説明

撹拌装置

【課題】 シール部分に残留した被撹拌物の洗浄を容易に行わせる。
【解決手段】 被撹拌物を収容する加熱釜5と、該加熱釜5を貫通し撹拌羽根29によって前記被撹拌物の撹拌を行わせる回転自在な撹拌軸7と、前記撹拌羽根29及び前記撹拌軸7間に介設されたラビリンスシール33とを備えた加熱撹拌調理装置1であって、前記ラビリンスシール33は、前記加熱釜5側に設けられ径方向の凹凸部97を周回状に備えた固定側シール部85と、前記撹拌軸7側に設けられ前記固定側シール部85の凹凸部97に軸方向嵌合する径方向の凹凸部99を周回状に備えた回転側シール部87とを有し、前記固定側シール部85及び回転側シール部87の少なくとも一方が、前記凹凸部間を離反可能に支持された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材等の被撹拌物を撹拌可能な撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の撹拌装置としては、例えば特許文献1のように、撹拌羽根を備えた撹拌軸が撹拌容器を貫通するものがある。撹拌軸は、容器外で駆動用のモータに結合されて回転駆動されるようになっている。この撹拌装置では、撹拌軸を回転駆動することで、撹拌容器内の被撹拌物としての食材等を撹拌羽根によって撹拌することができる。
【0003】
このような撹拌装置では、撹拌軸と撹拌容器との間にグランド構造のシールを介設して、撹拌中の食材等が漏れ出すことを抑制している。
【0004】
しかしながら、従来の構造では、シール部分に食材等が入り込んで残留すると、これを洗浄・除去することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−154246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、シール部分に残留した被撹拌物を洗浄することが困難な点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シール部分に残留した被撹拌物の洗浄を容易に行わせるために、被撹拌物を収容する撹拌容器と、該撹拌容器を貫通し撹拌部によって前記被撹拌物の撹拌を行わせる回転自在な撹拌軸と、前記撹拌容器及び前記撹拌軸間に介設されたラビリンスシールとを備えた撹拌装置であって、前記ラビリンスシールは、前記撹拌容器側に設けられ径方向の凹凸部を周回状に備えた固定側シール部と、前記撹拌軸側に設けられ前記固定側シール部の凹凸部に軸方向嵌合する径方向の凹凸部を周回状に備えた回転側シール部とを有し、前記固定側シール部及び回転側シール部の少なくとも一方が、前記凹凸部間を離反可能に支持されたことを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定側シール部及び回転側シール部の少なくとも一方が、凹凸部間を離反可能に支持されたため、凹凸部間を離反させてラビリンスシール内に残留した被撹拌物を容易に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】加熱撹拌調理装置の一部を断面にした正面図である(実施例1)。
【図2】図1の加熱撹拌調理装置の平面図である(実施例1)。
【図3】図1の加熱撹拌調理装置の側面図である(実施例1)。
【図4】図1の加熱撹拌調理装置に設けられた軸受部の拡大断面図である(実施例1)。
【図5】図4の軸受部の洗浄時の拡大断面図である(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
シールに残留した被撹拌物の洗浄を容易に行わせるという目的を、軸方向嵌合する凹凸部を有した固定側シール部及び回転側シール部からなるラビリンスシールによって実現した。
【実施例1】
【0011】
本実施例の撹拌装置は、被撹拌物としての食材を加熱撹拌調理する加熱撹拌調理装置に適用されたものである。
[加熱撹拌調理装置の全体構成]
図1〜図3は本発明の実施例1に係る加熱撹拌調理装置を示し、図1は一部を断面にした加熱撹拌調理装置の正面図、図2は図1の加熱撹拌調理装置の平面図、図3は図1の加熱撹拌調理装置の側面図である。
【0012】
図1〜図3のように、本実施例の加熱撹拌調理装置1は、支持フレーム3上に、撹拌容器としての加熱釜5と、撹拌軸7と、駆動部9とを備えている。
【0013】
前記支持フレーム3は、脚部11によってフロア上に設置されている。脚部11は、例えばロードセル等で構成された重量センサ13が介設され、加熱釜5、撹拌軸7、駆動部9等を含めた支持フレーム3上の全重量を検出する構成となっている。この重量検出により、加熱釜5内の加熱調理による水分蒸発量等を演算し、加熱撹拌調理装置1の自動調理等を行わせることが可能となる。
【0014】
前記加熱釜5は、脚部15によって支持フレーム3上に設置されている。加熱釜5は、球面状の底部17上に、円筒状の壁部19が設けられている。加熱釜5の底部17及び壁部19は、略全体を流体ジャケット21によって覆われている。流体ジャケット21には、蒸気等が供給されて加熱釜5の加熱等が行われる。この加熱釜5は、上部開口から食材が投入され、底部17に設けられた排出部23から調理後の食材や水が切替排出されるようになっている。
【0015】
前記加熱釜5の壁部19には、撹拌軸7が回転自在に支持されている。撹拌軸7の両端部は、後述する軸受部25,27を介して加熱釜5側に対する支持及びシールが行われている。
【0016】
撹拌軸7には、所定間隔で撹拌部としての撹拌羽根29が取り付けられている。撹拌軸7は、その回転駆動によって撹拌羽根29を連動回転させ、加熱釜5内の被撹拌物である食材の撹拌調理を行わせる。
【0017】
前記駆動部9は、一方の軸受部27に取り付けられている。駆動部9の内部には、電動モータが設けられている。電動モータは、撹拌軸7の一端に連動連結され撹拌軸7を回転駆動するようになっている。電動モータの駆動制御は、例えば制御ボックス(図示せず)によって行われる。制御ボックスは、電動モータの駆動制御の他、流体ジャケット21への蒸気等の給排及び加熱釜5からの食材及び水の切替排出制御等も行う。
[軸受部の詳細]
図4は、図1の加熱撹拌調理装置に設けられた軸受部の拡大断面図である。
【0018】
図4のように、軸受部25,27は、加熱釜5の壁部19外側に取り付けられている。軸受部25,27は、ハウジング31と、ラビリンスシール33と、軸受としてのボールベアリング35とを備えている。なお、軸受部25,27は、略左右対称な構成となっているため、一方側(図1の右側)についてのみ説明する。
【0019】
前記ハウジング31は、円筒形状であり撹拌軸7外周に同軸上に配置されている。ハウジング31の内周側には、空間部37が区画形成されている。ハウジング31の上部側には、空間部37を開放する開口部39が貫通形成され、開口部39に閉止用のカバー41が着脱自在に取り付けられている。ハウジング31の下部側には、空間部37を配管43に連通させる排出口45が貫通形成されている。
【0020】
ハウジング31の軸方向両端には、フランジ47,49が周回状に設けられている。このフランジ47,49に対して、シール支持部51及び軸受支持部53がボルト55,57によって締結固定されている。ハウジング31側とシール支持部51及び軸受支持部53側との間には、密閉用のOリング59,61が保持されている。前記ハウジング31は、シール支持部51を介して加熱釜5側に固定されている。
【0021】
前記シール支持部51は、周回状に形成され、流体ジャケット21側の貫通孔63に嵌合固定されている。シール支持部51の内周側には、ラビリンスシール33を支持するシール支持孔65が形成されている。
【0022】
前記軸受支持部53の軸方向一端面は、加熱釜5の壁部19及び底部21に軸方向で突き当てられて位置決めが行われている。この一端面には、周回状の支持ボス部67が軸方向に突設されている。
【0023】
支持ボス部67は、加熱釜5側の貫通孔69に嵌合固定されると共に加熱釜5内に臨んでいる。支持ボス部67は、下部側で加熱釜5の内周面と面一となっており、上部側で加熱釜5の内周面に対して突出している。前記支持ボス部67の内周側には、周回状の端壁部71が内径側に延設されている。
【0024】
シール支持部51の軸方向他端面は、加熱釜5外部に臨んでいる。かかる他端面がハウジング31のフランジ47に突き当てられて前記締結が行われている。前記他端面の内周側には、軸方向に突出する凸部73が周回状に設けられている。凸部73は、ハウジング31一端内周に嵌合して径方向の位置決めを行っている。
【0025】
前記軸受支持部53は、周回状に形成され、内周側に周回状の周壁部75が設けられている。この周壁部75の内周側には、ボールベアリング35を支持する軸受支持孔77が形成されている。
【0026】
軸受支持部53の軸方向両端には、フランジ79,81が周回状に設けられている。一端側のフランジ79は、ハウジング31のフランジ49に突き当てられて前記締結が行われている。他端側のフランジ81には、駆動部9がボルト83によって締結固定されている。
【0027】
前記ラビリンスシール33は、固定側シール部85及び回転側シール部87を備えている。
【0028】
固定側シール部85は、周回状に形成されており、シール支持部51のシール支持孔65内に嵌合している。固定側シール部85の内周には、撹拌軸7が挿通している。固定側シール部85の内周は、撹拌軸7の外周に軸方向移動自在に遊嵌し、撹拌軸7の外周との間に隙間を形成している。かかる隙間により、ラビリンスシール33の連通路89が形成されている。
【0029】
固定側シール部85は、軸方向一端面が位置調整用のシム91を介してシール支持部51の端壁部71に軸方向で突き当てられている。この固定側シール部85は、端壁部71に対して係止具としてのボルト93によって締結固定(支持)されている。従って、固定側シール部85は、係脱自在な係止具によって係止されている。
【0030】
固定側シール部85の一端面には、その内周側に周回状のシールボス部95が軸方向に突設されている。シールボス部95は、シール支持部51の端壁部71内周に嵌合して加熱釜5内に臨んでいる。
【0031】
固定側シール部85の他端面には、径方向の凹凸部97が周回状に設けられている。凹凸部97は、前記固定側シール部85の他端面に断面矩形の凹部を形成することで断面矩形の凸部を区画形成している。
【0032】
前記回転側シール部87は、周回状に形成されており、内周側に撹拌軸7が挿通している。回転側シール部87の内周は、撹拌軸7の外周に軸方向移動自在に嵌合している。
【0033】
回転側シール部87の軸方向一端面には、径方向の凹凸部99が周回状に設けられている。凹凸部99は、前記回転側シール部87の一端面に、前記固定側シール部85の凹凸部97の凹部に対応した断面矩形の凸部を形成して断面矩形の凹部を区画形成している。
【0034】
この凹凸部99は、固定側シール部85の凹凸部97に対し、隙間を有した非接触状態で相対回転自在に軸方向嵌合している。かかる凹凸部97,99間の隙間により、径方向に凹凸状に屈曲するラビリンス路101が形成されている。ラビリンス路101は、一端側が固定側シール部85の連通路89を介して加熱釜5内に連通し、他端側がハウジング31の空間部37内に連通するようになっている。
【0035】
回転側シール部87の外周には、周回状部材103が設けられている。周回状部材103は、回転側シール部87外周のフランジ105に対し、ボルト107によって締結固定されている。周回状部材103は、ラビリンスシール33のラビリンス路101を閉止している。周回状部材103の先端は、固定側シール部85の他端面に当接して回転側シール部87の位置決めも行っている。
【0036】
前記回転側シール部87の軸方向他端面には、内周側に周回状の締結用ボス部109が軸方向に突設されている。締結用ボス部109の軸方向一端は、撹拌軸7の外周の段部116に軸方向で突き当てられて位置決めが行われている。段部116は、撹拌軸7に着脱自在に嵌合された雌ねじ部材115に一体に設けられている。雌ねじ部材115は、締結用ボス部109の内周に位置している。
【0037】
前記締結用ボス部109は、係止具としての固定ねじ111が径方向に貫通して設けられている。固定ねじ111の先端は、雌ねじ部材115に螺合している。従って、回転側シール部87は、固定ねじ111によって撹拌軸7側に締結固定(支持)され、係脱自在な係止具によって係止されている。固定ねじ111の基端側には、緩み止め用のロックナット113が螺合されている。
【0038】
前記回転側シール部87は、固定ねじ111の締結解除によって軸方向移動することができる。この軸方向移動により、回転側シール部87の凹凸部99と固定側シール部85の凹凸部97とを離反(離脱)可能としている。
【0039】
前記ボールベアリング35は、ラビリンスシール33後方にハウジング31内周の空間部37を挟んで配置されている。このボールベアリング35は、軸受ベース117を介して軸受支持孔77内に支持されている。
【0040】
軸受ベース117は、周回状に形成されて軸受支持部53の軸受支持孔77内に嵌合している。軸受ベース117と軸受支持孔77との間には、密閉用のOリング119が保持されている。前記軸受ベース117は、軸受支持部53の周壁部75に沿ったフランジ121が設けられ、フランジ121が周壁部75にボルト123によって締結されている。
【0041】
軸受ベース117の一端側内周には、周回状のシールベース125が嵌合している。シールベース125と軸受ベース117との間には、密閉用のOリング127が保持されている。前記シールベース125は、軸受ベース117の端面に沿ったフランジ129が設けられ、フランジ129が軸受ベース117にボルト131によって締結されている。
【0042】
シールベース125の内周には、一対のシール133,133が支持されている。リップシール133,133は、撹拌軸7外周に取り付けられた周回状のリング部135に摺接している。リング部135と撹拌軸7との間には、密閉用のOリング137が保持されている。
【0043】
軸受ベース117の他端側内周には、撹拌軸7外周との間にボールベアリング35が配置されている。ボールベアリング35のインナーレースは、撹拌軸7のリング部135に突き当てられ、ボールベアリング35のアウターレースは、軸受ベース117他端のワッシャ139に突き当てられている。ワッシャ139は、軸受ベース117に対してボルト141によって締結固定されている。
【0044】
従って、ボールベアリング35は、撹拌軸7をハウジング31側に回転自在に支持している。すなわち、撹拌軸7は、ボールベアリング35、ハウジング31を介して加熱釜5側に回転自在に支持されている。
[加熱撹拌調理装置の作用]
本実施例では、撹拌調理に際して、加熱釜5の上端開口から食材を投入する。食材投入後は、制御ボックスによって駆動部9の電動モータを駆動制御する。かかる駆動制御により、撹拌軸7が回転駆動され、連動回転する撹拌羽根29によって加熱釜5内の食材が撹拌調理される。
【0045】
加熱撹拌調理を行う場合は、制御ボックスによって流体ジャケット21に蒸気を供給する。供給された蒸気は、加熱釜5への熱交換を通じて食材を加熱することができる。熱交換後の蒸気は、流体ジャケット21の排出口(図示せず)を介して排出される。
【0046】
かかる調理中には、食材が撹拌軸7の加熱釜5に対する貫通部分側に移動することがある。このとき、本実施例の加熱撹拌調理装置1では、ラビリンスシール33によって加熱釜5外への食材の漏れ出しを抑制することができる。
【0047】
すなわち、貫通部分側に移動した食材は、ラビリンスシール33の固定側シール部85の連通路89からラビリンス路101内に少量侵入する。ラビリンス路101内では、先に侵入した食材が、後から侵入する食材に押されて他端側へ向けて移動する。このようにラビリンス路101内を移動した食材は、周回状部材103によりラビリンス路101の他端側で一時的に抑え込まれる。
【0048】
ラビリンス路101内での食材の移動がさらに進むと、周回状部材103と固定側シール部51との間からハウジング31の空間部37内に食材が排出され堆積する。
【0049】
空間部37内に堆積した食材は、所定量を超えると、ハウジング31の排出口45及び配管43を介して外部に排出されることになる。
【0050】
このように、ラビリンスシール33は、少量の食材をラビリンス路101内を移動させハウジング31の空間部37側に排出させつつ加熱釜5及び撹拌軸7間のシールを行うことができる。
【0051】
かかるラビリンスシール33では、ラビリンス路101内に食材が残留するものの、残留食材が加熱釜5側へ逆移動することや食材の長期残留を抑制することができる。
【0052】
また、ラビリンスシール33は、非接触型のシールであるため、接触シールのような磨耗粉等が異物として食材に混入することを抑制することができる。
【0053】
前記調理後は、ラビリンスシール33のラビリンス路101内に残留した食材を洗浄・除去する。
【0054】
図5は、図4の軸受部の洗浄時の拡大断面図である。
【0055】
図5のように、残留食材の洗浄・除去は、ラビリンス路101を開放することで行われる。ラビリンス路101の開放作業は、ハウジング31の空間部37内で行われる。従って、開放作業の際は、予めハウジング31のカバー41を取り外しておく。
【0056】
開放作業としては、まず回転側シール部87の固定ねじ111を緩め、回転側シール部87を軸方向移動自在とする。次いで、回転側シール部87を、ハウジング31の空間部37内で固定側シール部85から離反するように軸方向移動させる。こうしてラビリンス路101を開放することができる。
【0057】
ラビリンス路101を開放した後は、ラビリンス路101を形成する固定側シール部85及び回転側シール部87の凹凸部97,99等を、洗浄用の流体としての水によって洗浄する。なお、水は、外部ホースHから供給されるようになっている。
【0058】
残留食材を含む洗浄水は、ハウジング31の排出口45及び配管43を介して外部に排出される。なお、洗浄の際には、軸受支持部53側のOリング119,127及びシール133,133により、ボールベアリング35及び駆動部9側への水の侵入を抑制することができる。
【0059】
前記同様にして、固定側シール部85の連通路89内の残留食材も洗浄・除去する。
【0060】
すなわち、固定側シール部85のボルト93を緩めて、ハウジング31の空間部37内で固定側シール部85を回転側シール部87側に軸方向移動させ、連通路89等を外部ホースHから供給される水によって洗浄することができる。なお、固定側シール部85の移動の際には、予め回転側シール部87の雌ねじ部材115を撹拌軸7から取り外しておく。
[実施例の効果]
本実施例では、加熱釜5及び撹拌軸7間に介設されたラビリンスシール33を備え、ラビリンスシール33が、加熱釜5側に設けられ径方向の凹凸部97を周回状に備えた固定側シール部85と、撹拌軸7側に設けられ固定側シール部85の凹凸部97に軸方向嵌合する径方向の凹凸部99を周回状に備えた回転側シール部87とを備え、固定側シール部85及び回転側シール部87を、凹凸部97,99間を離反可能に支持したため、凹凸部97,99間を離反させてラビリンスシール33内に残留した食材を容易に洗浄することができる。
【0061】
固定側シール部85及び回転側シール部87は、撹拌軸7の外周に軸方向移動自在に嵌合すると共に係脱自在なボルト93及び固定ねじ111によって係止されているため、前記離反を軸方向移動によって容易且つ確実に行わせることができる。
【0062】
この結果、本実施例では、ラビリンスシール33の洗浄を、より容易に行わせることができる。
【0063】
撹拌軸7のボールベアリング35は、ラビリンスシール33後方に空間部37を挟んで配置されたため、その分、撹拌軸7の軸受スパンを長くすることができると共に空間部37を洗浄用のスペースとして利用することができる。
[その他]
以上、本発明の実施例について説明した、本発明はこれに限定されるものではなく、各種の設計変更が可能である。
【0064】
例えば、上記実施例では、撹拌装置を加熱撹拌調理装置1に適用したが、加熱を行わない撹拌調理装置の他、調理装置以外の撹拌装置にも適用することが可能である。
【0065】
また、ラビリンスシール33の固定側シール部85及び回転側シール部87は、双方が軸方向移動自在に構成されていたが、何れか一方を軸方向移動不能にし、同他方のみを軸方向移動自在にしてもよい。回転側シール部87を移動不能にする場合は、例えば、シール支持部51の端壁部71を省略して、固定側シール部85を軸受支持部53に締結固定すればよい。
【0066】
さらに、固定側シール部85及び回転側シール部87の何れか一方を移動不能にする場合は、固定側シール部85又は回転側シール部87を加熱釜5側又は撹拌軸7側に一体に形成してもよい。
【0067】
また、固定側シール部85及び回転側シール部87は、固定側シール部85を軸方向加熱釜5側に配置し回転側シール部87を反加熱釜5側に配置していたが、この軸方向位置関係を逆にすることも可能である。
【0068】
また、係止具としては、ボルト93及び固定ねじ111を採用したが、例えば、撹拌軸7に着脱自在に取り付けられる周回状のクリップ等を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 加熱撹拌調理装置(撹拌装置)
5 加熱釜(撹拌容器)
7 撹拌軸
29 撹拌羽根(撹拌部)
33 ラビリンスシール
35 ボールベアリング(軸受)
37 空間部
85 固定側シール部
87 回転側シール部
93 ボルト(係止具)
97,99 凹凸部
111 固定ねじ(係止具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被撹拌物を収容する撹拌容器と、
該撹拌容器を貫通し撹拌部によって前記被撹拌物の撹拌を行わせる回転自在な撹拌軸と、
前記撹拌容器及び前記撹拌軸間に介設されたラビリンスシールとを備えた撹拌装置であって、
前記ラビリンスシールは、前記撹拌容器側に設けられ径方向の凹凸部を周回状に備えた固定側シール部と、前記撹拌軸側に設けられ前記固定側シール部の凹凸部に軸方向嵌合する径方向の凹凸部を周回状に備えた回転側シール部とを有し、
前記固定側シール部及び回転側シール部の少なくとも一方が、前記凹凸部間を離反可能に支持された、
ことを特徴とする撹拌装置。
【請求項2】
請求項1記載の撹拌装置であって、
前記固定側シール部又は回転側シール部は、前記撹拌軸の外周に軸方向移動自在に嵌合すると共に係脱自在な係止具によって係止された、
ことを特徴とする撹拌装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の撹拌装置であって、
前記撹拌軸の軸受が、前記ラビリンスシール後方に空間部を挟んで配置された、
ことを特徴とする撹拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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