説明

操作シール

【課題】操作部を小さい力で容易に操作する。
【解決手段】表面(4a)に力が加えられる方向と交差する方向に設けられた傾斜面(4b)を有するシール基材4と、前記シール基材の裏面に設けられた接着層6と、前記接着層を被覆する剥離シート8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材を操作するための操作シールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表面に防滑性樹脂皮膜が設けられ滑り止めが必要な部分に粘着剤により貼り付ける滑り止めテープが存在する(例えば、特許文献1参照)。この滑り止めテープを階段または通路に設置されている手摺りに貼り付けた場合には、高齢、病気または障害などによって握力が低下している人でも滑り止め効果によって確実に手摺りを握ることができ、階段昇降や通路の歩行の際の転倒の危険性を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−226593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高齢者、病気または障害を有する人は、握力が低下するのみならず手や指を動かすことが困難な場合があり、ドアノブ等の回転操作する操作部に上述の滑り止めテープを用いた場合には、表面が平面に形成されていることから、ドアノブに対して力を加えることができずドアノブの操作を行うことができない場合があった。また、上述の滑り止めテープは滑り止めの機能を有するが、ポインティングデバイスのボタン等の上下方向に操作する操作部に対しては、操作を可能とする機能を有していなかった。
【0005】
本発明の目的は、操作部を小さい力で容易に操作することができる操作シールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段により上記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施の形態に対応する符号を付して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
本発明の操作シール(2)は、表面(4a)に力が加えられる方向と交差する方向に設けられた傾斜面(4b)を有するシール基材4と、前記シール基材の裏面に設けられた接着層6と、前記接着層を被覆する剥離シート8とを備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明の操作シール(2)は、前記シール基材が防滑性樹脂により形成されていることを特徴とする。
【0009】
また本発明の操作シール(2)は、前記表面(4a)と前記傾斜面(4b)とがなだらかに接続されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明の操作シール(2)は、前記シール基材(4)及び前記接着層(6)が透明または半透明であることを特徴とする。
【0011】
また本発明の操作シール(2)は、前記シール基材(4)が可撓性を有することを特徴とする。
【0012】
また本発明の操作シール(2)は、前記傾斜面(4b)が少なくとも一部において、前記表面と前記傾斜面の成す角度が前記力が加わる方向に次第に大きくなる領域を有することを特徴とする。
【0013】
また本発明の操作シール(2)は、前記シール基材(4)が前記力が加えられる方向の幅に比較して前記力が加えられる方向に交差する方向の幅が大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作シールを操作部に貼り付けることにより、操作部を小さい力で容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る操作シールを示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る操作シールの平面図及び平面図のA−A断面図である。
【図3】実施の形態に係る操作シールが貼り付けられたポインティングデバイスを示す斜視図である。
【図4】実施の形態に係る操作シールが貼り付けられたドアノブを示す斜視図である。
【図5】実施の形態に係る操作シールを示す斜視図である。
【図6】実施の形態に係る操作シールの平面図及び平面図のB−B断面図である。
【図7】実施の形態に係る操作シールを示す斜視図である。
【図8】実施の形態に係る操作シールの平面図及び平面図のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る操作シールについて説明する。図1は、実施の形態に係る操作シールを示す斜視図である。操作シール2は、平面視矩形状であり、図中において矢印で示す力が加えられる方向の幅に比較して力が加えられる方向に直交する方向の幅が大きく形成されている。ここで操作シール2は、可撓性を有する樹脂により薄いシート状に形成されたシール基材4、シール基材4の裏面に設けられた接着層6及び接着層6を被覆する剥離シート8により構成されている。
【0017】
可撓性を有する樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコン系樹脂などの防滑性樹脂が用いられており、透明または半透明のものが好ましい。
【0018】
シール基材4の表面4aには、傾斜面4bが形成されている。ここで傾斜面4bは、シール基材4の表面4aにおいて、力が加えられる方向と直交する方向(位置)に形成されており、図2(a)の平面図、及び図2(b)のA−A断面図に示すように表面4aと傾斜面4bとはなだらかに接続されている。
【0019】
次に、図3を参照して実施の形態に係る操作シールをポインティングデバイス(例えば、マウス)に用いた場合について説明する。図3は、操作シール2が貼り付けられたマウスを示す斜傾図である。図3に示すように、マウス10の上面には2つの略平面の操作ボタン10a,10bが設けられ、操作ボタン10a,10bの上面には剥離シート8を剥がした操作シール2がそれぞれ貼り付けられている。ここで操作シール2は、操作者12がマウス10に手を添えた状態で指を左右に動かして力を加える方向に対して傾斜面4bが直交するように貼り付けることが好ましい。なお、この実施の形態においては、操作ボタン10aに貼り付けられた操作シール4の傾斜面4bと操作ボタン10bに貼り付けられた操作シール4の傾斜面4bとが対向するように貼り付けられている。
【0020】
この状態で操作者が指をシール基材4の表面4aに沿って左に移動させた場合、操作ボタン10aに貼り付けられている操作シール2の傾斜面4bには指の左方向への移動による力が加えられる。ここで、傾斜面4bは防滑性を有するため指の移動による力が確実に加えられる。そして、操作シール2の傾斜面4bに加えられた左方向の力は表面4aに略垂直な方向の力に変換されることから操作ボタン10aを極めて小さな、指の左方向の移動によってクリック操作することができる。なお、操作ボタン10bも操作ボタン10aと同様に極めて小さな、指の右方向の移動によってクリック操作することができる。
【0021】
次に、図4を参照して実施の形態に係る操作シールをドアノブに用いた場合について説明する。図4は、操作シール2が貼り付けられたドアノブを示す斜傾図である。ドアノブ20の把持部の周面20aには剥離シート8を剥がした操作シール2が貼り付けられている。操作シール2は可撓性を有するためドアノブ20の周面20aに沿って貼り付けられている。操作シール2は、操作者がドアノブ20に手12を添えてドアノブ20を回転させる方向、即ち力を加える方向(図中矢印方向)に対して傾斜面4bが直交するように貼り付けられることが好ましい。
【0022】
この状態で操作者がドアノブ20に手12を添えて矢印方向にドアノブ20を回転させる場合、操作シール2の傾斜面4bに人差し指が掛かり人差し指の移動による力が加えられる。即ち、傾斜面4bは防滑性を有するため人差し指の移動による力が確実に伝達されドアノブ20に回転方向の力が働く。従って、操作者は極めて小さな力でドアノブ20を回転操作することが可能となる。
【0023】
本発明の実施の形態に係る操作シールによれば、操作シールを操作部に貼り付けることにより、操作部を極めて小さい力で容易に操作することができる。また、操作シールは、力が加えられる方向の幅に比較して力が加えられる方向に直交する方向の幅が大きく形成されているため、操作者の指の小さな動きによる力が傾斜面に確実に伝達され、操作部をより容易に操作することができる。また、操作シールにおけるシール基材の表面と傾斜面とがなだらかに接続されているため、傾斜面のふくらみを目立たなくすることができる。また、操作シールにおけるシール基材及び粘着層が透明または半透明であるため、操作部に用いた場合に操作シールを目立たなくすることができる。従って、操作部の外観デザインを損なうことなく操作シールを用いることができる。
【0024】
なお、上述の実施の形態においては、シール基材4の表面4aに、力が加えられる方向と直交する方向に1つの傾斜面4bを形成しているが(図1参照)、傾斜面4bの反対側に傾斜面をさらに形成するようにしてもよい。即ち、操作シール30は、図5に示すようにシール基材34、接着層36及び剥離シート38により構成され、シール基材34の表面34aには、力が加えられる方向(実線)と直交する方向に傾斜面34bが形成され、さらに実線で示す力が加えられる方向と反対方向(破線)の力が加えられる方向と直交する方向に傾斜面34b´が形成されている。また、図6(a)の平面図、及び図6(b)のB−B断面図に示すように表面34aと傾斜面34b,34b´とはそれぞれなだらかに接続される。従って、操作シール30を操作部に用いることによって、図5の実線で示す方向だけでなく破線で示す方向に操作者が力を加える場合にも操作部を容易に操作することが可能となる。
【0025】
また、上述の実施の形態において、操作シール40は、図7に示すように、シール基材44、接着層46及び剥離シート48により構成されており、シール基材44の傾斜面44bは、少なくとも一部において表面44aと傾斜面44bの成す角度が力が加わる方向(図中矢印方向)に次第に大きくなる領域が形成されている。これにより、操作者が指を横方向、即ち表面44aに略平行な方向に移動させた場合、傾斜面44bに指が引っ掛かり易くなり指の小さな横方向の動きを確実に上下方向の動きに変換することができる。
【0026】
また、上述の実施の形態においては、操作シール2は平面視矩形状であるが矩形以外の形状であってもよい。例えば図8(a)の平面図、及び図8(b)のC−C断面図に示すように、操作シール50がシール基材54、接着層56及び剥離シート58により構成され、平面視円形状であってもよい。更に操作シールは円形以外の平面視形状であってもよい。
【0027】
また、上述の実施の形態においては、操作シール2をマウス10及びドアノブ20に用いているが、リモコンスイッチ、家電スイッチ、家庭用電気スイッチ、ナースコールボタン、ドアフォンボタン等の操作部に用いてもよい。
【符号の説明】
【0028】
2,30,40,50…操作シール、4,34,44,54…シール基材、4a,34a,44a,54a…表面、4b,34b,44b,54b…傾斜面、6,36,46,56…接着層、8,38,48,58…剥離シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に力が加えられる方向と交差する方向に設けられた傾斜面を有するシール基材と、
前記シール基材の裏面に設けられた接着層と、
前記接着層を被覆する剥離シートと
を備えることを特徴とする操作シール。
【請求項2】
前記シール基材は防滑性樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1記載の操作シール。
【請求項3】
前記表面と前記傾斜面とは、なだらかに接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の操作シール。
【請求項4】
前記シール基材及び前記接着層は透明または半透明であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の操作シール。
【請求項5】
前記シール基材は、可撓性を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の操作シール。
【請求項6】
前記傾斜面は、少なくとも一部において、前記表面と前記傾斜面の成す角度が前記力が加わる方向に次第に大きくなる領域を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の操作シール。
【請求項7】
前記シール基材は、前記力が加えられる方向の幅に比較して前記力が加えられる方向に交差する方向の幅が大きいことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の操作シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−246468(P2012−246468A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121871(P2011−121871)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(399109333)学校法人青山学院 (12)
【Fターム(参考)】