンダ部34aのシャッタボタン1cと対向する側に形成されている。貫通孔34cは、シリンダ部34aからピストンロッド部34bが抜け出すのを防ぐストッパとしても機能する。
【0103】
図21〜図24に示す装着部35は、支持装置10に押圧部34を着脱自在に装着する部分である。装着部35は、支持装置10のフレーム部11aに押圧部34を着脱自在に装着し、ピストンロッド部34bの先端部をシャッタボタン1cと接触させた状態で押圧部34を支持装置10に取り付けている。装着部35は、図23及び図24に示すように、スライド部35aと固定ねじ部35bなどを備えている。スライド部35aは、フレーム部11aの長さ方向に沿って移動可能な部分であり、フレーム部11aの外側に嵌め込まれている。スライド部35aは、取付部9bに取り付けられる側のフレーム部11aの端部からこのフレーム部11aに装着される。スライド部35aは、フレーム部11aの外径よりも僅かに内径が大きく形成されており、フレーム部11aに装着された状態でこのフレーム部11aに対してスライド部35aが傾かないようにこのフレーム部11aに支持されている。固定ねじ部35bは、スライド部35aをフレーム部11aに固定する止めねじである。固定ねじ部35bは、スライド部35aを固定及び固定解除するときに回転操作される。固定ねじ部35bは、締め付ける方向に回転操作されるとフレーム部11aにスライド部35aを固定して所定の位置に停止させる。一方、固定ねじ部35bは、緩める方向に回転操作されるとスライド部35aをフレーム部11aに沿って移動可能にして、スライド部35aをフレーム部11aから取り外し可能にする。
【0104】
次に、この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置の組立方法を説明する。
図23及び図24に示すように、支持装置10のフレーム部11aの端部に装着部35のスライド部35aを嵌め込み、押圧部34のピストンロッド部34bの先端部が撮影装置1のシャッタボタン1cと対向するように、フレーム部11aに沿ってスライド部35aを任意の位置まで水平方向にスライドさせる。次に、固定ねじ部35bを締め付ける方向に回転操作して、フレーム部11aに装着部35を固定すると、支持装置10のフレーム部11aに押圧部34が装着されて、この支持装置10に撮影補助装置21が装着される。
【0105】
次に、この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置の使用方法を説明する。
図21及び図22に示す撮影補助装置21を使用して撮影装置1によって被写体Fを撮影するときには、図24に示す操作部33を撮影者Mが把持して圧縮すると、この操作部33内の空気圧が上昇して操作部33内の空気が操作力伝達部32の筒部32a内を通過して押圧部34のシリンダ部34a内に流入する。その結果、撮影者Mが操作部33を操作したときに発生する操作力が空気圧の変化として操作力伝達部32を通じて押圧部34に伝達される。このため、シリンダ部34a内の空気圧が上昇してピストンロッド部34bがA1方向に移動し、シャッタボタン1cを押し下げて撮影装置1のシャッタが開閉し、この撮影装置1によって被写体Fが撮影される。撮影装置1による撮影動作が完了して撮影者Mが操作部33の圧縮を中止しこの操作部33から手を離すと、この操作部33が弾性力によって膨張状態に戻ろうとする。その結果、操作部33内の空気圧が低下し、押圧部34のシリンダ部34a内の空気が操作力伝達部32の筒部32a内を通過して操作部33内に流入する。撮影動作が完了するとシャッタボタン1cの復元力をピストンロッド部34bが受けるとともに、シリンダ部34a内の空気圧が低下してピストンロッド部34bがA2方向に移動し、操作部33内の空気圧が上昇して膨張し操作部33が撮影準備状態に復帰する。
【0106】
この発明の第5実施形態に係る撮影補助装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第5実施形態では、シャッタボタン1cを押圧する押圧部34に、撮影者Mが操作する操作部33からの操作力を操作力伝達部32が機械的に伝達し、被写体Fを近距離から撮影するときに使用する接写装置3の支柱部5に固定される撮影装置1の支持装置10にこの押圧部34が着脱自在に装着される。このため、撮影装置1の支持装置10を利用して押圧部34を簡単に装着することができ、撮影作業の効率化を図ることができる。
【0107】
(2) この第5実施形態では、押圧部34が使用時には支持装置10に装着され、非使用時にはこの支持装置10から取り外される。このため、使用時には撮影補助装置21を支持装置10に簡単に取り付けて撮影を迅速に開始することができるとともに、非使用時には撮影補助装置21を支持装置10から簡単に取り外して撮影補助装置21が邪魔になるのを防ぐことができる。
【0108】
(3) この第5実施形態では、支持装置10に押圧部34を装着部35が着脱自在に装着する。このため、撮影装置1を支持した状態で接写装置3の支柱部5に装着される支持装置10を利用して、この支持装置10に押圧部34を簡単に装着することができる。また、使用時には押圧部34を支持装置10に簡単に装着し、非使用時には押圧部34を支持装置10から簡単に取り外すことができ、作業性を向上させることができる。さらに、撮影装置1が従来のレリーズケーブルを装着不可能ないわゆるコンパクトカメラであっても、支持装置10に押圧部34を確実に装着可能になって、撮影装置1の形式にかかわらずシャッタボタン1cを遠距離から操作することができる。
【0109】
(4) この第5実施形態では、一方の端部側が支柱部5に着脱自在に連結され、他方の端部が撮影装置1に着脱自在に連結されるフレーム部11aを支持装置10が備えており、このフレーム部11aの端部に押圧部34を装着部35が着脱自在に装着される。このため、例えば、支柱部5側に連結されるフレーム部11aの端部を利用して、このフレーム部11aの端部に押圧部34を簡単に装着することができる。
【0110】
(5) この第5実施形態では、操作力伝達部32の一方の端部が操作部33に接続され、この操作力伝達部32の他方の端部が押圧部34に接続されており、この操作部33からの操作力を流体圧としてこの操作力伝達部32がこの押圧部34に作用させる。このため、照明装置2R,2Lからの強い光を操作力伝達部32が受けても、操作部33から押圧部34に流体圧を利用して機械的に操作力を確実に伝達することができる。その結果、従来の赤外線を照射するリモートレリーズ装置のような照明装置2R,2Lからの光とこの赤外線とが干渉して撮影装置1が動作不良になってしまう不具合を回避することができる。
【0111】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、被写体Fがき電線などの電車線材料であり断面が円形である場合を例に挙げて説明したがこれに限定するものではない。例えば、丸棒や筆記具などの棒状部材や断面が多角形又は楕円などの部材についてもこの発明を適用することができる。また、撮影装置1がディジタル式カメラである場合を例に挙げて説明したが、ディジタル式カメラに限定するものではない。例えば、撮影光学系を透過した被写体像を銀塩フィルム(写真フィルム)に撮影させるフィルム式カメラ(銀塩カメラ)、撮影光学系を透過した被写体像を光電気変換素子(撮像素子)に撮像させるディジタル式ビデオカメラ(ビデオカメラ)などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、固定部9と支持装置10とを別部材に構成した場合を例に挙げて説明したが、これらを一体に構成することもできる。
【0112】
(2) この実施形態では、撮影補助装置13,21が接写装置3の付属品又はオプション品である場合を例に挙げて説明したが、撮影補助装置13,21を接写装置3に一体に組み込むこともできる。この場合には、撮影台4の厚さを厚くしてこの撮影台4に姿勢保持部14R,14L,31を固定し、この撮影台4内に背面側光照射部19を収容することができる。また、この実施形態では、色見本部17が板状部材である場合を例に挙げて説明したが、色見本部17が使用時には巻取り状態から引伸ばし状態になり、非使用時には引伸ばし状態から巻取り状態になるようにスケール部16と同様の構造にすることもできる。さらに、この実施形態では、接写装置3の支柱部5内に操作力伝達部22を弛緩状態で収容し、この操作力伝達部22を使用時に任意の長さだけ引き出せる構造を例に挙げて説明したがこのような構造に限定するものではない。例えば、錘やばねによって操作力伝達部22に所定の張力を常時作用させて、この支柱部5内にこの操作力伝達部22を緊張状態で収容させたり、操作力伝達部22が所定長さ以上引き出されないように、この操作力伝達部22にストッパ機能を付与したりすることもできる。
【0113】
(3) この第1実施形態〜第3実施形態では、左右一対の姿勢保持部14R,14Lによって被写体Fの姿勢を保持する場合を例に挙げて説明したが、3つ以上の姿勢保持部によって被写体Fの姿勢を保持することもできる。例えば、被写体Fが碍子である場合には、この碍子のひだを3つ以上の姿勢保持部によって把持し、この碍子の姿勢を所定の姿勢に保持することができる。また、この第1実施形態〜第4実施形態では、撮影補助装置21の操作力伝達部22がワイヤ方式のケーブルレリーズである場合を例に挙げて説明したが、エア方式のケーブルレリーズについてもこの発明を適用することができる。さらに、この第2実施形態及び第3実施形態では、背面側光照射部19を省略する場合を例に挙げて説明したが、装着部28R,28L,29R,29Lを装着部18に着脱自在に吸着させることによって、背面側光照射部19上に姿勢保持部14R,14Lを配置することもできる。
【0114】
(4) この第2実施形態及び第3実施形態では、装着部28R,28L,29R,29Lが永久磁石である場合を例に挙げて説明したが永久磁石に限定するものではない。例えば、撮影台4の左右の側板部を挟み込む金具を装着部28R,28L,29R,29Lに止めねじによって着脱自在に取り付けたり、撮影台4の左右の側板部に吸着する吸盤を装着部28R,28L,29R,29Lに取り付けたりすることもできる。また、この第5実施形態では、撮影補助装置21の操作力伝達部32がエア方式のケーブルレリーズである場合を例に挙げて説明したが、ワイヤ方式のケーブルレリーズについてもこの発明を適用することができる。また、この第5実施形態では、空気圧を利用して操作部33からの操作力を押圧部34に伝達する場合を例に挙げて説明したが、空気以外の気体又は液体などの流体圧を利用して操作部33からの操作力を押圧部34に伝達することもできる。さらに、この第5実施形態では、支柱部5側に連結されるフレーム部11aの端部に装着部35を着脱自在に装着する場合を例に挙げて説明したが、撮影装置1側に連結されるフレーム部11aの端部に装着部35を着脱自在に装着することもできる。
【符号の説明】
【0115】
1 撮影装置
2R,2L 照明装置
3 接写装置
4 撮影台
5 支柱部
5a 塞ぎ部
5b,5c 収容口
8 支持装置
10 支持装置
11 連結部
11a フレーム部
13 撮影補助装置
14R,14L 姿勢保持部
15R,15L 固定部
16 スケール部
17 色見本部
18 装着部
19 背面側光照射部
20 光フィルタ部
21 撮影補助装置
22 操作力伝達部
23 操作部
24 押圧部
25 装着部
26 ベルト部
27 締結部
28R,28L,29R,29L 装着部
30R,30L 姿勢変更部
31 姿勢保持部
31a 搭載部
32 操作力伝達部
33 操作部
34 押圧部
35 装着部
F 被写体
M 撮影者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置によって被写体を撮影するときに、この被写体に光を照射して撮影を補助する撮影補助装置であって、
前記被写体の正面から光を照射して前記撮影装置によってこの被写体を撮影するときに、この被写体の背面側から光を照射する背面側光照射部と、
前記撮影装置によって前記被写体を撮影するときに使用する撮影台に前記背面側光照射部を着脱自在に装着する装着部と、
を備える撮影補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影補助装置において、
前記被写体の姿勢を所定の姿勢に保持した状態でこの被写体を搭載する搭載部を備え、
前記搭載部は、前記背面側光照射部が照射する光を透過させること、
を特徴とする撮影補助装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮影補助装置において、
前記被写体の正面側から照射する光の波長とこの被写体の背面側から照射する光の波長とが略一致するように、前記背面側光照射部が照射する光のうち所定の波長の光を通過させる光フィルタ部を備えること、
を特徴とする撮影補助装置。
【請求項4】
被写体を近距離から撮影装置によって撮影するための接写装置であって、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の撮影補助装置を着脱自在に備えること、
を備える接写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−197367(P2011−197367A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63848(P2010−63848)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】